説明

軸受取り付け装置

【課題】両シール軸受であっても、ダイヤルゲージを用いることなく、テーパ穴軸受を適切なラジアル内部すきまで取り付け可能な軸受取り付け装置にする。
【解決手段】スリーブ1の円すい状外径面9に軸方向に一定のピッチで並ぶ目盛り15を形成し、目盛り15の集合を用いてテーパ穴軸受3の内輪5の押込み量を直接に読み取り、その押込み量に基いてラジアル内部すきまを調節することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アダプタスリーブ又は取外しスリーブを用いたテーパ穴軸受の取り付けに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図14に例示するように、テーパ穴軸受100の予圧を調節するため、アダプタスリーブ又は取外しスリーブ101と、ナット102とを備えた軸受取り付け装置が利用されている。アダプタスリーブ又は取外しスリーブの円筒状内径面は、軸104の円筒状外径面に嵌合される。テーパ穴の内輪105は、円すい状外径面103の小端側から大端側に向って嵌合される。内輪105のはめあい面と円すい状外径面103との間のしめしろが零になる嵌合位置から、内輪105を相対的に円すい状外径面103の大端側へ軸方向に押込んだ押込み量に応じて、テーパ軸受100のラジアル内部すきまが減少する。所定のラジアル内部すきまに調節した内輪105やスリーブ101の軸方向位置を、スリーブ又は軸のおねじ106に螺合したナット102で固定することができるようになっている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上述のように軸受取り付け装置を用いる際、作業者が、ラジアル内部すきまをシックネスゲージ107で直接に測定し、所定のラジアル内部すきまに調節する手法が実施されている。他に、作業者が、ダイヤルゲージを用いて内輪の押込み量を測定し、所定のラジアル内部すきまに調節する手法も実施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−89179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記シックネスゲージを用いる手法は、両シール軸受の場合に採用することができない。前記ダイヤルゲージを用いる手法は、両シール軸受に適用可能だが、押込み量の測定が困難で作業者の感に頼るところがあった。
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、両シール軸受であっても、ダイヤルゲージを用いることなく、テーパ穴軸受を適切なラジアル内部すきまで取り付け可能な軸受取り付け装置にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成する第1の手段は、アダプタスリーブ又は取外しスリーブからなるスリーブを備え、前記スリーブの円すい状外径面にテーパ穴軸受の内輪を嵌合し、当該内輪を相対的に当該円すい状外径面の大端側へ軸方向に押込んだ押込み量に応じてラジアル内部すきまを調節することができる軸受取り付け装置において、前記円すい状外径面に、前記押込み量が零の原点位置に嵌合された前記内輪から当該円すい状外径面の大端側へ軸方向に並ぶ目盛りが形成されており、当該目盛りで読み取った前記押込み量に基いて前記ラジアル内部すきまを調節することができる構成を採用したものである。ここで、本願において、「軸方向」とは、軸受中心軸に沿った方向のことをいい、「ラジアル」とは、軸受中心軸に直角な方向のことをいう。また、「押込み量が零の原点位置」とは、内輪のはめあい面とスリーブの円すい状外径面間のしめしろが零になる嵌合位置のことをいう。また、「円」の概念は、特に言及しない限り、軸受中心軸上に中心を置いた円のことをいう。
【0008】
この構成によれば、作業者は、内輪の押込み量が零の原点位置に嵌合された内輪から円すい状外径面の大端側へ軸方向に並ぶ目盛りを用いて、原点位置からの押込み量を直接に軸方向長さとして読み取り、その読み取った押込み量に基いてラジアル内部すきまを調節することができるので、両シール軸受であっても、ダイヤルゲージを用いることなく、テーパ穴軸受を適切なラジアル内部すきまで取り付けることが可能である。
【0009】
前記目盛りが、軸方向に一定のピッチで並び、前記円すい状外径面に、前記目盛りと異なる軸受中心軸回りの角度位置で軸方向に並ぶ第二の目盛りが形成されており、前記第二の目盛りが、軸方向に前記一定のピッチで、かつ前記目盛りに対して軸方向に半ピッチずれた位置に並んでいるとよい。目盛りと第二の目盛りとを、互いに同ピッチながら異なる軸受中心軸回りの角度位置で円周方向位置で半ピッチずらして形成すればよく、互いのピッチを小さくすることなく、両目盛りの集合で読み取る押込み量の分解能を倍化することができる。ピッチを小さくせずに済むので、各印を見易くし、また、各印を形成する加工も容易になる。
