説明

車載装置

【課題】必要充分な品質で、できるだけ遅延なく携帯端末が出力するナビゲーション用画像を表示できる「車載装置」を提供する。
【解決手段】アナログビデオ出力とデジタルビデオ出力の双方からナビゲーション用画像を出力する携帯端末1に接続する車載装置3において、ナビゲーション用画像のスクロール表示中は無条件にアナログビデオ出力が表すナビゲーション用画像を表示する。スクロール表示中でない期間中は、交差点拡大図の表示中や広域地図表示中など、ユーザがナビゲーション画像の細部を把握しようとする蓋然性が大きい場合のみ、デジタルビデオ出力が表すナビゲーション用画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置において、外部装置で生成された地図上に現在位置等を表したナビゲーション用画像を表示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、経路案内を行うナビゲーション機能を備えた携帯端末が知られている(たとえば、特許文献1)。ここで、この特許文献1の携帯端末のナビゲーション機能は、携帯端末の周辺の地図上に携帯端末の現在位置や目的地までの経路を表す画像を、ユーザの経路案内を行うナビゲーション用画像として表示するものである。
【0003】
また、表示装置を備えた車載装置と前述した携帯端末とを接続して、車載装置の表示装置を携帯端末のナビゲーション機能の表示出力に用いることにより、携帯端末のナビゲーション機能のユーザインタフェースの視認性を向上する技術も知られている(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-20070号公報
【特許文献2】特開2009-145158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、上述したようなナビゲーション機能を備えた携帯端末を車載装置に接続して利用するときには、携帯端末がナビゲーション用画像を表す映像信号を出力し、車載装置において、携帯端末が出力した映像を当該車載装置が備える表示装置に表示することとなる。
【0006】
また、このとき、携帯端末がナビゲーション用画像を表す映像信号として、ナビゲーション用画像を表すアナログビデオ信号と、ナビゲーション用画像を表すデジタルビデオデータの双方を出力するものであった場合には、車載装置において、アナログビデオ信号が表す映像と、デジタルビデオデータが表す映像のどちらか一方を、当該車載装置が備える表示装置に表示することとなる。
【0007】
ここで、一般的に、携帯端末から出力されるデジタルビデオデータが表す映像は、携帯端末から出力されるアナログビデオ信号が表す映像よりも高解像度である一方で、デジタルビデオデータの伝送や処理は、アナログビデオ信号の伝送や処理よりも車載装置における負荷が大きくなる。
【0008】
そして、このために、車載装置において、アナログビデオ信号が表す映像を表示装置に表示する場合には、高品質のナビゲーション用画像を表示することができず、車載装置において、デジタルビデオデータが表す映像を表示装置に表示する場合には、ナビゲーション用画像の表示に遅延が生じたり、車載装置において行う他の処理に悪影響を及ぼすことがある。
【0009】
そこで、本発明は、ナビゲーション機能を備えた携帯端末を車載装置に接続して利用する際に、必要充分な品質でナビゲーション用画像を表示しつつ、当該ナビゲーション用画像の表示に遅延が生じないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題達成のために、本発明は、地図上で現在位置を表すナビゲーション用画像を生成するナビゲーション機能を備え、前記ナビゲーション機能が生成したナビゲーション用画像を表すアナログビデオ信号と、前記ナビゲーション用画像を前記アナログビデオ信号よりも高解像度で表すデジタルビデオデータとを出力する携帯端末を接続する車載装置に、表示装置と、前記アナログビデオ信号と前記デジタルビデオデータの一方を表示ソースとして選択し、前記表示ソースが表すナビゲーション用画像を前記表示装置に表示する選択手段と、前記選択手段において、前記アナログビデオ信号と前記デジタルビデオデータのいずれを前記表示ソースとして選択するかを、前記ナビゲーション用画像の内容に応じて制御する選択制御手段とを備えたものである。
【0011】
ここで、より具体的には、たとえば、このような車載装置は、前記携帯端末のナビゲーション機能が、設定された目的地までの経路に従って走行する場合に右左折すべき交差点に接近したときに、当該交差点のようすを前記地図よりも拡大して表した交差点拡大画像を含めた前記ナビゲーション用画像を生成するものである場合には、前記選択制御手段において、前記ナビゲーション用画像が前記交差点拡大画像を含む場合に、前記表示ソースとして前記デジタルビデオデータを選択するように前記選択手段を制御するように構成することができる。
