軸受け構造
【課題】軸受けの中の潤滑油が軸受けの内部から外に漏れるのを防ぐことができ、効果的に潤滑油を保存し、軸受けの使用寿命を延ばすことができる軸受け構造を提供する。また、簡単な加工方式を用いて加工の困難度を低下させ、コストの削減を行う。
【解決手段】軸受筒、前記軸受筒の中に設置された軸受け、及び前記軸受けの中に位置され、潤滑剤を受ける空間を形成する環状溝を含む。
【解決手段】軸受筒、前記軸受筒の中に設置された軸受け、及び前記軸受けの中に位置され、潤滑剤を受ける空間を形成する環状溝を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受け構造に関し、特に、含油軸受け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
含油軸受けのコストが低く、低価格であることから、大量生産に適合し、且つ、自己潤滑性、高精度、低雑音、高速度に耐えるなどの利点を有することから、その応用範囲は極めて広く、例えば、熱放散ファン、CPUファン、自動車電子製品、家庭用電話製品、事務機、ステレオ、映像機器、ミニチュアモーター、レコーダー、ステップモーター、スピンドルモーター等、全て、含油軸受けの使用を必要とする。
【0003】
図1Aは従来の軸受け構造10の概略図を示す。従来の軸受け構造10は、軸受筒14と軸受け16を含む。軸受け16は、粉末焼結された軸受けからなり、軸受筒14の中に位置される。また、軸受け16は、軸穴11を有し、回転軸12を軸受け16の軸穴11の中に嵌め、回転させることができる。軸受筒14と軸受け16の組み合わせの時、底部18に空間を形成する。潤滑油を回転軸12と軸受筒16の間に充填し、軸受け16に対する回転軸12の高速回転時の摩擦力を低下させ、回転軸12の振動を減少する目的も達成する。
【0004】
図1Aと図1Bを一緒に参照する。図1Bは、図1Aの第一軸受けの概略図を示す。使用初期では、潤滑油は、回転軸12と軸受け16(16a)間の間隙に均一に充填され、回転を安定させるため、動作の雑音が低く、軸受けの磨耗が減少する。しかし、使用時間の増長に伴い、ごみの吸着が増し、潤滑油は、摩擦により熱を発し、揮発する。油の量は徐々に減少し、軸受けの摩擦と振動が増加する。また、回転軸12の高速回転は、回転の遠心力により、潤滑油を回転軸12と軸受け16(16a)間の間隙から溢れ出させ、外部漏れを招く。このような滲み出た油は、空気中のごみと接触し、潤滑油の乾きを早める。よって、軸受けの雑音を増し、磨耗を早め、製品の使用寿命を低下させる。
【0005】
図1Bでは、軸受筒14の中に設置された軸受け16aは、一般的によく見うけられる軸受けである。軸受け壁は、滑りやすい面をしており、回転軸の回転時に軸穴の両側から潤滑油が溢れ出す可能性がある。よって、潤滑油の保持と外部へ漏れる状態が生じるのを防ぐために、現在、よく用いられる軸受け方式は、全て軸受けに加工を行い、潤滑油を軸受筒の底部、または回転軸12と軸受筒16の間の間隙に集めるものである。
【0006】
図1Cは図1Aの第二軸受けの概略図を示す。図1Cに示すように、軸受筒14の中に設置された軸受け16bの軸受け壁に魚の骨状の溝模様が形成されている。その目的は、潤滑油を単一の軸受け16bに集め、油膜を形成し、回転軸の回転時に、油膜にだけ接触させ、軸受けの損耗を減少するためである。しかし、このような方法は、低い側に向く負荷(low
sideward load)の状況においてしか適用されず、仮に、負荷が大きければ、油膜は側圧を支えられなくなり、軸受けと回転軸の接触が生じて油膜の効果を失う。
【0007】
図1Dは図1Aの第三軸受けの概略図を示す。図1Dに示すように、軸受筒14の中に設置された軸受け16cの軸受け壁は、複数の斜め状の溝が形成されている。その目的は、潤滑油を軸受筒底部の一つ側に近い軸受け16cに集め、回転軸の回転時に、潤滑油が軸穴から外に漏れるのを防ぐためにある。しかし、このような方法は、加工上、溝を形成する時に、過度の傾斜力が生じ、その上、その形成面積が大きいことから、加工において、軸受けの同心度の破壊を引き起こし易い。また、回転している時に、同じ傾斜を受けるが、軸心と軸受けの接触面積が小さいことから、軸受けの強度を弱くさせ、容易に変形する可能性がある。
【0008】
モーターの軸心と軸受けの間隙の適合が往々にして、モーターの性能の良し悪しに影響する重要な点であることから、軸受けの内壁の加工がより複雑な溝では、軸心と軸受け本来の適合性に対する影響もより大きくなり、軸受けの強度が弱くなる可能性を有する。または、加工された軸受けの壁の両側に非対称の状態が生じ、回転時に力を受けた軸心が斜めに偏向する問題を生じる。よって、いかに経済的に低コストで、適当な加工方式で、効果的に潤滑油を保持し、良好な特性を兼ね備え、軸受けの使用寿命を延ばすことができるかが、この技術領域に属する当業者の研究目標である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の問題を解決するために、本発明は、軸受けの中の潤滑油が軸受けの内部から外に漏れるのを防ぐことができ、効果的に潤滑油を保持し、軸受けの使用寿命を延ばすことができる軸受け構造を提供する。また、簡単な加工方式を用いて加工の困難度を低下し、コストの節減を行う。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的に基づいて、軸受筒(ブッシング)と軸受けを含む軸受け構造を提供する。軸受けは、粉末燒結された軸受け(スリーブ)からなり、軸受筒の中に位置され、且つ、軸受けは、軸穴と環状溝を有する。その環状溝は、潤滑剤を受ける空間を形成する。また、軸穴が形成された軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝を有し、環状溝の中に潤滑剤を導き入れる。環状溝は、前記軸受け壁を第一区域と第二区域に分け、且つ、第一区域に位置するらせん溝は、第二区域に位置するらせん溝と異なる回転方向をなす。空間に受けられた潤滑剤は、潤滑油である。
【0011】