【0010】
例えば、前記一定のピッチが0.5(mm)ピッチなら、目盛りの各印をけがきで形成することができ、前記分解能を0.25(mm)にすることができる。
【0011】
前記円すい状外径面の円周方向二等配の二箇所に前記目盛りが形成されていると、作業者は、目盛りから、円すい状外径面に嵌めた内輪の軸方向位置を円周方向二等配の二箇所で読み取れば、これら二箇所で読み取った内輪の軸方向位置が異なるか否かで内輪の傾きの有無を判別し、二箇所の目盛りを活用して当該傾きを修正することができる。内輪の傾きが軸方向位置の読み取り差として最大に現れる円周方向二等配の二箇所で内輪の軸方向位置を確認できるようにすれば、目盛りの間隔を小さくすることなく、内輪の傾きを判別し易くすることができる。
【0012】
上記の課題を達成する第2の手段は、アダプタスリーブ又は取外しスリーブからなるスリーブと、ナットとを備え、前記スリーブの円すい状外径面にテーパ穴軸受の内輪を嵌合し、当該内輪を相対的に当該円すい状外径面の大端側へ軸方向に押込んだ押込み量に応じてラジアル内部すきまを調節し、前記スリーブ又は当該スリーブを嵌めた軸のおねじにねじ込んだ前記ナットで前記内輪を軸方向に固定することができる軸受取り付け装置において、前記スリーブ及び前記ナットのうち、一方の部材に、軸受中心軸回りに等配の角度ピッチを示す目盛りが形成され、他方の部材に、当該ナットの回転量を当該目盛りに対する軸受中心軸回りの角度位置の変化として示す目盛指示部が形成されており、前記押込み量が零の原点位置に前記内輪を固定している前記ナットを更にねじ込んだ前記回転量を、前記目盛りの集合と前記目盛指示部とで読み取り、当該読み取った回転量と当該ナットのリードとで算出した当該内輪の押込み量に基いて前記ラジアル内部すきまを調節することができる構成を採用したものである。
【0013】
この構成によれば、内輪の押込み量は、押込み量が零の原点位置に内輪を固定しているナットを更にねじ込んだナットの回転量と、ナットの1回転当たりの軸方向移動量であるリードとで決まる。ナットのリードの情報は、適宜に表示部を設けたり、取り扱い書に記載したりすることで作業者に提供することができる。スリーブとナットの一方に、軸受中心軸回りに等配の角度ピッチを示す目盛り、他方に、当該ナットの回転量を当該目盛りに対する軸受中心軸回りの角度位置の変化として示す目盛指示部が形成されているので、作業者は、目盛りの集合と目盛指示部とで、内輪を押込んだナットの回転量を読み取り、1回転当たりの比率を把握することができる。当該読み取った回転量にナットのリードを乗じて算出した当該ナットの軸方向移動量は、内輪の押込み量に相当する。作業者は、その内輪の押込み量に基いてラジアル内部すきまを調節することができるので、両シール軸受であっても、ダイヤルゲージを用いることなく、テーパ穴軸受を適切なラジアル内部すきまで取り付けることが可能である。
【0014】
前記他方の部材に、前記角度ピッチの半ピッチ分だけ前記目盛指示部から軸受中心軸回りの角度位置をずらした第二の目盛指示部が形成されていることが好ましい。目盛指示部と第二の目盛指示部とを用いて目盛りに対する角度位置を半ピッチごとに読み取れるので、目盛りの角度ピッチを小さくすることなく、前記回転量の分解能を倍化することができる。
【0015】
前記角度ピッチが36°になっているとよい。ナットの1/10回転と、ナットのリードの1/10の軸方向移動量とが対応するので、内輪の押込み量の算出が簡単になる。
【0016】
前記ナットに前記リードの値が表示されていると、ナット回しを行う作業者は、そのナットを見るだけでリードの値を把握することができ、取り扱い書でリードを確認する必要がない。
【0017】
前記目盛指示部が前記スリーブの切割りの片側スリット面からなることが好ましい。スリーブの切割りの仕上げで目盛指示部が形成されるので、目盛指示部の表示加工を追加する必要がない。
【0018】
より具体的には、前記スリーブがアダプタスリーブからなる場合、前記目盛りが前記ナットの反内輪側の端面に形成されていることが好ましい。アダプタスリーブのスリット面(目盛指示部)と、アダプタスリーブの小端部のおねじにねじ込むナットの反内輪側の端面の目盛りとを軸方向から同時に眺め、ナットの回転量を読み取ることができる。
【0019】
また、前記スリーブが取外しスリーブからなる場合、前記目盛りが、前記ナットの外径面に形成されていることが好ましい。取外しスリーブのスリット面(目盛指示部)と、取外しスリーブを嵌合した軸のおねじにねじ込むナットの外径面の目盛りとを外径側から同時に眺め、ナットの回転量を読み取ることができる。
【0020】