【0012】
また、たとえば、このような車載装置は、前記携帯端末のナビゲーション機能が、ユーザの縮尺変更操作に応じて、前記ナビゲーション用画像の地図の縮尺を変更するものである場合には、前記選択制御手段において、前記ナビゲーション用画像の地図の縮尺が所定の縮尺より小さい場合に、前記表示ソースとして前記デジタルビデオデータを選択するように前記選択手段を制御するように構成することができる。
【0013】
なお、このような車載装置は、前記携帯端末のナビゲーション機能は、ユーザのスクロール操作に応じて、前記ナビゲーション用画像の地図をスクロールするスクロール表示処理を行うものである場合には、前記選択制御手段において、前記ナビゲーション用画像の前記スクロール表示処理が行われている期間中、無条件に、前記表示ソースとして前記アナログビデオ信号を選択するように前記選択手段を制御するように構成することも好ましい。
【0014】
このような車載装置によれば、ナビゲーション用画像の内容に応じて、前記アナログビデオ信号と前記デジタルビデオデータのいずれを前記表示ソースとして選択するかを制御するので、前記ナビゲーション用画像の内容が、ユーザが高解像度の表示を必要とする蓋然性の高い内容である場合にのみ、前記デジタルビデオデータが表すナビゲーション用画像を表示して、高解像度の要請に応えつつ、他の場合には、前記アナログビデオ信号が表すナビゲーション用画像を表示することにより、比較的超時間を要する前記デジタルビデオデータからのナビゲーション用画像を生成する処理によって生じる、ナビゲーション用画像の表示の遅延を抑止することができる。
【0015】
また、前記課題達成のために、本発明は、地図上で現在位置を表すナビゲーション用画像を生成するナビゲーション機能を備え、前記ナビゲーション機能が生成したナビゲーション用画像を表すアナログビデオ信号と、前記ナビゲーション用画像を前記アナログビデオ信号よりも高解像度で表すデジタルビデオデータとを出力する携帯端末を接続する車載装置に、表示装置と、前記アナログビデオ信号と前記デジタルビデオデータの一方を表示ソースとして選択し、表示ソースが表すナビゲーション用画像を前記表示装置に表示する選択手段と、前記携帯端末のナビゲーション機能に対するユーザ操作が発生した後、所定の期間、前記表示ソースとして前記デジタルビデオデータを選択するように前記選択手段を制御する選択制御手段とを備えたものである。
【0016】
ここで、前記携帯端末のナビゲーション機能に対するユーザ操作が発生した場合には、その後、操作結果を確認するためなどに、ユーザがナビゲーション用画像の表示内容を正確に把握しようとする蓋然性が高い。よって、このような前記携帯端末のナビゲーション機能に対するユーザ操作が発生した後、所定の期間、より解像度の高い前記デジタルビデオデータが表すナビゲーション用画像を表示する車載装置によれば、ユーザの携帯端末のナビゲーション機能に対する操作後のナビゲーション用画像の表示内容の正確な把握を容易化することができる。
【0017】
また、前記課題達成のために、本発明は、地図上で現在位置を表すナビゲーション用画像を生成するナビゲーション機能を備え、前記ナビゲーション機能が生成したナビゲーション用画像を表すアナログビデオ信号と、前記ナビゲーション用画像を前記アナログビデオ信号よりも高解像度で表すデジタルビデオデータとを出力する携帯端末を接続する車載装置に、オーディオデータが表す音声を出力するオーディオ出力手段と、表示装置と、前記アナログビデオ信号と前記デジタルビデオデータの一方を表示ソースとして選択し、前記表示ソースが表すナビゲーション用画像を前記表示装置に表示する選択手段と、前記オーディオ出力手段が音声を出力している期間中、前記表示ソースとして前記アナログビデオ信号を選択するように前記選択手段を制御する選択制御手段を備えたものである。
【0018】
このような車載装置によれば、デジタルビデオデータが表すナビゲーション用画像を表示するための処理が高負荷な処理である場合に、当該処理のために、前記オーディオ出力手段の音声主力の処理に遅延が生じ、当該音声出力に支障が生じることを抑止することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、ナビゲーション機能を備えた携帯端末を車載装置に接続して利用する際に、必要充分な品質でナビゲーション用画像を表示しつつ、当該ナビゲーション用画像の表示に遅延が生じないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る車載装置と携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る車載装置の表示例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る車載装置における、ナビゲーション用画像表示処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係る車載装置と、車載装置に選択的に接続されて使用される携帯端末の構成を示す。
