転写装置、画像形成装置
【課題】用紙の表面凹凸の凹部への転写率を向上させ、凹凸の大きい紙にもトナーを均一に転写することができ、環境変化や紙種の違いに対しても安定して良好な画像を出力することのできる転写装置を提供する。
【解決手段】像担持体50上のトナーが被転写体Pへ転写される方向に直流成分による電界が形成されるように、電源110から対向部材73に転写電圧が印加される。電源110に内蔵された電流計により電源から出力される直流成分の電流値を検出し、その直流成分の電流値が設定した電流値になるように電源110の出力電圧を制御する。
【解決手段】像担持体50上のトナーが被転写体Pへ転写される方向に直流成分による電界が形成されるように、電源110から対向部材73に転写電圧が印加される。電源110に内蔵された電流計により電源から出力される直流成分の電流値を検出し、その直流成分の電流値が設定した電流値になるように電源110の出力電圧を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上の可視像を記録媒体に転写させる転写装置、および該転写装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、あらかじめ一様に帯電された像担持体上に光学的な画像情報を形成することによって得た帯電潜像を、現像装置からのトナーによって可視化し、この可視像を記録用紙(記録媒体)上に転写、定着することによって画像形成を行っている。上記画像形成装置において、記録用紙の表面には凹凸が存在し、凹部は凸部に比べてトナーが転写しにくく、特に凹凸の大きい記録用紙にトナーを転写させる場合、凹部にトナーが転写せず画像の白抜けが発生するといった問題がある。
【0003】
その対策として、例えば、特開2006−267486号公報(特許文献1)、特開2008−058585号公報(特許文献2)、特開平09−146381号公報(特許文献3)等に、直流電圧に交番電圧を重畳することで転写率を向上させようとする技術が提案されている。
【0004】
上記特許文献1に記載のものは、転写バイアスとして直流電圧に交番電圧を重畳したものを用い、また転写前に記録用紙の表面を凹凸に応じてトナーの極性と逆極性に帯電させることで凹部にトナーを転写させるよう制御を行うものである。
【0005】
上記特許文献2に記載のものは、転写バイアスとして直流電圧に交番電圧を重畳したものを用い、交番電圧のピーク間電圧が、直流電圧の2倍以下になるように交番電圧を重畳する事を特徴としている。
【0006】
上記特許文献3記載のものは、中間転写体の表面にフッ素樹脂を用い、転写バイアスとして直流電圧に交番電圧を重畳したものを用い、交番電圧のピーク間電圧が、直流電圧の2.05倍以上になるように交番電圧を重畳する事を特徴としている。
【0007】
これらはいずれも、直流、交流電源の印加電圧が狙いの値になるように制御して転写性向上を試みており、実施例においても転写電圧値と転写性の関係が示されるのみである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、交流電圧に直流電圧を重畳して印加し紙凹凸の凹部へのトナーの転写性を向上させる転写装置においては、出力する交流電圧値、直流電圧値によって、平滑部の濃度や凹部への転写性、放電による異常画像の状態が変化するため、交流電圧値、直流電圧値をある一定の範囲内で設定する必要がある。しかし、温湿度等の環境変化による転写部材の抵抗変化や記録材である紙の種類により、交流電圧値、直流電圧値の設定範囲を変化させる必要がある。交流電圧に直流電圧を重畳して印加する転写方式では、上述した理由から通常の直流電圧のみを付与する転写装置に比べて設定値の成立範囲が狭く、かつ直流電圧値と交流電圧値と画像の関係が複雑であるため、抵抗変化や紙種への対応が困難であるという問題がある。
【0009】
本発明は、従来の転写装置における上述の問題を解決し、用紙の表面凹凸の凹部への転写率を向上させ、凹凸の大きい紙にもトナーを均一に転写することができ、環境変化や紙種の違いに対しても安定して良好な画像を出力することのできる転写装置および画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題は、本発明により、交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを印加して像担持体から被転写体に静電トナーによる画像を転写する転写装置において、前記電圧を付与する電源から出力される直流成分の電流値が、設定した電流値になるように前記電源の出力電圧を制御することにより解決される。
【0011】
また、前記電源から出力される交流成分の電圧値が設定した電圧値になるように、前記電源の出力電圧を制御すると好ましい。
また、前記電源から出力される直流成分の電流値及び交流成分のピーク間電流値が設定した電流値になるように、前記電源の出力電圧を制御すると好ましい。
【0012】
また、前記電源から出力される直流成分の電流設定値を、前記被転写体の移動速度に応じて変更すると好ましい。
また、前記電源から出力される直流成分の電流設定値を、トナーの付着量に応じて変更すると好ましい。
【0013】
また、前記電源は、直流成分の電圧のみを出力する場合と直流成分と交流成分を重畳した電圧を出力する場合のいずれかに選択可能に設けられていると好ましい。
また、前記電源は、直流成分のみを印加する電源部と、交流成分に直流成分を重畳し印加するかまたは交流成分のみを印加する電源部とを別々に具備すると好ましい。
【0014】
また、前記直流成分のみを印加する電源部と、交流成分に直流成分を重畳し印加するかまたは交流成分のみを印加する電源部は、一方が像担持体側に、他方が被転写体側に配置されると好ましい。
【0015】
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜8のいずれか1項に記載の転写装置を備える画像形成装置により解決される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の転写装置によれば、電源の出力電圧を、電源から出力される直流成分の電流値が設定した電流値になるように制御することにより、用紙表面の凹部への転写率を向上させ、環境変動や被転写体の違いに対して、安定した被転写体凹部への転写性を得ることができる。
【0017】
請求項2の構成により、交流成分を定電圧制御とすることで、交流電流を検出する構成が不要となり、制御の構成を簡単なものとすることができる。
請求項3の構成により、定電流制御とすることで、多様な記録用紙に対して良好な転写姓を得ることができ、凹凸の大きい用紙であっても安定した転写を行なうことができる。
【0018】
請求項4の構成により、被転写体の移動速度に応じて定電流制御値を変更することで、速度の異なるモードを持つ転写装置においても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0019】
請求項5の構成により、像担持体上のトナー付着量に応じて定電流制御値を変更することで、モノクロやカラーのように付着量の大きく異なる画像に対しても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0020】
請求項6の構成により、電源から出力される電圧を、直流のみで出力する場合と直流と交流を重畳して出力する場合のいずれかに選択可能とすることで、(従来からある)直流電圧による転写方式と交流電圧に直流電圧を重畳した転写方式とを切り替えて使用することが可能となる。
【0021】
請求項7の構成により、直流のみを印加する電源部と直流と交流を重畳または交流のみを印加する電源部とを別々に設けることで、既存の直流電源のみを使用したシステム(装置)に対して、切り替え可能な状態で後から容易に組み込み、機能向上を図ることができる。
【0022】
請求項8の構成により、直流成分のみを印加する電源部と、交流成分に直流成分を重畳し印加するかまたは交流成分のみを印加する電源部を、一方を像担持体側に、他方を被転写体側に配置することで、製品内のスペースを有効に利用でき、製品の小型化などが可能になる。
【0023】
請求項9の画像形成装置によれば、本発明による転写装置を様々な画像形成装置と組み合わせることにより、静電粒子を凹凸のある被転写体へ転写させる色々な用途への使用が可能となる。すなわち、用紙表面の凹部への転写率が向上し、凹凸の大きい紙にもトナーを均一に転写することができ、環境変化や紙種の違いに対しても安定して良好な画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る転写装置の一例を示す構成図である。
【図2】電源から対向部材へ流れ込む電流を測定したグラフである。
【図3】出力電圧を定電流制御する実施例を示す構成図である。
【図4】交流直流重畳電圧を生成する電源の構成例を示すブロック図である。
【図5】交流直流重畳電圧を生成する電源の別の構成例を示すブロック図である。
【図6】一方の電源から直流電圧を、他方の電源から交流電圧を印加する方式の電源構成の一例を示すブロック図である。
【図7】直流成分のみよる二次転写と交流直流重畳電圧の印加による二次転写を選択可能とした場合の他の構成例を示すブロック図である。
【図8】直流成分のみよる二次転写と交流直流重畳電圧の印加による二次次転写を選択可能とする場合の更に他の構成例を示すブロック図である。
【図9】図5に示した電源の具体的な構成を示す簡略回路図である。
【図10】本発明を適用した画像形成装置の一例であるカラー画像形成装置の概略を示す断面構成図である。
【図11】その画像形成装置の画像形成ユニットを示す構成図である。
【図12】本願発明者が実施した転写性評価実験の結果を示す図である。
【図13】電源から出力されたVppとVoffの平均値と画像の関係を示す図である。
【図14】用紙凹部の埋まりが悪い場合の画像の一例を示す図である。
【図15】白抜けが発生した画像の一例を示す図である。
【図16】良好な画像の一例を示す図である。
【図17】異なる用紙を使用した転写性評価実験の結果を示す図である。
【図18】その画像形成時に電源から出力されたVppとVoffの平均値と画像の関係を示す図である。
【図19】2種類の用紙のIpp,Ioffの成立範囲の比較を示す図である。
【図20】2種類の用紙のVpp,Voffの成立範囲の比較を示す図である。
【図21】環境条件が異なる転写性評価実験における電流値と画像の関係を示す図である。
【図22】環境条件が異なる転写性評価実験における電圧値と画像の関係を示す図である。
【図23】本発明が適用される直接転写方式のカラープリンタの一例を示す構成図である。
【図24】本発明が適用される1ドラム型カラー画像形成装置の一例を示す構成図である。
【図25】本発明が適用されるトナージェット方式の画像形成装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る転写装置の一例を示す構成図である。この図において、符号200は画像形成手段または画像転写手段であり、符号50はトナー像を担持する感光体または中間転写体などの像担持体である。像担持体50上のトナー像は、矢印の方向に搬送される。一方、図示しない給紙装置から、被転写体Pが、像担持体50と転写部材80との間に、矢印の方向(図において右方向)から所定のタイミングで搬送される。この時に、像担持体50上に形成されたトナー像が記録材である被転写体P上に静電的に転写される。この時、像担持体50上のトナーが被転写体Pへ転写される方向に直流成分による電界が形成されるように、電源110及び/又は電源111から転写電圧が印加される。図示例では、電源111から転写部材80に、電源110から対向部材73に電圧を印加する構成となっている。
【0026】
このとき印加される電圧は、交流電圧に直流電圧を重畳した電圧であり、電源110、電源111のいずれか一方からのみ交流直流重畳電圧を印加してもよいし、電源110、電源111で交流と直流を分離して印加してもよい。さらに、電源110、電源111のいずれか一方から交流直流重畳電圧を印加し、かつもう一方から直流電圧を印加してもよい。また、出力電圧を直流成分のみの場合と交流直流重畳電圧を印加する場合とに選択可能にすることで、条件に応じて切り替えることができる。例えば、被転写体Pが凹凸のない記録材である場合には直流成分のみを印加するように切り替えることができる。
【0027】
これにより、交流電圧を必要としない使用用途の場合には、従来の転写装置のように直流成分のみで使用することができ、省エネルギーで使用できる。この場合、電源は交流直流重畳電圧を印加する一体の電源において交流成分を印加しないことで直流成分のみを印加する方法でもよいし、直流電圧印加用の電源回路と交流直流重畳電圧印加用の電源回路を別々に持ち、電源回路を切り替えることにより、電圧の切り替えを行う方法でもよい。
【0028】
後者の場合、既存の直流電圧印加方式の転写装置に後から組み込み、機能をバージョンアップすることや、調整された既存のシステムを変えることなく使用することで開発期間を短縮できるなどの効果が得られる。また、交流電源、直流電源を図1に示す電源110、電源111のように対向部材73側と転写部材80側とに分離して配置した場合、筐体内の省スペース化を図ることができ、空いたスペースを他の機能に利用したり、装置の小型化などが可能になる。
【0029】
図2は、電源110から対向部材73へ流れ込む方向の電流を測定した場合の一例を示すグラフである。本実施例では、電源から出力される電圧は、直流成分の電流値Ioff、またはIoff及び交流成分のピーク間電流値Ippが、設定した電流値になるように制御される。以降、交流電圧に直流電圧を重畳して印加する電圧印加方法において、出力電流の直流成分(オフセット電流)Ioff、または交流成分のピーク間の大きさIppが任意の電流値になるように出力電圧を制御する制御方法を定電流制御と称し、出力電圧の直流成分Voff、または交流成分のピーク間電圧の大きさVppが任意の値となるように出力電圧を制御する制御方法を定電圧制御と称する。
【0030】
出力電圧を定電圧制御する場合、湿度による部材の抵抗変化や記録材の違いにより、印加する電圧を大きく変更しなければ良好な転写性を得られないが、定電流制御する場合は、前記変化に対する転写性の変動が小さい。該定電圧制御に対する定電流制御の優位性を示す詳細なデータは後述する画像形成装置の実施例に示す。
【0031】
図3は、出力電圧をIoffで定電流制御する場合の一例(第2実施例)を示す構成図である。図1の第1実施例と重複する説明は省略し、異なる部分のみ説明する。図3の構成では、転写部材80は接地しており、対向部材73に電源110から電圧を印加する構成となっている。該電源110は制御回路300により制御される。
【0032】
