説明

車載電子機器

【課題】見栄えが良く、かつ、携帯電子機器を置き忘れても盗まれにくい、携帯電子機器と接続可能な車載電子機器を提供する。
【解決手段】車載電子機器1は、車両に作り付けられた筐体10と、筐体10の内部に収容される携帯電子機器との接続部であって筐体10の内部に設けられた接続部26と、筐体10の蓋部12に設けられ、接続部26を介して接続された携帯電子機器を操作するための操作部と、操作部と接続されると共に、筐体10を構成する壁部内に形成された空間に収容された回路基板とを備え、筐体10の蓋部12は、操作部よりパスワードを入力することにより開けることができる構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に作り付けられた車載電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯端末と接続して、車載電子機器の操作パネルから携帯端末を操作したり、携帯端末に蓄積された音楽データ等を車載電子機器から出力したりすることができる車載電子機器が知られていた。
【0003】
特許文献1は、市販のカーオーディオ装置を設置することなく、車両内で楽曲を聞くことができる車載用オーディオ装置を開示している。特許文献1に記載された車載用オーディオ装置は、携帯端末を収容する端末収容部を有している。端末収容部に携帯端末を収容すると、車載用オーディオ装置は、収容された携帯端末から音楽データを読み出してスピーカーから出力することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−149165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した車載用オーディオ装置では、携帯端末の表示部を拡大するレンズを有しており、携帯端末の表示画面に映し出された曲名やアーティスト名等をレンズを介して拡大表示する構成となっている。すなわち、携帯端末を車載用オーディオ装置に接続していることが露わであり、見栄えが良くない。このようなレンズを有しないタイプの車載電子機器の場合にも、車載電子機器と携帯端末とをケーブル等で接続するのは、見栄えが悪く、また、運転の妨げになりかねない。
【0006】
また、上記した車載用オーディオ装置では、端末収容部に携帯端末を入れたままにして車両から離れた場合、携帯端末を盗まれる危険がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記背景に鑑み、携帯電子機器を使用していることが分かりづらく、かつ、携帯電子機器を置き忘れても盗まれにくい、車載電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車載電子機器は、車両に作り付けられた筐体と、前記筐体の内部に収容される携帯電子機器との接続部であって前記筐体の内部に設けられた接続部と、前記筐体の蓋部に設けられ、前記接続部を介して接続された前記携帯電子機器を操作するための操作部と、前記操作部と接続されると共に、前記筐体を構成する壁部内に形成された空間に収容された回路基板とを備え、前記筐体の蓋部は、前記操作部よりパスワードを入力することにより開けることができる構成を有する。
【0009】
このように筐体が車両に組み付けられており、操作部の後ろ側にある筐体の中に携帯電子機器を収容することができ、乗員からは携帯電子機器が見えないので、見栄えが良い。特に、車載電子機器に複数の携帯電子機器を接続する場合には、携帯電子機器がごたごたしがちであるが、本発明によれば、複数の携帯電子機器を筐体内に収容してしまえる。また、筐体の蓋部は、パスワードを入力しなければ開かない構成を採用しているので、携帯電子機器を筐体内に入れたまま車両を離れても、携帯電子機器を盗まれるおそれが少ない。
【0010】
また、前記筐体は、前記筐体内部に設けられた固定手段によって車両に固定された構成を有する。
【0011】
この構成により筐体の蓋部を開けない限り、筐体を車両に固定している固定手段に触れることができないので、筐体ごと、携帯電子機器を盗まれるおそれも少ない。
【0012】
また、前記筐体は、その蓋部がインストルメントパネルの表面と略面一になるように、車両のインストルメントパネルに組み付けられるものであってもよい。
【0013】
この構成により、蓋部に設けられた操作部がインストルメントパネルの一部となるので、いっそう見栄えが良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、見栄え良くかつ携帯電子機器を盗まれるおそれの少ない車載電子機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施の形態の車載電子機器の構成を示す模式図
【図2】実施の形態の車載電子機器の外観を示す図
【図3】タッチデバイスに表示されるメニューの一例を示す図
【図4】実施の形態の車載電子機器の分解図
【図5】車載電子機器が車両に組み込まれる態様を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態の車載電子機器について図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、本実施の形態の車載電子機器1の構成を示す模式図である。図1は、の表示パネル開放時の状態を示し、図2は表示パネル閉鎖時の状態を示している。図1に示すように、車載電子機器1は、内部に携帯電子機器P等を収容することができる筐体10を有している。筐体10は、底面に対して回転可能に取り付けられた蓋部12を有している。蓋部12は、ヒンジ14によって筐体10に取り付けられている。また、筐体10の蓋部12には、操作ボタン16とタッチデバイス18を有する操作部20が設けられている(図2参照)。なお、車載電子機器1は、内部に携帯電子機器Pを収容しない状態でも、車載電子機器1自体が有している機能を実現することが可能である。
