説明

送液用ポンプ装置

【課題】 高吐出圧力を得る一方、シリンダとプランジャとの間のシール性能を確保する。
【解決手段】 複数のプランジャポンプ1、3を直列に接続して吐出圧力を順次増大させる。第1のプランジャポンプ1には、その吐出圧力P1をシール可能な第1のプランジャシール20Aを設ける。第2のプランジャポンプ3には、第1のプランジャポンプ1の吐出圧力P1をシール可能な第1のプランジャシール40Aと、第2のプランジャポンプ3の吐出圧力P2と第1のプランジャポンプ1の吐出圧力P1との差圧(P2−P1)をシール可能な第2のプランジャシール40Bとを2段に設ける。そして、第1のプランジャポンプ1の吐出側を第2のプランジャポンプ3の第1及び第2のプランジャシール40A、40B間を通して第2のプランジャポンプ3の吸入側に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送液用ポンプ装置に関し、特に、高速液体クロマトグラフィー(HPLC;High Performance Liquid Chromatography)などに用いられ、送液に高圧が要求されるポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、切断加工用のウォータジェットを得るための高圧発生装置として、複数のプランジャポンプを用い、前段のプランジャポンプの吐出流体を次段のプランジャポンプに吸入し順次増圧する装置が開示されている。ここで、2段目以降のプランジャポンプにおいては、シリンダの耐圧性を高めるため、シリンダの外周に補強シリンダを有し、シリンダと補強シリンダとの間の低圧室に当該プランジャポンプの吸入側の流体を導入している。尚、シリンダとプランジャとの間にはパッキンがあるが、完全にシールすることは困難であるので、パッキンから漏れ出た流体は外部に排出している。
【0003】
特許文献2には、超高圧液体クロマトグラフィー用のポンプとして、1次ピストンと、1次ピストンの発生圧力により駆動される1次ピストンより小断面積の2次ピストンとを備え、2次ピストンにより送液する、液圧増幅ポンプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−133851号公報
【特許文献2】特開2009−198518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハイスループットHPLCのカラム充填は、カラムの分離能力向上のためカラム内の粒子径が益々小さくなっているので、充填圧力が100MPaから200MPa近くまで上がり、流量及び圧力を正確に制御できるポンプが要望されている。
【0006】
HPLC用プランジャポンプは、圧力が変化しても流量の変化がなく、高圧で使用できることは、広く知られている。しかし、圧力が50MPaを越えるあたりから、シリンダとプランジャとの間のプランジャシールの耐久性不足による外部への液漏れが問題になっている。しかし、HPLC等の分析機器は、特に耐薬品性が要求されるので、現在、最適なシール材料がない。
【0007】
言い換えれば、プランジャシールとしては、一般に、高圧側の圧力が高くなるほどシール力が高くなる周知のセルフシールを用いているが、吸入時の低圧と吐出時の高圧を繰り返し受けて疲労し、更にプランジャが摺動しているので摩擦力と摩擦温度により磨耗し、シール力が低下する。これは50MPaを超えると顕著になる。
【0008】
尚、特許文献1に記載の技術では、複数のプランジャポンプを直列に接続して吐出圧力を順次増大させているが、2段目以降のプランジャポンプのシリンダとプランジャとの間のプランジャシール(パッキン)については、液漏れを許容して、しかも外部に排出しており、流量及び圧力を正確に制御することは困難である。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術では、液圧増幅ポンプ(ブースターポンプ)により高圧を得ているが、2次ピストンのシールについての対策がなく、耐圧性、耐久性に問題がある。しかも、液圧増幅ポンプは圧力は出るが、定流量送液には適さず、精密制御に問題がある。
【0010】