このような構成において、Ioffは電源110に内蔵された電流計により検出され、制御回路300へ入力される。次に制御回路300から電源110へ制御信号が入力される。制御回路300は設定電流値に応じて制御信号を出力し、電源110からは出力Ioffが設定値となるように出力電圧が調整される。Ippを定電流制御する場合も、同様にして制御することができる。本願発明者らの検討によると、Ioffはトナーによる電荷の移動や放電による電荷の移動を示している。このため、Ioffはトナー移動による電流量を目安に設定することができる。トナー移動による電流量Itonerは次の式(1)に示す関係で表すことができる。
【0033】
Itoner=v*W*Q/M*M/A*10・・・(1)
ここで、v:被転写体Pの速度[m/s],W:画像のローラ軸方向の幅[m],Q/M:トナー帯電量[μC/g],M/A:トナー付着量[mg/cm2 ]である。
【0034】
画像幅とトナー付着量には、全トナーが転写できるように、記録材にベタ画像を転写する場合に想定される最大値を用いる。例えば、v=0.3[m/s],W=0.3[m],Q/M=−30[μC/g],M/A=0.5[mg/cm2]であれば、Itoner=−13.50[μA]となる。このとき、Ioffの絶対値は|Itoner|以上の値、例えばIoff=−20[μA]の様に設定することが好ましい。被転写体Pの速度vを変更する場合のIoffの設定値は、上記の(1)式からItonerを算出すればよく、例えばv=0.15[m/s]の場合はIoff=−6.75[μA]となるため、Ioff=−10[μA]の様に設定する。
【0035】
被転写体に応じて速度(線速)を変更する場合は、各速度に対応したIoffに自動的に切り替わるモードを設けることで、被転写体速度に対しても安定した画像を得ることができる。さらに、M/Aがモノクロ画像よりも多くなるカラー画像の場合のIoffの設定値も、(1)式から見積もることができ、例えばカラー画像のM/Aをモノクロ画像の2倍の1.0[mg/cm2 ]と仮定した場合、Ioffも2倍の−40[μA]のように設定すればよい。また、出力画像情報に応じて設定Ioffが自動的に切り替わるカラー印刷モードを設けることで、カラー画像、モノクロ画像のいずれに対しても安定した画像を得ることができる。
【0036】
Ippは少なくとも凹部にトナーが転写するための電界を付与できるだけの大きさが必要となり、小さすぎると凹部にトナーが転写されない。その大きさは転写部材の抵抗や転写ニップの幅などによっても異なるが、ここでは、例えばIpp=3.0[mA]のように設定する。Ippを適切な値に設定することにより、被転写体Pが変わっても凹部への良好な転写性を保つことができる。
【0037】
尚、転写部材80の形状は転写ニップ部に交流直流重畳電界を印加可能であればとくに限定はされるものではないが、ローラ形状が摩擦力低減などの点から好ましく、円柱状に形成された導電性の芯金と、芯金の外周面に積層された樹脂やゴムなどの表層からなる構成などがある。また、記録材である被転写体Pは紙、樹脂、金属など様々な物質を用いることができる。本実施例において交番電圧の波形は正弦波を用いているが、矩形波等他の波形を用いても問題は無い。
【0038】
次に、転写装置の電源回路について詳細に説明する。
図4は、交流直流重畳電圧を生成する電源110の構成の一例を示すブロック図である。この図に示すように、電源110は、交流電圧発生手段112と直流電圧発生手段113が直列に接続され、負荷となる対向ローラ73と転写部材80間に接続されている。なお、被転写体Pと像担持体50の図示は省略している。電源110を駆動する電源24VとGNDが、図示していないインタロックスイッチを介して、制御回路300から供給される。さらに、起動信号のACおよびDCが交流電圧発生手段112と直流電圧発生手段113にそれぞれ供給されている。また、交流電圧発生手段112と直流電圧発生手段113には異常検知手段114が接続され、電源出力の異常検知信号SCを制御回路300に出力している。この構成により負荷には、直流が重畳された交流電圧が印加される。
【0039】
図5は、交流直流重畳電圧を生成する電源110の構成の別例(図4とは別の例)を示すブロック図である。この図において、交流駆動121、交流高圧トランス122、交流出力検出123、交流制御124の各手段により交流電圧発生手段が構成されている。また、直流駆動125、直流高圧トランス126、直流出力検出127、直流制御128の各手段により直流電圧発生手段が構成されている。なお、異常検知手段および電源110を動作させるための制御回路300からの24V入力とGNDは図示を省略している。
【0040】
上記構成において、制御回路300から交流電圧の周波数を設定する信号CLKが供給され、さらに、交流出力の電流または電圧を設定する信号AC_PWM、および、交流出力をモニターする信号AC_FB_Iが接続されている。直流生成手段にも、重畳される直流出力の電流または電圧を設定する信号DC_PWMと直流出力をモニターする信号DC_FB_Iが接続されている。交流および直流の制御(電流/電圧)ブロックでは、制御回路300からの指令に基づき、それぞれの出力検出手段123,127からの検出信号が所定値となるように、交流駆動121または直流駆動125を介して各高圧トランス122,126の駆動を制御する信号を出力している。
【0041】
交流制御では交流出力の電流および電圧を制御しており、所謂、定電流制御または定電圧制御のどちらも可能なように交流出力検出123で出力電流および出力電圧の両方を検出している。これは直流制御でも同様である。この実施例では、交流および直流とも通常は定電流制御を行うように電流検出値を優先して制御するようにしている。出力電圧の検出値は上限電圧の抑制のために使っており、無負荷状態などでの最高電圧を制御する構成としている。また、制御回路300では交流および直流の各出力検出手段123,127からのモニター信号を、負荷状態の監視のための情報として入力している。
【0042】
交流電圧の周波数を制御回路300からの信号CLKで設定しているが、交流電圧発生手段の内部で固定の周波数を生成してもよい。
【0043】
図6は、一方の電源110から直流電圧を印加し、他方の電源111から交流電圧だけを印加する方式の電源構成の一例である。電源110と電源111を同時に出力することで、前述の図5の構成と同じ機能を実現している。
【0044】
さらに、電源110だけを出力することも可能で、従来の直流成分のみによる二次転写と交流直流重畳による二次転写を選択可能としている。各電源110と111の内部の各手段の機能は前述の図5と同じであり、説明は省略する。
【0045】
図7は、前述の図6の構成と同様に、直流成分のみよる二次転写と交流直流重畳電圧の印加による二次転写を選択可能とした場合の他の構成例であり、この構成例では対向ローラ73に印加する電圧を切替手段であるリレー1およびリレー2を使って切り替える構成である。電源110−1で交流直流重畳電圧を生成し、電源110−2で従来の直流成分のみの電圧を生成している。リレーを使った転写装置への電圧の印加制御は、制御回路300での各電源110−1と110−2への制御信号の授受とともにリレー駆動手段129を設け、制御信号RY_DRIVにて切り替え制御を行える構成としている。
【0046】
図8は、前述の図7の構成と同様に、直流成分のみよる二次転写と交流直流重畳電圧の印加による二次次転写を選択可能とする場合の更に他の構成例である。本構成例では電源110−1の出力にだけ切替手段のリレー1を設けている。また、リレー1の出力側が他方の電源110−2に接続されている。したがって、リレー1の接点を閉じて電源110−1から交流直流重畳電圧を出力する場合に、転写装置と並列に接続された電源110−2にも電圧が印加される。これにより、電源110−2が電源110−1の負荷となるが、電源110−2への電流供給による転写装置への影響が無い場合は本方式を採用することで回路の簡素化が計られるので、同様の機能を簡単な構成で安価に実現することができる。
【0047】
図9は、前述の図5に示した電源110の具体的な構成を示す簡略回路図である。
上半部の交流電圧発生手段112と下半部の直流電圧発生手段113は、ともに定電流制御を行っている。交流電圧は、高圧トランスの出力に近似した低電圧を巻線N3_ACで取出し、電圧制御コンパレータで基準信号Vref_AC_Vと比較している。交流電流は、直流電圧発生手段の出力と並列に接続した交流成分をバイアスするコンデンサC_AC_BPと接地間に設けた交流電流検出器で取出し電流制御コンパレータで基準信号Vref_AC_Iと比較している。この基準信号Vref_AC_Iのレベルは、交流出力電流の設定信号AC_PWMに応じて設定される。
【0048】
上記電圧制御コンパレータの出力は、出力電圧が所定以上に上がった時(例えば無負荷など)に有効になるように基準信号Vref_AC_Vのレベルを設定してある。一方、電流制御コンパレータの出力は、通常の負荷で有効になるように基準信号Vref_AC_Iのレベルが設定してあり、負荷の状態(対向ローラ73や転写部材80およびローラ間の部材など)に応じて高圧出力電流を切り替えられる構成としている。これら電圧制御コンパレータ及び電流制御コンパレータの出力は交流駆動部に入力し、そのレベルに応じて交流高圧トランスをドライブする。
【0049】
直流電圧発生手段でも、同様に出力電圧/電流の両方を検出している。電圧は、高圧トランスの出力巻線N2_DCに設けた整流平滑回路と並列接続した直流電圧検出器で取出している。電流は、出力巻線と接地間に直流電流検出器を接続し取出している。電圧/電流の各検出信号は交流の場合と同じく重み付けされた基準信号Vref_DC_VとVref_DC_Iと比較され、高圧出力の直流成分を制御している。
【0050】
次に、本発明を適用した画像形成装置について説明し、本画像形成装置を用いた研究結果に沿って定電流制御の有用性について具体的に説明する。なお、画像形成装置の実施形態は一つの例を示すものであり、構成やプロセス条件が変わっても本発明の効果が変わらないことを構成の異なる複数の画像形成装置や様々な画像形成環境で確認している。
【0051】
図10は、本発明を適用した画像形成装置の一例であるカラー画像形成装置(以下、単にプリンタと呼ぶ)の概略を示す断面構成図である。本実施形態のプリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の色成分画像を重ね合わせて画像を形成する画像形成装置である。本実施形態では、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色にそれぞれ対応する画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kが図10のように配置されている。各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kに設けられた像担持体である感光体ドラム11(11Y,11M,11C,11K)上に形成される各色トナー像は、これらの感光体ドラムに当接して配置されているベルト状の中間転写体(中間転写ベルト50)へ順次転写される。中間転写ベルト50へ転写されたトナー像は、用紙カセット101から給紙ローラ100を経て給紙された記録用紙上に転写される。具体的には、用紙カセットから給紙された記録用紙は中間転写ベルト50と二次転写ローラ80の間に矢印Fの方向から所定のタイミングで搬送される。この時、中間転写ベルト50上に形成されたフルカラートナー像は、二次転写ローラ80と二次転写部対向ローラ73との間に形成された二次転写ニップで記録用紙上に一括転写される。フルカラートナー像が転写された記録用紙は定着装置91へ搬送され、定着装置91において加熱・加圧され、機外へと排出される。
【0052】
各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは全て同じ構成であるため、図11を参照して1Yについてのみ説明する。
画像形成ユニット1Yは、像担持体としての感光体ドラム11と、感光体ドラム11の表面を帯電ローラによって帯電する帯電装置21と、感光体ドラム11上の潜像をトナー像化する像形成手段としての現像装置31と、中間転写ベルト50上に潜像担次体を転写するための一次転写ローラ61と感光体ドラム11の表面に残存したトナーをクリーニングする感光体クリーニング装置41とを備えている。
【0053】
上述の帯電装置21は、ローラ形状の導電性弾性体から構成される帯電ローラに対して直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する構成となっている。この帯電ローラと感光体ドラム11との間で直接放電を起こす事で感光体ドラム11を所定の極性、例えば、マイナス極性に帯電させる。次いで、各感光体ドラム11の帯電面に、図示していない画像書き込み手段から出射する光変調されたレーザ光Lを照射する。これによって、各感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。即ち、レーザ光が照射され感光体表面部分の電位の絶対値が低下した部分が静電潜像となる。
【0054】
一次転写ローラ61は、導電性弾性ローラであり、中間転写ベルト50の裏面から感光体ドラム11に対して押し当てられるように配置されている。この弾性ローラには一次転写バイアスとして定電流制御されたバイアスが印加されている。
【0055】
感光体クリーニング装置41は、クリーニングブレード41aと、クリーニングブラシ41bを備えている。クリーニングブレード41aは、感光体ドラム11の回転方向に対してカウンタ方向から感光体ドラム11と当接している状態で、クリーニングブラシ41bは感光体ドラム11と逆方向に回転しながら接触している状態で感光体ドラム11表面をクリーニングする。
【0056】
現像装置31は、Yトナーとキャリアを有する2成分現像剤が収容された収容容器31cと、この収容容器31c内に配置され収容容器31cの開口部を介して感光体ドラム11と対向するように配置された現像剤担持体としての現像スリーブ31aと、収容容器31c内に配置され、現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌部材としてのスクリュー部材31bとを備えている。
【0057】
スクリュー部材31bは、現像スリーブ側となる現像剤の供給側と、図示しない補給トナー装置の供給を受ける側にそれぞれ配置され、収容容器31cに図示しない軸受け部材によって回転自在に支持されている。
【0058】
さて、上記4組の画像形成ユニットの感光体ドラム11は、不図示の感光体ドラム駆動装置によって図中時計回り方向に回転駆動される。また、ブラック用の感光体ドラム11Kと、カラー用の感光体ドラム11Y,11M,11Cとを独立に回転駆動できるようにしても良い。これにより、例えば、モノクロ画像を形成する時には、ブラック用の感光体ドラム14のみを回転駆動し、またカラー画像を形成する時には4つの感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kを同時に回転駆動させる事が出来る。ここで、モノクロ画像を形成する時は、カラー用の感光体ドラム11Y,11M,11Cから離間するように中間転写ベルト50を有する中間転写ユニットが部分的に揺動させられる。
