転写装置および画像形成装置
【課題】直流電圧成分に交流電圧成分を重畳した転写バイアスを用いる際のノイズの影響を受けることなく転写品質の良好な画像が得られる転写装置を提供する。
【解決手段】交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを転写手段に印加し、像担持体から被転写体に静電トナーによる画像を転写する転写装置において、前記転写バイアスの交流電流値と位相情報を計測し、該位相情報から予測される区間内にて重畳された直流電流値の計測を停止することを特徴とする。
【解決手段】交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを転写手段に印加し、像担持体から被転写体に静電トナーによる画像を転写する転写装置において、前記転写バイアスの交流電流値と位相情報を計測し、該位相情報から予測される区間内にて重畳された直流電流値の計測を停止することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、直流成分と交流成分とを用いた重畳バイアス制御に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電子写真方式を用いる複写機やプリンタあるいは印刷機などの画像形成装置においては、あらかじめ一様に帯電された像担持体上に光学的な画像情報を形成することによって得た静電潜像を、現像装置からのトナーによって可視化し、この可視像を記録用紙上に転写、定着することによって画像形成が行われている。
【0003】
画像形成装置においては、単一色だけでなく、フルカラーなどの複数色の画像を形成する構成を備えたものもあり、この場合には、複数の作像部において形成された異なる色の画像をベルトなどの中間転写体に対して順次転写(1次転写)したうえで、重畳画像を記録シートなどの記録媒体に対して一括転写(2次転写)する方式を用いることがある。
【0004】
ところで、画像転写の対象となる記録媒体としては、普通紙などが多用されているが、近年、多種多様な用紙が用いられ、そのうちでも、高級感を備えた皮革模様をイメージしたものや和紙調のもの等が市販され、多彩な表現を有する印刷物の形成を可能としている。
これら多用な表現を有する印刷物として用いられる記録用紙は、高級感を出すため、エンボス加工等により表面に凹凸が存在している。
凹部は凸部に比べてトナーが転写しにくく、特に凹凸の大きい記録用紙にトナーを転写させる場合、凹部にトナーが充分に転写せず画像の抜けが発生するといった問題がある。
【0005】
そこで、凹部を対象とした転写率を向上させて画像抜けなどの転写不良を防止するための方法として次のものが知られている(特許文献1)。
特許文献1には、記録用紙へのトナー像の転写の直前に、記録用紙を加熱して、かつトナーと反対極性に帯電させることにより、転写時の転写電界を強くさせることで、凹部にトナーを転写させるようにした方法が開示されている。
しかし、この方法では、凹凸視の大きな凹凸部分において十分な転写性を得ることができない結果が実験などにより確認されている。
【0006】
このような不具合を解決するための方法として、直流電圧に交流電圧を重畳することにより、トナーに対する静電力付与と振動作用により凹部での転写率の向上や中抜けの防止を図る方法も提案されている(例えば、特許文献2〜4)。
特許文献2では、転写バイアスとして直流電圧に交番電圧を重畳したものを用い、また転写前に記録用紙の表面をその凹凸に応じてトナーの極性と逆極性に帯電させることで凹部にトナーを転写させるよう制御を行うものである。
特許文献3では、転写バイアスとして直流電圧に交番電圧を重畳したものを用い、交番電圧のピーク間電圧が、直流電圧の2倍以下になるように交番電圧を重畳することを特徴としている。
特許文献4では、中間転写体の表面にフッ素樹脂を用い、転写バイアスとして直流電圧に交番電圧を重畳したものを用い、交番電圧のピーク間電圧が、直流電圧の2.05倍以上になるように交番電圧を重畳することを特徴としている。
【0007】
いずれも直流電源、交流電源の印加電圧が狙いの値になるように制御して転写性向上を試みており、具体的な構成においても転写電圧値と転写性の関係が示されるのみである。
また、交流重畳転写方式が開発されつつあり、交流を定電圧に制御し、直流を定電流に制御するものも提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の提案内容である、交流重畳転写バイアス方式について記述する。
例えば、交流を定電圧に制御し、直流を定電流に制御する方式では、直流電圧に重畳する交流電圧の値は、紙における全体の濃度や凹部濃度などによって正確に制御されなければならない。
このような制御がなされないと、形成画像の濃度が薄れたり、異常な放電による画像が生じることもある。これらの条件は、環境や紙種などに応じても、細かく対応させる必要がある。
【0009】
しかし、直流成分に重畳される交流成分の電流値は、直流電流値の10〜1000倍にもなる。これは交流成分ACに対するインピーダンスが一般にDCに対するインピーダンスよりも低いためである。交流電源自体も大きい電流ノイズを発生するのが普通である。
このため、交流電流が重畳された直流電流のリアルタイム計測に、交流のノイズが入り込んでしまうことがあり、これによって制御を困難にしてしまう虞がある。
【0010】
本発明の目的は、上記従来の交流重畳方式を対象とした場合に、前述したノイズの影響を受けることなく転写品質の良好な画像が得られる転写装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを転写手段に印加し、像担持体から被転写体に静電トナーによる画像を転写する転写装置において、
前記転写バイアスの交流電流値と位相情報を計測し、該位相情報から予測される区間内にて重畳された直流電流値の計測を停止することを特徴とする転写装置。
(2)交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを電源から出力する転写バイアス発生装置を備えた転写装置において、
前記電源の出力バイアスの交流分を計測・記録し、該交流波形のある位相区間内で、直流成分の計測を停める制御装置を含むことを特徴とする転写装置。
(3)前記の交流波形中に直流成分の非計測区域を有する転写装置において、該非計測位相区間を前記被転写体の凹凸粗さに応じて変更することを特徴とする(1)または(2)に記載の転写装置。
(4)前記転写装置の電圧を付与する転写装置において、
転写バイアスとして直流成分の電圧のみを出力するモードと、転写バイアスとして直流成分と交流成分を重畳した電圧を出力するモードを選択可能であることを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の転写装置。
(5)(1)乃至(4)のうちの一つに記載の転写装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、交流測定において交流分の位相情報をまず測定して記録し、そしてノイズが多い位相区間を特定し、その区間の直流計測を行わないようにして、直流分の測定精度を改善できるとともに、転写バイアス中の直流設定のセット時間を早めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による転写装置の構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した転写装置に用いられる転写バイアスの電流波形示す図である。
【図3】本発明による転写装置の要部構成を説明するための図1相当の模式図である。
【図4】本発明による転写装置に用いられる交流重畳電圧生成のための電源の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】図4に示した電源からの出力電圧の波形を示す図である。
【図6】図4に示した電源に流出力検出ブロック、直流出力検出ブロックの電流検知回路内にてローパスフィルタを挿入したノイズ対策時での出力波形を示す図である。
【図7】本発明の別実施例による転写装置の要部構成を説明するためのブロック図である。
【図8】図7に示した要部構成に用いられる電源からの出力波形を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例による転写装置の要部構成を説明するためのブロック図である。
【図10】図9に示した要部構成に用いられる電源からの出力波形を示す図である。
【図11】本発明による転写装置が用いられる画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図12】図11に示した画像形成装置に用いられる画像形成ユニットの構成を説明するための模式図である。
【図13】本発明実施例による転写装置での転写バイアス条件の一つによる凹凸紙への転写状態の評価結果を説明するための図である。
【図14】図13に示した転写バイアス条件と異なる条件を用いた場合の凹凸紙への転写状態の評価結果を説明するための図である。
【図15】図14に示した転写バイアス条件と異なる条件を用いた場合の凹凸紙への転写状態の評価結果を説明するための図である。
【図16】画像形成時に電源から出力されたVppとVoffの平均値と画像の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図に示す実施例により本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による転写装置の概略構成を示す模式図であり、その作用と構成とを併せて説明すると次の通りである。
【0015】
図1において、符号200は画像形成手段または画像転写手段であり、符号50は、画像形成手段により形成されたトナー像を担持する感光体または画像形成手段により形成されて転写されたトナー像を担持する中間転写体などの像担持体である。像担持体50上のトナー像は、矢印の方向に搬送される。
【0016】
一方、図示しない給紙装置から、被転写体Pが、像担持体50と転写部材80との間に、矢印の方向から所定のタイミングで搬送され、像担持体50上に形成されたトナー像が記録材である被転写体P上に静電的に転写される。
【0017】
この時、像担持体50上のトナーが被転写体Pへ転写される方向に直流成分による電界が形成されるように、電源110及び/又は電源111から転写バイアス電圧が対向部材73及び転写部材80からなる転写装置に印加される。
【0018】
電源110及び/又は電源111から印加される転写バイアス電圧は、交流電圧に直流電圧を重畳した電圧であり、電源110、電源111のいずれか一方からのみ交流電圧に直流電圧を重畳した交流直流重畳電圧(転写バイアス電圧)を印加してもよいし、電源110、電源111で転写バイアス電圧の交流電圧と直流電圧を分離して対向部材73及び転写部材80のいずれか一方に印加してもよい。
また、電源110、電源111のいずれか一方から交流直流重畳電圧を対向部材73及び転写部材80のいずれか一方に印加し、かつ電源110、電源111のもう一方から直流電圧を対向部材73及び転写部材80のもう一方に印加してもよい。
