説明

送信装置

【課題】複数の送信ユニット間の通信のみで自動的に各送信ユニットにおける送信タイミングの設定を行って所定の時間間隔で順番に電波の発射を行うことができる送信装置を提供する。
【解決手段】複数の送信ユニットのそれぞれに送信の順番を表す数値aと送信ユニットの総数を表す数値Nを設定する。自己の送信の順番を表す数値aが1に設定されている送信ユニット100は、起動時にトリガー値をNに設定するとともにセンサ部から入力した検出情報と自己の数値aの情報を送信し、受信信号から数値Nを検出したときに検出情報と自己の数値aの情報を送信する。自己の送信の順番を表す数値aが1以外に設定されている送信ユニット100は、受信信号から数値a−1を検出したときに検出情報と自己の数値aの情報を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信休止時間よりも短い時間間隔で情報の送信を行えるように複数の送信ユニットによって構成されている送信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、センサを用いて検出した温度や湿度或いは圧力等の物理状態の検出値をセンサを備えた送信ユニットを用いて電波によって離れた場所に送信する送信装置が知られている。
【0003】
例えば、船舶が岸壁や他の船舶に対して接岸或いは接舷する際に用いる空気式防舷材においても内部の空気圧を送信ユニットのセンサによって検出し、その検出値を送信ユニットを用いて電波によって離れた場所に送信し、これを受信して空気式防舷材に触れることなく内部の空気圧を監視することができるようにしたものが知られている。
【0004】
この一例として、例えば、特開2010−175298号公報に開示される装置では、法令上定められている送信休止時間よりも短い時間間隔で情報の送信を行うために複数の送信機を備え各送信機における送信タイミングが所定の間隔をあけて順番に異なるように、外部の無線式起動装置を用いて設定することにより、複数の送信機を用いて送信休止時間よりも短い時間間隔で送信できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−175298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の装置では、各送信機の送信タイミングの設定のみに用いるために外部の無線式起動装置を用意しているので、送信タイミングを設定した後には無線式起動装置は必要なくなり、その分、コスト高になってしまっていた。
【0007】
本発明は、複数の送信ユニット間の通信のみで自動的に各送信ユニットにおける送信タイミングの設定を行える送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するために、一定時間T経過毎に同一周波数の電波によって所定情報を送信するN個の送信ユニットを備えた送信装置であって、前記各送信ユニットは、予め設定された1〜Nまでの送信の順番を表す数のうち他の送信ユニットに記憶されている数値とは異なる自己に固有の数値と数値Nとを記憶している情報記憶手段と、前記自己に固有の数値から1を減算した値が正のときは該減算結果の値をトリガー値として記憶し、前記減算した値が負のときは前記Nの値をトリガー値として記憶するトリガー値決定手段と、前記周波数の電波を受信する受信手段と、起動時において前記自己に固有の数値が1であるときに前記自己に固有の数値と前記所定情報を送信する起動時送信手段と、前記受信手段によって受信した電波の信号から前記数値を検出する検出手段と、前記検出した数値が前記トリガー値と一致したときからの経過時間を計時する計時手段と、前記計時手段によって計時された前記経過時間が前記一定時間Tよりも少ない所定時間tと一致したときに前記自己に固有の数値と前記所定情報を送信する送信手段とを備えている送信装置を提案する。
【0009】
本発明によれば、各送信ユニットには送信の順番を示す数値が記憶されるとともに、該数値の1つ前の数値がトリガー値として記憶され、各送信ユニットはトリガー値を含む信号を受信してから所定時間tが経過した後に所定情報と自己の数値とを送信する。このため、各送信ユニットの送信間隔時間は時間tとなり、時間t経過毎に各送信ユニットから順番に情報が送信される。また、一定時間Tよりも短い時間t経過毎に情報が送信される。
【0010】
