説明

軟水装置

【課題】発電手段と蓄電手段とを備えた軟水装置において、前記発電手段による発電が所定時間行われなかった場合でも、装置内の被給電部への電力供給を確実に行う。
【解決手段】原水ライン5における水流によって発電を行う発電手段7と、この発電手段7の発電電力を装置内の被給電部15へ供給する電力として蓄える蓄電手段14とを備える軟水装置1であって、前記蓄電手段14のほかに、前記被給電部15へ電力を供給可能なバックアップ電池16を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原水に含まれる硬度分を除去する軟水装置に関し、とくに一般家庭用および病院用など工業用以外の民生用の軟水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工業用や家庭用など様々な分野において使用されている軟水装置は、軟水生成部として、ナトリウム型またはカリウム型のイオン交換樹脂を収容した樹脂収容部を備える。そして、この樹脂収容部へ原水ラインから原水を供給し、この原水中に含まれる硬度分,すなわちカルシウムイオンおよびマグネシウムイオンをナトリウムイオンまたはカリウムイオンと置換させることにより軟水を生成し、この軟水を軟水ラインから供給するようになっている。
【0003】
ところで、たとえば一般家庭における浴室用の軟水装置などにおいては、装置で使用する電力を外部から供給することが困難である。そこで、装置の使用時,すなわち軟水の供給を行うときに装置内の流路に生じる水流によって発電を行う発電手段と、この発電手段の発電電力を蓄える蓄電手段とを備え、この蓄電手段から装置内の被給電部へ電力を供給する軟水装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−51854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記軟水装置の未使用状態が続くと、前記流路に水流が発生しないため、前記発電手段による発電が行われない。これにより、前記蓄電手段の蓄電量が放電によって減少し、前記被給電部へ十分な電力を供給することができなくなるおそれがある。
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、発電手段と蓄電手段とを備えた軟水装置において、前記発電手段による発電が所定時間行われなかった場合でも、装置内の被給電部への電力供給を確実に行うことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、装置内の流路における水流によって発電を行う発電手段と、この発電手段の発電電力を装置内の被給電部へ供給する電力として蓄える蓄電手段とを備える軟水装置であって、前記蓄電手段のほかに、前記被給電部へ電力を供給可能なバックアップ電池を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の前記バックアップ電池を交換可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載された発明によれば、前記発電手段による発電が所定時間行われず、前記蓄電手段の蓄電量が減少してこの蓄電手段から前記被給電部への電力供給ができなくなったときであっても、前記バックアップ電池から前記被給電部へ電力を供給することができ、前記被給電部への電力供給を確実に行うことができる。
【0009】
請求項2に記載された発明によれば、前記バックアップ電池を交換することができるので、前記バックアップ電池の電力が低下して前記被給電部への電力供給が行えなくなったとしても、前記バックアップ電池を交換することにより、交換された新たな前記バックアップ電池から前記被給電部へ電力を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、この発明の実施の形態について図面に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明に係る軟水装置の実施形態の構成例を示す概略的な説明図であり、また図2は、図1に示す軟水装置の一部分を示す概略的な説明図である。
【0011】
軟水装置1は、一般家庭の浴室(図示省略)で使用される湯水に含まれる硬度分を除去する浴室用の軟水装置であり、前記浴室内の浴槽(図示省略)へ軟水を吐水する吐水部2と、前記浴室内において体を洗うときなどに使用されるシャワー部3とを備えている。
【0012】
また、前記軟水装置1は、原水中に含まれる硬度分を吸着除去して軟水を生成するイオン交換樹脂(図示省略)を収容した樹脂収容部4を備えている。この樹脂収容部4には、原水ライン5および軟水ライン6が接続されている。
【0013】
前記原水ライン5は、前記浴室内の湯水混合栓(図示省略)と接続されている。また、前記原水ライン5には、発電手段7および原水バルブ8が設けられている。
【0014】
前記軟水ライン6は、前記吐水部2と接続された吐水ライン9および前記シャワー部3と接続されたシャワーライン10に分岐している。前記吐水ライン9には吐水バルブ11が設けられ、前記シャワーライン10にはシャワーバルブ12が設けられている。
【0015】
前記発電手段7は、装置使用時,すなわち後述するように前記湯水混合栓から前記原水ライン5を介して前記樹脂収容部4へ原水を供給し、この原水中に含まれる硬度分を、前記イオン交換樹脂によって除去して軟水を生成し、この軟水を前記軟水ライン6を介して前記吐水部2および/または前記シャワー部3から供給するとき、前記原水ライン5における水流によって発電機で発電を行うようになっている。
【0016】
前記発電手段7の発電電力は、図2に示すように、蓄電ライン13を介して蓄電手段14に蓄えられるようになっている。前記蓄電手段14に蓄えられた電力は、後述する給電ライン17を介して、前記軟水装置1内に備えられた被給電部15へ供給されるようになっている。
【0017】
前記蓄電手段14は、たとえばコンデンサである。このように、前記蓄電手段14をコンデンサとすることにより、後述するようにバルブ駆動装置によって前記各バルブ8,11,12を駆動させるために必要な電圧を低コストで確保することができる。
【0018】
