説明

軟質ポリウレタンフォームの製造方法

【課題】軽量化が可能で、優れた湿熱耐久性及び機械物性を有する軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】活性水素成分(S)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、水を含有する発泡剤(C)、ウレタン化触媒(D)、および整泡剤(E)の存在下に反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(S)中に下記ポリオール(s1)を含有する。ポリオール(s1):活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が特定の1級水酸基含有基であり、水酸基価xと総不飽和度yとエチレンオキサイド単位含有量zが数式(1)の関係を満たし、かつ水酸基価xが10〜115mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオール。y≦28.3×x-2×(100−z)/100(1)[数式(1)中、zは、0〜50重量%である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質ポリウレタンフォームの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両に用いられるポリウレタンフォームは、自動車の低燃費化や石油系原料の使用量削減を目的として、軽量化・低密度化が進んでいる。ポリウレタンフォームを低密度化する手法としては、発泡剤である水の含有量を増やす方法が一般的ではあるが、より低密度のポリウレタンフォームを成形しようとした場合、フォーム発泡過程で水とイソシアネートの反応に伴う炭酸ガスの発生量が増えることで、フォームの樹脂骨格が破壊されやすくなり、フォームの成形が困難になる。そのため、ポリウレタンフォームの低密度化には、フォーム発泡過程での安定性に優れており、高い官能基数を有し、多くのエチレンオキサイドを付加させた高反応性の水酸基末端を有するポリオール成分(例えば特許文献1参照)が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−56254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の方法では官能基数の増加に伴ってポリオール成分の粘度が高くなる等の原因のため、ウレタンフォームの成形性が不十分であり、また、多くのエチレンオキサイドを含有するために親水性が高くなり、耐久性が劣るという問題がある。
本発明の目的は、低密度で成形性が良好かつ耐久性の優れた軟質ポリウレタンフォームの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者はこれらの問題点を解決すべく鋭意検討の結果、特定の構造を有するポリオール成分を用いることにより、低密度で成形性が良好かつ耐久性を満足する軟質ポリウレタンフォームを製造できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、活性水素成分(S)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、発泡剤(C)、ウレタン化触媒(D)及び整泡剤(E)の存在下に反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(S)中に下記ポリオール(s1)を含有することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法である。
ポリオール(s1):活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が下記一般式(I)で表される1級水酸基含有基であり、水酸基価xと総不飽和度yとエチレンオキサイド単位含有量zが数式(1)の関係を満たし、かつ水酸基価xが10〜115mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオール。
【化1】

[一般式(I)中、R1は、水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。]
y≦28.3×x-2×(100−z)/100 (1)
[数式(1)中、xは単位mgKOH/gで表される水酸基価、yは単位meq/gで表される総不飽和度を表す。zは、(s1)の重量を基準とするエチレンオキサイド単位含有量であり、0〜50重量%である。]
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法によれば、低密度で成形性が良好かつ耐久性及び機械物性の優れた軟質ウレタンフォームを得ることができ、特に車両用シートクッション材として優れた性能を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例の反応装置を示す図である。
【図2】比較例の反応装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の製造方法に用いる活性水素成分(S)は、下記ポリオール(s1)を含んでなる。なお、本発明において、水は、活性水素成分(S)としては取り扱わず、発泡剤(C)として取り扱うものとする。
ポリオール(s1):活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が下記一般式(I)で表される1級水酸基含有基であり、水酸基価xと総不飽和度yとエチレンオキサイド単位含有量zが数式(1)の関係を満たすポリオキシアルキレンポリオール。
【0009】
【化2】

