説明

転がり軸受装置およびその製造方法、並びにハードディスク装置

【課題】転がり軸受や転がり軸受の内輪に嵌合する軸状の部材にナゲット部から飛散するパーティクルが付着することによる不具合を減少させる。
【解決手段】転がり軸受の内輪内面を軸状の第1部材の外面に嵌合し、レーザ光を照射して転がり軸受の内輪における軸方向の周縁部の少なくとも一部と第1部材の外面とを溶接し、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面に対するレーザ光の入射角を45°より大きくし、第1部材の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部の第1部材側の端部から所定距離以内、かつ、端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸とがなす角度が45°以下となる領域内に第1部材が存在しない形状である転がり軸受装置の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転がり軸受装置およびその製造方法、並びにハードディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の転がり軸受と、該転がり軸受の内輪に嵌合する軸状の部材と、転がり軸受の外輪を嵌合させるハウジングとを備える転がり軸受装置の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に記載された製造方法では、転がり軸受の内輪を回転軸に対して圧入し、圧入された内輪に所定の予圧を付与した状態で内輪と回転軸の外周面とを接着剤を用いた接着力によって固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−182543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
接着剤は一般に硬化時間が長くかかるため、転がり軸受に予圧をかけた状態で固定するには、接着剤が完全に硬化するまでの間、予圧をかける装置あるいは予圧をかけた状態に維持する治具に取り付けたままの状態に維持する必要があり、生産性が悪いという不都合がある。また、特に、嫌気性の接着剤の場合には、接着剤から発生するガス(アウトガス)により転がり軸受装置を備える装置(例えば、ハードディスク装置)が損傷する可能性がある。
そこで、接着剤を用いて接合する代わりにレーザ光を照射して溶接することで、接着剤を用いた場合の不具合を解消することができる。
【0005】
しかしながら、レーザ光を照射して溶接する際には、レーザ光の照射により金属が溶融凝固する部分(ナゲット部)からパーティクル(塵)が飛散して、転がり軸受や転がり軸受に嵌合する軸状の部材に付着する場合がある。そして、パーティクルが転がり軸受に付着すると、転がり軸受が滑らかに動作しなくなる可能性がある。
【0006】
また、パーティクルが軸状の部材に付着し、その後に付着したパーティクルが転がり軸受内部に侵入すると、転がり軸受が滑らかに動作しなくなる可能性がある。また、パーティクルが軸状の部材に付着し、その後に付着したパーティクルが脱落すると、転がり軸受装置を備える装置(例えば、ハードディスク装置)に不具合が生じる可能性がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、転がり軸受や転がり軸受の内輪に嵌合する軸状の部材にナゲット部から飛散するパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる転がり軸受装置およびその製造方法、並びにハードディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の第1の態様は、転がり軸受の内輪内面を軸状の第1部材の外面に嵌合する嵌合工程と、
レーザ光を照射して、前記転がり軸受の内輪における軸方向の周縁部の少なくとも一部と、前記第1部材の外面とを溶接する溶接工程と、を含み、該溶接工程が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の軸方向端面に対するレーザ光の入射角を45°より大きくし、前記第1部材の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部の前記第1部材側の端部から所定距離以内、かつ、該端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸とがなす角度が45°以下となる領域内に前記第1部材が存在しない形状である転がり軸受装置の製造方法を提供する。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、転がり軸受の内輪内面を軸状の第1部材の外面に嵌合し、レーザ光を照射して、転がり軸受の内輪における軸方向の周縁部の少なくとも一部と第1部材の外面とを溶接することで、レーザ光の照射により溶接された転がり軸受装置が製造される。そして、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面に対するレーザ光の入射角を45°より大きくするので、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0010】
また、第1部材の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部の第1部材側の端部から所定距離以内、かつ、端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸とがなす角度が45°以下となる領域内に第1部材が存在しない形状であるので、第1部材にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0011】
