輸液チューブ、薬液投与セット及び連結用アダプタ
【目的】 本発明は、点滴や注射に代表される薬液投与セットの速やかな準備を実現し、しかも衛生性、安全性及び廃棄性も向上した輸液チューブ及び薬液投与セット及びを提供することを目的とし、更に、この輸液チューブや薬液投与セットにおける薬剤封入バッグと輸液チューブなどの接続において好適に使用することができる接続アダプタを提供することを目的とする。
【構成】 薬剤封入バッグの一端に接続される輸液チューブ内に空気を存在させないことを特徴とする輸液チューブ、この輸液チューブと薬剤封入バッグとからなる薬液投与セット及び接続アダプタ。
【構成】 薬剤封入バッグの一端に接続される輸液チューブ内に空気を存在させないことを特徴とする輸液チューブ、この輸液チューブと薬剤封入バッグとからなる薬液投与セット及び接続アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として医療行為において使用される輸液チューブ、薬液投与セット及び連結用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療行為において、経口薬や経皮吸収薬などを除けば、患者の体内に薬液を投与する手段としては、注射或いは点滴による投与手段が一般的である。
【0003】
注射による薬液の投与においては、投与前に、アンプルなどの瓶を開封し、当該瓶から注射器によって薬液を吸出し、次いで、注射器内に空気が残らないように空気を注射器外に排出する作業が必要となる。
【0004】
又、粉末状の薬剤については、アンプルなどの瓶に生理食塩水などを注入して当該薬剤を溶解し、次いで、当該瓶から注射器によって薬液を吸出し、次いで、注射器内に空気が残らないように空気を注射器外に排出する作業が必要となる。
【0005】
一方、大量の薬液を投与する場合や、時間をかけて投与する場合には、通常点滴による投与手段が用いられるが、点滴による投与においては、投与前に、薬液の入った点滴バッグの一端に輸液チューブの先端に設けられた中空針などの連結手段を介して接続し、次いで、前記輸液チューブ内に空気が入らないように薬液を通す通液・脱泡作業が必要となる。
【0006】
このような注射器や点滴セットの準備作業は、医師や看護師にとって日常的な作業であると共に比較的時間を要し、薬液投与を要する患者が多数入院する病院においては、投与が必要な患者全員分の注射器や点滴セットを用意することは非常に面倒な作業であり、医療スタッフの労力を要することはいうまでもなく、又、誤って中空針などに触れることにより怪我をしたり、中空針に雑菌を付着させたりする虞があるため、慎重な取扱を要するものである。
【0007】
特に、救急車や救急病院内或いは災害時などにおいては、患者に早急に注射や点滴による投与が必要となる場合が往々にして生じるが、前述のような準備作業は迅速な投与を妨げるものであり、そのため、簡単且つ迅速に準備できる薬液投与手段の開発が強く望まれている。
【0008】
この問題を解消するために、点滴セットの装着を簡単にし、大幅な作業の合理化と高い無菌性を同時に実現するための点滴セットが開発されている(例えば、特許文献1)。
【0009】
【特許文献1】特開平8−52211号公報
【0010】
即ち、特許文献1に記載の点滴セットは、ドリップチャンバーの上流と下流に輸液チューブを接続し、前記上流側の輸液チューブの先端に瓶針を接続すると共に途中に接続管を設け、該接続管に連結チューブを介して連通可能に溶解液入りバッグを装着し、前記ドリップチャンバーの下流側の輸液チューブの先端にコネクター又は刺入針を装着すると共に途中に流量調整用のクランプを装着し、前記ドリップチャンバーと下流側の輸液チューブに溶解液を充填したことを特徴とするものであり、ドリップチャンバーの下流側の輸液チューブに溶解液を予め封入することにより、輸液チューブへの通液作業を無くすことにより、点滴セットの準備を簡便にしたものといえる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、ドリップチャンバーの上流側の輸液チューブには、溶解液入りバッグから溶解液を通液する必要があり、また、薬液の入った点滴バッグの一端に輸液チューブの先端に設けられた瓶針を刺す必要がある点においては、従来の点滴セットと何ら変わることがなく、従って、誤って前記瓶針に触れることにより怪我をしたり、瓶針に雑菌を付着させたりする虞がある。
【0012】
又、ドリップチャンバーに存在させた空気が、保存中などにドリップチャンバーの下流側の輸液チューブに入り込む場合があり、結局、この入り込んだ空気を抜くための通液作業が必要が生ずるといった問題がある。
【0013】
そこで、本発明者が前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、薬剤封入バッグの一端に接続される輸液チューブであって、この輸液チューブ内に空気を存在させないことを特徴とする本発明の輸液チューブを開発するに至ったのである。
【0014】
又、同時に、本発明者は、このような輸液チューブと薬剤封入バッグとからなる本発明の薬液投与セットを開発するに至ったのである。
【0015】
即ち、本発明者は、薬剤封入バッグの一端に接続される輸液チューブについて、製造段階において、当該輸液チューブ内に予め生理食塩水や薬液等の液体を封入したり、当該輸液チューブ内を真空ないし虚脱状態にしたりすることにより当該輸液チューブ内に空気を存在させないようにすれば、病院や救急車内などにおける輸液チューブへの通液・脱泡作業などの準備作業を簡単にすることができ、従来の注射器や点滴セットと比較して、著しく迅速な薬液投与セットの準備を実現することができるとの知見を得たのである。
【0016】
又、薬液投与セットとして、製造段階において、既に薬剤封入バッグの一端に輸液チューブを連通したものとすることにより、病院や救急車内などにおける薬剤封入バッグに輸液チューブを取り付ける作業を省略し、これより、誤って瓶針などに触れることにより怪我をしたり、雑菌を付着させたりする問題を解決することができるとの知見を得たのである。
【0017】
本発明は前記知見に基づき完成されたものであり、点滴や注射に代表される薬液投与セットの速やかな準備を実現し、しかも衛生性及び安全性も向上した輸液チューブ及び薬液投与セット及びを提供することを目的とし、更に、この輸液チューブや薬液投与セットにおける薬剤封入バッグと輸液チューブなどの接続において好適に使用することができる接続アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的を達成するため、本発明における輸液チューブは、薬剤封入バッグの一端に接続される輸液チューブであって、この輸液チューブ内に空気を存在させないことを特徴とする。
【0019】
又、本発明における薬液投与セットは、このような輸液チューブと薬剤封入バッグとからなることを特徴とする。
以下、本発明の輸液チューブ及び薬液投与セットについて詳細に説明する。
【0020】
本発明の輸液チューブは、点滴バッグや薬瓶などの薬剤封入バッグの一端に接続されるものであり、この輸液チューブとしては、保存中ないし使用中に普通に生じる外的圧力や衝撃を受けても破損したり、封入された液体が漏れたりしない程度の密封性及び物理的強度を有するものであれば特に限定されるものではなく、具体的に例えば、一般的に既知の高分子材料、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリプロピレン、セロファン、ポリクロロプレン、ポリアミノ酸、ニトリルゴム、ブチルゴム及びシリコンゴムなどを適宜選択してチューブ状に形成したものを用いることができるのであり、又、これらの高分子材料から選ばれた少なくとも1種以上を積層或いは混合したものをチューブ状に形成して用いても良い。
【0021】
又、本発明の輸液チューブは、単なる一直線のチューブに限られず、例えば、途中で三方活栓などが設けられて二股に分枝するようなものや、その経路中に後述する投与状態視認手段を設けたものも含まれるのである。
【0022】
一方、本発明の薬液投与セットは、患者の体内に任意の液体を投与するためのものであり、前記輸液チューブ及び薬剤封入バッグの組合せからなる。
【0023】
前記薬剤封入バッグとしては、保存中ないし使用中に普通に生じる外的圧力や衝撃を受けても破れたり、封入された液体が漏れたりしない程度の密封性及び物理的強度を有するものであれば特に限定されるものではなく、公知の点滴バッグや薬瓶を用いることができるが、一般的には、既知の高分子材料、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリプロピレン、セロファン、ポリクロロプレン、ポリアミノ酸、ニトリルゴム、ブチルゴム及びシリコンゴムなどを適宜選択して袋状に形成したものを用いることが好ましく、又、これらの高分子材料から選ばれた少なくとも1種以上を積層或いは混合したものを袋状に形成して用いても良い。
【0024】
そして、本発明における輸液チューブ及び薬液投与セットにおいては、前記輸液チューブ内に空気を存在させないようにした点に最も大きな特徴を有する。
【0025】
即ち、製造段階において輸液チューブ内に予め液体を封入することにより当該輸液チューブ内を液体で満し、当該輸液チューブ内に空気を存在させないようにすれば、当該輸液チューブを薬剤封入バッグに接続するだけで通液・脱泡作業が完了するのであり、これより、病院や救急車内などにおける使用の際に、薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0026】
又、製造段階において輸液チューブ内を真空ないし虚脱状態にすることにより、当該輸液チューブ内に空気を存在させないようにすれば、当該輸液チューブを薬剤封入バッグに接続するだけで薬剤封入バッグ内の液体が輸液チューブ内に引き込まれ、若しくは接続後、薬剤封入バッグに軽く圧力を加えるだけで、輸液チューブ内に液体が充填されて通液・脱法作業が完了するのであり、これより、病院や救急車内などにおける使用の際に、薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0027】
ここで、薬剤封入バッグと輸液チューブを接続させる手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、薬剤封入バッグ及び/又は輸液チューブの一端にシリコンゴム等の密栓手段を設け、使用の際に中空針などを当該密栓手段に貫通させて接続したり、雄型及び雌型からなる連結部材を薬剤封入バッグと輸液チューブにそれぞれ設け、使用の際に当該連結部材を接続したりする連結手段等を挙げることができる。
【0028】
又、前記連結手段には、雑菌などによる汚染がないようにキャップなどを設けることが好ましく、更に、保存時等において輸液チューブや薬剤封入バッグに封入した液体が前記連結手段から漏れ出したり、空気や雑菌が進入したりしないように、前記連結手段が設けられる輸液チューブや薬剤封入バッグの端部ないしその近辺にイージーピールシールなどの仕切り手段を設け、使用の際に圧力を加えて前記イージーピールシールなどの仕切り手段を剥がすように構成することが好ましい。
【0029】
ここで、前記輸液チューブに液体を封入する場合、封入される液体としては、一般に医療行為において用いられる薬液であれば特に限定されるものではなく、具体的に例えば、生理食塩水やグルコース水溶液などの人体に投与されても別段に深刻な影響を与えない液体や、痛み止め、栄養剤、抗生物質その他の人体に対して薬理効果を与える薬液等を挙げることができる。
【0030】
又、薬剤封入バッグと輸液チューブ内に封入される液体がそれぞれ異なっていても良く、例えば、薬剤封入バッグには、痛み止め、栄養剤、抗生物質その他の人体に対して薬理効果を与える薬液等を封入し、一方、輸液チューブには、生理食塩水やグルコース水溶液などの人体に投与されても別段に深刻な影響を与えない液体を封入しても良いのである。
【0031】
更に、薬液としては、文字通りの液体のものに限られるのではなく、薬剤封入バッグ内をイージーピールなどの仕切り手段で仕切り、保存時においては、粉末状の薬剤と液体とを薬液バッグ内における別々の室内に存在させ、使用に際して、前記イージーピールシールを剥離することにより、粉末状の薬剤と液体とを混合してもよいのである。
【0032】
加えて、薬剤封入バッグには必ずしも予め薬液を封入する必要は無く、使用の際に、所望の薬液を注射器などを使って薬剤封入バッグに注入してもよいのである。
【0033】
ところで、前記本発明の薬液投与セットにおいては、薬剤封入バッグと輸液チューブとが個別に存在するものであることから、接続の際に誤って中空針に触れることにより怪我をしたり、連結手段に雑菌を付着させたりする問題がある。
【0034】
