説明

輻輳制御を備えるパケット中継装置、輻輳制御方法およびネットワークシステム

【課題】 各IP中継装置がネットワーク全体の構成情報を保持しない場合、従来技術では、適切な迂回経路を発見することは困難であり、発見した経路を設定したとしても、ループを構成する可能性がある。
【解決手段】 パケット転送装置を通過するトラヒックの宛先装置についての情報に基づいて、宛先装置を迂回先装置として前記迂回先装置に至る迂回経路を探索する為の探索パケットを生成して迂回経路を探索するパケット転送装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット交換ネットワークに関し、より詳細にはネットワーク内で輻輳が発生した場合の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TCO削減の意識の向上に伴い、企業IP網の拡充、パケット交換ネットワークプロトコルであるIP上でのデータ通信と音声通信の統合や、IP−VPNの普及が進み、輻輳制御やQoS制御など、パケット交換ネットワークの通信品質を保証する技術が重要視されている。
【0003】
このうち、IPネットワークにおいて輻輳を回避する技術については、従来、ネットワーク上のリンク情報を一元管理する集中管理方式と、各IP中継装置の隣接装置のリンク情報をお互いに交換しあうことで管理する分散管理方式がある。 一般的に、IPネットワークでは、パケットを転送するために、IP中継装置がパケットの宛先IPアドレスを用いて中継装置の保持する経路表で経路検索を行い、パケットを出力すべき何れかのリンク(ネクストホップ)を決定する。
【0004】
ここで輻輳を回避するためには、輻輳の発生に応じて、IP中継装置が、パケットを複数のリンクに割り振り、リンク毎の通信負荷を分散させる方法が有効である。また、通信負荷を分散させる際には、重要度の高い通信を優先的に保護すべきである。しかし、IP中継装置がネクストホップを決定する際、経路情報として反映されていないリアルタイムの通信経路の負荷を考慮することは難しい。
【0005】
前述した分散管理方式において、この問題解決を目的とする技術として、特許文献1がある。当該技術では、輻輳を検知したIP中継装置が、隣接する同装置に通知パケットを送信する。通知パケットを受信したIP中継装置は、通知パケットが指定するパケットのネクストホップを変更し、通知パケットを更に他の同装置に送信する。しかしこの手法では、輻輳迂回経路を発見する前にパケットの経路を変更するため、変更後の経路がパケットのループを引き起こす可能性がある。
【0006】
同様に、輻輳を検知したIP中継装置が、隣接する同装置に通知パケットを送信する技術として特許文献2がある。当該技術では、各IP中継装置はネットワーク全体のリンク構成情報を持つ。通知パケットは入力キューが輻輳しているIP中継装置のIPアドレスを持つ。通知パケットを受信した別のIP中継装置は、輻輳装置を迂回するよう、通知パケットが指定するパケットの経路を変更する。さらに当該技術におけるIP中継装置は、特定パケットの経路のみを変更させないための処理も備えている(〔0050〕段落)。当該手法では迂回経路がパケットのループを引き起こす可能性を回避できるが、各IP中継装置がネットワーク全体の構成情報を持つ必要があるため、各装置の必要メモリ量が増大してしまう。さらに、当該手法における特定パケットの経路のみを変更させないための処理は、変更しないトラヒックの条件をすべて記述することで実現しているが、このような記述を通知パケットに含めることは通信の増大につながってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−92593
【特許文献2】特開2002−252640
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
各IP中継装置がネットワーク全体の構成情報を保持しない場合、従来技術では、適切な迂回経路を発見することは困難であり、発見した経路を設定したとしても、ループを構成する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、ネットワークに接続されて使用するパケット転送装置であって、経路情報を記録する記憶部と、パケットの送受信手段と、前記転送装置を通過するトラヒックの宛先装置についての情報に基づいて、宛先装置を迂回先装置として前記迂回先装置に至る迂回経路を探索する為の探索パケットを生成し、前記送受信手段によって前記ネットワークに送信する探索パケット生成手段と、前記送受信手段を介して受信されたパケットが探索パケットまたは経路書換パケットであることを判別する受信パケット判別手段と、前記受信されたパケットが探索パケットであると前記受信パケット判別手段で判別された場合、前記受信した探索パケットが探索する経路の迂回先装置の情報が、前記転送装置の隣接装置の情報と一致するかどうかを判別する迂回先装置隣接判別手段と、前記転送装置の隣接装置と前記受信された探索パケットが探索する経路の迂回先装置とが一致すると、前記迂回先装置隣接判別手段で判別された場合、前記受信された探索パケットの経由装置を宛先とした経路書換パケットを生成し、前記送受信手段によってネットワークに送信する経路書換パケット生成手段と、前記転送装置の隣接装置と前記受信された探索パケットが探索する経路の迂回先装置とが一致しないと、前記迂回先装置隣接判別手段で判別された場合、前記受信された探索パケット内に、前記転送装置を経由したことを記録し、前記送受信手段によってネットワークに送信する探索パケット転送手段と、前記受信されたパケットが経路書換パケットであると前記受信パケット判別手段で判別された場合、前記受信された経路書換パケットに従って、前記経路情報を書き換える経路情報書換手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
