説明

農産物の個別情報管理装置

【課題】固有情報を有する受皿を用いた選別作業で得られた農産物の仕分情報と農産物個々に貼り付けた個体ラベル等とを関連付けて記憶することで、農産物の個別の情報管理を確実に行うことができる農産物の個別情報管理装置を提供する。
【解決手段】農産物Wにおける個体ラベル12のホームページのアドレスにアクセスし、個体ラベル12における個体情報を入力して農産物Wの個別情報を入手可能とした農産物Wの個別情報管理装置であって、農産物Wの仕分情報を取得する仕分情報取得装置4と、個体ラベル12の個体情報を農産物Wへ付与する個体ラベル貼付装置11と、付与された個体ラベル12の個体情報を読み取るラベル情報読取装置13と、農産物Wの生産者、ほ場に関する情報から成る農産物Wの履歴情報を入力する入力装置とを有し、個体ラベルの個体情報と、農産物Wの仕分情報と、農産物Wの履歴情報とを関連付けて管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メロンやリンゴ、トマト等の農産物の例えば選別作業とこの選別された農産物に係わる固有の情報を管理するための作業を効率的に行うことができる農産物の個別情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、物品に当該物品を管理するためのバーコードシール等の個体ラベルを貼付し、当該物品に関する情報(例えば仕分情報や生産者等の履歴情報)を管理することで、物品手配や品質管理等を行うことは、例えば食肉等の食品の流通分野等で知られている。また、農産物についても、選果場等において個々の農産物の情報を管理することが行われており、その具体的方法としては、例えば特許文献1に開示の「青果物の選別方法と装置」もしくは特許文献2に開示の「物品の情報管理装置及び情報管理方法」が提案されている。
【0003】
特許文献1の選別装置は、固有番号が印刷されたバーコードを有する受皿に載せられた農産物を、第1の読取装置により該受皿の固有情報が読み取られると共に、仕分情報検出手段により受皿上の農産物の仕分情報が検出され、この仕分情報が受皿の固有情報と対応させて記憶される。そして、仕分けに際して、第2の読取装置により受皿の固有情報が読み取られこの固有情報と共に記憶されている仕分情報が読み出され、この読み出された仕分情報に基づいて農産物が受皿毎に貯留コンベア上に仕分排出され、仕分けされた受皿上の農産物が箱詰めロボットや手作業によって受皿上から取り出されて箱詰めされるようになっている。
【0004】
また、特許文献2の情報管理装置は、透明インク等で農産物等の物品自体に直接固有情報を付与し、この固有情報が付与された物品を計測装置で計測し、物品自体に付与された固有情報を検出して個々の物品の情報を管理するものであり、固有情報を透明インク等で直接物品に付与することで、固有情報が物品の計測の際に影響を及ぼさないようにしたものである。また、固有情報の付与ミスが発生した場合に、不良品を排除した後に音もしくは光を発する警報装置を設ける「印字不良製品排除装置」が特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特許第2730765号公報
【特許文献2】特開2001−347229号公報
【特許文献3】特許第2903148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の選別装置にあっては、第1の読取装置及び第2の読取装置によって選別ライン上の農産物が載せられた受皿の固有情報を読み取り、この読み取った固有情報により受皿上の農産物の情報を管理する方式であるため、選別ライン上に載せられている状態においては、受皿の固有情報を読み取ることで載せられている農産物の仕分情報を読み取ることは可能である。
【0006】
ところが、受皿から取り出されて箱詰めされた後の農産物については、当該農産物が箱詰めされた段ボール箱に品種や等階級あるいは産地等が表示されるものの、個々の農産物に表示がないことから、農産物を段ボール箱から取り出してしまうと個々の品質等を把握することができないばかりか、他の異なる品種のものと混在しないように別途管理する必要性が生じる。また、選別ライン上においても、受皿から取り出されてしまうと個々の農産物を管理することが困難で、この選別装置においては、農産物の個別情報管理を確実かつ効率的に行うことが難しいという問題点を有している。