この点につき、本発明においては、製造段階において、薬剤封入バッグの一端に輸液チューブを予め接続させたものを薬液投与セットとして構成することが好ましく、このように構成することにより、病院や救急車内などにおける使用の際に、薬剤封入バッグと輸液チューブを接続する作業を省略することができ、安全性や衛生性を向上させることができ上、より一層薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0035】
ここで、薬剤封入バッグの一端に前記輸液チューブを接続する手段としては、特に限定されるものではなく、具体的に例えば、薬剤封入バッグと輸液チューブを個別に製造した後に、当該薬剤封入バッグと輸液チューブとを前記連結手段等を用いて接続する手段等を挙げることができるが、保存時において接続部位などから液体が漏れたり、空気や雑菌が進入したりする虞がある。
【0036】
そこで、本発明においては、保存時等において薬剤封入バッグや輸液チューブに封入した液体が前記連結手段から漏れ出したり、空気や雑菌が進入したりしないように、前記連結手段が設けられる薬剤封入バッグの端部や輸液チューブの端部ないしその近辺にイージーピールシールなどの仕切り手段を設け、使用の際に圧力を加えて、前記イージーピールシールなどの仕切り手段を剥がすよう構成することが好ましい。
【0037】
又、この点につき、即ち、このような液体の漏れや雑菌の混入を防止するために、本発明においては、製造段階において、薬剤封入バッグと輸液チューブを一体的に形成することが好ましい。
【0038】
ここで、薬剤封入バッグと輸液チューブを一体的に形成する方法としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ねあわせ、次いで、薬剤封入バッグ及び輸液チューブの型をヒートシールなどの手段により付与し、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後ないしは使用の際に前記型の外縁を切り落とす手段などを挙げることができる。
【0039】
この場合、薬剤封入バッグと輸液チューブを一体的に形成することから、輸液チューブ内を真空状態にしたり、輸液チューブ内の液体と薬剤封入バッグ内の液体を異なるものとしたりするよりも、輸液チューブ内に薬剤封入バッグに封入された液体(薬液)と同じものを封入することが好ましい。
【0040】
なお、薬剤封入バッグ及び輸液チューブへの液体(薬液)の封入は、まず、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを袋状に形成し、この袋に液体を注入した後に、ヒートシールなどの手段により薬剤封入バッグ及び輸液チューブの型を付与すると同時に液体を封入する方法や、又は、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ねあわせ、次いで、液体注入口として一部を開放した状態で薬剤封入バッグ及び輸液チューブの型をヒートシールなどの手段により付与した後に、液体注入口から液体を注入し、最後に液体注入口をヒートシールなどの手段により封止する方法などを挙げることができる。
【0041】
そして、前記本発明の薬液投与セットは、輸液チューブにおける薬剤封入バッグと接続していない側の端部に刺入針を取り付け、この刺入針を人体などに刺すことにより、薬剤封入バッグ内に封入された液体(薬液)を人体などに投与するものである。
【0042】
ここで、薬剤封入バッグ内に封入された液体(薬液)を人体などに送り込む方法としては、特に限定されるものではないが、一般的には、薬剤封入バッグを握ったり、押したりして圧力を加え、当該薬剤封入バッグに存する液体を押し出して人体などに送り込んだり、或いは、点滴による投与のように、引力を利用して、薬剤封入バッグに存する液体を少しずつ人体などに送り込んだりする方法などを挙げることができる。
【0043】
なお、輸液チューブの端部に刺入針を接続させる手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、刺入針の端部を輸液チューブの端部にねじ込んだり、輸液チューブ及び/又は刺入針の一端にシリコンゴム等の密栓手段を設け、使用の際に中空針などを当該密栓手段に貫通させて接続したり、雄型及び雌型からなる連結部材を輸液チューブと刺入針にそれぞれ設け、使用の際に当該連結部材を接続したりする連結手段を挙げることができる。
【0044】
又、前記連結手段には、雑菌などによる汚染がないようにキャップを設けることが好ましく、更に、保存時等において輸液チューブに封入した液体が前記連結手段から漏れ出したり、雑菌が進入したりしないように、前記連結手段が設けられる輸液チューブの端部ないしその近辺にイージーピールシールなどの仕切り手段を設け、使用の際に圧力を加えて、前記イージーピールシールなどの仕切り手段を剥がすよう構成することが好ましい。
【0045】
ところで、最近では、点滴バッグ内に封入されている薬液等が、輸液チューブを通過して患者に確実に投与されているかを視認するための手段として、輸液チューブの経路中にドリップチャンバー(点滴筒)などの投与状態視認手段を設けることが一般的になっている。
【0046】
そのため、前記本発明の薬液投与セットを点滴セットとして用いる場合にあっては、輸液チューブにおける薬剤封入バッグと接続していない側の端部に直接刺入針を取り付けるのではなく、当該端部においてドリップチャンバーなどの投与状態視認手段を取り付け、この投与状態視認手段の下流側に連通されるチューブ(別の輸液チューブ)の端部に刺入針を取り付けて使用することが好ましい。
【0047】
しかしながら、このような構成にすると、投与状態視認手段及び当該投与状態視認手段以下の下流側のチューブに液体を通液する作業が必要となる。
【0048】
この点につき、本発明においては、更に、投与状態視認手段の一端にチューブが連通されると共に、この投与状態視認手段及びチューブに液体を封入したものを前記薬液投与セットと組み合わせて薬液投与セットを構成することが好ましく、このように構成することにより、使用の際に、投与状態視認手段以下の下流側のチューブに液体を通液する作業を省略することができ、投与状態視認手段を使用する場合の薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0049】
又、本発明においては、製造段階において、予め薬剤封入バッグに接続・連通される輸液チューブの経路中に投与状態視認手段を設けることも好ましく、この構成によっても、使用の際における投与状態視認手段以下の下流側のチューブに液体を通液する作業を省略することができるのであり、投与状態視認手段を使用する薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0050】
なお、現在、一般的に使用されている投与状態視認手段としてはドリップチャンバーが代表的であるが、本発明においては、液体の通液状況が視認できるものであれば特に限定されるものではなく、前記ドリップチャンバーは勿論、その他の投与状態視認手段、例えば、輸液チューブを通過する液体の通液状況に応じて回転する回転体なども用いることができる。
【0051】
ここで、輸液チューブの経路中に投与状態視認手段を設ける手段としては、特に限定されるものではなく、具体的に例えば、投与状態視認手段と2本の輸液チューブを個別に製造した後に、当該投与状態視認手段と輸液チューブとを中空針を介して接続したり、雄型及び雌型からなる連結部材を投与状態視認手段と輸液チューブにそれぞれ設け当該連結部材を接続する連結手段等を挙げることができるが、保存時や使用時において前記連結部位から液体が漏れたり、雑菌が進入したりする虞がある。
【0052】
この点に鑑み、本発明においては、このような液体の漏れや雑菌の混入を防止すると共に更に迅速な薬液投与セットの準備の実現のために、製造段階において、投与状態視認手段としてドリップチャンバーを用い、当該ドリップチャンバーと輸液チューブを一体的に形成することが好ましい。
【0053】
ここで、ドリップチャンバーと輸液チューブを一体的に形成する方法としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ね、次いで、ドリップチャンバー及び輸液チューブの型をヒートシールなどの手段により付与し、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後ないしは使用の際に前記型の外縁を切り落とす手段などを挙げることができる。
【0054】
なお、この場合、ドリップチャンバー及び輸液チューブへの液体の封入は、まず、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを袋状に形成し、この袋に液体を注入した後に、ヒートシールなどの手段によりドリップチャンバー及び輸液チューブの型を付与すると同時に液体を封入する方法や、又は、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ねあわせ、次いで、液体注入口として一部を開放した状態でドリップチャンバー及び輸液チューブの型をヒートシールなどの手段により付与した後に、該液体注入口から液体を注入し、最後に液体注入口をヒートシールなどの手段により封止する方法などを挙げることができる。
【0055】
ところで、投与状態視認手段としてのドリップチャンバーにおける投与状態の視認は、ドリップチャンバー内に一定量の空気を存在させて、液体をドリップチャンバー内で滴下させることによりなされる。
【0056】
従って、本発明の薬液投与セットにおいても、投与状態視認手段としてドリップチャンバーを用いる場合にあっては、使用の際にドリップチャンバー内に空気を存在させる必要がある。
【0057】
そこで、本発明の薬液投与セットにおいてドリップチャンバーを用いる場合には、ドリップチャンバー及び輸液チューブに液体を存在させるとともに予めドリップチャンバー内に一定量の空気を介在させることが好ましい。
【0058】
しかしながら、ドリップチャンバー内に介在させた空気が、保存中などに輸液チューブに入り込むと、使用の際に輸液チューブ内の空気を取り除く作業が必要になるため、迅速な薬液投与セットの準備が妨げられる。
【0059】
この点につき、本発明においては、ドリップチャンバーと輸液チューブとの間、若しくはドリップチャンバーとチューブとの間に、イージーピールシールによる仕切りを設けることが好ましく、即ち、ドリップチャンバーに介在させた空気が輸液チューブ内に入り込まないよう輸液チューブとドリップチャンバーの間を前記イージーピールシールで仕切り、使用の際に圧力を加えて、前記イージーピールシールを剥がすよう構成することが好ましいのである。
【0060】
一方、本発明においては、前記イージーピールシールによる仕切りを設ける手段のほかに、ドリップチャンバーに対して、一定量の空気を送り込むことができる空気注入手段を設けることも好ましい。
【0061】
この空気注入手段としては、使用に際してドリップチャンバー内に一定量の空気を送り込むことができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的に例えば、ドリップチャンバーの一部にゴム栓を設け、注射器などの針を当該ゴム栓に刺して空気を注入する手段や、或いは、ドリップチャンバーに連通する空気袋を設けるとともに、該空気袋と前記ドリップチャンバーの間にイージーピールシールを設け、使用の際に圧力を加えて、前記イージーピールシールを破壊(剥離)することにより、空気袋中の空気をドリップチャンバーに送り込む手段を挙げることができる。
【0062】
特に、本発明においては、前記空気袋をドリップチャンバーと一体的に形成することが好ましく、例えば、ヒートシールにより、ドリップチャンバーと空気袋の型を付与し、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後に空気袋と前記ドリップチャンバーの間にイージーピールシールを設けることによって形成することができる。
【0063】
ところで、点滴による薬液の投与中ないし投与後に、点滴バッグ中の薬液とは異なる薬剤、例えば、痛み止めやヘパリンなどの血液の凝固防止剤などを投与する必要が生じる場合が往々にしてある。
【0064】
これに対応して、本発明においては、輸液チューブ及び/又はチューブの経路中に、薬液注入手段を設けることにより、薬液の投与中ないし投与後に、薬剤封入バッグ中の薬液とは異なる薬剤を投与することができるように構成することもできる。
【0065】
この薬液注入手段としては、使用に際して輸液チューブ内に所望の薬液を送り込むことができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的に例えば、輸液チューブの一部にゴム栓などの接続手段を設け、注射器などの針を当該ゴム栓に刺して薬液を注入する手段や、別の本発明の薬液投与セットを前記接続手段に取り付けて薬液を注入する手段、或いは輸液チューブに連通する薬液袋を設けるとともに、該薬液袋と前記輸液チューブの間にイージーピールシールを設け、使用の際に圧力を加えて、前記イージーピールシールを破壊(剥離)することにより、薬液袋中の薬液を輸液チューブ内に送り込む手段を挙げることができる。