第1の態様においては、前記第1部材の形状が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の前記軸方向端面と連なる平面を形成する形状であり、前記溶接工程が、前記平面に対するレーザ光の入射角を略90°とした構成であってもよい。
このようにすることで、第1部材の軸方向に略平行な軸をレーザ光の照射軸としつつ、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面及び第1部材にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0012】
また、第1の態様においては、前記第1部材の形状が、前記転がり軸受の内輪内面と嵌合する位置における軸径となる第1軸径部と前記第1軸径部よりも短い軸径となる第2軸径部とを含む形状であり、前記溶接工程が、前記ナゲット部の前記第1部材側の端部が、前記第1軸径部と前記第2軸径部の境界部に設けられるように溶接する構成であってもよい。
【0013】
このようにすることで、転がり軸受を第1部材に嵌合する際の作業を容易にしつつ、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面及び第1部材にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0014】
また、第1の態様においては、前記第1部材の形状が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の前記軸方向端面と連なるテーパ部を含む形状である構成であってもよい。
このようにすることで、転がり軸受を第1部材に嵌合する際の作業を容易にしつつ、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面及び第1部材にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0015】
また、第1の態様においては、前記溶接工程が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の軸方向端面に対するレーザ光の入射角を60°より大きくし、前記第1部材の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部の前記第1部材側の端部から所定距離以内、かつ、該端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸とがなす角度が60°以下となる領域内に前記第1部材が存在しない形状であるであってもよい。
このようにすることで、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面及び第1部材にパーティクルが付着することによる不具合を更に減少させることができる。
【0016】
本発明の第2の態様は、第1の転がり軸受の内輪端面が第1部材に設けられた鍔部に突き当たるまで嵌合する第1嵌合工程と、前記第1の転がり軸受から軸方向に間隔をあけた位置において、第2の転がり軸受の内輪内面を前記第1部材の外面に嵌合する第2嵌合工程と、前記第1転がり軸受と前記第2転がり軸受の外輪間に第2部材を挟んだ状態で前記第1転がり軸受及び前記第2転がり軸受の内輪どうしを、軸方向に近接させる方向に押圧する予圧工程と、レーザ光を照射して、前記第2の転がり軸受の内輪における軸方向の周縁部の少なくとも一部と、前記第1部材の外面とを溶接する溶接工程と、を含み、前記溶接工程が、前記第2の転がり軸受内輪の前記周縁部側の軸方向端面に対するレーザ光の入射角を45°より大きくし、前記第1部材の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部の前記第1部材側の端部から所定距離以内、かつ、該端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸とがなす角度が45°以下となる領域内に前記第1部材が存在しない形状である転がり軸受装置の製造方法を提供する。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、第1の転がり軸受の内輪端面が第1部材に設けられた鍔部に突き当たるまで嵌合し、第1の転がり軸受から軸方向に間隔をあけた位置において第2の転がり軸受の内輪内面を第1部材の外面に嵌合し、第1転がり軸受と第2転がり軸受の外輪間に第2部材を挟んだ状態で第1転がり軸受及び第2転がり軸受の内輪どうしを軸方向に近接させる方向に押圧し、レーザ光を照射して第2の転がり軸受の内輪における軸方向の周縁部の少なくとも一部と第1部材の外面とを溶接することで、適正な予圧を維持してレーザ光の照射により溶接された転がり軸受装置が製造される。そして、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面に対するレーザ光の入射角を45°より大きくするので、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。また、第1部材の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部の第1部材側の端部から所定距離以内、かつ、端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸とがなす角度が45°以下となる領域内に第1部材が存在しない形状であるので、第1部材にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0018】
