転写装置、画像形成装置および転写方法
【課題】所定の長さの転写ニップによる転写において、記録材の種類が異なっても良好な転写を行う。
【解決手段】二次転写装置16の上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61を時計回りに回動すると、上流側二次転写ローラ加圧ばね59のばね力が大きくなる。したがって、上流側二次転写ローラ43のベルト駆動ローラ11への加圧力が大きくなる。また、上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61を反時計回りに回動すると、上流側二次転写ローラ加圧ばね59のばね力が小さくなる。したがって、上流側二次転写ローラ43のベルト駆動ローラ11への加圧力が小さくなる。こうして、二次転写装置16において、上流側の転写加圧力が調整可能となっている。
【解決手段】二次転写装置16の上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61を時計回りに回動すると、上流側二次転写ローラ加圧ばね59のばね力が大きくなる。したがって、上流側二次転写ローラ43のベルト駆動ローラ11への加圧力が大きくなる。また、上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61を反時計回りに回動すると、上流側二次転写ローラ加圧ばね59のばね力が小さくなる。したがって、上流側二次転写ローラ43のベルト駆動ローラ11への加圧力が小さくなる。こうして、二次転写装置16において、上流側の転写加圧力が調整可能となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真方式の画像形成装置において、二対の転写ローラを用いた転写装置、この転写装置を備える画像形成装置、および転写方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体現像剤(液体トナー)を用いた画像形成装置においては、中間転写ベルトに転写された液体現像剤像を紙等の記録材に転写する二次転写ユニットを備えた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示の画像形成装置に用いられている二次転写ユニットでは、二次転写ローラを中間転写ベルトに圧接させて中間転写ベルトが二次転写ローラに巻き付いている。これにより、記録材移動方向の所定の幅の円弧からなるニップ形状の所定長さの転写ニップ部が形成されている。そして、転写ニップ部の記録材移動方向の上流側の転写圧力を下流側の転写圧力より高圧にして、良好な転写特性を得ている。
【特許文献1】特開2001−166611号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、液体現像剤が用いられた画像形成では、それらの液体現像剤が記録材に転写される際に、記録材に対する液体現像剤の挙動が記録材の種類によって異なる。すなわち、液体現像剤が吸収しやすい記録材や、逆に液体現像剤が吸収しやすい記録材がある。
しかしながら、前述の特許文献1に開示の画像形成装置で、このように挙動が異なる記録材を用いて一律に画像形成を行うと、良好な転写を得ることが難しい。例えば、特許文献1に開示の画像形成装置では、二次転写ユニットの転写ニップ部が比較的長いため、液体現像剤を高速で吸収する記録材を用いた場合、画像がにじむ場合があるという問題がある。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、所定の長さの転写ニップによる転写において、記録材の種類が異なっても良好な転写を行うことのできる転写装置、画像形成装置、および転写方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するために、本発明に係る転写装置、画像形成装置および転写方法では、転写ベルト上の液体現像剤像を所定の長さの転写ニップ部で記録材に加圧転写する際、転写ニップ部の上流側の転写加圧力を調整可能にしている。したがって、液体現像剤像を転写ベルトから記録材に転写するとき、種々の転写効率で転写することができる。
特に、記録材の種類に応じて転写ニップ部の上流側の転写加圧力を調整することで、異なる種々の記録材に対して、良好な転写を行うことができる。したがって、液体現像剤がにじみ易い記録材であっても、にじみを発生することなく良好な転写が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
図1に示すように、この例の画像形成装置1は、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の潜像担持体(本発明の被露光体に相当)である感光体2Y,2M,2C,2Kを備えている。ここで、各感光体2Y,2M,2C,2Kにおいて、2Yはイエローの感光体、2Mはマゼンタの感光体、2Cはシアンの感光体、2Kはブラックの感光体を表す。また、他の部材についても同じように、部材の符号にそれぞれ各色のY,M,C,Kを添えて各色の部材を表す。
各感光体2Y,2M,2C,2Kは、図1に示す例ではいずれも、感光体ドラムから構成されている。なお、各感光体2Y,2M,2C,2Kは、無端ベルト状に構成することもできる。
【0007】
これらの感光体2Y,2M,2C,2Kは、いずれも作動時に図1に矢印で示すα方向、つまり図1において時計回りに回転するようにされている。各感光体2Y,2M,2C,2Kの周囲には、帯電装置3Y,3M,3C,3Kが設けられている。また、各帯電装置3Y,3M,3C,3Kから、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向に向かって、順に、露光装置4Y,4M,4C,4K、現像装置5Y,5M,5C,5K、感光体スクイーズ装置6Y,6M,6C,6K、一次転写装置7Y,7M,7C,7K、および除電装置8Y,8M,8C,8Kが配設されている。なお、図示しないが、各除電装置8Y,8M,8C,8Kと各帯電装置3Y,3M,3C,3Kとの間には、それぞれ感光体クリーニング装置が配設されている。
【0008】
また、画像形成装置1は、中間転写媒体である無端状の中間転写ベルト10を備えている。図2に示すように、この中間転写ベルト10は、基材10a、弾性層10b、および表層10cから3層に構成されている。基材10aは中間転写ベルト10の伸びを防止するためのものである。この基材10aは、例えばポリアミドイミド(例えば、厚み80μm)にイオン導電剤を加えて形成される。また、弾性層10bは、転写時に中間転写ベルト10の表面を普通紙等の記録材の表面の凹凸に倣わせることで、液体現像剤像の記録材への転写効率を向上するためのものである。この弾性層10bは、例えばウレタンゴム(例えば、厚み200μm)にイオン導電剤を加えて形成される。更に、表層10cは低表面エネルギにされて固形分トナー34aの中間転写ベルト10への付着力を小さくするためのものである。この表層10cは、例えばウレタンにフッ素樹脂を加えて所定の厚み(例えば、厚み10μm)に形成される。
【0009】
この中間転写ベルト10は図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラ11および一対の従動ローラ12,13に張架されて図1において反時計回りに回転可能に設けられている。その場合、ベルト駆動ローラ11と一方の従動ローラ12は互いに、搬送されてくる紙等の記録材の矢印で示す移動方向(図1において下から上方向)に所定間隔を置いて隣接して配設されている。更に、ベルト駆動ローラ11と他方の従動ローラ13は互いに各感光体2Y,2M,2C,2Kのタンデム配置方向に沿って離間して配設されている。更に、中間転写ベルト10はテンションローラ14によって所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。
【0010】
なお、この例の画像形成装置1では、各感光体2Y,2M,2C,2Kおよび各現像装置5Y,5M,5C,5Kは中間転写ベルト10の移動方向βの上流側から色Y、M、C、Kの順に配設されているが、これらの各色Y、M、C、Kの配置順は任意に設定することができる。
【0011】
各一次転写装置7Y,7M,7C,7Kより中間転写ベルト10の回転方向下流側の各一次転写装置7Y,7M,7C,7Kの近傍には、それぞれ、中間転写ベルトスクイーズ装置15Y,15M,15C,15Kが配設されている。更に、中間転写ベルト10のベルト駆動ローラ11側には二次転写装置16が設けられ、また中間転写ベルト10の従動ローラ13側には中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。
【0012】
なお、図示しないが、この例の画像形成装置1は、二次転写を行う従来の一般的な画像形成装置と同様に、二次転写装置16より記録材搬送方向上流側に例えば紙等の記録材を収納する記録材収納装置と、この記録材収納装置からの記録材を二次転写装置16へ搬送供給するレジストローラ対とを備えている。また、この画像形成装置1は、同様に二次転写装置16より記録材搬送方向下流側に定着装置および排紙トレイを備えている。
【0013】
各帯電装置3Y,3M,3C,3Kはそれぞれ、例えば帯電ローラ等の帯電部材からなる。各帯電装置3Y,3M,3C,3Kには、図示しない電源装置から液体現像剤の帯電極性と同極性のバイアスがそれぞれ印加される。そして、各帯電装置3Y,3M,3C,3Kは、それぞれ、対応する感光体2Y,2M,2C,2Kを帯電するようになっている。
各露光装置4Y,4M,4C,4Kは、それぞれ、対応する帯電された感光体2Y,2M,2C,2K上に、例えばレーザ走査光学系等からレーザ光を照射することによって静電潜像を形成するようになっている。
【0014】
各現像装置5Y,5M,5C,5Kは、それぞれ、現像剤供給部18Y,18M,18C,18Kと、現像ローラ19Y,19M,19C,19Kと、コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kと、現像ローラクリーナ21Y,21M,21C,21Kと、現像ローラクリーナ回収液貯留部22Y,22M,22C,22Kとを備えている。
【0015】
各現像剤供給部18Y,18M,18C,18Kは、それぞれ、固形分トナーであるトナー粒子および不揮発性液体キャリアからなる液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを収納する現像剤容器24Y,24M,24C,24Kと、現像剤汲み上げローラ25Y,25M,25C,25Kと、アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kと、現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kとを備えている。
【0016】
各現像剤容器24Y,24M,24C,24K内に収納される液体現像剤23Y,23M,23C,23Kは、いずれも、粘度30〜2000mPa・sである高粘度の不揮発性液体キャリア(例えば、シリコーンオイル、ミネラルオイルなどのトナーの帯電を逃がさない絶縁油)中に固形分トナー(トナー粒子)(画像形成時には帯電される)を含んだ液体トナー分散させたものである。トナー粒子としては、トナーに使用される公知の熱可塑性樹脂中へ同じく公知の顔料等の着色剤を分散させた例えば平均粒径1μmの粒子を用いることができる。
【0017】
各現像剤汲み上げローラ25Y,25M,25C,25Kは、それぞれ、各現像剤容器24Y,24M,24C,24K内の液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを汲み上げて各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kに供給するローラである。各現像剤汲み上げローラ25Y,25M,25C,25Kは、いずれも図1において矢印で示す時計まわりに回転するようにされている。また、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、いずれも、円筒状の部材で表面に微細かつ一様に螺旋状の溝を形成したローラである。溝の寸法は、例えば、溝ピッチが約170μm、溝深さが約30μmに設定される。もちろん、溝の寸法はこれらの値に限定されることはない。各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、いずれも各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kと同じ方向で図1において矢印で示す反時計まわりに回転するようにされている。なお、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、いずれも各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kと連れ回りで回転するようにすることもできる。すなわち、アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの回転方向は、限定されず任意である。
【0018】
各現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kは、それぞれ、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの表面に当接して設けられている。これらの現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kは、それぞれ、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの表面に当接する、ウレタンゴム等からなるゴム部と、このゴム部を支持する金属等の板とから構成されている。そして、各現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kは、それぞれ、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの溝部以外の表面に付着する液体現像剤をゴム部で掻き落として除去する。したがって、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、それらの溝部内に付着する液体現像剤のみを各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kに供給するようになっている。
【0019】
各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kは、いずれも、例えば幅約320mmの円筒状の部材であり、例えば鉄等金属シャフトの外周部に、導電性ウレタンゴム等の弾性体と樹脂層やゴム層を備えたものである。これらの現像ローラ19Y,19M,19C,19Kはそれぞれ各感光体2Y,2M,2C,2Kに当接され、かつ図1において矢印で示すように反時計まわりに回転するようにされている。
【0020】
各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは、図1において矢印で示すように時計まわりに回転するようにされている。そして、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kはそれぞれ電圧を印加されて、対応する各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kを帯電するようになっている。その場合、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kへの印加電圧は、それぞれ直流電圧(DC)に設定されている。なお、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kへの印加電圧は、それぞれ直流電圧(DC)に交流電圧(AC)が重畳された電圧に設定することもできる。各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kへの印加電圧は、直流電圧のみであっても、直流電圧(DC)と交流電圧(AC)との重畳電圧であっても、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kと各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kとの間でパッシェンの法則に従って放電を開始する放電開始電圧より大きく設定される。
【0021】
これらのコンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kによる各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの帯電で、それぞれ、各現像ローラ19Y,19M,19C,19K上の液体現像剤23Y,23M,23C,23Kが現像ローラ19Y,19M,19C,19Kに押し付けられる。
【0022】
ところで、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kの電気抵抗が比較的重要である。すなわち、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kの抵抗が低い場合には火花放電が発生し、各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kや各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20K、および各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを損傷させてしまう。そこで、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは実抵抗値でLog7Ω以上であることが、このような損傷を生じることなく、各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kの良好なコンパクションを均一に行ううえで好ましい。
【0023】
更に、図1には明瞭に示していないが、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、それらの外周面が対応する各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの外周面に対して所定のギャップ(μm)を置いて配置されている。その場合、これらの各ギャップは、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kから供給された液体現像剤23Y,23M,23C,23Kで各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの外周面に形成された現像剤層の膜厚(μm)より大きく設定されている。したがって、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは、各現像ローラ19Y,19M,19C,19K上の液体現像剤23Y,23M,23C,23Kに対して非接触コンパクションを行う。
【0024】