【0066】
特に、本発明においては、頻繁に同時に使用する薬剤等について、前記薬液袋を輸液チューブやチューブと一体的に形成することが好ましく、例えば、ヒートシールにより、輸液チューブやチューブ及び薬液袋の型を付与し、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後に薬液袋と前記輸液チューブやチューブの間にイージーピールシールを設けることによって形成することができる。
【0067】
前述のごとく、本発明の輸液チューブ及び薬液投与セットにおける薬剤封入バッグと輸液チューブとの接続、輸液チューブと投与状態視認手段との接続、輸液チューブと刺入針との接続、又はチューブと刺入針との接続は、中空針や連結部材などを用いて接続したりすることにより達成されるが、接続の際に、薬剤封入バッグや輸液チューブから液体が漏れたり、空気が進入したりする場合がある。
【0068】
そのため、本発明においては、外側ケーシング内を一定範囲でスライドするスライダーに両端が先鋭化された中空針を貫通させた連結用アダプタを用いてこれらの接続を達成することが好ましい。
【0069】
即ち、この連結用アダプタは、例えば、輸液チューブの一端にこの連結用アダプタを取り付けても、スライダーが後退して輸液チューブの端部は貫通されず、更に、この状態の連結用アダプタを薬剤封入バッグの一端に取り付けると、薬剤封入バッグの一端と輸液チューブの端部が中空針により同時に貫通されて薬剤封入バッグと輸液チューブとの接続が完了するように構成されたものであり、従ってこの連結用アダプタを用いれば、接続作業中に薬剤封入バッグや輸液チューブから液体が漏れたり、空気が進入したりすることを防止することができるのである。
【発明の効果】
【0070】
本発明は前記構成を有し、薬液投与セットの速やかな準備を実現し、しかも衛生性及び安全性も向上した非常に優れた輸液チューブ及び薬液投与セットである。
【0071】
即ち、本発明は、薬剤封入バッグの一端に接続される輸液チューブについて、製造段階において、当該輸液チューブ内に予め生理食塩水や薬液等の液体を封入したり、当該輸液チューブ内を真空ないし虚脱状態にしたりすることにより当該輸液チューブ内に空気を存在させないように構成したものであり、病院や救急車内或いは災害時などにおける輸液チューブへの通液・脱泡作業を省略し、薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0072】
又、薬液投与セットとして、製造段階において、既に薬剤封入バッグの一端に輸液チューブを連通したものとすることにより、病院や救急車内或いは災害時などにおける薬剤封入バッグに輸液チューブを取り付ける作業を省略し、これより、誤って瓶針などに触れることにより怪我をしたり、雑菌を付着させたりする問題を解決することができるのである。
【0073】
即ち、本発明の輸液チューブ及び薬液投与セットは、通常の注射や点滴などに替わる新規な薬液投与手段であり、安価で、保存性、衛生性、使用性に優れるばかりか、廃棄性にも優れるものであり、又、通常の医療用のみならず、地震や火災その他の巨大災害に備えた備蓄にも適し、その利便性は極めて大きいものである。
【0074】
更に、本発明の連結用アダプタは、本発明の輸液チューブ及び薬液投与セットにおける薬剤封入バッグと輸液チューブとの接続、輸液チューブと投与状態視認手段との接続、輸液チューブと刺入針との接続、又はチューブと刺入針との接続を好適に達成することができるものであり、接続作業中に薬剤封入バッグや輸液チューブから液体が漏れたり、空気が進入したりすることを防止することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0076】
図1は、実施例1に係る本発明の薬液投与セット1を示す模式図であり、この薬液投与セット1は、薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3からなる。
【0077】
そして、前記薬剤封入バッグ2には、人体に対して薬理効果を与える薬液が封入されてなり、一方、前記輸液チューブ3内には、予め生理食塩水や薬液等の液体を封入することにより、当該輸液チューブ3内に空気を存在させないように構成したものである。
【0078】
そして、本実施例における薬液投与セット1は、前記薬剤封入バッグ2と前記輸液チューブ3を組み合わせ、病院や救急車内などにおける使用の際に、薬剤封入バッグ2の一端に輸液チューブ3を接続するものであり、即ち、製造段階において輸液チューブ3内に予め液体を封入することにより当該輸液チューブ3内を液体で満し、当該輸液チューブ3内に空気を存在させないようにしていることから、当該輸液チューブ3を薬剤封入バッグに接続するだけで通液・脱法作業が完了するのであり、これより、薬液投与セット1の速やかな準備を実現することができるのである。
【0079】
又、本実施例は、輸液チューブ3内に予め生理食塩水や薬液等の液体を封入することにより、当該輸液チューブ3内に空気を存在させないように構成したものであるが、これに替えて、輸液チューブ3内を真空ないし虚脱状態にすることにより、当該輸液チューブ3内に空気を存在させないように構成してもよく、この構成によっても、当該輸液チューブ3を薬剤封入バッグ2に接続するだけで薬剤封入バッグ3内の液体が輸液チューブ内に引き込まれ、若しくは接続後、薬剤封入バッグ3に軽く圧力を加えるだけで、輸液チューブ2内に液体が充填されて通液・脱法作業が完了するのである。
【0080】
なお、本実施例における薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3との接続は、図2(a)に示すように、輸液チューブ3の端部に設けた中空針41を、薬剤封入バッグ2の一端に設けた差込口42に突き刺して行うものであるが、これに限られるものではなく、例えば、図2(b)に示すように、輸液チューブ3の端部に設けた雄型の連結部材43を、薬剤封入バッグ2の一端に設けた雌型の連結部材44に接続することによって行っても良い。
【0081】
又、図3に示すように、薬剤封入バッグ2及び輸液チューブ3の一端にシリコンゴムなどの密栓手段44(44a、44b)を設け、使用の際に専用の連結用アダプタ45を取り付けることにより接続することもできるのである。
【0082】
図3の断面図に示すように、この連結用アダプタ45は、外側ケーシング451内を一定範囲でスライドするスライダー452に両端が先鋭化された中空針453を貫通させたものであり、図4(a)に示すように、輸液チューブ3の一端に取り付けられた密栓手段44bの周囲に設けられたネジ山にあわせてこの連結用アダプタ45を螺合しても、スライダー452が後退して前記密栓手段44bは貫通されず、更に、図4(b)に示すように、この状態の連結用アダプタ45を薬剤封入バッグ2の一端に取り付けられた密栓手段44aの周囲に設けられた螺子山に螺合すると、薬剤封入バッグ2に取り付けられた密栓手段44aと輸液チューブ3に取り付けられた44bが同時に貫通されて薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3との接続が完了するのであり、これより接続作業中に輸液チューブ3内に空気が入ったり、薬剤封入バッグ2内の薬液が漏れたりすることを防止することができるのである。
【0083】
そして、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、輸液チューブ3における薬剤封入バッグ2と接続していない側の端部に刺入針5を取り付けて、この刺入針5を介して、点滴バッグ2内に封入された薬液を人体に投与するものであり、本実施例における輸液チューブ3と刺入針5の接続は、図5(a)に示すように、輸液チューブ3の端部に設けた雌型の連結部材44を、刺入針5に連通するチューブの端部に設けた雄型の連結部材43に接続することによって行われるが、これに限られるものではなく、例えば、図5(b)に示すように、輸液チューブ3の端部に設けた中空針41を、刺入針5に連通するチューブの端部に設けた差込口42に突き刺して行っても良い。
【0084】
又、図示しないが、輸液チューブ3及び刺入針5の一端にシリコンゴムなどの密栓手段44(44a、44b)を設け、使用の際に図3に示した如きの連結用アダプタ45を取り付けることにより接続することもできる。
【0085】
ここで、薬剤封入バッグ2内に封入された液体(薬液)を人体に送り込む方法としては、特に限定されるものではないが、本実施例においては、点滴による投与のように、引力を利用したり、輸液ポンプを用いたりして、薬剤封入バッグ2に存する液体を少しずつ人体に送り込んだりすることが好ましく、即ち、本実施例における薬液投与セット1は、点滴による薬液投与手段に相当するものといえる。
【0086】
ところで、本実施例に係る薬液投与セット1は、薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3を別体として組み合わせたものであるが、薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3とを必ずしも個別に存在させる必要は無く、製造段階において、予め薬剤封入バッグ2の一端に輸液チューブ3を連通させても良いのであり、このように構成することにより、病院や救急車内などにおける使用の際に、薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3を接続する作業を省略することができ、安全性や衛生性を向上させることができ上、より一層薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【実施例2】
【0087】
図6は、実施例2に係る本発明の薬液投与セット1を示す模式図であり、この薬液投与セット1は、薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3とが一体的に形成されてなるものである。
【0088】
即ち、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ね、次いで、薬液投与バッグ2及び輸液チューブ3の型をヒートシールなどの手段により付与し、この一体的に形成された液封入バッグ2及び輸液チューブ3内に任意の薬液を封入したものである。
【0089】
そして、図7に示すように、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後ないしは使用の際に前記型の外縁6(シール部)に設けたミシン目61を切り落とすことにより、輸液チューブ3を伸ばし、輸液チューブ3の端部に刺入針5を取り付けて、この刺入針を介して、薬剤封入バッグ2及び輸液チューブ3内に封入された薬液を人体などに投与するものである。
【0090】
ここで、薬剤封入バッグ2内に封入された液体(薬液)を人体などに送り込む方法としては、特に限定されるものではないが、本実施例においては、点滴による投与のように、引力を利用したり、輸液ポンプを利用したりして、薬剤封入バッグ2に存する液体を少しずつ人体などに送り込んだりすることが好ましく、即ち、本実施例における薬液投与セット1は、点滴による薬液投与手段に相当するものといえる。
【0091】
なお、本実施例における輸液チューブ3と刺入針5の接続は、刺入針5の端部に設けた側面に凹凸のある連結手段45を輸液チューブ3の端部にねじ込むと共にイージーピールシール7を剥離することによって達成されるが、これに限られるものではなく、例えば、前記実施例1において説明したのと同様の接続手段を用いて接続しても良い。
【実施例3】
【0092】
図8は、実施例3に係る本発明の薬液投与セット1を示す模式図であり、この薬液投与セット1は、薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3が複数個、一体的に形成されてなるものである。
【0093】
即ち、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ね、次いで、薬液投与バッグ2及び輸液チューブ3の型を複数個、ヒートシールなどの手段により一時に付与したものである。
【0094】
そして、図9に示すように、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後ないしは使用の際に前記型の外縁6(シール部)に設けられたミシン目61に沿って個別に切り落とし、輸液チューブ3の端部に刺入針5を取り付けて、この刺入針を介して、薬剤封入バッグ2に封入された薬液を人体に投与したり、他の薬剤封入バッグ2や輸液チューブ3の経路中に投与したりするものである。