【0019】
さらに、電源110、電源111の出力電圧を直流成分のみの場合と交流直流重畳電圧を印加する場合とに選択可能にすることで、条件に応じて電源110、電源111の出力電圧を切り替えて使用することができる。例えば、被転写体Pが凹凸のない記録材である場合には電源110、電源111の一方から直流成分のみを対向部材73及び転写部材80の間に印加するように切り替えることができる。
これにより、交流電圧を必要としない使用用途の場合には、従来ある転写装置のように直流成分のみを使用することができ、省エネルギーで使用できる。
【0020】
この場合、電源は交流直流重畳電圧を印加する一体の電源において交流成分を印加しないように切り替えることで直流成分のみを印加する方式でもよいし、直流電圧印加用の電源回路と交流直流重畳電圧印加用の電源回路を別々に持ち、これらの電源回路を切り替えることにより、転写バイアス電圧の切り替えを行う方式でもよい。
【0021】
後者の場合、既存の直流電圧印加方式の転写装置に後から交流直流重畳電圧印加用の電源回路組を組み込み、機能をバージョンアップすることや、調整された既存のシステムを変えることなく使用することで開発期間を短縮できるなどの効果が得られる。
【0022】
また、交流電源、直流電源を、図1に示す電源110、電源111のように対向部材73側と転写部材80側とに分離して配置した場合、筐体内が省スペース化され、空きスペースを他の機能に利用したり、装置の小型化などが可能になる。
【0023】
ここで、図2は電源110から対向部材73へ流れ込む方向の電流を測定した場合の一例である。
図2において、電源110から出力される電圧は直流成分の電流値Ioff、またはIoff及び交流成分のピーク間電圧値Vppが、設定した値になるように制御される。
【0024】
以降、交流電圧に直流電圧を重畳して印加する電圧印加方式において、電源の出力電流の直流成分(オフセット電流)Ioff、または交流成分のピーク間電流の大きさIppが任意の電流値になるように電源の出力電圧を制御する制御方式を定電流制御方式と称し、電源の出力電圧の直流成分Voff、または交流成分のピーク間電圧の大きさVppが任意の値となるように電源の出力電圧を制御する制御方式を定電圧制御方式と称する。
【0025】
電源出力の直流成分を定電圧制御する場合は、湿度による転写装置の部材の抵抗変化や記録材の違いによる抵抗変化により、電源出力の直流成分を大きく変更しなければ良好な転写性を得られないが、電源出力の直流成分を定電流制御する場合は、前記変化に対する転写性の変動が小さい。このため、ここでは定電流制御方式を採用している。
【0026】
電源の出力電圧をIoffで定電流制御する場合の一例を図3を示す。
図3において、Ioffは、電源110に内蔵された電流計により検出され、制御回路300へ入力される。次に制御回路300から電源110へ制御信号が入力される。制御回路300は設定電流値に応じて電源110への制御信号を出力し、制御回路300は電源110から出力されるIoffが設定値となるように電源110の出力電圧を調整する。
【0027】
Ippを定電流制御する場合も、同様にIppが電源110に内蔵された電流計により検出され、制御回路300へ入力される。次に制御回路300から電源110へ制御信号が入力される。
制御回路300は設定電流値に応じて電源110への制御信号を出力し、制御回路300は電源110からされるIppが設定値となるように電源110の出力電圧を調整する。
【0028】
本発明者らの検討によると、Ioffはトナーによる電荷の移動や放電による電荷の移動を示している。このため、Ioffはトナー移動による電流量を目安に設定する。トナー移動による電流量Itonerは次の(1)式に示す関係で表すことができる。
Itoner =v*W*Q/M*M/A*10・・・(1)
ここで、v:被転写体Pの速度(m/s), W:画像のローラ軸方向の幅(m), Q/M:トナー帯電量(μC/g) ,M/A:トナー付着量(mg/cm2)である。
【0029】
画像幅とトナー付着量には、全トナーが転写できるように、記録材にベタ画像を転写する場合に想定される最大値を用いる。例えば、v= 0.3(m/s), W=0.3(m), Q/M=−30(μC/g), M/A=0.5(mg/cm2)であれば、Itoner=−13.50(μA)となる。このとき、Ioffの絶対値は|Itoner|以上の値、例えばIoff=−20(μA)の様に設定することが好ましい。
【0030】
被転写体Pの速度vを変更する場合のIoffの設定値は、制御回路300にて(1)式からItonerを算出すればよく、例えばv=0.15(m/s)の場合はIoff=−6.75(μA)となるため、Ioff=−10(μA)の様に設定する。
【0031】
被転写体に応じて速度を変更する場合には、制御回路300はIoffを各速度に対応した設定値に自動的に切り替えるモードを設けることで、被転写体速度に対しても安定した画像を得ることができる。
【0032】
さらに、制御回路300は、M/Aがモノクロ画像よりも多くなるカラー画像の場合のIoffの設定値も、前記(1)式から見積もり、例えばカラー画像のM/Aをモノクロ画像の2倍の1.0(mg/cm2)と仮定した場合、Ioffも2倍の−40(μA)のように設定すればよい。
【0033】
また、出力画像情報に応じて設定Ioffを制御回路300にて自動的に切り替えるカラー印刷モードを設けることで、カラー画像、モノクロ画像のいずれに対しても安定した画像を得ることができる。
Ippは少なくとも紙の凹部にトナーが転写するための転写電界を転写装置に付与できるだけの大きさが必要となり、Ippが小さすぎると紙の凹部にトナーが転写されない。
【0034】
Ippの大きさは転写部材の抵抗や転写ニップの幅などによっても異なるが、ここでは、例えばIpp=3.0(mA)のように設定する。Ippを適切な値に設定することにより、被転写体Pが変わってもその凹部への良好な転写性を保つことができる。なお、転写部材80の形状は、転写ニップ部に交流直流重畳電界を印加可能であればとくに限定はされるものではないが、ローラ形状が摩擦力低減などの点から好ましく、円柱状に形成された導電性の芯金と、該芯金の外周面に積層された樹脂やゴムなどの表層からなる構成などがある。
【0035】
また、記録材である被転写体Pは紙、樹脂、金属など様々な物質を用いることができる。本実施例において転写バイアスの交番電圧の波形は、正弦波を用いているが、矩形波等他の波形を用いても問題は無い。
【0036】
次に、本発明の転写装置の電源回路について詳細に説明する。
図4は、図3に示す交流直流重畳電圧を生成する電源110の構成の一例を示す。電源110においては、交流電圧発生手段と直流電圧発生手段が直列に接続され、これらは負荷となる対向ローラ73と転写部材80との間に接続され、転写部材80は接地されている。なお、被転写体Pと像担持体50の図示は省略している。電源110を駆動する電源24VとGNDが、図示していないインタロックスイッチを介して、制御回路300から供給される。
【0037】
さらに電源110は起動信号のACおよびDCが制御回路300から入力される。また、交流電圧発生手段と直流電圧発生手段は異常検知手段が接続されて電源出力の異常が検知され、電源出力の異常検知信号SCを制御回路300に出力している。
【0038】
この構成により電源110は負荷の対向ローラ73と転写部材80との間に、直流電圧が重畳された交流電圧が印加される。電源110の動作に使われる電源入力、および異常検知信号の図示は省略している。
交流電圧発生手段は、交流駆動、交流高圧トランス、交流出力検出、交流制御の各ブロック1101〜1104により構成されている。
【0039】
一方、直流電圧発生手段は、直流駆動、直流高圧トランス、直流出力検出、直流制御の各ブロック1105〜1108で構成させている。
制御回路300から交流駆動ブロック1101へ交流電圧の周波数を設定する信号CLKが供給され、さらに、交流出力の電流または電圧を設定する信号AC PWMが制御回路300から交流制御ブロック1104へ供給され、交流高圧トランスブロック1102の交流出力をモニターする信号AC FB Iが交流出力検出ブロック1103から制御回路300へ供給される。
【0040】
直流生成手段でも、転写バイアスの交流出力に重畳される直流出力の電流または電圧を設定する信号DC PWMが制御回路300から直流制御ブロック1108へ供給され、直流高圧トランスブロック1106の直流出力をモニターする直流出力検出ブロック1107からの検出信号DC FB Iが制御回路300へ供給される。
【0041】
交流駆動ブロック1101は制御回路300からの信号CLKにより設定した周波数の交流電圧を発生して交流高圧トランスブロック1102へ出力し、交流高圧トランスブロック1102は交流駆動ブロック1101からの交流電圧を昇圧して対向ローラ73に印加する。
【0042】
交流出力検出ブロック1103は、交流高圧トランスブロック1102の出力電流の交流成分を検出し、その検出信号を交流制御ブロック1104及び制御回路300へ出力する。
制御回路300は、交流出力検出ブロック1103からの電流検出信号に基づいて、交流高圧トランスブロック1102の交流出力のピーク間電圧が所定の設定値になるような指令を交流制御ブロック1104へ出力する。
【0043】
交流制御ブロック1104は、制御回路300からの指令に基づいて、交流出力検出ブロック1103からの検出信号が、設定されたピーク間電流になるように交流駆動ブロック1101の交流出力電圧を制御することで交流高圧トランスブロック1102の交流出力のピーク間電流を設定値に制御する。
同様に、直流駆動ブロック1105は制御回路300からの信号DC PWMにより設定した直流電圧を発生して直流高圧トランスブロック1106へ出力し、直流高圧トランスブロック1106は直流駆動ブロック1105からの直流電圧を昇圧して転写部材80に印加する。
【0044】
制御回路300は、直流制御では定電圧制御を優先して行い、直流出力検出ブロック1107は、直流高圧トランスブロック1102の直流出力の直流電圧を検出し、その検出信号を直流制御ブロック1108及び制御回路300へ出力する。
【0045】
さらに制御回路300は、直流出力検出ブロック1107からの検出信号に基づいて、交流高圧トランスブロック1102の直流出力のVoffが所定の設定値になるような指令を直流制御ブロック1108へ出力する。
直流制御ブロック1108は、制御回路300からの指令に基づいて、直流出力検出ブロック1107からの検出信号が設定値になるように直流駆動ブロック1105の直流出力電圧を制御することで直流高圧トランスブロック1106の直流出力のVoffを設定値に制御する。
【0046】
交流制御では交流出力の電流および電圧を制御しており、所謂、定電流制御または定電圧制御のどちらも可能なように交流出力検出ブロック1103で交流高圧トランスブロック1102の出力電流および出力電圧の両方を検出している。
【0047】