各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kには、それぞれ、コンパクションローラクリーナブレード28Y,28M,28C,28Kと、コンパクションローラクリーナ回収液貯留部29Y,29M,29C,29Kとが設けられている。これらのコンパクションローラクリーナブレード28Y,28M,28C,28Kは、それぞれ対応するコンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kの表面に当接する例えばゴム等で構成され、コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kに残留する現像剤を掻き落として除去するためのものである。更に、各コンパクションローラクリーナ回収液貯留部29Y,29M,29C,29Kは、それぞれ、各コンパクションローラクリーナブレード28Y,28M,28C,28Kによってコンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kから掻き落とされた現像剤を貯留するタンク等の容器から構成されている。
【0025】
更に、各現像ローラクリーナ21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ、対応する現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの表面に当接する例えばゴム等で構成され、現像ローラ19Y,19M,19C,19Kに残留する現像剤を掻き落として除去するためのものである。更に、各現像ローラクリーナ回収液貯留部22Y,22M,22C,22Kは、それぞれ、各現像ローラクリーナ21Y,21M,21C,21Kによって現像ローラ19Y,19M,19C,19Kから掻き落とされた現像剤を貯留するタンク等の容器から構成されている。
【0026】
更に、この例の画像形成装置1は、それぞれ液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを現像剤容器24Y,24M,24C,24Kに補給する現像剤補給装置30Y,30M,30C,30Kを備えている。これらの現像剤補給装置30Y,30M,30C,30Kは、それぞれ、トナータンク31Y,31M,31C,31Kと、キャリアタンク32Y,32M,32C,32Kと、撹拌装置33Y,33M,33C,33Kとを備えている。
【0027】
各トナータンク31Y,31M,31C,31Kには、それぞれ、固形分トナーが含まれた高濃度液体トナー34Y,34M,34C,34Kが収納されている。また、各キャリアタンク32Y,32M,32C,32Kには、それぞれ各液体キャリア(キャリアオイル)35Y,35M,35C,35Kが収納されている。更に、各撹拌装置33Y,33M,33C,33Kには、各トナータンク31Y,31M,31C,31Kからの所定量の各高濃度液体トナー34Y,34M,34C,34Kと各キャリアタンク32Y,32M,32C,32Kからの所定量の各液体キャリア35Y,35M,35C,35Kとが供給されるようになっている。
【0028】
そして、各撹拌装置33Y,33M,33C,33Kは、それぞれ、供給された各高濃度液体トナー34Y,34M,34C,34Kおよび各液体キャリア35Y,35M,35C,35Kをそれぞれ混合撹拌して各現像装置5Y,5M,5C,5Kで使用する液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを作製する。各撹拌装置33Y,33M,33C,33Kでそれぞれ作製された各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kは、それぞれ各現像剤容器24Y,24M,24C,24Kに供給されるようになっている。
【0029】
各感光体スクイーズ装置6Y,6M,6C,6Kは、それぞれ、スクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kと、スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kと、スクイーズローラクリーナ回収液貯留容器38Y,38M,38C,38Kとを備えている。各スクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kは、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kと各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kとの当接部(ニップ部)より各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向下流側に設置されている。そして、これらのスクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kは、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kと逆方向(図1において反時計回り)に回転されて、各感光体2Y,2M,2C,2K上の液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを除去するようになっている。
【0030】
各スクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kとしては、いずれも、金属製芯金の表面に導電性ウレタンゴム等の弾性部材とフッ素樹脂製表層を配した弾性ローラが好適である。また、各スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kは、いずれもゴム等の弾性体からなり、それぞれ対応するスクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kの表面に当接され、これらのスクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kに残留する液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを掻き落として除去するものである。更に、各スクイーズローラクリーナ回収液貯留容器38Y,38M,38C,38Kは、それぞれ対応するスクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kが掻き落とした現像剤を貯留するタンク等の容器である。
【0031】
各一次転写装置7Y,7M,7C,7Kは、それぞれ、中間転写ベルト10を各感光体2Y,2M,2C,2Kに当接させる一次転写用のバックアップローラ39Y,39M,39C,39Kを備えている。各バックアップローラ39Y,39M,39C,39Kは、トナー粒子の帯電極性と逆極性の例えば約−200Vが印加されて、各感光体2Y,2M,2C,2K上の各色のトナー像(液体現像剤像)を中間転写ベルト10に一次転写する。
また、各除電装置8Y,8M,8C,8Kは、それぞれ、一次転写後に各感光体2Y,2M,2C,2Kに残留する電荷を除去するものである。
【0032】
各中間転写ベルトスクイーズ装置15Y,15M,15C,15Kは、それぞれ、中間転写ベルトスクイーズローラ40Y,40M,40C,40Kと、中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kと、中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ回収液貯留容器42Y,42C,42K,42Kとを備えている。各中間転写ベルトスクイーズローラ40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ中間転写ベルト10上の対応する色の液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを回収するものである。また、各中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kは、それぞれ中間転写ベルトスクイーズローラ40Y,40M,40C,40Kのローラ上の回収した液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを掻き取るものである。これらの中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kは、それぞれ各スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kと同様にゴム等の弾性体からなっている。更に、各中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ回収液貯留容器42M,42C,42K,42Kは、それぞれ各中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kで掻き取った液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを回収貯留するものである。
【0033】
二次転写装置16は、互いに記録材移動方向に沿って所定間隔離間して配置された一対の二次転写ローラを備えている。これらの一対の二次転写ローラのうち、記録材の移動方向(中間転写ベルト10の移動方向)の上流側に配置される二次転写ローラが上流側二次転写ローラ43である。この上流側二次転写ローラ43はベルト駆動ローラ11に中間転写ベルト10を介して圧接可能となっている。すなわち、ベルト駆動ローラ11は上流側バックアップローラとして機能している。
【0034】
また、一対の二次転写ローラのうち、記録材の移動方向(中間転写ベルト10の移動方向)の下流側に配置される二次転写ローラが下流側二次転写ローラ44である。この下流側二次転写ローラ44は従動ローラ12に中間転写ベルト10を介して圧接可能となっている。すなわち、従動ローラ12は下流側バックアップローラとして機能している。
そして、これらの上、下流側二次転写ローラ43,44は、それぞれ、ベルト駆動ローラ11および従動ローラ12に掛けられた中間転写ベルト10に記録材を圧接させて、中間転写ベルト10上の各色のトナー像が合わせられたカラーのトナー像(液体現像剤像)を記録材に二次転写(加圧転写)するようになっている。
【0035】
その場合、ベルト駆動ローラ11および従動ローラ12は、それぞれ二次転写時の二次転写ローラ43,44のバックアップローラとしても機能する。すなわち、ベルト駆動ローラ11は二次転写装置16において従動ローラ12より記録材の移動方向上流側に配置される上流側バックアップローラとして兼用される。また、従動ローラ12は二次転写装置16においてベルト駆動ローラ11より記録材の移動方向下流側に配置される下流側バックアップローラとして兼用される。
【0036】
したがって、二次転写装置16に搬送されてきた記録材は、上流側二次転写ローラ43とベルト駆動ローラ11との圧接開始位置(ニップ開始位置)から下流側二次転写ローラ44と従動ローラ12との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの記録材の所定の移動領域で中間転写ベルト10に密着される。これにより、中間転写ベルト10上のフルカラーのトナー像が、中間転写ベルトに密着した状態の記録材に所定時間にわたって二次転写されるので、良好な二次転写が行われる。
【0037】
また、二次転写装置16は、一対の二次転写ローラ43,44に対してそれぞれ二次転写ローラクリーナ45,46と二次転写ローラクリーナ回収液貯留容器47,48とを備えている。各二次転写ローラクリーナ45,46は、ともに各スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kと同様にゴム等の弾性体からなる。そして、これらの二次転写ローラクリーナ45,46は、それぞれ二次転写ローラ43,44に当接されて二次転写後に各二次転写ローラ43,44の表面に残留する現像剤を掻き落として除去する。また、各二次転写ローラクリーナ回収液貯留容器47,48は、それぞれ各二次転写ローラクリーナ45,46によって各二次転写ローラ43,44から掻き落とされた現像剤を回収して貯留する。
【0038】
中間転写ベルトクリーニング装置17は、中間転写ベルトクリーナ49と中間転写ベルトクリーナ回収液貯留容器50とを備えている。中間転写ベルトクリーナ49は中間転写ベルト10に当接されて二次転写後に中間転写ベルト10の表面に残留する現像剤を掻き落として除去するものである。その場合、従動ローラ13は中間転写ベルトクリーニング時のバックアップローラとしても機能する。この中間転写ベルトクリーナ49はゴム等の弾性体からなっている。また、中間転写ベルトクリーナ回収液貯留容器50は、中間転写ベルトクリーナ49が中間転写ベルト10から掻き落とした現像剤を回収して貯留するものである。
【0039】
二次転写ローラ43より記録材54の移動方向下流側で、記録材54の移動通路近傍に、画像濃度センサ52が配設されている。この画像濃度センサ52は記録材54上に二次転写されたパッチ濃度画像の濃度を検出する。
【0040】
このように構成されたこの例の画像形成装置1の画像形成動作について説明する。この画像形成動作等の画像形成装置1の制御は図示しない制御装置によって行われる。
画像形成動作が開始されると、各感光体2Y,2M,2C,2Kがそれぞれ各帯電装置3Y,3M,3C,3Kによって一様帯電される。次いで、各感光体2Y,2M,2C,2Kに、それぞれ各露光装置4Y,4M,4C,4Kによって各色の静電潜像が形成される。
【0041】
そして、イエローYの現像装置5Yにおいて、イエローYの液体現像剤23Yが現像剤汲み上げローラ25Yによってアニロックスローラ26Yに汲み上げられる。アニロックスローラ26Yに付着した液体現像剤23Yは、現像剤規制ブレード27Yによってアニロックスローラ26Yの溝内に適正量付着される。このアニロックスローラ26Yの溝内の液体現像剤23Yは現像ローラ19Yに供給される。更に、現像ローラ19Y上の液体現像剤23Yは、コンパクションローラ20Yによる非接触コンパクションでその現像ローラ19Yに押し付けられる。この状態で、現像ローラ19Y上の液体現像剤23Yは、現像ローラ19Yの回転によって感光体2Yの方へ搬送される。
【0042】
コンパクションローラ20Yによる非接触コンパクションが終了してコンパクションローラ20Yに残留する液体キャリア35Yは、コンパクションローラクリーナブレード28Yによってコンパクションローラ20Yから除去される。
【0043】
イエローYの感光体2Yに形成された静電潜像が現像装置5YにおいてイエローYの液体現像剤23Yで現像され、感光体2YにイエローYの液体現像剤像が形成される。現像が終了して現像ローラ19Yに残留する現像剤は、現像ローラクリーナ21Yによって現像ローラ19Yから除去される。感光体2Y上のイエローYの液体現像剤像は、スクイーズローラ36Yにより感光体2Y上の液体キャリア35Yが回収されてイエローYのトナー像とされる。更に、このイエローYのトナー像は一次転写装置7Yで中間転写ベルト10に転写される。中間転写ベルト10上のイエローYのトナー像は、中間転写ベルトスクイーズローラ40Yにより中間転写ベルト10上の液体キャリア35Yが回収されながらマゼンタMの一次転写装置7Mの方へ搬送される。
【0044】
次いで、マゼンタMの感光体2Mに形成された静電潜像が現像装置5Mにおいて、イエローYの場合と同様にして搬送されてきたマゼンタMの液体現像剤で現像され、感光体2MにマゼンタMの液体現像剤像が形成される。このとき、コンパクションローラ20Mによる非接触コンパクションの終了後コンパクションローラ20Mに残留する液体キャリア35Mは、コンパクションローラクリーナブレード28Mによってコンパクションローラ20Mから除去される。また、現像が終了して現像ローラ19Mに残留する現像剤は、現像ローラクリーナ21Mによって現像ローラ19Mから除去される。
【0045】
感光体2M上のマゼンタMの液体現像剤像は、スクイーズローラ36Mにより感光体2M上の液体キャリア35Mが回収されてマゼンタMのトナー像とされる。このマゼンタMのトナー像は一次転写装置7Mで中間転写ベルト10にイエローYのトナー像と色重ねされて転写される。同様にして、色重ねされたイエローYとマゼンタMのトナー像は、中間転写ベルトスクイーズローラ40Mにより中間転写ベルト10上の液体キャリア35Mが回収されながらシアンCの一次転写装置7Cの方へ搬送される。以下、同様にして、シアンのトナー像およびブラックのトナー像が中間転写ベルト10に順次色重ねされて転写され、中間転写ベルト10にフルカラーのトナー像が形成される。
【0046】
次いで、二次転写装置16により、中間転写ベルト10上のカラーのトナー像が紙等の記録材の転写面に二次転写される。このとき、二次転写装置16に搬送されてきた記録材は、ベルト駆動ローラ11と上流側二次転写ローラ43との圧接開始位置(ニップ開始位置)から従動ローラ12と下流側二次転写ローラ44との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの記録材の所定の移動領域で中間転写ベルト10に密着される。すなわち、上下流側のニップ位置間のニップ位置にない中間転写ベルト10においても記録材は中間転写ベルト10に密着した状態となる。これにより、中間転写ベルト10上のフルカラーのトナー像が、中間転写ベルト10に密着した状態の記録材に所定時間にわたって二次転写されるので、良好な二次転写が行われる。
【0047】
しかも、前述のように上流側二次転写ローラ43がベルト駆動ローラ11との圧接によってニップ位置で凹むので、このニップ位置を通過した記録材が中間転写ベルト10の方へ付勢される。このため、このニップ位置を通過した記録材は中間転写ベルト10により効果的に密着されるようになる。これにより、一層良好な二次転写が行われる。
【0048】
二次転写後に上、下流側二次転写ローラ43,44にそれぞれ残留する液体現像剤は、それぞれ二次転写ローラクリーナ45,46によって掻き落とされて各ローラ43,44から除去される。除去された液体現像剤は、それぞれ、各二次転写ローラクリーナ回収液貯留容器47,48に回収されて貯留される。
【0049】
記録材上に転写されたカラーのトナー像は、従来と同様に図示しない定着器によって定着される。更に、フルカラーの定着像が形成された記録材は排紙トレイに搬送されて、カラー画像形成動作が終了する。
【0050】
ところで、液体現像剤23Y,23M,23C,23Kが用いられた画像形成では、前述のように、コート層のある記録材に対する液体現像剤23Y,23M,23C,23Kの挙動が記録材の種類によって異なる。また、記録材に対する液体現像剤23Y,23M,23C,23Kの挙動は転写圧力や転写時間によっても異なる。そこで、これらの液体現像剤23Y,23M,23C,23Kの挙動について精緻に分析するために、表1に示すように記録材、転写圧力、および転写時間に対応して場合AないしHの8つに場合分けした。なお、以下の説明において、各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kの共通部分の説明では、符号Y,M,C,Kを削除して説明することもある。
【0051】
【表1】
【0052】
