説明

輪転印刷機の排紙装置

【課題】 本発明は、落丁、乱丁等による紙詰まりが発生せず、確実に所定部数単位での排紙が可能な輪転印刷機の排紙装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明のオフセット輪転印刷機の排紙装置によれば、輪転印刷機の折機1の後流側に設置されるとともに、折機1に備えられる断裁胴12で断裁された折帳を搬送ベルト16,17で挟持して搬送し、所定の形態で排紙する輪転印刷機の排紙装置において、折帳をブレード21にて所定部数単位に第1又は第2経路に揺動切替える手段とを有する振分け装置2と、折帳の一部をラップさせる積層形成装置3と、積層搬送される折帳をブロック化し搬出するブロック形成装置4と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商業用オフセット輪転印刷機における排紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輪転印刷機の排紙装置は、印刷部で印刷されたウェブが折機の三角板で折られ、断裁胴により所定の長さに断裁され、折帳となって排紙される。断裁された折帳は、順次振分け装置により振り分けられ、それぞれ積層形成装置を経由してブロック形成装置へ搬送され、所定部数集積されてブロック化後コンベアベルト或いは爪搬送の手段で取り出されて搬出される。
【0003】
ところで特許文献1には、折帳を複数の搬送進路に交互に振り分けるガイドユニットが開示されている。本例での積層形成装置は羽根車が夫々の経路に配置され、連続して搬入される折帳間には振分けによるスペースが生成されるため、羽根車の各羽根空間へ余裕を持って確実に挿入可能となる。
特許文献2には、相対速度に著しい差が生じることなく一方の搬送平面から他方の搬送平面への製品移送を制御して変向部材により搬送可動面を変更する装置が記載されている。特許文献2の従来技術として記載の装置によれば、ブレード式の分岐部材の位置により、製品がくさび状曲線に応じてシリンダ円筒周面に沿って搬送されるか、或いは、製品が分岐部材の上方を上方搬送テープにより案内され搬送されるか、いずれかの搬送路に振分ける例が記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、シータにおけるシートを高速送りベルトから低速送りベルトに転送する手段を講じながら、高速送りベルトのシート搬出端と低速送りベルトのシート搬入端との間に落差を形成し、送りベルトのシート送り速度差と落差とにより、高速送りベルトから供給される後続のシートの先端部を低速送りベルト上に落下した先行シートの後端部とオーバーラップさせ、シートを刺身状に並べる方法、即ち積層形成装置が記載されている。
特許文献4には、連続する積層シートを区分けしブロックとして搬出する装置において、区分け先行ブロックと次のブロックを部分重畳させ半取出しを行なう手段が開示されている。従来の完全取出しに対し取出し時間を短縮し、高速化が可能としている。
【0005】
【特許文献1】特開昭63−208468号公報
【特許文献2】特開平8−192948号公報
【特許文献3】特開昭63−262366号公報
【特許文献4】特開平1−214575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献2に記載の従来のブレード式振分け装置では、連続的に交互に振分ける場合、揺動動作中での分岐部材と製品との接触面での走行抵抗によるわずかなタイミングずれのより、紙詰まりが生じるという問題がある。また、製品表面と分岐部材とが接触することにより、製品表面に汚れが生じるという問題もある。
また、特許文献1では、羽根車によりコンベア上に積層させているが、機械の運転立ち上がり時には、回転位相が不安定なため羽根車のタイミング位相の乱れにより羽根と羽根との間に入らなかったり、羽根車の底に折帳があたることによる反発力で紙端が折れたり(端折れ)、更にブランケット洗浄時やペースタ時においても折帳の形態不良によりその搬送が乱れ前記と同様の不具合が発生するという問題がある。また、運転速度が高速になると、前記羽根車部の他、積層された折帳の乱れが原因で後流側におけるブロック形成装置においても紙詰まりの問題が顕著となる。
【0007】
