説明

輝度ムラ修正用補正データの作成方法及びその作成装置

【課題】点欠陥の影響を排除した輝度ムラ修正用補正データの作成方法等の提供。
【解決手段】本発明の作成方法は、輝度ムラ撮像データを取得する輝度ムラ撮像データ取得工程(S4及びS5)、輝度ムラ撮像データに基づいて各画素位置と各輝度値とを対応させた輝度データを生成する輝度データ生成工程(S6)、輝度データに基づいて各画素の中から特定された最も輝度の低い低輝度画素の輝度値に近付けるように、その他の各画素の輝度値を調整する補正データを、輝度データに基づいて生成する補正データ生成工程(S8)、点欠陥撮像データを取得する点欠陥撮像データ取得工程(S1及びS2)、点欠陥撮像データに基づいて点欠陥画素の位置データを生成する点欠陥位置データ生成工程(S3)を有する。前記補正データ生成工程において、補正データを生成する前に輝度データの中から位置データを利用して点欠陥画素の輝度データを除く(S7)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルに画像を表示させる駆動信号の輝度ムラ修正用補正データの作成方法、及びその作成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータ、テレビ等の表示装置として、液晶モジュールを利用した液晶表示装置が知られている。この液晶モジュールは、表示部としての液晶表示パネルと、この液晶表示パネルの背面側に配置されるバックライト装置とからなり、近年、表示装置として広く用いられている。
【0003】
液晶モジュールに使用される液晶表示パネルは、液晶層を一対の基板で挟んだものからなる。一般的には、一方の基板が薄膜トランジスタ(TFT)アレイ基板からなり、他方の基板がカラーフィルタ(CF)基板からなる。TFTアレイ基板は、その表面にマトリックス状に形成された複数個の画素電極を有し、CF基板は、その表面に略全面的に形成された共通電極を有する。これらの電極間に印加する電圧を調整することによって、液晶の配向制御を行っている。この液晶の配向制御は、制御装置からの駆動信号に基づき、画素毎で行われる。
【0004】
液晶表示パネルは、それ自身は光を発しないため、背面側に配置させたバックライト装置からの光を利用する。バックライト装置は、光源としての冷陰極管、白色発光ダイオード等を有し、液晶表示パネルの背面へ向けて光を照射する。
【0005】
液晶表示パネルは、バックライト装置からの光を利用し、かつ上記のように液晶の配向制御を行うことによって、液晶表示パネルを通過する光を調整し、画像を形成している。
【0006】
このような液晶モジュールにおいて、その液晶表示パネルの表示面の明るさ(輝度)が、不均一となり、輝度ムラが生じることがある。これは、液晶表示パネルの表示面に、液晶モジュール(液晶表示パネル)に対して指示された駆動信号に基づく輝度値と、実際に表示面に表示された画像の輝度値とが異なるために起こる。このような輝度ムラが生じる原因としては、液晶表示パネルの基板間の距離(所謂、セルギャップ)が不均一な場合、バックライト装置の光源にムラがある場合等が挙げられる。
【0007】
何れの場合においても、液晶モジュールの輝度ムラを修正するために、液晶表示パネルに入力される駆動信号を補正し、その補正された駆動信号に基づいて各画素における印加電圧を調整し、各画素における輝度値を調整している。この駆動信号の補正に使用される補正データは、例えば、検査用の駆動信号に従って液晶表示パネルに表示させた検査画像をCDDカメラ等で撮像して得られる撮像データを利用して生成される。この撮像データからは、液晶表示パネルの各画素の位置情報に対応した輝度情報(輝度値)が得られる。更に、この撮像データから、最も輝度値が高い画素、最も輝度値が低い画素等も特定できる。
【0008】
液晶モジュール(液晶表示パネル)の輝度ムラの修正は、一般的に、最も輝度値が低い画素の輝度値に合わせるように、その他の画素の輝度値を調整するような補正データを用いて行われている。
【0009】
尚、本発明に関連する先行技術文献としては下記特許文献が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−366109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、液晶表示パネルの表示不良として上記輝度ムラの他に、点欠陥と呼ばれるものがある。この点欠陥は、R(赤色)画素、G(緑色)画素及びB(青色)画素という単色画素単位で発生する表示不良であり、画素が黒点化又は輝点化したものである。この点欠陥は、例えば、液晶表示パネルのTFTアレイ基板のTFT不良、液晶表示パネルの基板間に混入した異物等によって生じる。
