説明

軽量粘土パテ

【課題】ポリエステル樹脂パテは厚塗りが難しく無理に厚塗りをすると収縮性が高くなり重量が重たくなる。
【解決手段】不飽和ポリエステル樹脂を100質量部とし、その不飽和ポリエステル樹脂に対し、1mm〜10mmにカットしたグラスファイバー(ガラス繊維)を1〜5質量部加え軽量粉末材としての中空ビーズも30〜70質量部加える。更に、硬化促進剤コバルトを1〜6質量部添加することによって主剤を形成するものとする。その主剤に対して使用時に用いるパーメックなどの硬化剤も主剤中に含まれる不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して1〜3質量部添加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は様々な分野で用いる事ができる。硬化速度の調整が可能で強度、耐水性、耐熱性、耐収縮性、接着性に優れた安価な軽量粘土パテ(仮名、以下省略)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来(A)軽量紙粘土という粘土がある。この軽量紙粘土は水性の接着剤に軽量粉末材(中空ビーズなど)や繊維材、着色料などの材料を適度に配合する事により、様々な用途に合わせた軽量で耐収縮性に富み、扱いやすい紙粘土としていた。又、(B)ポリエステル樹脂パテという製品がある。このポリエステル樹脂パテは従来自動車のボデーやFRP製品などの破損箇所を修復するにあたり不飽和ポリエステル樹脂(一般的添加剤スチレンモノマーなどを含む。以下省略)にタルクなどの増粘剤や少量の軽量材(中空ビーズなど)などを加えた製品であり補修剤として一般的に用いられている。
このポリエステル樹脂パテは、硬化促進剤や硬化剤の添加量により、水性の軽量紙粘土に比べ硬化速度を調整する事ができ接着性に優れていて硬化後は耐水性、耐熱性に優れ強度に優れている。
【0003】
しかし、(A)の従来の軽量紙粘土は軽量であり粘土状の為、大変扱いやすく耐収縮性に富んでいるが水性の接着剤を主成分としている為、硬化速度を調整することは不可能で他の素材に対する接着性も弱い、更に硬化後も粘土に強度を保たせる事は非常に難しい、その為ポリエステル樹脂パテの様に補修剤としての使用は不可能である。一方(B)の不飽和ポリエステル樹脂を主成分とするポリエステル樹脂パテは硬化速度を調整する事が可能で強度に優れ、他の素材(金属やプラスチックなど)に対する接着性にも優れてはいるが収縮率が高く無理に厚塗りをした場合、変形やひび割れと言う現象が起き、接着面が剥離するなどの欠点があった。更に殆どのパテは半液体の為、実際の作業において厚塗りがしづらく厚塗りした場合、重量が重いという欠点もあった。
【0004】
(B)のポリエステル樹脂パテの欠点を補い厚塗りを可能とする為にガラス繊維や、カーボン繊維などを添加したファイバーパテという特殊なパテも製造されている。しかし、このパテも従来のポリエステル樹脂パテ同様、重量が重いという欠点がある。さらに、最近は様々な用途の補修や整形剤としてエポキシ系の軽量パテや粘土も販売されるようになったが高価であると言う問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許公開平11−61036
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】かるい紙ねんど かるがる バジコ社製
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、(A)の軽量紙粘土は硬化速度の調整が出来ず、硬化後の強度、耐水性、耐熱性、他の素材に対する接着性が悪い為パテとしての使用が不可能な点と(B)のポリエステル樹脂パテの厚塗り時に収縮性が高過ぎる点と厚塗りが難しく重量が重過ぎる点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、不飽和ポリエステル樹脂を100質量部とし、その不飽和ポリエステル樹脂に対し、1mm〜10mmにカットしたグラスファイバー(ガラス繊維)を1〜5質量部加え軽量粉末材としての中空ビーズも30〜70質量部加える。更に、硬化促進剤コバルトを1〜6質量部添加することによって主剤を形成するものとする。その主剤に対して使用時に用いるパーメックなどの硬化剤も主剤中に含まれる不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して1〜3質量部添加させる事により硬化速度の調整が可能であり軽量で扱いやすく強度、耐収縮性、耐水性、耐熱性、接着性に優れた安価な粘土状のパテとするものである。
【発明の効果】
【0009】
