説明

軸受けメタル

【課題】摺動面積を確保すると共に潤滑不良及びフレッティングを有効的に回避できる軸受けメタルを提供する。
【解決手段】コンロッド大端部5の軸受嵌合面6に装着する軸受けメタル21の内周面25の幅方向中央に沿って軸受け面26及び該軸受け面26の両側縁26a、26bと側端部23a、23bとの間に傾斜する段面27、28を有し、該一方の段面28に内周側から外周側に突出する位置決め爪29を切り起し形成する。軸受け面26が位置決め爪28に影響されることなく形成されて軸受け面26とクランクピンpとの間に潤滑油の油膜及び摺動面積が確保され、良好な潤滑が得られる。また、軸受けメタル21の外周面24と軸受嵌合面6との間の密着性が向上してフレッティングが抑制でき、軸受け品質が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受けメタルに関し、例えばエンジンにおいてコネクティングロッドの大端部に装着されてクランクシャフトのクランクピンを回転自在に軸支する軸受けメタルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エンジンのコネクティングロッドは、円筒状でピストンピンによってピストンが結合される小端部及び半割り状のコンロッド大端部が連結部によって一体結合されたコンロッド本体と、半割り形状のコンロッドキャップを有し、コンロッド大端部にコンロッドキャップを取り付けることでクランクシャフトのクランクピンに回転自在に結合する円筒状の大端部が構成される。
【0003】
そして、コンロッド大端部の内周に形成される軸受嵌合面及びコンロッドキャップの内周に形成される軸受嵌合面に半円筒状の軸受けメタルが装着される。この軸受けメタルとクランクピンとの間に摺動面を確保すると共に潤滑油の油膜を生じさせて、油膜圧力によって大きな荷重を支えることが可能になる。ここで、コンロッド大端部の軸受嵌合面の周方向端部に嵌合凹部が形成され、この嵌合凹部に軸受けメタルの周方向端部から外周側へ突出する位置決め爪を嵌合して軸受けメタルが位置決めされて組み付けられる。また、同様に、コンロッドキャップにおいても軸受嵌合面の周方向端部に嵌合凹部が形成され、この嵌合凹部に軸受けメタルの位置決め爪を嵌合して軸受けメタルが組み付けられる。
【0004】
この種の位置決め爪が形成された軸受けメタルが種々知られている。その一例として、特許文献1に開示される軸受けメタルについて図15を参照して説明する。図15(a)は軸受けメタルが装着されたコンロッド大端部及びコンロッドキャップの分解斜視図であり、図15(b)はコンロッド大端部及びコンロッドキャップに装着される軸受けメタルの斜視図である。
【0005】
図15(a)に示すようにコンロッド大端部101には断面半円状、いわゆる半円筒内周面状の軸受嵌合面102及び一対の平面状の接合面103a、103bを有し、軸受嵌合面102の周方向端部に嵌合凹部104が形成される。同様に、コンロッドキャップ105は半円筒内周面状の軸受嵌合面106及び一対の平面状の接合面107a、107bを有し、軸受嵌合面106の周方向端部に図示しない嵌合凹部108が形成される。
【0006】
一方、図15(b)に示すようにコンロッド大端部101の軸受嵌合面102に装着される軸受けメタル111は薄板を略半円筒状に湾曲せしめた形状のメタル本体112を有し、メタル本体112の一方の周方向端部に外周側に突出する突起部113が形成される。同様にコンロッドキャップ105の軸受嵌合面106に装着される軸受けメタル115は薄板を略半円筒状に湾曲せしめた形状のメタル本体116を有し、メタル本体116の一方の周方向端部に外周側に突出する突起部117が形成される。
【0007】
この軸受けメタル111は、メタル本体112がコンロッド大端部101の軸受嵌合面102に嵌合すると共に突起部113が嵌合凹部104に嵌合してコンロッド大端部101に装着される。同様に、軸受けメタル115は、メタル本体116がコンロッドキャップ105の軸受嵌合面106に嵌合すると共に突起部117が嵌合凹部108に嵌合してコンロッドキャップ105に装着される。
【0008】
これら軸受けメタル111が装着されたコンロッド大端部101の軸受嵌合面102と、軸受けメタル115が装着されたコンロッドキャップ105の軸受嵌合面106を対向させて互いの接合面103aと107a及び103bと107bを当接してコンロッド大端部101とコンロッドキャップ105とをボルト結合することでクランクピンを軸支する大端部109が形成される。
【0009】
特許文献2には、図16に示すように、コンロッド大端部及びコンロッドキャップ等の軸受嵌合面に装着される薄板を略半円筒状に湾曲せしめた形状のメタル本体122を有し、メタル本体122の一方の周方向端部に嵌合凹部に嵌合可能な位置決め爪123を内周側から外周側に切り起しによって形成した軸受けメタル121が開示されている。
【0010】
また、特許文献3には、図17に示すように薄板を略半円筒状に湾曲せしめた形状のメタル本体126を有し、メタル本体126の一方の周方向端部の幅方向中央に内周側から外周側に膨出する置決め爪127が形成された軸受けメタル125が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平3−127815号公報
【特許文献2】特開平9−210064号公報
【特許文献3】特開平10−110721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特許文献1によると突起部113がコンロッド大端部101の嵌合凹部104に嵌合することで軸受けメタル111の位置決めがなされると共にコンロッドキャップ105の接合面107aに当接して軸受けメタル111のクランクピンの回転に伴う連れ周りが防止できる。同様に突起部117がコンロッドキャップ105の嵌合凹部108に嵌合することで軸受けメタル115が位置決めされると共にコンロッド大端部101の接合面103bに当接して軸受けメタル15のクランクピンの回転に伴う連れ周りが防止された状態に保持される。
【0013】
一方、エンジンの高出力化に伴ってクランクシャフトのクランクピン等に作用する荷重も増大する傾向にあり、クランクピンを軸支する大端部を構成するコンロッド大端部及びコンロッドキャップに作用する荷重も増大する。このようなコネクティングロッドの大端部に特許文献1に記載されるような軸受けメタル111、115を組み込むようにすると、軸受けメタル111の突起部113と嵌合凹部104との間に隙間が生じ、この隙間により突起部113が形成されるメタル本体112の周方向端部付近に作用する圧接力が局部的に低下してコンロッド大端部101の軸受嵌合面102によるメタル本体112に対する圧接力が不均一になりメタル本体104の形状が局部的に変化するおそれがある。
【0014】
一方、突起部113が嵌合凹部104に圧接、いわゆる底付きすると突起部113によってメタル本体112に局部的に過剰の圧接力が作用してメタル本体112の形状が局部的に変化するおそれがある。このように、軸受けメタル本体112の形状が変化するとクランクピンと軸受けメタル111との当たりが局部的に強くなり、軸受けメタル111とクランクピンとの間の潤滑油の油膜が偏在して潤滑不良を誘発するおそれがある。また、軸受けメタル111とコンロッド大端部101の軸受嵌合面102との間の密着性が低下して軸受けメタル111と軸受嵌合面102との間に滑り、叩きが誘起されてフレッティング(微動摩擦)が発生して摩耗や早期の疲労が発生する要因となる。