【0059】
中間転写ベルト50は例えば中抵抗の無端上のベルト材で構成され、二次転写部対向ローラ73及び支持ローラ71,72といった複数の支持ローラに掛け回されている。この支持ローラの一つを回転駆動する事により、中間転写ベルト50を図10において反時計回り方向に無端移動させる事が出来る。
【0060】
また、支持ローラ72は接地されており、その支持ローラ72に対向する形で表面電位計75が配置されており、中間転写ベルト50上に転写されたトナー像が支持ローラ72上を通過した時、表面電位を計測する。
【0061】
二次転写部対向ローラ73には、転写バイアス用の電源110が接続されている。この電源110は、交流電圧に直流電圧を重畳して印加することができ、印加電圧のIpp及びIoffを定電流制御することができる。二次転写部対向ローラ73に電圧を印加することで、対向ローラ73と二次転写ローラ80の間に電位差が生じ、トナーが中間転写体50から記録用紙側へ向かう電圧が生じる為、トナー像を記録用紙に転写させる事が出来る。
【0062】
次に、上記実施形態の画像形成装置を用いて本願発明者らが行った研究結果について添付図面を参照しながら説明する。
初めに、Ippを2.8[mA]、重畳する直流電流を−16[μA]に固定し、交流電圧の周波数と中間転写ベルトの線速を282[mm/s]および141[mm/s]で普通紙に黒単色のベタ画像を出力し、画像ムラが発生しない周波数を100〜700[Hz]まで100[Hz]刻みで確認したところ、線速vが282mm/sの時は周波数が400Hz以上、線速vが141mm/sの時は周波数が200Hz以上であれば周波数による画像ムラが生じないことがわかった。なお、中間転写ベルトの線速と記録用紙の線速は略等速度である。
【0063】
線速に必要な周波数が異なる理由は、転写電圧を印加する時間に関係する。二次転写対向ローラ73、二次転写ローラ80の、紙を通紙していない時におけるローラ間のニップ幅をd[mm]とした時、ニップ通過時間は線速vとニップ幅を用いてd/v[s]と表される。一方、周波数f[Hz]の時、交番電圧の周期は1/f[s]となる。従って、ニップ通過時間中に交番電圧の周期回数は、d*f/v[回]となる。本実施例におけるニップ幅dはおよそ3[mm]であり、線速282mm/sの時周波数が400Hz必要なことから、必要な交番電圧の印加回数は、3*400/282≒4.255となり、約4.25回交番電圧が印加されればムラの生じない画像を得ることができる。また、線速が141[mm/s]の時も、3*200/141≒4.255となり、同様の回数交番電圧が印加されればよい結果となる。線速282[mm/s]の時周波数が300Hzでは3*300/282≒3.191となることから、ニップ通過中に交番電圧の周期回数は最低4回程度あればムラのない良好な画像を得ることができる。このため、4<d*f/vと規定でき、印加する交番電圧の周波数は次の式(2)の関係を満たすことが好ましい。
f>(4/d)*v・・・(2)
【0064】
次に、周波数を500[Hz]、線速を282[mm/s]に固定し、特殊製紙株式会社製のレザック66_260kg紙(厚みが約320μm,凹凸差が最大で約130μmある用紙)を用いて、黒単色のベタ画像を出力した。また、本実施例の黒単色のベタ画像の中間転写ベルト上のトナー付着量は0.55[mg/cm2]であり、トナー帯電量Q/Mは−30[μC/g]であった。本実施例の黒単色のベタ画像は二次転写ローラ軸方向の幅が0.28[m]であるため、式(1)より、Itoner=−13.03[μA]となる。そこで、電源110の出力電圧を定電流制御し、Ioffを−10[μA]〜−25[μA]、Ippを2.0[mA]〜4.0[mA]の間で設定電流値を変化させて画像を出力し、目視による画像評価を行った。特にレザック66_260kg紙は表面凹凸が深いため、溝の埋まり度合いや放電による溝の白抜けに注意して評価を行った。また、レザック66_260kg紙を記録用紙Aとし、評価は3段階で次のように評価した。
○:良好,△:やや問題がある,×:問題がある
【0065】
評価結果を図12に示す。問題がある画像には傾向があり、図12に示す点線(1)よりも下側(Voffが低い側)の領域では平滑部の画像濃度が薄くなる。また、点線(2)よりも左側(Vppが低い側)の領域では凹部の埋まりが悪い。凹部の埋まりが悪い場合の画像の一例を図14に示す。さらに点線(3)の右側(Vppが高い側)では放電によると考えられる白抜けが発生する。白抜けが発生した画像の一例を図15に示す。ただし、トナー条件によっては図15のように完全に白く抜けた状態にはならず、凹部の濃度が薄くなるだけの場合もある。(1),(2),(3)の3つの点線に囲まれた領域において、良好な画像が成立した。良好な画像の一例を図16に示す。尚、図14〜図16の各画像は1辺が約2.5cm四方の大きさである。このとき、画像形成時にモニタしておいた電源から出力されたVppとVoffの平均値と画像の関係を図13に示す。図12に示した電流と画像の関係と同様に(1),(2),(3)の線を得ることができ、同様に点線(1)よりも下の領域では平滑部の画像濃度が薄く、点線(2)よりも左の領域では凹部の埋まりが悪く、点線(3)の右側では白抜けが発生する領域となる。
【0066】
次に、記録用紙Bとして、特殊製紙株式会社製のレザック66_175kg紙(厚みが約210μm,凹凸差が最大で約120μm)を用いて同様の評価を行った。Ioffは−11[μA]〜−23[μA]、Ippは2.2[mA]〜3.4[mA]の間で変化させた。この評価結果を図17に示し、画像形成時に電源から出力されたVppとVoffの平均値と画像の関係を図18に示す。問題がある画像にはレザック66_260kg紙と同様の傾向があり、(1),(2),(3)の3つの点線に囲まれた領域において、良好な画像が成立した。
【0067】
A,B2種類の紙のIpp,Ioffの成立範囲の比較を図19に、Vpp,Voffの成立範囲の比較を図20に示す。どちらも、記録用紙が異なると成立範囲の大きさが異なるが、図19に示す電流値と画像との関係では、転写成立範囲が大きい記録用紙の成立範囲は転写成立範囲が小さい記録用紙の成立範囲の範囲をほぼ全て含んでいる。このように、出力電圧をIppとIoffで定電流制御した場合、成立範囲が小さい記録用紙で成立するように設定値を決定することにより、他の記録用紙においても画像を成立させることができる。一方、図20に示す電圧値と画像との関係では、記録用紙によって成立範囲が異なり、かつ成立範囲が重ならない領域がある。このことから、VppとVoffで定電圧制御した場合、記録用紙毎に設定電圧値を変更する必要があり、製品のユーザビリティが低下する。さらに、未知の記録用紙への対応が困難となる。
【0068】
定電圧制御を行った場合、記録用紙により抵抗が異なるため、電源から出力される電圧を同じ値にしても、トナーに加わる電界強度は異なる。このため、図20に示される平滑部の濃度の許容範囲は記録用紙によって変化する。しかし、図19に示されるように、定電流制御では記録用紙の抵抗に応じて、印加電圧を変化させるため平滑部の濃度の許容を示す点線(1)は変化しない。さらに、放電による白抜け発生を示す点線(3)においても印加電圧値では記録用紙によって変化するが、定電流制御では記録用紙によって変化しない。凹部のトナーによる埋まり状態の許容値を示す点線(2)は、凹部の深さが浅い記録用紙ほど、IppおよびVppが低いほうに移動する。
【0069】
このように、定電流制御では、平滑部の濃度の許容値を示す点線(1)と放電による白抜けの発生を示す点線(3)が紙種や抵抗によって変化しないため、最も転写性の悪い記録用紙における成立範囲内のIpp,Ioffを設定することで、全ての記録用紙に対して良好な転写性を得ることができる。例えば本実施例ではIoffを−18[μA],Ippを2.8[mA]〜3.0[mA]に設定することで凹凸紙に対して良好な転写性を得ることができる。
【0070】
次に、電源110を、直流成分は定電流制御、交流成分は定電圧制御を行う電源に変更し、画像出力を行った。Ioffを−16[μA]に設定し、Vppを変化させた結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
表1に示すように、Ioffが適切な値となるように定電流制御することで、交流成分を定電圧制御しても異なる用紙で同時に画像が成立する値を選択することができる。交流成分を定電圧制御とした場合は、交流電流を検出する構成が不要になり、定電流制御する場合に比べて制御の構成が簡単になる。
【0073】
このように、出力電圧をIoff、または、Ioff及びIppで定電流制御することにより、被転写体の種類に対応して凹部への転写性の高い転写を安定して行うことができる。
【0074】
次に、湿度を変えて画像出力を行った。前記画像出力結果は湿度40〜50%の環境下で行われたものであり、次に湿度55〜65%の環境下において記録用紙Bで同様の評価を行った結果を示す。電源110には直流成分、交流成分ともに定電流制御で電圧を出力する電源を用いた。電流値と画像の関係を図21に、電圧値と画像の関係を図22に示す。点線が湿度40〜50%における画像成立範囲を示し、一点鎖線が湿度55〜65%における画像成立範囲である。湿度が上昇した場合、図22のように電圧値による画像成立範囲は全体的に移動するため、定電圧制御で値を固定していた場合、湿度が大きく変動した場合には画像が成立しなくなる危険性が高い。一方、図21のように電流値による画像成立範囲は変化が少なく、湿度が変動しても画像が成立する値を選択することができる。このように、交流成分に直流成分を重畳した出力電圧を定電流制御することで、湿度変動に対しても安定し、凹部への転写性も良好な画像形成を行うことができる。また、直流成分を定電流制御、交流成分を定電圧制御する場合にも、前記紙の種類を変えた場合と同様に、湿度変動に対して有効な効果を得ることができる。
【0075】
次に、記録用紙Bを搬送する速度vを変更し評価を行った。電源110には直流成分、交流成分ともに定電流制御で電圧を出力する電源を用いた。記録用紙Bの搬送速度vを1/2にした場合、前記式(1)からItonerも1/2となる。そこで、Ioffを前記検討結果の1/2の−8[μA]に設定し、Ippを変化させて画像評価を行った結果を表2に示す。尚、表2における条件1および条件2は以下の条件である。
条件1:搬送速度v=282[mm/s],Ioff=−16[μA]
条件2:搬送速度v=141[mm/s],Ioff=−8[μA]
【0076】
【表2】
【0077】
Ioffを被転写体の搬送速度に比例して設定することにより、速度が変化しても同様の傾向を得ることができる。このため、被転写体の搬送速度に応じて直流成分の定電流制御値を変更することにより、速度の異なるモードを有する転写装置においても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0078】
次に、転写ベルト上のトナー付着量が異なる場合の評価を行った。電源110には直流成分、交流成分ともに定電流制御で電圧を出力する電源を用い、紙の搬送速度は282mm/s、用紙は記録用紙Bを用いた。M/A=0.88[mg/cm2]であるカラー画像の場合、前記評価のトナー付着量はM/A=0.55[mg/cm2]であったためM/Aは前記評価の1.6倍である。式(1)からItonerはM/Aに比例するため、Ioffを前記評価の1.6倍である−26[μA]に設定し、Ippを変化させて画像評価を行った結果を表3に示す。尚、表3における条件3および条件4は以下の条件である。
条件3:M/A=0.55[mg/cm2],Ioff=−16[μA]
条件4:M/A=0.88[mg/cm2],Ioff=−26[μA]
【0079】
【表3】
【0080】
Ioffをトナー付着量に比例して設定することにより、Ippを振るだけで画像が成立する条件を得ることができる。本願発明者らの検討により、トナー付着量及びトナー帯電量が増加した場合はIppの最適値がIoff下限値の増加に伴って増加することが確認されている。そこで、トナー付着量およびトナー帯電量が変化した場合のIppの最適条件をあらかじめ調査し、実験結果に基づくデータテーブルをメモリに格納しておき、トナー付着量およびトナー帯電量が変化した場合のIpp値を決定する機能を設けるなどの方法により、トナー付着量およびトナー帯電量の状態に応じて自動的に定電流制御値を決定することもできる。このため、像担持体上のトナー付着量に応じて直流成分の定電流制御値を変更することにより、モノクロやカラーのように付着量の大きく異なる画像に対しても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。ただし、トナー付着量及びトナー帯電量が増加した場合は成立範囲自体が狭くなること、および前述したようにIppの最適値がIoffの増加とともに増加することが確認されており、付着量が非常に多い場合などは、前記電圧または電流と画像の関係図において、平滑部の濃度の許容値を示す直線(1)と凹部のトナーによる埋まり状態の許容値を示す直線(2)と放電による白抜けの発生を示す直線(3)に囲まれた三角形からなる成立範囲が存在しない場合もある。しかし、凹部の深さが深い記録用紙などでは若干の白抜けが発生していても、直流電圧のみで転写する従来の転写方法よりも凹部の転写性は良いため、前記に示した成立範囲外においても、凹部の転写性向上効果を得ることができる。
【0081】
ところで、二次転写部に交流直流重畳バイアスを印加する場合、図10の構成では対向ローラ73(対向部材)の芯金に制御した電圧を印加する。しかし実際には、転写ニップ(転写部)に電位差を形成することが目的であるため、対向ローラの芯金の電位を制御するだけでは、対向ローラの抵抗層(ゴムやスポンジ等の樹脂部分)の抵抗が変化した場合には、転写ニップに所望の電位差を形成することができなくなる。
【0082】
そこで、紙が無い状態(紙が有る状態でも可)で転写部に一定の電流を流し、そのときに必要であった電圧から、二次転写部(対向ローラ73,転写ベルト50,転写ローラ80)の抵抗を測定し、それに基づいた交流直流重畳電圧を印加することで、常に転写ニップに所望の値に近い電位差を形成する事ができる。
【0083】
測定した抵抗値から、転写部に印加する電圧値を求める時は、転写部の抵抗値から直接印加電圧を求めてもよいし、抵抗値をある閾値で分けてテーブルを作成し、そのテーブルに基づいて求めても良い。
【0084】
なお、転写部を構成する部材の抵抗が変化した場合に転写ニップに所望の電位差を形成できなくなることは、図10(図3)の構成に限らず、バイアス印加の方式が異なる構成(例えば図1の構成)の場合も同様であるが、ここでは図10の構成に基づいて説明する。
【0085】