本発明のもう一つの目的に基づいて、軸受筒、第一軸受け、第二軸受けと間隔溝を含むもう一つの軸受け構造を提供する。第一軸受けと第二軸受けは、粉末燒結された軸受けであり、それぞれ軸受筒の中に位置する。また、間隔溝は、第一軸受けと第二軸受けの間に位置し、潤滑剤を受ける空間を形成する。第一軸受けと第二軸受けの軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝を有し、貯油空間の中に潤滑剤を導き入れる。第一軸受けの軸受け壁に位置されたこれらのらせん溝は、第二軸受けの軸受け壁に位置されたこれらのらせん溝と異なる回転方向をなし、環状溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる。または、第一軸受けと第二軸受けは、二つの同じの軸受けからなるが、互いに相反して配置される。貯油空間に受けられた潤滑剤は、潤滑油である。
【0012】
本発明のもう一つの目的に基づいて、軸受筒、軸受け、オイルシールと、間隔溝を含むもう一つの軸受け構造を提供する。軸受けとオイルシールは、それぞれ軸受筒の中に位置する。また、間隔溝は、軸受けとオイルシールの間に位置し、潤滑剤を受ける空間を形成し、オイルシールは、潤滑油の外漏れを防止する。オイルシールの内壁は、少なくとも一つの溝を有し、貯油空間の中に潤滑剤を導き入れる。オイルシールの内壁のこれらの溝は、少なくとも一つのらせん溝、または少なくとも一つの斜溝を含み、貯油空間の中に潤滑剤を導き入れる。
【0013】
さらに、軸受けは、粉末燒結された軸受けであり、軸穴と環状溝を有する。環状溝は、潤滑剤を受ける空間を形成する。また、軸穴に形成された軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝を有し、環状溝の中に潤滑剤を導き入れる。環状溝は、軸受け壁を第一区域と第二区域に分け、且つ、第一区域に位置するらせん溝は、第二区域に位置するらせん溝と異なる回転方向をなし、環状溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる。
【0014】
または、軸受けは、第一軸受け、第二軸受けと間隔溝を有する。第一軸受けと第二軸受けは、粉末焼結された軸受けからなり、軸受筒の中に位置される。また、間隔溝は、第一軸受けと第二軸受けに位置され、潤滑剤を受ける空間を形成する。第一軸受けと第二軸受けの軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝を有し、貯油空間の中に潤滑剤を導き入れる。第一軸受けの軸受け壁に位置されたらせん溝は、第二軸受けの軸受け壁に位置されたらせん溝と異なる回転方向をなし、環状溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる。または、第一軸受けと第二軸受けは、二つの同じ軸受けからなるが、互いに相反して配置される。貯油空間は、潤滑油を受ける。
【発明の効果】
【0015】
本発明で挙げる軸受け構造によれば、効果的に潤滑油を保持し、軸受けの使用寿命を延ばすことができる。また、簡単な加工方式を用いるだけで達成できるため、加工の困難度を下げ、且つ、コスト節減をする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明についての目的、特徴、長所が一層明確に理解されるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図2は、本発明の第一実施例に基づいた軸受け構造の概略図を示す。本発明の第一実施例で挙げた軸受け構造20は、軸受筒24と軸受け26を含む。軸受け26は、粉末焼結された軸受けからなり、軸受筒24の中に設置される。また、軸受け26は、軸穴21を有し、回転軸22を軸受け26の軸穴21の中に嵌め、回転させることができる。軸受筒24と軸受け26の組み合わせの時、底部28に空間を形成し、潤滑油を回転軸22と軸受筒26の間に充填し、軸受け26に対する回転軸22の高速回転時の摩擦力を低下させ、回転軸22の振動を減少する目的も達成する。ここでは、軸受筒24の底部28は、直接、密閉した端部、または、開放した端部であることができ、外部部材との接合により、軸受筒の底部を密閉する。すなわち、軸受筒24の底部28は、軸受筒24に一体成型で密閉空間を形成する以外に、外部部材を用いて開放式の底部を有する軸受筒と共に密閉空間を形成することもでき、潤滑剤が軸受筒24の外へ漏れるのを防ぐ働きを提供する。潤滑剤は、例えば、潤滑液、潤滑油、または回転軸22と軸受け26間の摩擦力を減少することができる潤滑物質であることができる。
【0018】
図2Aと図2Bを一緒に参照する。図2Bは、図2Aの軸受けの概略図を示す。軸受け26は、環状溝27を有し、潤滑剤を受ける空間を形成し、潤滑剤を軸受筒24の底部28に設置させるだけでなく、さらに、環状溝の中に受けられることができ、潤滑油が軸受筒の底部28に全部集まるのを防ぐ。
【0019】
さらに、軸穴26が形成された軸受け26の軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝29aと29bを有し、環状溝27の中に潤滑剤を導き入れることができる。環状溝27は、前記軸受け壁を第一区域Aと第二区域Bに分け、且つ、第一区域Aに位置するらせん溝29aは、第二区域Bのらせん溝29bと同じ回転方向、または異なる回転方向からなることができる。図2Aの回転軸22の回転方向で言えば、仮に、第二区域Bに位置するらせん溝29bが回転軸22の回転方向と同じ場合、第一区域Aに位置するらせん溝29aは、異なる回転方向になり、回転軸22が回転する時に、潤滑剤をらせん溝29aに沿って下に向けて導き、環状溝27の中に入れる。また、らせん溝29bは、潤滑剤を上に向けて導き、よって、軸受け26と回転軸22の間に良好な油膜を形成させ、軸受け26の磨耗を減少する。
【実施例2】
【0020】
図3Aは本発明の第二実施例に基づいた軸受け構造の概略図を示す。本発明の第二実施例で挙げた軸受け構造30は、軸受筒34と二つの軸受け36a、36bを含む。軸受け36a、36bは、粉末焼結された軸受けからなり、軸受筒34の中にそれぞれ位置される。また、軸受け36は、軸穴31を有し、回転軸32を軸受け36の軸穴31の中に嵌め、回転させることができる。軸受筒34と二つの軸受け36a、36bを組み合わせて共に貯油空間37を形成する。
【0021】