各IP中継装置がネットワーク全体の構成情報を保持しない場合であっても、適切な迂回経路を発見し、経路を書き換えることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による、迂回経路設定における、探索パケットと経路書換パケットの動きとIP中継装置の動作
【図2】実施例1におけるネットワーク構成
【図3】実施例1における輻輳を検知したIP中継装置の動作手順
【図4】実施例1における探索パケットを受信したIP中継装置の動作手順
【図5】実施例1における経路書換パケットを受信したIP中継装置の動作手順
【図6】実施例1における探索パケットの構成例
【図7】実施例1における経路書換パケットの構成例
【図8】実施例1におけるIP中継装置毎の探索パケットの構成の遷移
【図9】実施例1におけるIP中継装置毎の経路書換パケットの構成の遷移
【図10】経路変更するパケットフローを決定する手順
【図11】本発明の実施に必要な装置構成
【図12】実施例2におけるネットワーク構成
【図13】実施例2における迂回経路設定における、探索パケットと経路書換パケットと探索応答パケットの動きとIP中継装置の動作
【図14】実施例2における探索パケットを受信したIP中継装置の動作手順
【図15】実施例2における探索応答パケットの構成例
【図16】実施例2における探索応答パケットを受信したIP中継装置の動作手順
【図17】実施例2における経路書換パケットの構成例
【図18】実施例3におけるネットワーク構成
【図19】実施例3における探索パケットの構成例
【図20】実施例3における設定変更通知に使用するパケットの構成例
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
図2は、本発明の第1の実施形態を表した全体図である。本発明におけるネットワークは、メッシュ状に装置を接続してなるパケット通信網であり、送信元装置40と宛先装置41の間は経路とIP中継装置10−Nから構成される。また、各装置は、通信の要求に応じて、IP中継装置、送信元装置または宛先装置となることができる。
【0013】
図11は、実施例における個別のIP中継装置の図面である。
【0014】
IP中継装置500が持つ受信ポート501とパケット転送機能部502、送信ポート505は、従来のIP中継装置と同様の機能を持つ。IP中継装置500は更に、迂回経路設定パケット処理部521と、経路変更パケットフロー決定部520を持つ。迂回経路設定パケット処理部521は、探索パケットと、経路書換パケットの処理を行う。迂回経路設定パケット処理部521が持つ迂回経路設定パケット監視部507と、輻輳検知部が持つ輻輳検知部506とサンプリング機能部509は、受信ポート501を監視する。
【0015】
迂回経路設定パケット監視部507が、経路を探索する探索パケットを検知したとき、迂回経路設定パケット判定部516は、経路終端判定部511において探索パケットが迂回経路を発見したかどうかを判定する。ループ判定部512では、探索パケットがループしているかを判定する。迂回経路選択部515では、探索パケットを複数受信したときに、探索パケットが示唆する迂回経路の中から迂回経路を一つ選択する。迂回経路設定パケット生成部513では、ネットワークに再送出する探索パケットおよび経路書換パケットを生成し、または後述する経路変更パケットフロー決定部520の指示に応じて探索パケットを生成する。
【0016】
経路書換部508は、迂回経路設定パケット判定部516において、経路書換パケットを検知したときに呼び出される。経路書換部508は、経路変更するパケットフロー情報を、経路表503に書き込む。
【0017】
経路変更パケットフロー決定部520の輻輳検知部506は、受信ポート501からの情報に基づき輻輳を検知する。サンプリング機能部509は受信ポート501の情報から一定の条件の下でサンプリングしたパケットフローの情報を輻輳検知部506からの指示に基づき、経路変更パケットフロー計算部514に送る。当該情報と、優先度情報テーブル510にて保持される優先度情報を用いて、経路変更パケットフロー計算部514は、経路変更するパケットフローを決定し、迂回経路設定パケット生成部513に探索パケットの生成を要求する。
【0018】
図6は、実施例における探索パケットの構成例を表した図である。
【0019】
探索パケット250は、MACヘッダやIPヘッダなどの従来手法によるヘッダの他、探索パケットであることを示すフラグ情報251と、目的の宛先装置のIPアドレス情報252、輻輳リンクのIPアドレス情報253、通過したIP中継装置から探索パケットが収集した情報254、経路変更するパケットフローの情報255を持つ。探索パケットが収集した情報254は、探索パケットが通過したIP中継装置が持つIPアドレス等の識別情報、または探索パケットが通過するリンクにおける帯域使用率やバッファの空き容量等の輻輳情報、あるいはその組み合わせのリストである。
【0020】
図7は、実施例における経路書換パケットの構成例を示した図である。
【0021】
経路書換パケット300は、MACヘッダやIPヘッダなどの従来手法によるヘッダの他、経路書換パケットであることを示すフラグ情報301、目的の宛先装置のIPアドレス情報302、輻輳を検知したIP中継装置のIPアドレス情報303、迂回経路情報304、経路変更するパケットフロー情報305を持つ。目的の宛先装置のIPアドレス情報302、輻輳を検知したIP中継装置のIPアドレス情報303、迂回経路情報304、経路変更するパケットフロー情報305は、それぞれ対応する探索パケット250に保持されていた目的の宛先装置のIPアドレス情報252、輻輳リンクのIPアドレス情報253、通過したIP中継装置から探索パケットが収集した情報254、経路変更するパケットフローの情報255と同等の情報である。
【0022】
図3は、実施例のIP中継装置における、輻輳検知時の動作を示したフロー図である。
【0023】