前記スリーブがアダプタスリーブからなる場合、前記目盛りが前記スリーブの小端面に形成されており、前記目盛指示部が前記ナットの反内輪側の端面に形成されているものにしてもよい。アダプタスリーブの小端面の目盛りと、アダプタスリーブの小端部のおねじにねじ込むナットの反内輪側の端面の目盛指示部とを軸方向から同時に眺め、ナットの回転量を読み取ることができる。
【発明の効果】
【0021】
上述のように、この発明は、スリーブの円すい状外径面に形成されている目盛りの集合を用いてテーパ穴軸受の内輪の押込み量を直接に読み取り、又はスリーブ、ナットに形成された目盛りの集合及び目盛指示部を用いて読み取ったナットの内輪押込み時の回転量とナットのリードとの関係で内輪の押込み量を算出し、その押込み量に基いてラジアル内部すきまを調節することができるので、両シール軸受であっても、ダイヤルゲージを用いることなく、テーパ穴軸受を適切なラジアル内部すきまで取り付けることが可能な軸受取り付け装置にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1実施形態に係る軸受取り付け装置の一部を破断表示した全体斜視図
【図2】第1実施形態に係る軸受取り付け装置をスリーブ幅中央を通るアキシアル平面で切断した断面図
【図3】第1実施形態に係るスリーブの正面図
【図4】第2実施形態に係るスリーブの正面図
【図5】(a)は第3実施形態に係る軸受取り付け装置の一部を破断表示した全体斜視図、(b)は内輪傾き時の二箇所の目盛りと内輪の大端側縁の位置関係を示した概念図
【図6】第4実施形態に係る軸受取り付け装置を軸受取り付け状態で示した全体斜視図
【図7】第4実施形態に係る軸受取り付け装置のナット及びスリーブの側面図
【図8】第4実施形態に係る軸受取り付け装置のナット回し作業時の全体斜視図
【図9】第5実施形態に係る軸受取り付け装置のナット及びスリーブの側面図
【図10】第6実施形態に係る軸受取り付け装置のナット及びスリーブの側面図
【図11】第7実施形態に係る軸受取り付け装置のナット及びスリーブの側面図
【図12】第8実施形態に係る軸受取り付け装置の一部を破断表示した全体斜視図
【図13】第8実施形態に係るスリーブ及びナットの正面図
【図14】従来例の断面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
この発明の第1実施形態に係る軸受取り付け装置を図1〜図3に基づいて説明する。図1、図2に示すように、軸受取り付け装置は、スリーブ1と、ナット2とを備え、テーパ穴軸受3を、適切なラジアル内部すきまに調節して軸4に取り付けるためのものである。テーパ穴軸受3は、内輪5と、外輪6と、内外輪5、6間の環状空間を密封するシール7、7とを備えた両シール軸受になっている。
【0024】
スリーブ1は、アダプタスリーブからなる。アダプタスリーブは、円筒状内径面8及び円すい状外径面9をもち、かつ小端部におねじ10をもち、アキシアル方向に切割り11の入ったスリーブのことをいう。円筒状内径面8は、軸4の円筒状外径面に嵌合される。スリーブ1は、軸4の円筒状外径面に対して円筒状内径面8を密着させるため、これら両面間のしめしろが負になる軸4に適用される。切割り11は、円筒状内径面8と軸4の円筒状外径面との嵌合作業を容易化するために形成されている。内輪5のはめあい面12は、円すい状外径面9と同じ勾配の円すい状内径面からなる。したがって、スリーブ1の円筒状内径面8を軸4の円筒状外径面に嵌合し、テーパ穴軸受3の内輪5のはめあい面12を円すい状外径面9に軸方向から嵌め込んでいくと、内輪5のはめあい面12と、スリーブ1の円すい状外径面9との間のしめしろが零になる嵌合位置が存在する。以下、この嵌合位置を単に「原点位置」と呼ぶ。原点位置に至るまでテーパ穴軸受3のラジアル内部すきまが負側に変化することはなく、原点位置は、テーパ穴軸受3の内輪5を相対的に円すい状外径面9の大端側へ押込む作業の開始位置となる。なお、内輪5を原点位置に嵌合できたか否かは、従来から実施されている方法で確認すればよく、例えば、はめあいのすきまが無くなることによる内輪5の打音変化で確認することができる。
【0025】
おねじ10にナット2をねじ込み、原点位置に内輪5を固定することができる。このナット2を更におねじ10にねじ込むことにより、ナット2の軸方向推進力を内輪5の側面に間接的に又は直接的に伝え、内輪5を相対的に円すい状外径面9の大端側へ軸方向に押込むことができる。このように内輪5を押込んだ押込み量に応じて、テーパ穴軸受3のラジアル内部すきまを小さくすることができる。ナット2のねじ込み作業を止めれば、そのナット2で内輪5の小端側への相対移動を規制し、内輪5を作業停止時の軸方向位置に固定することができる。
【0026】
なお、スリーブ1は、取外しスリーブにすることもできる。取外しスリーブは、円筒状内径面及び円すい状外径面をもち、かつ大端部におねじをもち、アキシアル方向に切割りの入ったスリーブのことをいう。取外しスリーブの場合、ナット2は軸のおねじにねじ込まれ、スリーブのおねじは、スリーブを引き抜く際に利用される。
