説明

送信ダイバーシティシステム

【課題】送信ダイバーシティシステム
【解決手段】時変変換は、マルチプルのアンテナ路間の干渉の大きさを相互に関連付けるために使用される。前記時変変換を組み込む実施形態は、送信ダイバーシティ受信用に構成されていない遠隔局に送信ダイバーシティ利得を与える。さらに、前記実施形態のいくつかはマルチプルの電力増幅器間で負荷を平衡させるようにさらに構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して無線通信に関し、さらに詳細には送信ダイバーシティシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信の分野には、例えばコードレス電話、ページング、ワイヤレスローカルループ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、インターネット電話、及び衛星通信システムを含む多くの応用例がある。特に重要な応用例は、遠隔加入者向けのセルラー電話システムである。本明細書において、用語「セルラー」システムは、セルラー通信サービス周波数またはパーソナルコミュニケーションサービス(PCS)周波数のどちらかを使用するシステムを含む。このようなセルラー電話システムのために、例えば周波数分割多元接続(FDMA)、時分割多元接続(TDMA)、及び符号分割多元接続(CDMA)などの多様な無線インタフェースが開発されてきた。それに関連して、例えば、先進移動電話サービス(Advanced Mobile Phone Service(AMPS))、グローバルシステムフォーモバイル(Global System for Mobile(GSM))、及び暫定基準95(Interim Standard 95(IS−95))などを含む多様な国内規格及び国際規格が確立されてきた。IS−95及びこれの派生物である、IS−95A、IS−95B、ANSI J−STD−008(本明細書では多くの場合集合的にIS−95と称する)、及び提案されている高データ速度システムは、米国電気通信工業会(TIA)及び他の周知の標準化団体によって普及が進められている。
【0003】
IS−95規格の使用に従って構成されたセルラー電話システムは、高効率且つロバストな(robust)セルラー電話サービスを提供するためにCDMA信号処理技法を採用している。IS−95規格の使用に従って実質的に構成された例示的なセルラー電話システムは、本発明の譲受人に譲渡され、参照して本明細書に組み込まれる、米国特許第5,103,459号及び第4,901,307号に記載されている。CDMA技法を活用する例示的なシステムには、TIAによって発表されているcdma2000 ITU−R無線技術(RTT)候補案(本明細書ではcdma2000と称する)がある。cdma2000の規格はIS−2000の原案に示され、TIAによって承認されている。別のCDMA規格には第3世代移動体通信規格化プロジェクト「3GPP」、文書番号3G TS 25.211、3G TS 25.212、3G TS 25.213、及び3G TS 25.214で具現化されるようなW−CDMA規格がある。
【0004】
上述した電気通信規格は実施できる多様な通信システムのほんのいくつかの例である。これらのシステムの大部分は、現在、単一の遠隔局へのフォワードリンクの送信に単一のアンテナを使用するように構成されているが、ゆくゆくは単一の遠隔局へのフォワードリンク送信にマルチプル(multiple)のアンテナが使用されることが想像される。マルチプルのアンテナにより、送信ダイバーシティ(TD)が提供されるが、これによりフォワードリンクの品質が高まる。フォワードリンクの品質が向上すると、遠隔局へ情報を伝達するために必要とされる送信電力は少なくなる。逆に、同じ送信電力を使用してさらに多くの情報を伝達でき、前記リンクの全体的なデータスループットは増加する。本明細書においては、用語「フォワードリンク」は、基地局から遠隔局への送信を指すが、用語「リバースリンク」は遠隔局から基地局への送信を指す。
【0005】
送信ダイバーシティシステムでは、アンテナ位相情報及び振幅情報は、各アンテナから送信されるパイロットチャネルを通して遠隔局によって獲得される。複数のアンテナの内の1本が主要アンテナと見なされるのに対して、他のアンテナは補助アンテナと見なされる。説明を容易にするためだけに、以下に続く実施形態は2アンテナシステムとして説明する。アンテナの数は本明細書に記載される実施形態の範囲に影響を及ぼすことなく増やすことができる。
【0006】
送信ダイバーシティを提供するシステムの配備には問題が生じる。すなわち、通信システムをアップグレードしてマルチプルのアンテナを活用することはできるが、個々のユーザによって操作される遠隔局は当該システムアップグレードに対応できない場合がある。現在の技術水準では、主要アンテナだけを使用することによって非TD遠隔局をサポートできるシステムを構想している。ほぼすべての無線通信システムは遠隔局から対応基地局への特徴情報の送信を必要とするため、TD基地局は、非TD遠隔局への送信が主要アンテナだけでなされるべき旨を容易に知らされることができる。その結果、基地局での変調を相応して変更できる。
【0007】
しかしながら、主要なアンテナだけで非TD遠隔局に送信する現在の方法には欠陥がある。前記欠陥は、送信ダイバーシティを用いるシステムにおいて非TD遠隔局とTD遠隔局の両方が動作しているときに、アンテナ伝送路間の干渉の有害な影響から生じる。例えばCDMA及びW−CDMAなどのスペクトル拡散通信システムにおいては、ウォルシュ符号系列などの直交符号や擬似直交符号が、フォワードリンク上で各遠隔局に送信される情報をチャネル化するために使用される。言い換えると、ウォルシュ符号系列はフォワードリンク上で使用され、システムをして、それぞれ異なる直交符号または擬似直交符号(quasi−orthogonal codes)を割り当てられるマルチプルのユーザを、同じ時間に同じ周波数でオーバレイ(overlay)することを可能とする。
【0008】
したがって、1つのアンテナ伝送から発生する複数の信号は直交であり、これらの直交信号間の干渉の大きさには相関関係がある。しかしながら、マルチプルのアンテナから発生する信号が直交であったとしても、伝送媒体は、マルチパスなどの不完全性をもたらすであろうし、これは信号間の直交性を悪化させる。遠隔局によって受信される信号は完全には直交ではなく、その結果、互いに干渉することになる。あるアンテナ伝送路と別のアンテナ伝送路との間の干渉の大きさには概して相関関係が無いが、これは異なるアンテナからの信号は異なる無線路に沿って伝搬するからである。多様なアンテナ路間の干渉の大きさに相関関係が無い場合には、マルチパスを結合することから生じる送信利得は非TD遠隔局に対してはもはや存在していない。この現象のさらに詳細な説明は以下に提示される。
【0009】
送信ダイバーシティを用いる基地局は、同じ時間の間に同じ周波数でTD遠隔局と非TD遠隔局の両方に送信するであろうため、非TD遠隔局の性能は、TD遠隔局の間で動作しているときに大幅に劣化するという結果になる。したがって、当技術分野には、非TD遠隔局が、受信されたフォワードリンク伝送の品質を損なわないような様態で送信ダイバーシティシステムにおいて動作できるようにする方法及び装置に対するニーズがある。
【0010】
TDシステム内で非TD遠隔局が被る前述の問題に加えて、TDシステムの有効性を損なう別の状況が発生する。特定の状況においては、システムがマルチプルのアンテナ間で電力の平衡を保つことができないために、使用可能な伝送容量が未使用のまま残されることがある。マルチプルのアンテナでの電力負荷が不均等に分配されるとき、あるいはアンテナごとの電力増幅器の電力定格が異なるとき、現在のシステムは過度の負担がかけられたアンテナから別の十分に利用されていないアンテナに伝送負荷を再分配するように構成されていない。
【0011】
