説明

追尾割当装置

【課題】複数ターゲットの追尾を複数センサに割当てる場合に、高速に最適割当を実現できる追尾割当装置を得る。
【解決手段】ターゲットDB13と、ターゲット想定軌道束を算出するターゲット想定軌道束算出機能11と、監視要求をターゲットDBに記憶させる監視要求記録機能12とを有するターゲット管理部10と、センサDB24と、割当可能数推移DB25と、既割当スケジュールを記憶する既割当スケジュールDB26と、割当可能数推移を算出する割当可能数推移算出機能21と、センサ毎監視可能期間を算出するセンサ毎監視可能期間算出機能22とを有するセンサ管理部20と、追尾精度貢献度DB32と、追尾精度貢献度を算出する追尾精度貢献度算出機能31とを有する誤差算出部30と、追尾精度貢献度の加算結果から最適割当スケジュールを算出する最適割当算出機能41を有する割当算出部40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセンサで複数のターゲットを継続監視する際の追尾割当装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数センサの追尾用制御装置としては、例えば、各追尾フィルタの出力を監視することによって追尾がはずれそうになっているターゲットを検出し、そのターゲットに対して、より優先的にセンサを割当てることで、追尾をはずしてしまう危険性を防止する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、領域を分割してセンサ優先度を事前に決めておく技術もある(例えば、特許文献2参照)。また、ヒット数要求を算出しておき、ヒット数の最適配分の形で複数センサの割当を実現する技術もある(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
また、複数センサが動作中であるか否かを考慮して割当を行う技術もある(例えば、特許文献4参照)。さらに、単独センサの追尾用制御装置としては、ターゲットの追尾精度に合わせて適応的にサンプリング間隔を制御する技術がある(例えば、特許文献5参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2000−75023号公報
【特許文献2】特開2000−292533号公報
【特許文献3】特開2001−51051号公報
【特許文献4】特開2002−277543号公報
【特許文献5】特開2000−241539号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術には次のような課題がある。
複数ターゲットの追尾を複数センサに割当てる場合、各ターゲットに追尾精度要求が出され、それを満たす最小限のセンサ割当てが求められることがある。
【0007】
従来の技術で構成される追尾割当装置、例えば特許文献4と特許文献5の技術から、センサ組と追尾期間を与え、時間経過に沿って追尾精度を順次見積るという方法は、容易に考えられる。しかし、とりうるセンサ組合せと追尾期間とを変化させて反復的に探索することになり、計算時間を要する、あるいは所望の時間内で計算を終わらせるためには、高性能・高価な計算機あるいは並列処理を行える多数の計算機と高速通信設備を要するという問題点があった。
【0008】
また、特許文献1の技術は、フィルタ出力からリソース不足を監視する方法であり、ターゲット検出時に将来にわたって割当計画を作成する方法ではないという問題点があった。また、特許文献3の技術は、割当単位をヒット数として定式化して効率化できるが、ヒット数と追尾精度との相関は弱い場合も多く、最小限の割当からほど遠い、余裕をもったセンサ割当しか得られない可能性が高いという問題点があった。
【0009】
さらに、特許文献2の技術は、特にセンサの覆域が変化する場合には、領域分割に加えて場合分けが必須となり、また、近年の計算機では記憶領域のアクセスより補助的なCPUを用いた計算の方が高速なケースも多く、領域の情報を記憶領域で検索するより、ターゲットとの関係を計算した方が、実装の手間も計算の手間もかえって軽減されるという問題点があった。
【0010】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、複数ターゲットの追尾を複数センサに割当てる場合に、高速に最適割当を実現できる追尾割当装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る追尾割当装置は、ターゲットへの精度要求および監視期間要求を含む監視要求と、ターゲット想定軌道の集合であるターゲット想定軌道束とを記憶するターゲットデータベースと、外部センサ群からのターゲットの検出情報に含まれるターゲットの観測位置の時系列からターゲット想定軌道束を算出してターゲットデータベースに記憶させるターゲット想定軌道束算出機能と、ユーザから受けたターゲットへの監視要求をターゲットデータベースに記憶させる監視要求記録機能とを有するターゲット管理部と、センサの制御状態毎の最大割当可能数を含むセンサ仕様およびセンサ制御スケジュールを記憶するセンサデータベースと、それぞれのセンサに割当可能なターゲット数の上限と監視期間とを対応付けた割当可能数推移を記憶する割当可能数推移データベースと、既割当スケジュールを記憶する既割当スケジュールデータベースと、センサデータベースに記憶されたセンサ仕様およびセンサ制御スケジュールと、既割当スケジュールデータベースに記憶された既割当スケジュールと、ターゲット管理部からの監視期間要求に含まれる監視期間とに基づいて、監視期間に応じた割当可能数推移を算出して割当可能数推移データベースに記憶させる割当可能数推移算出機能と、センサデータベースに記憶されたセンサ仕様およびセンサ制御スケジュールと、ターゲット管理部で算出されたターゲット想定軌道束と、割当可能数