【0095】
なお、本実施例における薬剤封入バッグ2は、当該薬剤封入バッグ2内をイージーピールシール7によって仕切ることにより二つの部屋21、22を形成し、一方の部屋21には、粉末状の薬剤を封入し、他の一方の室内には生理食塩水などの液体を満たしてなるものであり、使用に際して、当該薬剤封入バッグ2に圧力を加えて前記イージーピールシール7を剥離することにより、薬剤を液体と混合するものであるが、これに限らず、部屋21の固体の薬剤のみを真空パックし、部屋22は設けずに点滴回路に接続後、点滴回路内の液体を一度吸引して部屋21の固体の薬剤を溶解した後に、薬剤封入バッグ2に圧力をかけて点滴回路内に注入することもできる。
【0096】
即ち、このように構成することにより、液状では長期保存が困難な薬剤などを、液体に触れないように粉末の状態のままで好適に封入することができるのである。
【0097】
ここで、薬剤封入バッグ2内に封入された液体(薬液)を人体などに送り込む方法としては、特に限定されるものではないが、本実施例においては、薬剤封入バッグ2を握ったり、押したりして圧力を加え、当該薬剤封入バッグ2に存する液体を押し出して人体などに送り込むことが好ましく、即ち、本実施例における薬液投与セット1は、注射器による薬液投与手段に相当するものといえる。
【0098】
本実施例における輸液チューブ3と刺入針5の接続は、刺入針5の端部に設けた側面に凹凸のある連結手段45を輸液チューブ3の端部にねじ込むと共にイージーピールシール7を剥離すること、又は、連結手段45を輸液チューブ3の端部にねじ込み、併せてイージーピールシール7を剥離することによって達成されるが、これに限られるものではなく、例えば、前記実施例1において説明したのと同様の接続手段を用いて接続しても良い。
【実施例4】
【0099】
図10は、本発明の薬液投与セット1に組み合わせて用いられる投与状態視認手段8としてのドリップチャンバー及びこのドリップチャンバー8に連通されてなるチューブ3´(別の輸液チューブ)である。
【0100】
そして、このドリップチャンバー8及びチューブ3´には一部空気を含み液体が封入されており、又、ドリップチャンバー8が連通される側のチューブ3´の端部にはイージーピールシール7が設けられている。
【0101】
即ち、このドリップチャンバー8及びチューブ3´は、実施例1や実施例2、場合によっては実施例3に示すような薬液投与セット1と組み合わせて使用するものであり、使用の際に、ドリップチャンバー8以下の下流側のチューブ3´に液体を通液する作業を省略することができ、この結果、ドリップチャンバー8を使用する点滴セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0102】
又、ドリップチャンバー8が連通される側のチューブ3´の端部にイージーピールシール7を設けることにより、ドリップチャンバー8内の空気がチューブ3´内に入り込むことを防止したものであり、使用に際しては、チューブ3´やドリップチャンバー8に圧力を加えて、当該イージーピールシール7を剥離する。
【0103】
なお、ドリップチャンバー8と輸液チューブ3との接続は、ドリップチャンバー8の上部に設けた差込口42を輸液チューブ3の端部に設けた中空針41で貫通したり(図10(a))、輸液チューブ3の端部に設けた雌型の連結部材44を、ドリップチャンバー8に設けた雄型の連結部材43に接続したり(図10(b))することにより達成される。
【0104】
又、図示しないが、輸液チューブ3及びドリップチャンバー8の一端にシリコンゴムなどの密栓手段44(44a、44b)を設け、使用の際に図3(b)に示した如きの連結用アダプタ45を取り付けることにより接続することもできる。
【実施例5】
【0105】
図11は、本発明の薬液投与セット1に組み合わせて用いられる別の投与状態視認手段8及びこの投与状態視認手段8に連通されてなるチューブ3´(別の輸液チューブ)である。
【0106】
この投与状態視認手段8は、その内部に液体の移動に応じて回転する回転体81を備えており、使用に際して、前記回転体81の回転状態を視認することにより、薬剤封入バッグ2内に封入されている薬液等が、輸液チューブを通過して患者に確実に投与されているかを確認することができるのである。
【0107】
即ち、この投与状態視認手段8及びチューブ3´は、実施例1や実施例2、場合によっては実施例3に示すような薬液投与セット1と組み合わせて使用するものであり、使用の際に、投与状態視認手段8以下の下流側のチューブ3´に液体を通液する作業を省略することができ、この結果、投与状態視認手段8を使用する点滴セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0108】
なお、投与状態視認手段8と輸液チューブ3との接続は、投与状態視認手段8の上部に設けた差込口42を輸液チューブ3の端部に設けた中空針41で貫通したり(図11(a))、輸液チューブ3の端部に設けた雌型の連結部材44を、投与状態視認手段8に設けた雄型の連結部材43に接続したり(図11(b))することにより達成される。
【0109】
又、図示しないが、輸液チューブ3及び投与状態視認手段8の一端にシリコンゴムなどの密栓手段44(44a、44b)を設け、使用の際に図3(b)に示した如きの連結用アダプタ45を取り付けることにより接続することもできる。
【実施例6】
【0110】
図12は、実施例6に係る本発明の点滴セット1を示す模式図であり、この薬液投与セット1は、薬剤封入バッグ2、輸液チューブ3及び投与状態視認手段8としてのドリップチャンバーが一体的に形成されてなるものである。
【0111】
即ち、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ね、次いで、薬剤封入バッグ2、輸液チューブ3及びドリップチャンバー8の型をヒートシールなどの手段により付与したものである。
【0112】
そして、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後ないしは使用の際に前記型の外縁6(シール部)をミシン目61に沿って切り落とすことにより、輸液チューブ3を伸ばし、輸液チューブ3における薬剤封入バッグ2と接続していない側の端部に刺入針5を取り付けて、この刺入針を介して、薬剤封入バッグ2内に封入された液体を人体などに投与するものである。
【0113】
なお、本実施例における薬剤封入バッグ2は、当該薬剤封入バッグ2内をイージーピールシール7によって仕切ることにより二つの部屋21、22を形成し、一方の部屋21には、粉末状の薬剤を封入し、他の一方の室内には生理食塩水などの液体を満たしてなるものであり、使用に際して、当該薬剤封入バッグ2に圧力を加えて前記イージーピールシール7を剥離することにより、薬剤を液体と混合するものである。
【0114】
即ち、このように構成することにより、液状では長期保存が困難な薬剤などを、液体に触れないように粉末の状態のままで好適に封入することができるのである。
【0115】
ここで、薬剤封入バッグ2内に封入された液体(薬液)を人体に送り込む方法としては、特に限定されるものではないが、本実施例においては、点滴による投与のように、引力を利用したり、輸液ポンプを利用して、薬剤封入バッグ2に存する液体を少しずつ人体に送り込んだりすることが好ましく、即ち、本実施例における薬液投与セット1は、点滴による薬液投与手段に相当するものといえる。
【0116】
又、本実施例に係る薬液投与セット1には、ドリップチャンバー8に空気を介在させず、液体のみを封入し、更に、ドリップチャンバー8に併設して、当該ドリップチャンバーに一定量の空気を溜めるための空気注入手段を設けている。
【0117】
この空気注入手段は、使用に際してドリップチャンバー8内に一定量の空気を送り込むための空気袋9であり、使用の際に該空気袋9に圧力を加えて、該空気袋9と前記ドリップチャンバー8の間に設けたイージーピールシール7を剥離することにより、空気袋9中の空気をドリップチャンバー8に送り込むものである。
【0118】
更に、本実施例に係る薬液投与セット1には、輸液チューブ3の経路中に、薬液注入手段が設けられており、薬剤封入バッグ2からの薬液の投与中ないし投与後に、薬剤封入バッグ中の薬液とは異なる薬剤を投与することができる。
【0119】
この薬液注入手段は、使用に際して輸液チューブ3内に所望の薬液を送り込むための薬液袋10であり、使用の際に該薬液袋10に圧力を加えて、該薬液袋10と前記輸液チューブ3の間に設けたイージーピールシール7を剥離することにより、薬液袋10中の薬液を輸液チューブ3内に送り込むものである。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、実施例1に係る本発明の薬液投与セットを示す模式図である。
【図2】図2は、実施例1に係る本発明の薬液投与セットにおける薬剤封入バッグと輸液チューブの接続状態を示す模式図である。
【図3】図3は、実施例1に係る本発明の薬液投与セットにおける薬剤封入バッグと輸液チューブの別の接続手段を示す模式図である。
【図4】図4は、その接続状態を示す模式図である。
【図5】図5は、実施例1に係る本発明の薬液投与セットにおける輸液チューブと刺入針の接続状態を示す模式図である。
【図6】図6は、実施例2に係る本発明の薬液投与セットを示す模式図である。
【図7】図7は、実施例2に係る本発明の薬液投与セットにおける輸液チューブと刺入針の接続状態を示す模式図である。
【図8】図8は、実施例3に係る本発明の薬液投与セットを示す模式図である。
【図9】図9は、実施例3に係る本発明の薬液投与セットにおける輸液チューブと刺入針の接続状態を示す模式図である。
【図10】図10は、実施例4に係る本発明の薬液投与セットにおける輸液チューブと投与状態視認手段の接続状態を示す模式図である。
【図11】図11は、実施例5に係る本発明の薬液投与セットにおける輸液チューブと投与状態視認手段の接続状態を示す模式図である。
【図12】図2は、実施例6に係る本発明の薬液投与セットを示す模式図である。
【符号の説明】
【0121】
1 薬液投与セット
2 薬剤封入バッグ
3 輸液チューブ
4 連結手段
5 刺入針
6 ヒートシール部
7 イージーピールシール部
8 投与状態視認手段
9 空気袋
10 薬液袋
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として医療行為において使用される輸液チューブ、薬液投与セット及び連結用アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
医療行為において、経口薬や経皮吸収薬などを除けば、患者の体内に薬液を投与する手段としては、注射或いは点滴による投与手段が一般的である。
【0003】
注射による薬液の投与においては、投与前に、アンプルなどの瓶を開封し、当該瓶から注射器によって薬液を吸出し、次いで、注射器内に空気が残らないように空気を注射器外に排出する作業が必要となる。
【0004】
又、粉末状の薬剤については、アンプルなどの瓶に生理食塩水などを注入して当該薬剤を溶解し、次いで、当該瓶から注射器によって薬液を吸出し、次いで、注射器内に空気が残らないように空気を注射器外に排出する作業が必要となる。
【0005】
一方、大量の薬液を投与する場合や、時間をかけて投与する場合には、通常点滴による投与手段が用いられるが、点滴による投与においては、投与前に、薬液の入った点滴バッグの一端に輸液チューブの先端に設けられた中空針などの連結手段を介して接続し、次いで、前記輸液チューブ内に空気が入らないように薬液を通す通液・脱泡作業が必要となる。
【0006】
このような注射器や点滴セットの準備作業は、医師や看護師にとって日常的な作業であると共に比較的時間を要し、薬液投与を要する患者が多数入院する病院においては、投与が必要な患者全員分の注射器や点滴セットを用意することは非常に面倒な作業であり、医療スタッフの労力を要することはいうまでもなく、又、誤って中空針などに触れることにより怪我をしたり、中空針に雑菌を付着させたりする虞があるため、慎重な取扱を要するものである。
【0007】
特に、救急車や救急病院内或いは災害時などにおいては、患者に早急に注射や点滴による投与が必要となる場合が往々にして生じるが、前述のような準備作業は迅速な投与を妨げるものであり、そのため、簡単且つ迅速に準備できる薬液投与手段の開発が強く望まれている。
【0008】
この問題を解消するために、点滴セットの装着を簡単にし、大幅な作業の合理化と高い無菌性を同時に実現するための点滴セットが開発されている(例えば、特許文献1)。
【0009】
【特許文献1】特開平8−52211号公報
【0010】