【0010】
y≦28.3×x-2×(100−z)/100 (1)
【0011】
上記数式(1)において、xの範囲は、10〜115mgKOH/gであり、粘度及びポリウレタンフォームの破断伸びの観点から、好ましくは25〜75mgKOH/gである。xが10mgKOH/g未満では、ポリオキシアルキレンポリオールの粘度が高く、取り扱いが困難であり、115mgKOH/gより大きいと、得られるポリウレタンフォームの破断伸びが悪くなる。なお、xはJISK−1557−1により求められる。
【0012】
yは、ポリオキシアルキレンポリオールの総不飽和度(meq/g)であり、JISK−1557−3により求められる。yは0〜0.04以下が好ましく、さらに好ましくは0〜0.03以下、特に好ましくは0〜0.02以下である。yが0.04以下であれば、得られるポリウレタンフォームの機械物性(硬さ、破断伸び、引張り強度、引裂強度)及び耐湿性が良好である。yがこの範囲であることは不飽和度が小さいことを意味する。なお、特に本発明に使用するポリオール(a)においてはモノオールの含有量が小さいことも意味する。
【0013】
またzは、ポリオキシアルキレンポリオールの重量を基準とするエチレンオキサイド単位含有量(重量%)である。zの範囲は、0〜50であり、好ましくは0〜25、特に好ましくは0〜20である。zが50を超えると得られるポリウレタンフォームの耐湿性が悪くなる。
【0014】
なお、数式(1)は、水酸基価xを水酸基当量wでも表すことができ、その場合、水酸基当量wと総不飽和度yとエチレンオキサイド単位含有量zは数式(2)の関係を満たす。なお水酸基当量wは、ポリオール(s1)の数平均分子量を、(s1)の数平均水酸基数で除した値である。
y≦(9.0×10-9)w2×(100−z)/100 (2)
【0015】
本発明に用いるポリオール(s1)は、イソシアネートとの十分な反応性及び疎水性を持つという特徴がある。この(s1)を用いて得られるポリウレタンフォームは、製造時の反応性が高く、耐湿性と機械物性が良好となる。
【0016】
本発明に用いるポリオール(s1)は、更に好ましくは、数式(3)の関係を満たす。
y≦18.9×x-2×(100−z)/100 (3)
数式(3)を満たすポリオール(s1)は、数式(1)を満たすときに比べて不飽和モノオール量が低減されており、このようなポリオキシアルキレンポリオールを用いて製造したポリウレタンフォームの機械物性と耐湿性は更に向上する。
【0017】
数式(1)及び(3)の右辺は水酸基価xとエチレンオキサイド単位含有量zから計算される値である。右辺は、水酸基価xが大きい程小さくなる、すなわち(s1)の水酸基当たりの分子量が小さい程小さくなる。また右辺はエチレンオキサイド単位含有量zが大きい程小さくなる。
上記数式(1)及び(3)の左辺は、総不飽和度yである。
ところで、ポリオキシアルキレンポリオールの不飽和基は、この製造過程でエチレンオキサイド以外のアルキレンオキサイド(特にプロピレンオキサイド)が転移反応して生成するので、ポリオキシアルキレンポリオール中のエチレンオキサイド単位含有量が小さいほど不飽和度yが大きくなる傾向があり、分子量が大きい程不飽和度yが大きくなる傾向がある。したがって、エチレンオキサイド単位含有量が小さい、又は分子量が大きいポリオキシアルキレンポリオールは、式(1)及び(3)を満たすことが困難な傾向にある。
すなわち、数式(1)又は(3)は、水酸基価x及びエチレンオキサイド単位含有量zに比べて、総不飽和度yが小さい領域を示すものである。なお、上記数式(1)及び(3)は、実験的に見出した本発明の効果が得られる範囲を表したものである。
【0018】
本発明に用いるポリオール(s1)は、活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物である。
活性水素化合物(H)としては、多価の活性水素を有する化合物であり、水酸基含有化合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、チオール基含有化合物、リン酸化合物;分子内に2種以上の活性水素含有官能基を有する化合物;及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0019】
水酸基含有化合物としては、水、2〜8価の多価アルコール、多価フェノール等が挙げられる。具体的にはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン及び1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等の2価アルコール;グリセリン及びトリメチロールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリト―ル、ソルビト―ル及びショ糖等の4〜8価のアルコ―ル;ピロガロ―ル、カテコール及びヒドロキノン等の多価フェノ―ル;ビスフェノ―ルA、ビスフェノールF及びビスフェノールS等のビスフェノ―ル;ポリブタジエンポリオール;ひまし油系ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体及びポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2〜100)ポリオール等が挙げられる。
なお、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート及び/又はアクリレートを意味し、以下において同様である。
【0020】
アミノ基含有化合物としては、アミン、ポリアミン、アミノアルコール等が挙げられる。具体的には、アンモニア;炭素数1〜20のアルキルアミン(ブチルアミン等)及びアニリン等のモノアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン及びジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;ピペラジン及びN−アミノエチルピペラジン等の複素環式ポリアミン;ジシクロヘキシルメタンジアミン及びイソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン及びジフェニルメタンジアミン等の芳香族ポリアミン;モノエタノ―ルアミン、ジエタノ―ルアミン及びトリエタノ―ルアミン等のアルカノ―ルアミン;ジカルボン酸と過剰のポリアミンとの縮合により得られるポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリアミン;ヒドラジン(ヒドラジン及びモノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド(コハク酸ジヒドラジッド及びテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン(ブチルグアニジン及び1−シアノグアニジン等);ジシアンジアミド等;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0021】
カルボキシル基含有化合物としては、コハク酸及びアジピン酸等の脂肪族ポリカルボン酸;フタル酸及びトリメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸;アクリル酸の(共)重合物等のポリカルボン酸重合体(官能基数2〜100)等が挙げられる。
【0022】
チオール基含有化合物としては、ポリチオール化合物が含まれ、2〜8価の多価チオールが挙げられる。具体的にはエチレンジチオール及び1、6−ヘキサンジチオール等が挙げられる。
リン酸化合物としては燐酸、亜燐酸及びホスホン酸等が挙げられる。
【0023】
これらの活性水素含有化合物(H)のうち、得られるポリウレタンフォームの機械物性の観点から、水酸基含有化合物及びアミノ基含有化合物が好ましく、特に好ましくは、水、アルコール及びアミンである。
【0024】
活性水素含有化合物(H)に付加させるアルキレンオキサイド(以下、AOと略す)としては、炭素数2〜6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,3−プロピレンオキサイド、1,2ブチレンオキサイド及び1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、性状や反応性の観点から、PO、EO及び1,2-ブチレンオキサイドが好ましい。AOを2種以上使用する場合(例えば、PO及びEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0025】
活性水素含有化合物(H)のAO付加物としては、下記一般式(II)で表されるポリオキシアルキレンポリオールが含まれる。
【0026】
【化3】

【0027】
一般式(II)中、R2は、活性水素含有化合物(H)からm個の活性水素を除いたm価の基であり、mは(H)が有する活性水素の数であり、2〜100の数である。mは得られる(s1)の粘度の観点から、2〜50が好ましく、さらに好ましくは2〜10である。
【0028】
上記一般式(II)中、Zは下記一般式(III)又は(IV)で表される、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい炭素数2〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
【0029】
【化4】

【0030】
【化5】

【0031】
一般式(III)及び(IV)中、R3は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。
【0032】
Zとしては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、クロロプロピレン基、フェニルエチレン基、1,2−シクロへキシレン基等及びこれらの2種以上の併用が挙げられ、これらのうち生産性の観点から、プロピレン基、ブチレン基及びエチレン基が好ましい。得られるポリオール(s1)の疎水性の確保を考慮に入れる場合は、プロピレン基、ブチレン基等を使用するか、又はエチレン基と他のアルキレン基とを併用すればよい。
【0033】
上記一般式(II)中、Aは下記一般式(V)又は(VI)で表される炭素数3〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基である。アルキレン基又はシクロアルキレン基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。
【0034】
【化6】

【0035】
【化7】

一般式(V)及び(VI)中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。
【0036】
Aとしては、具体的には、プロピレン基、ブチレン基、クロロプロピレン基、フェニルエチレン基1,2−シクロへキシレン基及びこれらの2種以上の併用が挙げられる。これらのうち生産性の観点から、プロピレン基及びブチレン基が好ましい。
【0037】
複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい。
【0038】
一般式(II)において、p及びrは0〜200の整数である。qは1〜200の整数である。
ポリオキシアルキレンポリオールの粘度の観点から、p+q+rは1〜400の整数が好ましく、さらに好ましくは200以下である。
【0039】
一般式(II)で表されるもののうち、特にrが0であるものは、ポリオキシアルキレンポリオールの末端部分にEOが付加されていないことを表す。
【0040】
一般式(II)で表されるもののうち、一般式(II)中の(AO)qの部分のうち、末端に位置するAの構造の40%以上が、一般式(VI)で表される構造であることが好ましく、さらに好ましくは60%以上、次にさらに好ましくは65%以上である。この範囲であると、数式(1)の関係を満たしやすくなる。
【0041】
ポリオール(s1)は、末端に位置する水酸基の40%以上が上記一般式(I)で表される1級水酸基含有基である。
例えば、(s1)が上記一般式(II)で表される場合、末端に位置する水酸基含有基としては、上記一般式(I)で表される1級水酸基含有基と、r=0の時に見られる下記一般式(X)で表される2級水酸基含有基の2種類が考えられるが、(s1)は上記一般式(II)中のrの値に関係なく、末端に位置する水酸基の40%以上が上記一般式(I)で表される1級水酸基含有基である。
(s1)において、その末端の全水酸基に対して、上記一般式(I)で表される1級水酸基含有基が占める比率(これを本明細書中、1級水酸基率とする。以下において同様である)は、ポリオール(s1)の全末端水酸基の量を基準として40%以上であり、(s1)の反応性の観点から、好ましくは60%以上、さらに好ましくは65%以上である。1級水酸基率が40%未満の場合には、ポリオール成分としての反応性が不十分である。
【0042】
【化8】