【0007】
一方、特許文献2の情報管理装置にあっては、透明インク等を物品の表面に直接付与するため、例えば物品が果実、野菜等のような農産物の場合に、その表面に凹凸がある等一様でないことから読み取りミスが生じ易くなると共に、情報量が多い場合に固有情報付与のための所定のスペースが必要となり、農産物の大きさに制限を受けたり付与ミスも発生し易い。
【0008】
また、固有情報が透明のインク等で形成されるため、固有情報が視認されず、段ボール箱から取り出す際に、固有情報が消えないように注意する必要があると共に、固有情報が消えたりあるいは読み取りができない状態を招く虞がある。さらに、透明インク等の付与ミス時に、付与されたインクが視認されないため、ふき取り作業に時間がかかり、これらのことから、物品の固有情報の付与作業を含めた管理作業が面倒になると共に、確実かつ効率的な管理作業を行うことが難しいという問題点を有している。
【0009】
ところで、特許文献2の情報管理装置において、特許文献3のように、固有情報の付与ミスが発生した場合に、不良品を排除した後に音もしくは光を発する警報装置を設けることも考えられるが、このような装置の場合、ラベルが貼ってあるか否かを単に検査して警報を発するのみであることから、搬送ライン上でラベル貼りが行われた後に、ラベルが貼ってないものについて再度貼り直しを自動的に行うことはできず、物品の固有情報の管理を効率的に行うことは依然として困難である。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、固有情報を有する受皿を用いた選別作業で得られた農産物の仕分情報と農産物個々に貼り付けた個体ラベル等とを関連付けて記憶することで、農産物の個別の情報管理を確実に行うことができる農産物の個別情報管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、農産物に取付けられた個体ラベルに記載されたホームページのアドレスにアクセスし、前記個体ラベルに記載された個体情報を入力することにより農産物の個別情報を入手可能とした農産物の個別情報管理装置であって、前記農産物を搬送させながら、この農産物の仕分情報を取得する仕分情報取得装置と、前記個体ラベルの個体情報を農産物へ付与する個体ラベル貼付装置と、前記個体ラベル貼付装置で付与された前記個体ラベルの個体情報を読み取るラベル情報読取装置と、少なくとも農産物の生産者、ほ場に関する情報から成る農産物の履歴情報を入力する入力装置とを有し、前記ラベル情報読取装置で読み取られた個体ラベルの個体情報と、前記仕分情報取得装置で取得した農産物の仕分情報と、前記入力装置で入力された農産物の履歴情報とを関連付けて管理することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、前記農産物の履歴情報は、農産物の生産者名、ほ場、使用肥料から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、固有情報を有する受皿を用いた選別作業で得られた農産物の仕分情報と農産物個々に貼り付けた個体ラベル等とを関連付けて記憶することで、農産物の個別の情報管理を確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明に係わる個別情報管理装置を選別装置に適用した場合の一実施形態を示し、図1がその概略構成図、図2が農産物が載せられた受皿の正面図、図3が農産物の正面図、図4が個別情報管理装置を使用した農産物の流通経路の説明図である。
【0015】
図1において、選別装置1は、農産物Wが載せられた受皿3を上流側から下流側に向けて矢印イの如く搬送する搬送手段としての搬送コンベア2を有している。この搬送コンベア2の上流側の計測位置S1には、受皿3上の農産物Wを計測する仕分情報取得装置としての計測装置4が配置されると共に、受皿3に付与された固有情報としてのバーコード5を読み取る受皿情報読取装置6(第1受皿情報読取装置)が配置されている。なお、受皿3は、例えば中央部分に凹状の載部開口を有する円筒形状に形成され、個々の受皿3の外周面にバーコードシールが貼着されることによって、それぞれ異なる番号(固有番号)からなる前記バーコード5が付与されている。