また、本発明は、上記の目的を達成するために、一定時間T経過毎に同一周波数の電波によって所定情報を送信するN個の送信ユニットを備えた送信装置であって、1つの基準送信ユニットを備え、前記基準送信ユニットは、予め設定された自己に固有の送信の順番を表す数値である1の値を記憶している情報記憶手段と、前記自己に固有の数値と前記所定情報を前記一定時間T経過毎に送信する基準送信手段とを備え、前記基準送信ユニット以外の送信ユニットは、予め設定された1〜Nまでの数のうち1以外の送信の順番を表す数であり且つ他の送信ユニットに記憶されている数とは異なる自己に固有の数値を記憶している情報記憶手段と、前記自己に固有の数値から1を減算した値を倍数cとして記憶する倍数決定手段と、前記周波数の電波を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信した電波の信号から前記数値を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出した数値が1に一致したときからの経過時間を計時する計時手段と、前記計時手段によって計時された前記経過時間が前記一定時間Tよりも少ない所定時間tに対して前記倍数cを乗算して得られた時間と一致したときに前記所定情報を送信する送信手段とを備えている送信装置を提案する。
【0011】
本発明によれば、各送信ユニットには送信の順番を示す数値が記憶され、該数値が1である基準送信ユニットは一定時間T経過毎に所定情報を送信する。基準送信ユニット以外の送信ユニットは基準送信ユニットから送信された信号を受信したときからの経過時間を計時し、該計時された経過時間が時間tに対して自己に固有の順番を示す数値を乗算した時間と一致したときに所定情報を送信する。このため、基準送信ユニットからの送信を基準として、各送信ユニットの送信間隔時間は時間tとなり、時間t経過毎に各送信ユニットから順番に情報が送信される。また、一定時間Tよりも短い時間t経過毎に情報が送信される
【発明の効果】
【0012】
本発明の送信装置は送信ユニットが上記のように形成され、各送信ユニットに予め設定されている送信の順番を示す数値に基づいて複数の送信ユニットの間で自動的に所定時間t経過毎に順番に情報を送信することが可能になるので、従来例のように各送信ユニットの送信タイミングの設定のみに用いるために無線式起動装置を用意する必要がない。これにより、余分な無線式起動装置が不要になり、コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における送信装置を示す外観図
【図2】本発明の一実施形態における送信ユニットを示す外観斜視図
【図3】本発明の一実施形態における送信ユニットを示す平面図
【図4】本発明の一実施形態における送信ユニットを示す側面断面図
【図5】本発明の一実施形態におけるユニット本体を示す外観斜視図
【図6】本発明の一実施形態におけるユニット本体を示す外観斜視図
【図7】本発明の一実施形態におけるユニット本体の要部を示す外観斜視図
【図8】本発明の一実施形態における送信ユニットの電気系回路を示すブロック図
【図9】本発明の一実施形態における平面導体板と保持材を示す外観斜視図
【図10】本発明の一実施形態における保持材を示す外観斜視図
【図11】本発明の一実施形態におけるアンテナ特性を説明するスミスチャート
【図12】本発明の実施例1における送信ユニットの動作を説明するフローチャート
【図13】本発明の実施例1における送信ユニットの動作を説明するタイミングチャート
【図14】本発明の実施例2における送信ユニットの動作を説明するフローチャート
【図15】本発明の実施例2における送信ユニットの動作を説明するタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
図1は本発明の一実施形態における送信装置を示す外観図、図2は本発明の一実施形態における送信ユニットを示す外観斜視図、図3は本発明の一実施形態における送信ユニットを示す平面図、図4は本発明の一実施形態における送信ユニットを示す側面断面図、図5及び図6は本発明の一実施形態におけるユニット本体を示す外観斜視図、図7は本発明の一実施形態におけるユニット本体の要部を示す外観斜視図、図8は本発明の一実施形態における送信ユニットの電気系回路を示すブロック図である。
【0016】
図において、10は送信装置で、電波を透過する絶縁体からなる円筒状のケース11内に8個の送信ユニット100(100a〜100h)が収容されて構成されている。
【0017】
送信ユニット100(100a〜100h)のそれぞれは全て同じ形状をなしたものであり、電波を透過する絶縁体からなる略直方体のケース130にユニット本体300が収容されて構成されている。
【0018】
送信ユニット100のケース130は、図2乃至図4に示すように、略直方体形状をなし、その長手方向の両端部にねじ止め用の突起部を有し、ケース本体131と蓋体132とから構成されている。図4に示すように、ケース本体131の内部にはユニット本体300を収納するための収納空間134が形成され、収納空間134の開口は蓋体132をケース本体131にねじ141によって固定することにより閉鎖される。また、蓋体132には通気孔133が形成されており、ケース本体131に蓋体132を固定した状態においてもこの通気孔133を介して外部から収納空間134に空気が流通するようになっている。
【0019】
