説明

転写前ガイドおよびこれを備えた画像形成装置

【課題】低コストで、感光体と転写ローラ間の転写ニップ部に用紙を案内する際の搬送負担を低減させ、あらゆる種類の用紙の搬送性を向上させることができる転写前ガイドおよびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】感光体12と感光体12に対向して配置された転写ローラ15との間には、転写ニップ部Nが設けられている。又、当該転写ニップ部Nに用紙を案内するための転写前ガイド22が設けられている。この転写前ガイド22のうち、第2の転写前ガイド部材24の下流側端部25は、転写ニップ部Nのうち、最も上流側に位置する部分Mにおける感光体12の接線Tよりも下方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写位置に用紙を案内するための転写前ガイド、及びこれを備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置においては、帯電装置により像担持体である感光体の表面が一様に帯電させられた後、画像読取部によって読み取られた画像に基づく光が、露光装置により感光体の表面に照射されて、その画像の静電潜像が形成され、その後、現像装置によりその静電潜像にトナーを付着させトナー像が形成される。そして、感光体と転写装置との間に供給された用紙上に、転写装置により感光体からトナー像が引き寄せられて転写される構成となっている。
【0003】
又、上記転写装置において使用される転写方式のひとつとして転写ローラ方式が採用されている。この転写ローラ方式は、ゴム部材のローラを有する転写ローラと呼ばれるものを感光体に対向して一定量接触するか若しくは微小な隙間を形成する位置に付勢させて対向配置させ、そのローラに逆極性の電圧を印加しつつ感光体の表面速度と略同一の周速で回転させて用紙を搬送しながら転写する方式である。
【0004】
この転写ローラ方式においては、感光体と転写ローラ間の転写ニップ部(即ち、感光体と用紙とが接する領域)の上流側より用紙を感光体に密着させて転写を行っている。従って、搬送されてくる用紙を、転写ニップ部の上流側より感光体に密着させて送り出す必要があるため、当該転写ニップ部の上流側には、感光体と転写ローラ間の転写位置に用紙を案内するための一対の転写前ガイド(即ち、転写前上ガイド部材と転写前下ガイド部材)が設けられている。
【0005】
ここで、この様な転写前ガイドを備える画像形成装置において、転写時に、搬送されてきた用紙を感光体表面に長く接触させて安定した転写処理を行うべく、転写前下ガイド部材の下流側端部を、転写ニップ部の最上流側に位置する部分における感光体の接線上、又は当該接線よりも上方に配置したものが開示されている。この画像形成装置においては、更に、用紙の搬送性を向上させるとともに、搬送されてきた用紙と転写前下ガイド部材との摩擦により発生する紙粉の量を減少させるために、転写前下ガイド部材の表面をめっき加工したり、あるいは当該表面を高分子フィルムで覆うことにより、転写前下ガイド部材に、用紙に対して高い摺動性をもたせている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−244446号公報(第2−3頁、第1−2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の転写前ガイドにおいては、上述のごとく、転写前下ガイドが感光体の接線上、又は当該接線よりも上方に配置されているため、用紙の転写ニップ部への進入角度が大きい。従って、感光体と転写ローラ間の転写ニップ部に用紙を案内する際の搬送負担が増大し、安定した用紙搬送が困難となる。
【0007】
また、当該構成では、通常、使用されるサイズ(例えば、A4サイズやB4サイズ等)の用紙に対する搬送負担を軽減すべく、転写前下ガイド部材の表面全体をめっき加工、あるいは当該表面全体を高分子フィルムで覆う必要があるため、コストアップになるとともに、組立作業等が煩雑になるという問題があった。又、表面全体を高分子フィルムで覆う構成としているため、転写前下ガイドと高分子フィルムの間に気泡やシワ等が発生しやすくなり、却って良好な用紙搬送性が得られないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、低コストで、感光体と転写ローラ間の転写ニップ部に用紙を案内する際の搬送負担を低減させ、あらゆる種類の用紙の搬送性を向上させることができる転写前ガイドおよびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の転写前ガイドは、像担持体と像担持体に対向して配置された転写部材との間に設けられた転写ニップ部に用紙を案内するための転写前ガイドにおいて、転写前ガイドは、用紙の表面側をガイドする第1の転写前ガイド部材と、第1の転写前ガイド部材に対向して配置されるとともに、用紙の裏面側をガイドする第2の転写前ガイド部材と、を備えており、第2の転写前ガイド部材の下流側端部が、転写ニップ部のうち、最も上流側に位置する部分における像担持体の接線よりも下方に配置されていることを特徴とする。