【0043】
上記の一般式(I)中のR1は水素原子又は、炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。一般式(X)中のR9は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。
1として、具体的には、水素原子;メチル基、エチル基及びプロピル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基等の分岐アルキル基;フェニル基及びp−メチルフェニル基等の置換フェニル基;クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基及びブロモエチル基等の置換アルキル基;p−クロロフェニル基及びp−ブロモフェニル基等の置換フェニル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基等;並びにこれらの2種以上の併用が挙げられる。R9として、具体的には、R1のうち、水素原子を除いたものが挙げられる。
【0044】
本発明において、1級水酸基率は、予め試料をエステル化の前処理した後に、1H−NMR法により測定し、算出する。
【0045】
1級水酸基率の測定方法を以下に具体的に説明する。
<試料調製法>
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、約0.5mlの重水素化溶媒を加え溶解させる。その後、約0.1mlの無水トリフルオロ酢酸を添加し、分析用試料とする。上記重水素化溶媒としては、例えば、重水素化クロロホルム、重水素化トルエン、重水素化ジメチルスルホキシド及び重水素化ジメチルホルムアミド等であり、試料を溶解させることのできる溶媒を適宜選択する。
<NMR測定>
通常の条件で1H−NMR測定を行う。
【0046】
<1級水酸基率の計算方法>
上に述べた前処理の方法により、ポリオキシアルキレンポリオールの末端の水酸基は、添加した無水トリフルオロ酢酸と反応してトリフルオロ酢酸エステルとなる。その結果、1級水酸基が結合したメチレン基由来の信号は4.3ppm付近に観測され、2級水酸基が結合したメチン基由来の信号は5.2ppm付近に観測される(重水素化クロロホルムを溶媒として使用)。1級水酸基率は次の計算式により算出する。
1級水酸基率(%)=[a/(a+2×b)]×100
但し、式中、aは4.3ppm付近の1級水酸基の結合したメチレン基由来の信号の積分値;bは5.2ppm付近の2級水酸基の結合したメチン基由来の信号の積分値である。
【0047】
本発明に用いるポリオール(s1)の数平均分子量は、(s1)の用途、すなわち製造するポリウレタンフォームの要求物性により適宜選択され、特に限定はされないが、ポリウレタンフォームの物性の観点から、400〜100,000が好ましく、好ましくは400〜20,000である。
【0048】
ポリオール(s1)の具体例としては、水のEO付加物、水のPO付加物、グリセリンのEO付加物、グリセリンのPO付加物、水のEO・PO共重合付加物、水のPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのEO・PO共重合付加物、水のEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物及びグリセリンのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物等が挙げられる。
【0049】
下記一般式(XI)で表される活性水素含有化合物(J)は、通常知られている方法で製造することができ、例えば活性水素含有化合物(H)に炭素数2〜12のAOを開環付加重合することにより製造でき、この重合の触媒は特に限定されない。
ポリオール(s1)は、(J)に炭素数3〜12のAOを触媒(G)の存在下で開環付加重合させ下記一般式(XII)で表される活性水素化合物(K)とすることで得ることができる。また、必要により、その後、(K)の末端にEOを0〜50重量%開環付加重合してもよい。(K)にEOを開環付加重する際の方法は通常知られている条件で良く、特に触媒は限定されない。EOを(K)の末端に付加重合しない場合は、(K)が(s1)であり、得られた(s1)の水酸基価xと総不飽和度yが数式(1)の関係を満たしていればよい。
【0050】
【化9】

【0051】
【化10】

【0052】
一般式(XI)中、R2、Z、p、mは、一般式(II)と同じであり、上述のものを同様に例示することができる。
一般式(XII)中、R2、Z、A、p、q、mは、一般式(II)と同じであり、上述の物を同様に例示することができる。
【0053】
活性水素含有化合物(J)の具体例としては、pが0の場合は、活性水素含有化合物(H)として上述したものと同様のものが挙げられる。
【0054】
pが1以上の場合は、炭素数2〜12のAOを、前述のpが0のもの、すなわち(H)に付加させて得られる化合物が挙げられる。この付加反応時に使用する触媒は限定されない。
例えば、(J)の具体例としては、(H)への、EO、PO及びブチレンオキサイド等の付加物が挙げられ、さらに具体的には、水のEO付加物、水のPO付加物、グリセリンのEO付加物、グリセリンのPO付加物、アンモニアのEO付加物、アンモニアのPO付加物、水のEO・PO共重合付加物、水のPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのEO・PO共重合付加物、グリセリンのEO・ブチレンオキサイド共重合付加物、グリセリンのPO・ブチレンオキサイド共重合付加物、アンモニアのEO・PO共重合付加物、水のEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物、グリセリンのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物、アンモニアのEO・PO・ブチレンオキサイドの共重合付加物等が挙げられる。
【0055】
活性水素含有化合物(K)としては上記活性水素含有化合物(J)に炭素数3〜12のAOを付加重合して得られる化合物が挙げられる。ポリオール(s1)を得られやすいことから、この付加重合で用いられる触媒は触媒(G)であることが好ましい。
例えば(K)は、(J)へのPO、ブチレンオキサイド等の付加物が挙げられる。
【0056】
触媒(G)は下記一般式(VII−1)、(VII−2)又は(VII−3)で表される化合物である。これを用いて炭素数3〜12のAOを開環付加重合することにより、収率良く開環重合体が得られ、末端水酸基の1級水酸基率が高いポリオキシアルキレンポリオールが得られるものである。
【0057】
【化11】

【0058】
【化12】

【0059】
【化13】

【0060】
上記一般式(VII−1)、(VII−2)又は(VII−3)中、それぞれ、Xはホウ素原子又はアルミニウム原子を表す。反応性の観点から、ホウ素原子が好ましい。
【0061】
一般式(VII−1)、(VII−2)又は(VII−3)中のR5は、下記一般式(VIII)で表される(置換)フェニル基又は下記一般式(IX)で表される3級アルキル基を表し、R5が複数ある場合、複数のR5は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0062】
【化14】

