説明

送信側監視システム、受信側監視システム及び監視システム

【課題】ライブモニタリング用のIPネットワーク伝送時の画像圧縮方式と録画蓄積時の画像圧縮方式の双方において、効率的かつ効果的な圧縮処理が行える送信側監視システム、受信側監視システム及び監視システムを提供すること。
【解決手段】ネットワーク送受信部106は、フレーム相関圧縮部102で圧縮された監視映像データを通常時にライブモニタリング用としてIPネットワーク30に送信し、異常発生時等において受信側監視システム200からIPネットワーク30を経由して録画映像の再生要求を受信した時に、その再生要求を圧縮映像管理部104に出力し、その後、映像蓄積部105から入力される単一フレーム毎に圧縮された監視映像データをIPネットワーク30に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は送信側監視システム、受信側監視システム及び監視システムに関し、特に、デジタル圧縮された監視映像データをIPネットワーク上にてやり取りする送信側監視システム、受信側監視システム及び監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載された監視システムは、図4に示すように、監視カメラ401で撮影される監視映像信号が監視システム300に入力され、単一の画像圧縮方式による符号化/圧縮部301によりデジタル圧縮されて監視映像データとして画像バッファリング部303を介して記録媒体304に蓄積され、蓄積された監視映像データが画像バッファリング部303及び機能制御部302を介して読み出されてネットワーク制御部305によりIPネットワーク500上に送信されている。
【特許文献1】特開2004−172929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の監視システム300においては、監視映像の画像圧縮方式が、ライブモニタリング用のIPネットワーク伝送時のものと、記録蓄積時のものにおいて同一の画像圧縮方式が使われているため、どちらか一方の画像圧縮時の処理効率・効果を高めようとすると、他方の制約が大きくなるという問題があった。
【0004】
すなわち、従来の監視システムでは、例えば、監視画像データの圧縮率を下げると、IPネットワーク上の伝送負荷が重くなると共に、記録蓄積する監視画像データの容量が増大して記録時間が短くなる。また、監視画像データの圧縮率を上げると、IPネットワーク上の伝送負荷は軽くなり、記録時間も長くなるが、異常発生時に再生する監視画像の品質が落ちてしまう。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、ライブモニタリング用のIPネットワーク伝送時の画像圧縮方式と録画蓄積時の画像圧縮方式の双方において、効率的かつ効果的な圧縮処理が行える送信側監視システム、受信側監視システム及び監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の送信側監視システムは、監視カメラから入力された監視映像を分配する映像分配部と、前記分配された監視映像の一方を入力しフレーム相関を利用した圧縮方式により符号化/圧縮を行うフレーム相関圧縮部と、前記分配された監視映像の他方を入力し単一フレーム毎に順次処理する圧縮方式により符号化/圧縮を行うフレーム単一圧縮部と、前記フレーム相関圧縮部と前記フレーム単一圧縮部において圧縮された第1及び第2の監視映像データの時刻同期を行う圧縮映像管理部と、前記第2の監視映像データを録画蓄積する映像蓄積部と、前記第1の監視映像データ、前記映像蓄積部に蓄積された前記第2の監視映像データをIPネットワークを介して受信側監視システムに送信するネットワーク送受信部と、を具備し、前記ネットワーク送受信部は、前記第1の監視映像データをライブモニタリング用としてIPネットワークを介して受信側監視システムに送信し、受信側監視システムからIPネットワークを経由して録画映像再生要求を受信した時に、前記圧縮映像管理部より当該時刻における前記第2の監視映像データを前記映像蓄積部から検索してIPネットワークを介して受信側監視システムに送信する構成を採る。
【0007】
この構成によれば、IPネットワーク上での監視映像データの伝送において、ライブモニタリング用及び録画蓄積フレームの参照用の双方の伝送処理において低負荷で効率的に処理することができる。
【0008】
