軟骨細胞の容器および使用方法
遺伝子組み換え軟骨細胞により産生された治療薬を送達する装置および方法を提供する。より詳細には、装置はハウジングを含み、ハウジングは、大量の軟骨細胞を保持すると共に、これらの捕捉された細胞により産生された治療薬を選択的に放出するように構成された細胞チャンバを画定する。例示的実施形態では、細胞チャンバは、細胞の一部が装置の外壁から少なくとも約1.5mmに位置付けられうる(すなわち外部栄養素供給部から約1.5mm離れる)ように、構成されることができる。例えば、細胞チャンバは、ある長さおよび直径を有する管状構成を有してよく、これらの寸法はそれぞれ、少なくとも約3mmである(それにより、チャンバに対する中央コアが装置の外壁から少なくとも約1.5mmのところにくる)。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、米国特許法第119条の下、「Chondrocyte Container and Method of Use」と題された2007年6月1日出願の米国仮特許出願第60/941,326号、および、「Chondrocyte Container and Method of Use」と題された2008年5月20日出願の米国特許出願第12/123,650号の優先権を主張するものであり、これらの特許出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔使用分野〕
本発明は、遺伝子組み換えの軟骨細胞により産生された治療薬を様々な治療部位に送達することに関する。
【0003】
〔背景〕
様々なタイプの生物学的に活性な細胞により産生された生物活性剤を送達する目的で、植え込まれた装置の構成要素としてそれらの細胞を使用することは、当技術分野で周知である。そのような植え込まれた細胞の生存性を高める方法を考案しようとする様々な試みは、結局達成されておらず、細胞に栄養素を供給するために、インプラントの脈管化、または約2〜3mmの最大拡散距離のいずれかを必要とする。これらの様々なタイプの細胞には、線維芽細胞、筋芽細胞、幹細胞、前駆細胞、分化成熟した組織細胞(mature differentiated tissue cells)、および未分化細胞が含まれる。
【0004】
軟骨細胞は、治療薬を発現させる(expressing)ためのビヒクルとして、他の細胞型にまさるいくつかの独自の利点を提供する。例えば、軟骨細胞は、脈管支持を必要とせず、ゆえに、血管新生系が減少しているかまたは存在しない環境で容易に使用されることができる。さらに、軟骨細胞は、低pHおよび低酸素の環境を含む、過酷な生体内環境で生存することができる。加えて、正常な軟骨細胞の抗血管新生性に起因して悪性腫瘍の可能性が減少する。軟骨細胞は、同時に植え込まれた同種または異種組織(co-implanted allogenic or xenogenic tissue)の免疫拒絶を軽減する免疫特権特性も有している。そのうえ、軟骨細胞は、他の正常な非形質転換細胞株と比較して、さらに容易に測定可能(scalable)である。軟骨組織以外の病状または傷害を治療するために治療薬を発現させる軟骨細胞の遺伝子組み換え(genetic alteration)が、譲受人の同時係属特許出願、米国特許出願公開第2005/0054595号および同第2006/0292131号で論じられており、これらの出願公開は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0005】
しかしながら、軟骨細胞(chondroctyes)とは通常関連していない様々な治療部位に、大量の、このような遺伝子組み換え軟骨細胞を送達することができる装置および方法に対する必要性が残っている。
【0006】
〔概要〕
様々な治療部位に治療薬を送達する装置および方法の様々な実施形態が本明細書で提供される。より詳細には、装置はハウジングを含み、ハウジングは、遺伝子組み換え軟骨細胞集団を保持するように構成された内部細胞チャンバを画定している。ハウジングは、これらの軟骨細胞の通過を防ぐと共に、多数の出口ポート(例えば半透膜)を介して、これらの捕捉された細胞により産生された治療薬の制御放出を可能にするように構成されることができる。以下に詳細に示すように、細胞チャンバは、チャンバのコアが装置の外壁からかなりの距離(例えば、少なくとも約1.5mm超)に位置することができるように、設計されうる。外部の栄養素供給部から分離されたときでさえ依然として生存可能である軟骨細胞の能力を考慮して、このような大型細胞チャンバを用いることができる。以下に示すように、このような大型送達装置の使用は、送達装置ごとに産生および送達されることができる治療薬の量を著しく増加させうる。装置および方法の様々な態様を、以下に手短に述べる。
【0007】
一態様では、複数の軟骨細胞を保持するように構成された細胞チャンバを有するハウジングを含む、送達装置が提供される。例えば、細胞チャンバは、長さおよび直径を有することができ、この長さおよび直径のそれぞれは、少なくとも約3mmの寸法である。これらの寸法により、大量の治療薬を産生し治療部位に送達することができる装置がもたらされる。加えて、ハウジングの一部は、軟骨細胞により産生された治療薬が通り抜け、細胞チャンバから治療部位へと移動することを可能にするように構成されてよい。例えば、ハウジングは、薬剤の放出を可能にすることができる少なくとも1つの半透膜を含みうる。この膜は、ハウジングの遠位端部に限定されてよく、あるいは、複数の膜が、ハウジングに沿って様々な場所に位置付けられてよい(例えば、ハウジングの各側面に沿って延びる)。オプションとして、ハウジング、またはハウジングの少なくとも一部は、多孔性金属もしくはセラミック材料で作られていてよく、細胞は、ハウジング内部に保持されるが、タンパク質は、細孔を通り抜けることができる。
【0008】
ハウジングは、所望の送達モード、治療部位、産生されるべき治療薬のタイプなどに適応するように構成されてよい。例えば、ハウジングは、剛性材料、非剛性材料、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。さらに、装置の遠位端部は、装置の送達を容易にするように構成された、尖った(またはテーパー状の)部分を含むことができる。
【0009】
送達装置のハウジングは、送達装置への軟骨細胞の送達(または補充)を可能にするように様々な形で構成されることができる。例えば、装置はキャップを含んでよく、キャップは、ハウジングの端部に取り外し可能に連結されることができ、キャップを取り外すと、軟骨細胞を細胞チャンバに導入することができるようになっている。他の実施形態では、装置のハウジングは、注射器による、追加の細胞の注入を可能にすることができる注入ポート(例えばゴム隔壁)を含むことができる。これらの実施形態では、軟骨細胞は、装置が手術部位にとどまっている間に装置に補充されることができ、それによって、装置の能率および安全性が著しく増大する。
【0010】
他の実施形態では、送達装置は、ハウジングに連結された取付要素(例えば縫合糸)を含んでよく、取付要素は、治療部位で組織/骨に装置を固定するように構成されている。他の実施形態では、装置を位置付けることおよび/または設置することを容易にするように、放射線不透過性マーカーが容器の上または中に配されてよい。
【0011】
他の実施形態では、装置は、装置の能率を高めるように多くの追加チャンバを含むことができる。例えば、細胞チャンバに加えて、装置は、水膨潤性材料(water swellable material)を保持するように構成された拡張可能チャンバを含んでよく、コンパートメントは、ピストンにより分離されている。このような実施形態では、拡張可能チャンバの中に水を導入することで、水で拡張できる材料は拡張し、それにより、ピストンが遠位方向に動かされて、ゆえに、細胞チャンバの遠位出口ポートから所与の量の治療薬が出される。水は、多くの技術により拡張可能チャンバに加えられることができる。例えば、拡張可能チャンバは、水の送達を可能にするように構成された浸透膜を含むことができる。
【0012】
他の実施形態では、送達装置は、細胞チャンバと拡張可能チャンバとの間に位置付けられた補助流体チャンバを含むことができる。前述の実施形態と同様に、拡張可能チャンバは、水の導入時にピストンを遠位方向に駆動することのできる水膨潤性材料を含みうる。しかしながら、細胞チャンバに直接作用するのとは対照的に、この実施形態では、ピストンは、補助流体チャンバ内部に保持された補助流体(auxiliarly fluid)に作用する。後述するように、補助流体(細胞栄養素などを含みうる)は、半透膜によって、細胞チャンバから分離されうる。したがって、ピストンが遠位に動くと、補助流体は、半透膜を通って、軟骨細胞(condrocytes)と連絡させられる。最終的に、所望の治療薬は、細胞チャンバの(例えば別の半透膜により形成された)出口ポートから出されて、治療部位へと押し進められる。
【0013】
さらなる態様では、装置は、外部貯蔵部から装置への、補助流体の加圧された流れを供給するように構成された、流体ポンプ・バルブシステムを含むことができる。加えて、ポンプ・バルブシステムは、装置から治療部位への、所望の治療用物質の連続的な流出をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、ポンプは、容器から細胞を除去し、また、新鮮な細胞で容器を再び満たすのに使用されうる。また、ポンプは、治療計画(therapeutic regimen)が完了したときに細胞を非活性化させるために、容器の細胞チャンバに様々な毒物を注ぐのに使用されうる。
【0014】
いくつかの実施形態では、送達装置の出口ポートは、細胞チャンバから、1つ以上の遠い治療場所に治療薬を輸送できる送達チューブと連絡していてよい。例えば、送達チューブは、多くの分枝を含み、各分枝に沿って、最終的には様々な別個の場所へ治療用物質を送達することができる。
【0015】
別の態様では、送達装置は、細胞チャンバであって、複数の軟骨細胞を保持すると共に、それらの軟骨細胞により産生された治療薬の放出を可能にするように構成された、細胞チャンバを含む。さらに、細胞チャンバは、軟骨細胞の一部が装置の外壁から少なくとも約1.5mmの距離で収容されるようにサイズ決めされてよい。したがって、装置は、多数の細胞が、外部の栄養素源から比較的遠く離れた距離で保持されることを可能にする。
【0016】
別の態様では、治療部位に治療薬を送達する方法が提供される。この方法は、送達装置の細胞チャンバ内に複数の軟骨細胞を配することを含みうる。前述の実施形態と同様に、細胞チャンバは、軟骨細胞の一部が装置の外壁から少なくとも約1.5mm(すなわち、外部の栄養素源から少なくとも約1.5mm)の距離で容器内部に収容されうるように、サイズ決めされてよい。さらに、細胞チャンバは、軟骨細胞を保持すると共に、軟骨細胞により産生された治療薬の放出を可能にするように構成されることができる。この方法は、治療部位に装置を送達すること、および、その後で、装置から治療部位に治療薬を送達することをさらに含む。他の実施形態では、この方法は、治療部位で送達装置を縫合すること、および/または送達装置の中に追加の軟骨細胞を注入すること、をさらに含んでよい。
【0017】
これらの態様、および多くの他の態様を、以下に詳細に論じる。
【0018】
〔詳細な説明〕
本明細書に開示される装置および方法の構造、機能、製造、および使用の原理の総合的理解をもたらすために、特定の例示的実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ以上の例が、添付図面に示される。本明細書に具体的に記載され、添付図面に示される装置および方法が、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定められることを、当業者は理解するであろう。1つの例示的実施形態と関連して示されるかまたは説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせられてよい。このような改変および変形体は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0019】
