説明

車載音響機器のローディング機構

【課題】ディスクが2枚挿入されても、一方のディスクを挿入し、他方のディスクを排出できる構造を有した車載音響機器のローディング機構を提供する。
【解決手段】第1ローラ11の軸端に第1ローラギア15を備えると共に、第2ローラ13の軸端に第2ローラギア19を備え、第2ローラギアと、該ギアに噛み合うアイドラギア25とを、アイドラプレート17に支持し、アイドラプレート17を支点周りに揺動自在とし、アイドラプレート17が揺動変位しても、第2ローラギアに常時噛み合い、該ギアに駆動力を入力する入力ギア27を備え、ディスク2が2枚挿入されると、アイドラプレート17が支点周りを揺動変位し、アイドラギア25と第1ローラギア15とが噛み合い、入力ギア27からの入力で、第2ローラ13に接触するディスクを挿入方向に送り、第1ローラ11に接触するディスクを排出方向に送る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVD等のディスクをローディングする車載音響機器のローディング機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車載用のCD/DVDプレイヤー等において、ディスクのローディング/イジェクトは、ディスクをローディングローラ間に挟み込んで筐体内に搬送するものが主流となっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−140849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の構成では、上下の一方にしか駆動ローラが存在しないため、ユーザが、ディスクを2枚重ねて挿入した場合には、駆動ローラと接触したディスクのみが強制的に送り込まれ、或いは排出されていた。
【0005】
このとき、ローラと接触しないディスクは、ディスクの状態や、固定ガイドとの間の摩擦力に影響を受け、挿入方向、排出方向のいずれに動くか特定できなかった。そのため、2枚ともチャッキング状態になり排出されるか、ローラと接触しないディスクと固定ガイドとの間の摩擦力が大きくなって、ディスクを排出できなくなる等の問題があった。結局、2枚挿入されたディスクは、演奏状態にならず、2枚とも排出されるか、或いは自力で排出できずエラー状態となっていた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、ディスクが2枚挿入されても、一方のディスクを挿入し、他方のディスクを排出できる構造を有した車載音響機器のローディング機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1ローラ及び第2ローラを有し、これらローラの協働により、ディスクをローディングする車載音響機器のローディング機構において、第1ローラの軸端に第1ローラギアを備えると共に、第2ローラの軸端に第2ローラギアを備え、第2ローラギアと、該ギアに噛み合うアイドラギアとを、アイドラプレートに支持し、アイドラプレートを支点周りに揺動自在とし、アイドラプレートが揺動変位しても、第2ローラギアに常時噛み合い、該ギアに駆動力を入力する入力ギアを備え、ディスクが2枚挿入されると、アイドラプレートが支点周りを揺動変位し、アイドラギアと第1ローラギアとが噛み合い、入力ギアからの入力で、第2ローラに接触するディスクを挿入方向に送り、第1ローラに接触するディスクを排出方向に送ることを特徴とする。
【0008】
この場合、前記第2ローラがローディングローラであり、前記ローディングローラがディスクの下面に当接し、前記ディスクの上面に前記第1ローラが当接してもよい。
また、ディスクが第2ローラに衝突した場合、アイドラプレートが揺動し、ディスクの1枚挿入時には、アイドラギアと第1ローラが離間し、ディスクの2枚挿入時には、アイドラギアと第1ローラが噛み合う構成としてもよい。
【0009】