上記特許文献2の分岐部材により搬送方向を変更する振分け装置と特許文献1の羽根車による積層装置とを組み合わせた場合、羽根車の羽根と羽根との間に1毎挿入するため、分岐部材によって1部毎搬送方向を変更する必要がある。このため、折帳と分岐部材との走行摩擦抵抗のばらつきが生じ、先行するシートと後続のシートとのシート間隔にずれが発生すると、羽根車の羽根と羽根との間への挿入タイミングに誤差が生じ、紙詰まりが発生するという問題がある。
また、羽根車からは連続して折帳が搬送されるため、後流工程で所定部数単位に瀬切りし区分けをする必要があり、時間的に余裕がなく、少しでもタイミングに狂いが生じた場合、落丁、乱丁等による紙詰まりが発生し運転停止に至るという問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、運転立ち上げ時、ペースタ時、ブランケット洗浄時、更には高速運転時の折帳搬送においても、落丁、乱丁等による紙詰まりが発生せず、確実に所定部数単位での排紙が可能な輪転印刷機の排紙装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のオフセット輪転印刷機の排紙装置によれば、輪転印刷機の折機の後流側に設置されるとともに、該折機に備えられる断裁胴で断裁されたシート又は折帳をベルトで挟持して搬送し、所定の形態で排紙する輪転印刷機の排紙装置において、前記排紙装置は、前記シート又は折帳を搬送するルート中にブレードを配設し、該ブレードを所定部数単位に第1又は第2経路に揺動切替える手段とを有する振分け装置と、前記振分け装置の後流に設けられるとともに、前記シート又は折帳の一部をラップさせる積層形成装置と、前記積層形成装置の後流に設けられるとともに、前記シート又は折帳をブロック化するブロック形成装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
振分け装置で所定部数単位に振分け、積層形成装置で先行するシート又は折帳の後端部と後続のシート又は折帳の先端部をラップさせることにより、後流側のブロック形成装置において次の所定部数単位が搬送されるまで、所定部数分の空白間隔を形成でき時間的余裕ができる。これにより、ブロック形成装置に積載されたブロックの搬出作業(動作)を余裕をもって行うことができ、落丁、乱丁等の不具合を抑制することができる。
【0011】
また、本発明にかかるオフセット輪転印刷機の排紙装置において、前記ブロック形成装置は、前記シート又は折帳の先端位置を規制するストッパを備えることを特徴とする。
【0012】
ストッパにより、刺身状に積層された所定部数単位のシート又は折帳の先端部が揃えられ、紙端が乱れることなく正確に順次集積させブロックを形成することができる。
【0013】
また、本発明にかかるオフセット輪転印刷機の排紙装置において、前記ブロック形成装置は、前記ブロック化された前記シート又は折帳の最上面を押える紙押え手段を備えることを特徴とする。
【0014】
集積されるブロックの最上部に転送されてくる折帳が、ストッパに衝突する前にばね板等の紙押え手段で押えられるため、衝突による暴れや、紙端の乱れを抑制し正確に前端を揃え集積することができる。
【0015】
さらに、本発明にかかるオフセット輪転印刷機の排紙装置において、前記積層形成装置は、第1搬送ベルトと、第1搬送ベルトの後流側に落差をつけて設けられる第2搬送ベルトとを有し、前記第1搬送ベルトと第2搬送ベルトとの駆動速度差を設けラップを形成させることを特徴とする。
【0016】
積層形成装置の第1搬送ベルトに対し第2搬送ベルトを変速可能するか、或いは個別駆動モータ制御により、搬送速度を増減速し速度差を設けることで第1搬送ベルトから第2搬送ベルトへ移送する際のシート又は折帳後端部のラップ代を任意に調整することができる。これにより、シート又は折帳の後端部が後続のシート又は折帳の先端部により抑えられているため、搬送速度が増加してもラップ代を多くすることでシート又は折帳のあばれを抑制することができる。したがって、シート又は折帳の落丁、乱丁、紙詰まり等を防止することができる。
【0017】
本発明によるオフセット輪転印刷機の排紙装置によれば、損紙の排出或いは折帳の検品のため、前記振り分け装置前に折帳リジェクト装置、或いはブロック形成装置後にブロック排出装置を備えることを特徴とする。
【0018】