【0012】
このような点欠陥の輝度値は、その他の正常な画素における輝度値と比べて大きく異なっている。黒点の場合は極端に輝度値が低く、輝点の場合は極端に輝度が高くなっている。
【0013】
例えば、液晶表示パネルの表示面に黒点がある場合、この黒点も含めて、上記補正データを用いた液晶表示パネルの輝度ムラ修正を行うと、極端に輝度値が低くなっている画素(黒点)の輝度値に、周囲の画素の輝度値を合わせることになる。このようにして輝度ムラ修正が行われると、表示画像が全体として暗くなってしまい、問題となっている。
【0014】
また、輝度ムラの修正に用いる撮像データは、処理速度を上げる等の理由により、R画素等の単色画素を単位画素とするものではなく、例えば、R画素、G画素及びB画素からなる画素(絵素)の2つ分を単位画素とすることが行われている。そのため分解能が低下し、この輝度ムラ修正に用いる撮像データから、点欠陥を判別することができず、問題となっている。
【0015】
本発明の目的は、点欠陥の影響を排除した輝度ムラ修正用補正データの作成方法、及びその作成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
<1> 各画素の輝度値を指示して液晶表示パネルに画像を表示させる駆動信号を補正し、該液晶表示パネルの輝度ムラを修正する輝度ムラ修正用補正データの作成方法であって、
輝度ムラ検査用駆動信号に基づいて前記液晶表示パネルに表示させた輝度ムラ検査画像を撮像装置により撮像し、輝度ムラ撮像データを取得する輝度ムラ撮像データ取得工程と、
前記輝度ムラ撮像データに基づいて各画素位置と各輝度値とを対応させた輝度データを生成する輝度データ生成工程と、
前記輝度データに基づいて各画素の中から特定された最も輝度の低い低輝度画素の輝度値に近付けるように、その他の各画素の輝度値を調整する補正データを、前記輝度データに基づいて生成する補正データ生成工程と、を有し、
更に、
点欠陥検査用駆動信号に基づいて前記液晶表示パネルに表示させた点欠陥検査画像を撮像装置により撮像し、点欠陥撮像データを取得する点欠陥撮像データ取得工程と、
前記点欠陥撮像データに基づいて点欠陥画素の位置データを生成する点欠陥位置データ生成工程と、を有し、
前記補正データ生成工程において、前記補正データを生成する前に、前記輝度データの中から、前記位置データを利用して点欠陥画素の輝度データを除くことを特徴とする輝度ムラ修正用補正データの作成方法。
<2> 前記補正データ生成工程において、除いた点欠陥画素の輝度データに代えて、他の画素の輝度データを転用する前記<1>に記載の輝度ムラ修正用補正データの作成方法。
<3> 他の画素が、除いた点欠陥画素と隣接する画素である前記<2>に記載の輝度ムラ修正用補正データの作成方法。
<4> 前記輝度ムラ撮像データの単位画素が、前記点欠陥撮像データの単位画素よりも大きい前記<1>〜<3>の何れか1つに記載の輝度ムラ修正用補正データの作成方法。
<5> 各画素の輝度値を指示して液晶表示パネルに画像を表示させる駆動信号を補正し、該液晶表示パネルの輝度ムラを修正する輝度ムラ修正用補正データの作成装置であって、
液晶表示パネルに表示された画像を撮像し、撮像データを取得する撮像装置と、
前記液晶表示パネルに対して点欠陥検査画像を表示させる点欠陥検査用駆動信号を出力し、前記液晶表示パネルに対して輝度ムラ検査画像を表示させる輝度ムラ検査用駆動信号を出力する信号制御モジュールと、
前記撮像装置に対して前記点欠陥検査画像を撮像するように指示し、点欠陥撮像データを取得させ、かつ、前記撮像装置に対して前記輝度ムラ検査画像を撮像するように指示し、輝度ムラ撮像データを取得させる撮像制御モジュールと、
前記点欠陥撮像データに基づいて点欠陥画素の位置データを生成する点欠陥位置データ生成部と、
前記輝度ムラ撮像データに基づいて各画素位置と各輝度値とを対応させた輝度データを生成する輝度データ生成部と、前記輝度データに基づいて各画素の中から最も輝度の低い低輝度画素を特定する低輝度画素特定部と、前記低輝度画素の輝度に近付けるように、その他の各画素の輝度値を調整する前記補正データを作成する補正データ作成部と、を含む補正データ生成モジュールと、を有する制御装置と、を備え、
前記補正データ生成モジュールが、前記補正データを生成する前に、前記位置データを利用して点欠陥画素の輝度データを前記輝度データから除く輝度データ修正部を有することを特徴とする輝度ムラ修正用補正データの作成装置。
<6> 前記輝度データ修正部が、除いた点欠陥画素の輝度データに代えて、該点欠陥画素と隣接する画素の輝度データを転用する前記<5>に記載の輝度ムラ修正用補正データの製造装置。
