説明

近赤外線吸収材料及び近赤外線吸収フィルター

【課題】耐光性と赤外線吸収能及び光劣化後の変色が少ないこととを両立する近赤外線吸収材料を提供する。
【解決手段】下記一般式(II−1)又は(II−2)で表される化合物を含有する近赤外線吸収材料において、一重項酸素捕獲剤、ラジカルトラップ剤及び酸化防止剤から選ばれる化合物の少なくとも1種を含有せしめる。
【化1】



[式中、R201、R202、R211、R212、R221及びR222は、各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で連結する複素環基を表し、Z201及びZ202は含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。R213〜R216及びR223〜R226は、水素原子又は置換基を表し、隣接する置換基は互いに結合して環を形成してもよい。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は近赤外線吸収材料に関するものであって、更に詳しくは近赤外線吸収フィルター、近赤外線吸収着色樹脂組成物、液晶表示素子、光カード、光記録媒体、保護眼鏡などオプトエレクトロニクス関連に重要な役割を果たす、近赤外線吸収材料及び該近赤外線吸収材料を備えた近赤外線吸収フィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
可視光を実質的に吸収しないが、赤外線を吸収する近赤外線吸収色素は近赤外線吸収フィルター等、種々のオプトエレクトロニクス製品に用いられている。これらは使い方によっては高温、高湿又は光照射条件にさらされるものであり、その分解が問題となることがあった。色素の構造を変更することでこれらに対する耐性を向上させる技術として、例えば特定の構造のナフタロシアニン色素(例えば、特許文献1〜3参照)が良好であることが見出されていた。
また、近赤外線吸収色素と紫外線吸収材料を併用することで光による分解を抑制する技術が知られている(例えば、特許文献4〜6参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平2−4685号公報
【特許文献2】特開平2−43269号公報
【特許文献3】特開平2−138382号公報
【特許文献4】特開平11−167350号公報
【特許文献5】特開2001-133624号公報
【特許文献6】特開2005−181966号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3に記載の、特定の構造のナフタロシアニン色素では、吸収波長と溶解性等のその他の物性との両立が困難であった。
また、特許文献4〜6に記載の方法は、何れもフタロシアニン化合物、ジイモニウム化合物等に関するもので、かつ、これらの化合物の光分解抑制の程度は不十分であり、一層の耐光性向上技術が望まれた。更に近赤外線吸収色素としてクロコニウム骨格を有する化合物については、これまでに分解を抑制するための有力な手段に関しての報告はなされていない。
本発明の目的は、耐光性と赤外線吸収能及び光劣化後の変色が少ないこととを両立する近赤外線吸収材料及び該近赤外線吸収材料を備えた近赤外線吸収フィルターを提供することにあり、該目的の達成を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意検討の結果、下記手段により本発明の上記目的が達成されることを見出した。
<1>一重項酸素捕獲剤、ラジカルトラップ剤及び酸化防止剤から選ばれる第1の化合物の少なくとも1種と、下記一般式(II−1)又は(II−2)で表される第2の化合物の少なくとも1種と、を含有する近赤外線吸収材料である。
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、R201、R202、R211、R212、R221及びR222は、各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で連結する複素環基を表し、Z201及びZ202は含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。R213〜R216及びR223〜R226は、水素原子又は置換基を表し、R213とR214、R214とR211、R211とR212、R212とR215、R215とR216、R223とR224、R224とR221、R221とR222、R222とR225及びR225とR226は互いに結合して環を形成してもよい。]
【0008】
前記<1>によれば、近赤外線吸収剤である前記第2の化合物に加えて、特定の機能を有する前記第1の化合物を含有することで、耐光性に優れた近赤外線吸収材料とすることができる。
【0009】
<2>前記第1の化合物が、下記一般式(I−1)又は(I−2)で表されることを特徴とする前記<1>に記載の近赤外線吸収材料である。
【0010】
【化2】

【0011】
[式中、R11は水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合する複素環素又は加水分解可能な保護基を表し、R12〜R16は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16及びR16とR11は互いに結合して環を形成してもよい。R21は水素原子、脂肪族基、アシル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、オキシラジカル基又はヒドロキシル基を表し、Qは5員、6員又は7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R22〜R25は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表し、R21とR22、R22とR23、R24とR25およびR21とR24は互いに結合して環を形成してもよい。]
【0012】
前記第1の化合物として、特定の構造を有する化合物を含有することで、より効果的に耐光性が向上する。
【0013】
<3>前記第1の化合物を、2種以上含有することを特徴とする前記<1>又は<2>に記載の近赤外線吸収材料である。2種以上の前記第1の化合物の相互作用により、より効果的に耐光性が向上する。
【0014】
<4>紫外線吸収剤の少なくとも1種を、更に含有することを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の近赤外線吸収材料である。前記第1の化合物に加えて、紫外線吸収剤を含有することで、両化合物の相乗的効果により、より効果的に耐光性が向上する。
【0015】
<5>前記紫外線吸収剤の、溶液における270nm〜1600nmの範囲での分光吸収極大波長が410nm以下であることを特徴とする前記<4>に記載の近赤外線吸収材料である。前記紫外線吸収剤の分光吸収極大波長が特定の範囲であることで、より効率的な紫外線吸収能が得られ、その結果耐光性が向上する。
【0016】
<6>前記紫外線吸収剤が、下記一般式(III−1)〜(III−9)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする前記<4>又は<5>に記載の近赤外線吸収材料である。
【0017】
【化3】

