説明

軽量・耐火連結屋根

【課題】 従来技術では、表面に溝が形成されているので、上に断熱材を接着することは極めて困難性が高いので、接着せずにビス留めを行っている。また、タイトフレームとの固定に前記溝を利用して固定しているため、タイトフレームが直行していないと施工できないという欠点がある。さらに、表面に溝の部分が存在しているので、その溝部分に水滴が溜まり、しかも、作業中、溝によって断熱材が割れることが生じるという問題がある
【解決手段】 躯体8にタイトフレーム5に形成した脚状リブ部嵌合用凹部6下面を所要の取付手段にて取り付けると共に、脚状リブ部嵌合用凹部6内に屋根板Aの脚状リブ部1を嵌合し、かつ屋根板Aの各脚状リブ部1間に、タイトフレーム5に形成した屋根板嵌合用凹・凸部を嵌合し一体に取り付け、平坦屋根板に断熱材を接着した軽量・耐火連結屋根。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常デッキプレートと称するものを使用し、例えば鉄骨構造物等において、上面がフラットなデッキプレートのフラット面を生かした屋根として用いる軽量・耐火連結屋根に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根板の一端部に屋根板下面支持縁を有する脚状リブ部を形成すると共に他端部に脚状リブ部嵌合用折曲縁または屋根板下面支持縁重合縁を形成し、前記脚状リブ部に前記折曲縁を嵌合し、または前記屋根板下面支持縁に前記屋根板下面支持縁重合縁を重合して屋根板を連結するようにした連結屋根と、前記屋根板を駆体に取付けるためのタイトフレームとからなる軽量・耐火連結屋根において、前記駆体に、前記タイトフレームに形成した脚状リブ部嵌合用凹部下面を所要の取付手段にて取付けるとともに、前記脚状リブ部嵌合用凹部内に前記屋根板の脚状リブ部を嵌合し、かつ前記屋根板の各脚状リブ部間に形成したタイトフレーム嵌合用凹・凸部と、前記タイトフレームに形成した屋根板嵌合用凹・凸部を嵌合し一体に取付けるようにした軽量・耐火連結屋根(例えば、特許文献1参照)が存在している。
【特許文献1】特許第3453653号公報(特許請求の範囲の欄、発明の実施の形態の欄の段落{0006}〜{0011}、及び図1、図7、図8、図10を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来技術の軽量・耐火連結屋根では、表面に溝が形成されているため、上面に断熱材を接着することは極めて困難性が高いので、接着せずにビス留めを行っている。また、タイトフレームとの固定に前記溝を利用して固定しているため、タイトフレームが直行していないと施工できないという欠点がある。
さらに、表面に溝の部分が存在しているので、その溝部分に水滴が溜まり、しかも、作業中、溝によって断熱材が割れることが生じるという欠点がある。
本発明の目的は、軽量・耐火連結屋根とタイトフレームに凹凸がないため、施工後に左右への多少のアジャストが可能になり、タイトフレームと軽量・耐火連結屋根が直行していなくても施工ができ、表面がフラットなので、断熱材が割れることがなくなる。さらに、表面をフラットにすることで、働き幅を変更することができるので、製品コスト及び施工能力が向上し、全体のコストを削減することができる。
また、表面がフラットで溝がないので、断熱材の接着が可能である。
さらに天井吊金具の使用が可能になり、ドレン排出部材の取り付けが簡易になり、表面がフラットなため、役物の留め付けビスがどこでも使用可能となった軽量・耐火連結屋根を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための本発明の第1発明は、請求項1に記載された通りの軽量・耐火連結屋根であり、次のようなものである。