<7> 前記輝度ムラ撮像データの単位画素が、前記点欠陥撮像データの単位画素よりも大きい前記<1>〜<3>の何れか1つに記載の輝度ムラ修正用補正データの作成装置。
<8> 前記<1>〜<4>の何れか1つに記載の輝度ムラ修正用補正データの作成方法、又は前記<5>〜<7>の何れか1つに記載の輝度ムラ修正用補正データの作成装置を使用して作成された輝度ムラ修正用補正データを含む液晶表示装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明の輝度ムラ修正用補正データの作成方法及びその作成装置によれば、点欠陥の影響を排除した輝度ムラ修正用補正データを作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態に係る輝度ムラ修正用補正データの作成装置を模式的に表した説明図である。
【図2】一実施形態に係る輝度ムラ修正用補正データの作成方法の内容を説明するフローチャート図である。
【図3】G単色表示画像を表示する液晶表示パネルの一部を模式的に示した説明図である。
【図4】グレーベタ画像を表示する液晶表示パネルの一部を模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1〜図4を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る輝度ムラ修正用補正データの作成装置、及びその作成方法を説明する。
【0020】
〔輝度ムラ修正用補正データの作成装置〕
図1は、一実施形態に係る輝度ムラ修正用補正データの作成装置を模式的に表した説明図である。図1に示されるように、作成装置1は、制御装置2と、検査対象の液晶表示パネル20に対して撮像動作を行う撮像装置3とを備える。
なお、検査対象である液晶表示パネル20の背面側には、液晶表示パネル20の所定の照明光を照射するバックライト装置21が備えられている。液晶表示パネル20は、バックライト装置21と共に液晶モジュール22を構成している。
【0021】
更に、作成装置1において、モニタ4が制御装置2に接続されており、撮像装置3の撮像結果がモニタ4に表示されるように構成されている。また、作成装置1では、例えばモニタ4に付与されたタッチパネル機能を利用して、作業者からの操作指示が入力可能になっている。このタッチパネル機能を利用して、各工程の開始や停止等の作業者の指示が入力され、入力された指示に従って、液晶表示パネル20の輝度ムラ修正用補正データの作成方法の各工程が行われる。
【0022】
制御装置2にはマイクロコンピュータが使用されており、制御装置2は作成装置1の各部の駆動制御を行うように構成されている。また、制御装置2は、液晶表示パネル20に接続可能に構成されており、液晶表示パネル20の駆動制御を行いつつ、点欠陥検査及び輝度ムラ検査を行えるようになっている。
したがって、制御装置2は、液晶表示パネル20に対して点欠陥検査用の駆動信号を出力することにより、点欠陥検査用の画像である点欠陥検査画像を表示させて点欠陥検査を行うことができ、更に、液晶表示パネル20に対して輝度ムラ検査用の駆動信号を出力することにより、輝度ムラ検査用の画像である輝度ムラ検査画像を表示させて輝度ムラ検査を行うことができる。また、各検査結果を利用して画素単位に補正データを生成可能にしている。
【0023】
制御装置2は、マイクロコンピュータのCPUやMPU等に機能的に設けられた撮像制御モジュール5、信号制御モジュール6、バックライト装置制御部7、位置データ生成部8、補正データ生成モジュール9及びデータ入出力部10を備えている。
【0024】
また、制御装置2には、マイクロコンピュータのメモリ等を用いて構成されたデータ記憶部11が備えられており、このデータ記憶部11に制御装置2の各部を機能させるための各種プログラムが保存されている。このデータ記憶部11は、撮像結果(点欠陥撮像データ及び輝度ムラ撮像データ)等の作成装置1の各部からのデータや外部からのデータを適宜保存することが可能になっている。
【0025】
撮像装置3は、例えばCCDカメラからなり、撮像制御モジュール5からの指示信号に従って、撮像動作を実施するように構成されている。この撮像装置3によって、画像が表示された液晶表示パネル20の複数の全ての各画素に対して撮像動作を行って撮像データを画素単位で取得できるようになっている。撮像装置3として使用されるCCDカメラには、複数の撮像素子としてのCCD(Charge Coupled Device)を平面状に配置した二次元センサが用いられる。CCDカメラは、例えば縦横に計100万個のCCDが配設されており、液晶表示パネル20がこれらのCCDによって平面的に撮像され、CCD毎に輝度値を取得されるようになっている。