携帯端末1は、具体的にはユーザによって携帯されるスマートフォンなどであり、図示するように、ユーザに移動電話網を介した電話機能を提供する電話機能部11、ポータブルプレイヤ部12、ナビゲーション機能をユーザに提供するナビゲーション部13、ビデオコーダ14、コンポジット映像信号生成部15、コンポジット映像信号出力インタフェース16、USBデバイスインタフェース17、操作部18、ディスプレイ19、音声出力部20とを備えている。
【0022】
一方、車載装置3は、自動車に搭載される装置であり、図示するように、コンポジット映像信号入力インタフェース31、USBホストインタフェース32、ミュージックプレイヤ部33、音声処理部34、スピーカ35、AD変換部36、ビデオデコーダ37、ビデオセレクタ38、液晶表示装置39、入力装置40、制御部41とを備えている。
【0023】
ここで、携帯端末1のコンポジット映像信号出力インタフェース16と車載装置3のコンポジット映像信号入力インタフェース31とをコンポジットAVケーブルで接続し、携帯端末1のUSBデバイスインタフェース17と車載装置3のUSBホストインタフェース32とをUSBケーブルで接続することにより、携帯端末1は車載装置3に接続される。ここで、このように接続された携帯端末1のコンポジット映像信号出力インタフェース16から車載装置3のコンポジット映像信号入力インタフェース31には、アナログ映像信号であるNTSCなどのコンポジット映像信号を伝送することができる。また、このように接続された携帯端末1のUSBデバイスインタフェース17と車載装置3のUSBホストインタフェース32は、USBの通信プロトコルを用いた相互通信であるUSB通信を行うことができる。
【0024】
さて、このような構成において、携帯端末1の各部は、車載装置3に接続されていない状態では、以下の動作を行う。
すなわち、ポータブルプレイヤ部12は、操作部18の操作に応じて、携帯端末1に記憶されているオーディオファイルを再生し、音声出力部20から出力する。
また、ナビゲーション部13は、ナビゲーション用画像を生成し、ディスプレイ19に表示する。ナビゲーション部13は、通常は、ナビゲーション用画像として、地図上に現在位置や設定した目的地までの経路を表した画像を生成するが、設定されている目的地までの経路に従って右左折すべき交差点に現在位置が接近したときには、当該交差点を通過するまで、上述した画像と共に、当該右左折する交差点と当該交差点の上記経路に従った通過ルートを拡大して表した交差点拡大図を含めた画像をナビゲーション用画像として生成する。また、ナビゲーション部13は、操作部18の操作に応じて、ナビゲーション装置に含める地図の縮尺の変更や、目的地の設定及び目的地までの経路の設定や、ナビゲーション用画像に含める地図に対応する地理的範囲を漸次移動するスクロール表示処理も行う。
【0025】
一方、携帯端末1の各部は、車載装置3に接続されている状態では、以下の動作を行う。
ポータブルプレイヤ部12は、車載装置3の制御部41から上述したUSB通信で通知されるユーザ操作に応じて、携帯端末1に記憶されているオーディオファイルを再生し、再生したオーディオデータをUSBデバイスインタフェース17を介して、車載装置3のUSBホストインタフェース32に送信する。
【0026】
また、車載装置3の制御部41から上述したUSB通信で通知されるユーザ操作に応じて、ナビゲーション部13は、上述したナビゲーション用画像の生成を開始し、生成したナビゲーション用画像をビデオコーダ14とコンポジット映像信号生成部に送り、ビデオコーダ14は、ナビゲーション用画像を表す映像を、MPEGなどの所定の符号化方式で符号化して当該映像を表すデジタルビデオデータであるビデオストリームデータを生成し、USBデバイスインタフェース17を介して、車載装置3のUSBホストインタフェース32に送信し、コンポジット映像信号生成部15は、ナビゲーション用画像を表す映像を表すアナログ映像信号であるNTSCなどのコンポジット映像信号を生成し、コンポジット映像信号出力インタフェース16から車載装置3のコンポジット映像信号入力インタフェース31に出力する。
【0027】
また、ナビゲーション部13は、車載装置3の制御部41から上述したUSB通信を介して通知されるユーザ操作に応じて、ナビゲーション装置に含める地図の縮尺の変更や、目的地の設定及び目的地までの経路の設定や、ナビゲーション用画像に含める地図に対応する地理的範囲を漸次移動するスクロール表示処理を行う。
【0028】