【0063】
【化15】

【0064】
上記一般式(VIII)中のYは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を表し、同一でも異なっていてもよい。これらのうち、水素原子、ハロゲン原子及びシアノ基が好ましく、さらに好ましくは、ハロゲン原子及びシアノ基である。
また、kは0〜5の数を表す。
一般式(VIII)で表されるフェニル基又は置換フェニル基の具体例としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−メチルフェニル基、p−シアノフェニル基及びp−ニトロフェニル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基及びp−シアノフェニル基であり、さらに好ましくはフェニル基、ペンタフルオロフェニル基である。
【0065】
上記一般式(IX)中のR6、R7又はR8はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を表し、同一でも異なっていてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。一般式(IX)で表される3級アルキル基の具体例としては、t−ブチル基及びt−ペンチル基等が挙げられる。
【0066】
触媒(G)としては、具体的にはトリフェニルボラン、ジフェニル−t−ブチルボラン、トリ(t−ブチル)ボラン、トリフェニルアルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン及びトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムが挙げられる。
【0067】
活性水素含有化合物(J)に、触媒(G)の存在下で、AOを付加させて、活性水素化合物(K)を得る際の付加させるAOの付加モル数は、活性水素含有化合物(J)の活性水素当たり、1モル〜200モルが好ましく、さらに好ましくは1〜100モルであり、製造する開環重合体の分子量とその用途により適宜選択する。
【0068】
触媒(G)の使用量は特に限定されないが、製造する開環重合体に対して0.0001〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.0005〜1重量%である。
【0069】
活性水素含有化合物(J)に、触媒(G)の存在下で、AOを付加させて、前述の一般式(XII)で表される活性水素化合物(K)を得る際、圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(t)を連続的又は断続的に除去することが、前述の数式(1)を満たす(s1)が得られやすく、好ましい。除去する方法は、通常知られているいずれの方法で実施してもよい。例えば、(t)を反応混合物から加熱及び/又は減圧して除去する方法、反応槽内の気相を気相循環ポンプを用いて反応槽から抜き出し(t)を吸着剤で除去する方法、反応槽内の気相を気相循環ポンプを用いて反応槽から抜き出し(t)を触媒を用いて反応させて高沸点化合物として分離する方法、反応槽内の気相を気相循環ポンプを用いて反応槽から抜き出し(t)を蒸留により分離する方法等がある。
【0070】
圧力0.1MPaにおける沸点が150℃以下の副生低沸点化合物(t)の具体例としては、ホルムアルデヒド(沸点−19℃)、アセトアルデヒド(沸点20℃)、プロピオンアルデヒド(沸点48℃)及びアリルアルコールにAOが0〜2モル付加した化合物等が挙げられる。(t)は、AOを付加する際に、ポリオール(s1)の重量を基準として、0.0001〜10重量%発生する場合が多い。
【0071】
AOを活性水素含有化合物(J)に付加させる際には、活性水素含有化合物(J)とAOと触媒(G)の3種類を一括で仕込んで反応させてもよいし、活性水素含有化合物(J)と触媒(G)との混合物にAOを滴下して反応させてもよいし、あるいは活性水素含有化合物(J)にAOと触媒(G)とを滴下して反応しても良い。反応温度の制御の観点から、活性水素含有化合物(J)と触媒(G)との混合物にAOを滴下する、あるいは、活性水素含有化合物(J)にAOと触媒(G)とを滴下する方法が好ましい。
【0072】
活性水素含有化合物(J)にAOを付加させる際の反応温度は、0℃〜250℃が好ましく、さらに好ましくは20℃〜180℃である。
【0073】
製造されたポリオール(s1)は触媒(G)を含んでいるが、その用途により必要に応じて、触媒(G)の分解及び/又は除去処理を実施する。
【0074】
分解方法としては、水及び/又はアルコール化合物、必要によりアルカリ化合物等の塩基性物質を加える方法がある。アルコール化合物としては前述のアルコール及び/又はフェノールを用いることができる。アルカリ化合物としてはアルカリ金属水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化セシウム等)、アルカリ金属アルコラート(カリウムメチラート、ナトリウムメチラート等)及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。これらのうち、生産性の観点から、アルカリ金属水酸化物が好ましい。分解に際して、分解温度は、10℃〜180℃が好ましく、さらに好ましくは80〜150℃である。分解は密閉状態で行ってもよく、真空源に接続して排気しながら行ってもよく、あるいは水又はアルコール化合物を連続して添加しながら行ってもよい。添加する水又はアルコールは、液体の状態で添加してもよく、蒸気あるいは固体状態で添加してもよい。水及び/又はアルコール化合物の使用量は、付加生成物の重量を基準として、0.1〜100重量%が好ましく、さらに好ましくは1〜20重量%である。アルカリ化合物の使用量は、付加生成物の重量を基準として、0.1〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.3〜2重量%である。
【0075】
除去方法としては、通常知られているいずれの方法で実施してもよい。例えば、ハイドロタルサイト系吸着剤{キョーワード500、キョーワード1000及びキョーワード2000等(いずれも協和化学工業社製)}や珪藻土等のろ過助剤{ラヂオライト600、ラヂオライト800及びラヂオライト900(いずれも昭和化学工業社製)}等を用いることができる。ろ過は、加圧ろ過、減圧ろ過のどちらでもよいが、酸素の混入を防止しやすいので加圧ろ過が好ましい。フィルターの材質は特に限定されない。例えば、紙、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、アクリル及びメタアラミド等が挙げられ、紙が好ましい。また、フィルターの保留粒子径は0.1〜10μmのものが好ましく。さらに1〜5μmのものが好ましい。
【0076】
なお、触媒(G)がポリオール(s1)中に残存しても、従来のアルカリ系触媒と比較すると、その後の例えばウレタン化反応におけるポリオールとイソシアネートとの反応性には、大きな悪影響を及ぼさない。しかし、着色防止の観点から残存する触媒は分解及び/又は除去することが好ましい。
【0077】
本発明の製造方法に用いる活性水素成分(S)は、ポリオール(s1)を含んでなる。すなわち、活性水素成分(S)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、添加剤の存在下反応させて、ポリウレタンフォームを製造する際、(S)の少なくとも一部として、ポリオール(s1)を使用する。
【0078】
活性水素成分(S)の少なくとも一部として、(s1)を用いることには、(s1)中でビニルモノマー(g)を重合させて得られる重合体ポリオールを使用することも含まれる。
重合体ポリオールは、(s1)中にポリマー粒子(P)が分散された重合体ポリオールである。
重合体ポリオールは、(s1)中でビニルモノマー(g)を公知の方法で重合して製造することができる。例えば、(s1)中で、ラジカル重合開始剤の存在下、ビニルモノマー(g)が重合され、得られた(g)の重合体が安定分散されたものが挙げられる。重合方法の具体例としては、米国特許第3383351号明細書及び特公昭39−25737号公報等に記載の方法が挙げられる。
(g)としては、スチレン及び/又はアクリロニトリルが好ましい。
【0079】
本発明において、活性水素成分(S)中には、ポリオール(s1)以外の活性水素成分(s2)を含有してもよく、(s2)としては、例えば(s1)以外のポリオール、モノオール、アミン及びこれらの混合物等が挙げられる。
(s1)以外のポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びその他のポリオールが挙げられる。
【0080】
(s2)のうち、ポリエーテルポリオールとしては、活性水素含有化合物のAO付加物であって、(s1)以外のものが挙げられる。
(s2)のうち、ポリエステルポリオールとしては、下記の(1)〜(5)のものが挙げられる。