推移算出機能により算出された割当可能数推移とに基づいて、各ターゲットが各センサの覆域内にある期間に相当するセンサ毎監視可能期間を算出するセンサ毎監視可能期間算出機能とを有するセンサ管理部と、観測時刻における観測によって精度貢献時刻での追尾精度誤差が改善する度合いを示す追尾精度貢献度を記憶する追尾精度貢献度データベースと、ターゲット管理部がユーザからの監視要求を受けた際に、ターゲット管理部から受け取ったターゲット想定軌道束および監視要求に含まれる精度要求と、センサ管理部から受け取ったセンサ毎監視可能期間とに基づいて、精度要求に含まれるターゲットに対して、精度要求に含まれる精度要求期間を監視可能期間にもつ、センサ・ターゲット・観測時刻の組である割当単位毎の追尾精度貢献度を算出して追尾精度貢献度データベースに記憶させる追尾精度貢献度算出機能とを有する誤差算出部と、ターゲット管理部から受け取った精度要求と、センサ管理部から受け取ったセンサ毎監視可能期間および割当可能数推移と、誤差算出部から受け取った割当単位毎の追尾精度貢献度とに基づいて、センサ毎監視可能期間および割当可能数推移に準拠した割当可能な割当スケジュールのうち、精度要求に含まれる精度貢献時刻の要求精度を満たす最適割当スケジュールを、割当単位毎の追尾精度貢献度の加算結果に基づいて算出する最適割当算出機能を有する割当算出部とを備え、センサ管理部は、割当算出部により算出された最適割当スケジュールを用いて既割当スケジュールデータベースに記憶された既割当スケジュールを更新し、センサ管理部内の割当可能数推移算出機能は、更新された既割当スケジュールを用いて新たな割当可能数推移を算出し、割当可能数推移データベースに記憶された割当可能数推移を更新するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、時間経過に沿った追尾精度見積りは行わず、その代わりに、センサ毎・ターゲット毎に、ある時刻の観測から所望時刻の追尾誤差改善への貢献度を算出して、該時刻に該センサが該ターゲットを観測するという割当単位の評価値を導入し、このような評価値を加算していくことによる線形的な探索を実現することにより、複数ターゲットの追尾を複数センサに割当てる場合に、高速に最適割当を実現できる追尾割当装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の追尾割当装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における追尾割当装置の構成図である。この追尾割当装置は、ターゲット管理部10、センサ管理部20、誤差算出部30、および割当算出部40で構成される。各構成要素の機能について、以下に個別に説明する。
【0015】
まず始めに、ターゲット管理部10は、ターゲット想定軌道束算出機能11、監視要求記録機能12、およびターゲットデータベース13(以下の説明においては、データベースのことをDBと略して記載するものとする)を有している。
【0016】
ターゲット想定軌道束算出機能11は、外部センサ群からのターゲットの検出情報を受け付け、ターゲット想定軌道束を算出し、ターゲットDB13に保管する。この際、ユーザは、ターゲットに優先度を付けることにより、どのターゲットに優先的に追尾割当を行うかを指示することも可能である。
【0017】
また、監視要求記録機能12は、ユーザからのターゲットへの監視期間要求およびターゲットへの精度要求を含む監視要求を受け付け、ターゲットDB13に保管する。
【0018】
ターゲット管理部10は、ターゲット想定軌道束算出機能11により算出したターゲット想定軌道束をセンサ管理部20および誤差算出部30に提供する。また、ターゲット管理部10は、監視要求記録機能12で受け付けた監視要求をセンサ管理部20、誤差算出部30、および割当算出部40に提供する。
【0019】
さらに、ターゲット管理部10は、以下の機能も有している。
ターゲット管理部10は、外部センサ群あるいはユーザから、検出済ターゲットの削除時刻を含む削除情報を受け付けた場合には、ターゲットDB13内の検出済ターゲットに対応するターゲット想定軌道束における削除時刻以降のデータを削除した新たなターゲット想定軌道束を生成して前記ターゲットDB内のターゲット想定軌道束を更新し、該削除情報をセンサ管理部20に提供する。
【0020】
また、ターゲット管理部10は、外部センサ群からのターゲットの検出を受け付けた際に、ターゲットに優先度を付加することができる。これにより、ターゲット管理部10は、ターゲットDB13に記憶されているターゲット想定軌道束の中から、該ターゲットに付与した優先度よりも低い優先度が割り付けられたターゲットに対応するターゲット想定軌道束の集合を低優先度ターゲット集合として検索する。
【0021】
そして、ターゲット管理部10は、低優先度ターゲット集合について、該ターゲットの検出時刻を含む削除情報をセンサ管理部20に提供する。
【0022】
さらに、ターゲット管理部10は、低優先度ターゲット集合の該検出時刻以後の部分および検出ターゲットのターゲット想定軌道束を、センサ管理部20および誤差算出部30に提供する。
【0023】
また、ターゲット管理部10は、外部センサ群から、検出済ターゲットの最新観測位置を受け付けた際に、ターゲット想定軌道束からの逸脱があれば、新たにターゲット想定軌道束を算出してターゲットDB13を更新する。さらに、ターゲット管理部10は、逸脱検出時刻を含む削除情報をセンサ管理部20に提供する。このとき、該ターゲットに優先度が付いているなら、該優先度を変更することもできる。
【0024】
ここで、ターゲット管理部10の処理における各用語の意味を説明する。
ターゲット想定軌道束とは、ターゲット想定軌道の集合である。また、ターゲット想定軌道とは、時刻毎のターゲット位置の候補をひとつ提供するためのデータであり、ターゲット検出後に算出される。また、位置とは、観測位置を意味し、観測誤差によって生じるガウシアン分布を代表例とする存在確率分布を伴う。