表1に示すように、場合Aは、転写圧力(二次転写圧力)が低圧(線圧で、長さ300mmで3.6kg以下)で、かつ転写時間が短時間(一対のローラのみ、すなわちベルト駆動ローラ11と上流側二次転写ローラ43とによる転写の時間(sec))であり、更に記録材54が液体キャリア吸収速度が高速の場合である。記録材54の液体キャリア吸収速度は、図3に示す記録材54に対する液体トナー接触角と相関関係がある。すなわち、接触角が小さいほど、記録材54と液体トナーがなじみやすく、記録材54の液体キャリア吸収速度が高速となる。この実施の形態の画像形成装置1では、記録材54の液体キャリア吸収速度における高速は、接触角が略40度以下の場合を言い、また、記録材54の液体キャリア吸収速度における低速は、接触角が略60度以上の場合を言う。
【0053】
また、場合Bは、転写圧力(二次転写圧力)が低圧で、かつ転写時間が長時間(二対のローラのみ、すなわちベルト駆動ローラ11と上流側二次転写ローラ43とのニップ部から従動ローラ12と下流側二次転写ローラ44とのニップ部との間による転写の時間(sec))であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が高速の場合である。更に、場合Cは、転写圧力(二次転写圧力)が高圧(線圧で、長さ300mmで40kgないし55kg)で、かつ転写時間が短時間であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が高速の場合である。更に、場合Dは、転写圧力(二次転写圧力)が高圧で、かつ転写時間が長時間であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が高速の場合である。
【0054】
更に、場合Eは、転写圧力(二次転写圧力)が低圧で、かつ転写時間が短時間であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が低速の場合である。また、場合Fは、転写圧力(二次転写圧力)が低圧で、かつ転写時間が長時間であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が低速の場合である。更に、場合Gは、転写圧力(二次転写圧力)が高圧で、かつ転写時間が短時間であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が低速の場合である。更に、場合Hは、転写圧力(二次転写圧力)が高圧で、かつ転写時間が長時間であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が低速の場合である。
【0055】
各場合AないしHにおける二次転写終了直前の状態について説明する。
図4に示すように、場合AおよびEでは、転写圧力が低圧でかつ転写時間が短時間であることから、二次転写終了直前でも固形分トナー34aの粒子間に液体キャリア35aが多く存在している。そして、固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35以外の、固形分トナー34aからあふれている液体キャリア35が矢印γで示すように記録材54に吸収される。しかし、この液体キャリア35の記録材54への吸収量は少量であるため、記録材54ににじみは生じない。液体キャリア35の吸収量が少量であることから、固形分トナー34aの層34bと中間転写ベルト10の表層10cとの間および固形分トナー34aの層34bと記録材54との間には、それぞれ、液体キャリア35b,35dが存在する。このため、固形分トナー34aの表層10cへの付着力および固形分トナー34aの層34bの記録材54への付着力はいずれも弱い。したがって、場合AおよびEでは、記録材54の種類にかかわらず、転写むらが発生し易く、転写効率が不良である。
【0056】
同様に図4に示すように、場合Fでは、転写圧力が低圧でかつ記録材54の液体キャリア35の吸収速度が低速であるため、転写時間が長時間であっても、場合AおよびEと同様に、二次転写終了直前で固形分トナー34aの粒子間に液体キャリア35aが多く存在している。したがって、場合Fでは、液体キャリア35の吸収速度が低速である記録材54に対しては、場合AおよびEと同様に、記録材54の種類にかかわらず、転写むらが発生し易く、転写効率が不良である。
【0057】
図5に示すように、場合Bでは、転写時間が長時間でかつ記録材54の液体キャリア35の吸収速度が高速であるため、転写圧力が低圧であっても、固形分トナー34aの表層(記録材54に面する側の層)付近における固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35aが矢印γで示すように記録材54に吸収される。また同様にして、固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35以外の、固形分トナー34aからあふれている液体キャリア35が矢印γで示すように記録材54に吸収される。これらの液体キャリア35の記録材54への吸収量はやや多いが、固形分トナー34aによる液体キャリア35の保持力が強いため、固形分トナー34aは動かず、にじみは生じない。
【0058】
主に固形分トナー34aの表層の液体キャリア35が記録材54に吸収されることから、固形分トナー34aの表層におけるトナー粒子間の液体キャリア35eは少なく存在する。また、中間転写ベルト10に面する側の固形分トナー34aの層34bにおけるトナー粒子間の液体キャリア35fは多く存在する。更に、固形分トナー34aの層34bと中間転写ベルト10の表層10cとの間には、液体キャリア35bが存在する。このため、固形分トナー34aの層34bが中間転写ベルト10に付着する付着力は弱く、固形分トナー34aの層34bは中間転写ベルト10から容易に引き剥がされるようになる。一方、固形分トナー34aの層34bと記録材54との間に存在する液体キャリア35dは少ない。このため、固形分トナー34aの層34bが記録材54に付着する付着力は強く、転写効率が良好になる。
【0059】
図6に示すように、場合Cでは、転写圧力が高圧でかつ記録材54の液体キャリア35の吸収速度が高速であるため、転写時間が短時間であっても、固形分トナー34a全体における固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35aが搾り出されて矢印γで示すように記録材54に吸収される。また同様にして、固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35以外の、固形分トナー34aからあふれている液体キャリア35が矢印γで示すように記録材54に吸収される。そして、これらの液体キャリア35の記録材54への吸収量は多くしかも吸収速度が高速であることから、記録材54に吸収された液体キャリア35は記録材54で拡がる。このため、固形分トナー34aの粒子もこの液体キャリア35に引き込まれてしまい、記録材54に、固形分トナー34aのにじみ34dが生じる。
【0060】
液体キャリア35の記録材54への吸収量が多いことから、固形分トナー34aの層34b内に存在する液体キャリア35aは少ない。その場合、主に固形分トナー34aの表層の液体キャリア35が記録材54に吸収されることから、固形分トナー34aの表層におけるトナー粒子間の液体キャリア35eは少なく存在する。また、中間転写ベルト10に面する側の固形分トナー34aの層34bにおけるトナー粒子間の液体キャリア35fは多く存在する。更に、固形分トナー34aの層34bと中間転写ベルト10の表層10cとの間には、液体キャリア35bが存在する。このため、固形分トナー34aの層34bが中間転写ベルト10に付着する付着力は弱く、固形分トナー34aの層34bは中間転写ベルト10から容易に引き剥がされるようになる。一方、固形分トナー34aの層34bと記録材54との間に存在する液体キャリア35dは少ない。このため、固形分トナー34aの層34bが記録材54に付着する付着力は強く、転写効率が良好になる。
【0061】
図7に示すように、場合Dでは、転写圧力が高圧でかつ転写時間が長時間であり、しかも記録材54の液体キャリア35の吸収速度が高速であるため、固形分トナー34a全体における固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35aが搾り出されて矢印γで示すように記録材54に吸収される。また同様にして、固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35以外の、固形分トナー34aからあふれている液体キャリア35が矢印γで示すように記録材54に吸収される。そして、これらの液体キャリア35の記録材54への吸収量はかなり多いことから、記録材54に吸収された液体キャリア35は記録材54で拡がる。このため、固形分トナー34aの粒子もこの液体キャリア35に引き込まれてしまい、記録材54に、固形分トナー34aのにじみ34dが生じる。
【0062】
液体キャリア35の記録材54への吸収量が多いことから、固形分トナー34aの層34b全体内に存在する液体キャリア35aは少ない。更に、固形分トナー34aの層34bと中間転写ベルト10の表層10cとの間に存在する液体キャリア35bは少量である。このため、固形分トナー34aの層34bが中間転写ベルト10に付着する付着力は強い。また、固形分トナー34aの層34bと記録材54との間に存在する液体キャリア35dも少ない。このため、固形分トナー34aの層34bが記録材54に付着する付着力も強い。このように固形分トナー34aの層34bは中間転写ベルト10の表層10cおよび記録材54のいずれに対しても付着力が強いことから、固形分トナー34aの層34bは中間転写ベルト10から引き剥がされる際、泣き別れを生じる。つまり、固形分トナー34aの層34bの一部が記録材54に付着するが、固形分トナー34aの層34bの残部は中間転写ベルト10上に残る。したがって、転写効率は不良になる。
【0063】
図8に示すように、場合Gでは、転写圧力が高圧であるため、固形分トナー34aの層34bの表層付近の液体キャリア35が搾りされて矢印γで示すように記録材54に吸収される。また同様にして、固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35以外の、固形分トナー34aからあふれている液体キャリア35が矢印γで示すように記録材54に吸収される。しかし、転写時間が短時間でかつ記録材54の液体キャリア35の吸収速度が低速であることから、これらの液体キャリア35の記録材54への吸収量は少ない。このため、記録材54ににじみは生じない。
【0064】
液体キャリア35の記録材54への吸収量が少ないことから、固形分トナー34aの層34b全体内に存在する液体キャリア35aは多い。更に、固形分トナー34aの層34bと中間転写ベルト10の表層10cとの間に存在する液体キャリア35bも比較的多い。このため、固形分トナー34aの層34bが中間転写ベルト10に付着する付着力は弱い。また、固形分トナー34aの層34bと記録材54との間に存在する液体キャリア35dも比較的多い。このため、固形分トナー34aの層34bが記録材54に付着する付着力も弱い。このように固形分トナー34aの層34bは中間転写ベルト10の表層10cおよび記録材54のいずれに対しても付着力が弱いことから、転写むらが生じ易い。したがって、転写効率は不良になる。
【0065】
図9に示すように、場合Hでは、転写圧力が高圧でかつ転写時間が長時間であるため、固形分トナー34a全体における固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35aが搾り出されて矢印γで示すように記録材54に吸収される。また同様にして、固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35以外の、固形分トナー34aからあふれている液体キャリア35が矢印γで示すように記録材54に吸収される。そして、これらの液体キャリア35の記録材54への吸収量は多い。しかし、記録材54の液体キャリア35の吸収速度が低速であることから、固形分トナー34aは動かず、にじみは生じない。
【0066】
液体キャリア35の記録材54への吸収量が多いことから、固形分トナー34aの層34b内に存在する液体キャリア35aは少ない。その場合、主に固形分トナー34aの表層の液体キャリア35が記録材54に吸収されることから、固形分トナー34aの表層におけるトナー粒子間の液体キャリア35eは少なく存在する。また、中間転写ベルト10に面する側の固形分トナー34aの層34bにおけるトナー粒子間の液体キャリア35fは多く存在する。更に、固形分トナー34aの層34bと中間転写ベルト10の表層10cとの間には、液体キャリア35bが存在する。このため、固形分トナー34aの層34bが中間転写ベルト10に付着する付着力は弱く、固形分トナー34aの層34bは中間転写ベルト10から容易に引き剥がされるようになる。一方、固形分トナー34aの層34bと記録材54との間に存在する液体キャリア35dは少ない。このため、固形分トナー34aの層34bが記録材54に付着する付着力は強く、転写効率が良好になる。
以上の各場合AないしHについての液体現像剤23の挙動および転写効率を整理して表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
表2に示すように、場合Bおよび場合Hが、二次転写時に、にじみを発生せずしかも転写効率が良好であることがわかった。すなわち、液体キャリア吸収速度が高速である記録材54については、二次転写ニップ圧力が低圧でかつ転写時間が長時間(つまり、ニップ長が長い)であることがよい。また、液体キャリア吸収速度が低速である記録材54については、二次転写ニップ圧力が高圧でかつ転写時間が長時間(つまり、ニップ長が長い)であることがよい。
【0069】
以上のことから、一対のローラで二次転写圧力を記録材54の種類によって制御することが考えられる。ところで、このように制御するためには、ローラの直径をかなり大きくしてローラに厚い弾性層を設ける必要がある。このように厚い弾性層をローラに設けた場合には、この厚い弾性層を介して転写バイアスをローラに印加することになる。このため、弾性層にかなりの量の導電剤を添加して体積抵抗率を下げなければならない。しかし、弾性層に多量の導電剤を添加すると、弾性層が硬くかつ脆くなり、耐久性が良好でなくなってしまう。
【0070】
そこで、更に精緻に分析、研究した結果、液体キャリア吸収速度が低速である記録材54においては、二次転写ニップ圧力を初期に場合Gと同様に高圧にし、その後、低圧にしても転写時間を長時間に設定すれば、場合Hと同様のにじみを発生せずしかも転写効率が良好になることがわかった。そして、この場合には、ローラの直径を大きくする必要もなく、また、ローラに厚い弾性層を設ける必要もない。逆に、二次転写ニップ圧力を初期に低圧にし、その後、場合Gと同様に高圧にし、更に転写時間を長時間に設定しても、場合Gと同様になるだけで、場合Hと同様のにじみを発生せずしかも転写効率が良好になることを実現することはできなかった。
【0071】
次に、にじみの発生の判別および転写不良の発生の判別について説明する。
図10は、これらの判別に用いられるパッチ濃度画像を示す図である。
図10に示すように、この例の画像形成装置1で用いられるパッチ濃度画像55は高濃度部分55aと低濃度部分55bとからなり、全体として副走査方向(感光体2の移動方向)に延設されている。その場合、高濃度部分55aと低濃度部分55bとは1列に配置されている。
【0072】
高濃度部分55aは、所定数の1ドット幅抜き斜め線画像55a1がそれぞれ平行に並設されて形成される。その場合、斜め線の定義は、副走査方向に延びる直線に対して傾斜した直線であり、1ドット幅抜き斜め線画像55a1は1ドット幅の抜き斜め線である。そして、並設された1ドット幅抜き斜め線画像55a1での1ドット幅抜き斜め線間隔dnLを図10において右方(高濃度部分55aの延設方向)に向かって段階的に小さくすることにより、低濃度へ段階的に異なる階調を作る。
【0073】
一方、低濃度部分55bは、所定数の1ドット幅斜め線画像55b1がそれぞれ平行に並設されて形成される。その場合、1ドット幅斜め線画像55b1は、副走査方向に延びる直線に対して傾斜した直線である。そして、並設された1ドット幅斜め線画像55b1での1ドット幅斜め線間隔dLを図10において左方(1ドット幅斜め線画像55b1の延設方向)に向かって段階的に小さくすることにより、高濃度へ段階的に異なる階調を作る。
このように1ドット幅抜き斜め線間隔dnLおよび1ドット幅斜め線間隔dLを段階的に変化させることで、紙等の記録材54の繊維の大きさによりにじみの大きさが変化しても、どれかの1ドット幅抜き斜め線間隔dnLあるいは1ドット幅斜め線間隔dLの1ドット幅抜き斜め線画像55b1の濃度で、にじみを検出することができる。
【0074】
なお、図10に示していないが、高濃度部分55aと低濃度部分55bとの間には、1ドット幅斜め線画像55b1が1ドット幅間隔で平行に並んだ中間濃度部分のパッチ濃度画像55が設けられる。そして、これらの高濃度部分55a、低濃度部分55b、および中間濃度部分が縦(副走査方向)に配列されている。
【0075】
また、1ドット幅抜き斜め線画像55a1および1ドット幅斜め線画像55b1は、いずれも、副走査方向に延びる1ドット幅抜き縦線画像および1ドット幅縦線画像で構成することもできる。更に、1ドット幅抜き斜め線画像55a1および1ドット幅斜め線画像55b1は、いずれも、主走査方向に延びる1ドット幅横線画像および1ドット幅横線画像で構成することもできる。しかし、これらの場合には、記録材繊維のすき目(繊維が比較的揃う方向)が縦あるいは横であるので、どちらか一方のにじみが小さくなる。これに対して、抜き斜め線画像あるいは斜め線画像では、記録材繊維のすき目のが縦、横のどちらでもにじみを大きく拾える利点がある。したがって、にじみを検出するうえで、図10に示す1ドット幅抜き斜め線画像55a1および1ドット幅斜め線画像55b1が好ましい。
【0076】
そして、これらのパッチ濃度画像55の濃度として、記録材54に転写されたパッチ濃度画像55の濃度が画像濃度センサ52によって検出される。すなわち、図11に示すように画像濃度センサ52の発光素子52aから入射光52bが記録材54上のパッチ濃度画像55に向かって発せられる。この入射光52bはパッチ濃度画像55に当たって反射し、その反射光52dが受光素子52eによって受光される。この受光素子52eの受光量に応じてパッチ濃度画像55の濃度が検出される。
【0077】
更に、図10に示すようにパッチ濃度画像55の高濃度部分55a、低濃度部分55b、および中間濃度部分を副走査方向(記録材54の移動方向)に縦配列することで、濃度センサ52が1つ配置するだけで済むようになる。したがって、濃度センサ52を複数配置する必要がなく、画像濃度を効果的に検出しつつ濃度検出のためのコストを低減することが可能となる利点がある。
【0078】
以上のことから、この実施の形態の画像形成装置1では、液体キャリア吸収速度が低速である記録材54に対しては、二次転写装置16の上流側二次転写ローラ43における転写ニップ圧力を高圧に設定している。これにより、二次転写初期に転写ニップ圧力が高圧になり、記録材54が上流側二次転写ローラ43とベルト駆動ローラ11とのニップ部を通過すると、転写ニップ圧力が低圧になる。そして、転写ニップ圧力の低圧状態で、記録材54が下流側二次転写ローラ44とベルト従動ローラ12とのニップ部を通過するまでの間、中間転写ベルト10から液体トナー像の二次転写が行われる。このようにして、液体キャリア吸収速度が低速である記録材54に対して、場合Hと同様のにじみを発生せず、しかも転写効率が良好になることが実現可能となる。