遺伝子組み換え軟骨細胞により産生された治療薬を送達するように構成された装置および方法の様々な例示的実施形態を本明細書で提供する。より具体的には、装置は、内部細胞チャンバを画定する外部ハウジングを有する。細胞チャンバは、大量の軟骨細胞を保持すると共に、これらの捕捉された細胞により産生された治療薬の放出を可能にするように構成される。以下に示すように、細胞チャンバは、チャンバのコアがあらゆる外部栄養素供給部から比較的遠く離れた距離に存在できるようにサイズ決めされ、それによって、軟骨細胞の増大した生存能力を利用して、大量の細胞を、そしてその次に大量の治療薬を、治療部位に送達する。さらに具体的には、細胞チャンバは、その中に捕捉された細胞の少なくとも一部が、あらゆる外部栄養素供給部から少なくとも約1.5mm離れて位置付けられうるように構成されてよい。例えば、管状細胞チャンバは、少なくとも約3mmの長さおよび直径を有するようにサイズ決めされてよく、それによって、あらゆる外部栄養素が、チャンバのコアに到達するために約1.5mm拡散することが必要とされる。以下に記載するように、治療薬の放出速度は、細胞チャンバに対して様々な場所で様々な出口ポート(例えば半透膜)を位置付けることにより制御されうる。いくつかの実施形態では、ハウジング全体が、このような半透膜を含みうる。他の例示的実施形態では、ハウジングは、追加のチャンバを画定でき、この追加のチャンバは、細胞チャンバと相互作用して、軟骨細胞の能率および/または治療薬の放出速度を変えることができる。これらの構成要素および他の構成要素を、これから詳細に説明する。
【0020】
図1Aは、本明細書で提供される送達装置10の例示的実施形態を提供している。図示のとおり、装置10はハウジング12を含み、ハウジング12は、遠位端部14、近位端部16を有しており、さらに、複数の遺伝子組み換え軟骨細胞を保持するように構成された内部細胞チャンバ18(図1Cを参照)を画定している。ハウジング12は、送達装置10の送達および設置を最適にするように、様々な構成および/または材料を含むことができる。例えば、図1Aおよび図1Bの実施形態は、ほぼ管状のハウジング12を提供し、図3の実施形態は、ほぼディスク型のハウジング12を提供している。当業者は、様々なこのような構成および/または形状が、本発明の趣旨および範囲内であることを認識するであろう。
【0021】
加えて、ハウジング12は、剛性材料および非剛性材料であって、装置の送達と、治療部位での装置の設置と、以下でさらに詳細に説明されるであろうが、装置において産生される治療薬の放出速度と、を最適にするように選択され、サイズ決めされ、位置付けられた、剛性材料および非剛性材料の双方を含むことができる。図1Aおよび図1Bを参照すると、ハウジングは、送達装置10に、治療計画の間、形状を維持させるように構成された、剛性フレーム17を含みうる。また、図1Bに示されるように、剛性フレーム17は、装置10’の挿入および送達を容易にするように構成された、テーパー状になるかまたは尖った遠位端部14’を有することができる。当業者は、剛性フレーム17が様々な生体適合性の剛性材料から形成されうることを認識するであろう。例えば、材料には、種々の金属、金属合金、ポリマー、ポリマーの組み合わせ、またはこれらの任意の組み合わせが含まれうる。加えて、剛性フレーム、または剛性フレームの少なくとも一部は、細胞を保持すると共にタンパク質の通過を可能にするように、多孔性金属、セラミック、またはポリマーなどの多孔性材料で作られてよい。
【0022】
図2A〜図2Cを参照すると、送達装置100の様々な実施形態は、非剛性フレーム17’を有するハウジング12’も含むことができる。非剛性フレーム17’の使用により、ハウジング12’であって、治療部位への装置100の送達中に構成を変えることができ、かつ/または、治療部位に到着したときにハウジング12’をその部位の形状に実質的に適合させ、それにより治療薬の送達を促進することができる、ハウジング12’を提供することができる。当業者には明らかなように、ハウジング12’の非剛性フレーム17’は、広範な生体適合性の非剛性材料から形成されうる。例えば、非剛性材料は、軟骨細胞、および軟骨細胞から産生された治療薬の双方の通過を防ぐように構成された種々のポリマー(すなわち非透過膜)を含むことができる。
【0023】
送達装置10は、ハウジング12に組み込まれ、かつ内部細胞チャンバ18と連絡している、少なくとも1つの出口ポート20をさらに含む。後述するように、出口ポート20は、内部細胞チャンバ18内部で軟骨細胞を保持すると共に、これらの捕捉された細胞により産生された治療薬の放出を可能にするように構成されている。出口ポート20は、治療薬のこのような選択的な放出を可能にするように構成された任意の機構であってよい。例示的実施形態では、出口ポート20は半透膜である。遺伝子組み換え軟骨細胞を保持すると共に、これらの捕捉された細胞により産生された治療薬の放出を可能にすることができる、このようなあらゆる膜20が、本開示の趣旨および範囲に含まれることを、当業者は認識するであろう。例えば、半透膜は、約0.1mm〜約0.7mmの範囲の細孔を備えたポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)(「PTFE」)膜を含むことができる。一実施形態では、細孔のサイズは、約0.4mm〜約0.5mmである。別の実施形態では、細孔のサイズは約0.2mmである。
【0024】
様々なサイズ、形状、および/または数の出口ポート20は、治療薬の放出速度を増大/低減するように装置に組み込まれることができる。図1Aを参照すると、装置10は、ハウジング12の側面に沿って延びる、第1および第2の矩形出口ポート20を含む。図2A〜図2Cは、非剛性ハウジング12’内部の任意の部分に組み込まれた出口ポート20(概してハウジング12’に向かって延びる矢印で示される)を含むことができる。例えば、ハウジング12’は、不透過性部分と、半透膜20を有する、選択された領域(例えば装置100の遠位先端部)と、を含んでよく、選択された領域は、軟骨細胞を保持すると共に、その軟骨細胞で産生された治療薬を放出するように構成されている。他の実施形態では、ハウジング12’全体が、半透膜20から形成されてよい。
【0025】
他の例を見ると、図3は、上部50、下部50’、および上部50と下部50’とを連結する中央リング52を有する、ディスク型ハウジングを提供している。図2A〜図2Cの実施形態と同様に、装置200の上部50および下部50’全体が半透膜20で形成されてよく、あるいは、各部50、50’は、不透過性材料に組み込まれた半透膜20を含んでよい。他の実施形態では、装置200の上部50は、半透膜20で形成されてよく、下部50’は、不透過性膜で形成されてよい。半透膜および不透過性膜の任意の他の組み合わせもまた、本開示の趣旨および範囲に含まれることを、当業者は認識するであろう。
【0026】
図4A〜図6Bの実施形態を参照すると、出口ポート20は、装置の遠位先端部において組み込まれてよい。出口ポート20のこのような設置により、放出速度に関する予測可能性および/または治療部位における治療薬の濃度をさらに良好にすることができる。また、このような単一の遠位出口ポート20を使用すると、治療薬を、送達チューブ80に直接送達して、その後、(以下に論じるような)様々な遠い場所まで薬剤を輸送することができる。当業者には認識されるであろうが、遠位出口ポート20を用いる実施形態は、任意の数および/または位置の追加出口ポート20も使用でき、これらの実施形態は、本開示の趣旨および範囲内にとどまるものである。
【0027】
前述の様々なハウジングはそれぞれ、複数の遺伝子組み換え軟骨細胞を保持するように構成された内部細胞チャンバ18を画定する。さらに、細胞チャンバ18は、少なくとも1つの出口ポート20とさらに連絡しており、それにより、捕捉された細胞により産生された治療薬を放出することができる。前述のように、これらの治療薬の放出速度は、細胞チャンバ18と連絡している出口ポート20の数、サイズ、性質、細孔のサイズなどを変えることで改変されうる。ハウジングに関する前記の論考と同様に、細胞チャンバ18は、様々な形状、サイズ、および/または構成をとることができる。概して、細胞チャンバ18は、ハウジング12の形状に対応しており、それにより、結果として、管状(図1A〜図1B)、ディスク型(図3)などの構成を有する細胞チャンバ18が生じる。
【0028】
前記のとおり、軟骨細胞の使用は、細胞チャンバ18のコアと外部栄養素供給部(すなわち装置の外壁)との間の拡散距離を最小にすることを必要とせずに、大量の軟骨細胞を保持するように構成された細胞チャンバ18を可能にすることができる。より具体的には、例示的実施形態では、細胞チャンバ18は、細胞チャンバ18で保持された軟骨細胞の少なくとも一部が、外部栄養素源から少なくとも約1.5mmで位置付けられうるように、サイズ決めされてよい。例えば、図1B(内部細胞チャンバ18の長さ「L」を示す)および図1C(細胞チャンバ18の直径「D」を示す)を参照すると、細胞チャンバ18の長さ(L)および直径(D)がそれぞれ少なくとも約3mmであるように、細胞チャンバ18はサイズ決めされてよく、それにより、結果として、細胞の少なくとも一部が外部栄養素供給部(すなわち装置10の外側ハウジング12)から少なくとも約1.5mm転置される。他の例示的実施形態では、細胞チャンバ18は、約100mm〜約300mmの範囲の長さ(L)、および約3mm〜約20.0mmの範囲の直径(D)を有することができる。他の実施形態では、細胞チャンバ18は、約150mm〜約250mmの範囲の長さ(L)を有することができる。別の実施形態では、細胞チャンバ18は、約200mmの長さ(L)、および約10mmの直径(D)を有する。別の実施形態では、細胞チャンバ18は、約15mm〜約50.0mmの範囲の長さ(L)、および約10.0mm〜約30.0mmの直径(D)を有する。
【0029】
送達装置10は、様々な形で細胞チャンバ18への軟骨細胞の導入を可能にすることができる。概して、細胞チャンバ18に導入されると、軟骨細胞は、基質上に拡散されたゲル、ゲル様マトリックス、液体懸濁液などに存在する。当業者は、そのような任意の形態の軟骨細胞が、本開示の趣旨および範囲内にあることを認識するであろう。使用されうるそのような形態のいくつかの例が、譲受人の同時係属出願である、米国特許出願公開第2005/0054595号、および米国特許出願公開第2006/0292131号に開示されている。これらの出願の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。これらの出願はまた、このような遺伝子組み換え軟骨細胞の準備について詳しく述べている。さらに、治療薬と、治療部位となりうる部位の例とが、本明細書で提供される方法に関して、以下に詳細に述べられている。
【0030】
図1A〜図1Bを参照すると、送達装置10、10’は、細胞チャンバ18への(点で図面に示されるような)軟骨細胞の導入を可能にする、取り外し可能なキャップ22、22’を含むことができる。図1Bの実施形態に示されるように、キャップ22’は、一連の平坦部(例えば、六角形を形成する一連の平坦部)を有するヘッドを含んでよく、ヘッドは、ツール(不図示)によるキャップの把持を容易にする。図1Aを参照すると、キャップ22は、一連の溝24も含んでよく、この一連の溝24は、ハウジング12の内壁の中に組み込まれた、対応する一組の溝24’に係合するように構成され、それによって、キャップ22がハウジング12に係合または係合解除する(すなわち、ねじで取り付けられる、ねじを外される(screw-off))ことができる。図2A〜図2Cを参照すると、非剛性フレーム17’で形成されたハウジングを有する装置100の実施形態は、ホースクランプ23または熱収縮バンド25などの圧縮リングを利用して、キャップをハウジング12’に係合させることができる。図1A〜図1Bおよび図2A〜図2Cの実施形態にも示されるように、キャップ22は、いったん植え込まれた送達装置10の可視化を高めるための放射線不透過性マーカー28、および/または送達装置10を治療部位で固着させるように構成された縫合糸ループ26など、追加の特徴部を含むことができる。
【0031】
他の実施形態では、送達装置は、例えば装置10が治療部位に既に位置付けられているときなどに、密封された細胞チャンバ18の中への、軟骨細胞(明らかに一定の縮尺ではない円で図面に示される)の導入を可能にするように構成されうる。例えば、図3および図6Bに示されるように、送達装置は、注射器32による、細胞チャンバ18への軟骨細胞の注入を可能にするように構成された誘導ポート30を含みうる。誘導ポート30は、注射器32により突き刺されると共に、閉環境を維持することができる状態のままであるように構成された、あらゆる機構であってよい。例えば、誘導ポート30は、ハウジング12に組み込まれたゴム隔壁であってよい。このような誘導ポート30を利用する送達装置10の実施形態は、治療部位から装置10を除去する必要なく、新しい軟骨細胞を補充されて、それによって、能率を高めることができる。
【0032】
他の例示的実施形態では、装置300のハウジング12は、治療薬の送達を制御するように、かつ/または、細胞チャンバ18に補助流体(例えば細胞栄養素など)を供給するように、様々な追加のチャンバを含むことができる。図4Aおよび図4Bを参照すると、ハウジング12は、ピストン62により細胞チャンバ18から分離された拡張可能チャンバ60を画定することができる。拡張可能チャンバ60は水膨潤剤を含んでよく、拡張可能チャンバ60中への水の導入に反応して、水膨潤性材料は拡張し、(図4Bに示されるように)遠位方向にピストンを駆動する。ピストン62が遠位に動くと、細胞チャンバ18の容量は減少し、それにより、(一連の矢印により示されるように)ある量の治療薬が細胞チャンバ18の遠位出口ポート20から押し出される。