(1)多価アルコールとポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体とのエステル化物
多価アルコールは、2価アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−及び1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール並びにネオペンチルグリコール等)、ポリエーテルポリオール(好ましくはジオール)、3価以上の多価アルコール(グリセリン及びトリメチロールプロパン等)及びこれらの混合物である。ポリカルボン酸のエステル形成性誘導体は、酸無水物及び低級アルキル(アルキル基の炭素数:1〜4)エステル等である。ポリカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、アジピン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸及びテレフタル酸ジメチル等が挙げられる。
(2)カルボン酸無水物及びAOとの縮合反応物
(3)上記(1)及び(2)のAO(EO、PO等)付加物
(4)ポリラクトンポリオール:例えば多価アルコールを開始剤としてラクトン(ε−カプロラクトン等)を開環重合させることにより得られるもの。
(5)ポリカーボネートポリオール:例えば前記多価アルコールとアルキレンカーボネートとの反応物。
【0081】
(s2)のうち、その他のポリオール及びモノオールとしては、ポリブタジエンポリオール等のポリジエンポリオール及びこれらの水添物;アクリル系ポリオール、特開昭58−57413号公報及び特開昭58−57414号公報等に記載された水酸基含有ビニル重合体;ヒマシ油等の天然油脂系ポリオール;ヒマシ油変性物(例えば多価アルコールエステル交換生成物、水添物)等の天然油脂系ポリオールの変性物;国際公開WO98/44016号公報に記載の末端ラジカル重合性官能基含有活性水素化合物(モノオールも含まれる。);ポリエーテルポリオールをメチレンジハライド等のアルキレンジハライド等で結合し、高分子量化した変性ポリオール;ポリエーテルポリオールのOH末端プレポリマー;前述した多価アルコール;等が挙げられる。
(s2)のうち、アミンとしては前述のものが挙げられる。
【0082】
活性水素成分(s2)のうち、生産性の観点から、ポリエーテルポリオールが好ましい。
【0083】
本発明において、ポリオール(s1)の含有量(重量%)は、活性水素成分(S)の合計重量に基づいて、65以上が好ましく、さらに好ましくは70以上、次にさらに好ましくは75以上である。
【0084】
有機ポリイソシアネート成分(B)としては、従来からポリウレタン製造に使用されているものが使用できる。このようなイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、これらの変性物(例えば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、イソシアヌレート基、又はオキサゾリドン基含有変性物等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0085】
芳香族ポリイソシアネートとしては、炭素数(NCO基中の炭素を除く;以下のイソシアネートも同様)6〜16の芳香族ジイソシアネート、炭素数6〜20の芳香族トリイソシアネート及びこれらのイソシアネートの粗製物等が挙げられる。具体例としては、1,3−及び/又は1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−及び/又は2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、粗製TDI、2,4’−及び/又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(粗製MDI)、等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜10の脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
【0086】
脂環式ポリイソシアネートとしては、炭素数6〜16の脂環式ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、炭素数8〜12の芳香脂肪族ジイソシアネート等が挙げられる。具体例としては、キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
変性ポリイソシアネートの具体例としては、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDI等が挙げられる。
【0087】
発泡剤(C)は、水が好ましく、生産性の観点から水のみであることがさらに好ましい。
発泡剤(C)としての水の使用量は、発泡倍率及びフォームの崩壊性の観点から、活性水素成分(S)100重量部に対して、2〜8重量部が好ましく、さらに好ましくは2.5〜7.5重量部である。
発泡剤(C)の使用量が2重量部以上であると発泡倍率が十分でありフォーム成形時に型内での充填が十分となる。8重量部以下であると過剰の発泡ガスが発生せず、フォームが崩壊しにくくなる。
発泡剤(C)としては水のみを用いるのが好ましいが、必要により水素原子含有ハロゲン化炭化水素、低沸点炭化水素及び液化炭酸ガス等を併用してもよい。
【0088】
水素原子含有ハロゲン化炭化水素系発泡剤の具体例としては、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)(HCFC−123、HCFC−141b、HCFC−22及びHCFC−142b等);HFC(ハイドロフルオロカーボン)(例えばHFC−134a、HFC−152a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa及びHFC−365mfc等)等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、HCFC−141b、HFC−134a、HFC−356mff、HFC−236ea、HFC−245ca、HFC−245fa及びHFC−365mfc並びにこれらの2種以上の混合物である。
発泡剤(C)として水素原子含有ハロゲン化炭化水素を用いる場合の使用量は、活性水素成分(S)100重量部当たり、50重量部以下が好ましく、さらに好ましくは5〜45重量部である。
【0089】
低沸点炭化水素は、沸点が−5〜70℃の炭化水素であり、その具体例としては、ブタン、ペンタン、シクロペンタン及びこれらの混合物が挙げられる。
発泡剤(C)として低沸点炭化水素を用いる場合の使用量は、活性水素成分(S)100重量部当たり、30重量部以下が好ましく、さらに好ましくは25重量部以下である。
発泡剤(C)として液化炭酸ガスを用いる場合の使用量は、活性水素成分(S)100重量部あたり、30重量部以下が好ましく、さらに好ましくは25重量部以下である。
【0090】
ウレタン化触媒(D)としては、ウレタン化反応を促進する通常の触媒はすべて使用でき、3級アミン{トリエチレンジアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノ−2−エチル)エーテル及び、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン等}、3級アミンのカルボン酸塩、カルボン酸金属塩(酢酸カリウム、オクチル酸カリウム及びスタナスオクトエート等)及び有機金属化合物(ジブチルチンジラウレート等)が挙げられる。ウレタン化触媒(D)の使用量は、活性水素成分(S)100重量部に対して、0.1〜0.8重量部が好ましく、さらに好ましくは0.15〜0.7重量部である。
【0091】
整泡剤(E)としては、ポリウレタンフォームの製造に用いられるものはすべて使用でき、シリコーン整泡剤等が挙げられる。
シリコーン整泡剤としては、ポリエーテル変性ジメチルシロキサン系整泡剤[東レ・ダウコーニング(株)製の「SZ−1346」及び「SF−2962」並びにモメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の「L−3640」等]、ジメチルシロキサン系整泡剤[東レ・ダウコーニング(株)製の「SRX−253」等]等が挙げられる。
整泡剤の使用量は、活性水素成分(S)100重量部に対して、0.5〜3重量部が好ましく、さらに好ましくは0.8〜2.5重量部である。
【0092】
本発明においては、必要により、着色剤、難燃剤、老化防止剤及び抗酸化剤等の公知の補助成分を用い、その存在下で反応させてもよい。着色剤としては、染料及び顔料が含まれる。難燃剤としては、リン酸エステル及びハロゲン化リン酸エステル等が含まれる。老化防止剤としては、トリアゾール系及びベンゾフェノン系の老化防止剤等が含まれる。抗酸化剤としては、ヒンダードフェノール系及びヒンダードアミン系の抗酸化剤等が含まれる。