【0026】
撮像制御モジュール5には、点欠陥検査用撮像制御部15と、輝度ムラ検査用撮像制御部26とが設けられている。点欠陥検査用撮像制御部15は、点欠陥検査時において、撮像装置3に対し、液晶表示パネル20に表示された点欠陥検査画像を撮像するように指示信号を出力する。輝度ムラ検査用撮像制御部26は、輝度ムラ検査時において、撮像装置3に対し、液晶表示パネルに表示された輝度ムラ検査画像を撮像するように指示信号を出力する。
【0027】
バックライト装置21は、光源として白色LED、冷陰極管等を利用するものであり、液晶表示パネル20の背面に向けて光を照射する。
【0028】
バックライト装置制御部7は、例えばシステムサーバ等の外部機器から予め取得された製品用のバックライト情報に基づいて指示信号を生成し、バックライト装置21に出力する。
【0029】
信号制御部6は、液晶表示パネル20に対して、検査用の駆動信号を出力して、その検査用の駆動信号によって指示される輝度値で液晶表示パネル20を画素単位で表示させる。具体的には、検査用の駆動信号には、液晶表示パネル20の画素単位に設けられたアクティブ素子としての複数の各TFT(薄膜トランジスタ)のゲート及びソースに出力される指示信号が含まれている。つまり、検査用の駆動信号には、各TFTのゲートに出力されて、そのゲートをオン・オフ動作させるためのゲートパルス信号と、各TFTのソースに出力されると共に、対応する画素において、検査用の所定画像を表示するための画像(映像)信号に応じた電圧信号とが含まれている。そして、信号制御部6は、ゲートパルス信号により、ゲートをオン状態にして液晶表示パネル20を画素単位で駆動する。更に、信号制御部6は、ソースへの信号電圧を決定することによって、このソースに供給される電圧(ソース電圧)を定めて、対応する画素に対して、検査用の所定画像での輝度値を指示する。
【0030】
この信号制御部6には、点欠陥検査用信号制御部16と、輝度ムラ検査用信号制御部26とが設けられている。点欠陥検査用信号制御部16は、液晶表示パネル20に対して、点欠陥検査用の駆動信号を出力して、その点欠陥検査用の駆動信号によって指示される輝度値で液晶表示パネル20に画像(点灯欠陥検査画像)を表示させる。
【0031】
点欠陥検査では、点欠陥検査用信号制御部16が、液晶表示パネル20に対し、例えば、白表示画像(所謂、白ベタ)、黒表示画像(所謂、黒ベタ)、R単色表示画像(所謂、赤色ベタ)、G単色表示画像(所謂、緑色ベタ)、B単色表示画像(所謂、青色ベタ)等からなる点灯欠陥検査画像を表示させるための駆動信号を出力する。
例えば、点欠陥のうち、G画素の輝度が低いものを検出する場合、液晶表示パネル20にG単色表示画像を表示させる。R画素及びB画素の輝度が低いものを検出する場合は、それぞれR単色表示画像及びB単色表示画像を表示させる。また、輝度の高い点欠陥(輝点)を検出する場合は、液晶表示パネル20に黒表示画像を表示させる。
【0032】
輝度ムラ検査用信号制御部26は、液晶表示パネル20に対して、輝度ムラ検査用の駆動信号を出力して、その輝度ムラ検査用の駆動信号によって指示される輝度値で液晶表示パネル20に画像(輝度ムラ検査画像)を表示させる。
【0033】
輝度ムラ検査では、輝度ムラ検査用信号制御部26が、液晶表示パネル20に対し、各階調の表示画像(所謂、グレーベタ)からなる輝度ムラ検査画像を表示させるための駆動信号を出力する。
【0034】
位置データ生成部8は、撮像装置3により撮像され取得された点欠陥撮像データに基づいて点欠陥を含む画素(点欠陥画素)の位置データ(所謂、点欠陥マッピングデータ)を生成するように構成されている。位置データ生成部8は、例えば、G単色表示画像を撮像して取得された点欠陥撮像データに基づいて、輝度の低いG画素に関する位置データを生成する。この位置データによれば、液晶表示パネル20の何れの位置の画素が点欠陥を有しているのかを特定できる。
【0035】
補正データ生成モジュール9には、輝度データ生成部19、低輝度画素特定部29、輝度データ修正部39、及び補正データ生成部49が設けられている。補正データ生成モジュール9は、輝度ムラ検査用信号制御部26から液晶表示パネル20に対し、撮像装置3により撮像され取得された輝度ムラ撮像データと、前記点欠陥撮像データとを用いて、液晶表示パネル20を駆動させる駆動信号の補正データを画素単位に生成するように構成されている。
【0036】