【0016】
また、前記計測装置4は、受皿3上の農産物Wに光を照射しその反射光や透過光等により当該農産物Wの外観や内部品質等を計測する計測センサ7と、この計測センサ7の計測データに基づいて当該農産物Wの等階級等を判定する演算判定部8等によって構成されている。そして、この演算判定部8や前記受皿情報読取装置6は、インターネットでアクセス可能な例えば選別装置1が設置される選果場のホストコンピュータ等の記憶装置9に接続され、演算判定部8で判定された農産物Wの等階級や受皿情報読取装置6で読み取られたバーコード5等が、後述する如く所定の状態で記憶されるようになっている。この記憶装置9を主体にして選果場のデータベース10(図4参照)が構築されている。
【0017】
前記搬送コンベア2の計測装置4の下流側(後段)のラベル貼付位置S2には、個体ラベル貼付装置11が配置されている。この個体ラベル貼付装置11は、軸11aを中心に矢印ロの如く回転する複数のラベル貼付部11bを有し、ラベル貼付部11bが受皿3上の農産物Wの表面に所定圧で当接することにより、後述する個体番号12a等の所定の情報が印刷された個体ラベル12が農産物Wの表面に貼付されるようになっている。
【0018】
なお、個体ラベル貼付装置11は、図では一台設置されているが、例えば搬送コンベア2の搬送方向イに沿って複数台(例えば2台)並設することもできる。この個体ラベル貼付装置11を複数台並設する場合は、複数台のうちいずれか一台の個体ラベル貼付装置11を作動させることにより、個体ラベル12の交換作業時の搬送コンベア2の停止を防止することもできるし、受皿3の搬送と複数台の個体ラベル貼付装置11の作動を関連付けることにより、個体ラベル12の貼付作業の作業効率の向上(スピードアップ)を図ることもできる。
【0019】
そして、この個体ラベル貼付装置11の下流側のラベル検査位置S3には、受皿3上の農産物Wに貼付された個体ラベル12の情報(個体番号12a)(個体情報)を読み取る個体ラベル検査手段としてのラベル情報読取装置13が配置されると共に、このラベル情報読取装置13に対応して受皿3のバーコード5を読み取る受皿情報読取装置14(第3受皿情報読取装置)が配置されている。また、ラベル情報読取装置13には、排出装置15を制御する排出制御装置16が接続されており、ラベル情報読取装置13で受皿3上の農産物Wにラベル貼付ミス等により個体ラベル12が貼付されていない場合や読み取りが不可能な場合に、排出制御装置16から作動信号が出力されて排出装置15が作動するようになっている。
【0020】
前記排出装置15は、搬送コンベア2のラベル情報読取装置13の下流側に配置されて戻しコンベア17の上流側17aが連結されている。この戻しコンベア17は、例えば平面視でコ字状(もしくは円弧状)に形成され、その一端側である上流側17a(始端側)が搬送コンベア2の排出装置15に連結され、その他端側である下流側17b(終端側))が前記個体ラベル貼付装置11の上流側(前段)の搬送コンベア2に連結されている。この戻しコンベア17によって、個体ラベル12が貼付されなかった農産物Wが載せられた受皿3が、矢印ハの如く自動的に個体ラベル貼付装置11の前段に戻されて、再び個体ラベル貼付装置11に供給されることになる。この戻しコンベア17、排出制御装置16、排出装置15等によって本発明の個体ラベル補正手段が構成されている。
【0021】
前記搬送コンベア2の排出装置15下流側の仕分け位置S4の最始端側には、仕分け用の受皿情報読取装置18(第2受皿情報読取装置)が配置され、この受皿情報読取装置18の下流側に、排出装置20をそれぞれ有する等階級別の貯留コンベア19が配置されている。この貯留コンベア19は、その搬送方向ニが例えば搬送コンベア2の搬送方向イと直交する方向に指向する状態で複数条配置されている。この各貯留コンベア19の始端側に設けられた排出装置20は、前記記憶部9に接続された仕分制御部21(仕分制御装置)の制御信号によって作動するようになっている。この仕分制御部21、前記3つの受皿情報読取装置6、14、18、演算判定部8、記憶装置9、ラベル情報読取装置13、排出制御装置16等によって本発明の制御手段が構成されている。
【0022】
