近接センサ
【課題】磁石のばらつきによる影響を受けない高精度の近接センサとする。
【解決手段】希土類ボンド磁石である磁石10の射出成形時にN、Sの磁極面間の中間に第1ヨークをインサート成形して、第1ヨークの突出部22を磁極面12に対して垂直な壁面から突出させる。第2ヨーク30の突起部32を突出部22に対向させて本体部31を磁石10の壁面に平行に配置し、突出部22と突起部32間の空間には当該突出部と突起部を結ぶ方向を磁気感応方向とするホールIC40を配置する。被検出部材50が磁極面12から離間しているときは磁束が磁気感応方向を横切るが、被検出部材50が磁極面12に近接すると突起部32と突出部22間を磁気感応方向に磁束が流れて、ホールIC40が磁束密度の変化を高感度で検出する。1個の磁石10のみを備えるので、複数の磁石ごとのばらつきや取付けのばらつきによる悪影響を受けない。
【解決手段】希土類ボンド磁石である磁石10の射出成形時にN、Sの磁極面間の中間に第1ヨークをインサート成形して、第1ヨークの突出部22を磁極面12に対して垂直な壁面から突出させる。第2ヨーク30の突起部32を突出部22に対向させて本体部31を磁石10の壁面に平行に配置し、突出部22と突起部32間の空間には当該突出部と突起部を結ぶ方向を磁気感応方向とするホールIC40を配置する。被検出部材50が磁極面12から離間しているときは磁束が磁気感応方向を横切るが、被検出部材50が磁極面12に近接すると突起部32と突出部22間を磁気感応方向に磁束が流れて、ホールIC40が磁束密度の変化を高感度で検出する。1個の磁石10のみを備えるので、複数の磁石ごとのばらつきや取付けのばらつきによる悪影響を受けない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で被検出体の位置を検出する磁気型の近接センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の近接センサは、いわゆる接点型のスイッチにおけるような接触による接点劣化がない点で優れたものとして関心が高まっており、例えば車両用にはペダルセンサ、ドア開閉センサ、ボンネット開閉センサ、シートポジションセンサ、あるいはシートベルト装着センサなどへの適用が検討されている。
従来の近接センサとして例えば特許第4066716号公報に開示されたものがある。これは、少なくとも2つの対向させた永久磁石(以下、単に磁石と言う)の磁極面間に第1のヨークを挟むとともに、第1のヨークには磁石間の中点から垂直方向に延びる突起部を設け、突起部と離間させてさらに第2のヨークを備えて、突起部と第2のヨークとの間隙に磁気検出素子を配置している。そして、2つの磁石の磁極方向は同一としてあり、したがって第1のヨークを挟んで一方の磁石のN極が他方の磁石のS極と対向する。
【0003】
これにより、第1のヨークを挟んだ磁石および第2のヨーク等と離間した状態で突起部の突出方向と平行に移動する磁性体の被検出部材の位置を検出するようになっている。
すなわち、2つの磁石の一方の磁力線はN極から出て空間を通り、第2のヨークから磁気検出素子、突起部を経てS極に戻り、他方の磁石の磁力線はN極から出て突起部、磁気検出素子、第2のヨークおよび空間を経てS極に戻るので、被検出部材が近接していない場合には、磁気検出素子の領域において2つの磁石の磁束が逆方向で互いに打ち消しあって、磁気検出素子が検出する磁束密度が0(ゼロ)となる。
一方、被検出部材が近接位置に移動してきた場合は、被検出部材が一方の磁石の磁気回路の一部となるため、磁束の多くが被検出部材を通って磁気検出素子に流れるのに対して、他方の磁石の磁気回路には変化がないため、磁気検出素子の領域における磁束の平衡が崩れて磁気検出素子が磁束密度の変化を検出することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4066716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の近接センサでは、少なくとも2つの磁石を互いに対向する磁極を異ならせて第1のヨークに取付けなければならず、製造ラインでの組み付けの際などに磁気汚染物質が付着して被検出部材が近接していないにもかかわらず磁束の平衡が崩れてしまうことがないように厳重な環境および工程管理が必要になる。
【0006】
また、そもそも永久磁石はそれぞれの個体によって磁力のばらつきが大きいものであるため、製造ラインでの組み付けを厳重に管理したとしても、磁気検出素子の領域において2つの磁石による磁束が狙い通りに平衡あるいは変化するとは限らず、実際には製品ごとに被検出部材の検出位置が大きくばらつくことになるが、これに対して何らの調整手段もないので、いまだ実用には困難を伴う。
【0007】
したがって本発明は、上記従来の問題点にかんがみ、磁石のばらつきによる検出精度への影響や製造ラインでの過重な管理の必要をなくして安定した位置検出性能を得られる近接センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明の近接センサは、1個の永久磁石と、該永久磁石の2つの磁極面間の中間に保持されて、磁極面に対して垂直な壁面から突出する突出部を備える第1ヨークと、突出部が突出している永久磁石の壁面に平行な本体部を有して、突出部に対して空間を設けて配置された第2ヨークと、突出部と第2ヨークの間の空間に配置された磁気感応素子とを有し、永久磁石は相対移動する被検出部材に対して磁極面を平行となるように配置したものとした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、磁石を1個として構成部品の少ない簡単構造にでき、またこれによって複数の磁石を要するときに避けることのできない磁石の特性ばらつきの問題から解放されて高精度を実現できる。
さらに、被検出部材との相対移動方向にずらせて、追加の第1ヨークと磁気感応素子の組を磁石と第2ヨークの間に設ければ、被検出部材の位置を複数段階に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施例における近接センサの構成を示す図である。
【図2】近接センサの分解斜視図である。
【図3】近接センサと被検出部材の配置関係を示す図である。
【図4】被検出部材が十分に離れている場合の磁気回路を示す図である。
【図5】被検出部材が近接している場合の磁気回路を示す図である。
【図6】第1の実施例の動作特性の測定要領を示す説明図である。
【図7】第1の実施例の動作特性の測定結果を示す図である。
【図8】変形例を示す図である。
【図9】変形例の動作特性の測定結果を示す図である。
【図10】第2の実施例における近接センサの構成を示す図である。
【図11】近接センサの分解斜視図である。
【図12】近接センサと被検出部材の配置関係を示す図である。
【図13】第2の実施例の動作特性の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は第1の実施例の近接センサの構成を示す図、図2は分解斜視図である。図1において、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は上面図である。
近接センサ1は、永久磁石(以下、磁石)10と、磁石10に保持された第1ヨーク20と、磁気感応素子としてのホールIC40と、第2ヨーク30とからなる。