以下に、二次転写部の抵抗値等が変化した場合の印加電圧の補正方法の一例を示す。ここでは直流成分を定電流制御、交流成分を定電圧制御した場合の補正方法を示しているが、この限りでは無い。直流成分、交流成分共に定電流、定電圧の制御が可能で、その場合も補正係数の値が異なるのみで、二次転写部の抵抗から印加すべき電界を求めることが可能である。
【0086】
ただし、どのような制御の組み合わせになったとしても、直流成分と交流成分は別々に補正をしなければならない。その理由として、直流成分は、印加された電流がほぼ全て対向ローラ73から紙及び転写ローラ80に流れるのに対し、交流成分は、極性が素早く入れ替わるために、殆どの電流が対向ローラ73、又は転写ローラ80を充電するためだけに消費され、対向ローラ73から紙及び転写ローラ80に流れるのは印加した電流の内の一部のみであるためである。具体的には、本構成において印加する直流成分の電流は−10μA〜−100μAであるのに対し、交流成分では±0.5mA〜±10mAの電流を印加している。
【0087】
補正方法の例として、次の表4に示す「抵抗補正係数テーブル」では、抵抗の閾値を5つ設け、6つに区切られたテーブルを設け、抵抗が低い順にR-2〜R+3まで(R0が標準)を設定し、それぞれに補正率(補正係数)を決定している。
【0088】
【表4】
【0089】
当該テーブルにおいて、係数の増減が交流成分と直流成分で逆の傾向となっているが、これは前述の定電圧制御と定電流制御の違いのためである。
定電流制御では、転写ニップを通過する電流が制御されるため、対向ローラ73の抵抗が低下した場合、転写ニップに形成される電位差が小さくなるため、制御する電流を大きくしなければ転写ニップに形成される電位差は一定にならない。
【0090】
一方、定電圧制御では、対向ローラ73の芯金部の電圧が制御されるため、転写ニップでの電位差は、対向ローラ73のゴム層で電圧降下したものとなる。よって対向ローラ73の抵抗が低下した場合、転写ニップに形成される電位差が大きくなるため、制御する電圧を小さくしなければ転写ニップに形成される電位差は一定にならない。
【0091】
上記の「抵抗補正係数テーブル」に示した補正係数を用いる事で、二次転写部の抵抗が変化した場合でも同じ転写性を得る事ができる。表4のテーブルに示す補正係数の値はあくまで本例での形態における値であり、システムが変わった場合は補正係数も変化する。
【0092】
また、紙が含んでいる水分によっても、対向ローラ73に印加すべき電界は異なる。これは、紙が含む水分が増加することで、紙の電気抵抗が低下するためである。紙の電気抵抗が低下した場合、転写ニップに形成すべき電位差は小さくなる。
【0093】
例えば、次の表5に示す「湿度環境補正係数テーブル」では、画像形成装置内の温湿度を計測し、それからもとめた絶対湿度ごとの閾値を5つ設け、6つに区切られたテーブルを設け、絶対湿度が小さい順にLLL,LL,ML,MM,MH,HHまでを設定し、それぞれに補正率(補正係数)を決定している
【0094】
【表5】
【0095】
温湿度環境の係数は、転写ニップに存在する紙の抵抗による変化を補正するものであるため、定電圧制御と定電流制御では係数増減の傾向は同じになる。
以上のように、対向ローラ73に印加する電界を制御する事で、誤差要因が変化した場合でも一定の転写性を得ることができる。
【0096】
次に、重畳転写バイアスにおける交流成分を定電流制御した場合の効果を比較例とともに示して説明する。
交流直流重畳電圧を印加しての転写において、転写ニップに形成すべき電位差は、紙の厚みが厚くなるほど大きな電位差が必要となる。
【0097】
このため、交流成分を定電流制御することで、対向ローラ73に供給される電荷は一定となり、通過する紙が厚くなった場合は、転写部のコンデンサーとしての容量が(距離が増加するため)小さくなるため、転写ニップに形成される電位差は大きくなるため、紙厚が変化した時も目標電流を大きく変化させること無く同じ転写性を得ることができる。
【0098】
以下に、記録紙の厚みが変化した場合の交流印加電界の補正方法の一例を示す。ここでは交流成分を定電流制御した場合の補正方法を本発明の実施例として、また、交流成分を定電圧制御した場合を比較例として併記している。ただし、閾値の数(テーブルの区分け数)や補正率(係数)は一例であり、この限りでは無い。
【0099】
例えば、次の表6に示す「紙厚補正係数テーブル」では、紙厚の閾値を6つ設け、7つに区切られたテーブルを設け、紙厚が薄い順に紙厚1〜7までを設定し、それぞれに補正率(補正係数)を決定している。
【0100】
【表6】
【0101】
この「紙厚補正係数テーブル」に示すように、交流成分を定電流制御にすることで、紙厚が変化した時の補正率は、定電圧制御した比較例と比べて格段に小さくなっており、紙のバラツキ等で紙厚が微小に変化した場合においては制御値を(補正率を)変化させなくても(補正しなくとも)一定の転写性が得られる。
【0102】
また、高湿環境になった場合は、紙が吸湿をして抵抗が下がるため、転写ニップに形成すべき電位差は小さくしなければならない。
この場合も、通過する紙中の水分が増加する事で、誘電率が増加し転写部のコンデンサーとしての容量が大きくなるため、定電流制御によって同じ量の電荷が供給された場合に転写ニップに形成される電位差は小さくなり、同じく湿度が変化した時も目標電流を大きく変化させること無く同じ転写性を得ることができる。
【0103】
次の表7は、湿度環境が変化した場合の補正係数を、交流成分を定電流制御した場合(実施例)と定電圧制御した場合(比較例)を併記して比較したものである。ここでも閾値の数(テーブルの区分け数)や補正率(係数)は一例であり、この限りでは無い。
【0104】
【表7】
【0105】
表7のテーブルに示すように、交流成分を定電流制御にすることで、環境が変化した時の補正率は、定電圧制御した比較例と比べて小さくなっており、環境が微小に変化した場合においては制御値を(補正率を)変化させなくても(補正しなくとも)一定の転写性が得られる。
【0106】
最後に、構成が異なる画像形成装置の実施形態について説明する。
本発明は、感光体上のトナー像を一旦中間転写ベルトに転写してから記録用紙に転写する中間転写方式(間接転写方式)のカラープリンタに限らず、例えば、図23に示すような、感光体上のトナー像を直接記録用紙に転写する直接転写方式のカラープリンタにも適用できる。この直接転写方式のカラープリンタは、記録用紙が給紙ローラ32により搬送ベルト131へ送られ、各色の感光体ドラム2(2Y,2C,2M,2K)から記録用紙へ各色の画像が順次直接転写され、定着装置50により定着される。各転写部に印加する電圧を定電流制御した交流直流重畳電圧を使用することにより、前述した実施形態(間接転写方式)の画像形成装置の場合と同様の効果を得ることができる。定着後の記録用紙は、図示しない排紙トレイ上に排出する。
【0107】
また、図24に示すように、所謂1ドラム型のカラー画像形成装置にも本発明を適用できる。この1ドラム型のカラー画像形成装置は、1つの感光体201の周囲に、それぞれ、帯電手段203、イエロー,シアン,マゼンタ,黒の各色に対応した現像ユニット204(Y,C,M,K)などを有している。画像形成を行う場合、まず、感光体201の表面を帯電手段203で一様に帯電した後、感光体201の表面に対してY用画像データで変調されたレーザ光Lを照射して、感光体201の表面にY用静電潜像を形成する。そして、このY用静電潜像を現像ユニット204YによりYトナーで現像を行う。これにより得られたY用トナー像は、中間転写ベルト206上に一次転写される。その後、感光体201の表面に残留した転写残トナーをクリーニング装置220で除去した後、再び感光体201の表面を帯電手段203で一様に帯電する。次に、感光体201の表面に対してM用画像データで変調されたレーザ光Lを照射して、感光体201の表面にM用静電潜像を形成する。そして、このM用静電潜像を現像ユニット204MによりMトナーで現像を行う。これにより得られたM用トナー像は、中間転写ベルト206上に既に一次転写されているY用トナー像と重なり合うようにして、中間転写ベルト206上に一次転写される。以後、C及びKについても、同様に中間転写ベルト206上に一次転写する。このようにして互いに重なり合った状態の中間転写ベルト206上の各色トナー像は、二次転写ニップに搬送されてきた記録用紙上に転写される。このとき、転写部に印加する電圧を定電流制御した交流直流重畳電圧を使用することにより、前記説明した各実施形態の画像形成装置の場合と同様の効果を得ることができる。このようにしてトナー像が転写された記録用紙は、定着ユニット400に搬送される。この定着ユニット400で、記録用紙を加熱、加圧して、記録用紙上のトナー像を記録用紙に定着させる。定着後の記録用紙は、図示しない排紙トレイ上に排出する。
【0108】
また、図25は、特開2003−118158号公報(特許文献4)に開示された画像形成装置の作像部を示す構成図であるが、本発明は、このような中間転写を使用したトナージェット方式の画像形成装置にも適用することができる。図25の画像形成装置は、トナージェット方式により中間転写ベルト3に画像を形成し、転写領域において記録用紙に転写される。このとき、印加する電圧を定電流制御した交流直流重畳電圧を使用することにより、前述した各実施形態の画像形成装置の場合と同様の効果を得ることができる。このようにしてトナー像が転写された記録用紙は、定着部8に搬送される。この定着部で、記録用紙を加熱、加圧して、記録用紙上のトナー像を記録用紙に定着させ画像を得る。
【0109】
このように、本発明の転写装置は、どのような構成の画像形成装置においても、一度平面状に静電粉体による画像を形成することができれば、凹凸のある様々な材料に転写することが可能である。
【0110】
以上説明したように、本発明は、交流成分に直流成分を重畳して印加した電圧を用いた静電トナー転写装置において、電源の出力電圧を出力電流のIoff、またはIoff及びIppで定電流制御することにより、環境変動や被転写体の違いに対して、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0111】
また、被転写体の移動速度に応じて定電流制御値を変更することにより、速度の異なるモードを持つ転写装置においても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0112】
また、像担持体上のトナー付着量に応じて定電流制御値を変更することにより、モノクロやカラーのように付着量の大きく異なる画像に対しても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0113】
また、電源から出力される電圧を、直流のみで出力する場合と直流と交流を重畳して出力する場合のいずれかに選択可能とすることで、(従来と同様の)直流電圧による転写方式と切り替えて使用することが可能となる。
【0114】
また、直流のみを印加する電源と直流と交流を重畳または交流のみを印加する電源とを別々に設けることで、既存の直流電源のみを使用したシステムに対して、切り替え可能な状態で後から容易に組み込み、機能向上を図ることができる。
【0115】
また、直流のみを印加する電源と直流と交流を重畳または交流のみを印加する電源とを像担持体側と被転写体側に別々に設けることで、製品内のスペースを有効に利用でき、製品の小型化などが可能になる。
【0116】
そして、本発明による転写装置を様々な画像形成装置と組み合わせることにより、静電粒子を凹凸のある被転写体へ転写させる色々な用途への使用が可能となる。
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。転写装置の構成は本発明の範囲内で適宜な構成を採用可能であり、転写バイアスを印加する電源の構成も適宜な構成を採用可能である。
【0117】
また、画像形成装置の構成も任意であり、タンデム式における各色作像ユニットの並び順などは任意である。また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置したものや、リボルバ型現像装置を用いる構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0118】
1 画像形成ユニット
11 感光体ドラム(像担持体)
50 中間転写ベルト(像担持体)
73 対向部材
80 転写部材
110,111 電源
112 交流電圧発生手段
113 直流電圧発生手段
114 異常検知手段
123 交流出力検出手段
127 直流出力検出手段
200 画像形成手段または画像転写手段
300 制御回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開2006−267486号公報
【特許文献2】特開2008−058585号公報
【特許文献3】特開平09−146381号公報
【特許文献4】特開2003−118158号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上の可視像を記録媒体に転写させる転写装置、および該転写装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、あらかじめ一様に帯電された像担持体上に光学的な画像情報を形成することによって得た帯電潜像を、現像装置からのトナーによって可視化し、この可視像を記録用紙(記録媒体)上に転写、定着することによって画像形成を行っている。上記画像形成装置において、記録用紙の表面には凹凸が存在し、凹部は凸部に比べてトナーが転写しにくく、特に凹凸の大きい記録用紙にトナーを転写させる場合、凹部にトナーが転写せず画像の白抜けが発生するといった問題がある。
【0003】
その対策として、例えば、特開2006−267486号公報(特許文献1)、特開2008−058585号公報(特許文献2)、特開平09−146381号公報(特許文献3)等に、直流電圧に交番電圧を重畳することで転写率を向上させようとする技術が提案されている。
【0004】
上記特許文献1に記載のものは、転写バイアスとして直流電圧に交番電圧を重畳したものを用い、また転写前に記録用紙の表面を凹凸に応じてトナーの極性と逆極性に帯電させることで凹部にトナーを転写させるよう制御を行うものである。
【0005】
上記特許文献2に記載のものは、転写バイアスとして直流電圧に交番電圧を重畳したものを用い、交番電圧のピーク間電圧が、直流電圧の2倍以下になるように交番電圧を重畳する事を特徴としている。
【0006】
上記特許文献3記載のものは、中間転写体の表面にフッ素樹脂を用い、転写バイアスとして直流電圧に交番電圧を重畳したものを用い、交番電圧のピーク間電圧が、直流電圧の2.05倍以上になるように交番電圧を重畳する事を特徴としている。
【0007】