【0015】
同様に、軸受けメタル115の突起部117と嵌合凹部108との間に隙間や圧接が生じるとコンロッドキャップ105の軸受嵌合面106によるメタル本体116に対する圧接力が不均一になり、クランクピンと軸受けメタル115との当たりが局部的に強くなり軸受けメタル115とクランクピンとの間の潤滑油の油膜が偏在して潤滑不良を誘発するおそれがある。また、軸受けメタル115とコンロッドキャップ105の軸受嵌合面106との間の密着性が低下して軸受けメタル115と軸受嵌合面106との間に滑り、叩きが誘起されてフレッティングが発生して摩耗や早期の疲労が発生する要因となる。
【0016】
これら、軸受けメタルの位置決め爪と嵌合凹部との隙間及び圧接を回避することは、コネクティングロッド及び軸受けメタルとの加工精度や材質の相違による熱膨張率係数の相違等により適切に維持することが実質上困難である。
【0017】
特許文献2のようにメタル本体122の周方向端部に嵌合凹部に嵌合する位置決め爪123を切り起しにより形成した軸受けメタル121においても特許文献1の軸受けメタル111、115と同様にメタル本体122の形状が局部的に変化するおそれがあり、更に位置決め爪123の形成によりメタル本体122の軸受け面積が局部的に減少してクランクピンに対する圧接力が不均一になり潤滑油による潤滑が不良になるおそれがある。特許文献3のようにメタル本体126の周方向端部に嵌合凹部に嵌合する位置決め爪127を内周側から外周側に押し出して形成した軸受けメタル125においても特許文献1の軸受けメタル111、115と同様にメタル本体126の形状が変化するおそれがあり、更に位置決め爪127の形成によりメタル本体126の軸受け面積が局部的に減少してクランクピンに対する圧接力が不均一になり潤滑油による潤滑不良を誘発するおそれがある。
【0018】
従って、かかる点に鑑みなされた本発明の目的は、摺動面積を確保すると共に潤滑不良及びフレッティングを有効的に回避できる軸受けメタルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成する請求項1に記載の軸受けメタルの発明は、ハウジングの内周に形成された半円筒内面状の軸受嵌合面に、該軸受嵌合面の周方向に延在する両側端部及び周方向端部を有する矩形板状で外周面が嵌合して装着されると共に内周面によって回転軸を回転自在に支持する半円筒状でかつ前記周方向端部に外周面から外方に突出して前記ハウジングに形成された嵌合凹部に嵌合する位置決め爪が形成される軸受けメタルにおいて、前記内周面が一方の周方向端部から他方の周方向端部に亘って連続する軸受け面及び該軸受け面の側縁と側端部との間に前記軸受け面より外周面側となる段面を有し、該段面を含む軸受け面の側縁と側端部との間における周方向端部に内周側から外周側に突出する位置決め爪を切り起し形成したことを特徴とする。
【0020】
これによると、軸受けメタルの内周面に形成された軸受け面の側縁と側端部との間における周方向端部に内周側から外周側に突出する位置決め爪を形成することから、軸受け面が位置決め爪に影響されることなく形成されて回転軸と軸受け面との摺動面積が確保され、軸受けメタルの位置決め爪と嵌合凹部との間に隙間や圧接が生じてもハウジングの軸受嵌合面による軸受けメタルの軸受け面の形成範囲に対する圧接力が均一になり、回転軸と軸受けメタルの軸受け面との当たりが全範囲に亘り均一になり、軸受けメタルの軸受け面と回転軸との間の潤滑面積及び良好な潤滑油の油膜が確保でき、良好な潤滑が得られる。
【0021】
また、軸受けメタルの外周面とハウジングの軸受嵌合面との間の密着性が向上して軸受けメタルと軸受嵌合面との間の滑りや叩き、即ちフレッティングが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されると共に軸受けメタルの軸方向の幅が確保されることと相俟って長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0022】
前記目的を達成する請求項2に記載の軸受けメタルの発明は、ハウジングの内周に形成された半円筒内面状の軸受嵌合面に、該軸受嵌合面の周方向に延在する両側端部及び周方向端部を有する矩形板状で外周面が嵌合して装着されると共に内周面によって回転軸を回転自在に支持する半円筒状でかつ前記周方向端部に外周面から外方に突出して前記ハウジングに形成された嵌合凹部に嵌合する位置決め爪が形成される軸受けメタルにおいて、前記内周面が幅方向中央に沿って一方の周方向端部から他方の周方向端部に亘って連続する軸受け面及び該軸受け面の両側縁と各側端部との間に前記軸受け面の側縁から各側端部に移行するに従って外周面側に移行するように傾斜する段面を有し、該一方の段面を含む軸受け面の側縁と側端部との間における周方向端部に内周側から外周側に突出する位置決め爪を切り起し形成したことを特徴とする。
【0023】
これによると、軸受けメタルの内周面に形成された軸受け面の両側と側端部との間に回転軸から離反するように傾斜する段面を形成し、一方の段面含む軸受け面の側縁と側端部との間における周方向端部に内周側から外周側に突出する位置決め爪を形成することから、軸受け面が位置決め爪に影響されることなく形成されて回転軸と軸受け面との摺動面積が確保されると共に、軸受けメタルの位置決め爪と嵌合凹部との間に隙間や圧接が生じても軸受嵌合面による軸受けメタルの軸受け面の形成範囲に対する圧接力が均一になり、回転軸と軸受けメタルの軸受け面との当たりが全範囲に亘り均一になり、軸受けメタルの軸受け面と回転軸との間の潤滑面積及び良好な潤滑油の油膜が確保でき、良好な潤滑が得られる。また、軸受けメタルの外周面と軸受嵌合面との間の密着性が向上して軸受けメタルと軸受嵌合面との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されると共に軸受けメタルの軸方向の幅が確保されることと相俟って長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0024】
また、この軸受けメタルは、両側をテーパ状に面取りした板材をロール加工やプレス加工により半円筒状に湾曲成形し、その周方向端部の幅方向の一端を内周側から外周側に押し出す切り起し加工によって位置決め爪を形成することで容易に製造することができる。
【0025】
前記目的を達成する請求項3に記載の軸受けメタルの発明は、ハウジングの内周に形成された半円筒内面状の軸受嵌合面に、該軸受嵌合面の周方向に延在する両側端部及び周方向端部を有する矩形板状で外周面が嵌合して装着されると共に内周面によって回転軸を回転自在に支持する半円筒状でかつ前記周方向端部に外周面から外方に突出して前記ハウジングに形成された嵌合凹部に嵌合する位置決め爪が形成される軸受けメタルにおいて、前記内周面が一方の側端部に沿って一方の周方向端部から他方の周方向端部に亘って連続する軸受け面及び該軸受け面の側縁と他方の側端部との間に前記軸受け面の側縁から該側端部に移行するに従って外周面側に移行するように傾斜する段面を有し、該段面を含む軸受け面の側縁と側端部との間における周方向端部に内周側から外周側に突出する位置決め爪を切り起し形成したことを特徴とする。
【0026】