これは直流制御でも同様であり、定電流制御または定電圧制御のどちらも可能なように直流出力検出ブロック1107で直流高圧トランスブロック1106の出力電流および出力電圧の両方を検出している。
【0048】
制御回路300は、交流で定電圧制御を行う場合には、交流出力検出ブロック1103からの交流電圧検出信号に基づいて、交流高圧トランスブロック1102の交流出力のピーク間電圧が所定の設定値になるような指令を交流制御ブロック1104へ出力する。
【0049】
交流制御ブロック1104は、制御回路300からの指令に基づいて、直流出力検出ブロック1107からの検出信号が設定値になるように交流駆動ブロック1101の交流出力電圧を制御することで交流高圧トランスブロック1102の交流電圧のピーク間電圧を設定値に制御する。
また、制御回路300は、直流で定電流制御を行う場合には、直流出力検出ブロック1107からの電流検出信号に基づいて、直流高圧トランスブロック1106の直流出力の直流電流が設定値になるような指令を直流制御ブロック1108へ出力する。
【0050】
直流制御ブロック1108は、制御回路300からの指令に基づいて、直流出力検出ブロック1107からの電流検出信号が設定値になるように直流駆動ブロック1105の直流出力電圧を制御することで直流高圧トランスブロック1106の直流出力の直流成分Ioffを設定値に制御する。
【0051】
この実施例では、上述のように交流は定電圧制御を行うように電流を検知して制御するようにしてあり、直流は定電流制御を行うように電圧検出値を優先して制御するようにしている。また、異常検知手段により無負荷状態などでの最高電圧を異常などとして検知する。さらに、制御回路300では交流および直流の各出力検出ブロック1103、1107からのモニター信号を、負荷状態の監視のための情報として入力している。
交流駆動ブロック1101は交流電圧の周波数を制御回路300からの信号CLKで設定しているが、交流電圧発生手段の内部で固定の周波数を生成してもよい。
【0052】
図5は、電源110からの出力電圧の波形とその電流値を計測したものを示す。
この計測は実際に高圧出力中に電流ロガーをおいて高速にサンプルしたものである。この1例では2〜3mA(RMS)のACバイアスの場合、正弦波では約10mAのamplitudeとなる。さらにこれにノイズが加わると、15mA程度のパルスを多く含んだデータが観測されるが、もちろんノイズ波形は別に変わり、また大小も変動する。この場合、直流分のリアルタイムの計測がこのような非対称なパルス状交流の重畳で実質困難になる。
【0053】
図5の場合は3回の電流測定を行っているが、それらについてIofset値は3回の計測値が大きく異なる。これは先述のように交流電流値数mAの内部に放電電流というリアルタイムのノイズが入るからである。
【0054】
ここで図6に、一般的な対策を挙げる。
これは交流出力検出ブロック1103、直流出力検出ブロック1107の電流検知回路内にてローパスフィルタを挿入した時の図で、ハッチングされた部分のように面積的に積分された(上半分)値と(下半分)値が測定できる。これにより、Iofsetを算出することが可能になる。ただし、同方法の問題は応対帯域が非常に低いことで、500Hzの交流重畳電源バイアスの測定が0.5sec以上ともなることになる。これはDC分をオンしてから15cmもの制御不安定な部分が生じさせることになる。
【0055】
以上の不具合を鑑み、本発明ではより精度のよい制御が可能な回路を提示する。
【0056】
図7は、区間を指示することとした場合の実施例である。
この実施例では対向ローラ73に印加する電圧の交流成分を制御回路300からのクロック(CLK)と交流制御(電流/電圧)信号(AC PWM)により交流駆動ブロック1101で生じさせ、交流高圧トランスブロック1102の高圧トランスにて昇圧して、負荷に流す。なお、この高圧トランスのGNDの近い方に、直流高圧トランスブロック1106の直流高圧トランスを直列でつなぎ、別の直流制御(電流/電圧)信号(DC PWM)により直流高圧トランスブロック1106で同印加電圧の直流成分を生じさせる。
【0057】
交流電流値(電圧値)のフィードバックは、制御回路300へAC FBIとして行われ、直流電圧値(電流値)のフィードバックは制御回路300へDC FBIとして行われる。この回路ではDCは電源単体としても負荷に流すことができていて、これはDC単体の電源のみでよい転写条件時に用いられる。
【0058】
また、交流高圧トランスブロック1102から対向ローラ73への交流の切断については、電源110として、ソリッドステートリレーよりも高圧リレーを複数個使って状態を複数持たせた電源を作る方がことは容易である。交流の切断は浮遊容量などや絶縁破壊性などから設計されなくてはならない。
【0059】
図8は、前述の図7の電源において、その作用を図示したものである。
この電源の制御は紙が実際に対向ローラ73と転写部材80との間を通過している際にリアルタイムに行われることを想定している。
【0060】
まず、交流高圧トランスブロック1102から対向ローラ73への交流出力(交流電流に直流電流を重畳した出力)が0点を下降して通過するタイミングをタイミング検知手段により取り出す。このタイミング検知手段は図示していないコンパレータや位相制御用コンデンサーやワンショット回路などで実現できる。
【0061】
制御回路300は、そのタイミング検知手段の検知したタイミング(o)から、3つのカウンタをリセットして該3つのカウンタにプリセット値をセットし、図示していないクロックにて該3つのカウンタをダウンカウントしていく。なお、この交流出力(交流電流に直流電流を重畳した出力)は分圧デバイダ(コンデンサーによる分圧器)を使って分圧すれば充分に操作容易な電圧となり、そのまま制御回路300内のCPUへの入力が可能になる。
【0062】
上記3つのカウンタのプリセット値は、上記交流出力の波形(交流電流値と、上記タイミング(o)を基準とする位相情報)を見ながら予め機械の条件に応じて計測して機内のメモリに保存しておくか、直接ハードウェアに焼き込んでいるものとし、これらの交流電流値及び位相情報から予想される上記交流出力の測定可能な各測定可能領域及び各測定不可能領域に基づいて、上記交流出力の測定可能な最初の測定可能領域の長さに応じたプリセット値、タイミング(o)から上記交流出力の最初の測定不可能な領域の終了までの領域に応じたプリセット値、タイミング(o)から次の上記交流出力の2番目の測定不可能な領域の終了に応じたプリセット値として上記3つのカウンタにそれぞれプリセットする。
【0063】
上記交流出力の測定不可能な領域は、上記交流出力にノイズがのって所定のレベル以上となることで上記交流出力の測定が不安定となる領域であり、上記交流出力の測定可能な領域は上記交流出力が所定のレベル以下であることにより上記交流出力の測定が安定して行える領域である。
【0064】
続いて、制御回路300は、上記3つのカウンタのうちの第1のカウンタで最初の計測可能領域の終了をカウントし、その計測可能領域の終了を示す信号の後に直流電流の計測を取止める。具体的にはCPUで上記3つのカウンタなどを制御する場合はプログラム分岐などを行う。続いて、制御回路300は、上記3つのカウンタのうちの第2カウンタで次の計測不可能領域の終了をカウントすると、その計測不可能領域の終了を示す信号の後に第1カウンタに次の計測可能領域の長さに応じたプリセット値をセットしてクロックによりカウントさせる。
制御回路300は、第2カウンタが計測不可能領域の終了をカウントすると、その計測不可能領域の終了を示す信号の後に第1カウンタに次の計測可能領域の長さに応じたプリセット値をセットしてクロックによりカウントさせる。制御回路300は、第1のカウンタで2番目の計測可能領域の終了をカウントすると、その計測可能領域の終了を示す信号の後に直流電流の計測を取止める。
【0065】
その後、制御回路300は、上記3つのカウンタのうちの第3カウンタが次の計測不可能領域の終了をカウントすると、その計測不可能領域の終了を示す信号の後に第1カウンタに次の計測可能領域の長さに応じたプリセット値をセットしてクロックによりカウントさせる。
【0066】
制御回路300は、タイミング検知手段が第1カウンタのカウント中に交流高圧トランスブロック1102から対向ローラ73への交流出力(交流電流に直流電流を重畳した出力)が0点を下降して通過するタイミング(o)を検知し、その後に第1カウンタが計測可能領域の終了をカウントすると、その計測可能領域の終了を示す信号の後に直流電流の計測を取止める。
【0067】
そして、制御回路300は、タイミング検知手段が、上記交流出力(交流電流に直流電流を重畳した出力)が0点を下降して通過するタイミング(o)より後に交流電流値及び位相情報から予想される上記交流出力の測定可能な各測定可能領域及び各測定不可能領域に基づいて、タイミング(o)から上記交流出力の測定可能な最初の測定可能領域の終了までの長さに応じたプリセット値、タイミング(o)から上記交流出力の最初の測定不可能な領域の終了までの領域の終了に応じたプリセット値、タイミング(o)から次の上記交流出力の2番目の測定不可能な領域の終了までの領域の終了に応じたプリセット値として上記3つのカウンタにそれぞれプリセットし、以下上述と同様に処理を行う。
【0068】
制御回路300は、第1カウンタのカウント開始からカウント終了(測定可能領域)に合わせて直流出力検出ブロック1107に直流測定指示DCsennseを出して直流出力検出ブロック1107の直流出力検出信号をオン/オフさせ、上述のように直流出力検出ブロック1107からの検出信号に基づいて指令を直流制御ブロック1108へ出力して直流出力の制御を行う。
【0069】
以上により、直流の計測の間を一時ストップさせてしまうことで、一波形の中にて測定不可期間を定めておき、これによるバイアス制御の安定化に貢献する。
【0070】
図9は、他の実施例を示し、図10は同実施例の作用を示すタイミングチャートである。
この実施例では、上記実施例において、直流出力検出ブロック1107の直流出力検出信号を電流計測のGO/NG部分にサンプル&ホールド回路1109を使ったものである。サンプル&ホールド回路1109は、制御回路300からのサンプル&ホールド信号SHenableにより上記実施例と同様に交流電流値及び位相情報から予想される上記交流出力の計測可能領域の始め及び終了、計測不可能領域の始め及び終了に応じて直流出力検出ブロック1107の直流出力検出信号をタイミング検知手段からの検知信号に基づいて、計測可能領域でサンプルして計測不可能領域でホールドし、直流出力検出ブロック1107の直流出力検出信号と同様な直流出力検出信号を制御回路300へ出力する。
【0071】
これにより、ノイズが予想される区域では値を図10の、水平方向に引いた黒線のように保持しておくことができる。今回の交流の周波数については、100〜1kHzくらいであるので、設計は特に難しいものではないため、図は省略する。サンプル&ホールド回路1109は、一般的にはコンデンサ、アナログスイッチ、抵抗で構成し、高入力抵抗の素子(例えばCMOS)に入力することで作成が可能である。
【0072】