また、軸受筒34は、底部38に空間を形成し、潤滑剤を回転軸32と軸受筒34の間に充填し、軸受け36a、36bに対する回転軸32の高速回転時の摩擦力を低下させ、回転軸32の振動を減少する目的も達成する。ここでは、軸受筒34の底部38は、直接、密閉した端部、または、開放した端部であることができ、外部部材との接合により、軸受筒の底部を密閉する。すなわち、軸受筒34の底部38は、軸受筒34に一体成型で密閉空間を形成することができる以外に、外部部材を用いて開放式の底部を有する軸受筒と共に密閉空間を形成することもでき、潤滑剤が軸受筒34の外へ漏れるのを防ぐ働きを提供する。潤滑剤は、例えば、潤滑液、潤滑油、または回転軸32と軸受け36a、36b間の摩擦力を減少することができる潤滑物質であることができる。
【0022】
図3Aと図3Bを一緒にする。図3Bは、図3Aの軸受けの概略図を示す。軸受け構造30が軸受け36aと軸受け36bの間に位置された間隔溝37を有し、且つ、間隔溝37が潤滑剤を受ける空間を形成することから、潤滑剤を軸受筒34の底部38に設置させるだけでなく、さらに、二つの軸受け36a、36b間の間隔溝37の中に受けられることができ、潤滑油が軸受筒の底部38に全部集まるのを防ぐ。
【0023】
さらに、軸穴31が形成された軸受け36a、36bの軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝を有し、環状溝37の中に潤滑剤を導き入れることができる。軸受け36a、36bの軸受け壁に位置されたらせん溝39a、39bは、同じ回転方向、または異なる回転方向からなることができる。図3Aの回転軸32の回転方向で言えば、仮に、軸受け36bの軸受け壁に位置されたらせん溝39aが回転軸32の回転方向と同じで、軸受け36aの軸受け壁に位置されたらせん溝39bが異なる回転方向の時、回転軸32が回転する時に、潤滑剤をらせん溝39aに沿って下に向けて導き、間隔溝37の中に入れる。また、らせん溝39bは、潤滑剤を上に向けて導き、よって、軸受け36a、36bと回転軸32の間に良好な油膜を形成させ、軸受け36a、36bの磨耗を減少する。
【0024】
実際の製造では、作り出したいらせん溝のドリルの錐に適合したボール盤を用いることができる。軸受けをボール盤に固定し、加工前に、加工物とドリルの錐の同心を確保し、軸受けの貫通を加工する。加工完了後、加工する時に入った方向と反対の方向から引き出し、一回の加工でらせん溝を完成することができる。仮に、軸受け36a、36bの軸受け壁に位置するらせん溝を同じ回転方向にさせたい時は、二つの同じ回転方向のらせん溝の軸受けを同じ方向に配置すればよい。また、仮に、軸受け36a、36bの軸受け壁に位置するらせん溝を異なる回転方向にしたい時は、二つの異なる回転方向のらせん溝の軸受けを互いに反対する方向に配置するだけで容易に達成することができる。一回以上の加工をする必要なく、つまり、時間を節約するだけでなく、且つ加工回数を簡略化する。
【実施例3】
【0025】
図4Aは、本発明の第三実施例に基づいた軸受け構造を示す。本発明の第三実施例で挙げた軸受け構造40は、軸受筒44、軸受け46と、オイルシール45a含む。軸受け46とオイルシール45aは、軸受筒44の中にそれぞれ位置される。また、軸受け46は、軸穴41を有し、回転軸42を軸受け46の軸穴41の中に嵌め、回転させることができる。
【0026】
軸受筒44と軸受け46を組み合わせた時、底部48に空間を形成する。潤滑剤を回転軸42と軸受筒46の間に充填し、軸受け46に対する回転軸42の高速回転時の摩擦力を低下させ、回転軸42の振動を減少する目的も達成する。ここでは、軸受筒44の底部48は、直接、密閉した端部、または、開放した端部であることができ、外部部材との接合により、軸受筒の底部を密閉する。すなわち、軸受筒44の底部48は、軸受筒44に一体成型で密閉空間を形成することができる以外に、外部部材を用いて開放式の底部を有する軸受筒と共に密閉空間を形成することもでき、潤滑剤が軸受筒44の外へ漏れるのを防ぐ働きを提供する。潤滑剤は、例えば、潤滑液、潤滑油、または回転軸42と軸受け46間の摩擦力を減少することができる潤滑物質でよい。
【0027】
図4Aと図4Bを一緒に参照する。図4Bは、図4Aの第一オイルシールの概略図を示す。軸受け構造40は、軸受け46とオイルシール45aの間に位置された間隔溝47を有し、且つ、間隔溝47は、潤滑剤を受ける空間を形成する。オイルシール45aの内壁は、少なくとも一つの溝49を有し、間隔溝47の中に潤滑剤を導き入れる。また、オイルシール45aと回転軸42間の間隙の大きさは、潤滑油の分子の直径より小さい。回転軸42の回転により、軸穴41に沿って溢れ出した潤滑油が軸受け46を溢れ出した後、オイルシール45aによって阻止され、オイルシールの内壁の溝49に沿って軸受け46に流れ戻ることができる。従って、オイルシール45aの設置は、潤滑油の外漏れを効果的に阻止するだけでなく、仮に軸受けの加工が適当でないために、軸穴と軸受けの間隙が破壊され、モーターの性能を悪くさせることから防ぐことができる。
【0028】
オイルシール45aの内壁に環状らせんの溝49を有す以外に、図4Cと図4Dを参照する。図4Cは、図4Aの第二オイルシールの概略図を示し、図4Dは、図4Aの第三オイルシールの概略図を示す。図4Cに示すように、オイルシール45bの内壁の溝は、複数の環状らせんの配置からなることができ、そのらせん溝の設置角度は、限定しておらず、潤滑剤を貯油空間に導き入れることができれば良い。また、図4Dに示すように、オイルシール45cの内壁の溝は、複数の斜溝の配置からなることができる。
【0029】
さらに、実施例3において、オイルシールの特殊設計の他、異なる軸受け46の構造の設計と併用することも可能で、例えば、軸受け46の構造は、実施例1に示した環状溝を有する、単一の軸受けを用いることができる。または、実施例2で採用された、潤滑剤を受ける空間を形成する、間隔溝の構造を有する二つの軸受けを用いることができる。
【0030】
最後に、より簡単な加工方式を用いることは、軸受けに対する軸受け内壁の溝の適合性への影響を減少できるだけでなく、軸受けの強度が弱くなるのを防ぐことができる。または加工された軸受けの壁の両側に非対称の状態が生じるのを防ぐことができる。さらに、上述の、単一の軸受け、二つの軸受け、または軸受けとオイルシールの間、の三つの実施例に関わらず、設置された貯油空間は、潤滑油の緩衝空間(バッファスペース)を提供することができる。軸受け、またはオイルシールの内壁にらせん溝または溝を有することで、潤滑油を緩衝空間に導くことができ、回転軸の高速回転中、潤滑油の溢れ出しを防ぐ。