これによると、段面含む軸受け面の側縁と側端部との間における周方向端部に内周側から外周側に突出する位置決め爪を形成することから、軸受け面が位置決め爪に影響されることなく形成されて回転軸と軸受け面との摺動面積が確保され、軸受けメタルの位置決め爪と嵌合凹部との間に隙間や圧接が生じても軸受嵌合面による軸受けメタルの軸受け面の形成範囲に対する圧接力が均一になり、回転軸と軸受けメタルの軸受け面との当たりが全範囲に亘り均一になり、軸受けメタルの軸受け面と回転軸との間の潤滑面積及び良好な潤滑油の油幕が確保でき、良好な潤滑が得られる。また、軸受けメタルの外周面とハウジングの軸受嵌合面との間の密着性が向上して軸受けメタルと軸受嵌合面との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されて長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0027】
この軸受けメタルは、一方の側端をテーパ状に面取りした板材をロール加工やプレス加工により半円筒状に湾曲成形し、その周方向端部の幅方向の一端を内周側から外周側に押し出す切り起し加工によって位置決め爪を形成することで容易にかつ安価に製造することができる。
【0028】
前記目的を達成する請求項4に記載の軸受けメタルの発明は、ハウジングの内周に形成された半円筒内面状の軸受嵌合面に、該軸受嵌合面の周方向に延在する両側端部及び周方向端部を有する矩形板状で外周面が嵌合して装着されると共に内周面によって回転軸を回転自在に支持する半円筒状でかつ前記周方向端部に外周面から外方に突出して前記ハウジングに形成された嵌合凹部に嵌合する位置決め爪が形成される軸受けメタルにおいて、前記内周面が一方の側端部に沿って一方の周方向端部から他方の周方向端部に亘って連続する軸受け面及び該軸受け面の側縁に折曲する段差部を介し前記軸受け面より外周面側において側端部側に連続する段面を有し、該段面を含む段差部と側端部との間における周方向端部に内周側から外周側に突出する位置決め爪を切り起し形成したことを特徴とする。
【0029】
これによると、軸受けメタルの軸受け面の側縁と側端部との間に段面含む軸受け面の側縁と側端部との間における周方向端部に内周側から外周側に突出する位置決め爪を形成することから、軸受け面が位置決め爪に影響されることなく形成されて回転軸と軸受け面との摺動面積が確保され、軸受けメタルの位置決め爪と嵌合凹部との間に隙間や圧接が生じても軸受嵌合面による軸受けメタルの軸受け面の形成範囲に対する圧接力が均一になり、回転軸と軸受けメタルの軸受け面との当たりが全範囲に亘り均一になり、軸受けメタルの軸受け面と回転軸との間の潤滑面積及び良好な潤滑油の油幕が確保でき良好な潤滑が得られる。また、軸受けメタルの外周面と軸受嵌合面との間の密着性が向上して軸受けメタルと軸受嵌合面との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されて長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0030】
この軸受けメタルは、一方の側端を段差状に面取りした板材をロール加工やプレス加工により半円筒状に湾曲成形し、その周方向端部の幅方向の一端を内周側から外周側に押し出す、いわゆる切り起し加工によって位置決め爪を形成することで容易にかつ安価に製造することができる。
【0031】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の軸受けメタルにおいて、前記ハウジングがコネクションロッドのコンロッド大端部及びコンロッドキャップで有り、回転軸がクランクピンであることを特徴とする。
【0032】
この発明は、ハウジング及び回転軸の具体的にコネクティングロッド及びクランクシャフトのクランクピンに適用したものである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によると、軸受けメタルの軸受け面の側縁と側端部との間の周方向端部に内周側から外周側に突出する位置決め爪を形成することで、軸受け面が位置決め爪に影響されることなく形成されて回転軸と軸受け面との間の潤滑面積及び良好な潤滑油が確保できて良好な潤滑が得られる。また、軸受けメタルの外周面と軸受嵌合面との間の密着性が向上して長期間安定した軸受け品質が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る軸受けメタルが装着されたコンロッドの斜視図である。
【図2】大端部の分解概略図である。
【図3】コンロッド大端部の斜視図である。
【図4】軸受けメタルの説明図であり(a)は軸受けメタルの斜視概略図、(b)は(a)のa−a線断面図である。
【図5】軸受けメタルの説明図であり(a)は軸受けメタルの斜視概略図、(b)は(a)のb−b線断面図である。
【図6】嵌合凹部と位置決め爪の嵌合状態を示す説明図であり、(a)は図1のc−c線断面図、(b)は図1のd−d線断面図である。
【図7】本発明の第2実施の形態に係るコンロッドの分解斜視図である。
【図8】軸受けメタルの説明図であり、(a)は軸受けメタルの斜視概略図、(b)は(a)のe−e線断面図である。
【図9】軸受けメタルの説明図であり、(a)は軸受けメタルの斜視概略図、(b)は(a)のf−f線断面図である。
【図10】嵌合凹部と位置決め爪の嵌合状態を示す説明図であり、(a)は軸受けメタルが装着された状態における図7のg矢視図、(b)は軸受けメタルが装着された状態における図7のh矢視図である。
【図11】本発明の第3実施の形態に係るコンロッドの分解斜視図である。
【図12】軸受けメタルの説明図であり(a)は軸受けメタルの斜視概略図、(b)は(a)のi−i線断面図である。
【図13】軸受けメタルの説明図であり、(a)は軸受けメタルの斜視概略図、(b)は(a)のj−j線断面図である。
【図14】嵌合凹部と位置決め爪の嵌合状態を示す説明図であり、(a)は軸受けメタルが装着された状態における図11のk矢視図、(b)は軸受けメタルが装着された状態における図11のl矢視図である。
【図15】従来の軸受けメタルの説明図であり、(a)はコンロッドの大端部の分解斜視図、(b)は軸受けメタルの斜視概略図である。
【図16】従来の軸受けメタルの斜視概略図である。
【図17】従来の軸受けメタルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の軸受けメタルの実施の形態をハウジングがコンロッドの大端部である場合を例に説明する。
【0036】
(第1実施の形態)
第1実施の形態を図1乃至図6を参照して説明する。図1は軸受けメタルが装着されたコネクティングロッドの斜視図、図2は大端部の分解概略図、図3はコンロッド大端部の斜視図、図4及び図5は軸受けメタルの斜視概略図、図6は嵌合凹部と位置決め爪の嵌合状態を示す説明図である。なお、図6においてはクランクピンを仮想線pで示してある。
【0037】
図1及び図2に概略を示すようにコネクティングロッド1は、円筒状でピストンピンによってピストンが結合される小端部3及び半割り状のコンロッド大端部5が連結部によって連結されたコンロッド本体2と、半割り状のコンロッドキャップ10を有し、コンロッド大端部5にコンロッドキャップ10が固定ボルト15によって固定することで回転軸となるクランクピンを回転自在に連結する円筒状のハウジングとなる大端部20が構成される。
【0038】
コンロッド大端部5の内周に軸受嵌合面6が形成され、コンロッドキャップ10の内周に軸受嵌合面11が形成され、これら軸受嵌合面6及び11に一対の半割り状、即ち半円筒状の軸受けメタル21、31が装着される。