第2の態様においては、前記第1部材の形状が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の前記軸方向端面と連なる平面を形成する形状であり、前記溶接工程が、前記平面に対するレーザ光の入射角を略90°とした構成であってもよい。
このようにすることで、第1部材の軸方向に略平行な軸をレーザ光の照射軸としつつ、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面及び第1部材にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0019】
また、第2の態様においては、前記第1部材の形状が、前記転がり軸受の内輪内面と嵌合する位置における軸径となる第1軸径部と前記第1軸径部よりも短い軸径となる第2軸径部とを含む形状であり、前記溶接工程が、前記ナゲット部の前記第1部材側の端部が、前記第1軸径部と前記第2軸径部の境界部に設けられるように溶接する構成であってもよい。
【0020】
このようにすることで、転がり軸受を第1部材に嵌合する際の作業を容易にしつつ、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面及び第1部材にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0021】
また、第2の態様においては、前記第1部材の形状が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の前記軸方向端面と連なるテーパ部を含む形状である構成であってもよい。
このようにすることで、転がり軸受を第1部材に嵌合する際の作業を容易にしつつ、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面及び第1部材にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0022】
また、第2の態様においては、前記溶接工程が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の軸方向端面に対するレーザ光の入射角を60°より大きくし、前記第1部材の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部の前記第1部材側の端部から所定距離以内、かつ、該端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸とがなす角度が60°以下となる領域内に前記第1部材が存在しない形状であるであってもよい。
このようにすることで、転がり軸受内輪の周縁部側の軸方向端面及び第1部材にパーティクルが付着することによる不具合を更に減少させることができる。
【0023】
本発明の第3の態様は、第1の態様または第2の態様に係る製造方法により製造された転がり軸受装置を提供する。
本発明の第4の態様は、第3の態様に係る転がり軸受装置によって揺動可能に支持されたスイングアームを備え、該スイングアームの先端に、記憶媒体に対してデータを読み書きするためのピックアップを備えるハードディスク装置を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、転がり軸受や転がり軸受の内輪に嵌合する軸状の部材にナゲット部から飛散するパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる転がり軸受装置およびその製造方法、並びにハードディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る転がり軸受装置を示す縦断面図である。
【図2】図1の転がり軸受装置を示す分解縦断面図である。
【図3】図1の転がり軸受装置の一方の転がり軸受の内輪とシャフトとの溶接箇所を示す平面図である。
【図4】図1の転がり軸受装置の一方の転がり軸受のシャフトへの圧入工程を説明する(a)圧入前、(b)圧入後の縦断面図である。
【図5】図1の転がり軸受装置の他方の転がり軸受のスリーブへの圧入工程を説明する(a)圧入前、(b)圧入後の縦断面図である。
【図6】図1の転がり軸受装置の他方の転がり軸受のシャフトへの圧入工程を説明する縦断面図である。
【図7】図1に示される転がり軸受装置1の溶接箇所Wの近傍を拡大した縦断面図である。
【図8】図7に示される転がり軸受装置1の変形例を示す縦断面図である。
【図9】図7に示される転がり軸受装置1の変形例を示す縦断面図である。
【図10】図7に示される転がり軸受装置1の変形例を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態に係る転がり軸受装置1およびその製造方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る転がり軸受装置1は、図1および図2に示されるように、円環状の内輪2と外輪3との間に複数個のボール4を配置した2つの転がり軸受5A,5Bと、これら2つの転がり軸受5A,5Bの内輪2内面2aに嵌合させるシャフト(第1部材)6と、2つの転がり軸受5A,5Bの外輪3外面3aを嵌合させる嵌合孔7を有するスリーブ(第2部材)8とを備えている。
【0027】
シャフト6は、図2に示されるように、転がり軸受5A,5Bの内輪2の内径より若干小さい第1の外径寸法d1の外周面と、外径寸法d1より若干小さい外径寸法d3の外周面を有する略円柱状の部材である。シャフト6には、2つの転がり軸受5A,5Bの内輪2内面2aを嵌合させる2箇所の嵌合部9,10と、一方の転がり軸受5Aの内輪2aの端面が突き当てられる鍔部11とが設けられている。