即ち、特許文献1に記載の点滴セットは、ドリップチャンバーの上流と下流に輸液チューブを接続し、前記上流側の輸液チューブの先端に瓶針を接続すると共に途中に接続管を設け、該接続管に連結チューブを介して連通可能に溶解液入りバッグを装着し、前記ドリップチャンバーの下流側の輸液チューブの先端にコネクター又は刺入針を装着すると共に途中に流量調整用のクランプを装着し、前記ドリップチャンバーと下流側の輸液チューブに溶解液を充填したことを特徴とするものであり、ドリップチャンバーの下流側の輸液チューブに溶解液を予め封入することにより、輸液チューブへの通液作業を無くすことにより、点滴セットの準備を簡便にしたものといえる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、ドリップチャンバーの上流側の輸液チューブには、溶解液入りバッグから溶解液を通液する必要があり、また、薬液の入った点滴バッグの一端に輸液チューブの先端に設けられた瓶針を刺す必要がある点においては、従来の点滴セットと何ら変わることがなく、従って、誤って前記瓶針に触れることにより怪我をしたり、瓶針に雑菌を付着させたりする虞がある。
【0012】
又、ドリップチャンバーに存在させた空気が、保存中などにドリップチャンバーの下流側の輸液チューブに入り込む場合があり、結局、この入り込んだ空気を抜くための通液作業が必要が生ずるといった問題がある。
【0013】
そこで、本発明者が前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、薬剤封入バッグの一端に接続される輸液チューブであって、この輸液チューブ内に空気を存在させないことを特徴とする本発明の輸液チューブを開発するに至ったのである。
【0014】
又、同時に、本発明者は、このような輸液チューブと薬剤封入バッグとからなる本発明の薬液投与セットを開発するに至ったのである。
【0015】
即ち、本発明者は、薬剤封入バッグの一端に接続される輸液チューブについて、製造段階において、当該輸液チューブ内に予め生理食塩水や薬液等の液体を封入したり、当該輸液チューブ内を真空ないし虚脱状態にしたりすることにより当該輸液チューブ内に空気を存在させないようにすれば、病院や救急車内などにおける輸液チューブへの通液・脱泡作業などの準備作業を簡単にすることができ、従来の注射器や点滴セットと比較して、著しく迅速な薬液投与セットの準備を実現することができるとの知見を得たのである。
【0016】
又、薬液投与セットとして、製造段階において、既に薬剤封入バッグの一端に輸液チューブを連通したものとすることにより、病院や救急車内などにおける薬剤封入バッグに輸液チューブを取り付ける作業を省略し、これより、誤って瓶針などに触れることにより怪我をしたり、雑菌を付着させたりする問題を解決することができるとの知見を得たのである。
【0017】
本発明は前記知見に基づき完成されたものであり、点滴や注射に代表される薬液投与セットの速やかな準備を実現し、しかも衛生性及び安全性も向上した輸液チューブ及び薬液投与セット及びを提供することを目的とし、更に、この輸液チューブや薬液投与セットにおける薬剤封入バッグと輸液チューブなどの接続において好適に使用することができる接続アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的を達成するため、本発明における輸液チューブは、薬剤封入バッグの一端に接続される輸液チューブであって、この輸液チューブ内に空気を存在させないことを特徴とする。
【0019】
又、本発明における薬液投与セットは、このような輸液チューブと薬剤封入バッグとからなることを特徴とする。
以下、本発明の輸液チューブ及び薬液投与セットについて詳細に説明する。
【0020】
本発明の輸液チューブは、点滴バッグや薬瓶などの薬剤封入バッグの一端に接続されるものであり、この輸液チューブとしては、保存中ないし使用中に普通に生じる外的圧力や衝撃を受けても破損したり、封入された液体が漏れたりしない程度の密封性及び物理的強度を有するものであれば特に限定されるものではなく、具体的に例えば、一般的に既知の高分子材料、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリプロピレン、セロファン、ポリクロロプレン、ポリアミノ酸、ニトリルゴム、ブチルゴム及びシリコンゴムなどを適宜選択してチューブ状に形成したものを用いることができるのであり、又、これらの高分子材料から選ばれた少なくとも1種以上を積層或いは混合したものをチューブ状に形成して用いても良い。
【0021】
又、本発明の輸液チューブは、単なる一直線のチューブに限られず、例えば、途中で三方活栓などが設けられて二股に分枝するようなものや、その経路中に後述する投与状態視認手段を設けたものも含まれるのである。
【0022】
一方、本発明の薬液投与セットは、患者の体内に任意の液体を投与するためのものであり、前記輸液チューブ及び薬剤封入バッグの組合せからなる。
【0023】
前記薬剤封入バッグとしては、保存中ないし使用中に普通に生じる外的圧力や衝撃を受けても破れたり、封入された液体が漏れたりしない程度の密封性及び物理的強度を有するものであれば特に限定されるものではなく、公知の点滴バッグや薬瓶を用いることができるが、一般的には、既知の高分子材料、例えば、ポリウレタン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリプロピレン、セロファン、ポリクロロプレン、ポリアミノ酸、ニトリルゴム、ブチルゴム及びシリコンゴムなどを適宜選択して袋状に形成したものを用いることが好ましく、又、これらの高分子材料から選ばれた少なくとも1種以上を積層或いは混合したものを袋状に形成して用いても良い。
【0024】
そして、本発明における輸液チューブ及び薬液投与セットにおいては、前記輸液チューブ内に空気を存在させないようにした点に最も大きな特徴を有する。
【0025】
即ち、製造段階において輸液チューブ内に予め液体を封入することにより当該輸液チューブ内を液体で満し、当該輸液チューブ内に空気を存在させないようにすれば、当該輸液チューブを薬剤封入バッグに接続するだけで通液・脱泡作業が完了するのであり、これより、病院や救急車内などにおける使用の際に、薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0026】
又、製造段階において輸液チューブ内を真空ないし虚脱状態にすることにより、当該輸液チューブ内に空気を存在させないようにすれば、当該輸液チューブを薬剤封入バッグに接続するだけで薬剤封入バッグ内の液体が輸液チューブ内に引き込まれ、若しくは接続後、薬剤封入バッグに軽く圧力を加えるだけで、輸液チューブ内に液体が充填されて通液・脱法作業が完了するのであり、これより、病院や救急車内などにおける使用の際に、薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0027】
ここで、薬剤封入バッグと輸液チューブを接続させる手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、薬剤封入バッグ及び/又は輸液チューブの一端にシリコンゴム等の密栓手段を設け、使用の際に中空針などを当該密栓手段に貫通させて接続したり、雄型及び雌型からなる連結部材を薬剤封入バッグと輸液チューブにそれぞれ設け、使用の際に当該連結部材を接続したりする連結手段等を挙げることができる。
【0028】
又、前記連結手段には、雑菌などによる汚染がないようにキャップなどを設けることが好ましく、更に、保存時等において輸液チューブや薬剤封入バッグに封入した液体が前記連結手段から漏れ出したり、空気や雑菌が進入したりしないように、前記連結手段が設けられる輸液チューブや薬剤封入バッグの端部ないしその近辺にイージーピールシールなどの仕切り手段を設け、使用の際に圧力を加えて前記イージーピールシールなどの仕切り手段を剥がすように構成することが好ましい。
【0029】
ここで、前記輸液チューブに液体を封入する場合、封入される液体としては、一般に医療行為において用いられる薬液であれば特に限定されるものではなく、具体的に例えば、生理食塩水やグルコース水溶液などの人体に投与されても別段に深刻な影響を与えない液体や、痛み止め、栄養剤、抗生物質その他の人体に対して薬理効果を与える薬液等を挙げることができる。
【0030】
又、薬剤封入バッグと輸液チューブ内に封入される液体がそれぞれ異なっていても良く、例えば、薬剤封入バッグには、痛み止め、栄養剤、抗生物質その他の人体に対して薬理効果を与える薬液等を封入し、一方、輸液チューブには、生理食塩水やグルコース水溶液などの人体に投与されても別段に深刻な影響を与えない液体を封入しても良いのである。
【0031】
更に、薬液としては、文字通りの液体のものに限られるのではなく、薬剤封入バッグ内をイージーピールなどの仕切り手段で仕切り、保存時においては、粉末状の薬剤と液体とを薬液バッグ内における別々の室内に存在させ、使用に際して、前記イージーピールシールを剥離することにより、粉末状の薬剤と液体とを混合してもよいのである。
【0032】
加えて、薬剤封入バッグには必ずしも予め薬液を封入する必要は無く、使用の際に、所望の薬液を注射器などを使って薬剤封入バッグに注入してもよいのである。
【0033】
ところで、前記本発明の薬液投与セットにおいては、薬剤封入バッグと輸液チューブとが個別に存在するものであることから、接続の際に誤って中空針に触れることにより怪我をしたり、連結手段に雑菌を付着させたりする問題がある。
【0034】
この点につき、本発明においては、製造段階において、薬剤封入バッグの一端に輸液チューブを予め接続させたものを薬液投与セットとして構成することが好ましく、このように構成することにより、病院や救急車内などにおける使用の際に、薬剤封入バッグと輸液チューブを接続する作業を省略することができ、安全性や衛生性を向上させることができ上、より一層薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0035】
ここで、薬剤封入バッグの一端に前記輸液チューブを接続する手段としては、特に限定されるものではなく、具体的に例えば、薬剤封入バッグと輸液チューブを個別に製造した後に、当該薬剤封入バッグと輸液チューブとを前記連結手段等を用いて接続する手段等を挙げることができるが、保存時において接続部位などから液体が漏れたり、空気や雑菌が進入したりする虞がある。
【0036】
そこで、本発明においては、保存時等において薬剤封入バッグや輸液チューブに封入した液体が前記連結手段から漏れ出したり、空気や雑菌が進入したりしないように、前記連結手段が設けられる薬剤封入バッグの端部や輸液チューブの端部ないしその近辺にイージーピールシールなどの仕切り手段を設け、使用の際に圧力を加えて、前記イージーピールシールなどの仕切り手段を剥がすよう構成することが好ましい。
【0037】
又、この点につき、即ち、このような液体の漏れや雑菌の混入を防止するために、本発明においては、製造段階において、薬剤封入バッグと輸液チューブを一体的に形成することが好ましい。
【0038】
ここで、薬剤封入バッグと輸液チューブを一体的に形成する方法としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ねあわせ、次いで、薬剤封入バッグ及び輸液チューブの型をヒートシールなどの手段により付与し、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後ないしは使用の際に前記型の外縁を切り落とす手段などを挙げることができる。
【0039】
この場合、薬剤封入バッグと輸液チューブを一体的に形成することから、輸液チューブ内を真空状態にしたり、輸液チューブ内の液体と薬剤封入バッグ内の液体を異なるものとしたりするよりも、輸液チューブ内に薬剤封入バッグに封入された液体(薬液)と同じものを封入することが好ましい。
【0040】
なお、薬剤封入バッグ及び輸液チューブへの液体(薬液)の封入は、まず、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを袋状に形成し、この袋に液体を注入した後に、ヒートシールなどの手段により薬剤封入バッグ及び輸液チューブの型を付与すると同時に液体を封入する方法や、又は、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ねあわせ、次いで、液体注入口として一部を開放した状態で薬剤封入バッグ及び輸液チューブの型をヒートシールなどの手段により付与した後に、液体注入口から液体を注入し、最後に液体注入口をヒートシールなどの手段により封止する方法などを挙げることができる。
【0041】
そして、前記本発明の薬液投与セットは、輸液チューブにおける薬剤封入バッグと接続していない側の端部に刺入針を取り付け、この刺入針を人体などに刺すことにより、薬剤封入バッグ内に封入された液体(薬液)を人体などに投与するものである。
【0042】