これらの発明によれば、仮に、ディスクの2枚挿入があっても、ローラの駆動力が、それぞれのディスクに確実に付与されるため、ディスクの状態や、固定ガイドとの間の摩擦力に影響を受けることがなく、一枚は、確実にローディングされると共に、他の一枚は、確実に排出できる。そのために、2枚ともチャッキング状態になって排出され、或いはローラと接触しないディスクと固定ガイドとの間の摩擦力が大きくなって、ディスクを排出できなくなる、等のトラブルが抑制される。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、2枚挿入があっても、ローラの駆動力が各ディスクに確実に付与されるため、ディスクの状態や、固定ガイドとの間の摩擦力に影響を受けることがなく、一枚は、確実にローディングされ、他の一枚は、確実に排出される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】Aは、一実施の形態を示す車載音響機器の平面図、Bは、端面図である。
【図2】ディスク1枚挿入時の動作を説明する図である。
【図3】ディスク2枚挿入時の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づき説明する。
図1Aは、CD/DVDプレイヤー等の車載音響機器を示す平面図、図1Bは、同車載音響機器の一部側面図である。1は筐体を示し、筐体1には、CD/DVD等の記録媒体(ディスク)2を、筐体1内にローディングするローディング機構3と、このローディング機構3によりローディングされるディスク2を、チャッキングして演奏するクランプ機構5とが設けられている。ローディング機構3は、一対の側板7と、両側板7の上部間を連結する連結板9とを備え、一対の側板7が、筐体1に取り付けられている。各板7,9は、門型に連結され、下方領域をディスク2が通過する。
【0013】
一対の側板7間には、ローディング時に、ディスク2を協働して挟み込む、上部ローラ(第1ローラ)11と下部ローラ(第2ローラ)13とが掛け渡されている。上部ローラ11は、連結板9に設けた、幅方向に延びる開口9Aから、その上縁部が突出するように掛け渡され、上部ローラ11の支持軸11Aは、一対の側板7に回転自在に支持されている。支持軸11Aの端部は、一方の側板7Aを貫通して、図1Bに示すように、その軸端には上部ローラギア(第1ローラギア)15が連結されている。
【0014】
図2は、ローディング機構3の端面図である。
下部ローラ13はローディングローラであり、その支持軸13Aは、アイドラプレート17の一端に回転自在に支持されると共に、一方の側板7Aを貫通し、その軸端には、下部ローラギア(第2ローラギア)19が連結されている。アイドラプレート17は、枢支ピン21を介して、一方の側板7Aの内側に枢支されると共に、図示を省略したばねにより、枢支ピン21を支点にして反時計方向に付勢されている。
【0015】
アイドラプレート17の他端には、側板7Aを貫通する軸23が固定され、軸23の端部には、下部ローラギア19に常時噛み合う、アイドラギア25が取り付けられている。また下部ローラギア19には、入力ギア27が噛み合い、入力ギア27は、軸29を介して、一方の側板7Aに回転自在に支持されている。入力ギア27には、図示を省略した連結機構により、駆動モータが連結されている。一方の側板7Aには、下部ローラ13の支持軸13A、及びアイドラギア25の軸23を収容し、これら軸を上下動自在に図示を省略した長孔が設けられている。
【0016】
つぎに、ローディング機構3の動作を説明する。
図2は、ディスク2が1枚挿入された状態を示している。この状態では、ディスク2の先端が、まず下部ローラ13に当たり、ディスク2を1枚通す隙間を形成すべく、下部ローラ13を押し退ける。すなわち、アイドラプレート17が、ばね(不図示)のばね力に抗し、枢支ピン21周りを時計方向に回動し、上部ローラ11と下部ローラ13の間に、ディスク2を1枚通す隙間が形成される。
【0017】
この場合、入力ギア27(回転方向A)、下部ローラギア19(回転方向B)、及びアイドラギア25(回転方向C)間にギア輪列が確立されて、上部ローラギア15はフリーとなる。ディスク2は、上部ローラ11と下部ローラ13の間に挟まれ、下部ローラ13の駆動力で、上部ローラ11を空転させながら、下部ローラギア19の回転方向(挿入方向)にローディングされる。
【0018】