また、ナビゲーション部13は、上述したUSB通信を介して車載装置3の制御部41に、ナビゲーショ装置の状態を通知するための状態通知を送信する。すなわち、ナビゲーション部13は、ナビゲーション用画像に含める地図の縮尺の変更時には当該変更の内容の通知を、ナビゲーション用画像の上述した交差点拡大図を含むナビゲーション用画像への変更時には当該変更の発生の通知を、ナビゲーション用画像の上述した交差点拡大図を含まないナビゲーション用画像への復帰時には当該復帰の発生の通知を、スクロール表示処理の実行の開始/終了時にはスクロール表示の開始/終了の通知を、状態通知として、USB通信を介して車載装置3の制御部41に送信する。
【0029】
次に、車載装置3の各部は、携帯端末1に接続されている状態では、以下の動作を行う。
すなわち、USBホストインタフェース32は、携帯端末1のUSBデバイスインタフェース17から受信したオーディオデータを音声処理部34に送る。また、ミュージックプレイヤ部33は、入力装置40のユーザ操作に応じて行われる制御部41の制御に従って、車載装置3に記憶されているオーディオファイルを再生し、再生したオーディオデータを音声処理部34に送る。音声処理部34は、入力装置40のユーザ操作に応じて行われる制御部41の制御に従って、USBホストインタフェース32やミュージックプレイヤ部33から受け取ったオーディオデータが表す音声をスピーカ35に出力する。
【0030】
また、USBホストインタフェース32は、携帯端末1のUSBデバイスインタフェース17から受信したビデオストリームデータをビデオデコーダ37に送り、ビデオデコーダ37は受け取ったビデオストリームデータをデコードして、液晶表示装置39の入力に適合するビデオデータ(たとえば、RGBビデオデータ)を生成し、ビデオセレクタ38に送る。一方、AD変換部36は、コンポジット映像信号入力インタフェース31に携帯端末1のコンポジット映像信号出力インタフェース16から入力するコンポジット映像信号を復調してデジタル化することにより、液晶表示装置39の入力に適合するビデオデータ(たとえば、RGBビデオデータ)を生成し、ビデオセレクタ38に送る。
【0031】
ビデオセレクタ38は、制御部41によってコンポジット映像信号がソース映像として設定されているときには、AD変換部36から受け取ったビデオデータを液晶表示装置39に出力して当該ビデオデータが表す映像を液晶表示装置39に表示し、制御部41によってビデオストリームデータがソース映像として設定されているときには、ビデオデコーダ37から受け取ったビデオデータを液晶表示装置39に出力して当該ビデオデータが表す映像を液晶表示装置39に表示する。
【0032】
ここで、図2aは、コンポジット映像信号がソース映像として設定されているときに液晶表示装置39に表示される、コンポジット映像信号から生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像を表したものであり、図2bは、ビデオストリームデータがソース映像として設定されているときに液晶表示装置39に表示される、ビデオストリームデータから生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像を表したものである。図示するように、ナビゲーション用画像には、地図201と、地図201上で現在位置を表す現在位置マーク202などが含まれる。
【0033】
また、図示するように、ビデオストリームデータから生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像とコンポジット映像信号から生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像の表示内容は同じであるが、ビデオストリームデータから生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像の方が、コンポジット映像信号から生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像よりも高解像度に表示内容を表すものとなっている。
【0034】
また、制御部41は、入力装置40で受け付けたユーザ操作を、USBホストインタフェース32を介して、上述したUSB通信により、携帯端末1の各部に送信する処理なども行う。
さて、このような構成において、制御部41は、携帯端末1のナビゲーション部13が生成したナビゲーション用画像の液晶表示装置39への表示のために、以下に示すナビゲーション用画像表示処理を開始する。
【0035】
図3に示すように、このナビゲーション用画像表示処理では、まず、コンポジット映像信号をソース映像として設定し(ステップ302)、コンポジット映像信号から生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像を液晶表示装置39に表示させ、ステップ304に進む。
【0036】