これらの補助成分の使用量は、活性水素成分(S)100重量部に対して、着色剤は、1重量部以下が好ましく、難燃剤は、5重量部以下が好ましく、さらに好ましくは2重量部以下であり、老化防止剤は、1重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.5重量部以下であり、抗酸化剤は、1重量部以下が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量部である。
【0093】
本発明の製造方法において、ポリウレタンフォームの製造に際してのイソシアネート指数[(NCO基/活性水素原子含有基)×100]は、70〜125が好ましく、さらに好ましくは75〜120、特に好ましくは80〜115である。なお、活性水素原子含有基には、発泡剤である水由来のものを含むものとする。
【0094】
本発明の製造方法によるポリウレタンフォームの製造法の一例を示せば、下記の通りである。まず、活性水素成分(S)、発泡剤(C)、ウレタン化触媒(D)及び整泡剤(E)、並びに必要により他の補助成分を所定量混合する。次いでポリウレタン発泡機又は攪拌機を使用して、この混合物と有機ポリイソシアネート(B)とを急速混合する。得られた混合液をモールド(例えば15〜70℃)に注入し、所定時間後脱型して軟質ポリウレタンフォームを得る。
【実施例】
【0095】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0096】
実施例及び比較例におけるポリウレタンフォームの原料は次の通りである。
【0097】
1.ポリオール(s1)
<ポリオール(s1−1)の製造>
図1に示した態様のように、容量2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(3)付きのステンレス製オートクレーブ(1)と、蒸留塔(2)(理論段数50段、ステンレス製円筒管、内径5.5cm、長さ3m)とを、循環ライン(4)、(5)で接続した。
オートクレーブ(1)に、グリセリンのPO付加物(水酸基価280)200gとトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン0.09gを仕込んだ後、オートクレーブ(1)と蒸留塔(2)及び循環ライン(4)、(5)内を0.005MPaまで減圧とした。原料供給ライン(3)を通じてPOを反応温度が50〜60℃を保つように制御しながら連続的に液相に投入しつつ、ダイアフラムポンプを用いてオートクレーブ(1)内の気相を5L/minの流量で、オートクレーブ(1)→循環ライン(4)→蒸留塔(2)→循環ライン(5)→オートクレーブ(1)の順に循環させた。蒸留塔(2)にて副生低沸点化合物をPOと分離する事で系外に除去した。分離した副生低沸点化合物は蒸留塔(2)の釜下ライン(6)から抜き取った。オートクレーブ内液量が1680mlとなった時点でPOの投入を停止、気相循環を終了し、70℃で4時間熟成し、水を200g加え130〜140℃で1時間加熱した。1時間加熱後、水を2時間かけて常圧留去した後、水酸化カリウム5.0gを加え130〜140℃にてスチームを通入しながら圧力を30〜50torrに保ちながら残りの水を減圧留去した。引き続き、原料供給ライン(3)を通じてEO320gを反応温度が130〜140℃を保つように制御しながら2時間かけて投入した後、2時間熟成した。90℃まで冷却した後、12gのキョーワード600(協和化学社製;合成珪酸塩)と水40gを加え1時間処理した。オートクレーブより取り出した後、1ミクロンのろ紙を用いてろ過した後、減圧脱水し、液状のグリセリンPOEO付加物のポリオール(s1−1)を得た。(水酸基価=28.1、末端EO単位の含有量=16.0%、1級水酸基化率=93%、総不飽和度=0.013〔式(1)の右辺=0.030〕)
なお、原料として用いたグリセリンのPO付加物は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてグリセリンにPOを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0098】
<ポリオール(s1−2)の製造>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)200gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価224)417gを用い、「オートクレーブ内液量が1680mlとなった時点でPOの投入を停止」の代わりに「オートクレーブ内液量が1780mlとなった時点でPOの投入を停止」すること、及び、「EO320g」の代わりに、「EO220g」とする以外はポリオール(s1−1)の製造と同様の方法にて合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物のポリオール(s1−2)を得た。(水酸基価=46.8、末端EO単位の含有量=11.0%、1級水酸基化率=87%、総不飽和度=0.008〔式(1)の右辺=0.012〕)
なお、原料として用いたペンタエリスリトールのPO付加物は既知の方法で合成されたもの、つまり、水酸化カリウムを触媒としてグリセリンにPOを所定量付加した後、触媒除去のため、水と合成珪酸塩(協和化学社製 キョーワード600)を加えて加熱処理後、ろ過、減圧脱水したものである。
【0099】
<ポリオール(s1−3)の製造>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)200gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価224)286gを用い、「オートクレーブ内液量が1680mlとなった時点でPOの投入を停止」の代わりに「オートクレーブ内液量が1760mlとなった時点でPOの投入を停止」すること、及び、「EO320g」の代わりに、「EO240g」とする以外はポリオール(s1−1)の製造と同様の方法にて合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物のポリオール(s1−3)を得た。(水酸基価=32.1、末端EO単位の含有量=12.0%、1級OH化率=90%、総不飽和度=0.012〔式(1)の右辺=0.024〕)
【0100】
<ポリオール(s1−4)の製造>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)200gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価224)250gを用い、「オートクレーブ内液量が1680mlとなった時点でPOの投入を停止」の代わりに「オートクレーブ内液量が1720mlとなった時点でPOの投入を停止」すること、及び、「EO320g」の代わりに、「EO280g」とする以外はポリオール(s1−1)の製造と同様の方法にて合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物のポリオール(s1−4)を得た。(水酸基価=28.1、末端EO単位の含有量=14.0%、1級水酸基化率=92%、総不飽和度=0.014〔式(1)の右辺=0.031〕)
【0101】
<ポリオール(s1−5)の製造>
グリセリンのPO付加物(水酸基価280)200gを用いる代わりに、ペンタエリスリトールのPO付加物(水酸基価224)250gを用い、「オートクレーブ内液量が1680mlとなった時点でPOの投入を停止」の代わりに「オートクレーブ内液量が1840mlとなった時点でPOの投入を停止」すること、及び、「EO320g」の代わりに、「EO160g」とする以外はポリオール(s1−1)の製造と同様の方法にて合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物のポリオール(s1−5)を得た。(水酸基価=28.1、末端EO単位の含有量=8.0%、1級水酸基化率=86%、総不飽和度=0.010〔式(1)の右辺=0.033〕)
【0102】
<ポリオール(s1−6)の製造>
「グリセリンのPO付加物(水酸基価280)を200g」用いる代わりに、「グリセリンのPO付加物(水酸基価280)を400g」を用い、「オートクレーブ内液量が1680mlとなった時点でPOの投入を停止」の代わりに「オートクレーブ内液量が1600mlとなった時点でPOの投入を停止」すること、及び、「EO320g」の代わりに、「EO400g」とする以外はポリオール(s1−1)の製造と同様の方法にて合成し、液状のグリセリンPOEO付加物のポリオール(s1−6)を得た。(水酸基価=33.7、末端EO単位の含有量=20.0%、1級水酸基化率=93%、総不飽和度=0.011〔式(1)の右辺=0.020〕)
【0103】
<ポリオール(s1−7)の製造>