本発明は、このような実状に鑑み、シールが困難な圧力領域でシールの寿命を伸ばし、液漏れなく使用でき、精密制御が可能な送液用ポンプ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明では、複数のプランジャポンプを直列に接続して吐出圧力を順次増大させる送液システムとする。
各プランジャポンプには、シリンダとプランジャとの間をシールするプランジャシールが備えられるが、2段目以降のn段目(n≧2)のプランジャポンプには、前記プランジャシールが、n段、シリンダの軸方向に間隔をあけて備えられる。
そして、2段目以降のn段目のプランジャポンプの、n段のプランジャシールの各間のn−1箇所の空隙には、ポンプ室から遠い順に、このプランジャポンプより前段のn−1段のプランジャポンプの吐出圧力を、1段目のプランジャポンプから順に、それぞれ作用させる。
【0012】
より具体的には、2つのプランジャポンプを直列に接続する場合、次のようにする。
1段目のプランジャポンプには、1段目のプランジャポンプの吐出圧力をシール可能な第1のプランジャシールを設け、
2段目のプランジャポンプには、1段目のプランジャポンプの吐出圧力をシール可能な第1のプランジャシールと、2段目のプランジャポンプの吐出圧力と1段目のプランジャポンプの吐出圧力との差圧をシール可能な第2のプランジャシールとを2段に設ける。
そして、1段目のプランジャポンプの吐出側を2段目のプランジャポンプの第1のプランジャシールと第2のプランジャシールとの間を通して2段目のプランジャポンプの吸入側に接続する。
【0013】
3つのプランジャポンプを直列に接続する場合は、次のようにする。
1段目のプランジャポンプには、1段目のプランジャポンプの吐出圧力をシール可能な第1のプランジャシールを設け、
2段目のプランジャポンプには、1段目のプランジャポンプの吐出圧力をシール可能な第1のプランジャシールと、2段目のプランジャポンプの吐出圧力と1段目のプランジャポンプの吐出圧力との差圧をシール可能な第2のプランジャシールとを2段に設け、
3段目のプランジャポンプには、1段目のプランジャポンプの吐出圧力をシール可能な第1のプランジャシールと、2段目のプランジャポンプの吐出圧力と1段目のプランジャポンプの吐出圧力との差圧をシール可能な第2のプランジャシールと、3段目のプランジャポンプの吐出圧力と2段目のプランジャポンプの吐出圧力との差圧をシール可能な第3のプランジャシールとを3段に設ける。
そして、1段目のプランジャポンプの吐出側を2段目のプランジャポンプの第1のプランジャシールと第2のプランジャシールとの間及び3段目のプランジャポンプの第1のプランジャシールと第2のプランジャシールとの間を通して2段目のプランジャポンプの吸入側に接続し、
2段目のプランジャポンプの吐出側を3段目のプランジャポンプの第2のプランジャシールと第3のプランジャシールとの間を通して3段目のプランジャポンプの吸入側に接続する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のプランジャポンプを直列に接続して吐出圧力を順次増大させるシステムとしているので、1段目のプランジャポンプには、1段目のプランジャポンプの吐出圧力P1をシール可能なプランジャシールを用いればよく、従来のシールを従来どおり低圧で使用することができる。
【0015】
2段目のプランジャポンプには、2段のプランジャシールを用い、これらの間に1段目のプランジャポンプの吐出圧力P1を導くことで、1段目のプランジャポンプの吐出圧力P1をシール可能な第1のプランジャシールと、2段目のプランジャポンプの吐出圧力P2と1段目のプランジャポンプの吐出圧力P1との差圧(P2−P1)をシール可能な第2のプランジャシールとを用いればよく、各プランジャシールの負担圧力を大幅に低減できる。
3段以上にする場合も、3段目のプランジャポンプには、P1、P2−P1、P3−P2をそれぞれシール可能なプランジャシールを用いればよく、同様に対応できる。
【0016】
従って、本発明によれば、プランジャシールについて単独でシール可能な材質が入手できない超高圧条件下で使用可能な送液用ポンプ装置を提供することができ、これによってHPLCのカラム性能の向上の他、超高圧反応の精度向上、精密加工レーザーの性能向上等に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態を示す送液用ポンプ装置の構成図
