説明

送電制御装置、受電制御装置、無接点電力伝送システム、送電装置、受電装置および電子機器

【課題】無接接点電力伝送によって負荷のバッテリが満充電状態となった後の再充電を可能とすること、ならびに、その再充電を無理なく実現すること。
【解決手段】送電装置10は、負荷90のバッテリ94の満充電が検出されると、通常送電時よりも低い電力によるパワーセーブ送電を行い、負荷90内の充電制御装置(充電制御IC)92の動作を維持させ、充電制御装置92の充電管理機能による再充電を可能とする。再充電が開始されると受電装置40の負荷状態が重くなるため、送電装置10は、これを検出してパワーセーブ送電から通常送電に復帰させる。また、パワーセーブ送電中に受電装置40が取り去られたときは、送電装置10がこれを検出して、連続した電力伝送を停止し、無駄な電力消費が生じないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電制御装置、受電制御装置、無接点電力伝送システム、送電装置、受電装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁誘導を利用し、金属部分の接点がなくても電力伝送を可能にする無接点電力伝送(非接触電力伝送)が脚光を浴びている、この無接点電力伝送の適用例として、携帯電話機や家庭用機器(例えば電話機の子機)の充電などが提案されている。
【0003】
1次コイルと2次コイルを用いた非接触電力伝送装置は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0004】
また、特許文献2に記載される非接触電力伝送を利用した充電装置、ならびに特許文献3に記載される非接触電力伝送システムでは、受電側の装置が2次電池の満充電を検出し、充電完了を送電装置に通知し、送電装置からの電力伝送を完全に停止させている。
【0005】
また、特許文献4に記載される非接触電力伝送システムでは、給電中に負荷に異常が生じたとき(開放状態あるいは低負荷状態となったとき)に、これを検出して、送電装置の発振回路の発振周波数を低下させて、発熱や部品の破壊を防止している。
【特許文献1】特開2006−60909号公報
【特許文献2】特開平6−339232号公報
【特許文献3】特開平11−146569号公報
【特許文献4】特開2005−6459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
2次電池の充電が完了した後も、その2次電池が充電器にセットされたままである場合には、2次電池の放電によって電池電圧が徐々に低下する。したがって、必要に応じて再充電を行うのが望ましい。
【0007】
しかし、特許文献2および特許文献3に記載される技術のように、受電装置側の電池の充電が完了した後、送電装置からの電力供給を完全に停止してしまうと、充電終了後の2次電池に対して再充電を行うことができない。
【0008】
特許文献4に記載される技術は、給電中の負荷の異常に起因する発熱や部品破壊を防止するための技術であり、再充電に関しては、何ら考慮されていない。
【0009】
本発明は、このような考察に基づいてなされたものであり、その目的は、無接点電力伝送によって負荷のバッテリが満充電状態となった後の再充電を可能とすること、ならびに、その再充電を無理なく実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の送電制御装置は、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記送電装置に設けられる送電制御装置であって、前記送電装置を制御する送電側制御回路を含み、前記送電側制御回路は、前記負荷が有するバッテリが満充電状態になったことが検出された場合に、前記受電装置に対する通常送電を停止して、前記通常送電時の電力よりも低い電力によるパワーセーブ送電を行う。
【0011】
バッテリの満充電後に、通常送電時の電力よりも低い電力による連続した電力伝送(すなわち、パワーセーブ送電)を実行し、満充電後も負荷に対して電力(電源電圧)を供給する。これによって、バッテリが満充電状態となった後も、負荷が本来、有している充電管理機能が失われない。したがって、満充電後の放電によってバッテリの再充電が必要となったときには、負荷の充電管理機能が働いて自動的に再充電が開始される。したがって、バッテリの再充電を無理なく実現することができる。なお、パワーセーブ送電は、負荷が本来的に有している、バッテリの充電管理機能を損なわずに維持できる程度のごく弱い電力伝送であり、消費電力は十分に抑制されているため、消費電力に関して特別な問題は生じない。パワーセーブ送電時の伝送周波数は、例えば、通常送電時の周波数よりも、共振周波数(共振ピーク)からの距離がより遠い位置の周波数に設定される。また、伝送周波数は同じでも、共振回路の共振特性を変化させて共振周波数(共振ピーク)をずらし、共振周波数(共振ピーク)と伝送周波数との周波数差を増大させることによっても伝送電力を減少させることができる。
【0012】
(2)また、本発明の送電制御装置の一態様では、前記受電装置の負荷は、前記バッテリ(94)の充電を管理する充電制御装置を有し、前記送電装置は、前記パワーセーブ送電時において、前記バッテリが満充電状態となった後も、前記充電制御装置が動作状態を維持するように、電力伝送の制御を行う。
【0013】
負荷が、バッテリの充電を管理する充電制御装置を有しており、その充電制御装置は、パワーセーブ送電によって、バッテリの満充電後も動作状態を維持することができる。したがって、特別な構成を設けることなく、無理なくバッテリの再充電が可能となる。充電制御装置は、例えば充電制御ICであり、負荷(例えば、電池パック等)に内蔵され、あるいは、スマートバッテリのように、バッテリ内に組み込まれる場合もある。いずれの場合も、負荷が充電制御装置(充電制御IC)を有している点に変わりはない。
【0014】
(3)また、本発明の送電制御装置の態様では、前記送電側制御回路は、前記受電装置からパワーセーブ送電を要求するセーブコマンドを受信すると、通常送電からパワーセーブ送電に切換える。
【0015】
送電制御装置は、受電装置の負荷のバッテリが満充電状態であるか否かはわからないため、受電装置において満充電を検出して、パワーセーブ送電を要求するセーブコマンド(バッテリの満充電に関する情報)を送信し、送電制御装置は、そのセーブコマンドを受信した場合に、通常送電をパワーセーブ送電に切換えるようにしたものである。
【0016】
(4)また、本発明の送電制御装置の他の態様では、送電側制御回路は、パワーセーブ送電中に、前記送電装置からみた前記受電装置の負荷状態を監視し、前記負荷が有する前記バッテリに対する再充電が開始されたことによって、前記送電装置からみた前記受電装置の負荷状態が低負荷状態から高負荷状態に変化したことが検出されると、パワーセーブ送電を通常送電に切換える。
【0017】
パワーセーブ送電中において、負荷が有する充電管理機能によってバッテリの再充電が開始されたときは、その再充電を継続させるために、送電装置から受電装置に十分な電力伝送を行う必要がある。そこで、送電制御装置は、送電装置からみた受電装置の負荷状態を監視し、再充電の開始に起因して受電装置が高負荷状態となると、その負荷状態の変化を検出して、直ちにパワーセーブ送電を通常送電に切換え、再充電に必要な電力を受電装置に伝送する。したがって、再充電が開始されると迅速に、受電装置への十分な電力供給がなされるため、受電装置は再充電を継続することができる。受電装置における負荷状態の変化は、例えば、1次コイルの誘起電圧の振幅の変化を監視することによって検出可能である。すなわち、受電装置の負荷が低負荷状態(パワーセーブ状態)から高負荷状態(再充電状態)に変化すると、1次コイルの誘起電圧の振幅が増大するため、その振幅の変化を、例えば、閾値を用いて判定することによって、送電装置は、負荷状態の変化を確実に検出することができる。なお、負荷状態の変化を検出する手法は、上述の手法に限定されるものではなく、他の検出手法を広く利用することができる。
【0018】
(5)また、本発明の送電制御装置の他の態様では、前記送電側制御回路は、パワーセーブ送電中に、前記送電装置からみた前記受電装置の負荷状態を所定間隔で間欠的に監視する。
【0019】
パワーセーブ送電中における、受電装置の負荷状態を常時、監視してもよいのはもちろんであるが、消費電力の削減が望まれる場合には、その監視を間欠的に行うことが有効である。監視を行う間隔を短く設定すれば、受電装置における負荷状態の変化をほぼリアルタイムで検出することができ、検出遅延の問題は生じない。
【0020】
(6)また、本発明の送電制御装置の他の態様では、前記送電側制御回路は、パワーセーブ送電中に、所定周期で、前記パワーセーブ送電を通常送電に強制的に切換え、その切換えに対する前記受電装置からの応答を監視し、前記受電装置からの、パワーセーブ送電を要求するセーブコマンドを受信した場合には、通常送電を再度パワーセーブ送電に切換え、前記受電装置からの前記セーブコマンドを受信できない場合には、前記受電装置が取り去られたと判断し、連続的な電力伝送を停止する。
【0021】