【0018】
[式中、R311〜R314、R321〜R366、R371〜R378、R381〜R384、R386〜R389、R391〜R400は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R315は水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。R379、R380及びR385は各々独立に置換基を表す。X341は水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。n379、n380及びn385は各々独立に0〜4の整数を表し、n379、n380及びn385が2以上の場合、複数のR379、R380及びR385は各々同一でも異なっていてもよい。ここで、互いに隣接する基が、互いに結合して環を形成してもよい。]
【0019】
前記紫外線吸収剤が特定の構造を有することにより、より効果的な紫外線吸収能が発揮され、近赤外線吸収材料の耐光性がより向上する。
【0020】
<7>前記紫外線吸収剤を、2種以上含有することを特徴とする前記<4>〜<6>のいずれか1項に記載の近赤外線吸収材料である。2種以上の前記紫外線吸収剤の相乗的効果により、近赤外線吸収材料の耐光性がより効果的に向上する。
【0021】
<8>前記<1>〜<7>のいずれか1項に記載の近赤外線吸収材料を備えた近赤外線吸収フィルターである。良好な耐光性を示す近赤外線吸収材料を用いることで耐光性と近赤外線吸収能を両立した近赤外線吸収フィルターとすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、耐光性と近赤外線吸収能及び光劣化後の変色が少ないこととを両立する近赤外線吸収材料及び該近赤外線吸収材料を備えた近赤外線吸収フィルターを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
<近赤外線吸収材料>
本発明の近赤外線吸収材料は、一重項酸素捕獲剤、ラジカルトラップ剤及び酸化防止剤から選ばれる第1の化合物(以下、化合物(I)ということがある)の少なくとも1種と、下記一般式(II−1)又は(II−2)のいずれかで表される第2の化合物(以下、化合物(II)ということがある)の少なくとも1種と、を含有することを特徴とする。
前記化合物(I)と化合物(II)とを少なくとも含有することにより、耐光性と近赤外線吸収能及び光劣化後の変色が少ないこととを両立する近赤外線吸収材料を構成することができる。
【0024】
【化4】