通常、各アンテナには独自の別個の電力増幅器がある。電力増幅器は、設計上の制約及び規定面の制約に基づいて最大電力について定格されている。したがって、各アンテナが送信できる電力量には制限がある。現在のシステムでは、システムは、別の電力増幅器に使用可能な容量があったとしても、電力増幅器の1つがその最大負荷に達するとつねに制限されるように設計されている。言い換えると、十分に利用されていないアンテナの使用可能な電力を、大きな負荷がかけられているアンテナに再分配することができない。この問題は、マルチプルのアンテナに同じ伝送負荷がかかっていないとき、あるいは異なる電力増幅器が異なる電力定格を有するときに発生する可能性がある。
【0012】
マルチプルのアンテナに同じ伝送電力がかからない特定の状況がある。1つの状況は、非TD遠隔局とTD遠隔局の両方に対する送信があり、非TD遠隔局に対する送信は主要アンテナだけで発生し、TD遠隔局に対する伝送は主要アンテナと補助アンテナの両方で発生する場合である。TDをサポートしている基地局の主要電力増幅器と補助電力増幅器で要求される電力定格を事前に決定することは不可能であるが、これはその時々で当該基地局のサービスを受けるTD遠隔局と非TD遠隔局の数の変動に電力が依存するためである。したがって、他の電力増幅器からの電力を「借りる」ことはできないため、基地局の処理能力は、負荷がいっぱいにかけられる主要アンテナの電力増幅器によって制限される可能性が高い。他の電力増幅器からの電力は、多様な標準化団体によって課される法律上の制約のために活用することができないのであって、物理的な制約のためではないことに注意されたい。
【0013】
複数の電力増幅器が不均等な負荷を有する状況はまた、特定のチャネルの伝送中に発生する可能性がある。例えば、cdma2000の同期チャネル及びページングチャネルは、主要アンテナだけでの送信用に構成されるが、これは主要電力増幅器に課される負荷に影響を及ぼす。負荷が増加することで、主要アンテナの電力増幅器が、補助アンテナの電力増幅器よりも先に全容量に達し、その結果、補助アンテナの電力増幅器が、未使用な状態にある使用可能な電力を有する可能性がより高くなる。これは結果的に容量が無駄にされることになる。したがって、当技術分野では、主要アンテナにかかる負荷がいっぱいになることでもたらされる補助アンテナの「無駄にされた容量」を活用することによりTDシステムのフォワードリンク容量を増加する方法及び装置に対するニーズもある。
【発明の概要】
【0014】
上述されたニーズに対処するための方法及び装置が本明細書に提示される。ある観点では、送信ダイバーシティ利得を非送信ダイバーシティ受信機に与えるための装置が提示され、前記装置は1本の主要アンテナ(primary antenna)と、少なくとも1本の補助アンテナ(auxiliary antenna)と、結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号を受信し、第2の送信ダイバーシティ信号を受信し、前記結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号の時変(time−varying)バージョンを生成し、前記第2の送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成し、前記主要アンテナ及び前記少なくとも1本の補助アンテナ上で前記時変バージョンを再分配するように構成された再ディストリビュータユニット(redistribution unit)とを備える。
【0015】
別の観点では、送信ダイバーシティ利得を非送信ダイバーシティ受信機に与えるために、送信ダイバーシティシステム内で主要(primary)送信信号及び補助(auxiliary)送信信号を処理するための再ディストリビュータユニットが提示され、前記再ディストリビュータユニットは、主要アンテナに向かう前記主要送信信号のための分配路と、前記主要送信信号の時変コピー(time−varying copy)を生成し、前記主要送信信号の前記時変コピーを補助アンテナに再分配するための第1の時変要素と、前記補助送信信号の時変コピーを生成し、前記補助送信信号の前記時変コピーを前記補助アンテナに再分配するための第2の時変要素とを備え、前記補助送信信号は前記補助アンテナには分配されない。
【0016】
別の観点では、送信ダイバーシティシステムにおいて非送信ダイバーシティ受信機に送信ダイバーシティ利得を与えるための方法が提示され、前記送信ダイバーシティは主要アンテナ及び補助アンテナを使用して提供され、前記方法は、結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号の時変バージョンを生成することと、第2の送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成することと、前記主要アンテナの方へ前記結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号を向けることと、前記補助アンテナの方へ結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号の前記時変バージョンを向けることと、前記第2の送信ダイバーシティ信号の代わりに前記補助アンテナの方へ前記第2の送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを向けることとを備える。
【0017】
別の観点では、送信ダイバーシティシステムにおいてマルチプルのアンテナの送信電力を平衡させるための装置が提示され、前記装置は、主要アンテナの方への主要送信信号のための分配路と、補助アンテナの方への第1の補助送信信号のための分配路と、前記主要送信信号の時変コピーを生成し、前記主要送信信号の前記時変コピーを前記補助アンテナの方へ再分配するための第1の時変要素と、第2の補助送信信号の時変コピーを生成し、前記補助アンテナの方へ前記第2の補助送信信号の前記時変コピーを再分配するための第2の時変要素とを備え、前記第2の補助送信信号は前記補助アンテナに分配されない。
【0018】
ある観点では、送信ダイバーシティシステムの電力が平衡された送信信号を伝達する(conveying)ための装置が提示され、前記装置は、主要なアンテナと、補助アンテナと、前記主要アンテナに向けられる非送信ダイバーシティ信号、前記主要アンテナに向けられる第1の送信ダイバーシティ信号、及び前記補助アンテナに向けられる第2の送信ダイバーシティ信号を受信するように構成されている再ディストリビュータユニットとを備え、前記再ディストリビュータユニットは前記非送信ダイバーシティ信号の時変バージョン及び前記第2送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成し、前記非送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを前記補助アンテナに、前記第2の送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを、前記第2の送信ダイバーシティ信号の代わりに前記補助アンテナに再分配するように構成されている。
【0019】
ある観点では、送信ダイバーシティ環境でアンテナの送信負荷を平衡させるための方法が提示され、前記方法は、主要アンテナの方へ前記非送信ダイバーシティ及び第1の送信ダイバーシティ信号を向けることと、非送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成することと、第2の送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成することと、前記非送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを補助アンテナに向けることと、前記第2の送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを、前記第2の送信ダイバーシティ信号の代わりに前記補助アンテナの方へ向けることとを備える。
【0020】