次に、本発明の画像形成装置についてその詳細を説明する。
なお、本形態は一つの例を示すものであり、本発明者は、構成やプロセス条件が変わっても本発明の効果が変わらないことを複数の画像形成装置や種々の画像形成環境で確認している。
図11は、カラー画像形成装置(以下、単にプリンタと呼ぶ)の一例を示す概略図である。このプリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の色成分画像を記録用紙上で重ね合わせて画像を形成する画像形成装置である。
【0073】
本実施例では、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色にそれぞれ対応する画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kが、図11のように配置されている。各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kに設けられた像担持体である感光体ドラム11,12,13,14上に形成される各色トナー像は、これらの感光体ドラムに当接して配置されているベルト状の中間転写体(中間転写ベルト50)へ順次転写される。中間転写ベルト50へ転写されたトナー像は、用紙カセット101から給紙ローラ100を経て給紙された記録用紙上に転写される。
具体的には、用紙カセットから給紙された記録用紙は中間転写ベルト50と二次転写ローラ80の間に矢印Fの方向から所定のタイミングで搬送される。
【0074】
この時、中間転写ベルト50上に形成されたフルカラートナー像は、二次転写ローラ80と二次転写部対向ローラ73との間に形成された二次転写ニップで記録用紙上に一括転写される。フルカラートナー像が転写された記録用紙は、定着装置91へ搬送され、定着装置91において加熱・加圧され、機外へと排出される。
【0075】
各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは全て同じ構成であるため、1Yについてのみ説明する。
図12は、本実施例で用いた画像形成ユニット1Yの概略構成を示す部分断面図を示す。
画像形成ユニット1Yは、像担持体としての感光体ドラム11と、感光体ドラム11の表面を帯電ローラによって帯電する帯電装置21と、感光体ドラム11上の潜像をトナー像化する画像形成手段としての現像装置31と、中間転写ベルト50上に潜像担次体を転写するための一次転写ローラ61と感光体ドラム11の表面に残存したトナーをクリーニングする感光体クリーニング装置41とを備えている。
【0076】
上述の帯電装置21は、ローラ形状の導電性弾性体から構成される帯電ローラに対して直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する構成となっている。この帯電ローラと感光体ドラム11との間で直接放電を起こすことで感光体ドラム11を所定の極性、例えば、マイナス極性に帯電させる。次いで、各感光体ドラム11の帯電面に、図示していない画像書き込み手段から出射する光変調されたレーザ光Lを照射する。これによって、各感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。即ち、レーザ光が照射され感光体表面部分の電位の絶対値が低下した部分が静電潜像となる。
【0077】
一次転写ローラ61は、導電性弾性ローラであり、中間転写ベルト50の裏面から感光体ドラム11に対して押し当てられるように配置されている。この弾性ローラには一次転写バイアスとして定電流制御されたバイアスが印加されている。
【0078】
感光体クリーニング装置41は、クリーニングブレード41aと、クリーニングブラシ41bを備えている。41aは、感光体ドラム11の回転方向に対してカウンタ方向から感光体ドラム11と当接している状態で、クリーニングブラシ41bは感光体ドラム11と逆方向に回転しながら接触している状態で感光体ドラム11表面をクリーニングする。
【0079】
現像装置31は、Yトナーとキャリアを有する2成分現像剤が収容された収容容器31cと、この収容容器31c内に配置され収容容器31cの開口部を介して感光体ドラム11と対向するように配置された現像剤担持体としての現像スリーブ31aと、収容容器31c内に配置され、現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌部材としてのスクリュー部材31bとを備えている。
【0080】
スクリュー部材31bは、現像スリーブ側となる現像剤の供給側と、図示しない補給トナー装置の供給を受ける側にそれぞれ配置され、収容容器31cに図示しない軸受け部材によって回転自在に支持されている。
【0081】
上記4組の画像形成ユニットの感光体ドラム11,12,13,14は、不図示の感光体ドラム駆動装置によって図中矢印R1方向に回転駆動される。また、ブラック用の感光体ドラム14と、カラー用の感光体ドラム11,12,13とを独立に回転駆動できるようにしても良い。
これにより、例えば、モノクロ画像を形成する時には、ブラック用の感光体ドラム14のみを回転駆動し、またカラー画像を形成する時には4つの感光体ドラム11,12,13,14を同時に回転駆動させることができる。ここで、モノクロ画像を形成する時は、カラー用の感光体ドラム11,12,13から離間するように中間転写ベルト50を有する中間転写ユニットが部分的に揺動させられる。
【0082】
中間転写ベルト50は例えば中抵抗の無端上のベルト材で構成され、二次転写部対向ローラ73及び支持ローラ71,72といった複数の支持ローラに掛け回されている。この支持ローラの一つを回転駆動することにより、中間転写ベルト50を図中矢印方向に無端移動させることができる。
また、支持ローラ72は接地されており、その支持ローラ72に対向する形で表面電位計75が配置されており、中間転写ベルト50上に転写されたトナー像が支持ローラ72上を通過した時、表面電位を計測する。
【0083】
二次転写部対向ローラ73には、転写バイアス用の電源110が接続されている。この電源110は、交流電圧に直流電圧を重畳して印加することができ、印加電圧のIpp及びIoffを定電流制御することができる。二次転写部対向ローラ73に電圧を印加することで、対向ローラ73と二次転写ローラ80の間に電位差が生じ、トナーが中間転写体から記録用紙側へ向かう電圧が生じる為、トナー像を記録用紙に転写させることができる。
【0084】
ここでは特殊製紙株式会社製の「レザック66 175kg紙(厚みが約210μm,凹凸差が最大で約120μm)を用いて評価を行った例を示す。Ioffは−11(μA)〜−23(μA)、Ippは2.2(mA)〜3.4(mA)の間で変化させた。この評価結果を図13乃至図15に示し、画像形成時に電源から出力されたVppとVoffの平均値と画像の関係を図16に示す。
【0085】
図16において、3つの点線に囲まれた領域において、良好な画像が成立した。最も転写性の悪い記録用紙における成立範囲内のIpp,Ioffを設定することで、全ての記録用紙に対して良好な転写性を得ることができる。例えば本実施例ではIoffを−18(μA), Ippを2.8(mA)〜3.0(mA)に設定することで凹凸紙に対して図13乃至図15に示すように、良好な転写性を得ることができる。
【0086】
次に電源110を直流成分は定電流制御、交流成分は定電圧制御を行う電源に変更し、画像出力を行った。Ioffを−16(μA)に設定し、Vppを変化させた結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
表1に示すように、Ioffが適切な値となるように定電流制御することで、交流成分を定電圧制御しても異なる用紙で同時に画像が成立する値を選択することができる。
【0089】
このように、出力電圧をIoffまたはIoff及びIppで定電流制御することにより、被転写体の種類に対応して凹部への転写性の高い転写を安定して行うことができる。
【0090】
以上のように本実施例においては、交流成分に直流成分を重畳して印加した電圧を用いた静電トナー転写装置において、電源の出力状態を検知する部分にて間欠的な検知を行うことにより、交流のノイズが大きくても、直流電流の安定した検知・駆動が可能になる。
【0091】
また、被転写体の移動速度に応じて定電流制御値を変更することにより、速度の異なるモードを持つ転写装置においても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0092】
さらに、像担持体上のトナー付着量に応じて定電流制御値を変更することにより、モノクロやカラーのように付着量の大きく異なる画像に対しても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。また、電源から出力される電圧を、直流のみで出力する場合と直流と交流を重畳して出力する場合のいずれかに選択可能とすることで、従来からある直流電圧による転写方式と切り替えて使用することが可能となる。
【0093】
しかも、直流のみを印加する電源と直流と交流を重畳または交流のみを印加する電源とを別々に設けることで、既存の直流電源のみを使用したシステムに対して、切り替え可能な状態で後から容易に組み込み、機能向上を図ることができる。
【0094】
また、直流のみを印加する電源と直流と交流を重畳または交流のみを印加する電源とを像担持体側と被転写体側に別々に設けることで、製品内のスペースを有効に利用でき、製品の小型化などが可能になる。そして、前記転写装置を様々な画像形成装置と組み合わせることにより、静電粒子を凹凸のある被転写体へ転写させる色々な用途への使用が可能となる。
【符号の説明】
【0095】
50 像担持体
73 対向部材
80 転写部材
110,111 転写バイアス用電源
P 被転写体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特開2006−267486号公報
【特許文献2】特開2008−058585号公報
【特許文献3】特開平09−146433号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、直流成分と交流成分とを用いた重畳バイアス制御に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、電子写真方式を用いる複写機やプリンタあるいは印刷機などの画像形成装置においては、あらかじめ一様に帯電された像担持体上に光学的な画像情報を形成することによって得た静電潜像を、現像装置からのトナーによって可視化し、この可視像を記録用紙上に転写、定着することによって画像形成が行われている。
【0003】
画像形成装置においては、単一色だけでなく、フルカラーなどの複数色の画像を形成する構成を備えたものもあり、この場合には、複数の作像部において形成された異なる色の画像をベルトなどの中間転写体に対して順次転写(1次転写)したうえで、重畳画像を記録シートなどの記録媒体に対して一括転写(2次転写)する方式を用いることがある。
【0004】