【0031】
以上、本発明の好適な実施例を例示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することは可能である。従って、本発明が保護を請求する範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1A】従来の軸受け構造の概略図である。
【図1B】図1Aの第一軸受けの概略図である。
【図1C】図1Aの第二軸受けの概略図である。
【図1D】図1Aの第三軸受けの概略図である。
【図2A】本発明の第一実施例に基づいた軸受け構造の概略図である。
【図2B】図2Aの軸受けの概略図である。
【図3A】本発明の第二実施例に基づいた軸受け構造の概略図である。
【図3B】図3Aの軸受けの概略図である。
【図4A】本発明の第三実施例に基づいた軸受け構造の概略図である。
【図4B】図4Aの第一オイルシールの概略図である。
【図4C】図4Aの第二オイルシールの概略図である。
【図4D】図4Aの第三オイルシールの概略図である。
【符号の説明】
【0033】
10、20、30、40 軸受け構造
11、21、31、41 軸穴
12、22、32、42 回転軸
14、24、34、44 軸受筒
16、16a、16b、16c、26、36a、36b、46 軸受け
18、28、38、48 底部
27 環状溝
37、47 間隔溝
29a、29b、39a、39b らせん溝
45a、45b、45c オイルシール
49 溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸受け構造に関し、特に、含油軸受け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
含油軸受けのコストが低く、低価格であることから、大量生産に適合し、且つ、自己潤滑性、高精度、低雑音、高速度に耐えるなどの利点を有することから、その応用範囲は極めて広く、例えば、熱放散ファン、CPUファン、自動車電子製品、家庭用電話製品、事務機、ステレオ、映像機器、ミニチュアモーター、レコーダー、ステップモーター、スピンドルモーター等、全て、含油軸受けの使用を必要とする。
【0003】
図1Aは従来の軸受け構造10の概略図を示す。従来の軸受け構造10は、軸受筒14と軸受け16を含む。軸受け16は、粉末焼結された軸受けからなり、軸受筒14の中に位置される。また、軸受け16は、軸穴11を有し、回転軸12を軸受け16の軸穴11の中に嵌め、回転させることができる。軸受筒14と軸受け16の組み合わせの時、底部18に空間を形成する。潤滑油を回転軸12と軸受筒16の間に充填し、軸受け16に対する回転軸12の高速回転時の摩擦力を低下させ、回転軸12の振動を減少する目的も達成する。
【0004】
図1Aと図1Bを一緒に参照する。図1Bは、図1Aの第一軸受けの概略図を示す。使用初期では、潤滑油は、回転軸12と軸受け16(16a)間の間隙に均一に充填され、回転を安定させるため、動作の雑音が低く、軸受けの磨耗が減少する。しかし、使用時間の増長に伴い、ごみの吸着が増し、潤滑油は、摩擦により熱を発し、揮発する。油の量は徐々に減少し、軸受けの摩擦と振動が増加する。また、回転軸12の高速回転は、回転の遠心力により、潤滑油を回転軸12と軸受け16(16a)間の間隙から溢れ出させ、外部漏れを招く。このような滲み出た油は、空気中のごみと接触し、潤滑油の乾きを早める。よって、軸受けの雑音を増し、磨耗を早め、製品の使用寿命を低下させる。
【0005】
図1Bでは、軸受筒14の中に設置された軸受け16aは、一般的によく見うけられる軸受けである。軸受け壁は、滑りやすい面をしており、回転軸の回転時に軸穴の両側から潤滑油が溢れ出す可能性がある。よって、潤滑油の保持と外部へ漏れる状態が生じるのを防ぐために、現在、よく用いられる軸受け方式は、全て軸受けに加工を行い、潤滑油を軸受筒の底部、または回転軸12と軸受筒16の間の間隙に集めるものである。
【0006】
図1Cは図1Aの第二軸受けの概略図を示す。図1Cに示すように、軸受筒14の中に設置された軸受け16bの軸受け壁に魚の骨状の溝模様が形成されている。その目的は、潤滑油を単一の軸受け16bに集め、油膜を形成し、回転軸の回転時に、油膜にだけ接触させ、軸受けの損耗を減少するためである。しかし、このような方法は、低い側に向く負荷(low
sideward load)の状況においてしか適用されず、仮に、負荷が大きければ、油膜は側圧を支えられなくなり、軸受けと回転軸の接触が生じて油膜の効果を失う。
【0007】
図1Dは図1Aの第三軸受けの概略図を示す。図1Dに示すように、軸受筒14の中に設置された軸受け16cの軸受け壁は、複数の斜め状の溝が形成されている。その目的は、潤滑油を軸受筒底部の一つ側に近い軸受け16cに集め、回転軸の回転時に、潤滑油が軸穴から外に漏れるのを防ぐためにある。しかし、このような方法は、加工上、溝を形成する時に、過度の傾斜力が生じ、その上、その形成面積が大きいことから、加工において、軸受けの同心度の破壊を引き起こし易い。また、回転している時に、同じ傾斜を受けるが、軸心と軸受けの接触面積が小さいことから、軸受けの強度を弱くさせ、容易に変形する可能性がある。
【0008】
モーターの軸心と軸受けの間隙の適合が往々にして、モーターの性能の良し悪しに影響する重要な点であることから、軸受けの内壁の加工がより複雑な溝では、軸心と軸受け本来の適合性に対する影響もより大きくなり、軸受けの強度が弱くなる可能性を有する。または、加工された軸受けの壁の両側に非対称の状態が生じ、回転時に力を受けた軸心が斜めに偏向する問題を生じる。よって、いかに経済的に低コストで、適当な加工方式で、効果的に潤滑油を保持し、良好な特性を兼ね備え、軸受けの使用寿命を延ばすことができるかが、この技術領域に属する当業者の研究目標である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の問題を解決するために、本発明は、軸受けの中の潤滑油が軸受けの内部から外に漏れるのを防ぐことができ、効果的に潤滑油を保持し、軸受けの使用寿命を延ばすことができる軸受け構造を提供する。また、簡単な加工方式を用いて加工の困難度を低下し、コストの節減を行う。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的に基づいて、軸受筒(ブッシング)と軸受けを含む軸受け構造を提供する。軸受けは、粉末燒結された軸受け(スリーブ)からなり、軸受筒の中に位置され、且つ、軸受けは、軸穴と環状溝を有する。その環状溝は、潤滑剤を受ける空間を形成する。また、軸穴が形成された軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝を有し、環状溝の中に潤滑剤を導き入れる。環状溝は、前記軸受け壁を第一区域と第二区域に分け、且つ、第一区域に位置するらせん溝は、第二区域に位置するらせん溝と異なる回転方向をなす。空間に受けられた潤滑剤は、潤滑油である。