ある観点では、マルチプルのアンテナの送信負荷を平衡させるための装置が提示され、前記装置は、前記非送信ダイバーシティ信号及び第1の送信ダイバーシティ信号を主要アンテナの方へ向けるための手段と、非送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成するための手段と、第2の送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成するための手段と、前記非送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを補助アンテナに向けるための手段と、前記第2の送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを、前記第2の送信ダイバーシティ信号の代わりに前記補助アンテナの方に向けるための手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】無線通信網の概略図。
【図2】レーキ受信機フィンガで検出される非送信ダイバーシティ信号を示す概略図。
【図3】レーキ受信機フィンガで検出される送信ダイバーシティ信号を示す概略図。
【図4A】送信ダイバーシティ利得を非TD受信機に与える装置のブロック図。
【図4B】図4Aの再ディストリビュータユニット内の信号処理及び再分配の概略図。
【図4C】図4Aの再ディストリビュータユニット内の信号処理及び再分配の概略図。
【図5A】送信ダイバーシティ利得を与える装置のブロック図。
【図5B】図5Aの再ディストリビュータユニット内の信号処理及び再分配の概略図。
【図5C】図5Aの再ディストリビュータユニット内の信号処理及び再分配の概略図。
【図5D】図5Aの再ディストリビュータユニット内の信号処理及び再分配の概略図。
【図6】送信ダイバーシティ利得を与える装置のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示されるように、無線通信網10は概して(加入者装置または移動局またはユーザ装置とも呼ばれる)複数の遠隔局12aから12dと、(基地局トランシーバ(BTS)またはノードBとも呼ばれる)複数の基地局14aから14cと、(無線網コントローラまたはパケット制御機能16とも呼ばれる)基地局コントローラ(BSC)と、移動通信交換局(MSC)またはスイッチ18と、パケットデータサービングノード(PDSN)またはインターネットワーキング機能(IWF)20と、公衆交換電話網(PSTN)22(通常は電話会社)と、インターネットプロトコル(IP)ネットワーク24(通常はインターネット)とを含む。簡単にするために、4つの遠隔局12aから12d、3つの基地局14aから14c、1つのBSC16、1つのMSC18、及び1つのPDSN20が示されている。当業者は、遠隔局12、基地局14、BSC16、MSC18、及びPDSN20の数が任意であってよいことを理解するであろう。
【0023】
ある実施形態では、無線通信網10はパケットデータサービスネットワークである。遠隔局12aから12dは、例えば、携帯電話、IPベースのウェブブラウザアプリケーションを実行しているラップトップコンピュータに接続されたセルラー電話、関連ハンズフリーカーキット付きセルラー電話、IPベースのウェブブラウザアプリケーションを実行しているパーソナルデータアシスタント(PDA)、ポータブルコンピュータに内蔵された無線通信モジュール、またはワイヤレスローカルループ若しくはメータ読み取りシステムに見られるような固定位置通信モジュールなどの多くのさまざまな種類の無線通信装置のどれか1つであってよい。最も一般的な実施形態では、遠隔局は任意の種類の通信装置であってよい。
【0024】
遠隔局12aから12dは、例えばEIA/TIA/IS−707規格に記載されるような1以上の無線パケットデータプロトコルを実行するように有利に構成されてもよい。ある特定の実施形態では、遠隔局12aから12dは、IPネットワーク24宛てのIPパケットを生成し、ポイントツーポイントプロトコル(PPP)を使用して前記IPパケットをフレームの中に封入する。
【0025】
ある実施形態では、IPネットワーク24は、PDSN20に結合され、PDSN20はMSC18に結合され、MSCはBSC16及びPSTN22に結合され、BSC16は、例えばE1、T1、非同期伝達モード(ATM)、インターネットプロトコル(IP)、ポイントツーポイントプロトコル(PPP)、フレームリレー、高ビットレートデジタル加入者回線(High−bit−rate Digital Subscriber Line)(HDSL)、ADSL、または他の一般的なデジタル加入者回線装置及びサービス(xDSL)を含む複数の公知のプロトコルのいずれかに従って、音声パケット及び/またはデータパケットの送信のために構成されているワイヤラインを介して基地局14aから14cに結合される。代替実施形態では、BSC16はPDSN20に直接的に結合され、MSC18はPDSN20には結合されない。
【0026】
無線通信網10の典型的な動作の間、基地局14aから14cは電話呼、ウェブブラウジングまたは他のデータ通信に従事する多様な遠隔局12aから12dからアップリンク信号のセットを受信し、復調する。任意の基地局14aから14cによって受信される各アップリンク信号は当該基地局14aから14cの中で処理される。各基地局14aから14cは、複数の遠隔局12aから12dと、当該遠隔局12aから12dへのダウンリンク信号のセットを変調、及び送信することによって通信してもよい。例えば、図1に図示されるように、基地局14aは第1の遠隔局及び第2の遠隔局12a、12bと同時に通信し、基地局14cは第3の遠隔局及び第4の遠隔局12c、12dと同時に通信する。その結果生じるパケットは、BSC16に転送されるが、これは、特定の遠隔局12aから12dに対する呼の、ある基地局14aから14cから別の基地局14aから14cへのソフトハンドオフの調整を含む移動性管理機能及び呼リソースの割り当てを提供する。例えば、遠隔局12cは2つの基地局14b、14cと同時に通信している。最終的に、遠隔局12cが基地局の1つである14cから充分遠くに移動すると、呼は他の基地局14bへハンドオフされるであろう。
【0027】
送信が従来の電話呼である場合、BSC16は、受信されたデータをMSC18に送るが、MSC18はPSTN22とのインタフェースのために更なるルーティングサービスを提供する。送信がIPネットワーク24に向けられたデータ呼のようなパケットベースの送信である場合には、MSC18はデータパケットをPDSN20に送り、PDSN20は当該パケットをIPネットワーク24に送信する。あるいは、BSC16は、パケットをPDSN20に直接的に送り、PDSN20は当該パケットをIPネットワーク24に送信する。
【0028】
WCDMAシステムでは、無線通信システム構成要素の専門用語は異なるが、機能性は同じである。例えば、基地局はUMTS地上無線アクセス網(UMTS Terrestrial Radio Access Network)(U−TRAN)で動作している無線網コントローラ(RNC)と称されることもあり、「UMTS」はユニバーサル移動通信システム(Universal Mobile Telecommunications Systems)の頭文字語である。
【0029】
通信システム内で送信された信号は,本来チャネル雑音及び干渉などの劣化を受けやすい。チャネル雑音及び干渉のレベル次第で、送信されたデータは受信機で回復可能または回復可能でない場合がある。チャネルからの雑音及び干渉に対する通信システムの全体的なロバストネスを高めるべく、多様な誤り制御符号化(ECC)技法が存在している。このような技法の背景にある基本的な考えとは、送信データのストリーム内に冗長な情報を導入することである。送信信号の受信時にエラーが発生した場合でも、データはこの冗長性を利用することにより回復されるであろう。
【0030】
ECC技法の例としては、畳込み(convolutional)符号化がある。畳込み符号化では、バイナリデータビットは有限状態機械(FSM)に入力されるが、有限状態機械は入力されるデータビットごとに1以上のバイナリ出力を生成する。このFSMの出力は符号シンボルと呼ばれる。このようなFSMを構築するための典型的な方法としては1以上の畳込み符号器、すなわち、ガロア体GF(2)内で演算を使用して動作する有限インパルス応答(FIR)バイナリデジタルフィルタを用いる方法がある。符号シンボルが雑音のあるチャネル上での送信中に雑音及び干渉により損傷されても、データビットは損傷された符号シンボルに基づいて適切な推論により回復可能である。推論が可能なのは、符号シンボルが「冗長」である、つまり、符号シンボルが入力データビットだけではなく、FSMの「内部状態」についての情報も含むためである。受信された符号シンボルから入力データビットを最適に推論するための方法は当技術分野で公知であり、一般的には、例えばビタビアルゴリズムまたはスタックアルゴリズムなどのトレリス復号アルゴリズムと呼ばれている。
