説明

転写装置及び画像形成装置

【課題】簡易な構成で転写部材と分離手段との間のリーク電流の発生を防止し、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
【解決手段】交流電源305は2次転写裏面ローラ33の芯金に供給する直流電圧に重畳する交番電圧の2次転写バイアスや分離装置200に供給する分離バイアスの交番電圧を供給する。そして、スイッチ301、302によって、2次転写裏面ローラ33に直流電圧を供給するか、もしくは交番電圧に直流電圧を重畳した重畳電圧を供給するかを選択する。また、スイッチ303によって、交流電源305から分離装置200に交番電圧の供給が切り替わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体の表面に担持されるトナー像を記録紙に転写する転写装置、及びこの転写装置を用いる画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置としては、特許文献1に記載のものが知られている。この画像形成装置は、周知の電子写真プロセスにより、ドラム状の感光体の表面にトナー像を形成する。感光体には、像担持体としての無端状の中間転写ベルトを当接させて1次転写ニップを形成している。そして、1次転写ニップにおいて、感光体上のトナー像を中間転写ベルトに1次転写する。中間転写ベルトに対しては、ニップ形成部材としての2次転写ローラを当接させて2次転写ニップを形成している。また、中間転写ベルトのループ内には、2次転写対向ローラを配設しており、この2次転写対向ローラと、前述した2次転写ローラとの間に中間転写ベルトを挟み込んでいる。ループ内側の2次転写対向ローラに対してはアースを接続しているのに対し、ループ外の2次転写ローラに対しては2次転写バイアスを印加している。これにより、2次転写対向ローラと2次転写ローラとの間に、トナー像を前者側から後者側に静電移動させる2次転写電界を形成している。そして、中間転写ベルト上のトナー像に同期させるタイミングで2次転写ニップ内に送り込んだ記録紙に対して、2次転写電界の作用により、中間転写ベルト上のトナー像を2次転写する。
【0003】
そして、転写後の記録紙に分離バイアスを印加することで像担持体からの記録紙の分離を補助する機能を有する画像形成装置が知られている。その一例として特許文献2に記載のものがある。この画像形成装置では、像担持体に近接して転写ローラ及び分離ローラが配設されている。そして、転写ローラには転写バイアスを供給する転写電源が設けられている。分離ローラには分離バイアスを供給する分離電源が設けられている。像担持体と転写ローラとにより形成される転写ニップ位置で、転写ローラに転写電源からの転写バイアスが印加されることにより像担持体上に形成されたトナー像は転写ニップ位置内に送り込まれた記録紙に転写される。分離ローラは、記録紙の搬送方向における転写ニップ位置より下流側に、分離効率を上げるために転写ニップ位置に可能な限り近づけて設置されている。これは、分離ローラの曲率半径分、放電効率が小さくなり、同一の印加電圧に対する分離電荷量が少なくなるために、転写ローラを転写ニップ位置に近づけて放電効率を高めている。そして、この分離ローラに上記転写電源とは別に設けられた分離電源からの分離バイアスが印加されることにより転写ニップ位置を通過した記録紙は像担持体から分離しやすくなる。分離された記録紙は定着装置に搬送され、定着装置により転写トナー像は記録紙に定着される。転写ローラに転写バイアスを供給する転写電源は転写ローラの回転中に所定の定電流制御を行う。一方、分離ローラに分離バイアスを供給する分離電源は通紙中に所定の定電流制御を行う。そして、転写ローラと分離ローラは転写ニップ位置周辺で互いに近接するため、転写ローラ及び分離ローラへ供給される交流電圧は互いのローラ同士の干渉を防ぐために同一周波数かつ略同一位相としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献2の画像形成装置において、分離性能を上げるために、分離ローラを像担持体側へ近付けると、記録紙が分離ローラへ接触して紙搬送に影響しやすくなる。そこで、分離ローラへ印加する分離バイアスの電圧を上げることで分離性能を上げることが考えられる。しかし、分離ローラへ印加する電圧を上げると、分離電源からの分離バイアスが供給されている分離ローラと、転写電源からの転写バイアスが供給されている転写ローラとの電圧差が生じる。そして、互いに電気的に干渉し合って各ローラの間に電界が生じることにより、転写ローラと分離ローラ間にてリーク電流が発生する。このため、分離ローラや転写ローラの各表面に付着したトナーが機内に飛散したり、転写紙裏を汚す等の悪影響が発生していた。更には、リーク電流がより多くなると、放電によりオゾンが多量に発生したり、転写ローラ及び分離ローラから記録紙と像担持体への電流量のバランスが変化し易くなり、転写不良や分離放電過剰による再転写が生じることがあった。このリーク電流発生による不具合を解消するため、上げた分離ローラへ印加する電圧に追従して、転写ローラへ供給される交流電圧の電圧値を上げる調整方法を行えばよい。しかし、この調整方法では、先ず分離ローラへ印加する電圧を供給する分離電源の電圧値を測定し、その測定した電圧値に一致するように、転写ローラへ印加する電圧を供給する転写電源を調整しなければならないという煩雑な制御が必要となる。
また、上記特許文献2の画像形成装置によれば、転写ローラに転写バイアスを供給する転写電源と、分離ローラに分離バイアスを供給する分離電源とが個別に設けられているため、装置全体から鑑み大型化につながり、かつコストアップとなる。
【0005】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、簡易な構成で転写部材と分離手段との間のリーク電流の発生を防止し、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる転写装置及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナー像を担持する像担持体上の前記トナー像を記録材に転写する転写部材と、前記像担持体のおもて面に当接して前記像担持体との間で転写ニップを形成するニップ形成部材と、転写バイアスを印加することにより前記転写ニップ位置で前記像担持体上のトナー像を記録材へ転写する転写バイアス印加手段と、分離部材に分離バイアスを印加することにより前記転写ニップ位置通過後で前記記録材を前記像担持体から分離する分離バイアス印加手段とを備える転写装置において、前記転写バイアス印加手段による前記転写バイアス及び前記分離バイアス印加手段による分離バイアスは同一の電源から供給されることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る転写装置においては、転写バイアス印加手段が印加する転写バイアスの交番電圧と分離バイアス印加手段が印加する分離バイアスの電圧は同じ電源から出力される。これにより、転写バイアスの電圧は共通の上記電源から供給される。そして、分離バイアスの電圧も共通の上記電源から供給される。同一の電源からの同一のバイアス電圧が転写部材や分離部材に供給されることで転写部材と分離部材とが電気的に干渉し合うことがなくなり各部材の間に電界も生じない。これにより、転写部材と分離部材との間にはリーク電流は発生しない。よって、簡易な構成でリーク電流の発生を防止することができる。また、電源が1つで済むため装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡易な構成でリーク電流の発生を防止し、装置の小型化及びコストダウンを図ることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態に係るプリンタの要部の構成を示す概略構成図である。
【図2】本実施形態のプリンタにおけるK用の画像形成ユニットを拡大して示す拡大構成図である。
【図3】本実施形態のプリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の構成例(以下構成例1という)を示す概略構成図である。
【図4】バイアス印加装置の構成例1におけるバイアス電圧の切替えの様子を示す概略構成図である。
【図5】本実施形態のプリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の他の構成例(以下構成例2という)を示す概略構成図である。