【図2】2段のプランジャポンプによる送液用ポンプ装置の概略図
【図3】3段のプランジャポンプによる送液用ポンプ装置の概略図
【図4】2段のプランジャポンプによる送液用ポンプ装置の変形態様を示す図
【図5】3段のプランジャポンプによる送液用ポンプ装置の変形態様を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態を示す送液用ポンプ装置の構成図である。
本実施形態の送液用ポンプ装置は、2つのプランジャポンプを直列に接続して吐出圧力を順次増大させるシステムとしてあり、液体を最初に吸入吐出する第1のプランジャポンプ1と、その吐出側に設けた圧力センサ2と、第1のプランジャポンプ1の吐出液体を吸入吐出して更に高圧化する第2のプランジャポンプ3と、その吐出側に設けた圧力センサ4とから構成される。
【0019】
第1のプランジャポンプ1は、ポンプヘッド11に形成されたシリンダ12と、シリンダ12に摺動自在に挿入されてケーシング内13のモータ及びカム機構(図示せず)により往復直線運動するプランジャ14とを含んで構成され、シリンダ12のヘッド部とプランジャ14のヘッド部との間にポンプ室15が形成される。
【0020】
ポンプヘッド11には、ポンプ室15に連通する吸入通路16が形成され、該通路16の入口に吸入側逆止弁17が設けられる。ポンプヘッド11にはまた、ポンプ室15に連通する吐出通路18が形成され、該通路18の出口に吐出側逆止弁19が設けられる。
【0021】
従って、プランジャ14が図で右行する吸入行程にて、ポンプ室15の容積の増大に伴い、吸入通路16から吸入側逆止弁17を介して、ポンプ室15内に液体が吸入される。
そして、プランジャ14が図で左行する吐出行程にて、ポンプ室15の容積の減少に伴い、ポンプ室15内に吸入された液体が圧縮され、吐出通路18から吐出側逆止弁19を介して、吐出される。
【0022】
ポンプ室15の気液密性を確保するため、シリンダ12とプランジャ14との摺動面間には、環状のプランジャシール20Aが設けられる。プランジャシール20Aは、ポンプヘッド11のシリンダ12形成面に形成した環状溝部に挿入されて、ポンプヘッド11にボルト21により取付けた軸受キャップ22により抜止め保持されており、その内周面でプランジャ14の外周面に気液密に摺動する。
【0023】
第2のプランジャポンプ3は、第1のプランジャポンプ1と同様、ポンプヘッド31に形成されたシリンダ32と、シリンダ32に摺動自在に挿入されてケーシング内33のモータ及びカム機構(図示せず)により往復直線運動するプランジャ34とを含んで構成され、シリンダ32のヘッド部とプランジャ34のヘッド部との間にポンプ室35が形成される。
【0024】
ポンプヘッド31には、ポンプ室35に連通する吸入通路36が形成され、該通路36の入口に吸入側逆止弁37が設けられる。ポンプヘッド31にはまた、ポンプ室35に連通する吐出通路38が形成され、該通路38の出口に吐出側逆止弁39が設けられる。
【0025】
従って、プランジャ34が図で右行する吸入行程にて、ポンプ室35の容積の増大に伴い、吸入通路36から吸入側逆止弁37を介して、ポンプ室35内に液体が吸入される。
そして、プランジャ34が図で左行する吐出行程にて、ポンプ室35の容積の減少に伴い、ポンプ室35内に吸入された液体が圧縮され、吐出通路38から吐出側逆止弁39を介して、吐出される。
【0026】
ポンプ室35の気液密性を確保するため、シリンダ32とプランジャ34との摺動面間には、環状のプランジャシール40B、40Aが設けられる。プランジャシール40Bは、ポンプヘッド31のシリンダ32形成面に形成した環状溝部に挿入されて、シールホルダ43により抜止め保持されており、その内周面でプランジャ34の外周面に気液密に摺動する。プランジャシール40Aは、シールホルダ43の環状溝部に挿入されて、ポンプヘッド31にボルト41により取付けた軸受キャップ42により抜止め保持されており、その内周面でプランジャ34の外周面に気液密に摺動する。尚、シールホルダ43とポンプヘッド31との間にはパッキン44を介在させてある。
【0027】