【0031】
ECC技法の別の例としてはターボ符号化がある。ターボ符号化は2または3以上の畳込み符号器を並列で、直列で、あるいはこれらの組み合わせで利用する。結果として生じる符号シンボルの系列は、入力データビットについての冗長な情報も有する。さらに、受信された符号シンボルから入力データビットを最適に推論するための方法は当技術分野で公知であり、一般的にはターボ復号アルゴリズムと呼ばれる。
【0032】
典型的な通信システムでは、「ソース」は、例えば音声またはデータ「トラヒック」を表す情報ビットストリームを生成する。このビットのストリームは再分割され、グループ化され、多様な制御ビットが付加され、その結果は送信に適したフォーマットにパックされる。音声及びデータトラヒックは、例えばフレーム、パケット及びサブパケットなどの多様なフォーマットで送信できる。本明細書に記載される実施形態の範囲は、多様な送信フォーマットの任意のものを使用するあらゆる無線通信システムに及ぶ。しかしながら、説明を容易にするために、用語「フレーム」は、本明細書ではトラヒックが搬送される送信フォーマットを説明するために使用される。
【0033】
典型的なCDMAスペクトル拡散通信システムでは、ビットを含むフレームは、バイナリ符号シンボルの系列を生成するために畳込み符号化またはターボ符号化され、反復され、パンクチャ(punctured)される。結果として生じる符号シンボルは変調シンボルのフレームを得るためにインタリーブされる。インタリーバの出力を本明細書では変調シンボルと称する。変調シンボルは、次に、ウォルシュ関数を乗積され、直交位相ブランチ上でパイロット系列と結合され、PN拡散され、ベースバンドフィルタリングされ、送信搬送波信号上に変調される。
【0034】
信号は受信機までマルチプルの伝送路上で伝搬し、それぞれが独自の振幅、位相及び時間遅延を備える、マルチプルの成分の重ね合わせとして受信される。これらのマルチプルの伝送路は「マルチパス」と呼ばれ、伝送路内に存在する複数の物体からの複数の反射により一般的に引き起こされる。受信機では、信号は、それがサーチャ及びレーキプロセッサに供給される前に、マッチフィルタリングされ(match−filtered)、サンプリングされ、デジタル化され、複雑なベースバンドにダウンコンバートされる。サーチャは通常、受信信号中のマルチパス成分の時間遅延を決定する。レーキプロセッサはマルチプルの「フィンガ」を備え、これらのそれぞれがある特定のマルチパス成分の時間遅延に同期される。各レーキフィンガは、当該フィンガの特定の時間遅延に同期されるPN符号を使用して、サンプリングされ、デジタル化された波形をPN逆拡散するように構成されている。さらに各レーキフィンガは、直交パイロットシンボルから変調シンボルを分離するためにウォルシュ デカバリング(Walsh de−covering)を実行することができる。
【0035】
受信された変調シンボル及びパイロットシンボルは、長さLの複雑なベクトルであるが、ここではLはレーキ(RAKE)プロセッサ内のフィンガの数である。L個のレーキフィンガが、受信された信号のL個の異なるマルチパス成分に割り当てられる場合、この状態をマルチパスダイバーシティと呼ぶことがある。
【0036】
同じ変調記号が異なる周波数帯域または異なる搬送波で送信されると、レーキフィンガは異なる搬送波上の異なるマルチパス成分に割り当てられる。この方法は周波数ダイバーシティまたは搬送波ダイバーシティと呼ばれる。
【0037】
同じ変調シンボルが将来のフレームまたはタイムスロットで反復または再送されるときには、レーキフィンガが異なるタイムスロット上の異なるマルチパス成分に割り当てられる。これは時間ダイバーシティとして知られていることがある。
【0038】
マルチプルの空間的に分離されたアンテナが送信のために使用されるとき、レーキフィンガは、異なるアンテナから受信される異なるマルチパス成分に割り当てられる。この方法は、一般的に送信ダイバーシティ、空間ダイバーシティ、またはアンテナダイバーシティとして知られている。例えば、L個のレーキフィンガが第1のアンテナ上のマルチパス成分に割り当てられ、L個のレーキフィンガが第2のアンテナ上のマルチパス成分に割り当てられる場合、L=L+Lである。あるいは、各アンテナから1つのマルチパス成分を同時に受信するように特殊なレーキフィンガを設計してもよい。送信ダイバーシティを用いると、より多くの変調シンボルを受信機に送信できるが、これによりシステムのデータスループットが高まる。さらに、送信ダイバーシティは代替信号路を提供することにより雑音及び干渉に対する通信システムのロバストネスを高める。例えば、あるアンテナから遠隔局への送信が、物理的な遮断、つまり木のために、あるいは近接して離間されたマルチパスが破壊的に(destructively)結合されるために失敗する場合、代わりに別のアンテナからの送信が当該遠隔局に達する可能性がある。したがって、送信ダイバーシティは接続の信頼性を高めるが、このことは概してより少ない送信電力を必要とする。
【0039】
cdma2000規格では、2種類の送信ダイバーシティシステムが提供されている。第1の種類の送信ダイバーシティシステムは、直交送信ダイバーシティ(OTD)システムと呼ばれ、偶数番号が付けられた変調シンボルが第1のアンテナで送信され、奇数番号が付けられた変調シンボルが第2のアンテナで送信される。したがって、変調シンボルの半分が、それぞれのアンテナで送信される。アンテナからの送信は、アンテナごとに異なるウォルシュ符号を使用することで分離される。
【0040】
第2の種類の送信ダイバーシティシステムは、空間−時間拡散(STS)システムと呼ばれる。STSシステムでは、すべての変調シンボルがすべてのアンテナで送信される。アンテナからの送信は、「アラモウティ(Alamouti)」マトリクスを使用して変調されるが、これは遠隔局が一度に2つの変調シンボルの分離及び結合を行うことを可能とする。アラモウティシステムでは、2つの異なるシンボルが2本のアンテナから同時に送信され、次に他のシンボルの複素共役が1シンボル期間内に送信される。例えば、第2の記号sが第2のアンテナを通して同時に送信される一方、シンボルsは第1のアンテナを通して送信される。1シンボル期間内で、シンボルsの複素共役は第2のアンテナを通して同時に送信される一方、第2のシンボルsの複素共役は第1のアンテナを通して送信される。言い換えると、第2のアンテナが{s、s}を送信する一方、第1のアンテナは{s、s}を送信する。受信先では、コンバイナが、マトリクスHを使用して2つの結合されたシンボルs’及びs’を構築するが、マトリクスHは各アンテナ伝送路のためにチャネル応答をモデル化する。結合されたシンボルは、次に、受信されたシンボルの値に関する決定を行うために、最尤判定(maximum likelihood decision)規則で使用される。
【0041】
送信ダイバーシティ用に構成されるシステム内で動作する非TD遠隔局については問題が発生する。送信ダイバーシティのあるシステムでは、パス内の信号は直交しており、当該直交信号間の干渉は信号の大きさと相関関係がある。しかしながら、マルチプルのアンテナ路上の信号が直交であったとしても、1つのアンテナ伝送路と別のアンテナ伝送路との間の干渉は必ずしも相関関係がない。多様なアンテナ路間の干渉の大きさが相互に相関関係がない場合には、マルチパスを結合することから生じる伝送利得はもはや存在しない。
【0042】
この相関現象の例として、単一のアンテナを備えた非TDシステムが受信機に送信し、受信される信号が、マルチパスまたは直交性による他のなんらかの損失のために自己干渉(self−interference)を受けると仮定する。自己干渉の割合が信号の10%であると仮定する。背景雑音を無視すると、受信機は信号強度がAであって、Aの10%の雑音を有する信号を見る。すると、信号対雑音比(SNR)は以下のとおりとなる:
【数1】