【0010】
ここで、本発明の転写前ガイドにおいては、第2の転写前ガイド部材の用紙搬送面の一部に、摩擦係数の低いシート部材が設けられているものとすることができる。
又、本発明の転写前ガイドにおいては、シート部材は、第2の転写前ガイド部材の長手方向における用紙搬送面の中央部に設けられており、シート部材の幅は、ハガキの幅よりも大きく、転写ニップ部に搬送されるハガキ以外の用紙の最小用紙幅よりも小さく設定されているものとすることができる。
【0011】
又、この際、シート部材の幅を、100mmより大きく、かつ150mmよりも小さく設定することができる。
更に、本発明の転写前ガイドにおいては、シート部材が、超高分子ポリエチレンシートであるものとすることができる。
【0012】
又、本発明の画像形成装置は、上述のいずれかに記載の転写前ガイドを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の転写前ガイドによれば、第2の転写前ガイド部材の下流側端部が、転写ニップ部のうち、最も上流側に位置する部分における像担持体の接線よりも下方に配置される構成としている。従って、用紙の転写ニップ部への進入角度が小さくなるため、搬送時における用紙と第2の転写前ガイド部材の下流側端部との摩擦力が低減される。その結果、転写領域に用紙を案内する際の搬送負担が低減し、安定した用紙搬送が可能となる。
【0014】
又、本発明の転写前ガイドによれば、第2の転写前ガイド部材の用紙搬送面の一部に、摩擦係数の低いシート部材を設ける構成としている。従って、搬送される用紙と第2の転写前ガイド部材との摩擦力が低減される。その結果、転写領域に用紙を案内する際の搬送負担が低減し、当該用紙の安定した搬送が可能となる。又、用紙搬送面全体を高分子フィルムで覆う必要がなくなり、結果として、コストを抑制できるとともに、装置の組立作業性が向上することになる。更に、第2の転写前ガイドとシート部材の間に気泡やシワ等が発生しにくくなり、結果とし、良好な用紙搬送性を得ることが可能になる。
【0015】
又、本発明の転写前ガイドによれば、シート部材は、第2の転写前ガイド部材の長手方向における用紙搬送面の中央部に設けられており、シート部材の幅は、ハガキの幅よりも大きく、転写ニップ部に搬送されるハガキ以外の用紙の最小用紙幅よりも小さく設定されている。従って、搬送される用紙がハガキの場合に、当該ハガキと転写前下ガイド部材との摩擦力が低減され、結果として、転写領域にハガキを案内する際の搬送負担が低減し、当該ハガキの安定した搬送が可能となる。又、ハガキを安定して搬送させるための必要最小限のシート部材を用紙搬送面に設ける構成としているため、コストを抑制できるとともに、装置の組立作業性が向上することになる。更に、第2の転写前ガイドとシート部材の間に気泡やシワ等が発生しにくくなり、結果として、ハガキを搬送する際に良好な搬送性を得ることが可能になる。
【0016】
又、本発明の転写前ガイドによれば、シート部材の幅を、100mmより大きく、かつ150mmよりも小さく設定している。従って、ハガキ搬送用として、シート部材を小サイズにすることが可能になるため、用紙搬送面全体を高分子フィルムで覆う必要がなくなり、結果として、コストを抑制できるとともに、装置の組立作業性が向上することになる。
【0017】
又、本発明の転写前ガイドによれば、シート部材を超高分子ポリエチレンシートにより構成している。従って、搬送時におけるハガキと第2の転写前ガイド部材との摩擦力が著しく低減される。その結果、転写ニップ部にハガキを案内する際の搬送負担が低減し、安定した用紙搬送が可能となる。又、導電性にも優れた超高分子ポリエチレンシートを使用することにより、付着トナーに起因する搬送負担の増大を効果的に抑制することができる。
【0018】
又、本発明の画像形成装置によれば、上述のいずれかに記載の転写前ガイドを備える構成としているため、上述のいずれかに記載の転写前ガイドと同じ効果を得ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
図1に示す様に、この画像形成装置1は、デジタル複写機であり、画像形成装置本体1aの下部に配設された給紙部2と、この給紙部2の側方及び上方に配設された用紙搬送部3と、この用紙搬送部3の右方に配設された画像形成部4と、画像形成装置本体1aの上方に配設された画像読取部5を備えている。
【0020】
給紙部2は、用紙Pが収容された給紙カセット6を備えており、給紙ローラ7の回転動作により、当該給紙カセット6から用紙Pが用紙搬送部3側に送り出され、用紙Pが1枚ずつ確実に用紙搬送部3に給紙されるように構成されている。尚、この給紙カセット6は、画像形成装置本体1aに対し、着脱自在となるように構成されている。