【0025】
ターゲット想定軌道は、ターゲット検出情報に含まれる検出位置および複数時刻の検出位置間の差から力学的に推測する。ターゲット想定軌道は、例えば、発射点・着地点・飛翔パターンの組とし、その場合、時刻毎の位置は、それぞれの組から算出し、軌道候補点集合として提供する。あるいは、ターゲット想定軌道は、想定される軌道の時刻毎の位置そのものとすることもできる。
【0026】
監視期間要求とは、ターゲットの監視にあたって、ユーザからの要求として監視期間を指定するものである。監視期間は、ターゲットの監視を開始する始端時刻と、ターゲットの監視を終了する終端時刻とからなる。
【0027】
精度要求とは、ターゲットの監視にあたって、ユーザからの要求として、ある時刻や期間の位置誤差あるいは速度誤差を指定するものである。精度要求は、精度貢献時刻あるいは精度要求期間と、位置誤差あるいは速度誤差の組からなる。例えば、精度貢献時刻100秒で速度誤差毎秒10kmという精度要求であれば、該時刻において誤差楕円長径が該速度誤差以内になるようにセンサを割当てよという要求になる。
【0028】
また、例えば、時刻100秒から200秒までの精度要求期間に位置誤差10kmという精度要求であれば、該期間、誤差楕円長径が該位置誤差以内を保持するようにセンサを割当てよという要求になる。
【0029】
精度要求を満たす監視期間は、割当てたセンサ組でターゲットを追尾した場合の追尾誤差を見積もり、見積もった追尾誤差が精度要求を満たす最短期間として求められる。例えば、時刻80秒時点で検出したターゲットに対して、精度貢献時刻100秒までに速度誤差毎秒10kmという精度要求があって、センサ組ABが割当てられた場合を考える。
【0030】
該センサ組による追尾誤差見積りにより、時刻80秒時点を追尾開始時刻として、速度誤差10kmは、時刻90秒までの追尾で満たされるという見積りが得られたとする。この場合の監視期間は、80秒から90秒までとなる。
【0031】
また、例えば、時刻100秒から200秒までの精度要求期間に位置誤差10kmという精度要求があって、センサ組ABが割当てられた場合を考える。該センサ組による追尾誤差見積りにより、時刻100秒に位置誤差10km以内とするには、時刻85秒から追尾開始すればよいという見積りが得られたとする。この場合の監視期間は、85秒から200秒となる。
【0032】
次に、センサ管理部20は、割当可能数推移算出機能21、センサ毎監視可能期間算出機能22、センサ制御最適化機能23、センサDB24、割当可能数推移DB25、および既割当スケジュールDB26を有している。
【0033】
センサ管理部20は、ユーザからセンサ仕様とセンサ制御スケジュールを受け付けて、センサDB24に保持する。そして、割当可能数推移算出機能21は、センサ仕様に含まれるセンサ毎の最大割当可能数とセンサ制御スケジュールと、もしあれば既割当スケジュールDB26に保持された既割当スケジュールと、ターゲット管理部10からの監視要求に含まれる監視期間とに基づいて、割当可能数推移を求めて割当可能数推移DB25に記録する。
【0034】
また、センサ毎監視可能期間算出機能22は、ターゲット管理部10から受け取ったターゲット想定軌道束と、センサDB24に保持されたセンサ仕様およびセンサ制御スケジュールと、割当可能数推移算出機能21で算出された割当可能数推移とに基づいて、各ターゲットが各センサの覆域内にある期間に相当するセンサ毎監視可能期間を求め、割当可能数推移DB25に保持した割当可能数推移とともに割当算出部40に提供する。
【0035】
また、センサ管理部20は、割当算出部40から最適割当スケジュールを受取り、既割当スケジュールDB26に保持する。さらに、割当可能数推移算出機能21は、割当算出部40からの最適割当スケジュールを用いて、新たに割当可能数推移を求め、割当可能数推移DB25に保持した割当可能数推移を更新する。
【0036】
また、センサ管理部20は、ターゲット管理部10から削除時刻を含む削除情報を受け取った場合には、既割当スケジュールDB26内の該削除時刻以後の該ターゲットへの割当を削除する。さらに、割当可能数推移算出機能21は、割当削除したセンサについて、割当可能数推移DB25の該削除時刻以後の割当可能数推移を求めて更新する。
【0037】
また、センサ制御最適化機能23は、ターゲット管理部10からターゲット想定軌道束を受け取った場合には、センサDB24に保持されたセンサ仕様およびセンサ制御スケジュールをもとに、該ターゲット想定軌道束を覆うセンサ覆域の期間が最長になるように、センサ制御スケジュールを変更してセンサDB24に記録する。
【0038】
また、センサ制御最適化機能23は、ターゲット管理部10からターゲット想定軌道束に加えて監視要求を受け取った場合には、センサDB24に保持されたセンサ仕様およびセンサ制御スケジュールをもとに、該ターゲット想定軌道束のうち、監視要求の監視期間に含まれる部分を覆うセンサ覆域の期間が最長になるように、センサ制御スケジュールを変更してセンサDB24に記録することもできる。
【0039】
ここで、センサ管理部20の処理における各用語の意味を説明する。
センサ仕様とは、ターゲットにセンサを割当てるにあたって必要なセンサの諸元のうち、時刻によらない諸元であり、少なくともセンサへのターゲット割当可能数の最大数を含む。また、例えば、移動しないセンサの場合は、センサの位置を含む。また、例えば、センサに複数の稼動状態があれば、その稼動状態毎のターゲット割当可能数の最大数を含む。
【0040】
また、センサ制御スケジュールとは、ターゲットにセンサを割当てるにあたって必要なセンサの諸元のうち、時刻によって変化させる諸元であり、少なくともセンサの稼動期間を含む。例えば、センサに複数の稼動状態があれば、その稼動状態の推移を含む。また、例えば、時刻毎のセンサ覆域を含む。