【0043】
信号及び雑音は上記の例において相互に関連しており、例えば、雑音が増加すると、信号もまた増加し、したがって、SNRは一定のままとなる。今度は、代わりに2本のアンテナを有するTDシステムが、受信機に送信するために前記アンテナの内の一方を使用し、受信される信号も自己干渉の10%を受けると仮定する。受信機は、信号強度がAであって、(A+A)の10%の雑音を有する信号を見るが、ここでAは別の受信機に送信する第2のアンテナの信号強度である。その結果、SNRは以下のとおりである:
【数2】

【0044】
信号及び雑音はAの影響のために相互に関連していない。雑音電力の増加は必ずしも信号電力の増加と一致しない。
【0045】
図2及び図3は、上述した現象を説明するものである。図2では、レーキプロセッサが、スクランブリングコードの第1の時間オフセットで受信される第1のマルチパス信号200にフィンガ(図示せず)を、前記スクランブリングコードの第2の時間オフセットで受信される第2のマルチパス信号210にフィンガ(図示せず)を割り当てる。第1のマルチパス信号200は、(図では破線として示されている)雑音として第2のマルチパス信号210に直接的に干渉し、第2のマルチパス信号210は雑音として第1のマルチパス信号200に直接的に干渉する。したがって、第1のマルチパス信号200の振幅が減少する場合には、第2のマルチパス信号210にとって、信号対雑音比(SNR)の雑音成分は減少する。このようにして、フィンガのSNRが減少すると、フィンガのSNRは上昇する。ここには自然の平衡効果がある。この現象はスペクトル拡散通信システムでマルチパス受信機を使用する利点の1つである。
【0046】
しかしながら、送信ダイバーシティのあるシステムでは、非TD遠隔局での場合のように、遠隔局が両方のアンテナからその信号を受信できない場合、この現象は消失してしまう。図3では、レーキプロセッサが、第1のアンテナからの第1のマルチパス信号310、及び第2のアンテナからの第2のマルチパス信号320にフィンガを割り当てる。レーキプロセッサは、第1のアンテナからの第3のマルチパス信号330及び第2のアンテナからの第4のマルチパス信号340に、フィンガを割り当てる。第1のアンテナと第2のアンテナとの間の干渉の大きさには相関関係がない。したがって、第1のマルチパス信号310の振幅が減少する場合、第2のマルチパス信号320の振幅は同じままとなり得る。第2のマルチパス信号320の振幅が同じままである場合には、第3のマルチパス信号330及び第4のマルチパス信号340のSNRは、第1のマルチパス信号310干渉が減少することによる恩恵を充分には受けない。第2のマルチパス信号320はフィンガの受信と依然として干渉する。
【0047】
送信ダイバーシティシステムで動作している非TD局の場合、受信機フィンガは、一例として第1のマルチパス信号310及び第3のマルチパス信号330を捕捉するであろうが、これらの信号は依然として第2のマルチパス信号320及び第4のマルチパス信号340の干渉によって影響を及ぼされるであろう。したがって、マルチパス受信機を使用することから生じる利得は非TD局に対しては実現されない。
【0048】
当技術分野の現状は、非TD遠隔局に信号を送信するのに主要アンテナだけを使用することによって、送信ダイバーシティシステムにおいて非TD遠隔局をサポートして、非TD遠隔局が非TD遠隔局によって復号できる変調シンボルを受信することを構想していることに再び注意されたい。しかしながら、スペクトル拡散通信の本質に起因し、TD基地局も主要アンテナと補助アンテナの両方でTD遠隔局に送信している。したがって、非TD遠隔局は、補助アンテナから干渉を受信するが、その大きさは非TD信号とは無相関である。
【0049】
本明細書に記載される実施形態は、非TD遠隔局に送信ダイバーシティに関連付けられた利得を提供する一方で、非TD遠隔局とTD遠隔局の両方をサポートする送信ダイバーシティシステムのためのものである。
【0050】
非TD遠隔局にダイバーシティ利得を提供することに加え、該実施形態は、マルチプルの送信アンテナにそれぞれコミュニケイティブに(communicatively)結合されているマルチプルの電力増幅器間の負荷を平衡させるための機構も提供するであろう。さらに、実施形態は、任意のトラヒックチャネルが電力増幅器の全使用可能電力を活用することを可能にする機構も提供する。
【0051】
前述した目標を達成するために、TD送信信号及び非TD送信信号は、マルチプルのアンテナから、マルチプルのアンテナ伝送路間の干渉を相互に関連させるように送信される。本明細書においては、非TD遠隔局に向けられる送信信号はXと称し、TD遠隔局に向けられる送信信号はXTDと称する。実施形態は、送信ダイバーシティ信号及び次にマルチプルのアンテナ路にマッピングされる非送信ダイバーシティ信号の時変変換を実行する装置の使用も包含する。1または複数のチャネルに関連付けられる異なる変調シンボルは、送信のために結合され得るため、アンテナから発信される信号を示すために、用語「変調シンボル」よりむしろ用語「送信信号」が使用されることに注意されたい。
【0052】
時変変換は、送信信号内のインタリーブされた変調シンボルの部分で非TD局に優れたカバレージを提供するために導入される。言い換えると、遠隔局によって受信される変調シンボルのフレーム内では、破壊されたビット及び破壊されていないビットが発生するであろう。しかしながら、マルチプルのアンテナ間の時変の相互作用のために、破壊されていないビットは、受信機が前述した誤り制御符号化技術を効果的に使用できるように充分に良好な状態で到着する。さらに、送信信号の時変変換は、アンテナ路間の干渉を相互に関連させる。
【0053】
例えば、任意の時刻にA>>Aである場合、つまり送信がほとんど主要アンテナで発生する場合には、非TD受信機のフィンガは、以下のSNRでアンテナAからの信号に固定する:
【数3】