屋根板は適宜間隔で屋根板下面支持縁を有する脚状リブ部を形成し、脚状リブ部間は平坦にすると共に、他端部に脚状リブ部嵌合用折曲縁、または屋根板下面支持縁重合縁を形成し、前記脚状リブ部に前記折曲縁を嵌合し、または前記屋根板下面支持縁に前記屋根板下面支持縁重合縁を重合して屋根板を連結するようにした連結屋根部材を躯体に取り付けるためのタイトフレームとからなる連結屋根において、前記躯体に前記タイトフレームに形成した脚状リブ部嵌合用凹部下面を所要の取付手段にて取り付けると共に、前記脚状リブ部嵌合用凹部内に前記屋根板の脚状リブ部を嵌合し、かつ前記屋根板の各脚状リブ部間に、前記タイトフレームに形成した屋根板嵌合用凹・凸部を嵌合し一体に取り付け、前記平坦屋根板に断熱材を接着する構成である。
【0005】
上記課題を解決するための本発明の第2発明は、請求項2に記載された通りの軽量・耐火連結屋根であり、次のようなものである。
請求項1記載の発明に加えて、屋根板のタイトフレーム嵌合用凹・凸部を断面略正・逆の台形状に形成する構成である。
【0006】
上記課題を解決するための本発明の第3発明は、請求項3に記載された通りの軽量・耐火連結屋根であり、次のようなものである。
請求項1に記載の発明に加えて、タイトフレームの屋根板嵌合用凹・凸部のうち、凸部を断面略台形状に形成する構成である。
【0007】
上記課題を解決するための本発明の第4発明は、請求項4に記載された通りの軽量・耐火連結屋根であり、次のようなものである。
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明に加えて、タイトフレームの脚状リブ部嵌合用凹部を断面略逆台形状に形成する構成である。
【0008】
上記課題を解決するための本発明の第5発明は、請求項5に記載された通りの軽量・耐火連結屋根であり、次のようなものである。
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明に加えて、屋根板の上面を防火構造に形成する構成である。
【0009】
上記課題を解決するための本発明の第6発明は、請求項6に記載された通りの軽量・耐火連結屋根であり、次のようなものである。
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発明に加えて、屋根板上にセラミック系不燃板、耐熱・断熱性板、防水材を順次積層状に敷設し、耐熱・防水構造とする構成である。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る軽量・耐火連結屋根は、上記説明のような構成を有するので、以下に記載する効果を奏する。
(1)表面に溝の部分が存在していないので、その溝部分に水滴が溜まり、しかも、作業中、溝によって断熱材が割れることがない。
(2)軽量・耐火連結屋根とタイトフレームに凹凸がないため、施工後に左右への多少のアジャストが可能になり、タイトフレームと軽量・耐火連結屋根が直行していなくても施工ができる。
(3)表面がフラットなので、断熱材が割れることがなくなる。
(4)表面をフラットにすることで、働き幅を変更することができるので、製品コスト及び施工能力が向上し、全体のコストを削減することができる。
(5)表面がフラットで溝がないので、断熱材の接着が可能である。
(6)天井吊金具の使用が可能になり、ドレン排出部材の取り付けが簡易になり、表面がフラットなため、得物の留め付けビスがどこでも使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
屋根板は適宜間隔で屋根板下面支持縁を有する脚状リブ部を形成し、脚状リブ部間は平坦にすると共に、他端部に脚状リブ部嵌合用折曲縁、または屋根板下面支持縁重合縁を形成し、前記脚状リブ部に前記折曲縁を嵌合し、または前記屋根板下面支持縁に前記屋根板下面支持縁重合縁を重合して屋根板を連結するようにした連結屋根部材を躯体に取り付けるためのタイトフレームとからなる連結屋根において、前記躯体に前記タイトフレームに形成した脚状リブ部嵌合用凹部下面を所要の取付手段にて取り付けると共に、前記脚状リブ部嵌合用凹部内に前記屋根板の脚状リブ部を嵌合し、かつ前記屋根板の各脚状リブ部間に、前記タイトフレームに形成した屋根板嵌合用凹・凸部を嵌合し一体に取り付け、前記平坦屋根板に断熱材を接着した軽量・耐火連結屋根である。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の一実施例を添付図面で詳細に説明する。