ところで、画像転写の対象となる記録媒体としては、普通紙などが多用されているが、近年、多種多様な用紙が用いられ、そのうちでも、高級感を備えた皮革模様をイメージしたものや和紙調のもの等が市販され、多彩な表現を有する印刷物の形成を可能としている。
これら多用な表現を有する印刷物として用いられる記録用紙は、高級感を出すため、エンボス加工等により表面に凹凸が存在している。
凹部は凸部に比べてトナーが転写しにくく、特に凹凸の大きい記録用紙にトナーを転写させる場合、凹部にトナーが充分に転写せず画像の抜けが発生するといった問題がある。
【0005】
そこで、凹部を対象とした転写率を向上させて画像抜けなどの転写不良を防止するための方法として次のものが知られている(特許文献1)。
特許文献1には、記録用紙へのトナー像の転写の直前に、記録用紙を加熱して、かつトナーと反対極性に帯電させることにより、転写時の転写電界を強くさせることで、凹部にトナーを転写させるようにした方法が開示されている。
しかし、この方法では、凹凸視の大きな凹凸部分において十分な転写性を得ることができない結果が実験などにより確認されている。
【0006】
このような不具合を解決するための方法として、直流電圧に交流電圧を重畳することにより、トナーに対する静電力付与と振動作用により凹部での転写率の向上や中抜けの防止を図る方法も提案されている(例えば、特許文献2〜4)。
特許文献2では、転写バイアスとして直流電圧に交番電圧を重畳したものを用い、また転写前に記録用紙の表面をその凹凸に応じてトナーの極性と逆極性に帯電させることで凹部にトナーを転写させるよう制御を行うものである。
特許文献3では、転写バイアスとして直流電圧に交番電圧を重畳したものを用い、交番電圧のピーク間電圧が、直流電圧の2倍以下になるように交番電圧を重畳することを特徴としている。
特許文献4では、中間転写体の表面にフッ素樹脂を用い、転写バイアスとして直流電圧に交番電圧を重畳したものを用い、交番電圧のピーク間電圧が、直流電圧の2.05倍以上になるように交番電圧を重畳することを特徴としている。
【0007】
いずれも直流電源、交流電源の印加電圧が狙いの値になるように制御して転写性向上を試みており、具体的な構成においても転写電圧値と転写性の関係が示されるのみである。
また、交流重畳転写方式が開発されつつあり、交流を定電圧に制御し、直流を定電流に制御するものも提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の提案内容である、交流重畳転写バイアス方式について記述する。
例えば、交流を定電圧に制御し、直流を定電流に制御する方式では、直流電圧に重畳する交流電圧の値は、紙における全体の濃度や凹部濃度などによって正確に制御されなければならない。
このような制御がなされないと、形成画像の濃度が薄れたり、異常な放電による画像が生じることもある。これらの条件は、環境や紙種などに応じても、細かく対応させる必要がある。
【0009】
しかし、直流成分に重畳される交流成分の電流値は、直流電流値の10〜1000倍にもなる。これは交流成分ACに対するインピーダンスが一般にDCに対するインピーダンスよりも低いためである。交流電源自体も大きい電流ノイズを発生するのが普通である。
このため、交流電流が重畳された直流電流のリアルタイム計測に、交流のノイズが入り込んでしまうことがあり、これによって制御を困難にしてしまう虞がある。
【0010】
本発明の目的は、上記従来の交流重畳方式を対象とした場合に、前述したノイズの影響を受けることなく転写品質の良好な画像が得られる転写装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを転写手段に印加し、像担持体から被転写体に静電トナーによる画像を転写する転写装置において、
前記転写バイアスの交流電流値と位相情報を計測し、該位相情報から予測される区間内にて重畳された直流電流値の計測を停止することを特徴とする転写装置。
(2)交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを電源から出力する転写バイアス発生装置を備えた転写装置において、
前記電源の出力バイアスの交流分を計測・記録し、該交流波形のある位相区間内で、直流成分の計測を停める制御装置を含むことを特徴とする転写装置。
(3)前記の交流波形中に直流成分の非計測区域を有する転写装置において、該非計測位相区間を前記被転写体の凹凸粗さに応じて変更することを特徴とする(1)または(2)に記載の転写装置。
(4)前記転写装置の電圧を付与する転写装置において、
転写バイアスとして直流成分の電圧のみを出力するモードと、転写バイアスとして直流成分と交流成分を重畳した電圧を出力するモードを選択可能であることを特徴とする(1)乃至(3)のうちの一つに記載の転写装置。
(5)(1)乃至(4)のうちの一つに記載の転写装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、交流測定において交流分の位相情報をまず測定して記録し、そしてノイズが多い位相区間を特定し、その区間の直流計測を行わないようにして、直流分の測定精度を改善できるとともに、転写バイアス中の直流設定のセット時間を早めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による転写装置の構成を説明するための模式図である。
【図2】図1に示した転写装置に用いられる転写バイアスの電流波形示す図である。
【図3】本発明による転写装置の要部構成を説明するための図1相当の模式図である。
【図4】本発明による転写装置に用いられる交流重畳電圧生成のための電源の構成を説明するためのブロック図である。
【図5】図4に示した電源からの出力電圧の波形を示す図である。
【図6】図4に示した電源に流出力検出ブロック、直流出力検出ブロックの電流検知回路内にてローパスフィルタを挿入したノイズ対策時での出力波形を示す図である。
【図7】本発明の別実施例による転写装置の要部構成を説明するためのブロック図である。
【図8】図7に示した要部構成に用いられる電源からの出力波形を示す図である。
【図9】本発明の他の実施例による転写装置の要部構成を説明するためのブロック図である。
【図10】図9に示した要部構成に用いられる電源からの出力波形を示す図である。
【図11】本発明による転写装置が用いられる画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図12】図11に示した画像形成装置に用いられる画像形成ユニットの構成を説明するための模式図である。
【図13】本発明実施例による転写装置での転写バイアス条件の一つによる凹凸紙への転写状態の評価結果を説明するための図である。
【図14】図13に示した転写バイアス条件と異なる条件を用いた場合の凹凸紙への転写状態の評価結果を説明するための図である。
【図15】図14に示した転写バイアス条件と異なる条件を用いた場合の凹凸紙への転写状態の評価結果を説明するための図である。
【図16】画像形成時に電源から出力されたVppとVoffの平均値と画像の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図に示す実施例により本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明による転写装置の概略構成を示す模式図であり、その作用と構成とを併せて説明すると次の通りである。
【0015】
図1において、符号200は画像形成手段または画像転写手段であり、符号50は、画像形成手段により形成されたトナー像を担持する感光体または画像形成手段により形成されて転写されたトナー像を担持する中間転写体などの像担持体である。像担持体50上のトナー像は、矢印の方向に搬送される。
【0016】
一方、図示しない給紙装置から、被転写体Pが、像担持体50と転写部材80との間に、矢印の方向から所定のタイミングで搬送され、像担持体50上に形成されたトナー像が記録材である被転写体P上に静電的に転写される。
【0017】
この時、像担持体50上のトナーが被転写体Pへ転写される方向に直流成分による電界が形成されるように、電源110及び/又は電源111から転写バイアス電圧が対向部材73及び転写部材80からなる転写装置に印加される。
【0018】
電源110及び/又は電源111から印加される転写バイアス電圧は、交流電圧に直流電圧を重畳した電圧であり、電源110、電源111のいずれか一方からのみ交流電圧に直流電圧を重畳した交流直流重畳電圧(転写バイアス電圧)を印加してもよいし、電源110、電源111で転写バイアス電圧の交流電圧と直流電圧を分離して対向部材73及び転写部材80のいずれか一方に印加してもよい。
また、電源110、電源111のいずれか一方から交流直流重畳電圧を対向部材73及び転写部材80のいずれか一方に印加し、かつ電源110、電源111のもう一方から直流電圧を対向部材73及び転写部材80のもう一方に印加してもよい。
【0019】
さらに、電源110、電源111の出力電圧を直流成分のみの場合と交流直流重畳電圧を印加する場合とに選択可能にすることで、条件に応じて電源110、電源111の出力電圧を切り替えて使用することができる。例えば、被転写体Pが凹凸のない記録材である場合には電源110、電源111の一方から直流成分のみを対向部材73及び転写部材80の間に印加するように切り替えることができる。
これにより、交流電圧を必要としない使用用途の場合には、従来ある転写装置のように直流成分のみを使用することができ、省エネルギーで使用できる。
【0020】
この場合、電源は交流直流重畳電圧を印加する一体の電源において交流成分を印加しないように切り替えることで直流成分のみを印加する方式でもよいし、直流電圧印加用の電源回路と交流直流重畳電圧印加用の電源回路を別々に持ち、これらの電源回路を切り替えることにより、転写バイアス電圧の切り替えを行う方式でもよい。
【0021】
後者の場合、既存の直流電圧印加方式の転写装置に後から交流直流重畳電圧印加用の電源回路組を組み込み、機能をバージョンアップすることや、調整された既存のシステムを変えることなく使用することで開発期間を短縮できるなどの効果が得られる。
【0022】
また、交流電源、直流電源を、図1に示す電源110、電源111のように対向部材73側と転写部材80側とに分離して配置した場合、筐体内が省スペース化され、空きスペースを他の機能に利用したり、装置の小型化などが可能になる。
【0023】
ここで、図2は電源110から対向部材73へ流れ込む方向の電流を測定した場合の一例である。
図2において、電源110から出力される電圧は直流成分の電流値Ioff、またはIoff及び交流成分のピーク間電圧値Vppが、設定した値になるように制御される。
【0024】
以降、交流電圧に直流電圧を重畳して印加する電圧印加方式において、電源の出力電流の直流成分(オフセット電流)Ioff、または交流成分のピーク間電流の大きさIppが任意の電流値になるように電源の出力電圧を制御する制御方式を定電流制御方式と称し、電源の出力電圧の直流成分Voff、または交流成分のピーク間電圧の大きさVppが任意の値となるように電源の出力電圧を制御する制御方式を定電圧制御方式と称する。