【0041】
また、センサ覆域とは、各センサがターゲットを観測可能な領域である。例えば、センサの向き、視野角の限界、視野角毎の観測可能距離からなる。センサの向きが真北、視野角の限界が水平方向±60度、垂直方向0度〜30度、視野角毎の観測可能距離がすべて100kmであれば、半径100kmで真北を中心とした水平方向120度×垂直方向0度〜30度の立体的な扇形がセンサ覆域である。
【0042】
また、センサ毎監視可能期間とは、各ターゲットがセンサ覆域内にある期間をセンサ毎に求めたものである。ターゲット想定軌道、センサ仕様、センサ制御スケジュールをもとに、各センサのセンサ覆域内にある期間が求められる。例えば、ターゲット想定軌道から一定時刻毎のサンプルをとって得た空間上の各点の、各センサからの距離および方位角仰角を求め、該距離および該方位角仰角がセンサ覆域内かどうかを判定し、覆域内の期間をもってセンサ毎監視可能期間とすることができる。
【0043】
割当可能数推移は、センサ仕様と、センサ制御スケジュールと、既割当スケジュールとから求められる。例えば、センサ仕様として、センサAにはパワーの高低で2つの稼動状態があって、低パワーの状態ではターゲット10本まで、高パワーの状態では20本までと記述され、センサ制御スケジュールで、センサAは0秒から100秒までは低パワー、100秒から200秒までは高パワーと記述されている場合を考える。
【0044】
既割当スケジュールが空の場合、0秒から100秒までは10本、100秒から200秒までは20本が、センサAへ割当可能なターゲット数の上限となり、これが割当可能数推移となる。さらに、既割当スケジュールにセンサAへ0秒から150秒まで2本割当てられていれば、センサAの割当可能数推移は、0秒から100秒までは8本、100秒から150秒までは18本、150秒から200秒までは20本となる。
【0045】
次に、誤差算出部30は、追尾精度貢献度算出機能31および追尾精度貢献度DB32を有している。
【0046】
追尾精度貢献度算出機能31は、ターゲット管理部10からターゲット想定軌道束および精度要求を受取り、センサ管理部20からセンサ毎監視可能期間を受取る。そして、追尾精度貢献度算出機能31は、該精度要求で必要となる範囲のセンサ毎・ターゲット毎・観測時刻・精度貢献時刻毎の追尾精度貢献度を算出し、追尾精度貢献度DB32に格納する。さらに、追尾精度貢献度算出機能31は、割当算出部40からの要求に応じて、該当する追尾精度貢献度を提供する。
【0047】
あるいは、追尾精度貢献度算出機能31は、割当算出部40からの要求があったタイミングで、該当する追尾精度貢献度を算出して提供することもできる。
【0048】
ここで、誤差算出部30の処理における各用語の意味を説明する。
追尾精度貢献度とは、観測時刻t・精度貢献時刻L・貢献度からなり、観測時刻tの観測によって精度貢献時刻Lでの追尾精度誤差が改善する度合い、すなわち貢献度を指す。例えば、誤差が空間位置誤差および空間速度誤差の6行6列の行列Pで示される場合を考える。時刻t−sにおける誤差P(t−s)と、時刻tにおけるP(t)との関係は、誤差の時間変化をT(t)、その転置をY(t)とすると、下式で示される。
P(t)=Y(t)P(t−s)T(t)
【0049】
また、時刻tにおいて、センサAとセンサBの観測によって誤差P(t)が得られる場合、センサAの観測による誤差W(A、t)とセンサBの観測による誤差W(B、t)とから、P(t)は、W(A、t)の逆行列とW(B、t)の逆行列の和の逆行列で表される。このとき、時刻tのセンサAによる時刻Lの誤差への貢献度C(t、L、A)は、下式となる。
C(t、L、A)
=Π(τ=L、t)[Y'(τ)]W'(A、t)Π(τ=t、L)[T'(τ)]
【0050】
ここで、Y'(τ)はY(τ)の逆行列、W'(A、t)はW(A、t)の逆行列、T'(τ)はT(τ)の逆行列、Π(τ=t、L)[f(τ)]は変数τがtからLまで、f(τ)の積をとることを表す。時刻tのターゲット想定軌道がセンサBのセンサ覆域の外にある場合、W(B、t)=0である。ただし、ここでの0は、6行6列の0行列である。
【0051】
このC(t、L、A)を用いて、センサA〜Eによる時刻t1からt2までのd秒おきの観測による時刻Lの誤差の逆行列P'(L)は、下式となる。
P'(t)=Σ(t=t1、t2、d)[Σ(s={A、B、C、D、E})[C(t、L、s)]]
ここで、Σ(t=t1、t2、d)[f(t)]は、変数tがt1からt2を越えない範囲でdおきに、f(t)の和をとることを表す。Σ(s={A、B、C})[f(s)]は、f(A)+f(B)+f(C)を表す。
【0052】
次に、割当算出部40は、最適割当算出機能41を有している。
【0053】
最適割当算出機能41は、ターゲット管理部10から精度要求を受取り、センサ管理部20からセンサ毎監視可能期間および割当可能数推移を受取る。さらに、最適割当算出機能41は、誤差算出部30に対して割当単位、すなわちセンサ・ターゲット・観測時刻と、精度貢献時刻とを指定することによって、該割当単位の該精度貢献時刻への追尾精度貢献度を獲得し、最適割当スケジュールを算出する。そして、最適割当算出機能41は、算出した最適割当スケジュールをセンサ管理部20に提供する。
【0054】
ここで、割当算出部40の処理における各用語の意味を説明する。
割当スケジュールとは、割当単位の集合である。通常は、各ターゲットへの各センサの、観測時刻の連続した割当単位の集合であり、各ターゲットへの各センサの割当期間の集合となる。
【0055】
割当単位とは、センサ・ターゲット・観測時刻の組である。
最適割当スケジュールとは、割当単位数最小の割当スケジュールを指す。すなわち、センサ毎の割当期間において、割当てるターゲット数が該センサの割当可能数推移以内であり、センサ毎の割当期間の総和が、割当可能な全割当スケジュール中で最も短い割当スケジュールを指す。