【0027】
ナット2は、座金13の外側舌の一つでナット2を固定するためと、かぎスパナをかけるための、アキシアル方向に切欠き14が付いた円筒状外径面をもったものになっている。座金13は、ナット2を固定するための外側舌をもち、かつスリーブ1の切割り11、又は軸4のアキシアル方向の切欠きに挿入するための一つの内側舌をもっている。ナット2は、手回しするものに限らず、公知のアダプタスリーブ又は取外しスリーブ用の油圧ナットを採用することもできる。座金13に代えて、ナット2を固定するために用いるコの字形の鋼製の金具(いわゆる、止め金)を用いることもできる。
【0028】
前記円すい状外径面9は、テーパ穴軸受3の内輪5だけでなく、これと内輪幅が異なる他のテーパ穴軸受の取り付けにも適用可能な幅になっている。円すい状外径面9は、一般に、テーパ1/12、又はテーパ1/30の勾配をもった円すい状に形成される。
【0029】
内輪5の押込み量は、原点位置に嵌合された内輪5から円すい状外径面9に対して軸方向に大端側へ向う軸方向長さで示すことができる。内輪5の押込み量の許容調節範囲は、内輪5の押込み量とテーパ穴軸受3のラジアル内部すきまとの相関性に基き、予め、許容上限の押込み量と許容下限の押込み量とで規定されている。内輪5の押込み量を許容調節範囲内にする限り、テーパ穴軸受3のラジアル内部すきまは適切な範囲内になる。作業者は、テーパ穴軸受3に規定されている押込み量の許容調節範囲を取り扱い書等で確認してから、押込み作業を開始することができる。
【0030】
円すい状外径面9には、軸方向に一定のピッチで並ぶ目盛り15が形成されている。目盛り15は、円周方向に長さをもち、かつ軸方向に一定幅の線状に表示されている。作業者は、内輪5の側方から、内輪5の面取りと円すい状外径面9との間の空間を通して、原点位置における大端側縁eの軸方向位置を視認することができる。内輪5のはめあい面12の大端側縁eは、原点位置にあるとき、並び両端m1、m2の目盛り15間を軸方向に結ぶ直線上の一箇所に存在する。したがって、目盛り15は、原点位置の大端側縁eから円すい状外径面9の大端側へ軸方向に並び、原点位置の大端側縁eから大端側へ向って軸方向長さを示すことになる。
【0031】
大端側の並び端m2の目盛り15は、許容上限の押込み量となる軸方向位置よりも大端側に配置されている。目盛り15の集合による押込み量の測定可能範囲(並び両端m1〜m2間)は、スリーブ1を適用可能な各テーパ穴軸受における前記原点位置のうちの最も小端側に寄った位置、及び各テーパ穴軸受における許容上限の押込み量となる軸方向位置のうちの最も大端側に寄った位置を含むように定められている。目盛り15の集合による押込み量の分解能は、前記一定のピッチに相当する。この分解能は、スリーブ1を適用可能な各テーパ穴軸受に規定されている押込み量の許容調節範囲の幅のうち、最小幅よりも小さく、原点位置における大端側縁eの軸方向位置を直近の大端側の印位置と看做した読み取りでも、内輪5の押込み量を許容調節範囲内に調節することができるように設定されている。これら測定可能範囲及び分解能の設定により、各テーパ穴軸受で目盛り15が使用可能になっている。
【0032】
作業者は、一定のピッチで並ぶ目盛り15の集合を参照し、原点位置の大端側縁eの軸方向位置から大端側に目盛り15を数えて、許容調節範囲内となる内輪5の押込み量(目標とすべき大端側縁eの移動先)を読み取ったり、大端側縁eが原点位置から移動する間、通過した目盛り15を数えて実際に押込んだ内輪5の押込み量を読み取ったりし、その読み取った内輪5の押込み量に基いてラジアル内部すきまを調節することができる。したがって、第1実施形態に係る軸受取り付け装置は、両シール軸受であっても、ダイヤルゲージを用いることなく、テーパ穴軸受を適切なラジアル内部すきまで取り付けることができる。
【0033】
例えば、大形軸受や超大形軸受では、押込み量の許容調節範囲の幅が2(mm)以上に規定されることがある。このような軸受を適用対象とするスリーブ1ならば、目盛り15の集合による分解能を1(mm)にすることができる。仮に、押込み量の許容調節範囲が許容下限3(mm)〜許容上限5(mm)の2(mm)幅のとき、原点位置の大端縁eの軸方向位置が位置m3の以前にあり、位置m3の目盛り15の位置を原点位置の大端縁eの軸方向位置と読み取ったならば、大端縁eの軸方向位置が位置m4の目盛り15を超え、位置m5の目盛り15以前のところで内輪5の押込みを止めると、許容調節範囲内に調節することができる。
【0034】
なお、目盛り15は、円すい状外径面9に対するけがき、ポンチ等で形成した凹み部からなることが好ましい。これは、内輪5のはめあい面12に擦られて消えないようにするためである。目盛り15を加工する軸方向ピッチの限界や、目盛り15の個別識別が可能な視認性を確保する上で、目盛り15間の軸方向ピッチを小さくすることに限界がある。目盛り15を複列化すれば、軸方向ピッチを小さくすることなく、押込み量の分解能を倍化することができる。
