説明

車載装置、報知方法、車両照合システム及びコンピュータプログラム

【課題】捜索対象の車両を照合するために撮像装置が搭載された車両の運転者の労力を低減すること。
【解決手段】車載装置であって、車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、車両の車種が、捜索対象の車両と同車種であるか否か判定する車種判定部と、撮像装置によって撮像された車両の画像から、車両のナンバーが、捜索対象の車両のナンバーと一致するか否か判定するナンバー判定部と、車種判定部による判定結果に応じて第一報知態様で報知を行い、ナンバー判定部による判定結果に応じて第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を照合する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)のように、自動車のナンバープレートを自動で読み取って、捜索対象となっている車両(以下、「捜索車両」という。)を検出するシステムが提案されている。また、Nシステムのような大がかりなシステムのみならず、特許文献1に開示された発明のように個々の車両に搭載可能なシステムも提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された装置は、車載カメラにより撮影された画像から周辺車両の車番を検出し、周辺車両の車番を捜索車両の車番と比較する。そして、この装置は、周辺車両の車番が捜索車両の車番に該当する場合、車番が検出された日付・時刻・自車位置とともに当該車番を情報センタに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−140128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、Nシステムのような大がかりなシステムでは、装置の価格が高いために、配置される地域が主要道路などに限られてしまっていた。そのため、Nシステムが配置された主要道路を捜索車両が通過しない限りは、捜索車両を検出することができなかった。
【0006】
一方、特許文献1に開示された装置の場合、車番を検出する精度を高く維持することが難しいという問題があった。その理由は以下のとおりである。Nシステムのようにカメラが固定されている場合には、撮影時の車両(被写体)の位置とカメラ位置との距離は略一定である。そのため、カメラによって撮像されるナンバープレートの画像の大きさは略一定となる。これに対し、車載カメラを用いた場合には、撮影時の車両(被写体)の位置とカメラ位置との距離は一定ではない。そのため、その距離が離れている場合には、カメラによって撮像されるナンバープレートの画像の大きさが十分ではなく、ナンバープレートの表示内容を正確に認識できないことがあった。
【0007】
このような問題を解消するために、車載カメラが搭載された車両の運転者は、被写体となる車両のナンバープレートの画像が十分に大きく撮像できるように、被写体となる全ての車両との車間距離を常に一定距離以下に縮めるように意識して運転を行わなければならなかった。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、撮像装置が搭載された車両の運転者の労力を低減できる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、車載装置であって、車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両の車種が、捜索対象の車両と同車種であるか否か判定する車種判定部と、前記撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両のナンバーが、捜索対象の車両のナンバーと一致するか否か判定するナンバー判定部と、前記車種判定部による判定結果に応じて第一報知態様で報知を行い、前記ナンバー判定部による判定結果に応じて前記第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知部と、を備える。
【0010】
本発明の一態様は、報知方法であって、車載装置が、車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両の車種が、捜索対象の車両と同車種であるか否か判定する車種判定ステップと、前記車載装置が、前記撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両のナンバーが、捜索対象の車両のナンバーと一致するか否か判定するナンバー判定ステップと、前記車載装置が、前記車種判定ステップによる判定結果に応じて第一報知態様で報知を行い、前記ナンバー判定ステップによる判定結果に応じて前記第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知ステップと、を備える。
【0011】