【0039】
これら軸受けメタル21、31はほぼ同形であって、軸受けメタル21は、図4(a)に斜視図を示し、同図(b)にa−a線断面図を示すように、軸受嵌合面6の周方向に延在する円弧状に連続する一対の側端部22a、22b、及び周方向端部23a、23bを有する帯状矩形の薄板を略半円筒状に湾曲した半割り形状で外周面24及び内周面25を有する。
【0040】
内周面25は、幅方向中央に沿って一方の周方向端部23aから他方の周方向端部23bに亘って連続する軸受け面26を有し、軸受け面26の両側に、それぞれ軸受け面26の側縁26a、26bから折曲して側端部22a、22b側に移行するに従って外周面24側、即ち外周側に移行するように傾斜するテーパ状に面取りした段面27、28が形成される。この軸受け面26と段面27、28は稜線状に側縁26a及び26bによってクランクピンpに当接する軸受け面26とクランクピンpから離反する段面27、28とに明確に区画される。
【0041】
更に、軸受け面26の側縁26aと側端部22aの間における周方向端部23aを周方向に切り欠き、内周側から外周側に折曲して外周側に突出する矩形の位置決め爪29を形成する。即ちクランクピンpに当接する軸受け面26の範囲から分離して形成される段面27の範囲において周方向端部23aに内周側から外周側に切り起こすことで矩形の位置決め爪29を形成する。
【0042】
この軸受けメタル21は、両側をテーパ状に面取りした板材をロール加工やプレス加工により半円筒状に湾曲成形し、その周方向端部の幅方向の一端を内周側から外周側に押し出す、いわゆる切り起し加工によって位置決め爪を形成することで容易にかつ安価に製造することができる。
【0043】
軸受けメタル31は、図5(a)に斜視図を示し、同図(b)にb−b線断面図を示すように軸受嵌合面11の周方向に延在する半円弧状の一対の側端部32a、32b、及び周方向端部33a、33bを有する薄板を略半円筒状に湾曲した半割り形状で外周面34及び内周面35を有し、内周面35には幅方向中央に沿って一方の周方向端部33aから他方の周方向端縁33bに連続する軸受け面36を有し、軸受け面36の両側に、それぞれ軸受け面36の側縁36a、36bから折曲して側端部32a、32b側に移行するに従って外周面34側、即ち外周側に移行するように傾斜するテーパ状に面取りした段面37、38が形成される。この軸受け面36と段面37、38は稜線状に折曲する側縁36a及び36bによってクランクピンpに当接する軸受け面36とクランクピンpから離反する段面37、38とに明確に区画される。
【0044】
更に、軸受け面36の側縁36bと側端部32bの間における周方向端部33aを周方向に切り欠き、内周側から外周側に折曲して外周側に突出する矩形の位置決め爪39を形成する。即ちクランクピンpに当接する軸受け面36の範囲から分離して形成される段面38の範囲において周方向端部33aに内周側から外周側に切り起こすことで矩形の位置決め爪39を形成する。
【0045】
一方、軸受けメタル21が装着されるコンロッド大端部5は、図3に示すようにクランクピンpの延在方向に連続して半円弧状の一方の側縁6aから他方の側縁6bに亘り断面半円状、即ち半円筒内面状で軸受けメタル21の外周面24が嵌合する所定の幅を有する軸受嵌合面6及び軸受嵌合面6の周方向端部6c、6dに連続する一対の平面状の接合面7、8を有し、軸受嵌合面6の一方の側縁6a側に周方向端部6cから接合面7に亘って軸受けメタル21の位置決め爪29が嵌合する嵌合凹部9が形成される。この接合面7、8は連結部の延在方向、即ち小端部3と軸受嵌合面6の中心軸線であるクランクピンpの回転中心を結ぶ軸線に対して傾斜している。
【0046】
そして軸受けメタル21は、その外周面24をコンロッド大端部5の軸受嵌合面6の周方向に沿って延在させて軸受嵌合面6に押圧して密着させると共に位置決め爪29を嵌合凹部9に嵌合して軸受けメタル21がコンロッド大端部5に組み付ける。
【0047】
軸受けメタル31が装着されるコンロッドキャップ10は、図2に示すようにクランクピンの延在方向に連続して半円弧状の一方の側縁11aから他方の側縁11bに亘る断面半円状で軸受けメタル31の外周面34が嵌合する所定の幅を有する軸受嵌合面11及び軸受嵌合面11の周方向端部11c、11dに連続する一対の平面状の接合面12、13を有し、軸受嵌合面11の一方の側縁11a側に周方向端部11cから接合面12に亘って軸受けメタル31の位置決め爪39が嵌合する嵌合凹部14が形成される。
【0048】
そして軸受けメタル31の外周面34をコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11沿って延在させて軸受嵌合面11に押圧して密着させると共に係止位置決め爪39を嵌合凹部14に嵌合して軸受けメタル31がコンロッドキャップ10に組み付ける。
【0049】
互いの軸受けメタル21及び軸受けメタル31がクランクピンpを回転自在に挟持するようにコンロッド大端部5の接合面7、8とコンロッドキャップ10の接合面13、12を突き合わせて固定ボルト15によりコンロッド大端部5とコンロッドキャップ10と結合する。つまり、コンロッド大端部5とコンロッドキャップ10とにより一対の軸受けメタル21、31を挟むことによってクランクピンpを回転自在に支持するハウジングとなる大端部20が形成される。また互いの軸受けメタル21及び31の周方向端部23aと33b、23bと33aが対向すると共に軸受け面26と軸受け面6が連続配置され、軸受け面26と軸受け面36によって円筒内面状の滑らかに連続する軸受け面が形成される。
【0050】
コンロッド1の小端部3にはシリンダボア内に往復動自在に収容されるピストンが揺動自在に組み付けられる。このように、クランクシャフトとピストンとはコンロッド1を介して連結され、ピストンを往復動させることでクランクシャフトを回転させることが可能になる。
【0051】
このコンロッド大端部5に装着された軸受けメタル21は、外周面24がコンロッド大端部5の軸受嵌合面6に密着して取り付けられる。特に図1のc−c線断面を図6(a)に示すように内周面25に形成された軸受け面26の側縁26aと側端部22aとの間にクランクピンpと離反して形成される段面27の範囲、即ち軸受け面26から離間して形成された位置決め爪29をコンロッド大端部5の嵌合凹部9に嵌合することから、軸受け面26が位置決め爪29に影響されることなく形成されてクランクピンpと軸受け面26との摺動面積が確保されると共に潤滑油による均一な油膜が形成される。更に、軸受け面26の全範囲に対応する外周面24の範囲がコンロッド大端部5の軸受嵌合面6に密接する。
【0052】
換言すると、軸受けメタル21の位置決め爪29と嵌合凹部9との間に隙間や圧接が生じてもコンロッド大端部5の軸受嵌合面6による軸受けメタル21の軸受け面26の形成範囲に対する圧接力が均一になり、クランクピンpと軸受けメタル21の軸受け面26との当たりが全範囲に亘り均一になり、軸受け面26の変形が抑制されて軸受けメタル21の軸受け面26とクランクピンpとの間の摺動面積及び良好な潤滑油の油幕が確保でき良好な潤滑が得られる。
【0053】