IP中継装置500は輻輳検知部506において、輻輳を検知した後(ステップ100)、経路変更パケットフロー計算部514において、経路変更するパケットフローを決定する(ステップ101)。ここでパケットフローとは、パケットの送信元IPアドレスや宛先IPアドレスの組み合わせか、ToSフィールドやプロトコル番号の値か、その他パケットのIPヘッダに含まれる情報かその組み合わせによって定義可能なパケット群を指す。ネットワーク中のパケットフローの数はネットワークの規模によっては10万通りを超えることもあるため、輻輳の回避に効果的なフローを選定しなければ、パケットフローの経路制御に必要なメモリ量を増大させてしまう。経路変更するパケットフローの決定手順は図10を用いて後述する。
【0024】
経路変更するパケットフローの決定後、IP中継装置500は、迂回経路設定パケット生成部513において探索パケットを生成する(ステップ102)。探索パケット生成後、IP中継装置500は、送信ポート505より、輻輳が検知されたリンク以外の隣接するIP中継装置に対して探索パケットを送信する(ステップ103)。
なお、輻輳を検知したIP中継装置500は、図6の探索パケット250に、探索パケットのホップ数を記述したフィールドを追加してもよい。もし探索パケット250内に探索ホップ数を記述したフィールドを追加するとき、IP中継装置はホップ数に対して、あらかじめ設定した規定値を持つ。IP中継装置は、探索パケット250を生成するときに最大ホップ数を探索パケットに書き込み、探索パケットを受信したIP中継装置は、受信した探索パケットのホップ数の値を削減する。もし、探索パケットのホップ数の値が、あらかじめ設定した規定値よりも小さくなったときは、IP中継装置は探索パケットを生成しない。本操作により、探索パケットが無制限に生成、送信されてしまうことを防ぐこともできる。
【0025】
図10は、実施例の経路変更パケットフロー決定部520において、経路変更をするパケットフローを決定する動作を示したフロー図である。
【0026】
IP中継装置500は、サンプリング機能部509によりパケットのサンプリングを行い、帯域使用率の大きいパケットフロー情報を取得しておく(ステップ450)。IP中継装置500は、輻輳検知部506において輻輳を検知した後(ステップ451)、サンプリング機能部509によってサンプリングしたパケットフロー情報と優先度テーブル510が持つパケットフローの優先度情報を比較し(ステップ452)優先度情報に含まれる、あらかじめ設定したポリシーに従って経路変更パケットフロー計算部514において経路変更するパケットフローを決定する(ステップ453)。
【0027】
経路変更するパケットフローの選び方は一意ではなく、ポリシーによって様々なバリエーションがある。例えば、もし設定したポリシーが、優先度の高いパケットフローの経路を維持させるというポリシーのときは、帯域使用率が大きく優先度の低いパケットフローの経路を変更する。また、もし設定したポリシーが、優先度の高いパケットフローを迂回経路に避難させるというポリシーのときは、優先度の高いパケットフローの経路を変更する。その他のポリシーのときに経路変更するパケットフローを選択する方法として、優先度テーブルに含まれるパケットフローのうち、サンプリング結果に含まれるパケットフローを選択する方法と、優先度テーブルに含まれるパケットフローのうち、サンプリング結果に含まれないパケットフローを選択する方法と、サンプリング結果に含まれるパケットフローのうち、優先度テーブルに含まれないパケットフローを選択する方法と、サンプリング結果に含まれないパケットフローのうち、優先度テーブルに含まれないパケットフローを選択する方法とがある。
【0028】
経路制御するパケットフローを選定して、経路変更の対象とするトラヒック条件を指定することで、迂回経路発見処理ならびに経路書き換え処理に伴う通信量が大きくなってしまう課題に対して、パケットフローの制御に必要なメモリ量を抑制して通信量の削減をすることが可能となり、優先度の高いパケットフローの通信経路が不用意に書き換えられることを回避しやすくなる効果が得られる。
【0029】
図4は、実施例のIP中継装置における、探索パケット受信時の動作を示したフロー図である。
【0030】
例えば、IP中継装置10−2において、迂回経路設定パケット監視部507にて探索パケットを受信した後(ステップ150)、経路終端判定部511において、経路表503を確認し、まず探索パケットが持つ目的の宛先装置のIPアドレス情報252を用いて目的の宛先装置が隣接しているかを確認する。目的の宛先装置が隣接しているとき迂回経路を発見したとし、隣接していないとき迂回経路は未発見とする(ステップ151)。以下、未発見の場合を述べる。
【0031】
ループ判定部512は、探索パケットを受信したときに、当該探索パケットの中に記録された探索パケットが収集した情報254を参照し、自装置のIPアドレスが格納されていた場合には、自装置を一度経由したものとして探索パケットのループを防ぐため、探索パケットを破棄する(ステップ152)。一致する情報が存在しないときは、迂回経路設定パケット生成部513において、受信した探索パケットのコピーにおける収集情報部分254に自IP中継装置の情報を追加で書き込み(ステップ153)、送信ポート505から探索パケットを受信したリンク以外の、隣接するIP中継装置に探索パケットを送信する(ステップ154)。
【0032】
ここで、図8にIP中継装置10−1、10−2、10−3が送信した探索パケットの構成を示す。探索パケット30−1、30−2、30−3の相違点は、通過したIP中継装置から収集した情報353−1、353−2、353−3である。探索パケットフラグ情報350、目的の宛先装置のIPアドレス情報351、輻輳リンクのIPアドレス情報352、経路変更するパケットフロー情報354は同じ内容である。探索パケットが目的の宛先装置を発見したとき、探索パケット30−3がIP中継装置から収集した情報353−1、353−2、353−3が迂回経路で経由すべきIP中継装置のアドレスとなる。
【0033】
次に、ステップ151において、迂回経路を発見した場合の動作を述べる。