磁石10は、図1の(B)において、左右両端をN極およびS極として、各磁極面12、13の幅をW、高さをHとする長さLの直方体をなしている。磁石10の中央には上面から下面まで貫通する横断面矩形の保持穴11に、第1ヨーク20が保持されている。
【0013】
第1ヨーク20はその固定主部21が磁石10の高さHと同じ高さの板状で、その板面を磁極面12、13と平行にしてある。そして、固定主部21の上端が磁石10の上面と面一、下端が磁石10の下面と面一とされ、固定主部21の下端からは下方に突出部22が所定量突出している。この突出部22はその断面を一辺が板厚相当の4角形としてある。固定主部21の板面は磁極面12、13と平行になっている。
具体的には、磁石10は希土類系磁石粉から射出成形されたボンド磁石であり、その射出成形の際に第1ヨーク20の固定主部21をインサート成形する。この場合、上述の保持穴11は固定主部21を囲んでその周面と接する概念上の穴となる。
また、磁石10は少なくとも第1ヨークを保持したアセンブリ状態とした後で着磁することができる。
【0014】
第2ヨーク30は、その本体部31が磁石10の高さHよりも薄い板状で、磁石10と同じ長さLと幅Wを有している。そして磁石10に対向する本体部31の壁面中央からは第1ヨーク20の突出部22と同等径の丸棒状の突起部32が上方に所定量突出して、突出部22と間隙を挟んで対向している。なお、突起部32は突出部22と同様にその断面を一辺が板厚相当の4角形としても良い。本実施例では、作製が容易のため丸棒状にしてある。
そして、第1ヨーク20の突出部22と第2ヨーク30の突起部32との間隙内にホールIC40が配置されている。ホールIC40は磁気感応方向を突出部22と突起部32を結ぶ方向に設定してある。
【0015】
以上のように構成した近接センサ1は、図3に示すように、磁石10の幅W方向に沿って相対移動する被検出部材50に対して磁石10の磁極面の一方、例えばN極の磁極面12が被検出部材50の板面と略平行となるように、磁石10と第2ヨーク30を被検出部材50の移動面に対向させて設置する。図において、白抜き矢印が相対移動方向である。
被検出部材50は例えば一般鉄材の板でよい。
【0016】
次に近接センサ1の動作について説明する。
図4は被検出部材50が磁石10の磁極面12の前面から十分に離れている場合に形成される磁気回路を示し、破線の磁束の流れの方向を矢印で示している。
N極(磁極面12)から出た磁束は空間を通るループを描きながらS極(磁極面13)に戻る。
この際、第2ヨーク30から遠い側の一部の磁束は空間のみを通るが、より多くの磁束は第2ヨーク30を配した側へ向かい、第1ヨーク20の突出部22、第2ヨーク30の本体部31、突起部32およびホールIC40を並列に横切ってから空間へ抜け、その間それぞれ磁石10の長さL方向の壁面とほぼ平行に流れる。
ホールIC40を横切る磁束は磁気感応方向に対して垂直であるから、感知能の観点からは磁束密度0(ゼロ)であり、ホールIC40は見かけ上無磁界領域に位置することになり、OFF(High)信号を出力する。
【0017】
一方、被検出部材50が磁石10の磁極面12の前面に近接している場合には、図5に示す磁気回路が形成される。ここでは被検出部材50が磁石10の磁極面12と第2ヨーク30の端面とに対向する位置に来ている。
とくに第2ヨークを配した側へ向かう磁束は、N極を出て被検出部材50を通過した後、第2ヨーク30の本体部31に入り、その大部分がホールIC40を通って第1ヨーク20方向に向かう。第2ヨーク30の本体部31に入った磁束のわずかな残部は、被検出部材50が磁石10の磁極面12の前面から十分に離れている場合と同様に、直接空間へ抜けてS極に戻る。
この際、第2ヨーク30からホールIC40を通って第1ヨーク20へ流れる磁束は、小断面の突出部22へ向かって絞られるとともに、さらに第2ヨーク30側においても突起部32で絞られて、小面積に集中した磁束として高密度にホールIC40を通過する。この通過方向はホールIC40の磁気感応方向に沿っているので、ホールIC40は磁束密度の変化を高感度で検出してON(Low)信号を出力する。
【0018】
なお、磁石の長さLが幅Wまたは高さHより大きい場合には、被検出部材50が磁極面12に十分に近接したときに第2ヨーク30の本体部31から空間へ抜けてS極に戻る磁束が増えて、突起部32から第1ヨーク20の突出部22へ向かってホールIC40に印加される磁束密度が小さくなる。このため、被検出部材50が磁石10の磁極面12から離れている場合と十分に近接した場合の磁束密度の変化量が小さくなるので、磁石10の長さLは幅Wまたは高さHの値以下に抑える。
また、第1ヨーク20についても、磁極面12、13と平行にした固定主部21の板幅を磁石10の幅Wの20〜40%にすると、被検出部材50が磁石10の磁極面12から離れている場合と十分に近接した場合との間で磁束密度の大きな変化量を確保できる。
【0019】
以下に具体例を示す。
ホールIC40の代わりにガウスメータ用ホールプローブを配置し、図6に示すように、被検出部材50と磁極面12の対向間隙を3mmとして、被検出部材50を磁石10(および第2ヨーク30)に対する離間位置と対向位置の間で移動させたときの磁束密度の変化を測定した。ここでは、被検出部材50の移動方向前端縁が磁石10の幅方向一端に対向する位置を0mmとして、その手前(−5mm)から磁石10の幅方向他端に到達するまでの間を測定している。
測定に供した近接センサ1の設定値は次のとおりである。
磁石10のサイズ: 長さ(L)=8mm、幅(W)=15mm、高さ(H)=8mm
第1ヨーク20の材質: 純鉄粉末の焼結体
固定主部21のサイズ: 幅=4mm、高さ=8mm、板厚=2mm
突出部22のサイズ: 幅=2mm、板厚=2mm、突出量2mm
第2ヨーク30の材質: 純鉄粉末の焼結体
本体部31のサイズ: 幅=15mm、長さ=8mm、板厚=2mm
突起部32のサイズ: 直径=2mm、突出量2mm
被検出部材50の材質: 鉄板
【0020】
図7の測定結果に示されるように、最大磁束密度変化量は55mTであった。入手容易なホールIC40の動作磁束密度を10mTとしたとき、被検出部材50の先端が磁石10との対向区間に略2.5mm入った位置でホールIC40のON、OFFが切り換わる。
この最大磁束密度変化量は動作磁束密度10mTのホールICにとって十分な変化量であり、車載のペダルセンサその他用として実用性の高いことが示された。
また、本実施例では第1ヨーク20の固定主部21の板面を磁極面12、13と平行に配置しており、別途の測定によれば、これにより磁極面に対して垂直にした場合と比較して、被検出部材が磁極面に近接した場合にホールIC40における磁束密度が約10%大きくなるという利点を有している。
【0021】
なお、上記測定に加え、変形例として、図8に示すように、磁石10の被検出部材50に対向する磁極面と反対側の磁極面13に当該磁極面と同一形状(すなわちW=15mm、H=8mm)で板厚0.5mmの鉄板60を密着して取り付けた場合についても測定を行った。他の測定条件は同一である。
その結果を図9に示す。
鉄板60を取り付けなかった場合の(a)に対して、鉄板60を取り付けた場合の(b)の磁束密度曲線は12mTだけ低減方向にオフセットされた。したがって、動作磁束密度10mTのホールIC40を用いたとき、被検出部材50の先端が磁石10との対向区間に4.5mm入った位置でホールIC40のON、OFFが切り換わることになる。
これより、本実施例では、鉄板60を設けることにより磁束密度曲線をオフセットさせ被検出部材50の検出位置を調整することができる。オフセット量は鉄板60の板面サイズや板厚の選択により制御することができる。鉄板60の代わりに他の磁性材でもよい。