【0025】
式中、R201、R202、R211、R212、R221及びR222は、各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で連結する複素環基を表し、Z201及びZ202は含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。R213〜R216及びR223〜R226は、水素原子又は置換基を表し、R213とR214、R214とR211、R211とR212、R212とR215、R215とR216、R223とR224、R224とR221、R221とR222、R222とR225及びR225とR226は互いに結合して環を形成してもよい。
【0026】
本発明においては、紫外線吸収剤の少なくとも1種を、更に含有することが好ましく、該紫外線吸収剤は、溶液における270〜1600nmの範囲での分光吸収極大波長が410nm以下であることが好ましい。
【0027】
(分光吸収極大波長)
ここで、分光吸収極大波長に関して説明する。
該分光吸収極大波長は、溶液中での吸収スペクトルで規定されるものであり、化合物が溶解する溶媒であれば、どのような溶媒を用いてもよい。該溶媒としては、有機もしくは無機の溶媒、又は水であってもよく、これらの混合溶媒であってもよい。本発明においては、化合物が溶解する溶媒や温度であれば、いずれかの条件における分光吸収極大波長が本発明で規定する範囲内であればよい。
有機溶媒としては、例えば、アミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等)、スルホン系溶媒(例えば、スルホラン等)、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド等)、ウレイド系溶媒(例えば、テトラメチルウレア等)、エーテル系溶媒(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、シクロヘキサノン等)、炭化水素系溶媒(例えば、トルエン、キシレン、n−デカン等)、ハロゲン系溶媒(例えば、テトラクロロエタン,クロロベンゼン、クロロナフタレン等)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、シクロヘキサノール、フェノール等)、ピリジン系溶媒(例えば、ピリジン、γ―ピコリン、2,6−ルチジン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等)、カルボン酸系溶媒(例えば、酢酸、プロピオン酸等)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル等)、スルホン酸系溶媒(例えば、メタンスルホン酸等)、アミン系溶媒(例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等)が挙げられる。また無機溶媒としては、例えば、硫酸、リン酸等が挙げられる。
【0028】
これらの溶媒のうち、前記紫外線吸収剤の分光吸収極大波長の測定においては、溶解性の観点から、アミド系溶媒、スルホン系溶媒、スルホキシド系溶媒、ウレイド系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒を用いることが好ましい。
【0029】
分光吸収極大波長を測定する化合物の濃度としては、分光吸収の極大波長が確認できる濃度であればよく、好ましくは1×10−13〜1×10−7(mol/l)の範囲である。温度は特に限定しないが、好ましくは0℃〜80℃であり、化合物の溶解性に問題なければ、室温(25℃)が最も好ましい。
【0030】
分光吸収極大波長を測定する測定機器としては、通常の分光吸収測定装置(例えば、日立ハイテクノロジーズ(株)製U−4100スペクトロフォトメーター)を用いることができる。
【0031】
(本発明における基)
化合物の説明に入る前に、本発明における基に関して、詳細に説明する。
本明細書において、脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基及び置換アラルキル基を意味する。アルキル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルキル基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜18であることが更に好ましい。置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アルケニル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜18であることが更に好ましい。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。アルキニル基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は2〜20であることが好ましく、2〜18であることが更に好ましい。置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。アラルキル基および置換アラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分は下記アリール基と同様である。
【0032】
置換アルキル基の置換基、置換アルケニル基の置換基、置換アルキニル基の置換基、又は置換アラルキル基のアルキル部分の置換基の例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基[直鎖、分岐、環状の置換又は無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換又は無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。]、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換又は無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換又は無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換又は無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、
【0033】
アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換又は無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5又は6員の置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換又は無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ、例えば、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2から30の置換又は無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7から30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0から30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6から30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ、例えば、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、
【0034】
アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換又は無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換又は無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、
【0035】
アルキル又はアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換又は無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のカルバモイル、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、
【0036】
アリール又はヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6から30の置換又は無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換又は無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、メチルフェノキシホスフィノ)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、ジエトキシホスフィニル)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ、ジメチルアミノホスフィニルアミノ)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)を表わす。
【0037】
上記の官能基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去り更に上記の基で置換されていても良い。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル、アセチルアミノスルホニル、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0038】
置換アラルキル基のアリール部分の置換基の例は、下記置換アリール基の置換基の例と同様である。
【0039】
本明細書において芳香族基は、アリール基及び置換アリール基を意味する。またこれらの芳香族基は脂肪族環、他の芳香族環又は複素環が縮合していてもよい。芳香族基の炭素原子数は6〜40が好ましく、6〜30が更に好ましく、6〜20が更に好ましい。またその中でもアリール基としてはフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。
【0040】
置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。置換アリール基の置換基の例としては、前述の「置換アルキル基の置換基、置換アルケニル基の置換基、置換アルキニル基の置換基、又は置換アラルキル基のアルキル部分の置換基」と同様の置換基が挙げられる。
【0041】
本発明においては、複素環基は5員又は6員の飽和又は飽和複素環を含むことが好ましい。複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。複素環のヘテロ原子の例にはB、N、O、S、Se及びTeが含まれる。中でも複素環のヘテロ原子としてはN、O及びSが好ましい。複素環は炭素原子が遊離の原子価(一価)を有する(複素環基は炭素原子において結合する)ことが好ましい。好ましい複素環基の炭素原子数は1〜40であり、より好ましくは1〜30であり、更に好ましくは1〜20である。飽和複素環の例には、ピロリジン環、モルホリン環、2−ボラ−1,3−ジオキソラン環および1,3−チアゾリジン環が含まれる。不飽和複素環の例には、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ピリジン環、ピリミジン環およびキノリン環が含まれる。複素環基は置換基を有していても良い。置換基の例としては、前述の「置換アルキル基の置換基、置換アルケニル基の置換基、置換アルキニル基の置換基、又は置換アラルキル基のアルキル部分の置換基」が挙げられる。
【0042】
(一重項酸素捕獲剤、ラジカルトラップ剤及び酸化防止剤)
本発明の近赤外線吸収材料は、一重項酸素捕獲剤、ラジカルトラップ剤及び酸化防止剤から選ばれる第1の化合物を少なくとも1種含有する。
本発明における、一重項酸素捕獲剤、ラジカルトラップ剤及び酸化防止剤は、一重項酸素を捕獲したり、ラジカルをトラップしたり、酸化防止するものであればどのようなものでもよく、例えばSeesorb 612 NH(シプロ(株))、Irgastab 2002(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))等の有機ニッケル系化合物、Tinuvin 744(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))等のヒンダードアミン系化合物、Irganox 1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))等のフェノール系化合物、Sumilizer 9A(住友化学(株))等のアミン系化合物、Sumilizer TPM(住友化学(株))等のイオウ系化合物、Sumilizer TPPR(住友化学(株))等のリン系化合物等が挙げられ、これらは単独でも、複数を併用してもよく、また後述の紫外線吸収剤と組み合わせて用いることもできる。これらの使用量は、化合物(II)1モルに対し、化合物(I)のモル数の合計が0.01〜10モルが好ましく、より好ましくは0.05〜7モルであり、更に好ましくは0.1〜5モルであり、更に好ましくは0.1〜2モルであり、更に好ましくは0.1〜0.5モルである。化合物(I)の含有量が、前記範囲内であることにより、より効果的な耐光性の向上が可能となり、近赤外線吸収能及び光劣化後の変色が少ないこととの両立が容易になる。
【0043】
本発明において、前記化合物(I)は、下記一般式(I―1)又は(I―2)で表される化合物であることが好ましい。
【0044】
【化5】