そして、ステップ304に進んだならば、ナビゲーション用画像のスクロール表示中の発生と(ステップ304)、交差点拡大図の表示中の発生と(ステップ306)、広域地図表示中の発生と(ステップ308)、入力装置40における携帯端末1のナビゲーション部13に対するユーザ操作の発生(ステップ310)を調べる。
【0037】
ここで、ナビゲーション用画像のスクロール表示中や、交差点拡大図の表示中や、広域地図表示中の有無は、携帯端末1のナビゲーション部13からの上述した状態通知に基づいて検出する。なお、広域地図表示中は、携帯端末1のナビゲーション部13からの状態通知で通知された地図縮尺より求まる現在のナビゲーション用画像の地図201の地図縮尺が所定の地図縮尺よりも小さい場合に広域地図表示中であると判定することにより検出する。また、ナビゲーション用画像のスクロール表示中は、入力装置40において、ユーザからスクロール操作を受け付けているときに、スクロール表示中であると判定することにより検出するようにしてもよい。
【0038】
そして、ナビゲーション用画像のスクロール表示中の発生と(ステップ304)、交差点拡大図の表示中の発生と(ステップ306)、広域地図表示中の発生と(ステップ308)、入力装置40における携帯端末1のナビゲーション部13に対するユーザ操作の発生と(ステップ310)の、いずれも発生していない場合には、ソース映像として、コンポジット映像信号をソース映像として設定し(ステップ312)、ステップ304に進む。
【0039】
一方、ナビゲーション用画像のスクロール表示中が発生した場合には(ステップ304)、ソース映像として、コンポジット映像信号をソース映像として設定し(ステップ312)、ステップ304に進む。
また、交差点拡大図の表示中の発生と(ステップ306)、広域地図表示中の発生と(ステップ308)のうちのいずれかが発生した場合には、ビデオストリームデータをソース映像として設定し(ステップ314)、ビデオストリームデータから生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像を液晶表示装置39に表示させ、ステップ304に進む。
【0040】
次に、携帯端末1のナビゲーション部13に対するユーザ操作が発生した場合には(ステップ310)、ビデオストリームデータをソース映像として設定し(ステップ316)、ビデオストリームデータから生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像を液晶表示装置39に表示させる。そして、所定期間(たとえば、5秒)の経過を待ち(ステップ318)、ステップ304に進む。
【0041】
以上、ナビゲーション用画像表示処理について説明した。
なお、以上のナビゲーション用画像表示処理においては、ステップ312の実行時に、コンポジット映像信号がソース映像として既に設定されている場合には、ステップ312においてコンポジット映像信号をソース映像として設定する処理は行わないようにしてもよい。また、同様に、ステップ314または316の実行時に、ソース映像として、ビデオストリームデータがソース映像として既に設定されている場合には、これらのステップにおいてビデオストリームデータをソース映像として設定する処理は行わないようにしてもよい。
【0042】
さて、このようなナビゲーション用画像表示処理によれば、スクロール表示中は無条件にコンポジット映像信号から生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像を表示する。図2cは、このようにしてスクロール表示中に表示されるナビゲーション用画像を示したものであり、図示するように、スクロール表示中に表示されるナビゲーション用画像は、比較的解像度の低い地図201を表したものとなり、ユーザのスクロール操作に応じて、このナビゲーション用画像の地図201がスクロールしていくものとなる。なお、図示した例は、スクロール表示中には、ナビゲーション用画像の中心に選択受付可能地点を示すカーソル203を配置するようにした場合のものである。
【0043】
ここで、このようにスクロール表示中は無条件にコンポジット映像信号から生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像を表示するのは、ナビゲーション用画像に含まれる地図201が連続的に変化するスクロール表示中は、ビデオストリームデータから成したビデオデータが表すナビゲーション用画像を表示する場合におけるナビゲーション用画像の表示の遅延による不具合がより大きく顕現化する一方で、スクロール表示中にはユーザがナビゲーション用画像に含まれる地図201の細部を知得しようとすることはないために、コンポジット映像信号から生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像の解像度で、ユーザの用途に充分に応えられると考えられるからである。