【0054】
しかし、別の時刻に時変変換がA<<Aであるような場合には、非TD受信機のフィンガは、以下のSNRでアンテナAからの信号に固定する:
【数4】

【0055】
図4Aは、送信ダイバーシティ利得を非TD受信機に与える装置のブロック図である。この実施形態は、非TD受信機の方に向けられる信号を主要アンテナだけで送信するように構成されている基地局400に結合される。基地局400は、第1のアンテナAから非TD受信機への送信する信号Xを出力し、第1のアンテナA及び第2のアンテナAから送信する信号XTD1及びXTD2を出力するが、信号XTD1及びXTD2はTD受信機の方に向けられる。再ディストリビュータユニット410は、記号を処理し、アンテナ伝送路Y及びY上でシンボルを処理及び再分配するためのハードウェア及びソフトウェアを備える。路Y上の信号はアンテナAでの送信前に第1の電力増幅器420aによって増幅され、路Y上の信号はアンテナAでの送信前に第2の電力増幅器420bによって増幅される。
【0056】
図4B及び図4Cは、図4Aの再ディストリビュータユニット410内での信号の処理及び再分配を説明するものである。再ディストリビュータユニット410は、本来Y(主要アンテナ)で送信されるべき信号X及びXTD1を受信し、任意の時変要素415aを使用して路Y上でX及びXTD1の時変バージョンを生成する。したがって、再ディストリビュータユニットは、路Yだけで信号X及びXTD1を送信するよりむしろ、システムに路Yで信号X及びXTD1を、路YでX及びXTD1の時変バージョンを送信させる。
【0057】
再ディストリビュータユニット410は、さらに、本来路Y(2次チャネル)で送信されるべき信号XTD2を受信し、時変要素415bを使用してXTD2の時変バージョンを生成する。次に、オリジナルの信号XTD2よりむしろXTD2の時変バージョンが路Yで送信される。
【0058】
図4Cは、路Y及びYでのパイロット信号の再分配を説明するものである。装置410は、1次パイロットPを受信し、Pの時変バージョンを生成する。前記1次パイロットは路Y上で送信され、Pの時変バージョンは路Yで送信される。装置410は、さらに第2のパイロットPを受信し、Pの時変バージョンを生成する。装置はPの時変バージョンだけを路Y上に向ける。
【0059】
要素(elements)440A、440B、450A、及び450Bは、時変信号の生成を表現するために使用される。実施形態のある面では、時変バージョンはオリジナルの信号を複素シヌソイドejαtで乗算することにより生成され、ここではtは時間であり、αは位相変化の速度を決定する定数である。
【0060】
図5Aに示される実施形態は、送信ダイバーシティシステムのために必要なアンテナの数が、信号タイプの数に基づく送信ダイバーシティシステムのためのものである。説明の目的のためだけに、図中に示される信号タイプの数は3つ、つまり信号X、XTD1及びXTD2である。当業者は、必要以上の実験を行わなくても信号タイプの数の増加に適応するために装置が改変できることを理解するであろう。入力信号を処理し、その方向を変え、混合するように構成されている再ディストリビュータユニット510は、信号Xを非TD受信機の方へ、信号XTD1及びXTD2をTD受信機の方へ送信するように構成されている基地局500に結合される。再ディストリビュータユニット510は、路Y上に信号を出力するが、ここで当該信号がアンテナAでの送信前に第1の電力増幅器520aにより増幅され、また、再ディストリビュータユニット510は路Y上に信号を出力するが、当該信号はアンテナAでの送信前に第2の電力増幅器520bによって増幅される。
【0061】
図5B、図5C及び図5Dは、入力信号が図5Aの再ディストリビュータ510内でどのように処理され、その方向が変えられ、混合されるのかを示すブロック図である。図5Bでは、再ディストリビュータ510は、シンボルX、XTD1及びXTD2を受信するが、これらは本来別個のアンテナで送信するためのものであった。再ディストリビュータ510は、次に、X及びXTD2の時変バージョンをそれぞれ要素540a及び540bで生成する。再ディストリビュータ510は、路Y上にオリジナルのシンボルX及びXTD1を出力し、路Y上にX及びXTD2の時変バージョンを出力する。
【0062】
図5Cは、路Y及びY上でのパイロット信号P及びPの送信を説明するものである。
【0063】
図5Dは、パイロット信号P及びPの別の送信方式を説明するものであって、時変変換は1次パイロット信号Pに対して実行される。再ディストリビュータ510はパイロットPを路Y上に出力し、混合パイロット信号を路Y上で出力するが、当該混合パイロット信号はパイロット信号P及び1次パイロットPの時変バージョンを含む。
【0064】
図5Dに説明される代替パイロット送信方式は、工場での新しいTD遠隔局の改良を必要とするが、すでにシステム内で動作している旧い非TD遠隔局では必要としない。非TD遠隔局は、そのオリジナルのプログラミングに従って1次パイロットを得ようとするに過ぎないが、TD遠隔局は路Yで受信される信号からPの時変バージョンを差し引くように構成されていなければならない。前述したように、路P上でのPの時変バージョンは、送信ダイバーシティ利得を非TD遠隔局に提供する働きをする。
【0065】
図6に示される実施形態は、複数の信号が、時間の経過に従って円滑に変化するマトリクス変換を使用して再分配される送信ダイバーシティのためのものである。再ディストリビュータユニット610は、マトリクス乗算により数学的な形式で表現されてもよい。Yを伝送路のベクトルとし、Zを入力信号のベクトルとし、Wを装置によって実行される時変演算のマトリクスであるとする。
【数5】

【0066】
この実施形態では、例えば値w1nが時間の経過に従って円滑に変化するなど、マトリクスWは時間の経過に従って円滑に変化する。さらに、マトリクスWの各行は連続して他の行のすべての初期値をとる。図6の実施形態は特に興味深い、というのは、当該実施形態が任意の数の入力信号を任意の数のアンテナに再分配するからである。
【0067】
610の実施形態のある面では、マトリクスWはユニタリ、例えば、W・W=Iであって、WがWの共役転置行列(conjugate transpose)(エルミート行列(Hermitian)とも呼ばれる)であり、Iが単位行列である。この特定の実施形態の利点は、再分配演算が信号YからYの直交性を維持し、それにより送信ダイバーシティ利得を最大化するという点である。
【0068】
k=2かつn=2の場合の再ディストリビュータユニット610の興味深い実施形態は、以下のユニタリ行列によって記述され得る:
【数6】