【0045】
式中、R11は水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合する複素環素又は加水分解可能な保護基を表し、R12〜R16は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16及びR16とR11は互いに結合して環を形成してもよい。R21は水素原子、脂肪族基、アシル基、スルホニル基、スルフィニル基、オキシラジカル基又はヒドロキシル基を表し、Qは5員、6員又は7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R22〜R25は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表し、R21とR22、R22とR23、R24とR25及びR21とR24は互いに結合して環を形成してもよい。
前記加水分解可能な保護基とはシリル基、リン酸エステル基又は下記一般式(IV)で表される基である。
【0046】
111−Y111―Z111― 一般式(IV)
【0047】
式中、R111は脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表し、Y111は単結合、−O−、−S−、−N(R112)−、−CH−及びこれらの結合したものを表し、Z111は−CO−又は−SO−を表す。R112は水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合する複素環基、アシル基又はアルキル若しくはアリールスルホニル基を表す。
【0048】
11として、好ましくは水素原子、炭素数1〜20の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数2〜20の炭素原子で結合する複素環基又は炭素数1〜20の加水分解可能な保護基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜10の脂肪族基又は炭素数1〜10の加水分解可能な保護基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜8の脂肪族基、炭素数1〜10のシリル基、炭素数1〜10のリン酸エステル基又は炭素数1〜10のカルボニル基で連結する加水分解可能な保護基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜4の脂肪族基、炭素数3〜6のシリル基、炭素数2〜8のリン酸エステル基又は炭素数1〜8のカルボニル基で連結する加水分解可能な保護基であり、更に好ましくは水素原子、トリメチルシリル基、ジメチル若しくはジエチルリン酸エステル基、ベンゾイル基又はアセチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0049】
12〜R16として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基又はシリル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基又はシリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイルオキシ基又はアルキルチオ基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基又はアシルアミノ基であり、最も好ましくは水素原子又はアルキル基である。またR12及びR16の一方又は両方が3級アルキル基となることが好ましい。
【0050】
一般式(I−2)において、好ましいR21は水素原子、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数2〜10のアシル基、オキシラジカル基又はヒドロキシル基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数2〜7のアシル基、オキシラジカル基又はヒドロキシル基であり、更に好ましくは水素原子、アセチル基、オキシラジカル基又はヒドロキシル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0051】
22〜R25として、好ましくは水素原子又は炭素数1〜10の脂肪族基であり、より好ましくは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基であり、最も好ましくはR22〜R25全てがメチル基となる場合である。
【0052】
Qとして好ましくは、炭素原子、水素原子、酸素原子、イオウ原子及び窒素原子から選ばれる5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群であり、より好ましくは炭素原子、水素原子、酸素原子及び窒素原子から選ばれる5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群であり、更に好ましくは炭素原子、水素原子及び窒素原子から選ばれる5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群であり、最も好ましくはQがピペリジン環を形成する非金属原子群である。
【0053】
本発明において、一般式(I−1)で表される化合物としては、R11が水素原子であって、R12、R13、R15、R16が水素原子又は炭素数が3〜8の第3級アルキル基である化合物が好ましい。また、一般式(I−2)で表される化合物としては、R21が水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又はオキシラジカルであって、R22、R23、R24、R25が水素原子又はメチル基であって、Qが炭素原子、水素原子、窒素原子から選ばれる5〜7員環を形成するのに必要な非金属原子群であることが好ましい。
【0054】
また、本発明においては、化合物(I)を2種以上含有することが好ましい。これにより、より効果的に耐光性が向上する。2種以上の化合物(I)の組合せとしては特に制限はないが、一般式(I−1)で表される化合物と一般式(I−2)で表される化合物とを組合せることが好ましい。
【0055】
以下に本発明における一般式(I−1)又は一般式(I−2)で表される化合物の具体例として、例示化合物(I−1)〜(I−52)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0056】
【化6】

【0057】
【化7】

【0058】
【化8】

【0059】
【化9】

【0060】
【化10】

【0061】
これらの化合物は、英国特許第1,326,889号、同第1,354,313号、同第1,410,846号、米国特許第3,336,135号、同第4,268,593号、同第4,558,131号、同第4,584,265号の各明細書、特公昭51−1420号公報、同52−6523号公報、特開昭58−114036号公報、同59−5246号公報、同61−73152号公報、同61−86750号公報、同61−90155号公報、同61−90156号公報、同61−172246号公報等に記載されている方法、もしくはそれに準ずる方法で合成することができる。
【0062】
(一般式(II−1)又は(II−2)で表される化合物)
本発明の近赤外線吸収材料は、下記一般式(II―1)又は(II―2)で表される第2の化合物を少なくとも1種含有する。
【0063】
【化11】