輝度データ生成部19は、撮像装置3により撮像され取得された輝度ムラ撮像データに基づいて各画素位置と各輝度値とを対応させた輝度データを生成する。なお、輝度ムラ撮像データに基づく輝度値は、輝度ムラ検査用の駆動信号によって指示された輝度値と比較可能に変換されたものからなる。
【0037】
低輝度画素特定部29は、前記輝度データに基づいて液晶表示パネル20の各画素の中から最も輝度の低い低輝度画素を特性する。なお輝度データとしては、後述する輝度データ修正部39により修正された輝度データを使用する。
【0038】
輝度データ修正部39は、補正データを生成する前に、前記位置データを利用して、前記輝度データに含まれる点欠陥画素の輝度データを修正する。具体的には、輝度データ修正部39は、前記位置データを利用して前記輝度データに含まれる点欠陥画素の位置を特定し、その点欠陥画素の輝度データを除く。更に、輝度データ修正部39は、除いた点欠陥画素の輝度データの代わりのデータとして、他の画素の輝度データを用いる。輝度データを代用する画素としては、例えば、除いた点欠陥画素に隣接する画素であり、かつ点欠陥でない画素等が挙げられる。
【0039】
補正データ生成部49は、前記低輝度画素特定部29により特定された低輝度画素の輝度値に近付けるように、その他の各画素の輝度値を調整する補正データを、輝度データ修正部39により修正された輝度データに基づいて生成する。
【0040】
ここで、補正データ生成モジュール6で補正データを生成する方法をより具体的に説明する。補正データは、液晶表示パネル20の輝度値を画素単位で測定することによって作成される。例えば、1024(横方向(x方向)とする)×720(縦方向(y方向)とする)画素で構成される液晶表示パネルであれば、液晶表示パネルの左上端部の画素の座標を(1,1)として、各画素の位置は(x,y)(xは1〜1024の整数、yは1〜720の整数)で決定できる。
【0041】
そのため、輝度データ生成部19では、撮像装置3により取得された輝度ムラ撮像データに基づいて、各画素位置(x,y)に対する輝度値のデータ(輝度データ)が得られる。
【0042】
また、位置データ生成部8では、撮像装置3により取得された点欠陥撮像データに基づいて、各画素位置(x,y)における点欠陥の有無についてのデータ(位置データ)が得られる。
【0043】
輝度データ修正部39では、前記位置データに基づいて、前記輝度データに含まれる点欠陥画素を特定し、その点欠陥画素の輝度データを、点欠陥ではない他の画素の輝度データで代用させる。例えば、画素位置(3,3)が点欠陥画素である場合、その画素位置(3,3)の輝度値として、その点欠陥画素に隣接する画素位置(3,4)の画素の輝度値が代用される。
【0044】
低輝度画素特定部29では、輝度データ修正部39で修正された輝度データを用いて最も輝度値の低い低輝度画素が特定される。
【0045】
補正データ生成部49では、画素毎に閾値(上限値)が決定される。この閾値は、低輝度画素特定部29で特定された低輝度画素の輝度値に基づいて定められる。ここで、低輝度画素の輝度値をXnとし、任意の画素の輝度値をXmとし、各画素が取り得る最大階調値をYとすると、任意の画素の閾値Mは、下記式(1)で決定される。
M=(Xn/Xm)(1/γ)×Y ・・・・・ (1)
【0046】
なお式(1)中のγは液晶表示パネルの階調輝度特性を示すγ値である。また、各画素が取り得る最大階調値Yとは、例えば、8ビット信号の場合は255(256)、6ビット信号の場合は63(64)となる。
【0047】
例えば、8ビット信号の場合では、最も輝度値の高い画素の輝度値(相対輝度)が1で、最も輝度値の低い画素の輝度値(相対輝度)を0.9とすると、最も輝度値の低い画素の閾値は255となる。他方、最も輝度値の高い画素の閾値は、γ=2.2の場合、上記(1)式より、M=242となる。
【0048】
このように閾値が画素毎に決定されるため、補正データは、画素位置(x,y)と該画素の閾値とが対応付けられて作成される。作成された補正データは、後述する外部記憶装置12等の記憶装置に転送される。補正データとしては、画素位置(x,y)と該画素の閾値とが対応付けられたルックアップテーブル(LUT)であることが好ましい。
【0049】
なお、液晶表示パネル20の駆動信号が指示する各画素の輝度値が、補正データの各画素に対応する輝度値の閾値を超える場合には、その超えた輝度値は対応する閾値に補正される。
【0050】
データ入出力部10は、インターフェース機能を有しており、制御装置2とシステムサーバ等の外部機器との間でデータのやりとりを行う。また、データ入出力部10は、液晶表示パネル20側の記憶部としての外部記憶装置12に対して、補正データ生成モジュール6が生成した駆動信号の補正データを書き込むデータ出力部を構成している。このように、作成装置1では、データ入出力部10が補正データを外部記憶装置12に対して出力して保存させるので、液晶表示パネル20での表示動作に補正データを反映させることができる。
