説明

農産物の箱詰装置

【課題】製品箱を起立姿勢から水平姿勢に回動させながら農産物を投入する際に、箱詰め高さにバラツキが生じることがある。
【解決手段】農産物供給コンベア110の供給終端部の下方に製品箱載置手段704を設け、載置する製品箱1を水平姿勢の製品箱交換位置と農産物供給コンベア110の供給終端部に入り込む起立姿勢の農産物投入開始位置との間で製品箱回動手段712により製品箱載置手段704を回動可能に駆動し、製品箱1が製品箱交換位置と投入開始位置との間で回動するのにあわせて、製品箱載置手段704を農産物供給コンベア110の供給方向に沿って傾動させることにより、製品箱1内における農産物の投入位置を農産物供給コンベア110の農産物供給方向に沿って移動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農産物の選別包装施設で好ましく用いられるもので、選別済みの例えば人参、大根などの長物農産物の多数本(個)を製品箱内に一様分布状態で箱詰する農産物の箱詰装置に関する。
【背景技術】
【0002】
選別済み農産物の多数個を例えば所定の重量ずつ製品箱に箱詰する方法として、農産物搬送コンベアの搬送端から農産物を製品箱内に落下させるのが一般的である。そして、製品箱は底面を水平姿勢にして該農産物搬送コンベアの搬送端の下方に載置された製品箱交換位置から傾動されながら上方に移動し、該製品箱の開口が該農産物搬送コンベアの搬送端に臨む箱詰開始位置で停止して農産物が供給されると、今度は前記製品箱交換位置に向けて逆に傾動を開始する。この逆方向への傾動動作により、製品箱内の農産物の個数が増加するのに合わせて農産物の落下スペースを確保しつつ製品箱の開口を水平に近づけ、最終的には前記製品箱交換位置に戻る(特許文献1、2)。
【0003】
また、製品箱内には農産物が所定重量となるように秤量されるようになっており、特許文献2では、農産物を大量に連続搬送する大出しコンベアと、農産物を小出しに搬送する小出しコンベアとを並設し、先ず大出しコンベアで所定重量の直前重量まで農産物を供給し、その後この製品箱を小出しコンベアの搬送先端の下方位置まで搬送し、残重量に相当する個数の農産物を小出しコンベアにより製品箱内に落下供給する。
【特許文献1】特開平03-212314号公報
【特許文献2】特許第3519784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の箱詰装置は、箱詰される農産物の落下による衝撃を緩和して商品価値を高めると共に、箱詰される農産物の偏りをなくし、製品箱の開口面よりも農産物が上方に突出して製品箱のフラップが適正に折り畳めて封函作業に支障が生じないようにしている。
【0005】
しかし、このような従来の箱詰装置において、箱詰終了状態で農産物の偏りが是正されない場合がある。
【0006】
その原因の一つとしては、農産物の外形形状に影響を受けることが挙げられる。すなわち、農産物の箱詰時に製品箱を傾動させることにより、落下位置で山状に積み上がっている農産物を転動等により移動させて平坦化するが、農産物の外形形状がミカン等の球形であると容易に移動することになるが、人参や大根などの長物農産物では箱詰方向が揃えられていてもミカン等と比べて転動性が劣り、移動し難いのが現状である。その際、農産物はどうしても製品箱の傾斜下端側へと移動することになり、製品箱の傾斜下端側となる部分に高く、傾斜上端側となる部分には低く箱詰される。
【0007】
また、他の原因として、農産物の箱詰時に製品箱は傾動するものの、製品箱における農産物の落下供給部分は略同一箇所であるため、農産物が一箇所に山となって積み上がる傾向になると考えられる。
【0008】
一方、農産物を所定の重量に箱詰するために、上述の特許文献2では大出しコンベアと小出しコンベアを並設した構成としているが、農産物を製品箱に供給する農産物搬送コンベアの簡素化が求められている。
【0009】
本発明の目的は、傾動する製品箱に農産物を均等に供給することができる農産物の箱詰装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、第1の目的に加え、低コスト、簡素な構成で実現でき、メインテナンスが容易であること、長物農産物を箱詰するのに有効な箱詰装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的を実現する農産物箱詰装置の第1の構成は、請求項1に記載したように、水平方向に延びる農産物供給路の供給終端部から農産物を製品箱に投入する農産物供給コンベアと、前記農産物供給コンベアの供給終端部の下方に設けられ、載置する製品箱を水平姿勢の製品箱交換位置と前記農産物供給コンベアの供給終端部に入り込む起立姿勢の農産物投入開始位置との間で製品箱回動手段により回動可能に駆動される製品箱載置手段と、前記製品箱が前記製品箱交換位置と前記投入開始位置との間で回動するのにあわせて、前記製品箱内における農産物の投入位置を前記農産物供給コンベアの農産物供給方向に沿って移動させる移動手段と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の目的を実現する農産物箱詰装置の第2の構成は、請求項2に記載のように、上記した第1の構成で、空の製品箱を前記製品箱交換位置に搬送し、農産物が箱詰された製品箱を該製品箱交換位置からさらに下流側に搬送する製品箱搬送装置を前記農産物供給コンベアの供給路に沿って配置したことを特徴とする。
【0013】
本発明の目的を実現する農産物箱詰装置の第3の構成は、請求項3に記載のように、上記した第2の構成で、前記農産物供給コンベアは、前記農産物供給路が正逆転可能に構成され、正転時に前記製品箱載置手段の上方に位置する供給終端部を大出し供給部として農産物を大出し状態で搬送し、逆転時には該大出し供給部と反対側の供給終端部を小出し供給部として使用し、前記製品箱交換位置から下流側位置に搬送された製品箱に前記小出し供給部から農産物を供給することを特徴とする。
【0014】
本発明の目的を実現する農産物箱詰装置の第4の構成は、請求項4に記載のように、上記いずれかの構成で、少なくとも前記製品箱載置手段を秤量機上に設け、製品箱に箱詰される農産物の重量を計量可能としたことを特徴とする。
【0015】
本発明の目的を実現する農産物箱詰装置の第5の構成は、請求項5に記載のように、上記第4の構成で、前記大出し供給部で製品箱に投入された農産物の重量が所定の箱詰重量に達する直前の直前重量を前記秤量機が計測すると、前記農産物供給コンベアを逆転駆動して小出し供給部から残重量に相当する本数の農産物を落下可能とし、一方、当該製品箱を前記製品箱交換位置から搬送方向下流側に搬送して所定位置で一旦停止し、前記小出し供給部から該本数の農産物を当該製品箱に投入することを特徴とする。
【0016】