プランジャシール40B、40A間のシールホルダ43には、その内周面(プランジャ34との摺動面)に開口する環状溝45と、環状溝45に連通して外周面に開口する2本の通路46、47とが形成されている。
2本の通路46、47のうち、一方の入口側通路46は、ポンプヘッド31に設けた入口側ポート48に連通し、他方の出口側通路47は、ポンプヘッド31に設けた出口側ポート49に連通している。
【0028】
ここにおいて、液体供給源(図示せず)からの配管101が第1のプランジャポンプ1の吸入側逆止弁17に接続され、吐出側逆止弁19には配管102の一端が接続されている。配管102の他端は圧力センサ2につながっており、第1のプランジャポンプ1の吐出圧力P1が圧力センサ2により計測される。
【0029】
第1のプランジャポンプ1側の圧力センサ2の出口側の配管103は第2のプランジャポンプ3の前記入口側ポート48に接続され、前記出口側ポート49には配管104の一端が接続されている。
配管104の他端は第2のプランジャポンプ3の吸入側逆止弁37に接続されている。従って、第1のプランジャポンプ1の吐出側を第2のプランジャポンプ3のプランジャシール40A、40B間を通して第2のプランジャポンプ3の吸入側に接続してある。
【0030】
第2のプランジャポンプ3の吐出側逆止弁39には配管105の一端が接続されている。配管105の他端は圧力センサ4につながっており、第2のプランジャポンプ3の吐出圧力P2が圧力センサ4により計測される。
第2のプランジャポンプ3側の圧力センサ4の出口側の配管106はインジェクタ等の負荷(図示せず)につながっている。
【0031】
従って、液体は、第1のプランジャポンプ1を吸入側逆止弁17、ポンプ室15、吐出側逆止弁19の順で流れて加圧され、圧力センサ2を通り、第2のプランジャポンプ3のプランジャシール40A、40B間の空隙(環状溝45)を通り、第2のプランジャポンプ3を吸入側逆止弁37、ポンプ室35、吐出側逆止弁39の順で流れて更に加圧され、圧力センサ4を通って、負荷(図示せず)へ供給される。
【0032】
よって、第2のプランジャポンプ3のプランジャシール40A、40B間の空隙(環状溝45)には、第1のプランジャポンプ1の吐出圧力P1が導かれており、低圧側のプランジャシール40Aには第1のプランジャポンプ1の吐出圧力P1がかかり、高圧側のプランジャシール40Bには、第2のプランジャポンプ3の吐出圧力P2と第1のプランジャポンプ1の吐出圧力P1との差圧(P2−P1)がかかることになる。
【0033】
従って、第1のプランジャポンプ1のプランジャシール20Aと第2のプランジャポンプ3の低圧側のプランジャシール40Aは、第1のプランジャポンプ1の吐出圧力P1をシールできるものであればよく、第2のプランジャポンプ3の高圧側のプランジャシール40Bは、第2のプランジャポンプ3の吐出圧力P2と第1のプランジャポンプ1の吐出圧力P1との差圧(P2−P1)をシールできるものであればよい。
【0034】
従って、第1のプランジャポンプ1のプランジャシール20Aについては、従来のシールを従来どおりシールが容易な圧力領域(低圧)で使用することができる。
第2のプランジャポンプ3では、2つのプランジャシール40A、40Bを用いて、圧力負荷を分散する。これにより、低圧側のプランジャシール40Aについては、シールが容易な圧力領域〔低圧〕で使用でき、高圧側のプランジャシール40Bについては、第2のプランジャポンプ3の吐出圧力P2と第1のプランジャポンプ1の吐出圧力P1との差圧(P2−P1)を受ければよく、負担圧力を大幅に低減でき、寿命を延ばすことができる。
【0035】
また、第2のプランジャポンプ3の高圧側のプランジャシール40Bについては、たとえ僅かに液漏れを生じたとしても、それはプランジャシール40B、40A間の環状溝45から、出口側通路47、出口側ポート49、配管104を経て、第2のプランジャポンプ3に再吸入されるので、外部に漏れることはない。
ゆえに高圧側のプランジャシール40Bは、そのシール部材とプランジャ34との隙間を小さくした硬質のブッシュにすることもできる。
【0036】
次に流量及び圧力の制御について説明する。