【0044】
そして、スクロール表示を行っていない期間中は、交差点拡大図の表示中であるか広域地図表示中であるかナビゲーション部13に対するユーザ操作が行われてから所定期間経過するまでの期間中である場合にのみ、ビデオストリームデータから生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像を表示し、他の場合には、コンポジット映像信号から生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像を表示する。
【0045】
ここで、このようにするのは、以下の理由によるものである。
すなわち、交差点拡大図の表示中は、ユーザがナビゲーション用画像の交差点拡大図を速やかかつ詳細に把握しようとする可能性が高いため、ビデオストリームデータから生成したビデオデータが表す高解像度で、より視認性に優れたナビゲーション用画像を表示するようにしたものである。
【0046】
また、広域地図表示中である場合には、表示される地図の広域化に伴い地図201の表示内容が煩雑化し、高解像度なナビゲーション用画像でないと内容の判別が困難となる可能性があるため、ビデオストリームデータから生成したビデオデータが表す高解像度なナビゲーション用画像を表示するようにしたものである。
【0047】
ここで、図3dは、交差点拡大図の表示中に表示されるナビゲーション用画像を表したものであり、このナビゲーション用画像は、交差点拡大図の表示を行っていないときに、ナビゲーション用画像として表示される、地図201に現在位置マーク202やルート204を表した画像210と、自動車が接近している交差点と当該交差点の通過ルートを拡大して表した交差点拡大図220とを高解像度で表示したものとなっている。また、図3eは、広域地図表示中のナビゲーション用画像を表したものであり、このナビゲーション用画像は、高解像度に、広域の地図201に現在位置マーク202等で表したものとなっている。
【0048】
また、ナビゲーション部13に対する何らかのユーザ操作が行われてから所定期間経過するまでの期間は、その後、操作結果を確認するためなどに、ユーザがナビゲーション用画像の表示内容を正確に把握しようとする蓋然性が高い。よって、このようにビゲーション部に対する何らかのユーザ操作が行われてから所定期間経過するまでの期間中、ビデオストリームデータから生成したビデオデータが表す高解像度で、より視認性に優れたナビゲーション用画像を表示することにより、ユーザの、携帯端末1のナビゲーション部13に対する操作後のナビゲーション用画像の表示内容の正確な把握を容易化することができる。
【0049】
そして、他の場合には、コンポジット映像信号から生成したビデオデータが表す比較的低解像度のナビゲーション用画像で、ユーザの用途に充分に応えられると考えられるため、コンポジット映像信号から生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像を表示することにより、ナビゲーション用画像の表示の遅延を抑制するようにしたものである。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明した。
なお、以上の実施形態は、コンポジット映像信号がソース映像として設定されている期間中は、ビデオデコーダ37におけるビデオストリームデータのデコード及びビデオデータ生成の処理を停止するようにしてもよい。また、同様に、ビデオストリームデータがソース映像として設定されている期間中は、AD変換部36におけるコンポジット映像信号からのビデオデータ生成の処理を停止するようにしてもよい。
ところで、以上の実施形態におけるナビゲーション用画像表示処理では、音声処理部34において、USBホストインタフェース32やミュージックプレイヤ部33から受け取ったオーディオデータが表す音声をスピーカ35に出力しているときには、無条件に、ビデオデコーダ37におけるビデオストリームデータのデコード及びビデオデータ生成の処理を停止すると共に、コンポジット映像信号をソース映像として設定し、コンポジット映像信号から生成したビデオデータが表すナビゲーション用画像を液晶表示装置39に表示させるようにしてもよい。このようにすることにより、たとえば、音声処理部34とビデオデコーダ37を一つのDSPやCPUを用いて構成するといったように、ミュージックプレイヤ部33や音声処理部34の処理とビデオデコーダ37の処理に同じリソースを共用する場合に、ビデオデコーダ37における処理のために、音声処理部34における処理に遅延等が生じて、スピーカ35から出力する音声に音切れ等が生じることを抑止することができる。
【符号の説明】
【0051】