本発明の目的を実現する農産物箱詰装置の第6の構成は、請求項6に記載のように、上記いずれかの構成で、前記製品箱載置手段には、製品箱を挟圧保持する挟圧保持手段が設けられ、前記製品箱載置手段が前記製品箱交換位置に位置する状態で、該挟圧保持手段の挟圧保持の解除操作を該製品箱載置手段の外部より行う解除手段を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の目的を実現する農産物箱詰装置の第7の構成は、請求項7に記載のように、上記いずれかの構成で、前記移動手段は、前記製品箱載置手段と前記農産物供給コンベアを相対的に移動させることを特徴とする。
【0018】
本発明の目的を実現する農産物箱詰装置の第8の構成は、請求項8に記載のように、上記第7の構成で、前記移動手段は、前記製品箱載置手段を傾動させることにより、前記農産物供給コンベアに対して相対的に移動することを特徴とする。
【0019】
本発明の目的を実現する農産物箱詰装置の第9の構成は、請求項9に記載のように、上記第8の構成で、前記移動手段は、前記秤量機に対して傾動可能に支持された対向する一対の傾動アームと、前記一対の傾動アームを傾動駆動する傾動用駆動手段とにより構成し、前記一対の傾動アームの上端部に前記製品箱載置手段を回動可能に取付けたことを特徴とする。
【0020】
本発明の目的を実現する農産物箱詰装置の第10の構成は、請求項10に記載のように、上記第9の構成で、直線往復動する回動駆動手段の駆動力を前記一方の傾動アームの上下端部間に設けた無端回動する動力伝達手段により回転運動に変換し、前記動力伝達手段の回転運動により前記製品箱載置手段を回動することを特徴とする。
【0021】
本発明の目的を実現する農産物箱詰装置の第11の構成は、請求項11に記載のように、上記いずれかの構成で、前記農産物は、人参等の長物農産物であって、前記供給コンベアの供給方向に対して直交する方向を長手方向として一本ずつ供給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明によれば、製品箱を傾斜或いは略真っ直ぐに起立させた姿勢の投入開始位置から水平姿勢の製品箱交換位置に回動させる間に農産物を投入する際、移動手段により製品箱内に投入される農産物の投入位置が変更されるので、製品箱内に箱詰される農産物の高さをより一層平坦化することができる。製品箱として例えばフラップ付きのダンボール箱を用いた場合、段ボール箱の上面よりも農産物が部分的に突出していると封函作業の際に農産物の上面を平坦化する均し作業を余分に必要とするが、本発明によればこのような均し作業は不要となる。
【0023】
上記した発明の効果に加え、請求項2〜11に係る発明によれば以下のような効果が得られる。
【0024】
請求項2に係る発明によれば、製品箱搬送装置と農産物供給コンベアとを上下に配置できるので、箱詰装置のコンパクト化を図ることができる。
【0025】
請求項3に係る発明によれば、製品箱を製品箱搬送装置により移動させることにより、大出しによる農産物の直前重量まで投入後、次に移動して小出しによる農産物の投入を行っている間に、次の空の農産物を製品箱交換位置に移動させて投入開始位置まで起立させるという準備作業を行えるので、小出しによる農産物の投入が終了すると、直ちに次の製品箱内に大出しによる農産物の投入が行え、箱詰効率をアップすることができる。
【0026】
請求項4に係る発明によれば、秤量機を用いた重量計測が可能となる。
【0027】
請求項5に係る発明によれば、秤量機を用いた重量計測により、大出しと小出しの農産物の供給を製品箱搬送装置上に製品箱を移動させるだけで自動的に行うことができる。
【0028】
請求項6に係る発明によれば、製品箱載置手段を回動させる際に製品箱を挟圧保持手段でしっかりと保持でき、製品箱交換位置では製品箱の挟圧解除により製品箱の自由移動を可能とする。また、解除手段を例えばエアシリンダ装置により構成する場合、どうしてもエアー供給ホースが接続されるため、このエアー供給ホースが製品箱載置手段の重量変動を招くが、解除手段を製品箱載置手段には設けていないので、製品箱載置手段の重量の変動を招くことがない。
【0029】
請求項7に係る発明によれば、移動手段を前記製品箱載置手段と前記供給コンベアを相対的に移動させるだけで実現することができる。
【0030】
請求項8に係る発明によれば、前記移動手段は、前記製品箱載置手段を傾動させるという簡単な構成で製品箱に対する農産物の投入位置を変更することができる。
【0031】
請求項9に係る発明によれば、移動手段と製品箱載置手段をユニット化することができ、またコンパクトな構成で製品箱載置手段の回動を行える。
【0032】
請求項10に係る発明によれば、製品箱載置手段を回動させる回動駆動手段をコンパクトで簡単な構成により実現することができる。
【0033】
請求項11に係る発明によれば、製品箱の幅方向を長物野菜の長さ方向として投入開始位置から投入する際、長物野菜はミカンなどの球形状の農産物に比べて転動性が劣り、一箇所に溜まりやすい傾向にあるが、投入位置をずらすことにより確実に平坦化した状態で箱詰することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
第1実施例
図1〜図8は本発明の第1実施例を示す。図1は本発明による農産物の箱詰装置を備えた農産物の選別包装設備の概略構成を示す平面図、図2は図1の箱詰部の部分拡大図、図3は図2のA‐A矢視図、図4は図3の箱詰部の拡大図、図5は図4の箱詰装置を製品箱の搬送方向下流側から見た正面図(製品箱押え機構を示す図)、図6は図4の箱詰装置を製品箱の搬送方向下流側から見た正面図(製品箱ストッパー機構を示す図)、図7(1)〜(6)は箱詰装置の動作を示す図、図8は動作を示すタイミング図である。
【0035】
図1を参照して選別包装設備の概略構成を説明する。未選別の農産物(以下人参を例にする)Vは無端回動する選別コンベア100の始端側に供給されて、撮像装置等からなり人参Vの外観を計測する計測装置101に向けて搬送される。選別コンベア100は2基が並列に配置され、ピアノの鍵盤のように細長い支持片100aが一定間隔に配列されたいわゆるPK(piano key)コンベアが用いられている。計測装置101で計測した計測結果は、不図示の管理装置に送信され、サイズに合わせてL,M,Sなどの階級が判定される。
【0036】
選別コンベア100には、計測装置101よりも下流側に、階級毎に引出コンベア103が配置され、選別コンベア100上の人参Vが該当する階級の引出コンベア103の上方に達すると、前記管理装置からの排出信号が各引出コンベア103に対応して配置された排出装置104に出力され、農産物Vを支持している連続した複数の支持片100aが傾倒されて農産物Vを下方の引出コンベア103に排出させる。なお、この支持片100aは不図示の傾倒機構により水平姿勢に保持されていて、該傾倒機構の係合レバーを排出装置103により下方に押し込むことにより支持片100aの水平姿勢の保持が解除され、支持片100aが下方に傾倒する。