このため、製造工程に「検出位置調整」工程を設ければ、近接センサの製造歩留まりが飛躍的に向上するし、基本構成および部品の変更なしに検出位置仕様の異なる製品要求に対応することができる。
【0022】
本実施例では、ホールIC40が発明における磁気感応素子に該当し、鉄板60が検出位置調整板に該当する。
【0023】
本実施例は以上のように構成され、1個の磁石10と、その2つの磁極面12、13間の中間に保持されて、磁極面に対して垂直な壁面から突出する突出部22を備える第1ヨーク20と、突出部22が突出している磁石10の壁面に平行な本体部31と突出部22と対向する突起部32とを有して、突出部22に対して空間を設けて配置された第2ヨーク30と、突出部22と突起部32の間の空間に配置されたホールIC40とを有し、磁石10は相対移動する被検出部材50に対して磁極面12を平行となるように配置するものとしたので、磁石を1個として構成部品の少ない簡単構造にでき、またこれによって複数の磁石を要するときに避けることのできない磁石の特性ばらつきの問題から解放されて高精度を実現できる。
そして、被検出部材50が磁極面12と対向する方向に近接すると、ホールIC40には第2ヨーク30から第1ヨーク20へ磁気感応方向に磁束が流れ、この磁束が突出部22とさらには突起部32とで集中的に絞られるので、磁束密度の変化が高感度で検出される。
【0024】
また、磁石10の磁極面12、13間の長さLは、磁極面12、13の幅Wまたは高さHと同寸以下とするので、被検出部材50が磁石10の磁極面12から離れている場合と十分に近接した場合のホールIC40が検知する磁束密度の変化量を大きく確保することができる。
【0025】
第1ヨーク20は、磁石10の外形内に配置された板状の固定主部21から突出部22を延ばしており、固定主部21の板幅は突出部22よりもサイズが大きいから、磁石10による保持力が大きいとともに、被検出部材50が磁石10の磁極面12から離れている場合と十分に近接した場合との間で磁束密度の大きな変化量を確保できる。
そして、とくに磁石10は希土類系磁石粉から射出成形されたボンド磁石で、その射出成形の際に第1ヨーク20の固定主部21がインサート成形により磁石10内に埋め込まれて、第1ヨーク20は強固に磁石10に結合されるので、組み付けにおけるばらつきが極めて小さい。
また、少なくとも第1ヨークを保持したアセンブリ状態で磁石10を着磁すれば、着磁後に第1ヨークとアセンブリする場合と比べ、例えば製造ラインに浮遊する異物(磁石10の特性に悪影響を及ぼす磁性粉等)の磁石10への付着防止のための過度な管理を緩和することができる。
【0026】
また、検出位置の異なる仕様要求があったり、磁石10の特性が個体によってばらついたとしても、磁石10の被検出部材50に対向する磁極面12と反対側の磁極面13に、鉄板60などの磁性材を取り付けることにより、被検出部材50の検出位置を容易にきめ細かく調整することができる。
【実施例2】
【0027】
つぎに、第2の実施例について説明する。
図10は第2の実施例の近接センサの構成を示す図、図11は分解斜視図である。図10において、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は上面図である。
第2の実施例の近接センサ1Aは、磁石10’と、磁石10’に保持された2つの第1ヨーク20aおよび20bと、2つのホールIC40a、40bと、第2ヨーク30’とからなる。
磁石10’は、図10の(B)において、左右両端をN極およびS極として、各磁極面12’、13’の幅をW、高さをHとする長さLの直方体をなしている。ここでは幅(W)寸法が第1の実施例の磁石よりも長くなっている。
磁石10’の幅中心線Xを挟んだ両側には磁極面12’、13’の中間に上面から下面まで貫通する横断面矩形の保持穴11’が設けられ、この保持穴11’に、当該保持穴11’と整合する断面を有する第1ヨーク20a、20bが保持されている。
【0028】
第1ヨーク20a、20bは同一形状で、その固定主部21a、21bが磁石10’の高さHと同じ高さの板状で、それぞれの下端からは下方に突出部22a、22bが所定量突出している。そして、固定主部21a、21bの上端が磁石10’の上面と面一、下端が磁石10’の下面と面一とされ、突出部22a、22bはそれぞれその断面を一辺が板厚相当の4角形としてある。
本実施例では後述する2つの検出位置を広狭任意に設定できるように、固定主部21a、21bの板面を磁極面12’、13’に対して垂直にしてある。
また、前実施例と同様に、磁石10’は射出成形による希土類ボンド磁石で、その射出成形の際に第1ヨーク20a、20bの各固定主部21a、21bをインサート成形してある。
【0029】
第2ヨーク30’は、その本体部31’が磁石10’の高さHよりも薄い板状で、磁石10’と同じ長さLと幅Wを有して、磁石10’の突出部22a、22bが突出している壁面に対向させてある。そして本体部31’の壁面からは第1ヨーク20a、20bの突出部22a、22bと対面するように丸棒状の突起部32a、32bが所定量突出している。突起部32a、32bは、突出部22a、22bと同等径を有し、間隙を挟んで突出部22a、22bと対向している。
そして、第1ヨーク20a、20bの突出部22a、22bと第2ヨーク30’の突起部32a、32bとの間隙内にホールIC40a、40bがそれぞれ配置されている。ホールIC40aは磁気感応方向を突出部22aと突起部32aを結ぶ方向に設定してあり、ホールIC40bも磁気感応方向を突出部22bと突起部32bを結ぶ方向に設定してある。
その他は第1の実施例と同じである。
【0030】
近接センサ1Aは、図12に示すように、磁石10’の幅W方向に沿って相対移動する鉄板の被検出部材50’に対して磁石10’の一方の磁極面12が被検出部材50’の板面と略平行となるように、磁石10’と第2ヨーク30’を被検出部材50’の移動面に対向させて設置する。
【0031】
前実施例と同様に、具体例について、被検出部材50’と磁極面12’の対向間隙を3mmとして、被検出部材50’を磁石10’(および第2ヨーク30’)の幅方向一端の手前から対向位置までの間を移動させたときの磁束密度の変化を測定した結果を図13に示す。ここでも、被検出部材50’の移動方向前端縁が磁石10’の幅方向一端に対向する位置を0mmとしている。
測定に供した近接センサ1の具体例の設定値は次のとおりである。
磁石10’のサイズ: 長さ(L)=8mm、幅(W)=26mm、高さ(H)=8mm
第1ヨーク20a、20bの材質: 純鉄粉末の焼結体
固定主部21a、21bのサイズ: 幅=4mm、高さ=8mm、板厚=2mm
突出部22a、22bのサイズ: 幅=2mm、板厚=2mm、突出量2mm
第2ヨーク30’の材質: 純鉄粉末の焼結体
本体部31のサイズ: 幅=26mm、長さ=8mm、板厚=2mm
突起部32のサイズ: 直径=2mm、突出量2mm
被検出部材50’の材質: 鉄板
【0032】
図13に示されるように、突出部22aと突起部32a間の間隙(ホールIC40a配置部)における最大磁束密度変化量は51mT、突出部22bと突起部32b間の間隙(ホールIC40b配置部)における最大磁束密度変化量は49mTであった。
ホールIC40a、40bの動作磁束密度を10mTとしたとき、被検出部材50’の先端が磁石10’との対向区間に5mm入った位置でホールIC40aのON、OFFが切り換わり、被検出部材50’が12mm入った位置でホールIC40bのON、OFFが切り換わる。