【0056】
最適割当スケジュールは、例えば、ターゲットの検出時刻順と優先度順に、1本ずつについて、センサの割当を以下のように求めていく。ここでは、精度要求を、検出時刻aから時刻bを越えない期間の観測による、時刻Lにおける位置誤差および速度誤差とする。
【0057】
時刻L追尾精度貢献度は、時刻tの観測によって時刻Lの誤差が改善する追尾精度貢献度とする。
【0058】
時刻aから時刻bを越えない期間まで観測したときの時刻Lの誤差は、時刻aから時刻bを越えない期間までの時刻L追尾精度貢献度の総和によって求められる。また、複数のセンサによる時刻aでの観測によって精度貢献時刻Lの誤差が改善する度合いは、該センサ組の時刻aでの観測による時刻L追尾精度貢献度の総和によって求められる。
【0059】
精度要求で規定される精度のスカラー値は、誤差を表す行列の最大固有値の制限とすることができる。該誤差は、上記総和の逆行列であるから、該スカラー値の逆数は、追尾誤差貢献度の総和によって得られる行列の最小固有値の制限となる。
【0060】
センサ割当手順の例を、以下に示す。
まず、時刻Lにおける誤差が最短の割当期間かつ最小のセンサ数になるように、時刻a秒での観測が可能な単独センサから、時刻L追尾精度貢献度の最大のものを選ぶ。これが要求された誤差を満たすならば、該精度要求に対する割当は、終了とする。
【0061】
次に、該センサの隣接割当単位を、隣接割当単位選択規準に従って選択する。例えば、dを次の観測までの時間とすると、該センサの時刻a+dおよび他センサの時刻aが隣接割当単位の候補となる。そして、例えば、隣接割当単位選択規準として、上記隣接割当単位すべてについて平等に選択するという規準を選ぶことができる。
【0062】
すなわち、観測時刻a+dの時刻L追尾精度貢献度と、別のセンサによる観測時刻a秒の時刻L追尾精度貢献度の中から最大のものを選び、元の割当による総和との和をとる。これが要求された誤差を満たすならば、該精度要求に対する割当は、終了とする。
【0063】
以下、同様に、隣接する時刻L追尾精度貢献度の最大を総合していき、要求された誤差を満たすまで続けることによって、実現可能な割当スケジュールが存在する場合には、最適割当スケジュールが求められる。要求された誤差を満たす割当スケジュールが存在しなかった場合には、実現可能な割当スケジュールの中から、時刻L追尾精度貢献度の総合が最大の割当スケジュールを最適割当スケジュールとする。
【0064】
あるいは、時刻L追尾精度貢献度の総合が最小の割当スケジュールを最適割当スケジュールとし、他のターゲットへのセンサ割当の選択肢を増やすようにする。
【0065】
上記割当手順は、最短の割当期間かつ最小のセンサ数を探索する最も単純な手順として、隣接割当単位の中から最大を選択していく例を示した。最短の割当期間かつ最小のセンサ数を探索する問題に対しては、資源割当問題の解法として公知な多数のアルゴリズムのいずれも適用可能であり、他にも、例えば、遺伝的アルゴリズムが適用可能である。
【0066】
精度要求を、検出時刻a秒から時刻b秒を越えない期間までの観測による、時刻Lから時刻Mまでの位置誤差および速度誤差とすることもできる。その場合は、上記センサ割当手順において、時刻L追尾精度貢献度を、時刻Lから時刻Mまでの最小の追尾精度貢献度とすることで実施できる。
【0067】
また、精度要求を、時刻b秒から遡って時刻a秒より以前でない期間からの観測による、時刻Lの位置誤差および速度誤差とすることもできる。その場合は、上記センサ割当手順を、時刻aの代わりに時刻bから探索を開始し、併せて隣接割当単位のうち、同一センサの隣接割当単位を、時刻a+dの代わりに時刻b−dとすることで実施できる。
【0068】
また、上記隣接割当単位選択規準を、平等ではなく、同一センサの隣接割当単位をより容易に選ぶ規準とし、該規準に沿った割当評価値として、例えば、センサ数と割当単位数の重みつき和を用いることにより、ターゲットへの割当センサ数の少ない割当の中で、最適な割当評価値の割当スケジュールを最適割当スケジュールにすることもできる。
【0069】
これらの各構成要素の機能を踏まえ、追尾割当装置の全体動作について、フローチャートを用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態1における追尾割当装置の全体動作のフローチャートである。各ステップに沿って、処理内容を説明する。
【0070】
まず始めに、検出・精度要求ステップS210は、ターゲット管理部10による処理に相当する。検出・精度要求ステップS210において、ターゲット管理部10内のターゲット想定軌道束算出機能11は、外部センサ群からのターゲットの検出情報を受け付け、ターゲット想定軌道束を算出し、ターゲットDB13に保管する。
【0071】
また、監視要求記録機能12は、ユーザからの該ターゲットへの監視要求を受け付け、監視要求をターゲットDB13に保管する。
【0072】
ターゲット管理部10は、ターゲット想定軌道束算出機能11により算出したターゲット想定軌道束をセンサ管理部20および誤差算出部30に提供する。また、ターゲット管理部10は、監視要求記録機能12で受け付けた監視要求をセンサ管理部20、誤差算出部30、および割当算出部40に提供する。
【0073】
また、ターゲット管理部10は、ユーザがターゲットに優先度を付す場合には、さらに、該検出ターゲットの優先度をターゲットDB13に保持し、ターゲットDB13内の該優先度より低い、低優先度ターゲット集合を検索して解除ターゲットとし、検出時刻を解除時刻とし、低優先度ターゲット集合に割当てられたセンサを解除センサとする。
【0074】