図5乃至図7に示すように、ユニット本体300は、略長方形をなす2枚のプリント配線基板351,352が所定間隔を開けて平行に配置されてなり、これらの間はアンテナ450を構成する柱状接続導体354と連結用の第3プリント配線基板353などによって互いに固定されている。ユニット本体300の長手方向の他端部には第1及び第2プリント配線基板351,351の幅方向に延びる中心軸を有するコイル状のアンテナ450が形成されており、一端側にはセンサ部410及び電池420などを含む電子回路を構成する電子部品が搭載されている。連結用プリント配線基板353は2つのプリント配線基板351,352のそれぞれに半田付けされている。
【0020】
第1プリント配線基板351と第2プリント配線基板352は、これらの間に設けられ一方のプリント配線基板に対して他方のプリント配線基板を所定の間隔をあけて固定するとともに一方のプリント配線基板のプリント配線と他方のプリント配線基板のプリント配線とを導電接続する複数の柱状接続導体354によって連結されている。
【0021】
ユニット本体300には図8に示す検出・送受信回路400が形成されている。すなわち、検出・送受信回路400はセンサ部410、電池420、主制御部430、送受信部440、アンテナ450から構成されている。
【0022】
センサ部410は、本体300の表面上に搭載され、空気圧検出素子411と、温度検出素子412、アナログ/ディジタル変換回路413とから構成され、例えば空気式防舷材の空気室内の空気圧と温度とを空気圧検出素子411と温度検出素子412によって検出し、この検出結果をアナログ/ディジタル変換回路413によってディジタル値に変換して主制御部430に出力する。
【0023】
電池420は、接続導体によってユニット本体300に連結され、ユニット本体300に形成されている検出・送受信回路400に電力を供給する。
【0024】
主制御部430は周知のCPUとメモリ及びディップスイッチなどから構成され、センサ部410による検出結果をディジタル値で受け取り、このディジタル値を含むディジタル情報を生成して送受信部440に出力する。なお、このディジタル情報には、上記検出結果のディジタル値の他に、予め設定されているユニット本体300に固有の識別情報(予めメモリに書き込まれているか又はディップスイッチによって設定されている)と、上記ディップスイッチに設定されているユニット本体300に固有の数値が含まれる。ディップスイッチとしては、後述する送信の順番である1〜8の何れかを表す数値を設定可能なものであれば、フラットタイプでも良いし或いはロータリータイプでも良い。また、本実施形態では、2つのディップスイッチを設け、第1のディップスイッチには送信の順番を示す数値aが設定され、第2のディップスイッチには送信装置10に含まれる送信ユニット100の総数の値Nが設定されている。
【0025】
さらに、主制御部430は、前記ディップスイッチに設定されている自己に固有の数値に基づいて前記自己に固有の数値と前記検出結果の情報を送信する、或いは、送受信部440から入力した受信情報からユニット本体に固有の数値を検出し、この検出した数値と前記ディップスイッチに設定されている自己に固有の数値すなわち送信の順番を表す数値とを比較し、この比較結果に基づいて前記自己に固有の数値と前記検出結果の情報を送信する。
【0026】
送受信部440は、主制御部430からの指示に基づいて送信と受信を切り替え、送信時には主制御部430から入力したディジタル情報を所定周波数、例えば315MHzの電波によってアンテナ450から送信するとともに、受信時にはアンテナ450を介して受信した315MHzの電波からディジタル信号を検出し、検出したディジタル信号からディジタル情報を抽出して主制御部430に出力する。なお、送受信部440の送信周波数と受信周波数とは同一周波数に設定されている。
【0027】
アンテナ450は、共振周波数が送受信部440の送受信周波数に設定されたコイル状アンテナであり、第1プリント配線基板351に設けられたプリント配線351aと第2プリント配線基板352に設けられたプリント配線352a及び第1プリント配線基板351のプリント配線と第2プリント配線基板352のプリント配線とを導電接続するとともにこれらのプリント配線基板351,352を互いに固定する柱状接続導体354によって形成されている。
【0028】
さらに、第1プリント配線基板351の他端部外面には長方形をなす平面導体板361が4つの保持材371によって固定されている。ユニット本体300をケース130に収納した時にケース本体131の底面側に位置するプリント配線基板351と平行になるようにアンテナ450の位置に平面導体板361が設けられている。平面導体板361は保持材371によって第1プリント配線基板351と所定の間隔を維持するように固定されている。この平面導体板361は第1プリント配線基板351の所定の導体パターン(電池420の負極に接続されている導体パターン)に導電接続されて基準電位に設定されている。また、図9に示すように、保持材371は平面導体板361の四隅に固定されている。保持材371は、図10に示すように円柱形の本体371aの両端に本体371aよりも小さい直径の円柱形状の突起部371bを備えた形状をなしている。
【0029】