折帳リジェクト装置或いはブロック排出装置は、運転立ち上げ時、ペースタ時或いはブランケット洗浄時他の運転形態信号により自動的に作動し不良折帳或いは折帳ブロックを自動的に排出し、その搬送乱れによる各装置部での紙詰まりを確実に回避することが出来る。従って安定した高速運転が可能となる。
又、運転中の製品サンプル取り出しが容易となり、サンプル取りのために変速する必要がなくなり、運転効率が向上する。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明にかかるオフセット輪転印刷機の排紙装置によれば、シート又は折帳を所定部数毎に確実にかつ、容易に積層及び区分けすることができる。また、従来の羽根車に変えて、図3に示す所謂ストリーム式積層形成装置とし、ブレード切替式の振分け装置と組合せて、区分け(ブロック)部数単位に振分けることで、高速の折帳においても乱帳、落丁等を防止でき、確実に積層することができる。また、ブロック形成装置においてシートを背切りする必要も無くストッパでシート又は折帳の先端部を規制するのみで、シート又は折帳を確実に揃えることができる上、取出し搬出動作も無理が無く安定稼動が可能となる。即ち、紙詰まりの無い運転により機械の損傷を回避し、運転停止が減少するため稼動効率が改善し、経費の大幅節減を達成できる。
【0020】
さらに、高速の輪転印刷機に適用した場合、従来のような羽根車での排紙では、折帳の乱れ発生し、紙詰まり等の問題があったが、本発明によれば乱れが生じることはなく、上記した効果が顕著となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る輪転印刷機の排紙装置について、図1〜5を用いて説明する。図1は、本発明の排紙装置の概略構成を示し、図1(a)は折帳の形態を示す。図2は、図1における振分け装置の概略構成と振分け装置前における折帳リジェクト装置構成を、図3(a)〜(c)は、図1における積層形成装置の概略構成及び動作を示す図である。また、図4(a)〜(c)は、図1におけるブロック形成装置の概略構成及び動作を示す。図5はブロック形成装置後におけるブロック排出装置の概略構成を示す。
【0022】
図1において、本実施例における輪転印刷機の印刷部で印刷されたウェブWは、折機1の上流側に設けられた三角板11及び12でウェブ走行方向に平行に二つに折られ、一対の回転する断裁胴13で所定の折帳Tに断裁される。ウェブWは、三角板12と、断裁胴13との間において一対のニッピングローラ14,15により挟持され、搬送される。断裁胴13から排出された折帳は、高速搬送ベルト16,17に挟持されて振分け装置2に順次搬送される。シート送り胴18には、高速搬送ベルト16の内面と後述する第1経路の第1搬送ベルト(高速搬送ベルト)22a内面、更には高速ベルト17と第2経路の第1搬送ベルト(高速搬送ベルト)23bとが互いに重合しないように掛けられ、振分け装置2のブレード21付近にそれぞれ高速搬送ベルト16から22又は23への折帳の移行領域を形成している。
【0023】
振分け装置2により第1経路、又は第2経路に振分けられた折帳は、積層形成装置3の第1搬送ベルト22、23に搬送され、第2搬送ベルト(低速搬送ベルト)24、25に移送される際に、刺身状に重ねられる。所定部数単位で刺身状に重ねられた折帳は、積層形成装置3の下流側に設けられたブロック形成装置4によって、所定部数のブロック状の束にまとめられ、搬送コンベア42,43で搬出される。
【0024】
以下、本発明の排紙装置における各構成につき、図2〜図5を用いて詳細に説明する。
図2において、振分け装置2は、周面に周方向に沿って、軸線方向に対して部分的に溝が形成されているシート送り胴18と、シート送り胴18の溝部に対応して先端部が櫛状に形成されたブレード21と、このブレード21を、第1経路、又は第2経路に揺動させ切替える手段であるカム機構26とを備えている。第1経路の高速搬送ベルト22aは、ベルト内面がシート送り胴18に掛けられ、対をなして折帳を搬送する高速搬送ベルト22bがブレード21の後流側に配設されている。同様に、シート送り胴18外面或いは該胴18の搬送ベルト外面に接触するように第2経路の高速搬送ベルト23bが配設され、対をなして搬送ベルト23aが配置されている。
【0025】