これにより、被検出部材50’の位置を2段階に検出することができ、要すればさらに第1ヨークの突出部と第2ヨークの突起部、およびそれらの間隙に配置するホールICの組を追加することにより多段階の位置検出が可能となる。
【0033】
本実施例でも、前実施例と同様に、磁石10’の被検出部材50’に対向する磁極面と反対側の磁極面13’に鉄板60と同様の磁性材等を取り付けることにより、磁束密度曲線をオフセットさせて被検出部材50’の検出位置を調整することができる。
【0034】
本実施例では、ホールIC40a、40bが発明における磁気感応素子に該当する。
【0035】
本実施例は以上のように構成され、1個の磁石10’と、その2つの磁極面12’、13’間の中間に保持されて、それぞれ磁極面に対して垂直な壁面から突出する突出部22a、22bを備える第1ヨーク20a、20bと、突出部22a、22bが突出している磁石10’の壁面に平行な本体部31’を有して、突出部22a、22bに対して空間を設けて配置された第2ヨーク30’と、突出部22a、22bと第2ヨーク30’の間の空間にそれぞれ配置されたホールIC40a、40bとを有し、磁石10’は相対移動する被検出部材50’に対して磁極面12’を平行となるように配置するものとしたので、磁石を1個として構成部品の少ない簡単構造にでき、またこれによって複数の磁石を要するときに避けることのできない磁石の特性ばらつきの問題から解放されて高精度を実現できる。
その他、第1の実施例と同じ効果を有する。
【0036】
そしてさらに、第1ヨーク20aと、その突出部22aと第2ヨーク30’の間の空間に配置されたホールIC40aとからなる第1組と、第1ヨーク20bと、その突出部22bと第2ヨーク30’の間の空間に配置されたホールIC40bとからなる第2組との、2組の磁束密度検出部を備えることにより、磁石をわずか1個に抑えた簡素な構造のままの近接センサ1つで、磁石被検出部材50’の位置を2段階に検出することができるという特段の効果を奏する。
【0037】
なお、実施の形態(第1、第2の実施例)およびその測定結果については、被検出部材50、50’が磁石の磁極面12、12’に対して平行な方向に相対移動させる例について示したが、本発明はこれに限定されず、磁極面12、12’に対して垂直な方向に相対移動させる場合に適用しても、磁石の特性ばらつきの影響を受けず高精度に被検出部材の位置を検出することができる。なお、第2の実施例においては、磁極面12、12’に対して垂直な方向に相対移動させる場合被検出部材の位置を2個のホールIC40a、40bで検知するため、2重検知することができ信頼性を向上できる。
【0038】
実施の形態において、磁石10、10’は希土類ボンド磁石としたが、他の磁石材を用いたボンド磁石も採用可能である。
また、第1ヨーク20、20a、20bはその固定主部21等を、磁石10、10’を射出成形する際にインサート成形することにより、磁石に一体結合させるものとしたが、磁石の成形後に第1ヨークを組み付ける場合には、固定主部21等に磁石の保持穴11、11’と整合する断面を持たせて、固定主部の全周4面が保持穴の壁面に密に接するようにするのが好ましい。
また、第1ヨークの固定主部21、21a、21bは、その高さ寸法を磁石10、10’の高さHと同一にして、突出部22、22a、22bと反対側の上端が磁石10の上面と面一となるようにしたが、少なくともHの50%以上あればよく、上端が磁石10の上面に表れなくてもよい。一方、上端が磁石10の上面より突出することはホールIC40側を通る磁束密度が小さくなるので好ましくない。
【0039】
さらに、とくに第1の実施例においては第1ヨーク20の固定主部21の板面を磁極面12、13と平行に配置して、ホールIC40の領域に比較的大きな磁束密度を得る利点を有するが、必要に応じて第2の実施例のように固定主部の板面を磁極面に対して垂直に配置することもできる。この逆も同様である。
【0040】
実施の形態において、第1ヨークの突出部22、22a、22bの突出量は具体例として2mmを示したが、少なくとも1.0mm以上あれば、被検出部材が磁極面に近接した場合にホールIC40、40a、40bにおいて高い磁束密度を確保することができる。また、突出部の断面サイズも具体例では2mm角としたが、3mm径相当以下であれば高い磁束密度を確保することができる。ただし、1mm径相当より細くなると磁束密度は大きくなるが第2ヨークの突起部32、32a、32bと正確に対向させるのが困難となり組み付けにおけるばらつきが発生しやすい。
第2ヨークの突起部の突出量および断面サイズについても同様である。
【0041】
磁気感応素子として、ホールIC40等を用いたが、ホール素子、MR素子、GMR素子、その他を適宜採用することができる。また実施の形態におけるホールIC40は特定の磁気感応方向をもつものとしたが、全方向感応型の磁気感応素子を使用する場合でも通過する磁束量の多少で被検出部材の近接、離間を検出することができる。
なお、本発明は、車載のペダルセンサ、ドア開閉センサ、ボンネット開閉センサ、シートポジションセンサ、あるいはシートベルト装着センサなどに適用してとくに有用であるが、車両用に限定されず、非接触で被検出体の位置を検出する種々の用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1、1A 近接センサ
10、10’ 磁石(永久磁石)
11、11’ 保持穴
12、12’、13、13’ 磁極面
20、20a、20b 第1ヨーク
21、21a、21b 固定主部
22、22a、22b 突出部
30、30’ 第2ヨーク
31、31’ 本体部
32、32a、32b 突起部
40、40a、40b ホールIC(磁気感応素子)
50、50’ 被検出部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触で被検出体の位置を検出する磁気型の近接センサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の近接センサは、いわゆる接点型のスイッチにおけるような接触による接点劣化がない点で優れたものとして関心が高まっており、例えば車両用にはペダルセンサ、ドア開閉センサ、ボンネット開閉センサ、シートポジションセンサ、あるいはシートベルト装着センサなどへの適用が検討されている。
従来の近接センサとして例えば特許第4066716号公報に開示されたものがある。これは、少なくとも2つの対向させた永久磁石(以下、単に磁石と言う)の磁極面間に第1のヨークを挟むとともに、第1のヨークには磁石間の中点から垂直方向に延びる突起部を設け、突起部と離間させてさらに第2のヨークを備えて、突起部と第2のヨークとの間隙に磁気検出素子を配置している。そして、2つの磁石の磁極方向は同一としてあり、したがって第1のヨークを挟んで一方の磁石のN極が他方の磁石のS極と対向する。
【0003】
これにより、第1のヨークを挟んだ磁石および第2のヨーク等と離間した状態で突起部の突出方向と平行に移動する磁性体の被検出部材の位置を検出するようになっている。
すなわち、2つの磁石の一方の磁力線はN極から出て空間を通り、第2のヨークから磁気検出素子、突起部を経てS極に戻り、他方の磁石の磁力線はN極から出て突起部、磁気検出素子、第2のヨークおよび空間を経てS極に戻るので、被検出部材が近接していない場合には、磁気検出素子の領域において2つの磁石の磁束が逆方向で互いに打ち消しあって、磁気検出素子が検出する磁束密度が0(ゼロ)となる。