ここで、薬剤封入バッグ内に封入された液体(薬液)を人体などに送り込む方法としては、特に限定されるものではないが、一般的には、薬剤封入バッグを握ったり、押したりして圧力を加え、当該薬剤封入バッグに存する液体を押し出して人体などに送り込んだり、或いは、点滴による投与のように、引力を利用して、薬剤封入バッグに存する液体を少しずつ人体などに送り込んだりする方法などを挙げることができる。
【0043】
なお、輸液チューブの端部に刺入針を接続させる手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、刺入針の端部を輸液チューブの端部にねじ込んだり、輸液チューブ及び/又は刺入針の一端にシリコンゴム等の密栓手段を設け、使用の際に中空針などを当該密栓手段に貫通させて接続したり、雄型及び雌型からなる連結部材を輸液チューブと刺入針にそれぞれ設け、使用の際に当該連結部材を接続したりする連結手段を挙げることができる。
【0044】
又、前記連結手段には、雑菌などによる汚染がないようにキャップを設けることが好ましく、更に、保存時等において輸液チューブに封入した液体が前記連結手段から漏れ出したり、雑菌が進入したりしないように、前記連結手段が設けられる輸液チューブの端部ないしその近辺にイージーピールシールなどの仕切り手段を設け、使用の際に圧力を加えて、前記イージーピールシールなどの仕切り手段を剥がすよう構成することが好ましい。
【0045】
ところで、最近では、点滴バッグ内に封入されている薬液等が、輸液チューブを通過して患者に確実に投与されているかを視認するための手段として、輸液チューブの経路中にドリップチャンバー(点滴筒)などの投与状態視認手段を設けることが一般的になっている。
【0046】
そのため、前記本発明の薬液投与セットを点滴セットとして用いる場合にあっては、輸液チューブにおける薬剤封入バッグと接続していない側の端部に直接刺入針を取り付けるのではなく、当該端部においてドリップチャンバーなどの投与状態視認手段を取り付け、この投与状態視認手段の下流側に連通されるチューブ(別の輸液チューブ)の端部に刺入針を取り付けて使用することが好ましい。
【0047】
しかしながら、このような構成にすると、投与状態視認手段及び当該投与状態視認手段以下の下流側のチューブに液体を通液する作業が必要となる。
【0048】
この点につき、本発明においては、更に、投与状態視認手段の一端にチューブが連通されると共に、この投与状態視認手段及びチューブに液体を封入したものを前記薬液投与セットと組み合わせて薬液投与セットを構成することが好ましく、このように構成することにより、使用の際に、投与状態視認手段以下の下流側のチューブに液体を通液する作業を省略することができ、投与状態視認手段を使用する場合の薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0049】
又、本発明においては、製造段階において、予め薬剤封入バッグに接続・連通される輸液チューブの経路中に投与状態視認手段を設けることも好ましく、この構成によっても、使用の際における投与状態視認手段以下の下流側のチューブに液体を通液する作業を省略することができるのであり、投与状態視認手段を使用する薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0050】
なお、現在、一般的に使用されている投与状態視認手段としてはドリップチャンバーが代表的であるが、本発明においては、液体の通液状況が視認できるものであれば特に限定されるものではなく、前記ドリップチャンバーは勿論、その他の投与状態視認手段、例えば、輸液チューブを通過する液体の通液状況に応じて回転する回転体なども用いることができる。
【0051】
ここで、輸液チューブの経路中に投与状態視認手段を設ける手段としては、特に限定されるものではなく、具体的に例えば、投与状態視認手段と2本の輸液チューブを個別に製造した後に、当該投与状態視認手段と輸液チューブとを中空針を介して接続したり、雄型及び雌型からなる連結部材を投与状態視認手段と輸液チューブにそれぞれ設け当該連結部材を接続する連結手段等を挙げることができるが、保存時や使用時において前記連結部位から液体が漏れたり、雑菌が進入したりする虞がある。
【0052】
この点に鑑み、本発明においては、このような液体の漏れや雑菌の混入を防止すると共に更に迅速な薬液投与セットの準備の実現のために、製造段階において、投与状態視認手段としてドリップチャンバーを用い、当該ドリップチャンバーと輸液チューブを一体的に形成することが好ましい。
【0053】
ここで、ドリップチャンバーと輸液チューブを一体的に形成する方法としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ね、次いで、ドリップチャンバー及び輸液チューブの型をヒートシールなどの手段により付与し、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後ないしは使用の際に前記型の外縁を切り落とす手段などを挙げることができる。
【0054】
なお、この場合、ドリップチャンバー及び輸液チューブへの液体の封入は、まず、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを袋状に形成し、この袋に液体を注入した後に、ヒートシールなどの手段によりドリップチャンバー及び輸液チューブの型を付与すると同時に液体を封入する方法や、又は、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ねあわせ、次いで、液体注入口として一部を開放した状態でドリップチャンバー及び輸液チューブの型をヒートシールなどの手段により付与した後に、該液体注入口から液体を注入し、最後に液体注入口をヒートシールなどの手段により封止する方法などを挙げることができる。
【0055】
ところで、投与状態視認手段としてのドリップチャンバーにおける投与状態の視認は、ドリップチャンバー内に一定量の空気を存在させて、液体をドリップチャンバー内で滴下させることによりなされる。
【0056】
従って、本発明の薬液投与セットにおいても、投与状態視認手段としてドリップチャンバーを用いる場合にあっては、使用の際にドリップチャンバー内に空気を存在させる必要がある。
【0057】
そこで、本発明の薬液投与セットにおいてドリップチャンバーを用いる場合には、ドリップチャンバー及び輸液チューブに液体を存在させるとともに予めドリップチャンバー内に一定量の空気を介在させることが好ましい。
【0058】
しかしながら、ドリップチャンバー内に介在させた空気が、保存中などに輸液チューブに入り込むと、使用の際に輸液チューブ内の空気を取り除く作業が必要になるため、迅速な薬液投与セットの準備が妨げられる。
【0059】
この点につき、本発明においては、ドリップチャンバーと輸液チューブとの間、若しくはドリップチャンバーとチューブとの間に、イージーピールシールによる仕切りを設けることが好ましく、即ち、ドリップチャンバーに介在させた空気が輸液チューブ内に入り込まないよう輸液チューブとドリップチャンバーの間を前記イージーピールシールで仕切り、使用の際に圧力を加えて、前記イージーピールシールを剥がすよう構成することが好ましいのである。
【0060】
一方、本発明においては、前記イージーピールシールによる仕切りを設ける手段のほかに、ドリップチャンバーに対して、一定量の空気を送り込むことができる空気注入手段を設けることも好ましい。
【0061】
この空気注入手段としては、使用に際してドリップチャンバー内に一定量の空気を送り込むことができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的に例えば、ドリップチャンバーの一部にゴム栓を設け、注射器などの針を当該ゴム栓に刺して空気を注入する手段や、或いは、ドリップチャンバーに連通する空気袋を設けるとともに、該空気袋と前記ドリップチャンバーの間にイージーピールシールを設け、使用の際に圧力を加えて、前記イージーピールシールを破壊(剥離)することにより、空気袋中の空気をドリップチャンバーに送り込む手段を挙げることができる。
【0062】
特に、本発明においては、前記空気袋をドリップチャンバーと一体的に形成することが好ましく、例えば、ヒートシールにより、ドリップチャンバーと空気袋の型を付与し、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後に空気袋と前記ドリップチャンバーの間にイージーピールシールを設けることによって形成することができる。
【0063】
ところで、点滴による薬液の投与中ないし投与後に、点滴バッグ中の薬液とは異なる薬剤、例えば、痛み止めやヘパリンなどの血液の凝固防止剤などを投与する必要が生じる場合が往々にしてある。
【0064】
これに対応して、本発明においては、輸液チューブ及び/又はチューブの経路中に、薬液注入手段を設けることにより、薬液の投与中ないし投与後に、薬剤封入バッグ中の薬液とは異なる薬剤を投与することができるように構成することもできる。
【0065】
この薬液注入手段としては、使用に際して輸液チューブ内に所望の薬液を送り込むことができるものであれば特に限定されるものではないが、具体的に例えば、輸液チューブの一部にゴム栓などの接続手段を設け、注射器などの針を当該ゴム栓に刺して薬液を注入する手段や、別の本発明の薬液投与セットを前記接続手段に取り付けて薬液を注入する手段、或いは輸液チューブに連通する薬液袋を設けるとともに、該薬液袋と前記輸液チューブの間にイージーピールシールを設け、使用の際に圧力を加えて、前記イージーピールシールを破壊(剥離)することにより、薬液袋中の薬液を輸液チューブ内に送り込む手段を挙げることができる。
【0066】
特に、本発明においては、頻繁に同時に使用する薬剤等について、前記薬液袋を輸液チューブやチューブと一体的に形成することが好ましく、例えば、ヒートシールにより、輸液チューブやチューブ及び薬液袋の型を付与し、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後に薬液袋と前記輸液チューブやチューブの間にイージーピールシールを設けることによって形成することができる。
【0067】
前述のごとく、本発明の輸液チューブ及び薬液投与セットにおける薬剤封入バッグと輸液チューブとの接続、輸液チューブと投与状態視認手段との接続、輸液チューブと刺入針との接続、又はチューブと刺入針との接続は、中空針や連結部材などを用いて接続したりすることにより達成されるが、接続の際に、薬剤封入バッグや輸液チューブから液体が漏れたり、空気が進入したりする場合がある。
【0068】
そのため、本発明においては、外側ケーシング内を一定範囲でスライドするスライダーに両端が先鋭化された中空針を貫通させた連結用アダプタを用いてこれらの接続を達成することが好ましい。
【0069】
即ち、この連結用アダプタは、例えば、輸液チューブの一端にこの連結用アダプタを取り付けても、スライダーが後退して輸液チューブの端部は貫通されず、更に、この状態の連結用アダプタを薬剤封入バッグの一端に取り付けると、薬剤封入バッグの一端と輸液チューブの端部が中空針により同時に貫通されて薬剤封入バッグと輸液チューブとの接続が完了するように構成されたものであり、従ってこの連結用アダプタを用いれば、接続作業中に薬剤封入バッグや輸液チューブから液体が漏れたり、空気が進入したりすることを防止することができるのである。
【発明の効果】
【0070】
本発明は前記構成を有し、薬液投与セットの速やかな準備を実現し、しかも衛生性及び安全性も向上した非常に優れた輸液チューブ及び薬液投与セットである。
【0071】
即ち、本発明は、薬剤封入バッグの一端に接続される輸液チューブについて、製造段階において、当該輸液チューブ内に予め生理食塩水や薬液等の液体を封入したり、当該輸液チューブ内を真空ないし虚脱状態にしたりすることにより当該輸液チューブ内に空気を存在させないように構成したものであり、病院や救急車内或いは災害時などにおける輸液チューブへの通液・脱泡作業を省略し、薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0072】
又、薬液投与セットとして、製造段階において、既に薬剤封入バッグの一端に輸液チューブを連通したものとすることにより、病院や救急車内或いは災害時などにおける薬剤封入バッグに輸液チューブを取り付ける作業を省略し、これより、誤って瓶針などに触れることにより怪我をしたり、雑菌を付着させたりする問題を解決することができるのである。
【0073】
即ち、本発明の輸液チューブ及び薬液投与セットは、通常の注射や点滴などに替わる新規な薬液投与手段であり、安価で、保存性、衛生性、使用性に優れるばかりか、廃棄性にも優れるものであり、又、通常の医療用のみならず、地震や火災その他の巨大災害に備えた備蓄にも適し、その利便性は極めて大きいものである。