また、本発明の受信側監視システムは、IPネットワークを介して送信側監視システムからフレーム相関を用いた圧縮方式にて符号化/圧縮された第1の監視映像データ及びフレーム単一の圧縮方式にて符号化/圧縮された第2の監視映像データを受信するネットワーク送受信部と、前記第1の監視映像データを伸張処理するフレーム相関伸張部と、前記第2の監視映像データを伸張処理するフレーム単一伸張部と、前記フレーム相関伸張部と前記フレーム単一伸張部でそれぞれ伸張された監視映像を表示する映像表示部と、録画映像再生要求を入力する入力部と、を具備し、前記ネットワーク送受信部は、前記第1の監視映像データをIPネットワークを介して送信側監視システムから受信し、該第1の監視映像データを前記フレーム相関伸張部で伸張処理してライブモニタリング用監視映像として前記映像表示部に表示し、前記ネットワーク送受信部は、前記入力部から入力された録画映像再生要求をIPネットワークを介して送信側監視システムに送信した後、前記第2の監視映像データをIPネットワークを介して送信側監視システムから受信し、該第2の監視映像データを前記フレーム単一伸張部で伸張処理してフレーム単位の監視映像を前記映像表示部に表示する構成を採る。
【0009】
この構成によれば、ライブモニタリング用及び録画蓄積フレームの参照用の双方において伸張処理を低負荷で効率的に処理することができ、ユーザも単一の表示部により効率的な監視が可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ライブモニタリング用及び録画蓄積フレームの参照用の双方において効率的に映像の圧縮/伸張処理ができ、IPネットワーク上での監視映像データの伝送効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態の監視システムの全体構成を示す図である。図1において、監視システム10は、監視カメラ20が接続された送信側監視システム100と、受信側監視システム200と、がIPネットワーク30を介して接続されている。
【0013】
図2は、送信側監視システム100の構成を示すブロック図である。図2において、送信側監視システム100は、映像分配部101と、フレーム相関圧縮部102と、フレーム単一圧縮部103と、圧縮映像管理部104と、映像蓄積部105と、ネットワーク送受信部106と、から構成される。
【0014】
映像分配部101は、監視カメラ20から入力される監視映像信号をフレーム相関圧縮部102とフレーム単一圧縮部103に分配する。
【0015】
フレーム相関圧縮部102は、分配された監視映像信号のフレーム相関を利用した圧縮方式、例えば、MPEG2(Moving Picture Experts Group phase 2)方式により符号化/圧縮を行って、圧縮映像データを圧縮映像管理部104とネットワーク送受信部106に出力する。
【0016】
フレーム単一圧縮部103は、分配された監視映像信号の単一のフレーム毎に順次処理する圧縮方式、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)方式により符号化/圧縮を行って、圧縮映像データを圧縮映像管理部104と映像蓄積部105に出力する。
【0017】
圧縮映像管理部104は、フレーム相関圧縮部102とフレーム単一圧縮部103の双方から入力された各監視映像データの時刻同期を行って、同時刻に圧縮されたフレーム相関を用いて圧縮された映像データと、単一フレーム毎に圧縮された映像データには、同じ時刻情報を付加する。そして、この時刻情報と共に単一のフレーム毎に圧縮された監視映像データを映像蓄積部105に出力する。圧縮映像管理部104は、単一フレーム毎に圧縮された映像データを時刻情報と共に蓄積する。また、圧縮映像管理部104は、ネットワーク送受信部106で受信された記録映像の再生要求が入力されると、再生要求に含まれる時刻情報に対応する単一フレームにて圧縮された監視映像データを映像蓄積部105において検索し、当該データを映像蓄積部105により読み出して、ネットワーク送受信部106によりIPネットワーク30に送信させる。
【0018】
映像蓄積部105は、単一のフレーム毎に圧縮された監視映像データを録画蓄積する。また、映像蓄積部105は、圧縮映像管理部104により検索された監視映像データを再生してネットワーク送受信部106に出力する。
【0019】
ネットワーク送受信部106は、フレーム相関圧縮部102で圧縮された監視映像データを通常時にライブモニタリング用としてIPネットワーク30に送信するとともに、異常発生時等において受信側監視システム200からIPネットワーク30を経由して録画映像の再生要求を受信した時に、その再生要求を圧縮映像管理部104に出力し、その後、映像蓄積部105から入力される再生監視映像データをIPネットワーク30に送信する。
【0020】
図3は、受信側監視システム200の構成を示すブロック図である。図3において、受信側監視システム200は、ネットワーク送受信部201と、フレーム相関伸張部202と、フレーム単一伸張部203と、映像表示部204と、入力部205と、から構成される。
【0021】