【0035】
その一例として、第2実施形態を図4に基いて説明する。なお、以下、第1実施形態との相違点を述べるに留める。第2実施形態に係る軸受取り付け装置は、円すい状外径面9に、目盛り15と異なる軸受中心軸回りの角度位置で軸方向に並ぶ第二の目盛り21が形成されている点で相違している。
【0036】
第二の目盛り21は、目盛り15と同じく、軸方向に一定のピッチpで並ぶが、目盛り15に対して軸方向に半ピッチ(p/2)ずれた位置に並んでいる。作業者は、両目盛り15、21のうち、一方の集合により、ピッチp/2の偶数倍の軸方向位置を読み取ることができ、同時に、他方の集合により、ピッチp/2の奇数倍の軸方向位置を読み取ることができる。したがって、両目盛り15、21の集合による内輪5の押込み量の分解能は、p/2となり、第1実施形態よりも倍化することができる。
【0037】
例えば、ピッチpを0.5(mm)としたとき、作業者は、原点位置の大端側縁eの軸方向位置を目盛り15、21のうち、軸方向に近い方で読み取ることができる。図示例では、原点位置の大端側縁eの軸方向位置を目盛り15で読み取り、ナット2をねじ込む作業者は、目盛り15の集合を0.25(mm)の偶数倍の軸方向位置の読み取りに用い、目盛り21の集合を0.25(mm)の奇数倍の軸方向位置の読み取りに用いることができる。したがって、第1実施形態で目盛り15の軸方向ピッチを0.25(mm)にした場合と比して、各目盛り15、21を形成し易く、また肉眼で各目盛り15、21を見分け易くすることができる。大形軸受以下の軸受では、軸受内径に応じて、内輪の押込み量の許容調節範囲の許容上限、下限の値が0.25(mm)の倍数で規定されることがあり、目盛り15、21の集合による分解能を0.25(mm)にしておけば、そのような軸受に対応した軸受取り付け装置にすることができる。
【0038】
第3実施形態を図5に基いて説明する。第3実施形態に係る軸受取り付け装置は、円すい状外径面9の円周方向二等配の二箇所に、目盛り15が形成されている点で相違している。作業者は、原点位置に内輪5を嵌合したと判断したところで、大端側縁eの軸方向位置を二箇所の目盛り15、15で読み取り、これら二箇所で読み取った大端側縁eの軸方向位置が異なるか否かで、当該二箇所を結ぶ直線に対して内輪5が軸方向に傾いているか否かを判別することができる。すなわち、当該内輪5の傾きが存在すると、図5(b)に示すように、図中上側の目盛り15の集合と、180°反対の図中下側の目盛り15の集合とでは、大端側縁eの重なる軸方向位置が相異なることになり、傾きの存在が明らかとなる。また、当該内輪5の傾きは、二箇所の目盛り15、15に対する大端側縁eの軸方向位置が同じになるように内輪5の嵌め具合を改めることで修正することができる。当該方向の傾きが大端側縁eの軸方向位置の読み取り差として最大に現れる円周方向二等配の二箇所で当該軸方向位置を確認することができるので、目盛り15の間隔を小さくすることなく、内輪5の傾きを判別し易くすることができる。なお、図示は、二つの目盛り15を円周方向に180°回転対称性をもつように形成することにより、目盛り15が円周方向二等配の二箇所に形成されたものを例示したが、円すい状外径面9を円周方向に亘って一連に巡る目盛りを形成し、任意の円周方向二等配の二箇所に形成された目盛りにすることで、殆どの傾き方向に対応することも可能である。
【0039】
第4実施形態を図6〜図8に基いて説明する。第4実施形態に係る軸受取り付け装置は、スリーブ31に、軸受中心軸回りに等配の角度ピッチを示す目盛り32が形成され、ナット33に、ナット33の回転量を目盛り32に対する軸受中心軸回りの角度位置の変化として示す目盛指示部34が形成され、ナット33のリードが値で表示された表示部35を有し、目盛り32、目盛指示部34及びナット33のリードを用いて内輪5の押込み量を算出し、その押込み量に基いてラジアル内部すきまを調節することができる点で相違している。
【0040】
スリーブ31の小端面、及びナット33の反内輪側の端面は、それぞれラジアル平面に沿った平面になっており、ナット33をスパナで回す押込み作業中も軸方向に露出している。目盛り32は、スリーブ31の小端面に形成され、目盛指示部34、表示部35は、ナット33の反内輪側の端面に形成されている。したがって、作業者は、ナット33を回しつつ、いつでも目盛り32、目盛指示部34及び表示部35を軸方向から同時に読み取ることができる。
【0041】
目盛り32は、円周方向に一定のピッチで並んでいる。目盛り32、目盛指示部34は、それぞれ軸受中心軸に向けた一定幅の直線状に表示されている。作業者は、目盛指示部34の延長線上を見れば、ナット33の回転に伴って変化する目盛指示部34の軸受中心軸回りの角度位置を目盛り32に照らして読み取ることができる。なお、目盛指示部34を用いた読み取り先をより強調するため、軸受中心軸に向けた矢先状表示が目盛指示部34の軸受中心軸側の端に付けられている。目盛り32は、スリーブ31の小端面の外径に及び、目盛指示部34は、ナット33の反内輪側の端面の内周縁に及んでいる。これは、読み取り時の視差を防止するためである。