【0069】
この実施形態は、本明細書では「sin−cos」と称するが、当該実施形態が信号の位相を歪めない切替え装置として実現することができるという点で興味深い。代わりに信号Z及びZは、円滑な遷移でY及びY上で送信される。
【0070】
これらの実施形態のすべてにおいては、入力ごとに1つのパイロット信号しかないが、システムは複数の受信機に同時に送信していてもよいため、1以上のデータ信号入力X、XTD1及びXTD2があってもよいことに注意されたい。例えば、1つのTD遠隔局だけではなく2つの非TD遠隔局もサポートしているcdma2000システムが、Z=P+XN_user1+XN_user2+XTD1_user3及びZ=P+XTD2_user3を送信していても、XN_user1は第1の非TD遠隔局のための信号であり、XN_user2は第2の非TD遠隔局のための信号であり、XTD1_user3及びXTD2_user3は第3のTD遠隔局のための2つの送信ダイバーシティ信号である。
【0071】
「sin−cos」実施形態は、さらに任意の偶数の整数値nのために一般化されてもよい。例えば、wkiはマトリクスW(t)のk番目の行及びi番目の列、及びb(t)は時変関数とする。するとマトリクスW(t)はwki=δkib(t−τki)を設定することにより生成できる。ここにおいて、
t mod n≦1 または t mod n>(n−1)の場合、b(t)=cos(πt/2)
それ以外の場合は、b(t)=0;
τki=[σ(k−i)]mod n、ここで、iが偶数の場合、σは1であり、
iが奇数の場合、τki=−1である;

τkiが奇数であり、kが偶数である場合、δki=−1であり、
それ以外の場合、δki=1である。
【0072】
時間変数tが0からnまでの値を取るにつれて、n個の信号Zのそれぞれが順番に間に円滑な変動をもってアンテナのそれぞれに印加される。tがいかなる値をとっても、マトリクスWは、出力シンボルを形成するために入力信号を組で倍率を掛け、合計するユニタリ変換(unitary transformation)である。
【0073】
再ディストリビュータユニット610の代替実施形態は、入力信号の位相だけを、それらをともに結合するために変えることを利用する。k=2かつn=2の場合、この実施形態は以下のユニタリマトリクスWによって記述され得る。
【数7】

【0074】
本実施形態は、本明細書では「exp−exp」と称するが、その固有の電力制御特性のために特に有利である。各アンテナから発せられる電力は、たとえオリジナルの信号Z及びZが異なる電力レベルを有していても平衡が保たれる。
【0075】
「exp−exp」実施形態では、マトリクスWはユニタリ変換である。さらにマトリクスWは電力増幅器PA及びPA上で、以下のように電力を均等に負荷する。
【数8】

【0076】
したがって、
【数9】

【0077】
2本のアンテナの電力出力は、たとえオリジナルの信号P、P、Y、XTD1及びXTD2が異なる電力を有していても平衡が保たれる。加えて、信号Xは、それがTDモードで送信されないとしても、システム内に残っているすべての電力を使い果たすように設定できる。
【0078】
システム内に残っているすべての電力を使い果たすために信号Xを使用することは、cdma2000などのシステムには非常に有効である。cdma2000では、送信ダイバーシティが使用可能なときにも主要アンテナ単独での伝送のために構成されているいくつかのチャネルがある。例えば、cdma2000改訂(Revision)Cでは、パケットデータチャネル及びパケットデータ制御チャネルはパケットデータを送信するためにシステム内のすべての未使用の電力を使用するように設計される。残念なことに、これら2つのチャネルは、システムが送信ダイバーシティのために構成されている場合には主要アンテナでのみ送信される。したがって、パケットデータチャネル及びパケットデータ制御チャネルは、補助アンテナの使用可能な電力を活用できないが、これは非常に望ましくないであろう。パケットデータチャネル及びパケットデータ制御チャネルを信号X内で送信すると、これは補助アンテナの使用可能な電力へのアクセスを提供するであろうため、システムのキャパシティが改善されるであろう。
【0079】
したがって、上記に導かれる等電力特性(the above−derived equal power property)の別の結果は、X、XTD1及びXTD2の相対的な電力に関わらず、システムが電力増幅器の容量全体を活用する上で制限されていないという点である。
【0080】
「exp−exp」実施形態は、N本のアンテナ上でのビーム形成変換の一種として一般化できる。wkiがマトリクスW(t)のk番目の行及びi番目の列を示すとする。すると、マトリクスW(t)は、
【数10】