【図6】バイアス印加装置の構成例2におけるバイアス電圧の切替えの様子を示す概略構成図である。
【図7】本実施形態のプリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の他の構成例(以下構成例3という)を示す概略構成図である。
【図8】バイアス印加装置の構成例3におけるバイアス電圧の切替えの様子を示す概略構成図である。
【図9】本実施形態のプリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の他の構成例(以下構成例4という)を示す概略構成図である。
【図10】バイアス印加装置の構成例4におけるバイアス電圧の切替えの様子を示す概略構成図である。
【図11】本発明の画像形成装置の他の実施形態に係るプリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の構成例を示す概略構成図である。
【図12】他の実施形態のプリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の構成例におけるバイアス電圧の切替えの様子を示す概略構成図である。
【図13】他の実施形態のプリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の構成例におけるバイアス印加装置のバイアス電圧の切替えの様子を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した画像形成装置の実施形態として、電子写真方式のカラープリンタ(以下、単にプリンタという)の構成について説明する。
先ず、本プリンタの基本的な構成について説明する。図1は本プリンタの要部の構成を示す概略構成図である。同図において、本プリンタは、イエロー(Y),マゼンダ(M),シアン(C),ブラック(K)のトナー像を形成するための4つの画像形成ユニット1Y,M,C,Kと、転写装置としての転写ユニット30と、光書込ユニット80と、定着装置90と、給紙カセット100と、レジストローラ対101と、分離装置200とを備えている。
【0011】
4つの画像形成ユニット1Y,M,C,Kは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Kトナー像を形成するための画像形成ユニット1Kを例にすると、これは、図2に示すように、潜像担持体であるドラム状の感光体2K、ドラムクリーニング装置3K、除電装置(不図示)、帯電装置6K、現像装置8K等を備えている。これらの装置が共通の保持体に保持されてプリンタ本体に対して一体的に脱着することで、それらを同時に交換できるようになっている。
【0012】
感光体2Kは、ドラム基体の表面上に有機感光層が形成された外径60[mm]程度のドラム形状のものであって、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。帯電装置6Kは、帯電バイアスが印加される帯電ローラ7Kを感光体2Kに接触あるいは近接させながら、帯電ローラ7Kと感光体2Kとの間に放電を発生させることで、感光体2Kの表面を一様帯電せしめる。本実施形態では、トナーの正規帯電極性と同じマイナス極性に一様帯電せしめる。帯電バイアスとしては、直流電圧に交流電圧を重畳したものを採用している。帯電ローラ7Kは、金属製の芯金の表面に導電性弾性材料からなる導電性弾性層が被覆されたものである。帯電ローラ等の帯電部材を感光体2Kに接触あるいは近接させる方式に代えて、帯電チャージャーによる方式を採用してもよい。
【0013】
一様帯電せしめられた感光体2Kの表面は、後述する光書込ユニットから発せられるレーザー光によって光走査されてK用の静電潜像を担持する。このK用の静電潜像は、図示しないKトナーを用いる現像装置8Kによって現像されてKトナー像になる。そして、後述する中間転写ベルト31上に1次転写される。
【0014】
ドラムクリーニング装置3Kは、1次転写工程(後述する1次転写ニップ)を経た後の感光体2K表面に付着している転写残トナーを除去する。回転駆動されるクリーニングブラシローラ4K、片持ち支持された状態で自由端を感光体2Kに当接させるクリーニングブレード5Kなどを有している。回転するクリーニングブラシローラ4Kで転写残トナーを感光体2Kの表面から掻き取ったり、クリーニングブレードで転写残トナーを感光体2K表面から掻き落としたりする。なお、クリーニングブレードについては、その片持ち支持端側を自由端側よりもドラム回転方向下流側に向けるカウンタ方向で感光体2Kに当接させている。
【0015】
上記除電装置は、ドラムクリーニング装置3Kによってクリーニングされた後の感光体2Kの残留電荷を除電する。この除電により、感光体2Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
【0016】
現像装置8Kは、現像ロール9Kを内包する現像部12Kと、図示しないK現像剤を撹拌搬送する現像剤搬送部13Kとを有している。そして、現像剤搬送部13Kは、第1スクリュウ部材10Kを収容する第1搬送室と、第2スクリュウ部材11Kを収容する第2搬送室とを有している。それらスクリュウ部材は、それぞれ、軸線方向の両端部がそれぞれ軸受けによって回転自在に支持される回転軸部材と、これの周面に螺旋状に突設せしめられた螺旋羽根とを具備している。
【0017】
第1スクリュウ部材10Kを収容している第1搬送室と、第2スクリュウ部材11Kを収容している第2搬送室とは、仕切り壁によって仕切られているが、仕切壁におけるスクリュウ軸線方向の両端箇所には、それぞれ両搬送室を連通させる連通口が形成されている。第1スクリュウ部材10Kは、螺旋羽根内に保持している図示しないK現像剤を、回転駆動に伴って回転方向に撹拌しながら、図中の紙面に直交する方向の奥側から手前側に向けて搬送する。第1スクリュウ部材10Kと、後述する現像ロール9Kとは互いに向かい合う姿勢で平行配設されているため、このときのK現像剤の搬送方向は、現像ロール9Kの回転軸線方向に沿った方向でもある。そして、第1スクリュウ部材10Kは、現像ロール9Kの表面に対してK現像剤をその軸線方向に沿って供給していく。
【0018】
第1スクリュウ部材10Kの図中手前側端部付近まで搬送されたK現像剤は、仕切壁の図中手前側端部付近に設けられた連通開口を通って、第2搬送室内に進入した後、第2スクリュウ部材11Kの螺旋羽根内に保持される。そして、第2スクリュウ部材11Kの回転駆動に伴って、回転方向に撹拌されながら、図中手前側から奥側に向けて搬送されていく。
【0019】
第2搬送室内において、ケーシングの下壁には図示しないトナー濃度センサが設けられており、第2搬送室内のK現像剤のKトナー濃度を検知する。Kトナー濃度センサとしては、透磁率センサからなるものが用いられている。Kトナーと磁性キャリアとを含有するK現像剤の透磁率は、Kトナー濃度と相関関係があるため、透磁率センサは、Kトナー濃度を検知していることになる。
【0020】
このプリンタには、Y,M,C,K用の現像装置の第2収容室内にY,M,C,Kトナーをそれぞれ個別に補給するための図示しないY,M,C,Kトナー補給手段が設けられている。そして、プリンタの制御部は、RAMに、Y,M,C,Kトナー濃度検知センサからの出力電圧値の目標値であるY,M,C,K用のVtrefを記憶している。Y,M,C,Kトナー濃度検知センサからの出力電圧値と、Y,M,C,K用のVtrefとの差が所定値を超えた場合には、その差に応じた時間だけY,M,C,Kトナー補給手段を駆動する。これにより、Y,M,C,K用の現像装置における第2搬送室内にY,M,C,Kトナーが補給される。
【0021】
現像部12K内に収容されている現像ロール9Kは、第1スクリュウ部材10Kに対向しているとともに、ケーシングに設けられた開口を通じて、感光体2Kにも対向している。また、現像ロール9Kは、回転駆動される非磁性パイプからなる筒状の現像スリーブと、これの内部にスリーブと連れ回らないように固定されたマグネットローラとを具備している。そして、第1スクリュウ部材10Kから供給されるK現像剤をマグネットローラの発する磁力によってスリーブ表面に担持しながら、スリーブの回転に伴って、感光体2Kに対向する現像領域に搬送する。
【0022】