プリント配線基板351に平面導体板361を装着した状態においてアンテナ450は315MHzを共振周波数とするものであり、そのスミスチャートを用いた特性曲線は図11に示す曲線Aで表され、315MHzにおけるアンテナインピーダンスは50オームである。このときのプリント配線基板351と平面導体板361との間隔Dは保持材371によって1.5mmに設定されている。
【0030】
本実施形態においては、送信装置10のケース11内に8個の送信ユニット100を必要最小限の空間を持って収容しても送信利得の低下を抑えて良好な電波の発射を行えるように、8個の送信ユニット100を配置している。
【0031】
さらに、本実施形態では、8個の送信ユニット100a〜100hの間のみで自動的に送信タイミングの設定を行えるようにしている。すなわち、本実施形態の各送信ユニット100a〜100hは、315MHz帯の周波数の電波を使用する無線設備に該当するため、混信の回避を図ることなどを目的として無線送信においては所定の送信休止時間を設けることが法令上定められている。この法令によれば送信休止時間は10秒以上と規定されている。このため、送信装置10として10秒よりも小さい時間間隔tで空気圧や温度などの情報を送信できるようにするため、本実施形態においては各送信ユニット100a〜100hは一定時間T経過毎に情報の送信を行うようにし、この一定時間Tを10秒に設定するとともに、時間tを10/8秒(=1.25秒)に設定し、時間t経過毎に各送信ユニット100a〜100hが順番に情報の送信を行うようにしている。
【0032】
次に、本実施形態における具体的な実施例を説明する。
【実施例1】
【0033】
実施例1では、各送信ユニット100a〜100hのディップスイッチには、送信の順番を示す予め設定された1〜N(N=8)までの数のうち他の送信ユニットに設定されている数とは異なる個々の送信ユニット100a〜100hに固有の数値と数値Nが設定されている。さらに各送信ユニット100a〜100hは、ディップスイッチに設定されている自己に固有の数値から1を減算した値が正のときは、この減算結果の値をトリガー値として記憶し、減算した値が負のときは前記Nの値をトリガー値として記憶する。
【0034】
また、各送信ユニット100a〜100hは、起動時において前記自己に固有の数値が1であるときに自己に固有の数値と前記検出結果の情報を送信する。
【0035】
また、各送信ユニット100a〜100hは、送受信部440から入力した受信信号から検出した数値が前記トリガー値と一致したときからの経過時間を計時し、この計時した経過時間が所定時間tと一致したときに前記送信の順番示す自己に固有の数値と前記検出結果の情報を送信する。
【0036】
次に、前述した各送信ユニット100a〜100hの動作、すなわち各送信ユニット100a〜100hのメモリに記憶されて各送信ユニット100a〜100hのCPUを動作させるためのプログラムの動作を図12のフローチャート及び図13のタイミングチャートを参照して説明する。
【0037】
各送信ユニット100a〜100hは、起動すると瞬時にディップスイッチに設定されている送信の順番を示す数値aと送信装置10に備わる送信ユニット100a〜100hの総数を示す数値Nを読み込む(SA1)。次に送信ユニット100a〜100hは、時間Tの値を数値Nで除算した値を時間tとして記憶する(SA2)。尚、時間Tは予めプログラムに設定されている。
【0038】
さらに、各送信ユニット100a〜100hは、読み込んだ数値aが1であるか否かを判定し(SA3)、数値aが1であるときはトリガー値bとしてNを記憶して(SA4)後述するSA11の処理に移行し、数値aが1以外のときは数値aから1を減算した値をトリガー値bとして記憶する(SA5)。
【0039】
この後、各送信ユニット100a〜100hは、他の送信ユニットが送信した信号の受信を開始して信号を受信したか否かを判定し(SA6)、信号を受信したときに受信信号から送信の順番を表す数値nを抽出して(SA7)、抽出した数値nがトリガー値bと等しいか否かを判定する(SA8)。この判定の結果、抽出した数値nがトリガー値bと異なるときは前述したSA6の処理に移行する。
【0040】
また、前記SA8の判定の結果、抽出した数値nがトリガー値bと等しいときは、タイマーによる計時を開始し(SA9)、タイマーの計時時間が前述した時間tに達したか否かを判定する(SA10)。この判定の結果、タイマーの計時時間が時間tに達したときに、タイマーの計時を終了する(SA11)とともに、センサ部410によって検出した検出を取得し(SA12)、この検出値と自己の送信の順番を示す数値aを含む情報を送信する(SA13)。この後、前記SA6の処理に移行する。
【0041】
前述したように各送信ユニット100a〜100hのCPUが動作することによって、送信装置10として10秒よりも小さい時間間隔tで空気圧や温度などの情報を送信することができる。このとき、各送信ユニット100a〜100hのそれぞれは一定時間T経過毎に情報の送信を行っている。また、各送信ユニット100a〜100hに設定した送信の順番を示す数値aに基づいて、各送信ユニット100a〜100hは順番に10/8秒(=1.25秒)毎に情報の送信を行っている。