「グリセリンのPO付加物(水酸基価280)を200g」用いる代わりに、「グリセリンのPO付加物(水酸基価280)を222g」を用い、「オートクレーブ内液量が1680mlとなった時点でPOの投入を停止」の代わりに「オートクレーブ内液量が1720mlとなった時点でPOの投入を停止」すること、及び、「EO320g」の代わりに、「EO280g」とする以外はポリオール(s1−1)の製造と同様の方法にて合成し、液状のグリセリンPOEO付加物のポリオール(s1−7)を得た。(水酸基価=18.7、末端EO単位の含有量=14.0%、1級水酸基化率=94%、総不飽和度=0.018〔式(1)の右辺=0.059〕)
【0104】
<ポリオール(s1−8)の製造>
「グリセリンのPO付加物(水酸基価280)200g」を用いる代わりに、「グリセリンのPO付加物(水酸基価280)833g」を用い、「オートクレーブ内液量が1680mlとなった時点でPOの投入を停止」の代わりに「オートクレーブ内液量が1880mlとなった時点でPOの投入を停止」すること、及び、「EO320g」の代わりに、「EO120g」とする以外はポリオール(s1−1)の製造と同様の方法にて合成し、液状のグリセリンPOEO付加物のポリオール(s1−8)を得た。(水酸基価=70.1、末端EO単位の含有量=6.0%、1級水酸基化率=76%、総不飽和度=0.004〔式(1)の右辺=0.008〕)
【0105】
<ポリオール(s1−9)の製造>
ポリオール(s1−2)中で、アクリロニトリルを共重合させ、重合体ポリオールs1−9)(重合体含量20.0%、水酸基価=37.4、重合体微粒子の体積平均粒子径=0.4μm)を得た。
【0106】
<ポリオール(s1−10)の製造>
ポリオール(s1−4)中で、スチレンとアクリロニトリル(質量比:30/70)を共重合させ、重合体ポリオール(s1−10)(重合体含量30.0%、水酸基価=19.7、重合体微粒子の体積平均粒子径=0.4μm)を得た。
【0107】
2.ポリオール(s1)以外の活性水素成分(s2)
(1)活性水素成分(s2−1):グリセリンのPO・EOランダム付加物。水酸基価=24.0、EO単位の含有量=72.0%、1級水酸基化率=30%
(2)活性水素成分(s2−2):ソルビトールのPO付加物。水酸基価=490
(3)活性水素成分(s2−3):グリセリンのEO付加物。水酸基価=842
(4)活性水素成分(s2−4):エチレングリコール。水酸基価=1810
(5)活性水素成分(s2−5):トリエタノールアミン。水酸基価=1130
【0108】
<活性水素成分(s2−6)の製造>
図2に示した態様のように、2500mlの撹拌装置、温度制御装置、原料供給ライン(3)付きのステンレス製オートクレーブ(1)に、グリセリン31gと水酸化カリウム5.0gを仕込んだ後、原料供給ライン(3)を通じてPOを反応温度が90〜100℃を保つように制御しながら投入した。但し、POの投入は6時間かけて連続して実施した。オートクレーブ内液量が1680mlとなるまで投入した後、100℃で3時間熟成した。引き続き、原料供給ライン(3)を通じてEO320gを反応温度が130〜140℃を保つように制御しながら2時間かけて投入した後、2時間熟成した。90℃まで冷却した後、12gのキョーワード600(協和化学社製;合成珪酸塩)と水40gを加え1時間処理した。オートクレーブより取り出した後、1ミクロンのろ紙を用いてろ過した後、減圧脱水し、液状のグリセリンPOEO付加物の活性水素成分(s2−6)を得た。(水酸基価=28.1、末端EO単位の含有量=16.0%、1級水酸基化率=82%、総不飽和度=0.069〔式(1)の右辺=0.030〕)
【0109】
<活性水素成分(s2−7)の製造>
グリセリン31gを用いる代わりに、ペンタエリスリトール57gを用い、「オートクレーブ内液量が1680mlとなるまで投入」の代わりに「オートクレーブ内液量が1780mlとなるまで投入」すること、及び、「EO320g」の代わりに「EO220g」とする以外は活性水素成分(s2−6)の製造と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物の活性水素成分(s2−7)を得た。(水酸基価=46.8、末端EO単位の含有量=11.0%、1級水酸基化率=63%、総不飽和度=0.042〔式(1)の右辺=0.012〕)
【0110】
<活性水素成分(s2−8)の製造>
グリセリン31gを用いる代わりに、ペンタエリスリトール39gを用い、「オートクレーブ内液量が1680mlとなるまで投入」の代わりに「オートクレーブ内液量が1760mlとなるまで投入」すること、及び、「EO320g」の代わりに「EO240g」とする以外は活性水素成分(s2−6)の製造と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物の活性水素成分(s2−8)を得た。(水酸基価=32.1、末端EO単位の含有量=12.0%、1級水酸基化率=72%、総不飽和度=0.063〔式(1)の右辺=0.024〕)
【0111】
<活性水素成分(s2−9)の製造>
グリセリン31gを用いる代わりに、ペンタエリスリトール34gを用い、「オートクレーブ内液量が1680mlとなるまで投入」の代わりに「オートクレーブ内液量が1720mlとなるまで投入」すること、及び、「EO320g」の代わりに「EO280g」とする以外は活性水素成分(s2−6)の製造と同様の方法で合成し、液状のペンタエリスリトールPOEO付加物の活性水素成分(s2−9)を得た。(水酸基価=28.1、末端EO単位の含有量=14.0%、1級水酸基化率=79%、総不飽和度=0.071〔式(1)の右辺=0.031〕)
【0112】
<活性水素成分(s2−10)の製造>
ポリオールb1−2中で、アクリロニトリルを共重合させ、活性水素成分(s2−10)を得た。(重合体含量20.0%、水酸基価=37.4、重合体微粒子の体積平均粒子径=0.4μm)
【0113】
<活性水素成分(s2−11)の製造>
ポリオールb1−4中で、スチレンとアクリロニトリル(質量比:30/70)を共重合させ、活性水素成分(s2−11)を得た。(重合体含量30.0%、水酸基価=19.7、重合体微粒子の体積平均粒子径=0.4μm)
【0114】
3.ウレタン化触媒(D)
(1)ウレタン化触媒D−1:エアプロダクツジャパン(株)製「DABCO−33LV」(トリエチレンジアミンの33重量%ジプロピレングリコール溶液)
(2)ウレタン化触媒D−2:東ソー(株)製「TOYOCAT ET」{ビス(ジメチルアミノエチル)エーテルの70重量%ジプロピレングリコール溶液}
【0115】
4.整泡剤(E)
(1)整泡剤E−1:東レ・ダウコーニング(株)製「SZ−1346」
(2)整泡剤E−2:EVONIK社製「TEGOSTAB B8715LF」
5.発泡剤(C)
(1)発泡剤C−1:水
【0116】
6.有機ポリイソシアネート成分(B)
(1)有機ポリイソシアネートB−1:三井化学(株)製「コスモネート TM−20」(TDI−80(2,4−及び2,6−TDI、2,4−体の比率が80重量%)/粗製MDI(平均官能基数:2.9)=80/20(重量比)(NCO%:44.6%))
【0117】
実施例における測定、評価方法は次のとおりである。
<体積平均粒子径>
50mlのガラス製ビーカーにメタノール30mlを入れ、ポリマーポリオールを2mg投入し、長径2cm、短径0.5cmのスターラーピースを用いてマグネチックスターラーで400rpm×3分間攪拌、混合した。混合後、5分間以内に測定セルに投入し、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置[型番:LA−750、(株)堀場製作所製]を用いて体積基準による体積平均粒子径を測定した。
【0118】
<物性試験>
<1>:全密度(kg/m3
<2>:コア密度(kg/m3
<3>:フォーム硬さ(kgf/314cm2
<4>:反発弾性率(%)
<5>:伸び率(%)
<6>:圧縮残留歪み率(%)
<1>〜<6>はJIS K 6400(2004年版)に準拠した。
<7>:湿熱圧縮残留歪み率(%)
<7>の測定条件は、<6>の試験において温度50℃、湿度95%とした。
<8>:キュア性
フォーム脱型直後に、端部を指で10秒間はさみ、
指跡の残らないもの;○
指跡の残るもの ;×
として評価した。
【0119】
実施例1〜12並びに比較例1〜6
表1、表2に示す部数のポリオールプレミックスと有機ポリイソシアネート成分(B)を、高圧ウレタン発泡機(ポリマーエンジニアリング社製)の原料タンクに仕込み、液温を25℃に調節した。その後、高圧ウレタン発泡機でポリオールプレミックスと表に記載のイソシアネート指数となる量の有機ポリイソシアネート成分(B)とを15MPaで高圧吐出混合し、65℃に温度調節した400mm(長さ)×400mm(幅)×100mm(高さ)のアルミ製モールド、または自動車のシートクッションパッド成形用アルミ製モールド(実型)に注入し、キュアー時間5.5分にて成形した。
各フォームの物性値の測定結果を表1、2に示す。なおコア密度はフォームの中心部から、100mm×100mm×50mmの大きさに切り出して測定した密度である。
【0120】
【表1】