【0079】
また、この実施の形態の画像形成装置1では、二次転写装置16の上流側二次転写ローラ43における転写ニップ圧力を可変制御している。
図12は、上流側二次転写ローラの転写ニップ圧力が可変制御可能な二次転写装置を模式的に示す図である。
【0080】
図12に示すように、二次転写装置16の上流側二次転写ローラ43の上流側ローラ支持回転軸43aが上流側二次転写ローラ支持部材56の一端側に回転可能に支持されている。この上流側二次転写ローラ支持部材56はその他端側が装置本体に、回転支持軸57によって矢印δ方向に揺動可能に支持されている。その場合、上流側ローラ支持回転軸43aの中心と回転支持軸57の中心とを結ぶ直線εは、ベルト駆動ローラ11および上流側二次転写ローラ43間のニップ部と、従動ローラ12および下流側二次転写ローラ44間のニップ部とを結ぶ直線(つまり、中間転写ベルト10の延設方向あるいは記録材54の移動方向)と平行または略平行にされている。
【0081】
また、ベルト駆動ローラ11のローラ支持回転軸11aの中心と、ベルト駆動ローラ11および上流側二次転写ローラ43間のニップ部の中心と、上流側二次転写ローラ43の上流側ローラ支持回転軸43aの中心とを結ぶ直線ζは、上流側ローラ支持回転軸43aの中心と回転支持軸57の中心とを結ぶ直線εに直交または略直交している。更に、上流側二次転写ローラ支持部材56には、直線ζ上でベルト駆動ローラ11および上流側二次転写ローラ43間のニップ部と反対側に、ばね支持軸58が突設されている。このばね支持軸58にはコイルばねからなる上流側二次転写ローラ加圧ばね59の一端部が嵌合されて上流側二次転写ローラ支持部材56に支持されている。上流側二次転写ローラ加圧ばね59の他端部はカム側ばね支持部材60の支持軸60aに嵌合されかつこのカム側ばね支持部材60に支持されている。
【0082】
カム側ばね支持部材60の支持軸60aと反対側の端面60bは略半球状面とされている。このカム側ばね支持部材60の端面60bが上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61のカム面61aに常時当接されている。上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61は、回転軸62を中心として矢印η方向に回転可能に装置本体に支持されている。その場合、回転軸62の中心は直線ζ上に配置されている。
【0083】
カム側ばね支持部材60の端面60bがカム面61aに常時当接されることから、上流側二次転写ローラ加圧ばね59は常時圧縮されている。これにより、上流側二次転写ローラ加圧ばね59のばね力で上流側二次転写ローラ支持部材56が回転軸57を中心に図12において反時計回りに回動付勢されている。したがって、上流側二次転写ローラ43は、常時、上流側二次転写ローラ加圧ばね59の加圧力で中間転写ベルト10を介してベルト駆動ローラ11に押しつけられている。
【0084】
そして、上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61が回動することで、上流側二次転写ローラ加圧ばね59の加圧力が増減制御される。上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61の図12に示す状態では、上流側二次転写ローラ加圧ばね59の加圧力が最小となっている。上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61が図12に示す状態から回転軸62を中心に反時計回りに回動すると、上流側二次転写ローラ加圧ばね59の加圧力が増大する。また、このように上流側二次転写ローラ加圧ばね59の加圧力が増大した状態から、上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61が時計回りに回動すると、上流側二次転写ローラ加圧ばね59の加圧力が減少する。こうして、上流側二次転写ローラ支持部材56、上流側二次転写ローラ加圧ばね59、カム側ばね支持部材60、および上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61により、上流側の転写加圧力を調整する本発明の加圧力調整装置が構成されている。
【0085】
一方、二次転写装置16の下流側二次転写ローラ44の下流側ローラ支持回転軸44aが下流側二次転写ローラ支持部材63の一端側に回転可能に支持されている。この下流側二次転写ローラ支持部材63はその他端側が装置本体に、回転支持軸64によって矢印θ方向に揺動可能に支持されている。その場合、下流側ローラ支持回転軸44aの中心と回転支持軸64の中心とを結ぶ直線ιは、従動ローラ12および下流側二次転写ローラ44間のニップ部と、ベルト駆動ローラ11および上流側二次転写ローラ43間のニップ部とを結ぶ直線と平行または略平行にされている。
【0086】
また、従動ローラ12のローラ支持回転軸12aの中心と、従動ローラ12および下流側二次転写ローラ44間のニップ部の中心と、下流側二次転写ローラ44の下流側ローラ支持回転軸44aの中心とを結ぶ直線κは、下流側ローラ支持回転軸44aの中心と回転支持軸64の中心とを結ぶ直線ιに直交または略直交している。更に、下流側二次転写ローラ支持部材63には、直線κ上で従動ローラ12および下流側二次転写ローラ44間のニップ部と反対側に、ばね支持軸65が突設されている。このばね支持軸65にはコイルばねからなる下流側二次転写ローラ加圧ばね66の一端部が嵌合されて下流側二次転写ローラ支持部材63に支持されている。下流側二次転写ローラ加圧ばね66の他端部はばね支持部材67の支持軸67aに嵌合されかつこのばね支持部材67に支持されている。ばね支持部材67は装置本体に固定されている。
【0087】
下流側二次転写ローラ加圧ばね66も常時圧縮されている。これにより、下流側二次転写ローラ加圧ばね65のばね力で下流側二次転写ローラ支持部材63が回転軸64を中心に図12において時計回りに回動付勢されている。したがって、下流側二次転写ローラ44は、常時、下流側二次転写ローラ加圧ばね66の加圧力で中間転写ベルト10を介して従動ローラ12に押しつけられている。その場合、下流側二次転写ローラ加圧ばね66の加圧力は一定に保持されている。
【0088】
図13は、濃度センサによって検出されたパッチ濃度画像の濃度検出値を示す図である。
画像濃度センサ52による濃度検出は、図10に示すように低濃度部分55b、中間濃度部分、および高度濃度部分55aの順で検出される。したがって、図13に示すように濃度検出時間は右側から左側の方向に進む。図13において、高濃度部分55aおよび低濃度部分55bのいずれにおいても、濃度センサの検出値(検出濃度)56が予め設定された加圧力変更不要上限値57と加圧力変更不要下限値58との間の濃度範囲に収まっている。したがって、図13に示す濃度検出の場合は、正常な画像濃度である。
【0089】
なお、画像濃度は、逆に、高度濃度部分55a、中間濃度部分、および低濃度部分55bの順で検出するようにすることもできる。ただし、パッチ濃度画像の濃度の高低順はばらばらではなく、低濃度から高濃度へ、あるいは高濃度から低濃度へ順に変化するように設定することが好ましい。これは、パッチ濃度画像の濃度をばらばらに変化するようにすると、濃度階調の大小関係が逆転したか否かの判断が困難になるからである。
【0090】
次に、印字時における上流側二次転写ローラ43における加圧力の調整の手順について説明する。
図14は加圧力調整の手順のフローを示す図である。
図14に示すように、ステップS1で画像形成装置1に印字命令が発せられると、ステップS2でユーザに「紙の種類を変更しましたか?」のメッセージが伝達される。このメッセージの伝達は、画像形成装置1の操作部の表示装置に表示されることで行われる。次に、ステップS3で、ユーザよりの「紙の種類を変更した」の指令があるか否かが判断される。ユーザが画像形成装置1の操作部を操作して「紙の種類を変更した」の指令を発すると、ステップS4でユーザに「画質調整のため、1枚、テスト印字します」のメッセージが伝達される。そして、ステップS5で、パッチ濃度画像のテスト印字が開始される。その場合、1枚の画像中で上流側二次転写ローラ43の加圧力を、例えば3つの力F1(kg)、F2(kg)、F3(kg)(F1<F2<F3)と順に大きくなる方向に変化させる。これにより、パッチ濃度画像を各々1つずつ、合計3つ作成する。
【0091】
次に、ステップS6で各パッチ濃度画像の濃度が画像濃度センサ52によって検出される。次いで、ステップS7で、検出した濃度が図13に示す予め設定された濃度範囲に入っているパッチ濃度画像における加圧力を選択し、上流側二次転写ローラ43の加圧力をこの選択した加圧力に固定する。次いで、ステップS8で印字が開始され、ステップS9で印字が終了する。
また、ステップS3でユーザが「紙の種類を変更した」の指令を発しないと判断されると、紙の種類が変更されないと判断される。このときは、ステップS8に移行し、現在設定されている加圧力で印字が開始される。
【0092】
このように構成されたこの実施の形態の二次転写装置16によれば、上流側二次転写ローラ43による二次転写加圧力を記録材54の種類に応じて調整している。したがって、液体トナーを中間転写ベルト10から記録材54に転写するとき、種々の転写効率で転写することができる。特に、液体トナーがにじみ易い記録材54であっても、にじみを発生することなく良好な転写を得ることができる。
【0093】
次に、本発明の上流側転写ローラ加圧力調整を行う画像形成装置の実施例および比較例について説明する。実施例および比較例は、それぞれ実施例1および比較例1ないし3について行った。実験で用いた記録材54を表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】
表3に示すように、記録材54として6種類の紙を用いた。すなわち、三菱製紙(株)製の金菱で、厚みが120μm、接触角が65度である。また、富士ゼロックス(株)製のJ紙で、厚みが100μm、接触角が60度である。更に、三菱製紙(株)製のニューVマットで、厚みが106μm、接触角が38度である。更に、ザンダース(株)製のイコノシルク紙で、厚みが122μm、接触角が35度である。更に、三菱製紙(株)製のパールコートで、厚みが82μm、接触角が32度である。更に、三菱製紙(株)製の特菱アートで、厚みが78μm、接触角が30度である。その場合、接触角の測定は、協和界面科学(株)製のドロップマスター500を用いた。各紙への滴下液体は実験に使用したシアンCの液体トナーであり、0.5μlで、滴下1秒後のデータを採用した。接触角が小さいほど、紙と液体トナーがなじみやすく、にじみ速度が速いことを示している。
【0096】
また、実験で用いた二次転写装置は図12に示す二次転写装置16である。この二次転写装置16の中間転写ベルト10は、前述のポリアミドイミドにイオン導電剤を加えて形成された厚み80μmの基材10aと、厚み200μmのウレタンゴムからなる弾性層10bと、ウレタンにフッ素樹脂を加えて厚み10μmに形成された表層10cとからなる3層構造である。また、中間転写ベルト10の移動速度は40mm/secである。
【0097】
更に、この二次転写装置において、ベルト駆動ローラ11、従動ローラ12、および上、下流側二次転写ローラ43,44は、いずれも、直径30mmの鉄製シャフト上に2.5mm厚の導電性ウレタンゴムの層を有するローラである。
【0098】
更に、ローラ支持回転軸11a,12aは画像形成装置本体の側板に固定した。これらのローラ支持回転軸11a,12aに、それぞれ、ベルト駆動ローラ11および従動ローラ12をともに図12において反時計回りに回転するように設けた。したがって、中間転写ベルト10はβ方向に回転する。ローラ支持回転軸11a,12aの距離Sである二次転写ニップ部の長さは、40mmとした。
【0099】
更に、上流側ローラ支持回転軸43aは上流側二次転写ローラ支持部材56に固定し、下流側ローラ支持回転軸44aは下流側二次転写ローラ支持部材63に固定した。これらの上、下流側ローラ支持回転軸43a,44aに、それぞれ、上流側二次転写ローラ43を図12において時計回りに回転するように、また、下流側二次転写ローラ44を図12において反時計回りに回転するように設けた。
【0100】
更に、上流側二次転写ローラ支持部材56は装置本体の側板に回転支持軸57を介して矢印δ方向に揺動可能に支持し、下流側二次転写ローラ支持部材63は装置本体の側板に回転支持軸64を介して矢印θ方向に揺動可能に支持した。そして、上流側二次転写ローラ加圧ばね59のばね力で、上流側二次転写ローラ43からベルト駆動ローラ11へ加圧力を常時加えている。その場合、上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61で、上流側二次転写ローラ43からベルト駆動ローラ11への加圧力を変化させた。
【0101】
実験での上流側二次転写ローラ43の加圧力として、実施例1では、表3に示すように金菱およびJ紙がともに45kg(F3)、ニューVマットが25kg(F2)、イコノシルク紙、パールコートおよび特菱アートがいずれも3.6kg(F1)に設定した。また、下流側二次転写ローラ加圧ばね66のばね力で、下流側二次転写ローラ44から従動ローラ12へ一定の加圧力を常時加えている。この一定の加圧力は3.6kgである。
【0102】
また、上流側二次転写ローラ43の加圧力として、比較例1では、6種の紙に対していずれも45kg(F3)に固定するとともに、比較例2では、6種の紙に対していずれも25kg(F2)に固定し、更に、比較例3では、6種の紙に対していずれも3.6kg(F1)に固定した。
【0103】
更に、実験で用いたパッチ濃度画像55は、図10で示すパッチ濃度画像55である。露光装置4を用いて1ドット幅斜め線画像の印字を行った。このとき、図1に示す液体現像剤を用いたタンデム型の画像形成装置1のシアンCの画像形成部のみを駆動して印字を行った。その場合、シアンCの感光体2Cから、中間転写ベルト10を経由して各紙へシアンCのトナー像を転写した。感光体2Cには公知のアモルファスシリコンの感光体を用いた。使用としたトナーは、熱可塑性樹脂であるエポキシ樹脂に、シアンの顔料フタロシアニンブルーを分散させた、例えば平均粒径2μmの粒子からなるシアンCのトナーを用いた。パッチ濃度画像55は各紙とも数枚印字した。その他は、実施例1および比較例1ないし3とも、同じ条件で実験を行った。このパッチ濃度画像55の濃度は、各紙に転写され定着したパッチ濃度画像55を顕微鏡で拡大して目視観察することで、前述のようにして判定した。実施例1および比較例1ないし3の画像評価の結果を表4に示す。
【0104】
【表4】
【0105】
表4に示すように、実施例1では、6種の紙のいずれにおいてもにじみが生じなくかつ転写が良好であった。これに対して、比較例1では、6種の紙のいずれにおいても良好な転写が得られたが、金菱およびJ紙以外ではにじみが生じた。また、比較例2では、金菱およびJ紙においてにじみは生じなかったが、転写が不良であった。また、イコノシルク紙、パールコートおよび特菱アートにおいて良好な転写が得られたが、にじみが生じた。ニューVマットのみがにじみが生じなくかつ良好な転写が得られた。更に、比較例3では、6種の紙のいずれにおいてもにじみが生じなかった。また、金菱、J紙およびニューVマットで転写が不良であった。イコノシルク紙、パールコートおよび特菱アートでは良好な転写が得られた。
以上のことから、上流側二次転写ローラ43の加圧力を下流側二次転写ローラ44の加圧力以上に設定し、また上流側二次転写ローラ43の加圧力を紙種に応じてを変化させることで、ほとんどの紙に対して初期の効果を得られることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の中間転写ベルト上の液体現像剤像を示す図である。
【図3】記録材に対する液体現像剤(液体トナー)の接触角を説明する図である。
【図4】二次転写終了直前の状態を場合分けしたうちの、1つの場合を説明する図である。
【図5】二次転写終了直前の状態を場合分けしたうちの、他の1つの場合を説明する図である。
【図6】二次転写終了直前の状態を場合分けしたうちの、更に他の1つの場合を説明する図である。
【図7】二次転写終了直前の状態を場合分けしたうちの、更に他の1つの場合を説明する図である。
【図8】二次転写終了直前の状態を場合分けしたうちの、更に他の1つの場合を説明する図である。
【図9】二次転写終了直前の状態を場合分けしたうちの、更に他の1つの場合を説明する図である。
【図10】この例のパッチ濃度画像を示す図である。
【図11】この例のパッチ濃度画像における画像濃度の検出を説明する図である。
【図12】図1に示す画像形成装置の二次転写装置を模式的示す図である。
【図13】パッチ濃度画像の濃度検出値における加圧力変更不要範囲を示す図である。
【図14】加圧力調整の手順のフローを示す図である。
【符号の説明】
【0107】
1…画像形成装置、2Y,2M,2C,2K…各色の感光体、3Y,3M,3C,3K…帯電装置、4,4Y,4M,4C,4K…露光装置、4a…マイクロレンズアレイ、4b…発光素子、5,5Y,5M,5C,5K…各色の現像装置、7Y,7M,7C,7K…一次転写装置、10…中間転写ベルト、16…二次転写装置、23,23Y,23M,23C,23K…液体現像剤、34Y,34M,34C,34K…高濃度液体トナー、34a…固形分トナー、35,35Y,35M,35C,35K…液体キャリア、43…上流側二次転写ローラ、44…下流側二次転写ローラ、54…記録材、55…パッチ濃度画像、55a…高濃度部分、55a1…1ドット幅抜き斜め線画像、55b…低濃度部分、55b1…1ドット幅斜め線画像、56…上流側二次転写ローラ支持部材、57…加圧力変更不要上限値、58…加圧力変更不要下限値、59…上流側二次転写ローラ加圧ばね、60…カム側ばね支持部材、61…上流側二次転写ローラ加圧力可変カム、63…下流側二次転写ローラ支持部材、66…下流側二次転写ローラ加圧ばね、67…ばね支持部材、dnL…1ドット幅抜き斜め線間隔、dL…1ドット幅斜め線間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真方式の画像形成装置において、二対の転写ローラを用いた転写装置、この転写装置を備える画像形成装置、および転写方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体現像剤(液体トナー)を用いた画像形成装置においては、中間転写ベルトに転写された液体現像剤像を紙等の記録材に転写する二次転写ユニットを備えた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に開示の画像形成装置に用いられている二次転写ユニットでは、二次転写ローラを中間転写ベルトに圧接させて中間転写ベルトが二次転写ローラに巻き付いている。これにより、記録材移動方向の所定の幅の円弧からなるニップ形状の所定長さの転写ニップ部が形成されている。そして、転写ニップ部の記録材移動方向の上流側の転写圧力を下流側の転写圧力より高圧にして、良好な転写特性を得ている。