本発明の一態様は、車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両の車種が、捜索対象の車両と同車種であるか否か判定する車種判定ステップと、前記撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両のナンバーが、捜索対象の車両のナンバーと一致するか否か判定するナンバー判定ステップと、前記車種判定ステップによる判定結果に応じて第一報知態様で報知を行い、前記ナンバー判定ステップによる判定結果に応じて前記第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知ステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0012】
本発明の一態様は、自動車に搭載される車載装置と、前記車載装置と通信可能なサーバと、を備える車両照合システムであって、前記車載装置は、車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両の車種を判定する車種判定部と、前記撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両のナンバーを認識するナンバー判定部と、前記車種判定部による車種判定結果、又は、前記ナンバー判定部によるナンバー認識結果を前記サーバへ送信し、前記車種又は前記ナンバーについての照合結果を前記サーバから受信する通信部と、前記通信部が前記サーバから受信した前記車種についての照合結果に応じて第一報知態様で報知を行い、前記通信部が前記サーバから受信した前記ナンバーについての照合結果に応じて前記第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知部と、を備え、前記サーバは、前記捜索対象の車両の車種情報及び前記捜索対象の車両のナンバー情報を予め記憶する記憶部と、前記車種判定結果又は前記ナンバー認識結果を前記車載装置から受信し、照合結果を前記車載装置へ送信する通信部と、前記通信部が前記車種判定結果を受信した場合には、前記車種判定結果と前記記憶部に記憶される車種情報とが一致するか否か照合し、前記通信部が前記ナンバー認識結果を受信した場合には、前記ナンバー認識結果と前記記憶部に記憶されるナンバー情報とが一致するか否か照合する照合部と、を備ることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様は、自動車に搭載される車載装置と、捜索対象の車両の車種情報及び前記捜索対象の車両のナンバー情報を予め記憶する記憶部を備えるサーバと、を備える車両照合システムが行う報知方法であって、前記車載装置が、車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両の車種を判定する車種判定ステップと、前記車載装置が、前記撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両のナンバーを認識するナンバー判定ステップと、前記車載装置が、前記車種判定ステップによる車種判定結果、又は、前記ナンバー判定ステップによるナンバー認識結果を前記サーバへ送信する送信ステップと、前記サーバが、前記車種判定結果又は前記ナンバー認識結果を前記車載装置から受信する受信ステップと、前記サーバが、前記車種判定結果を受信した場合には、前記車種判定結果と前記記憶部に記憶される車種情報とが一致するか否か照合し、前記ナンバー認識結果を受信した場合には、前記ナンバー認識結果と前記記憶部に記憶されるナンバー情報とが一致するか否か照合する照合ステップと、前記サーバが、照合結果を前記車載装置へ送信する送信ステップと、前記車載装置が、前記車種又は前記ナンバーについての照合結果を前記サーバから受信する受信ステップと、前記車載装置が、前記サーバから受信した前記車種についての照合結果に応じて第一報知態様で報知を行い、前記サーバから受信した前記ナンバーについての照合結果に応じて前記第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知ステップと、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様は、自動車に搭載される第一装置と、捜索対象の車両の車種情報及び前記捜索対象の車両のナンバー情報を予め記憶する記憶部を備える第二装置と、を車両照合システムとして動作させるためのコンピュータプログラムであって、前記第一装置に対し、車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両の車種を判定する車種判定ステップと、前記撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両のナンバーを認識するナンバー判定ステップと、前記車種判定ステップによる車種判定結果、又は、前記ナンバー判定ステップによるナンバー認識結果を前記第二装置へ送信する送信ステップと、を実行させ、前記第二装置に対し、前記車種判定結果又は前記ナンバー認識結果を前記第一装置から受信する受信ステップと、前記車種判定結果を受信した場合には