パワーセーブモード送電は、伝送電力自体は弱いものの連続的になされるため、仮に、パワーセーブモード中に、受電装置(携帯電話機等)が取り去られた場合には、必要のない無駄な電力を常時、伝送することになり、省電力化の要請に反することになる。そこで、本態様では、パワーセーブモード状態の継続中に、送電装置が、周期的に、受電装置が存在するか否か(取り去られているか否か)を確認する動作を実行する。すなわち、送電制御装置は、パワーセーブモード実行中に、定期的かつ一時的にパワーセーブ送電を停止して、通常送電に強制復帰させる。受電装置が取り去られていない場合には、電力伝送の周波数の変化を検出して何らかの応答(例えば、パワーセーブ送電に戻ることを要求するセーブコマンド返信する)があるはずであり、送電制御装置は、その応答があれば、通常送電を再び、パワーセーブ送電に戻す。一方、応答がなければ、受電装置は取り去られたと判断して、連続的な電力の送電を停止して電力の無駄な消費を最小限化する。具体的には、応答がないときは、例えば、受電装置が装着されたことを検出するために間欠的に電力を送電する初期の送電モードに戻せばよい(但し、一例であり、これに限定されるものではない)。パワーセーブ送電中の取り去り検出を定期的に行うことによって、受電装置が無いにもかかわらず、連続的に電力を伝送することが確実に防止され、無駄な電力消費が抑制される。また、パワーセーブ送電を通常送電に切換えて受信装置からの応答を待つという手法を採用することによって、受電装置の取り去り(リーブ)検出を、特別なハードウエア構成を用いることなく、ソフトウエアベースで簡単に実現することができる。
【0022】
(7)また、本発明の受電制御装置は、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記受電装置に設けられる受電制御装置であって、前記受電装置を制御する受電側制御回路を含み、前記受電側制御回路は、前記負荷が有する前記バッテリが満充電状態の場合に、前記満充電状態に関する情報を前記送電装置に対して送信する制御を行う。
【0023】
送電装置は、バッテリの満充電の判定はできないため、バッテリの満充電状態に関する情報は、受電装置側から送電装置に送る必要がある。そこで、負荷のバッテリの満充電状態の検出を受電制御装置が行い、送電装置に対して、「バッテリの満充電状態に関する情報」を送信するようにしたものである。ここで、「バッテリの満充電に関する情報」とは、例えば、満充電であることを示す情報、電池残量を示す情報であり、上述のパワーセーブ送電を要求するセーブコマンドも、その情報に含まれる。これによって、送電装置は、通常送電をパワーセーブ送電に切換えることができる。
【0024】
(8)また、本発明の受電制御装置の一態様では、前記受電側制御回路は、前記バッテリの満充電状態が検出され、かつ、前記送電装置からの電力伝送の周波数が、パワーセーブ送電の周波数以外の周波数であるときに、パワーセーブ送電を要求するセーブコマンドを、前記送電装置に対して送信する制御を行う。
【0025】
セーブコマンドの具体的な送信条件を明らかとしたものである。すなわち、セーブコマンドの送電装置への送信は、「バッテリが満充電状態であり(第1の条件)」、かつ、「送電装置からの電力伝送の周波数がパワーセーブ送電以外の周波数である(第2の条件)」ときに行われる。第1の条件は、セーブコマンドが、満充電を検出したことによるパワーセーブ送電の要求であることから当然の条件である。また、第2の条件は、主として、パワーセーブ送電中に、取り去り検出のために、送電装置からの電力伝送の周波数が定期的に変更されたときに、これに応答して送電装置に対して、セーブコマンドを再送信できるようにするために必要となる条件である。上述のとおり、伝送周波数の意図的な変更が検出されたときには、受電制御装置は、取り去られていないことを送電装置に伝える(応答する)必要がある。そのような応答として、セーブコマンドの送信が行われる。すなわち、受電制御装置は、「通常送電によって満充電時になったとき(第1および第2の条件を満たす第1の態様)」、ならびに、「パワーセーブ送電が開始された後に、バッテリは満充電状態ではあるが、伝送周波数がパワーセーブ送電の周波数以外の周波数に切り換わったとき(第1および第2の条件を満たす第2の態様)に、セーブコマンドが送信されることになる。
【0026】
(9)また、本発明の受電制御装置の他の態様では、前記バッテリが満充電状態になったか否かを検出する満充電検出回路と、前記送電装置の電力伝送の周波数を検出する周波数検出回路と、をさらに含み、前記満充電検出回路は、前記バッテリの充電状態を示す発光装置の点灯状態に基づいて前記バッテリの満充電状態を検出し、前記受電側制御回路は、前記周波数検出回路の検出結果に基づいて、前記送電装置からの電力伝送の周波数がパワーセーブ送電の周波数以外の周波数であるか否かを判定する。
【0027】
バッテリの満充電状態の検出のために満充電検出回路が設けられること、ならびに、電力伝送の周波数を検出するために周波数検出回路が設けられること、を明らかとしたものである。満充電検出回路は、負荷に付属する発光装置(LED等)の点灯状態からバッテリの満充電状態を検出する。例えば、5秒以上の連続した消灯が確認されたときに、バッテリは満充電状態になったと判定する(一例であり、これに限定されるものではない)。発光装置(LED等)という既存の要素を活用して満充電の判定を行うため、満充電状態か否かのチェックのための特別な回路を設ける必要がなく、この点は回路の簡素化に寄与する。
【0028】
(10)また、本発明の受電制御装置の他の態様では、前記満充電検出回路は、前記発光装置が所定期間にわたって連続的に消灯状態であることが確認された場合に、前記バッテリが満充電状態であると判定する。
【0029】
満充電検出回路は、例えば、5秒以上の連続した消灯が確認されたときに、バッテリは満充電状態になったと判定する(一例であり、これに限定されるものではない)。発光装置の点灯状態を所定期間にわたって慎重に見極めてバッテリの満充電を判定するため、バッテリが満充電でないにもかかわらず、不用意にパワーセーブ送電に切り換わることが防止される。
【0030】
(11)また、本発明の無接点電力伝送システムは、送電装置と受電装置を含み、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて前記送電装置から前記受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムであって、前記送電装置は、前記送電装置を制御する送電側制御回路を含み、前記受電装置は、前記受電装置を制御する受電側制御回路と、前記バッテリが満充電状態になったか否かを検出する満充電検出回路と、前記送電装置の電力伝送の周波数を検出する周波数検出回路と、を含み、前記受電装置の負荷は、バッテリと、前記バッテリの充電を管理し、前記バッテリが満充電後に再充電が必要な状態となったことを検出して、前記バッテリの再充電を行う充電制御装置と、を含み、前記受電側制御回路は、前記負荷が有する前記バッテリの満充電状態が前記満充電検出回路によって検出され、かつ、前記送電装置からの電力伝送の周波数が、パワーセーブ送電の周波数以外の周波数であることが前記周波数検出回路によって検出されたときに、パワーセーブ送電を要求するセーブコマンドを、前記送電装置に対して送信する制御を行い、前記送電側制御回路は、通常送電中に、前記受電装置から前記パワーセーブコマンドを受信した場合に、通常送電をパワーセーブ送電に切換え、前記パワーセーブ送電中に、前記送電装置からみた前記受電装置の負荷状態を監視して、前記負荷が有する前記バッテリに対する再充電が開始されたことによって、前記送電装置からみた前記受電装置の負荷状態が低負荷状態から高負荷状態に変化したことが検出されると、パワーセーブ送電を通常送電に切換え、パワーセーブ送電中に、所定周期で、前記パワーセーブ送電を通常送電に強制的に切換え、その切換えに対する前記受電装置からの応答を監視し、前記受電装置からの、パワーセーブ送電を要求するセーブコマンドを受信した場合には、通常送電を再度パワーセーブ送電に切換え、前記受電装置からの、前記セーブコマンドを受信できない場合には、前記受電装置が取り去られたと判断し、連続的な電力伝送を停止する制御を行う。
【0031】
パワーセーブ送電によって、負荷が有するバッテリの充電管理機能を活用した、無理のないバッテリの再充電が可能となり、また、再充電に伴う負荷変動が自動的に検出されて必要な電力が速やかに供給されるため、再充電が滞ることがなく、また、パワーセーブ送電中の取り去り検出によって、無駄な電力の伝送も自動的に停止されることから、消費電力の抑制も達成される。したがって、安心して使用できる、実用に耐える無接点電力伝送システムが実現される。また、負荷のもつ充電管理機能を活用し、必要に応じて発光装置の点灯制御による電池残量の表示機能をそのまま利用して満充電を検出することによって、既存の要素をそのまま利用できる、使い勝手のよいシステム構築が可能である。また、負荷に搭載される充電制御装置は、無接点電力伝送であることや、通常送電あるいはパワーセーブ送電であることをまったく意識せずに、ACアダプタ利用時と同様のバッテリの充電管理を自由に行うだけでよい。したがって、本システムは、受電装置側の負荷(電池パック等)に仕様変更を強いることがなく、この点も、本システムの普及に貢献する。
【0032】
(12)また、本発明の無接点電力伝送システムの一態様では、前記送電制御装置は、前記送電装置からみた前記受電装置の負荷状態の監視を所定間隔で間欠的に行い、かつ、前記負荷状態を監視する間隔は、前記パワーセーブ送電中において周期的に前記パワーセーブ送電から通常送電への強制的な切換えを行うときの間隔よりも短い。
【0033】
送電制御装置における、再充電に伴う負荷状態の変化の監視を間欠的に行って消費電力を抑制すると共に、取り去り検出のための周期的かつ強制的な周波数変更の間隔は、上述の監視の間隔よりも長く設定し、この部分でも消費電力を抑制するものである。すなわち、負荷監視は、再充電開始に伴う電力供給を迅速に行うという要請から細かくチェックする必要があるのに対し、取り去り検出の場合は、その検出が少々、遅延したからといって実害はない。そこで、消費電力の抑制のために双方とも間欠的に行うこととするが、負荷監視は細かく行い、取り去り検出のための周波数変更は粗く行い、これによって、消費電力の抑制と検出遅延とのバランスを最適化するものである。