【0021】
又、給紙部2には、手差し給紙装置8が設けられており、当該手差し給紙装置8は、手差し給紙トレイ9と、給紙ローラ10を備えている。手差し給紙トレイ9に載置された用紙は、給紙ローラ10の回転動作により、当該手差し給紙トレイ9から用紙供給搬送路11に送り出され、用紙が1枚ずつ用紙搬送部3に給紙されるように構成されている。
【0022】
用紙供給搬送路11に給紙された用紙Pは、用紙搬送部3を経由して画像形成部4に向けて搬送される。この画像形成部4は、電子写真プロセスによって、用紙Pに所定のトナー像を形成するものであり、所定の方向(図中の矢印R方向)に回転可能に軸支された像担持体である感光体12と、この感光体12の周囲にその回転方向に沿って、帯電装置13、現像装置14、転写装置(又は、転写部材)としての転写ローラ15、クリーニング装置16および除電装置17を備えている。
【0023】
帯電装置13は、高電圧が印加される帯電ワイヤを備えており、この帯電ワイヤからのコロナ放電によって感光体12の表面に所定電位を与えることにより、感光体12の表面が一様に帯電させられる。そして、画像読取部5により読み取られた原稿の画像データに基づくレーザ走査ユニット(LSU)18からのレーザビームにより感光体12上に静電潜像が形成される。次いで、現像装置14により、上記静電潜像にトナーが付着し、感光体12の表面にトナー像が形成され、転写ローラ15により、感光体12の表面のトナー像が、感光体12と転写ローラ15との間に供給された用紙に転写される。
【0024】
トナー像が転写された用紙P(以下、「転写紙」という)は、画像形成部4から定着ローラ対19に向けて搬送される。この定着ローラ対19は、画像形成部4の用紙搬送方向の下流側に配置されており、転写紙は定着ローラ対19を構成する加熱ローラ、及び当該加熱ローラに押し付けられる加圧ローラによって挟まれるとともに加熱され、転写紙上にトナー像が定着される。
【0025】
次いで、画像形成部4から定着ローラ対19において画像形成がなされた転写紙は、排出手段である排出ローラ対20によって画像形成装置本体1aの胴内に設けられた用紙排出部21に排出され、当該用紙排出部21に積載される。一方、上記転写後、感光体12の表面に残留しているトナーは、クリーニング装置16により除去され、感光体12の表面の残留電荷は、除電装置17により除去される。そして、感光体12は帯電装置13によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われることになる。
【0026】
次に、本実施形態の転写前ガイドについて、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る転写前ガイド周辺の概略構成を説明するための断面図である。
【0027】
図2に示す様に、転写ローラ15は、感光体12に対向して配置されており、図示しない押圧手段(例えば、押圧バネ)により、感光体12に対して押圧付勢されて、当該感光体12と一定量接触する構成となっている。又、当該転写ローラ15は、図2に示す様に、矢印S方向に回転しており、感光体12と転写ローラ15との間には、転写ニップ部Nが形成されている。尚、転写ローラ15は、感光体と略同一の周速で回転する構成となっている。
【0028】
そして、画像形成部4に向けて搬送されてきた用紙Pが、上述の転写ニップ部Nを通過するときに、転写ローラ15に対して、感光体12上のトナー像と逆極性の転写バイアスが印加されることにより、感光体12上のトナー像が用紙Pの表面に転写される構成となっている。
【0029】
又、転写ニップ部Nの上流側には、感光体12と転写ローラ15間の当該転写ニップ部Nに用紙を案内するための転写前ガイド22が設けられている。この転写前ガイド22は、用紙Pの表面側をガイドする第1の転写前ガイド部材(又は、転写前上ガイド部材)23と、この第1の転写前ガイド部材23に対向して配置されるとともに、用紙Pの裏面側をガイドする第2の転写前ガイド部材(又は、転写前下ガイド部材)24とを備えている。
【0030】
ここで、本実施形態においては、転写ニップ部Nに対する第2の転写前ガイド部材24の配置に特徴がある。
即ち、図2に示す様に、第2の転写前ガイド部材24の下流側端部25が、転写ニップ部Nのうち、最も上流側に位置する部分Mにおける感光体12の接線Tよりも下方に配置されている点に特徴がある。
【0031】
上流側より画像形成部4に向けて送り出されてきた用紙Pは、まず、第1の転写前ガイド部材23と第2の転写前ガイド部材24間に搬送され、次いで、転写ニップ部Nの最上流側に位置する部分Mへと導かれる。この際、上述のごとく、第2の転写前ガイド部材24が、上記接線Tよりも下方に配置されているため、用紙Pは、当該接線Tよりも下方側を通過しながら、転写ニップ部Nへと搬送されることになる。
【0032】