【0051】
〔輝度ムラ修正用補正データの作成方法〕
次いで、上述した輝度ムラ修正用補正データの作成装置1を用いた液晶表示パネル20の輝度ムラ修正用補正データの作成方法について説明する。
【0052】
本実施形態の輝度ムラ修正用補正データの作成方法は、点欠陥撮像データ取得工程、点欠陥位置データ生成工程、輝度ムラ撮像データ取得工程、輝度データ生成工程、及び補正データ生成工程を有する。
【0053】
図2は、一実施形態に係る輝度ムラ修正用補正データの作成方法の内容を説明するフローチャート図である。図2に示されるステップS1及びS2は点欠陥撮像データ取得工程に対応し、ステップS3は点欠陥位置データ生成工程に対応し、ステップS4及びS5は輝度ムラ撮像データ取得工程に対応し、ステップS6は輝度データ生成工程に対応し、ステップS7及びS8は補正データ生成工程に対応する。
【0054】
<点欠陥撮像データ取得工程>
点欠陥撮像データ取得工程は、輝度ムラ検査用駆動信号に基づいて前記液晶表示パネル20に表示させた輝度ムラ検査画像を撮像装置3により撮像し、輝度ムラ撮像データを取得する工程である。
この工程では、先ず、信号制御モジュール6の点欠陥検査用信号制御部16より、液晶表示パネル20に対して点欠陥検査用駆動信号が出力され、液晶表示パネル20に点欠陥検査画像を表示させる(ステップS1)。ここでの点欠陥検査用駆動信号は、液晶表示パネル20にG単色表示画像を表示させるものとする。
【0055】
図3は、G単色表示画像を表示する液晶表示パネル20の一部を模式的に示した説明図である。図3には、R画素、G画素及びB画素からなる画素(絵素)が縦3列及び横8列に配置した液晶表示パネル20の一部分が示されている。ここで、図3における各画素(絵素)位置を(x,y)(xは1〜8の整数、yは1〜3の整数)で表す。図3には、画素位置(3,2)及び(4,2)の各G画素が、輝度が低く、黒点化している様子が示されている。
【0056】
図2のステップS1の後、点欠陥検査用撮像制御部15により指示された撮像装置3が、液晶表示パネル20に表示されたG単色表示画像(点欠陥検査画像)を撮像し、点欠陥撮像データを取得する(ステップS2参照)。取得された点欠陥撮像データはデータ記憶部11に保存される。なお、本実施形態では、この点欠陥撮像データをモニタ4で確認できるように構成されている。
【0057】
<点欠陥位置データ生成工程>
点欠陥位置データ生成工程は、前記点欠陥撮像データに基づいて点欠陥画素の位置データを生成する工程である。
この工程は、点欠陥位置データ生成部8が実行し、データ記憶部11に保存された点欠陥撮像データに基づいて各画素位置(x,y)における点欠陥の有無についてのデータ(位置データ)を作成する。図3に示されるように、本実施形態の液晶表示パネル20は、画素位置(3,2)及び(4,2)の各G画素が、輝度が低く、黒点化している。したがって、この工程では、画素位置(3,2)及び(4,2)の画素が点欠陥を有する情報を示す位置データが生成される(ステップS3参照)。生成された位置データはデータ記憶部11に保存される。なおこの位置データは、1つの画素(絵素)を単位画素として処理されるものである。
【0058】
<輝度ムラ撮像データ取得工程>
輝度ムラ撮像データ取得工程は、輝度ムラ検査用駆動信号に基づいて前記液晶表示パネル20に表示させた輝度ムラ検査画像を撮像装置3により撮像し、輝度ムラ撮像データを取得する工程である。
この工程では、先ず制御信号モジュール6の輝度ムラ検査用信号制御部26より、液晶表示パネル20に対して輝度ムラ検査用駆動信号が出力され、液晶表示パネル20に輝度ムラ画像を表示させる(ステップS4)。ここでの点欠陥検査用駆動信号は、液晶表示パネル20にグレーベタ画像を表示させるものとする。
【0059】
図4は、グレーベタ画像を表示する液晶表示パネル20の一部を模式的に示した説明図である。なお図4に示される液晶表示パネル20は、図3に示される液晶表示パネル20と同じ個所である。図4には、画素位置(7,1)及び(8,1)における画素と、画素位置(3,2)及び(4,2)における画素が、他の画素よりも輝度が低くなっている様子が示されている。
【0060】
図2のステップS4の後、輝度ムラ検査用撮像制御部25により指示された撮像装置3が、液晶表示パネル20に表示されたグレーベタ画像(輝度ムラ検査画像)を撮像し、輝度ムラ撮像データを取得する(ステップS5参照)。取得された輝度ムラ撮像データはデータ記憶部11に保存される。なお、本実施形態では、この輝度ムラ撮像データをモニタ4で確認できるように構成されている。