これらはいずれも、直流、交流電源の印加電圧が狙いの値になるように制御して転写性向上を試みており、実施例においても転写電圧値と転写性の関係が示されるのみである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、交流電圧に直流電圧を重畳して印加し紙凹凸の凹部へのトナーの転写性を向上させる転写装置においては、出力する交流電圧値、直流電圧値によって、平滑部の濃度や凹部への転写性、放電による異常画像の状態が変化するため、交流電圧値、直流電圧値をある一定の範囲内で設定する必要がある。しかし、温湿度等の環境変化による転写部材の抵抗変化や記録材である紙の種類により、交流電圧値、直流電圧値の設定範囲を変化させる必要がある。交流電圧に直流電圧を重畳して印加する転写方式では、上述した理由から通常の直流電圧のみを付与する転写装置に比べて設定値の成立範囲が狭く、かつ直流電圧値と交流電圧値と画像の関係が複雑であるため、抵抗変化や紙種への対応が困難であるという問題がある。
【0009】
本発明は、従来の転写装置における上述の問題を解決し、用紙の表面凹凸の凹部への転写率を向上させ、凹凸の大きい紙にもトナーを均一に転写することができ、環境変化や紙種の違いに対しても安定して良好な画像を出力することのできる転写装置および画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題は、本発明により、交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを印加して像担持体から被転写体に静電トナーによる画像を転写する転写装置において、前記電圧を付与する電源から出力される直流成分の電流値が、設定した電流値になるように前記電源の出力電圧を制御することにより解決される。
【0011】
また、前記電源から出力される交流成分の電圧値が設定した電圧値になるように、前記電源の出力電圧を制御すると好ましい。
また、前記電源から出力される直流成分の電流値及び交流成分のピーク間電流値が設定した電流値になるように、前記電源の出力電圧を制御すると好ましい。
【0012】
また、前記電源から出力される直流成分の電流設定値を、前記被転写体の移動速度に応じて変更すると好ましい。
また、前記電源から出力される直流成分の電流設定値を、トナーの付着量に応じて変更すると好ましい。
【0013】
また、前記電源は、直流成分の電圧のみを出力する場合と直流成分と交流成分を重畳した電圧を出力する場合のいずれかに選択可能に設けられていると好ましい。
また、前記電源は、直流成分のみを印加する電源部と、交流成分に直流成分を重畳し印加するかまたは交流成分のみを印加する電源部とを別々に具備すると好ましい。
【0014】
また、前記直流成分のみを印加する電源部と、交流成分に直流成分を重畳し印加するかまたは交流成分のみを印加する電源部は、一方が像担持体側に、他方が被転写体側に配置されると好ましい。
【0015】
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜8のいずれか1項に記載の転写装置を備える画像形成装置により解決される。
【発明の効果】
【0016】
本発明の転写装置によれば、電源の出力電圧を、電源から出力される直流成分の電流値が設定した電流値になるように制御することにより、用紙表面の凹部への転写率を向上させ、環境変動や被転写体の違いに対して、安定した被転写体凹部への転写性を得ることができる。
【0017】
請求項2の構成により、交流成分を定電圧制御とすることで、交流電流を検出する構成が不要となり、制御の構成を簡単なものとすることができる。
請求項3の構成により、定電流制御とすることで、多様な記録用紙に対して良好な転写姓を得ることができ、凹凸の大きい用紙であっても安定した転写を行なうことができる。
【0018】
請求項4の構成により、被転写体の移動速度に応じて定電流制御値を変更することで、速度の異なるモードを持つ転写装置においても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0019】
請求項5の構成により、像担持体上のトナー付着量に応じて定電流制御値を変更することで、モノクロやカラーのように付着量の大きく異なる画像に対しても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0020】
請求項6の構成により、電源から出力される電圧を、直流のみで出力する場合と直流と交流を重畳して出力する場合のいずれかに選択可能とすることで、(従来からある)直流電圧による転写方式と交流電圧に直流電圧を重畳した転写方式とを切り替えて使用することが可能となる。
【0021】
請求項7の構成により、直流のみを印加する電源部と直流と交流を重畳または交流のみを印加する電源部とを別々に設けることで、既存の直流電源のみを使用したシステム(装置)に対して、切り替え可能な状態で後から容易に組み込み、機能向上を図ることができる。
【0022】
請求項8の構成により、直流成分のみを印加する電源部と、交流成分に直流成分を重畳し印加するかまたは交流成分のみを印加する電源部を、一方を像担持体側に、他方を被転写体側に配置することで、製品内のスペースを有効に利用でき、製品の小型化などが可能になる。
【0023】
請求項9の画像形成装置によれば、本発明による転写装置を様々な画像形成装置と組み合わせることにより、静電粒子を凹凸のある被転写体へ転写させる色々な用途への使用が可能となる。すなわち、用紙表面の凹部への転写率が向上し、凹凸の大きい紙にもトナーを均一に転写することができ、環境変化や紙種の違いに対しても安定して良好な画像を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る転写装置の一例を示す構成図である。
【図2】電源から対向部材へ流れ込む電流を測定したグラフである。
【図3】出力電圧を定電流制御する実施例を示す構成図である。
【図4】交流直流重畳電圧を生成する電源の構成例を示すブロック図である。
【図5】交流直流重畳電圧を生成する電源の別の構成例を示すブロック図である。
【図6】一方の電源から直流電圧を、他方の電源から交流電圧を印加する方式の電源構成の一例を示すブロック図である。
【図7】直流成分のみよる二次転写と交流直流重畳電圧の印加による二次転写を選択可能とした場合の他の構成例を示すブロック図である。
【図8】直流成分のみよる二次転写と交流直流重畳電圧の印加による二次次転写を選択可能とする場合の更に他の構成例を示すブロック図である。
【図9】図5に示した電源の具体的な構成を示す簡略回路図である。
【図10】本発明を適用した画像形成装置の一例であるカラー画像形成装置の概略を示す断面構成図である。
【図11】その画像形成装置の画像形成ユニットを示す構成図である。
【図12】本願発明者が実施した転写性評価実験の結果を示す図である。
【図13】電源から出力されたVppとVoffの平均値と画像の関係を示す図である。
【図14】用紙凹部の埋まりが悪い場合の画像の一例を示す図である。
【図15】白抜けが発生した画像の一例を示す図である。
【図16】良好な画像の一例を示す図である。
【図17】異なる用紙を使用した転写性評価実験の結果を示す図である。
【図18】その画像形成時に電源から出力されたVppとVoffの平均値と画像の関係を示す図である。
【図19】2種類の用紙のIpp,Ioffの成立範囲の比較を示す図である。
【図20】2種類の用紙のVpp,Voffの成立範囲の比較を示す図である。
【図21】環境条件が異なる転写性評価実験における電流値と画像の関係を示す図である。
【図22】環境条件が異なる転写性評価実験における電圧値と画像の関係を示す図である。
【図23】本発明が適用される直接転写方式のカラープリンタの一例を示す構成図である。
【図24】本発明が適用される1ドラム型カラー画像形成装置の一例を示す構成図である。
【図25】本発明が適用されるトナージェット方式の画像形成装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る転写装置の一例を示す構成図である。この図において、符号200は画像形成手段または画像転写手段であり、符号50はトナー像を担持する感光体または中間転写体などの像担持体である。像担持体50上のトナー像は、矢印の方向に搬送される。一方、図示しない給紙装置から、被転写体Pが、像担持体50と転写部材80との間に、矢印の方向(図において右方向)から所定のタイミングで搬送される。この時に、像担持体50上に形成されたトナー像が記録材である被転写体P上に静電的に転写される。この時、像担持体50上のトナーが被転写体Pへ転写される方向に直流成分による電界が形成されるように、電源110及び/又は電源111から転写電圧が印加される。図示例では、電源111から転写部材80に、電源110から対向部材73に電圧を印加する構成となっている。
【0026】
このとき印加される電圧は、交流電圧に直流電圧を重畳した電圧であり、電源110、電源111のいずれか一方からのみ交流直流重畳電圧を印加してもよいし、電源110、電源111で交流と直流を分離して印加してもよい。さらに、電源110、電源111のいずれか一方から交流直流重畳電圧を印加し、かつもう一方から直流電圧を印加してもよい。また、出力電圧を直流成分のみの場合と交流直流重畳電圧を印加する場合とに選択可能にすることで、条件に応じて切り替えることができる。例えば、被転写体Pが凹凸のない記録材である場合には直流成分のみを印加するように切り替えることができる。
【0027】
これにより、交流電圧を必要としない使用用途の場合には、従来の転写装置のように直流成分のみで使用することができ、省エネルギーで使用できる。この場合、電源は交流直流重畳電圧を印加する一体の電源において交流成分を印加しないことで直流成分のみを印加する方法でもよいし、直流電圧印加用の電源回路と交流直流重畳電圧印加用の電源回路を別々に持ち、電源回路を切り替えることにより、電圧の切り替えを行う方法でもよい。
【0028】
後者の場合、既存の直流電圧印加方式の転写装置に後から組み込み、機能をバージョンアップすることや、調整された既存のシステムを変えることなく使用することで開発期間を短縮できるなどの効果が得られる。また、交流電源、直流電源を図1に示す電源110、電源111のように対向部材73側と転写部材80側とに分離して配置した場合、筐体内の省スペース化を図ることができ、空いたスペースを他の機能に利用したり、装置の小型化などが可能になる。
【0029】
図2は、電源110から対向部材73へ流れ込む方向の電流を測定した場合の一例を示すグラフである。本実施例では、電源から出力される電圧は、直流成分の電流値Ioff、またはIoff及び交流成分のピーク間電流値Ippが、設定した電流値になるように制御される。以降、交流電圧に直流電圧を重畳して印加する電圧印加方法において、出力電流の直流成分(オフセット電流)Ioff、または交流成分のピーク間の大きさIppが任意の電流値になるように出力電圧を制御する制御方法を定電流制御と称し、出力電圧の直流成分Voff、または交流成分のピーク間電圧の大きさVppが任意の値となるように出力電圧を制御する制御方法を定電圧制御と称する。
【0030】
出力電圧を定電圧制御する場合、湿度による部材の抵抗変化や記録材の違いにより、印加する電圧を大きく変更しなければ良好な転写性を得られないが、定電流制御する場合は、前記変化に対する転写性の変動が小さい。該定電圧制御に対する定電流制御の優位性を示す詳細なデータは後述する画像形成装置の実施例に示す。
【0031】
図3は、出力電圧をIoffで定電流制御する場合の一例(第2実施例)を示す構成図である。図1の第1実施例と重複する説明は省略し、異なる部分のみ説明する。図3の構成では、転写部材80は接地しており、対向部材73に電源110から電圧を印加する構成となっている。該電源110は制御回路300により制御される。
【0032】
このような構成において、Ioffは電源110に内蔵された電流計により検出され、制御回路300へ入力される。次に制御回路300から電源110へ制御信号が入力される。制御回路300は設定電流値に応じて制御信号を出力し、電源110からは出力Ioffが設定値となるように出力電圧が調整される。Ippを定電流制御する場合も、同様にして制御することができる。本願発明者らの検討によると、Ioffはトナーによる電荷の移動や放電による電荷の移動を示している。このため、Ioffはトナー移動による電流量を目安に設定することができる。トナー移動による電流量Itonerは次の式(1)に示す関係で表すことができる。
【0033】
Itoner=v*W*Q/M*M/A*10・・・(1)
ここで、v:被転写体Pの速度[m/s],W:画像のローラ軸方向の幅[m],Q/M:トナー帯電量[μC/g],M/A:トナー付着量[mg/cm2 ]である。
【0034】
画像幅とトナー付着量には、全トナーが転写できるように、記録材にベタ画像を転写する場合に想定される最大値を用いる。例えば、v=0.3[m/s],W=0.3[m],Q/M=−30[μC/g],M/A=0.5[mg/cm2]であれば、Itoner=−13.50[μA]となる。このとき、Ioffの絶対値は|Itoner|以上の値、例えばIoff=−20[μA]の様に設定することが好ましい。被転写体Pの速度vを変更する場合のIoffの設定値は、上記の(1)式からItonerを算出すればよく、例えばv=0.15[m/s]の場合はIoff=−6.75[μA]となるため、Ioff=−10[μA]の様に設定する。
【0035】
被転写体に応じて速度(線速)を変更する場合は、各速度に対応したIoffに自動的に切り替わるモードを設けることで、被転写体速度に対しても安定した画像を得ることができる。さらに、M/Aがモノクロ画像よりも多くなるカラー画像の場合のIoffの設定値も、(1)式から見積もることができ、例えばカラー画像のM/Aをモノクロ画像の2倍の1.0[mg/cm2 ]と仮定した場合、Ioffも2倍の−40[μA]のように設定すればよい。また、出力画像情報に応じて設定Ioffが自動的に切り替わるカラー印刷モードを設けることで、カラー画像、モノクロ画像のいずれに対しても安定した画像を得ることができる。
【0036】
Ippは少なくとも凹部にトナーが転写するための電界を付与できるだけの大きさが必要となり、小さすぎると凹部にトナーが転写されない。その大きさは転写部材の抵抗や転写ニップの幅などによっても異なるが、ここでは、例えばIpp=3.0[mA]のように設定する。Ippを適切な値に設定することにより、被転写体Pが変わっても凹部への良好な転写性を保つことができる。
【0037】
尚、転写部材80の形状は転写ニップ部に交流直流重畳電界を印加可能であればとくに限定はされるものではないが、ローラ形状が摩擦力低減などの点から好ましく、円柱状に形成された導電性の芯金と、芯金の外周面に積層された樹脂やゴムなどの表層からなる構成などがある。また、記録材である被転写体Pは紙、樹脂、金属など様々な物質を用いることができる。本実施例において交番電圧の波形は正弦波を用いているが、矩形波等他の波形を用いても問題は無い。
【0038】