図3は、ディスク2が2枚挿入された状態を示している。この状態では、ディスク2の先端が、まず下部ローラ13に当たり、ディスク2を2枚通す隙間を形成すべく、下部ローラ13を大きく押し退ける。
すなわち、ディスク2の厚みをトリガに、アイドラプレート17が、上記ばね力に抗し、枢支ピン21周りを時計方向に回動し、上部ローラ11と下部ローラ13間に、ディスク2を2枚通す隙間が形成される。
【0019】
この場合には、アイドラプレート17の揺動により、アイドラギア25が上方に変位して、上部ローラギア15に噛み合う。下部ローラギア19は、アイドラプレート17の揺動により下方に変位するが、この位置に変位しても、下部ローラギア19は入力ギア27と常時噛み合う形態を取っている。
【0020】
ディスク2が2枚挿入された場合には、入力ギア27(回転方向A)、下部ローラギア19(回転方向B)、アイドラギア25(回転方向C)、及び上部ローラギア15(回転方向D)間にギア輪列が確立される。
ディスク2は、2枚一緒に、上部ローラ11と下部ローラ13間に挟まれるが、このとき、上部ローラ11に当接する上のディスク2は、上部ローラギア19の回転方向(排出方向)に排出され、下部ローラ13に当接する下のディスク2は、下部ローラギア19の回転方向(挿入方向)にローディングされる。
【0021】
ディスク2の2枚挿入は、2枚がぴったりと重なった場合、上ディスクが前、下ディスクが後ろで重なった場合、上ディスクが後ろ、下ディスクが前で重なった場合の3通りが考えられるが、いずれの状態であっても、2枚重ね部がローラに達した場合に、一方を挿入、他方を確実に排出できる。
【0022】
すなわち、本実施の形態では、仮に、ディスクの2枚挿入があっても、ローラの駆動力が、それぞれのディスク2に確実に付与されるため、ディスク2の状態や、固定ガイドとの間の摩擦力に影響を受けることがなく、一枚は、確実にローディングされると共に、他の一枚は、確実に排出できる。
そのため、2枚ともチャッキング状態になって排出され、或いは、ローラと接触しないディスク2と固定ガイドとの間の摩擦力が大きくなって、ディスク2を排出できなくなる等を、ほぼ確実に解消できる。
【符号の説明】
【0023】
1 筐体
2 記録媒体(ディスク)
3 ローディング機構
5 クランプ機構
11 上部ローラ(第1ローラ)
13 下部ローラ(第2ローラ)
15 上部ローラギア(第1ローラギア)
17 アイドラプレート
19 下部ローラギア(第2ローラギア)
25 アイドラギア
27 入力ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ローラ及び第2ローラを有し、これらローラの協働により、ディスクをローディングする車載音響機器のローディング機構において、
第1ローラの軸端に第1ローラギアを備えると共に、第2ローラの軸端に第2ローラギアを備え、第2ローラギアと、該ギアに噛み合うアイドラギアとを、アイドラプレートに支持し、アイドラプレートを支点周りに揺動自在とし、アイドラプレートが揺動変位しても、第2ローラギアに常時噛み合い、該ギアに駆動力を入力する入力ギアを備え、ディスクが2枚挿入されると、アイドラプレートが支点周りを揺動変位し、アイドラギアと第1ローラギアとが噛み合い、入力ギアからの入力で、第2ローラに接触するディスクを挿入方向に送り、第1ローラに接触するディスクを排出方向に送ることを特徴とする車載音響機器のローディング機構。
【請求項2】
前記第2ローラがローディングローラであり、前記ローディングローラがディスクの下面に当接し、前記ディスクの上面に前記第1ローラが当接することを特徴とする請求項1に記載の車載音響機器のローディング機構。
【請求項3】
前記ディスクが第2ローラに衝突した場合、前記アイドラプレートが揺動変位し、ディスクの1枚挿入時には、前記アイドラギアと第1ローラが離間し、ディスクの2枚挿入時には、前記アイドラギアと第1ローラが噛み合うことを特徴とする請求項1又は2に記載の車載音響機器のローディング機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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