【0025】
電源出力の直流成分を定電圧制御する場合は、湿度による転写装置の部材の抵抗変化や記録材の違いによる抵抗変化により、電源出力の直流成分を大きく変更しなければ良好な転写性を得られないが、電源出力の直流成分を定電流制御する場合は、前記変化に対する転写性の変動が小さい。このため、ここでは定電流制御方式を採用している。
【0026】
電源の出力電圧をIoffで定電流制御する場合の一例を図3を示す。
図3において、Ioffは、電源110に内蔵された電流計により検出され、制御回路300へ入力される。次に制御回路300から電源110へ制御信号が入力される。制御回路300は設定電流値に応じて電源110への制御信号を出力し、制御回路300は電源110から出力されるIoffが設定値となるように電源110の出力電圧を調整する。
【0027】
Ippを定電流制御する場合も、同様にIppが電源110に内蔵された電流計により検出され、制御回路300へ入力される。次に制御回路300から電源110へ制御信号が入力される。
制御回路300は設定電流値に応じて電源110への制御信号を出力し、制御回路300は電源110からされるIppが設定値となるように電源110の出力電圧を調整する。
【0028】
本発明者らの検討によると、Ioffはトナーによる電荷の移動や放電による電荷の移動を示している。このため、Ioffはトナー移動による電流量を目安に設定する。トナー移動による電流量Itonerは次の(1)式に示す関係で表すことができる。
Itoner =v*W*Q/M*M/A*10・・・(1)
ここで、v:被転写体Pの速度(m/s), W:画像のローラ軸方向の幅(m), Q/M:トナー帯電量(μC/g) ,M/A:トナー付着量(mg/cm2)である。
【0029】
画像幅とトナー付着量には、全トナーが転写できるように、記録材にベタ画像を転写する場合に想定される最大値を用いる。例えば、v= 0.3(m/s), W=0.3(m), Q/M=−30(μC/g), M/A=0.5(mg/cm2)であれば、Itoner=−13.50(μA)となる。このとき、Ioffの絶対値は|Itoner|以上の値、例えばIoff=−20(μA)の様に設定することが好ましい。
【0030】
被転写体Pの速度vを変更する場合のIoffの設定値は、制御回路300にて(1)式からItonerを算出すればよく、例えばv=0.15(m/s)の場合はIoff=−6.75(μA)となるため、Ioff=−10(μA)の様に設定する。
【0031】
被転写体に応じて速度を変更する場合には、制御回路300はIoffを各速度に対応した設定値に自動的に切り替えるモードを設けることで、被転写体速度に対しても安定した画像を得ることができる。
【0032】
さらに、制御回路300は、M/Aがモノクロ画像よりも多くなるカラー画像の場合のIoffの設定値も、前記(1)式から見積もり、例えばカラー画像のM/Aをモノクロ画像の2倍の1.0(mg/cm2)と仮定した場合、Ioffも2倍の−40(μA)のように設定すればよい。
【0033】
また、出力画像情報に応じて設定Ioffを制御回路300にて自動的に切り替えるカラー印刷モードを設けることで、カラー画像、モノクロ画像のいずれに対しても安定した画像を得ることができる。
Ippは少なくとも紙の凹部にトナーが転写するための転写電界を転写装置に付与できるだけの大きさが必要となり、Ippが小さすぎると紙の凹部にトナーが転写されない。
【0034】
Ippの大きさは転写部材の抵抗や転写ニップの幅などによっても異なるが、ここでは、例えばIpp=3.0(mA)のように設定する。Ippを適切な値に設定することにより、被転写体Pが変わってもその凹部への良好な転写性を保つことができる。なお、転写部材80の形状は、転写ニップ部に交流直流重畳電界を印加可能であればとくに限定はされるものではないが、ローラ形状が摩擦力低減などの点から好ましく、円柱状に形成された導電性の芯金と、該芯金の外周面に積層された樹脂やゴムなどの表層からなる構成などがある。
【0035】
また、記録材である被転写体Pは紙、樹脂、金属など様々な物質を用いることができる。本実施例において転写バイアスの交番電圧の波形は、正弦波を用いているが、矩形波等他の波形を用いても問題は無い。
【0036】
次に、本発明の転写装置の電源回路について詳細に説明する。
図4は、図3に示す交流直流重畳電圧を生成する電源110の構成の一例を示す。電源110においては、交流電圧発生手段と直流電圧発生手段が直列に接続され、これらは負荷となる対向ローラ73と転写部材80との間に接続され、転写部材80は接地されている。なお、被転写体Pと像担持体50の図示は省略している。電源110を駆動する電源24VとGNDが、図示していないインタロックスイッチを介して、制御回路300から供給される。
【0037】
さらに電源110は起動信号のACおよびDCが制御回路300から入力される。また、交流電圧発生手段と直流電圧発生手段は異常検知手段が接続されて電源出力の異常が検知され、電源出力の異常検知信号SCを制御回路300に出力している。
【0038】
この構成により電源110は負荷の対向ローラ73と転写部材80との間に、直流電圧が重畳された交流電圧が印加される。電源110の動作に使われる電源入力、および異常検知信号の図示は省略している。
交流電圧発生手段は、交流駆動、交流高圧トランス、交流出力検出、交流制御の各ブロック1101〜1104により構成されている。
【0039】
一方、直流電圧発生手段は、直流駆動、直流高圧トランス、直流出力検出、直流制御の各ブロック1105〜1108で構成させている。
制御回路300から交流駆動ブロック1101へ交流電圧の周波数を設定する信号CLKが供給され、さらに、交流出力の電流または電圧を設定する信号AC PWMが制御回路300から交流制御ブロック1104へ供給され、交流高圧トランスブロック1102の交流出力をモニターする信号AC FB Iが交流出力検出ブロック1103から制御回路300へ供給される。
【0040】
直流生成手段でも、転写バイアスの交流出力に重畳される直流出力の電流または電圧を設定する信号DC PWMが制御回路300から直流制御ブロック1108へ供給され、直流高圧トランスブロック1106の直流出力をモニターする直流出力検出ブロック1107からの検出信号DC FB Iが制御回路300へ供給される。
【0041】
交流駆動ブロック1101は制御回路300からの信号CLKにより設定した周波数の交流電圧を発生して交流高圧トランスブロック1102へ出力し、交流高圧トランスブロック1102は交流駆動ブロック1101からの交流電圧を昇圧して対向ローラ73に印加する。
【0042】
交流出力検出ブロック1103は、交流高圧トランスブロック1102の出力電流の交流成分を検出し、その検出信号を交流制御ブロック1104及び制御回路300へ出力する。
制御回路300は、交流出力検出ブロック1103からの電流検出信号に基づいて、交流高圧トランスブロック1102の交流出力のピーク間電圧が所定の設定値になるような指令を交流制御ブロック1104へ出力する。
【0043】
交流制御ブロック1104は、制御回路300からの指令に基づいて、交流出力検出ブロック1103からの検出信号が、設定されたピーク間電流になるように交流駆動ブロック1101の交流出力電圧を制御することで交流高圧トランスブロック1102の交流出力のピーク間電流を設定値に制御する。
同様に、直流駆動ブロック1105は制御回路300からの信号DC PWMにより設定した直流電圧を発生して直流高圧トランスブロック1106へ出力し、直流高圧トランスブロック1106は直流駆動ブロック1105からの直流電圧を昇圧して転写部材80に印加する。
【0044】
制御回路300は、直流制御では定電圧制御を優先して行い、直流出力検出ブロック1107は、直流高圧トランスブロック1102の直流出力の直流電圧を検出し、その検出信号を直流制御ブロック1108及び制御回路300へ出力する。
【0045】
さらに制御回路300は、直流出力検出ブロック1107からの検出信号に基づいて、交流高圧トランスブロック1102の直流出力のVoffが所定の設定値になるような指令を直流制御ブロック1108へ出力する。
直流制御ブロック1108は、制御回路300からの指令に基づいて、直流出力検出ブロック1107からの検出信号が設定値になるように直流駆動ブロック1105の直流出力電圧を制御することで直流高圧トランスブロック1106の直流出力のVoffを設定値に制御する。
【0046】
交流制御では交流出力の電流および電圧を制御しており、所謂、定電流制御または定電圧制御のどちらも可能なように交流出力検出ブロック1103で交流高圧トランスブロック1102の出力電流および出力電圧の両方を検出している。
【0047】
これは直流制御でも同様であり、定電流制御または定電圧制御のどちらも可能なように直流出力検出ブロック1107で直流高圧トランスブロック1106の出力電流および出力電圧の両方を検出している。
【0048】
制御回路300は、交流で定電圧制御を行う場合には、交流出力検出ブロック1103からの交流電圧検出信号に基づいて、交流高圧トランスブロック1102の交流出力のピーク間電圧が所定の設定値になるような指令を交流制御ブロック1104へ出力する。
【0049】
交流制御ブロック1104は、制御回路300からの指令に基づいて、直流出力検出ブロック1107からの検出信号が設定値になるように交流駆動ブロック1101の交流出力電圧を制御することで交流高圧トランスブロック1102の交流電圧のピーク間電圧を設定値に制御する。
また、制御回路300は、直流で定電流制御を行う場合には、直流出力検出ブロック1107からの電流検出信号に基づいて、直流高圧トランスブロック1106の直流出力の直流電流が設定値になるような指令を直流制御ブロック1108へ出力する。
【0050】
直流制御ブロック1108は、制御回路300からの指令に基づいて、直流出力検出ブロック1107からの電流検出信号が設定値になるように直流駆動ブロック1105の直流出力電圧を制御することで直流高圧トランスブロック1106の直流出力の直流成分Ioffを設定値に制御する。
【0051】
この実施例では、上述のように交流は定電圧制御を行うように電流を検知して制御するようにしてあり、直流は定電流制御を行うように電圧検出値を優先して制御するようにしている。また、異常検知手段により無負荷状態などでの最高電圧を異常などとして検知する。さらに、制御回路300では交流および直流の各出力検出ブロック1103、1107からのモニター信号を、負荷状態の監視のための情報として入力している。
交流駆動ブロック1101は交流電圧の周波数を制御回路300からの信号CLKで設定しているが、交流電圧発生手段の内部で固定の周波数を生成してもよい。
【0052】
図5は、電源110からの出力電圧の波形とその電流値を計測したものを示す。