【0121】
【表2】

【0122】
以上の結果から、本発明の製造方法により得られた実施例1〜12のフォームは、比較例1〜6のフォームよりも低い密度範囲で成形可能である。
実施例1は低密度でもフォームの成形が可能であるのに対し、同じ密度で形成しようとした比較例1はフォーム成形時に崩壊してしまう。実施例3は同程度の密度の比較例2よりもフォーム硬さ、反発弾性、伸び率、湿熱圧縮歪み率、キュア性が優れており、特に湿熱圧縮歪み率が極めて優れている。さらに実施例3は同等のフォーム硬さを示す比較例3よりも軽量であり、湿熱圧縮歪み率は軽量であるにも関わらず優れている。
実施例7は同程度の密度の比較例4よりもフォーム硬さ、反発弾性、伸び率、湿熱圧縮歪み率が優れており、特に湿熱圧縮歪み率が極めて優れている。実施例9は同程度の密度の比較例5よりもフォーム硬さ、反発弾性、伸び率、湿熱圧縮歪み率が優れており、特に湿熱圧縮歪み率が極めて優れている。さらに実施例10は同等のフォーム硬さ、反発弾性、伸び率、湿熱圧縮歪み率を示す比較例6よりも軽量である。
したがって、本発明の製造方法によれば、低密度で成形性が良好かつ湿熱耐久性及び機械物性に優れる軟質ポリウレタンフォームを得ることができることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明による軟質ポリウレタンフォームの製造方法によれば、低密度で成形性が良好かつ耐久性に優れる軟質ポリウレタンフォームを得ることができる。本発明により得られるフォームはクッション材として有用であり、特に自動車等の車両用シートクッション材として著しい有用性を発揮する。
【符号の説明】
【0124】
1:オートクレーブ
2:蒸留塔
3:原料供給ライン
4:循環ライン
5:循環ライン
6:釜下ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性水素成分(S)と有機ポリイソシアネート成分(B)とを、発泡剤(C)、ウレタン化触媒(D)及び整泡剤(E)の存在下に反応させて軟質ポリウレタンフォームを製造する方法において、(S)中に下記ポリオール(s1)を含有することを特徴とする軟質ポリウレタンフォームの製造方法。
ポリオール(s1):活性水素含有化合物(H)のアルキレンオキサイド付加物であって、末端に位置する水酸基の40%以上が下記一般式(I)で表される1級水酸基含有基であり、水酸基価xと総不飽和度yとエチレンオキサイド単位含有量zが数式(1)の関係を満たし、かつ水酸基価xが10〜115mgKOH/gであるポリオキシアルキレンポリオール。
【化1】

[一般式(I)中、R1は、水素原子、又は炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。]
y≦28.3×x-2×(100−z)/100 (1)
[数式(1)中、xは単位mgKOH/gで表される水酸基価、yは単位meq/gで表される総不飽和度を表す。zは、(s1)の重量を基準とするエチレンオキサイド単位含有量であり、0〜50重量%である。]
【請求項2】
ポリオール(s1)が、下記一般式(II)で表される請求項1に記載の製造方法。
【化2】

[一般式(II)中、R2は、活性水素含有化合物(H)からm個の活性水素を除いたm価の基;Zは下記一般式(III)又は(IV)で表される炭素数2〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基である。アルキレン基又はシクロアルキレン基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。;Aは、下記一般式(V)又は(VI)で表される炭素数3〜12のアルキレン基又はシクロアルキレン基である。アルキレン基又はシクロアルキレン基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。複数のZ又はAがある場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい;mは2〜100の整数;pは0〜200の整数、qは1〜200の整数;rは0〜200の整数である。]
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

[一般式(III)及び(IV)中、R3は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基若しくはフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。一般式(V)及び(VI)中、R4は炭素数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基を表す。アルキル基、シクロアルキル基又はフェニル基は、ハロゲン原子又はアリール基で置換されていてもよい。]
【請求項3】
一般式(II)中の(AO)qの部分のうち、末端に位置するAの構造の40%以上が、一般式(VI)で表される構造である請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
ポリオール(s1)が、一般式(II)中、−(AO)q−の部分が、下記一般式(VII−1)で表される化合物、(VII−2)で表される化合物及び(VII−3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の触媒(G)の存在下で、炭素数3〜12のアルキレンオキサイドを開環付加重合させることで得られるポリオールである請求項2又は3に記載の製造方法。
【化7】

【化8】

【化9】

[一般式(VII−1)、(VII−2)又は(VII−3)中、それぞれ、Xはホウ素原子又はアルミニウム原子を表す。Fはフッ素原子である。R5は下記一般式(VIII)で表される(置換)フェニル基又は下記一般式(IX)で表される3級アルキル基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【化10】

[一般式(VIII)中、Yは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基又はシアノ基を表す。;kは0〜5の数を表し、kが2以上のとき、複数のYはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。]
【化11】

[一般式(IX)中、R6、R7又はR8はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基を表す。]
【請求項5】
ポリオール(s1)の末端に位置する水酸基含有基の60%以上が一般式(I)で表される1級水酸基含有基である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られた軟質ポリウレタンフォームからなる車両座席用クッション材。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−162778(P2011−162778A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4484(P2011−4484)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】