また、第2経路の高速搬送ベルト23bと対をなして折帳を搬送する上側の高速搬送ベルト23aがブレード21の後流側に配設されている。高速搬送ベルト22a、23a、及び22b、23bはベルト駆動ローラ29によって駆動されている。ベルト駆動ローラ29は、少なくとも1つの駆動機構を備えており、高速搬送ベルト22或いは23と低速搬送ベルト24,25とが個別の速度に機械的或いは駆動モータにより電気的に同期して駆動制御され、高低速のベルト速度比を調整可能としている。
【0026】
ブレード21に連係されたカム機構26は、ブレード21の軸に連結されるカムフォロア27と、カムローラ28とで構成され、カムフォロア27は図示しないバネ機構によりカムローラ28外周面に常時押圧されている。カムローラ28は、シート送り胴18とギアにより機械的、または駆動モータにより電気的に同期して駆動される。
【0027】
図3に示す積層形成装置3は、振分け装置2の後流側に設けられ、振分け装置2によって第1経路、又は第2経路に振分けられ搬送されてきた折帳Tを刺身状に積層する。第1経路と第2経路とは同様の構成であるので、以下第1経路に基いて説明する。
積層形成装置3aは、一対の高速搬送ベルト22a,22bと低速搬送ベルト24,25との間にキッカー31が設けられ、高速搬送ベルト22a、22bに対して低速搬送ベルト24、25は段差を形成して配置されている。この段差の落差により、先行する折帳Tの後端部に後続の折帳Tの先端部が刺身状に重ねられる。
【0028】
低速搬送ベルト24の後流側には、刺身状に積層し搬送される折帳Tをブロック状に形成するブロック形成装置4があり、図4に示す。ブロック形成のため折帳Tの先端部を揃えるストッパ34と、このストッパ34を揺動させるカムローラ35とが備えられている。また、低速搬送ベルト24、25に対してブロック形成部32は段差を形成して配置され、形成されたブロックの折帳上面を図示しないばね等の弾性部材により一定の押圧力で押える紙押え手段33が設置されている。
【0029】
図4におけるブロック形成装置4には、搬送ベルト41と、一対のコンベア42、43と、コンベア42,43を駆動する駆動ローラ44、及びガイドローラ45とから成る取り出し搬出装置が付加構成されている。搬送ベルト41とコンベア42とは、駆動ローラ44の軸線方向に見て互い違いに掛けられている。
【0030】
次に、本発明における排紙装置の作用について図2、図3(a)〜(c)、及び図4(a)〜(c)を用いて説明する。なお、振分け装置2の後流側に設置されている第1経路、第2経路はそれぞれ同じように積層形成装置及びブロック形成装置が構成配置されており、ここでは第1経路によって説明する。
なお、本説明における所定部数単位とは、版胴一周面に印刷される版頁数と同数に規定される部数(頁数)とする。通常、本願形式の商業用輪転印刷機において印刷される冊子等では、例えば版胴一周面で6頁分印刷される6倍胴を使用すると、排紙装置においても6部単位で振分けされる。以後、本実施形態においては、所定部数単位を6部として説明する。
【0031】
まず、図2において、折機の断裁胴にて所定の長さに断裁された折帳は、搬送ベルトに挟持されて振分け装置2へ搬送される。カムローラ28が図中一点鎖線で示すように大径部分に当接した場合、カムフォロア27が図中一点鎖線で示すようにシート送り胴18側へ押し上げられることにより、ブレード21の先端は、図中一点鎖線で示すシート送り胴18の溝部から離間する。また、図中実線で示すようにカムローラ28の小径部分にカムフォロア27が当接した場合、カムフォロア27が高速搬送ベルト23b側へ移動して、ブレード21の先端部は、図中実線で示すシート送り胴18の溝部に嵌入する。
【0032】
このように、ブレード21が図中一点鎖線で示す位置に移動した場合、折帳はシート送り胴18の周面と三角形状のブレード21との間に沿って第1経路へ案内され、高速搬送ベルト22a,22bに挟持され、積層形成装置3aへ搬送される。また、櫛状のブレード21の先端部が、シート送り胴18の周面に形成された溝に嵌入した図中実線で示す位置に移動した場合、折帳はブレード21の背面と高速搬送ベルト23bとの間に沿って第2経路へ案内され、高速搬送ベルト23a,23bに挟持されて積層形成装置3bへ搬送される。
【0033】
なお、高速搬送ベルト16、17、22及び23は、印刷されたウェブ速度に対して、30%ほど早く駆動されているため、断裁が容易、かつ確実に行われるとともに、先行して断裁された折帳と後続の折帳との間に間隔が形成される。これにより、振分け装置2で6部単位毎に連続して折帳を振分けても、後続の積層形成装置3で紙詰まりが発生することはない。
