説明

車道セクション

【課題】 車道セクションを提供する。
【解決手段】 本発明は、少なくとも1つの一体型誘導ループを有する車道セクションに関し、誘導ループは、前記誘導ループ上に位置するハイブリッド又は電動車両の車両用バッテリを誘導により充電するように設計され、及び車道セクションは、交通が少なくとも一時的に停滞する道路領域に配置される。結果として、特に、交通信号灯又は鉄道踏切遮断機における無駄な待機時間を利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に係る少なくとも1つの一体型誘導ループを有する車道セクションに関する。本発明はまた、充電式車両用バッテリを有するハイブリッド又は電動車両にも関する。
【背景技術】
【0002】
電動車両の航続距離は特に限られており、前記電動車両は、いわゆる充電ステーションで定期的に再充電しなければならない。そのため、電動車両は、充電ステーションに提供される対応する連結器に差し込むことのできるプラグを必要とする。しかしながら、特に国境を越える場合には、EU圏内であっても国によってそれぞれ電気プラグシステムが異なるため、好適な充電ステーションを見付けることは困難である。これは、プラグシステムに合致するアダプタによって対応するしかない。
【0003】
(特許文献1)は、誘導により動作することのできる充電装置を有する電動車両を開示し、電気エネルギーは充電ポールにより無線方式で電動車両の充電装置に送り込まれる。電気エネルギーの補充を目的として、電動車両と充電ポールとはさらにコードを交換してもよく、それにより例えば受け取ったエネルギー量に対する請求が行われ得る。
【0004】
(特許文献2)は、車道に敷設された誘導ループからの誘導によってその電気エネルギーを得る別の電動車両を開示する。
【0005】
(特許文献3)は、自動車と少なくとも1つのベースユニットとを含む別のシステムを開示する。この場合、自動車は、ベースユニットの一部である一次導体に誘導結合され得る二次コイルを有する。加えて、ベースユニットは、一次導体と二次コイルとの間の距離を近付けるための可動機器を有する。
【0006】
最後に、(特許文献4)が、駆動目的で、又は車両用バッテリに貯蔵する目的で、同様に車道に一体化された誘導ループにより無線方式で電気エネルギーを受け取ることのできる電動車両を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,114,834号明細書
【特許文献2】米国特許第5,207,304号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2007 033 654 A1号明細書
【特許文献4】国際公開第95/30556号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電動及びハイブリッド車両を日常的な使用に適したものとすることを可能にする問題に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この問題は独立請求項の主題により解決される。有利な実施形態は従属請求項の主題事項である。
【0010】
本発明は、少なくとも充電ステーションで充電される必要があるばかりでなく、特にまた、電動又はハイブリッド車両が通常遅くなり、特に停止する領域においても充電される必要がある電動又はハイブリッド車両の車両用バッテリにより、ハイブリッド及び電動車両を日常的な使用に適したものにするという概略的な着想に基づく。そのため、少なくとも1つの一体型誘導ループを有する本発明に係る車道セクションが提供され、この誘導ループは、前記誘導ループ上に位置するハイブリッド又は電動車両の車両用バッテリを誘導により充電するように設計される。さらに車道セクションは、交通が一時的に停滞する領域、すなわち、例えば交通信号灯の手前又は鉄道踏切遮断機の手前にある領域に配置される。具体的に交通信号灯又は鉄道踏切の場合には待機時間が定期的に起こり、本発明に係る車道セクションの場合、それらの待機時間を用いて、前記交通信号灯又は鉄道踏切遮断機で待機しているハイブリッド又は電動車両の車両用バッテリを充電することが可能である。結果として、第一に交通信号灯の手前又は鉄道踏切での待機時間を有意義に利用することができ、同時に、特に電動車両の航続距離を大幅に増加させることができる。交通信号灯又は鉄道踏切で待機する間に車両用バッテリを充電するために、ハイブリッド又は電動車両のプラグを対応するプラグソケットに差し込む必要がなく、むしろ車道に形成された誘導ループ上に位置するだけであるという理由から、この充電プロセスはさらに、ハイブリッド又は電動車両の運転者にとって極めて好都合である。従って、本発明に係るかかる車道セクションをある範囲にわたって分布させることで、充電ステーションにおいて費やされる充電時間を大幅に短縮し、ひいてはハイブリッド又は電動車両の日常的な使用に対する適合性を大幅に高めることができる。
【0011】
本発明に係る解決策の有利な発展形態では、検知装置が提供され、前記検知装置はハイブリッド又は電動車両が誘導ループ上にあるかどうかを特定する。加えて、この検知装置は場合により、誘導ループ上に停止しているハイブリッド又は電動車両の、充電を必要とし得る可能性のある車両用バッテリの充電状態を検知してもよい。従って、対応する充電装置を備えたハイブリッド又は電動車両が誘導ループ上に位置することを検知装置が特定した場合に限り、誘導エネルギーの送出動作が始動する。この過程で、検知装置は車両用バッテリの充電状態を検知し、充電状態によって要求される場合に限り電気エネルギーの送出手段を作動させてもよい。
【0012】
検知装置は、好都合には交通信号灯又は遮断機に接続されてそれと通信し、交通信号灯が赤色であるか、又は遮断機が下りているときに限り作動する。これにより特に、検知装置の作動及び電気エネルギーの消費までもが、実際に関連性のある状況下でのみ、すなわち交通信号灯が赤色であるか、又は鉄道踏切遮断機が下りているときに限り行われるため、本発明に係る車道セクションの動作においてエネルギーを節約することが可能となる。
【0013】
本発明のさらなる重要な特徴及び利点は、従属請求項、図面、及び図面の参照を伴う関連する図の説明から理解され得る。
【0014】