【0042】
図示例のナット33は、スリーブ31のおねじに対応するねじピッチが2.0(mm)の一条ねじになっている。このため、ナット33のリードは、当該ねじピッチに等しい。表示部35は、リードの呼び名に代えて、一般的に馴染みのある「ねじピッチ」の付記により「2.0」がナット33のリードの値であることを示している。
【0043】
目盛り32の集合及び目盛指示部34によるナット33の回転量の分解能は、等配の角度ピッチに相当する。目盛り32に対して目盛指示部34の軸受中心軸回りの角度位置が角度ピッチ一つ分だけ変化するナット33の回転量は、1/等配数(すなわち360°/角度ピッチ)の回転に相当する。ナット33の1/等配数の回転により、内輪5を押込むナット33は、リードの1/等配数だけ軸方向移動する。したがって、目盛り32とナット33のリードとで算出可能なナット33の軸方向移動量の分解能は、リードの1/等配数に相当し、これは内輪5の押込み量の分解能に相当する。この内輪5の押込み量の分解能は、スリーブ31を適用可能な各テーパ穴軸受に規定されている押込み量の許容調節範囲の幅のうち、最小幅よりも小さく、原点位置における目盛指示部34の軸受中心軸回りの角度位置をナット33のねじ込み回転方向に直近の目盛り32と看做した読み取りでも、内輪5の押込み量を許容調節範囲内に調節することができるように設定されている。この設定により、各テーパ穴軸受で目盛り32及び目盛指示部34が使用可能になっている。
【0044】
図示例では、目盛り32が示す角度ピッチは、36°(等配数10)になっている。したがって、目盛り32の集合及び目盛指示部34によるナット33の回転量の分解能は、1/10回転となり、目盛り32の集合とナット33のリードとを用いて算出可能な内輪5の押込み量の分解能は、リードの1/10となる。原点位置からナット33をねじ込んだ内輪5の押込み量は、リードの1/10の値(図示例では0.2)の倍数を求めるだけで、簡単に算出することができる。
【0045】
作業者は、原点位置に内輪5を固定しているナット33の目盛指示部34の延長線上を見て、目盛り32の集合に対する目盛指示部34の軸受中心軸回りの角度位置を読み取り、一定の角度ピッチで円周方向に並ぶ目盛り32の集合を参照して、目標とすべきナット33の回転量(内輪5の押込み量が許容調節範囲内となるナット33の回転量)を算出したり、そのナット33を更にねじ込む間、目盛指示部34が通過した目盛り32を数えて内輪5の押込み量を算出したりし、その読み取った内輪5の押込み量に基いてラジアル内部すきまを調節することができる。したがって、第4実施形態に係る軸受取り付け装置は、両シール軸受であっても、ダイヤルゲージを用いることなく、テーパ穴軸受3を適切なラジアル内部すきまで取り付けることができる。
【0046】
例えば、大形軸受以下の軸受では、押込み量の許容調節範囲の幅が0.4(mm)以上に規定されることがある。このような軸受を適用対象とするスリーブ31ならば、図示例のように、ナット33の回転量の分解能を1/10回転、ナット33のリードを2.0(mm)にすることにより、内輪5の押込み量の分解能を0.2(mm)にすることができる。仮に、押込み量の許容調節範囲が許容下限0.8(mm)〜許容上限1.2(mm)の0.4(mm)幅の軸受において、ナット33を右回しにねじ込むとき、原点位置の目盛り32の集合に対する目盛指示部34の角度位置を位置m11の目盛り32の角度位置に読み取ったならば、目盛指示部34の角度位置が右回りに数えて4つ目の目盛り32の位置m12を超え、6つ目の目盛り32の位置m13以前のところでナット33のねじ込み(内輪5の押込み)を止めると、許容調節範囲内に調節することができる。
【0047】
第5実施形態を図9に基いて説明する。なお、以下、第4実施形態との相違点を述べるに留める。第5実施形態に係る軸受取り付け装置は、ナット33に、目盛り32が示す角度ピッチ36°の半ピッチ18°分だけ目盛指示部34から軸受中心軸回りの角度位置をずらした第二の目盛指示部36が形成されている点で相違している。目盛り32の集合に対する目盛指示部34及び第二の目盛指示部36のそれぞれにおいてナット33の回転量を読み取ることができるので、目盛り32の角度ピッチを小さくすることなく、ナット33の回転量の分解能を倍化することができる。したがって、内輪5の押込み量の分解能も倍化することができる。
【0048】