【0034】
(13)また、本発明の送電装置は、本発明の送電制御装置と、交流電圧を生成して前記1次コイルに供給する送電部と、を含む。
【0035】
これによって、適切なパワーセーブ送電が可能な送電装置が実現される。
【0036】
(14)また、本発明の受電装置は、本発明の受電制御装置と、前記2次コイルの誘起電圧を直流電圧に変換する受電部と、を含む。
【0037】
これによって、適切なパワーセーブ受電が可能な受電装置が実現される。
【0038】
(15)また、本発明の電子機器は、本発明の送電装置を含む。
【0039】
これによって、無接点電力伝送に対応した携帯端末等の電子機器におけるバッテリの、充電後における再充電を、消費電力を抑制しつつ無理なく行うことが可能となり、電子機器の高機能化ならびに使い勝手の向上を図ることができる。
【0040】
(16)また、本発明の電子機器は、本発明の受電装置と、前記受電装置により電力が供給される負荷と、を含む。
【0041】
これによって、無接点電力伝送に対応した充電器(クレードル等)の電子機器にパワーセーブ送電機能を設けることができ、受電装置のバッテリの、充電後における再充電を、消費電力を抑制しつつ無理なく行うことが可能となり、電子機器の高機能化ならびに使い勝手の向上を図ることができる。
【0042】
このように、本発明によれば、無接点電力伝送によって負荷のバッテリが満充電状態となった後の再充電を可能とすることができ、また、その再充電を無理なく実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成のすべてが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0044】
(第1の実施形態)
(電子機器の説明)
【0045】
図1は、無接点電力伝送を利用した電子機器の例を示す図であり(A)は、送電装置としての充電器(クレードル)上に、受電装置としての携帯電話機が載置された状態を示す斜視図であり、(B)は、送電装置から受電装置に電力を伝送するための原理を説明するための電子機器の要部の断面図である。
【0046】
図1(A)に示されるように、電子機器の1つである充電器500(クレードル)は、送電装置10を有する。また電子機器の1つである携帯電話機510は、受電装置40を有する。また、携帯電話機510は、LCD(液晶ディスプレイ)などの表示部512と、ボタン等で構成される操作部514と、マイク516(音入力部)と、スピーカ518(音出力部)と、アンテナ520と、を有する。
【0047】
充電器500には、ACアダプタ502を介して電力が供給され、この電力が、無接点電力伝送により送電装置10から受電装置40に送電される。これにより、携帯電話機510のバッテリを充電したり、携帯電話機510内のデバイスを動作させたりすることができる。
【0048】
なお、本実施形態が適用される電子機器は、携帯電話機510に限定されない。例えば腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピュータ、ハンディターミナル、携帯情報端末、あるいは電動自転車などの種々の電子機器に適用できる。
【0049】
図1(B)に模式的に示すように、送電装置10から受電装置40への電力伝送は、送電装置10側に設けられた1次コイルL1(送電コイル)と、受電装置40側に設けられた2次コイルL2(受電コイル)を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することで実現される。これにより非接触での電力伝送が可能になる。
【0050】
(送電装置、送電制御装置、受電装置、受電制御装置の具体的な構成例)
図2は、本発明の送電装置、送電制御装置、受電装置、受電制御装置の具体的な構成の一例を示す図である。
【0051】
図1(A)の充電器500などの送電側の電子機器は、少なくとも図2の送電装置10を含む。また、携帯電話機510などの受電側の電子機器は、少なくとも受電装置40と負荷90(本負荷)を含む。そして、図2の構成により、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し、受電装置40の電圧出力ノードNB7から負荷90に対して電力(電圧VOUT)を供給する無接点電力伝送(非接触電力伝送)システムが実現される。
【0052】
送電装置10(送電モジュール、1次モジュール)は、1次コイルL1、送電部12、電圧検出回路14、表示部16、送電制御装置20を含むことができる。なお、送電装置10や送電制御装置20は、図2の構成に限定されず、その構成要素の一部(例えば表示部、電圧検出回路)を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0053】
送電部12は、電力伝送時には所定周波数の交流電圧を生成し、データ転送時にはデータに応じて周波数が異なる交流電圧を生成して、1次コイルL1に供給する。図3(A)および(B)は、1次側から2次側または2次側から1次側への情報の伝送の原理を説明するための図である。
【0054】
具体的には、図3(A)に示すように、例えばデータ「1」を受電装置40に対して送信する場合には、周波数f1の交流電圧を生成し、データ「0」を送信する場合には、周波数f2の交流電圧を生成する。
【0055】
この送電部12は、1次コイルL1の一端を駆動する第1の送電ドライバと、1次コイルL1の他端を駆動する第2の送電ドライバと、1次コイルL1と共に共振回路を構成する少なくとも一つのコンデンサを含むことができる。
【0056】
そして、送電部12が含む第1、第2の送電ドライバの各々は、例えば、パワーMOSトランジスタにより構成されるインバータ回路(あるいはバッファ回路)であり、送電制御装置20のドライバ制御回路26により制御される。
【0057】
1次コイルL1(送電側コイル)は、2次コイルL2(受電側コイル)と電磁結合して電力伝送用トランスを形成する。例えば、電力伝送が必要なときには、図1(A)、図1(B)に示すように、充電器500の上に携帯電話機510を置き、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通るような状態にする。
【0058】
一方、電力伝送が不要なときには、充電器500と携帯電話機510を物理的に離して、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通らないような状態にする。
【0059】
電圧検出回路14は1次コイルL1の誘起電圧を検出する回路であり、例えば、抵抗RA1、RA2や、RA1とRA2の接続ノードNA3とGND(広義には低電位側電源)との間に設けられるダイオードDA1を含む。具体的には、1次コイルL1の誘起電圧を抵抗RA1、RA2で分圧することで得られた信号PHINが、送電制御装置20の波形検出回路28に入力される。
【0060】
表示部16は、無接点電力伝送システムの各種状態(電力伝送中、ID認証等)を、色や画像などを用いて表示するものであり、例えばLEDやLCDなどにより実現される。
【0061】
送電制御装置20は、送電装置10の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この送電制御装置20は、送電側制御回路22、発振回路24、ドライバ制御回路26、波形検出回路28を含むことができる。
【0062】
送電側制御回路22は送電装置10や送電制御装置20の制御を行うものであり、例えば、ゲートアレイやマイクロコンピュータなどにより実現できる。具体的には、送電側制御回路22は、電力伝送、負荷検出、周波数変調、異物検出、あるいは着脱検出などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
【0063】
発振回路24は、例えば、水晶発振回路により構成され、1次側のクロックを生成する。ドライバ制御回路26は、発振回路24で生成されたクロックや制御回路22からの周波数設定信号などに基づいて、所望の周波数の制御信号を生成し、送電部12の送電ドライバDR1、DR2に出力して、DR1、DR2を制御する。
【0064】
波形検出回路28は、1次コイルL1の一端の誘起電圧に相当する信号PHINの波形をモニタし、負荷検出、異物検出等を行う。例えば、受電装置40の負荷変調部46が、送電装置10に対してデータを送信するための負荷変調を行うと、1次コイルL1の誘起電圧の信号波形が図3(B)のように変化する。
【0065】
具体的には、データ「0」を送信するために負荷変調部46が負荷を低くすると、信号波形の振幅(ピーク電圧)が小さくなり、データ「1」を送信するために負荷を高くすると、信号波形の振幅が大きくなる。
【0066】
従って、波形検出回路28は、誘起電圧の信号波形のピークホールド処理などを行って、ピーク電圧がしきい値電圧を超えたか否かを判断することで、受電装置40からのデータが「0」なのか「1」なのかを判断できる。なお波形検出の手法は図3(A)、図3(B)の手法に限定されない。例えば、受電側の負荷が高くなったか低くなったかを、ピーク電圧以外の物理量を用いて判断してもよい。
【0067】
受電装置40(受電モジュール、2次モジュール)は、2次コイルL2、受電部42、負荷変調部46、給電制御部48、受電制御装置50を含むことができる。なお、受電装置40や受電制御装置50は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。
【0068】