各プランジャポンプ1、3の吐出側にそれぞれ設けた圧力センサ2、4を用い、第1のプランジャポンプ1と第2のプランジャポンプ3との吐出圧力の比が設定値となるように少なくとも一方のプランジャポンプ1又は3を圧力制御する。前記設定値は、第1のプランジャポンプ1の吐出圧力P1に対する第2のプランジャポンプ3の吐出圧力P2の比で、P2/P1=1.5〜10とする。
【0037】
より具体的には、制御装置(図示せず)により、第2のプランジャポンプ3について、圧力センサ2、4で圧力を測りながら、第1のプランジャポンプ1に対する吐出圧力の比(P2/P1)が設定値となるように圧力制御する。そして、第1のプランジャポンプ1は、配管106につながる負荷(図示せず)に対し定流量送液、又は第2のプランジャポンプ3の吐出圧力が一定となるように圧力センサ4で圧力を測りながら定圧送液するように制御する。
【0038】
又は、制御装置(図示せず)により、第2のプランジャポンプ3は、定流量送液又は定圧送液するように制御し、第1のプランジャポンプ1について、第2のプランジャポンプに対する吐出圧力の比(P1/P2)が設定値(1/1.5〜1/10)となるように圧力制御してもよい。
【0039】
尚、第1及び第2のプランジャポンプのポンプヘッドをダブルにして脈流を少なくすることもできる。
定流量送液は、プランジャの1回の吐出容積と時間当たりの吐出回数と圧力による液体の圧縮率と逆止弁その他の漏れを計算して行うが、その方法は公知である。
【0040】
次に3つのプランジャポンプを直列に接続する場合について説明する。
図2は2つのプランジャポンプを直列に接続する場合(図1)の概略図である。この場合、1段目のプランジャポンプ1には、1段目のプランジャポンプ1の吐出圧力P1をシール可能な第1のプランジャシール20Aを1つ設ける。2段目のプランジャポンプ3には、1段目のプランジャポンプ1の吐出圧力P1をシール可能な第1のプランジャシール40Aと、2段目のプランジャポンプ3の吐出圧力P2と1段目のプランジャポンプ1の吐出圧力P1との差圧(P2−P1)をシール可能な第2のプランジャシール40Bとを2段に設ける。そして、1段目のプランジャポンプ1の吐出側を2段目のプランジャポンプ3の第1のプランジャシール40Aと第2のプランジャシール40Bとの間を通して2段目のプランジャポンプ3の吸入側に接続する。
【0041】
これに対し、図3が3つのプランジャポンプを直列に接続する場合の概略図である。この場合、1段目のプランジャポンプ1には、1段目のプランジャポンプ1の吐出圧力P1をシール可能な第1のプランジャシール20Aを1つ設ける。2段目のプランジャポンプ3には、1段目のプランジャポンプ1の吐出圧力P1をシール可能な第1のプランジャシール40Aと、2段目のプランジャポンプ3の吐出圧力P2と1段目のプランジャポンプ1の吐出圧力P1との差圧をシール可能な第2のプランジャシール40Bとを2段に設ける。
【0042】
3段目のプランジャポンプ5には、1段目のプランジャポンプ1の吐出圧力P1をシール可能な第1のプランジャシール60Aと、2段目のプランジャポンプ3の吐出圧力P2と1段目のプランジャポンプ1の吐出圧力P1との差圧(P2−P1)をシール可能な第2のプランジャシール60Bと、3段目のプランジャポンプ5の吐出圧力P3と2段目のプランジャポンプ3の吐出圧力P2との差圧(P3−P2)をシール可能な第3のプランジャシール60Cとを3段に設ける。
【0043】
そして、1段目のプランジャポンプ1の吐出側を2段目のプランジャポンプ3の第1のプランジャシール40Aと第2のプランジャシール40Bとの間及び3段目のプランジャポンプ5の第1のプランジャシール60Aと第2のプランジャシール60Bとの間を直列又は並列に通して2段目のプランジャポンプ3の吸入側に接続する。また、2段目のプランジャポンプ3の吐出側を3段目のプランジャポンプ5の第2のプランジャシール60Bと第3のプランジャシール60Cとの間を通して3段目のプランジャポンプ5の吸入側に接続する。
【0044】
更に多段にすることも可能であり、任意の複数のプランジャポンプを直列に接続する場合、各プランジャポンプに、シリンダとプランジャとの間をシールするプランジャシールを設けるが、2段目以降のn段目(n≧2)のプランジャポンプには、前記プランジャシールを、n個、シリンダの軸方向に間隔をあけて設ける。そして、2段目以降のn段目のプランジャポンプの、n個のプランジャシールの各間のn−1箇所の空隙に、ポンプ室から遠い順に、このプランジャポンプより前段のn−1個のプランジャポンプの吐出圧力を、1段目のプランジャポンプから順に、それぞれ作用させる。
