説明

軌道レール用移動車装置

【課題】 既存の二輪車を利用して一人乗りで、しかも、軌道レールに沿って安定的に移動できる軌道レール用移動車装置を提供する。
【解決手段】 互いに平行する一対の軌道レールR上を転動する左右一対の車輪1,1´を台車フレーム2の前後に備えた台車Aの前記台車フレーム2の、左右の前記車輪間中央部位置に、一般道路を走行できる二輪車Bを上げ下し自在に起立させた状態で支持させて搭載する、該二輪車Bの駆動側の車輪8を接触状態で受支した駆動ローラ7´を、前記台車フレーム2に回転自在にローラ軸6´で軸支する。該駆動ローラ7´と同軸の第一歯車20とかみ合う第二歯車22を前記ローラ軸6´に平行させて前記台車フレーム2に支持させた従動軸21に装置する。この従動軸21に第二歯車2と同軸にして設けた駆動用スプロケット23と一方の前記車軸5に前記車輪1´と同軸にして設けた作動用スプロケット25にチェーンベルト24を張設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時の警備や架線、線路の点検等のとき、線路の巡回に用いる軌道レール用移動車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軌道の設備の点検のための巡回は徒歩によるのが基本であるが、巡回区間が広範囲に及ぶ際には、自転車や自動二輪車等の二輪車を利用して軌道レール上を走行するように工夫した軌道レール用移動車装置を用いると、支障のない広範囲な巡回ができ、この軌道レール用移動車装置として種々の構造のものが提案されている。
【0003】
例えば、互いに平行する一対の軌道レールのそれぞれに該軌道レール上を走行できる台車を配置し、該台車のそれぞれに後輪駆動の前輪を載せ、後輪を軌道レール上に転動自在に載せた一対の自動二輪車を支材で互いに支持させて構成した構造のものがある(例えば特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−264810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記構造のものは、必要に応じて各自動二輪車を互いに取り外して、一般道路に於ける移動手段としても適用できるようにしたものであるが、構成上、常に2人の作業員を要するばかりでなく、軌道レール上走行時には、一対の二輪車間で走行速度を合わせなければならない、という煩雑さがある。
【0006】
本発明は、斯様な従来例の欠点に着目し、既存の二輪車を利用して、一人乗りにして、しかも、軌道レールに沿って安定的に移動できる軌道レール用移動車装置を提供することを目的として創案したものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
互いに平行する一対の軌道レール上を転動する左右一対の車輪を台車フレームの前後に備えた台車の前記台車フレームの、左右の前記車輪間中央部位置に、一般道路を走行できる二輪車を上げ下し自在に起立させた状態で支持させて搭載し、該二輪車の駆動側の車輪を接触状態で受支した駆動ローラを、前記台車フレームに回転自在にローラ軸で軸支し、該駆動ローラと同軸の第一歯車とかみ合う第二歯車を前記ローラ軸に平行させて前記台車フレームに支持させた従動軸に装置すると共に、この従動軸に第二歯車と同軸にして設けた駆動スプロケットと一方の前記車軸に前記車輪と同軸にして設けた作動用スプロケットにチェーンベルトを張設した構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、二輪車が備えている駆動源を利用して軌道レールに沿って走行させることができ、その走行は構成上所謂一人乗りで安定して行うことができ、巡回作業の人員削減を行え、実用的である。
【実施例】
【0009】
図面は、本発明に係る軌道レール用移動車装置の一実施例を示し、図1は側面図、図2は一部欠截平面図、図3は本発明要部の底面図、図4は二輪車の前部支持部の一部の拡大正面図、図5は図4の平面図、図6は二輪車の側部支持部の拡大側面図、図7は転車装置の拡大側面図である。
【0010】
本発明に係る軌道レール用移動車装置は、台車Aに自動二輪車(自転車でも良い)Bを搭載支持させ、自動二輪車Bの後輪8を駆動輪として台車Aを軌道レールRに沿って移動させ、また、必要に応じて二輪車Bを台車Aから下ろして一般道路上を走行するようにしたものである。
【0011】
台車Aは、前後それぞれ一対の車輪1,1´で台車フレーム2を受支させて構成し、台車フレーム2は、角筒状の棒杆を互いに熔接して形成した方形枠体で成り、該フレーム2の左右の側杆2a,2aの前後両端にそれぞれ軸受4を設け、該軸受4,4に回動自在に支持させた車軸5の両端に、片フランジ付の前記車輪1,1´を取付けて台車Aとしたものである。
【0012】
また、台車Aは、車輪1,1、1´,1´を軌道レールR上に転動自在に載置して台車フレーム2を軌道レールR,R間に架設するように配し、レールR上を車輪1,1´が転動することによってレールRに沿って走行する。
【0013】
そして、台車フレーム2の前記側杆2a,2a間にわたした前後方向の中間部の中間杆2bと後杆2c間には、前記軌道レールR,Rの軌間乃至左右の車輪1,1、1´,1´間の中央に側杆2aと平行する一対の支持杆2d,2dを架設し、この支持杆2d,2dに軸受4Aを介して回動自在に支持させた前後一対のローラ軸6,6´に駆動ローラ7,7´を支持させて前記支持杆2d,2d間に配置してある。
【0014】
前記自動二輪車Bは、駆動輪である前記後輪8をこの駆動ローラ7,7´に接触させて載置して、前部と中間部を支持させるようにして起立させた状態で前記台車A上に搭載してある。