また、ターゲット管理部10は、外部センサ群から検出済ターゲットの最新観測位置を受け付けた場合には、上記ターゲット想定軌道束からの逸脱を検査し、逸脱していれば、新たにターゲット想定軌道束を算出してターゲットDB13を更新し、上記ターゲット想定軌道束をセンサ管理部20および誤差算出部30に提供する。
【0075】
また、ターゲット管理部10は、ユーザから検出済ターゲットへの監視要求を受け付けた場合には、該要求をターゲットDB13に保管し、受け付けた監視要求をセンサ管理部20、誤差算出部30、および割当算出部40に提供する。
【0076】
また、ターゲット管理部10は、ユーザから割当を解除するターゲット、解除時刻、解除センサの指定を受けた場合には、ターゲットDB13に記録する。
そして、その後、センサ管理部20の処理に移行することとなる。
【0077】
次に、ステップS220は、センサ管理部20による処理に相当し、ステップS221〜S223の3つのステップからなる。割当解除ステップS221において、センサ管理部20は、ターゲット管理部10から割当解除に関するターゲット、解除時刻、解除センサの指定を受け取った場合には、該解除時刻以後の該センサの該ターゲットへの割当を解除するように既割当スケジュールDB26内に記憶された既割当スケジュールを更新する。
【0078】
また、センサ管理部20は、ターゲットに優先度が付され、検出ターゲットの優先度より低い、低優先度ターゲットが存在する場合には、該検出時刻以後において、該低優先度ターゲットに割当てたセンサをすべて解除するように、既割当スケジュールDB26内に記憶された既割当スケジュールを更新する。
【0079】
次に、センサ制御最適化ステップS222において、センサ管理部20は、ユーザからセンサ仕様およびセンサ制御スケジュールを受取ってセンサDB24に記録する。さらに、センサ管理部20は、ターゲット想定軌道束をターゲット管理部10から受け取った場合には、センサ覆域が該ターゲット想定軌道束を覆う量が最大になるように、センサ制御スケジュールを変更することもできる。
【0080】
また、センサ管理部20は、監視期間要求を併せて受け取った場合には、ターゲット想定軌道束のうち該監視期間に含まれる部分を覆う量が最大になるように、センサ制御スケジュールを変更することもできる。あるいは、センサ管理部20は、精度要求期間に上記ターゲット想定軌道束を覆域内とするセンサ数が最大になるように、センサ制御スケジュールを変更することもできる。
【0081】
次に、割当可能期間算出ステップS223において、センサ管理部20内の割当可能数推移算出機能21は、センサDBに保持されているセンサ制御スケジュールおよびセンサ仕様と、既割当スケジュールDB26に保持されている既割当スケジュールとを用いて、センサ毎の割当可能数推移を求める。
【0082】
また、センサ管理部20内のセンサ毎監視可能期間算出機能22は、ターゲット管理部10からターゲット想定軌道束を受け取った場合には、上記割当可能数推移およびセンサ覆域から、センサ毎の監視可能期間を求める。
【0083】
次に、追尾精度貢献度算出ステップS230は、誤差算出部30による処理に相当する。誤差算出部30内の追尾精度貢献度算出機能31は、ターゲット管理部10からターゲット想定軌道束および精度要求を、センサ管理部20からセンサ毎監視可能期間を受取り、センサ毎・ターゲット毎・観測時刻毎・精度貢献時刻毎の追尾精度貢献度を算出し、追尾精度貢献度DB32に格納する。
【0084】
また、追尾精度貢献度算出機能31は、割当算出部40からの要求に応じて、該当する追尾精度貢献度を追尾精度貢献度DB32から取り出して提供できる。あるいは、追尾精度貢献度算出機能31は、割当算出部40からの要求があったタイミングで、該当する追尾精度貢献度を算出して提供することもできる。
【0085】
そして、最後の割当ステップS240は、割当算出部40による処理に相当する。割当算出部40内の最適割当算出機能41は、ターゲット管理部10から精度要求を、センサ管理部20からセンサ毎監視可能期間および割当可能数推移を受取り、誤差算出部30に対して割当単位と精度貢献時刻を指定することによって、割当単位毎の追尾精度貢献度を獲得し、最適割当スケジュールを算出してセンサ管理部20に提供する。
【0086】
以上のように、実施の形態1によれば、時間経過に沿った追尾精度見積りは行わず、その代わりに、センサ毎・ターゲット毎に、ある時刻の観測から所望時刻の追尾誤差改善への貢献度を算出して、該時刻に該センサが該ターゲットを観測するという割当単位の評価値を導入している。これにより、追尾精度を、センサ組を変えては時間に沿って計算して割当の評価値とするという手間を省くことができ、単に割当単位の評価値を加算していくことによる線形的な探索を実現して、高速に最適割当を実施できる。
【0087】
さらに、誤差算出部に割当単位毎の追尾精度貢献度DBを有し、割当算出部において、割当スケジュールのよしあしを、割当単位毎の増減と連動した追尾精度貢献度の増減によって評価することにより、最適割当スケジュールの算出を高速化することができる。
【0088】
さらに、追尾精度貢献度の計算を、要求に応じて最小限実施することにより、追尾精度貢献度計算の時間の総量を短縮することができる。
【0089】
さらに、割当算出部の最適割当算出機能において、探索する割当スケジュールを限定することにより、割当計算を高速化することができる。
【0090】
さらに、ターゲットの削除に応じて割当を解除する機能を有することにより、解除以後の割当可能性を拡大し、無駄な割当を減らすことができる。
【0091】
さらに、ターゲット情報の更新に応じて割当を変更する機能を有することにより、無駄な割当を減らすとともに、ターゲットを追尾できる割当を継続的に提供することができる。
【0092】
さらに、ターゲットの優先度に応じて割当を変更する機能を有することにより、低い優先度のターゲットに割当ててしまったことによる割当制限のため、優先度の高いターゲットを追尾できないという事態を回避できる。
