説明

車輌用灯具

【課題】 レンズ部とリフレクター部の間の位置精度の向上等を図る。
【解決手段】 ランプハウジング2とアウターカバー3によって形成された灯具外筐4の内部に光源7と光学体9を配置し、光学体に光源から出射された光を反射するリフレクター部11と光を透過して出光しインナーレンズとして機能するレンズ部10とを設け、レンズ部とリフレクター部を一体に形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用灯具に関する。詳しくは、レンズ部とリフレクター部が一体に形成された光学体を設けてレンズ部とリフレクター部の間の位置精度の向上等を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用灯具には、例えば、アウターカバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に、光源やインナーレンズが配置されたタイプがある。
【0003】
このような構成とされた車輌用灯具には、ランプハウジングの内面が光源から出射された光を反射するリフレクター部として形成され、該レンズ部で反射された光がインナーレンズを介してアウターカバーから外部へ出射されるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−123027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された従来の車輌用灯具にあっては、内面がリフレクター部として形成されたランプハウジングに該ランプハウジングとは別部材のインナーレンズ(レンズ部)が取り付けられて配置されているため、レンズ部とリフレクター部との位置精度がインナーレンズのランプハウジングに対する取付精度に依存する。
【0006】
従って、インナーレンズのランプハウジングに対する取付精度が低い場合には、レンズ部とリフレクター部の間の位置精度が低下し、光源から出射された光に関して所望の配光パターンが得られなくなるおそれがある。
【0007】
また、リフレクター部を有するランプハウジングとインナーレンズが別部材であるため、その分、部品点数が多く、車輌用灯具の各部品に関する組付作業の複雑化や製造コストの高騰を来たすおそれもある。
【0008】
そこで、本発明車輌用灯具は、上記した問題点を克服し、レンズ部とリフレクター部の間の位置精度の向上等を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
車輌用灯具は、上記した課題を解決するために、ランプハウジングとアウターカバーによって形成された灯具外筐の内部に光源と光学体が配置された車輌用灯具において、前記光学体は前記光源から出射された光を反射するリフレクター部と光を透過して出光しインナーレンズとして機能するレンズ部とを有し、前記レンズ部と前記リフレクター部を一体に形成したものである。
【0010】
従って、車輌用灯具にあっては、リフレクター部で反射された光がレンズ部と一体に形成されたレンズ部を透過して出射される。
【発明の効果】
【0011】
本発明車輌用灯具は、ランプハウジングとアウターカバーによって形成された灯具外筐の内部に光源と光学体が配置された車輌用灯具であって、前記光学体は前記光源から出射された光を反射するリフレクター部と光を透過して出光しインナーレンズとして機能するレンズ部とを有し、前記レンズ部と前記リフレクター部を一体に形成したことを特徴とする。
【0012】
従って、レンズ部とリフレクター部の間の位置精度が高く、光源から出射された光に関して所望の配光パターンを得ることができる。
【0013】
また、部品点数の削減を図ることができる他、車輌用灯具の各部品に関する組付作業の簡素化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0014】
請求項2に記載した発明にあっては、前記光学体を、前記光源の光軸を含む垂直な面内における断面で略円弧状に形成したので、構造が簡素であり、成形性の向上及び容易化を図ることができる。
【0015】
請求項3に記載した発明にあっては、前記光源を支持体に配置し前記光学体の前後両端間に位置させるようにしたので、光源から光がリフレクター部へ向けて出射される構造を容易に構成することができる。
【0016】
請求項4に記載した発明にあっては、前記光源から出射された光の一部を前記光学体の内部で導光させてレンズ部から出光させるようにしたので、光源の数を増やすことなく発光面積を大きくすることができる。
【0017】
請求項5に記載した発明にあっては、前記灯具外筐の内部に前記光源とは別の光源を配置し、前記別の光源から出射された光を前記光学体の内部で導光させてレンズ部から出光させるようにしたので、発光面積を大きくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明車輌用灯具を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
車輌用灯具1は、図1に示すように、前方に開口された凹部を有するランプハウジング2と該ランプハウジング2の開口面を閉塞するアウターカバー3とを備えている。ランプハウジング2とアウターカバー3によって灯具外筐4が構成され、該灯具外筐4の内部空間は灯室5として形成されている。
【0020】
ランプハウジング2の下面部には、例えば、後斜め上方に開口された配置凹部2a、2aが左右に離隔して形成されている。配置凹部2a、2aはそれぞれカバーレンズ6、6によって閉塞されている。
【0021】
ランプハウジング2には灯室5を左右で仕切る仕切壁2bが設けられている(図1及び図2参照)。
【0022】
ランプハウジング2の配置凹部2a、2aにはそれぞれ光源7、7が配置されている。光源7、7としては、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode)が用いられ、光源7、7はそれぞれ回路基板等の支持体8、8上に搭載されている。
【0023】
灯室5には光学体9、9が左右に離隔して配置されている(図1及び図2参照)。光学体9は、図1に示すように、垂直断面で略上方へ凸の円弧状に形成され、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明材料によって形成されている。
【0024】
光学体9は前側の略半部がレンズ部10として設けられ、該レンズ部10以外の後側の略半部がリフレクター部11として設けられている。リフレクター部11の内面には反射処理、例えば、アルミ蒸着が施され、該アルミ蒸着が施された部分が反射面11aとして形成されている。尚、アルミ蒸着等の反射面11aはリフレクター部11の内面に限られることはなく、例えば、リフレクター部11の外面に施されていてもよい。
【0025】
リフレクター部11の反射面11aは放物面又は楕円面に形成され、その焦点又は該焦点の近傍に光源7が配置されている。
【0026】