そして、前記仕分け位置S4の受皿情報読取装置18で農産物Wが載せられた所定の受皿3のバーコード5が読み取られると、この読み取った受皿3のバーコード5に対応した農産物Wの等階級が記憶装置9から読み出され、その等階級に応じた排出装置20が作動するように仕分制御部21から所定の仕分信号が出力される。なお、貯留コンベア19の下流側には、例えば図示しない箱詰めロボットが配置されて、所定量貯留された受皿3上の等階級毎の農産物Wを取り上げて段ボール箱内に箱詰めするか、あるいは人手によって等階級毎の農産物Wが段ボール箱に箱詰めされるようなっている。
【0023】
次に、この選別装置1における農産物Wの具体的な個別情報管理の一例について説明する。先ず、個体ラベル12貼付済みの農産物Wが載せられた受皿3は、図2に示すように、受皿3にバーコード5が貼着され、農産物Wの表面に個体ラベル12が貼付されており、この時、農産物Wに貼付される個体ラベル12は、例えば図3に示すように、個体番号12aとインターネットのホームページのアドレス(URLという)12bと、農産物Wが選別された選果場番号12c等の情報が印刷されている。
【0024】
そして、選果場に所定の生産者から所定数の農産物Wが搬入されると、例えば搬送コンベア2の始端側に設けられた図示しない入力装置によって、生産者名、収穫日、選果日(搬入日)、ほ場、品種あるいは品目、個数等の荷口に関する情報(荷受情報という)が入力され、この荷受情報は、前記演算判定部8内あるいは別途設けた前記記憶装置9の第3記憶部9cに、例えば図1の書込データ3のようにして記憶される。
【0025】
搬送コンベア2に投入される農産物Wの荷受情報が入力されると、当該農産物Wが搬送コンベア2の始端側の受皿3上に一個ずつ例えば作業者によって載せられ、この農産物Wが載せられた受皿3は搬送コンベア2により下流側に搬送される。そして、この受皿3が計測位置S1まで搬送されると、受皿情報読取装置6で受皿3のバーコード5(固有番号)が読み取られ、前記記憶装置9の第1記憶部9aのアドレスメモリに記憶される。
【0026】
また、計測位置S1まで搬送された受皿3上の農産物Wは、計測センサ7で外観や内部品質が計測され、この計測データが演算判定部8に入力されて農産物Wの等級、階級、糖度等が判定される。そして、この判定された等級、階級等(仕分情報という)が、前記読み取った受皿3のバーコード5(固有番号)と対応させて前記記憶装置9の第1記憶部9aに書込データ1のように記憶される。したがって、前記演算判定部8で判定された仕分情報は、当該農産物Wが載せられた受皿5のアドレスメモリに一対一で対応した状態(リンク状態という)で書き込まれる。すなわち、バーコード5が「0003」の受皿3上に載せられた農産物Wの等級が「秀」で階級が「M」で糖度が「14度」の場合は、アドレスメモリの番号「0003」の欄に「秀」「M」「14度」として記憶されることになる。
【0027】
このようにして記憶装置9の第1記憶部9aに、その仕分情報が記憶された農産物Wが載せられた受皿3は、搬送コンベア2でさらに下流側に搬送され、ラベル貼付位置S2まで搬送される。このラベル貼付位置S2まで搬送された受皿3上の農産物Wは、個体ラベル貼付装置11の作動でその表面に個体ラベル12が貼付されて下流側のラベル検査位置S3まで搬送され、該位置S3でラベル情報読取装置13により農産物Wに貼付された個体ラベル12の個体番号12aが読み取られる。このラベル情報読取装置13で個体番号12aが正規に読み取られると、この読み取られた個体番号12aが前記記憶装置9の第2記憶部9bに書込データ2のように記憶される。
【0028】
この時、ラベル情報読取装置13で読み取られた農産物Wが載せられた受皿3のバーコード5が、ラベル情報読取装置13と略同一位置に配置された受皿情報読取装置14で読み取られ、この読み取られたバーコード5に対応した前記第1記憶部9aのアドレスメモリの番号位置に記憶、すなわち個体番号12aが受皿3のバーコード5にリンク状態で記憶される。これにより、受皿3のバーコード5に、仕分情報と個体ラベル12の個体番号情報及び荷受情報が記憶装置9の第1記憶部9aと第2記憶部9bと第3記憶部9cとにリンク状態で記憶されることになる。
【0029】