【特許文献1】特開2001−166611号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、液体現像剤が用いられた画像形成では、それらの液体現像剤が記録材に転写される際に、記録材に対する液体現像剤の挙動が記録材の種類によって異なる。すなわち、液体現像剤が吸収しやすい記録材や、逆に液体現像剤が吸収しやすい記録材がある。
しかしながら、前述の特許文献1に開示の画像形成装置で、このように挙動が異なる記録材を用いて一律に画像形成を行うと、良好な転写を得ることが難しい。例えば、特許文献1に開示の画像形成装置では、二次転写ユニットの転写ニップ部が比較的長いため、液体現像剤を高速で吸収する記録材を用いた場合、画像がにじむ場合があるという問題がある。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、所定の長さの転写ニップによる転写において、記録材の種類が異なっても良好な転写を行うことのできる転写装置、画像形成装置、および転写方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するために、本発明に係る転写装置、画像形成装置および転写方法では、転写ベルト上の液体現像剤像を所定の長さの転写ニップ部で記録材に加圧転写する際、転写ニップ部の上流側の転写加圧力を調整可能にしている。したがって、液体現像剤像を転写ベルトから記録材に転写するとき、種々の転写効率で転写することができる。
特に、記録材の種類に応じて転写ニップ部の上流側の転写加圧力を調整することで、異なる種々の記録材に対して、良好な転写を行うことができる。したがって、液体現像剤がにじみ易い記録材であっても、にじみを発生することなく良好な転写が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
図1に示すように、この例の画像形成装置1は、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の潜像担持体(本発明の被露光体に相当)である感光体2Y,2M,2C,2Kを備えている。ここで、各感光体2Y,2M,2C,2Kにおいて、2Yはイエローの感光体、2Mはマゼンタの感光体、2Cはシアンの感光体、2Kはブラックの感光体を表す。また、他の部材についても同じように、部材の符号にそれぞれ各色のY,M,C,Kを添えて各色の部材を表す。
各感光体2Y,2M,2C,2Kは、図1に示す例ではいずれも、感光体ドラムから構成されている。なお、各感光体2Y,2M,2C,2Kは、無端ベルト状に構成することもできる。
【0007】
これらの感光体2Y,2M,2C,2Kは、いずれも作動時に図1に矢印で示すα方向、つまり図1において時計回りに回転するようにされている。各感光体2Y,2M,2C,2Kの周囲には、帯電装置3Y,3M,3C,3Kが設けられている。また、各帯電装置3Y,3M,3C,3Kから、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向に向かって、順に、露光装置4Y,4M,4C,4K、現像装置5Y,5M,5C,5K、感光体スクイーズ装置6Y,6M,6C,6K、一次転写装置7Y,7M,7C,7K、および除電装置8Y,8M,8C,8Kが配設されている。なお、図示しないが、各除電装置8Y,8M,8C,8Kと各帯電装置3Y,3M,3C,3Kとの間には、それぞれ感光体クリーニング装置が配設されている。
【0008】
また、画像形成装置1は、中間転写媒体である無端状の中間転写ベルト10を備えている。図2に示すように、この中間転写ベルト10は、基材10a、弾性層10b、および表層10cから3層に構成されている。基材10aは中間転写ベルト10の伸びを防止するためのものである。この基材10aは、例えばポリアミドイミド(例えば、厚み80μm)にイオン導電剤を加えて形成される。また、弾性層10bは、転写時に中間転写ベルト10の表面を普通紙等の記録材の表面の凹凸に倣わせることで、液体現像剤像の記録材への転写効率を向上するためのものである。この弾性層10bは、例えばウレタンゴム(例えば、厚み200μm)にイオン導電剤を加えて形成される。更に、表層10cは低表面エネルギにされて固形分トナー34aの中間転写ベルト10への付着力を小さくするためのものである。この表層10cは、例えばウレタンにフッ素樹脂を加えて所定の厚み(例えば、厚み10μm)に形成される。
【0009】
この中間転写ベルト10は図示しないモータの駆動力が伝達されるベルト駆動ローラ11および一対の従動ローラ12,13に張架されて図1において反時計回りに回転可能に設けられている。その場合、ベルト駆動ローラ11と一方の従動ローラ12は互いに、搬送されてくる紙等の記録材の矢印で示す移動方向(図1において下から上方向)に所定間隔を置いて隣接して配設されている。更に、ベルト駆動ローラ11と他方の従動ローラ13は互いに各感光体2Y,2M,2C,2Kのタンデム配置方向に沿って離間して配設されている。更に、中間転写ベルト10はテンションローラ14によって所定のテンションが付与されて、たるみが除去されるようになっている。
【0010】
なお、この例の画像形成装置1では、各感光体2Y,2M,2C,2Kおよび各現像装置5Y,5M,5C,5Kは中間転写ベルト10の移動方向βの上流側から色Y、M、C、Kの順に配設されているが、これらの各色Y、M、C、Kの配置順は任意に設定することができる。
【0011】
各一次転写装置7Y,7M,7C,7Kより中間転写ベルト10の回転方向下流側の各一次転写装置7Y,7M,7C,7Kの近傍には、それぞれ、中間転写ベルトスクイーズ装置15Y,15M,15C,15Kが配設されている。更に、中間転写ベルト10のベルト駆動ローラ11側には二次転写装置16が設けられ、また中間転写ベルト10の従動ローラ13側には中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。
【0012】
なお、図示しないが、この例の画像形成装置1は、二次転写を行う従来の一般的な画像形成装置と同様に、二次転写装置16より記録材搬送方向上流側に例えば紙等の記録材を収納する記録材収納装置と、この記録材収納装置からの記録材を二次転写装置16へ搬送供給するレジストローラ対とを備えている。また、この画像形成装置1は、同様に二次転写装置16より記録材搬送方向下流側に定着装置および排紙トレイを備えている。
【0013】
各帯電装置3Y,3M,3C,3Kはそれぞれ、例えば帯電ローラ等の帯電部材からなる。各帯電装置3Y,3M,3C,3Kには、図示しない電源装置から液体現像剤の帯電極性と同極性のバイアスがそれぞれ印加される。そして、各帯電装置3Y,3M,3C,3Kは、それぞれ、対応する感光体2Y,2M,2C,2Kを帯電するようになっている。
各露光装置4Y,4M,4C,4Kは、それぞれ、対応する帯電された感光体2Y,2M,2C,2K上に、例えばレーザ走査光学系等からレーザ光を照射することによって静電潜像を形成するようになっている。
【0014】
各現像装置5Y,5M,5C,5Kは、それぞれ、現像剤供給部18Y,18M,18C,18Kと、現像ローラ19Y,19M,19C,19Kと、コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kと、現像ローラクリーナ21Y,21M,21C,21Kと、現像ローラクリーナ回収液貯留部22Y,22M,22C,22Kとを備えている。
【0015】
各現像剤供給部18Y,18M,18C,18Kは、それぞれ、固形分トナーであるトナー粒子および不揮発性液体キャリアからなる液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを収納する現像剤容器24Y,24M,24C,24Kと、現像剤汲み上げローラ25Y,25M,25C,25Kと、アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kと、現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kとを備えている。
【0016】
各現像剤容器24Y,24M,24C,24K内に収納される液体現像剤23Y,23M,23C,23Kは、いずれも、粘度30〜2000mPa・sである高粘度の不揮発性液体キャリア(例えば、シリコーンオイル、ミネラルオイルなどのトナーの帯電を逃がさない絶縁油)中に固形分トナー(トナー粒子)(画像形成時には帯電される)を含んだ液体トナー分散させたものである。トナー粒子としては、トナーに使用される公知の熱可塑性樹脂中へ同じく公知の顔料等の着色剤を分散させた例えば平均粒径1μmの粒子を用いることができる。
【0017】
各現像剤汲み上げローラ25Y,25M,25C,25Kは、それぞれ、各現像剤容器24Y,24M,24C,24K内の液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを汲み上げて各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kに供給するローラである。各現像剤汲み上げローラ25Y,25M,25C,25Kは、いずれも図1において矢印で示す時計まわりに回転するようにされている。また、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、いずれも、円筒状の部材で表面に微細かつ一様に螺旋状の溝を形成したローラである。溝の寸法は、例えば、溝ピッチが約170μm、溝深さが約30μmに設定される。もちろん、溝の寸法はこれらの値に限定されることはない。各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、いずれも各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kと同じ方向で図1において矢印で示す反時計まわりに回転するようにされている。なお、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、いずれも各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kと連れ回りで回転するようにすることもできる。すなわち、アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの回転方向は、限定されず任意である。
【0018】
各現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kは、それぞれ、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの表面に当接して設けられている。これらの現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kは、それぞれ、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの表面に当接する、ウレタンゴム等からなるゴム部と、このゴム部を支持する金属等の板とから構成されている。そして、各現像剤規制ブレード27Y,27M,27C,27Kは、それぞれ、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kの溝部以外の表面に付着する液体現像剤をゴム部で掻き落として除去する。したがって、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kは、それらの溝部内に付着する液体現像剤のみを各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kに供給するようになっている。
【0019】
各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kは、いずれも、例えば幅約320mmの円筒状の部材であり、例えば鉄等金属シャフトの外周部に、導電性ウレタンゴム等の弾性体と樹脂層やゴム層を備えたものである。これらの現像ローラ19Y,19M,19C,19Kはそれぞれ各感光体2Y,2M,2C,2Kに当接され、かつ図1において矢印で示すように反時計まわりに回転するようにされている。
【0020】
各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは、図1において矢印で示すように時計まわりに回転するようにされている。そして、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kはそれぞれ電圧を印加されて、対応する各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kを帯電するようになっている。その場合、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kへの印加電圧は、それぞれ直流電圧(DC)に設定されている。なお、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kへの印加電圧は、それぞれ直流電圧(DC)に交流電圧(AC)が重畳された電圧に設定することもできる。各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kへの印加電圧は、直流電圧のみであっても、直流電圧(DC)と交流電圧(AC)との重畳電圧であっても、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kと各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kとの間でパッシェンの法則に従って放電を開始する放電開始電圧より大きく設定される。
【0021】
これらのコンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kによる各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの帯電で、それぞれ、各現像ローラ19Y,19M,19C,19K上の液体現像剤23Y,23M,23C,23Kが現像ローラ19Y,19M,19C,19Kに押し付けられる。
【0022】
ところで、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kの電気抵抗が比較的重要である。すなわち、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kの抵抗が低い場合には火花放電が発生し、各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kや各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20K、および各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを損傷させてしまう。そこで、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは実抵抗値でLog7Ω以上であることが、このような損傷を生じることなく、各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kの良好なコンパクションを均一に行ううえで好ましい。
【0023】
更に、図1には明瞭に示していないが、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、それらの外周面が対応する各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの外周面に対して所定のギャップ(μm)を置いて配置されている。その場合、これらの各ギャップは、各アニロックスローラ26Y,26M,26C,26Kから供給された液体現像剤23Y,23M,23C,23Kで各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの外周面に形成された現像剤層の膜厚(μm)より大きく設定されている。したがって、各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kは、各現像ローラ19Y,19M,19C,19K上の液体現像剤23Y,23M,23C,23Kに対して非接触コンパクションを行う。
【0024】
各コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kには、それぞれ、コンパクションローラクリーナブレード28Y,28M,28C,28Kと、コンパクションローラクリーナ回収液貯留部29Y,29M,29C,29Kとが設けられている。これらのコンパクションローラクリーナブレード28Y,28M,28C,28Kは、それぞれ対応するコンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kの表面に当接する例えばゴム等で構成され、コンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kに残留する現像剤を掻き落として除去するためのものである。更に、各コンパクションローラクリーナ回収液貯留部29Y,29M,29C,29Kは、それぞれ、各コンパクションローラクリーナブレード28Y,28M,28C,28Kによってコンパクションローラ20Y,20M,20C,20Kから掻き落とされた現像剤を貯留するタンク等の容器から構成されている。
【0025】
更に、各現像ローラクリーナ21Y,21M,21C,21Kは、それぞれ、対応する現像ローラ19Y,19M,19C,19Kの表面に当接する例えばゴム等で構成され、現像ローラ19Y,19M,19C,19Kに残留する現像剤を掻き落として除去するためのものである。更に、各現像ローラクリーナ回収液貯留部22Y,22M,22C,22Kは、それぞれ、各現像ローラクリーナ21Y,21M,21C,21Kによって現像ローラ19Y,19M,19C,19Kから掻き落とされた現像剤を貯留するタンク等の容器から構成されている。
【0026】
更に、この例の画像形成装置1は、それぞれ液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを現像剤容器24Y,24M,24C,24Kに補給する現像剤補給装置30Y,30M,30C,30Kを備えている。これらの現像剤補給装置30Y,30M,30C,30Kは、それぞれ、トナータンク31Y,31M,31C,31Kと、キャリアタンク32Y,32M,32C,32Kと、撹拌装置33Y,33M,33C,33Kとを備えている。
【0027】
各トナータンク31Y,31M,31C,31Kには、それぞれ、固形分トナーが含まれた高濃度液体トナー34Y,34M,34C,34Kが収納されている。また、各キャリアタンク32Y,32M,32C,32Kには、それぞれ各液体キャリア(キャリアオイル)35Y,35M,35C,35Kが収納されている。更に、各撹拌装置33Y,33M,33C,33Kには、各トナータンク31Y,31M,31C,31Kからの所定量の各高濃度液体トナー34Y,34M,34C,34Kと各キャリアタンク32Y,32M,32C,32Kからの所定量の各液体キャリア35Y,35M,35C,35Kとが供給されるようになっている。
【0028】