また、軸受けメタル21の外周面24とコンロッド大端部5の軸受嵌合面6との間の密着性が向上して軸受けメタル21と軸受嵌合面6との間の滑りや叩き、いわゆるフレッティングが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されて長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0054】
一方、このコンロッドキャップ10に装着された軸受けメタル31は、外周面34がコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11に密着して取り付けられる。特に図1のd−d線断面を図6(b)に示すように、軸受け面36の側縁36aと側端部32aとの間に形成される段面37の範囲、即ち軸受け面36から離間して形成され位置決め爪39をコンロッドキャップ10の嵌合凹部14に嵌合することから、軸受け面36が位置決め爪39に影響されることなく形成されてクランクピンpと軸受け面36との摺動面積が確保されると共に潤滑油による油膜が形成される。更に、軸受け面36の全範囲に対応する外周面34の範囲がコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11に密接する。
【0055】
換言すると、軸受けメタル31の位置決め爪39と嵌合凹部14との間に隙間や圧接が生じてもコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11による軸受けメタル31の軸受け面36の形成範囲に対する圧接力が均一になり、クランクピンpと軸受けメタル31の軸受け面36との当たりが全範囲に亘り均一になり、軸受け面36の変形が抑制されて軸受けメタル31の軸受け面36とクランクピンpとの間に潤滑油の油幕及び潤滑面積が確保でき、良好な潤滑がえられる。また、軸受けメタル31の外周面34とコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11との間の密着性が向上して軸受けメタル31と軸受嵌合面11との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されると共に軸受けメタルの軸方向の幅が確保されることと相俟って長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0056】
以上のように、コンロッド1の大端部20を構成するコンロッド大端部5の軸受嵌合面6及びコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11に装着される軸受けメタル21及び軸受けメタル31の軸受け面26及び36のクランクピンpとの摺動面積が確保されると共にクランクピンpに対する圧接力が均一になり、潤滑油の油幕及び潤滑面積が確保されて良好な軸受け品質が得られる。更に、軸受けメタル21の外周面24とコンロッドキ大端部5の軸受嵌合面6との間の密着性が向上して軸受けメタル21と軸受嵌合面6との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制され、かつ軸受けメタル31の外周面34とコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11との間の密着性が向上して軸受けメタル31と軸受嵌合面11との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されて長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0057】
(第2実施の形態)
第2実施の形態を図7乃至図10を参照して説明する。図7は軸受けメタルが装着されたコンロッドの大端部の分解概略図、図8及び図9は軸受けメタルの斜視概略図、図10は嵌合凹部と位置決め爪の嵌合状態を示す説明図である。なお、図10においてはクランクピンを仮想線pで示してある。また、図7乃至図10において図1乃至図6と対応する部分に同一符号を付することで該部の詳細な説明を省略する。
【0058】
コンロッド1は、小端部及び半割状のコンロッド大端部5が連結部によって連結されたコンロッド本体2と、コンロッドキャップ10を有し、コンロッド大端部5にコンロッドキャップ10が固定ボルト15によって固定されることでクランクピンを回転自在に連結する円筒状のハウジングとなる大端部20が構成される。
【0059】
コンロッド大端部5の内周面6及びコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11に一対の即ち半円筒状の軸受けメタル51、61が装着される。
【0060】
軸受けメタル51は、図8(a)に斜視図を示し同図(b)にe−e線断面図を示すように、軸受嵌合面6の周方向に沿って円弧状に延在する一対の側端部52a、52b、及び周方向端部53a、53bを有する帯状矩形の薄板を略半円筒状に湾曲した半割り形状で外周面54及び内周面55を有する。
【0061】
内周面55は、一方の側端部52aに沿って一方の周方向端部53aから他方の周方向端縁53bに亘って連続する軸受け面56を有し、軸受け面56の側縁56aから折曲して側端部52b側に移行するに従って外周面54側、即ち外周側に移行するように傾斜するテーパ状に面取りした段面58が形成される。この軸受け面56と段面58は稜線状に折曲する軸受け面56の側縁56aによってクランクピンpに当接する軸受け面56とクランクピンpから離反する段面58とに明確に区画される。
【0062】
更に、軸受け面56の側縁56aと側端部52bの間における周方向端部53aを周方向に切り欠き、内周側から外周側に折曲して外周側に突出する矩形の位置決め爪59を形成する。即ちクランクピンpに当接する軸受け面56の範囲から分離して形成される段面58の範囲において周方向端部53aに内周側から外周側に切り起こすことで矩形の位置決め爪59を形成する。
【0063】
この軸受けメタル51は、一方の側端をテーパ状に面取りした板材をロール加工やプレス加工により半円筒状に湾曲成形し、その周方向端部の幅方向の一端を内周側から外周側に押し出す、いわゆる切り起し加工によって位置決め爪を形成することで容易にかつ安価に製造することができる。
【0064】
軸受けメタル61は、図9(a)に斜視図を示し、同図(b)に断面図を示すように軸受嵌合面11の周方向に延在する半円弧状の側端部62a、62b、及び周方向端部63a、63bを有する薄板を略半円筒状に湾曲した半割り形状で外周面64及び内周面65を有する。
【0065】
内周面65は一方の側端部62aに沿って周方向端部63aから周方向端縁63bに連続する軸受け面66を有し、軸受け面66の側縁66aから折曲して他方の側端部62b側に移行するに従って外周面64側、即ち外周側に移行するように傾斜するテーパ状に面取りした段面68が形成される。この軸受け面66と段面68は稜線状に折曲する軸受け面66の側縁66aによってクランクピンpに当接する軸受け面66とクランクピンpから離反する段面68と区画される。
【0066】
更に、軸受け面66の側縁66aと側端部62bの間における周方向端部63aを周方向に切り欠き、内周側から外周側に折曲して外周側に突出する矩形の位置決め爪69を形成する。即ちクランクピンpに当接する軸受け面66の範囲から分離して形成される段面68の範囲において周方向端部63aに内周側から外周側に切り起こすことで矩形の位置決め爪69を形成する。
【0067】