【実施例2】
【0042】
実施例2では、各送信ユニット100a〜100hのディップスイッチには、送信の順番を示す予め設定された1〜N(N=8)までの数のうち他の送信ユニットに設定されている数とは異なる個々の送信ユニット100a〜100hに固有の数値と数値Nが設定されている。
【0043】
また、各送信ユニット100a〜100hは、起動時において前記自己に固有の数値が1であるときに自己に固有の数の値と前記検出結果の情報を送信する。
【0044】
また、各送信ユニット100a〜100hは、送受信部440から入力した受信信号から検出した数値が1と一致したときからの経過時間を計時し、この計時した経過時間が所定時間tに自己に固有の数値を乗算した時間と一致したときに前記検出結果の情報を送信する。
【0045】
次に、前述した各送信ユニット100a〜100hの動作、すなわち各送信ユニット100a〜100hのメモリに記憶されて各送信ユニット100a〜100hのCPUを動作させるためのプログラムの動作を図14のフローチャート及び図15のタイミングチャートを参照して説明する。
【0046】
各送信ユニット100a〜100hは、起動すると瞬時にディップスイッチに設定されている送信の順番を示す数値aと送信装置10に備わる送信ユニット100a〜100hの総数を示す数値Nを読み込む(SB1)。次に送信ユニット100a〜100hは、時間Tの値を数値Nで除算した値を時間tとして記憶する(SB2)。尚、時間Tは予めプログラムに設定されている。
【0047】
さらに、各送信ユニット100a〜100hは、読み込んだ数値aが1であるか否かを判定し(SB3)、数値aが1であるときはセンサ部410によって検出した検出を取得し(SB4)、この検出値を含む情報を送信する(SB5)。この後、数値aが1である送信ユニット100は、タイマーによる計時を開始し(SB6)、タイマーの計時時間が前述した時間Tに達したか否かを判定する(SB7)。この判定の結果、タイマーの計時時間が時間Tに達したときに、タイマーの計時を終了して(SB8)、前記SB4の処理に移行する。
【0048】
また、前記SB3の判定の結果、読み込んだ数値aが1以外の数値、すなわち読み込んだ数値aが2〜Nのうちの何れかであるときは、数値aから1を減算した値を倍数cとして記憶し(SB9)、時間tに倍数cを乗算した時間t1を算出して記憶する(SB10)。
【0049】
この後、数値aが1以外の送信ユニット100は、他の送信ユニットが送信した信号の受信を開始して信号を受信したか否かを判定し(SB11)、信号を受信したときに受信信号から送信の順番を表す数値nを抽出して(SB12)、抽出した数値nが1であるか否かを判定する(SB13)。この判定の結果、抽出した数値nが1でないときは前述したSB11の処理に移行する。
【0050】
また、前記SB13の判定の結果、抽出した数値nが1であるときは、タイマーによる計時を開始し(SB14)、タイマーの計時時間が前述した時間t1に達したか否かを判定する(SB15)。この判定の結果、タイマーの計時時間が時間t1に達したときに、タイマーの計時を終了する(SB16)とともに、センサ部410によって検出した検出を取得し(SB17)、この検出値を含む情報を送信する(SB18)。この後、前記SB11の処理に移行する。
【0051】
前述したように各送信ユニット100a〜100hのCPUが動作することによって、送信装置10として10秒よりも小さい時間間隔tで空気圧や温度などの情報を送信することができる。このとき、各送信ユニット100a〜100hのそれぞれは一定時間T経過毎に情報の送信を行っている。また、各送信ユニット100a〜100hに設定した送信の順番を示す数値aに基づいて、各送信ユニット100a〜100hは順番に10/8秒(=1.25秒)毎に情報の送信を行っている。
【0052】
なお、各送信ユニット100a〜100hに固有の識別情報或いは送信装置10に固有の識別情報のうちの少なくとも何れか一方の識別情報を記憶させたROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)などのメモリを各送信ユニット100a〜100hに搭載し、センサ部410によって検出された情報に加えて上記メモリから読み出した識別情報を送信するようにしても良い。これにより、複数の送信装置10が存在するときに情報が送信された送信装置10を判別することができる。
【0053】
また、上記実施形態では、空気圧と温度の両方を検出できる送信ユニット100を構成したが、空気圧または温度の何れか一方或いは他の物理量を検出できる送信ユニットを構成しても良い。
【0054】
また、上記実施形態では空気式防舷材に装着する送信装置としたが、これに限定されることはなく、空気式防舷材以外にも本発明の送信装置を適用することができることは言うまでもないことである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