【0015】
自動(電動であるが動力源は自由)二輪車Bの前部は、二輪車B側のフロントフォーク27に横設した組付け杆9を台車A側に設けた支持片10(台車フレーム2の前記各側杆2aの前端部に基部を組付けて傾斜状に起立させた支持杆13,13の上端側先端部に取付けてある)上に載置し、支持片10の左右方向の両端に装置したロック装置11のロック杆11aの先端を前記組付け杆9の両端に設けた受入穴12に嵌挿し、該嵌挿状態をロック装置11に装置した復帰ばねの付勢によって維持するようにして台車Aに支持させ、中間部は二輪車Bの機器ケース部17に上側の基部を止着した連結片14の下側の先端部を台車フレーム2に装置した接続枠15と重ね合わせ、これらに設けた透孔に連結ピン16を挿脱可能に嵌合することによって台車Aに支持させてある。
【0016】
自動二輪車Bは、ロック杆11を組付け杆9から外す一方、連結ピン16を連結片14等から離脱させることにより、台車Aから自由となり、一般道路上の走行に適用できるようになっている。
【0017】
二輪車Bの駆動輪である後輪8を接触支持させる前後一対の前記駆動ローラ7,7´の前記ローラ軸6,6´の一端には連動ローラ18,18´を設け、該連動ローラ18,18´に連動ベルト19を張設してある。
【0018】
連動ベルト19を連動ローラ18,18´に張設してあるのは、駆動ローラ7,7´に接触、載置した二輪車Bの後輪8が、何等かの事情で駆動ローラ7,7´の前側駆動ローラ7にのみしか接触しない(回転させない)場合でも、回転する前側駆動ローラ7の回転を、該ローラ7のローラ軸6、連動ローラ18、該連動ベルト19および後側連動ローラ18´を通じてローラ軸6´に伝達し、ローラ軸6´の連動ローラ18側の一端に対する他の一端側に設けた第一歯車20を確実に回動させるためである。
【0019】
第一歯車20は、前記ローラ軸6,6´と同様に台車フレーム2の支持杆2d,2dに軸受4Bを介してローラ軸6,6´と平行させて支持させた従動軸21に設けた第二歯車22とかみ合わせ、前記後輪8により逆回転(台車Aの前進方向に対し)するローラ軸6,6´に対して前記従動軸21を正回転させる。
【0020】
この従動軸21の中間部に駆動用スプロケット23を装置し、該駆動用スプロケット23にかみ合わせたチェーンベルト24を、後側の前記車軸5に車輪1´と同軸にして装置した作動用スプロケット25にかみ合わせてある。
【0021】
そして、前記の装置を用いて二輪車Bを台車Aに固定して台車A上に立設状態で搭載して、これに乗車して駆動輪である後輪8を回転させると、前後の駆動ローラ7,7´の一方又は双方はこれに接して回転し、その回転は後側駆動ローラ7´のローラ軸6´を介して第一歯車20に伝達され、該第一歯車20にかみ合う第二歯車22は第一歯車20側の逆回転に対して正回転(台車Aが前進する方向の回転)して該第二歯車20を取付けた従動軸21に伝え、従動軸21に装置した駆動用スプロケット23は同様に正回転してチェーンベルト24を介して作動用スプロケット25に伝達し、該スプロケット25の支軸である車軸5は正回転して後側車輪1´,1´がレールR上を転動し、台車Aは軌道レールRに沿って走行するのである。
【0022】
なお、台車Aの走行停止は、実施例の場合は二輪車Bの備えているブレーキ装置で行うようにしてあるが、該装置を別途設けても不都合はないことは勿論である。
【0023】
また、実施例のものは転車装置を備え、該転車装置は、後杆2c側に装置した第一操作リング28によって起立用ワイヤー29を牽引して台車フレーム2の中間部に設けた支脚30を軸31を支点に復帰ばね32に抗して起立させ、枕木上に起立させた該支脚30を中心にして台車フレーム2を180度回転させて前後に変換させ、第二操作リング28´によって解錠用ワイヤー29´を牽引して起立状態時に支脚30に設けた係止孔33に係合して該起立状態を保持したピン34を係止孔33より外して復帰ばね32に付勢によって支脚30を原状の倒伏状態に復帰させることができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】側面図。
【図2】一部欠截平面図。
【図3】本発明要部の底面図。
【図4】二輪車の前部支持部の一部の拡大正面図。
【図5】図4の平面図。
【図6】二輪車の側部支持部の拡大側面図。
【図7】転車装置の拡大側面図。
【符号の説明】
【0025】
1,1´ 車輪
2 台車フレーム
5 車軸
6´ ローラ軸
7´ 駆動ローラ
8 後輪
20 第一歯車
21 従動軸
22 第二歯車
23 駆動用スプロケット
24 チェーンベルト
25 作動用スプロケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行する一対の軌道レール上を転動する左右一対の車輪を台車フレームの前後に備えた台車の前記台車フレームの、左右の前記車輪間中央部位置に、一般道路を走行できる二輪車を上げ下し自在に起立させた状態で支持させて搭載し、該二輪車の駆動側の車輪を接触状態で受支した駆動ローラを、前記台車フレームに回転自在にローラ軸で軸支し、該駆動ローラと同軸の第一歯車とかみ合う第二歯車を前記ローラ軸に平行させて前記台車フレームに支持させた従動軸に装置すると共に、この従動軸に第二歯車と同軸にして設けた駆動スプロケットと一方の前記車軸に前記車輪と同軸にして設けた作動用スプロケットにチェーンベルトを張設した、軌道レール用移動車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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