【0064】
式中、R201、R202、R211、R212、R221及びR222は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で連結する複素環基を表す。
201及びR202として、好ましくは水素原子、炭素数1〜30の脂肪族基、炭素数6〜30の芳香族基、又は炭素数2〜30の炭素原子で結合する複素環基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数6〜20のフェニル基若しくはナフチル基、又は炭素数2〜20の炭素原子で連結する5若しくは6員環の複素環基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基であり、更に好ましくは水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基である。
【0065】
211、R212、R221及びR222として、好ましくは脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で連結する複素環基であり、より好ましくは炭素数1〜30のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数6〜30のフェニル基若しくはナフチル基、又は炭素数2〜30の炭素原子で連結する複素環基であり、更に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のフェニル基、又は炭素数2〜20の炭素原子で連結する複素環基であり、更に好ましくは炭素数1〜15のアルキル基、又は炭素数6〜15のフェニル基であり、最も好ましくは炭素数1〜10のアルキル基である。
【0066】
201及びZ202は含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。Z201及びZ202によって形成される含窒素複素環として、好ましくは5又は6員の含窒素へテロ環であり、より好ましくはキノリン環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、インドレニン環、又はベンゾインドレニン環であり、更に好ましくはキノリン環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環、又はベンゾインドレニン環である。
【0067】
213〜R216及びR223〜R226は、水素原子又は置換基を表し、R213とR214、R214とR211、R211とR212、R212とR215、R215とR216、R223とR224、R224とR221、R221とR222、R222とR225及びR225とR226は互いに結合して環を形成してもよい。
該置換基の例としては前述の「置換アルキル基の置換基、置換アルケニル基の置換基、置換アルキニル基の置換基及び置換アラルキル基のアルキル部分の置換基」の例として挙げた置換基が挙げられる。R213〜R216及びR223〜R226が置換基の場合、好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、又はシリル基であり、
【0068】
より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、又はシリル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、カルバモイル基、又はシリル基であり、
【0069】
更に好ましくはハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、炭素数1〜20のアルキル基若しくはアルコキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アシル基、カルバモイル基、シリル基、炭素数6〜20のアリール基若しくはアリールオキシ基、又はアリールチオ基であり、更に好ましくはハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜12のアルキル基若しくはアルコキシ基、アミノ基、又は炭素数6〜12のアリール基若しくはアリールオキシ基であり、更に好ましくはハロゲン原子、ヒドロキシル基、又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアルコキシ基である。
【0070】
一般式(II−1)で表される化合物のうち、好ましくはZ201及びZ202によって形成される含窒素複素環がキノリン環、ベンゾチアゾール環、ナフトチアゾール環、インドレニン環又はベンゾインドレニン環のいずれかであって、R201及びR202が水素原子又は炭素数1〜15のアルキル基の化合物である。より好ましくは、Z201及びZ202によって形成される含窒素複素環がキノリン環、ナフトチアゾール環、ベンゾインドレニン環であって、R201及びR202が水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基の化合物である。
一般式(II−2)で表される化合物のうち、好ましくはR213〜R215及びR223〜R225が、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はハロゲン原子で、R216及びR226がヒドロキシル基又はアシルアミノ基であって、R211、R212、R221及びR222が炭素数1〜10のアルキル基の化合物である。
【0071】
本発明においては化合物(II)が、一般式(II−1)又は(II−2)で表される化合物のうち、一般式(II−2)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(II−2)で表される化合物のうち、より好ましくはR213及びR223が水素原子であって、R214がR211と、R215がR212と、R224がR221と、R225がR222とそれぞれ互いに結合して5又は6員環を形成するアルキル基であって、R216及びR226がヒドロキシル基である化合物、又は、R211、R212、R221及びR222がアルキル基であって、R213〜R215及びR223〜R225が水素原子であって、R216及びR226がヒドロキシル基である化合物である。
以下に本発明における一般式(II−1)又は(II−2)で表される化合物の具体例として、例示化合物(II−1)〜(II−30)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0072】
(一般式(II−1)で表される化合物)
【0073】
【化12】

【0074】
【化13】

【0075】
【化14】

【0076】
(一般式(II−2)で表される化合物)
【0077】
【化15】

【0078】
【化16】

【0079】
【化17】

【0080】
一般式(II−1)又は(II−2)で表される化合物は、例えば特開平2−84383号公報、特公昭51−41061号公報、特開平5−313305号公報及びリービッヒス・アンナーレン・デア・ケミーの935〜939ページ(1993年)に記載の方法を参考にして合成することができる。
例えば、一般式(II―2)で示される化合物を合成する場合、クロコン酸に対して、使用するアニリン化合物のモル比は好ましくは1.5〜3であり、更に好ましくは1.8〜2.5であり、更に好ましくは1.9〜2.1である。
【0081】
反応溶媒としては、例えば、アミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等)、スルホン系溶媒(例えば、スルホラン等)、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド等)、ウレイド系溶媒(例えば、テトラメチルウレア等)、エーテル系溶媒(例えば、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、シクロヘキサノン等)、炭化水素系溶媒(例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、n−オクタン等)、ハロゲン系溶媒(例えば、テトラクロロエタン、クロロベンゼン等)、アルコール系溶媒(例えば、1−ブタノール、エチレングリコール、シクロヘキサノール等)、カルボン酸系溶媒(例えば、酢酸等)を単独又は混合して用いることができる。
反応溶媒として、好ましくは無溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒及びカルボン酸系溶媒であり、更に好ましくは炭化水素系溶媒、ハロゲン系溶媒及びアルコール系溶媒である。
【0082】
反応温度は0〜250℃、好ましくは50〜200℃、更に好ましくは60〜150℃であり、5分〜30時間の反応時間の範囲で行うことができる。
【0083】
反応中、副生する水を系外に除くことも好ましく、減圧下あるいは常圧にて単独若しくは溶媒とともに留去する方法、モレキュラーシーブ等の吸収剤を用いる方法、無水酢酸等の脱水縮合剤を用いる方法等が好ましく用いられる。
【0084】
なお、原料となるアニリン化合物は特開平10−29976号公報に記載の方法を参考に合成することができる。
【0085】
本発明の近赤外線吸収材料における、前記化合物(II)の含有量としては特に制限はないが、全固形分に対して10−10〜20質量%が好ましく、10−7〜5質量%であることがより好ましく、10−4〜3質量%であることが更に好ましい。化合物(II)の含有量が前記範囲内であることにより、良好な近赤外線吸収能を得ることができる。
【0086】
(紫外線吸収剤)
本発明の近赤外吸収材料においては、前記化合物(I)及び化合物(II)に加えて、紫外線吸収剤の少なくとも1種を、更に含有することが好ましい。これにより、より効果的に耐光性が向上する。
本発明における紫外線吸収剤は、分光吸収特性として、紫外線領域(10〜400nm)に吸収を有し、溶液における270〜1600nmの範囲での分光吸収極大波長が470nm以下である化合物を意味する。耐光性向上効果の点から、前記分光吸収極大波長が、430nm以下であることが好ましく、より好ましくは410nm以下、更に好ましくは380nm以下である。
また、本発明における紫外線吸収剤の化学構造式としては、下記一般式(III―1)〜(III―9)のいずれかで表される化合物が好ましい。
以下に、一般式(III―1)〜(III―9)で表される化合物について説明する。
【0087】
【化18】