【0011】
本発明のもう一つの目的に基づいて、軸受筒、第一軸受け、第二軸受けと間隔溝を含むもう一つの軸受け構造を提供する。第一軸受けと第二軸受けは、粉末燒結された軸受けであり、それぞれ軸受筒の中に位置する。また、間隔溝は、第一軸受けと第二軸受けの間に位置し、潤滑剤を受ける空間を形成する。第一軸受けと第二軸受けの軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝を有し、貯油空間の中に潤滑剤を導き入れる。第一軸受けの軸受け壁に位置されたこれらのらせん溝は、第二軸受けの軸受け壁に位置されたこれらのらせん溝と異なる回転方向をなし、環状溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる。または、第一軸受けと第二軸受けは、二つの同じの軸受けからなるが、互いに相反して配置される。貯油空間に受けられた潤滑剤は、潤滑油である。
【0012】
本発明のもう一つの目的に基づいて、軸受筒、軸受け、オイルシールと、間隔溝を含むもう一つの軸受け構造を提供する。軸受けとオイルシールは、それぞれ軸受筒の中に位置する。また、間隔溝は、軸受けとオイルシールの間に位置し、潤滑剤を受ける空間を形成し、オイルシールは、潤滑油の外漏れを防止する。オイルシールの内壁は、少なくとも一つの溝を有し、貯油空間の中に潤滑剤を導き入れる。オイルシールの内壁のこれらの溝は、少なくとも一つのらせん溝、または少なくとも一つの斜溝を含み、貯油空間の中に潤滑剤を導き入れる。
【0013】
さらに、軸受けは、粉末燒結された軸受けであり、軸穴と環状溝を有する。環状溝は、潤滑剤を受ける空間を形成する。また、軸穴に形成された軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝を有し、環状溝の中に潤滑剤を導き入れる。環状溝は、軸受け壁を第一区域と第二区域に分け、且つ、第一区域に位置するらせん溝は、第二区域に位置するらせん溝と異なる回転方向をなし、環状溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる。
【0014】
または、軸受けは、第一軸受け、第二軸受けと間隔溝を有する。第一軸受けと第二軸受けは、粉末焼結された軸受けからなり、軸受筒の中に位置される。また、間隔溝は、第一軸受けと第二軸受けに位置され、潤滑剤を受ける空間を形成する。第一軸受けと第二軸受けの軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝を有し、貯油空間の中に潤滑剤を導き入れる。第一軸受けの軸受け壁に位置されたらせん溝は、第二軸受けの軸受け壁に位置されたらせん溝と異なる回転方向をなし、環状溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる。または、第一軸受けと第二軸受けは、二つの同じ軸受けからなるが、互いに相反して配置される。貯油空間は、潤滑油を受ける。
【発明の効果】
【0015】
本発明で挙げる軸受け構造によれば、効果的に潤滑油を保持し、軸受けの使用寿命を延ばすことができる。また、簡単な加工方式を用いるだけで達成できるため、加工の困難度を下げ、且つ、コスト節減をする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明についての目的、特徴、長所が一層明確に理解されるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照しながら、詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図2は、本発明の第一実施例に基づいた軸受け構造の概略図を示す。本発明の第一実施例で挙げた軸受け構造20は、軸受筒24と軸受け26を含む。軸受け26は、粉末焼結された軸受けからなり、軸受筒24の中に設置される。また、軸受け26は、軸穴21を有し、回転軸22を軸受け26の軸穴21の中に嵌め、回転させることができる。軸受筒24と軸受け26の組み合わせの時、底部28に空間を形成し、潤滑油を回転軸22と軸受筒26の間に充填し、軸受け26に対する回転軸22の高速回転時の摩擦力を低下させ、回転軸22の振動を減少する目的も達成する。ここでは、軸受筒24の底部28は、直接、密閉した端部、または、開放した端部であることができ、外部部材との接合により、軸受筒の底部を密閉する。すなわち、軸受筒24の底部28は、軸受筒24に一体成型で密閉空間を形成する以外に、外部部材を用いて開放式の底部を有する軸受筒と共に密閉空間を形成することもでき、潤滑剤が軸受筒24の外へ漏れるのを防ぐ働きを提供する。潤滑剤は、例えば、潤滑液、潤滑油、または回転軸22と軸受け26間の摩擦力を減少することができる潤滑物質であることができる。
【0018】
図2Aと図2Bを一緒に参照する。図2Bは、図2Aの軸受けの概略図を示す。軸受け26は、環状溝27を有し、潤滑剤を受ける空間を形成し、潤滑剤を軸受筒24の底部28に設置させるだけでなく、さらに、環状溝の中に受けられることができ、潤滑油が軸受筒の底部28に全部集まるのを防ぐ。
【0019】