以上の如く本発明は、従来のポリエステル樹脂パテ同様に硬化速度が調整可能で強度に優れ耐水性、耐熱性、接着性に優れた特長に加え、軽量紙粘土と同様の軽量性に優れ耐収縮性があり安価な軽量粘土パテとする事を可能としたのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に使用する不飽和ポリエステル樹脂は摂氏25℃にて粘度数10dPa・s〜15dPa・sである事が現時点での最適と考える。その軽量粘土パテを自動車のボデー修理やFRP製品の修理などに実際に用いる場合その接着面に対し、本発明で使用する不飽和ポリエステル樹脂を用いて製造したプライマーを前もって塗布するなら更に接着性を高める事が可能である。プライマーの配合は不飽和ポリエステル樹脂100質量部を基準とし、その樹脂に対して硬化促進剤であるコバルトを1〜6質量部添加したものにパーメックなどの硬化剤を1〜3質量部の範囲で添加することによってなるものとする。
【実施例】
【0011】
(イ)本発明に使用する不飽和ポリエステル樹脂は摂氏25℃にて粘度数10dPa・s〜15dPa・sという高粘度の樹脂で有ることが条件となる。それ以下の粘度であれば不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して軽量材である中空バルーンを30〜70質量部加えた場合、粘土パテとしての一定の粘度を保つ事が出来ない為、大変扱いづらく接着性に乏しいものとなる。しかし、もし粘度数16dPa・s以上の高粘度の不飽和ポリエステル樹脂の製造が可能であれば不飽和ポリエステル樹脂100質量部を基準として中空バルーンの添加量を70質量部以上とする事が可能である為、更に耐収縮性に富み軽量で扱いやすく接着性に富む軽量粘土パテとすることが可能となる。つまり軽量粘土パテをいかに耐収縮性に富み軽量で扱いやすく接着性の良い製品とするかは、不飽和ポリエステル樹脂の粘度数をいかに高くするかという点に依存していると言える。その様な点から、この軽量粘土パテに使用する不飽和ポリエステル樹脂は粘度数が高く硬化後は高強度で、耐水性、耐熱性、接着性に優れるという条件を満たすならば、いかなるタイプの不飽和ポリエステル樹脂であっても良いものである。
【0012】
(ロ)更に不飽和ポリエステル樹脂同様の粘度を有し硬化速度の調整や耐水性、耐熱性、接着性に優れた熱硬化性の樹脂であれば本発明同様の効果を得る事が可能である為、如何なる樹脂を用いても良いものとする。
【0013】
(ハ)この軽量粘土パテの主剤に添加する繊維材はガラス繊維としているが、添加理由は粘土として扱いやすくする為の繋ぎであり硬化後の製品の強度を増す為でもある。その為、同様の効果が得られるものであればカーボン繊維や、天然パルプ、その他のいかなる繊維素材でも良いものとする。
【0014】
(ニ)更に軽量粘土パテの主剤に添加する軽量素材は中空ビーズとしているが、この中空ビーズは粒径35μmから80μmで比重が0.2から0.7の硝子を原材料とした中空の球体を意味している。この中空ビーズは主剤の不飽和ポリエステル樹脂を軽量にし収縮性を軽減させ尚且つ硬化時の発熱に耐える事が可能な素材である。その為同様の効果の得られる素材であれば他の如何なる軽量素材でも良いものとする。
【0015】
(ホ)本発明においては、必要に応じて着色料などを加えて、着色する事も可能である。その場合、着色料の種類は不飽和ポリエステル樹脂に添加可能であり硬化時の発熱において発火や変色しない素材であればいかなる物でも可能なものとする。又、着色料はパーメックなどの硬化剤に添加する事も可能である。その場合、主剤と硬化剤の攪拌不良などの確認とする事も出来るので更に有効であるといえる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の軽量粘土パテの使用分野は大変広く、自動車板金における厚付け用パテとして、又FRP製品の補修や成型材として、更には一般粘土として又、建築資材等の補修材などなどアイデア次第で色々な分野での使用が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和ポリエステル樹脂を100質量部とし、その不飽和ポリエステル樹脂に対し、1mm〜10mmにカットしたグラスファイバー(ガラス繊維)を1〜5質量部加え軽量粉末材としての中空ビーズも30〜70質量部加える。更に、硬化促進剤コバルトを1〜6質量部添加することによって主剤を形成するものとする。その主剤に対して使用時に用いるパーメックなどの硬化剤も主剤中に含まれる不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して1〜3質量部添加させることによって軽量で扱いやすく強度、耐収縮性、耐水性、耐熱性、接着性に優れた安価な粘土状のポリエステル樹脂パテ。

【公開番号】特開2011−46821(P2011−46821A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196150(P2009−196150)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(300071616)
【Fターム(参考)】