【0028】
嵌合部9と嵌合部10は、シャフト6の軸方向に間隔を空けて配置されている。嵌合部9には、シャフト6の外周面の一部を全周にわたって半径方向外方に突出させた突条(凸嵌合部)9aが設けられている。また、嵌合部10には、シャフト6の外周面の一部を全周にわたって半径方向外方に突出させた突条(凸嵌合部)10aが設けられている。
【0029】
突条9aの最外径寸法は、転がり軸受5Aの内輪2の内径寸法より若干大きい第2の外径寸法d2に設定されている。これにより、突条9aを転がり軸受5Aの内輪2内面2aに嵌合させる際には、両者が圧入状態に嵌合するようになっている。また、突条10aの最外径寸法は、転がり軸受5Bの内輪2の内径寸法より若干大きい第2の外径寸法d2に設定されている。これにより、突条10aを転がり軸受5Bの内輪2内面2aに嵌合させる際には、両者が圧入状態に嵌合するようになっている。
【0030】
シャフト6の先端部の最外径寸法は、第1の外径寸法d1より若干小さい第3の外径寸法d3に設定されている。後述するように、シャフト6の先端部の最外径寸法d3を突条10aの最外径寸法d2より小さくすることで、ナゲット部から飛散するパーティクルがシャフト6に付着することを防止することができる。
【0031】
シャフト6の端部から挿入された一方の転がり軸受5Aの内輪2は、図1に示されるように、鍔部11に突き当たる位置まで挿入され、その位置で、一方の嵌合部9に嵌合する。嵌合部9には突条9aが設けられているので、軸受5Aの内輪2は突条9aに圧入状態に嵌合される。また、シャフト6の端部から挿入された他方の転がり軸受5Bの内輪2は、図1に示されるように、突条10aに圧入状態に嵌合する。
【0032】
スリーブ8は、内面に転がり軸受5A,5Bの外輪3外面3aを嵌合させる嵌合孔7を有する略円筒状の部材である。嵌合孔7の内面には、スリーブ8の軸方向の略中央位置に配置された転がり軸受5A,5Bの外輪3外径3aより十分に小さい内径寸法を有する段部13と、該段部13を挟んで軸方向の両側に配置され、転がり軸受5A,5Bの外輪3外面3aを嵌合させる2箇所の嵌合部14,15とが設けられている。
【0033】
段部13の軸方向の両端面は、両嵌合部14,15に嵌合された2つの転がり軸受5A,5Bの外輪3の端面をそれぞれ突き当てる突き当て面13aを構成している。各嵌合部14,15は、転がり軸受5A,5Bの外輪3外面3aの外径寸法より若干大きな第1の内径寸法の底面を有する凹部(凹嵌合部)14a,15aと、該凹部14a,15aを挟んで軸方向の両側に配置され、転がり軸受5A,5Bの外輪3外面3aの外径寸法より若干小さい第2の内径寸法を有する突条(凸嵌合部)14b,15bとをそれぞれ備えている。
【0034】
突条14bの内径寸法が転がり軸受5Aの外輪3外面3aの外径寸法より若干小さいので、突条14bと転がり軸受5Aの外輪3外面3aは、圧入状態に嵌合するようになっている。同様に、突条15bの内径寸法が転がり軸受5Bの外輪3外面3aの外径寸法より若干小さいので、突条15bと転がり軸受5Bの外輪3外面3aは、圧入状態に嵌合するようになっている。
【0035】
転がり軸受5Bの内輪2内面2aは、溶接箇所Wにて、シャフト6の突条10aに溶接されている。この場合において、転がり軸受5Bの内輪2内面2aはシャフト6の突条10aに圧入状態に嵌合しており、転がり軸受5Bの外輪3外面3aはスリーブ8の突条15bに圧入状態に嵌合している。レーザ光照射ユニット16から複数の溶接箇所Wに対してレーザ光を照射することにより、転がり軸受5Bの内輪2における軸方向の周縁部と、シャフト6の外面である突条10aとが溶接される。溶接箇所Wは、図3に示されるように、1周を45°間隔で等分割した角度間隔の8箇所に設けられる。
【0036】
次に、本発明の実施形態に係る転がり軸受装置1の製造方法について説明する。本実施形態に係る転がり軸受装置1の製造方法は、転がり軸受5Aの内輪2端面がシャフト6に設けられた鍔部11に突き当たるまで嵌合する第1嵌合工程と、転がり軸受5Aから軸方向に間隔をあけた位置において転がり軸受5Bの内輪2内面2aをシャフト6の外面に嵌合する第2嵌合工程(嵌合工程)と、転がり軸受5Aと転がり軸受5Bの外輪間にスリーブ8を挟んだ状態で転がり軸受5A,5Bの内輪どうしを軸方向に近接させる方向に押圧する予圧工程と、レーザ光を照射して転がり軸受5Bの内輪における軸方向の周縁部の少なくとも一部とシャフト6の外面とを溶接する溶接工程とを含む。
【0037】
ここで、溶接工程は、転がり軸受5B内輪2の周縁部側の軸方向端面に対するレーザ光の入射角を45°より大きくする。また、シャフト6の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部Nのシャフト6側の端部Eから所定距離D以内、かつ、端部Eから延伸する直線L1とレーザ光の照射軸L2とがなす角度が45°以下となる領域内にシャフト6が存在しない形状である。
【0038】
第1嵌合工程は、図4(a)に示されるように、転がり軸受5Aの内輪2をシャフト6の先端側から嵌合させていく。転がり軸受5Aが先端側の嵌合部10を通過し、内輪2の端面が鍔部11に突き当たるまで挿入すると、図4(b)に示されるように、嵌合部9において内輪2内面2aがシャフト6の外面に設けられた突条9aに圧入状態で嵌合される。
【0039】
次に、図5(a)に示されるように、凹部15aが配されている嵌合部15側の端部から他方の転がり軸受5Bの外輪3をスリーブ8の嵌合孔7に嵌合させていく。転がり軸受5Bの外輪3の外径は、嵌合部15の突条15bの内径より大きいので、外輪3は突条15bによって半径方向内方に圧縮されながら挿入されて、図5(b)に示される状態となる。