【0033】
当業者には明らかであろうが、水膨潤性材料は、水の導入に反応して拡張できるあらゆる材料であってよい。加えて、これも当業者には明らかであろうが、送達装置300は、拡張可能チャンバ60への水の導入を可能にするように、様々な形で構成されてよい。例えば、図4Aおよび図4Bに示されるように、拡張可能チャンバ62は、拡張可能チャンバ60の中への水の導入を可能にするように構成された浸透膜64を含むことができる。
【0034】
他の例示的実施形態では、送達装置400は補助流体チャンバ70を含むことができ、補助流体チャンバ70は、様々な補助流体を保持し、かつ、細胞チャンバ18にこれらの補助流体を送達するように構成されている。当業者には明らかであろうが、補助流体は、所定の処置に必要かつ/または望ましいとみなされるあらゆる流体であってよい。例えば、補助流体は様々な細胞栄養素を含んでよく、あるいは、補助流体は、軟骨細胞(chrondrocyte)の性能を変更または促進することができるあらゆる物質であってよい。図5A〜図5Cを参照すると、このような補助流体チャンバ70は、細胞チャンバ18と拡張可能チャンバ60との間に位置付けられることができる。このような実施形態では、拡張可能チャンバ60が(前述のように)拡張すると、ピストン62は遠位方向に駆動される。しかしながら、この実施形態では、補助流体チャンバ70は、ピストン62に隣接して位置付けられうる。図示のように、半透膜72が補助流体チャンバ70と細胞チャンバ18との間に配されてよく、補助流体は、拡張する水膨潤性コンパートメントに反応して軟骨細胞集団に制御可能に導入される。図5Bに示されるように、細胞チャンバ18への補助流体の導入により、治療薬が遠位出口ポート20から押し出されうる。
【0035】
代替の実施形態では、開示内容をそれぞれ参照により全体として本明細書に組み込む米国特許第6,287号;同第6,156,33号;同第6,395,292号;同第6,261,584号;および同第6,635,268号に記載されるDUROS装置の浸透圧ポンプなどの、浸透圧ポンプが、治療薬の流れをもたらすことができる。最適な制御は、さらに、HAKIMバルブ機構によってもたらされうる。
【0036】
図5Cを参照すると、送達装置400’の他の実施形態は、細胞チャンバ18から遠位の場所(すなわち、出口ポート20に直接隣接していない任意の場所)へ、治療薬を送達するように構成されることができる。図示のとおり、遠位出口ポート20は、遠位の場所に治療薬を送達するように送達チューブ80に連結されていてよい。当業者には明らかであろうが、送達チューブ80は、出口ポート20と流体連通するように構成され、さらには、所望の治療部位への治療薬の送達を可能にするように構成された、あらゆる寸法および/またはあらゆる長さを有することができる。加えて、送達チューブ80は、様々な遠方の場所に治療薬を送達するために、そのように構成されてよい。例えば、図5Cおよび図6Aの実施形態では、送達チューブ80は、第1の遠位場所に治療薬の一部を送達するように構成された第1の分枝82と、第2の遠位場所に治療薬の別の一部を送達するように構成された第2の分枝84と、を含む。当業者は、1つまたは任意のさらなる数のこのような分枝を有する送達チューブが、本開示の趣旨および範囲内にあることを認識するであろう。
【0037】
他の実施形態では、外部ポンプ90および/またはバルブシステム88が送達装置500に連結されて、装置500からの治療薬の送達の制御を促進することができる。図6Aを参照すると、外部ポンプ90は、バルブ要素88により送達装置500に連結されてよく、それにより、外部貯蔵部(不図示)から加圧された補助流体が連続的に流れることが可能となる。加えて、ポンプ90を介した流体の導入は、装置500から治療薬が実質的に連続して流出することももたらすことができる。さらには、ポンプ90は、所望の治療計画の完了時に軟骨細胞を非活性化させるように、様々な毒物で細胞チャンバ18を満たすのに利用されうる。この構成は、脳から流体を受動的に除去してその流体を腹膜腔の中に排出するのではなく、貯蔵部から脳の中に流体を能動的に送達するように、逆方向に機能することを除けば、水頭症(hydrocephalitis)用HAKIMシャントに幾分似ている。HAKIMシャントのバルブ機構は、それぞれの開示内容が参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第4,332,255号、同第4,387,715号、同第4,551,128号、同第4,595,390号、および同第4,615,691号に記載されているが、追加の手術を必要とすることなく、治療薬の流れを経皮的に遠隔調節するのに使用されうる。
【0038】
前述した実施形態に加えて、治療部位に治療薬を送達する方法も提供される。前記のように、装置は、様々な治療薬を産生および放出するように構成された遺伝子組み換え軟骨細胞を収容することができる。軟骨細胞は、送達装置の大型の細胞チャンバ内部に保持されるが、様々な治療薬は、軟骨細胞により装置内部で産生され、細胞チャンバと連絡している出口ポートを通じて治療部位まで送達されることができる。
【0039】
この方法は、送達装置の細胞チャンバの中に複数の軟骨細胞を配することを含みうる。前記の実施形態と同様に、細胞チャンバは、軟骨細胞の一部が外部細胞栄養素源(例えば、少なくとも約3mmより大きい長さおよび直径を有する管状の細胞チャンバ)から少なくとも約1.5mmの距離で細胞チャンバ内部に位置付けられうるように、サイズ決めされてよい。さらに、細胞チャンバは、軟骨細胞を保持すると共に、軟骨細胞により産生された治療薬の放出を可能にするように構成されることができる。この方法は、治療部位に送達装置を送達すること、および、その後で、装置から治療部位に治療薬を送達することをさらに含む。他の実施形態では、この方法は、治療部位で送達装置を縫合すること、および/または、送達装置の中に追加の軟骨細胞を注入することをさらに含むことができる。
【0040】
図7A〜図7Cは、治療部位96に送達されている装置10の描写を提供するものである。図7Aに示されているとおり、装置10は、挿入ツール94に係合されてよい。当業者には明らかであろうが、様々なタイプの挿入ツール94が、多種多様の方法で装置10に係合されてよく、それにより、ツール94が治療部位96へ装置10を正確に送達することができる。次に、図7Bは、治療部位96に位置付けられている装置10を示す。図示のように、装置は、治療部位96(例えば組織)を突き刺すことができ、それによって、実質的にその部位96内部に装置を配する。図7Cに示すように、装置10は、次に、挿入ツール94から係合解除されてよく、ツール94は、部位96から除去されうる。いったん係合解除されると、装置10は、縫合糸ループ26により部位96に固定されることができ、装置は、その後、部位96に様々な治療薬を送達することができる。
【0041】
そのような様々な治療薬は、これらの遺伝子組み換え軟骨細胞により産生および放出されうる。概して、治療薬は、所望の治療効果を生み出すあらゆる化合物であってよい。例えば、治療薬は、タンパク質、抗体の作用薬もしくは拮抗薬、抗原、ホルモン、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗菌剤、成長因子、サイトカイン、オンコジーン、腫瘍抑制物質、膜貫通受容体、タンパク質受容体、血清タンパク質、接着分子、神経伝達物質、形態形成タンパク質、分化因子、酵素、基質タンパク質、細胞外基質タンパク質、iRNA、RNA、またはそれらの断片およびペプチドからなる群から選択されうる。例示的実施形態では、治療薬は、エリスロポエチン(EPO)タンパク質などのタンパク質である。適切なタンパク質の他の例には、インスリンタンパク質、プロインスリンタンパク質、レミケード、骨形成タンパク質(BMP)、形質転換成長因子‐β(TGF-β)、血小板由来成長因子(PDGF)、軟骨由来形態形成タンパク質(CDMP)、およびMP−52が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
別の実施形態では、治療薬は、抗体、抗体断片、またはミメティボディ(mimetibody)である。有用なミメティボディの例には、EPOミメティボディ、レミケードミメティボディ、BMPミメティボディ、軟骨由来形態形成タンパク質(CDMP)ミメティボディ、およびMP−52が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、抗体は、EPOミメティボディである。
【0043】
さらに別の実施形態では、治療薬は、成長因子である。例示的実施形態では、成長因子には、上皮成長因子、骨形成タンパク質、血管内皮由来成長因子、インスリン様成長因子(IGF)、肝細胞成長因子、血小板由来成長因子、造血成長因子、ヘパリン結合成長因子、ペプチド成長因子、ならびに塩基性および酸性の線維芽細胞成長因子が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、神経成長因子(NGF)、筋形態形成因子(muscle morphogenic factor)(MMP)、またはBMP、CDMP、およびMP−52を含むTGF−βスーパーファミリーなどの因子のための遺伝子を組み込むことが望ましい場合がある。さらに別の実施形態では、治療薬は受容体である。受容体の例には、EPO受容体、B細胞受容体、Fas受容体、IL−2受容体、T細胞受容体、EGF受容体、Wnt、インスリン受容体、TNF受容体が含まれるがこれらに限定されない。
【0044】
他の例では、遺伝子組み換え軟骨細胞は、肝臓または腎臓、もしくは血液の供給がある任意の組織または器官に遺伝子組み換え軟骨細胞を送達することによって、血液疾患と関連する治療薬、例えばEPOタンパク質を発現させて、EPOを標的部位または領域に到達させるのに使用されることができる。いったんEPOタンパク質が発現されると、EPOタンパク質は、循環系に入って、EPO受容体(EPOR)に結合し、EPO受容体の機能を変化させることができる。このことは、次に、例えばEPO受容体を伴うシグナル伝達カスケードを改変することにより、EPO受容体と関連した環境の変化を引き起こすであろう。
【0045】
組織の改変は、例えば標的領域でEPOを過剰発現させることによって、直接起こりうる。代わりに、組織の改変は、例えば、EPORを伴う下流シグナル伝達カスケードの変化をもたらす、EPORと相互に作用する過剰発現EPOによって、間接的に起こることができる。改変の非限定的な例には、細胞増殖反応、細胞分化、形態学的および機能的プロセスの改変、細胞による1つまたは複数の物質、例えばホルモン、成長因子など、の産生不足もしくは産生過剰または過小発現もしくは過剰発現、細胞が通常産生する1つまたは複数の物質を細胞が産生しないこと、物質、例えば神経伝達物質の産生、ならびに/あるいは、電気インパルスの伝達が含まれる。
【0046】
前記のとおり、送達装置は、最初に治療部位に送達されなければならない。装置は、皮膚の単純な切開部を通して皮下に植え込まれてよい。代わりに、装置は、切開手術などの標準的な手術方法を用いて、または、より好ましくは、トロカールを用いることによるなど、低侵襲性の手術方法によって、標的領域に外科的に植え込まれることができる。
【0047】
概して、治療部位は、治療薬が治療上の利点を提供できるあらゆる部位であってよい。例示的実施形態では、治療部位は、異型軟骨細胞環境(すなわち、軟骨細胞と通常関連しない環境)である。軟骨細胞と通常関連しない環境の例には、脳および脊髄を含む中枢神経系(CNS)が含まれる。軟骨細胞と通常関連しない環境の他の例には、固形臓器が含まれる。固形臓器の例には、心臓、腎臓、肝臓、およびすい臓が含まれるが、これらに限定されない。軟骨細胞と通常関連しない環境のさらに別の例は、生殖器である。男性では、軟骨細胞と関連しない生殖器は、例えば、精巣、精管などである。女性では、軟骨細胞と関連しない生殖器は、例えば、子宮、卵管、卵巣などである。軟骨細胞と関連しない環境の他の例には、血液、血漿、脳脊髄液(CSF)、皮膚、皮下の嚢(subcutaneous pouch)、筋肉内および腹腔内の空間が含まれる。
【0048】
以下の実施例は、本発明の原理および実践の例証となるものである。本開示の範囲および趣旨の範囲内の、多くの追加の実施形態が、当業者には明らかとなるであろう。
【0049】
<実施例>
<実施例1. アガロースゲルに含まれる軟骨細胞>