【0045】
任意の複数のプランジャポンプを直列に接続する場合の制御については、各プランジャポンプの吐出側にそれぞれ圧力センサを設け、前段のプランジャポンプと後段のプランジャポンプとの吐出圧力の比が設定値となるように少なくとも一方のプランジャポンプを圧力制御する。
【0046】
より具体的には、2段目以降のプランジャポンプについて、前段のプランジャポンプに対する吐出圧力の比が設定値(例えば1.5〜10)となるように圧力制御し、1段目のプランジャポンプは、定流量制御、又は、最終段のプランジャポンプの吐出圧力が一定となるように定圧制御する。
【0047】
又は、最終段のプランジャポンプは、定流量制御、又は、最終段のプランジャポンプの吐出圧力が一定となるように定圧制御し、最終段より前段側のプランジャポンプについて、後段のプランジャポンプに対する吐出圧力の比が設定値(例えば1/1.5〜1/10)となるように圧力制御する。
【0048】
尚、以上の説明では、2段目以降のプランジャポンプのプランジャシール間に前段のプランジャポンプの吐出液体を通流させるようにしたが、必ずしも通流させる必要はなく、作用させるだけでもよい。
すなわち、2つのプランジャポンプを直列に接続する場合は、図4に示すように、1段目のプランジャポンプ1の吐出側を2段目のプランジャポンプ3の吸入側に直接接続する一方、1段目のプランジャポンプ1の吐出側からの分岐路201を、2段目のプランジャポンプ3のプランジャシール40A、40B間に接続するようにしてもよい。
また、3つのプランジャポンプを直列に接続する場合は、図5に示すように、1段目のプランジャポンプ1の吐出側を2段目のプランジャポンプ3の吸入側に直接接続し、2段目のプランジャポンプ3の吐出側を3段目のプランジャポンプ5の吸入側に直接接続する一方、1段目のプランジャポンプ3の吐出側からの分岐路201を、第2のプランジャポンプ3のプランジャシール40A、40B間、及び、第3のプランジャポンプ5のプランジャシール60A、60B間に、直列又は並列に接続し、第2のプランジャポンプ3の吐出側からの分岐路202を、第3のプランジャポンプ5のプランジャシール60B、60C間に接続するようにしてもよい。
【0049】
また、以上の説明では、プランジャシール1段に1個のシールとしたが、プランジャシール1段に複数個のシールを使用することもできる。
また、図示の実施形態はあくまで本発明を例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、負荷が変化しても流量を一定に保ちたいハイスループットHPLCのキャリア送液ポンプやそのカラム充填ポンプ、超高圧反応ポンプ、超精密レーザー加工用ポンプ、高圧分取ポンプその他定流量送液、定圧送液をしたい用途に使用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 第1のプランジャポンプ
2 圧力センサ
3 第2のプランジャポンプ
4 圧力センサ
11 ポンプヘッド
12 シリンダ
13 ケーシング
14 プランジャ
15 ポンプ室
16 吸入通路
17 吸入側逆止弁
18 吐出通路
19 吐出側逆止弁
20A プランジャシール
21 ボルト
22 軸受キャップ
31 ポンプヘッド
32 シリンダ
33 ケーシング
34 プランジャ
35 ポンプ室
36 吸入通路
37 吸入側逆止弁
38 吐出通路
39 吐出側逆止弁
40A、40B プランジャシール
41 ボルト
42 軸受キャップ
43 シールホルダ
44 パッキン
45 環状溝
46 入口側通路
47 出口側通路
48 入口側ポート
49 出口側ポート
101〜106 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプランジャポンプを直列に接続して吐出圧力を順次増大させ、各プランジャポンプにシリンダとプランジャとの間をシールするプランジャシールが備えられる、送液用ポンプ装置であって、
2段目以降のn段目のプランジャポンプには、前記プランジャシールが、n段、シリンダの軸方向に間隔をあけて備えられ、