【0040】
この後に、第2の嵌合工程において、図4(b)のサブ組立体と、図5(b)のサブ組立体とを組み付ける。図6に示されるように、矢印の位置に治具により押圧力を作用させて転がり軸受5Bの内輪2内面2aとシャフト6の嵌合部10との嵌合および転がり軸受5Aの外輪3外面3aとスリーブ8の嵌合孔7の嵌合部14との嵌合を同時に行う。
【0041】
これにより、転がり軸受5Bの内輪2内面2aがシャフト6の嵌合部10に設けられた突条10aに圧入状態に嵌合される。同時に、転がり軸受5Aの外輪3外面3aがスリーブ8の嵌合孔7内面に設けられた突条14bに圧入状態に嵌合される。
【0042】
この後に、予圧工程において、図示しない治具により2つの転がり軸受5A,5Bの内輪2どうしを近接させる方向に押圧して、転がり軸受5A,5Bに予圧をかける。2つの転がり軸受5A,5Bは、シャフト6に圧入状態に嵌合されているので、予圧工程により付与された押圧力は、転がり軸受装置1から治具を外した後であっても、しばらくの間、圧入状態の内輪とシャフト6とによって予圧がかけられた状態が維持される。そして、圧入状態の内輪とシャフト6とによって予圧がかけられた状態が維持されたまま、溶接工程において、転がり軸受5Bの内輪2における軸方向の周縁部の少なくとも一部とシャフト6の外面とが溶接される。
【0043】
溶接工程は、予圧工程によって予圧がかけられた状態が維持された転がり軸受装置1の溶接箇所Wに対して、図1に示されるレーザ光照射ユニット16からレーザ光を照射する。溶接箇所Wは、転がり軸受5Bの内輪2における軸方向の周縁部とシャフト6の外面に対応する箇所である。溶接工程は、転がり軸受装置1を回転台(不図示)の上に設置してシャフト6の軸を中心に一定の回転速度にて回転させながら、固定して配置されたレーザ光照射ユニット16から各々一定の照射時間(例えば、0.5msec)でレーザ光を順次照射する。図3に示されるように、角度間隔を等しくした8箇所を溶接箇所Wとする場合、シャフト6の回転により角度が45°進むたびに、レーザ光を順次照射する。
【0044】
これにより、予圧工程によって予圧がかけられた状態が維持された転がり軸受装置1の溶接箇所Wが溶接されるので、予圧がかけられた状態が維持された転がり軸受装置1が製造される。
【0045】
なお、溶接工程においては、レーザ光の照射により金属が溶融凝固する部分(ナゲット部N)から飛散するパーティクル(塵)が転がり軸受5Bおよびシャフト6の外面に付着しないようにするため、不図示の吸入装置により溶接箇所Wの周辺の空気を吸い込んでパーティクルを除去するものとする。ただし、溶接箇所Wに近接した箇所に転がり軸受5Bの内輪2の軸方向端面2bやシャフト6の外面が配置されていると、吸入装置では除去しきれないパーティクルが転がり軸受装置1に付着してしまう可能性がある。そこで、本実施形態に係る転がり軸受装置1の製造方法は、吸入装置では除去しきれないパーティクルが転がり軸受装置1に付着しないようにして、転がり軸受装置1を製造する。
【0046】
次に、本実施形態に係る転がり軸受装置1の製造方法の溶接工程で用いられるレーザ光の入射角とシャフト6の形状について図7〜図10を用いて説明する。図7は、図1に示される転がり軸受装置1の溶接箇所Wの近傍を拡大した縦断面図である。また、図8〜図10は、図7に示される転がり軸受装置1の変形例を示す縦断面図である。
【0047】
なお、図7〜図10に示されるナゲット部Nは、レーザ光照射ユニット16からのレーザ光の照射により溶接箇所Wの金属が溶融凝固した部分を示す。また、ナゲット部Nのシャフト6側の端部Eから所定距離D以内となる領域が符号Aで示されている。
【0048】
図7に示されるシャフト6の形状は、転がり軸受5Bの内輪2の軸方向端面2bと連なる平面を形成する形状とされている。また、図8に示されるシャフト6の形状は、転がり軸受5Bの内輪2の軸方向端面2bと連なるテーパ部を含む形状とされている。図9および図10に示されるシャフト6の形状は、転がり軸受5Bの内輪2内面2aと嵌合する位置における軸径d2となる突条10aと突条10aよりも短い軸径d3となるシャフト6の先端部を含む形状とされている。なお、図9に示されるシャフト6の先端部が軸径d3の部分のみで構成されているのに対し、図10に示されるシャフト6の先端部は軸径d3の部分(外面6aの部分)と軸径d2となる部分(外面6bの部分)を含む。
【0049】
レーザ光が溶接箇所Wに照射されてナゲット部Nの形成が開始されると、ナゲット部Nの表面からパーティクルが飛散する。パーティクルは、レーザ光の照射軸L2と同方向か、照射軸L2から一定の角度範囲に飛散する。そこで、本実施形態に係る転がり軸受装置1の製造方法では、ナゲット部Nから飛散するパーティクルが転がり軸受装置1に付着しないように、転がり軸受5Bの内輪2の軸方向端面2bに対するレーザ光の入射角が設定されている。また、ナゲット部Nから飛散するパーティクルが転がり軸受装置1に付着しないように、シャフト6の形状が定められている。
【0050】
具体的には、レーザ光照射部16が照射するレーザ光の、転がり軸受5Bの内輪2の軸方向端面2bに対する入射角が、45°より大きく設定されている。図7に示される例においては、軸方向端面2bに対する入射角が90°とされている。また、図8〜図10に示される例においては、軸方向端面2bに対する入射角が60°とされている。
【0051】