【0034】
IP中継装置10−4は目的の宛先装置が隣接しているため、迂回経路を発見した場合の動作手順を取る(ステップ151でNOへ遷移)。IP中継装置10−4は、迂回経路を発見した後、一定時間待機動作を取り、他の探索パケットを受信するのを待つ(ステップ155)。待機動作後、受信した探索パケットが1つであったとき、その探索パケットが収集した迂回経路情報である経由すべきIP中継装置のIPアドレス353−1〜3に基づいて迂回経路を選択する。一方、受信した探索パケットが複数であったとき、迂回経路選択部515においてあらかじめ設定されたアルゴリズムに従い、迂回経路を選択する(ステップ156)。迂回経路を選択するアルゴリズムは、経路上のIP中継装置の数が最も小さいものを選択するアルゴリズム、経路の帯域使用率が最も小さいものを選択するアルゴリズム、あるいは探索パケットが収集した輻輳に関する他の情報を使って、最も遅延の小さい経路あるいは最も輻輳が発生しにくい経路を選択するアルゴリズムのほか、従来手法を用いても良い。
【0035】
迂回経路選択部515において迂回経路を決定した後、迂回経路設定パケット生成部は、経路書換パケットを生成する(ステップ157)。送信ポート505は、生成した経路書換パケットをIP中継装置10−3に送信する(ステップ158)。
【0036】
図5は、実施例のIP中継装置における、探索パケット受信時の動作を示したフロー図である。
【0037】
例えば、IP中継装置10−3において、迂回経路設定パケット監視部507にて経路書換パケットを受信した後(ステップ200)、経路書換部508は、パケット転送機能部502に保持された経路表503を、経路書換パケットが持つ経路変更するパケットフロー情報305に該当するパケットフローに対して、ネクストホップをIP中継装置10−4に書き換える処理を行う(ステップ201)。その後、経路終端判定部511は、輻輳を検知したIP中継装置のIPアドレス352と自IP中継装置のIPアドレスを比較する。両IPアドレスが一致するとき、迂回経路の設定は終了とし、それ以外のときは迂回経路の設定は終了していないとする(ステップ202)。迂回経路設定時は動作手順が完了するため、以下迂回経路の設定が完了していない場合について説明する。IP中継装置10−3においては、ステップ202でのIPアドレス比較の結果が一致しないため、迂回経路の設定は終了していないときの動作手順を取る(ステップ202でNOへ遷移)。迂回経路の設定が未完了であった場合、迂回経路設定パケット生成部513は、受信した経路書換パケットのコピーから、IP中継装置10−4のIPアドレス情報403−4を削除し(ステップ203)、送信ポート505は、IP中継装置10−2に経路書換パケットを送信する(ステップ204)。
【0038】
ここで、図9にIP中継装置10−4、10−3、10−2が送信する経路書換パケットの構成を示す。経路書換パケット31−1、32−2、33−3の相違点は、迂回経路情報403−1、403−2、403−3、403−4のみであり、経路書換パケットであること示すフラグ400、目的の宛先装置のIPアドレス401、輻輳リンクのIPアドレス402、経路変更するパケットフロー情報404は同じ内容である。迂回経路情報403−1、403−2、403−3、403−4は、迂回経路の設定に使用された後不要となるため、IP中継装置を通過するたびに削除されていく。なお、本実施例では削除される場合を示したが、削除せずそのまま転送しても経路書換パケットの情報量は多くなるが、目的には十分であり、差し支えない。
【0039】
次に、ステップ202において迂回経路の設定が完了したと判定した場合の動作について説明する。
【0040】
IP中継装置10−1は、自IP中継装置のIPアドレスと経路書換パケットが持つ輻輳リンクのIPアドレス402が一致する。そのため迂回経路の設定が終了したときの動作手順を取り(ステップ202でYESへ遷移)、迂回経路設定処理を終了する。
【0041】
図1は、本実施例において、各IP中継装置が動作する様子を表したシーケンス図である。本図面では、IP中継装置10−1が輻輳を検知した場合に、迂回経路を探索する探索パケットの経路と、迂回経路を設定する経路書換パケットの経路と、各パケットを受信した場合のIP中継装置の動作を示す。
【0042】
IP中継装置10−1において輻輳を検知した場合(20)、前述の方法によって経路変更パケットフローが決定され(21)、探索パケットが生成されて、ネットワークに送出される(30−1)。探索パケットを受け取ったIP中継装置10−2〜3は、探索パケットを受信した場合の動作手順に従って、情報の書き込みを行い(22−1〜2)、再び探索パケットをネットワークに送出する(30−2〜3)。IP中継装置10−4において、受け取った探索パケットに基づき、迂回経路を発見した場合(23)、迂回経路発見時の動作手順に従い、経路書換パケットを生成し、探索パケットの直近の送信元であるIP中継装置10−3に送出する(31−1)。経路書換パケットを受信したIP中継装置10−3〜2は、それぞれ受け取った経路変更パケットの情報に基づき、経路を変更し(24−1〜2)、再び経路変更パケットをネットワークに送出する(31−2〜3)。最後に、当初の探索パケットの送出元であるIP転送装置10−1で、経路書換パケットを受信し、経路変更処理を行うことで(24−3)、一連のシークエンスは完了する。
【0043】
以上、本実施の形態によれば、IP中継装置が輻輳を検知したときでも、迂回経路が発見されないときは経路の変更を行わないことが可能となる。輻輳を検知したIP中継装置が、まず、探索パケットにより迂回経路を特定した後で、経路書換パケットにより迂回経路の設定を行うことにより、迂回経路を確実に設定することが可能となる。また、本実施の形態によれば、IP中継装置は、迂回経路の情報を探索パケットにより収集するため、IP中継装置は迂回経路を発見するために、ネットワーク全体の構成情報を保持する必要がない。
【実施例2】
【0044】