一方、軸受けメタル61が装着されるコンロッド大端部5は、図7に示すようにクランクピンpの延在方向に連続して半円弧状の一方の側縁6aから他方の側縁6bに亘り断面半円状、即ち半円筒内面状の軸受けメタル51の外周面54が嵌合する軸受嵌合面6及び軸受嵌合面6の周方向端部6c、6dに連続する一対の平面状の接合面7、8を有し、軸受嵌合面6の側縁6b側に周方向端部6cから接合面7に亘って軸受けメタル51の位置決め爪59が嵌合する嵌合凹部9が形成される。
【0068】
そして軸受けメタル51は、その外周面54をコンロッド大端部5の軸受嵌合面6に押圧して密着させると共に位置決め爪59を嵌合凹部9に嵌合して軸受けメタル51がコンロッド大端部5に組み付けられる。
【0069】
軸受けメタル61が装着されるコンロッドキャップ10は、図7に示すようにクランクピンの延在方向に連続して半円弧状の一方の側縁11aから他方の側縁11bに亘る断面半円状で軸受けメタル61の外周面64が嵌合する軸受嵌合面11及び軸受嵌合面11の一方の周方向端部11c、11dに連続する一対の平面状の接合面12、13を有し、軸受嵌合面11の一方の側縁11a側に周方向端部11cから接合面12に亘って軸受けメタル61の位置決め爪69が嵌合する嵌合凹部14が形成される。
【0070】
そして軸受けメタル61の外周面64をコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11に押圧して密着させると共に係止位置決め爪69を嵌合凹部14に嵌合して軸受けメタル61がコンロッドキャップ10に組み付けられる。互いの軸受けメタル51及び軸受けメタル61がクランクピンpを回転自在に挟持するようにコンロッド大端部5の接合面7、8とコンロッドキャップ10の接合面13、12を突き合わせて固定ボルト15によりコンロッド大端部5とコンロッドキャップ10と結合する。つまり、コンロッド大端部5とコンロッドキャップ10とにより一対の軸受けメタル51、61を挟むことによってクランクピンpを回転自在に支持するハウジングとなる大端部20が形成される。
【0071】
このコンロッド大端部5に装着された軸受けメタル51は、外周面54がコンロッド大端部5の軸受嵌合面6に密着して取り付けられる。特に軸受けメタル61を装着した状態における図7のg矢視図を図10(a)に示すように内周面55に形成された軸受け面56の側縁56aと側縁部52bとの間にクランクピンpと離反して形成される段面58の範囲、即ち軸受け面56から離間して形成され位置決め爪59をコンロッド大端部5の嵌合凹部9に嵌合することから、軸受け面56が位置決め爪59に影響されることなく形成されてクランクピンpと軸受け面56との摺動面積が確保される。更に、軸受け面56の全範囲に対応する外周面54の範囲がコンロッド大端部5の軸受嵌合面6に密接する。
【0072】
換言すると、軸受けメタル51の位置決め爪59と嵌合凹部9との間に隙間や圧接が生じてもコンロッド大端部5の軸受嵌合面6による軸受けメタル51の軸受け面56の形成範囲に対する圧接力が均一になり、クランクピンpと軸受けメタル51の軸受け面56との当たりが全範囲に亘り均一になり、軸受け面56の変形が抑制されて軸受けメタル51の軸受け面56とクランクピンpとの間に潤滑油の油幕及び潤滑面積が確保でき、良好な潤滑がえられる。また、軸受けメタル51の外周面54とコンロッド大端部5の軸受嵌合面6との間の密着性が向上して軸受けメタル51と軸受嵌合面6との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されて長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0073】
一方、このコンロッドキャップ10に装着された軸受けメタル61は、外周面64がコンロッドキャップ10の内周面11に密着して取り付けられる。特に軸受けメタル61を装着した状態の図8のh矢視図を図10(b)に示すように軸受け面66の側縁66aと側端部62bとの間に形成される段面68の範囲、即ち軸受け面66から離間して形成され位置決め爪69をコンロッドキャップ10の嵌合凹部14に嵌合することから、軸受け面66が位置決め爪69に影響されることなく形成されてクランクピンpと軸受け面66との摺動面積が確保される。更に、軸受け面66の全範囲に対応する外周面34の範囲がコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11に密接する。
【0074】
換言すると、軸受けメタル61の位置決め爪69と嵌合凹部14との間に隙間や圧接が生じてもコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11による軸受けメタル61の軸受け面66の形成範囲に対する圧接力が均一になり、クランクピンpと軸受けメタル61の軸受け面66との当たりが全範囲に亘り均一になり、軸受け面66の変形が抑制されて軸受けメタル61の軸受け面66とクランクピンpとの間に潤滑油の油幕及び潤滑面積が確保でき、良好な潤滑がえられる。また、軸受けメタル61の外周面64とコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11との間の密着性が向上して軸受けメタル61と軸受嵌合面11との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されて長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0075】
以上のように、コンロッド1の大端部20を構成するコンロッド大端部5の内周面6及びコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11に装着される軸受けメタル51及び61の受け面56及び66のクランクピンpとの摺接面積が確保されると共にクランクピンpに対する圧接力が均一になり、潤滑油幕及び潤滑面積が確保されて良好な軸受け品質が得られると共に、軸受けメタル51の外周面54とコンロッドキ大端部5の軸受嵌合面6との間の密着性が向上して軸受けメタル51と内周面6との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制され、かつ軸受けメタル61の外周面64とコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11との間の密着性が向上して軸受けメタル61と軸受嵌合面11との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されて長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0076】
(第3実施の形態)
第3実施の形態を図11乃至図14を参照して説明する。図11は軸受けメタルが装着されたコンロッドの大端部の分解概略図、図12及び図13は軸受けメタルの斜視概略図、図14は嵌合凹部と位置決め爪の嵌合状態を示す説明図である。なお、図14においてはクランクピンを仮想線pで示してある。図11乃至図14において図1乃至図6と対応する部分に同一符号を付することで該部の詳細な説明を省略する。
【0077】
コンロッド1は、小端部及び半割状のコンロッド大端部5が連結部によって連結されたコンロッド本体2と、コンロッドキャップ10を有し、コンロッド大端部5にコンロッドキャップ10が固定ボルト15によって固定されることでクランクピンを回転自在に連結する円筒状の大端部20が構成される。