、前記車種判定結果と前記記憶部に記憶される車種情報とが一致するか否か照合し、前記ナンバー認識結果を受信した場合には、前記ナンバー認識結果と前記記憶部に記憶されるナンバー情報とが一致するか否か照合する照合ステップと、照合結果を前記第一装置へ送信する送信ステップと、を実行させ、前記第一装置に対してさらに、前記車種又は前記ナンバーについての照合結果を前記第二装置から受信する受信ステップと、前記第二装置から受信した前記車種についての照合結果に応じて第一報知態様で報知を行い、前記第二装置から受信した前記ナンバーについての照合結果に応じて前記第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、撮像装置が搭載された車両の運転者の労力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第一実施形態の車両照合システムのシステム構成を表すシステム構成図である。
【図2】第一実施形態の車載装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
【図3】ナンバー認識可能距離の概略を表す図である。
【図4】車種判定部が予め記憶している画像の具体例を表す図である。
【図5】ナンバープレートの具体例を表す図である。
【図6】撮像部の設置場所の具体例を表す図である。
【図7】第一実施形態の車載装置の処理の流れを表すフローチャートである。
【図8】距離センサを備えるように構成された場合の車載装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
【図9】撮像部が自車両の後方を撮像するように設置される場合の設置場所の具体例を表す図である。
【図10】車種判定部が予め記憶している画像の具体例を表す図である。
【図11】第二実施形態の車両照合システムのシステム構成を表すシステム構成図である。
【図12】第二実施形態の車載装置の機能構成を表す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態の車両照合システム1のシステム構成を表すシステム構成図である。車両照合システム1は、複数の車載装置10及びサーバ20を備える。各車載装置10とサーバ20とは、ネットワーク30を経由して互いに通信可能に構成される。図1では、サーバ20は1台だけ図示されているが、車両照合システム1はサーバ20を複数台備えても良い。
【0018】
車載装置10は、車両に搭載され、搭載車両(以下、「自車両」という。)の周辺に位置する他の車両が捜索対象の車両(以下、「捜索車両」という。)と同車種であるか否か判定する。また、車載装置10は、自車両の周辺に位置する他の車両のナンバーが捜索車両のナンバーと一致するか否か判定する。具体的には、車載装置10は、自車両の周辺に位置する他の車両の車体やナンバープレートの表示内容(以下、「ナンバー」という。)を撮像し、捜索車両としてサーバ20に登録されている車両の車種やナンバーと照合する。車載装置10の詳細な構成については後述する。なお、以下の説明では、自車両の周辺に位置する他の車両であって、車載装置10の処理の対象となっている車両を、「対象車両」と呼ぶ。
【0019】
サーバ20は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行することによって、捜索車両記憶部21及び通信部22を備える装置として機能する。なお、サーバ20の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)等のハードウェアを用いて実現されても良い。
【0020】
捜索車両記憶部21は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。捜索車両記憶部21は、複数台の捜索車両の車種情報及びナンバー情報を記憶する。車種情報とは、車のメーカー、型番、車体の色に関する情報である。ナンバー情報は、ナンバープレートに表示される複数の項目によって構成され、具体的な項目は法律によって定められている。例えば、ナンバー情報は、車両の使用の本拠の位置を表す項目(以下、「使用地域」という。)、車両の分類番号を表す項目(以下、「分類番号」という。)、車両の用途を表す項目(以下、「使用用途」という。)、車両の一連指定番号を表す項目(以下、「一連指定番号」という。)を有する。捜索車両記憶部21は、捜索車両毎に、車種情報及びナンバー情報を対応付けて記憶する。
【0021】
通信部22は、捜索車両記憶部21に記憶される車種情報及びナンバー情報を読み出し、ネットワーク30を経由して各車載装置10に送信する。通信部22が車載装置10に車種情報及びナンバー情報を送信するタイミングや送信内容は適宜設定される。例えば、通信部22は、所定のタイミングが到来する度に、捜索車両記憶部21の更新部分の情報のみを各車載装置10にブロードキャストしても良い。また、通信部22は、捜索車両記憶部21の内容が更新される度に、更新された情報のみを各車載装置10にブロードキャストしても良い。また、通信部22は、車載装置10から捜索車両の車種情報及びナンバー情報を要求される度に、捜索車両記憶部21に記憶される全ての車種情報及びナンバー情報を車載装置10へ送信しても良い。通信部22は、この他の態様で構成されても良い。