図1(a)、(b)は本発明の連結屋根の施工状態の各例を示す正断面図であって、(a)は防水構造を設けた場合を示し、(b)は耐熱・断熱・防水構造を設けた場合を示す図、図
2(a)、(b)は屋根板の各例を示す正面図であって(a)は屋根板の他端側フラット面に脚状リブ部嵌合用折曲縁を形成したものを示し、(b)は同脚状リブ部嵌合用折曲縁を屋根板下面支持縁重合縁(フラット延長部)に形成したものを示す図、図3はタイトフレームの一例を示す正面図、図4は屋根板の一部拡大正断面図、図5はタイトフレームの一部拡大正断面図、図6は連結屋根板の上部に耐熱・断熱・防水構造を構成する以前の施工状態の一例を示す一部拡大正断面図、図7は連結屋根板の上部に耐熱・断熱・防水構造を構成した施工状態の一例を示す一部拡大正断面図、図8(a)、(b)は脚状リブ部の他例を示す一部拡大正面図である。
【0013】
図1、図2、図4、図7において、1は屋根板Aの下面に折曲形成された垂直壁部1a、1aを有する脚状リブ部であって、下端に押拡底部2を有するとともに前記垂直壁部1a、aの上端は略水平状に折曲され、フラット面3に形成されている。なお、前記屋根板Aの一端部側脚状リブ部1の垂直壁部1a上端のフラット面3は屋根板連結時において屋根板下面支持縁となる。4は前記屋根板Aの他端側フラット面3に形成した脚状リブ部嵌合用折曲縁、4´は前記他端側フラット面3に載架重合される屋根板下面支持縁重合縁(フラット延長部)である。
【0014】
5はタイトフレームであって、適宜間隔で略逆台形の凹部からなる脚状リブ部嵌合用凹部8を形成してなるものである。なお、前記脚状リブ部嵌合用凹部8の断面形状は、図5、図6に示す如く、略逆台形状に形成してあるがこれに限定されるものではない。7は屋根板Aの上面に形成される防水構造であって、詳細に図示しないが、アスファルト層からなるもの、合成ゴム、プラスチック等の防水シートからなるもの、または両者を併用したもの、さらに前記防水構造の下にウレタン、ポリエチレン、ロックウール材等の断熱材を設けたもの、あるいは設けないもの等、連結屋根の施工条件によって適宜選択されるものである。また、例えばセラミック系不燃板7a、耐熱・断熱性板7b、防水材7cを順次積層状に施設してなるものでも良い。
【0015】
なお、上記セラミック系不燃板7aとしては、例えば、けい酸カルシウム板、石膏ボード、木毛セメント板、グラスウール板、ロックウール板およびこれらの合成板等が使用可能であり、また耐熱・断熱性板7bとしては、例えばポリイソシアヌレート、フェノール等の合成樹脂系板および上記セラミック系不燃板7aと同質のものを含むものが使用可能であり、また防水材7cとしては、例えば塩化ビニール樹脂、その他の合成樹脂系防水シート、アスファルト防水シート、アルミ箔その他の金属系防水シート、ゴム、合成ゴム系防水シートの他、ステンレス防水板、鉛防水板、着色溶融亜鉛メッキ銅板等の金属系防水板等が使用可能であるがこれらは連結屋根の施工条件によって適宜選択使用されるものである。8は躯体(梁、母屋等)を示すものである。
【0016】
また、上記セラミック系不燃板7a、耐熱・断熱性板7b、防水材7cは屋根の大きさにより1枚敷き、あるいは複数枚敷きに構成することは任意であり、またその止着手段は、例えばビス、針等の止着材9、あるいは接着剤(図示せず)等による止着手段により一体に取付けられているものである。
【0017】
なお、施工に際し、上記各セラミック系不燃板7a、耐熱・断熱性板7bを止着材9により止着した後、加熱によりデスクの塩ビコートを溶融し、その上に塩化ビニール樹脂系防水シート7cを敷設して一体に取付けるようにしたものである。
なお、前記屋根板Aの脚状リブ部1の押拡底部2の断面形状は図8(a)、(b)に示すように三角形、四角形その他種々の形態のものでも用いることができる。
【0018】
次に作用について説明する。
施工に際しては、まず躯体8に、図6に示すように、タイトフレーム5の脚状リブ部嵌合用凹部6の下面部6aを溶接、ビスその他適宜の取付手段により取付けるとともに、前記タイトフレーム5の脚状リブ部嵌合用凹部6内に、前記屋根板Aの各脚状リブ部1を嵌合し、前記脚状リブ部1の押拡底部2を前記タイトフレーム5に、屋根板Aの上面に施工条件によって図1の(a)に示すような防水構造、または同図(b)に示すように、セラミック系不燃板7a、耐熱・断熱性板7b、防水材7cよりなる断熱・防水構造7を形成するものである。
