説明

送電制御装置、送電装置、電子機器及び負荷状態検出回路

【課題】負荷状態の検出を容易化できる送電制御装置、送電装置等、電子機器及び負荷状態検出回路等の提供。
【解決手段】無接点電力伝送システムの送電装置10に設けられる送電制御装置20は、受電側の負荷状態を検出する負荷状態検出回路30を含む。負荷状態検出回路30は、1次コイルL1と共に共振回路を構成する共振用コンデンサーC1の一端側からの第1の信号と、共振用コンデンサーC1の他端側からの第2の信号との差分信号に基づいて、受電側の負荷状態を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電制御装置、送電装置、電子機器及び負荷状態検出回路等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電磁誘導を利用し、金属部分の接点がなくても電力伝送を可能にする無接点電力伝送(非接触電力伝送)が脚光を浴びている、この無接点電力伝送の適用例として、携帯電話機や家庭用機器(例えば電話機の子機)の充電などが提案されている。この無接点電力伝送の従来技術としては例えば特許文献1がある。
【0003】
しかしながら、この従来技術では、位相検出の際に1次コイルの一方の端子からの信号のみをモニターしている。このため、例えば電圧変動、周囲温度変動、1次コイルと2次コイルの位置関係の変動等の環境変動があった場合に、位相検出の際のしきい値電圧等の設定値を変更し直さなければならないなどの課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−230032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の幾つかの態様によれば、負荷状態の検出を容易化できる送電制御装置、送電装置、電子機器及び負荷状態検出回路等を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記送電装置に設けられる送電制御装置であって、受電側の負荷状態を検出する負荷状態検出回路を含み、前記負荷状態検出回路は、前記1次コイルと共に共振回路を構成する共振用コンデンサーの一端側からの第1の信号と、前記共振用コンデンサーの他端側からの第2の信号との差分信号に基づいて、受電側の負荷状態を検出する送電制御装置に関係する。
【0007】
本発明の一態様では、1次コイルと共振用コンデンサーにより共振回路が構成されている。そして負荷状態検出回路は受電側の負荷状態を検出する。具体的には、共振用コンデンサーの一端側からの第1の信号と他端側からの第2の信号との差分信号に基づいて、受電側の負荷状態を検出する。このように共振用コンデンサの両端の差分信号を用いることで、負荷状態の検出を容易化できる。
【0008】
また本発明の一態様では、前記負荷状態検出回路は、前記第1の信号と前記第2の信号との前記差分信号に対応するアンプ出力信号を出力する差動アンプと、前記差動アンプからの前記アンプ出力信号と基準クロック信号との位相差を検出し、位相差信号を出力する位相差検出回路を含んでもよい。
【0009】
このようにすれば、差動アンプが第1の信号と第2の信号の差分信号に対応するアンプ出力信号(例えば差分信号そのもの或いは差分信号を減衰させた信号)を出力し、このアンプ出力信号と基準クロックとの位相差を検出することで、受電側の負荷状態を検出できるようになる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記負荷状態検出回路は、前記位相差検出回路からの前記位相差信号に基づいて前記位相差を測定する位相差測定回路を含んでもよい。
【0011】
このようにすれば、位相差の測定結果に基づいて受電側の負荷状態を判定できる。
【0012】
また本発明の一態様では、前記差動アンプは、基準電圧を振幅中心とする前記アンプ出力信号を出力してもよい。
【0013】
このように基準電圧を振幅中心とする信号にすれば、アンプ出力信号と比較用電圧との比較が容易化される。
【0014】
また本発明の一態様では、前記差動アンプは、前記第1の信号と前記第2の信号の前記差分信号を減衰させた信号を、前記アンプ出力信号として出力してもよい。
【0015】
このようにすれば、第1、第2の信号の振幅が大きい場合等にも、これに対応できるようになる。
【0016】
また本発明の一態様では、前記差動アンプは、前記第1の信号に対応する第1の入力信号が第1の入力端子に入力され、前記第2の信号に対応する第2の入力信号が第2の入力端子に入力される演算増幅器と、前記第1の入力端子と前記演算増幅器の出力端子との間に設けられた第1の出力側抵抗と、前記第2の入力端子と基準電圧の供給ノードと間に設けられた第2の出力側抵抗とを含んでもよい。
【0017】
このようにすれば、第1、第2の出力側抵抗等を用いて差分信号を減衰して、基準電圧を振幅中心とするアンプ出力信号を得ることが可能になる。
【0018】
また本発明の一態様では、前記位相差検出回路は、前記アンプ出力信号と比較用電圧とを比較するコンパレーターと、前記コンパレーターからのコンパレーター出力信号と、前記基準クロック信号とに基づいて、前記位相差信号を出力する位相差出力回路を含んでもよい。
【0019】
このようにすれば、アンプ出力信号と比較用電圧の比較結果により得られたコンパレーター出力信号と、基準クロック信号とに基づいて、位相差信号を生成して、位相差を検出できるようになる。
【0020】
また本発明の一態様では、前記基準電圧と前記比較用電圧が同じ電圧に設定されていてもよい。
【0021】
このようにすれば、比較用電圧として基準電圧を採用できるようになり、構成を簡素化できる。
【0022】
また本発明の一態様では、前記基準電圧と前記比較用電圧が異なる電圧に設定されていてもよい。
【0023】
このようにすれば、例えば受電側の負荷状態が変動した場合等にも対応できるようになる。
【0024】