【0022】
ネットワーク30は、各車載装置10aとサーバ20aとを通信可能に接続できるネットワークであれば、どのようなネットワークを用いて構成されても良い。ネットワーク30は、例えばインターネットや専用通信回線等を用いて構成される。
【0023】
図2は、第一実施形態の車載装置10の機能構成を表す概略ブロック図である。車載装置10は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、コンピュータプログラムを実行することによって、撮像部101、通信部102、車種判定部103、ナンバー判定部104、報知部105を備える装置として機能する。なお、車載装置10の各機能の全て又は一部は、ASICやPLD等のハードウェアを用いて実現されても良い。
【0024】
撮像部101は、デジタル撮像素子を有するデジタルカメラを用いて構成される。デジタル撮像素子とは、例えばCCD(Charge Coupled Device Image Sensor)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いて構成され、受光した光の強度に応じて電荷を生成する素子である。撮像部101は、撮像素子によって生成された電荷に応じて画像を生成する。撮像部101は、所定の方向について繰り返し撮像を行い、生成した画像を車種判定部103及びナンバー判定部104へ出力する。なお、以下の説明では、撮像部101は、自車両の前方を撮像するように設置され、自車両の前方を走行する対象車両の背面を撮像する。
【0025】
通信部102は、ネットワーク30を経由してサーバ20と通信する。具体的には、通信部102は、サーバ20から捜索車両の車種情報及びナンバー情報を受信し、記憶する。また、サーバ20の通信部22が車載装置10からのリクエストを待って車種情報及びナンバー情報を送信するように構成されている場合には、通信部102は、所定のタイミングで上記リクエストをサーバ20へ送信するように構成される。
【0026】
車種判定部103は、撮像部101によって撮像された画像に基づいて、対象車両の車種が捜索車両と同車種であるか否か判定する。車種判定部103は、画像中の対象車両の車種が捜索車両と同車種である場合には、第一報知指示を報知部105へ出力する。
【0027】
車種判定部103が行う判定処理は、既存のどのような画像処理技術が適用されることによって実現されても良い。例えば、車種判定部103は、複数の車種の各車両の背面画像を予め記憶している。車種判定部103は、撮像部101によって撮像された対象車両の背面画像と、予め記憶している各背面画像とをマッチングし、対象車両の車種を判定する。そして、車種判定部103は、通信部102に記憶されている車種情報と判定結果とを比較し、対象車両が捜索車両と同車種であるか否か判定する。このとき、車種判定部103は、さらに車両の色に基づいて判定を行っても良い。
【0028】
ナンバー判定部104は、撮像部101によって撮像された画像に基づいて、対象車両のナンバーを認識する。具体的には、ナンバー判定部104は、既存の文字認識技術を用いて、画像中のナンバープレートに表示される各文字を認識する。そして、ナンバー判定部104は、認識結果と、通信部102に記憶されているナンバー情報とを比較することによって、対象車両が捜索車両であるか否か判定する。ナンバー判定部104は、対象車両が捜索車両である場合には、第二報知指示を報知部105へ出力する。
【0029】
報知部105は、照明装置や音声出力装置などの報知用装置を用いて構成され、第一報知態様での報知及び第二報知態様での報知を行う。報知部105は、車種判定部103から第一報知指示を受けると、第一報知態様での報知を行うとともに、対象車両と自車両との距離をナンバー認識可能距離まで近づけるように運転者を促す。このような催促は、例えば「捜索車両の可能性があります。車間距離を詰めてください。」という音声を出力することによって行われても良いし、ダッシュボードに設けられた所定の表示を点灯させることによって行われても良いし、他の態様によって行われても良い。
【0030】
図3は、ナンバー認識可能距離の概略を表す図である。図3A及び図3Bにおいて前方(左側)に表される車両300は対象車両であり、後方(右側)に表される車両200は自車両である。ナンバー認識可能距離とは、対象車両300と自車両200との間の距離であって、ナンバー判定部104が対象車両300のナンバーの認識を行うことが可能となる距離である。言い換えれば、ナンバー認識可能距離とは、画像中のナンバープレートに表示される各文字をナンバー判定部104が認識可能となる距離である。
【0031】