【0037】
引出コンベア103上を搬送される人参は、長さ方向の向きが不揃いなので整列コンベア105に排出されて長手方向が揃えられる。なお、引出コンベア103の排出端から排出された人参Vは、排出シュート103aを介して整列コンベア105の搬入端側に供給される。
【0038】
本実施例において、整列コンベア105は、引出コンベア103と直列に接続されていて、図3に示すように、搬送終端側を上方に向けた傾斜姿勢に配置している。整列コンベア105は、無端回動する複数のローラで構成され、図2に示すように表面を平坦とするローラ106を間にして右ねじ回りの凸条107aが形成されローラ107と、左ねじ周りの凸条108aが形成されたローラ108を配置し、ローラ106〜108は無端回動軌道を周回しながらローラ軸を中心に同一方向に回転駆動している。
【0039】
排出シュート103aから整列コンベア15に搬入された人参Vは、ローラ106〜108上、あるいはこれらのローラ間に落下することになる。ローラ106〜108上に落下した人参Vはローラ間の細長い溝に落ち込むが、ローラ106〜108は自転しているので、ローラの回転軸に対して斜めの傾斜姿勢でローラに落下した人参Vは凸条107a、108aにより螺進されて向きが矯正されローラ間の溝に嵌り込む。このため、人参Vはローラ軸に沿って向きが揃えられることになる。
【0040】
螺進方向の異なる凸条107a、108aを備えたローラ107と108を凸条なしのローラ106の両側に配置したことにより、例えば右側周り螺進方向での姿勢矯正ができなくても、ローラ106により次の凸条付きのローラで左側周りの螺進方向での矯正を受け、逆側に振られて姿勢の向きが矯正されることになる。
【0041】
整列コンベア105の搬送終端には、人参Vの長さ方向を搬送方向として一列に搬送する一列搬送コンベア109を配置している。一列搬送コンベア109は、整列コンベア105の搬送方向と直交する方向を搬送方向として配置され、図3に示すように、対向する一対のベルトコンベア109aをV字形状に傾斜して配置し、整列コンベア105の搬送終端から排出される人参Vが断面V字形状の一列搬送コンベア109上に落下する。この場合、人参Vは整列コンベア105で一列搬送コンベア109の搬送方向に沿って整列しているので、一列搬送コンベア109のV字谷部分にそのまま落下する。このV字谷部分の両側に配置されているベルトコンベア109aは、図1、図2に示すように、供給コンベア110に向けて無端回動し、人参Vを供給コンベア110に向けて搬送する。
【0042】
供給コンベア110は、無端回動するベルトコンベアに一定間隔で仕切りリブ110aを幅方向に形成した構成とし、図3に示すように搬送面を一列搬送コンベア109よりも下側に位置させて、該一列搬送コンベア109の搬送方向と直交する方向に配置している。一列搬送コンベア109の搬送端から長さ方向に沿って排出される人参Vは、供給コンベア110の仕切りリブ110aの間の農産物載置部に一本ずつ供給される。一列搬送コンベア109の搬送終端には、農産物検知センサ(不図示)が配置され、供給コンベア110の農産物載置部が空であるか農産物である人参Vが載置されているかを判断できるようにしている。
【0043】
供給コンベア110は、図3に示すように、矢印A方向に回動する正方向回転と、矢印B方向に回動する逆方向回転とを可能とし、矢印A方向回転での供給端を大出し部110b、矢印B方向回転での供給端を小出し部110cとする。
【0044】
供給コンベア110の下方には、段ボール箱である製品箱1の製品箱搬送装置2が供給コンベア110の搬送方向に沿って配置されている。
【0045】
製品箱搬送装置2は、空箱供給コンベア111の側方に配置され、空箱供給コンベア111上の空の製品箱1が押出し方式の配函装置112により押出されるローラコンベアで構成される第1搬送コンベア2aと、後述する秤量機3に設けた製品箱載置台の載置部をなし、第1搬送コンベア2aから送られる空の製品箱1が受け渡されるローラコンベアで構成される第2搬送コンベア2bと、第2搬送コンベア2b上に載置されている人参が直前重量まで箱詰されている製品箱1が受け渡されるローラコンベアで構成される第3搬送コンベア2cとを直列に配置した構成としている。
【0046】
第1搬送コンベア2aには搬送路の途中に第1ストッパ2dが設けられ、第3搬送コンベア2cには、搬送始端側から製品箱1を丁度1箱分停止させる位置に第2ストッパ2eが配置され、搬送終端位置に第3ストッパ2fが配置されている。これらのストッパ2a〜2eは、搬送面の下方に没入しているストッパロッドがエアシリンダにより該搬送面よりも上方に突出し、製品箱1の搬送方向前端壁と当接して製品箱1の移動を停止する。
【0047】
本実施例による箱詰装置は、製品箱1を秤量機3に載置した状態で農産物である人参Vを当該製品箱1に供給する大出し箱詰部4と、大出し箱詰部4で直前重量に箱詰された製品箱1を第3搬送コンベア2cの第2ストッパ2eで停止して農産物である人参Vを供給する小出し箱詰部5とにより構成している。
【0048】
大出し箱詰部4は、第1搬送コンベア2aと第3搬送コンベア2cとの間に配置した秤量機3上に製品箱傾動装置7を取り付け、供給コンベア110がA方向に回動したときに、その供給端が秤量機3の上方に位置した構成としている。また秤量機3を製品箱1の搬送面よりも下方に配置している。
【0049】
また、第1搬送コンベア2aと第3搬送コンベア2cの幅方向(ローラの長さ方向)両側部でローラを支持するフレーム部材2g、2hとを中間フレーム部材2iで固定している。なお、中間フレーム部材2iは秤量機3及び製品箱傾動装置7とは固定されていない。
【0050】
製品箱傾動装置7の重量は予め求められているので、この製品箱傾動装置7に載置された製品箱1に供給された農産物である人参Vの重量が秤量機3により計量される。秤量機3で計量された計量情報は不図示の管理装置に入力され、該管理装置は直前重量に達すると大出し停止信号を供給コンベア110の駆動制御装置(不図示)、製品箱傾動装置7の駆動制御装置(不図示)等に出力する。
【0051】
製品箱傾動装置7の構成を図4〜図6を参照して説明する。
【0052】
秤量機3の載せ台3a上に基板701が取付けられ、この基板701の幅方向(製品箱搬送装置2の搬送方向と直交する方向)の両側で、前端部(製品箱搬送装置2の搬送方向下流側を前、上流側を後とする)に側板702を固定している。この一対の側板702には、それぞれ傾動アーム703の下端が回動自在に取付けられ、上端は上方に位置する供給コンベア110と干渉しない位置で、できる限り上方まで延びている。