そして、各撹拌装置33Y,33M,33C,33Kは、それぞれ、供給された各高濃度液体トナー34Y,34M,34C,34Kおよび各液体キャリア35Y,35M,35C,35Kをそれぞれ混合撹拌して各現像装置5Y,5M,5C,5Kで使用する液体現像剤23Y,23M,23C,23Kを作製する。各撹拌装置33Y,33M,33C,33Kでそれぞれ作製された各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kは、それぞれ各現像剤容器24Y,24M,24C,24Kに供給されるようになっている。
【0029】
各感光体スクイーズ装置6Y,6M,6C,6Kは、それぞれ、スクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kと、スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kと、スクイーズローラクリーナ回収液貯留容器38Y,38M,38C,38Kとを備えている。各スクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kは、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kと各現像ローラ19Y,19M,19C,19Kとの当接部(ニップ部)より各感光体2Y,2M,2C,2Kの回転方向下流側に設置されている。そして、これらのスクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kは、それぞれ、各感光体2Y,2M,2C,2Kと逆方向(図1において反時計回り)に回転されて、各感光体2Y,2M,2C,2K上の液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを除去するようになっている。
【0030】
各スクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kとしては、いずれも、金属製芯金の表面に導電性ウレタンゴム等の弾性部材とフッ素樹脂製表層を配した弾性ローラが好適である。また、各スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kは、いずれもゴム等の弾性体からなり、それぞれ対応するスクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kの表面に当接され、これらのスクイーズローラ36Y,36M,36C,36Kに残留する液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを掻き落として除去するものである。更に、各スクイーズローラクリーナ回収液貯留容器38Y,38M,38C,38Kは、それぞれ対応するスクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kが掻き落とした現像剤を貯留するタンク等の容器である。
【0031】
各一次転写装置7Y,7M,7C,7Kは、それぞれ、中間転写ベルト10を各感光体2Y,2M,2C,2Kに当接させる一次転写用のバックアップローラ39Y,39M,39C,39Kを備えている。各バックアップローラ39Y,39M,39C,39Kは、トナー粒子の帯電極性と逆極性の例えば約−200Vが印加されて、各感光体2Y,2M,2C,2K上の各色のトナー像(液体現像剤像)を中間転写ベルト10に一次転写する。
また、各除電装置8Y,8M,8C,8Kは、それぞれ、一次転写後に各感光体2Y,2M,2C,2Kに残留する電荷を除去するものである。
【0032】
各中間転写ベルトスクイーズ装置15Y,15M,15C,15Kは、それぞれ、中間転写ベルトスクイーズローラ40Y,40M,40C,40Kと、中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kと、中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ回収液貯留容器42Y,42C,42K,42Kとを備えている。各中間転写ベルトスクイーズローラ40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ中間転写ベルト10上の対応する色の液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを回収するものである。また、各中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kは、それぞれ中間転写ベルトスクイーズローラ40Y,40M,40C,40Kのローラ上の回収した液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを掻き取るものである。これらの中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kは、それぞれ各スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kと同様にゴム等の弾性体からなっている。更に、各中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ回収液貯留容器42M,42C,42K,42Kは、それぞれ各中間転写ベルトスクイーズローラクリーナ41Y,41M,41C,41Kで掻き取った液体キャリア35Y,35M,35C,35Kを回収貯留するものである。
【0033】
二次転写装置16は、互いに記録材移動方向に沿って所定間隔離間して配置された一対の二次転写ローラを備えている。これらの一対の二次転写ローラのうち、記録材の移動方向(中間転写ベルト10の移動方向)の上流側に配置される二次転写ローラが上流側二次転写ローラ43である。この上流側二次転写ローラ43はベルト駆動ローラ11に中間転写ベルト10を介して圧接可能となっている。すなわち、ベルト駆動ローラ11は上流側バックアップローラとして機能している。
【0034】
また、一対の二次転写ローラのうち、記録材の移動方向(中間転写ベルト10の移動方向)の下流側に配置される二次転写ローラが下流側二次転写ローラ44である。この下流側二次転写ローラ44は従動ローラ12に中間転写ベルト10を介して圧接可能となっている。すなわち、従動ローラ12は下流側バックアップローラとして機能している。
そして、これらの上、下流側二次転写ローラ43,44は、それぞれ、ベルト駆動ローラ11および従動ローラ12に掛けられた中間転写ベルト10に記録材を圧接させて、中間転写ベルト10上の各色のトナー像が合わせられたカラーのトナー像(液体現像剤像)を記録材に二次転写(加圧転写)するようになっている。
【0035】
その場合、ベルト駆動ローラ11および従動ローラ12は、それぞれ二次転写時の二次転写ローラ43,44のバックアップローラとしても機能する。すなわち、ベルト駆動ローラ11は二次転写装置16において従動ローラ12より記録材の移動方向上流側に配置される上流側バックアップローラとして兼用される。また、従動ローラ12は二次転写装置16においてベルト駆動ローラ11より記録材の移動方向下流側に配置される下流側バックアップローラとして兼用される。
【0036】
したがって、二次転写装置16に搬送されてきた記録材は、上流側二次転写ローラ43とベルト駆動ローラ11との圧接開始位置(ニップ開始位置)から下流側二次転写ローラ44と従動ローラ12との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの記録材の所定の移動領域で中間転写ベルト10に密着される。これにより、中間転写ベルト10上のフルカラーのトナー像が、中間転写ベルトに密着した状態の記録材に所定時間にわたって二次転写されるので、良好な二次転写が行われる。
【0037】
また、二次転写装置16は、一対の二次転写ローラ43,44に対してそれぞれ二次転写ローラクリーナ45,46と二次転写ローラクリーナ回収液貯留容器47,48とを備えている。各二次転写ローラクリーナ45,46は、ともに各スクイーズローラクリーナ37Y,37M,37C,37Kと同様にゴム等の弾性体からなる。そして、これらの二次転写ローラクリーナ45,46は、それぞれ二次転写ローラ43,44に当接されて二次転写後に各二次転写ローラ43,44の表面に残留する現像剤を掻き落として除去する。また、各二次転写ローラクリーナ回収液貯留容器47,48は、それぞれ各二次転写ローラクリーナ45,46によって各二次転写ローラ43,44から掻き落とされた現像剤を回収して貯留する。
【0038】
中間転写ベルトクリーニング装置17は、中間転写ベルトクリーナ49と中間転写ベルトクリーナ回収液貯留容器50とを備えている。中間転写ベルトクリーナ49は中間転写ベルト10に当接されて二次転写後に中間転写ベルト10の表面に残留する現像剤を掻き落として除去するものである。その場合、従動ローラ13は中間転写ベルトクリーニング時のバックアップローラとしても機能する。この中間転写ベルトクリーナ49はゴム等の弾性体からなっている。また、中間転写ベルトクリーナ回収液貯留容器50は、中間転写ベルトクリーナ49が中間転写ベルト10から掻き落とした現像剤を回収して貯留するものである。
【0039】
二次転写ローラ43より記録材54の移動方向下流側で、記録材54の移動通路近傍に、画像濃度センサ52が配設されている。この画像濃度センサ52は記録材54上に二次転写されたパッチ濃度画像の濃度を検出する。
【0040】
このように構成されたこの例の画像形成装置1の画像形成動作について説明する。この画像形成動作等の画像形成装置1の制御は図示しない制御装置によって行われる。
画像形成動作が開始されると、各感光体2Y,2M,2C,2Kがそれぞれ各帯電装置3Y,3M,3C,3Kによって一様帯電される。次いで、各感光体2Y,2M,2C,2Kに、それぞれ各露光装置4Y,4M,4C,4Kによって各色の静電潜像が形成される。
【0041】
そして、イエローYの現像装置5Yにおいて、イエローYの液体現像剤23Yが現像剤汲み上げローラ25Yによってアニロックスローラ26Yに汲み上げられる。アニロックスローラ26Yに付着した液体現像剤23Yは、現像剤規制ブレード27Yによってアニロックスローラ26Yの溝内に適正量付着される。このアニロックスローラ26Yの溝内の液体現像剤23Yは現像ローラ19Yに供給される。更に、現像ローラ19Y上の液体現像剤23Yは、コンパクションローラ20Yによる非接触コンパクションでその現像ローラ19Yに押し付けられる。この状態で、現像ローラ19Y上の液体現像剤23Yは、現像ローラ19Yの回転によって感光体2Yの方へ搬送される。
【0042】
コンパクションローラ20Yによる非接触コンパクションが終了してコンパクションローラ20Yに残留する液体キャリア35Yは、コンパクションローラクリーナブレード28Yによってコンパクションローラ20Yから除去される。
【0043】
イエローYの感光体2Yに形成された静電潜像が現像装置5YにおいてイエローYの液体現像剤23Yで現像され、感光体2YにイエローYの液体現像剤像が形成される。現像が終了して現像ローラ19Yに残留する現像剤は、現像ローラクリーナ21Yによって現像ローラ19Yから除去される。感光体2Y上のイエローYの液体現像剤像は、スクイーズローラ36Yにより感光体2Y上の液体キャリア35Yが回収されてイエローYのトナー像とされる。更に、このイエローYのトナー像は一次転写装置7Yで中間転写ベルト10に転写される。中間転写ベルト10上のイエローYのトナー像は、中間転写ベルトスクイーズローラ40Yにより中間転写ベルト10上の液体キャリア35Yが回収されながらマゼンタMの一次転写装置7Mの方へ搬送される。
【0044】
次いで、マゼンタMの感光体2Mに形成された静電潜像が現像装置5Mにおいて、イエローYの場合と同様にして搬送されてきたマゼンタMの液体現像剤で現像され、感光体2MにマゼンタMの液体現像剤像が形成される。このとき、コンパクションローラ20Mによる非接触コンパクションの終了後コンパクションローラ20Mに残留する液体キャリア35Mは、コンパクションローラクリーナブレード28Mによってコンパクションローラ20Mから除去される。また、現像が終了して現像ローラ19Mに残留する現像剤は、現像ローラクリーナ21Mによって現像ローラ19Mから除去される。
【0045】
感光体2M上のマゼンタMの液体現像剤像は、スクイーズローラ36Mにより感光体2M上の液体キャリア35Mが回収されてマゼンタMのトナー像とされる。このマゼンタMのトナー像は一次転写装置7Mで中間転写ベルト10にイエローYのトナー像と色重ねされて転写される。同様にして、色重ねされたイエローYとマゼンタMのトナー像は、中間転写ベルトスクイーズローラ40Mにより中間転写ベルト10上の液体キャリア35Mが回収されながらシアンCの一次転写装置7Cの方へ搬送される。以下、同様にして、シアンのトナー像およびブラックのトナー像が中間転写ベルト10に順次色重ねされて転写され、中間転写ベルト10にフルカラーのトナー像が形成される。
【0046】
次いで、二次転写装置16により、中間転写ベルト10上のカラーのトナー像が紙等の記録材の転写面に二次転写される。このとき、二次転写装置16に搬送されてきた記録材は、ベルト駆動ローラ11と上流側二次転写ローラ43との圧接開始位置(ニップ開始位置)から従動ローラ12と下流側二次転写ローラ44との圧接終了位置(ニップ終了位置)までの記録材の所定の移動領域で中間転写ベルト10に密着される。すなわち、上下流側のニップ位置間のニップ位置にない中間転写ベルト10においても記録材は中間転写ベルト10に密着した状態となる。これにより、中間転写ベルト10上のフルカラーのトナー像が、中間転写ベルト10に密着した状態の記録材に所定時間にわたって二次転写されるので、良好な二次転写が行われる。
【0047】
しかも、前述のように上流側二次転写ローラ43がベルト駆動ローラ11との圧接によってニップ位置で凹むので、このニップ位置を通過した記録材が中間転写ベルト10の方へ付勢される。このため、このニップ位置を通過した記録材は中間転写ベルト10により効果的に密着されるようになる。これにより、一層良好な二次転写が行われる。
【0048】
二次転写後に上、下流側二次転写ローラ43,44にそれぞれ残留する液体現像剤は、それぞれ二次転写ローラクリーナ45,46によって掻き落とされて各ローラ43,44から除去される。除去された液体現像剤は、それぞれ、各二次転写ローラクリーナ回収液貯留容器47,48に回収されて貯留される。
【0049】
記録材上に転写されたカラーのトナー像は、従来と同様に図示しない定着器によって定着される。更に、フルカラーの定着像が形成された記録材は排紙トレイに搬送されて、カラー画像形成動作が終了する。
【0050】
ところで、液体現像剤23Y,23M,23C,23Kが用いられた画像形成では、前述のように、コート層のある記録材に対する液体現像剤23Y,23M,23C,23Kの挙動が記録材の種類によって異なる。また、記録材に対する液体現像剤23Y,23M,23C,23Kの挙動は転写圧力や転写時間によっても異なる。そこで、これらの液体現像剤23Y,23M,23C,23Kの挙動について精緻に分析するために、表1に示すように記録材、転写圧力、および転写時間に対応して場合AないしHの8つに場合分けした。なお、以下の説明において、各液体現像剤23Y,23M,23C,23Kの共通部分の説明では、符号Y,M,C,Kを削除して説明することもある。
【0051】
【表1】
【0052】
表1に示すように、場合Aは、転写圧力(二次転写圧力)が低圧(線圧で、長さ300mmで3.6kg以下)で、かつ転写時間が短時間(一対のローラのみ、すなわちベルト駆動ローラ11と上流側二次転写ローラ43とによる転写の時間(sec))であり、更に記録材54が液体キャリア吸収速度が高速の場合である。記録材54の液体キャリア吸収速度は、図3に示す記録材54に対する液体トナー接触角と相関関係がある。すなわち、接触角が小さいほど、記録材54と液体トナーがなじみやすく、記録材54の液体キャリア吸収速度が高速となる。この実施の形態の画像形成装置1では、記録材54の液体キャリア吸収速度における高速は、接触角が略40度以下の場合を言い、また、記録材54の液体キャリア吸収速度における低速は、接触角が略60度以上の場合を言う。
【0053】
また、場合Bは、転写圧力(二次転写圧力)が低圧で、かつ転写時間が長時間(二対のローラのみ、すなわちベルト駆動ローラ11と上流側二次転写ローラ43とのニップ部から従動ローラ12と下流側二次転写ローラ44とのニップ部との間による転写の時間(sec))であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が高速の場合である。更に、場合Cは、転写圧力(二次転写圧力)が高圧(線圧で、長さ300mmで40kgないし55kg)で、かつ転写時間が短時間であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が高速の場合である。更に、場合Dは、転写圧力(二次転写圧力)が高圧で、かつ転写時間が長時間であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が高速の場合である。
【0054】
更に、場合Eは、転写圧力(二次転写圧力)が低圧で、かつ転写時間が短時間であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が低速の場合である。また、場合Fは、転写圧力(二次転写圧力)が低圧で、かつ転写時間が長時間であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が低速の場合である。更に、場合Gは、転写圧力(二次転写圧力)が高圧で、かつ転写時間が短時間であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が低速の場合である。更に、場合Hは、転写圧力(二次転写圧力)が高圧で、かつ転写時間が長時間であり、更に記録材が液体キャリア吸収速度が低速の場合である。
【0055】
各場合AないしHにおける二次転写終了直前の状態について説明する。
図4に示すように、場合AおよびEでは、転写圧力が低圧でかつ転写時間が短時間であることから、二次転写終了直前でも固形分トナー34aの粒子間に液体キャリア35aが多く存在している。そして、固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35以外の、固形分トナー34aからあふれている液体キャリア35が矢印γで示すように記録材54に吸収される。しかし、この液体キャリア35の記録材54への吸収量は少量であるため、記録材54ににじみは生じない。液体キャリア35の吸収量が少量であることから、固形分トナー34aの層34bと中間転写ベルト10の表層10cとの間および固形分トナー34aの層34bと記録材54との間には、それぞれ、液体キャリア35b,35dが存在する。このため、固形分トナー34aの表層10cへの付着力および固形分トナー34aの層34bの記録材54への付着力はいずれも弱い。したがって、場合AおよびEでは、記録材54の種類にかかわらず、転写むらが発生し易く、転写効率が不良である。
【0056】
同様に図4に示すように、場合Fでは、転写圧力が低圧でかつ記録材54の液体キャリア35の吸収速度が低速であるため、転写時間が長時間であっても、場合AおよびEと同様に、二次転写終了直前で固形分トナー34aの粒子間に液体キャリア35aが多く存在している。したがって、場合Fでは、液体キャリア35の吸収速度が低速である記録材54に対しては、場合AおよびEと同様に、記録材54の種類にかかわらず、転写むらが発生し易く、転写効率が不良である。