【0074】
更に、本発明の連結用アダプタは、本発明の輸液チューブ及び薬液投与セットにおける薬剤封入バッグと輸液チューブとの接続、輸液チューブと投与状態視認手段との接続、輸液チューブと刺入針との接続、又はチューブと刺入針との接続を好適に達成することができるものであり、接続作業中に薬剤封入バッグや輸液チューブから液体が漏れたり、空気が進入したりすることを防止することができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0075】
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0076】
図1は、実施例1に係る本発明の薬液投与セット1を示す模式図であり、この薬液投与セット1は、薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3からなる。
【0077】
そして、前記薬剤封入バッグ2には、人体に対して薬理効果を与える薬液が封入されてなり、一方、前記輸液チューブ3内には、予め生理食塩水や薬液等の液体を封入することにより、当該輸液チューブ3内に空気を存在させないように構成したものである。
【0078】
そして、本実施例における薬液投与セット1は、前記薬剤封入バッグ2と前記輸液チューブ3を組み合わせ、病院や救急車内などにおける使用の際に、薬剤封入バッグ2の一端に輸液チューブ3を接続するものであり、即ち、製造段階において輸液チューブ3内に予め液体を封入することにより当該輸液チューブ3内を液体で満し、当該輸液チューブ3内に空気を存在させないようにしていることから、当該輸液チューブ3を薬剤封入バッグに接続するだけで通液・脱法作業が完了するのであり、これより、薬液投与セット1の速やかな準備を実現することができるのである。
【0079】
又、本実施例は、輸液チューブ3内に予め生理食塩水や薬液等の液体を封入することにより、当該輸液チューブ3内に空気を存在させないように構成したものであるが、これに替えて、輸液チューブ3内を真空ないし虚脱状態にすることにより、当該輸液チューブ3内に空気を存在させないように構成してもよく、この構成によっても、当該輸液チューブ3を薬剤封入バッグ2に接続するだけで薬剤封入バッグ3内の液体が輸液チューブ内に引き込まれ、若しくは接続後、薬剤封入バッグ3に軽く圧力を加えるだけで、輸液チューブ2内に液体が充填されて通液・脱法作業が完了するのである。
【0080】
なお、本実施例における薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3との接続は、図2(a)に示すように、輸液チューブ3の端部に設けた中空針41を、薬剤封入バッグ2の一端に設けた差込口42に突き刺して行うものであるが、これに限られるものではなく、例えば、図2(b)に示すように、輸液チューブ3の端部に設けた雄型の連結部材43を、薬剤封入バッグ2の一端に設けた雌型の連結部材44に接続することによって行っても良い。
【0081】
又、図3に示すように、薬剤封入バッグ2及び輸液チューブ3の一端にシリコンゴムなどの密栓手段44(44a、44b)を設け、使用の際に専用の連結用アダプタ45を取り付けることにより接続することもできるのである。
【0082】
図3の断面図に示すように、この連結用アダプタ45は、外側ケーシング451内を一定範囲でスライドするスライダー452に両端が先鋭化された中空針453を貫通させたものであり、図4(a)に示すように、輸液チューブ3の一端に取り付けられた密栓手段44bの周囲に設けられたネジ山にあわせてこの連結用アダプタ45を螺合しても、スライダー452が後退して前記密栓手段44bは貫通されず、更に、図4(b)に示すように、この状態の連結用アダプタ45を薬剤封入バッグ2の一端に取り付けられた密栓手段44aの周囲に設けられた螺子山に螺合すると、薬剤封入バッグ2に取り付けられた密栓手段44aと輸液チューブ3に取り付けられた44bが同時に貫通されて薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3との接続が完了するのであり、これより接続作業中に輸液チューブ3内に空気が入ったり、薬剤封入バッグ2内の薬液が漏れたりすることを防止することができるのである。
【0083】
そして、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、輸液チューブ3における薬剤封入バッグ2と接続していない側の端部に刺入針5を取り付けて、この刺入針5を介して、点滴バッグ2内に封入された薬液を人体に投与するものであり、本実施例における輸液チューブ3と刺入針5の接続は、図5(a)に示すように、輸液チューブ3の端部に設けた雌型の連結部材44を、刺入針5に連通するチューブの端部に設けた雄型の連結部材43に接続することによって行われるが、これに限られるものではなく、例えば、図5(b)に示すように、輸液チューブ3の端部に設けた中空針41を、刺入針5に連通するチューブの端部に設けた差込口42に突き刺して行っても良い。
【0084】
又、図示しないが、輸液チューブ3及び刺入針5の一端にシリコンゴムなどの密栓手段44(44a、44b)を設け、使用の際に図3に示した如きの連結用アダプタ45を取り付けることにより接続することもできる。
【0085】
ここで、薬剤封入バッグ2内に封入された液体(薬液)を人体に送り込む方法としては、特に限定されるものではないが、本実施例においては、点滴による投与のように、引力を利用したり、輸液ポンプを用いたりして、薬剤封入バッグ2に存する液体を少しずつ人体に送り込んだりすることが好ましく、即ち、本実施例における薬液投与セット1は、点滴による薬液投与手段に相当するものといえる。
【0086】
ところで、本実施例に係る薬液投与セット1は、薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3を別体として組み合わせたものであるが、薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3とを必ずしも個別に存在させる必要は無く、製造段階において、予め薬剤封入バッグ2の一端に輸液チューブ3を連通させても良いのであり、このように構成することにより、病院や救急車内などにおける使用の際に、薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3を接続する作業を省略することができ、安全性や衛生性を向上させることができ上、より一層薬液投与セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【実施例2】
【0087】
図6は、実施例2に係る本発明の薬液投与セット1を示す模式図であり、この薬液投与セット1は、薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3とが一体的に形成されてなるものである。
【0088】
即ち、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ね、次いで、薬液投与バッグ2及び輸液チューブ3の型をヒートシールなどの手段により付与し、この一体的に形成された液封入バッグ2及び輸液チューブ3内に任意の薬液を封入したものである。
【0089】
そして、図7に示すように、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後ないしは使用の際に前記型の外縁6(シール部)に設けたミシン目61を切り落とすことにより、輸液チューブ3を伸ばし、輸液チューブ3の端部に刺入針5を取り付けて、この刺入針を介して、薬剤封入バッグ2及び輸液チューブ3内に封入された薬液を人体などに投与するものである。
【0090】
ここで、薬剤封入バッグ2内に封入された液体(薬液)を人体などに送り込む方法としては、特に限定されるものではないが、本実施例においては、点滴による投与のように、引力を利用したり、輸液ポンプを利用したりして、薬剤封入バッグ2に存する液体を少しずつ人体などに送り込んだりすることが好ましく、即ち、本実施例における薬液投与セット1は、点滴による薬液投与手段に相当するものといえる。
【0091】
なお、本実施例における輸液チューブ3と刺入針5の接続は、刺入針5の端部に設けた側面に凹凸のある連結手段45を輸液チューブ3の端部にねじ込むと共にイージーピールシール7を剥離することによって達成されるが、これに限られるものではなく、例えば、前記実施例1において説明したのと同様の接続手段を用いて接続しても良い。
【実施例3】
【0092】
図8は、実施例3に係る本発明の薬液投与セット1を示す模式図であり、この薬液投与セット1は、薬剤封入バッグ2と輸液チューブ3が複数個、一体的に形成されてなるものである。
【0093】
即ち、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ね、次いで、薬液投与バッグ2及び輸液チューブ3の型を複数個、ヒートシールなどの手段により一時に付与したものである。
【0094】
そして、図9に示すように、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後ないしは使用の際に前記型の外縁6(シール部)に設けられたミシン目61に沿って個別に切り落とし、輸液チューブ3の端部に刺入針5を取り付けて、この刺入針を介して、薬剤封入バッグ2に封入された薬液を人体に投与したり、他の薬剤封入バッグ2や輸液チューブ3の経路中に投与したりするものである。
【0095】
なお、本実施例における薬剤封入バッグ2は、当該薬剤封入バッグ2内をイージーピールシール7によって仕切ることにより二つの部屋21、22を形成し、一方の部屋21には、粉末状の薬剤を封入し、他の一方の室内には生理食塩水などの液体を満たしてなるものであり、使用に際して、当該薬剤封入バッグ2に圧力を加えて前記イージーピールシール7を剥離することにより、薬剤を液体と混合するものであるが、これに限らず、部屋21の固体の薬剤のみを真空パックし、部屋22は設けずに点滴回路に接続後、点滴回路内の液体を一度吸引して部屋21の固体の薬剤を溶解した後に、薬剤封入バッグ2に圧力をかけて点滴回路内に注入することもできる。
【0096】
即ち、このように構成することにより、液状では長期保存が困難な薬剤などを、液体に触れないように粉末の状態のままで好適に封入することができるのである。
【0097】
ここで、薬剤封入バッグ2内に封入された液体(薬液)を人体などに送り込む方法としては、特に限定されるものではないが、本実施例においては、薬剤封入バッグ2を握ったり、押したりして圧力を加え、当該薬剤封入バッグ2に存する液体を押し出して人体などに送り込むことが好ましく、即ち、本実施例における薬液投与セット1は、注射器による薬液投与手段に相当するものといえる。
【0098】
本実施例における輸液チューブ3と刺入針5の接続は、刺入針5の端部に設けた側面に凹凸のある連結手段45を輸液チューブ3の端部にねじ込むと共にイージーピールシール7を剥離すること、又は、連結手段45を輸液チューブ3の端部にねじ込み、併せてイージーピールシール7を剥離することによって達成されるが、これに限られるものではなく、例えば、前記実施例1において説明したのと同様の接続手段を用いて接続しても良い。
【実施例4】
【0099】
図10は、本発明の薬液投与セット1に組み合わせて用いられる投与状態視認手段8としてのドリップチャンバー及びこのドリップチャンバー8に連通されてなるチューブ3´(別の輸液チューブ)である。
【0100】
そして、このドリップチャンバー8及びチューブ3´には一部空気を含み液体が封入されており、又、ドリップチャンバー8が連通される側のチューブ3´の端部にはイージーピールシール7が設けられている。
【0101】
即ち、このドリップチャンバー8及びチューブ3´は、実施例1や実施例2、場合によっては実施例3に示すような薬液投与セット1と組み合わせて使用するものであり、使用の際に、ドリップチャンバー8以下の下流側のチューブ3´に液体を通液する作業を省略することができ、この結果、ドリップチャンバー8を使用する点滴セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0102】
又、ドリップチャンバー8が連通される側のチューブ3´の端部にイージーピールシール7を設けることにより、ドリップチャンバー8内の空気がチューブ3´内に入り込むことを防止したものであり、使用に際しては、チューブ3´やドリップチャンバー8に圧力を加えて、当該イージーピールシール7を剥離する。
【0103】
なお、ドリップチャンバー8と輸液チューブ3との接続は、ドリップチャンバー8の上部に設けた差込口42を輸液チューブ3の端部に設けた中空針41で貫通したり(図10(a))、輸液チューブ3の端部に設けた雌型の連結部材44を、ドリップチャンバー8に設けた雄型の連結部材43に接続したり(図10(b))することにより達成される。