受電部42は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部42が有する整流回路43により行われる。この整流回路43は、ダイオードDB1〜DB4を含む。ダイオードDB1は、2次コイルL2の一端のノードNB1と直流電圧VDCの生成ノードNB3との間に設けられ、DB2は、ノードNB3と2次コイルL2の他端のノードNB2との間に設けられ、DB3は、ノードNB2とVSSのノードNB4との間に設けられ、DB4は、ノードNB4とNB1との間に設けられる。
【0069】
受電部42の抵抗RB1、RB2はノードNB1とNB4との間に設けられる。そしてノードNB1、NB4間の電圧を抵抗RB1、RB2により分圧することで得られた信号CCMPIが、受電制御装置50の周波数検出回路60に入力される。
【0070】
受電部42のコンデンサCB1及び抵抗RB4、RB5は、直流電圧VDCのノードNB3とVSSのノードNB4との間に設けられる。そしてノードNB3、NB4間の電圧を抵抗RB4、RB5により分圧することで得られた信号ADINが、受電制御装置50の位置検出回路56に入力される。
【0071】
負荷変調部46は負荷変調処理を行う。具体的には受電装置40から送電装置10に所望のデータを送信する場合に、送信データに応じて負荷変調部46(2次側)での負荷を可変に変化させて、図3(B)に示すように1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。
【0072】
このために負荷変調部46は、ノードNB3、NB4の間に直列に設けられた抵抗RB3、トランジスタTB3(N型のCMOSトランジスタ)を含む。このトランジスタTB3は受電制御装置50の制御回路52からの信号P3Qによりオン・オフ制御される。そしてトランジスタTB3をオン・オフ制御して負荷変調を行う際には、給電制御部48のトランジスタTB1、TB2はオフにされ、負荷90が受電装置40に電気的に接続されない状態になる。
【0073】
例えば、図3(B)のように、データ「0」を送信するために2次側を低負荷(インピーダンス大)にする場合には、信号P3QがLレベルになってトランジスタTB3がオフになる。これにより、負荷変調部46の負荷はほぼ無限大(無負荷)になる。一方、データ「1」を送信するために2次側を高負荷(インピーダンス小)にする場合には、信号P3QがHレベルになってトランジスタTB3がオンになる。これにより、負荷変調部46の負荷は、抵抗RB3(高負荷)になる。
【0074】
給電制御部48は負荷90への電力の給電を制御する。レギュレータ49は、整流回路43での変換で得られた直流電圧VDCの電圧レベルを調整して、電源電圧VD5(例えば5V)を生成する。受電制御装置50は、例えば、この電源電圧VD5が供給されて動作する。
【0075】
トランジスタTB2(P型のCMOSトランジスタ)は、電源電圧VD5の生成ノードNB5(レギュレター49の出力ノード)とトランジスタTB1(ノードNB6)との間に設けられ、受電制御装置50の制御回路52からの信号P1Qにより制御される。
【0076】
具体的には、トランジスタTB2は、ID認証が完了(確立)して通常の電力伝送を行う場合にはオンになり、負荷変調の場合等にはオフになる。なお、電源電圧生成ノードNB5とトランジスタTB2のゲートのノードNB8との間には、プルアップ抵抗RU2が設けられる。
【0077】
トランジスタTB1(P型のCMOSトランジスタ)は、トランジスタTB2(ノードNB6)とVOUTの電圧出力ノードNB7との間に設けられ、出力保証回路54からの信号P4Qにより制御される。具体的には、ID認証が完了して通常の電力伝送を行う場合にはオンになる。一方、ACアダプタの接続が検出された場合や、電源電圧VD5が受電制御装置50(制御回路52)の動作下限電圧よりも小さい場合等にはオフになる。なお、電圧出力ノードNB7とトランジスタTB1のゲートのノードNB9との間にはプルアップ抵抗RU1が設けられる。
【0078】
受電制御装置50は、受電装置40の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)などにより実現できる。この受電制御装置50は、2次コイルL2の誘起電圧から生成される電源電圧VD5により動作することができる。また、受電制御装置50は、受電側制御回路52、出力保証回路54、位置検出回路56、発振回路58、周波数検出回路60、満充電検出回路62、再充電監視回路64を含むことができる。
【0079】
受電側制御回路52は、受電装置40や受電制御装置50の制御を行うものであり、例えば、ゲートアレイやマイクロコンピュータなどにより実現できる。具体的には、制御回路52は、ID認証、位置検出、周波数検出、負荷変調、満充電検出、あるいは再充電監視などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
【0080】
出力保証回路54は、低電圧時(0V時)の受電装置40の出力を保証する回路である。すなわち、トランジスタTB1を制御し、ACアダプタの接続が検出される場合や、電源電圧VD5が動作下限電圧よりも小さい場合に、トランジスタTB1をオフにする設定を行い、電圧出力ノードNB7から受電装置40側への電流の逆流を防止する。
【0081】
位置検出回路56は、2次コイルL2の誘起電圧の波形に相当する信号ADINの波形を監視して、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正であるかを判断する。具体的には、信号ADINをコンパレータで2値に変換して、位置関係が適正であるか否かを判断する。
【0082】
発振回路58は、例えば、CR発振回路により構成され、2次側のクロックを生成する。周波数検出回路60は、信号CCMPIの周波数(f1、f2)を検出して、図3(A)に示すように、送電装置10からの送信データが「1」なのか「0」なのかを判断する。
【0083】
満充電検出回路62(充電検出回路)は、負荷90のバッテリ94が、満充電状態(充電完了)になったか否かを検出する回路である。
【0084】
具体的には、満充電検出回路62は、例えば、充電状態の表示に使用される充電状態のインジケータとしての発光装置(LEDR)のオン・オフを検出することで、満充電状態を検出する。すなわち、所定時間(例えば5秒)連続でLEDRが消灯した場合に、バッテリ(2次電池)94が満充電状態(充電完了)であると判断する。
【0085】
負荷90は、バッテリ(2次電池)94の充電制御等を行う充電制御装置(充電制御IC)92を含む。この充電制御装置92(充電制御IC)は、例えば、電池パック内に設けられる。また、スマートバッテリのように、バッテリ(2次電池)94自体に充電制御装置92を組み込んでもよい。
【0086】
充電制御装置(充電制御IC)92は、充電管理機能を有する。具体的には、例えば、バッテリ(2次電池)94の電池残量を正確に検出する機能と、過充電防止機能(満充電になると、給電経路に介在するスイッチをオフして給電を止める機能)と、再充電機能(満充電後に、バッテリの電池電圧が低下して所定の閾値よりも下がると、給電経路に介在するスイッチをオンして再充電を開始する機能)と、を有する。
【0087】
充電制御装置(充電制御IC)92は、バッテリ94の適正な充電管理ならびにバッテリ94の安全な取り扱いを可能とするという重要な役割を果たすことから、ほとんどの充電可能な負荷(電池パック等)には、この充電制御装置(充電制御IC)92の機能(上述の残量検出、過充電防止、再充電管理の各機能)が付与されている。
【0088】
また、負荷90は、充電インジケータとしての発光ダイオード(LEDR)を有しており、バッテリ94に充電電圧(Vout)が供給されるときには、その充電電圧(Vout)を電源として発光装置(発光ダイオード:LEDR)が発光する。発光装置(LEDR)の発光によって充電中であることを表示する手法は、ほとんどの充電器にて採用されており、現実に広く利用されている手法といえる。
【0089】
(パワーセーブモードの概要)
(パワーセーブモードの基本機能)
本発明では、バッテリ94の満充電後に、通常の送電時の電力よりも低い電力による連続送電を実行し、満充電後も充電制御装置(充電制御IC)92に対して電力(電源電圧)を供給して、充電制御装置(充電制御IC)92の動作状態を維持させ、これによって再充電を可能とする。伝送電力を低下させる方法としては、伝送周波数(具体的には送電部の駆動クロックの周波数)を変化させる方法がある。また、伝送周波数は、送電時と同じ周波数に設定すると共に、インダクタンス可変のコイルまたは容量値可変のコンデンサを共振回路の構成要素とし、インダクタンス値や容量値を変化させることによって、共振回路の共振特性を変化させ、共振周波数(共振ピーク)をずらすことによっても伝送電力を低下させることができる。すなわち、共振回路の電力は、共振ピークにて最大となり、共振ピークから離れるほど電力値は低くなる。したがって、共振特性をずらして、伝送周波数と共振ピークとの間の距離(すなわち周波数差)を増大させれば、通常送電時と同じ周波数であっても、伝送電力を減少させ、これによってパワーセーブ送電を実現することができる。伝送周波数を変化させずに伝送電力を低下させてパワーセーブ送電を実現すると、伝送周波数の変更に伴う不要輻射ノイズの心配がなくなるという利点がある。
【0090】
このように、満充電後において、充電制御装置(充電制御IC)92を動作状態に維持することができる程度の弱い電力を、送電装置から受電装置に連続的に伝送する電力伝送モードを、「パワーセーブモード」と称し、パワーセーブモードにおける送電を「パワーセーブ送電」という。なお、充電制御装置(充電制御IC)92は、負荷(電池パック等)に内蔵されていてもよく、スマートバッテリのように、バッテリ自体に充電制御装置が組み込まれていてもよい。いずれの場合も、負荷が充電制御装置92を有している(充電制御装置による充電管理機能を有している)という点で、変わりはない。