この計測は実際に高圧出力中に電流ロガーをおいて高速にサンプルしたものである。この1例では2〜3mA(RMS)のACバイアスの場合、正弦波では約10mAのamplitudeとなる。さらにこれにノイズが加わると、15mA程度のパルスを多く含んだデータが観測されるが、もちろんノイズ波形は別に変わり、また大小も変動する。この場合、直流分のリアルタイムの計測がこのような非対称なパルス状交流の重畳で実質困難になる。
【0053】
図5の場合は3回の電流測定を行っているが、それらについてIofset値は3回の計測値が大きく異なる。これは先述のように交流電流値数mAの内部に放電電流というリアルタイムのノイズが入るからである。
【0054】
ここで図6に、一般的な対策を挙げる。
これは交流出力検出ブロック1103、直流出力検出ブロック1107の電流検知回路内にてローパスフィルタを挿入した時の図で、ハッチングされた部分のように面積的に積分された(上半分)値と(下半分)値が測定できる。これにより、Iofsetを算出することが可能になる。ただし、同方法の問題は応対帯域が非常に低いことで、500Hzの交流重畳電源バイアスの測定が0.5sec以上ともなることになる。これはDC分をオンしてから15cmもの制御不安定な部分が生じさせることになる。
【0055】
以上の不具合を鑑み、本発明ではより精度のよい制御が可能な回路を提示する。
【0056】
図7は、区間を指示することとした場合の実施例である。
この実施例では対向ローラ73に印加する電圧の交流成分を制御回路300からのクロック(CLK)と交流制御(電流/電圧)信号(AC PWM)により交流駆動ブロック1101で生じさせ、交流高圧トランスブロック1102の高圧トランスにて昇圧して、負荷に流す。なお、この高圧トランスのGNDの近い方に、直流高圧トランスブロック1106の直流高圧トランスを直列でつなぎ、別の直流制御(電流/電圧)信号(DC PWM)により直流高圧トランスブロック1106で同印加電圧の直流成分を生じさせる。
【0057】
交流電流値(電圧値)のフィードバックは、制御回路300へAC FBIとして行われ、直流電圧値(電流値)のフィードバックは制御回路300へDC FBIとして行われる。この回路ではDCは電源単体としても負荷に流すことができていて、これはDC単体の電源のみでよい転写条件時に用いられる。
【0058】
また、交流高圧トランスブロック1102から対向ローラ73への交流の切断については、電源110として、ソリッドステートリレーよりも高圧リレーを複数個使って状態を複数持たせた電源を作る方がことは容易である。交流の切断は浮遊容量などや絶縁破壊性などから設計されなくてはならない。
【0059】
図8は、前述の図7の電源において、その作用を図示したものである。
この電源の制御は紙が実際に対向ローラ73と転写部材80との間を通過している際にリアルタイムに行われることを想定している。
【0060】
まず、交流高圧トランスブロック1102から対向ローラ73への交流出力(交流電流に直流電流を重畳した出力)が0点を下降して通過するタイミングをタイミング検知手段により取り出す。このタイミング検知手段は図示していないコンパレータや位相制御用コンデンサーやワンショット回路などで実現できる。
【0061】
制御回路300は、そのタイミング検知手段の検知したタイミング(o)から、3つのカウンタをリセットして該3つのカウンタにプリセット値をセットし、図示していないクロックにて該3つのカウンタをダウンカウントしていく。なお、この交流出力(交流電流に直流電流を重畳した出力)は分圧デバイダ(コンデンサーによる分圧器)を使って分圧すれば充分に操作容易な電圧となり、そのまま制御回路300内のCPUへの入力が可能になる。
【0062】
上記3つのカウンタのプリセット値は、上記交流出力の波形(交流電流値と、上記タイミング(o)を基準とする位相情報)を見ながら予め機械の条件に応じて計測して機内のメモリに保存しておくか、直接ハードウェアに焼き込んでいるものとし、これらの交流電流値及び位相情報から予想される上記交流出力の測定可能な各測定可能領域及び各測定不可能領域に基づいて、上記交流出力の測定可能な最初の測定可能領域の長さに応じたプリセット値、タイミング(o)から上記交流出力の最初の測定不可能な領域の終了までの領域に応じたプリセット値、タイミング(o)から次の上記交流出力の2番目の測定不可能な領域の終了に応じたプリセット値として上記3つのカウンタにそれぞれプリセットする。
【0063】
上記交流出力の測定不可能な領域は、上記交流出力にノイズがのって所定のレベル以上となることで上記交流出力の測定が不安定となる領域であり、上記交流出力の測定可能な領域は上記交流出力が所定のレベル以下であることにより上記交流出力の測定が安定して行える領域である。
【0064】
続いて、制御回路300は、上記3つのカウンタのうちの第1のカウンタで最初の計測可能領域の終了をカウントし、その計測可能領域の終了を示す信号の後に直流電流の計測を取止める。具体的にはCPUで上記3つのカウンタなどを制御する場合はプログラム分岐などを行う。続いて、制御回路300は、上記3つのカウンタのうちの第2カウンタで次の計測不可能領域の終了をカウントすると、その計測不可能領域の終了を示す信号の後に第1カウンタに次の計測可能領域の長さに応じたプリセット値をセットしてクロックによりカウントさせる。
制御回路300は、第2カウンタが計測不可能領域の終了をカウントすると、その計測不可能領域の終了を示す信号の後に第1カウンタに次の計測可能領域の長さに応じたプリセット値をセットしてクロックによりカウントさせる。制御回路300は、第1のカウンタで2番目の計測可能領域の終了をカウントすると、その計測可能領域の終了を示す信号の後に直流電流の計測を取止める。
【0065】
その後、制御回路300は、上記3つのカウンタのうちの第3カウンタが次の計測不可能領域の終了をカウントすると、その計測不可能領域の終了を示す信号の後に第1カウンタに次の計測可能領域の長さに応じたプリセット値をセットしてクロックによりカウントさせる。
【0066】
制御回路300は、タイミング検知手段が第1カウンタのカウント中に交流高圧トランスブロック1102から対向ローラ73への交流出力(交流電流に直流電流を重畳した出力)が0点を下降して通過するタイミング(o)を検知し、その後に第1カウンタが計測可能領域の終了をカウントすると、その計測可能領域の終了を示す信号の後に直流電流の計測を取止める。
【0067】
そして、制御回路300は、タイミング検知手段が、上記交流出力(交流電流に直流電流を重畳した出力)が0点を下降して通過するタイミング(o)より後に交流電流値及び位相情報から予想される上記交流出力の測定可能な各測定可能領域及び各測定不可能領域に基づいて、タイミング(o)から上記交流出力の測定可能な最初の測定可能領域の終了までの長さに応じたプリセット値、タイミング(o)から上記交流出力の最初の測定不可能な領域の終了までの領域の終了に応じたプリセット値、タイミング(o)から次の上記交流出力の2番目の測定不可能な領域の終了までの領域の終了に応じたプリセット値として上記3つのカウンタにそれぞれプリセットし、以下上述と同様に処理を行う。
【0068】
制御回路300は、第1カウンタのカウント開始からカウント終了(測定可能領域)に合わせて直流出力検出ブロック1107に直流測定指示DCsennseを出して直流出力検出ブロック1107の直流出力検出信号をオン/オフさせ、上述のように直流出力検出ブロック1107からの検出信号に基づいて指令を直流制御ブロック1108へ出力して直流出力の制御を行う。
【0069】
以上により、直流の計測の間を一時ストップさせてしまうことで、一波形の中にて測定不可期間を定めておき、これによるバイアス制御の安定化に貢献する。
【0070】
図9は、他の実施例を示し、図10は同実施例の作用を示すタイミングチャートである。
この実施例では、上記実施例において、直流出力検出ブロック1107の直流出力検出信号を電流計測のGO/NG部分にサンプル&ホールド回路1109を使ったものである。サンプル&ホールド回路1109は、制御回路300からのサンプル&ホールド信号SHenableにより上記実施例と同様に交流電流値及び位相情報から予想される上記交流出力の計測可能領域の始め及び終了、計測不可能領域の始め及び終了に応じて直流出力検出ブロック1107の直流出力検出信号をタイミング検知手段からの検知信号に基づいて、計測可能領域でサンプルして計測不可能領域でホールドし、直流出力検出ブロック1107の直流出力検出信号と同様な直流出力検出信号を制御回路300へ出力する。
【0071】
これにより、ノイズが予想される区域では値を図10の、水平方向に引いた黒線のように保持しておくことができる。今回の交流の周波数については、100〜1kHzくらいであるので、設計は特に難しいものではないため、図は省略する。サンプル&ホールド回路1109は、一般的にはコンデンサ、アナログスイッチ、抵抗で構成し、高入力抵抗の素子(例えばCMOS)に入力することで作成が可能である。
【0072】
次に、本発明の画像形成装置についてその詳細を説明する。
なお、本形態は一つの例を示すものであり、本発明者は、構成やプロセス条件が変わっても本発明の効果が変わらないことを複数の画像形成装置や種々の画像形成環境で確認している。
図11は、カラー画像形成装置(以下、単にプリンタと呼ぶ)の一例を示す概略図である。このプリンタは、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の色成分画像を記録用紙上で重ね合わせて画像を形成する画像形成装置である。
【0073】
本実施例では、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色にそれぞれ対応する画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kが、図11のように配置されている。各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kに設けられた像担持体である感光体ドラム11,12,13,14上に形成される各色トナー像は、これらの感光体ドラムに当接して配置されているベルト状の中間転写体(中間転写ベルト50)へ順次転写される。中間転写ベルト50へ転写されたトナー像は、用紙カセット101から給紙ローラ100を経て給紙された記録用紙上に転写される。
具体的には、用紙カセットから給紙された記録用紙は中間転写ベルト50と二次転写ローラ80の間に矢印Fの方向から所定のタイミングで搬送される。
【0074】
この時、中間転写ベルト50上に形成されたフルカラートナー像は、二次転写ローラ80と二次転写部対向ローラ73との間に形成された二次転写ニップで記録用紙上に一括転写される。フルカラートナー像が転写された記録用紙は、定着装置91へ搬送され、定着装置91において加熱・加圧され、機外へと排出される。
【0075】
各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは全て同じ構成であるため、1Yについてのみ説明する。
図12は、本実施例で用いた画像形成ユニット1Yの概略構成を示す部分断面図を示す。