【0057】
図5に示すように、場合Bでは、転写時間が長時間でかつ記録材54の液体キャリア35の吸収速度が高速であるため、転写圧力が低圧であっても、固形分トナー34aの表層(記録材54に面する側の層)付近における固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35aが矢印γで示すように記録材54に吸収される。また同様にして、固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35以外の、固形分トナー34aからあふれている液体キャリア35が矢印γで示すように記録材54に吸収される。これらの液体キャリア35の記録材54への吸収量はやや多いが、固形分トナー34aによる液体キャリア35の保持力が強いため、固形分トナー34aは動かず、にじみは生じない。
【0058】
主に固形分トナー34aの表層の液体キャリア35が記録材54に吸収されることから、固形分トナー34aの表層におけるトナー粒子間の液体キャリア35eは少なく存在する。また、中間転写ベルト10に面する側の固形分トナー34aの層34bにおけるトナー粒子間の液体キャリア35fは多く存在する。更に、固形分トナー34aの層34bと中間転写ベルト10の表層10cとの間には、液体キャリア35bが存在する。このため、固形分トナー34aの層34bが中間転写ベルト10に付着する付着力は弱く、固形分トナー34aの層34bは中間転写ベルト10から容易に引き剥がされるようになる。一方、固形分トナー34aの層34bと記録材54との間に存在する液体キャリア35dは少ない。このため、固形分トナー34aの層34bが記録材54に付着する付着力は強く、転写効率が良好になる。
【0059】
図6に示すように、場合Cでは、転写圧力が高圧でかつ記録材54の液体キャリア35の吸収速度が高速であるため、転写時間が短時間であっても、固形分トナー34a全体における固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35aが搾り出されて矢印γで示すように記録材54に吸収される。また同様にして、固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35以外の、固形分トナー34aからあふれている液体キャリア35が矢印γで示すように記録材54に吸収される。そして、これらの液体キャリア35の記録材54への吸収量は多くしかも吸収速度が高速であることから、記録材54に吸収された液体キャリア35は記録材54で拡がる。このため、固形分トナー34aの粒子もこの液体キャリア35に引き込まれてしまい、記録材54に、固形分トナー34aのにじみ34dが生じる。
【0060】
液体キャリア35の記録材54への吸収量が多いことから、固形分トナー34aの層34b内に存在する液体キャリア35aは少ない。その場合、主に固形分トナー34aの表層の液体キャリア35が記録材54に吸収されることから、固形分トナー34aの表層におけるトナー粒子間の液体キャリア35eは少なく存在する。また、中間転写ベルト10に面する側の固形分トナー34aの層34bにおけるトナー粒子間の液体キャリア35fは多く存在する。更に、固形分トナー34aの層34bと中間転写ベルト10の表層10cとの間には、液体キャリア35bが存在する。このため、固形分トナー34aの層34bが中間転写ベルト10に付着する付着力は弱く、固形分トナー34aの層34bは中間転写ベルト10から容易に引き剥がされるようになる。一方、固形分トナー34aの層34bと記録材54との間に存在する液体キャリア35dは少ない。このため、固形分トナー34aの層34bが記録材54に付着する付着力は強く、転写効率が良好になる。
【0061】
図7に示すように、場合Dでは、転写圧力が高圧でかつ転写時間が長時間であり、しかも記録材54の液体キャリア35の吸収速度が高速であるため、固形分トナー34a全体における固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35aが搾り出されて矢印γで示すように記録材54に吸収される。また同様にして、固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35以外の、固形分トナー34aからあふれている液体キャリア35が矢印γで示すように記録材54に吸収される。そして、これらの液体キャリア35の記録材54への吸収量はかなり多いことから、記録材54に吸収された液体キャリア35は記録材54で拡がる。このため、固形分トナー34aの粒子もこの液体キャリア35に引き込まれてしまい、記録材54に、固形分トナー34aのにじみ34dが生じる。
【0062】
液体キャリア35の記録材54への吸収量が多いことから、固形分トナー34aの層34b全体内に存在する液体キャリア35aは少ない。更に、固形分トナー34aの層34bと中間転写ベルト10の表層10cとの間に存在する液体キャリア35bは少量である。このため、固形分トナー34aの層34bが中間転写ベルト10に付着する付着力は強い。また、固形分トナー34aの層34bと記録材54との間に存在する液体キャリア35dも少ない。このため、固形分トナー34aの層34bが記録材54に付着する付着力も強い。このように固形分トナー34aの層34bは中間転写ベルト10の表層10cおよび記録材54のいずれに対しても付着力が強いことから、固形分トナー34aの層34bは中間転写ベルト10から引き剥がされる際、泣き別れを生じる。つまり、固形分トナー34aの層34bの一部が記録材54に付着するが、固形分トナー34aの層34bの残部は中間転写ベルト10上に残る。したがって、転写効率は不良になる。
【0063】
図8に示すように、場合Gでは、転写圧力が高圧であるため、固形分トナー34aの層34bの表層付近の液体キャリア35が搾りされて矢印γで示すように記録材54に吸収される。また同様にして、固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35以外の、固形分トナー34aからあふれている液体キャリア35が矢印γで示すように記録材54に吸収される。しかし、転写時間が短時間でかつ記録材54の液体キャリア35の吸収速度が低速であることから、これらの液体キャリア35の記録材54への吸収量は少ない。このため、記録材54ににじみは生じない。
【0064】
液体キャリア35の記録材54への吸収量が少ないことから、固形分トナー34aの層34b全体内に存在する液体キャリア35aは多い。更に、固形分トナー34aの層34bと中間転写ベルト10の表層10cとの間に存在する液体キャリア35bも比較的多い。このため、固形分トナー34aの層34bが中間転写ベルト10に付着する付着力は弱い。また、固形分トナー34aの層34bと記録材54との間に存在する液体キャリア35dも比較的多い。このため、固形分トナー34aの層34bが記録材54に付着する付着力も弱い。このように固形分トナー34aの層34bは中間転写ベルト10の表層10cおよび記録材54のいずれに対しても付着力が弱いことから、転写むらが生じ易い。したがって、転写効率は不良になる。
【0065】
図9に示すように、場合Hでは、転写圧力が高圧でかつ転写時間が長時間であるため、固形分トナー34a全体における固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35aが搾り出されて矢印γで示すように記録材54に吸収される。また同様にして、固形分トナー34aの粒子間の液体キャリア35以外の、固形分トナー34aからあふれている液体キャリア35が矢印γで示すように記録材54に吸収される。そして、これらの液体キャリア35の記録材54への吸収量は多い。しかし、記録材54の液体キャリア35の吸収速度が低速であることから、固形分トナー34aは動かず、にじみは生じない。
【0066】
液体キャリア35の記録材54への吸収量が多いことから、固形分トナー34aの層34b内に存在する液体キャリア35aは少ない。その場合、主に固形分トナー34aの表層の液体キャリア35が記録材54に吸収されることから、固形分トナー34aの表層におけるトナー粒子間の液体キャリア35eは少なく存在する。また、中間転写ベルト10に面する側の固形分トナー34aの層34bにおけるトナー粒子間の液体キャリア35fは多く存在する。更に、固形分トナー34aの層34bと中間転写ベルト10の表層10cとの間には、液体キャリア35bが存在する。このため、固形分トナー34aの層34bが中間転写ベルト10に付着する付着力は弱く、固形分トナー34aの層34bは中間転写ベルト10から容易に引き剥がされるようになる。一方、固形分トナー34aの層34bと記録材54との間に存在する液体キャリア35dは少ない。このため、固形分トナー34aの層34bが記録材54に付着する付着力は強く、転写効率が良好になる。
以上の各場合AないしHについての液体現像剤23の挙動および転写効率を整理して表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
表2に示すように、場合Bおよび場合Hが、二次転写時に、にじみを発生せずしかも転写効率が良好であることがわかった。すなわち、液体キャリア吸収速度が高速である記録材54については、二次転写ニップ圧力が低圧でかつ転写時間が長時間(つまり、ニップ長が長い)であることがよい。また、液体キャリア吸収速度が低速である記録材54については、二次転写ニップ圧力が高圧でかつ転写時間が長時間(つまり、ニップ長が長い)であることがよい。
【0069】
以上のことから、一対のローラで二次転写圧力を記録材54の種類によって制御することが考えられる。ところで、このように制御するためには、ローラの直径をかなり大きくしてローラに厚い弾性層を設ける必要がある。このように厚い弾性層をローラに設けた場合には、この厚い弾性層を介して転写バイアスをローラに印加することになる。このため、弾性層にかなりの量の導電剤を添加して体積抵抗率を下げなければならない。しかし、弾性層に多量の導電剤を添加すると、弾性層が硬くかつ脆くなり、耐久性が良好でなくなってしまう。
【0070】
そこで、更に精緻に分析、研究した結果、液体キャリア吸収速度が低速である記録材54においては、二次転写ニップ圧力を初期に場合Gと同様に高圧にし、その後、低圧にしても転写時間を長時間に設定すれば、場合Hと同様のにじみを発生せずしかも転写効率が良好になることがわかった。そして、この場合には、ローラの直径を大きくする必要もなく、また、ローラに厚い弾性層を設ける必要もない。逆に、二次転写ニップ圧力を初期に低圧にし、その後、場合Gと同様に高圧にし、更に転写時間を長時間に設定しても、場合Gと同様になるだけで、場合Hと同様のにじみを発生せずしかも転写効率が良好になることを実現することはできなかった。
【0071】
次に、にじみの発生の判別および転写不良の発生の判別について説明する。
図10は、これらの判別に用いられるパッチ濃度画像を示す図である。
図10に示すように、この例の画像形成装置1で用いられるパッチ濃度画像55は高濃度部分55aと低濃度部分55bとからなり、全体として副走査方向(感光体2の移動方向)に延設されている。その場合、高濃度部分55aと低濃度部分55bとは1列に配置されている。
【0072】
高濃度部分55aは、所定数の1ドット幅抜き斜め線画像55a1がそれぞれ平行に並設されて形成される。その場合、斜め線の定義は、副走査方向に延びる直線に対して傾斜した直線であり、1ドット幅抜き斜め線画像55a1は1ドット幅の抜き斜め線である。そして、並設された1ドット幅抜き斜め線画像55a1での1ドット幅抜き斜め線間隔dnLを図10において右方(高濃度部分55aの延設方向)に向かって段階的に小さくすることにより、低濃度へ段階的に異なる階調を作る。
【0073】
一方、低濃度部分55bは、所定数の1ドット幅斜め線画像55b1がそれぞれ平行に並設されて形成される。その場合、1ドット幅斜め線画像55b1は、副走査方向に延びる直線に対して傾斜した直線である。そして、並設された1ドット幅斜め線画像55b1での1ドット幅斜め線間隔dLを図10において左方(1ドット幅斜め線画像55b1の延設方向)に向かって段階的に小さくすることにより、高濃度へ段階的に異なる階調を作る。
このように1ドット幅抜き斜め線間隔dnLおよび1ドット幅斜め線間隔dLを段階的に変化させることで、紙等の記録材54の繊維の大きさによりにじみの大きさが変化しても、どれかの1ドット幅抜き斜め線間隔dnLあるいは1ドット幅斜め線間隔dLの1ドット幅抜き斜め線画像55b1の濃度で、にじみを検出することができる。
【0074】
なお、図10に示していないが、高濃度部分55aと低濃度部分55bとの間には、1ドット幅斜め線画像55b1が1ドット幅間隔で平行に並んだ中間濃度部分のパッチ濃度画像55が設けられる。そして、これらの高濃度部分55a、低濃度部分55b、および中間濃度部分が縦(副走査方向)に配列されている。
【0075】
また、1ドット幅抜き斜め線画像55a1および1ドット幅斜め線画像55b1は、いずれも、副走査方向に延びる1ドット幅抜き縦線画像および1ドット幅縦線画像で構成することもできる。更に、1ドット幅抜き斜め線画像55a1および1ドット幅斜め線画像55b1は、いずれも、主走査方向に延びる1ドット幅横線画像および1ドット幅横線画像で構成することもできる。しかし、これらの場合には、記録材繊維のすき目(繊維が比較的揃う方向)が縦あるいは横であるので、どちらか一方のにじみが小さくなる。これに対して、抜き斜め線画像あるいは斜め線画像では、記録材繊維のすき目のが縦、横のどちらでもにじみを大きく拾える利点がある。したがって、にじみを検出するうえで、図10に示す1ドット幅抜き斜め線画像55a1および1ドット幅斜め線画像55b1が好ましい。
【0076】
そして、これらのパッチ濃度画像55の濃度として、記録材54に転写されたパッチ濃度画像55の濃度が画像濃度センサ52によって検出される。すなわち、図11に示すように画像濃度センサ52の発光素子52aから入射光52bが記録材54上のパッチ濃度画像55に向かって発せられる。この入射光52bはパッチ濃度画像55に当たって反射し、その反射光52dが受光素子52eによって受光される。この受光素子52eの受光量に応じてパッチ濃度画像55の濃度が検出される。
【0077】
更に、図10に示すようにパッチ濃度画像55の高濃度部分55a、低濃度部分55b、および中間濃度部分を副走査方向(記録材54の移動方向)に縦配列することで、濃度センサ52が1つ配置するだけで済むようになる。したがって、濃度センサ52を複数配置する必要がなく、画像濃度を効果的に検出しつつ濃度検出のためのコストを低減することが可能となる利点がある。
【0078】
以上のことから、この実施の形態の画像形成装置1では、液体キャリア吸収速度が低速である記録材54に対しては、二次転写装置16の上流側二次転写ローラ43における転写ニップ圧力を高圧に設定している。これにより、二次転写初期に転写ニップ圧力が高圧になり、記録材54が上流側二次転写ローラ43とベルト駆動ローラ11とのニップ部を通過すると、転写ニップ圧力が低圧になる。そして、転写ニップ圧力の低圧状態で、記録材54が下流側二次転写ローラ44とベルト従動ローラ12とのニップ部を通過するまでの間、中間転写ベルト10から液体トナー像の二次転写が行われる。このようにして、液体キャリア吸収速度が低速である記録材54に対して、場合Hと同様のにじみを発生せず、しかも転写効率が良好になることが実現可能となる。
【0079】
また、この実施の形態の画像形成装置1では、二次転写装置16の上流側二次転写ローラ43における転写ニップ圧力を可変制御している。
図12は、上流側二次転写ローラの転写ニップ圧力が可変制御可能な二次転写装置を模式的に示す図である。
【0080】
図12に示すように、二次転写装置16の上流側二次転写ローラ43の上流側ローラ支持回転軸43aが上流側二次転写ローラ支持部材56の一端側に回転可能に支持されている。この上流側二次転写ローラ支持部材56はその他端側が装置本体に、回転支持軸57によって矢印δ方向に揺動可能に支持されている。その場合、上流側ローラ支持回転軸43aの中心と回転支持軸57の中心とを結ぶ直線εは、ベルト駆動ローラ11および上流側二次転写ローラ43間のニップ部と、従動ローラ12および下流側二次転写ローラ44間のニップ部とを結ぶ直線(つまり、中間転写ベルト10の延設方向あるいは記録材54の移動方向)と平行または略平行にされている。
【0081】
また、ベルト駆動ローラ11のローラ支持回転軸11aの中心と、ベルト駆動ローラ11および上流側二次転写ローラ43間のニップ部の中心と、上流側二次転写ローラ43の上流側ローラ支持回転軸43aの中心とを結ぶ直線ζは、上流側ローラ支持回転軸43aの中心と回転支持軸57の中心とを結ぶ直線εに直交または略直交している。更に、上流側二次転写ローラ支持部材56には、直線ζ上でベルト駆動ローラ11および上流側二次転写ローラ43間のニップ部と反対側に、ばね支持軸58が突設されている。このばね支持軸58にはコイルばねからなる上流側二次転写ローラ加圧ばね59の一端部が嵌合されて上流側二次転写ローラ支持部材56に支持されている。上流側二次転写ローラ加圧ばね59の他端部はカム側ばね支持部材60の支持軸60aに嵌合されかつこのカム側ばね支持部材60に支持されている。
【0082】
カム側ばね支持部材60の支持軸60aと反対側の端面60bは略半球状面とされている。このカム側ばね支持部材60の端面60bが上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61のカム面61aに常時当接されている。上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61は、回転軸62を中心として矢印η方向に回転可能に装置本体に支持されている。その場合、回転軸62の中心は直線ζ上に配置されている。
【0083】
カム側ばね支持部材60の端面60bがカム面61aに常時当接されることから、上流側二次転写ローラ加圧ばね59は常時圧縮されている。これにより、上流側二次転写ローラ加圧ばね59のばね力で上流側二次転写ローラ支持部材56が回転軸57を中心に図12において反時計回りに回動付勢されている。したがって、上流側二次転写ローラ43は、常時、上流側二次転写ローラ加圧ばね59の加圧力で中間転写ベルト10を介してベルト駆動ローラ11に押しつけられている。
【0084】
そして、上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61が回動することで、上流側二次転写ローラ加圧ばね59の加圧力が増減制御される。上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61の図12に示す状態では、上流側二次転写ローラ加圧ばね59の加圧力が最小となっている。上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61が図12に示す状態から回転軸62を中心に反時計回りに回動すると、上流側二次転写ローラ加圧ばね59の加圧力が増大する。また、このように上流側二次転写ローラ加圧ばね59の加圧力が増大した状態から、上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61が時計回りに回動すると、上流側二次転写ローラ加圧ばね59の加圧力が減少する。こうして、上流側二次転写ローラ支持部材56、上流側二次転写ローラ加圧ばね59、カム側ばね支持部材60、および上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61により、上流側の転写加圧力を調整する本発明の加圧力調整装置が構成されている。