【0093】
さらに、ターゲットにセンサの制御スケジュールを適合させる機能を有することにより、ターゲットを追尾できる可能性を高めることができる。
【0094】
さらに、監視期間内のターゲットにセンサの制御スケジュールを適合させる機能を有することにより、ターゲットに要求される精度要求を達成できる可能性を高めることができる。
【0095】
なお、上述の説明においては、すべての機能を備えている場合について説明したが、本発明の効果を得るためには、この構成には限定されない。例えば、上述したセンサ制御最適化機能を有しない場合、優先度を考慮しない場合、削除情報を考慮しない場合においても、高速に最適割当を実現できる追尾割当装置を得るという本願の目的を達成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態1における追尾割当装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における追尾割当装置の全体動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0097】
10 ターゲット管理部、11 ターゲット想定軌道束算出機能、12 監視要求記録機能、13 ターゲットDB、20 センサ管理部、21 割当可能数推移算出機能、22 センサ毎監視可能期間算出機能、23 センサ制御最適化機能、24 センサDB、25 割当可能数推移DB、26 既割当スケジュールDB、30 誤差算出部、31 追尾精度貢献度算出機能、32 追尾精度貢献度DB、40 割当算出部、41 最適割当算出機能。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットへの精度要求および監視期間要求を含む監視要求と、ターゲット想定軌道の集合であるターゲット想定軌道束とを記憶するターゲットデータベースと、
外部センサ群からのターゲットの検出情報に含まれるターゲットの観測位置の時系列からターゲット想定軌道束を算出して前記ターゲットデータベースに記憶させるターゲット想定軌道束算出機能と、
ユーザから受けたターゲットへの監視要求を前記ターゲットデータベースに記憶させる監視要求記録機能と
を有するターゲット管理部と、
センサの制御状態毎の最大割当可能数を含むセンサ仕様およびセンサ制御スケジュールを記憶するセンサデータベースと、
それぞれのセンサに割当可能なターゲット数の上限と監視期間とを対応付けた割当可能数推移を記憶する割当可能数推移データベースと、
既割当スケジュールを記憶する既割当スケジュールデータベースと、
前記センサデータベースに記憶された前記センサ仕様および前記センサ制御スケジュールと、前記既割当スケジュールデータベースに記憶された前記既割当スケジュールと、前記ターゲット管理部からの前記監視期間要求に含まれる監視期間とに基づいて、前記監視期間に応じた割当可能数推移を算出して前記割当可能数推移データベースに記憶させる割当可能数推移算出機能と、
前記センサデータベースに記憶された前記センサ仕様および前記センサ制御スケジュールと、前記ターゲット管理部で算出された前記ターゲット想定軌道束と、前記割当可能数推移算出機能により算出された前記割当可能数推移とに基づいて、各ターゲットが各センサの覆域内にある期間に相当するセンサ毎監視可能期間を算出するセンサ毎監視可能期間算出機能と
を有するセンサ管理部と、
観測時刻における観測によって精度貢献時刻での追尾精度誤差が改善する度合いを示す追尾精度貢献度を記憶する追尾精度貢献度データベースと、
前記ターゲット管理部がユーザからの前記監視要求を受けた際に、前記ターゲット管理部から受け取った前記ターゲット想定軌道束および前記監視要求に含まれる精度要求と、前記センサ管理部から受け取った前記センサ毎監視可能期間とに基づいて、前記精度要求に含まれるターゲットに対して、前記精度要求に含まれる精度要求期間を監視可能期間にもつ、センサ・ターゲット・観測時刻の組である割当単位毎の追尾精度貢献度を算出して追尾精度貢献度データベースに記憶させる追尾精度貢献度算出機能と
を有する誤差算出部と、
前記ターゲット管理部から受け取った前記精度要求と、前記センサ管理部から受け取った前記センサ毎監視可能期間および前記割当可能数推移と、前記誤差算出部から受け取った前記割当単位毎の前記追尾精度貢献度とに基づいて、前記センサ毎監視可能期間および前記割当可能数推移に準拠した割当可能な割当スケジュールのうち、前記精度要求に含まれる精度貢献時刻の要求精度を満たす最適割当スケジュールを、前記割当単位毎の前記追尾精度貢献度の加算結果に基づいて算出する最適割当算出機能を有する割当算出部と
を備え、
前記センサ管理部は、前記割当算出部により算出された前記最適割当スケジュールを用いて前記既割当スケジュールデータベースに記憶された既割当スケジュールを更新し、
前記センサ管理部内の前記割当可能数推移算出機能は、更新された前記既割当スケジュールを用いて新たな割当可能数推移を算出し、前記割当可能数推移データベースに記憶された割当可能数推移を更新する
ことを特徴とする追尾割当装置。
【請求項2】
請求項1に記載の追尾割当装置において、
前記誤差算出部内の前記追尾精度貢献度算出機能は、前記割当算出部から割当単位の追尾精度貢献度を要求された際に、該当する前記追尾精度貢献度が前記追尾精度貢献度データベース内に記憶されていない場合には、追尾精度貢献度の算出を行って前記割当算出部に提供するとともに、算出した前記追尾精度貢献度を前記追尾精度貢献度データベースに記憶させ、該当する前記追尾精度貢献度が前記追尾精度貢献度データベース内にすでに記憶されている場合には、追尾精度貢献度の算出を行わずに追尾精度貢献度データベース内に記憶されている該当する前記追尾精度貢献度を前記割当算出部に提供することを特徴とする追尾割当装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の追尾割当装置において、