【0091】
「パワーセーブモード」は、主として、無駄な電力伝送を抑制して電力消費を抑制(パワーセーブ)しつつ、バッテリの満充電後の再充電を無理なく可能とするためのモードである。
【0092】
すなわち、図1(A)のように、充電器(クレードル)500の上に携帯電話機510を置き、送電装置10から受電装置40に電力を送電して、バッテリ94(2次電池)を充電すると、やがてバッテリ94は満充電状態になり、これに伴って充電は停止される。しかし、その後もバッテリ94が充電器500上にセットされていると、時間経過と共に、
バッテリ94のバッテリ電圧(電池電圧)は徐々に低下し、やがて再充電が必要な状態になる。そして、このようにバッテリ94が再充電必要状態になった場合には、送電装置10から受電装置40に電力を供給し、バッテリ94を再充電することが望ましい。
【0093】
しかしながら、バッテリ94が再充電必要状態になったか否かを、充電制御装置92が検出し、再充電を開始するためには、満充電後も充電制御装置92に対して電力(電源電圧)を供給して、充電制御装置92を動作させておく必要がある。すなわち、充電制御装置92にリセットがかからないように、満充電後も送電装置10から受電装置40に電力を供給し続けなければならない。
【0094】
つまり、上述の特許文献2,3に記載の技術のように、送電装置からの電力伝送を完全に停止したのでは、充電制御措置92の再充電機能がオフしてしまうために、再充電は不可能になってしまう。
【0095】
逆にいえば、充電制御装置(充電制御IC)92を動作状態に維持する(スマートバッテリの場合には、充電制御装置92がもつ機能をオン状態に維持できる)程度の電源電圧(例えば5V程度)を、満充電後も、常時、送電装置から伝送すれば、充電制御装置(充電制御IC)92は、電池残量の監視、再充電の制御、過充電保護といった基本的な動作を充電時と同じように実施することができ、したがって、バッテリ94の再充電を無理なく実現できるということである。
【0096】
このような考察に基づいて、本発明では、満充電後においても、パワーセーブモードによる弱い電力伝送を継続する。これによって、満充電後においても、何ら特別な構成を付加することなく、無理なく、再充電の要否判定および再充電の開始を実現することができる。
【0097】
(パワーセーブモードにおいて使用される周波数)
図4は、誘導コイルによる共振特性および使用周波数の用途を示す図である。図1(A)のように、充電器(クレードル)500上に携帯電話機510がセットされている状態(送電装置10からみて負荷が有る状態)における、1次コイルL1と2次コイルL2の共振特性は、例えば、図4のように、左右対称の、やや幅広の山状の特性を示す。なお、図4の横軸は周波数軸であり、縦軸は共振ピーク値を示す軸である。
【0098】
図4において、f1は、通常の電力伝送時において「1」を送信するときに使用される周波数であり、このf1が、電力伝送時の基本周波数であり、f2は、「0」を送信するときの周波数である(図3(A),(B)参照)。そして、f3が、パワーセーブモードにおいて使用される周波数である。明らかなように,f1>f2>f3の関係にある。
【0099】
(パワーセーブモード中において再充電が開始されたときの充電モードへの復帰動作)
パワーセーブモード中において、充電制御装置(充電制御IC)92によって再充電が開始されたときには、十分な充電電流を継続的に供給するために、パワーセーブモードをオフして、通常の充電時の伝送モード(充電モード)による電力伝送にすばやく復帰する必要がある。
【0100】
本発明では、このようなパワーセーブモードから充電モードへの迅速な復帰も、無理なく実現されるように工夫されている。パワーセーブモードから充電モードへの迅速な復帰は、例えば、以下のように実現される。
【0101】
すなわち、パワーセーブモード状態において、充電制御装置(充電制御IC)92によってバッテリ94の再充電が開始されると、給電制御部48の給電経路に流れる電流量が急激に増大し、負荷が高い状態となる。すなわち、充電電流量が増大すると共に、電源回路として機能するレギュレータ49の入力端の電圧は低下する。これは、再充電によって、一種の負荷変調が自然に行われたとみることもできる。
【0102】
先に、図3(A),(B)を用いて説明したように、受電装置40における負荷の高低に応じて、送電装置10における1次コイルL1の誘起電圧の信号波形は、図3(B)のように変化する。すなわち、受電装置40の負荷が高くなると、1次コイルL1の信号波形の振幅が大きくなる。したがって、送電装置10の波形検出回路28にて、誘起電圧の信号波形のピークホールド処理などを行って、ピーク電圧がしきい値電圧を超えたか否かを判断することで、受電装置40が低負荷状態から高負荷状態に変化したこと(つまり、パワーセーブ中に再充電が開始されたこと)を検出することができる。この検出によって、送電装置10の送電制御装置20が、パワーセーブモードから通常の充電モードに切換え、例えば、フルパワーによる電力伝送が開始される。よって、受電装置40では、バッテリ94の再充電を継続することができる。
【0103】
送電装置10の波形検出回路28において、例えば、短い間隔で周期的に受電装置40側の負荷の変化(低負荷状態から高負荷状態への変化)を監視すれば、パワーセーブモード中において再充電が開始されると、直ちにそのことを検出して、迅速に充電モードに切換えることができる。この場合、間欠的な監視であるため、波形検出回路28における消費電力も抑制される。ただし、これに限定されるものではなく、波形検出回路28を常時動作させて、負荷変動を常時監視させてもよく、この場合は、再充電開始をリアルタイムで検出できるという利点がある。
【0104】
(パワーセーブモード中における受電装置の取り去り検出)
また、パワーセーブモードにおける電力伝送は、伝送電力は弱いものの連続的になされるため、仮に、パワーセーブモード中に、受電装置(携帯電話機等)40が取り去られた場合には、必要のない無駄な電力を常時、伝送することになり、省電力化の要請に反することになる。
【0105】
つまり、パワーセーブモードによる伝送を実現する際には、受電装置40の取り去りにも配慮し、受電装置40が取り去された後は、パワーセーブモードをオフして、連続的な電力伝送を停止するという対策が必要となる。
【0106】
そこで、本発明の好ましい実施態様では、パワーセーブモード状態の継続中に、送電装置が、周期的に、受電装置40が存在するか否か(取り去られているか否か)を確認する。
【0107】
すなわち、送電制御装置20は、パワーセーブモード実行中に、定期的かつ一時的にパワーセーブモードをオフして、送電装置10を通常の充電モードに強制復帰させる。受電装置が取り去られていない場合には、受電装置40が、電力伝送の周波数の変化を検出して何らかの応答(例えば、パワーセーブ送電に戻ることを要求するセーブコマンド返信する)をしてくるはずであり、送電制御装置20は、その応答があれば、通常送電を再び、パワーセーブ送電に戻す。一方、応答がなければ、受電装置(40)は取り去られたと判断して、連続的な電力の送電を停止して電力の無駄な消費を最小限化する。
【0108】
具体的には、応答がないときは、例えば、受電装置40が装着されたことを検出するために間欠的に電力を送電する初期モードに戻せばよい(但し、一例であり、これに限定されるものではない)。パワーセーブ送電中の取り去り検出を定期的に行うことによって、受電装置40が無いにもかかわらず、送電装置10が連続的に電力を伝送することが確実に防止され、無駄な電力消費が抑制される。また、パワーセーブ送電を通常送電に切換えて受信装置からの応答を待つという手法を採用することによって、受電装置の取り去り(リーブ)検出を、特別なハードウエア構成を用いることなく、ソフトウエアベースで簡単に実現することができる。
【0109】
(パワーセーブモードの実現に関連する構成)
図5は、図2に示される無接点電力伝送システムの構成の中から、パワーセーブモードの実現に関連する構成を抜き出して示すブロック図である。
【0110】
送電装置10に含まれる送電制御装置20は、負荷90のバッテリ94の充電状態に応じて、通常送電とパワーセーブ送電を実行する。送電制御装置20は、周波数変調部23を含む送電側制御回路22と、ドライバ制御回路26と、波形検出回路28と、を有する。
【0111】
送電部12は、交流電圧を生成して1次コイル(L1)を駆動する。電圧検出回路14は、1次コイル(L1)に誘起される電圧を検出する。
【0112】
図6は、図5に示される電圧検出回路および波形検出回路の内部の回路構成の一例を示す回路図である。
【0113】
図示されるように、電圧検出回路14は、分圧抵抗(RA1,RA2)と、分圧抵抗RA1,RA2の共通接続点(NA3)にカソードが接続されたダイオード(DA1)と、を有する。
【0114】
また、波形検出回路28は、オペアンプOPA1〜OPA4(コンパレータ)と、コンデンサCA1と、リセット用のN型のトランジスタTA1を含む。オペアンプOPA1、OPA2とコンデンサCA1とトランジスタTA1によりピーク検出回路が構成される。すなわち、電圧検出回路14からの検出信号PHINのピーク電圧がノードNA4にホールドされ、このホールドされたピーク電圧の信号が、ボルテージフォロワ接続のオペアンプOPA2によりインピーダンス変換されてノードNA5に出力される。またホールドされたピーク電圧はトランジスタTA1によりリセットされる。
【0115】