車種判定部103が車両の背面全体の画像に基づいて判定するのに対し、ナンバー判定部104はより小さいナンバープレート上の文字の画像に基づいて認識する。そのため、ナンバー認識可能距離は、車種判定部103が車種判定可能となる距離よりも短い。例えば、図3Aでは、車種判定部103が車種判定可能であるにもかかわらず、ナンバー判定部104はナンバーを認識可能となっていない。これに対し、図3Bでは、自車両200と対象車両300との距離はナンバー認識可能距離以内であり、ナンバー判定部104がナンバーを認識可能となっている。
【0032】
図2に戻って報知部105の説明を続ける。報知部105は、ナンバー判定部104から第二報知指示を受けると、第二報知態様での報知を行う。第一報知態様と第二報知態様とは、それぞれ報知内容(点灯する照明の色や音声など)が異なる。例えば、報知部105は、第一報知態様においては車内に設けられた黄色の照明を点灯させ、第二報知態様においては車内に設けられた赤色の照明を点灯させても良い。
【0033】
図4は、車種判定部103が予め記憶している画像の具体例を表す図である。本実施形態では、撮像部101が前方を走行する対象車両の背面を撮像する。そのため、車種判定部103が予め記憶している画像は、各車種の車両の背面の画像である。
【0034】
図5は、ナンバープレートの具体例を表す図である。ナンバープレート40には、複数の領域41〜44がある。領域41は、使用地域を表す文字列を表示する領域であり、領域41には例えば2文字の漢字が表示される。領域42は分類番号を表示する領域であり、領域42には例えば3つのアラビア数字が表示される。領域43は使用用途を表示する領域であり、領域43には例えば1文字の平仮名が表示される。領域44は一連指定番号を表示する領域であり、領域44には例えばハイフン“−”で連結された2桁ずつのアラビア数字が表示される。ナンバー判定部104は、ナンバープレート40の画像から、各領域41〜44を切り出し、各領域に表示される文字を認識する。
【0035】
図6は、撮像部101の設置場所の具体例を表す図である。本実施形態では、撮像部101は前方を走行する車両の背面を撮像するため、このような撮像が可能であればどのような位置に撮像部101が設置されても良い。例えば、ボンネットの上部(101−1)や、ヘッドライト等の車両先頭部付近(101−2)や、車内のダッシュボードの上部(101−3)や、車内前方の天井部(101−4)や、フロントバンパー下部(101−5)等のいずれかに撮像部101が設置される。
【0036】
図7は、第一実施形態の車載装置10の処理の流れを表すフローチャートである。まず、撮像部101が、前方を走行する対象車両の背面を撮像する(ステップS101)。次に、車種判定部103が、ステップS101で撮像された画像に基づき、対象車両の車種を判定する(ステップS102)。次に、車種判定部103が、通信部102に記憶されている車種情報と判定結果とを比較し、対象車両が捜索車両と同車種であるか否か判定する(ステップS103)。対象車両が捜索車両と同車種ではない場合(ステップS103−NO)、ステップS101に処理が戻る。そして、撮像部101が繰り返し撮像を行い、新たに撮像された画像についてステップS102以降の処理が繰り返し実行される。
【0037】
一方、対象車両が捜索車両と同車種である場合(ステップS103−YES)、車種判定部103が第一報知指示を報知部105へ出力する。そして、報知部105が第一報知態様で報知を行う(ステップS104)。このとき、報知部105は、対象車両と自車両との距離をナンバー認識可能距離まで近づけるように運転者を促す(S105)。第一報知態様での報知や催促が行われることによって、自車両の各乗員(特に運転者)は、対象車両が捜索車両の可能性があることを認識する。
【0038】
その後、ナンバー判定部104がナンバーの認識を行う(ステップS106)。次に、ナンバー判定部104が、通信部102に記憶されているナンバー情報と認識結果とを比較し、対象車両のナンバーが捜索車両のナンバーと一致するか否か判定する(ステップS107)。二つのナンバーが一致しない場合(ステップS107−NO)、ステップS101に処理が戻る。そして、撮像部101が繰り返し撮像を行い、新たに撮像された画像についてステップS102以降の処理が繰り返し実行される。
【0039】
一方、二つのナンバーが一致する場合(ステップS107−YES)、ナンバー判定部104が第二報知指示を報知部105へ出力する。そして、報知部105が第二報知態様で報知を行う(ステップS108)。第二報知態様での報知が行われることによって、自車両の各乗員は、対象車両が捜索車両であることを認識する。
【0040】
以上のように構成された第一実施形態の車載装置10では、対象車両が撮像された画像を用いて、車種判定部103が車種について判定を行う。そして、対象車両と捜索車両の車種が同じである場合には、第一報知態様での報知が行われるとともに、対象車両と自車両との距離をナンバー認識可能距離まで近づけるように運転者に対する催促が行われる。そのため、この催促に従って運転者が対象車両と自車両との距離を詰めることによって、撮像されるナンバープレートの画像が大きくなり、ナンバー判定部104における認識処理の精度が向上する。
【0041】