光学体9、9はそれぞれリフレクター部11、11の一部が、例えば、接着等の適宜の手段によってランプハウジング2の後端部に取り付けられている。光学体9、9がそれぞれランプハウジング2の後端部に取り付けられた状態において、光源7、7がそれぞれ光学体9、9の前後方向における略中央部の下方に位置される。
【0027】
以上のように構成された車輌用灯具1において、それぞれ光源7、7から光が出射されると、出射された光はそれぞれカバーレンズ6、6を透過されて光学体9、9のリフレクター部11、11へ向かう。リフレクター部11、11へ向かった光はそれぞれ該リフレクター部11、11の反射面11a、11aで反射され光学体9、9のレンズ部10、10を透過されアウターカバー3を介して外部へ出射される。
【0028】
尚、光学体9、9には、例えば、光を拡散する拡散ステップを形成してもよい。拡散ステップは、レンズ部10、10若しくはリフレクター部11、11又はレンズ部10、10とリフレクター部11、11の双方に形成することが可能である。
【0029】
以上に記載した通り、車輌用灯具1にあっては、光源7から出射された光を反射するリフレクター部11と光を透過して出光しインナーレンズとして機能するレンズ部10とを一体に形成しているため、レンズ部10とリフレクター部11の間の位置精度が高く、光源7から出射された光に関して所望の配光パターンを得ることができ、例えば、テールランプやストップランプ等への適用が可能である。
【0030】
また、レンズ部10とリフレクター部11が同一の部材によって設けられているため、部品点数の削減を図ることができる他、車輌用灯具1の各部品に関する組付作業の簡素化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0031】
さらに、光学体9が光源7の光軸を含む垂直な面内における断面で略円弧状に形成されているため、構造が簡素であり、成形性の向上及び容易化を図ることができる。
【0032】
加えて、光源7を支持体8に搭載し光源7を光学体9の前後両端間に位置させるようにしているため、光源7から光がリフレクター部11へ向けて出射される構造を容易に構成することができる。
【0033】
上記には、光源7、7から出射された光がリフレクター部11、11で反射される構成について説明したが、これに加えて、以下のように、光源から出射された光が光学体9の内部で導光されて出射される構成とすることも可能である(図3及び図4参照)。
【0034】
例えば、光源7から出射された光の一部が光学体9の内部で導光されて出射されるように構成することができる(図3参照)。
【0035】
光学体9の後端部における下端部には傾斜された全反射面9aが形成されている。
【0036】
光源7から光が出射されると、その一部が全反射面9aで反射されて光学体9に入射されリフレクター部11からレンズ部10へ向けて導光され、該レンズ部10から出光されてアウターカバー3を介して外部へ出射される。
【0037】
このように光源7から出射された光を光学体9の内部で導光させることにより、光源7の数を増やすことなく発光面積を大きくすることができる。
【0038】
また、例えば、光源7とは別の光源7Aを配置することにより、出射された光が光学体9の内部で導光されて出射されるように構成することができる(図4参照)。
【0039】
この場合には、光源7と光源7Aをそれぞれ異なる機能を有する灯具の光源として用いることが可能であり、例えば、光源7を夜間以外の標識灯として機能する所謂デイタイムランニングランプ用の光源として用い、光源7Aを夜間の標識灯として機能する所謂クリアランスランプ(車幅灯)用の光源として用いることができる。
【0040】
光源7Aは光学体9の後端部における下端面9bの下方に位置されている。光源7Aから光が出射されると、出射された光は下端面9bから光学体9に入射されてリフレクター部11からレンズ部10へ向けて導光され、該レンズ部10から出光されてアウターカバー3を介して外部へ出射される。
【0041】
このように光源7とは別の光源7Aを用い光学体9の内部で導光させて光を出射させることにより、発光面積を大きくすることができる。
【0042】
また、光源7と光源7Aをそれぞれ異なる機能を有する灯具の光源として用いることにより、一つの灯具を複数の機能を有する灯具として用いることができ、車輌用灯具1の機能性の向上を図ることができる。
【0043】
尚、上記には、二つの光学体9、9が灯具外筐4の内部に配置された例を示したが、灯具外筐4の内部に配置される光学体9の数は二つに限られることはなく、任意である。
【0044】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図2乃至図4と共に本発明車輌用灯具の最良の形態を示すものであり、本図は、車輌用灯具の概略縦断面図である。
【図2】アウターカバーを省略して示す車輌用灯具の正面図である。
【図3】光源から出射された光が光学体の内部で導光される例を示す概略断面図である。
【図4】光源から出射された光が光学体の内部で導光される別の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1…車輌用灯具、2…ランプハウジング、3…アウターカバー、4…灯具外筐、7…光源、8…支持体、9…光学体、10…レンズ部、11…リフレクター部、光源7A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプハウジングとアウターカバーによって形成された灯具外筐の内部に光源と光学体が配置された車輌用灯具であって、
前記光学体は前記光源から出射された光を反射するリフレクター部と光を透過して出光しインナーレンズとして機能するレンズ部とを有し、
前記レンズ部と前記リフレクター部を一体に形成した
ことを特徴とする車輌用灯具。
【請求項2】
前記光学体を、前記光源の光軸を含む垂直な面内における断面で略円弧状に形成した
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用灯具。
【請求項3】
前記光源を支持体に配置し前記光学体の前後両端間に位置させるようにした
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用灯具。
【請求項4】
前記光源から出射された光の一部を前記光学体の内部で導光させてレンズ部から出光させるようにした
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用灯具。
【請求項5】
前記灯具外筐の内部に前記光源とは別の光源を配置し、
前記別の光源から出射された光を前記光学体の内部で導光させてレンズ部から出光させるようにした
ことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用灯具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−40484(P2010−40484A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205566(P2008−205566)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】