さらに、軸穴26が形成された軸受け26の軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝29aと29bを有し、環状溝27の中に潤滑剤を導き入れることができる。環状溝27は、前記軸受け壁を第一区域Aと第二区域Bに分け、且つ、第一区域Aに位置するらせん溝29aは、第二区域Bのらせん溝29bと同じ回転方向、または異なる回転方向からなることができる。図2Aの回転軸22の回転方向で言えば、仮に、第二区域Bに位置するらせん溝29bが回転軸22の回転方向と同じ場合、第一区域Aに位置するらせん溝29aは、異なる回転方向になり、回転軸22が回転する時に、潤滑剤をらせん溝29aに沿って下に向けて導き、環状溝27の中に入れる。また、らせん溝29bは、潤滑剤を上に向けて導き、よって、軸受け26と回転軸22の間に良好な油膜を形成させ、軸受け26の磨耗を減少する。
【実施例2】
【0020】
図3Aは本発明の第二実施例に基づいた軸受け構造の概略図を示す。本発明の第二実施例で挙げた軸受け構造30は、軸受筒34と二つの軸受け36a、36bを含む。軸受け36a、36bは、粉末焼結された軸受けからなり、軸受筒34の中にそれぞれ位置される。また、軸受け36は、軸穴31を有し、回転軸32を軸受け36の軸穴31の中に嵌め、回転させることができる。軸受筒34と二つの軸受け36a、36bを組み合わせて共に貯油空間37を形成する。
【0021】
また、軸受筒34は、底部38に空間を形成し、潤滑剤を回転軸32と軸受筒34の間に充填し、軸受け36a、36bに対する回転軸32の高速回転時の摩擦力を低下させ、回転軸32の振動を減少する目的も達成する。ここでは、軸受筒34の底部38は、直接、密閉した端部、または、開放した端部であることができ、外部部材との接合により、軸受筒の底部を密閉する。すなわち、軸受筒34の底部38は、軸受筒34に一体成型で密閉空間を形成することができる以外に、外部部材を用いて開放式の底部を有する軸受筒と共に密閉空間を形成することもでき、潤滑剤が軸受筒34の外へ漏れるのを防ぐ働きを提供する。潤滑剤は、例えば、潤滑液、潤滑油、または回転軸32と軸受け36a、36b間の摩擦力を減少することができる潤滑物質であることができる。
【0022】
図3Aと図3Bを一緒にする。図3Bは、図3Aの軸受けの概略図を示す。軸受け構造30が軸受け36aと軸受け36bの間に位置された間隔溝37を有し、且つ、間隔溝37が潤滑剤を受ける空間を形成することから、潤滑剤を軸受筒34の底部38に設置させるだけでなく、さらに、二つの軸受け36a、36b間の間隔溝37の中に受けられることができ、潤滑油が軸受筒の底部38に全部集まるのを防ぐ。
【0023】
さらに、軸穴31が形成された軸受け36a、36bの軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝を有し、環状溝37の中に潤滑剤を導き入れることができる。軸受け36a、36bの軸受け壁に位置されたらせん溝39a、39bは、同じ回転方向、または異なる回転方向からなることができる。図3Aの回転軸32の回転方向で言えば、仮に、軸受け36bの軸受け壁に位置されたらせん溝39aが回転軸32の回転方向と同じで、軸受け36aの軸受け壁に位置されたらせん溝39bが異なる回転方向の時、回転軸32が回転する時に、潤滑剤をらせん溝39aに沿って下に向けて導き、間隔溝37の中に入れる。また、らせん溝39bは、潤滑剤を上に向けて導き、よって、軸受け36a、36bと回転軸32の間に良好な油膜を形成させ、軸受け36a、36bの磨耗を減少する。
【0024】
実際の製造では、作り出したいらせん溝のドリルの錐に適合したボール盤を用いることができる。軸受けをボール盤に固定し、加工前に、加工物とドリルの錐の同心を確保し、軸受けの貫通を加工する。加工完了後、加工する時に入った方向と反対の方向から引き出し、一回の加工でらせん溝を完成することができる。仮に、軸受け36a、36bの軸受け壁に位置するらせん溝を同じ回転方向にさせたい時は、二つの同じ回転方向のらせん溝の軸受けを同じ方向に配置すればよい。また、仮に、軸受け36a、36bの軸受け壁に位置するらせん溝を異なる回転方向にしたい時は、二つの異なる回転方向のらせん溝の軸受けを互いに反対する方向に配置するだけで容易に達成することができる。一回以上の加工をする必要なく、つまり、時間を節約するだけでなく、且つ加工回数を簡略化する。
【実施例3】
【0025】
図4Aは、本発明の第三実施例に基づいた軸受け構造を示す。本発明の第三実施例で挙げた軸受け構造40は、軸受筒44、軸受け46と、オイルシール45a含む。軸受け46とオイルシール45aは、軸受筒44の中にそれぞれ位置される。また、軸受け46は、軸穴41を有し、回転軸42を軸受け46の軸穴41の中に嵌め、回転させることができる。
【0026】
軸受筒44と軸受け46を組み合わせた時、底部48に空間を形成する。潤滑剤を回転軸42と軸受筒46の間に充填し、軸受け46に対する回転軸42の高速回転時の摩擦力を低下させ、回転軸42の振動を減少する目的も達成する。ここでは、軸受筒44の底部48は、直接、密閉した端部、または、開放した端部であることができ、外部部材との接合により、軸受筒の底部を密閉する。すなわち、軸受筒44の底部48は、軸受筒44に一体成型で密閉空間を形成することができる以外に、外部部材を用いて開放式の底部を有する軸受筒と共に密閉空間を形成することもでき、潤滑剤が軸受筒44の外へ漏れるのを防ぐ働きを提供する。潤滑剤は、例えば、潤滑液、潤滑油、または回転軸42と軸受け46間の摩擦力を減少することができる潤滑物質でよい。
【0027】
図4Aと図4Bを一緒に参照する。図4Bは、図4Aの第一オイルシールの概略図を示す。軸受け構造40は、軸受け46とオイルシール45aの間に位置された間隔溝47を有し、且つ、間隔溝47は、潤滑剤を受ける空間を形成する。オイルシール45aの内壁は、少なくとも一つの溝49を有し、間隔溝47の中に潤滑剤を導き入れる。また、オイルシール45aと回転軸42間の間隙の大きさは、潤滑油の分子の直径より小さい。回転軸42の回転により、軸穴41に沿って溢れ出した潤滑油が軸受け46を溢れ出した後、オイルシール45aによって阻止され、オイルシールの内壁の溝49に沿って軸受け46に流れ戻ることができる。従って、オイルシール45aの設置は、潤滑油の外漏れを効果的に阻止するだけでなく、仮に軸受けの加工が適当でないために、軸穴と軸受けの間隙が破壊され、モーターの性能を悪くさせることから防ぐことができる。
【0028】