一方、被検出部材が近接位置に移動してきた場合は、被検出部材が一方の磁石の磁気回路の一部となるため、磁束の多くが被検出部材を通って磁気検出素子に流れるのに対して、他方の磁石の磁気回路には変化がないため、磁気検出素子の領域における磁束の平衡が崩れて磁気検出素子が磁束密度の変化を検出することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4066716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の近接センサでは、少なくとも2つの磁石を互いに対向する磁極を異ならせて第1のヨークに取付けなければならず、製造ラインでの組み付けの際などに磁気汚染物質が付着して被検出部材が近接していないにもかかわらず磁束の平衡が崩れてしまうことがないように厳重な環境および工程管理が必要になる。
【0006】
また、そもそも永久磁石はそれぞれの個体によって磁力のばらつきが大きいものであるため、製造ラインでの組み付けを厳重に管理したとしても、磁気検出素子の領域において2つの磁石による磁束が狙い通りに平衡あるいは変化するとは限らず、実際には製品ごとに被検出部材の検出位置が大きくばらつくことになるが、これに対して何らの調整手段もないので、いまだ実用には困難を伴う。
【0007】
したがって本発明は、上記従来の問題点にかんがみ、磁石のばらつきによる検出精度への影響や製造ラインでの過重な管理の必要をなくして安定した位置検出性能を得られる近接センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本発明の近接センサは、1個の永久磁石と、該永久磁石の2つの磁極面間の中間に保持されて、磁極面に対して垂直な壁面から突出する突出部を備える第1ヨークと、突出部が突出している永久磁石の壁面に平行な本体部を有して、突出部に対して空間を設けて配置された第2ヨークと、突出部と第2ヨークの間の空間に配置された磁気感応素子とを有し、永久磁石は相対移動する被検出部材に対して磁極面を平行となるように配置したものとした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、磁石を1個として構成部品の少ない簡単構造にでき、またこれによって複数の磁石を要するときに避けることのできない磁石の特性ばらつきの問題から解放されて高精度を実現できる。
さらに、被検出部材との相対移動方向にずらせて、追加の第1ヨークと磁気感応素子の組を磁石と第2ヨークの間に設ければ、被検出部材の位置を複数段階に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施例における近接センサの構成を示す図である。
【図2】近接センサの分解斜視図である。
【図3】近接センサと被検出部材の配置関係を示す図である。
【図4】被検出部材が十分に離れている場合の磁気回路を示す図である。
【図5】被検出部材が近接している場合の磁気回路を示す図である。
【図6】第1の実施例の動作特性の測定要領を示す説明図である。
【図7】第1の実施例の動作特性の測定結果を示す図である。
【図8】変形例を示す図である。
【図9】変形例の動作特性の測定結果を示す図である。
【図10】第2の実施例における近接センサの構成を示す図である。
【図11】近接センサの分解斜視図である。
【図12】近接センサと被検出部材の配置関係を示す図である。
【図13】第2の実施例の動作特性の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0012】
図1は第1の実施例の近接センサの構成を示す図、図2は分解斜視図である。図1において、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は上面図である。
近接センサ1は、永久磁石(以下、磁石)10と、磁石10に保持された第1ヨーク20と、磁気感応素子としてのホールIC40と、第2ヨーク30とからなる。
磁石10は、図1の(B)において、左右両端をN極およびS極として、各磁極面12、13の幅をW、高さをHとする長さLの直方体をなしている。磁石10の中央には上面から下面まで貫通する横断面矩形の保持穴11に、第1ヨーク20が保持されている。
【0013】
第1ヨーク20はその固定主部21が磁石10の高さHと同じ高さの板状で、その板面を磁極面12、13と平行にしてある。そして、固定主部21の上端が磁石10の上面と面一、下端が磁石10の下面と面一とされ、固定主部21の下端からは下方に突出部22が所定量突出している。この突出部22はその断面を一辺が板厚相当の4角形としてある。固定主部21の板面は磁極面12、13と平行になっている。
具体的には、磁石10は希土類系磁石粉から射出成形されたボンド磁石であり、その射出成形の際に第1ヨーク20の固定主部21をインサート成形する。この場合、上述の保持穴11は固定主部21を囲んでその周面と接する概念上の穴となる。
また、磁石10は少なくとも第1ヨークを保持したアセンブリ状態とした後で着磁することができる。
【0014】
第2ヨーク30は、その本体部31が磁石10の高さHよりも薄い板状で、磁石10と同じ長さLと幅Wを有している。そして磁石10に対向する本体部31の壁面中央からは第1ヨーク20の突出部22と同等径の丸棒状の突起部32が上方に所定量突出して、突出部22と間隙を挟んで対向している。なお、突起部32は突出部22と同様にその断面を一辺が板厚相当の4角形としても良い。本実施例では、作製が容易のため丸棒状にしてある。
そして、第1ヨーク20の突出部22と第2ヨーク30の突起部32との間隙内にホールIC40が配置されている。ホールIC40は磁気感応方向を突出部22と突起部32を結ぶ方向に設定してある。
【0015】
以上のように構成した近接センサ1は、図3に示すように、磁石10の幅W方向に沿って相対移動する被検出部材50に対して磁石10の磁極面の一方、例えばN極の磁極面12が被検出部材50の板面と略平行となるように、磁石10と第2ヨーク30を被検出部材50の移動面に対向させて設置する。図において、白抜き矢印が相対移動方向である。
被検出部材50は例えば一般鉄材の板でよい。
【0016】
次に近接センサ1の動作について説明する。
図4は被検出部材50が磁石10の磁極面12の前面から十分に離れている場合に形成される磁気回路を示し、破線の磁束の流れの方向を矢印で示している。
N極(磁極面12)から出た磁束は空間を通るループを描きながらS極(磁極面13)に戻る。
この際、第2ヨーク30から遠い側の一部の磁束は空間のみを通るが、より多くの磁束は第2ヨーク30を配した側へ向かい、第1ヨーク20の突出部22、第2ヨーク30の本体部31、突起部32およびホールIC40を並列に横切ってから空間へ抜け、その間それぞれ磁石10の長さL方向の壁面とほぼ平行に流れる。
ホールIC40を横切る磁束は磁気感応方向に対して垂直であるから、感知能の観点からは磁束密度0(ゼロ)であり、ホールIC40は見かけ上無磁界領域に位置することになり、OFF(High)信号を出力する。
【0017】
一方、被検出部材50が磁石10の磁極面12の前面に近接している場合には、図5に示す磁気回路が形成される。ここでは被検出部材50が磁石10の磁極面12と第2ヨーク30の端面とに対向する位置に来ている。
とくに第2ヨークを配した側へ向かう磁束は、N極を出て被検出部材50を通過した後、第2ヨーク30の本体部31に入り、その大部分がホールIC40を通って第1ヨーク20方向に向かう。第2ヨーク30の本体部31に入った磁束のわずかな残部は、被検出部材50が磁石10の磁極面12の前面から十分に離れている場合と同様に、直接空間へ抜けてS極に戻る。