【0053】
側板702には、軸孔702aが形成され、この軸孔702aに中空円筒形状の軸受部材702bが貫通固定されている。傾動アーム703の下端部に形成した軸孔703aがこの軸受部材702bに回動自在に装着され、軸受部材702bの軸方向外端部に螺着した抜け止めナット702cにより傾動アーム703の軸方向への抜け出しを阻止している。
【0054】
対向する一対の軸受部材702bには回転軸702dが軸支され、他端部には下スプロケット702eが固定されている。
【0055】
また、一対の傾動アーム703の上端部には軸孔703bが形成され、この軸孔703bに中空の軸受部材703cが嵌合固定されている。この軸受部材703cには、台支軸703dが回動自在に貫通支持されている。左右の台支軸703dは、傾動アーム703の内側に位置する一端側において、製品箱載置台704の支持アーム部704aの上端部に固定されている。本実施例では、一方の台支軸703dを駆動軸とし、その他端側に上スプロケット703eを固定している。
【0056】
製品箱載置台704は、上述した第2搬送コンベア2bを製品箱載置台とし、第2搬送コンベア2bの前端部で幅方向両側に支持アーム部704aを固定し、側面略L字形状に形成している。なお、製品箱1が第2搬送コンベア2bから第3搬送コンベア2cへ移動する際に、製品箱載置台704が移動の障害とならないように、製品箱1の幅よりも広い間隔を有して支持アーム部704aを対向配置している。
【0057】
製品箱載置台704の第2搬送コンベア2bの前端部には、幅方向に対向して一対のストッパロッド705が上下方向に移動可能に設けられている。
【0058】
一対のストッパロッド705は、下端部が取付け板705aに固定されている。また、支持アーム704aの間に、ストッパロッド705の上下方向移動を案内すると共に、ストッパロッド705が第2搬送コンベア2bの搬送面より上方に突出する突出位置を規制するガイド部材706が該搬送面よりも下方位置に設けられている。このガイド部材706は、第2搬送コンベア2bの幅方向両側に設けられているコンベアフレーム(図示省略)間に固定された渡し板706aにストッパロッド705に合わせて貫通孔706bが形成され、この貫通孔706bに合わせて渡し板706aの下面側に中空のガイド筒706cが固定されている。そして、取付け板705aに固定された一対のストッパロッド705を各ガイド筒706cの下端側から差し込み、取付け板705aと渡し板706aとの間にバネ707を取付けている。このバネ707のバネ力により、取付け板705aがガイド筒706cの下端に当接するまで上方に向かって付勢され、ストッパロッド705が第2搬送コンベア2bの搬送面より上方に突出し、製品箱1の移動が阻止される。
【0059】
この取付け板705aをバネ707のバネ力に抗して下方に押し下げると、ストッパロッド705が第2搬送コンベア2bの搬送面よりも下方に下がり、製品箱の移動阻止が解除されることになる。
【0060】
本実施例において、取付け板705aの下方移動を、第3搬送コンベア2cの後端部に取付けた例えばエアシリンダを用いたストッパ駆動装置708により行っている。ストッパ駆動装置708は、ピストンロッド708aを上方に向けて上下方向に配置したエアシリンダ708bと、ピストンロッド708aの先端部に固定したΓ形状のフック部708cとにより構成している。そして、製品箱載置台704が図4中実線で示す製品箱交換位置に位置し、製品箱1を製品箱載置台である第2搬送コンベア2b上に載置させた状態でその移動を阻止する場合、ピストンロッド708aが上方位置まで延び、フック部708cが取り付け板705aよりも少し上方に位置する。この状態で、傾動アーム703aが図4中矢印C方向に傾動しても、ストッパロッド705を突出させた状態を維持してストッパ駆動装置708と切り離される。
【0061】
一方、製品箱載置台704が図4中実線で示す製品箱交換位置に位置し、製品箱1を第2搬送コンベア2bから第3搬送コンベア2cへ移送する場合、取付け板705aの少し上方に位置しているフック部708cを下方に下げるようにピストンロッド708aを下方へ移動させ、フック部708cを取付け板705aに係合させる。さらにピストンロッド708aは、ストッパロッド705が搬送面よりも下方に没入する位置まで降下して停止する。すなわち、ストッパロッド705を搬送面から下方に没入させる必要がある場合にはピストンロッド708aを縮め、それ以外では上方に延ばした状態に維持される。
【0062】
また、製品箱載置台である第2搬送コンベア2b上には、図5に示すように製品箱1をその幅方向両側で挟むように加圧保持する挟圧保持機構709を設けている。
【0063】
挟圧保持機構709は、第2搬送コンベア2bの幅方向の両側に対向配置した一対の箱押さえパッド709aと709bとの間隔を相対的に拡縮可能としたもので、本実施例では図5に示すように、一方の箱押さえパッド709aを可動、他方の箱押さえパッド709bを固定としている。
【0064】
第2搬送コンベア2bの対向するコンベアフレーム間には、上記した可動の箱押えパッド709aを可動可能に支持すると共に、固定の箱押さえパッド709bを端部に固定している支持板709cが固定されている。
【0065】
支持板709cは、下面側に幅方向に沿って対向配置した軸受片709d、709eに可動ロッド709fを可動可能に軸支し、この可動ロッド709fの先端に可動の箱押さえパッド709aを固定している。可動ロッド709fには、一対の軸受片709dと709eの間に位置してバネ受部709gを設け、バネ受部709gと一方の軸受片709dとの間に、可動ロッド709fを通してコイルバネ709hを装着している。また、支持板709cには可動の箱押えパッド709aが幅方向に移動できる長溝709jが形成されている。したがって、コイルバネ709hのバネ力により可動の箱押さえパッド709aは固定の箱押さえパッド709bに向かって移動し、製品箱1の一方の側面と当接して他方の側面を固定の箱押さえパッド709bに押付ける。これにより、製品箱1はコイルバネ709hのバネ力により一対の箱押えパッド709aと709bにより挟圧保持されることになる。
【0066】
なお、本実施例において、可動の箱押えパッド709aを2列設け、固定の箱押えパッド709bを前記2列の可動の箱押さえパッド709aに正対した範囲を少なくともカバーするように搬送方向に沿って長く形成している。
【0067】
一対の箱押えパッド709aと709bによる製品箱1の挟圧保持を解除するには、可動ロッド709fをコイルバネ709hのバネ力に抗して先端側に移動させれば良く、可動の箱押さえパッド709aが製品箱1の一方の側面から離れて製品箱1の挟圧保持が解除される。
【0068】