図12は、本発明の第2の実施形態を示した全体図である。宛先装置561が複数のIP中継装置550−1、550−2、550−3に接続している。この実施形態では、IP中継装置550−1が輻輳を検知した場合、IP中継装置550−1からの探索パケットを受信し、迂回経路を発見したと判定したIP中継装置550−3あるいは550−2がそれぞれ経路書換パケットをネットワークに送信する。そのため、二種類の経路書換パケットが経路を変更するため、適切な迂回経路が設定されない可能性がある。そこで、本実施の形態では、宛先装置が複数のIP中継装置に接続しているときに、適切な迂回経路を設定することを可能とする。
【0045】
IP中継装置の構成は、第1の実施形態において説明した図11と同一である。本実施例におけるIP中継装置においては一部構成の機能が異なる。迂回経路設定パケット監視部507は、さらに探索応答パケットの受信を監視する。迂回経路設定パケット生成部513は、さらに、探索応答パケットを生成する。
【0046】
図15は、実施例における探索応答パケットの構成例を示した図である。
【0047】
探索応答パケット700は、探索応答パケットであることを示すフラグ情報701、目的の宛先装置のIPアドレス702、輻輳を検知したIP中継装置のIPアドレス情報703、迂回経路情報704、経路変更するパケットフローの条件705を持つ。迂回経路情報704は、第1の実施例における経路書換パケット300の迂回経路情報304と同等の情報を有しており、当該情報は、当該探索応答パケットが生成される際に基となった探索パケット200における探索パケットが収集した情報254と同等の情報である。
【0048】
図17は、実施例における経路書換パケットの構成例を示した図である。
【0049】
経路書換パケット800は、経路書換パケットフラグ801、目的の宛先装置のIPアドレス802、迂回経路情報804、経路変更するパケットフロー条件805を持つ。ここで、本実施形態の経路書換パケット800が、第1の実施形態に属する図7の経路書換パケット300と異なる点は、輻輳を検知したIP中継装置のIPアドレス303ではなく、探索応答パケットの送信元IPアドレス803を持つ点である。
【0050】
図14は、実施例のIP中継装置における探索パケット受信時の動作を示したフロー図である。
【0051】
探索パケットを迂回経路設定パケット監視部507で受信したIP中継装置が迂回経路を発見したかどうかを、迂回経路設定パケット判定部516で判断するまでの動作手順(ステップ650、651)は、図4に示す実施例1の手順(ステップ150、151)と同様である。例えば、IP中継装置550−2は目的の宛先装置561と隣接するため、迂回経路を発見した時の動作手順を取る(ステップ651でNOへ遷移)。IP中継装置550−2は、迂回経路を発見した後、迂回経路設定パケット生成部513は、探索パケットが収集した迂回経路情報を使って探索応答パケットを生成する(ステップ652)。送信ポート505は、生成した探索応答パケットを、輻輳を検知したIP中継装置550−1に向けて送信する(ステップ653)。経路終端判定部511において、迂回経路を発見していないと判定した場合(ステップ651でYESへ遷移)以降の動作フローは、図4に示す実施例1の手順と同様であるので省略する。
【0052】
図16は、実施例のIP中継装置における探索応答パケット受信時の動作を示したフロー図である。 IP中継装置は探索応答パケットを迂回経路設定パケット監視部507で受信した後(ステップ750)、迂回経路設定パケット判定部516は、探索応答パケットが持つ、輻輳を検知したIP中継装置のIPアドレス753と自IP中継装置のIPアドレスを比較する。両IPアドレスが一致するとき、探索応答パケットが経路変更の開始地点に到着したと判断する(ステップ751)。
【0053】
両IPアドレスが一致しないときは、受信した探索応答パケットが持つ迂回経路情報854を基に、当該パケットに対応する探索パケットが自装置を通過する前に通過したIP中継装置のアドレス情報を取得して、迂回経路設定パケット生成部513は、次に転送すべきIP中継装置宛の同内容の探索応答パケットを生成し(ステップ757)、送信ポート505は、迂回経路に沿って生成した探索応答パケットを送信する(ステップ758)。
【0054】
例えば、IP中継装置550−1では、輻輳を検知したIP中継装置のIPアドレス703と自IP中継装置のIPアドレスが一致するため、経路変更の開始地点に探索応答パケットが到着したと判断する(ステップ751でYESへ遷移)。探索応答パケットが経路変更の開始地点に到着したと判定した後、IP中継装置550−1は一定時間待機動作を取り、他の探索応答パケットを受信するのを待つ(ステップ752)。もし受信した探索応答パケットの数が1つだったとき、迂回経路選択部515は、受信した探索応答パケットが持つ迂回経路情報を選択する。もし受信した探索応答パケットの数が複数だったときにおいては、迂回経路選択部515においてあらかじめ設定されたアルゴリズムに従い、探索応答パケットが持つ迂回経路情報の中から適切な迂回経路を1つ選択する(ステップ753)。迂回経路を選択するアルゴリズムは、経路上のIP中継装置の数を用いるアルゴリズム、経路の帯域使用率を用いるアルゴリズム、探索パケットが収集したその他の情報を用いるアルゴリズム、または従来手法を用いてもよい。
【0055】
迂回経路選択部515において、迂回経路選択後、経路書換部508は、経路表503を、受信した探索応答パケットが持つ経路変更するパケットフローに対して、ネクストホップをIP中継装置550−2または3に書き換える処理を行う(ステップ754)。経路書換後、迂回経路設定パケット生成部、経路書換パケットを生成する(ステップ755)。送信ポート505は、生成した経路書換パケットをネクストホップに設定したIP中継装置に対して送信する(ステップ756)。
【0056】
経路書換パケットに伴う動作フローは、実施例1と同様であるので省略する。
【0057】