【0061】
<輝度データ生成工程>
輝度データ生成工程は、前記輝度ムラ撮像データに基づいて各画素位置と各輝度値とを対応させた輝度データを生成する工程である。
この工程は、補正データ生成モジュール0の輝度データ生成部10が実行し、
データ記憶部11に保存された輝度ムラ撮像データに基づいて各画素位置(x,y)における輝度値についてのデータ(輝度データ)を作成する。この工程では、各画素位置(x,y)(x=1〜8,y=1〜3)と各輝度値とを対応させた輝度データが生成される(ステップS6参照)。なおこの輝度データは、2つの画素(絵素)を単位画素として処理されるものである。
【0062】
<補正データ生成工程>
補正データ生成工程は、前記輝度データに基づいて各画素の中から特定された最も輝度の低い低輝度画素の輝度値に近付けるように、その他の各画素の輝度値を調整する補正データを、前記輝度データに基づいて生成する工程であり、前記輝度データとして、前記位置データを利用して点欠陥画素の輝度データを除く修正を行った修正輝度データを用いるものである。
この工程は、補正データ生成モジュール9の低輝度画素特定部29、輝度データ修正部39及び補正データ生成部49において実行される。
【0063】
先ず、輝度データ修正部39が、輝度データ生成部19により生成された輝度データから、点欠陥を含む画素(点欠陥画素)の輝度データを除く修正を行う。この修正には、前記位置データが利用される(ステップS7参照)。
図4に示されるように、画素位置(7,1)及び(8,1)における画素と、画素位置(3,2)及び(4,2)における画素が、他の画素よりも輝度が低くなっている。これらのうち、画素位置(3,2)及び(4,2)の輝度が低くなっている原因は、図3に示されるように各G画素が黒点化しているからである。輝度データ修正部39では、位置データ(点欠陥マッピングデータ)を利用して、点欠陥を含む画素を排除する。なお、本実施形態において、点欠陥画素の特定に前記位置データを使用する理由は、輝度データは、処理効率を上げるため、複数(2つ)の画素(絵素)を単位画素としているため、分解能が前記位置データよりも低くなっており、点欠陥を判別出来ない場合があるからである。
【0064】
更に、輝度データ修正部39は、除いた画素位置(3,2)及び(4,2)における各画素の輝度データの代わりに、各画素位置に隣接する画素位置(3,3)及び(4,3)における輝度データを用いて、輝度データ生成部19により生成された輝度データの修正を行う。
【0065】
次いで、低輝度画素特定部29が前記修正された輝度データを用いて各画素の中から最も輝度の低い低輝度画素を特定する。この場合、画素位置(7,1)及び(8,1)における画素が低輝度画素となる。
【0066】
次いで、補正データ生成部49が、画素位置(7,1)及び(8,1)の低輝度画素における輝度値に近付けるように、その他の各画素の輝度値を下げる内容の補正データを、前記修正された輝度データを用いて作成する(ステップS8参照)。このように、修正された輝度データを用いることによって、作成される補正データの作成の際に、輝度値が周囲の画素と比べて極端に低下した点欠陥(黒点)を含む画素位置(3,2)及び(4,2)の各画素の輝度値が基準となることが抑制される。
【0067】
このようにして作成された補正データは、液晶表示パネル20に画像を表示させる駆動信号を補正するために用いられる。この補正データを含む液晶表示装置は、この補正データを用いて輝度ムラが修正される。
【0068】
以上、本発明の一実施形態に係る輝度ムラ修正用補正データの作成装置及びその作成方法について説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものでない。
【0069】
なお、他の実施形態においては、液晶表示パネルとして、バックライト装置と分離した、組み立て前のものを用いてもよい。その場合、本発明の輝度ムラ修正方法を実施するためには、液晶表示パネルに背面から光を照射する検査用バックライト装置が必要となる。
【0070】
他の実施形態においては、撮像装置として、点欠陥検査用の撮像装置と、輝度ムラ検査用の撮像装置とをそれぞれ用意してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 輝度ムラ修正用補正データ作成装置
2 制御装置
3 撮像装置
4 モニタ
5 撮像制御モジュール
15 点欠陥検査用撮像制御部
25 輝度ムラ検査用撮像制御部
6 信号制御モジュール
16 点欠陥検査用信号制御部
26 輝度ムラ検査用信号制御部