現像スリーブには、トナーと同極性であって、感光体2Kの静電潜像よりも大きく、かつ感光体2Kの一様帯電電位よりも小さな現像バイアスが印加されている。これにより、現像スリーブと感光体2Kの静電潜像との間には、現像スリーブ上のKトナーを静電潜像に向けて静電移動させる現像ポテンシャルが作用する。また、現像スリーブと感光体2Kの地肌部との間には、現像スリーブ上のKトナーをスリーブ表面に向けて移動させる非現像ポテンシャルが作用する。それら現像ポテンシャル及び非現像ポテンシャルの作用により、現像スリーブ上のKトナーが感光体2Kの静電潜像に選択的に転移して、静電潜像をKトナー像に現像する。
【0023】
図1において、Y,M,C用の画像形成ユニット1Y,M,Cにおいても、K用の画像形成ユニット1Kと同様にして、感光体2Y,M,C上にY,M,Cトナー像が形成される。
【0024】
画像形成ユニット1Y,M,C,Kの上方には、潜像書込手段である光書込ユニット80が配設されている。この光書込ユニット80は、パーソナルコンピュータ等の外部機器から送られてくる画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光により、感光体2Y,M,C,Kを光走査する。この光走査により、感光体2Y,M,C,K上にY,M,C,K用の静電潜像が形成される。具体的には、感光体2Yの一様帯電した表面の全域のうち、レーザー光が照射された箇所は、電位を減衰せしめる。これにより、レーザー照射箇所の電位が、それ以外の箇所(地肌部)の電位よりも小さい静電潜像となる。なお、光書込ユニット80は、光源から発したレーザー光Lを、図示しないポリゴンモータによって回転駆動したポリゴンミラーで主走査方向に偏光せしめながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。LEDアレイの複数のLEDから発したLED光によって光書込を行うものを採用してもよい。
【0025】
画像形成ユニット1Y,M,C,Kの下方には、無端状の中間転写ベルト31を張架しながら図中反時計回り方向に無端移動せしめる転写装置としての転写ユニット30が配設されている。転写ユニット31は、像担持体である中間転写ベルト31の他に、駆動ローラ32、2次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、4つの1次転写ローラ35Y,M,C,K、ニップ形成ローラ36、ベルトクリーニング装置37、電位センサ38などを有している。
【0026】
中間転写ベルト31は、そのループ内側に配設された駆動ローラ32、2次転写裏面ローラ33、クリーニングバックアップローラ34、及び4つの1次転写ローラ35Y,M,C,Kによって張架されている。そして、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動される駆動ローラ32の回転力により、同方向に無端移動せしめられる。中間転写ベルト31としては、次のような特性を有するものを用いている。即ち、厚みは20[μm]〜200[μm]、好ましくは60[μm]程度である。また、体積抵抗率は1e6[Ωcm]〜1e12[Ωcm]、好ましくは約1e9[Ωcm]程度である(三菱化学製ハイレスタ−UP MCP HT45にて、印加電圧100Vの条件で測定)。また、材料は、カーボン分散ポリイミド樹脂からなる。
【0027】
4つの1次転写ローラ35Y,M,C,Kは、無端移動せしめられる中間転写ベルト31を感光体2Y,M,C,Kとの間に挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト31のおもて面と、感光体2Y,M,C,Kとが当接するY,M,C,K用の1次転写ニップが形成されている。1次転写ローラ35Y,M,C,Kには、図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ1次転写バイアスが印加されている。これにより、感光体2Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像と、1次転写ローラ35Y,M,C,Kとの間に転写電界が形成される。Y用の感光体2Y表面に形成されたYトナーは、感光体2Yの回転に伴ってY用の1次転写ニップに進入する。そして、転写電界やニップ圧の作用により、感光体2Y上から中間転写ベルト31上に1次転写される。このようにしてYトナー像が1次転写せしめられた中間転写ベルト31は、その後、M,C,K用の1次転写ニップを順次通過する。そして、感光体2M,C,K上のM,C,Kトナー像が、Yトナー像上に順次重ね合わせて1次転写される。この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト31上には4色重ね合わせトナー像が形成される。
【0028】
1次転写ローラ35Y,M,C,Kは、金属製の芯金と、これの表面上に固定された導電性のスポンジ層とを具備している弾性ローラからなり、次のような特性を有している。即ち、外形は16[mm]である。また、心金の径は10[mm]である。また、接地された外径30[mm]の金属ローラを10[N]の力でスポンジ層に押し当てた状態で、1次転写ローラ心金に1000[V]の電圧を印加したときに流れる電流Iから、オームの法則(R=V/I)に基づいて算出したスポンジ層の抵抗Rは、約3E7Ωである。このような1次転写ローラ35Y,M,C,Kに対して、1次転写バイアスを定電流制御で印加する。なお、1次転写ローラ35Y,M,C,Kに代えて、転写チャージャーや転写ブラシなどを採用してもよい。
【0029】
転写ユニット30のニップ形成ローラ36は、中間転写ベルト31のループ外側に配設されており、ループ内側の2次転写裏面ローラ33との間に中間転写ベルト31を挟み込んでいる。これにより、中間転写ベルト31のおもて面と、ニップ形成ローラ36とが当接する2次転写ニップが形成されている。ニップ形成ローラ36は接地されているのに対し、2次転写裏面ローラ33には、2次転写バイアス電源39によって2次転写バイアスが印加される。これにより、2次転写裏面ローラ33とニップ形成ローラ36との間に、マイナス極性のトナーを2次転写裏面ローラ33側からニップ形成ローラ36側に向けて静電移動させる2次転写電界が形成される。また、2次転写裏面ローラ33の下流側には、用紙分離補助の分離装置200が設置されている。この本実施形態での分離装置200は、鋸歯状の除電針を使用し、2次転写バイアスと同じ高圧電源を使用している。
【0030】
転写ユニット31の下方には、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容している給紙カセット100が配設されている。この給紙カセット100は、紙束の一番上の記録紙Pに給紙ローラ100aを当接させており、これを所定のタイミングで回転駆動させることで、その記録紙Pを給紙路に向けて送り出す。給紙路の末端付近には、レジストローラ対101が配設されている。このレジストローラ対101は、給紙カセット100から送り出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐに両ローラの回転を停止させる。そして、挟み込んだ記録紙Pを2次転写ニップ内で中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像に同期させ得るタイミングで回転駆動を再開して、記録紙Pを2次転写ニップに向けて送り出す。2次転写ニップで記録紙Pに密着せしめられた中間転写ベルト31上の4色重ね合わせトナー像は、2次転写電界やニップ圧の作用によって記録紙P上に一括2次転写され、記録紙Pの白色と相まってフルカラートナー像となる。このようにして表面にフルカラートナー像が形成された記録紙Pは、2次転写ニップを通過すると、ニップ形成ローラ36や中間転写ベルト31から曲率分離する。
【0031】
2次転写裏面ローラ33は、次のような特性を有している。即ち、外径は約24[mm]である。また、芯金の径は約16[mm]である。芯金の表面には、導電性のNBR系ゴム層が被覆されており、その抵抗Rは1e6[Ω]〜1e12[Ω]、好ましくは約4e7[Ω]である。抵抗Rは、1次転写ローラと同様の方法によって測定された値である。
【0032】
また、ニップ形成ローラ36は、次のような特性を有している。即ち、外径は約24[mm]である。また、芯金の径は約14[mm]である。芯金の表面には、導電性のNBR系ゴム層が被覆されており、その抵抗Rは1e6[Ω]以下である。抵抗Rは、1次転写ローラと同様の方法によって測定された値である。
【0033】