【0078】
コンロッド大端部5の軸受嵌合面6及びコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11に一対の半割状の軸受けメタル71、81が装着される。
【0079】
軸受けメタル71は、図12(a)に斜視図を示し同図(b)にi−i線断面図を示すように、円弧状に連続する一対の側端部72a、72b、及び周方向端部73a、73bを有する帯状矩形の薄板を略半円筒状に湾曲した半割り形状で外周面74及び内周面75を有する。
【0080】
内周面75は、一方の側端部72aに沿って一方の周方向端部73aから他方の周方向端縁73bに亘って連続する軸受け面76を有し、軸受け面76の側縁76aからL字状に折曲する段差部77して軸受け面76より外周面74側となる段差部75から側端部72b側に移行する段面78が形成される。この軸受け面76と段面78は段差部77によってクランクピンpに当接する軸受け面76とクランクピンpから離反する断面78とに明確に区画される。
【0081】
更に、段差部77と側端部72bの間における周方向端部73aを周方向に切り欠き、内周側から外周側に折曲して外周側に突出する矩形の位置決め爪79を形成する。即ちクランクピンpに当接する軸受け面76の範囲から分離して形成される段面78の範囲において周方向端部73aに内周側から外周側に切り起こすことで矩形の位置決め爪79を形成する。
【0082】
この軸受けメタル71は、一方の側端を段差状に面取りした板材をロール加工やプレス加工により半円筒状に湾曲成形し、その周方向端部の幅方向の一端を内周側から外周側に押し出す、いわゆる切り起し加工によって位置決め爪を形成することで容易にかつ安価に製造することができる。
【0083】
軸受けメタル81は、図13(a)に斜視図を示し同図(b)にj−j線断面図を示すように、円弧状に連続する一対の側端部82a、82b、及び周方向端部83a、83bを有する帯状矩形の薄板を略半円筒状に湾曲した半割り形状で外周面84及び内周面85を有する。
【0084】
内周面85は、一方の側端部82aに沿って一方の周方向端部83aから他方の周方向端縁83bに亘って連続する軸受け面86を有し、軸受け面86の側縁86aからL字状に折曲する段差部87して軸受け面86より外周面84側となる段差部85から側端部82b側に移行する段面88が形成される。この軸受け面86と段面88は段差部87によってクランクピンpに当接する軸受け面86とクランクピンpから離反する段面88とに明確に区画される。
【0085】
更に、段差部87と側端部82bの間における周方向端部83aを周方向に切り欠き、内周側から外周側に折曲して外周側に突出する矩形の位置決め爪89を形成する。即ちクランクピンpに当接する軸受け面86の範囲から分離して形成される段面88の範囲において周方向端部83aに内周側から外周側に切り起こすことで矩形の位置決め爪89を形成する。
【0086】
一方、軸受けメタル71が装着されるコンロッド大端部5は、図11に示すようにクランクピンpの延在方向に連続して半円弧状の一方の側縁6aから他方の側縁6bに亘り断面半円状、即ち半円筒内面状の軸受けメタル71の外周面74が嵌合する軸受嵌合面6及び軸受嵌合面6の周方向端部6c、6dに連続する一対の平面状の接合面7、8を有し、軸受嵌合面6の一方の側縁6a側に周方向端部6cから接合面7に亘って軸受けメタル71の位置決め爪79が嵌合する嵌合凹部9が形成される。
【0087】
そして軸受けメタル71は、その外周面74をコンロッド大端部5の軸受嵌合面6に押圧して密着させると共に位置決め爪79を嵌合凹部9に嵌合して軸受けメタル71がコンロッド大端部5に組み付けられる。
【0088】
軸受けメタル81が装着されるコンロッドキャップ10は、図11に示すようにクランクピンの延在方向に連続して半円弧状の一方の側縁11aから他方の側縁11bに亘る断面半円状で軸受けメタル71の外周面74が嵌合する軸受嵌合面11及び軸受嵌合面11の一方の周方向端部11c、11dに連続する一対の平面状の接合面12、13を有し、軸受嵌合面11の一方の側縁11a側に周方向端部11cから接合面12に亘って軸受けメタル81の位置決め爪89が嵌合する嵌合凹部14が形成される。
【0089】
そして軸受けメタル81の外周面84をコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11に押圧して密着させると共に係止位置決め爪89を嵌合凹部14に嵌合して軸受けメタル81がコンロッドキャップ10に組み付けられる
【0090】
そして、互いの軸受けメタル71及び軸受けメタル81がクランクピンpを回転自在に挟持するようにコンロッド大端部5の接合面7、8とコンロッドキャップ10の接合面13、12を突き合わせて固定ボルト15によりコンロッド大端部5とコンロッドキャップ10と結合する。つまり、コンロッド大端部5とコンロッドキャップ10とにより一対の軸受けメタル71、81を挟むことによってクランクピンpを回転自在に支持する大端部20が形成される。
【0091】
このコンロッド大端部5に装着された軸受けメタル71は、外周面74がコンロッド大端部5の内周面6に密着して取り付けられる。特に図11のk矢視図を図14(a)に示すように内周面75に形成された軸受け面76の側縁76aと側端部72bとの間にクランクピンpと離反して形成される段面78の範囲、即ち軸受け面76から離間して形成され位置決め爪79をコンロッド大端部5の嵌合凹部9に嵌合することから、軸受け面76が位置決め爪79に影響されることなく形成されてクランクピンpと軸受け面76との摺動面積が確保される。更に、軸受け面76の全範囲に対応する外周面74の範囲がコンロッド大端部5の内周面6に密接する。
【0092】
換言すると、軸受けメタル71の位置決め爪79と嵌合凹部9との間に隙間や圧接が生じてもコンロッド大端部5の軸受嵌合面6による軸受けメタル71の軸受け面76の形成範囲に対する圧接力が均一になり、クランクピンpと軸受けメタル71の軸受け面76との当たりが全範囲に亘り均一になり、軸受け面76の変形が抑制されて軸受けメタル71の軸受け面76とクランクピンpの潤滑油の油幕及び潤滑面積が確保でき、良好な潤滑がえられる。また、軸受けメタル71の外周面74とコンロッド大端部5の軸受嵌合面6との間の密着性が向上して軸受けメタル71と軸受嵌合面6との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されて長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0093】
一方、このコンロッドキャップ10に装着された軸受けメタル81は、外周面84がコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11に密着して取り付けられる。特に軸受けメタル81を装着した状態における図11のl矢視図を図14(b)に示すように軸受け面86の側縁86aと側端部82bとの間に形成される段面88の範囲、即ち軸受け面86から離間して形成され位置決め爪89をコンロッドキャップ10の嵌合凹部14に嵌合することから、軸受け面86が位置決め爪89に影響されることなく形成されてクランクピンpと軸受け面86との摺動面積が確保される。更に、軸受け面86の全範囲に対応する外周面84の範囲がコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11に密接する。