【0088】
式中、R311〜R314、R321〜R366、R371〜R378、R381〜R384、R386〜R389、R391〜R400は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R315は水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。R379、R380およびR385は各々独立に置換基を表す。X341は水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。n379、n380及びn385は各々独立に0〜4の整数を表し、n379、n380及びn385が2以上の場合、複数のR379、R380及びR385は各々同一でも異なっていてもよい。
ここで、互いに隣接する基が、互いに結合して環を形成してもよい。
【0089】
311〜R314、R321〜R366、R371〜R378、R381〜R384、R386〜R384、R386〜R389、R391〜R400で表される置換基としては、前述の「置換アルキル基の置換基、置換アルケニル基の置換基、置換アルキニル基の置換基又は置換アラルキル基のアルキル部分の置換基」の例として挙げた置換基が挙げられる。
311〜R314、R321〜R360は、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基である。
【0090】
311〜R314としては、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、イミド基、又はシリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、又はアミノ基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基であり、最も好ましくは水素原子又はハロゲン原子である。
【0091】
315は、好ましくは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基であり、より好ましくは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、又は炭素数6〜30のアリール基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜25のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、又は炭素数6〜25のアリール基であり、更に好ましくは炭素数1〜22のアルキル基、又は炭素数6〜22のアリール基であり、更に好ましくは炭素数6〜20のアリール基であり、最も好ましくは炭素数6〜20のオルトヒドロキシフェニル基である。
【0092】
321〜R330は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、又はシリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルバモイル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はカルバモイル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、又はアルコキシカルボニル基である。またR321がヒドロキシル基となることが最も好ましい。
【0093】
331〜R340は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、又はシリル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はカルバモイル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、又はカルバモイル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルアミノ基、又はアルコキシカルボニル基である。またR331がヒドロキシル基となることが最も好ましい。
【0094】

341〜R350は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はシリル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、又はアリールチオ基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、又はアシルアミノ基であり、最も好ましくは水素原子、アルコキシ基、又はアミノ基である。
【0095】
341は好ましくは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、又はアリール基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、又は炭素数6〜30のアリール基であり、更に好ましくは水素原子、炭素数1〜25のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、又は炭素数6〜25のアリール基であり、更に好ましくは炭素数1〜22のアルキル基、又は炭素数6〜22のアリール基であり、最も好ましくは炭素数1〜18のアルキル基である。
【0096】
351〜R360は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、又はシリル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アリールチオ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、又はアルコキシカルボニル基であり、R351がヒドロキシル基となるのが最も好ましい。
【0097】
361として好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、二トロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、又はシリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はイミド基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、又はアルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、又はアシルアミノ基である。
【0098】
362、R363、R364及びR366として好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、又はシリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、又はシリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0099】
365として好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、二トロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、又はシリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アアシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、又はシリル基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、又はアルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基であり、更に好ましくはヘテロ環基、アミノ基、又はアシルアミノ基である。
【0100】
371、R374、R375及びR378としてより好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、又はメルカプト基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、又はアミノ基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0101】
372、R373、R376及びR377として好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、二トロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、又はシリル基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、又はスルファモイル基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミノ基、メルカプト基、又はアルキルチオ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基、アリール基、又はアルコキシ基である。
【0102】
379及びR380として好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、又はシリル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はヘテロ環チオ基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はアルコキシ基である。
379およびn380として好ましくは0〜3であり、更に好ましくは0〜2であり、更に好ましくは0または1であり、0が最も好ましい。
【0103】
381、R384、R386及びR389の好ましい範囲は前述のR371と同様である。またR382、R383、R387及びR388の好ましい範囲は前述のR372と同様である。
385として好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、又はシリル基であり、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であり、更に好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、又はアルキルチオ基であり、更に好ましくはハロゲン原子又はアルキル基である。
385は好ましくは0〜3であり、更に好ましくは0〜2であり、更に好ましくは0〜1であり、最も好ましくは0である。
また、互いに隣接する2つのR385が互いに結合して縮合環を形成し、ナフト−1,4−イル基を構成することもまた好ましい。
【0104】
391、R394、R397及びR400の好ましい範囲は前述のR371と同様である。またR392、R393、R398及びR399の好ましい範囲は前述のR372と同様である。
395及びR396として好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、シリル基であり、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基であり、更に好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アミノ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基である。
【0105】
一般式(III―1)〜(III―9)で表される化合物のうち、好ましくは一般式(III―1)、(III―2)、(III―3)、(III―4)、(III―6)、(III―8)又は(III―9)で表される化合物であり、更に好ましくは一般式(III―1)、(III―2)、(III―3)、(III―8)又は(III―9)で表される化合物であり、更に好ましくは一般式(III―1)、(III―2)、(III―3)又は(III―9)で表される化合物であり、更に好ましくは一般式(III―1)、(III―2)又は(III―9)で表される化合物であり、最も好ましくは一般式(III―1)で表される化合物である。
【0106】
本発明において、一般式(III−1)で表される化合物としては、R311〜R314が水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜5のアルキル基であって、R315が炭素数6〜20のオルトヒドロキシフェニル基であることが好ましい。
また、一般式(III−2)で表される化合物としては、R322〜R330が水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシルアミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基であって、R321がヒドロキシル基であることが好ましい。
また、一般式(III−3)で表される化合物としては、R332〜R340が水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアシルアミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基であって、R331がヒドロキシル基であることが好ましい。
また、一般式(III−9)で表される化合物としては、R391、R394、R397及びR400が水素原子であって、R392、R393、R398及びR399が水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数1〜20のアルコキシ基であって、R395及びR396が水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましい。
【0107】
以下に、本発明における一般式(III−1)〜(III−9)で表される化合物の具体例として、例示化合物(III−1)〜(III−165)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0108】
【化19】