【0085】
一方、二次転写装置16の下流側二次転写ローラ44の下流側ローラ支持回転軸44aが下流側二次転写ローラ支持部材63の一端側に回転可能に支持されている。この下流側二次転写ローラ支持部材63はその他端側が装置本体に、回転支持軸64によって矢印θ方向に揺動可能に支持されている。その場合、下流側ローラ支持回転軸44aの中心と回転支持軸64の中心とを結ぶ直線ιは、従動ローラ12および下流側二次転写ローラ44間のニップ部と、ベルト駆動ローラ11および上流側二次転写ローラ43間のニップ部とを結ぶ直線と平行または略平行にされている。
【0086】
また、従動ローラ12のローラ支持回転軸12aの中心と、従動ローラ12および下流側二次転写ローラ44間のニップ部の中心と、下流側二次転写ローラ44の下流側ローラ支持回転軸44aの中心とを結ぶ直線κは、下流側ローラ支持回転軸44aの中心と回転支持軸64の中心とを結ぶ直線ιに直交または略直交している。更に、下流側二次転写ローラ支持部材63には、直線κ上で従動ローラ12および下流側二次転写ローラ44間のニップ部と反対側に、ばね支持軸65が突設されている。このばね支持軸65にはコイルばねからなる下流側二次転写ローラ加圧ばね66の一端部が嵌合されて下流側二次転写ローラ支持部材63に支持されている。下流側二次転写ローラ加圧ばね66の他端部はばね支持部材67の支持軸67aに嵌合されかつこのばね支持部材67に支持されている。ばね支持部材67は装置本体に固定されている。
【0087】
下流側二次転写ローラ加圧ばね66も常時圧縮されている。これにより、下流側二次転写ローラ加圧ばね65のばね力で下流側二次転写ローラ支持部材63が回転軸64を中心に図12において時計回りに回動付勢されている。したがって、下流側二次転写ローラ44は、常時、下流側二次転写ローラ加圧ばね66の加圧力で中間転写ベルト10を介して従動ローラ12に押しつけられている。その場合、下流側二次転写ローラ加圧ばね66の加圧力は一定に保持されている。
【0088】
図13は、濃度センサによって検出されたパッチ濃度画像の濃度検出値を示す図である。
画像濃度センサ52による濃度検出は、図10に示すように低濃度部分55b、中間濃度部分、および高度濃度部分55aの順で検出される。したがって、図13に示すように濃度検出時間は右側から左側の方向に進む。図13において、高濃度部分55aおよび低濃度部分55bのいずれにおいても、濃度センサの検出値(検出濃度)56が予め設定された加圧力変更不要上限値57と加圧力変更不要下限値58との間の濃度範囲に収まっている。したがって、図13に示す濃度検出の場合は、正常な画像濃度である。
【0089】
なお、画像濃度は、逆に、高度濃度部分55a、中間濃度部分、および低濃度部分55bの順で検出するようにすることもできる。ただし、パッチ濃度画像の濃度の高低順はばらばらではなく、低濃度から高濃度へ、あるいは高濃度から低濃度へ順に変化するように設定することが好ましい。これは、パッチ濃度画像の濃度をばらばらに変化するようにすると、濃度階調の大小関係が逆転したか否かの判断が困難になるからである。
【0090】
次に、印字時における上流側二次転写ローラ43における加圧力の調整の手順について説明する。
図14は加圧力調整の手順のフローを示す図である。
図14に示すように、ステップS1で画像形成装置1に印字命令が発せられると、ステップS2でユーザに「紙の種類を変更しましたか?」のメッセージが伝達される。このメッセージの伝達は、画像形成装置1の操作部の表示装置に表示されることで行われる。次に、ステップS3で、ユーザよりの「紙の種類を変更した」の指令があるか否かが判断される。ユーザが画像形成装置1の操作部を操作して「紙の種類を変更した」の指令を発すると、ステップS4でユーザに「画質調整のため、1枚、テスト印字します」のメッセージが伝達される。そして、ステップS5で、パッチ濃度画像のテスト印字が開始される。その場合、1枚の画像中で上流側二次転写ローラ43の加圧力を、例えば3つの力F1(kg)、F2(kg)、F3(kg)(F1<F2<F3)と順に大きくなる方向に変化させる。これにより、パッチ濃度画像を各々1つずつ、合計3つ作成する。
【0091】
次に、ステップS6で各パッチ濃度画像の濃度が画像濃度センサ52によって検出される。次いで、ステップS7で、検出した濃度が図13に示す予め設定された濃度範囲に入っているパッチ濃度画像における加圧力を選択し、上流側二次転写ローラ43の加圧力をこの選択した加圧力に固定する。次いで、ステップS8で印字が開始され、ステップS9で印字が終了する。
また、ステップS3でユーザが「紙の種類を変更した」の指令を発しないと判断されると、紙の種類が変更されないと判断される。このときは、ステップS8に移行し、現在設定されている加圧力で印字が開始される。
【0092】
このように構成されたこの実施の形態の二次転写装置16によれば、上流側二次転写ローラ43による二次転写加圧力を記録材54の種類に応じて調整している。したがって、液体トナーを中間転写ベルト10から記録材54に転写するとき、種々の転写効率で転写することができる。特に、液体トナーがにじみ易い記録材54であっても、にじみを発生することなく良好な転写を得ることができる。
【0093】
次に、本発明の上流側転写ローラ加圧力調整を行う画像形成装置の実施例および比較例について説明する。実施例および比較例は、それぞれ実施例1および比較例1ないし3について行った。実験で用いた記録材54を表3に示す。
【0094】
【表3】
【0095】
表3に示すように、記録材54として6種類の紙を用いた。すなわち、三菱製紙(株)製の金菱で、厚みが120μm、接触角が65度である。また、富士ゼロックス(株)製のJ紙で、厚みが100μm、接触角が60度である。更に、三菱製紙(株)製のニューVマットで、厚みが106μm、接触角が38度である。更に、ザンダース(株)製のイコノシルク紙で、厚みが122μm、接触角が35度である。更に、三菱製紙(株)製のパールコートで、厚みが82μm、接触角が32度である。更に、三菱製紙(株)製の特菱アートで、厚みが78μm、接触角が30度である。その場合、接触角の測定は、協和界面科学(株)製のドロップマスター500を用いた。各紙への滴下液体は実験に使用したシアンCの液体トナーであり、0.5μlで、滴下1秒後のデータを採用した。接触角が小さいほど、紙と液体トナーがなじみやすく、にじみ速度が速いことを示している。
【0096】
また、実験で用いた二次転写装置は図12に示す二次転写装置16である。この二次転写装置16の中間転写ベルト10は、前述のポリアミドイミドにイオン導電剤を加えて形成された厚み80μmの基材10aと、厚み200μmのウレタンゴムからなる弾性層10bと、ウレタンにフッ素樹脂を加えて厚み10μmに形成された表層10cとからなる3層構造である。また、中間転写ベルト10の移動速度は40mm/secである。
【0097】
更に、この二次転写装置において、ベルト駆動ローラ11、従動ローラ12、および上、下流側二次転写ローラ43,44は、いずれも、直径30mmの鉄製シャフト上に2.5mm厚の導電性ウレタンゴムの層を有するローラである。
【0098】
更に、ローラ支持回転軸11a,12aは画像形成装置本体の側板に固定した。これらのローラ支持回転軸11a,12aに、それぞれ、ベルト駆動ローラ11および従動ローラ12をともに図12において反時計回りに回転するように設けた。したがって、中間転写ベルト10はβ方向に回転する。ローラ支持回転軸11a,12aの距離Sである二次転写ニップ部の長さは、40mmとした。
【0099】
更に、上流側ローラ支持回転軸43aは上流側二次転写ローラ支持部材56に固定し、下流側ローラ支持回転軸44aは下流側二次転写ローラ支持部材63に固定した。これらの上、下流側ローラ支持回転軸43a,44aに、それぞれ、上流側二次転写ローラ43を図12において時計回りに回転するように、また、下流側二次転写ローラ44を図12において反時計回りに回転するように設けた。
【0100】
更に、上流側二次転写ローラ支持部材56は装置本体の側板に回転支持軸57を介して矢印δ方向に揺動可能に支持し、下流側二次転写ローラ支持部材63は装置本体の側板に回転支持軸64を介して矢印θ方向に揺動可能に支持した。そして、上流側二次転写ローラ加圧ばね59のばね力で、上流側二次転写ローラ43からベルト駆動ローラ11へ加圧力を常時加えている。その場合、上流側二次転写ローラ加圧力可変カム61で、上流側二次転写ローラ43からベルト駆動ローラ11への加圧力を変化させた。
【0101】
実験での上流側二次転写ローラ43の加圧力として、実施例1では、表3に示すように金菱およびJ紙がともに45kg(F3)、ニューVマットが25kg(F2)、イコノシルク紙、パールコートおよび特菱アートがいずれも3.6kg(F1)に設定した。また、下流側二次転写ローラ加圧ばね66のばね力で、下流側二次転写ローラ44から従動ローラ12へ一定の加圧力を常時加えている。この一定の加圧力は3.6kgである。
【0102】
また、上流側二次転写ローラ43の加圧力として、比較例1では、6種の紙に対していずれも45kg(F3)に固定するとともに、比較例2では、6種の紙に対していずれも25kg(F2)に固定し、更に、比較例3では、6種の紙に対していずれも3.6kg(F1)に固定した。
【0103】
更に、実験で用いたパッチ濃度画像55は、図10で示すパッチ濃度画像55である。露光装置4を用いて1ドット幅斜め線画像の印字を行った。このとき、図1に示す液体現像剤を用いたタンデム型の画像形成装置1のシアンCの画像形成部のみを駆動して印字を行った。その場合、シアンCの感光体2Cから、中間転写ベルト10を経由して各紙へシアンCのトナー像を転写した。感光体2Cには公知のアモルファスシリコンの感光体を用いた。使用としたトナーは、熱可塑性樹脂であるエポキシ樹脂に、シアンの顔料フタロシアニンブルーを分散させた、例えば平均粒径2μmの粒子からなるシアンCのトナーを用いた。パッチ濃度画像55は各紙とも数枚印字した。その他は、実施例1および比較例1ないし3とも、同じ条件で実験を行った。このパッチ濃度画像55の濃度は、各紙に転写され定着したパッチ濃度画像55を顕微鏡で拡大して目視観察することで、前述のようにして判定した。実施例1および比較例1ないし3の画像評価の結果を表4に示す。
【0104】
【表4】
【0105】
表4に示すように、実施例1では、6種の紙のいずれにおいてもにじみが生じなくかつ転写が良好であった。これに対して、比較例1では、6種の紙のいずれにおいても良好な転写が得られたが、金菱およびJ紙以外ではにじみが生じた。また、比較例2では、金菱およびJ紙においてにじみは生じなかったが、転写が不良であった。また、イコノシルク紙、パールコートおよび特菱アートにおいて良好な転写が得られたが、にじみが生じた。ニューVマットのみがにじみが生じなくかつ良好な転写が得られた。更に、比較例3では、6種の紙のいずれにおいてもにじみが生じなかった。また、金菱、J紙およびニューVマットで転写が不良であった。イコノシルク紙、パールコートおよび特菱アートでは良好な転写が得られた。
以上のことから、上流側二次転写ローラ43の加圧力を下流側二次転写ローラ44の加圧力以上に設定し、また上流側二次転写ローラ43の加圧力を紙種に応じてを変化させることで、ほとんどの紙に対して初期の効果を得られることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明にかかる画像形成装置の実施の形態の一例を模式的にかつ部分的に示す図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の中間転写ベルト上の液体現像剤像を示す図である。
【図3】記録材に対する液体現像剤(液体トナー)の接触角を説明する図である。
【図4】二次転写終了直前の状態を場合分けしたうちの、1つの場合を説明する図である。
【図5】二次転写終了直前の状態を場合分けしたうちの、他の1つの場合を説明する図である。
【図6】二次転写終了直前の状態を場合分けしたうちの、更に他の1つの場合を説明する図である。
【図7】二次転写終了直前の状態を場合分けしたうちの、更に他の1つの場合を説明する図である。
【図8】二次転写終了直前の状態を場合分けしたうちの、更に他の1つの場合を説明する図である。
【図9】二次転写終了直前の状態を場合分けしたうちの、更に他の1つの場合を説明する図である。
【図10】この例のパッチ濃度画像を示す図である。
【図11】この例のパッチ濃度画像における画像濃度の検出を説明する図である。
【図12】図1に示す画像形成装置の二次転写装置を模式的示す図である。
【図13】パッチ濃度画像の濃度検出値における加圧力変更不要範囲を示す図である。
【図14】加圧力調整の手順のフローを示す図である。
【符号の説明】
【0107】
1…画像形成装置、2Y,2M,2C,2K…各色の感光体、3Y,3M,3C,3K…帯電装置、4,4Y,4M,4C,4K…露光装置、4a…マイクロレンズアレイ、4b…発光素子、5,5Y,5M,5C,5K…各色の現像装置、7Y,7M,7C,7K…一次転写装置、10…中間転写ベルト、16…二次転写装置、23,23Y,23M,23C,23K…液体現像剤、34Y,34M,34C,34K…高濃度液体トナー、34a…固形分トナー、35,35Y,35M,35C,35K…液体キャリア、43…上流側二次転写ローラ、44…下流側二次転写ローラ、54…記録材、55…パッチ濃度画像、55a…高濃度部分、55a1…1ドット幅抜き斜め線画像、55b…低濃度部分、55b1…1ドット幅斜め線画像、56…上流側二次転写ローラ支持部材、57…加圧力変更不要上限値、58…加圧力変更不要下限値、59…上流側二次転写ローラ加圧ばね、60…カム側ばね支持部材、61…上流側二次転写ローラ加圧力可変カム、63…下流側二次転写ローラ支持部材、66…下流側二次転写ローラ加圧ばね、67…ばね支持部材、dnL…1ドット幅抜き斜め線間隔、dL…1ドット幅斜め線間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体現像剤像が転写される転写ベルトと、前記転写ベルトの移動方向に所定距離離間して配設されかつ前記転写ベルトを巻き掛ける一対の上流側バックアップローラおよび下流側バックアップローラと、これらの上流側バックアップローラおよび下流側バックアップローラにそれぞれ対応して圧接可能に配設されかつ記録材を前記転写ベルトに当接させる上流側転写ローラおよび下流側転写ローラとを少なくとも備え、
更に、前記上流側転写ローラの前記上流側バックアップローラへの加圧力を調整する加圧力調整装置を備えていることを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記加圧力調整装置は、記録材の種類に応じて前記上流側転写ローラの前記上流側バックアップローラへの加圧力を調整することを特徴とする請求項1記載の転写装置。
【請求項3】
前記上流側転写ローラの前記上流側バックアップローラへの加圧力が前記下流側転写ローラの前記下流側バックアップローラへの加圧力以上に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の転写装置。
【請求項4】
回転可能に設けられかつ静電潜像が形成される潜像担持体と、前記静電潜像をトナーと液体キャリアとからなる液体現像剤で現像して潜像担持体上に液体現像剤像を形成する現像装置と、前記潜像担持体上の液体現像剤像を中間転写ベルトに転写する一次転写装置と、前記中間転写ベルト上の液体現像剤像を搬送されてくる記録材に転写する二次転写装置とを少なくとも備え、
前記二次転写装置は、請求項1ないし3のいずれか1に記載の転写装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
所定の長さを有する転写ニップ部により、転写ベルト上の液体現像剤像を記録材に加圧転写する際、前記転写ニップ部の上流側の転写加圧力を前記記録材の種類に応じて調整して加圧転写することを特徴とする転写方法。
【請求項6】
前記液体現像剤の液体キャリアの吸収速度が高速である記録材では、前記上流側の転写加圧力を低圧に設定し、前記液体現像剤の液体キャリアの吸収速度が低速である記録材では、前記上流側の転写加圧力を高圧に設定することを特徴とする請求項5記載の転写方法。
【請求項1】
液体現像剤像が転写される転写ベルトと、前記転写ベルトの移動方向に所定距離離間して配設されかつ前記転写ベルトを巻き掛ける一対の上流側バックアップローラおよび下流側バックアップローラと、これらの上流側バックアップローラおよび下流側バックアップローラにそれぞれ対応して圧接可能に配設されかつ記録材を前記転写ベルトに当接させる上流側転写ローラおよび下流側転写ローラとを少なくとも備え、
更に、前記上流側転写ローラの前記上流側バックアップローラへの加圧力を調整する加圧力調整装置を備えていることを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記加圧力調整装置は、記録材の種類に応じて前記上流側転写ローラの前記上流側バックアップローラへの加圧力を調整することを特徴とする請求項1記載の転写装置。
【請求項3】
前記上流側転写ローラの前記上流側バックアップローラへの加圧力が前記下流側転写ローラの前記下流側バックアップローラへの加圧力以上に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の転写装置。
【請求項4】
回転可能に設けられかつ静電潜像が形成される潜像担持体と、前記静電潜像をトナーと液体キャリアとからなる液体現像剤で現像して潜像担持体上に液体現像剤像を形成する現像装置と、前記潜像担持体上の液体現像剤像を中間転写ベルトに転写する一次転写装置と、前記中間転写ベルト上の液体現像剤像を搬送されてくる記録材に転写する二次転写装置とを少なくとも備え、
前記二次転写装置は、請求項1ないし3のいずれか1に記載の転写装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
所定の長さを有する転写ニップ部により、転写ベルト上の液体現像剤像を記録材に加圧転写する際、前記転写ニップ部の上流側の転写加圧力を前記記録材の種類に応じて調整して加圧転写することを特徴とする転写方法。
【請求項6】
前記液体現像剤の液体キャリアの吸収速度が高速である記録材では、前記上流側の転写加圧力を低圧に設定し、前記液体現像剤の液体キャリアの吸収速度が低速である記録材では、前記上流側の転写加圧力を高圧に設定することを特徴とする請求項5記載の転写方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−80393(P2009−80393A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250839(P2007−250839)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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