図13は、本実施例において、各IP中継装置が動作する様子を示したシーケンス図である。
【0058】
本図面では、IP中継装置550−1が輻輳を検知した場合に、迂回経路を探索する探索パケットの経路と、迂回経路を設定する経路書換パケットの経路と、各パケットを受信した場合のIP中継装置の動作を示す。
【0059】
IP中継装置550−1において輻輳を検知した場合(600)、前述の方法によって経路変更パケットフローが決定され(601)、探索パケットが生成されて、ネットワークに送出される(610−1)。探索パケットを受け取ったIP中継装置550−2〜3において、受け取った探索パケットに基づき、迂回経路を発見した場合(602〜603)、迂回経路発見時の動作手順に従い、探索応答パケットを生成し、探索パケットの直近の送信元であるIP中継装置550−1に送出する(620−1〜2)。探索応答パケットを受信したIP中継装置550−1は、一定時間待機後、受信した全ての探索応答パケットの情報を基に、迂回経路をIP中継装置550−2に定め、ネクストホップを変更のうえ、経路書換パケット630を送出する。最後に、IP転送装置550−2で、経路書換パケットを受信し、経路変更処理を行うことで(606)、一連のシークエンスは完了する。
【0060】
以上、本実施の形態によれば、輻輳を検知したIP中継装置に迂回経路情報を通知する探索応答パケットを使用し、輻輳を検知したIP中継装置が、探索応答パケットを受信した後、経路書換パケットを迂回経路に送信することで、目的の宛先装置に複数のIP中継装置が接続されているときでも、適切な迂回経路を設定することが可能となる。
【実施例3】
【0061】
第3の実施の形態では、IP中継装置が、探索パケット内に、探索パケットが通る経路を指定経路としてあらかじめ書き込み、探索パケットを受信したIP中継装置が探索パケット内の指定経路に従って探索パケットを送信することで、特定の経路の情報を収集し、迂回経路を設定することを可能とする。
【0062】
図18は、本発明の第3の実施形態におけるネットワーク構成を示す。宛先装置までの経路として、経路870と、経路870の予備経路880−1、880−2がある。経路870で輻輳が発生したとき、IP中継装置850−1は、予備経路880−1と予備経路880−2に沿ってそれぞれ探索パケットを送信することを特徴とする。探索パケットは指定経路上のIP中継装置とリンクの情報を収集し、IP中継装置850−4は受信した探索パケットの中から、迂回経路を一つ選択する。
【0063】
図19は、本実施例における探索パケットの構成例を表した図である。
【0064】
探索パケット900は、MACヘッダやIPヘッダなどの従来手法によるヘッダの他、探索パケットであることを示すフラグ情報901と、探索パケットの指定経路情報902、通過したIP中継装置から探索パケットが収集した情報903、経路変更するパケットフローの情報904を持つ。このうち、実施例1に属する図6の図示と異なる点は、目的の宛先装置のIPアドレス情報252の代わりに、予め探索パケットが経由すべきIP中継装置を指定した指定経路情報902を持つことである。
【0065】
経路書換パケットの構成例は、実施例1と同様であるので省略する。
【0066】
IP中継装置の構成は、実施例1において説明した図11と同一である。本実施例におけるIP中継装置においては一部構成の機能が異なる。迂回経路設定パケット生成部513は、さらに、指定経路情報のデータベースをもち、当該データベースに基づいて生成する探索パケットに指定経路情報902として記載する。指定経路情報のデータベースは、外部装置あるいはシステム管理者からの設定変更通知により設定される。設定変更通知パケットを受信した迂回経路設定パケット監視部507は、設定変更通知パケットの内容を迂回経路設定パケット判定部516に通知し、迂回経路設定パケット判定部516は指定経路情報を迂回経路設定パケット生成部513のデータベースに登録する。
【0067】
図20は、本実施例において、予備経路880−1を設定する際の設定変更通知に使用するパケットの構成例である。設定変更通知に使用するパケット950は、設定変更通知フラグ951と、予備経路880−1上のIP中継装置850−3のIPアドレス952と、予備経路880−1上のIP中継装置850−4のIPアドレス953とを含む。 輻輳を検知したIP中継装置850−1は、探索パケットを生成する。探索パケットの生成フローは、実施例1における図3と同様である。ステップ102において、探索パケットを生成する際に、前述したとおり、探索パケットに指定経路情報902を格納する。
【0068】
探索パケットを受信したIP中継装置の処理フローは、実施例1の図4と同様である。ここで、ステップ153において、迂回経路設定パケット生成部513が、探索パケットに自IP中継装置の情報を書き込んだ後、受信した探索パケットが持つ、探索パケットの指定経路情報902が示す、次のIP中継装置を宛先として、探索パケットを生成し、生成した探索パケットを送信する(ステップ154)。
【0069】
探索パケットの指定経路902の終端である、IP中継装置850−4は、予備経路880−1と予備経路880−2からそれぞれ探索パケットを受信する。IP中継装置850−4は、受信した二つの探索パケットが持つ、探索パケットが収集した情報903を使い、実施例1と同様に、あらかじめ設定したアルゴリズムに従い、迂回経路を選択する(ステップ156)。迂回経路を選択した後、IP中継装置850−4は、経路書換パケットを生成し(ステップ157)、生成した経路書換パケットを選択した迂回経路に沿って送信し(ステップ158)、迂回経路の設定を行う。
【0070】
以上、本実施の形態によれば、探索パケットの経路をあらかじめ指定することで、特定の経路に対し、経路上の輻輳情報を収集し、迂回経路を設定することが可能となる。
【符号の説明】
【0071】
250 探索パケット
300 経路書換パケット
500 IP中継装置
501 受信ポート
502 パケット転送機能部
503 経路表
505 送信ポート