ネットワーク送受信部201は、通常時に、IPネットワーク30からライブモニタリング用の監視映像データを受信してフレーム相関伸張部202に出力し、異常時に、入力部205から入力される録画映像再生要求をIPネットワーク30に送信し、その後、IPネットワーク30から再生監視映像データを受信してフレーム単一伸張部203に出力する。
【0022】
フレーム相関伸張部202は、通常時に、ネットワーク送受信部201により入力されるライブモニタリング用の監視映像データ、すなわち、フレーム相関を用いた圧縮方式にて符号化/圧縮された監視映像データを伸張処理して映像表示部204に出力する。
【0023】
フレーム単一伸張部203は、異常時に、ネットワーク送受信部201により入力される再生監視映像データ、すなわち、単一のフレーム毎に符号化/圧縮された監視映像データを伸張処理して映像表示部204に出力する。
【0024】
映像表示部204は、通常時に、フレーム相関伸張部202により入力される伸張された監視映像を表示し、異常時に、フレーム単一伸張部203により入力される伸張された監視映像を表示する。入力部205は、記録映像の再生要求を入力する為の入力機能を有する。
【0025】
次に、送信側監視システム100における動作について、図2を参照して説明する。
【0026】
監視カメラ20で撮影された監視映像は、通常時においては、フレーム相関圧縮部102において伝送効率の良いフレーム相関を用いた圧縮方式で符号化/圧縮され、ネットワーク送受信部106によりIPネットワーク30を介して受信側監視システム200に送信される。
【0027】
同時に、蓄積用として、監視カメラ20で撮影された監視映像は、フレーム単一圧縮部103にて所望の1フレームのみを参照したり、タイムラプス記録する際に無駄なデータの伝送が不要で取扱いが容易な単一のフレーム毎の圧縮方式にて符号化/圧縮されて映像蓄積部105に録画蓄積される。
【0028】
そして、蓄積された監視映像データは、ネットワーク送受信部106により録画映像再生要求信号が受信され、圧縮映像管理部104により該当時刻の監視映像データが検索された後、当該データが映像蓄積部105により読み出されて、ネットワーク送受信部106によりIPネットワーク30を介して受信側監視システム200に送信される。
【0029】
このように、本実施の形態の送信側監視システムによれば、IPネットワーク上での監視映像データの伝送において、ライブモニタリング用及び録画蓄積フレームの参照用の双方の伝送処理において低負荷で効率的に処理することができる。
【0030】
次に、受信側監視システム200における動作について、図3を参照して説明する。
【0031】
図3において、受信側監視システム200は、IPネットワーク30から監視映像データをネットワーク送受信部201で受信する。ネットワーク送受信部201は、通常時は、フレーム相関を用いた圧縮方式にて符号化/圧縮された監視映像データを受信してフレーム相関伸張部202に出力する。フレーム相関伸張部202は、入力された監視映像データを伸張して映像表示部204に出力して、ライブモニタリング用の監視映像を表示させる。
【0032】
受信側監視システム200のユーザは、映像表示部204に表示される監視映像に異常発生等を確認すると、入力部205から録画映像再生要求を入力する。入力部205から録画映像再生要求信号がネットワーク送受信部201に入力されると、異常発生時刻等を含む録画映像再生要求信号がIPネットワーク30を介して送信側監視システム100に送信される。
【0033】
送信側監視システム100では、ネットワーク送受信部106により録画映像再生要求信号が受信されると、上記動作により映像蓄積部105から該当時間の監視映像データが読み出され、ネットワーク送受信部106によりIPネットワーク30を介して受信側監視システム200に送信される。
【0034】
そして、受信側監視システム200では、ネットワーク送受信部201により無駄なデータ伝送が不要で取扱いが容易なフレーム単一の圧縮方式にて符号化/圧縮された監視映像データを受信し、その監視映像データをフレーム単一伸張部203で伸張して映像表示部204に出力する。映像表示部204では、蓄積された監視映像をフレーム単位で閲覧することになる。
【0035】
以上のように、本実施の形態の受信側監視システムによれば、ライブモニタリング用及び録画蓄積フレームの参照用の双方において伸張処理を低負荷で効率的に処理することができ、ユーザも単一の表示部により効率的な監視が可能となる。
【0036】
したがって、本実施の形態の監視システムによれば、送信側監視システム及び受信側監視システムにおいて、ライブモニタリング用及び録画蓄積フレームの参照用の双方において効率的に映像の圧縮/伸張処理ができるという効果を有し、IPネットワーク上での監視映像データの伝送効率を向上させることができる。
【0037】