【0034】
次に、図3(a)〜(c)において、振分け装置2により、第1経路に案内された折帳Tは、高速搬送ベルト22a、22bに挟持され、低速搬送ベルト24,25側へ送られる。
【0035】
まず、図3(a)に示すように、高速搬送ベルト22a,22bから低速搬送ベルト24,25に転送されるシート又は折帳(以下、総称して折帳という)は先端部が低速搬送ベルト24,25のニップ部で減速される。このとき、キッカー31の突出部で折帳の後端部を高速搬送ベルト22bの搬出端と低速搬送ベルト25との間に形成した落差を利用して低速搬送ベルト25に向けて押し、落す。このように、折帳の搬送速度の差とベルト間の落差と、キッカー31の突出によって折帳T後端部が押し下げられることにより、図3(b)のように高速搬送ベルト22a,22bから搬送される後続の折帳Tの先端部を、低速搬送ベルト25に向け落下させた先行する折帳Tの後端部にオーバーラップさせ、刺身状に積層された折帳を形成する。刺身状に積層された6部単位の折帳は、低速搬送ベルト24,25に挟持され、ブロック形成装置4のブロック形成部32へ搬送される。
【0036】
このような動作を繰り返すことにより、振分け装置2にて6部単位毎(所定部数単位)に振り分けられた折帳が、積層装置2a、2bに交互に搬送され、刺身状に並べられて後流のブロック形成装置3a、3bへ搬送されることとなる。また、刺身状に積層され減速されることにより、折帳の後端部は後続の折帳先端部により押えられることで、バタツキを防止でき、乱丁、落丁を抑制することができる。
【0037】
次に、図4に示すように、刺身状に並べられて低速搬送ベルト24、25によりブロック形成装置4に転搬送された折帳は、ストッパ34に衝突前に紙押え手段33により押えられ、抑制されながらブロック形成部32上部へ案内され、ストッパ34で先端部を揃えられる。このようにして、順次ブロック形成部に6部単位毎に積層された折帳がブロック化されることとなる。
このとき、折帳を紙押え手段33で押えることにより、低速搬送ベルト24,25から開放された折帳が脱落したり、乱れたりすることなく、整然と所定部数単位にブロック化することができる。従って、製品に落丁や乱丁などの不具合が生じることがない。
【0038】
次に図4(a)に示すように、ブロック形成部32にて6部単位にブロック化された折帳ブロックは、図4(b)に示すように、カムローラ35の突出部がストッパ34を押し上げ、コンベア42に設けられた爪46により、ブロック化された折帳の後端部に引っ掛けられて押し出され、搬送ベルト41により挟持され搬送される。その後、図4(c)に示すように、コンベア43へ移行挟持されブロック形成部32から取り出されて下流工程へと搬出されることとなる。
【0039】
図4(b)に示すように、搬送ベルト41のガイドローラ45は、カムローラ35に連係されており、ストッパ34が押し上げられると同時に、搬送ベルト41の入口側のガイドローラ45が上昇し、ブロック化された折帳を挟持する。又、カムローラ35の回転周期と、ストッパ34の上下動とは、所定部数単位になる速度と同期をとるように設定されており、上流工程の印刷形態により、適宜そのタイミング調整が可能となっている。
【0040】
このように、第1及び第2系列に交互に所定部数単位で振り分けられ、刺身状に積層されて搬送されるため、ブロック形成装置で重層するシートブロックを分離し一次受けする、所謂背切りを行う必要が無く、ストッパ32の脱着、及びブロックの取り出し搬出作業を十分な時間的余裕を持って確実に行うことができる。このことは毎時数万部もの印刷を行う高速輪転機において、特に顕著な効果を奏す。
【0041】
次に、折帳製品の搬送ライン上からの排出する装置を説明する。図2に折帳リジェクト装置5を、並びにブロック排出装置6は図5に示すが、いずれも電気信号により所定部数の折帳或いは折帳ブロック数の条件でガイド51或いは61が着脱可能なようにエアシリンダー等のアクチュエータで作動するようにしている。
折帳リジェクト装置の折帳は、前記ガイド51が一点鎖線の「着」状態で、折帳は高速搬送ベルト16、17で運ばれ搬送部の外側に送りだされる。図5のブロック排出装置では、前記ガイド61が一点鎖線の「着」状態で、ガイド61の傾斜面と爪の押出しによりコンベアベルト64上に移動し、該コンベアベルト上では先端面を前当て62に案内されるとともに、押えコロ63の回転作用によりブロック姿勢を整えられ、外側に排出される。