この実施例は、軟骨細胞の大きな装置における優れた生存能力を証明する。3つの異なる細胞型、すなわち、軟骨細胞、靭帯細胞(ligament cells)、および皮膚線維芽細胞、が、大きなアルギン酸カプセルの中に被包された。106個の細胞の密度における細胞が、円筒形のアルギン酸ゲル栓子(アルギン酸ナトリウム塩、Fluka 71238番)直径1cmx長さ2cmに被包されて、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEまたはDMEM;Gibco/Invitrogen 11995−040番)、またはDME/ITS(ITS−インスリン、トランスフェリン、セレン−Gibco/Invitrogen 51500−056号)培地のいずれかにおいて、数週間にわたり37℃で保持された。次に、これらの細胞は、生細胞(図8A〜図10Bでは明るい点として現れる)を緑色で染め、死細胞(図8A〜図10Bでは暗い点として現れる)を赤色で染める、生/死染料(live/dead dye)(Molecular Probes L3224番)で、染色された。
【0050】
結果の質的な視覚評価(図8A〜図10Bを参照)は、軟骨細胞培養物では、死細胞(暗い点)よりも生細胞(明るい点)の占める割合が高いことを示しており、大きな円筒形構築物における軟骨細胞培養物の高められた生存性を証明している。
【0051】
当業者は、前記の実施形態に基づいて、本開示のさらなる特徴および利点を認識するであろう。したがって、本開示は、添付された特許請求の範囲により示されたものを除いて、詳細に図示および説明されたものによって限定されるべきではない。本明細書で言及された刊行物および参考文献はすべて、参照により全体として本明細書に明白に組み込まれる。
【0052】
〔実施の態様〕
(1) 送達装置において、
複数の軟骨細胞を保持するように構成された細胞チャンバを有するハウジングであって、前記細胞チャンバは、長さおよび直径を有し、前記長さおよび前記直径は、それぞれ、少なくとも約3mmである、ハウジングを含み、
前記ハウジングの一部が、前記軟骨細胞により産生された治療薬の通過を可能にするように構成された、送達装置。
(2) 実施態様1に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、剛性材料を含む、送達装置。
(3) 実施態様2に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、前記治療薬の通過を可能にするように構成された、少なくとも1つの半透性ポートをさらに含む、送達装置。
(4) 実施態様1に記載の装置において、
前記ハウジングの端部に取り外し可能に連結されたキャップ、
をさらに含む、装置。
(5) 実施態様1に記載の送達装置において、
前記ハウジングに連結された縫合糸ループであって、組織に前記装置を係合させるように構成されている、縫合糸ループ、
をさらに含む、送達装置。
【0053】
(6) 実施態様1に記載の送達装置において、
放射線不透過性マーカー、
をさらに含む、送達装置。
(7) 実施態様1に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、拡張可能チャンバであって、ピストン要素により前記細胞チャンバから分離されている、拡張可能チャンバをさらに含む、送達装置。
(8) 実施態様7に記載の送達装置において、
前記拡張可能チャンバは、水の投入に反応して前記ピストンに力を供給するように構成された水膨潤剤(water swellable agent)を収容する、送達装置。
(9) 実施態様8に記載の送達装置において、
前記拡張可能チャンバは、浸透膜を有する近位端部をさらに含み、それによって、前記拡張可能チャンバへの水の投入を可能にする、送達装置。
(10) 実施態様7に記載の送達装置において、
前記細胞チャンバと前記拡張可能チャンバとの間に位置付けられた補助流体チャンバであって、補助流体を収容するように構成されており、半透膜により前記細胞チャンバから分離されている、補助流体チャンバ、
をさらに含む、送達装置。
【0054】
(11) 実施態様10に記載の送達装置において、
前記補助流体は、細胞栄養素を含む、送達装置。
(12) 実施態様10に記載の送達装置において、
前記補助流体は、軟骨細胞の性能の様相を変更することができる薬剤を含む、送達装置。
(13) 実施態様1に記載の送達装置において、
前記治療薬が前記細胞チャンバから遠隔の場所に送達されうるように、前記ハウジングと連絡している送達チューブ、
をさらに含む、送達装置。
(14) 実施態様1に記載の送達装置において、
バルブによって前記細胞チャンバと連絡している補助流体貯蔵部であって、前記バルブは、前記細胞チャンバへの前記補助流体の導入を可能にするか、または妨げるように構成されている、補助流体貯蔵部、
をさらに含む、送達装置。
(15) 実施態様14に記載の送達装置において、
前記流体貯蔵部と連絡しているポンプ、
をさらに含む、送達装置。
【0055】
(16) 実施態様1に記載の送達装置において、
前記細胞チャンバへの軟骨細胞の導入を可能にするように構成された入口ポート、
をさらに含む、送達装置。
(17) 実施態様16に記載の送達装置において、
前記入口ポートは、ゴム隔壁である、送達装置。
(18) 実施態様1に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、金属、セラミック、およびポリマーからなる群から選択された多孔性材料から少なくとも部分的に作製される、送達装置。
(19) 送達装置において、
複数の軟骨細胞を保持するように構成された細胞チャンバであって、前記軟骨細胞により産生された治療薬の放出を可能にするようにさらに構成されている、細胞チャンバ、
を含み、
前記細胞チャンバは、前記軟骨細胞の一部が、前記装置の外壁から少なくとも約1.5mmの距離にくるようにサイズ決めされている、送達装置。
【0056】
(20) 手術部位に治療薬を送達する方法において、
送達装置の細胞チャンバの中に複数の軟骨細胞を配することであって、前記細胞チャンバは、前記軟骨細胞の一部が前記装置の外壁から少なくとも約1.5mmの距離にくるようにサイズ決めされており、前記細胞チャンバは、前記軟骨細胞を保持するように構成されており、前記軟骨細胞により産生された治療薬の放出を可能にするようにさらに構成されている、複数の軟骨細胞を配することと、
手術部位に前記送達装置を送達することと、
前記装置から前記手術部位に前記治療薬を送達することと、
を含む、方法。
(21) 実施態様20に記載の方法において、
前記治療部位で前記送達装置を縫合すること、
をさらに含む、方法。
(22) 実施態様20に記載の方法において、
前記送達装置の中に追加の軟骨細胞を注入すること、
をさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】本明細書で提供される送達装置の例示的実施形態の側面図である。
【図1B】図1Aの装置の代替の実施形態である。
【図1C】線C−Cに沿った図1Aの実施形態の断面図である。
【図2A】送達装置の別の例示的実施形態の側面図である。
【図2B】図2Aの送達装置の代替の実施形態の側面図である。
【図2C】図2Aの送達装置の別の代替の実施形態の側面図である。
【図3】送達装置の別の実施形態の上面図である。
【図4A】ピストン要素が第1の位置にある、送達装置の別の例示的実施形態の断面図である。
【図4B】ピストンが第2の位置にある、図4Aの装置の断面図である。
【図5A】ピストンが第1の位置にある、送達装置の別の例示的実施形態の断面図である。
【図5B】ピストンが第2の位置にある、図5Aの装置の断面図である。
【図5C】図5Aの装置の代替の実施形態の断面図である。
【図6A】送達装置の別の実施形態の断面図である。
【図6B】図6Aの装置の代替の実施形態の断面図である。
【図7A】治療部位に送達されている送達装置の例示的実施形態の側面図である。
【図7B】治療部位に隣接して位置付けられている図7Aの装置の側面図である。
【図7C】治療部位で固定されている図7Aの装置と、その後の挿入ツール取り外しと、の側面図である。
【図8】図8Aは、アルギン酸塩DME/10%FBS中に被包された、ヒトの関節軟骨細胞を示すスライドであり、図8Bは、DME/ITS中に被包された、ヒトの関節軟骨細胞を示すスライドである。
【図9】図9Aは、DME/10%FBS中に被包された、ヒトの靭帯細胞を示すスライドであり、図9Bは、DME/ITS中に被包された、ヒトの靭帯細胞を示すスライドである。
【図10】図10Aは、DME/10%FBS中でアルギン酸塩中に被包された、ヒトの線維芽細胞を示すスライドであり、図10Bは、DME/IT中でアルギン酸塩中に被包された、ヒトの線維芽細胞を示すスライドである。
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、米国特許法第119条の下、「Chondrocyte Container and Method of Use」と題された2007年6月1日出願の米国仮特許出願第60/941,326号、および、「Chondrocyte Container and Method of Use」と題された2008年5月20日出願の米国特許出願第12/123,650号の優先権を主張するものであり、これらの特許出願は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔使用分野〕
本発明は、遺伝子組み換えの軟骨細胞により産生された治療薬を様々な治療部位に送達することに関する。
【0003】
〔背景〕
様々なタイプの生物学的に活性な細胞により産生された生物活性剤を送達する目的で、植え込まれた装置の構成要素としてそれらの細胞を使用することは、当技術分野で周知である。そのような植え込まれた細胞の生存性を高める方法を考案しようとする様々な試みは、結局達成されておらず、細胞に栄養素を供給するために、インプラントの脈管化、または約2〜3mmの最大拡散距離のいずれかを必要とする。これらの様々なタイプの細胞には、線維芽細胞、筋芽細胞、幹細胞、前駆細胞、分化成熟した組織細胞(mature differentiated tissue cells)、および未分化細胞が含まれる。
【0004】
軟骨細胞は、治療薬を発現させる(expressing)ためのビヒクルとして、他の細胞型にまさるいくつかの独自の利点を提供する。例えば、軟骨細胞は、脈管支持を必要とせず、ゆえに、血管新生系が減少しているかまたは存在しない環境で容易に使用されることができる。さらに、軟骨細胞は、低pHおよび低酸素の環境を含む、過酷な生体内環境で生存することができる。加えて、正常な軟骨細胞の抗血管新生性に起因して悪性腫瘍の可能性が減少する。軟骨細胞は、同時に植え込まれた同種または異種組織(co-implanted allogenic or xenogenic tissue)の免疫拒絶を軽減する免疫特権特性も有している。そのうえ、軟骨細胞は、他の正常な非形質転換細胞株と比較して、さらに容易に測定可能(scalable)である。軟骨組織以外の病状または傷害を治療するために治療薬を発現させる軟骨細胞の遺伝子組み換え(genetic alteration)が、譲受人の同時係属特許出願、米国特許出願公開第2005/0054595号および同第2006/0292131号で論じられており、これらの出願公開は、参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【0005】
しかしながら、軟骨細胞(chondroctyes)とは通常関連していない様々な治療部位に、大量の、このような遺伝子組み換え軟骨細胞を送達することができる装置および方法に対する必要性が残っている。
【0006】
〔概要〕
様々な治療部位に治療薬を送達する装置および方法の様々な実施形態が本明細書で提供される。より詳細には、装置はハウジングを含み、ハウジングは、遺伝子組み換え軟骨細胞集団を保持するように構成された内部細胞チャンバを画定している。ハウジングは、これらの軟骨細胞の通過を防ぐと共に、多数の出口ポート(例えば半透膜)を介して、これらの捕捉された細胞により産生された治療薬の制御放出を可能にするように構成されることができる。以下に詳細に示すように、細胞チャンバは、チャンバのコアが装置の外壁からかなりの距離(例えば、少なくとも約1.5mm超)に位置することができるように、設計されうる。外部の栄養素供給部から分離されたときでさえ依然として生存可能である軟骨細胞の能力を考慮して、このような大型細胞チャンバを用いることができる。以下に示すように、このような大型送達装置の使用は、送達装置ごとに産生および送達されることができる治療薬の量を著しく増加させうる。装置および方法の様々な態様を、以下に手短に述べる。
【0007】