本実施例において、可動ロッド709fの他端に受板709iを固定し、中間フレーム部材2iに水平に取付けた挟圧保持解除用装置710を設けている。この挟圧保持解除装置710は、一本の可動ロッド709f毎に設けても良く、また2本の可動ロッド709fの後端間を接続部材(不図示)により接続し、この接続部材に受板709iを設けるようにしても良い。
【0069】
挟圧保持解除装置710は、エアシリンダ装置710aを中間フレーム部材2iに水平姿勢で固定し、ピストンロッド710bの先端に押圧板710cを取り付けている。押圧板710cと受板709iとの関係は、製品箱載置台704が図4中実線で示す製品箱交換位置に位置した状態で押圧板710cと受板709iとが隙間を有して正対している。そして、この状態でピストンロッド710bを延ばす方向にエアシリンダ装置710aを駆動すると、押圧板710cが受板709iに当接し、さらに受板709iをコイルバネ709hのバネ力に抗して可動ロッド709fの先端側に向けて移動させ、可動の箱押さえパッド709aを第2搬送コンベア2bの幅方向の端まで移動させ、製品箱1を第1搬送コンベア2aから第2搬送コンベア2bへ搬入可能とし、また第2搬送コンベア2bで挟圧保持されていた製品箱1を第3搬送コンベア2cへ搬入可能とする。
【0070】
上述した一対の傾動アーム703間に連結棒703fが固定され、基板701の後端部に取付けた傾動駆動用シリンダ装置711のピストンロッド711aがこの連結棒703fに連結され、ピストンロッド711aが延びた状態において傾動アーム703が基板701に対して起立した状態に保持され、この状態からピストンロッド711aを縮めると傾動アーム703が矢印C方向の後方に向かって、回転軸702dを回転中心として傾動する。
【0071】
また、回転軸702dの他端には上述した下スプロケット702eと並んで回動レバー702fが固定されている。基板701の後端で、幅方向の他端側に取付けた台回動用シリンダ装置712のピストンロッド712aが回動レバー702fに連結されている。
【0072】
上述した上スプロケット703eと下スプロケット702eとの間には一体に回転する2連の中間スプロケット703gが傾動アーム703に取り付けられ、上スプロケット703eと一方の中間スプロケット703gとの間に無端チェーン712bが掛け回され、下スプロケット702eと他方の中間スプロケット703gとの間には同様に無端チェーン712bが掛け回され、図4において、矢印E方向に回動レバー702fを回動すると、回転軸702dが同方向に回転して下スプロケット702eも同方向に回転する。すると、2本の無端チェーン712b及び一体に回転する2連の中間スプロケット703gを介して上スプロケット703eが同方向に回転して台支軸703dが回転し、製品箱載置台704が矢印G方向に傾動する。
【0073】
製品箱載置台704が矢印G方向に傾動すると、製品箱載置台704の製品箱載置台である第2搬送コンベア2bに挟圧保持機構709により挟圧保持されている製品箱1は、製品箱交換位置において開口を上方に向けているが、開口を徐々に前方へ向けるように持ち上げられる。その際、傾動アーム703も製品箱載置台704の回動に同期して矢印C方向に傾動し、図4の2点鎖線で示す農産物供給開始位置で停止する。この農産物供給開始位置において、空の製品箱1は製品箱交換位置から90度に近い傾斜した角度まで回動し、供給コンベア110が矢印A方向に回転して農産物である人参Vを連続的に供給する大出し供給部110bにおいて、製品箱1内に供給コンベア110の供給端が入り込む。
【0074】
そして、この農産物供給開始位置から製品箱載置台704を矢印H方向に向けて傾動させながら傾動アーム703も矢印D方向へ傾動させる。その際、供給コンベア110の大出し供給部110bでの供給終端と、この供給終端から落下する農産物である人参Vの製品箱1内における落下位置は、製品箱の前側(上記の場合と同様に製品箱搬送装置2の搬送方向下流側を前側、上流側を後側とする)から後方へ徐々に移動する。この動作を図7、図8を参照して以下に説明する。
【0075】
図7(a)は、製品箱搬送装置2の第1搬送コンベア2aからフラップ1aを開いた空の製品箱1を第2搬送コンベア2bに移送した状態を示し、製品箱傾動装置7の傾動アーム703は略直立に起立し、製品箱載置台704が第2搬送コンベア2bが製品箱搬送装置2の搬送面に一致した水平位置に維持された待機状態にある。また、ストッパ駆動装置708のフック部708cは、最上位置に停止してストッパロッド705がバネ707のバネ力で突出するのを許容している。また、挟圧保持解除装置709は、第2搬送コンベア2bに空の製品箱1が移送されるまでは可動の箱押えパッド709aを幅方向一端側に位置させた挟圧保持解除状態にあり、空の製品箱1がストッパロッド705に当接して第2搬送コンベア2bの所定位置に停止した状態を確認後(例えば製品箱検知センサが第2搬送コンベア2bに移送されたことを検知して所定時間経過後)、エアシリンダ装置710aのロッドを縮めて可動の押えパッド709aをバネ709hのバネ力で製品箱1の側面に当接させ、一対の押えパッド709aと709bにより製品箱1の挟圧保持を行われて後述の回動時に製品箱1が第2搬送コンベア2bからずれるのを防止している。この製品箱入替動作が完了すると、製品箱1内に農産物である人参Vの箱詰のために、製品箱載置台リフト動作が不図示の製品箱傾動制御装置により開始される。この製品箱傾動制御装置の動作手順は、図8に示すタイミングチャートに従って行われ、各製品箱載置台リフト動作は、秤量機3の計量した計量値に基づいて行われる。なお、製品箱載置台リフト動作を行う計量値については任意に設定できる。
【0076】
製品箱載置台リフト動作は、先ず製品箱載置台704が人参の投入位置に到達するまでの角度の半分まで回動するように台回動用シリンダ装置712を駆動する。この半分の角度まで製品箱載置台704を移動させると、秤量機3をリセットするリセット時間を待つ。このリセット時間まで傾動アーム703は製品箱交換位置に停止し、リセット時間が経過すると、図7(b)に示すように、傾動アーム703と製品箱載置台704が同期して所定の投入位置まで傾動する。この秤量機の秤リセットを行う位置は、供給コンベア110の大出し部110bに製品箱1が入りかけた状態にあり、このまま製品箱載置台704を傾動させると大出し部110bに衝突するので、ここからは傾動アーム703を傾動させることにより製品箱1を大出し部110bの搬送終端から遠ざけつつ製品箱1を直立方向に傾動させ、底位置となった製品箱1の前壁に大出し部110bの搬送終端が近づく。この位置を投入第1位置とする。
【0077】