次に、転写装置の電源回路について詳細に説明する。
図4は、交流直流重畳電圧を生成する電源110の構成の一例を示すブロック図である。この図に示すように、電源110は、交流電圧発生手段112と直流電圧発生手段113が直列に接続され、負荷となる対向ローラ73と転写部材80間に接続されている。なお、被転写体Pと像担持体50の図示は省略している。電源110を駆動する電源24VとGNDが、図示していないインタロックスイッチを介して、制御回路300から供給される。さらに、起動信号のACおよびDCが交流電圧発生手段112と直流電圧発生手段113にそれぞれ供給されている。また、交流電圧発生手段112と直流電圧発生手段113には異常検知手段114が接続され、電源出力の異常検知信号SCを制御回路300に出力している。この構成により負荷には、直流が重畳された交流電圧が印加される。
【0039】
図5は、交流直流重畳電圧を生成する電源110の構成の別例(図4とは別の例)を示すブロック図である。この図において、交流駆動121、交流高圧トランス122、交流出力検出123、交流制御124の各手段により交流電圧発生手段が構成されている。また、直流駆動125、直流高圧トランス126、直流出力検出127、直流制御128の各手段により直流電圧発生手段が構成されている。なお、異常検知手段および電源110を動作させるための制御回路300からの24V入力とGNDは図示を省略している。
【0040】
上記構成において、制御回路300から交流電圧の周波数を設定する信号CLKが供給され、さらに、交流出力の電流または電圧を設定する信号AC_PWM、および、交流出力をモニターする信号AC_FB_Iが接続されている。直流生成手段にも、重畳される直流出力の電流または電圧を設定する信号DC_PWMと直流出力をモニターする信号DC_FB_Iが接続されている。交流および直流の制御(電流/電圧)ブロックでは、制御回路300からの指令に基づき、それぞれの出力検出手段123,127からの検出信号が所定値となるように、交流駆動121または直流駆動125を介して各高圧トランス122,126の駆動を制御する信号を出力している。
【0041】
交流制御では交流出力の電流および電圧を制御しており、所謂、定電流制御または定電圧制御のどちらも可能なように交流出力検出123で出力電流および出力電圧の両方を検出している。これは直流制御でも同様である。この実施例では、交流および直流とも通常は定電流制御を行うように電流検出値を優先して制御するようにしている。出力電圧の検出値は上限電圧の抑制のために使っており、無負荷状態などでの最高電圧を制御する構成としている。また、制御回路300では交流および直流の各出力検出手段123,127からのモニター信号を、負荷状態の監視のための情報として入力している。
【0042】
交流電圧の周波数を制御回路300からの信号CLKで設定しているが、交流電圧発生手段の内部で固定の周波数を生成してもよい。
【0043】
図6は、一方の電源110から直流電圧を印加し、他方の電源111から交流電圧だけを印加する方式の電源構成の一例である。電源110と電源111を同時に出力することで、前述の図5の構成と同じ機能を実現している。
【0044】
さらに、電源110だけを出力することも可能で、従来の直流成分のみによる二次転写と交流直流重畳による二次転写を選択可能としている。各電源110と111の内部の各手段の機能は前述の図5と同じであり、説明は省略する。
【0045】
図7は、前述の図6の構成と同様に、直流成分のみよる二次転写と交流直流重畳電圧の印加による二次転写を選択可能とした場合の他の構成例であり、この構成例では対向ローラ73に印加する電圧を切替手段であるリレー1およびリレー2を使って切り替える構成である。電源110−1で交流直流重畳電圧を生成し、電源110−2で従来の直流成分のみの電圧を生成している。リレーを使った転写装置への電圧の印加制御は、制御回路300での各電源110−1と110−2への制御信号の授受とともにリレー駆動手段129を設け、制御信号RY_DRIVにて切り替え制御を行える構成としている。
【0046】
図8は、前述の図7の構成と同様に、直流成分のみよる二次転写と交流直流重畳電圧の印加による二次次転写を選択可能とする場合の更に他の構成例である。本構成例では電源110−1の出力にだけ切替手段のリレー1を設けている。また、リレー1の出力側が他方の電源110−2に接続されている。したがって、リレー1の接点を閉じて電源110−1から交流直流重畳電圧を出力する場合に、転写装置と並列に接続された電源110−2にも電圧が印加される。これにより、電源110−2が電源110−1の負荷となるが、電源110−2への電流供給による転写装置への影響が無い場合は本方式を採用することで回路の簡素化が計られるので、同様の機能を簡単な構成で安価に実現することができる。
【0047】
図9は、前述の図5に示した電源110の具体的な構成を示す簡略回路図である。
上半部の交流電圧発生手段112と下半部の直流電圧発生手段113は、ともに定電流制御を行っている。交流電圧は、高圧トランスの出力に近似した低電圧を巻線N3_ACで取出し、電圧制御コンパレータで基準信号Vref_AC_Vと比較している。交流電流は、直流電圧発生手段の出力と並列に接続した交流成分をバイアスするコンデンサC_AC_BPと接地間に設けた交流電流検出器で取出し電流制御コンパレータで基準信号Vref_AC_Iと比較している。この基準信号Vref_AC_Iのレベルは、交流出力電流の設定信号AC_PWMに応じて設定される。
【0048】
上記電圧制御コンパレータの出力は、出力電圧が所定以上に上がった時(例えば無負荷など)に有効になるように基準信号Vref_AC_Vのレベルを設定してある。一方、電流制御コンパレータの出力は、通常の負荷で有効になるように基準信号Vref_AC_Iのレベルが設定してあり、負荷の状態(対向ローラ73や転写部材80およびローラ間の部材など)に応じて高圧出力電流を切り替えられる構成としている。これら電圧制御コンパレータ及び電流制御コンパレータの出力は交流駆動部に入力し、そのレベルに応じて交流高圧トランスをドライブする。
【0049】
直流電圧発生手段でも、同様に出力電圧/電流の両方を検出している。電圧は、高圧トランスの出力巻線N2_DCに設けた整流平滑回路と並列接続した直流電圧検出器で取出している。電流は、出力巻線と接地間に直流電流検出器を接続し取出している。電圧/電流の各検出信号は交流の場合と同じく重み付けされた基準信号Vref_DC_VとVref_DC_Iと比較され、高圧出力の直流成分を制御している。
【0050】
次に、本発明を適用した画像形成装置について説明し、本画像形成装置を用いた研究結果に沿って定電流制御の有用性について具体的に説明する。なお、画像形成装置の実施形態は一つの例を示すものであり、構成やプロセス条件が変わっても本発明の効果が変わらないことを構成の異なる複数の画像形成装置や様々な画像形成環境で確認している。
【0051】
図10は、本発明を適用した画像形成装置の一例であるカラー画像形成装置(以下、単にプリンタと呼ぶ)の概略を示す断面構成図である。本実施形態のプリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の色成分画像を重ね合わせて画像を形成する画像形成装置である。本実施形態では、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色にそれぞれ対応する画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kが図10のように配置されている。各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kに設けられた像担持体である感光体ドラム11(11Y,11M,11C,11K)上に形成される各色トナー像は、これらの感光体ドラムに当接して配置されているベルト状の中間転写体(中間転写ベルト50)へ順次転写される。中間転写ベルト50へ転写されたトナー像は、用紙カセット101から給紙ローラ100を経て給紙された記録用紙上に転写される。具体的には、用紙カセットから給紙された記録用紙は中間転写ベルト50と二次転写ローラ80の間に矢印Fの方向から所定のタイミングで搬送される。この時、中間転写ベルト50上に形成されたフルカラートナー像は、二次転写ローラ80と二次転写部対向ローラ73との間に形成された二次転写ニップで記録用紙上に一括転写される。フルカラートナー像が転写された記録用紙は定着装置91へ搬送され、定着装置91において加熱・加圧され、機外へと排出される。
【0052】
各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは全て同じ構成であるため、図11を参照して1Yについてのみ説明する。
画像形成ユニット1Yは、像担持体としての感光体ドラム11と、感光体ドラム11の表面を帯電ローラによって帯電する帯電装置21と、感光体ドラム11上の潜像をトナー像化する像形成手段としての現像装置31と、中間転写ベルト50上に潜像担次体を転写するための一次転写ローラ61と感光体ドラム11の表面に残存したトナーをクリーニングする感光体クリーニング装置41とを備えている。
【0053】
上述の帯電装置21は、ローラ形状の導電性弾性体から構成される帯電ローラに対して直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する構成となっている。この帯電ローラと感光体ドラム11との間で直接放電を起こす事で感光体ドラム11を所定の極性、例えば、マイナス極性に帯電させる。次いで、各感光体ドラム11の帯電面に、図示していない画像書き込み手段から出射する光変調されたレーザ光Lを照射する。これによって、各感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。即ち、レーザ光が照射され感光体表面部分の電位の絶対値が低下した部分が静電潜像となる。
【0054】
一次転写ローラ61は、導電性弾性ローラであり、中間転写ベルト50の裏面から感光体ドラム11に対して押し当てられるように配置されている。この弾性ローラには一次転写バイアスとして定電流制御されたバイアスが印加されている。
【0055】
感光体クリーニング装置41は、クリーニングブレード41aと、クリーニングブラシ41bを備えている。クリーニングブレード41aは、感光体ドラム11の回転方向に対してカウンタ方向から感光体ドラム11と当接している状態で、クリーニングブラシ41bは感光体ドラム11と逆方向に回転しながら接触している状態で感光体ドラム11表面をクリーニングする。
【0056】
現像装置31は、Yトナーとキャリアを有する2成分現像剤が収容された収容容器31cと、この収容容器31c内に配置され収容容器31cの開口部を介して感光体ドラム11と対向するように配置された現像剤担持体としての現像スリーブ31aと、収容容器31c内に配置され、現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌部材としてのスクリュー部材31bとを備えている。
【0057】
スクリュー部材31bは、現像スリーブ側となる現像剤の供給側と、図示しない補給トナー装置の供給を受ける側にそれぞれ配置され、収容容器31cに図示しない軸受け部材によって回転自在に支持されている。
【0058】
さて、上記4組の画像形成ユニットの感光体ドラム11は、不図示の感光体ドラム駆動装置によって図中時計回り方向に回転駆動される。また、ブラック用の感光体ドラム11Kと、カラー用の感光体ドラム11Y,11M,11Cとを独立に回転駆動できるようにしても良い。これにより、例えば、モノクロ画像を形成する時には、ブラック用の感光体ドラム14のみを回転駆動し、またカラー画像を形成する時には4つの感光体ドラム11Y,11M,11C,11Kを同時に回転駆動させる事が出来る。ここで、モノクロ画像を形成する時は、カラー用の感光体ドラム11Y,11M,11Cから離間するように中間転写ベルト50を有する中間転写ユニットが部分的に揺動させられる。
【0059】
中間転写ベルト50は例えば中抵抗の無端上のベルト材で構成され、二次転写部対向ローラ73及び支持ローラ71,72といった複数の支持ローラに掛け回されている。この支持ローラの一つを回転駆動する事により、中間転写ベルト50を図10において反時計回り方向に無端移動させる事が出来る。
【0060】
また、支持ローラ72は接地されており、その支持ローラ72に対向する形で表面電位計75が配置されており、中間転写ベルト50上に転写されたトナー像が支持ローラ72上を通過した時、表面電位を計測する。
【0061】
二次転写部対向ローラ73には、転写バイアス用の電源110が接続されている。この電源110は、交流電圧に直流電圧を重畳して印加することができ、印加電圧のIpp及びIoffを定電流制御することができる。二次転写部対向ローラ73に電圧を印加することで、対向ローラ73と二次転写ローラ80の間に電位差が生じ、トナーが中間転写体50から記録用紙側へ向かう電圧が生じる為、トナー像を記録用紙に転写させる事が出来る。
【0062】
次に、上記実施形態の画像形成装置を用いて本願発明者らが行った研究結果について添付図面を参照しながら説明する。
初めに、Ippを2.8[mA]、重畳する直流電流を−16[μA]に固定し、交流電圧の周波数と中間転写ベルトの線速を282[mm/s]および141[mm/s]で普通紙に黒単色のベタ画像を出力し、画像ムラが発生しない周波数を100〜700[Hz]まで100[Hz]刻みで確認したところ、線速vが282mm/sの時は周波数が400Hz以上、線速vが141mm/sの時は周波数が200Hz以上であれば周波数による画像ムラが生じないことがわかった。なお、中間転写ベルトの線速と記録用紙の線速は略等速度である。
【0063】
線速に必要な周波数が異なる理由は、転写電圧を印加する時間に関係する。二次転写対向ローラ73、二次転写ローラ80の、紙を通紙していない時におけるローラ間のニップ幅をd[mm]とした時、ニップ通過時間は線速vとニップ幅を用いてd/v[s]と表される。一方、周波数f[Hz]の時、交番電圧の周期は1/f[s]となる。従って、ニップ通過時間中に交番電圧の周期回数は、d*f/v[回]となる。本実施例におけるニップ幅dはおよそ3[mm]であり、線速282mm/sの時周波数が400Hz必要なことから、必要な交番電圧の印加回数は、3*400/282≒4.255となり、約4.25回交番電圧が印加されればムラの生じない画像を得ることができる。また、線速が141[mm/s]の時も、3*200/141≒4.255となり、同様の回数交番電圧が印加されればよい結果となる。線速282[mm/s]の時周波数が300Hzでは3*300/282≒3.191となることから、ニップ通過中に交番電圧の周期回数は最低4回程度あればムラのない良好な画像を得ることができる。このため、4<d*f/vと規定でき、印加する交番電圧の周波数は次の式(2)の関係を満たすことが好ましい。