一態様では、複数の軟骨細胞を保持するように構成された細胞チャンバを有するハウジングを含む、送達装置が提供される。例えば、細胞チャンバは、長さおよび直径を有することができ、この長さおよび直径のそれぞれは、少なくとも約3mmの寸法である。これらの寸法により、大量の治療薬を産生し治療部位に送達することができる装置がもたらされる。加えて、ハウジングの一部は、軟骨細胞により産生された治療薬が通り抜け、細胞チャンバから治療部位へと移動することを可能にするように構成されてよい。例えば、ハウジングは、薬剤の放出を可能にすることができる少なくとも1つの半透膜を含みうる。この膜は、ハウジングの遠位端部に限定されてよく、あるいは、複数の膜が、ハウジングに沿って様々な場所に位置付けられてよい(例えば、ハウジングの各側面に沿って延びる)。オプションとして、ハウジング、またはハウジングの少なくとも一部は、多孔性金属もしくはセラミック材料で作られていてよく、細胞は、ハウジング内部に保持されるが、タンパク質は、細孔を通り抜けることができる。
【0008】
ハウジングは、所望の送達モード、治療部位、産生されるべき治療薬のタイプなどに適応するように構成されてよい。例えば、ハウジングは、剛性材料、非剛性材料、またはそれらの任意の組み合わせを含むことができる。さらに、装置の遠位端部は、装置の送達を容易にするように構成された、尖った(またはテーパー状の)部分を含むことができる。
【0009】
送達装置のハウジングは、送達装置への軟骨細胞の送達(または補充)を可能にするように様々な形で構成されることができる。例えば、装置はキャップを含んでよく、キャップは、ハウジングの端部に取り外し可能に連結されることができ、キャップを取り外すと、軟骨細胞を細胞チャンバに導入することができるようになっている。他の実施形態では、装置のハウジングは、注射器による、追加の細胞の注入を可能にすることができる注入ポート(例えばゴム隔壁)を含むことができる。これらの実施形態では、軟骨細胞は、装置が手術部位にとどまっている間に装置に補充されることができ、それによって、装置の能率および安全性が著しく増大する。
【0010】
他の実施形態では、送達装置は、ハウジングに連結された取付要素(例えば縫合糸)を含んでよく、取付要素は、治療部位で組織/骨に装置を固定するように構成されている。他の実施形態では、装置を位置付けることおよび/または設置することを容易にするように、放射線不透過性マーカーが容器の上または中に配されてよい。
【0011】
他の実施形態では、装置は、装置の能率を高めるように多くの追加チャンバを含むことができる。例えば、細胞チャンバに加えて、装置は、水膨潤性材料(water swellable material)を保持するように構成された拡張可能チャンバを含んでよく、コンパートメントは、ピストンにより分離されている。このような実施形態では、拡張可能チャンバの中に水を導入することで、水で拡張できる材料は拡張し、それにより、ピストンが遠位方向に動かされて、ゆえに、細胞チャンバの遠位出口ポートから所与の量の治療薬が出される。水は、多くの技術により拡張可能チャンバに加えられることができる。例えば、拡張可能チャンバは、水の送達を可能にするように構成された浸透膜を含むことができる。
【0012】
他の実施形態では、送達装置は、細胞チャンバと拡張可能チャンバとの間に位置付けられた補助流体チャンバを含むことができる。前述の実施形態と同様に、拡張可能チャンバは、水の導入時にピストンを遠位方向に駆動することのできる水膨潤性材料を含みうる。しかしながら、細胞チャンバに直接作用するのとは対照的に、この実施形態では、ピストンは、補助流体チャンバ内部に保持された補助流体(auxiliarly fluid)に作用する。後述するように、補助流体(細胞栄養素などを含みうる)は、半透膜によって、細胞チャンバから分離されうる。したがって、ピストンが遠位に動くと、補助流体は、半透膜を通って、軟骨細胞(condrocytes)と連絡させられる。最終的に、所望の治療薬は、細胞チャンバの(例えば別の半透膜により形成された)出口ポートから出されて、治療部位へと押し進められる。
【0013】
さらなる態様では、装置は、外部貯蔵部から装置への、補助流体の加圧された流れを供給するように構成された、流体ポンプ・バルブシステムを含むことができる。加えて、ポンプ・バルブシステムは、装置から治療部位への、所望の治療用物質の連続的な流出をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、ポンプは、容器から細胞を除去し、また、新鮮な細胞で容器を再び満たすのに使用されうる。また、ポンプは、治療計画(therapeutic regimen)が完了したときに細胞を非活性化させるために、容器の細胞チャンバに様々な毒物を注ぐのに使用されうる。
【0014】
いくつかの実施形態では、送達装置の出口ポートは、細胞チャンバから、1つ以上の遠い治療場所に治療薬を輸送できる送達チューブと連絡していてよい。例えば、送達チューブは、多くの分枝を含み、各分枝に沿って、最終的には様々な別個の場所へ治療用物質を送達することができる。
【0015】
別の態様では、送達装置は、細胞チャンバであって、複数の軟骨細胞を保持すると共に、それらの軟骨細胞により産生された治療薬の放出を可能にするように構成された、細胞チャンバを含む。さらに、細胞チャンバは、軟骨細胞の一部が装置の外壁から少なくとも約1.5mmの距離で収容されるようにサイズ決めされてよい。したがって、装置は、多数の細胞が、外部の栄養素源から比較的遠く離れた距離で保持されることを可能にする。
【0016】
別の態様では、治療部位に治療薬を送達する方法が提供される。この方法は、送達装置の細胞チャンバ内に複数の軟骨細胞を配することを含みうる。前述の実施形態と同様に、細胞チャンバは、軟骨細胞の一部が装置の外壁から少なくとも約1.5mm(すなわち、外部の栄養素源から少なくとも約1.5mm)の距離で容器内部に収容されうるように、サイズ決めされてよい。さらに、細胞チャンバは、軟骨細胞を保持すると共に、軟骨細胞により産生された治療薬の放出を可能にするように構成されることができる。この方法は、治療部位に装置を送達すること、および、その後で、装置から治療部位に治療薬を送達することをさらに含む。他の実施形態では、この方法は、治療部位で送達装置を縫合すること、および/または送達装置の中に追加の軟骨細胞を注入すること、をさらに含んでよい。
【0017】
これらの態様、および多くの他の態様を、以下に詳細に論じる。
【0018】
〔詳細な説明〕
本明細書に開示される装置および方法の構造、機能、製造、および使用の原理の総合的理解をもたらすために、特定の例示的実施形態を説明する。これらの実施形態のうちの1つ以上の例が、添付図面に示される。本明細書に具体的に記載され、添付図面に示される装置および方法が、非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲が、特許請求の範囲によってのみ定められることを、当業者は理解するであろう。1つの例示的実施形態と関連して示されるかまたは説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせられてよい。このような改変および変形体は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0019】
遺伝子組み換え軟骨細胞により産生された治療薬を送達するように構成された装置および方法の様々な例示的実施形態を本明細書で提供する。より具体的には、装置は、内部細胞チャンバを画定する外部ハウジングを有する。細胞チャンバは、大量の軟骨細胞を保持すると共に、これらの捕捉された細胞により産生された治療薬の放出を可能にするように構成される。以下に示すように、細胞チャンバは、チャンバのコアがあらゆる外部栄養素供給部から比較的遠く離れた距離に存在できるようにサイズ決めされ、それによって、軟骨細胞の増大した生存能力を利用して、大量の細胞を、そしてその次に大量の治療薬を、治療部位に送達する。さらに具体的には、細胞チャンバは、その中に捕捉された細胞の少なくとも一部が、あらゆる外部栄養素供給部から少なくとも約1.5mm離れて位置付けられうるように構成されてよい。例えば、管状細胞チャンバは、少なくとも約3mmの長さおよび直径を有するようにサイズ決めされてよく、それによって、あらゆる外部栄養素が、チャンバのコアに到達するために約1.5mm拡散することが必要とされる。以下に記載するように、治療薬の放出速度は、細胞チャンバに対して様々な場所で様々な出口ポート(例えば半透膜)を位置付けることにより制御されうる。いくつかの実施形態では、ハウジング全体が、このような半透膜を含みうる。他の例示的実施形態では、ハウジングは、追加のチャンバを画定でき、この追加のチャンバは、細胞チャンバと相互作用して、軟骨細胞の能率および/または治療薬の放出速度を変えることができる。これらの構成要素および他の構成要素を、これから詳細に説明する。
【0020】
図1Aは、本明細書で提供される送達装置10の例示的実施形態を提供している。図示のとおり、装置10はハウジング12を含み、ハウジング12は、遠位端部14、近位端部16を有しており、さらに、複数の遺伝子組み換え軟骨細胞を保持するように構成された内部細胞チャンバ18(図1Cを参照)を画定している。ハウジング12は、送達装置10の送達および設置を最適にするように、様々な構成および/または材料を含むことができる。例えば、図1Aおよび図1Bの実施形態は、ほぼ管状のハウジング12を提供し、図3の実施形態は、ほぼディスク型のハウジング12を提供している。当業者は、様々なこのような構成および/または形状が、本発明の趣旨および範囲内であることを認識するであろう。
【0021】
加えて、ハウジング12は、剛性材料および非剛性材料であって、装置の送達と、治療部位での装置の設置と、以下でさらに詳細に説明されるであろうが、装置において産生される治療薬の放出速度と、を最適にするように選択され、サイズ決めされ、位置付けられた、剛性材料および非剛性材料の双方を含むことができる。図1Aおよび図1Bを参照すると、ハウジングは、送達装置10に、治療計画の間、形状を維持させるように構成された、剛性フレーム17を含みうる。また、図1Bに示されるように、剛性フレーム17は、装置10’の挿入および送達を容易にするように構成された、テーパー状になるかまたは尖った遠位端部14’を有することができる。当業者は、剛性フレーム17が様々な生体適合性の剛性材料から形成されうることを認識するであろう。例えば、材料には、種々の金属、金属合金、ポリマー、ポリマーの組み合わせ、またはこれらの任意の組み合わせが含まれうる。加えて、剛性フレーム、または剛性フレームの少なくとも一部は、細胞を保持すると共にタンパク質の通過を可能にするように、多孔性金属、セラミック、またはポリマーなどの多孔性材料で作られてよい。
【0022】
図2A〜図2Cを参照すると、送達装置100の様々な実施形態は、非剛性フレーム17’を有するハウジング12’も含むことができる。非剛性フレーム17’の使用により、ハウジング12’であって、治療部位への装置100の送達中に構成を変えることができ、かつ/または、治療部位に到着したときにハウジング12’をその部位の形状に実質的に適合させ、それにより治療薬の送達を促進することができる、ハウジング12’を提供することができる。当業者には明らかなように、ハウジング12’の非剛性フレーム17’は、広範な生体適合性の非剛性材料から形成されうる。例えば、非剛性材料は、軟骨細胞、および軟骨細胞から産生された治療薬の双方の通過を防ぐように構成された種々のポリマー(すなわち非透過膜)を含むことができる。
【0023】
送達装置10は、ハウジング12に組み込まれ、かつ内部細胞チャンバ18と連絡している、少なくとも1つの出口ポート20をさらに含む。後述するように、出口ポート20は、内部細胞チャンバ18内部で軟骨細胞を保持すると共に、これらの捕捉された細胞により産生された治療薬の放出を可能にするように構成されている。出口ポート20は、治療薬のこのような選択的な放出を可能にするように構成された任意の機構であってよい。例示的実施形態では、出口ポート20は半透膜である。遺伝子組み換え軟骨細胞を保持すると共に、これらの捕捉された細胞により産生された治療薬の放出を可能にすることができる、このようなあらゆる膜20が、本開示の趣旨および範囲に含まれることを、当業者は認識するであろう。例えば、半透膜は、約0.1mm〜約0.7mmの範囲の細孔を備えたポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluorethylene)(「PTFE」)膜を含むことができる。一実施形態では、細孔のサイズは、約0.4mm〜約0.5mmである。別の実施形態では、細孔のサイズは約0.2mmである。
【0024】
様々なサイズ、形状、および/または数の出口ポート20は、治療薬の放出速度を増大/低減するように装置に組み込まれることができる。図1Aを参照すると、装置10は、ハウジング12の側面に沿って延びる、第1および第2の矩形出口ポート20を含む。図2A〜図2Cは、非剛性ハウジング12’内部の任意の部分に組み込まれた出口ポート20(概してハウジング12’に向かって延びる矢印で示される)を含むことができる。例えば、ハウジング12’は、不透過性部分と、半透膜20を有する、選択された領域(例えば装置100の遠位先端部)と、を含んでよく、選択された領域は、軟骨細胞を保持すると共に、その軟骨細胞で産生された治療薬を放出するように構成されている。他の実施形態では、ハウジング12’全体が、半透膜20から形成されてよい。