2次転写バイアス電源39は、直流電源と交流電源とを有しており、2次転写バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳せしめたものを出力することができる。2次転写バイアス電源39の出力端子は、ニップ形成ローラ36の芯金に接続されている。ニップ形成ローラ36の芯金の電位は、2次転写バイアス電源39からの出力電圧値とほぼ同じ値になる。また、2次転写裏面ローラ33については、その芯金を接地(アース接続)している。なお、重畳バイアスを2次転写裏面ローラ33の芯金に印加しつつ、ニップ形成ローラ36の芯金を接地する代わりに、重畳バイアスをニップ形成ローラ36の芯金に印加しつつ、2次転写裏面ローラ33の芯金を接地してもよい。この場合、直流電圧の極性を異ならせる。具体的には、図示のように、マイナス極性のトナーを用いかつニップ形成ローラ36を接地した条件で、2次転写裏面ローラ33に重畳バイアスを印加する場合には、直流電圧としてトナーと同じマイナス極性のものを用いて、重畳バイアスの時間平均の電位をトナーと同じマイナス極性にする。これに対し、2次転写裏面ローラ33を接地し、かつ重畳バイアスをニップ形成ローラ36に印加する場合には、直流電圧としてトナーとは逆のプラス極性のものを用いて、重畳バイアスの時間平均の電位をトナーとは逆のプラス極性にする。重畳バイアスを2次転写裏面ローラ33やニップ形成ローラ36に印加する代わりに、直流電圧を何れか一方のローラに印加するとともに、交流電圧を他方のローラに印加してもよい。交流電圧としては、正弦波状の波形のものを採用しているが、矩形波状の波形のものを用いてもよい。なお、記録紙Pとして、ザラ紙のような表面凹凸の大きなものを用いずに、普通紙のような表面凹凸の小さなものを用いる場合には、凹凸パターンにならった濃淡パターンが出現しないので、転写バイアスとして、直流電圧だけからなるものを印加してもよい。但し、ザラ紙のような表面凹凸の大きなものを用いるときには、転写バイアスを、直流電圧だけからなるものから、重畳バイアスに切り替える必要がある。
【0034】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト31には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、中間転写ベルト31のおもて面に当接しているベルトクリーニング装置37によってベルト表面からクリーニングされる。中間転写ベルト31のループ内側に配設されたクリーニングバックアップローラ34は、ベルトクリーニング装置37によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップする。
【0035】
電位センサ38は、中間転写ベルト31のループ外側に配設されている。そして、中間転写ベルト31の周方向における全域のうち、接地された駆動ローラ32に対する掛け回し箇所に対して、約4[mm]の間隙を介して対向している。そして、中間転写ベルト31上に1次転写されたトナー像が自らとの対向位置に進入した際に、そのトナー像の表面電位を測定する。なお、電位センサ38としては、TDK(株)社製のEFS−22Dを用いている。
【0036】
2次転写ニップの図中右側方には、定着装置90が配設されている。この定着装置90は、ハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ91と、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ92とによって定着ニップを形成している。定着装置90内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ91に密着させる姿勢で、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。定着装置90内から排出された記録紙Pは、定着後搬送路を経由した後、機外へと排出される。
【0037】
モノクロ画像を形成する場合には、転写ユニット30におけるY,M,C用の1次転写ローラ35Y,M,Cを支持している図示しない支持板を移動せしめて、1次転写ローラ35Y,M,C,Kを、感光体2Y,M,Cから遠ざける。これにより、中間転写ベルト31のおもて面を感光体2Y,M,Cから引き離して、中間転写ベルト31をK用の感光体2Kだけに当接させる。この状態で、4つの画像形成ユニット1Y,M,C,Kのうち、K用の画像形成ユニット1Kだけを駆動して、Kトナー像を感光体2K上に形成する。
【0038】
電圧出力手段である2次転写バイアス電源39は、転写バイアスを印加する転写バイアス印加手段として機能している。また、上述したように、2次転写裏面ローラの芯金に2次転写バイスが印加されると、第1部材である2次転写裏面ローラの芯金と、第2部材であるニップ形成ローラの芯金との間に、電位差が発生する。よって、2次転写バイアス電源39は、電位差発生手段としても機能している。なお、電位差は、絶対値として取り扱われることが一般的であるが、本稿では、極性付きの値として取り扱うものとする。より詳しくは、2次転写裏面ローラの芯金の電位から、ニップ形成ローラの芯金の電位を差し引いた値を、電位差として取り扱うことにする。かかる電位差の時間平均値は、トナーとしてマイナス極性のものを用いる構成では、その極性がマイナスになった場合に、ニップ形成ローラの電位を2次転写裏面ローラの電位よりもトナーの帯電極性とは逆極性側(本例ではプラス側)に大きくすることになる。よって、トナーを2次転写裏面ローラ側からニップ形成ローラ側に静電移動させることになる。
【0039】
オフセット電圧Voffは、2次転写バイアスの直流成分の値である。また、ピークツウピーク電圧Vppは、2次転写バイアスの交流成分のピークツウピーク電圧である。本実施形態に係るプリンタにおいては、既に述べたように、2次転写バイアスは、オフセット電圧Voffとピークツウピーク電圧Vppとを重畳したものであり、その時間平均値はオフセット電圧Voffと同じ値になる。また、本実施形態に係るプリンタにおいては、既に述べたように、2次転写バイアスを2次転写裏面ローラの芯金に印加し、かつニップ形成ローラの芯金を接地している(0V)。よって、2次転写裏面ローラの芯金の電位は、そのまま両芯金の電位差となる。そして、両芯金の電位差は、オフセット電圧Voffと同じ値の直流成分(Eoff)と、ピークツウピーク電圧Vppと同じ値の交流成分(Epp)とから構成され、以下の不等式を満たす2次転写バイアスの設定値とした。
Vpp/4>|Voff|
なお、本実施形態では交番電圧の波形は正弦波を用いているが、矩形波等の波形を用いてもよい。
【0040】
図3は本実施形態のプリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の構成例(以下構成1という)を示す概略構成図である。同図に示す本プリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の構成例1では、2次転写裏面ローラ33の下流に用紙分離補助の分離装置200が設置されている。この分離装置200では鋸歯状の除電針を使用し、転写用バイアスと同じ高圧電源を使用している。また、バイアス印加装置300は、2次転写裏面ローラ33に供給する2次転写バイアスを直流電圧、もしくは交番電圧に直流電圧を重畳した重畳電圧を切り替えるスイッチ301、302と、分離装置200に供給する分離バイアスの交番電圧を供給するか否かを切り替えるスイッチ303と、直流電源304と、交流電源305とを含んで構成されている。2次転写裏面ローラ33の芯金にと直流電源304の負極とが接続され、直流電源304の正極にはスイッチ301が介在されて接地されている。また、直流電源304の正極にはスイッチ302を介在して交流電源305の一端子が接続されている。交流電源305の他端子は接地されている。更に、分離装置200にはスイッチ303を介して交流電源305の一端子が接続されている。そして、2次転写バイアスは用紙種類、例えば表面凹凸の大小の度合いに相当する平滑度等の異なる用紙に応じて、直流電圧のみの場合と交番電圧に直流電圧を重畳した場合を選択することができる。このバイアスの選択方法は2次転写裏面ローラ33の上流側に用紙の平滑度を検知する光センサ等(不図示)を設置し、検知結果に応じてバイアスを自動的に切替える方法や、ユーザがいずれかのバイアス方式を選択する方法などを備えることで可能となる。交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは5[kV]〜20[kV]、好ましくは8[kV]〜15[kV]であり、交流電源305の周波数は200[Hz]〜2000[Hz]、好ましくは500[Hz]〜1500[Hz]である。図3に示す例では、直流電源304の電圧は−2[kV]であり、交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは10[kV]であって交流電源305の周波数は500[Hz]である。