f>(4/d)*v・・・(2)
【0064】
次に、周波数を500[Hz]、線速を282[mm/s]に固定し、特殊製紙株式会社製のレザック66_260kg紙(厚みが約320μm,凹凸差が最大で約130μmある用紙)を用いて、黒単色のベタ画像を出力した。また、本実施例の黒単色のベタ画像の中間転写ベルト上のトナー付着量は0.55[mg/cm2]であり、トナー帯電量Q/Mは−30[μC/g]であった。本実施例の黒単色のベタ画像は二次転写ローラ軸方向の幅が0.28[m]であるため、式(1)より、Itoner=−13.03[μA]となる。そこで、電源110の出力電圧を定電流制御し、Ioffを−10[μA]〜−25[μA]、Ippを2.0[mA]〜4.0[mA]の間で設定電流値を変化させて画像を出力し、目視による画像評価を行った。特にレザック66_260kg紙は表面凹凸が深いため、溝の埋まり度合いや放電による溝の白抜けに注意して評価を行った。また、レザック66_260kg紙を記録用紙Aとし、評価は3段階で次のように評価した。
○:良好,△:やや問題がある,×:問題がある
【0065】
評価結果を図12に示す。問題がある画像には傾向があり、図12に示す点線(1)よりも下側(Voffが低い側)の領域では平滑部の画像濃度が薄くなる。また、点線(2)よりも左側(Vppが低い側)の領域では凹部の埋まりが悪い。凹部の埋まりが悪い場合の画像の一例を図14に示す。さらに点線(3)の右側(Vppが高い側)では放電によると考えられる白抜けが発生する。白抜けが発生した画像の一例を図15に示す。ただし、トナー条件によっては図15のように完全に白く抜けた状態にはならず、凹部の濃度が薄くなるだけの場合もある。(1),(2),(3)の3つの点線に囲まれた領域において、良好な画像が成立した。良好な画像の一例を図16に示す。尚、図14〜図16の各画像は1辺が約2.5cm四方の大きさである。このとき、画像形成時にモニタしておいた電源から出力されたVppとVoffの平均値と画像の関係を図13に示す。図12に示した電流と画像の関係と同様に(1),(2),(3)の線を得ることができ、同様に点線(1)よりも下の領域では平滑部の画像濃度が薄く、点線(2)よりも左の領域では凹部の埋まりが悪く、点線(3)の右側では白抜けが発生する領域となる。
【0066】
次に、記録用紙Bとして、特殊製紙株式会社製のレザック66_175kg紙(厚みが約210μm,凹凸差が最大で約120μm)を用いて同様の評価を行った。Ioffは−11[μA]〜−23[μA]、Ippは2.2[mA]〜3.4[mA]の間で変化させた。この評価結果を図17に示し、画像形成時に電源から出力されたVppとVoffの平均値と画像の関係を図18に示す。問題がある画像にはレザック66_260kg紙と同様の傾向があり、(1),(2),(3)の3つの点線に囲まれた領域において、良好な画像が成立した。
【0067】
A,B2種類の紙のIpp,Ioffの成立範囲の比較を図19に、Vpp,Voffの成立範囲の比較を図20に示す。どちらも、記録用紙が異なると成立範囲の大きさが異なるが、図19に示す電流値と画像との関係では、転写成立範囲が大きい記録用紙の成立範囲は転写成立範囲が小さい記録用紙の成立範囲の範囲をほぼ全て含んでいる。このように、出力電圧をIppとIoffで定電流制御した場合、成立範囲が小さい記録用紙で成立するように設定値を決定することにより、他の記録用紙においても画像を成立させることができる。一方、図20に示す電圧値と画像との関係では、記録用紙によって成立範囲が異なり、かつ成立範囲が重ならない領域がある。このことから、VppとVoffで定電圧制御した場合、記録用紙毎に設定電圧値を変更する必要があり、製品のユーザビリティが低下する。さらに、未知の記録用紙への対応が困難となる。
【0068】
定電圧制御を行った場合、記録用紙により抵抗が異なるため、電源から出力される電圧を同じ値にしても、トナーに加わる電界強度は異なる。このため、図20に示される平滑部の濃度の許容範囲は記録用紙によって変化する。しかし、図19に示されるように、定電流制御では記録用紙の抵抗に応じて、印加電圧を変化させるため平滑部の濃度の許容を示す点線(1)は変化しない。さらに、放電による白抜け発生を示す点線(3)においても印加電圧値では記録用紙によって変化するが、定電流制御では記録用紙によって変化しない。凹部のトナーによる埋まり状態の許容値を示す点線(2)は、凹部の深さが浅い記録用紙ほど、IppおよびVppが低いほうに移動する。
【0069】
このように、定電流制御では、平滑部の濃度の許容値を示す点線(1)と放電による白抜けの発生を示す点線(3)が紙種や抵抗によって変化しないため、最も転写性の悪い記録用紙における成立範囲内のIpp,Ioffを設定することで、全ての記録用紙に対して良好な転写性を得ることができる。例えば本実施例ではIoffを−18[μA],Ippを2.8[mA]〜3.0[mA]に設定することで凹凸紙に対して良好な転写性を得ることができる。
【0070】
次に、電源110を、直流成分は定電流制御、交流成分は定電圧制御を行う電源に変更し、画像出力を行った。Ioffを−16[μA]に設定し、Vppを変化させた結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
表1に示すように、Ioffが適切な値となるように定電流制御することで、交流成分を定電圧制御しても異なる用紙で同時に画像が成立する値を選択することができる。交流成分を定電圧制御とした場合は、交流電流を検出する構成が不要になり、定電流制御する場合に比べて制御の構成が簡単になる。
【0073】
このように、出力電圧をIoff、または、Ioff及びIppで定電流制御することにより、被転写体の種類に対応して凹部への転写性の高い転写を安定して行うことができる。
【0074】
次に、湿度を変えて画像出力を行った。前記画像出力結果は湿度40〜50%の環境下で行われたものであり、次に湿度55〜65%の環境下において記録用紙Bで同様の評価を行った結果を示す。電源110には直流成分、交流成分ともに定電流制御で電圧を出力する電源を用いた。電流値と画像の関係を図21に、電圧値と画像の関係を図22に示す。点線が湿度40〜50%における画像成立範囲を示し、一点鎖線が湿度55〜65%における画像成立範囲である。湿度が上昇した場合、図22のように電圧値による画像成立範囲は全体的に移動するため、定電圧制御で値を固定していた場合、湿度が大きく変動した場合には画像が成立しなくなる危険性が高い。一方、図21のように電流値による画像成立範囲は変化が少なく、湿度が変動しても画像が成立する値を選択することができる。このように、交流成分に直流成分を重畳した出力電圧を定電流制御することで、湿度変動に対しても安定し、凹部への転写性も良好な画像形成を行うことができる。また、直流成分を定電流制御、交流成分を定電圧制御する場合にも、前記紙の種類を変えた場合と同様に、湿度変動に対して有効な効果を得ることができる。
【0075】
次に、記録用紙Bを搬送する速度vを変更し評価を行った。電源110には直流成分、交流成分ともに定電流制御で電圧を出力する電源を用いた。記録用紙Bの搬送速度vを1/2にした場合、前記式(1)からItonerも1/2となる。そこで、Ioffを前記検討結果の1/2の−8[μA]に設定し、Ippを変化させて画像評価を行った結果を表2に示す。尚、表2における条件1および条件2は以下の条件である。
条件1:搬送速度v=282[mm/s],Ioff=−16[μA]
条件2:搬送速度v=141[mm/s],Ioff=−8[μA]
【0076】
【表2】
【0077】
Ioffを被転写体の搬送速度に比例して設定することにより、速度が変化しても同様の傾向を得ることができる。このため、被転写体の搬送速度に応じて直流成分の定電流制御値を変更することにより、速度の異なるモードを有する転写装置においても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0078】
次に、転写ベルト上のトナー付着量が異なる場合の評価を行った。電源110には直流成分、交流成分ともに定電流制御で電圧を出力する電源を用い、紙の搬送速度は282mm/s、用紙は記録用紙Bを用いた。M/A=0.88[mg/cm2]であるカラー画像の場合、前記評価のトナー付着量はM/A=0.55[mg/cm2]であったためM/Aは前記評価の1.6倍である。式(1)からItonerはM/Aに比例するため、Ioffを前記評価の1.6倍である−26[μA]に設定し、Ippを変化させて画像評価を行った結果を表3に示す。尚、表3における条件3および条件4は以下の条件である。
条件3:M/A=0.55[mg/cm2],Ioff=−16[μA]
条件4:M/A=0.88[mg/cm2],Ioff=−26[μA]
【0079】
【表3】
【0080】
Ioffをトナー付着量に比例して設定することにより、Ippを振るだけで画像が成立する条件を得ることができる。本願発明者らの検討により、トナー付着量及びトナー帯電量が増加した場合はIppの最適値がIoff下限値の増加に伴って増加することが確認されている。そこで、トナー付着量およびトナー帯電量が変化した場合のIppの最適条件をあらかじめ調査し、実験結果に基づくデータテーブルをメモリに格納しておき、トナー付着量およびトナー帯電量が変化した場合のIpp値を決定する機能を設けるなどの方法により、トナー付着量およびトナー帯電量の状態に応じて自動的に定電流制御値を決定することもできる。このため、像担持体上のトナー付着量に応じて直流成分の定電流制御値を変更することにより、モノクロやカラーのように付着量の大きく異なる画像に対しても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。ただし、トナー付着量及びトナー帯電量が増加した場合は成立範囲自体が狭くなること、および前述したようにIppの最適値がIoffの増加とともに増加することが確認されており、付着量が非常に多い場合などは、前記電圧または電流と画像の関係図において、平滑部の濃度の許容値を示す直線(1)と凹部のトナーによる埋まり状態の許容値を示す直線(2)と放電による白抜けの発生を示す直線(3)に囲まれた三角形からなる成立範囲が存在しない場合もある。しかし、凹部の深さが深い記録用紙などでは若干の白抜けが発生していても、直流電圧のみで転写する従来の転写方法よりも凹部の転写性は良いため、前記に示した成立範囲外においても、凹部の転写性向上効果を得ることができる。
【0081】
ところで、二次転写部に交流直流重畳バイアスを印加する場合、図10の構成では対向ローラ73(対向部材)の芯金に制御した電圧を印加する。しかし実際には、転写ニップ(転写部)に電位差を形成することが目的であるため、対向ローラの芯金の電位を制御するだけでは、対向ローラの抵抗層(ゴムやスポンジ等の樹脂部分)の抵抗が変化した場合には、転写ニップに所望の電位差を形成することができなくなる。
【0082】
そこで、紙が無い状態(紙が有る状態でも可)で転写部に一定の電流を流し、そのときに必要であった電圧から、二次転写部(対向ローラ73,転写ベルト50,転写ローラ80)の抵抗を測定し、それに基づいた交流直流重畳電圧を印加することで、常に転写ニップに所望の値に近い電位差を形成する事ができる。
【0083】
測定した抵抗値から、転写部に印加する電圧値を求める時は、転写部の抵抗値から直接印加電圧を求めてもよいし、抵抗値をある閾値で分けてテーブルを作成し、そのテーブルに基づいて求めても良い。
【0084】
なお、転写部を構成する部材の抵抗が変化した場合に転写ニップに所望の電位差を形成できなくなることは、図10(図3)の構成に限らず、バイアス印加の方式が異なる構成(例えば図1の構成)の場合も同様であるが、ここでは図10の構成に基づいて説明する。
【0085】
以下に、二次転写部の抵抗値等が変化した場合の印加電圧の補正方法の一例を示す。ここでは直流成分を定電流制御、交流成分を定電圧制御した場合の補正方法を示しているが、この限りでは無い。直流成分、交流成分共に定電流、定電圧の制御が可能で、その場合も補正係数の値が異なるのみで、二次転写部の抵抗から印加すべき電界を求めることが可能である。
【0086】
ただし、どのような制御の組み合わせになったとしても、直流成分と交流成分は別々に補正をしなければならない。その理由として、直流成分は、印加された電流がほぼ全て対向ローラ73から紙及び転写ローラ80に流れるのに対し、交流成分は、極性が素早く入れ替わるために、殆どの電流が対向ローラ73、又は転写ローラ80を充電するためだけに消費され、対向ローラ73から紙及び転写ローラ80に流れるのは印加した電流の内の一部のみであるためである。具体的には、本構成において印加する直流成分の電流は−10μA〜−100μAであるのに対し、交流成分では±0.5mA〜±10mAの電流を印加している。
【0087】
補正方法の例として、次の表4に示す「抵抗補正係数テーブル」では、抵抗の閾値を5つ設け、6つに区切られたテーブルを設け、抵抗が低い順にR-2〜R+3まで(R0が標準)を設定し、それぞれに補正率(補正係数)を決定している。
【0088】
【表4】
【0089】
当該テーブルにおいて、係数の増減が交流成分と直流成分で逆の傾向となっているが、これは前述の定電圧制御と定電流制御の違いのためである。
定電流制御では、転写ニップを通過する電流が制御されるため、対向ローラ73の抵抗が低下した場合、転写ニップに形成される電位差が小さくなるため、制御する電流を大きくしなければ転写ニップに形成される電位差は一定にならない。
【0090】
一方、定電圧制御では、対向ローラ73の芯金部の電圧が制御されるため、転写ニップでの電位差は、対向ローラ73のゴム層で電圧降下したものとなる。よって対向ローラ73の抵抗が低下した場合、転写ニップに形成される電位差が大きくなるため、制御する電圧を小さくしなければ転写ニップに形成される電位差は一定にならない。
【0091】
上記の「抵抗補正係数テーブル」に示した補正係数を用いる事で、二次転写部の抵抗が変化した場合でも同じ転写性を得る事ができる。表4のテーブルに示す補正係数の値はあくまで本例での形態における値であり、システムが変わった場合は補正係数も変化する。
【0092】
また、紙が含んでいる水分によっても、対向ローラ73に印加すべき電界は異なる。これは、紙が含む水分が増加することで、紙の電気抵抗が低下するためである。紙の電気抵抗が低下した場合、転写ニップに形成すべき電位差は小さくなる。
【0093】
例えば、次の表5に示す「湿度環境補正係数テーブル」では、画像形成装置内の温湿度を計測し、それからもとめた絶対湿度ごとの閾値を5つ設け、6つに区切られたテーブルを設け、絶対湿度が小さい順にLLL,LL,ML,MM,MH,HHまでを設定し、それぞれに補正率(補正係数)を決定している
【0094】
【表5】
【0095】
温湿度環境の係数は、転写ニップに存在する紙の抵抗による変化を補正するものであるため、定電圧制御と定電流制御では係数増減の傾向は同じになる。