【0025】
他の例を見ると、図3は、上部50、下部50’、および上部50と下部50’とを連結する中央リング52を有する、ディスク型ハウジングを提供している。図2A〜図2Cの実施形態と同様に、装置200の上部50および下部50’全体が半透膜20で形成されてよく、あるいは、各部50、50’は、不透過性材料に組み込まれた半透膜20を含んでよい。他の実施形態では、装置200の上部50は、半透膜20で形成されてよく、下部50’は、不透過性膜で形成されてよい。半透膜および不透過性膜の任意の他の組み合わせもまた、本開示の趣旨および範囲に含まれることを、当業者は認識するであろう。
【0026】
図4A〜図6Bの実施形態を参照すると、出口ポート20は、装置の遠位先端部において組み込まれてよい。出口ポート20のこのような設置により、放出速度に関する予測可能性および/または治療部位における治療薬の濃度をさらに良好にすることができる。また、このような単一の遠位出口ポート20を使用すると、治療薬を、送達チューブ80に直接送達して、その後、(以下に論じるような)様々な遠い場所まで薬剤を輸送することができる。当業者には認識されるであろうが、遠位出口ポート20を用いる実施形態は、任意の数および/または位置の追加出口ポート20も使用でき、これらの実施形態は、本開示の趣旨および範囲内にとどまるものである。
【0027】
前述の様々なハウジングはそれぞれ、複数の遺伝子組み換え軟骨細胞を保持するように構成された内部細胞チャンバ18を画定する。さらに、細胞チャンバ18は、少なくとも1つの出口ポート20とさらに連絡しており、それにより、捕捉された細胞により産生された治療薬を放出することができる。前述のように、これらの治療薬の放出速度は、細胞チャンバ18と連絡している出口ポート20の数、サイズ、性質、細孔のサイズなどを変えることで改変されうる。ハウジングに関する前記の論考と同様に、細胞チャンバ18は、様々な形状、サイズ、および/または構成をとることができる。概して、細胞チャンバ18は、ハウジング12の形状に対応しており、それにより、結果として、管状(図1A〜図1B)、ディスク型(図3)などの構成を有する細胞チャンバ18が生じる。
【0028】
前記のとおり、軟骨細胞の使用は、細胞チャンバ18のコアと外部栄養素供給部(すなわち装置の外壁)との間の拡散距離を最小にすることを必要とせずに、大量の軟骨細胞を保持するように構成された細胞チャンバ18を可能にすることができる。より具体的には、例示的実施形態では、細胞チャンバ18は、細胞チャンバ18で保持された軟骨細胞の少なくとも一部が、外部栄養素源から少なくとも約1.5mmで位置付けられうるように、サイズ決めされてよい。例えば、図1B(内部細胞チャンバ18の長さ「L」を示す)および図1C(細胞チャンバ18の直径「D」を示す)を参照すると、細胞チャンバ18の長さ(L)および直径(D)がそれぞれ少なくとも約3mmであるように、細胞チャンバ18はサイズ決めされてよく、それにより、結果として、細胞の少なくとも一部が外部栄養素供給部(すなわち装置10の外側ハウジング12)から少なくとも約1.5mm転置される。他の例示的実施形態では、細胞チャンバ18は、約100mm〜約300mmの範囲の長さ(L)、および約3mm〜約20.0mmの範囲の直径(D)を有することができる。他の実施形態では、細胞チャンバ18は、約150mm〜約250mmの範囲の長さ(L)を有することができる。別の実施形態では、細胞チャンバ18は、約200mmの長さ(L)、および約10mmの直径(D)を有する。別の実施形態では、細胞チャンバ18は、約15mm〜約50.0mmの範囲の長さ(L)、および約10.0mm〜約30.0mmの直径(D)を有する。
【0029】
送達装置10は、様々な形で細胞チャンバ18への軟骨細胞の導入を可能にすることができる。概して、細胞チャンバ18に導入されると、軟骨細胞は、基質上に拡散されたゲル、ゲル様マトリックス、液体懸濁液などに存在する。当業者は、そのような任意の形態の軟骨細胞が、本開示の趣旨および範囲内にあることを認識するであろう。使用されうるそのような形態のいくつかの例が、譲受人の同時係属出願である、米国特許出願公開第2005/0054595号、および米国特許出願公開第2006/0292131号に開示されている。これらの出願の全体が、参照により本明細書に組み込まれる。これらの出願はまた、このような遺伝子組み換え軟骨細胞の準備について詳しく述べている。さらに、治療薬と、治療部位となりうる部位の例とが、本明細書で提供される方法に関して、以下に詳細に述べられている。
【0030】
図1A〜図1Bを参照すると、送達装置10、10’は、細胞チャンバ18への(点で図面に示されるような)軟骨細胞の導入を可能にする、取り外し可能なキャップ22、22’を含むことができる。図1Bの実施形態に示されるように、キャップ22’は、一連の平坦部(例えば、六角形を形成する一連の平坦部)を有するヘッドを含んでよく、ヘッドは、ツール(不図示)によるキャップの把持を容易にする。図1Aを参照すると、キャップ22は、一連の溝24も含んでよく、この一連の溝24は、ハウジング12の内壁の中に組み込まれた、対応する一組の溝24’に係合するように構成され、それによって、キャップ22がハウジング12に係合または係合解除する(すなわち、ねじで取り付けられる、ねじを外される(screw-off))ことができる。図2A〜図2Cを参照すると、非剛性フレーム17’で形成されたハウジングを有する装置100の実施形態は、ホースクランプ23または熱収縮バンド25などの圧縮リングを利用して、キャップをハウジング12’に係合させることができる。図1A〜図1Bおよび図2A〜図2Cの実施形態にも示されるように、キャップ22は、いったん植え込まれた送達装置10の可視化を高めるための放射線不透過性マーカー28、および/または送達装置10を治療部位で固着させるように構成された縫合糸ループ26など、追加の特徴部を含むことができる。
【0031】
他の実施形態では、送達装置は、例えば装置10が治療部位に既に位置付けられているときなどに、密封された細胞チャンバ18の中への、軟骨細胞(明らかに一定の縮尺ではない円で図面に示される)の導入を可能にするように構成されうる。例えば、図3および図6Bに示されるように、送達装置は、注射器32による、細胞チャンバ18への軟骨細胞の注入を可能にするように構成された誘導ポート30を含みうる。誘導ポート30は、注射器32により突き刺されると共に、閉環境を維持することができる状態のままであるように構成された、あらゆる機構であってよい。例えば、誘導ポート30は、ハウジング12に組み込まれたゴム隔壁であってよい。このような誘導ポート30を利用する送達装置10の実施形態は、治療部位から装置10を除去する必要なく、新しい軟骨細胞を補充されて、それによって、能率を高めることができる。
【0032】
他の例示的実施形態では、装置300のハウジング12は、治療薬の送達を制御するように、かつ/または、細胞チャンバ18に補助流体(例えば細胞栄養素など)を供給するように、様々な追加のチャンバを含むことができる。図4Aおよび図4Bを参照すると、ハウジング12は、ピストン62により細胞チャンバ18から分離された拡張可能チャンバ60を画定することができる。拡張可能チャンバ60は水膨潤剤を含んでよく、拡張可能チャンバ60中への水の導入に反応して、水膨潤性材料は拡張し、(図4Bに示されるように)遠位方向にピストンを駆動する。ピストン62が遠位に動くと、細胞チャンバ18の容量は減少し、それにより、(一連の矢印により示されるように)ある量の治療薬が細胞チャンバ18の遠位出口ポート20から押し出される。
【0033】
当業者には明らかであろうが、水膨潤性材料は、水の導入に反応して拡張できるあらゆる材料であってよい。加えて、これも当業者には明らかであろうが、送達装置300は、拡張可能チャンバ60への水の導入を可能にするように、様々な形で構成されてよい。例えば、図4Aおよび図4Bに示されるように、拡張可能チャンバ62は、拡張可能チャンバ60の中への水の導入を可能にするように構成された浸透膜64を含むことができる。
【0034】
他の例示的実施形態では、送達装置400は補助流体チャンバ70を含むことができ、補助流体チャンバ70は、様々な補助流体を保持し、かつ、細胞チャンバ18にこれらの補助流体を送達するように構成されている。当業者には明らかであろうが、補助流体は、所定の処置に必要かつ/または望ましいとみなされるあらゆる流体であってよい。例えば、補助流体は様々な細胞栄養素を含んでよく、あるいは、補助流体は、軟骨細胞(chrondrocyte)の性能を変更または促進することができるあらゆる物質であってよい。図5A〜図5Cを参照すると、このような補助流体チャンバ70は、細胞チャンバ18と拡張可能チャンバ60との間に位置付けられることができる。このような実施形態では、拡張可能チャンバ60が(前述のように)拡張すると、ピストン62は遠位方向に駆動される。しかしながら、この実施形態では、補助流体チャンバ70は、ピストン62に隣接して位置付けられうる。図示のように、半透膜72が補助流体チャンバ70と細胞チャンバ18との間に配されてよく、補助流体は、拡張する水膨潤性コンパートメントに反応して軟骨細胞集団に制御可能に導入される。図5Bに示されるように、細胞チャンバ18への補助流体の導入により、治療薬が遠位出口ポート20から押し出されうる。
【0035】
代替の実施形態では、開示内容をそれぞれ参照により全体として本明細書に組み込む米国特許第6,287号;同第6,156,33号;同第6,395,292号;同第6,261,584号;および同第6,635,268号に記載されるDUROS装置の浸透圧ポンプなどの、浸透圧ポンプが、治療薬の流れをもたらすことができる。最適な制御は、さらに、HAKIMバルブ機構によってもたらされうる。
【0036】
図5Cを参照すると、送達装置400’の他の実施形態は、細胞チャンバ18から遠位の場所(すなわち、出口ポート20に直接隣接していない任意の場所)へ、治療薬を送達するように構成されることができる。図示のとおり、遠位出口ポート20は、遠位の場所に治療薬を送達するように送達チューブ80に連結されていてよい。当業者には明らかであろうが、送達チューブ80は、出口ポート20と流体連通するように構成され、さらには、所望の治療部位への治療薬の送達を可能にするように構成された、あらゆる寸法および/またはあらゆる長さを有することができる。加えて、送達チューブ80は、様々な遠方の場所に治療薬を送達するために、そのように構成されてよい。例えば、図5Cおよび図6Aの実施形態では、送達チューブ80は、第1の遠位場所に治療薬の一部を送達するように構成された第1の分枝82と、第2の遠位場所に治療薬の別の一部を送達するように構成された第2の分枝84と、を含む。当業者は、1つまたは任意のさらなる数のこのような分枝を有する送達チューブが、本開示の趣旨および範囲内にあることを認識するであろう。
【0037】
他の実施形態では、外部ポンプ90および/またはバルブシステム88が送達装置500に連結されて、装置500からの治療薬の送達の制御を促進することができる。図6Aを参照すると、外部ポンプ90は、バルブ要素88により送達装置500に連結されてよく、それにより、外部貯蔵部(不図示)から加圧された補助流体が連続的に流れることが可能となる。加えて、ポンプ90を介した流体の導入は、装置500から治療薬が実質的に連続して流出することももたらすことができる。さらには、ポンプ90は、所望の治療計画の完了時に軟骨細胞を非活性化させるように、様々な毒物で細胞チャンバ18を満たすのに利用されうる。この構成は、脳から流体を受動的に除去してその流体を腹膜腔の中に排出するのではなく、貯蔵部から脳の中に流体を能動的に送達するように、逆方向に機能することを除けば、水頭症(hydrocephalitis)用HAKIMシャントに幾分似ている。HAKIMシャントのバルブ機構は、それぞれの開示内容が参照により全体として本明細書に組み込まれる米国特許第4,332,255号、同第4,387,715号、同第4,551,128号、同第4,595,390号、および同第4,615,691号に記載されているが、追加の手術を必要とすることなく、治療薬の流れを経皮的に遠隔調節するのに使用されうる。
【0038】
前述した実施形態に加えて、治療部位に治療薬を送達する方法も提供される。前記のように、装置は、様々な治療薬を産生および放出するように構成された遺伝子組み換え軟骨細胞を収容することができる。軟骨細胞は、送達装置の大型の細胞チャンバ内部に保持されるが、様々な治療薬は、軟骨細胞により装置内部で産生され、細胞チャンバと連絡している出口ポートを通じて治療部位まで送達されることができる。
【0039】