【0041】
次に、バイアス印加装置の構成例1における、2次転写バイアスと分離バイアスの切替えの一例について図4を用いて説明する。図4の(a)に示すように、2次転写バイアスが直流電圧のみを使用する場合は、スイッチ301とスイッチ303を閉じ、スイッチ302は開いている。これにより、2次転写裏面ローラ33の芯金には直流電圧が、分離装置200には交番電圧が印加される。一方、図4の(b)に示すように、2次転写バイアスが交番電圧に直流電圧が重畳される場合、スイッチ301とスイッチ303は開き、スイッチ302は閉じる。これにより、2次転写裏面ローラ33の芯金には交番電圧に直流電圧が重畳された重畳電圧の2次転写バイアスが印加される。そして、分離装置200にはバイアスは供給されない仕組みとなっている。このため、交番電圧は2次転写バイアス、分離バイアスのいずれかのみに印加されることになり、2次転写、分離の両方に交番電圧が印加されることで発生する、位相差によるリークを防止する。また、2次転写バイアスと分離バイアスを印加する高圧電源を同一としているため、高圧電源を各々設置した場合に比べて省スペース化を図ることができるとともに、コストダウンも図ることができる。
【0042】
次に、バイアス印加装置の構成例1の変形例について説明する。この変形例は、上記構成例1の構成に対して、2次転写バイアスの交番電圧と分離バイアスの値が異なり、直流電源からは直流電流が供給される構成である。具体的には、直流電源304は0[μA]〜400[μA]の間で用紙の厚みやサイズ等に応じて適正な出力となるように定電流制御を行っている。このとき、直流電源304の電流設定は−70[μA]であり、交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは2次転写裏面ローラ33に印加する場合は10[kV]、周波数は500[Hz]であり、分離装置に印加する場合は9[kV]、周波数は500[Hz]である。これにより、2次転写バイアスと分離バイアスに、それぞれ適正な交番電圧を印加することにより、用紙への転写性と分離性を両立することができる。そして、2次転写、分離の両方に交番電圧が印加されることによる位相差に伴うリークを防止することができる。また、2次転写バイアスと分離バイアスを印加する高圧電源を同一としているため、高圧電源をそれぞれ設置した場合に比べて省スペース化を図ることができるとともに、コストダウンを図ることができる。この変形例では2次転写裏面ローラ33に直流電圧と交番電圧を印加しているが、ニップ形成ローラ36の芯金に直流電圧と交番電圧を印加してもよい。この場合例えば直流電源304は0[μA]〜400[μA]の間で用紙の厚みやサイズ等に応じて適正な出力となるように定電流制御を行っている。このとき、直流電源304の電流設定は70[μA]であり、ニップ形成ローラ36の芯金に印加する交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは10[kV]、周波数は500[Hz]であり、分離装置に印加する場合の交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは9[kV]、周波数は500[Hz]とした。図3の構成例と同様の効果が得られる。
【0043】
図5は本実施形態のプリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の他の構成例(以下構成例2という)を示す概略構成図である。同図において、図4と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。図5に示すこのバイアス印加装置の構成例2では、ニップ形成ローラ36の芯金に、直流電圧が印加され、あるいは重畳電圧が印加されている。各部位の接続において、図4と異なる点は、ニップ形成ローラ36の芯金には直流電源304の正極が接続されるとともに負極がスイッチ301を介在して接地されている点と、直流電源304の負極がスイッチ302を介在して交流電源305の一端子に接続されている点とである。図3の構成例と同様の効果が得られる。図5に示す例では、直流電源304の電圧は2[kV]であり、交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは10[kV]であって交流電源305の周波数は500[Hz]である。バイアス印加装置の構成例2におけるバイアス電圧の切替えの様子を示す概略構成図である図6の(a)に示すように、2次転写バイアスが直流電圧のみを使用する場合は、スイッチ301とスイッチ303を閉じ、スイッチ302は開いている。これにより、ニップ形成ローラ36には直流電圧が、分離装置200には交番電圧が印加される。一方、図6の(b)に示すように、2次転写バイアスが交番電圧に直流電圧が重畳される場合、スイッチ301とスイッチ303は開き、スイッチ302は閉じる。これにより、ニップ形成ローラ36には交番電圧に直流電圧が重畳された2次転写バイアスが印加される。そして、分離装置200にはバイアスは供給されない仕組みとなっている。このため、交番電圧は2次転写バイアス、分離バイアスのいずれかのみに印加される。
【0044】
次に、本プリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の構成例2の変形例について説明する。この変形例は、上記構成例2の構成に対して、2次転写バイアスの交番電圧と分離バイアスの値が異なり、直流電源からは直流電流が供給される構成である。具体的には、交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは5[kV]〜20[kV]、好ましくは8[kV]〜15[kV]であり、交流電源305の周波数は200[Hz]〜2000[Hz]、好ましくは500[Hz]〜1500[Hz]である。図3に示す例では、直流電源304の電圧は−2[kV]であり、交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは10[kV]であって交流電源305の周波数は500[Hz]である。直流電源304は0[μA]〜400[μA]の間で用紙の厚みやサイズ等に応じて適正な出力となるように定電流制御を行っている。このとき、直流電源304の電流設定は−70[μA]であり、交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは2次転写裏面ローラ33に印加する場合は10[kV]、周波数は500[Hz]であり、分離装置に印加する場合は9[kV]、周波数は500[Hz]である。これにより、2次転写バイアスと分離バイアスに、それぞれ適正な交番電圧を印加することにより、用紙への転写性と分離性を両立することができる。そして、2次転写、分離の両方に交番電圧が印加されることによる位相差に伴うリークを防止することができる。また、2次転写バイアスと分離バイアスを印加する高圧電源を同一としているため、高圧電源をそれぞれ設置した場合に比べて省スペース化を図ることができるとともに、コストダウンを図ることができる。2次転写裏面ローラ33に直流電圧と交番電圧を印加しているが、ニップ形成ローラ36の芯金に直流電圧と交番電圧を印加してもよい。この場合例えば直流電源304は0[μA]〜400[μA]の間で用紙の厚みやサイズ等に応じて適正な出力となるように定電流制御を行っている。このとき、直流電源304の電流設定は70[μA]であり、ニップ形成ローラ36の芯金に印加する交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは10[kV]、周波数は500[Hz]であり、分離装置に印加する場合の交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは9[kV]、周波数は500[Hz]とした。図5の構成例と同様の効果が得られる。
【0045】