例えば、角度ピッチ36°、リード2.0(mm)、及び原点位置の目盛指示部34の角度位置が目盛り32の角度位置に相当するとき、作業者は、原点位置における目盛指示部又は第二の目盛指示部のうち、ナット33のねじ込み回転方向に進んで目盛り32の角度位置に近い方を、ナット33の回転量が零の位置を示す目盛指示部に用いることができる。図示例では、原点位置における目盛指示部34が、目盛り32と同じ角度位置にあり、ナット33の回転量が零の位置を示している。更にナット33をねじ込む作業者は、第二の目盛指示部36の角度位置が位置m14の目盛り32と同じ角度位置になれば、ナット33を半ピッチ18°分(1/20回転)だけ回し終え、内輪5の押込み量が0.1(mm)になったと把握することができ、さらにねじ込んで目盛指示部34が位置m14の目盛り32と同じ角度位置になれば、ナット33を36°分(1/10回転)だけ回し終え、内輪5の押込み量が0.2(mm)になったと把握することができる。
【0049】
第6実施形態を図10に基いて説明する。第6実施形態に係る軸受取り付け装置は、ナット41の反内輪側の端面に目盛り42が形成され、スリーブ43に目盛指示部44が形成されている点で相違している。目盛指示部44は、スリーブ43の切割り45の片側スリット面からなる。スリーブ43の切割り45を円周方向に挟む一対のスリット面は、スリーブ43の径変化を切割り45から軸方向全長に亘って同じように生じさせるため、軸方向に沿った平面状に形成される(図3の切割り11参照)。したがって、図10に示すように、スリーブ43の小端面に連なる切割り45の両側のスリット面は、ナット41を回す際に軸方向に露出し、かつ概ね軸受中心軸を向いた壁面なので、片側のスリット面を目盛指示部44として利用することができる。切割り45の仕上げで形成されるスリット面を目盛指示部44に用いるので、ナット41やスリーブ43へのけがき等による目盛指示部の表示加工を追加する必要がない。なお、切割り45のスリット面は、加工の都合上、正しく軸受中心軸に向く壁面ではないが、スリット面の内径又は外径上を目盛指示部44に定めれば、軸方向から一意に読み取ることが可能である。
【0050】
第7実施形態を図11に基いて説明する。第7実施形態に係る軸受取り付け装置は、第6実施形態において第二の目盛指示部46を追加した点で相違している。すなわち、スリーブ43の小端面に第二の目盛指示部46が形成されている。スリット面からなる目盛指示部44から、目盛り42が示す角度ピッチの半ピッチだけ角度位置をずらしたところに第二の目盛指示部46を形成するだけで、第5実施形態と同様にナット41の回転量の分解能を倍化することができる。
【0051】
第8実施形態を図12、図13に基いて説明する。第8実施形態に係る軸受取り付け装置は、スリーブ51が取外しスリーブからなり、ナット52の外径面に目盛り53、表示部54が形成され、目盛指示部55が、スリーブ51の切割り56の片側スリット面からなる点で相違している。スリーブ51が取外しスリーブからなるので、軸57のおねじ58にねじ込むナット52でスリーブ51の大端面を軸方向に内輪5側へ押し、これにより、内輪5を相対的に円すい状外径面59の大端側へ押込み、また、内輪5の軸方向位置をナット52で固定することができる。ナット52をねじ込んでスリーブ51を押す際、ナット52はスリーブ51の大端面を軸方向から覆い隠すので、スリーブ51の大端面に目盛りを形成しても読み取ることができない。
【0052】
目盛り53は、ナット52の切欠き60との読み取り時の混同を避けるため、ナット52の円周方向複数個所に形成された各切欠き60から外れたところに配置されている。目盛り53、表示部54、目盛指示部55がスリーブ51、ナット52の外径面に表示されているので、作業者は、ナット52からスパナを外せば、目盛り53、表示部54、目盛指示部55とを外径側から同時に眺め、原点位置に内輪5を固定しているナット52を更にねじ込んだ回転量を読み取ることができる。
【0053】
上記第4実施形態〜第8実施形態のように、ナットの回転量とリードから内輪の押込み量を算出する方式は、比較的に押込み量の少なく、その代わり押込み量の許容調節範囲の狭い小形軸受に好適であり、上記第1実施形態〜第3実施形態のようにスリーブの円すい状外径面に押込み量を軸方向長さとして直接に測定する目盛りを形成する方式は、比較的に押込み量の大きい大形、超大形軸受に好適である。第1実施形態のような方式は、目盛りの加工性、視認性を確保するために押込み量の分解能が制限され易い。第4実施形態のような方式は、リードと目盛りの角度ピッチの選択で0.1(mm)未満の押込み量の分解能を容易に得ることができる。一方、第4実施形態のような方式では、高精度な軸方向移動量を得ることができるリードは数(mm)以下であり、ナットの複数回転を要するような大きな押込み量の場合、作業者は何回転目なのか把握することを要する。第1実施形態のような方式では、どれだけ押込み量が大きくとも、作業者は軸方向長さで押込み量を把握するだけで済む。
【0054】