この方法は、送達装置の細胞チャンバの中に複数の軟骨細胞を配することを含みうる。前記の実施形態と同様に、細胞チャンバは、軟骨細胞の一部が外部細胞栄養素源(例えば、少なくとも約3mmより大きい長さおよび直径を有する管状の細胞チャンバ)から少なくとも約1.5mmの距離で細胞チャンバ内部に位置付けられうるように、サイズ決めされてよい。さらに、細胞チャンバは、軟骨細胞を保持すると共に、軟骨細胞により産生された治療薬の放出を可能にするように構成されることができる。この方法は、治療部位に送達装置を送達すること、および、その後で、装置から治療部位に治療薬を送達することをさらに含む。他の実施形態では、この方法は、治療部位で送達装置を縫合すること、および/または、送達装置の中に追加の軟骨細胞を注入することをさらに含むことができる。
【0040】
図7A〜図7Cは、治療部位96に送達されている装置10の描写を提供するものである。図7Aに示されているとおり、装置10は、挿入ツール94に係合されてよい。当業者には明らかであろうが、様々なタイプの挿入ツール94が、多種多様の方法で装置10に係合されてよく、それにより、ツール94が治療部位96へ装置10を正確に送達することができる。次に、図7Bは、治療部位96に位置付けられている装置10を示す。図示のように、装置は、治療部位96(例えば組織)を突き刺すことができ、それによって、実質的にその部位96内部に装置を配する。図7Cに示すように、装置10は、次に、挿入ツール94から係合解除されてよく、ツール94は、部位96から除去されうる。いったん係合解除されると、装置10は、縫合糸ループ26により部位96に固定されることができ、装置は、その後、部位96に様々な治療薬を送達することができる。
【0041】
そのような様々な治療薬は、これらの遺伝子組み換え軟骨細胞により産生および放出されうる。概して、治療薬は、所望の治療効果を生み出すあらゆる化合物であってよい。例えば、治療薬は、タンパク質、抗体の作用薬もしくは拮抗薬、抗原、ホルモン、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗菌剤、成長因子、サイトカイン、オンコジーン、腫瘍抑制物質、膜貫通受容体、タンパク質受容体、血清タンパク質、接着分子、神経伝達物質、形態形成タンパク質、分化因子、酵素、基質タンパク質、細胞外基質タンパク質、iRNA、RNA、またはそれらの断片およびペプチドからなる群から選択されうる。例示的実施形態では、治療薬は、エリスロポエチン(EPO)タンパク質などのタンパク質である。適切なタンパク質の他の例には、インスリンタンパク質、プロインスリンタンパク質、レミケード、骨形成タンパク質(BMP)、形質転換成長因子‐β(TGF-β)、血小板由来成長因子(PDGF)、軟骨由来形態形成タンパク質(CDMP)、およびMP−52が含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
別の実施形態では、治療薬は、抗体、抗体断片、またはミメティボディ(mimetibody)である。有用なミメティボディの例には、EPOミメティボディ、レミケードミメティボディ、BMPミメティボディ、軟骨由来形態形成タンパク質(CDMP)ミメティボディ、およびMP−52が含まれるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、抗体は、EPOミメティボディである。
【0043】
さらに別の実施形態では、治療薬は、成長因子である。例示的実施形態では、成長因子には、上皮成長因子、骨形成タンパク質、血管内皮由来成長因子、インスリン様成長因子(IGF)、肝細胞成長因子、血小板由来成長因子、造血成長因子、ヘパリン結合成長因子、ペプチド成長因子、ならびに塩基性および酸性の線維芽細胞成長因子が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、神経成長因子(NGF)、筋形態形成因子(muscle morphogenic factor)(MMP)、またはBMP、CDMP、およびMP−52を含むTGF−βスーパーファミリーなどの因子のための遺伝子を組み込むことが望ましい場合がある。さらに別の実施形態では、治療薬は受容体である。受容体の例には、EPO受容体、B細胞受容体、Fas受容体、IL−2受容体、T細胞受容体、EGF受容体、Wnt、インスリン受容体、TNF受容体が含まれるがこれらに限定されない。
【0044】
他の例では、遺伝子組み換え軟骨細胞は、肝臓または腎臓、もしくは血液の供給がある任意の組織または器官に遺伝子組み換え軟骨細胞を送達することによって、血液疾患と関連する治療薬、例えばEPOタンパク質を発現させて、EPOを標的部位または領域に到達させるのに使用されることができる。いったんEPOタンパク質が発現されると、EPOタンパク質は、循環系に入って、EPO受容体(EPOR)に結合し、EPO受容体の機能を変化させることができる。このことは、次に、例えばEPO受容体を伴うシグナル伝達カスケードを改変することにより、EPO受容体と関連した環境の変化を引き起こすであろう。
【0045】
組織の改変は、例えば標的領域でEPOを過剰発現させることによって、直接起こりうる。代わりに、組織の改変は、例えば、EPORを伴う下流シグナル伝達カスケードの変化をもたらす、EPORと相互に作用する過剰発現EPOによって、間接的に起こることができる。改変の非限定的な例には、細胞増殖反応、細胞分化、形態学的および機能的プロセスの改変、細胞による1つまたは複数の物質、例えばホルモン、成長因子など、の産生不足もしくは産生過剰または過小発現もしくは過剰発現、細胞が通常産生する1つまたは複数の物質を細胞が産生しないこと、物質、例えば神経伝達物質の産生、ならびに/あるいは、電気インパルスの伝達が含まれる。
【0046】
前記のとおり、送達装置は、最初に治療部位に送達されなければならない。装置は、皮膚の単純な切開部を通して皮下に植え込まれてよい。代わりに、装置は、切開手術などの標準的な手術方法を用いて、または、より好ましくは、トロカールを用いることによるなど、低侵襲性の手術方法によって、標的領域に外科的に植え込まれることができる。
【0047】
概して、治療部位は、治療薬が治療上の利点を提供できるあらゆる部位であってよい。例示的実施形態では、治療部位は、異型軟骨細胞環境(すなわち、軟骨細胞と通常関連しない環境)である。軟骨細胞と通常関連しない環境の例には、脳および脊髄を含む中枢神経系(CNS)が含まれる。軟骨細胞と通常関連しない環境の他の例には、固形臓器が含まれる。固形臓器の例には、心臓、腎臓、肝臓、およびすい臓が含まれるが、これらに限定されない。軟骨細胞と通常関連しない環境のさらに別の例は、生殖器である。男性では、軟骨細胞と関連しない生殖器は、例えば、精巣、精管などである。女性では、軟骨細胞と関連しない生殖器は、例えば、子宮、卵管、卵巣などである。軟骨細胞と関連しない環境の他の例には、血液、血漿、脳脊髄液(CSF)、皮膚、皮下の嚢(subcutaneous pouch)、筋肉内および腹腔内の空間が含まれる。
【0048】
以下の実施例は、本発明の原理および実践の例証となるものである。本開示の範囲および趣旨の範囲内の、多くの追加の実施形態が、当業者には明らかとなるであろう。
【0049】
<実施例>
<実施例1. アガロースゲルに含まれる軟骨細胞>
この実施例は、軟骨細胞の大きな装置における優れた生存能力を証明する。3つの異なる細胞型、すなわち、軟骨細胞、靭帯細胞(ligament cells)、および皮膚線維芽細胞、が、大きなアルギン酸カプセルの中に被包された。106個の細胞の密度における細胞が、円筒形のアルギン酸ゲル栓子(アルギン酸ナトリウム塩、Fluka 71238番)直径1cmx長さ2cmに被包されて、10%ウシ胎児血清(FBS)を含むダルベッコ変法イーグル培地(DMEまたはDMEM;Gibco/Invitrogen 11995−040番)、またはDME/ITS(ITS−インスリン、トランスフェリン、セレン−Gibco/Invitrogen 51500−056号)培地のいずれかにおいて、数週間にわたり37℃で保持された。次に、これらの細胞は、生細胞(図8A〜図10Bでは明るい点として現れる)を緑色で染め、死細胞(図8A〜図10Bでは暗い点として現れる)を赤色で染める、生/死染料(live/dead dye)(Molecular Probes L3224番)で、染色された。
【0050】
結果の質的な視覚評価(図8A〜図10Bを参照)は、軟骨細胞培養物では、死細胞(暗い点)よりも生細胞(明るい点)の占める割合が高いことを示しており、大きな円筒形構築物における軟骨細胞培養物の高められた生存性を証明している。
【0051】
当業者は、前記の実施形態に基づいて、本開示のさらなる特徴および利点を認識するであろう。したがって、本開示は、添付された特許請求の範囲により示されたものを除いて、詳細に図示および説明されたものによって限定されるべきではない。本明細書で言及された刊行物および参考文献はすべて、参照により全体として本明細書に明白に組み込まれる。
【0052】
〔実施の態様〕
(1) 送達装置において、
複数の軟骨細胞を保持するように構成された細胞チャンバを有するハウジングであって、前記細胞チャンバは、長さおよび直径を有し、前記長さおよび前記直径は、それぞれ、少なくとも約3mmである、ハウジングを含み、
前記ハウジングの一部が、前記軟骨細胞により産生された治療薬の通過を可能にするように構成された、送達装置。
(2) 実施態様1に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、剛性材料を含む、送達装置。
(3) 実施態様2に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、前記治療薬の通過を可能にするように構成された、少なくとも1つの半透性ポートをさらに含む、送達装置。
(4) 実施態様1に記載の装置において、
前記ハウジングの端部に取り外し可能に連結されたキャップ、
をさらに含む、装置。
(5) 実施態様1に記載の送達装置において、
前記ハウジングに連結された縫合糸ループであって、組織に前記装置を係合させるように構成されている、縫合糸ループ、
をさらに含む、送達装置。
【0053】
(6) 実施態様1に記載の送達装置において、
放射線不透過性マーカー、
をさらに含む、送達装置。
(7) 実施態様1に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、拡張可能チャンバであって、ピストン要素により前記細胞チャンバから分離されている、拡張可能チャンバをさらに含む、送達装置。
(8) 実施態様7に記載の送達装置において、
前記拡張可能チャンバは、水の投入に反応して前記ピストンに力を供給するように構成された水膨潤剤(water swellable agent)を収容する、送達装置。
(9) 実施態様8に記載の送達装置において、
前記拡張可能チャンバは、浸透膜を有する近位端部をさらに含み、それによって、前記拡張可能チャンバへの水の投入を可能にする、送達装置。
(10) 実施態様7に記載の送達装置において、
前記細胞チャンバと前記拡張可能チャンバとの間に位置付けられた補助流体チャンバであって、補助流体を収容するように構成されており、半透膜により前記細胞チャンバから分離されている、補助流体チャンバ、
をさらに含む、送達装置。
【0054】
(11) 実施態様10に記載の送達装置において、
前記補助流体は、細胞栄養素を含む、送達装置。
(12) 実施態様10に記載の送達装置において、
前記補助流体は、軟骨細胞の性能の様相を変更することができる薬剤を含む、送達装置。
(13) 実施態様1に記載の送達装置において、
前記治療薬が前記細胞チャンバから遠隔の場所に送達されうるように、前記ハウジングと連絡している送達チューブ、
をさらに含む、送達装置。
(14) 実施態様1に記載の送達装置において、
バルブによって前記細胞チャンバと連絡している補助流体貯蔵部であって、前記バルブは、前記細胞チャンバへの前記補助流体の導入を可能にするか、または妨げるように構成されている、補助流体貯蔵部、
をさらに含む、送達装置。
(15) 実施態様14に記載の送達装置において、
前記流体貯蔵部と連絡しているポンプ、
をさらに含む、送達装置。
【0055】
(16) 実施態様1に記載の送達装置において、
前記細胞チャンバへの軟骨細胞の導入を可能にするように構成された入口ポート、
をさらに含む、送達装置。
(17) 実施態様16に記載の送達装置において、
前記入口ポートは、ゴム隔壁である、送達装置。
(18) 実施態様1に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、金属、セラミック、およびポリマーからなる群から選択された多孔性材料から少なくとも部分的に作製される、送達装置。
(19) 送達装置において、
複数の軟骨細胞を保持するように構成された細胞チャンバであって、前記軟骨細胞により産生された治療薬の放出を可能にするようにさらに構成されている、細胞チャンバ、
を含み、