一方、ラベル情報読取装置13で農産物Wの個体ラベル12の個体番号12aが読み取りできなかった場合、すなわち、個体ラベル貼付装置11のラベル貼付ミス等で受皿3上の農産物Wに個体ラベル12が貼付されていなかった場合は、「ラベル貼付不良信号」が排出制御装置16に入力され、この排出制御装置16の制御信号で排出装置15を作動させる。排出装置15が作動すると、農産物Wに個体ラベル12が正規に貼付されていない受皿3が、搬送コンベア2上から戻しコンベア17上に排出され、この戻しコンベア17によって下流側(搬送コンベア2の戻り方向)に搬送されて、個体ラベル貼付装置11の上流側の搬送コンベア2に例えば手動(もしくは自動的)供給されて戻される。
【0030】
この時、戻しコンベア17による受皿3の搬送コンベア2上への供給(戻し)は、搬送コンベア2上を搬送されてくる前後の受皿3間に位置するように供給して、搬送コンベア2を停止させることなく行うことが好ましいが、例えば自動的に供給する場合は、搬送コンベア2を瞬間的に停止させてその間に搬送コンベア2上に供給することも勿論可能である。この戻しコンベア17により搬送コンベア2上に戻された農産物Wが載せられた受皿3が、再び個体ラベル貼付装置11に供給されることで、受皿3上の農産物Wの表面に個体ラベル12が貼付されて下流側に搬送されることになり、個体ラベル12が貼付されない農産物Wが搬送コンベア2上を搬送されて仕分け位置S4まで搬送されることが確実に防止されることになる。
【0031】
なお、例えば個体ラベル貼付装置11で個体ラベル12が農産物Wの表面にずれて2枚貼りされ、その個体番号12aが正規に読み取れない場合にも、当該農産物Wが載せられた受皿3が戻しコンベア17上に排出され、この戻しコンベア17上で作業者よって2枚貼りされた個体ラベル12が剥がされて、再び搬送コンベア2上に供給される。この場合、農産物Wに個体ラベル12が容易に視認される状態でかつ機械的に貼付されていることから、透明インクを直接印刷する場合等に比較してその剥がし(修正)作業が簡単に行えることになる。
【0032】
そして、このようにして個体ラベル12が確実に貼付された農産物Wが載せられた受皿3は、搬送コンベア2で搬送されて仕分け位置S4まで搬送され、受皿情報読取装置18により受皿3のバーコード5が読み取られる。受皿情報読取装置18で受皿3のバーコード5が読み取られると、該バーコード5に対応した記憶装置9の第1記憶部9aのアドレスメモリの番号が読み出され、この番号に記憶されている仕分情報が仕分制御部21に読み出されて、当該仕分情報に応じた貯留コンベア19の排出装置20が作動する。この排出装置20の作動で、農産物Wが載せられた受皿3が所定の貯留コンベア19上に排出されて貯留され、前述したように受皿3上の農産物Wが個体ラベル12付きの状態で箱詰めされて出荷されることになる。
【0033】
図4は、農産物Wに貼付された個体ラベル12の流通経路における使用方法の一例を示している。以下、これについて説明する。先ず、前記選別装置1で個別情報管理されつつ選別されて出荷された農産物Wは、個別の情報を示す個体ラベル12がそれぞれ貼付された状態で箱詰めされて、市場の中間業者や消費者に出荷される。そして、例えば中間業者である販売店等で販売しようとする農産物Wの荷受情報等を知りたい場合、あるいは消費者が購入した農産物Wの荷受情報等を知りたい場合は、店頭や自宅のパソコン23等を使用し、インターネット等の通信手段24を介して、農産物Wの個体ラベル12に印刷されているURL12bを入力し、前記選果場のデータベース10にアクセスする。
【0034】
この時、個体ラベル12の個体番号12aを入力することで、記憶装置9の第1記憶部9aから第3記憶部9cに記憶されている個体番号に対応した各種情報がパソコン23の画面上に即座に表示される。これにより、消費者等が購入した農産物Wの収穫日やほ場等の荷受情報や仕分情報等を確認しつつ安心して消費することができ、農産物Wに貼付された個体ラベル12によって、例えばその収穫から消費までの個別の情報管理を効率的に行うことが可能になる。
【0035】
このように、上記実施例の選別装置1にあっては、計測装置4の下流側でラベル情報読取装置13の下流側と個体ラベル貼付装置11の上流側間に戻しコンベア17が配置されているため、ラベル情報読取装置13で受皿3上の農産物Wの個体ラベル12貼付状態が検査され、個体ラベル12の貼付不良と検査された受皿3を戻しコンベア17で個体ラベル貼付装置11の上流側に戻すことができて、個体ラベル12の貼付ミス等により個体ラベル12の貼付不良の農産物Wに個体ラベル12を確実に貼付することができる。その結果、個体ラベル12の貼付の無いあるいは読み取り不良の農産物Wが搬送コンベア2で搬送されて仕分け位置S4に供給されることがなくなり、農産物Wが箱詰め時に取り出された場合や搬送コンベア2上で取り出された場合であっても、その個体ラベル12によって等階級を確実かつ即座に把握できて当該農産物Wの的確な処理が可能になる。