即ち、上述の従来技術のごとく、転写前下ガイド部材を感光体の接線上、又は当該接線よりも上方に配置する場合に比し、用紙Pの転写ニップ部Nへの進入角度が小さくなるため、搬送時における用紙Pと第2の転写前ガイド部材24の下流側端部25との摩擦力が低減される。その結果、転写領域に用紙Pを案内する際の搬送負担が低減し、安定した用紙搬送が可能となる。
【0033】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図3は、本発明の第2の実施形態に係る転写前ガイドを示す外観斜視図であり、図4は、本発明の第2の実施形態に係る転写前ガイド周辺の概略構成を説明するための断面図である。尚、本実施形態においては、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。又、画像形成装置の全体構成についても、上述の第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0034】
画像形成を行う際に、通常使用されるサイズ(例えば、A4サイズやB4サイズ等)の用紙に対しては、上述の第1の実施形態において説明した構成により、転写領域に用紙Pを案内する際の搬送負担を低減させ、安定した用紙搬送が可能となる。
【0035】
しかしながら、ハガキの様に、幅が小さく、かつ厚みを有する剛性の大きな用紙においては、当該用紙自身のコシの作用により、第2の転写前ガイド部材24を感光体12の接線Tよりも下方に配置するのみでは、安定した用紙搬送が困難になる場合がある。
【0036】
そこで、本実施形態においては、第2の転写前ガイド部材24の用紙搬送面26の一部に摩擦係数の低いシート部材27を設けた点に特徴がある。
即ち、本実施形態においては、図3、図4に示す様に、第2の転写前ガイド部材24の下流側端部25を、転写ニップ部Nのうち、最も上流側に位置する部分Mにおける感光体12の接線Tよりも下方に配置するとともに、当該第2の転写前ガイド部材24の用紙搬送面26の一部に摩擦係数の低いシート部材27を設けている。
【0037】
ここで、シート部材27には、例えば、シート成形された超高分子ポリエチレンシートを使用することができる。当該超高分子ポリエチレンシートは、自己潤滑性に優れており、高分子シートの中でも、摩擦係数が特に低いため、本実施形態におけるシート部材27として好適であるといえる。従って、この様な摩擦係数の低いシート部材27を当該第2の転写前ガイド部材24の用紙搬送面26に設けることにより、搬送時におけるハガキと第2の転写前ガイド部材24との摩擦力が低減され、特に、超高分子ポリエチレンシートを使用することにより、当該摩擦力が著しく低減される。その結果、転写領域にハガキを案内する際の搬送負担が低減し、安定した用紙搬送が可能となる。
【0038】
また、当該シート部材27は、図3に示す様に、第2の転写前ガイド部材24の長手方向(図中の矢印Yの方向)における当該第2の転写前ガイド部材24の表面(即ち、用紙搬送面26)の中央部に設けられており、その幅Wは、図3、図5に示す様に、転写ニップ部Nに搬送されるハガキHの幅X(=100mm)よりも少し大きく設定されている。より具体的には、シート部材27の幅Wは、ハガキHを安定して搬送できる程度の大きさで良く、ハガキHの幅Xよりも大きく、転写ニップ部Nに搬送されるハガキH以外の用紙の最小用紙幅よりも小さく設定されている。例えば、転写ニップ部Nに搬送される最小用紙がA5サイズの場合は、当該A5サイズの幅である150mmよりも小さく設定されており、当該最小用紙がA6サイズの場合は、当該A6サイズの幅である105mmよりも小さく設定されている。
【0039】
シート部材27を上記中央部に配置するとともに、当該幅Wをこの様に設定することにより、ハガキ搬送用として、シート部材27を小サイズにすることが可能になる。即ち、ハガキを安定して搬送させるための必要最小限のシート部材27を用紙搬送面に設ける構成としているため、従来技術のごとく、用紙搬送面26全体を高分子フィルムで覆う必要がなくなり、結果として、コストを抑制できるとともに、装置の組立作業性が向上することになる。又、用紙搬送面26全体を覆う必要がないため、第2の転写前ガイド部材24とシート部材27の間に気泡やシワ等が発生しにくくなり、結果として、ハガキを搬送する際に、良好な搬送性を得ることが可能になる。
【0040】
又、超高分子ポリエチレンシートは導電性にも優れており、当該超高分子ポリエチレンシートを使用することにより、付着トナーに起因する搬送負担の増大を効果的に抑制することができる。即ち、用紙搬送面26に設けられた超高分子ポリエチレンシートが帯電すると、当該用紙搬送面26に付着した浮遊トナーを飛散させることが可能になり、結果として、トナーの付着に起因する斜め給紙等を回避することが可能になる。
【0041】