以上のように、対向ローラ73に印加する電界を制御する事で、誤差要因が変化した場合でも一定の転写性を得ることができる。
【0096】
次に、重畳転写バイアスにおける交流成分を定電流制御した場合の効果を比較例とともに示して説明する。
交流直流重畳電圧を印加しての転写において、転写ニップに形成すべき電位差は、紙の厚みが厚くなるほど大きな電位差が必要となる。
【0097】
このため、交流成分を定電流制御することで、対向ローラ73に供給される電荷は一定となり、通過する紙が厚くなった場合は、転写部のコンデンサーとしての容量が(距離が増加するため)小さくなるため、転写ニップに形成される電位差は大きくなるため、紙厚が変化した時も目標電流を大きく変化させること無く同じ転写性を得ることができる。
【0098】
以下に、記録紙の厚みが変化した場合の交流印加電界の補正方法の一例を示す。ここでは交流成分を定電流制御した場合の補正方法を本発明の実施例として、また、交流成分を定電圧制御した場合を比較例として併記している。ただし、閾値の数(テーブルの区分け数)や補正率(係数)は一例であり、この限りでは無い。
【0099】
例えば、次の表6に示す「紙厚補正係数テーブル」では、紙厚の閾値を6つ設け、7つに区切られたテーブルを設け、紙厚が薄い順に紙厚1〜7までを設定し、それぞれに補正率(補正係数)を決定している。
【0100】
【表6】
【0101】
この「紙厚補正係数テーブル」に示すように、交流成分を定電流制御にすることで、紙厚が変化した時の補正率は、定電圧制御した比較例と比べて格段に小さくなっており、紙のバラツキ等で紙厚が微小に変化した場合においては制御値を(補正率を)変化させなくても(補正しなくとも)一定の転写性が得られる。
【0102】
また、高湿環境になった場合は、紙が吸湿をして抵抗が下がるため、転写ニップに形成すべき電位差は小さくしなければならない。
この場合も、通過する紙中の水分が増加する事で、誘電率が増加し転写部のコンデンサーとしての容量が大きくなるため、定電流制御によって同じ量の電荷が供給された場合に転写ニップに形成される電位差は小さくなり、同じく湿度が変化した時も目標電流を大きく変化させること無く同じ転写性を得ることができる。
【0103】
次の表7は、湿度環境が変化した場合の補正係数を、交流成分を定電流制御した場合(実施例)と定電圧制御した場合(比較例)を併記して比較したものである。ここでも閾値の数(テーブルの区分け数)や補正率(係数)は一例であり、この限りでは無い。
【0104】
【表7】
【0105】
表7のテーブルに示すように、交流成分を定電流制御にすることで、環境が変化した時の補正率は、定電圧制御した比較例と比べて小さくなっており、環境が微小に変化した場合においては制御値を(補正率を)変化させなくても(補正しなくとも)一定の転写性が得られる。
【0106】
最後に、構成が異なる画像形成装置の実施形態について説明する。
本発明は、感光体上のトナー像を一旦中間転写ベルトに転写してから記録用紙に転写する中間転写方式(間接転写方式)のカラープリンタに限らず、例えば、図23に示すような、感光体上のトナー像を直接記録用紙に転写する直接転写方式のカラープリンタにも適用できる。この直接転写方式のカラープリンタは、記録用紙が給紙ローラ32により搬送ベルト131へ送られ、各色の感光体ドラム2(2Y,2C,2M,2K)から記録用紙へ各色の画像が順次直接転写され、定着装置50により定着される。各転写部に印加する電圧を定電流制御した交流直流重畳電圧を使用することにより、前述した実施形態(間接転写方式)の画像形成装置の場合と同様の効果を得ることができる。定着後の記録用紙は、図示しない排紙トレイ上に排出する。
【0107】
また、図24に示すように、所謂1ドラム型のカラー画像形成装置にも本発明を適用できる。この1ドラム型のカラー画像形成装置は、1つの感光体201の周囲に、それぞれ、帯電手段203、イエロー,シアン,マゼンタ,黒の各色に対応した現像ユニット204(Y,C,M,K)などを有している。画像形成を行う場合、まず、感光体201の表面を帯電手段203で一様に帯電した後、感光体201の表面に対してY用画像データで変調されたレーザ光Lを照射して、感光体201の表面にY用静電潜像を形成する。そして、このY用静電潜像を現像ユニット204YによりYトナーで現像を行う。これにより得られたY用トナー像は、中間転写ベルト206上に一次転写される。その後、感光体201の表面に残留した転写残トナーをクリーニング装置220で除去した後、再び感光体201の表面を帯電手段203で一様に帯電する。次に、感光体201の表面に対してM用画像データで変調されたレーザ光Lを照射して、感光体201の表面にM用静電潜像を形成する。そして、このM用静電潜像を現像ユニット204MによりMトナーで現像を行う。これにより得られたM用トナー像は、中間転写ベルト206上に既に一次転写されているY用トナー像と重なり合うようにして、中間転写ベルト206上に一次転写される。以後、C及びKについても、同様に中間転写ベルト206上に一次転写する。このようにして互いに重なり合った状態の中間転写ベルト206上の各色トナー像は、二次転写ニップに搬送されてきた記録用紙上に転写される。このとき、転写部に印加する電圧を定電流制御した交流直流重畳電圧を使用することにより、前記説明した各実施形態の画像形成装置の場合と同様の効果を得ることができる。このようにしてトナー像が転写された記録用紙は、定着ユニット400に搬送される。この定着ユニット400で、記録用紙を加熱、加圧して、記録用紙上のトナー像を記録用紙に定着させる。定着後の記録用紙は、図示しない排紙トレイ上に排出する。
【0108】
また、図25は、特開2003−118158号公報(特許文献4)に開示された画像形成装置の作像部を示す構成図であるが、本発明は、このような中間転写を使用したトナージェット方式の画像形成装置にも適用することができる。図25の画像形成装置は、トナージェット方式により中間転写ベルト3に画像を形成し、転写領域において記録用紙に転写される。このとき、印加する電圧を定電流制御した交流直流重畳電圧を使用することにより、前述した各実施形態の画像形成装置の場合と同様の効果を得ることができる。このようにしてトナー像が転写された記録用紙は、定着部8に搬送される。この定着部で、記録用紙を加熱、加圧して、記録用紙上のトナー像を記録用紙に定着させ画像を得る。
【0109】
このように、本発明の転写装置は、どのような構成の画像形成装置においても、一度平面状に静電粉体による画像を形成することができれば、凹凸のある様々な材料に転写することが可能である。
【0110】
以上説明したように、本発明は、交流成分に直流成分を重畳して印加した電圧を用いた静電トナー転写装置において、電源の出力電圧を出力電流のIoff、またはIoff及びIppで定電流制御することにより、環境変動や被転写体の違いに対して、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0111】
また、被転写体の移動速度に応じて定電流制御値を変更することにより、速度の異なるモードを持つ転写装置においても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0112】
また、像担持体上のトナー付着量に応じて定電流制御値を変更することにより、モノクロやカラーのように付着量の大きく異なる画像に対しても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0113】
また、電源から出力される電圧を、直流のみで出力する場合と直流と交流を重畳して出力する場合のいずれかに選択可能とすることで、(従来と同様の)直流電圧による転写方式と切り替えて使用することが可能となる。
【0114】
また、直流のみを印加する電源と直流と交流を重畳または交流のみを印加する電源とを別々に設けることで、既存の直流電源のみを使用したシステムに対して、切り替え可能な状態で後から容易に組み込み、機能向上を図ることができる。
【0115】
また、直流のみを印加する電源と直流と交流を重畳または交流のみを印加する電源とを像担持体側と被転写体側に別々に設けることで、製品内のスペースを有効に利用でき、製品の小型化などが可能になる。
【0116】
そして、本発明による転写装置を様々な画像形成装置と組み合わせることにより、静電粒子を凹凸のある被転写体へ転写させる色々な用途への使用が可能となる。
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。転写装置の構成は本発明の範囲内で適宜な構成を採用可能であり、転写バイアスを印加する電源の構成も適宜な構成を採用可能である。
【0117】
また、画像形成装置の構成も任意であり、タンデム式における各色作像ユニットの並び順などは任意である。また、タンデム式に限らず、一つの感光体の周囲に複数の現像装置を配置したものや、リボルバ型現像装置を用いる構成も可能である。また、3色のトナーを用いるフルカラー機や、2色のトナーによる多色機、あるいはモノクロ装置にも本発明を適用することができる。もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0118】
1 画像形成ユニット
11 感光体ドラム(像担持体)
50 中間転写ベルト(像担持体)
73 対向部材
80 転写部材
110,111 電源
112 交流電圧発生手段
113 直流電圧発生手段
114 異常検知手段
123 交流出力検出手段
127 直流出力検出手段
200 画像形成手段または画像転写手段
300 制御回路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0119】
【特許文献1】特開2006−267486号公報
【特許文献2】特開2008−058585号公報
【特許文献3】特開平09−146381号公報
【特許文献4】特開2003−118158号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを印加して像担持体から被転写体に静電トナーによる画像を転写する転写装置において、
前記電圧を付与する電源から出力される直流成分の電流値が、設定した電流値になるように前記電源の出力電圧を制御することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記電源から出力される交流成分の電圧値が設定した電圧値になるように、前記電源の出力電圧を制御することを特徴とする、請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記電源から出力される直流成分の電流値及び交流成分のピーク間電流値が設定した電流値になるように、前記電源の出力電圧を制御することを特徴とする、請求項1に記載の転写装置。
【請求項4】
前記電源から出力される直流成分の電流設定値を、前記被転写体の移動速度に応じて変更することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項5】
前記電源から出力される直流成分の電流設定値を、トナーの付着量に応じて変更することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項6】
前記電源は、直流成分の電圧のみを出力する場合と直流成分と交流成分を重畳した電圧を出力する場合のいずれかに選択可能に設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項7】
前記電源は、直流成分のみを印加する電源部と、交流成分に直流成分を重畳し印加するかまたは交流成分のみを印加する電源部とを別々に具備することを特徴とする、請求項6に記載の転写装置。
【請求項8】
前記直流成分のみを印加する電源部と、交流成分に直流成分を重畳し印加するかまたは交流成分のみを印加する電源部は、一方が像担持体側に、他方が被転写体側に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の転写装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の転写装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを印加して像担持体から被転写体に静電トナーによる画像を転写する転写装置において、
前記電圧を付与する電源から出力される直流成分の電流値が、設定した電流値になるように前記電源の出力電圧を制御することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
前記電源から出力される交流成分の電圧値が設定した電圧値になるように、前記電源の出力電圧を制御することを特徴とする、請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記電源から出力される直流成分の電流値及び交流成分のピーク間電流値が設定した電流値になるように、前記電源の出力電圧を制御することを特徴とする、請求項1に記載の転写装置。
【請求項4】
前記電源から出力される直流成分の電流設定値を、前記被転写体の移動速度に応じて変更することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項5】
前記電源から出力される直流成分の電流設定値を、トナーの付着量に応じて変更することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項6】
前記電源は、直流成分の電圧のみを出力する場合と直流成分と交流成分を重畳した電圧を出力する場合のいずれかに選択可能に設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の転写装置。
【請求項7】
前記電源は、直流成分のみを印加する電源部と、交流成分に直流成分を重畳し印加するかまたは交流成分のみを印加する電源部とを別々に具備することを特徴とする、請求項6に記載の転写装置。
【請求項8】
前記直流成分のみを印加する電源部と、交流成分に直流成分を重畳し印加するかまたは交流成分のみを印加する電源部は、一方が像担持体側に、他方が被転写体側に配置されることを特徴とする、請求項7に記載の転写装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の転写装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−198500(P2012−198500A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−266684(P2011−266684)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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