オイルシール45aの内壁に環状らせんの溝49を有す以外に、図4Cと図4Dを参照する。図4Cは、図4Aの第二オイルシールの概略図を示し、図4Dは、図4Aの第三オイルシールの概略図を示す。図4Cに示すように、オイルシール45bの内壁の溝は、複数の環状らせんの配置からなることができ、そのらせん溝の設置角度は、限定しておらず、潤滑剤を貯油空間に導き入れることができれば良い。また、図4Dに示すように、オイルシール45cの内壁の溝は、複数の斜溝の配置からなることができる。
【0029】
さらに、実施例3において、オイルシールの特殊設計の他、異なる軸受け46の構造の設計と併用することも可能で、例えば、軸受け46の構造は、実施例1に示した環状溝を有する、単一の軸受けを用いることができる。または、実施例2で採用された、潤滑剤を受ける空間を形成する、間隔溝の構造を有する二つの軸受けを用いることができる。
【0030】
最後に、より簡単な加工方式を用いることは、軸受けに対する軸受け内壁の溝の適合性への影響を減少できるだけでなく、軸受けの強度が弱くなるのを防ぐことができる。または加工された軸受けの壁の両側に非対称の状態が生じるのを防ぐことができる。さらに、上述の、単一の軸受け、二つの軸受け、または軸受けとオイルシールの間、の三つの実施例に関わらず、設置された貯油空間は、潤滑油の緩衝空間(バッファスペース)を提供することができる。軸受け、またはオイルシールの内壁にらせん溝または溝を有することで、潤滑油を緩衝空間に導くことができ、回転軸の高速回転中、潤滑油の溢れ出しを防ぐ。
【0031】
以上、本発明の好適な実施例を例示したが、これは本発明を限定するものではなく、本発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することは可能である。従って、本発明が保護を請求する範囲は、特許請求の範囲を基準とする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1A】従来の軸受け構造の概略図である。
【図1B】図1Aの第一軸受けの概略図である。
【図1C】図1Aの第二軸受けの概略図である。
【図1D】図1Aの第三軸受けの概略図である。
【図2A】本発明の第一実施例に基づいた軸受け構造の概略図である。
【図2B】図2Aの軸受けの概略図である。
【図3A】本発明の第二実施例に基づいた軸受け構造の概略図である。
【図3B】図3Aの軸受けの概略図である。
【図4A】本発明の第三実施例に基づいた軸受け構造の概略図である。
【図4B】図4Aの第一オイルシールの概略図である。
【図4C】図4Aの第二オイルシールの概略図である。
【図4D】図4Aの第三オイルシールの概略図である。
【符号の説明】
【0033】
10、20、30、40 軸受け構造
11、21、31、41 軸穴
12、22、32、42 回転軸
14、24、34、44 軸受筒
16、16a、16b、16c、26、36a、36b、46 軸受け
18、28、38、48 底部
27 環状溝
37、47 間隔溝
29a、29b、39a、39b らせん溝
45a、45b、45c オイルシール
49 溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受筒、
前記軸受筒の中に設置された軸受け、及び
前記軸受けの中に位置され、潤滑剤を受ける空間を形成する環状溝を含む軸受け構造。
【請求項2】
前記軸受けは、軸穴を有し、且つ、前記軸穴に少なくとも一つのらせん溝を有する軸受け壁を形成し、前記環状溝の中に潤滑剤を導き入れる請求項1に記載の軸受け構造。
【請求項3】
前記環状溝は、前記軸受け壁を第一区域と第二区域に分け、且つ、前記第一区域に位置する前記らせん溝は、前記第二区域に位置する前記らせん溝と異なる回転方向をなし、前記環状溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる請求項2に記載の軸受け構造。
【請求項4】
前記軸受筒の底部は、密閉した端部からなる請求項1に記載の軸受け構造。
【請求項5】
前記軸受筒の底部は、開放した端部からなり、且つ、前記軸受筒は、外部部材との接合によって、前記軸受筒の底部を密閉する請求項1に記載の軸受け構造。
【請求項6】
軸受筒、
前記軸受筒の中に設置された第一軸受けと第二軸受け、及び
前記第一軸受けと前記第二軸受けの間に位置され、潤滑剤を受ける空間を形成する間隔溝を含む軸受け構造。
【請求項7】
前記第一軸受けと第二軸受けの軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝を有し、前記間隔溝の中に潤滑剤を導き入れる請求項6に記載の軸受け構造。
【請求項8】
前記第一軸受けの軸受け壁に位置された前記らせん溝は、前記第二軸受けの軸受け壁に位置された前記らせん溝と異なる回転方向をなし、前記間隔溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる請求項7に記載の軸受け構造。
【請求項9】
前記第一軸受けと前記第二軸受けは、二つの同じ軸受けからなるが、互いに相反して配置される請求項7に記載の軸受け構造。
【請求項10】
前記軸受筒の底部は、密閉した端部からなる請求項6に記載の軸受け構造。
【請求項11】
前記軸受筒の底部は、開放した端部からなり、且つ、前記軸受筒は、外部部材との接合によって、前記軸受筒の底部を密閉する請求項6に記載の軸受け構造。
【請求項12】
軸受筒、
前記軸受筒の中に設置された軸受け、
前記軸受筒の中に設置され、且つ、潤滑油の外漏れを防ぐオイルシール、及び
前記軸受けと前記オイルシールの間に位置され、潤滑剤を受ける空間を形成する間隔溝を含む軸受け構造。
【請求項13】
前記オイルシールの内壁に、少なくとも一つの溝を有し、前記間隔溝の中に潤滑剤を導き入れる請求項12に記載の軸受け構造。
【請求項14】
前記オイルシールの内壁の前記溝は、少なくとも一つのらせん溝、または斜溝を含み、前記間隔溝の中に潤滑剤を導き入れる請求項13に記載の軸受け構造。
【請求項15】
前記軸受けは、軸穴と環状溝を有し、前記環状溝は、潤滑剤を受ける第二空間を形成し、且つ、前記軸穴が形成された軸受け壁に、少なくとも一つのらせん溝を有し、前記環状溝の中に潤滑剤を導き入れる請求項12に記載の軸受け構造。
【請求項16】
前記環状溝は、前記軸受け壁を第一区域と第二区域に分け、且つ、前記第一区域に位置する前記らせん溝は、前記第二区域に位置する前記らせん溝と異なる回転方向をなし、前記環状溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる請求項15に記載の軸受け構造。