506 輻輳検知部
507 迂回経路設定パケット監視部
508 経路書換部
509 サンプリング機能部
510 優先度情報テーブル
511 経路終端判定部
512 ループ判定部
513 迂回経路設定パケット生成部
514 経路変更パケットフロー計算部
515 迂回経路選択部
516 迂回経路設定パケット判定部
520 経路変更パケットフロー決定部
521 迂回経路設定パケット処理部
700 探索応答パケット
900 予備経路情報を持つ探索パケット
950 設定変更通知に使用するパケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続されて使用するパケット転送装置であって、
経路情報を記録する記憶部と、
パケットの送受信手段と、
前記転送装置を通過するトラヒックの宛先装置についての情報に基づいて、宛先装置を迂回先装置として前記迂回先装置に至る迂回経路を探索する為の探索パケットを生成し、前記送受信手段によって前記ネットワークに送信する探索パケット生成手段と、
前記送受信手段を介して受信されたパケットが探索パケットまたは経路書換パケットであることを判別する受信パケット判別手段と、
前記受信されたパケットが探索パケットであると前記受信パケット判別手段で判別された場合、前記受信した探索パケットが探索する経路の迂回先装置の情報が、前記転送装置の隣接装置の情報と一致するかどうかを判別する迂回先装置隣接判別手段と、
前記転送装置の隣接装置と前記受信された探索パケットが探索する経路の迂回先装置とが一致すると、前記迂回先装置隣接判別手段で判別された場合、前記受信された探索パケットの経由装置を宛先とした経路書換パケットを生成し、前記送受信手段によってネットワークに送信する経路書換パケット生成手段と、
前記転送装置の隣接装置と前記受信された探索パケットが探索する経路の迂回先装置とが一致しないと、前記迂回先装置隣接判別手段で判別された場合、前記受信された探索パケット内に、前記転送装置を経由したことを記録し、前記送受信手段によってネットワークに送信する探索パケット転送手段と、
前記受信されたパケットが経路書換パケットであると前記受信パケット判別手段で判別された場合、前記受信された経路書換パケットに従って、前記経路情報を書き換える経路情報書換手段と、
を備えるパケット転送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパケット転送装置であって、
前記探索パケット生成手段は、前記探索パケットに、前記迂回先装置のアドレスと、前記経由装置のアドレスと、前記経由装置の経由順序情報とを少なくとも記述し、
前記探索パケット転送手段における、前記転送装置を経由したことの記録は、前記転送装置のアドレスを記録することを特徴とするパケット転送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のパケット転送装置であって、
前記経路書換パケット生成手段は、前記経路書換パケットに、前記探索パケットに記述された前記迂回先装置のアドレスと、前記経由装置のアドレスと、前記経由装置の経由順序情報を少なくとも記述し、前記経路書換パケットは前記経由順序情報を元に、最後に経由した装置のアドレスを宛先アドレスとして生成することを特徴とするパケット転送装置。
【請求項4】
請求項3に記載のパケット転送装置であって、
前記経路情報書換手段は、前記受信された経路書換パケットに記述された迂回先装置アドレスに関する前記転送装置の経路情報を、前記受信された経路書換パケットの送出元装置を経由とする情報に書き換えることを特徴とし、
さらに、
前記受信された経路書換パケットに記述された前記経由順序情報を元に、前記転送装置の前に前記受信された経路書換パケットに関する探索パケットが経由した装置のアドレスを、前記受信された経路書換パケットの宛先アドレスとして再設定し、前記送受信手段によってネットワークに送出する経路書換パケット転送手段と、
を備えることを特徴とするパケット転送装置。
【請求項5】
請求項1に記載のパケット転送装置であって、
前記探索パケット転送手段は、前記受信された探索パケットの中に既に前記転送装置を経由したことを示す情報が記録されていない場合に、前記記録を行うことを特徴とするパケット転送装置。
【請求項6】
請求項5に記載のパケット転送装置であって、
さらに、
前記受信された探索パケットの中に既に前記転送装置を経由したことを示す情報が記録されている場合に、前記受信された探索パケットを前記転送装置で破棄し、前記ネットワーク上に再送出しないことを特徴とするパケット転送装置。
【請求項7】
請求項1に記載のパケット転送装置であって、
前記探索パケット生成手段は、前記探索パケットの宛先にブロードキャストアドレスを設定することを特徴とするパケット転送装置。
【請求項8】
請求項1に記載のパケット転送装置であって、
前記探索パケット生成手段は、前記探索パケットの最大ホップ数を設定することを特徴とするパケット転送装置。
【請求項9】
請求項1に記載のパケット転送装置であって、
さらに、パケット蓄積部と、
前記パケット蓄積部が輻輳状態になったことを検知する輻輳状態検知手段と、を備え、
前記トラヒックは、前記パケット蓄積部で輻輳状態が検知された場合に、輻輳を惹起したトラヒックであることを特徴とするパケット転送装置。
【請求項10】
請求項9に記載のパケット転送装置であって、
前記探索パケット生成手段は、前記パケット蓄積部においてパケットサンプリングを行い、当該サンプリングされたパケットに基づいて高利用率のトラヒックであると判別されたトラヒックについて、迂回経路を探索する為の探索パケットを生成することを特徴とするパケット転送装置。
【請求項11】
請求項10に記載のパケット転送装置であって、
前記記憶部に、さらにトラヒック優先情報を備え、
前記探索パケット生成手段は、前記判別されたトラヒックのうち、前記トラヒック優先情報に記載がないトラヒックのみを対象とすることを特徴とするパケット転送装置。
【請求項12】