【0019】
なお、上記施工に際し、前記屋根板Aの押拡底部2とタイトフレーム5の一体取付けを行わない場合もある。
【産業上の利用可能性】
【0020】
屋根に限定されることなく、壁等にも種々利用できものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)、(b)は本発明の連結屋根の施工状態の各例を示す正断面図である。
【図2】(a)、(b)は屋根板の各例を示す正面図である。
【図3】タイトフレームの一例を示す正面図である。
【図4】屋根板の一部拡大正面図である。
【図5】タイトフレームの一部拡大正面図である。
【図6】連結屋根板の上部に耐熱・断熱・防水構造を構成する以前の施工状態の一例を示す一部拡大正断面図である。
【図7】連結屋根板の上部に耐熱・断熱・防水構造を構成した施工状態の一例を示す一部拡大正断面図である。
【図8】(a)、(b)は脚状リブ部の他例を示す一部拡大正面図である。
【符号の説明】
【0022】
1・・・・脚状リブ部 1a・・・・垂直壁部
2・・・・押拡底部 3・・・・フラット面
4・・・・脚状リブ部嵌合用折曲縁 4´・・・・屋根板下面支持縁重合縁
5・・・・タイトフレーム 6・・・・脚状リブ部嵌合用凹部
7・・・・防水構造 7a・・・・セラミック系不燃
7b・・・・耐熱・断熱性板 7c・・・・防水板
8・・・・躯体(梁、母屋等) 9・・・・止着材
A・・・・屋根板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根板は適宜間隔で屋根板下面支持縁を有する脚状リブ部を形成し、脚状リブ部間は平坦にすると共に、他端部に脚状リブ部嵌合用折曲縁、または屋根板下面支持縁重合縁を形成し、前記脚状リブ部に前記折曲縁を嵌合し、または前記屋根板下面支持縁に前記屋根板下面支持縁重合縁を重合して屋根板を連結するようにした連結屋根部材を躯体に取り付けるためのタイトフレームとからなる連結屋根において、前記躯体に前記タイトフレームに形成した脚状リブ部嵌合用凹部下面を所要の取付手段にて取り付けると共に、前記脚状リブ部嵌合用凹部内に前記屋根板の脚状リブ部を嵌合し、かつ前記屋根板の各脚状リブ部間に、前記タイトフレームに形成した屋根板嵌合用凹・凸部を嵌合し一体に取り付け、前記平坦屋根板に断熱材を接着したことを特徴とする軽量・耐火連結屋根。
【請求項2】
請求項1に記載の軽量・耐火連結屋根において、前記屋根板のタイトフレーム嵌合用凹・凸部を断面略正・逆の台形状に形成したことを特徴とする軽量・耐火連結屋根。
【請求項3】
請求項1に記載の軽量・耐火連結屋根において、前記タイトフレームの屋根板嵌合用凹・凸部のうち、凸部を断面略台形状に形成したことを特徴とする軽量・耐火連結屋根。
【請求項4】
請求項1〜3のうち、いずれか1項に記載の軽量・耐火連結屋根において、前記タイトフレームの脚状リブ部嵌合用凹部を断面略逆台形状に形成したことを特徴とする軽量・耐火連結屋根。
【請求項5】
請求項1〜4のうち、いずれか1項に記載の軽量・耐火連結屋根において、屋根板の上面を防火構造に形成したことを特徴とする軽量・耐火連結屋根。
【請求項6】
請求項1〜5のうち、いずれか1項に記載の軽量・耐火連結屋根において、前記屋根板上にセラミック系不燃板、耐熱・断熱性板、防水材を順次積層状に敷設し、耐熱・防水構造としたことを特徴とする軽量・耐火連結屋根。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−120126(P2007−120126A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−313216(P2005−313216)
【出願日】平成17年10月27日(2005.10.27)
【出願人】(390008350)東邦シートフレーム株式会社 (11)
【Fターム(参考)】