この際、第2ヨーク30からホールIC40を通って第1ヨーク20へ流れる磁束は、小断面の突出部22へ向かって絞られるとともに、さらに第2ヨーク30側においても突起部32で絞られて、小面積に集中した磁束として高密度にホールIC40を通過する。この通過方向はホールIC40の磁気感応方向に沿っているので、ホールIC40は磁束密度の変化を高感度で検出してON(Low)信号を出力する。
【0018】
なお、磁石の長さLが幅Wまたは高さHより大きい場合には、被検出部材50が磁極面12に十分に近接したときに第2ヨーク30の本体部31から空間へ抜けてS極に戻る磁束が増えて、突起部32から第1ヨーク20の突出部22へ向かってホールIC40に印加される磁束密度が小さくなる。このため、被検出部材50が磁石10の磁極面12から離れている場合と十分に近接した場合の磁束密度の変化量が小さくなるので、磁石10の長さLは幅Wまたは高さHの値以下に抑える。
また、第1ヨーク20についても、磁極面12、13と平行にした固定主部21の板幅を磁石10の幅Wの20〜40%にすると、被検出部材50が磁石10の磁極面12から離れている場合と十分に近接した場合との間で磁束密度の大きな変化量を確保できる。
【0019】
以下に具体例を示す。
ホールIC40の代わりにガウスメータ用ホールプローブを配置し、図6に示すように、被検出部材50と磁極面12の対向間隙を3mmとして、被検出部材50を磁石10(および第2ヨーク30)に対する離間位置と対向位置の間で移動させたときの磁束密度の変化を測定した。ここでは、被検出部材50の移動方向前端縁が磁石10の幅方向一端に対向する位置を0mmとして、その手前(−5mm)から磁石10の幅方向他端に到達するまでの間を測定している。
測定に供した近接センサ1の設定値は次のとおりである。
磁石10のサイズ: 長さ(L)=8mm、幅(W)=15mm、高さ(H)=8mm
第1ヨーク20の材質: 純鉄粉末の焼結体
固定主部21のサイズ: 幅=4mm、高さ=8mm、板厚=2mm
突出部22のサイズ: 幅=2mm、板厚=2mm、突出量2mm
第2ヨーク30の材質: 純鉄粉末の焼結体
本体部31のサイズ: 幅=15mm、長さ=8mm、板厚=2mm
突起部32のサイズ: 直径=2mm、突出量2mm
被検出部材50の材質: 鉄板
【0020】
図7の測定結果に示されるように、最大磁束密度変化量は55mTであった。入手容易なホールIC40の動作磁束密度を10mTとしたとき、被検出部材50の先端が磁石10との対向区間に略2.5mm入った位置でホールIC40のON、OFFが切り換わる。
この最大磁束密度変化量は動作磁束密度10mTのホールICにとって十分な変化量であり、車載のペダルセンサその他用として実用性の高いことが示された。
また、本実施例では第1ヨーク20の固定主部21の板面を磁極面12、13と平行に配置しており、別途の測定によれば、これにより磁極面に対して垂直にした場合と比較して、被検出部材が磁極面に近接した場合にホールIC40における磁束密度が約10%大きくなるという利点を有している。
【0021】
なお、上記測定に加え、変形例として、図8に示すように、磁石10の被検出部材50に対向する磁極面と反対側の磁極面13に当該磁極面と同一形状(すなわちW=15mm、H=8mm)で板厚0.5mmの鉄板60を密着して取り付けた場合についても測定を行った。他の測定条件は同一である。
その結果を図9に示す。
鉄板60を取り付けなかった場合の(a)に対して、鉄板60を取り付けた場合の(b)の磁束密度曲線は12mTだけ低減方向にオフセットされた。したがって、動作磁束密度10mTのホールIC40を用いたとき、被検出部材50の先端が磁石10との対向区間に4.5mm入った位置でホールIC40のON、OFFが切り換わることになる。
これより、本実施例では、鉄板60を設けることにより磁束密度曲線をオフセットさせ被検出部材50の検出位置を調整することができる。オフセット量は鉄板60の板面サイズや板厚の選択により制御することができる。鉄板60の代わりに他の磁性材でもよい。
このため、製造工程に「検出位置調整」工程を設ければ、近接センサの製造歩留まりが飛躍的に向上するし、基本構成および部品の変更なしに検出位置仕様の異なる製品要求に対応することができる。
【0022】
本実施例では、ホールIC40が発明における磁気感応素子に該当し、鉄板60が検出位置調整板に該当する。
【0023】
本実施例は以上のように構成され、1個の磁石10と、その2つの磁極面12、13間の中間に保持されて、磁極面に対して垂直な壁面から突出する突出部22を備える第1ヨーク20と、突出部22が突出している磁石10の壁面に平行な本体部31と突出部22と対向する突起部32とを有して、突出部22に対して空間を設けて配置された第2ヨーク30と、突出部22と突起部32の間の空間に配置されたホールIC40とを有し、磁石10は相対移動する被検出部材50に対して磁極面12を平行となるように配置するものとしたので、磁石を1個として構成部品の少ない簡単構造にでき、またこれによって複数の磁石を要するときに避けることのできない磁石の特性ばらつきの問題から解放されて高精度を実現できる。
そして、被検出部材50が磁極面12と対向する方向に近接すると、ホールIC40には第2ヨーク30から第1ヨーク20へ磁気感応方向に磁束が流れ、この磁束が突出部22とさらには突起部32とで集中的に絞られるので、磁束密度の変化が高感度で検出される。
【0024】
また、磁石10の磁極面12、13間の長さLは、磁極面12、13の幅Wまたは高さHと同寸以下とするので、被検出部材50が磁石10の磁極面12から離れている場合と十分に近接した場合のホールIC40が検知する磁束密度の変化量を大きく確保することができる。
【0025】
第1ヨーク20は、磁石10の外形内に配置された板状の固定主部21から突出部22を延ばしており、固定主部21の板幅は突出部22よりもサイズが大きいから、磁石10による保持力が大きいとともに、被検出部材50が磁石10の磁極面12から離れている場合と十分に近接した場合との間で磁束密度の大きな変化量を確保できる。
そして、とくに磁石10は希土類系磁石粉から射出成形されたボンド磁石で、その射出成形の際に第1ヨーク20の固定主部21がインサート成形により磁石10内に埋め込まれて、第1ヨーク20は強固に磁石10に結合されるので、組み付けにおけるばらつきが極めて小さい。
また、少なくとも第1ヨークを保持したアセンブリ状態で磁石10を着磁すれば、着磁後に第1ヨークとアセンブリする場合と比べ、例えば製造ラインに浮遊する異物(磁石10の特性に悪影響を及ぼす磁性粉等)の磁石10への付着防止のための過度な管理を緩和することができる。
【0026】
また、検出位置の異なる仕様要求があったり、磁石10の特性が個体によってばらついたとしても、磁石10の被検出部材50に対向する磁極面12と反対側の磁極面13に、鉄板60などの磁性材を取り付けることにより、被検出部材50の検出位置を容易にきめ細かく調整することができる。
【実施例2】
【0027】
つぎに、第2の実施例について説明する。
図10は第2の実施例の近接センサの構成を示す図、図11は分解斜視図である。図10において、(A)は正面図、(B)は側面図、(C)は上面図である。
第2の実施例の近接センサ1Aは、磁石10’と、磁石10’に保持された2つの第1ヨーク20aおよび20bと、2つのホールIC40a、40bと、第2ヨーク30’とからなる。