この発明の技術的範囲は、上述の実施形態に限定されず、特許請求の範囲の記載に基く技術的思想の範囲内での全ての変更を含むものである。例えば、取外しスリーブに目盛りを形成する場合、おねじの大端側におねじ谷径より小径の端部を形成し、当該端部外径面に目盛りを形成すればよい。また、この発明に係る軸受取り付け装置は、開放形軸受に適用してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1、31、43、51 スリーブ
2、33、41、52 ナット
3 テーパ穴軸受
4、57 軸
5 内輪
6 外輪
7 シール
8 円筒状内径面
9、59 円すい状外径面
10、58 おねじ
11 切割り
12 はめあい面
13 座金
14、60 切欠き
15、32、42、53 目盛り
21 第二の目盛り
34、44、55 目盛指示部
35、54 表示部
36、46 第二の目盛指示部
45、56 切割り
p ピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプタスリーブ又は取外しスリーブからなるスリーブを備え、
前記スリーブの円すい状外径面にテーパ穴軸受の内輪を嵌合し、当該内輪を相対的に当該円すい状外径面の大端側へ軸方向に押込んだ押込み量に応じてラジアル内部すきまを調節することができる軸受取り付け装置において、
前記円すい状外径面に、前記押込み量が零の原点位置に嵌合された前記内輪から当該円すい状外径面の大端側へ軸方向に並ぶ目盛りが形成されており、当該目盛りで読み取った前記押込み量に基いて前記ラジアル内部すきまを調節することができることを特徴とする軸受取り付け装置。
【請求項2】
前記目盛りが、軸方向に一定のピッチで並び、前記円すい状外径面に、前記目盛りと異なる軸受中心軸回りの角度位置で軸方向に並ぶ第二の目盛りが形成されており、
前記第二の目盛りが、軸方向に前記一定のピッチで、かつ前記目盛りに対して軸方向に半ピッチずれた位置に並んでいる請求項1に記載の軸受取り付け装置。
【請求項3】
前記一定のピッチが0.5(mm)ピッチになっている請求項2に記載の軸受取り付け装置。
【請求項4】
前記円すい状外径面の円周方向二等配の二箇所に前記目盛りが形成されている請求項1から3のいずれか1項に記載の軸受取り付け装置。
【請求項5】
アダプタスリーブ又は取外しスリーブからなるスリーブと、ナットとを備え、
前記スリーブの円すい状外径面にテーパ穴軸受の内輪を嵌合し、当該内輪を相対的に当該円すい状外径面の大端側へ軸方向に押込んだ押込み量に応じてラジアル内部すきまを調節し、前記スリーブ又は当該スリーブを嵌めた軸のおねじにねじ込んだ前記ナットで前記内輪を軸方向に固定することができる軸受取り付け装置において、
前記スリーブ及び前記ナットのうち、一方の部材に、軸受中心軸回りに等配の角度ピッチを示す目盛りが形成され、他方の部材に、当該ナットの回転量を当該目盛りに対する軸受中心軸回りの角度位置の変化として示す目盛指示部が形成されており、
前記押込み量が零の原点位置に前記内輪を固定している前記ナットを更にねじ込んだ前記回転量を、前記目盛りと前記目盛指示部とで読み取り、当該読み取った回転量と当該ナットのリードとで算出した当該内輪の押込み量に基いて前記ラジアル内部すきまを調節することができることを特徴とする軸受取り付け装置。
【請求項6】
前記他方の部材に、前記角度ピッチの半ピッチ分だけ前記目盛指示部から軸受中心軸回りの角度位置をずらした第二の目盛指示部が形成されている請求項5に記載の軸受取り付け装置。
【請求項7】
前記角度ピッチが36°になっている請求項5又は6に記載の軸受取り付け装置。
【請求項8】
前記ナットに前記リードの値が表示されている請求項7に記載の軸受取り付け装置。
【請求項9】
前記目盛指示部が、前記スリーブの切割りの片側スリット面からなる請求項5から8のいずれか1項に記載の軸受取り付け装置。
【請求項10】
前記スリーブが、アダプタスリーブからなり、
前記目盛りが、前記ナットの反内輪側の端面に形成されている請求項9に記載の軸受取り付け装置。
【請求項11】
前記スリーブが、取外しスリーブからなり、
前記目盛りが、前記ナットの外径面に形成されている請求項9に記載の軸受取り付け装置。
【請求項12】
前記スリーブが、アダプタスリーブからなり、
前記目盛りが、前記スリーブの小端面に形成されており、
前記目盛指示部が、前記ナットの反内輪側の端面に形成されている請求項5から8のいずれか1項に記載の軸受取り付け装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−68243(P2013−68243A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205914(P2011−205914)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】