2段目以降のn段目のプランジャポンプの、n段のプランジャシールの各間のn−1箇所の空隙には、ポンプ室から遠い順に、このプランジャポンプより前段のn−1段のプランジャポンプの吐出圧力を、1段目のプランジャポンプから順に、それぞれ作用させたことを特徴とする、送液用ポンプ装置。
【請求項2】
2つのプランジャポンプを直列に接続して吐出圧力を順次増大させる送液用ポンプ装置であって、
各プランジャポンプのシリンダとプランジャとの間をシールするプランジャシールとして、
1段目のプランジャポンプには、1段目のプランジャポンプの吐出圧力をシール可能な第1のプランジャシールを設け、
2段目のプランジャポンプには、1段目のプランジャポンプの吐出圧力をシール可能な第1のプランジャシールと、2段目のプランジャポンプの吐出圧力と1段目のプランジャポンプの吐出圧力との差圧をシール可能な第2のプランジャシールとを2段に設け、
1段目のプランジャポンプの吐出側を2段目のプランジャポンプの第1のプランジャシールと第2のプランジャシールとの間を通して2段目のプランジャポンプの吸入側に接続したことを特徴とする、送液用ポンプ装置。
【請求項3】
3つのプランジャポンプを直列に接続して吐出圧力を順次増大させる送液用ポンプ装置であって、
各プランジャポンプのシリンダとプランジャとの間をシールするプランジャシールとして、
1段目のプランジャポンプには、1段目のプランジャポンプの吐出圧力をシール可能な第1のプランジャシールを設け、
2段目のプランジャポンプには、1段目のプランジャポンプの吐出圧力をシール可能な第1のプランジャシールと、2段目のプランジャポンプの吐出圧力と1段目のプランジャポンプの吐出圧力との差圧をシール可能な第2のプランジャシールとを2段に設け、
3段目のプランジャポンプには、1段目のプランジャポンプの吐出圧力をシール可能な第1のプランジャシールと、2段目のプランジャポンプの吐出圧力と1段目のプランジャポンプの吐出圧力との差圧をシール可能な第2のプランジャシールと、3段目のプランジャポンプの吐出圧力と2段目のプランジャポンプの吐出圧力との差圧をシール可能な第3のプランジャシールとを3段に設け、
1段目のプランジャポンプの吐出側を2段目のプランジャポンプの第1のプランジャシールと第2のプランジャシールとの間及び3段目のプランジャポンプの第1のプランジャシールと第2のプランジャシールとの間を通して2段目のプランジャポンプの吸入側に接続し、
2段目のプランジャポンプの吐出側を3段目のプランジャポンプの第2のプランジャシールと第3のプランジャシールとの間を通して3段目のプランジャポンプの吸入側に接続したことを特徴とする、送液用ポンプ装置。
【請求項4】
各プランジャポンプの吐出側にそれぞれ圧力センサを設け、
前段のプランジャポンプと後段のプランジャポンプとの吐出圧力の比が設定値となるように少なくとも一方のプランジャポンプを圧力制御することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の送液用ポンプ装置。
【請求項5】
2段目以降のプランジャポンプについて、前段のプランジャポンプに対する吐出圧力の比が設定値となるように圧力制御し、
1段目のプランジャポンプは、定流量制御、又は、最終段のプランジャポンプの吐出圧力が一定となるように定圧制御することを特徴とする、請求項4記載の送液用ポンプ装置。
【請求項6】
最終段のプランジャポンプは、定流量制御、又は、最終段のプランジャポンプの吐出圧力が一定となるように定圧制御し、
最終段より前段側のプランジャポンプについて、後段のプランジャポンプに対する吐出圧力の比が設定値となるように圧力制御することを特徴とする、請求項4記載の送液用ポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−52434(P2012−52434A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193719(P2010−193719)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(598133506)株式会社 ユニフローズ (6)
【Fターム(参考)】