磁石10’は、図10の(B)において、左右両端をN極およびS極として、各磁極面12’、13’の幅をW、高さをHとする長さLの直方体をなしている。ここでは幅(W)寸法が第1の実施例の磁石よりも長くなっている。
磁石10’の幅中心線Xを挟んだ両側には磁極面12’、13’の中間に上面から下面まで貫通する横断面矩形の保持穴11’が設けられ、この保持穴11’に、当該保持穴11’と整合する断面を有する第1ヨーク20a、20bが保持されている。
【0028】
第1ヨーク20a、20bは同一形状で、その固定主部21a、21bが磁石10’の高さHと同じ高さの板状で、それぞれの下端からは下方に突出部22a、22bが所定量突出している。そして、固定主部21a、21bの上端が磁石10’の上面と面一、下端が磁石10’の下面と面一とされ、突出部22a、22bはそれぞれその断面を一辺が板厚相当の4角形としてある。
本実施例では後述する2つの検出位置を広狭任意に設定できるように、固定主部21a、21bの板面を磁極面12’、13’に対して垂直にしてある。
また、前実施例と同様に、磁石10’は射出成形による希土類ボンド磁石で、その射出成形の際に第1ヨーク20a、20bの各固定主部21a、21bをインサート成形してある。
【0029】
第2ヨーク30’は、その本体部31’が磁石10’の高さHよりも薄い板状で、磁石10’と同じ長さLと幅Wを有して、磁石10’の突出部22a、22bが突出している壁面に対向させてある。そして本体部31’の壁面からは第1ヨーク20a、20bの突出部22a、22bと対面するように丸棒状の突起部32a、32bが所定量突出している。突起部32a、32bは、突出部22a、22bと同等径を有し、間隙を挟んで突出部22a、22bと対向している。
そして、第1ヨーク20a、20bの突出部22a、22bと第2ヨーク30’の突起部32a、32bとの間隙内にホールIC40a、40bがそれぞれ配置されている。ホールIC40aは磁気感応方向を突出部22aと突起部32aを結ぶ方向に設定してあり、ホールIC40bも磁気感応方向を突出部22bと突起部32bを結ぶ方向に設定してある。
その他は第1の実施例と同じである。
【0030】
近接センサ1Aは、図12に示すように、磁石10’の幅W方向に沿って相対移動する鉄板の被検出部材50’に対して磁石10’の一方の磁極面12が被検出部材50’の板面と略平行となるように、磁石10’と第2ヨーク30’を被検出部材50’の移動面に対向させて設置する。
【0031】
前実施例と同様に、具体例について、被検出部材50’と磁極面12’の対向間隙を3mmとして、被検出部材50’を磁石10’(および第2ヨーク30’)の幅方向一端の手前から対向位置までの間を移動させたときの磁束密度の変化を測定した結果を図13に示す。ここでも、被検出部材50’の移動方向前端縁が磁石10’の幅方向一端に対向する位置を0mmとしている。
測定に供した近接センサ1の具体例の設定値は次のとおりである。
磁石10’のサイズ: 長さ(L)=8mm、幅(W)=26mm、高さ(H)=8mm
第1ヨーク20a、20bの材質: 純鉄粉末の焼結体
固定主部21a、21bのサイズ: 幅=4mm、高さ=8mm、板厚=2mm
突出部22a、22bのサイズ: 幅=2mm、板厚=2mm、突出量2mm
第2ヨーク30’の材質: 純鉄粉末の焼結体
本体部31のサイズ: 幅=26mm、長さ=8mm、板厚=2mm
突起部32のサイズ: 直径=2mm、突出量2mm
被検出部材50’の材質: 鉄板
【0032】
図13に示されるように、突出部22aと突起部32a間の間隙(ホールIC40a配置部)における最大磁束密度変化量は51mT、突出部22bと突起部32b間の間隙(ホールIC40b配置部)における最大磁束密度変化量は49mTであった。
ホールIC40a、40bの動作磁束密度を10mTとしたとき、被検出部材50’の先端が磁石10’との対向区間に5mm入った位置でホールIC40aのON、OFFが切り換わり、被検出部材50’が12mm入った位置でホールIC40bのON、OFFが切り換わる。
これにより、被検出部材50’の位置を2段階に検出することができ、要すればさらに第1ヨークの突出部と第2ヨークの突起部、およびそれらの間隙に配置するホールICの組を追加することにより多段階の位置検出が可能となる。
【0033】
本実施例でも、前実施例と同様に、磁石10’の被検出部材50’に対向する磁極面と反対側の磁極面13’に鉄板60と同様の磁性材等を取り付けることにより、磁束密度曲線をオフセットさせて被検出部材50’の検出位置を調整することができる。
【0034】
本実施例では、ホールIC40a、40bが発明における磁気感応素子に該当する。
【0035】
本実施例は以上のように構成され、1個の磁石10’と、その2つの磁極面12’、13’間の中間に保持されて、それぞれ磁極面に対して垂直な壁面から突出する突出部22a、22bを備える第1ヨーク20a、20bと、突出部22a、22bが突出している磁石10’の壁面に平行な本体部31’を有して、突出部22a、22bに対して空間を設けて配置された第2ヨーク30’と、突出部22a、22bと第2ヨーク30’の間の空間にそれぞれ配置されたホールIC40a、40bとを有し、磁石10’は相対移動する被検出部材50’に対して磁極面12’を平行となるように配置するものとしたので、磁石を1個として構成部品の少ない簡単構造にでき、またこれによって複数の磁石を要するときに避けることのできない磁石の特性ばらつきの問題から解放されて高精度を実現できる。
その他、第1の実施例と同じ効果を有する。
【0036】
そしてさらに、第1ヨーク20aと、その突出部22aと第2ヨーク30’の間の空間に配置されたホールIC40aとからなる第1組と、第1ヨーク20bと、その突出部22bと第2ヨーク30’の間の空間に配置されたホールIC40bとからなる第2組との、2組の磁束密度検出部を備えることにより、磁石をわずか1個に抑えた簡素な構造のままの近接センサ1つで、磁石被検出部材50’の位置を2段階に検出することができるという特段の効果を奏する。
【0037】
なお、実施の形態(第1、第2の実施例)およびその測定結果については、被検出部材50、50’が磁石の磁極面12、12’に対して平行な方向に相対移動させる例について示したが、本発明はこれに限定されず、磁極面12、12’に対して垂直な方向に相対移動させる場合に適用しても、磁石の特性ばらつきの影響を受けず高精度に被検出部材の位置を検出することができる。なお、第2の実施例においては、磁極面12、12’に対して垂直な方向に相対移動させる場合被検出部材の位置を2個のホールIC40a、40bで検知するため、2重検知することができ信頼性を向上できる。
【0038】
実施の形態において、磁石10、10’は希土類ボンド磁石としたが、他の磁石材を用いたボンド磁石も採用可能である。
また、第1ヨーク20、20a、20bはその固定主部21等を、磁石10、10’を射出成形する際にインサート成形することにより、磁石に一体結合させるものとしたが、磁石の成形後に第1ヨークを組み付ける場合には、固定主部21等に磁石の保持穴11、11’と整合する断面を持たせて、固定主部の全周4面が保持穴の壁面に密に接するようにするのが好ましい。
また、第1ヨークの固定主部21、21a、21bは、その高さ寸法を磁石10、10’の高さHと同一にして、突出部22、22a、22bと反対側の上端が磁石10の上面と面一となるようにしたが、少なくともHの50%以上あればよく、上端が磁石10の上面に表れなくてもよい。一方、上端が磁石10の上面より突出することはホールIC40側を通る磁束密度が小さくなるので好ましくない。