また、対象車両と自車両との距離をナンバー認識可能距離まで詰める必要があるか否かは車載装置10によって判断される。そのため、不必要に全ての対象車両に対して自車両を接近させる必要がない。したがって、車間距離が縮まることによる事故の可能性を低下させるとともに、自車両の運転者の運転労力を低減することが可能となる。すなわち、運転者は、車間距離を詰めることについて催促がなされるまでは、通常通りの運転をすればよい。
【0042】
また、車間距離を詰める必要があるか否かが車載装置10によって判断されるため、運転者以外の者は、車間距離を詰める必要があるか否か判断する必要が無い。そのため、運転者以外の者は、前方の対象車両に注目する必要が無く、歩道や家屋から出てくる者などに注目することが可能となる。
【0043】
<変形例>
車種判定部103は、通信部102に記憶されている捜索車両と同車種の車両の画像と、撮像部101によって撮像された画像とをマッチングし、画像中の車両が捜索車両と同車種であるか否か判定しても良い。
【0044】
また、画像と画像とのマッチングではなく、特徴量と画像とのマッチングによって上記の各判定が行われても良い。この場合、通信部102又は車種判定部103は、車種情報又は車両の画像に代えて、予め車両の画像から抽出された特徴量を記憶するように構成される。
【0045】
また、車載装置10は、対象車両と自車両との間の距離を測定する距離センサ111をさらに備えるように構成されても良い。図8は、距離センサ111を備えるように構成された場合の車載装置10の機能構成を表す概略ブロック図である。距離センサ111は、自車両の車体前方に設置される。距離センサ111は、例えば赤外線等の光線又は超音波などの振動波を対象車両へ発射し、反射波を測定することによって上記距離を測定しても良い。また、距離センサ111は、対象車両を撮像し、撮像された画像に基づいて上記距離を測定しても良い。車載装置10が距離センサ111を備えるように構成された場合、報知部105は、距離センサ111の測定結果に応じて動作するように構成されても良い。具体的には、報知部105は、第一報知指示を受けると、距離センサ111の測定結果がナンバー認識可能距離以下となるまで、第一報知態様での報知及び車両接近の催促を繰り返し実行する。
【0046】
また、上記の説明では、撮像部101が自車両の前方を撮像するように設置された例について説明したが、撮像部101は自車両の後方を撮像するように設置されても良い。図9は、撮像部101が自車両の後方を撮像するように設置される場合の設置場所の具体例を表す図である。この場合、撮像部101は、後方を走行する車両の前面を撮像可能であればどのような位置に設置されても良い。例えば、トランクフードの上部(101−6)や、テールライト等の車両後尾部付近(101−7)や、車内の後部座席の後方(101−8)や、車内後方の天井部(101−9)や、リアバンパー下部(101−10)等のいずれかに撮像部101が設置される。
【0047】
図9のように撮像部101が設置された場合、車種判定部103は車両の前面の画像に基づいて判定を行う。そのため、このような場合、車種判定部103は予め車両の前面の画像を記憶している。図10は、車種判定部103が予め記憶している画像の具体例を表す図である。この場合、撮像部101が後方を走行する車両の前面を撮像するため、車種判定部103が予め記憶している画像は、各車種の車両の前面の画像となる。
【0048】
[第二実施形態]
図11は、第二実施形態の車両照合システム1aのシステム構成を表すシステム構成図である。車両照合システム1aのサーバ20aは、照合部23をさらに備える。照合部23は、通信部22及びネットワーク30を経由して、車載装置10aから、車種判定結果又はナンバー認識結果を受信する。照合部23は、受信された車種判定結果又はナンバー認識結果を、捜索車両記憶部21に記憶されている車種情報又はナンバー情報と比較し、捜索車両の車種又はナンバーと一致するか否か照合する。そして、照合部23は、通信部22及びネットワーク30を経由して、車種照合結果又はナンバー照合結果を車載装置10aへ通知する。
【0049】
図12は、第二実施形態の車載装置10aの機能構成を表す概略ブロック図である。以下、第二実施形態の車載装置10aの機能構成のうち、第一実施形態の車載装置10と異なる構成について説明する。
【0050】
第二実施形態における通信部102aは、車種判定部103aによる車種判定結果又はナンバー判定部104aによるナンバー認識結果を、ネットワーク30を経由してサーバ20aへ送信する。また、通信部102aは、ネットワーク30を経由して、サーバ20aから車種照合結果又はナンバー照合結果を受信する。
【0051】
車種判定部103aは、撮像部101によって撮像された画像に基づいて、対象車両の車種を判定する。そして、車種の判定結果(車種判定結果)を、通信部102aに出力する。
ナンバー判定部104aは、撮像部101によって撮像された画像に基づいて、対象車両のナンバープレートに表示される各文字を認識する。そして、ナンバーの認識結果(ナンバー認識結果)を、通信部102aに出力する。
【0052】