データ検出回路を構成するオペアンプOPA4は、ノードNA5のピーク電圧の信号とデータ検出用のしきい値電圧VSIGHを比較し、データ信号SIGH(「0」又は「1」)を出力する。着脱検知回路を構成するオペアンプOPA3は、ノードNA5のピーク電圧の信号と着脱検知用のしきい値電圧VLEAVを比較し、着脱検知信号LEAVを出力する。なお、波形検出回路28の構成は図6に示されるものに限定されず、その一部の構成要素を省略し、あるいは他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0116】
図5に戻って、受電装置側の構成について説明する。受電装置40は、電子機器としての携帯端末(携帯電話端末、PDA端末、携帯可能なコンピュータ端末を含む)510に搭載されている。受電装置40は、受電部42と、負荷変調部46と、給電制御部48と、受電制御装置50(受電側制御回路52と満充電検出回路62とを含む)と、を有する。
【0117】
また、負荷90は、例えば電池パックであり、充電制御装置(充電制御IC)92と、バッテリ(2次電池)94と、を有する。電池残量インジケータとしての発光装置(LEDR)は、負荷90に付属させることができ、あるいは、受電装置40に付属させることもでき、あるいは、負荷90および受電装置40とは別個に設けることもできる。
【0118】
充電制御装置(充電制御IC)92は、充電管理機能を有する。この「充電管理機能」には、少なくとも、「残量検出機能および残量インジケータ機能(発光装置LEDRの点灯制御機能)」と、「過充電保護機能」と、「電池電圧が所定値より下がったときに再充電を開始する再充電管理機能」と、が含まれる。最近の2次電池には、安全な充電管理を徹底するために、このような機能をもつ充電制御装置(充電制御IC)92が付属するのが一般的である。本発明はこの点に着目し、この充電制御装置(充電制御IC)92の機能をそのまま利用して、適切なパワーセーブ送電を実現し、無理なくバッテリ94の再充電を可能とする。
【0119】
受電装置40に含まれる満充電検出回路62は、発光装置(LEDR)が例えば5秒以上消灯することを確認できたときに、バッテリ94が満充電であると判定する。電池残量のインジケータとしての発光装置(LEDR)の点灯状態に基づいて満充電を判定する(つまり、発光装置に電流が流れているかいないかで判定する)ため、特別な回路を設けることなく、満充電を簡単に検出することができる。この点でも、既存の回路要素を最大限、活用しているということができる。
【0120】
なお、図5には示されないが、図2の、受電装置40に含まれる周波数検出回路60は、パワーセーブモード継続中における、送電装置10からの取り去り検出のための伝送周波数の強制的な変化を検出するという、重要な役割を果たす。
【0121】
(満充電を検出してパワーセーブ送電に移行するまでの動作:図7)
次に、図7を参照して、パワーセーブ送電に移行するまでの具体的な手順の一例について説明する。図7は、満充電に伴ってパワーセーブモードに移行するまでの具体的な手順の一例を示すフロー図である。なお、以下の説明では、送電装置10側を1次側と呼び、受電装置40側を2次側と呼ぶことにする。
【0122】
なお、図7では、パワーセーブモードへの移行に関係する重要なステップは、太線で記載してある。
【0123】
図7において、まず、2次側から、充電開始を要求するスタートフレームを送信し(ステップS201)、これに伴って、充電インジケータ(電池残量インジケータ)としての発光装置(LEDR)がオンする(ステップS202)。
【0124】
1次側では、スタートフレームを検出し(ステップS100)、これによって、周波数f1によって通常送電を開始する(ステップS101)。
【0125】
2次側では、通常受電(周波数f1)を行う(ステップS203)。充電制御装置92は、上述のとおり、バッテリ94の充電管理動作を実行し、電池残量の検出、発光装置(LEDR)の点灯制御による充電状態の表示制御、満充電の検出、過充電の防止、再充電の必要性の検出、再充電の開始の各動作を実行する。
【0126】
図7において点線で示されるように、充電制御装置92は、満充電の検出(ステップ204)、発光装置(LEDR)の消灯(ステップS205)、充電停止(ステップS206)、再充電の要否判定(ステップS207)、再充電開始に伴う発光装置(LEDR)の点灯(ステップS208)、充電再開(ステップ209)の各制御を実行する。
【0127】
2次側の受電側制御回路52は、発光装置(LEDR)の消灯(ステップS205による消灯)が例えば、5秒以上継続したことを確認したときにバッテリ94が満充電となったと判定し(ステップS210)、さらに、パワーセーブ送電時の周波数f3以外の周波数(つまり、図4に示される通常送電時の高い周波数f1またはf2)のとき、セーブフレームを1次側に向けて送信する(ステップS212)。
【0128】
セーブフレームには、パワーセーブ送電を要求するセーブコマンドが含まれており、1次側の送電側制御回路22は、2次側から送られてくるセーブコマンドを検出し(ステップS102)、パワーセーブ送電(電力伝送周波数f3)を開始する(ステップS103)。
【0129】
2次側では、パワーセーブ受電動作を実行し、これによって、充電制御装置(充電制御IC)92の動作状態が維持され、充電管理機能(再充電管理機能を含む)はオフしない(ステップS213)。これによって、バッテリ94を再充電する必要が生じたときは、速やかに再充電が開始されることになる。
【0130】
図8は、パワーセーブモードによる消費電力の削減効果を説明するための図である。図8において、横軸は二次側負荷電流を示し、縦軸は一次側消費電流を示す。図中、点線で示される特性線Xは通常受電時の特性を示し、実線で示される特性線Yはパワーセーブ受電時の特性を示す。また、P点は、待機時の2次側負荷電流の代表点を示す。図中の矢印Zは、待機時における消費電流の低減量を示す。
【0131】
図中の矢印Zから明らかように、パワーセーブ送電によれば、通常送電時に比べて、格段に消費電力を削減できる。つまり、充電制御装置92をオンさせておくだけの電源電圧(例えば5V程度)を供給するだけの、ごく弱い電力伝送であるため、消費電力の増大はそれほど問題にならない。
【0132】
(パワーセーブ送電後の再充電開始に伴う通常送電への切換え処理)
図9は、パワーセーブ送電後に再充電が開始されたことに伴い、パワーセーブ送電から通常送電に切換えるための処理手順の一例を示すフロー図である。図9において、上述の処理に直線に関係する重要なステップは、太線で示してある。
【0133】
図9において、1次側からはパワーセーブ送電を行っており(ステップS120)、2次側では、パワーセーブ受電を行っている(ステップS230)。充電制御装置92は、図7で説明したような、再充電の要否判定、残量インジケータとしての発光装置(LEDR)の点灯状態の制御、充電の開始、満充電の検出、充電の停止といった制御を常に実行している(ステップS231〜S236)。
【0134】
ここで、パワーセーブ送電中において、充電制御装置(充電制御IC)92の充電管理機能によってバッテリ94の再充電が開始された場合(ステップS231〜S233を参照)を想定する。この場合には、その再充電を継続させるために、1次側(送電装置10)から受電装置40に十分な電力伝送を行う必要がある。しかし、パワーセーブ送電では、必要な電力を送電することはできない。
【0135】
そこで、1次側の送電制御装置20(送電側制御回路22)は、送電装置10からみた受電装置40の負荷状態を監視している。この監視は、上述のとおり、常時行ってもよく、短い間隔で間欠的に行ってもよい。間欠的な監視を行う場合でも、監視を行う間隔を短く設定すれば、受電装置における負荷状態の変化をほぼリアルタイムで検出することができ、検出遅延の問題は生じない。
【0136】
また、この監視は、図5に示される1次側の電圧検出回路14、波形検出回路28、送電側制御回路22によって行われる。すなわち、図3(B)に示すように、高負荷時には、1次コイルL1の誘起電圧の振幅が増大するため、その振幅の変化を、ピークホールド等の技術を用いて検出すればよい(ただし、この検出方法に限定されるものではない)。
【0137】
そして、再充電の開始に起因して受電装置40の負荷状態が、低負荷状態から高負荷状態になると、その負荷状態の変化を迅速に検出し(ステップS121)、直ちにパワーセーブ送電を通常送電に切換え(ステップS122)、再充電に必要な電力を受電装置40に伝送する(ステップS123)。
【0138】
したがって、再充電が開始されると迅速に、受電装置への十分な電力供給がなされることになる。2次側では、通常受電(周波数f1)を行い、その電力を負荷90に供給して再充電が実行される(ステップS237)。そして、再び満充電になると(ステップS238)、送電の周波数がパワーセーブ時の周波数(f3)ではないことを確認して(ステップS239)、セーブフレーム(セーブコマンドを含む)を1次側に送信する(ステップS240)。これによって、再び、パワーセーブ送電が開始される(ステップS120)。
【0139】
このようにしてパワーセーブ送電後にバッテリ94の再充電がなされるときは、2次側からの連絡なしに、1次側にて再充電を自動的に検出して通常送電に戻すことができ、その制御はソフトウエアベースで簡単に行うことができ、非常に効率的な再充電制御を実現することができる。
【0140】
(パワーセーブ後の取り去り検出処理)
図10は、パワーセーブ後の取り去り(リーブ)検出処理の具体的な手順の一例を示すフロー図である。図10において、取り去り(リーブ)検出に直接に関連する重要なステップは太線で示している。
【0141】
図10における2次側の動作は、基本的には、図5,図7に示すものと同様である。つまり、2次側の受電制御装置50(受電側制御回路52)は、パワーセーブ受電(S230)、通常受電(電力伝送周波数f1)(ステップS237)、満充電検出(ステップS238)、電力伝送周波数が、パワーセーブ送電時の周波数f3以外であるか否かの確認(ステップS239)、セーブフレームの送信(ステップS240)の各処理を実施する。