【0017】
図3は、タッチデバイス18に表示されるメニューの一例を示す図である。タッチデバイス18には、例えば、数字キーが表示され、表示された数字キーにタッチすることにより、数字を入力することが可能である。図3では、数字キーを表示した例を示しているが、ひらがなの入力キーを表示してもよい。また、音楽を再生中には、再生中の楽曲名や、アルバムタイトル等を表示することも可能である。
【0018】
図1に示すように、車載電子機器1は、蓋部12に設けられたロック22と、このロック22と噛み合うロック固定部24とを有しており、筐体10の蓋部12を閉鎖することが可能である。また、車載電子機器1は、蓋部12の内側面に、携帯電子機器Pを接続するための接続部26を有している。これにより、携帯電子機器Pを筐体10内部に収容した状態で使用することが可能となる。なお、図1に示す例では、接続部26を2つ示しているが、接続部26の数は2つに限らず、1つあるいは3つ以上であってもよい。
【0019】
また、車載電子機器1は、車載電子機器1を車両に組み付けるためのネジ締結部28を、筐体10の内部に有している。筐体10の内部から外部に向かってネジを通し、締結することにより、車載電子機器1を車両に固定する。
【0020】
図4は、本実施の形態の車載電子機器1の分解図である。図4に示すように、車載電子機器1の底面において、筐体10の底面内壁とシャーシ30との間に空間Sが形成され、その空間Sに回路基板32が搭載されている。この回路基板32は、フレキシブル基板34により操作部20と接続されている。なお、本実施の形態では、底面に回路基板32を搭載しているが、回路基板32は、筐体10の側面や天面に搭載してもよい。
【0021】
図5は、本実施の形態の車載電子機器1が組み付けられる態様を示す図である。図5に示すように、車載電子機器1は、その蓋部12がインストルメントパネルの表面と略面一になるように、インストルメントパネルに組み付けられる。
【0022】
以上のように構成された車載電子機器1の動作を説明する。オーディオやナビゲーションといった機能は、図2に示すように蓋部12を閉じた状態にて、操作ボタン16あるいはタッチデバイス18を用いて操作される。ここで図3に示すようなメニュー画面において、操作ボタン16あるいはタッチデバイス18により、予め設定されたパスワードが入力されると、図2におけるロック22とロック固定部24の電子式ロックが解除され、ヒンジ14を軸として蓋部12が回動して開く。なお、オーディオやナビゲーションの操作を行う際には、パスワードの入力は必要ない。これにより、通常の操作に対する操作性を損なわない構成としている。
【0023】
本実施の形態の車載電子機器1は、筐体10の内部に携帯電子機器Pを収納し、操作部20によって携帯電子機器Pを操作することができるので、携帯電子機器Pを隠した状態で携帯電子機器Pの機能を利用することができ、見栄えがよい。また、携帯電子機器Pは筐体10内に収納されているので、運転中に車両が揺れた場合にも、携帯電子機器Pと車載電子機器1との接続を確実なものにしておくことができる。
【0024】
また、車載電子機器1は、パスワードによって蓋部12がロックされているので、車両に携帯電子機器Pを置き忘れた場合に、携帯電子機器Pを盗まれる心配がない。また、従来の車両用のナビやオーディオは、インストルメントパネルを取り外すとネジ締結部が露出してしまうため、ナビやオーディオ自体を盗まれるおそれがあったが、本実施の形態では、車載電子機器1は筐体10の内部にあるネジ締結部28によりネジ留めされているので、車載電子機器1自体も盗まれる心配がない。
【0025】
また、車載電子機器1は、筐体10の内部に貴重品を収容することも可能であり、セキュリティボックスとしても用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、見栄え良くかつ携帯電子機器を盗まれるおそれの少ない車載電子機器を実現でき、携帯電子機器と接続可能な車載電子機器等として有用である。
【符号の説明】
【0027】
1 車載電子機器
10 筐体
12 蓋部
14 ヒンジ
16 操作ボタン
18 タッチデバイス
20 操作部
22 ロック
24 ロック固定部
26 接続部
28 ネジ締結部
30 シャーシ
32 回路基板
34 フレキシブル基板
P 携帯電子機器
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に作り付けられた筐体と、
前記筐体の内部に収容される携帯電子機器との接続部であって前記筐体の内部に設けられた接続部と、
前記筐体の蓋部に設けられ、前記接続部を介して接続された前記携帯電子機器を操作するための操作部と、
前記操作部と接続されると共に、前記筐体を構成する壁部内に形成された空間に収容された回路基板と、
を備え、
前記筐体の蓋部は、前記操作部よりパスワードを入力することにより開けることができる車載電子機器。
【請求項2】
前記筐体は、前記筐体内部に設けられた固定手段によって車両に固定されている請求項1に記載の車載電子機器。
【請求項3】
前記筐体は、その蓋部がインストルメントパネルの表面と略面一になるように、車両のインストルメントパネルに組み付けられる請求項1または2に記載の車載電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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