報知部105aは、通信部102aから、サーバ20aにおける車種照合結果又はナンバー照合結果を受信する。そして、一致を示す車種照合結果を受信した場合には、報知部105aは、第一報知態様で報知を行うとともに、対象車両と自車両との距離をナンバー認識可能距離まで近づけるように運転者を促す。また、一致を示すナンバー照合結果を受信した場合には、報知部105aは、第二報知態様で報知を行う。
【0053】
第二実施形態の車載装置10aの処理の流れは、車種の照合(ステップS103の判定)及びナンバーの照合(ステップS107の判定)が照合部23によって行われる点を除けば、図7に示されるフローチャートの通りである。したがって、第二実施形態の車載装置10aの処理の流れについては説明を省略する。
【0054】
このように構成された第二実施形態の車両照合システム1aでは、捜索車両に関する情報(車種情報及びナンバー情報)そのものを、ネットワーク30を介して送受信する必要が無い。そのため、ネットワーク30におけるトラフィックを軽減できる。また、ネットワーク30において盗聴などにより捜索車両に関する情報が漏洩してしまうことを防止できる。
【0055】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0056】
1,1a…車両照合システム, 10,10a…車載装置(第一装置), 20,20a…サーバ(第二装置), 30…ネットワーク, 101…撮像部(撮像装置), 102,102a…通信部, 103,103a…車種判定部, 104,104a…ナンバー判定部, 105,105a…報知部, 111…距離センサ, 21…捜索車両記憶部(記憶部), 22…通信部, 23…照合部, 200…自車両, 300…対象車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両の車種が、捜索対象の車両と同車種であるか否か判定する車種判定部と、
前記撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両のナンバーが、捜索対象の車両のナンバーと一致するか否か判定するナンバー判定部と、
前記車種判定部による判定結果に応じて第一報知態様で報知を行い、前記ナンバー判定部による判定結果に応じて前記第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知部と、
を備える車載装置。
【請求項2】
前記捜索対象の車両の車種情報及び前記捜索対象の車両のナンバー情報を予め記憶する記憶部をさらに備え、
前記車種判定部は、前記記憶部に記憶される車種情報に基づいて判定し、
前記ナンバー判定部は、前記記憶部に記憶されるナンバー情報に基づいて判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記報知部は、前記第一報知態様で報知をする場合、前記撮像装置によって撮像された車両と自車両との間の距離を、前記ナンバー判定部が前記ナンバーに関し判定可能となる距離まで詰めることを自車両の運転者に促すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の車載装置。
【請求項4】
車載装置が、車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両の車種が、捜索対象の車両と同車種であるか否か判定する車種判定ステップと、
前記車載装置が、前記撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両のナンバーが、捜索対象の車両のナンバーと一致するか否か判定するナンバー判定ステップと、
前記車載装置が、前記車種判定ステップによる判定結果に応じて第一報知態様で報知を行い、前記ナンバー判定ステップによる判定結果に応じて前記第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知ステップと、
を備える報知方法。
【請求項5】
車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両の車種が、捜索対象の車両と同車種であるか否か判定する車種判定ステップと、
前記撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両のナンバーが、捜索対象の車両のナンバーと一致するか否か判定するナンバー判定ステップと、
前記車種判定ステップによる判定結果に応じて第一報知態様で報知を行い、前記ナンバー判定ステップによる判定結果に応じて前記第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知ステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項6】
自動車に搭載される車載装置と、前記車載装置と通信可能なサーバと、を備える車両照合システムであって、
前記車載装置は、
車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両の車種を判定する車種判定部と、