【0109】
【化20】

【0110】
【化21】

【0111】
【化22】

【0112】
【化23】

【0113】
【化24】

【0114】
【化25】

【0115】
【化26】

【0116】
【化27】

【0117】
【化28】

【0118】
【化29】

【0119】
【化30】

【0120】
【化31】

【0121】
【化32】

【0122】
【化33】

【0123】
【化34】

【0124】
【化35】

【0125】
【化36】

【0126】
【化37】

【0127】
【化38】

【0128】
【化39】

【0129】
これらの化合物は、特公昭50−25337号公報、米国特許第3,785,827号明細書、特開平5−4449号公報、特公昭48−30492号公報、特開平2−188573号公報、EP0684278A1号明細書、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー,第23巻,1344頁(1958年発行)等に記載の方法もしくはこれに準じた方法で容易に合成できる。また、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社から「チヌビン109」などの商品名にて販売されていたり、住友化学(株)製のWhitwefuluorの商品群、昭和化学(株)製のHakkolの商品群、ヘキスト(株)製のHostaluxの商品群、および日本化薬(株)製のKayalightの商品群の中から選定することが可能である。
【0130】
本発明の近赤外線吸収材料においては、前記紫外線吸収剤を2種以上含有することが好ましい。これにより、より効果的に耐光性を向上させることができる。
また、本発明の近赤外線吸収材料に含まれる紫外線吸収剤の総モル数は、前記化合物(II)1モルに対して、0.05〜2.0モルであることが好ましく、0.1〜1.0モルであることがより好ましく、0.1〜0.5モルであることが更に好ましい。紫外線吸収剤の含有量が、前記範囲内であることにより、より効果的な耐光性向上と、赤外線吸収能及び光劣化後の変色が少ないこととの両立が容易になる。
【0131】
(近赤外線吸収材料の製造方法)
本発明の近赤外線吸収材料は、例えば、以下の方法により製造することができる。
(1)化合物(I)と化合物(II)とを溶媒(例えば、クロロホルム、塩化メチレン、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、水等)に溶解又は分散する方法。
(2)化合物(I)と化合物(II)とを樹脂(例えばABS樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、メタクリロニトリル樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂)と加熱、混練する方法。
(3)化合物(I)と化合物(II)とを、前述の溶媒に溶解又は分散したところへ、例えば前記樹脂を添加して加熱溶解後、薄膜化又はそのまま固化させる方法。
(4)化合物(I)と化合物(II)とを溶媒に溶解又は分散したものを、例えば、紙、樹脂シート、樹脂、フイルム、ガラス、金属板などに塗布又はハードコートする方法。
(5)化合物(I)と化合物(II)とをそのまま、微粒子化又は溶液として、モノマーとの混合物として、これを重合させる方法。
上記のそれぞれの方法において、前記紫外線吸収剤を更に添加することが好ましい。また、必要に応じて、バインダーや他の化合物を併用することもできる。
【0132】
(近赤外線吸収材料の使用方法)
本発明の近赤外線吸収材料は、種々の用途に使用できる。即ち長波長レーザー用光記録媒体、不可視性印刷用記録材料、光学フィルター、建築および農業用フィルター、塗装材料等に使用することができる。これらのうち好ましくは光学フィルター、建築および農業用フィルター、塗装材料等であり、更に好ましくは光学フィルターである。
本発明の近赤外線吸収材料は、化合物(I)と化合物(II)とを含有するため、耐光性と赤外線吸収能及び光劣化後の変色が少ないこととを両立でき、新たな用途にも使用が可能である。
【0133】
<近赤外線吸収フィルター>
本発明の近赤外線吸収フィルターは、本発明の近赤外線吸収材料を備えてなることを特徴とする。本発明の近赤外線吸収フィルターは、上記近赤外線吸収材料の製造方法で述べた方法によって製造することができる。また、必要に応じて保護層等その他の層を更に設けることもできる。
【実施例】
【0134】
以下に本発明を実施例により、更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、説明の便宜上、前記化合物(I)の具体例を化合物(I−a)と、前記化合物(II)の具体例を化合物(II−a)と、紫外線吸収剤の具体例を化合物(III−a)と称する。また、下記表中の「構造」は対応する例示化合物番号を表す。
【0135】
実施例1
(近赤外線吸収フィルターの製造 )
ポリスチレン10gと、下記表1及び表2に示す構造及び量の化合物(I−a)及び(III−a)と、例示化合物(II―22)0.1gに、クロロホルム100mlを加えて、40℃にて15分攪拌して溶解したものを、ガラス板に塗布して室温にて送風乾燥し、サンプルを作製した。
【0136】
(耐光性試験)
実施例1で得られたサンプルをキセノンランプにて9.5万ルクスで3日間照射し、例示化合物(II―22)の分光吸収極大波長における吸光度を測定して、照射前の分光吸収極大波長における吸光度に対する残存比を求め、耐光性(光堅牢性)を評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0137】
【表1】