軸方向端面2bに対するレーザ光の入射角を大きくすればするほど、ナゲット部Nから飛び散るパーティクルが軸方向端面2bに付着しにくくなる。ただし、軸方向端面2bに対する入射角を大きくすればするほど、ナゲット部Nから飛び散るパーティクルがシャフト6の外面に付着しやすくなる。従って、軸方向端面2bに対する入射角は、シャフト6の形状を考慮して、45°より大きく135°より小さい範囲で適宜設定するのが望ましい。
【0052】
また、溶接工程において溶接するシャフト6の形状は、ナゲット部Nのシャフト6側の端部Eから所定距離D以内、かつ、端部Eから延伸する直線L1とレーザ光の照射軸L2がなす角度が45°以下となる領域内にシャフト6が存在しない形状とされている。図7〜図10に示される例においては、ナゲット部Nのシャフト6側の端部Eから所定距離D以内となる領域Aにおいて、さらに、端部Eから延伸する直線L1とレーザ光の照射軸L2がなす角度が45°以下となる領域内には、シャフト6が存在しない。
【0053】
シャフト6の形状を、ナゲット部Nのシャフト6側の端部Eから延伸する直線L1とレーザ光の照射軸L2がなす角度を45°以下となる領域内にシャフト6が存在しない形状としているのは、45°より角度が大きい領域ではパーティクルの飛散量が少なく、飛散したパーティクルもそのほとんどが吸入装置によって除去されるからである。
【0054】
また、シャフト6の形状を、ナゲット部Nのシャフト6側の端部Eから所定距離D以内にシャフト6が存在しない形状としているのは、所定距離Dより離れた領域ではパーティクルの飛散量が少なく、飛散したパーティクルもそのほとんどが吸入装置によって除去されるからである。
なお、所定距離Dは、レーザ光の強度、シャフト6や転がり軸受5Bの材質、吸入装置の吸入力等により、適宜に設定される。発明者らが、ナゲット部Nのシャフト6側の端部Eからシャフト6の外面6aまでの距離を調整しながら外面6aにパーティクルが付着するかどうかを実験したところ、端部Eからシャフト6の外面6aまでの距離を0.110mmより大きくした場合にパーティクルの付着が発生しなかった。従って、発明者らの実験結果によれば、所定距離Dが0.110mmとなる。そして、ナゲット部Nのシャフト6側の端部Eから0.110mm以内にシャフト6が存在しない形状とすることで、シャフト6へのパーティクルの付着を防止することができる。
【0055】
以上のようにして製造された本実施形態に係る転がり軸受装置1の製造方法によれば、第1嵌合工程および第2嵌合工程において転がり軸受5A,5Bをシャフト6にそれぞれ嵌合させ、予圧工程において外輪間にスリーブ8を挟んだ状態で転がり軸受5A,5Bの内輪どうしを軸方向に近接させる方向に押圧し、レーザ光を照射して押圧された転がり軸受5Bの内輪における軸方向の周縁部の少なくとも一部とシャフト6の外面とを溶接する。
【0056】
また、転がり軸受5Bの内輪2の周縁部側の軸方向端面2bに対するレーザ光の入射角を45°より大きく、シャフト6の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部Nのシャフト6側の端部Eから所定距離D以内、かつ、端部Eから延伸する直線L1とレーザ光の照射軸L2とがなす角度が45°以下となる領域内にシャフト6が存在しない形状である。そして、本実施形態に係る軸受装置1の製造方法によれば、以下の効果を奏する。
【0057】
すなわち、転がり軸受5Bの内輪2内面2aをシャフト6の外面に嵌合し、レーザ光を照射して、転がり軸受5Bの内輪2における軸方向の周縁部の少なくとも一部とシャフト6の外面とを溶接することで、レーザ光の照射により溶接された転がり軸受装置1が製造される。そして、転がり軸受5Bの内輪2の周縁部側の軸方向端面2bに対するレーザ光の入射角を45°より大きくするので、転がり軸受5Bの内輪2の周縁部側の軸方向端面2bにパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0058】
また、シャフト6の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部Nのシャフト6側の端部Eから所定距離D以内、かつ、端部Eから延伸する直線L1とレーザ光の照射軸L2とがなす角度が45°以下となる領域内にシャフト6が存在しない形状であるので、シャフト6にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0059】
また、図7に示されるシャフト6の形状が、転がり軸受5Bの内輪2の周縁部側の軸方向端面2bと連なる平面を形成する形状であり、溶接工程が、平面に対するレーザ光の入射角を略90°(望ましくは85°以上、かつ、95°以下)とした構成である。
このようにすることで、シャフト6の軸方向に略平行な軸をレーザ光の照射軸L1としつつ、転がり軸受5Bの内2輪の周縁部側の軸方向端面2b及びシャフト6にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0060】
また、図8に示されるシャフト6の形状は、転がり軸受5Bの内輪2の周縁部側の軸方向端面2bと連なるテーパ部を含む形状である。
このようにすることで、転がり軸受5Bをシャフト6に嵌合する際の作業を容易にしつつ、転がり軸受5Bの内輪2の軸方向端面2b及びシャフト6にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0061】
また、図9および図10に示されるシャフト6の形状は、転がり軸受5Bの内輪2内面2aと嵌合する位置における軸径d2となる突条10aと突条10aよりも短い軸径d3となるシャフト6の先端部を含む形状であり、溶接工程は、ナゲット部Nのシャフト6側の端部Eが、突条10aとシャフト6の先端部6aの境界部(符号6cで示されるシャフト6の外面)に設けられるように溶接する。