【0039】
さらに、とくに第1の実施例においては第1ヨーク20の固定主部21の板面を磁極面12、13と平行に配置して、ホールIC40の領域に比較的大きな磁束密度を得る利点を有するが、必要に応じて第2の実施例のように固定主部の板面を磁極面に対して垂直に配置することもできる。この逆も同様である。
【0040】
実施の形態において、第1ヨークの突出部22、22a、22bの突出量は具体例として2mmを示したが、少なくとも1.0mm以上あれば、被検出部材が磁極面に近接した場合にホールIC40、40a、40bにおいて高い磁束密度を確保することができる。また、突出部の断面サイズも具体例では2mm角としたが、3mm径相当以下であれば高い磁束密度を確保することができる。ただし、1mm径相当より細くなると磁束密度は大きくなるが第2ヨークの突起部32、32a、32bと正確に対向させるのが困難となり組み付けにおけるばらつきが発生しやすい。
第2ヨークの突起部の突出量および断面サイズについても同様である。
【0041】
磁気感応素子として、ホールIC40等を用いたが、ホール素子、MR素子、GMR素子、その他を適宜採用することができる。また実施の形態におけるホールIC40は特定の磁気感応方向をもつものとしたが、全方向感応型の磁気感応素子を使用する場合でも通過する磁束量の多少で被検出部材の近接、離間を検出することができる。
なお、本発明は、車載のペダルセンサ、ドア開閉センサ、ボンネット開閉センサ、シートポジションセンサ、あるいはシートベルト装着センサなどに適用してとくに有用であるが、車両用に限定されず、非接触で被検出体の位置を検出する種々の用途に適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1、1A 近接センサ
10、10’ 磁石(永久磁石)
11、11’ 保持穴
12、12’、13、13’ 磁極面
20、20a、20b 第1ヨーク
21、21a、21b 固定主部
22、22a、22b 突出部
30、30’ 第2ヨーク
31、31’ 本体部
32、32a、32b 突起部
40、40a、40b ホールIC(磁気感応素子)
50、50’ 被検出部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個の永久磁石と、
該永久磁石の2つの磁極面間の中間に保持されて、前記磁極面に対して垂直な壁面から突出する突出部を備える第1ヨークと、
前記突出部が突出している前記永久磁石の壁面に平行な本体部を有して、前記突出部に対して空間を設けて配置された第2ヨークと、
前記突出部と第2ヨークの間の空間に配置された磁気感応素子とを有し、
前記永久磁石は相対移動する被検出部材に対して磁極面を平行となるように配置したことを特徴とする近接センサ。
【請求項2】
前記永久磁石の磁極面間の長さが、磁極面の幅または高さと同寸以下であることを特徴とする請求項1に記載の近接センサ。
【請求項3】
前記第1ヨークは、前記永久磁石の外形内に配置された板状の固定主部から前記突出部を延ばしており、前記突出部は前記固定主部の板幅よりも細いことを特徴とする請求項1または2に記載の近接センサ。
【請求項4】
前記第2ヨークは、前記本体部からさらに前記第1ヨークの突出部に対向して延びる突起部を備え、
前記磁気感応素子が前記突出部と突起部の間の空間に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の近接センサ。
【請求項5】
前記永久磁石の前記被検出部材に対向する磁極面と反対側の磁極面に磁性材からなる検出位置調整板を取り付けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の近接センサ。
【請求項6】
前記突出部を備える第1ヨークと、前記突出部と前記第2ヨークの間の空間に配置された磁気感応素子とからなる組が複数設けられて、
前記被検出部材の複数の位置を検出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1に記載の近接センサ。
【請求項7】
前記永久磁石は射出成形により形成され、
前記第1ヨークは前記永久磁石の射出成形時にインサート成形されるものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1に記載の近接センサ。
【請求項8】
前記永久磁石は少なくとも前記第1ヨークを保持した状態で着磁されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1に記載の近接センサ。
【請求項1】
1個の永久磁石と、
該永久磁石の2つの磁極面間の中間に保持されて、前記磁極面に対して垂直な壁面から突出する突出部を備える第1ヨークと、
前記突出部が突出している前記永久磁石の壁面に平行な本体部を有して、前記突出部に対して空間を設けて配置された第2ヨークと、
前記突出部と第2ヨークの間の空間に配置された磁気感応素子とを有し、
前記永久磁石は相対移動する被検出部材に対して磁極面を平行となるように配置したことを特徴とする近接センサ。
【請求項2】
前記永久磁石の磁極面間の長さが、磁極面の幅または高さと同寸以下であることを特徴とする請求項1に記載の近接センサ。
【請求項3】
前記第1ヨークは、前記永久磁石の外形内に配置された板状の固定主部から前記突出部を延ばしており、前記突出部は前記固定主部の板幅よりも細いことを特徴とする請求項1または2に記載の近接センサ。
【請求項4】
前記第2ヨークは、前記本体部からさらに前記第1ヨークの突出部に対向して延びる突起部を備え、
前記磁気感応素子が前記突出部と突起部の間の空間に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1に記載の近接センサ。
【請求項5】
前記永久磁石の前記被検出部材に対向する磁極面と反対側の磁極面に磁性材からなる検出位置調整板を取り付けたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の近接センサ。
【請求項6】
前記突出部を備える第1ヨークと、前記突出部と前記第2ヨークの間の空間に配置された磁気感応素子とからなる組が複数設けられて、
前記被検出部材の複数の位置を検出することを特徴とする請求項1から5のいずれか1に記載の近接センサ。
【請求項7】
前記永久磁石は射出成形により形成され、
前記第1ヨークは前記永久磁石の射出成形時にインサート成形されるものであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1に記載の近接センサ。
【請求項8】
前記永久磁石は少なくとも前記第1ヨークを保持した状態で着磁されることを特徴とする請求項1から7のいずれか1に記載の近接センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−11541(P2013−11541A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145175(P2011−145175)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(390001236)ナイルス株式会社 (136)
【Fターム(参考)】
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