図7は本実施形態のプリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の他の構成例(以下構成例3という)を示す概略構成図である。同図において、図4と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。図7に示すバイアス印加装置の構成例3では、2次転写裏面ローラ33の芯金に直流電圧を印加し、ニップ形成ローラ36の芯金に交番電圧を印加する例である。2次転写裏面ローラ33の芯金と直流電源304の負極とが接続されて正極は接地されている。また、交流電源305の一端子にはスイッチ302を介在してニップ形成ローラ36の芯金に、かつスイッチ303を介在して分離装置200に接続されている。図7に示す例では、直流電源304の電圧は−2[kV]であり、交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは10[kV]であって交流電源305の周波数は500[Hz]である。バイアス印加装置の構成例3におけるバイアス電圧の切替えの様子を示す概略構成図である図8の(a)に示すように、2次転写バイアスが直流電圧のみを使用する場合は、スイッチ303を閉じ、スイッチ302は開いている。これにより、2次転写裏面ローラ33の芯金には直流電圧が、分離装置200には交番電圧が印加される。一方、図8の(b)に示すように、2次転写バイアスが交番電圧に直流電圧が重畳される場合、スイッチ303は開き、スイッチ302は閉じる。これにより、ニップ形成ローラ36には交番電圧に直流電圧が重畳された重畳電圧の2次転写バイアスが印加される。そして、分離装置200にはバイアスは供給されない仕組みとなっている。このため、交番電圧は2次転写バイアス、分離バイアスのいずれかのみに印加されることになり、2次転写、分離の両方に交番電圧が印加されることで発生する、位相差によるリークを防止する。また、2次転写バイアスと分離バイアスを印加する高圧電源を同一としているため、高圧電源を各々設置した場合に比べて省スペース化を図ることができるとともに、コストダウンも図ることができる。
【0046】
次に、本プリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の構成例3の変形例について説明する。この変形例は、上記構成例3の構成に対して、2次転写バイアスの交番電圧と分離バイアスの値が異なり、直流電源からは直流電流が供給される構成である。具体的には、交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは5[kV]〜20[kV]、好ましくは8[kV]〜15[kV]であり、交流電源305の周波数は200[Hz]〜2000[Hz]、好ましくは500[Hz]〜1500[Hz]である。図3に示す例では、直流電源304の電圧は−2[kV]であり、交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは10[kV]であって交流電源305の周波数は500[Hz]である。直流電源304は0[μA]〜400[μA]の間で用紙の厚みやサイズ等に応じて適正な出力となるように定電流制御を行っている。このとき、直流電源304の電流設定は−40[μA]であり、交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは2次転写裏面ローラ33に印加する場合は10[kV]、周波数は500[Hz]であり、分離装置に印加する場合は9[kV]、周波数は500[Hz]である。このように、2次転写バイアスと分離バイアスに、それぞれ適正な交番電圧を印加することにより、用紙への転写性と分離性を両立することができる。そして、2次転写、分離の両方に交番電圧が印加されることによる位相差に伴うリークを防止することができる。また、2次転写バイアスと分離バイアスを印加する高圧電源を同一としているため、高圧電源をそれぞれ設置した場合に比べて省スペース化を図ることができるとともに、コストダウンを図ることができる。
【0047】
図9は本実施形態のプリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の他の構成例(以下構成例4という)を示す概略構成図である。同図において、図7と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。図7のバイアス印加装置の構成例3では2次転写裏面ローラ33の芯金に直流電圧を印加し、ニップ形成ローラ36の芯金に交番電圧を印加しているが、図9に示すバイアス印加装置の構成例4ではニップ形成ローラ36の芯金に直流電圧を印加し、2次転写裏面ローラ33の芯金に交番電圧を印加している。ニップ形成ローラ36と直流電源304の正極とが接続されて直流電源304の負極は接地されている。また、交流電源305の一端子にはスイッチ302を介在して2次転写裏面ローラ33の芯金に、かつスイッチ303を介在して分離装置200に接続されている。図7に示す例では、直流電源304の電圧は2[kV]であり、交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは10[kV]であって交流電源305の周波数は500[Hz]である。バイアス印加装置の構成例4におけるバイアス電圧の切替えの様子を示す概略構成図である図10の(a)に示すように、2次転写バイアスが直流電圧のみを使用する場合は、スイッチ303を閉じ、スイッチ302は開いている。これにより、ニップ形成ローラ36の芯金には直流電圧が、分離装置200には交番電圧が印加される。一方、図10の(b)に示すように、2次転写バイアスが交番電圧に直流電圧が重畳される場合、スイッチ303は開き、スイッチ302は閉じる。これにより、2次転写裏面ローラ33の芯金には交番電圧に直流電圧が重畳された重畳電圧の2次転写バイアスが印加される。そして、分離装置200にはバイアスは供給されない仕組みとなっている。このため、交番電圧は2次転写バイアス、分離バイアスのいずれかのみに印加されることになり、2次転写、分離の両方に交番電圧が印加されることで発生する、位相差によるリークを防止する。
【0048】
次に、本発明を適用した画像形成装置の別の実施形態としてのプリンタの構成について説明する。
図11は別の実施形態のプリンタの転写装置におけるバイアス印加装置の構成例を示す概略構成図である。同図において、図2と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。図11に示す作像回りの構成は図2に示す構成と同様である。図11の本プリンタにおける転写装置は直接転写方式の例であり、感光体2K上に作像されたトナー像を転写ローラ400Kを用いて用紙(図示せず)に転写する。そして、その用紙と感光体2Kとの分離補助の分離装置200が設置されている。転写ローラ400Kの芯金と直流電源304の正極とが接続され、直流電源304の負極にはスイッチ301を介在して接地されている。また、直流電源304の負極にはスイッチ302を介在して交流電源305の一端子が接続されている。交流電源305の他端子は接地されている。更に、分離装置200にはスイッチ303を介して交流電源305の一端子が接続されている。そして、転写バイアスは用紙種類、例えば表面凹凸の大小の度合いに相当する平滑度等の異なる用紙に応じて直流電圧のみの場合と交番電圧に直流電圧を重畳した場合を選択することができる。図11に示す例では、直流電源304の電圧は2[kV]であり、交流電源305のピークツウピーク電圧Vppは10[kV]であって交流電源305の周波数は500[Hz]である。
【0049】
次に、図12に示すように、転写バイアスが直流電圧のみを使用する場合は、スイッチ301とスイッチ302を閉じ、スイッチ303は開いている。これにより、転写ローラ400Kの芯金には直流電圧が、分離装置200には交番電圧が印加される。一方、図13に示すように、転写バイアスが交番電圧に直流電圧が重畳される場合、スイッチ301とスイッチ302は開き、スイッチ303は閉じる。これにより、転写ローラ400Kの芯金には交番電圧に直流電圧が重畳された重畳電圧の転写バイアスが印加される。そして、分離装置200にはバイアスは供給されない仕組みとなっている。このため、交番電圧は転写バイアス、分離バイアスのいずれかのみに印加されることになり、転写、分離の両方に交番電圧が印加されることで発生する、位相差によるリークを防止する。また、転写バイアスと分離バイアスを印加する高圧電源を同一としているため、高圧電源を各々設置した場合に比べて省スペース化を図ることができるとともに、コストダウンも図ることができる。
【0050】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