このようにすることで、転がり軸受5Bをシャフト6に嵌合する際の作業を容易にしつつ、転がり軸受5Bの内2輪の周縁部側の軸方向端面2bシャフト6にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0062】
なお、図7に示される転がり軸受装置1では、ナゲット部Nの先端が突条10aと転がり軸受5Bの内輪2内面2aの境界に一致するものであった。それに対して、図8〜図10に示される転がり軸受装置1では、ナゲット部Nの先端が突条10aと転がり軸受5Bの内輪2内面2aの境界に一致しない。一般的には、ナゲット部の先端が溶接対象物の境界面に一致すると溶接強度が弱くなってしまう。従って、図7に示される転がり軸受装置1を、図8〜図10に示される転がり軸受装置1の変形例とすることで、溶接強度をより強くすることができる。
【0063】
また、本実施形態に係る転がり軸受装置1の製造方法においては、溶接工程が、転がり軸受5Bの内輪2の軸方向端面2bに対するレーザ光の入射角を60°より大きくし、シャフト6の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部Nのシャフト6側の端部Eから所定距離D以内、かつ、端部Eから延伸する直線L1とレーザ光の照射軸L2とがなす角度が60°以下となる領域内にシャフト6が存在しない形状である。
このようにすることで、転がり軸受5Bの内輪2の軸方向端面2b及びシャフト6にパーティクルが付着することによる不具合を更に減少させることができる。
【0064】
なお、本実施形態に係る転がり軸受装置1の製造方法では、溶接工程において、転がり軸受5Bの内輪2の軸方向端面2bに対するレーザ光の入射角を45°より大きくしたが、他の態様を採用してもよい。例えば、転がり軸受5Bの形状を、レーザ光の照射により形成されるナゲット部の転がり軸受5B側の端部から所定距離D以内、かつ、その端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸L2とがなす角度が45°以下となる領域内に転がり軸受5Bが存在しない形状としてもよい。
【0065】
一般的な転がり軸受の形状であれば、転がり軸受の内輪の軸方向端面に対するレーザ光の入射角を45°より大きくすれば、ナゲット部Nから飛散したパーティクルが転がり軸受の内輪の軸方向端面に付着することは少ない。しかしながら、転がり軸受の形状が特殊な場合には、パーティクルが転がり軸受の内輪の軸方向端面に付着する可能性がある。
【0066】
そこで、そのような場合であっても、パーティクルが付着することによる不具合を減少させるため、転がり軸受5Bの形状を、レーザ光の照射により形成されるナゲット部Nの転がり軸受5B側の端部から所定距離D以内、かつ、その端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸L2とがなす角度が45°以下となる領域内に転がり軸受5Bが存在しない形状とした。このようにすることで、転がり軸受5Bの内輪2の軸方向端面2bにパーティクルが付着することによる不具合を更に減少させることができる。
【0067】
なお、本実施形態においては、シャフト6の形状として、ナゲット部Nのシャフト6側の端部Eから所定距離D以内、かつ、端部Eから延伸する直線L1とレーザ光の照射軸L2がなす角度が45°以下となる領域内にシャフト6が存在しない形状を採用したが、他の形状を採用してもよい。例えば、シャフト6の形状として、ナゲット部Nのシャフト6側の端部Eから所定距離D以内、かつ、端部Eから延伸する直線L1とレーザ光の照射軸L2がなす角度が90°以下となる領域内にシャフト6が存在しない形状を採用してもよい。このようにすることで、より確実に、シャフト6にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができる。
【0068】
また、本実施形態に係る転がり軸受装置1は、ハードディスク装置(図示略)のスイングアームを揺動可能に支持するために使用することが好ましい。なお、スイングアームの先端にはハードディスク装置が備える磁気ディスク(記憶媒体)に対してデータを読み書きするためのピックアップが設けられる。前述したように、転がり軸受5Bの内輪2の周縁部側の軸方向端面2bにパーティクルが付着することによる不具合や、シャフト6にパーティクルが付着することによる不具合を減少させることができるので、ハードディスク装置の動作不良を防止することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 転がり軸受装置
2 内輪
2a 内面
2b 軸方向端面
5A,5B 転がり軸受
6 シャフト
16 レーザ光照射部
E ナゲット部Nの端部
L1 端部Eから延伸する直線
L2 レーザ光の照射軸
N ナゲット部
W 溶接箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受の内輪内面を軸状の第1部材の外面に嵌合する嵌合工程と、
レーザ光を照射して、前記転がり軸受の内輪における軸方向の周縁部の少なくとも一部と、前記第1部材の外面とを溶接する溶接工程と、を含み、
該溶接工程が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の前記軸方向端面に対するレーザ光の入射角を45°より大きくし、
前記第1部材の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部の前記第1部材側の端部から所定距離以内、かつ、該端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸とがなす角度が45°以下となる領域内に前記第1部材が存在しない形状である転がり軸受装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1部材の形状が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の軸方向端面と連なる平面を形成する形状であり、