投入第1位置に製品箱載置台704が到達すると、供給コンベア110を正転駆動させて大出し部110bより人参Vを製品箱1内へ投入する大出し処理が開始される。その際、人参Vは長さ方向を幅方向に揃えて製品箱1内に投入される。この第1投入位置で製品箱1内に投入される人参Vは、製品箱1の前壁に落下投入される。第1投入工程で投入された人参Vは、製品箱1の前壁面から底面に渡って溜まるので、所定重量の人参Vが投入されると、図7(c)に示すように、製品箱載置台704のみを上述のリフト動作方向と逆のダウン動作方向に、総回動角度の約4分の1程度の角度(以下ダウン回動角度と称す)だけ回動させて停止する(この停止位置を以下投入第2位置とする)。なお、製品箱載置台704はこの投入第2開始位置まで回動するが、傾動アームは依然投入第1位置での傾動位置に維持される。
【0078】
製品箱載置台704が投入第1位置から投入第2位置へ回動したことにより、製品箱1内の人参Vは、前壁と底面とがなすV字状の角部分にならされるように移動し、大出し部110bの搬送終端の下方に存在する製品箱1の容積が増える。
【0079】
投入第2位置において、大出し部110bから人参Vを所定重量投入すると、図7(d)に示すように、傾動アーム703を所定の傾動角度(投入開始位置から上述の製品箱交換位置までの総傾動角度の約3分の1程度)だけプラス方向に傾動させて製品箱載置台704を全体的に搬送方向下流側に向けて移動させると共に、製品箱載置台704を前記ダウン回動角度だけ回動させて停止する(この停止位置を以下投入第3位置とする)。
【0080】
製品箱載置台704が投入第2位置から投入第3位置へ回動することにより、製品箱載置台704に保持されている製品箱1は全体的に製品箱搬送装置2の搬送方向下流側に移動し、大出し部110bの搬送終端から落下する人参Vは、製品箱1の後方側へと移動する。そうすると、投入第3位置では今まで投入された人参Vの存在が少ない領域に新たに人参Vが投入されることになり、投入された人参Vの高さを偏らせることなく平坦化することができる。そして、図7(e)に示すように、投入第3位置からさらに投入第4位置へ製品箱載置台704を傾動させる際に、製品箱1内の人参Vは全体的にならされて高さが平均化される。
【0081】
投入第3位置から前記ダウン回動角度だけ製品箱載置台704を回動させ、さらに傾動アーム703をプラス方向に所定の傾動角度だけ傾動させる。そうすると、製品箱載置台704が全体的にさらに製品箱搬送装置2の搬送方向下流側に移動し、大出し部110bの供給終端から製品箱1内に落下する人参の落下位置が、製品箱1の後壁に近づき、製品箱1内に既に投入された人参Vが少ない領域に投入されることになる。投入第1位置か投入第4位置へと製品箱を全体として傾動移動させつつ製品箱載置台704を回動させ、各位置で人参を製品箱1内に投入することにより、製品箱1に対する人参Vの投入位置を製品箱1の前壁から後壁へ向けてずらすことができ、また製品箱1を徐々に水平姿勢へ向けて回動させる際に人参Vの箱詰高さをならして平坦化することができる。
【0082】
投入第4位置において傾動アーム703は元の製品箱交換位置に戻り、この投入第4位置での人参Vの投入により直前重量に達したことを秤量機3が検出すると、供給コンベア110の駆動を停止し、大出し部110bからの人参Vの供給を停止する。
【0083】
そして、投入第4位置での予め設定している処理時間(秤量機3が安定して重量を測ることができる時間)が終了すると、製品箱載置台704を元の製品箱交換位置まで回動させ、人参Vの箱詰高さをならす。
【0084】
人参Vが直前重量まで投入されて製品箱交換位置に戻った製品箱1は、第3搬送コンベア2cに移送されて小出し部110cより人参Vの小出し供給を受けるが、その前に、挟圧保持機構709で第2搬送コンベア2b上に挟圧保持されている製品箱1の挟圧解除を挟圧解除用のエアシリンダ装置710aを駆動し、ピストンロッド710bを延ばして可動ロッド709fをバネ709hのバネ力に抗して移動させ、可動の箱押えパッド709aを製品箱1の側面から離す。
【0085】
製品箱1の挟圧保持の解除を行うと共に、ストッパ駆動装置708の駆動によりフック部708cを下方に移動させてストッパロッド705を搬送面よりも下方に没入させることにより、図7(f)に示すように、第2搬送コンベア2b上の製品箱1は第3搬送コンベア2cに搬送可能となる。その際、第3搬送コンベア2cに設けた第2ストッパ2eが搬送面よりも上方に突出した状態にあり、第2搬送コンベア2bより第3搬送コンベア2cに送出された製品箱1は第2ストッパ2eにより、直ちに搬送が阻止されて小出し箱詰部5に停止する。
【0086】
小出し箱詰部5において、第2ストッパ2eで停止された製品箱1の真上に供給コンベア110の小出し部110cの搬送終端が位置し、供給コンベア110の駆動方向が逆転方向に切り替わる。この切り替えタイミングは、例えば正転方向の回転を停止後所定のタイマー時間経過後に切り替わるようにすることができる。
【0087】
大出しに人参Vを供給する場合、直前重量で人参Vの供給を停止するといっても常に同じ直前重量が製品箱1内に供給されるわけではなく、残重量も例えば人参の本数に換算して1本或いは2本程度のバラツキがあるので、計測した直前重量から実際に求めた残重量に対応した人参Vの本数を演算する。そして、供給コンベア110の小出し部710cの搬送終端から演算した本数分の人参Vを製品箱1に落下供給して箱詰を行う。
【0088】
小出し箱詰部5での箱詰が終了すると、第2ストッパ2eを解除して所定重量の人参Vを箱詰した製品箱1を第3搬送コンベア2cの搬送終端に向けて移動させる。
【0089】
第3搬送コンベア2cの搬送終端には製品搬送コンベア8が配置され、各第3搬送コンベア2cから人参Vの箱詰されている製品箱1がこの製品搬送コンベア8に供給される。
【0090】
なお、本実施例において投入第1位置から投入第4位置への切り替え及び投入第4位置の終了は計量した計量値により行っているが、投入している時間に基づいて切り換えるようにしても良い。
【0091】
また、供給コンベア110は、その片側あるいは両側に配置した不図示の固定フレーム部材に対し固定され、大出し部110bが製品箱1をかぶせることができるように飛び出ている構成としているが、供給コンベア110と前記固定フレーム部材とを直進移動機構を介して接続し、人参の大出し供給の際に該直進移動機構を大出し部110b側に移動させることで製品箱1に対する人参Vの落下位置を変更することが可能となる。この場合、製品箱載置台704の回動と、傾動アーム703の傾動だけでは届かない製品箱1の後壁近くまで人参Vを直接落下させることが可能となる。
【0092】
また、前記直進移動機構を往復移動させることにより、製品箱1に対する人参Vの落下位置を製品箱1の前壁と後壁との間にわたって投入することができ、箱詰される人参Vの高さをより一層均一化することができる。
【0093】