1…携帯端末、3…車載装置、11…電話機能部、12…ポータブルプレイヤ部、13…ナビゲーション部、14…ビデオコーダ、15…コンポジット映像信号生成部、16…コンポジット映像信号出力インタフェース、17…USBデバイスインタフェース、18…操作部、19…ディスプレイ、20…音声出力部、31…コンポジット映像信号入力インタフェース、32…USBホストインタフェース、33…ミュージックプレイヤ部、34…音声処理部、35…スピーカ、36…AD変換部、37…ビデオデコーダ、38…ビデオセレクタ、39…液晶表示装置、40…入力装置、41…制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図上で現在位置を表すナビゲーション用画像を生成するナビゲーション機能を備え、前記ナビゲーション機能が生成したナビゲーション用画像を表すアナログビデオ信号と、前記ナビゲーション用画像を前記アナログビデオ信号よりも高解像度で表すデジタルビデオデータとを出力する携帯端末を接続する車載装置であって、
表示装置と、
前記アナログビデオ信号と前記デジタルビデオデータの一方を表示ソースとして選択し、前記表示ソースが表すナビゲーション用画像を前記表示装置に表示する選択手段と、
前記選択手段において、前記アナログビデオ信号と前記デジタルビデオデータのいずれを前記表示ソースとして選択するかを、前記ナビゲーション用画像の内容に応じて制御する選択制御手段とを有することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載装置であって、
前記携帯端末のナビゲーション機能は、設定された目的地までの経路に従って走行する場合に右左折すべき交差点に接近したときに、当該交差点のようすを前記地図よりも拡大して表した交差点拡大画像を含めた前記ナビゲーション用画像を生成し、
前記選択制御手段は、前記ナビゲーション用画像が前記交差点拡大画像を含む場合に、前記表示ソースとして前記デジタルビデオデータを選択するように前記選択手段を制御することを特徴とする車載装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の車載装置であって、
前記携帯端末のナビゲーション機能は、ユーザの縮尺変更操作に応じて、前記ナビゲーション用画像の地図の縮尺を変更し、
前記選択制御手段は、前記ナビゲーション用画像の地図の縮尺が所定の縮尺より小さい場合に、前記表示ソースとして前記デジタルビデオデータを選択するように前記選択手段を制御することを特徴とする車載装置。
【請求項4】
請求項1、2または3記載の車載装置であって、
前記携帯端末のナビゲーション機能は、ユーザのスクロール操作に応じて、前記ナビゲーション用画像の地図をスクロールするスクロール表示処理を行い、
前記選択制御手段は、前記ナビゲーション用画像の前記スクロール表示処理が行われている期間中、無条件に、前記表示ソースとして前記アナログビデオ信号を選択するように前記選択手段を制御することを特徴とする車載装置。
【請求項5】
地図上で現在位置を表すナビゲーション用画像を生成するナビゲーション機能を備え、前記ナビゲーション機能が生成したナビゲーション用画像を表すアナログビデオ信号と、前記ナビゲーション用画像を前記アナログビデオ信号よりも高解像度で表すデジタルビデオデータとを出力する携帯端末を接続する車載装置であって、
表示装置と、
前記アナログビデオ信号と前記デジタルビデオデータの一方を表示ソースとして選択し、前記表示ソースが表すナビゲーション用画像を前記表示装置に表示する選択手段と、
前記携帯端末のナビゲーション機能に対するユーザ操作が発生した後、所定の期間、前記表示ソースとして前記デジタルビデオデータを選択するように前記選択手段を制御する選択制御手段とを有することを特徴とする車載装置。
【請求項6】
地図上で現在位置を表すナビゲーション用画像を生成するナビゲーション機能を備え、前記ナビゲーション機能が生成したナビゲーション用画像を表すアナログビデオ信号と、前記ナビゲーション用画像を前記アナログビデオ信号よりも高解像度で表すデジタルビデオデータとを出力する携帯端末を接続する車載装置であって、
オーディオデータが表す音声を出力するオーディオ出力手段と、
表示装置と、
前記アナログビデオ信号と前記デジタルビデオデータの一方を表示ソースとして選択し、前記表示ソースが表すナビゲーション用画像を前記表示装置に表示する選択手段と、
前記オーディオ出力手段が音声を出力している期間中、前記表示ソースとして前記アナログビデオ信号を選択するように前記選択手段を制御する選択制御手段とを有することを特徴とする車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−78316(P2012−78316A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226449(P2010−226449)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】