【請求項17】
前記軸受けは、第一軸受け、第二軸受けと第二間隔溝を有し、前記第一軸受けと前記第二軸受けは、前記軸受筒の中にそれぞれ設置され、前記第二間隔溝は、前記第一軸受けと前記第二軸受けの間に位置され、潤滑剤を受ける空間を形成する請求項12に記載の軸受け構造。
【請求項18】
前記第一軸受けと前記第二軸受けの軸受け壁に少なくとも一つのらせん溝を有し、前記第二間隔溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる請求項17に記載の軸受け構造。
【請求項19】
前記第一軸受けの軸受け壁に位置された前記らせん溝は、前記第二軸受けの軸受け壁に位置された前記らせん溝と異なる回転方向をなし、前記第二間隔溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる請求項18に記載の軸受け構造。
【請求項20】
前記第一軸受けと前記第二軸受けは、二つの同じ軸受けからなるが、互いに相反して配置される請求項18に記載の軸受け構造。
【請求項1】
軸受筒、
前記軸受筒の中に設置された軸受け、及び
前記軸受けの中に位置され、潤滑剤を受ける空間を形成する環状溝を含む軸受け構造。
【請求項2】
前記軸受けは、軸穴を有し、且つ、前記軸穴に少なくとも一つのらせん溝を有する軸受け壁を形成し、前記環状溝の中に潤滑剤を導き入れる請求項1に記載の軸受け構造。
【請求項3】
前記環状溝は、前記軸受け壁を第一区域と第二区域に分け、且つ、前記第一区域に位置する前記らせん溝は、前記第二区域に位置する前記らせん溝と異なる回転方向をなし、前記環状溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる請求項2に記載の軸受け構造。
【請求項4】
前記軸受筒の底部は、密閉した端部からなる請求項1に記載の軸受け構造。
【請求項5】
前記軸受筒の底部は、開放した端部からなり、且つ、前記軸受筒は、外部部材との接合によって、前記軸受筒の底部を密閉する請求項1に記載の軸受け構造。
【請求項6】
軸受筒、
前記軸受筒の中に設置された第一軸受けと第二軸受け、及び
前記第一軸受けと前記第二軸受けの間に位置され、潤滑剤を受ける空間を形成する間隔溝を含む軸受け構造。
【請求項7】
前記第一軸受けと第二軸受けの軸受け壁は、少なくとも一つのらせん溝を有し、前記間隔溝の中に潤滑剤を導き入れる請求項6に記載の軸受け構造。
【請求項8】
前記第一軸受けの軸受け壁に位置された前記らせん溝は、前記第二軸受けの軸受け壁に位置された前記らせん溝と異なる回転方向をなし、前記間隔溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる請求項7に記載の軸受け構造。
【請求項9】
前記第一軸受けと前記第二軸受けは、二つの同じ軸受けからなるが、互いに相反して配置される請求項7に記載の軸受け構造。
【請求項10】
前記軸受筒の底部は、密閉した端部からなる請求項6に記載の軸受け構造。
【請求項11】
前記軸受筒の底部は、開放した端部からなり、且つ、前記軸受筒は、外部部材との接合によって、前記軸受筒の底部を密閉する請求項6に記載の軸受け構造。
【請求項12】
軸受筒、
前記軸受筒の中に設置された軸受け、
前記軸受筒の中に設置され、且つ、潤滑油の外漏れを防ぐオイルシール、及び
前記軸受けと前記オイルシールの間に位置され、潤滑剤を受ける空間を形成する間隔溝を含む軸受け構造。
【請求項13】
前記オイルシールの内壁に、少なくとも一つの溝を有し、前記間隔溝の中に潤滑剤を導き入れる請求項12に記載の軸受け構造。
【請求項14】
前記オイルシールの内壁の前記溝は、少なくとも一つのらせん溝、または斜溝を含み、前記間隔溝の中に潤滑剤を導き入れる請求項13に記載の軸受け構造。
【請求項15】
前記軸受けは、軸穴と環状溝を有し、前記環状溝は、潤滑剤を受ける第二空間を形成し、且つ、前記軸穴が形成された軸受け壁に、少なくとも一つのらせん溝を有し、前記環状溝の中に潤滑剤を導き入れる請求項12に記載の軸受け構造。
【請求項16】
前記環状溝は、前記軸受け壁を第一区域と第二区域に分け、且つ、前記第一区域に位置する前記らせん溝は、前記第二区域に位置する前記らせん溝と異なる回転方向をなし、前記環状溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる請求項15に記載の軸受け構造。
【請求項17】
前記軸受けは、第一軸受け、第二軸受けと第二間隔溝を有し、前記第一軸受けと前記第二軸受けは、前記軸受筒の中にそれぞれ設置され、前記第二間隔溝は、前記第一軸受けと前記第二軸受けの間に位置され、潤滑剤を受ける空間を形成する請求項12に記載の軸受け構造。
【請求項18】
前記第一軸受けと前記第二軸受けの軸受け壁に少なくとも一つのらせん溝を有し、前記第二間隔溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる請求項17に記載の軸受け構造。
【請求項19】
前記第一軸受けの軸受け壁に位置された前記らせん溝は、前記第二軸受けの軸受け壁に位置された前記らせん溝と異なる回転方向をなし、前記第二間隔溝の中に潤滑剤をそれぞれ導き入れる請求項18に記載の軸受け構造。
【請求項20】
前記第一軸受けと前記第二軸受けは、二つの同じ軸受けからなるが、互いに相反して配置される請求項18に記載の軸受け構造。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【公開番号】特開2006−153272(P2006−153272A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327008(P2005−327008)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(596039187)台達電子工業股▲ふん▼有限公司 (192)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(596039187)台達電子工業股▲ふん▼有限公司 (192)
【Fターム(参考)】
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