前記細胞チャンバは、前記軟骨細胞の一部が、前記装置の外壁から少なくとも約1.5mmの距離にくるようにサイズ決めされている、送達装置。
【0056】
(20) 手術部位に治療薬を送達する方法において、
送達装置の細胞チャンバの中に複数の軟骨細胞を配することであって、前記細胞チャンバは、前記軟骨細胞の一部が前記装置の外壁から少なくとも約1.5mmの距離にくるようにサイズ決めされており、前記細胞チャンバは、前記軟骨細胞を保持するように構成されており、前記軟骨細胞により産生された治療薬の放出を可能にするようにさらに構成されている、複数の軟骨細胞を配することと、
手術部位に前記送達装置を送達することと、
前記装置から前記手術部位に前記治療薬を送達することと、
を含む、方法。
(21) 実施態様20に記載の方法において、
前記治療部位で前記送達装置を縫合すること、
をさらに含む、方法。
(22) 実施態様20に記載の方法において、
前記送達装置の中に追加の軟骨細胞を注入すること、
をさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1A】本明細書で提供される送達装置の例示的実施形態の側面図である。
【図1B】図1Aの装置の代替の実施形態である。
【図1C】線C−Cに沿った図1Aの実施形態の断面図である。
【図2A】送達装置の別の例示的実施形態の側面図である。
【図2B】図2Aの送達装置の代替の実施形態の側面図である。
【図2C】図2Aの送達装置の別の代替の実施形態の側面図である。
【図3】送達装置の別の実施形態の上面図である。
【図4A】ピストン要素が第1の位置にある、送達装置の別の例示的実施形態の断面図である。
【図4B】ピストンが第2の位置にある、図4Aの装置の断面図である。
【図5A】ピストンが第1の位置にある、送達装置の別の例示的実施形態の断面図である。
【図5B】ピストンが第2の位置にある、図5Aの装置の断面図である。
【図5C】図5Aの装置の代替の実施形態の断面図である。
【図6A】送達装置の別の実施形態の断面図である。
【図6B】図6Aの装置の代替の実施形態の断面図である。
【図7A】治療部位に送達されている送達装置の例示的実施形態の側面図である。
【図7B】治療部位に隣接して位置付けられている図7Aの装置の側面図である。
【図7C】治療部位で固定されている図7Aの装置と、その後の挿入ツール取り外しと、の側面図である。
【図8】図8Aは、アルギン酸塩DME/10%FBS中に被包された、ヒトの関節軟骨細胞を示すスライドであり、図8Bは、DME/ITS中に被包された、ヒトの関節軟骨細胞を示すスライドである。
【図9】図9Aは、DME/10%FBS中に被包された、ヒトの靭帯細胞を示すスライドであり、図9Bは、DME/ITS中に被包された、ヒトの靭帯細胞を示すスライドである。
【図10】図10Aは、DME/10%FBS中でアルギン酸塩中に被包された、ヒトの線維芽細胞を示すスライドであり、図10Bは、DME/IT中でアルギン酸塩中に被包された、ヒトの線維芽細胞を示すスライドである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送達装置において、
複数の軟骨細胞を保持するように構成された細胞チャンバを有するハウジングであって、前記細胞チャンバは、長さおよび直径を有し、前記長さおよび前記直径は、それぞれ、少なくとも約3mmである、ハウジングを含み、
前記ハウジングの一部が、前記軟骨細胞により産生された治療薬の通過を可能にするように構成された、送達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、剛性材料を含む、送達装置。
【請求項3】
請求項2に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、前記治療薬の通過を可能にするように構成された、少なくとも1つの半透性ポートをさらに含む、送達装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記ハウジングの端部に取り外し可能に連結されたキャップ、
をさらに含む、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の送達装置において、
前記ハウジングに連結された縫合糸ループであって、組織に前記装置を係合させるように構成されている、縫合糸ループ、
をさらに含む、送達装置。
【請求項6】
請求項1に記載の送達装置において、
放射線不透過性マーカー、
をさらに含む、送達装置。
【請求項7】
請求項1に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、拡張可能チャンバであって、ピストン要素により前記細胞チャンバから分離されている、拡張可能チャンバをさらに含む、送達装置。
【請求項8】
請求項7に記載の送達装置において、
前記拡張可能チャンバは、水の投入に反応して前記ピストンに力を供給するように構成された水膨潤剤を収容する、送達装置。
【請求項9】
請求項8に記載の送達装置において、
前記拡張可能チャンバは、浸透膜を有する近位端部をさらに含み、それによって、前記拡張可能チャンバへの水の投入を可能にする、送達装置。
【請求項10】
請求項7に記載の送達装置において、
前記細胞チャンバと前記拡張可能チャンバとの間に位置付けられた補助流体チャンバであって、補助流体を収容するように構成されており、半透膜により前記細胞チャンバから分離されている、補助流体チャンバ、
をさらに含む、送達装置。
【請求項11】
請求項10に記載の送達装置において、
前記補助流体は、細胞栄養素を含む、送達装置。
【請求項12】
請求項10に記載の送達装置において、
前記補助流体は、軟骨細胞の性能の様相を変更することができる薬剤を含む、送達装置。
【請求項13】
請求項1に記載の送達装置において、
前記治療薬が前記細胞チャンバから遠隔の場所に送達されうるように、前記ハウジングと連絡している送達チューブ、
をさらに含む、送達装置。
【請求項14】
請求項1に記載の送達装置において、
バルブによって前記細胞チャンバと連絡している補助流体貯蔵部であって、前記バルブは、前記細胞チャンバへの前記補助流体の導入を可能にするか、または妨げるように構成されている、補助流体貯蔵部、
をさらに含む、送達装置。
【請求項15】
請求項14に記載の送達装置において、
前記流体貯蔵部と連絡しているポンプ、
をさらに含む、送達装置。
【請求項16】
請求項1に記載の送達装置において、
前記細胞チャンバへの軟骨細胞の導入を可能にするように構成された入口ポート、
をさらに含む、送達装置。
【請求項17】
請求項16に記載の送達装置において、
前記入口ポートは、ゴム隔壁である、送達装置。
【請求項18】
請求項1に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、金属、セラミック、およびポリマーからなる群から選択された多孔性材料から少なくとも部分的に作製される、送達装置。
【請求項19】
送達装置において、
複数の軟骨細胞を保持するように構成された細胞チャンバであって、前記軟骨細胞により産生された治療薬の放出を可能にするようにさらに構成されている、細胞チャンバ、
を含み、
前記細胞チャンバは、前記軟骨細胞の一部が、前記装置の外壁から少なくとも約1.5mmの距離にくるようにサイズ決めされている、送達装置。
【請求項1】
送達装置において、
複数の軟骨細胞を保持するように構成された細胞チャンバを有するハウジングであって、前記細胞チャンバは、長さおよび直径を有し、前記長さおよび前記直径は、それぞれ、少なくとも約3mmである、ハウジングを含み、
前記ハウジングの一部が、前記軟骨細胞により産生された治療薬の通過を可能にするように構成された、送達装置。
【請求項2】
請求項1に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、剛性材料を含む、送達装置。
【請求項3】
請求項2に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、前記治療薬の通過を可能にするように構成された、少なくとも1つの半透性ポートをさらに含む、送達装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、
前記ハウジングの端部に取り外し可能に連結されたキャップ、
をさらに含む、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の送達装置において、
前記ハウジングに連結された縫合糸ループであって、組織に前記装置を係合させるように構成されている、縫合糸ループ、
をさらに含む、送達装置。
【請求項6】
請求項1に記載の送達装置において、
放射線不透過性マーカー、
をさらに含む、送達装置。
【請求項7】
請求項1に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、拡張可能チャンバであって、ピストン要素により前記細胞チャンバから分離されている、拡張可能チャンバをさらに含む、送達装置。
【請求項8】
請求項7に記載の送達装置において、
前記拡張可能チャンバは、水の投入に反応して前記ピストンに力を供給するように構成された水膨潤剤を収容する、送達装置。
【請求項9】
請求項8に記載の送達装置において、
前記拡張可能チャンバは、浸透膜を有する近位端部をさらに含み、それによって、前記拡張可能チャンバへの水の投入を可能にする、送達装置。
【請求項10】
請求項7に記載の送達装置において、
前記細胞チャンバと前記拡張可能チャンバとの間に位置付けられた補助流体チャンバであって、補助流体を収容するように構成されており、半透膜により前記細胞チャンバから分離されている、補助流体チャンバ、
をさらに含む、送達装置。
【請求項11】
請求項10に記載の送達装置において、
前記補助流体は、細胞栄養素を含む、送達装置。
【請求項12】
請求項10に記載の送達装置において、
前記補助流体は、軟骨細胞の性能の様相を変更することができる薬剤を含む、送達装置。
【請求項13】
請求項1に記載の送達装置において、
前記治療薬が前記細胞チャンバから遠隔の場所に送達されうるように、前記ハウジングと連絡している送達チューブ、
をさらに含む、送達装置。
【請求項14】
請求項1に記載の送達装置において、
バルブによって前記細胞チャンバと連絡している補助流体貯蔵部であって、前記バルブは、前記細胞チャンバへの前記補助流体の導入を可能にするか、または妨げるように構成されている、補助流体貯蔵部、
をさらに含む、送達装置。
【請求項15】
請求項14に記載の送達装置において、
前記流体貯蔵部と連絡しているポンプ、
をさらに含む、送達装置。
【請求項16】
請求項1に記載の送達装置において、
前記細胞チャンバへの軟骨細胞の導入を可能にするように構成された入口ポート、
をさらに含む、送達装置。
【請求項17】
請求項16に記載の送達装置において、
前記入口ポートは、ゴム隔壁である、送達装置。
【請求項18】
請求項1に記載の送達装置において、
前記ハウジングは、金属、セラミック、およびポリマーからなる群から選択された多孔性材料から少なくとも部分的に作製される、送達装置。
【請求項19】
送達装置において、
複数の軟骨細胞を保持するように構成された細胞チャンバであって、前記軟骨細胞により産生された治療薬の放出を可能にするようにさらに構成されている、細胞チャンバ、
を含み、
前記細胞チャンバは、前記軟骨細胞の一部が、前記装置の外壁から少なくとも約1.5mmの距離にくるようにサイズ決めされている、送達装置。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2010−528712(P2010−528712A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−510425(P2010−510425)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/064481
【国際公開番号】WO2008/150720
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/064481
【国際公開番号】WO2008/150720
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(507083478)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (47)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】325 Paramount Drive,Raynham,Massachusetts 02767 United States of America
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]