【0142】
また、充電制御装置(充電制御IC)92は、図7,図9で説明したような、再充電の要否判定(ステップS221)、残量インジケータとしての発光装置(LEDR)の点灯状態の制御(ステップS222,S225)、充電の開始(ステップS223)、満充電の検出(S224)、充電の停止(S226)といった制御を常に実行している。
【0143】
ここで注目すべき点は、パワーセーブ送電中に、1次側が、2次側の取り去り(リーブ)を検出するために、意図的かつ周期的に送電周波数をf3からf1に変更し(ステップS111)、一時的な通常送電に復帰すること(ステップS112)である。
【0144】
仮に、2次側の装置(受電装置40を含む電子機器)が取り去られている場合には、その周波数変化に対して何らの応答もないが、取り去られていないのならば、ステップS227〜S229の各処理を経て、セーブフレーム(セーブコマンドを含む)がリターンされてくるはずである。
【0145】
そこで、1次側では、送電周波数の変更に対応して、2次側からセーブコマンドが返信されるか否かを判定し(S113)、返信があれば、取り去られていないと判断して、送電周波数をf1からf3に戻し、パワーセーブ送電に復帰する(ステップS110)。一方、セーブコマンドの返信がないときは、例えば、上記の処理を何回か繰り返すなどして、本当に取り去られたか否かを慎重に判定し(ステップS114)、その後、連続した送電を停止し、例えば、間欠的に送電を行う初期の認証モードに戻る(ステップS115)。
【0146】
このように、特別なハードウエアを用いることなく、ソフトウエアベースで、パワーセーブ送電中における2次側の取り去り(リーブ)の検出を行うことができ、2次側の装置がないにもかかわらず、連続的な電力伝送がなされることが確実に防止される。したがって、パワーセーブ送電を行った場合でも、安全性や低消費電力性は常に担保されることになる。
【0147】
以上説明したように、本発明の各実施形態によれば、以下の主要な効果を得ることができる。但し、下記の効果は同時に得られるとは限らず、下記の効果の列挙が、本発明を不当に限定する根拠として用いられてはならない。
(1)バッテリの満充電後においてパワーセーブ送電を行うことによって、負荷(の充電制御装置)が本来、有している充電管理機能を維持できるため、満充電後の放電によってバッテリの再充電が必要となったときには、負荷の充電管理機能が働いて自動的に再充電が開始される。したがって、バッテリの再充電を無理なく実現することができる。また、パワーセーブ送電は、負荷が本来的に有している、バッテリの充電管理機能を損なわずに維持できる程度のごく弱い電力伝送であり、消費電力は十分に抑制されているため、消費電力に関して特別な問題は生じない。
(2)2次側からパワーセーブ送電を要求するセーブコマンド(バッテリの満充電状態に関する情報)を送信し、そのセーブコマンドに基づいてパワーセーブ送電に切換えることによって、通常送電を、適切なタイミングでパワーセーブ送電に切換えることができる。
(3)送電制御装置が、パワーワーセーブ送電中におけるバッテリの再充電に起因する負荷変動を監視し、再充電の開始が検出されると直ちにパワーセーブ送電を通常送電に切換えることによって、再充電に必要な十分な電力を受電装置に迅速に送電することが可能となり、再充電の継続が可能となる。
(4)送電制御装置による、受電装置の負荷状態の監視を間欠的に実行することによって、消費電力の抑制が可能である。監視を行う間隔を短く設定すれば、受電装置における負荷状態の変化をほぼリアルタイムで検出することができ、検出遅延の問題は生じない。
(5)送電制御装置が、パワーセーブ送電中に、所定周期で、パワーセーブ送電を通常送電に強制的に切換え、その切換えに対する受電装置からの応答を監視して取り去りを自動的に検出することによって、受電装置が無いにもかかわらず、連続的に電力を伝送することが確実に防止され、無駄な電力消費が抑制され、発熱の問題も生じず、無接点電力伝送システムの安全性も確保される。また、パワーセーブ送電を通常送電に切換えて受信装置からの応答を待つという手法を採用することによって、受電装置の取り去り検出を、特別なハードウエア構成を用いることなく、ソフトウエアベースで簡単に実現することができる。
(6)負荷のバッテリの満充電状態の検出を受電制御装置が行い、送電装置に対して、バッテリの満充電状態に関する情報(具体的な例としては、セーブコマンド)を送信することによって、通常送電をパワーセーブ送電に切換えることができる。
(7)セーブコマンドの送電装置(1次側)への送信は、「バッテリが満充電状態であり(第1の条件)」、かつ、「送電装置からの電力伝送の周波数がパワーセーブ送電以外の周波数である(第2の条件)」ときに行われるようにすることによって、通常送電によってはじめて満充電になったとき、ならびに、取り去り検出のための伝送周波数の強制的な変更時の双方において、リーブコマンドを1次側に送信することが可能となる。簡単な制御ですむため、実現が容易である。
(8)満充電の検出を、発光装置(LED等)の点灯状態に基づいて行うことによって、満充電状態か否かのチェックのための特別な回路を設ける必要がなくなり、回路の簡素化が図れる。
(9)所定期間にわたる発光装置の連続した消灯が確認されたときに、バッテリは満充電状態になったと判定することによって、バッテリが満充電でないにもかかわらず、不用意にパワーセーブ送電に切り換わるような事態が生じることがない。
(10)本発明の無接点電力伝送システムでは、パワーセーブ送電によって、負荷が有するバッテリの充電管理機能を活用した、無理のないバッテリの再充電が可能となり、また、再充電に伴う負荷変動が自動的に検出されて必要な電力が速やかに供給されるため、再充電が滞ることがなく、また、パワーセーブ送電中の取り去り検出によって、無駄な電力の伝送も自動的に停止されることから、消費電力の抑制も達成される。したがって、安心して使用できる、実用に耐える無接点電力伝送システムが実現される。また、負荷のもつ充電管理機能を活用し、必要に応じて発光装置の点灯制御による電池残量の表示機能をそのまま利用して満充電を検出することによって、既存の要素をそのまま利用できる、使い勝手のよいシステム構築が可能である。また、負荷に搭載される充電制御装置は、無接点電力伝送であることや、通常送電あるいはパワーセーブ送電であることをまったく意識せずに、ACアダプタ利用時と同様のバッテリの充電管理を自由に行うだけでよい。したがって、本システムは、受電装置側の負荷(電池パック等)に仕様変更を強いることがなく、この点も、本システムの普及に貢献する。
(11)電制御装置における、再充電に伴う負荷状態の変化の監視を間欠的に行うことによって消費電力を抑制するができ、取り去り検出のための周期的かつ強制的な周波数変更の間隔を上述の負荷状態の監視の間隔よりも長く設定することによって、消費電力をさらに抑制することができる。
(12)本発明によって、適切なパワーセーブ送電が可能な送電装置が実現される。
(13)本発明によって、適切なパワーセーブ受電が可能な受電装置が実現される。
(14)本発明によって、無接点電力伝送に対応した携帯端末等の電子機器におけるバッテリの、充電後における再充電を、消費電力を抑制しつつ無理なく行うことが可能となり、電子機器の高機能化ならびに使い勝手の向上を図ることができる。
(15)本発明によって、これによって、無接点電力伝送に対応した充電器(クレードル等)の電子機器にパワーセーブ送電機能を設けることができ、受電装置のバッテリの、充電後における再充電を、消費電力を抑制しつつ無理なく行うことが可能となり、電子機器の高機能化ならびに使い勝手の向上を図ることができる。
(16)このように、本発明によれば、無接点電力伝送によって負荷のバッテリが満充電状態となった後の再充電を、無理なく行うことが可能となり、無接点電力伝送を用いた、安心して使用できる、高機能なバッテリ充電制御技術を確立することができる。
【0148】
以上、本発明を、実施形態を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々、変形、応用が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲において多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。
【0149】
従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(低電位側電源、電子機器等)と共に記載された用語(GND、携帯電話機・充電器等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態および変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。
【0150】
また、送電制御装置、送電装置、受電制御装置、受電装置の構成・動作や、満充電状態や再充電状態の検出手法、再充電手法も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0151】
本発明は、無接点電力伝送を用いた、安心して使用できる、高機能なバッテリ充電制御技術を確立することに貢献するという効果を奏し、したがって、送電制御装置(送電制御IC)、受電制御装置(受電制御IC)、無接点電力伝送システム、送電装置(ICモジュール等)、受電装置(ICモジュール等)および電子機器(携帯端末および充電器等)として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0152】