【0094】
換言すると、軸受けメタル81の位置決め爪89と嵌合凹部14との間に隙間や圧接が生じてもコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11による軸受けメタル61の軸受け面86の形成範囲に対する圧接力が均一になり、クランクピンpと軸受けメタル81の軸受け面86との当たりが全範囲に亘り均一になり、軸受け面86の変形が抑制されて軸受けメタル81の潤滑油膜及び潤滑面積が確保でき、良好な潤滑がえられる。また、軸受けメタル81の外周面84とコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11との間の密着性が向上して軸受けメタル81と軸受嵌合面11との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されて長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0095】
以上のように、コンロッド1の大端部20を構成するコンロッド大端部5の軸受嵌合面6及びコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11に装着される軸受けメタル71及び81の受け面76及び86のクランクピンpとの摺接面積が確保されると共にクランクピンpに対する圧接力が均一になり、潤滑油幕及び潤滑面積が確保されて良好な軸受け品質が得られると共に、軸受けメタル71の外周面74とコンロッドキ大端部5の軸受嵌合面6との間の密着性が向上して軸受けメタル71と軸受嵌合面6との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制され、かつ軸受けメタル81の外周面84とコンロッドキャップ10の軸受嵌合面11との間の密着性が向上して軸受けメタル81と軸受嵌合面11との間の滑りや叩きが抑制されて摩耗及び疲労が抑制されて長期間安定した軸受け品質が維持される。
【0096】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々変更可能である。例えば、上記実施の形態ではコネクティングロッドの大端部を例に説明したがクランクシャフトのジャーナルを支持するエンジンのジャーナル部や他のハウジングを備えた軸受部に適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 コネクティングロッド
5 コンロッド大端部
6 軸受嵌合面
9 嵌合凹部
10 コンロッドキャップ
11 軸受嵌合面
14 嵌合凹部
20 大端部(ハウジング)
21 軸受けメタル
24 外周面
25 内周面
26 軸受け面
27 段面
28 段面
29 位置決め爪
31 軸受けメタル
34 外周面
35 内周面
36 軸受け面
37 段面
38 段面
39 位置決め爪
51 軸受けメタル
54 外周面
55 内周面
56 軸受け面
58 段面
59 位置決め爪
61 軸受けメタル
64 外周面
65 内周面
66 軸受け面
68 段面
69 位置決め爪
71 軸受けメタル
74 外周面
75 内周面
76 軸受け面
77 段部
78 段面
79 位置決め爪
81 軸受けメタル
84 外周面
85 内周面
86 軸受け面
86a 側縁
87 段部
88 段面
69 位置決め爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの内周に形成された半円筒内面状の軸受嵌合面に、該軸受嵌合面の周方向に延在する両側部及び周方向端部を有する矩形板状で外周面が嵌合して装着されると共に内周面によって回転軸を回転自在に支持する半円筒状でかつ前記周方向端部に外周面から外方に突出して前記ハウジングに形成された嵌合凹部に嵌合する位置決め爪が形成される軸受けメタルにおいて、
前記内周面が一方の周方向端部から他方の周方向端部に亘って連続する軸受け面及び該軸受け面の側縁と側端部との間に前記軸受け面より外周面側となる段面を有し、該段面を含む軸受け面の側縁と側端部との間における周方向端部を内周側から外周側に突出する位置決め爪を切り起し形成したことを特徴とする軸受けメタル。
【請求項2】
ハウジングの内周に形成された半円筒内面状の軸受嵌合面に、該軸受嵌合面の周方向に延在する両側部及び周方向端部を有する矩形板状で外周面が嵌合して装着されると共に内周面によって回転軸を回転自在に支持する半円筒状でかつ前記周方向端部に外周面から外方に突出して前記ハウジングに形成された嵌合凹部に嵌合する位置決め爪が形成される軸受けメタルにおいて、
前記内周面が幅方向中央に沿って一方の周方向端部から他方の周方向端部に亘って連続する軸受け面及び該軸受け面の両側縁と各側端部との間に前記軸受け面の側縁から各側端部に移行するに従って外周面側に移行するように傾斜する段面を有し、該一方の段面を含む軸受け面の側縁と側端部との間における周方向端部を内周側から外周側に突出する位置決め爪を切り起し形成したことを特徴とする軸受けメタル。
【請求項3】
ハウジングの内周に形成された半円筒内面状の軸受嵌合面に、該軸受嵌合面の周方向に延在する両側部及び周方向端部を有する矩形板状で外周面が嵌合して装着されると共に内周面によって回転軸を回転自在に支持する半円筒状でかつ前記周方向端部に外周面から外方に突出して前記ハウジングに形成された嵌合凹部に嵌合する位置決め爪が形成される軸受けメタルにおいて、
前記内周面が一方の側端部に沿って一方の周方向端部から他方の周方向端部に亘って連続する軸受け面及び該軸受け面の側縁と他方の側端部との間に前記軸受け面の側縁から該側端部に移行するに従って外周面側に移行するように傾斜する段面を有し、該段面を含む軸受け面の側縁と側端部との間における周方向端部を内周側から外周側に突出する位置決め爪を切り起し形成したことを特徴とする軸受けメタル。
【請求項4】
ハウジングの内周に形成された半円筒内面状の軸受嵌合面に、該軸受嵌合面の周方向に延在する両側部及び周方向端部を有する矩形板状で外周面が嵌合して装着されると共に内周面によって回転軸を回転自在に支持する半円筒状でかつ前記周方向端部に外周面から外方に突出して前記ハウジングに形成された嵌合凹部に嵌合する位置決め爪が形成される軸受けメタルにおいて、
前記内周面が一方の側端部に沿って一方周方向端部から他方の周方向端部に亘って連続する軸受け面及び該軸受け面の側縁に折曲する段差部を介し前記軸受け面より外周面側において側端部側に連続する段面を有し、該段面を含む段差部と側端部との間における周方向端部を内周側から外周側に突出する位置決め爪を切り起し形成したことを特徴とする軸受けメタル。
【請求項5】
前記ハウジングがコネクションロッドのコンロッド大端部及びコンロッドキャップで有り、回転軸がクランクピンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の軸受けメタル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−36482(P2013−36482A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170608(P2011−170608)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】