転写バイアス印加手段による転写バイアス及び分離バイアス印加手段による分離バイアスは同一の電源から供給される。これによれば、上記実施形態の構成例1について説明したように、図3に示すように交流電源305は2次転写裏面ローラ33の芯金に供給する直流電圧に重畳する交番電圧の2次転写バイアスや分離装置200に供給する分離バイアスの交番電圧を供給する。このように、2次転写裏面ローラ33に印加される転写バイアスの交番電圧と、分離装置200に印加される交番電圧は同じ電源から供給されるため、転写バイアスの電圧値と分離バイアスの電圧値が同一となる。このため、2次転写裏面ローラ33と分離装置200との間にてリーク電流の発生原因の一つである電圧差がなくなる。これにより、煩雑な制御を行くことなく、簡易な構成でリーク電流の発生を防止できる。また、交流電源が1つで済むため、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
(態様B)
(態様A)において、電源からの電圧を転写バイアス又は分離バイアスに切り替える切替手段を備える。これによれば、上記実施形態の構成例1について説明したように、図3に示すようにスイッチ301、302によって、2次転写裏面ローラ33に直流電圧を供給するか、もしくは交番電圧に直流電圧を重畳した重畳電圧を供給するかを選択する。また、スイッチ303によって、交流電源305から分離装置200に交番電圧の供給が切り替わる。これにより、転写バイアスまたは分離バイアスのいずれかに電源からの電圧を用いることで、転写バイアスと分離バイアスの干渉を防ぐことができる。
(態様C)
(態様A)又は(態様B)において、トナー像を記録材に転写する際の交番電圧と、転写部材を像担持体から分離する際の交番電圧とは、互いに異なる電圧値である。これによれば、上記実施形態における構成例1〜構成例3の各変形例について説明したように、ニップ形成ローラ36に直流電流及び交番電圧が印加され、分離装置に交番電圧が印加されるようになっている。これにより、用紙への転写性と用紙の分離性を両立することができる。
(態様D)
(態様A)において、電源は直流電源及び交流電源を含んで構成され、転写バイアスは直流電源から供給される直流電圧、もしくは交流電源から供給される交番電圧に直流電圧を重畳した重畳電圧のいずれかである。これによれば、上記実施形態の構成例2について説明したように、図5に示すように交流電源305はニップ形成ローラ36の芯金に供給する直流電圧に重畳する交番電圧の2次転写バイアスや分離装置200に供給する分離バイアスの交番電圧を供給する。このように、ニップ形成ローラ36に印加される転写バイアスの交番電圧と、分離装置200に印加される交番電圧は同じ電源から供給されるため、転写バイアスの電圧値と分離バイアスの電圧値が同一となる。このため、ニップ形成ローラ36と分離装置200との間にてリーク電流の発生原因の一つである電圧差がなくなる。これにより、煩雑な制御を行くことなく、簡易な構成でリーク電流の発生を防止できる。また、交流電源が1つで済むため、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
(態様E)
(態様D)において、記録材に応じて、転写バイアスを直流電圧のみの場合又は重畳電圧の場合を選択する。これによれば、上記実施形態の構成例2について説明したように、図5に示すようにスイッチ301、302によって、ニップ形成ローラ36に直流電圧を供給するか、もしくは交番電圧に直流電圧を重畳した重畳電圧を供給するかを選択する。また、スイッチ303によって、交流電源305から分離装置200に交番電圧の供給が切り替わる。これにより、転写バイアスまたは分離バイアスのいずれかに電源からの電圧を用いることで、転写バイアスと分離バイアスの干渉を防ぐことができる。
(態様F)
(態様A)において、電源は直流電源及び交流電源を含んで構成され、転写バイアスは直流電源から供給される直流電流、もしくは交流電源から供給される交番電圧に直流電流を重畳した重畳電圧のいずれかである。これによれば、上記実施形態の構成例2について説明したように、図5に示すように交流電源305はニップ形成ローラ36の芯金に供給する直流電流に重畳する交番電圧の2次転写バイアスや分離装置200に供給する分離バイアスの交番電圧を供給する。このように、ニップ形成ローラ36に印加される転写バイアスの交番電圧と、分離装置200に印加される交番電圧は同じ電源から供給されるため、転写バイアスの電圧値と分離バイアスの電圧値が同一となる。このため、ニップ形成ローラ36と分離装置200との間にてリーク電流の発生原因の一つである電圧差がなくなる。これにより、煩雑な制御を行くことなく、簡易な構成でリーク電流の発生を防止できる。また、交流電源が1つで済むため、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
(態様G)
(態様F)において、記録材に応じて、転写バイアスを直流電流のみの場合又は重畳電圧の場合を選択する。これによれば、上記実施形態の構成例2について説明したように、図5に示すようにスイッチ301、302によって、ニップ形成ローラ36に直流電圧を供給するか、もしくは交番電圧に直流電圧を重畳した重畳電圧を供給するかを選択する。また、スイッチ303によって、交流電源305から分離装置200に交番電圧の供給が切り替わる。これにより、転写バイアス又は分離バイアスのいずれかに電源からの電圧を用いることで、転写バイアスと分離バイアスの干渉を防ぐことができる。
(態様H)
(態様A)〜(態様G)において、転写バイアス印加手段は、転写部材又はニップ形成部材に転写バイアスを印加する。これによれば、上記実施形態の構成例3について説明したように、図7に示すように2次転写裏面ローラ33と分離装置200との間にてリーク電流の発生原因の一つである電圧差がなくなる。これにより、煩雑な制御を行くことなく、簡易な構成でリーク電流の発生を防止できる。また、交流電源が1つで済むため、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
(態様I)
(態様H)において、転写バイアス印加手段は、転写部材に、交番電圧に直流電圧を重畳した重畳電圧の転写バイアスを印加する。これによれば、上記実施形態の構成例1について説明したように、図3に示すように交番電圧は2次転写バイアス、分離バイアスのいずれかのみに印加されることになる。これにより、2次転写、分離の両方に交番電圧が印加されることで発生する位相差によるリーク電流の発生を、煩雑な制御を行くことなく、簡易な構成で防止できる。また、交流電源が1つで済むため、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
(態様J)
(態様I)において、転写バイアス印加手段は、転写部材に、交番電圧に直流電流を重畳した重畳電圧の転写バイアスを印加する。これによれば、上記実施形態の構成例1について説明したように、図3に示すように交番電圧は2次転写バイアス、分離バイアスのいずれかのみに印加されることになる。これにより、煩雑な制御を行くことなく、簡易な構成でリーク電流の発生を防止できる。また、交流電源が1つで済むため、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
(態様K)
(態様I)において、転写バイアス印加手段は、ニップ形成部材に、交番電圧に直流電圧を重畳した重畳電圧の転写バイアスを印加する。これによれば、上記実施形態の構成例2について説明したように、図5に示すように交番電圧は2次転写バイアス、分離バイアスのいずれかのみに印加されることになる。これにより、煩雑な制御を行くことなく、簡易な構成でリーク電流の発生を防止できる。また、交流電源が1つで済むため、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
(態様L)
(態様I)において、転写バイアス印加手段は、ニップ形成部材に、交番電圧に直流電流を重畳した重畳電圧の転写バイアスを印加する。これによれば、上記実施形態の構成例2について説明したように、図5に示すように交番電圧は2次転写バイアス、分離バイアスのいずれかのみに印加されることになる。これにより、煩雑な制御を行くことなく、簡易な構成でリーク電流の発生を防止できる。また、交流電源が1つで済むため、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
(態様M)