さらに、本実施例において、供給コンベア110を一方向に駆動し、大出し時の供給速度を速くし、小出し時の供給速度を遅くすることにより、製品箱1を製品箱載置台704に載置した状態で残重量に対応した本数の人参Vの投入が可能であるが、人参を効率よく箱詰することを考えると、本実施例のように、大出しの終了により製品箱載置台704から製品箱1を排出し、次の空の製品箱1を製品箱載置台704に載置させ、上述のリフト動作を実行させれば、その間供給コンベア110の小出し部110cより人参の投入ができることとなり、該リフト動作の終了後直ちに大出しによる人参の投入が行える。したがって、前記リフト動作の時間が短縮でき、その分処理能力がアップすることになる。
【0094】
さらに、正確に計量値を計量するために大出しコンベアの供給速度を計量値に基づいて変更することもできる。これにより、連続的に供給した際の落下時に生じる衝撃を、供給速度を変更(遅く)することにより落下時の衝撃を抑え、秤量機の計量値が不安定になるのを防ぐことができる。
【0095】
第2実施例
図9及び図10は本発明の第2実施例を示す。
【0096】
本実施例は、製品箱1を搬送する製品箱搬送装置2の搬送方向に対し、供給コンベア2の供給方向が直交する場合を例示するものである。
【0097】
製品箱搬送装置2は、図10に示すように、空の製品箱1が搬送される第1搬送コンベア2aと、製品箱載置台704の製品箱載置台をなす第2搬送コンベア2bと、第2搬送コンベア2b上の直前重量に人参Vが箱詰された製品箱1が送出される第3搬送コンベア2cとが直線状に並んで構成され、第1搬送コンベア2aと第3搬送コンベア2cとの間に秤量機3を配置し、その上に製品箱傾動装置7を取付けている構成は第1実施例と同様である。
【0098】
第1実施例における製品箱傾動装置7は、傾動アーム703を搬送路の幅方向両側に配置し、その間を製品箱1が通過できるようにしているが、本実施例では第2搬送コンベア2bの片側で、第2搬送コンベア2bの搬送方向前後に並んで傾動アーム703を配置した構成としている。本第2実施例における製品箱傾動装置7の基本的な構成は第1実施例と同様で、傾動アーム703が製品箱搬送装置2の搬送方向に沿って設けた回転軸702dを中心として傾動し、製品箱載置台704を供給コンベア110の搬送(供給)方向に沿って移動させている。
【0099】
本第2実施例において、製品箱搬送装置2により搬送される製品箱1は、第1実施例とは逆に長手方向を幅方向として搬送され、第2搬送コンベア2b上において製品箱載置台704の支持アーム部704aに製品箱1の短手方向の前壁が向かい合う。これは、製品箱1の幅方向に人参Vを並べて箱詰することにより、供給コンベア110上の人参の載置方向に合わせたことによる。
【0100】
製品箱載置台704の載置台をなす第2搬送コンベア2b上に空の製品箱1が搬送されると、搬送面よりも上方に突出している製品箱停止ストッパ901によりこの製品箱1の搬送が停止される。この製品箱停止ストッパ901は、第1搬送コンベア2aと第3搬送コンベア2cの各ローラをその両側で支持するフレーム部材2g、2hとを接続する中間フレーム部材2iの間に差し渡された取付け板901aにエアシリンダ装置901bを固定し、そのピストンロッドの上端部にストッパロッド901cを固定した構成としている。
【0101】
製品箱載置台704の支持アーム部704a、及び傾動フレーム703は第2搬送コンベア2bに移入、排出される製品箱1の搬送に障害となる位置には配置されていない。このため、支持アーム部704a、及び傾動フレーム703の各間隔を製品箱1の短手方向の長さよりも短く設定し、傾動時に一対の支持アーム部704aに製品箱1の短手側である前壁を当接させて製品箱(箱詰された人参も含めて)の荷重を支持するようにしている。本第2実施例では一対の支持アーム部704aで傾動する製品箱1を支持しているので、製品箱1を挟圧保持していない。しかし、第1の実施例のように、製品箱1を挟圧保持する挟圧保持機構により、製品箱1を短手方向の壁(前壁、後壁)間で挟圧保持するようにしてもよい。
【0102】
なお、台駆動用シリンダ装置712の駆動により、回動レバー702fを回動し、上下のスプロケット702e,703eに掛け回された無端チェーン712bを介して支軸703dを回動し、製品箱載置台704を回動する点、傾動駆動用シリンダ装置711により一対の傾動アーム703を傾動させる点及び構成は、上記の第1実施例と同様であり、これら傾動アーム703及び製品箱載置台704の傾動動作は第1実施例と同様である。また、第1実施例と同様に供給コンベア110をその搬送方向に沿って移動できるようにしても良い。
【0103】
本第2実施例では、製品箱搬送装置2の搬送方向と供給コンベア2の供給方向が直交しているので、1台の供給コンベア2の供給方向を切り替えて大出しと小出しを使い分けようとするには無理がある。そのため、製品箱搬送装置2を2条に配列し、供給コンベア110の両端から交互に人参Vを大出し、一方の製品箱搬送装置2の第2搬送コンベア2bに載置している製品箱1に対して人参Vを大出しで投入している間に、他方の製品箱搬送装置2の第2搬送コンベア2bに到達した製品箱1をリフト動作させるようにすることができる。
【0104】
そして、第3搬送コンベア2c上のいずれかに位置に小出し箱詰部を設けてその位置に製品箱1を停止させ、残重量に対応した本数の人参を投入すればよい。
【0105】
前記小出し部における農産物の投入手段としては、一列搬送コンベア109と同様のコンベアを並設して小出し部まで設け、供給コンベア110と同様のコンベアで指示された本数の人参を製品箱1内に投入することが例示できる。この場合、投入する人参の向きは製品箱1内に箱詰されている人参の向きに揃えるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明による農産物の箱詰装置を備えた農産物の選別包装設備の概略構成を示す平面図。
【図2】図1の箱詰部の部分拡大図。
【図3】図2のA‐A矢視図。
【図4】図3の箱詰部の拡大図。
【図5】図4の箱詰装置を製品箱の搬送方向下流側から見た正面図(製品箱押え機構を示す図)。
【図6】図4の箱詰装置を製品箱の搬送方向下流側から見た正面図(製品箱ストッパー機構を示す図)。
【図7(a)(b)】(a)〜(b)は傾動アームと製品箱載置台の動作を示す図。
【図7(c)(d)】(c)〜(d)は傾動アームと製品箱載置台の動作を示す図。
【図7(e)(f)】(e)〜(f)は傾動アームと製品箱載置台の動作を示す図。
【図8】図8は図7に示す動作のタイミング図である。
【図9】本発明の第2実施例を示す正面図。
【図10】図9の側面図。
【符号の説明】
【0107】
V 農産物(人参)
100 選別コンベア
100a 支持片
101 計測装置
103 引出コンベア
103a 排出シュート
104 排出装置
105 整列コンベア