複数の送信ユニット間の通信のみで自動的に各送信ユニットにおける送信タイミングの設定を行って所定の時間間隔で順番に電波の発射を行うことができるので、複数の送信ユニットの外部から送信タイミングの設定を行う必要がない送信装置を容易に構築することができる。
【符号の説明】
【0056】
10…送信装置、11…ケース、100(100a〜100h)…送信ユニット、130…ケース、131…ケース本体、132…蓋体、133…通気孔、134…収納空間、141…ねじ、300…ユニット本体、351…第1プリント配線基板、351a…プリント配線、352…第2プリント配線基板、352a…プリント配線、353…第3プリント配線基板、354…柱状接続導体、361…平面導体板、371…保持材、400…検出・送受信回路、410…センサ部、411…空気圧検出素子、412…温度検出素子、413…アナログ/ディジタル変換回路、420…電池、430…主制御部、440…送信部、450…アンテナ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定時間T経過毎に同一周波数の電波によって所定情報を送信するN個の送信ユニットを備えた送信装置であって、
前記各送信ユニットは、
予め設定された1〜Nまでの送信の順番を表す数のうち他の送信ユニットに記憶されている数値とは異なる自己に固有の数値と数値Nとを記憶している情報記憶手段と、
前記自己に固有の数値から1を減算した値が正のときは該減算結果の値をトリガー値として記憶し、前記減算した値が負のときは前記Nの値をトリガー値として記憶するトリガー値決定手段と、
前記周波数の電波を受信する受信手段と、
起動時において前記自己に固有の数値が1であるときに前記自己に固有の数値と前記所定情報を送信する起動時送信手段と、
前記受信手段によって受信した電波の信号から前記数値を検出する検出手段と、
前記検出した数値が前記トリガー値と一致したときからの経過時間を計時する計時手段と、
前記計時手段によって計時された前記経過時間が前記一定時間Tよりも少ない所定時間tと一致したときに前記自己に固有の数値と前記所定情報を送信する送信手段とを備えている
ことを特徴とする送信装置。
【請求項2】
一定時間T経過毎に同一周波数の電波によって所定情報を送信するN個の送信ユニットを備えた送信装置であって、
1つの基準送信ユニットを備え、
前記基準送信ユニットは、
予め設定された自己に固有の送信の順番を表す数値である1の値を記憶している情報記憶手段と、
前記自己に固有の数値と前記所定情報を前記一定時間T経過毎に送信する基準送信手段とを備え、
前記基準送信ユニット以外の送信ユニットは、
予め設定された1〜Nまでの数のうち1以外の送信の順番を表す数であり且つ他の送信ユニットに記憶されている数とは異なる自己に固有の数値を記憶している情報記憶手段と、
前記自己に固有の数値から1を減算した値を倍数cとして記憶する倍数決定手段と、
前記周波数の電波を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信した電波の信号から前記数値を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出した数値が1に一致したときからの経過時間を計時する計時手段と、
前記計時手段によって計時された前記経過時間が前記一定時間Tよりも少ない所定時間tに対して前記倍数cを乗算して得られた時間と一致したときに前記所定情報を送信する送信手段とを備えている
ことを特徴とする送信装置。
【請求項3】
時間tが前記一定時間Tを前記Nで除算した値(T/N)に設定されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記各送信ユニットは、周囲の空気圧を検出するセンサと、前記センサの検出値の情報を前記所定情報とする手段とを備えている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の送信装置。
【請求項5】
前記各送信ユニットは、
各送信ユニット毎に異なる識別情報が予め記憶されている識別情報記憶手段と、
前記識別情報を前記所定情報とともに送信する手段とを備えている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の送信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−105061(P2012−105061A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251820(P2010−251820)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【特許番号】特許第4858734号(P4858734)
【特許公報発行日】平成24年1月18日(2012.1.18)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】