(態様A)〜(態様E)において、転写バイアス印加手段は、転写部材に直流電圧を印加し、かつニップ形成部材に交番電圧を印加する。これによれば、上記実施形態の構成例3について説明したように、図7に示すように煩雑な制御を行くことなく、簡易な構成でリーク電流の発生を防止できる。また、交流電源が1つで済むため、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
(態様N)
(態様A)〜(態様E)において、転写バイアス印加手段は、転写部材に交流電圧を印加し、かつニップ形成部材に直流電流を印加する。これによれば、上記実施形態の構成例4について説明したように、図9に示すように煩雑な制御を行くことなく、簡易な構成でリーク電流の発生を防止できる。また、交流電源が1つで済むため、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
(態様O)
(態様A)〜(態様C)、(態様F)、(態様G)において、転写バイアス印加手段は、転写部材に直流電流を印加し、かつニップ形成部材に交番電圧を印加する。これによれば、上記実施形態の構成例3について説明したように、図7に示すように煩雑な制御を行くことなく、簡易な構成でリーク電流の発生を防止できる。また、交流電源が1つで済むため、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
(態様P)
(態様A)〜(態様C)、(態様F)、(態様G)において、転写バイアス印加手段は、転写部材に交流電圧を印加し、かつニップ形成部材に直流電流を印加する。これによれば、上記実施形態の構成例4について説明したように、図9に示すように煩雑な制御を行くことなく、簡易な構成でリーク電流の発生を防止できる。また、交流電源が1つで済むため、装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
(態様Q)
(態様A)〜(態様P)において、転写バイアス印加手段が交番電圧を印加するときは、分離バイアス印加手段は交番電圧を印加しない。これによれば、上記実施形態について説明したように、転写バイアスに電源からの電圧を用いられ、分離バイアスに電源からの電圧を用いられないので、転写バイアスと分離バイアスの干渉を防ぐことができる。
(態様R)
(態様A)〜(態様Q)の転写装置を転写手段として用いた。これによれば、交流電源が1つで済むので装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
【符号の説明】
【0051】
2Y,M,C,K:感光体(像担持体)
25Y,M,C,K:転写ローラ
30:転写ユニット
31:中間転写ベルト(像担持体)
33:2次転写裏面ローラ
36:ニップ形成ローラ(ニップ形成部材)
39:2次転写バイアス電源(転写バイアス印加手段)
121:紙搬送ベルト(ニップ形成部材)
200:分離装置
300:バイアス印加装置
301,302,303:スイッチ
304:直流電源
305:交流電源
【先行技術文献】
【特許文献】
【0052】
【特許文献1】特開2006−267486号公報
【特許文献2】特開平07−114273号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体上の前記トナー像を記録材に転写する転写部材と、前記像担持体のおもて面に当接して前記像担持体との間で転写ニップを形成するニップ形成部材と、転写バイアスを印加することにより前記転写ニップ位置で前記像担持体上のトナー像を記録材へ転写する転写バイアス印加手段と、分離部材に分離バイアスを印加することにより前記転写ニップ位置通過後で前記記録材を前記像担持体から分離する分離バイアス印加手段とを備える転写装置において、
前記転写バイアス印加手段による前記転写バイアス及び前記分離バイアス印加手段による分離バイアスは同一の電源から供給されることを特徴とする転写装置。
【請求項2】
請求項1記載の転写装置において、
前記電源からの電圧を前記転写バイアス又は前記分離バイアスに切り替える切替手段を備えることを特徴とする転写装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の転写装置において、
前記トナー像を記録材に転写する際の交番電圧と、前記転写部材を前記像担持体から分離する際の交番電圧とは、互いに異なる電圧値であることを特徴とする転写装置。
【請求項4】
請求項1記載の転写装置において、
前記電源は直流電源及び交流電源を含んで構成され、前記転写バイアスは前記直流電源から供給される直流電圧、もしくは交流電源から供給される交番電圧に前記直流電圧を重畳した重畳電圧のいずれかであることを特徴とする転写装置。
【請求項5】
請求項4記載の転写装置において、
記録材に応じて、前記転写バイアスを直流電圧のみの場合又は前記重畳電圧の場合を選択することを特徴とする転写装置。
【請求項6】
請求項1記載の転写装置において、
前記電源は直流電源及び交流電源を含んで構成され、前記転写バイアスは前記直流電源から供給される直流電流、もしくは交流電源から供給される交番電圧に前記直流電流を重畳した重畳電圧のいずれかであることを特徴とする転写装置。
【請求項7】
請求項6記載の転写装置において、
記録材に応じて、前記転写バイアスを直流電流のみの場合又は前記重畳電圧の場合を選択することを特徴とする転写装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の転写装置において、
前記転写バイアス印加手段は、前記転写部材又は前記ニップ形成部材に前記転写バイアスを印加することを特徴とする転写装置。
【請求項9】
請求項8記載の転写装置において、
前記転写バイアス印加手段は、前記転写部材に、交番電圧に直流電圧を重畳した重畳電圧の前記転写バイアスを印加することを特徴とする転写装置。
【請求項10】
請求項8記載の転写装置において、
前記転写バイアス印加手段は、前記転写部材に、交番電圧に直流電流を重畳した重畳電圧の前記転写バイアスを印加することを特徴とする転写装置。
【請求項11】
請求項8記載の転写装置において、
前記転写バイアス印加手段は、前記ニップ形成部材に、交番電圧に直流電圧を重畳した重畳電圧の前記転写バイアスを印加することを特徴とする転写装置。
【請求項12】
請求項8記載の転写装置において、
前記転写バイアス印加手段は、前記ニップ形成部材に、交番電圧に直流電流を重畳した重畳電圧の前記転写バイアスを印加することを特徴とする転写装置。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の転写装置において、
前記転写バイアス印加手段は、前記転写部材に直流電圧を印加し、かつ前記ニップ形成部材に前記交番電圧を印加することを特徴とする転写装置。
【請求項14】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の転写装置において、
前記転写バイアス印加手段は、前記転写部材に交流電圧を印加し、かつ前記ニップ形成部材に前記直流電流を印加することを特徴とする転写装置。
【請求項15】
請求項1〜3、6、7のいずれか1項に記載の転写装置において、
前記転写バイアス印加手段は、前記転写部材に直流電流を印加し、かつ前記ニップ形成部材に前記交番電圧を印加することを特徴とする転写装置。
【請求項16】
請求項1〜3、6、7のいずれか1項に記載の転写装置において、
前記転写バイアス印加手段は、前記転写部材に交流電圧を印加し、かつ前記ニップ形成部材に前記直流電流を印加することを特徴とする転写装置。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の転写装置において、
前記転写バイアス印加手段が交番電圧を印加するときは、前記分離バイアス印加手段は交番電圧を印加しないことを特徴とする転写装置。
【請求項18】
像担持体とニップ形成部材との当接による転写ニップ、あるいは、前記像担持体と前記ニップ形成部材との当接による転写ニップに挟み込んだ記録材に対して、前記像担持体又は前記像担持体の表面に担持されるトナー像を転写する転写手段を備える画像形成装置において、
前記転写手段として、請求項1〜17のいずれか1項に記載の転写装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−123366(P2012−123366A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226597(P2011−226597)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】