尚、上記実施形態は、単なる説明例であり、本発明の範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて各構成物品の形状、寸法、材料等を変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0042】
例えば、上記実施形態において、シート部材27の厚みに関しては、転写ニップ部Nにハガキを案内する際の搬送負担が低減し、安定した用紙搬送が可能となれば、特に限定はないが、例えば、1mm〜5mmに設定することができる。
【0043】
又、上記実施形態においては、シート部材27の一例として超高分子ポリエチレンシートを挙げたが、ハガキを案内する際の搬送負担を低減させることができるものであればどのようなものでも良く、例えば、コスト面により優れたPETシートを用いる構成としても良い。
【0044】
又、上記実施形態においては、転写部材として転写ローラ15を使用した場合を例に挙げて説明したが、本発明は、シールドケースと当該シールドケースの長手方向に張架された通電可能なチャージワイヤを備えた転写装置を使用した場合においても適用可能である。
【0045】
更に、上記実施形態においては、画像形成装置の一例として、デジタル複写機を示したが、ファクシミリやプリンタ等の他の画像形成装置であっても良いことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の活用例としては、転写位置に用紙を案内するための転写前ガイド、及びこれを備えた画像形成装置が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る転写前ガイド周辺の概略構成を説明するための断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る転写前ガイドを示す外観斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る転写前ガイド周辺の概略構成を説明するための断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る転写前ガイドに設けられるシート部材の幅を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0048】
1 画像形成装置
1a 画像形成装置本体
2 給紙部
3 用紙搬送部
4 画像形成部
5 画像読取部
12 感光体
15 転写ローラ
22 転写前ガイド
23 第1の転写前ガイド部材
24 第2の転写前ガイド部材
25 下流側端部
26 用紙搬送面
27 シート部材
H ハガキ
M 最も上流側に位置する部分
N 転写ニップ部
P 用紙
T 接線
W シート部材の幅
X ハガキの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と前記像担持体に対向して配置された転写部材との間に設けられた転写ニップ部に用紙を案内するための転写前ガイドにおいて、
前記転写前ガイドは、前記用紙の表面側をガイドする第1の転写前ガイド部材と、前記第1の転写前ガイド部材に対向して配置されるとともに、前記用紙の裏面側をガイドする第2の転写前ガイド部材と、を備えており、前記第2の転写前ガイド部材の下流側端部が、前記転写ニップ部のうち、最も上流側に位置する部分における前記像担持体の接線よりも下方に配置されていることを特徴とする転写前ガイド。
【請求項2】
前記第2の転写前ガイド部材の用紙搬送面の一部に、摩擦係数の低いシート部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の転写前ガイド。
【請求項3】
前記シート部材は、前記第2の転写前ガイド部材の長手方向における前記用紙搬送面の中央部に設けられており、前記シート部材の幅は、ハガキの幅よりも大きく、前記転写ニップ部に搬送される前記ハガキ以外の用紙の最小用紙幅よりも小さく設定されていることを特徴とする請求項2に記載の転写前ガイド。
【請求項4】
前記シート部材の幅は、100mmより大きく、かつ150mmよりも小さく設定されていることを特徴とする請求項3に記載の転写前ガイド。
【請求項5】
前記シート部材が、超高分子ポリエチレンシートであることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の転写前ガイド。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の転写前ガイドを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−1729(P2006−1729A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182889(P2004−182889)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】