前記被給電部15は、前記原水バルブ8,前記吐水バルブ11および前記シャワーバルブ12を開状態または閉状態に設定するためのバルブ駆動装置(たとえば、モータや電磁コイルなど)である。前記被給電部15は、前記蓄電手段14またはバックアップ電池16のいずれかから、給電ライン17を介して電力が供給され駆動するようになっている。
【0019】
前記給電ライン17は、前記蓄電手段14と接続された第一給電ライン18と前記バックアップ電池16と接続された第二給電ライン19とに分岐している。ここで、この実施形態では、前記バックアップ電池16は、前記軟水装置1が使用されないために、前記発電手段7による発電が行われず、前記蓄電手段14の蓄電量が不足したとき、装置の起動時,すなわち前記各バルブ8,11,12を開くときに必要となる電力を前記被給電部15へ供給するものであり、たとえば乾電池や蓄電池などで構成される。ただし、前記バックアップ電池16を蓄電池とする場合、前記蓄電手段14と比べて長期間使用できるものを選択することが好ましい。
【0020】
前記バックアップ電池16には、リード線20を介して第一コネクタ21が接続されている。そして、この第一コネクタ21と、前記第二給電ライン19の端部に設けられた第二コネクタ22とを着脱自在に接続することにより、前記バックアップ電池16と前記第二給電ライン19とが接続されるようになっている。また、前記第一コネクタ21は、前記第二コネクタ22と着脱自在に接続されているので、前記バックアップ電池16は交換可能となっている。
【0021】
さて、前記軟水装置1では、装置の使用時,すなわち前記浴室(図示省略)内へ軟水を供給するとき、前記被給電部15を構成する前記バルブ駆動装置により、前記原水バルブ8,前記吐水バルブ11および前記シャワーバルブ12を開状態に設定する。これにより、前記湯水混合栓(図示省略)から供給された原水が、前記原水ライン5を介して前記樹脂収容部4へ流入し、この原水中に含まれる硬度分が、前記イオン交換樹脂(図示省略)によって除去されて軟水が生成され、この軟水が前記軟水ライン6を介して前記浴室(図示省略)へ供給される。このとき、前記吐水バルブ11および前記シャワーバルブ12の開閉状態を適宜設定することにより、前記吐水部2および前記シャワー部3のいずれか、または両方から軟水の供給を行う。
【0022】
そして、前記浴室内へ軟水を供給するとき、前記原水ライン5の水流によって、前記発電手段7が発電を行い、この発電電力は、前記蓄電手段14に蓄えられる。この蓄電手段14に蓄えられた電力は、前記被給電部15へ供給され、前記バルブ駆動装置の駆動電力として使用される。
【0023】
前記軟水装置1では、軟水の供給を行わないときには前記原水ライン5に水流が発生しないため、前記発電手段7による発電が行われない。前記発電手段7による発電が所定時間行われないと、前記蓄電手段14の蓄電量が減少し、前記被給電部15へ十分な電力が供給できなくなることがある。前記蓄電手段14から前記被給電部15へ十分な電力が供給できなくなったときに軟水の供給を行う場合、前記バックアップ電池16から電力の供給を行う。具体的には、前記蓄電手段14の蓄電量が所定値未満になると、自動的に前記バックアップ電池16から電力が供給されるように給電回路を構成する。これにより、前記各バルブ8,11,12を開くことができ、軟水の供給を行うことができる。このとき、前記原水ライン5の水流によって前記発電手段7が発電を行い、この発電電力を前記被給電部15へ供給する電力として前記蓄電手段14へ蓄電することができる。
【0024】
以上説明した前記軟水装置1によれば、前記発電手段7による発電が所定時間行われず、前記蓄電手段14の蓄電量が減少して、この蓄電手段14から前記被給電部15への電力供給ができなくなったときであっても、前記バックアップ電池16から前記被給電部15へ電力を供給することができ、被給電部15への電力供給を確実に行うことができる。これにより、電力が不足することによって、前記各バルブ8,11,12が開かなくなることを防止でき、前記軟水装置1を確実に使用することができる。
【0025】
また、前記バックアップ電池16の電力が低下して前記被給電部15への電力供給が行えなくなったとしても、前記バックアップ電池16を交換することにより、交換された前記バックアップ電池16から前記被給電部15へ電力を供給することができる。これにより、電力が不足することによって、前記各バルブ8,11,12が開かなくなることをより一層確実に防止でき、前記軟水装置1をより確実に使用することができる。
【0026】
以上、この発明を前記実施形態によって説明したが、この発明は前記実施形態に限られるものではなく、その主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。たとえば、前記発電手段7は、前記原水ライン3ではなく、装置使用時に水流が発生する流路,すなわち前記樹脂収容部4または前記軟水ライン6に設けられていてもよい。
【0027】
また、前記バックアップ電池16を蓄電池とした場合、前記発電手段7の発電電力を、前記蓄電手段14だけではなく、前記バックアップ電池16へ蓄電するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明に係る軟水装置の実施形態の構成例を示す概略的な説明図である。
【図2】図1に示す軟水装置の一部分を示す概略的な説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 軟水装置
5 原水ライン(流路)
7 発電手段
14 蓄電手段
15 被給電部
16 バックアップ電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置内の流路における水流によって発電を行う発電手段と、この発電手段の発電電力を装置内の被給電部へ供給する電力として蓄える蓄電手段とを備える軟水装置であって、
前記蓄電手段のほかに、前記被給電部へ電力を供給可能なバックアップ電池を備えることを特徴とする軟水装置。
【請求項2】
前記バックアップ電池を交換可能としたことを特徴とする請求項1に記載の軟水装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−80279(P2008−80279A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264792(P2006−264792)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】