なお、上記実施の形態では、フレーム単一の圧縮方式としてJPEG方式を用いた場合を説明したが、これに限るものではなく、例えば、WAVELET方式を用いるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明にかかる監視システムは、ライブモニタリング用のIPネットワーク伝送時の画像圧縮方式と録画蓄積時の画像圧縮方式の双方において、効率的かつ効果的な圧縮処理が行えるという効果を有し、IPネットワーク上での映像伝送等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係る監視システムの全体構成を示す図
【図2】本実施の形態に係る送信側監視システムの構成を示すブロック図
【図3】本実施の形態に係る受信側監視システムの構成を示すブロック図
【図4】従来の監視システムの構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0040】
10 監視システム
20 監視カメラ
30 IPネットワーク
100 送信側監視システム
101 映像分配部
102 フレーム相関圧縮部
103 フレーム単一圧縮部
104 圧縮映像管理部
105 映像蓄積部
106、201 ネットワーク送受信部
200 受信側監視システム
202 フレーム相関伸張部
203 フレーム単一伸張部
204 映像表示部
205 入力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラから入力された監視映像を分配する映像分配部と、
前記分配された監視映像の一方を入力しフレーム相関を利用した圧縮方式により符号化/圧縮を行うフレーム相関圧縮部と、
前記分配された監視映像の他方を入力し単一フレーム毎に順次処理する圧縮方式により符号化/圧縮を行うフレーム単一圧縮部と、
前記フレーム相関圧縮部と前記フレーム単一圧縮部において圧縮された第1及び第2の監視映像データの時刻同期を行う圧縮映像管理部と、
前記第2の監視映像データを録画蓄積する映像蓄積部と、
前記第1の監視映像データ、前記映像蓄積部に蓄積された前記第2の監視映像データをIPネットワークを介して受信側監視システムに送信するネットワーク送受信部と、を具備し、
前記ネットワーク送受信部は、前記第1の監視映像データをライブモニタリング用としてIPネットワークを介して受信側監視システムに送信し、受信側監視システムからIPネットワークを経由して録画映像再生要求を受信した時に、前記圧縮映像管理部より当該時刻における前記第2の監視映像データを前記映像蓄積部から検索してIPネットワークを介して受信側監視システムに送信する送信側監視システム。
【請求項2】
IPネットワークを介して送信側監視システムからフレーム相関を用いた圧縮方式にて符号化/圧縮された第1の監視映像データ及びフレーム単一の圧縮方式にて符号化/圧縮された第2の監視映像データを受信するネットワーク送受信部と、
前記第1の監視映像データを伸張処理するフレーム相関伸張部と、
前記第2の監視映像データを伸張処理するフレーム単一伸張部と、
前記フレーム相関伸張部と前記フレーム単一伸張部でそれぞれ伸張された監視映像を表示する映像表示部と、
録画映像再生要求を入力する入力部と、を具備し、
前記ネットワーク送受信部は、前記第1の監視映像データをIPネットワークを介して送信側監視システムから受信し、該第1の監視映像データを前記フレーム相関伸張部で伸張処理してライブモニタリング用監視映像として前記映像表示部に表示し、前記ネットワーク送受信部は、前記入力部から入力された録画映像再生要求をIPネットワークを介して送信側監視システムに送信した後、前記第2の監視映像データをIPネットワークを介して送信側監視システムから受信し、該第2の監視映像データを前記フレーム単一伸張部で伸張処理してフレーム単位の監視映像を前記映像表示部に表示する受信側監視システム。
【請求項3】
請求項1記載の送信側監視システムと、請求項2記載の受信側監視システムとを、IPネットワークを介して接続した監視システム。
【請求項4】
前記フレーム相関圧縮方式として、MPEG2方式を用いた請求項1記載の送信側監視システム。
【請求項5】
前記フレーム単一圧縮方式として、JPEG方式を用いた請求項2記載の受信側監視システム。
【請求項6】
前記フレーム単一圧縮方式として、WAVELET方式を用いた請求項2記載の受信側監視システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−150732(P2007−150732A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342472(P2005−342472)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】