【0104】
又、図示しないが、輸液チューブ3及びドリップチャンバー8の一端にシリコンゴムなどの密栓手段44(44a、44b)を設け、使用の際に図3(b)に示した如きの連結用アダプタ45を取り付けることにより接続することもできる。
【実施例5】
【0105】
図11は、本発明の薬液投与セット1に組み合わせて用いられる別の投与状態視認手段8及びこの投与状態視認手段8に連通されてなるチューブ3´(別の輸液チューブ)である。
【0106】
この投与状態視認手段8は、その内部に液体の移動に応じて回転する回転体81を備えており、使用に際して、前記回転体81の回転状態を視認することにより、薬剤封入バッグ2内に封入されている薬液等が、輸液チューブを通過して患者に確実に投与されているかを確認することができるのである。
【0107】
即ち、この投与状態視認手段8及びチューブ3´は、実施例1や実施例2、場合によっては実施例3に示すような薬液投与セット1と組み合わせて使用するものであり、使用の際に、投与状態視認手段8以下の下流側のチューブ3´に液体を通液する作業を省略することができ、この結果、投与状態視認手段8を使用する点滴セットの速やかな準備を実現することができるのである。
【0108】
なお、投与状態視認手段8と輸液チューブ3との接続は、投与状態視認手段8の上部に設けた差込口42を輸液チューブ3の端部に設けた中空針41で貫通したり(図11(a))、輸液チューブ3の端部に設けた雌型の連結部材44を、投与状態視認手段8に設けた雄型の連結部材43に接続したり(図11(b))することにより達成される。
【0109】
又、図示しないが、輸液チューブ3及び投与状態視認手段8の一端にシリコンゴムなどの密栓手段44(44a、44b)を設け、使用の際に図3(b)に示した如きの連結用アダプタ45を取り付けることにより接続することもできる。
【実施例6】
【0110】
図12は、実施例6に係る本発明の点滴セット1を示す模式図であり、この薬液投与セット1は、薬剤封入バッグ2、輸液チューブ3及び投与状態視認手段8としてのドリップチャンバーが一体的に形成されてなるものである。
【0111】
即ち、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、二枚の高分子材料からなるフィルムないしシートを重ね、次いで、薬剤封入バッグ2、輸液チューブ3及びドリップチャンバー8の型をヒートシールなどの手段により付与したものである。
【0112】
そして、本実施例に係る本発明の薬液投与セット1は、ヒートシールと同時若しくはヒートシール後ないしは使用の際に前記型の外縁6(シール部)をミシン目61に沿って切り落とすことにより、輸液チューブ3を伸ばし、輸液チューブ3における薬剤封入バッグ2と接続していない側の端部に刺入針5を取り付けて、この刺入針を介して、薬剤封入バッグ2内に封入された液体を人体などに投与するものである。
【0113】
なお、本実施例における薬剤封入バッグ2は、当該薬剤封入バッグ2内をイージーピールシール7によって仕切ることにより二つの部屋21、22を形成し、一方の部屋21には、粉末状の薬剤を封入し、他の一方の室内には生理食塩水などの液体を満たしてなるものであり、使用に際して、当該薬剤封入バッグ2に圧力を加えて前記イージーピールシール7を剥離することにより、薬剤を液体と混合するものである。
【0114】
即ち、このように構成することにより、液状では長期保存が困難な薬剤などを、液体に触れないように粉末の状態のままで好適に封入することができるのである。
【0115】
ここで、薬剤封入バッグ2内に封入された液体(薬液)を人体に送り込む方法としては、特に限定されるものではないが、本実施例においては、点滴による投与のように、引力を利用したり、輸液ポンプを利用して、薬剤封入バッグ2に存する液体を少しずつ人体に送り込んだりすることが好ましく、即ち、本実施例における薬液投与セット1は、点滴による薬液投与手段に相当するものといえる。
【0116】
又、本実施例に係る薬液投与セット1には、ドリップチャンバー8に空気を介在させず、液体のみを封入し、更に、ドリップチャンバー8に併設して、当該ドリップチャンバーに一定量の空気を溜めるための空気注入手段を設けている。
【0117】
この空気注入手段は、使用に際してドリップチャンバー8内に一定量の空気を送り込むための空気袋9であり、使用の際に該空気袋9に圧力を加えて、該空気袋9と前記ドリップチャンバー8の間に設けたイージーピールシール7を剥離することにより、空気袋9中の空気をドリップチャンバー8に送り込むものである。
【0118】
更に、本実施例に係る薬液投与セット1には、輸液チューブ3の経路中に、薬液注入手段が設けられており、薬剤封入バッグ2からの薬液の投与中ないし投与後に、薬剤封入バッグ中の薬液とは異なる薬剤を投与することができる。
【0119】
この薬液注入手段は、使用に際して輸液チューブ3内に所望の薬液を送り込むための薬液袋10であり、使用の際に該薬液袋10に圧力を加えて、該薬液袋10と前記輸液チューブ3の間に設けたイージーピールシール7を剥離することにより、薬液袋10中の薬液を輸液チューブ3内に送り込むものである。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、実施例1に係る本発明の薬液投与セットを示す模式図である。
【図2】図2は、実施例1に係る本発明の薬液投与セットにおける薬剤封入バッグと輸液チューブの接続状態を示す模式図である。
【図3】図3は、実施例1に係る本発明の薬液投与セットにおける薬剤封入バッグと輸液チューブの別の接続手段を示す模式図である。
【図4】図4は、その接続状態を示す模式図である。
【図5】図5は、実施例1に係る本発明の薬液投与セットにおける輸液チューブと刺入針の接続状態を示す模式図である。
【図6】図6は、実施例2に係る本発明の薬液投与セットを示す模式図である。
【図7】図7は、実施例2に係る本発明の薬液投与セットにおける輸液チューブと刺入針の接続状態を示す模式図である。
【図8】図8は、実施例3に係る本発明の薬液投与セットを示す模式図である。
【図9】図9は、実施例3に係る本発明の薬液投与セットにおける輸液チューブと刺入針の接続状態を示す模式図である。
【図10】図10は、実施例4に係る本発明の薬液投与セットにおける輸液チューブと投与状態視認手段の接続状態を示す模式図である。
【図11】図11は、実施例5に係る本発明の薬液投与セットにおける輸液チューブと投与状態視認手段の接続状態を示す模式図である。
【図12】図2は、実施例6に係る本発明の薬液投与セットを示す模式図である。
【符号の説明】
【0121】
1 薬液投与セット
2 薬剤封入バッグ
3 輸液チューブ
4 連結手段
5 刺入針
6 ヒートシール部
7 イージーピールシール部
8 投与状態視認手段
9 空気袋
10 薬液袋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤封入バッグの一端に接続される輸液チューブであって、この輸液チューブ内に空気を存在させないことを特徴とする輸液チューブ。
【請求項2】
輸液チューブ内を液体で満たすことにより、当該輸液チューブ内に空気を存在させない請求項1に記載の輸液チューブ。
【請求項3】
輸液チューブ内を真空ないし虚脱状態にすることにより、当該輸液チューブ内に空気を存在させない請求項1に記載の輸液チューブ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の輸液チューブ及び薬剤封入バッグとからなることを特徴とする薬液投与セット。
【請求項5】
薬剤封入バッグと輸液チューブが接続されてなる請求項4に記載の薬液投与セット。
【請求項6】
薬剤封入バッグと輸液チューブが一体的に形成されてなる請求項4又は5に記載の薬液投与セット。
【請求項7】
更に、投与状態視認手段が組み合わされてなる請求項4ないし6のいずれか1項に記載の薬液投与セット。
【請求項8】
輸液チューブの経路中に、投与状態視認手段が設けられてなる請求項4ないし6のいずれか1項に記載の薬液投与セット。
【請求項9】
投与状態視認手段が、液体の通液状況に応じて回転する回転体である請求項7又は8に記載の薬液投与セット。
【請求項10】
投与状態視認手段がドリップチャンバーである請求項7又は8に記載の薬液投与セット。
【請求項11】
ドリップチャンバーと輸液チューブ又は投与状態視認手段とチューブとが一体的に形成されてなる請求項10に記載の薬液投与セット。
【請求項12】
ドリップチャンバーと輸液チューブとの間、若しくはドリップチャンバーとチューブとの間に、イージーピールシールによる仕切りを設けてなる請求項10又は11に記載の薬液投与セット。
【請求項13】
ドリップチャンバーに空気注入手段が備えられてなる請求項10又は11に記載の薬液投与セット。
【請求項14】
輸液チューブ及び/又はチューブの経路中に、薬液注入手段が備えられてなる請求項4ないし13のいずれか1項に記載の薬液投与セット。
【請求項15】
請求項1ないし3の輸液チューブ及び請求項4ないし14のいずれか1項に記載の薬液投与セットにおいて、薬剤封入バッグと輸液チューブとの接続、輸液チューブとドリップチャンバーとの接続、輸液チューブと刺入針との接続、又はチューブと刺入針の接続に用いられる連結用アダプタであって、該連結用アダプタは、外側ケーシング内を一定範囲でスライドするスライダーに両端が先鋭化された中空針を貫通させたことを特徴とする連結用アダプタ。
【請求項1】
薬剤封入バッグの一端に接続される輸液チューブであって、この輸液チューブ内に空気を存在させないことを特徴とする輸液チューブ。
【請求項2】
輸液チューブ内を液体で満たすことにより、当該輸液チューブ内に空気を存在させない請求項1に記載の輸液チューブ。
【請求項3】
輸液チューブ内を真空ないし虚脱状態にすることにより、当該輸液チューブ内に空気を存在させない請求項1に記載の輸液チューブ。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の輸液チューブ及び薬剤封入バッグとからなることを特徴とする薬液投与セット。
【請求項5】
薬剤封入バッグと輸液チューブが接続されてなる請求項4に記載の薬液投与セット。
【請求項6】
薬剤封入バッグと輸液チューブが一体的に形成されてなる請求項4又は5に記載の薬液投与セット。
【請求項7】
更に、投与状態視認手段が組み合わされてなる請求項4ないし6のいずれか1項に記載の薬液投与セット。
【請求項8】
輸液チューブの経路中に、投与状態視認手段が設けられてなる請求項4ないし6のいずれか1項に記載の薬液投与セット。
【請求項9】
投与状態視認手段が、液体の通液状況に応じて回転する回転体である請求項7又は8に記載の薬液投与セット。
【請求項10】
投与状態視認手段がドリップチャンバーである請求項7又は8に記載の薬液投与セット。
【請求項11】
ドリップチャンバーと輸液チューブ又は投与状態視認手段とチューブとが一体的に形成されてなる請求項10に記載の薬液投与セット。
【請求項12】
ドリップチャンバーと輸液チューブとの間、若しくはドリップチャンバーとチューブとの間に、イージーピールシールによる仕切りを設けてなる請求項10又は11に記載の薬液投与セット。
【請求項13】
ドリップチャンバーに空気注入手段が備えられてなる請求項10又は11に記載の薬液投与セット。
【請求項14】
輸液チューブ及び/又はチューブの経路中に、薬液注入手段が備えられてなる請求項4ないし13のいずれか1項に記載の薬液投与セット。
【請求項15】
請求項1ないし3の輸液チューブ及び請求項4ないし14のいずれか1項に記載の薬液投与セットにおいて、薬剤封入バッグと輸液チューブとの接続、輸液チューブとドリップチャンバーとの接続、輸液チューブと刺入針との接続、又はチューブと刺入針の接続に用いられる連結用アダプタであって、該連結用アダプタは、外側ケーシング内を一定範囲でスライドするスライダーに両端が先鋭化された中空針を貫通させたことを特徴とする連結用アダプタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−141827(P2006−141827A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338312(P2004−338312)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(304045882)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【出願人】(304045882)
【Fターム(参考)】
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