106,107,108 ローラ
107a,108a 凸条
109 一列搬送コンベア
109a ベルトコンベア
110 供給コンベア
110a 仕切りリブ 110b 大出し部 110c 小出し部
111 空箱供給コンベア
112 配函装置
1 製品箱
2 製品箱搬送装置
2a 第1搬送コンベア 2b 第2搬送コンベア
2c 第3搬送コンベア
2d 第1ストッパ 2e 第2ストッパ 2f 第3ストッパ
2g,2h フレーム部材 2i 中間フレーム部材
3 秤量機
3a 載せ台
4 大出し箱詰部
5 小出し箱詰部
7 製品箱傾動装置
701 基板
702 側板
702a 軸孔 702b 軸受部材 702c 抜け止めナット
702d 回転軸 702e 下スプロケット
702f 回動レバー
703 傾動アーム
703a 軸孔 703b 軸孔
703c 軸受部材 703d 台支軸
703e 上スプロケット 703f 連結棒
703g 中間スプロケット
704 製品箱載置台
704a 支持アーム部
705 ストッパロッド
705a 取付け板
706 ガイド部材
706a 渡し板 706b 貫通孔 706c ガイド筒
707 バネ
708 ストッパ駆動装置
708a ピストンロッド 708b エアシリンダ
708c フック部
709 挟圧保持機構
709a,709b 箱押さえパッド 709c 支持板
709d,709e 軸受片 709f 可動ロッド
709g バネ受部 709h コイルバネ 709i 受板
709j 長溝
710 挟圧保持解除装置
710a エアシリンダ装置 710b ピストンロッド
710c 押圧板
711 傾動駆動用シリンダ装置
711a ピストンロッド
712 台回動用シリンダ装置
712a ピストンロッド 712b 無端チェーン
901 製品箱停止ストッパ
901a 取付け板 901b エアシリンダ装置
901c ストッパロッド



【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に延びる農産物供給路の供給終端部から農産物を製品箱に投入する農産物供給コンベアと、
前記農産物供給コンベアの供給終端部の下方に設けられ、載置する製品箱を水平姿勢の製品箱交換位置と前記農産物供給コンベアの供給終端部に入り込む起立姿勢の農産物投入開始位置との間で製品箱回動手段により回動可能に駆動される製品箱載置手段と、
前記製品箱が前記製品箱交換位置と前記投入開始位置との間で回動するのにあわせて、前記製品箱内における農産物の投入位置を前記農産物供給コンベアの農産物供給方向に沿って移動させる移動手段と、
を有することを特徴とする農産物の箱詰装置。
【請求項2】
空の製品箱を前記製品箱交換位置に搬送し、農産物が箱詰された製品箱を該製品箱交換位置からさらに下流側に搬送する製品箱搬送装置を前記農産物供給コンベアの供給路に沿って配置したことを特徴とする請求項1に記載の農産物の箱詰装置。
【請求項3】
前記農産物供給コンベアは、前記農産物供給路が正逆転可能に構成され、正転時に前記製品箱載置手段の上方に位置する供給終端部を大出し供給部として農産物を大出し状態で搬送し、逆転時には該大出し供給部と反対側の供給終端部を小出し供給部として使用し、前記製品箱交換位置から下流側位置に搬送された製品箱に前記小出し供給部から農産物を供給することを特徴とする請求項2に記載の農産物の箱詰装置。
【請求項4】
少なくとも前記製品箱載置手段を秤量機上に設け、製品箱に箱詰される農産物の重量を計量可能としたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の農産物の箱詰装置。
【請求項5】
前記大出し供給部で製品箱に投入された農産物の重量が所定の箱詰重量に達する直前の直前重量を前記秤量機が計測すると、前記農産物供給コンベアを逆転駆動して小出し供給部から残重量に相当する本数の農産物を落下可能とし、一方、当該製品箱を前記製品箱交換位置から搬送方向下流側に搬送して所定位置で一旦停止し、前記小出し供給部から該本数の農産物を当該製品箱に投入することを特徴とする請求項4に記載の農産物の箱詰装置。
【請求項6】
前記製品箱載置手段には、製品箱を挟圧保持する挟圧保持手段が設けられ、前記製品箱載置手段が前記製品箱交換位置に位置する状態で、該挟圧保持手段の挟圧保持の解除操作を該製品箱載置手段の外部より行う解除手段を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の農産物の箱詰装置。
【請求項7】
前記移動手段は、前記製品箱載置手段と前記農産物供給コンベアを相対的に移動させることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の農産物の箱詰装置。
【請求項8】
前記移動手段は、前記製品箱載置手段を傾動させることにより、前記農産物供給コンベアに対して相対的に移動することを特徴とする請求項7に記載の農産物の箱詰装置。
【請求項9】
前記移動手段は、前記秤量機に対して傾動可能に支持された対向する一対の傾動アームと、前記一対の傾動アームを傾動駆動する傾動用駆動手段とにより構成し、前記一対の傾動アームの上端部に前記製品箱載置手段を回動可能に取付けたことを特徴とする請求項8に記載の農産物の箱詰装置。
【請求項10】
直線往復動する回動駆動手段の駆動力を前記一方の傾動アームの上下端部間に設けた無端回動する動力伝達手段により回転運動に変換し、前記動力伝達手段の回転運動により前記製品箱載置手段を回動することを特徴とする請求項9に記載の農産物の箱詰装置。
【請求項11】
前記農産物は、人参等の長物農産物であって、前記農産物供給コンベアの供給方向に対して直交する方向を長手方向として一本ずつ供給されることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の農産物の箱詰装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7(a)(b)】
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【図7(c)(d)】
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【図7(e)(f)】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−137667(P2008−137667A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−323358(P2006−323358)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000137328)株式会社マキ製作所 (48)
【Fターム(参考)】