上記の特徴及び以下の本文中に説明する特徴は、双方ともそれぞれ示される組み合わせで、また他の組み合わせでも、又は単独でも、本発明の範囲から逸脱することなく用いられ得ることは言うまでもない。
【0015】
本発明の好ましい例示的実施形態を図面に示し、以下の記載においてさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る車道セクションの可能な設置状況を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1において、本発明に係る車道セクション1は複数の一体型誘導ループ2を有し、誘導ループ2は、前記誘導ループ上に位置するハイブリッド又は電動車両4の車両用バッテリ3を誘導により充電するように設計される。本発明によれば、ここで車道セクション1は、交通が少なくとも一時的に停滞する道路領域に配置される。この種の車道セクション1は、例えばその最前端に、交通信号灯5又は遮断機、特に鉄道踏切遮断機を有し得る。この種の車道セクション1の場合、交通は停止状態に至ることが予想され、従ってハイブリッド又は電動車両4は、具体的には定期的に、静止しているものと予想され得る。後方に向かって順々に配置された複数の誘導ループ2が提供されるため、本来無駄に経過する待機時間の間にハイブリッド又は電動車両の車両用バッテリ3を充電することが可能となり、結果として前記ハイブリッド又は電動車両には、より大きい航続距離及び日常的な使用に対する適合性の向上が提供される。
【0018】
好都合には検知装置6もまた提供されてよく、前記検知装置は、例えば充電装置7の構成要素であり、ハイブリッド又は電動車両4が誘導ループ2上にあるかどうかを特定する。その場合、ハイブリッド又は電動車両4が実際に誘導ループ2上にあるときに限り、誘導ループ2にパワーが供給される。検知装置6は、場合により、誘導ループ2上に停止しているハイブリッド又は電動車両4の、充電を必要とし得る可能性のある車両用バッテリ3の充電状態をさらに検知してもよく、従って車両用バッテリ3は充電状態に応じて充電される。
【0019】
概して、検知装置6が交通信号灯5又は遮断機に接続されてそれと通信し、交通信号灯5が赤色であるか、又は遮断機が下りているときに限り作動するように実行することもまた可能である。結果として、検知装置及び/又は充電装置7が作動するには事前に定義された条件を満たさなければならないため、ここでもまたエネルギーを節約することができる。本発明はまた、概して、充電式車両用バッテリ3を有するハイブリッド又は電動車両4であって、車道セクション1から無線方式でエネルギーを受け取るように設計されるハイブリッド又は電動車両4も含むことは言うまでもない。
【0020】
概して、ハイブリッド又は電動車両4及び関連する車道セクション1を使用して、ケーブルを介した直接的な接続なしに、誘導により車両用バッテリ3を充電することが可能である。車両用バッテリ3は、例えば赤色の交通信号灯5で待機状況にある間に、ハイブリッド又は電動車両4の運転者が充電動作に気付くことなく充電することができ、その結果としてかかるハイブリッド又は電動車両4の航続距離及び日常的な使用に対する適合性を増加させることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 車道セクション
2 一体型誘導ループ
3 車両用バッテリ
4 ハイブリッド又は電動車両
5 交通信号灯
6 検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの一体型誘導ループ(2)を有する車道セクション(1)であって、前記誘導ループ(2)が、前記誘導ループ上に位置するハイブリッド又は電動車両(4)の車両用バッテリ(3)を誘導により充電するように設計され、及び前記車道セクション(1)が、交通が少なくとも一時的に停滞する道路領域に配置されることを特徴とする、車道セクション。
【請求項2】
前記車道セクション(1)が、複数のハイブリッド又は電動車両(4)を誘導により充電するため、後方に向かって順々に配置された複数の誘導ループ(2)を有することを特徴とする、請求項1に記載の車道セクション。
【請求項3】
検知装置(6)が提供され、前記検知装置は、ハイブリッド又は電動車両(4)が前記誘導ループ(2)上にあるかどうかを特定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の車道セクション。
【請求項4】
前記検知装置(6)が、充電を必要とし得る可能性のある前記車両用バッテリの充電状態、及び/又は前記誘導ループ(2)上に停止している前記ハイブリッド又は電動車両(4)の位置を検知することを特徴とする、請求項3に記載の車道セクション。
【請求項5】
前記車道セクション(1)が、その最前端に、交通信号灯(5)又は遮断機、特に鉄道踏切遮断機を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車道セクション。
【請求項6】
前記検知装置(6)が前記交通信号灯(5)又は前記遮断機に接続されてそれと通信し、前記交通信号灯(5)が赤色であるか、又は前記遮断機が下りているときに限り作動することを特徴とする、請求項5に記載の車道セクション。
【請求項7】
充電式車両用バッテリ(3)を有するハイブリッド又は電動車両(4)であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載の車道セクション(1)から無線方式でエネルギーを受け取るように設計される、ハイブリッド又は電動車両(4)。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−126393(P2012−126393A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273361(P2011−273361)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(510238096)ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト (63)
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D−70435 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】