7 バックライト装置制御部
8 点欠陥位置データ生成部
9 補正データ生成モジュール
10 データ入出力部
11 データ記憶部
12 外部記憶装置
20 液晶表示パネル
21 バックライト装置
22 液晶モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各画素の輝度値を指示して液晶表示パネルに画像を表示させる駆動信号を補正し、該液晶表示パネルの輝度ムラを修正する輝度ムラ修正用補正データの作成方法であって、
輝度ムラ検査用駆動信号に基づいて前記液晶表示パネルに表示させた輝度ムラ検査画像を撮像装置により撮像し、輝度ムラ撮像データを取得する輝度ムラ撮像データ取得工程と、
前記輝度ムラ撮像データに基づいて各画素位置と各輝度値とを対応させた輝度データを生成する輝度データ生成工程と、
前記輝度データに基づいて各画素の中から特定された最も輝度の低い低輝度画素の輝度値に近付けるように、その他の各画素の輝度値を調整する補正データを、前記輝度データに基づいて生成する補正データ生成工程と、を有し、
更に、
点欠陥検査用駆動信号に基づいて前記液晶表示パネルに表示させた点欠陥検査画像を撮像装置により撮像し、点欠陥撮像データを取得する点欠陥撮像データ取得工程と、
前記点欠陥撮像データに基づいて点欠陥画素の位置データを生成する点欠陥位置データ生成工程と、を有し、
前記補正データ生成工程において、前記補正データを生成する前に、前記輝度データの中から、前記位置データを利用して点欠陥画素の輝度データを除くことを特徴とする輝度ムラ修正用補正データの作成方法。
【請求項2】
前記補正データ生成工程において、除いた点欠陥画素の輝度データに代えて、他の画素の輝度データを転用する請求項1に記載の輝度ムラ修正用補正データの作成方法。
【請求項3】
他の画素が、除いた点欠陥画素と隣接する画素である請求項2に記載の輝度ムラ修正用補正データの作成方法。
【請求項4】
前記輝度ムラ撮像データの単位画素が、前記点欠陥撮像データの単位画素よりも大きい請求項1〜3の何れか1項に記載の輝度ムラ修正用補正データの作成方法。
【請求項5】
各画素の輝度値を指示して液晶表示パネルに画像を表示させる駆動信号を補正し、該液晶表示パネルの輝度ムラを修正する輝度ムラ修正用補正データの作成装置であって、
液晶表示パネルに表示された画像を撮像し、撮像データを取得する撮像装置と、
前記液晶表示パネルに対して点欠陥検査画像を表示させる点欠陥検査用駆動信号を出力し、かつ、前記液晶表示パネルに対して輝度ムラ検査画像を表示させる輝度ムラ検査用駆動信号を出力する信号制御モジュールと、
前記撮像装置に対して前記点欠陥検査画像を撮像するように指示し、点欠陥撮像データを取得させ、かつ、前記撮像装置に対して前記輝度ムラ検査画像を撮像するように指示し、輝度ムラ撮像データを取得させる撮像制御モジュールと、
前記点欠陥撮像データに基づいて点欠陥画素の位置データを生成する点欠陥位置データ生成部と、
前記輝度ムラ撮像データに基づいて各画素位置と各輝度値とを対応させた輝度データを生成する輝度データ生成部と、前記輝度データに基づいて各画素の中から最も輝度の低い低輝度画素を特定する低輝度画素特定部と、前記低輝度画素の輝度に近付けるように、その他の各画素の輝度値を調整する前記補正データを作成する補正データ作成部と、を含む補正データ生成モジュールと、を有する制御装置と、を備え、
前記補正データ生成モジュールが、前記補正データを生成する前に、前記位置データを利用して点欠陥画素の輝度データを前記輝度データから除く輝度データ修正部を有することを特徴とする輝度ムラ修正用補正データの作成装置。
【請求項6】
前記輝度データ修正部が、除いた点欠陥画素の輝度データに代えて、該点欠陥画素と隣接する画素の輝度データを転用する請求項5に記載の輝度ムラ修正用補正データの製造装置。
【請求項7】
前記輝度ムラ撮像データの単位画素が、前記点欠陥撮像データの単位画素よりも大きい請求項1〜3の何れか1項に記載の輝度ムラ修正用補正データの作成装置。
【請求項8】
請求項1〜4の何れか1項に記載の輝度ムラ修正用補正データの作成方法、又は請求項5〜7の何れか1項に記載の輝度ムラ修正用補正データの作成装置を使用して作成された輝度ムラ修正用補正データを含む液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−27907(P2011−27907A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172123(P2009−172123)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】