画像形成ユニット1Yは、像担持体としての感光体ドラム11と、感光体ドラム11の表面を帯電ローラによって帯電する帯電装置21と、感光体ドラム11上の潜像をトナー像化する画像形成手段としての現像装置31と、中間転写ベルト50上に潜像担次体を転写するための一次転写ローラ61と感光体ドラム11の表面に残存したトナーをクリーニングする感光体クリーニング装置41とを備えている。
【0076】
上述の帯電装置21は、ローラ形状の導電性弾性体から構成される帯電ローラに対して直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加する構成となっている。この帯電ローラと感光体ドラム11との間で直接放電を起こすことで感光体ドラム11を所定の極性、例えば、マイナス極性に帯電させる。次いで、各感光体ドラム11の帯電面に、図示していない画像書き込み手段から出射する光変調されたレーザ光Lを照射する。これによって、各感光体ドラム11の表面に静電潜像を形成する。即ち、レーザ光が照射され感光体表面部分の電位の絶対値が低下した部分が静電潜像となる。
【0077】
一次転写ローラ61は、導電性弾性ローラであり、中間転写ベルト50の裏面から感光体ドラム11に対して押し当てられるように配置されている。この弾性ローラには一次転写バイアスとして定電流制御されたバイアスが印加されている。
【0078】
感光体クリーニング装置41は、クリーニングブレード41aと、クリーニングブラシ41bを備えている。41aは、感光体ドラム11の回転方向に対してカウンタ方向から感光体ドラム11と当接している状態で、クリーニングブラシ41bは感光体ドラム11と逆方向に回転しながら接触している状態で感光体ドラム11表面をクリーニングする。
【0079】
現像装置31は、Yトナーとキャリアを有する2成分現像剤が収容された収容容器31cと、この収容容器31c内に配置され収容容器31cの開口部を介して感光体ドラム11と対向するように配置された現像剤担持体としての現像スリーブ31aと、収容容器31c内に配置され、現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌部材としてのスクリュー部材31bとを備えている。
【0080】
スクリュー部材31bは、現像スリーブ側となる現像剤の供給側と、図示しない補給トナー装置の供給を受ける側にそれぞれ配置され、収容容器31cに図示しない軸受け部材によって回転自在に支持されている。
【0081】
上記4組の画像形成ユニットの感光体ドラム11,12,13,14は、不図示の感光体ドラム駆動装置によって図中矢印R1方向に回転駆動される。また、ブラック用の感光体ドラム14と、カラー用の感光体ドラム11,12,13とを独立に回転駆動できるようにしても良い。
これにより、例えば、モノクロ画像を形成する時には、ブラック用の感光体ドラム14のみを回転駆動し、またカラー画像を形成する時には4つの感光体ドラム11,12,13,14を同時に回転駆動させることができる。ここで、モノクロ画像を形成する時は、カラー用の感光体ドラム11,12,13から離間するように中間転写ベルト50を有する中間転写ユニットが部分的に揺動させられる。
【0082】
中間転写ベルト50は例えば中抵抗の無端上のベルト材で構成され、二次転写部対向ローラ73及び支持ローラ71,72といった複数の支持ローラに掛け回されている。この支持ローラの一つを回転駆動することにより、中間転写ベルト50を図中矢印方向に無端移動させることができる。
また、支持ローラ72は接地されており、その支持ローラ72に対向する形で表面電位計75が配置されており、中間転写ベルト50上に転写されたトナー像が支持ローラ72上を通過した時、表面電位を計測する。
【0083】
二次転写部対向ローラ73には、転写バイアス用の電源110が接続されている。この電源110は、交流電圧に直流電圧を重畳して印加することができ、印加電圧のIpp及びIoffを定電流制御することができる。二次転写部対向ローラ73に電圧を印加することで、対向ローラ73と二次転写ローラ80の間に電位差が生じ、トナーが中間転写体から記録用紙側へ向かう電圧が生じる為、トナー像を記録用紙に転写させることができる。
【0084】
ここでは特殊製紙株式会社製の「レザック66 175kg紙(厚みが約210μm,凹凸差が最大で約120μm)を用いて評価を行った例を示す。Ioffは−11(μA)〜−23(μA)、Ippは2.2(mA)〜3.4(mA)の間で変化させた。この評価結果を図13乃至図15に示し、画像形成時に電源から出力されたVppとVoffの平均値と画像の関係を図16に示す。
【0085】
図16において、3つの点線に囲まれた領域において、良好な画像が成立した。最も転写性の悪い記録用紙における成立範囲内のIpp,Ioffを設定することで、全ての記録用紙に対して良好な転写性を得ることができる。例えば本実施例ではIoffを−18(μA), Ippを2.8(mA)〜3.0(mA)に設定することで凹凸紙に対して図13乃至図15に示すように、良好な転写性を得ることができる。
【0086】
次に電源110を直流成分は定電流制御、交流成分は定電圧制御を行う電源に変更し、画像出力を行った。Ioffを−16(μA)に設定し、Vppを変化させた結果を表1に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
表1に示すように、Ioffが適切な値となるように定電流制御することで、交流成分を定電圧制御しても異なる用紙で同時に画像が成立する値を選択することができる。
【0089】
このように、出力電圧をIoffまたはIoff及びIppで定電流制御することにより、被転写体の種類に対応して凹部への転写性の高い転写を安定して行うことができる。
【0090】
以上のように本実施例においては、交流成分に直流成分を重畳して印加した電圧を用いた静電トナー転写装置において、電源の出力状態を検知する部分にて間欠的な検知を行うことにより、交流のノイズが大きくても、直流電流の安定した検知・駆動が可能になる。
【0091】
また、被転写体の移動速度に応じて定電流制御値を変更することにより、速度の異なるモードを持つ転写装置においても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。
【0092】
さらに、像担持体上のトナー付着量に応じて定電流制御値を変更することにより、モノクロやカラーのように付着量の大きく異なる画像に対しても、安定した被転写体の凹部への転写性を得ることができる。また、電源から出力される電圧を、直流のみで出力する場合と直流と交流を重畳して出力する場合のいずれかに選択可能とすることで、従来からある直流電圧による転写方式と切り替えて使用することが可能となる。
【0093】
しかも、直流のみを印加する電源と直流と交流を重畳または交流のみを印加する電源とを別々に設けることで、既存の直流電源のみを使用したシステムに対して、切り替え可能な状態で後から容易に組み込み、機能向上を図ることができる。
【0094】
また、直流のみを印加する電源と直流と交流を重畳または交流のみを印加する電源とを像担持体側と被転写体側に別々に設けることで、製品内のスペースを有効に利用でき、製品の小型化などが可能になる。そして、前記転写装置を様々な画像形成装置と組み合わせることにより、静電粒子を凹凸のある被転写体へ転写させる色々な用途への使用が可能となる。
【符号の説明】
【0095】
50 像担持体
73 対向部材
80 転写部材
110,111 転写バイアス用電源
P 被転写体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【特許文献1】特開2006−267486号公報
【特許文献2】特開2008−058585号公報
【特許文献3】特開平09−146433号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを転写手段に印加し、像担持体から被転写体に静電トナーによる画像を転写する転写装置において、
前記転写バイアスの交流電流値と位相情報を計測し、該位相情報から予測される区間内にて重畳された直流電流値の計測を停止することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを電源から出力する転写バイアス発生装置を備えた転写装置において、
前記電源の出力バイアスの交流分を計測・記録し、該交流波形のある位相区間内で、直流成分の計測を停める制御装置を含むことを特徴とする転写装置。
【請求項3】
前記の交流波形中に直流成分の非計測区域を有する転写装置において、該非計測位相区間を前記被転写体の凹凸粗さに応じて変更することを特徴とする請求項1または2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記転写装置の電圧を付与する転写装置において、
転写バイアスとして直流成分の電圧のみを出力するモードと、転写バイアスとして直流成分と交流成分を重畳した電圧を出力するモードを選択可能であることを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の転写装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちの一つに記載の転写装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを転写手段に印加し、像担持体から被転写体に静電トナーによる画像を転写する転写装置において、
前記転写バイアスの交流電流値と位相情報を計測し、該位相情報から予測される区間内にて重畳された直流電流値の計測を停止することを特徴とする転写装置。
【請求項2】
交流電圧に直流電圧を重畳した転写バイアスを電源から出力する転写バイアス発生装置を備えた転写装置において、
前記電源の出力バイアスの交流分を計測・記録し、該交流波形のある位相区間内で、直流成分の計測を停める制御装置を含むことを特徴とする転写装置。
【請求項3】
前記の交流波形中に直流成分の非計測区域を有する転写装置において、該非計測位相区間を前記被転写体の凹凸粗さに応じて変更することを特徴とする請求項1または2に記載の転写装置。
【請求項4】
前記転写装置の電圧を付与する転写装置において、
転写バイアスとして直流成分の電圧のみを出力するモードと、転写バイアスとして直流成分と交流成分を重畳した電圧を出力するモードを選択可能であることを特徴とする請求項1乃至3のうちの一つに記載の転写装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のうちの一つに記載の転写装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−98602(P2012−98602A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247486(P2010−247486)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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