【0138】
【表2】

【0139】
上記表1及び表2に示すように、本発明の試料は、いずれも良好な耐光性を示し、その効果は非常に大きい。また、試験後の本発明サンプルは何れも目視で比較サンプルより褐色の色味が薄かった。
【0140】
実施例2
(近赤外線吸収フィルターの製造 )
ポリスチレン10gと、下記表3及び4に示す構造及び量の化合物(I−a)及び(III−a)と、下記表3及び4に示す構造の化合物(II−a)0.1gとに、クロロホルム100mlを加えて、40℃にて15分攪拌して溶解したものを、ガラス板に塗布して室温にて送風乾燥し、サンプルを作製した。
【0141】
(耐光性試験)
実施例2で得られたサンプルをキセノンランプにて9.5万ルクスで3日間照射し、化合物(II―a)の分光吸収極大波長における吸光度を測定して、照射前の分光吸収極大波長における吸光度に対する残存比を求め、耐光性(光堅牢性)を評価した。結果を表3及び表4に示す。
【0142】
【表3】

【0143】
【表4】

【0144】
上記表3及び4に示すように、化合物(II−a)を種々変更して調べた結果も、本発明の試料は、いずれも良好な耐光性を示し、その効果は非常に大きい。また、試験後の本発明サンプルは何れも目視で比較サンプルより褐色の色味が薄かった。
【0145】
本発明の実施例に用いた化合物の物性値を以下に示す。
【0146】
【表5】

【0147】
【表6】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
一重項酸素捕獲剤、ラジカルトラップ剤及び酸化防止剤から選ばれる第1の化合物の少なくとも1種と、下記一般式(II−1)又は(II−2)で表される第2の化合物の少なくとも1種と、を含有する近赤外線吸収材料。
【化1】


[式中、R201、R202、R211、R212、R221及びR222は、各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で連結する複素環基を表し、Z201及びZ202は含窒素複素環を形成するのに必要な非金属原子群を表す。R213〜R216及びR223〜R226は、水素原子又は置換基を表し、R213とR214、R214とR211、R211とR212、R212とR215、R215とR216、R223とR224、R224とR221、R221とR222、R222とR225及びR225とR226は互いに結合して環を形成してもよい。]
【請求項2】
前記第1の化合物が、下記一般式(I−1)又は(I−2)で表されることを特徴とする請求項1に記載の近赤外線吸収材料。
【化2】


[式中、R11は水素原子、脂肪族基、芳香族基、炭素原子で結合する複素環素又は加水分解可能な保護基を表し、R12〜R16は各々独立に水素原子又は置換基を表し、R11とR12、R12とR13、R13とR14、R14とR15、R15とR16及びR16とR11は互いに結合して環を形成してもよい。R21は水素原子、脂肪族基、アシル基、アルキル若しくはアリールスルホニル基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、オキシラジカル基又はヒドロキシル基を表し、Qは5員、6員又は7員環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R22〜R25は各々独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表し、R21とR22、R22とR23、R24とR25およびR21とR24は互いに結合して環を形成してもよい。]
【請求項3】
前記第1の化合物を、2種以上含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の近赤外線吸収材料。
【請求項4】
紫外線吸収剤の少なくとも1種を、更に含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の近赤外線吸収材料。
【請求項5】
前記紫外線吸収剤の、溶液における270nm〜1600nmの範囲での分光吸収極大波長が410nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の近赤外線吸収材料。
【請求項6】
前記紫外線吸収剤が、下記一般式(III−1)〜(III−9)のいずれかで表される化合物であることを特徴とする請求項4又は5に記載の近赤外線吸収材料。
【化3】


[式中、R311〜R314、R321〜R366、R371〜R378、R381〜R384、R386〜R389、R391〜R400は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R315は水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。R379、R380及びR385は各々独立に置換基を表す。X341は水素原子、脂肪族基、芳香族基又は炭素原子で結合する複素環基を表す。n379、n380及びn385は各々独立に0〜4の整数を表し、n379、n380及びn385が2以上の場合、複数のR379、R380及びR385は各々同一でも異なっていてもよい。ここで、互いに隣接する基が、互いに結合して環を形成してもよい。]
【請求項7】
前記紫外線吸収剤を、2種以上含有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の近赤外線吸収材料。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の近赤外線吸収材料を備えた近赤外線吸収フィルター。


【公開番号】特開2008−75016(P2008−75016A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257480(P2006−257480)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】