折帳リジェクト装置、或いはブロック排出装置の自動排紙適用区分は、運転形態における排紙部数やその不良形態程度を勘案し、様様な方法で個別或いは組合せて区分作動するよう設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の排紙装置の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の排紙装置における振分け装置、及び折帳リジェクト装置の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の排紙装置における積層形成装置の概略構成及び動作を示す図である。
【図4】本発明の排紙装置におけるブロック形成装置の概略構成及び動作を示す図である。
【図5】ブロック排出装置の構成例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 折機
11 上部三角板
12 下部三角板
13 断裁胴
14 ニッピングローラ(第1段)
15 ニッピングローラ(第2段)
16 高速搬送ベルト
17 高速搬送ベルト
18 シート送り胴
2 振分け装置
21 ブレード
22(22a,22b) 高速搬送ベルト(第1搬送ベルト)
23(23a,23b) 高速搬送ベルト(第1搬送ベルト)
24,25 低速搬送ベルト(第2搬送ベルト)
26 カム機構(切替え手段)
27 カムフォロア
28 カムローラ
29 ベルト駆動ローラ
3(3a、3b) 積層形成装置
31 キッカー
32 ブロック形成部
33 紙押え手段
34 ストッパ
35 カムローラ
4(4a、4b) ブロック形成装置
41 搬送ベルト
42 コンベア 42a コンベアテーブル
43 コンベア
44 駆動ローラ
45 ガイドローラ
46 爪
5 折帳リジェクト装置
51 ガイド(ブレード)
6 ブロック排出装置
61 ガイド(プレート)
62 前当て
63 押えコロ
64 コンベアベルト
T 折帳 V 折帳ブロック W ウェブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪転印刷機の折機の後流側に設置されるとともに、該折機に備えられる断裁胴で断裁されたシート又は折帳をベルトで挟持して搬送し、所定の形態で排紙する輪転印刷機の排紙装置において、
前記排紙装置は、
前記シート又は折帳を搬送するルート中にブレードを配設し、該ブレードを所定部数単位に第1又は第2経路に揺動切替える手段とを有する振分け装置と、
前記振分け装置の後流に設けられるとともに、前記シート又は折帳の一部をラップさせる積層形成装置と、
前記積層形成装置の後流に設けられるとともに、前記シート又は折帳をブロック化するブロック形成装置と、を備えることを特徴とするオフセット輪転印刷機の排紙装置。
【請求項2】
前記ブロック形成装置は、前記シート又は折帳の先端位置を規制するストッパを備えることを特徴とする請求項1記載の輪転印刷機の排紙装置。
【請求項3】
前記ブロック形成装置は、前記ブロック化された前記シート又は折帳の最上面を押える紙押え手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の輪転印刷機の排紙装置。
【請求項4】
前記積層形成装置は、第1搬送ベルトと、第1搬送ベルトの後流側に落差をつけて設けられる第2搬送ベルトとを有し、前記第1搬送ベルトと第2搬送ベルト駆動速度差を設けラップを形成させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の輪転印刷機の排紙装置。
【請求項5】
損紙の排出或いは折帳の検品のため、振り分け装置前に折帳リジェクト装置、或いはブロック形成装置後にブロック排出装置を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の輪転印刷機の排紙装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−106536(P2007−106536A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297938(P2005−297938)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】