請求項10に記載のパケット転送装置であって、
前記探索パケットは、前記判別されたトラヒックの情報を少なくとも備えることを特徴とするパケット転送装置。
【請求項13】
請求項1に記載のパケット転送装置であって、
前記記憶部は、宛先装置毎の予備経路情報を記録し、
前記探索パケット生成手段は、さらに、前記宛先装置毎の予備経路情報を探索パケットに記録し、
前記探索パケット転送手段は、前記探索パケットに記録された予備経路情報に基づいてパケットを転送することを特徴とするパケット転送装置。
【請求項14】
複数のパケット転送装置を有するネットワークにおいてパケット転送の迂回経路を設定する方法であって、
第1のパケット転送装置を通過するトラヒックの宛先装置についての情報に基づいて、宛先装置を迂回先装置として前記迂回先装置に至る迂回経路を探索する為の探索パケットを生成し、前記ネットワークに送信する第1の工程と、
第2のパケット転送装置が前記探索パケットを受信した場合に、前記受信した探索パケットが探索する経路の迂回先装置の情報が、前記転送装置の隣接装置の情報と一致するかどうかを判別し、前記第2のパケット転送装置の隣接装置と前記探索パケットが探索する経路の迂回先装置とが一致すると判別された際には、前記探索パケットの経由装置を宛先とした経路書換パケットを生成して前記ネットワークに送信し、前記第2のパケット転送装置の隣接装置と前記探索パケットが探索する経路の迂回先装置とが一致しないと判別された際には、前記探索パケット内に、前記第2のパケット転送装置を経由したことを記録して、前記探索パケットを前記ネットワークに送信する第2の工程と、
前記第1のパケット転送装置または第3のパケット転送装置が前記経路書換パケットを受信した場合に、前記経路書換パケットに従って、前記第1または第3のパケット転送装置の経路情報を書き換える第4の工程と、を備えた迂回経路設定方法。
【請求項15】
請求項14に記載の迂回経路設定方法であって、
前記探索パケットは、前記迂回先装置のアドレスと、前記経由装置のアドレスと、前記経由装置の経由順序情報とを少なくとも記述し、
前記第3の工程において、前記転送装置を経由したことの記録は、前記第1または第3のパケット転送装置のアドレスを記録することを特徴とする、迂回経路設定方法。
【請求項16】
請求項14に記載の迂回経路設定方法であって、
前記第3の工程において、前記探索パケットの中に既に前記第2のパケット転送装置を経由したことを示す情報が記録されている場合に、前記探索パケットを前記第2のパケット転送装置で破棄し、前記ネットワーク上に再送出しないことを特徴とする、迂回経路設定方法。
【請求項17】
請求項14に記載の迂回経路設定方法であって、
前記第1の工程は、さらに前記第1のパケット転送装置の備えるパケット蓄積部において輻輳状態となったことを検知し、前記パケット蓄積部においてパケットサンプリングを行い、サンプリングされたパケットに基づいて高利用率のトラヒックであると判別されたトラヒックについて、迂回経路を探索する為の探索パケットを生成することを特徴とする、迂回経路設定方法。
【請求項18】
ネットワークに接続されて使用するパケット転送装置であって、
経路情報を記録した記憶部と、
パケットの送受信手段と、
前記転送装置を通過するトラヒックの宛先装置についての情報に基づいて、宛先装置を迂回先装置として前記迂回先装置に至る迂回経路を探索する為の探索パケットを生成し、前記送受信手段によって前記ネットワークに送信する探索パケット生成手段と、
前記送受信手段を介して受信したパケットが探索パケット、探索応答パケットまたは経路書換パケットであることを判別する受信パケット判別手段と、
前記受信されたパケットが探索パケットであると前記受信パケット判別手段で判別された場合、前記受信した探索パケットが探索する経路の迂回先装置の情報が、前記転送装置の隣接装置の情報と一致するかどうかを判別する迂回先装置隣接判別手段と、
前記転送装置の隣接装置と前記受信された探索パケットが探索する経路の迂回先装置とが一致すると、前記迂回先装置隣接判別手段で判別された場合、前記受信された探索パケットの送信元装置を宛先とした探索応答パケットを生成し、前記送受信手段によってネットワークに送信する探索応答パケット生成手段と、
前記転送装置の隣接装置と前記受信された探索パケットが探索する経路の迂回先装置とが一致しないと、前記迂回先装置隣接判別手段で判別された場合、前記受信された探索パケット内に、前記転送装置を経由したことを記録し、前記送受信手段によってネットワークに送信する探索パケット転送手段と、
前記受信されたパケットが探索応答パケットであると前記受信パケット判別手段で判別された場合、前記受信した探索応答パケットに従って、前記受信した探索応答パケットに記述された前記探索パケットの経由装置を宛先とした前記経路情報を書き換える経路書換パケットを生成し、前記送受信手段によってネットワークに送信する経路書換パケット生成手段と、
前記受信されたパケットが経路書換パケットであると前記受信パケット判別手段で判別された場合、前記受信された経路書換パケットに従って、前記経路情報を書き換える経路情報書換手段と、
を備えるパケット転送装置。
【請求項19】
請求項18に記載のパケット転送装置であって、
前記経路書換パケット生成手段は、前記受信されたパケットが探索応答パケットであると前記受信パケット判別手段で判別された場合、一定時間の間、前記送受信手段が第2のパケットを受信し、前記受信パケット判別手段が第2のパケットが第2の探索応答パケットであると判別されるか否かを待機し、受信された第2のパケットが第2の探索応答パケットであると判別された場合、前記探索応答パケットと前記第2の探索応答パケットのうち一を選択して、当該選択されたパケットの情報に基づき経路書換パケットを生成することを特徴とするパケット転送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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