前記撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両のナンバーを認識するナンバー判定部と、
前記車種判定部による車種判定結果、又は、前記ナンバー判定部によるナンバー認識結果を前記サーバへ送信し、前記車種又は前記ナンバーについての照合結果を前記サーバから受信する通信部と、
前記通信部が前記サーバから受信した前記車種についての照合結果に応じて第一報知態様で報知を行い、前記通信部が前記サーバから受信した前記ナンバーについての照合結果に応じて前記第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知部と、
を備え、
前記サーバは、
前記捜索対象の車両の車種情報及び前記捜索対象の車両のナンバー情報を予め記憶する記憶部と、
前記車種判定結果又は前記ナンバー認識結果を前記車載装置から受信し、照合結果を前記車載装置へ送信する通信部と、
前記通信部が前記車種判定結果を受信した場合には、前記車種判定結果と前記記憶部に記憶される車種情報とが一致するか否か照合し、前記通信部が前記ナンバー認識結果を受信した場合には、前記ナンバー認識結果と前記記憶部に記憶されるナンバー情報とが一致するか否か照合する照合部と、
を備ることを特徴とする車両照合システム。
【請求項7】
自動車に搭載される車載装置と、捜索対象の車両の車種情報及び前記捜索対象の車両のナンバー情報を予め記憶する記憶部を備えるサーバと、を備える車両照合システムが行う報知方法であって、
前記車載装置が、車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両の車種を判定する車種判定ステップと、
前記車載装置が、前記撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両のナンバーを認識するナンバー判定ステップと、
前記車載装置が、前記車種判定ステップによる車種判定結果、又は、前記ナンバー判定ステップによるナンバー認識結果を前記サーバへ送信する送信ステップと、
前記サーバが、前記車種判定結果又は前記ナンバー認識結果を前記車載装置から受信する受信ステップと、
前記サーバが、前記車種判定結果を受信した場合には、前記車種判定結果と前記記憶部に記憶される車種情報とが一致するか否か照合し、前記ナンバー認識結果を受信した場合には、前記ナンバー認識結果と前記記憶部に記憶されるナンバー情報とが一致するか否か照合する照合ステップと、
前記サーバが、照合結果を前記車載装置へ送信する送信ステップと、
前記車載装置が、前記車種又は前記ナンバーについての照合結果を前記サーバから受信する受信ステップと、
前記車載装置が、前記サーバから受信した前記車種についての照合結果に応じて第一報知態様で報知を行い、前記サーバから受信した前記ナンバーについての照合結果に応じて前記第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知ステップと、
を備えることを特徴とする報知方法。
【請求項8】
自動車に搭載される第一装置と、捜索対象の車両の車種情報及び前記捜索対象の車両のナンバー情報を予め記憶する記憶部を備える第二装置と、を車両照合システムとして動作させるためのコンピュータプログラムであって、
前記第一装置に対し、
車両に搭載された撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両の車種を判定する車種判定ステップと、
前記撮像装置によって撮像された車両の画像から、前記車両のナンバーを認識するナンバー判定ステップと、
前記車種判定ステップによる車種判定結果、又は、前記ナンバー判定ステップによるナンバー認識結果を前記第二装置へ送信する送信ステップと、
を実行させ、
前記第二装置に対し、
前記車種判定結果又は前記ナンバー認識結果を前記第一装置から受信する受信ステップと、
前記車種判定結果を受信した場合には、前記車種判定結果と前記記憶部に記憶される車種情報とが一致するか否か照合し、前記ナンバー認識結果を受信した場合には、前記ナンバー認識結果と前記記憶部に記憶されるナンバー情報とが一致するか否か照合する照合ステップと、
照合結果を前記第一装置へ送信する送信ステップと、
を実行させ、
前記第一装置に対してさらに、
前記車種又は前記ナンバーについての照合結果を前記第二装置から受信する受信ステップと、
前記第二装置から受信した前記車種についての照合結果に応じて第一報知態様で報知を行い、前記第二装置から受信した前記ナンバーについての照合結果に応じて前記第一報知態様とは異なる第二報知態様で報知を行う報知ステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−165146(P2011−165146A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30666(P2010−30666)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000164449)九州日本電気ソフトウェア株式会社 (67)
【Fターム(参考)】