【0081】
を設定することによって生成できる。
【0082】
前記実施形態は、信号がすべてのアンテナから等しいエネルギーで送信されると仮定している。これは必要条件ではない。例えば、これらの解決策のすべては、他のアンテナより高い電力で送信する第1のアンテナで具現化することもできるであろう。再ディストリビュータユニットの出力に、制御された増幅器または減衰器を設ければ、各信号の電力を容易に制御し得る。
【0083】
さらに、実施形態はすべてベースバンド領域で記載されている。これらの技法が、RF領域など無線周波数領域で、あるいはIFなど中間周波数領域で適用されるために変形されてもよいことは、当業者にとって明確であるはずである。
【0084】
当業者は、情報及び信号が多岐に渡る異なった技術及び技法のいずれかを使用して表現されてよいことを理解するであろう。例えば、上記の記載を通して言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル及びチップは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光電場若しくは光学粒子、またはこれらの任意の組み合わせにより表現されてもよい。
【0085】
当業者は、さらに、本明細書に開示されている実施形態に関連して記載される多様な事例的論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムステップが電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、または両方の組み合わせとして実現されてもよいことを理解する。ハードウェア及びソフトウェアのこの互換性を明確に説明するために、多様な事例的構成要素、ブロック、モジュール、回路及びステップが、概してこれらの機能性に関して上述されている。このような機能性がハードウェアとして実現されるのか、あるいはソフトウェアとして実現されるのかは、特定の応用例及び全体的なシステムに課される設計制約に依存する。熟練工は、記載された機能性を特定の応用例ごとにさまざまな方法で実施し得るが、そのような実施の決定は本発明の範囲からの逸脱を引き起こすものとして解釈されるべきではない。
【0086】
本明細書に開示される実施形態に関連して記載される多様な事例的論理ブロック、モジュール及び回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、FPGA、または他のプログラム可能論理回路、ディスクリートゲート若しくはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア要素、または本明細書に記載されている機能を実行するように設計されるこれらの任意の組み合わせをもって実施または実行されてよい。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであってよいが、代替策では、当該プロセッサは任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラまたは状態機械であってよい。プロセッサはまた、例えばDSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連する1以上のマイクロプロセッサ、または他の任意のこのような構成などのコンピューティング装置の組み合わせとして実現されてもよい。
【0087】
本明細書に開示される実施形態に関連して記載される方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアで、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで、あるいは前記2つの組み合わせで直接的に具現化されてもよい。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、または当技術分野で公知の他のいかなる形式の記憶媒体に格納されてもよい。例示的な記憶媒体は、プロセッサが当該記憶媒体から情報を読み取り、当該記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。別の方法としては、記憶媒体はプロセッサと一体になっていてもよい。プロセッサ及び記憶媒体はASICに設けられてもよい。ASICはユーザ端末に設けられてもよい。別の方法としては、プロセッサ及び記憶媒体は、ユーザ端末中の別個の構成要素として設けられてもよい。
【0088】
開示された実施形態の前記説明は、当業者が本発明を作成または使用できるようにするために提供される。これらの実施形態に対する多様な変型は、当業者にとって容易に明らかであって、本明細書に定義される一般的な原則は本発明の精神または範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用されてもよい。したがって、本発明は本明細書に示されている実施形態に制限されることを意図されたものではなく、本明細書に開示される原則及び新規の特徴と合致する最も幅広い範囲と一致すべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信ダイバーシティ利得を非送信ダイバーシティ受信機に与えるために送信ダイバーシティシステム内で主送信信号及び補助送信信号を処理するための再ディストリビュータユニットであって、
主要アンテナに向かう前記主送信信号のための分配路と、
前記主送信信号の時変コピーを生成し、前記主送信信号の前記時変コピーを補助アンテナに再分配するための第1の時変要素と、
前記補助送信信号の時変コピーを生成し、前記補助アンテナに前記補助送信信号の前記時変コピーを再分配するための第2の時変要素と、ここにおいて、前記補助送信信号は前記補助アンテナに分配されない
を備える再ディストリビュータユニット。
【請求項2】
送信ダイバーシティ利得を非送信ダイバーシティ受信機に提供するための装置であって、
主要アンテナと、
少なくとも1本の補助アンテナと、
結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号を受信し、第2の送信ダイバーシティ信号を受信し、前記結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号の時変バージョンを生成し、前記第2の送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成し、前記主要アンテナ及び前記少なくとも1本の補助アンテナ上で前記時変バージョンを再分配するように構成されている再ディストリビュータユニットと、
を備える装置。
【請求項3】
前記再ディストリビュータユニットは、ユニタリ変換に従って前記時変バージョンの前記生成及び前記時変バージョンの再分配を実行する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ユニタリ変換はマトリクスWであり、Wの要素がwki=δkib(t−τki)であり、ここにおいて、
t mod n≦1 または t mod n>(n−1)の場合、b(t)=cos(πt/2)及び
それ以外の場合、b(t)=0;
τki=[σ(k−i)]mod n、ここでiが偶数の場合σは1、及び
iが奇数の場合、τki=−1;及び
τkiが奇数かつkが偶数の場合、δki=−1、及び
それ以外の場合、δki=1 である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
マトリクスWは
【数1】

である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記ユニタリ変換はマトリクス
【数2】

である、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
下記を具備する、送信ダイバーシティシステムにおいて非送信ダイバーシティ受信機に送信ダイバーシティ利得を与えるための方法、ここにおいて前記送信ダイバーシティは主要アンテナ及び補助アンテナを使用して提供される、
結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号の時変バージョンを生成することと、
第2の送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成することと、
前記結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号を前記主要アンテナの方へ向けることと、
結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号の時変バージョンを前記補助アンテナの方へ向けることと、
前記第2の送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを、前記第2の送信ダイバーシティ信号の代わりに前記補助アンテナの方へ向けることと、
を備える方法。
【請求項8】
下記を具備する、送信ダイバーシティシステムにおいて非送信ダイバーシティ受信機に送信ダイバーシティ利得を与えるための装置、ここにおいて、前記送信ダイバーシティは主要アンテナ及び補助アンテナを使用して提供される、
結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号の時変バージョンを生成し、第2の送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成するための手段と、
前記結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号を前記主要アンテナの方へ向け、結合された非送信ダイバーシティと第1の送信ダイバーシティとの信号の前記時変バージョンを前記補助アンテナの方へ向け、前記第2の送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを、前記第2の送信ダイバーシティ信号の代わりに前記補助アンテナに向けるための手段と、
を備える装置。
【請求項9】
送信ダイバーシティシステムにおいてマルチプルのアンテナの送信電力を平衡させるための装置であって、
主要アンテナに向かう1次送信信号のための分配路と、
補助アンテナに向かう第1の補助送信信号のための分配路と、
前記1次送信信号の時変コピーを生成し、前記1次送信信号の前記時変コピーを前記補助アンテナに向かって再分配するための第1の時変要素と、
第2の補助送信信号の時変コピーを生成し、前記第2の補助送信信号の前記時変コピーを前記補助アンテナに向かって再分配するための第2の時変要素と、ここにおいて、前記第2の補助送信信号は前記補助アンテナに分配されない
を備える装置。
【請求項10】
送信ダイバーシティシステムの電力が平衡された送信信号を伝達するための装置であって、
主要アンテナと、
補助アンテナと、
前記主要アンテナに向けられる非送信ダイバーシティ信号と、前記主要アンテナに向けられる第1の送信ダイバーシティ信号と、前記補助アンテナに向けられる第2の送信ダイバーシティ信号とを受信するように構成されている再ディストリビュータユニットと、ここにおいて、前記再ディストリビュータユニットは、前記非送信ダイバーシティ信号の時変バージョン及び前記第2の送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成し、前記非送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを前記補助アンテナに、前記第2の送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを、前記第2の送信ダイバーシティ信号の代わりに前記補助アンテナに再分配するようにさらに構成されている、
を備える装置。
【請求項11】
送信ダイバーシティ環境においてアンテナの送信負荷を平衡させるための方法であって、
前記非送信ダイバーシティ及び第1の送信ダイバーシティ信号を主要アンテナの方へ向けることと、
非送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成することと、
第2の送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成することと、
前記非送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを補助アンテナに向けることと、
前記第2の送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを、前記第2の送信ダイバーシティ信号の代わりに前記補助アンテナの方へ向けることと、
を備える方法。
【請求項12】
マルチプルのアンテナの送信負荷を平衡させるための装置であって、
前記非送信ダイバーシティ信号及び第1の送信ダイバーシティ信号を主要アンテナの方へ向けるための手段と、
非送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成するための手段と、
第2の送信ダイバーシティ信号の時変バージョンを生成するための手段と、
前記非送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを補助アンテナへ向けるための手段と、
前記第2の送信ダイバーシティ信号の前記時変バージョンを、前記第2の送信ダイバーシティ信号の代わりに前記補助アンテナの方へ向けるための手段と、
を備える装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−284497(P2009−284497A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−138346(P2009−138346)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【分割の表示】特願2004−562267(P2004−562267)の分割
【原出願日】平成15年12月17日(2003.12.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】