前記溶接工程が、前記平面に対するレーザ光の入射角を略90°とした請求項1に記載の転がり軸受装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1部材の形状が、前記転がり軸受の内輪内面と嵌合する位置における軸径となる第1軸径部と前記第1軸径部よりも短い軸径となる第2軸径部とを含む形状であり、
前記溶接工程が、前記ナゲット部の前記第1部材側の端部が、前記第1軸径部と前記第2軸径部の境界部に設けられるように溶接する請求項1に記載の転がり軸受装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1部材の形状が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の前記軸方向端面と連なるテーパ部を含む形状である請求項1に記載の転がり軸受装置の製造方法。
【請求項5】
前記溶接工程が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の軸方向端面に対するレーザ光の入射角を60°より大きくし、
前記第1部材の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部の前記第1部材側の端部から所定距離以内、かつ、該端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸とがなす角度が60°以下となる領域内に前記第1部材が存在しない形状である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の転がり軸受装置の製造方法。
【請求項6】
第1の転がり軸受の内輪端面が第1部材に設けられた鍔部に突き当たるまで嵌合する第1嵌合工程と、
前記第1の転がり軸受から軸方向に間隔をあけた位置において、第2の転がり軸受の内輪内面を前記第1部材の外面に嵌合する第2嵌合工程と、
前記第1転がり軸受と前記第2転がり軸受の外輪間に第2部材を挟んだ状態で前記第1転がり軸受及び前記第2転がり軸受の内輪どうしを、軸方向に近接させる方向に押圧する予圧工程と、
レーザ光を照射して、前記第2の転がり軸受の内輪における軸方向の周縁部の少なくとも一部と、前記第1部材の外面とを溶接する溶接工程と、を含み、
前記溶接工程が、前記第2の転がり軸受内輪の前記周縁部側の前記軸方向端面に対するレーザ光の入射角を45°より大きくし、
前記第1部材の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部の前記第1部材側の端部から所定距離以内、かつ、該端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸とがなす角度が45°以下となる領域内に前記第1部材が存在しない形状である転がり軸受装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1部材の形状が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の軸方向端面と連なる平面を形成する形状であり、
前記溶接工程が、前記平面に対するレーザ光の入射角を略90°とした請求項6に記載の転がり軸受装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1部材の形状が、前記転がり軸受の内輪内面と嵌合する位置における軸径となる第1軸径部と前記第1軸径部よりも短い軸径となる第2軸径部とを含む形状であり、
前記溶接工程が、前記ナゲット部の前記第1部材側の端部が、前記第1軸径部と前記第2軸径部の境界部に設けられるように溶接する請求項6に記載の転がり軸受装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1部材の形状が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の前記軸方向端面と連なるテーパ部を含む形状である請求項6に記載の転がり軸受装置の製造方法。
【請求項10】
前記溶接工程が、前記転がり軸受内輪の前記周縁部側の軸方向端面に対するレーザ光の入射角を60°より大きくし、
前記第1部材の形状が、レーザ光の照射により形成されるナゲット部の前記第1部材側の端部から所定距離以内、かつ、該端部から延伸する直線とレーザ光の照射軸とがなす角度が60°以下となる領域内に前記第1部材が存在しない形状である請求項6から請求項9のいずれか1項に記載の転がり軸受装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の製造方法により製造された転がり軸受装置。
【請求項12】
請求項11に記載の転がり軸受装置によって揺動可能に支持されたスイングアームを備え、該スイングアームの先端に、記憶媒体に対してデータを読み書きするためのピックアップを備えるハードディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−76449(P2013−76449A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217964(P2011−217964)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】