【図1】無接点電力伝送を利用した電子機器の例を示す図、図1(A)は、送電装置としての充電器(クレードル)上に、受電装置としての携帯電話機が載置された状態を示す斜視図、図1(B)は、送電装置から受電装置に電力を伝送するための原理を説明するための電子機器の要部の断面図
【図2】本発明の送電装置、送電制御装置、受電装置、受電制御装置の具体的な構成の一例を示す図
【図3】図3(A)および図3(B)は、1次側から2次側または2次側から1次側への情報の伝送の原理を説明するための図
【図4】誘導コイルによる共振特性および使用周波数の用途を示す図
【図5】図2に示される無接点電力伝送システムの構成の中から、パワーセーブモードの実現に関連する構成を抜き出して示すブロック図
【図6】図5に示される電圧検出回路および波形検出回路の内部の回路構成の一例を示す回路図
【図7】満充電に伴ってパワーセーブモードに移行するまでの具体的な手順の一例を示すフロー図
【図8】パワーセーブモードによる消費電力の削減効果を説明するための図
【図9】パワーセーブ送電後に再充電が開始されたことに伴い、パワーセーブ送電から通常送電に切換えるための処理手順の一例を示すフロー図
【図10】パワーセーブ後の取り去り(リーブ)検出処理の具体的な手順の一例を示すフロー図
【符号の説明】
【0153】
L1 1次コイル、L2 2次コイル、DR1、DR2 送電ドライバ、
10 送電装置、12 送電部、14 電圧検出回路、16 表示部、
20 送電制御装置、22 制御回路(送電側)、23 周波数変調部、
24 発振回路、26 ドライバ制御回路、28 波形検出回路、40 受電装置、
42 受電部、43 整流回路、46 負荷変調部、48 給電制御部、
50 受電制御装置、52 制御回路(受電側)、54 出力保証回路、
56 位置検出回路、58 発振回路、60 周波数検出回路、62 満充電検出回路、
90 負荷、92 充電制御装置(充電制御IC)、94 バッテリ、
LEDR 電池残量や電池の状態のインジケータとしての発光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記送電装置に設けられる送電制御装置であって、
前記送電装置を制御する送電側制御回路を含み、
前記送電側制御回路は、
前記負荷が有するバッテリが満充電状態になったことが検出された場合に、前記受電装置に対する通常送電を停止して、前記通常送電時の電力よりも低い電力によるパワーセーブ送電を行うことを特徴とする送電制御装置。
【請求項2】
請求項1記載の送電制御装置であって、
前記受電装置の負荷は、前記バッテリの充電を管理する充電制御装置を有し、
前記送電装置は、前記パワーセーブ送電時において、前記バッテリが満充電状態となった後も、前記充電制御装置が動作状態を維持するように、電力伝送の制御を行うことを特徴とする送電制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の送電制御装置であって、
前記送電側制御回路は、前記受電装置からパワーセーブ送電を要求するセーブコマンドを受信すると、通常送電からパワーセーブ送電に切換えることを特徴とする送電制御装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか記載の送電制御装置であって、
送電側制御回路は、パワーセーブ送電中に、前記送電装置からみた前記受電装置の負荷状態を監視し、
前記負荷が有する前記バッテリに対する再充電が開始されたことによって、前記送電装置からみた前記受電装置の負荷状態が低負荷状態から高負荷状態に変化したことが検出されると、パワーセーブ送電を通常送電に切換えることを特徴とする送電制御装置。
【請求項5】
請求項4記載の送電制御装置であって、
前記送電側制御回路は、パワーセーブ送電中に、前記送電装置からみた前記受電装置の負荷状態を所定間隔で間欠的に監視することを特徴とする送電制御装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか記載の送電制御装置であって、
前記送電側制御回路は、パワーセーブ送電中に、所定周期で、前記パワーセーブ送電を通常送電に強制的に切換え、その切換えに対する前記受電装置からの応答を監視し、
前記受電装置からの、パワーセーブ送電を要求するセーブコマンドを受信した場合には、通常送電を再度パワーセーブ送電に切換え、
前記受電装置からの前記セーブコマンドを受信できない場合には、前記受電装置が取り去られたと判断し、連続的な電力伝送を停止することを特徴とする送電制御装置。
【請求項7】
1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記受電装置に設けられる受電制御装置であって、
前記受電装置を制御する受電側制御回路を含み、
前記受電側制御回路は、
前記負荷が有する前記バッテリが満充電状態の場合に、前記満充電状態に関する情報を前記送電装置に対して送信する制御を行うことを特徴とする受電制御装置。
【請求項8】
請求項7記載の受電制御装置であって、
前記受電側制御回路は、
前記バッテリの満充電状態が検出され、かつ、前記送電装置からの電力伝送の周波数が、パワーセーブ送電の周波数以外の周波数であるときに、パワーセーブ送電を要求するセーブコマンドを、前記送電装置に対して送信する制御を行うことを特徴とする受電制御装置。
【請求項9】
請求項8記載の受電制御装置であって、
前記バッテリが満充電状態になったか否かを検出する満充電検出回路と、前記送電装置の電力伝送の周波数を検出する周波数検出回路と、をさらに含み、
前記満充電検出回路は、前記バッテリの充電状態を示す発光装置の点灯状態に基づいて前記バッテリの満充電状態を検出し、
前記受電側制御回路は、前記周波数検出回路の検出結果に基づいて、前記送電装置からの電力伝送の周波数がパワーセーブ送電の周波数以外の周波数であるか否かを判定することを特徴とする受電制御装置。
【請求項10】
請求項9記載の受電制御装置であって、
前記満充電検出回路は、前記発光装置が所定期間にわたって連続的に消灯状態であることが確認された場合に、前記バッテリが満充電状態であると判定することを特徴とする受電制御装置。
【請求項11】
送電装置と受電装置を含み、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて前記送電装置から前記受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムであって、
前記送電装置は、
前記送電装置を制御する送電側制御回路を含み、
前記受電装置は、
前記受電装置を制御する受電側制御回路と、
前記バッテリが満充電状態になったか否かを検出する満充電検出回路と、
前記送電装置の電力伝送の周波数を検出する周波数検出回路と、を含み、
前記受電装置の負荷は、
バッテリと、
前記バッテリの充電を管理し、前記バッテリが満充電後に再充電が必要な状態となったことを検出して、前記バッテリの再充電を行う充電制御装置と、を含み、
前記受電側制御回路は、
前記負荷が有する前記バッテリの満充電状態が前記満充電検出回路によって検出され、かつ、前記送電装置からの電力伝送の周波数が、パワーセーブ送電の周波数以外の周波数であることが前記周波数検出回路によって検出されたときに、パワーセーブ送電を要求するセーブコマンドを、前記送電装置に対して送信する制御を行い、
前記送電側制御回路は、
通常送電中に、前記受電装置から前記パワーセーブコマンドを受信した場合に、通常送電をパワーセーブ送電に切換え、
前記パワーセーブ送電中に、前記送電装置からみた前記受電装置の負荷状態を監視して、前記負荷が有する前記バッテリに対する再充電が開始されたことによって、前記送電装置からみた前記受電装置の負荷状態が低負荷状態から高負荷状態に変化したことが検出されると、パワーセーブ送電を通常送電に切換え、
パワーセーブ送電中に、所定周期で、前記パワーセーブ送電を通常送電に強制的に切換え、その切換えに対する前記受電装置からの応答を監視し、前記受電装置からの、パワーセーブ送電を要求するセーブコマンドを受信した場合には、通常送電を再度パワーセーブ送電に切換え、前記受電装置からの、前記セーブコマンドを受信できない場合には、前記受電装置が取り去られたと判断し、連続的な電力伝送を停止する制御を行う、
ことを特徴とする無接点電力伝送システム。
【請求項12】
請求項11記載の無接点電力伝送システムであって、
前記送電制御装置は、前記送電装置からみた前記受電装置の負荷状態の監視を所定間隔で間欠的に行い、かつ、前記負荷状態を監視する間隔は、前記パワーセーブ送電中において周期的に前記パワーセーブ送電から通常送電への強制的な切換えを行うときの間隔よりも短いことを特徴とする無接点電力伝送システム。
【請求項13】
請求項1〜請求項6のいずれか記載の送電制御装置と、
交流電圧を生成して前記1次コイルに供給する送電部と、を含むことを特徴とする送電装置。
【請求項14】
請求項7〜請求項10のいずれか記載の受電制御装置と、
前記2次コイルの誘起電圧を直流電圧に変換する受電部と、を含むことを特徴とする受電装置。
【請求項15】
請求項13記載の送電装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項16】
請求項14記載の受電装置と、
前記受電装置により電力が供給される負荷と、を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−206232(P2008−206232A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36745(P2007−36745)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】