【0036】
また、農産物Wが載せられる受皿3のバーコード5と計測装置4で得られた当該受皿3上の農産物Wの仕分情報がリンク状態で記憶装置9に記憶されるため、受皿3のバーコード5を利用した農産物Wの選別作業を確実に行うことができると共に、リンク状態の受皿3のバーコード5と農産物Wの仕分情報とが農産物Wに貼付された個体ラベル12ともリンク状態で記憶装置9に記憶されるため、農産物Wに貼付された個体ラベル12から個々の農産物Wの各種情報を確実かつ容易に得ることができる。
【0037】
さらに、リンク状態の受皿3のバーコード5と農産物Wの仕分情報及び個体ラベル12の情報に、生産者や収穫日、選果日、ほ場等の当該農産物Wの荷受情報がリンク状態で記憶装置9に記憶されるため、例えば個体ラベル12の情報によって、仕分情報や荷受情報等を検索でき、選別装置1が設置される選果場において、個々の農産物Wの個別情報管理を合理的かつ確実に行うことが可能になる。つまり、従来の選別装置の良さを生かしつつ、個体ラベル12の貼付とこの貼付された個体ラベル12とを関連付けて農産物Wの個別の情報を管理できて、個々の農産物の効率的かつ合理的な情報管理が可能になるわけである。
【0038】
また、個体ラベル貼付装置11の下流側に、戻しライン17と排出制御装置16及び排出装置15からなる個体ラベル補正手段を設けることで、仕分け位置S4に供給される農産物Wに、個体ラベル12の貼付不良の農産物Wを無くすことができるため、個体ラベル補正手段の構成を簡易にしつつ、例えば既存の選果場の選別装置1に容易に付設することができる等、汎用性に優れた個別情報管理装置を得ることができる。また、ラベル情報読取装置13が、個体ラベル12の情報読み取りと個体ラベル12の貼付不良検査を兼ねるため、ラベル情報読取装置13の効率運用が図れると共に読取装置13自体の構成の簡略化が図れて、安価な個別情報管理装置を得ることが可能になる。
【0039】
そして、この選別装置1で得られた受皿3のバーコード5、農産物Wの仕分情報、農産物Wの荷受情報等を選果場の記憶装置9に記憶させることで容易にデータベース化できるため、例えば選果場の作業員が所定の情報を入力することで関連する他の情報を即座に検索することができて、管理業務の一層の効率化が図れると共に、個体ラベル12にURL12bを記載することにより、消費者や販売店等において当該農産物Wの荷受情報等をインターネット上で簡単かつ即座に把握することができて、消費者等が安心して農産物Wを消費することが可能になる。
【0040】
なお、上記実施例においては、農産物Wがバーコード5を有する受皿3上に載せられ、該受皿3のバーコード5と農産物Wの仕分情報、荷受情報及び個体ラベル12の情報とがリンク状態で記憶装置9に記憶されるように構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば搬送コンベア2上を適宜形態で搬送される農産物Wに個体ラベル12を貼付し、この個体ラベル12のみによって個々の農産物Wの個別の情報管理を行うこともできる。この場合の個体ラベルとしては、上記実施形態と同様の個体ラベル12でも良いし、例えば計測結果等が印刷された個体ラベルであっても良い。
【0041】
また、記憶装置9に前記荷受情報を除く、受皿3のバーコード5と農産物Wの仕分情報及び個体ラベル12の情報の3つの情報をリンク状態で記憶させるようにしても良い。この場合は、荷受情報を記憶させる必要がなくなって記憶装置9の容量増大を防ぐことができ、例えば選果場内における農産物Wの個別の情報管理に適用して、効率的かつ安価に情報管理を行うことができる。また、上記した仕分情報、荷受情報等は一例であって、例えば使用した肥料等を荷受情報として記憶させる等、他の各種情報を所定の記憶部に記憶させることも可能である。さらに、前記貯留コンベア19の下流側の箱詰め部において、箱の番号や一箱当たりの玉数等を個体ラベル12の番号とリンクさせて記憶することもできるし、出荷の段階において、出荷日、出荷先(市場)、車両番号等を合わせてリンクさせて記憶しておくこともできる。