前記割当算出部内の前記最適割当算出機能は、所与の数からなる割当スケジュールの中から、割当単位の追尾精度貢献度が最大となる割当スケジュールを最適割当スケジュールとすることを特徴とする追尾割当装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の追尾割当装置において、
前記ターゲット管理部は、外部センサ群あるいはユーザから、検出済ターゲットの削除時刻を含む削除情報を受け付けた場合には、前記ターゲットデータベース内の前記検出済ターゲットに対応するターゲット想定軌道束における前記削除時刻以降のデータを削除した新たなターゲット想定軌道束を生成して前記ターゲットデータベース内のターゲット想定軌道束を更新し、
前記センサ管理部は、前記ターゲット管理部から前記削除情報を受け取った場合には、前記既割当スケジュールデータベース内の前記既割当スケジュールから前記検出済ターゲットに関する前記削除時刻以後の割当を削除して既割当スケジュールを更新し、
前記センサ管理部内の前記割当可能数推移算出機能は、更新された前記既割当スケジュールに基づいて新たな割当可能数推移を求めて前記割当可能数推移データベース内の割当可能数推移を更新し、
前記センサ管理部内の前記センサ毎監視可能期間算出機能は、更新された前記割当可能数推移および前記新たなターゲット想定軌道束に基づいて新たなセンサ毎監視可能期間を算出し、
前記誤差算出部内の前記追尾精度貢献度算出機能は、前記新たなターゲット想定軌道束および前記新たなセンサ毎監視可能期間に基づいて新たな追尾精度貢献度を算出し、
前記割当算出部内の最適割当算出機能は、前記新たなセンサ毎監視可能期間、前記新たな割当可能数推移、および前記新たな追尾精度貢献度に基づいて新たな最適割当スケジュールを算出する
ことを特徴とする追尾割当装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の追尾割当装置において、
前記ターゲット管理部は、外部センサ群から、検出済ターゲットの最新観測位置を受け付け、前記検出済ターゲットに関するターゲット想定軌道束からの逸脱を検出した場合には、新たなターゲット想定軌道束を算出して前記ターゲットデータベース内のターゲット想定軌道束を更新し、
前記センサ管理部内の前記センサ毎監視可能期間算出機能は、前記新たなターゲット想定軌道束に基づいて新たなセンサ毎監視可能期間を算出し、
前記誤差算出部内の前記追尾精度貢献度算出機能は、前記新たなターゲット想定軌道束および前記新たなセンサ毎監視可能期間に基づいて新たな追尾精度貢献度を算出し、
前記割当算出部内の最適割当算出機能は、前記新たなセンサ毎監視可能期間および前記新たな追尾精度貢献度に基づいて新たな最適割当スケジュールを算出する
ことを特徴とする追尾割当装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の追尾割当装置において、
それぞれのターゲットに優先度が割り当てられている場合に、
前記ターゲット管理部は、外部センサ群からのターゲットの検出情報を受けてターゲット想定軌道束を算出した際に、該ターゲットに割り当てられた優先度よりも低い優先度が割り付けられたターゲットに対応するターゲット想定軌道束の集合を低優先度ターゲット集合として前記ターゲットデータベースから検索し、前記検出情報を受けた検出時刻の情報を付加した削除情報を生成し、
前記センサ管理部は、前記削除情報に基づいて、前記既割当スケジュールデータベース内の前記既割当スケジュールから前記低優先度ターゲット集合に関する前記検出時刻以後の割当を削除して既割当スケジュールを更新し、
前記センサ管理部内の前記割当可能数推移算出機能は、更新された前記既割当スケジュールに基づいて新たな割当可能数推移を求めて前記割当可能数推移データベース内の割当可能数推移を更新し、
前記センサ管理部内の前記センサ毎監視可能期間算出機能は、更新された前記割当可能数推移に基づいて新たなセンサ毎監視可能期間を算出し、
前記誤差算出部内の前記追尾精度貢献度算出機能は、前記新たなセンサ毎監視可能期間に基づいて新たな追尾精度貢献度を算出し、
前記割当算出部内の最適割当算出機能は、前記新たなセンサ毎監視可能期間および前記新たな追尾精度貢献度に基づいて新たな最適割当スケジュールを算出する
ことを特徴とする追尾割当装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の追尾割当装置において、
センサ管理部は、前記センサデータベースに記憶された前記センサ仕様および前記センサ制御スケジュールと、前記ターゲット管理部から受け取った前記ターゲット想定軌道束とに基づいて、前記ターゲット想定軌道束を覆うセンサ覆域の期間が最長になるように、センサ制御スケジュールを変更して前記センサデータベースに記憶させるセンサ制御最適化機能をさらに備えたことを特徴とする追尾割当装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の追尾割当装置において、
センサ管理部は、前記センサデータベースに記憶された前記センサ仕様および前記センサ制御スケジュールと、前記ターゲット管理部から受け取った前記ターゲット想定軌道束および前記監視期間要求に基づき、前記ターゲット想定軌道束のうち前記監視期間要求に含まれる監視期間を覆うセンサ覆域の期間が最長になるように、センサ制御スケジュールを変更して前記センサデータベースに記憶させるセンサ制御最適化機能をさらに備えたことを特徴とする追尾割当装置。

【図1】
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【図2】
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