【0042】
またさらに、上記実施形態においては、バーコード5を有する受皿3を搬送手段としての搬送コンベア2で搬送させる場合について説明したが、搬送手段はこの構成に限らず、記憶装置9に記憶される情報に応じて、例えばバーコード5を有さない受皿3を使用した搬送コンベア、あるいは桟付きの搬送ベルトを有する搬送コンベアであっても良い。またさらに、個体ラベル12の形態もURL12bを記載した上記実施形態に限定されず、例えば通し番号とバーコード等を使用した個体ラベルを使用する等、個々の農産物Wを表示する適宜の個体ラベルを使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
ラベル情報読取装置で読み取られた個体ラベルの個体情報と仕分情報取得装置で取得した農産物の仕分情報等とを関連付けて管理する農産物の個別情報管理装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係わる農産物の個別情報管理装置を使用した選別装置の概略構成図
【図2】同個体ラベル貼付済み農産物が載せられた受皿の正面図
【図3】同個体ラベルが貼付された農産物の正面図
【図4】同選別装置を使用した流通経路の説明図
【符号の説明】
【0045】
1・・・・・・・・・・選別装置
2・・・・・・・・・・搬送コンベア
3・・・・・・・・・・受皿
4・・・・・・・・・・計測装置
5・・・・・・・・・・バーコード
6・・・・・・・・・・受皿情報読取装置
7・・・・・・・・・・計測センサ
8・・・・・・・・・・演算判定部
9・・・・・・・・・・記憶装置
9a・・・・・・・・・第1記憶部
9b・・・・・・・・・第2記憶部
9c・・・・・・・・・第3記憶部
10・・・・・・・・・データベース
11・・・・・・・・・個体ラベル貼付装置
12・・・・・・・・・個体ラベル
12a・・・・・・・・個体番号
12b・・・・・・・・URL
12c・・・・・・・・選果場番号
13・・・・・・・・・ラベル情報読取装置
14・・・・・・・・・受皿情報読取装置
15・・・・・・・・・排出装置
16・・・・・・・・・排出制御装置
17・・・・・・・・・戻しコンベア
18・・・・・・・・・受皿情報読取装置
19・・・・・・・・・貯留コンベア
20・・・・・・・・・排出装置
23・・・・・・・・・パソコン
24・・・・・・・・・通信手段
W・・・・・・・・・・農産物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農産物に取付けられた個体ラベルに記載されたホームページのアドレスにアクセスし、前記個体ラベルに記載された個体情報を入力することにより農産物の個別情報を入手可能とした農産物の個別情報管理装置であって、
前記農産物を搬送させながら、この農産物の仕分情報を取得する仕分情報取得装置と、
前記個体ラベルの個体情報を農産物へ付与する個体ラベル貼付装置と、
前記個体ラベル貼付装置で付与された前記個体ラベルの個体情報を読み取るラベル情報読取装置と、
少なくとも農産物の生産者、ほ場に関する情報から成る農産物の履歴情報を入力する入力装置と、
を有し、前記ラベル情報読取装置で読み取られた個体ラベルの個体情報と、前記仕分情報取得装置で取得した農産物の仕分情報と、前記入力装置で入力された農産物の履歴情報とを関連付けて管理することを特徴とする農産物の個別情報管理装置。
【請求項2】
前記農産物の履歴情報は、農産物の生産者名、ほ場、使用肥料から成ることを特徴とする請求項1記載の農産物の個別情報管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−8723(P2007−8723A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170856(P2006−170856)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【分割の表示】特願2002−273463(P2002−273463)の分割
【原出願日】平成14年9月19日(2002.9.19)
【出願人】(000137328)株式会社マキ製作所 (48)
【Fターム(参考)】