また本発明の一態様では、前記コンパレーターにヒステリシス特性を持たせることで、前記基準電圧と前記比較用電圧が異なる電圧に設定されていてもよい。
【0025】
このようにすれば、例えば受電側の負荷状態が変動した場合等にも対応できるようになると共に、コンパレーターの安定した比較動作を実現できる。
【0026】
また本発明の一態様では、前記負荷状態検出回路は、前記アンプ出力信号の信号遅延を補償するために、前記1次コイルの駆動クロック信号の位相を遅らせた信号を前記基準クロック信号として出力する位相シフト回路を含んでもよい。
【0027】
このようにすれば、受電側の負荷状態が変動した場合等にも対応できるようになる。
【0028】
また本発明の一態様では、前記負荷状態検出回路は、前記差動アンプと前記位相差検出回路との間に設けられたローパスフィルターを含んでもよい。
【0029】
このようにすれば、アンプ出力信号に重畳されたノイズを除去して、安定した検出動作を実現できるようになる。
【0030】
また本発明の一態様では、前記負荷状態検出回路からの検出情報に基づいて、受電側の負荷状態を判定する制御部を含んでもよい。
【0031】
このようにすれば、検出情報に基づく受電側の負荷状態の判定を実現できる。
【0032】
また本発明の一態様では、前記共振用コンデンサーは、前記1次コイルを駆動する送電ドライバーの出力ノードに一端が接続され、前記1次コイルの前記コイル端ノードに他端が接続されるコンデンサーであってもよい。
【0033】
本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の送電制御装置と、交流電圧を生成して前記1次コイルに供給する送電部とを含む送電装置に関係する。
【0034】
また本発明の他の態様では、前記共振用コンデンサーの一端及び他端と、前記負荷状態検出回路の第1の入力端子及び第2の入力端子との間に設けられた波形モニター回路を含んでもよい。
【0035】
このような波形モニター回路を設ければ、第1、第2の信号を、負荷状態検出回路により検出可能な信号にすることが可能になる。
【0036】
また本発明の他の態様では、前記波形モニター回路は、前記共振用コンデンサーの前記一端と、前記負荷状態検出回路の前記第1の入力端子との間に設けられた第1のACカップリング用コンデンサーと、前記共振用コンデンサーの前記他端と、前記負荷状態検出回路の前記第2の入力端子との間に設けられた第2のACカップリング用コンデンサーを含んでもよい。
【0037】
このようにすれば、第1、第2の信号のDC成分をカットして、負荷状態検出回路に入力できる。
【0038】
また本発明の他の態様では、前記波形モニター回路は、前記第1のACカップリング用コンデンサーと前記負荷状態検出回路の前記第1の入力端子との間に設けられた第1の入力側抵抗と、前記第2のACカップリング用コンデンサーと前記負荷状態検出回路の前記第2の入力端子との間に設けられた第2の入力側抵抗と含んでもよい。
【0039】
このようにすれば、第1、第2の信号の振幅が大きい場合にも、第1、第2の入力側抵抗を利用して減衰等できるようになる。
【0040】
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の送電装置を含む電子機器に関係する。
【0041】
また本発明の他の態様は、1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記送電装置に設けられ、受電側の負荷状態を検出する負荷状態検出回路であって、前記1次コイルと共に共振回路を構成する共振用コンデンサーの一端側からの第1の信号と、前記共振用コンデンサーの他端側からの第2の信号との差分信号に対応するアンプ出力信号を出力する差動アンプと、前記差動アンプからの前記アンプ出力信号と基準クロック信号との位相差を検出し、位相差信号を出力する位相差検出回路を含む負荷状態検出回路に関係する。
【0042】
本発明の他の態様では、1次コイルと共振用コンデンサーにより共振回路が構成されている。そして負荷状態検出回路が受電側の負荷状態を検出する。具体的には、負荷状態検出回路の差動アンプが、共振用コンデンサからの第1、第2の信号との差分信号に対応するアンプ出力信号を出力する。そして位相差検出回路が、このアンプ出力信号と基準クロック信号との位相差を検出して、位相差信号を出力する。このように共振用コンデンサの両端の差分信号を用いることで、負荷状態の検出を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1(A)〜図1(C)は無接点電力伝送の説明図。
【図2】本実施形態の構成例。
【図3】図3(A)、図3(B)は周波数変調、負荷変調によるデータ転送の説明図。
【図4】図4(A)、図4(B)は1次コイルのコイル端信号や差分信号の波形例。
【図5】本実施形態の詳細な構成例。
【図6】本実施形態の動作を説明するためのフローチャート。
【図7】負荷状態検出回路の第1の構成例。
【図8】負荷状態検出回路の第2の構成例。
【図9】図9(A)、図9(B)は第2の構成例の動作を説明するための信号波形例。
【図10】図10(A)〜図10(C)は第2の構成例の動作を説明するための信号波形例。
【図11】負荷状態検出回路の第3の構成例。
【図12】図12(A)〜図12(C)は第3の構成例の動作を説明するための信号波形例。
【図13】負荷状態検出回路の第4の構成例。
【図14】負荷状態検出回路の変形例。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお以下に説明する本実施形態は特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0045】
1.電子機器
図1(A)に本実施形態の無接点電力伝送手法が適用される電子機器の例を示す。電子機器の1つである充電器500(クレードル)は送電装置10を有する。また電子機器の1つである携帯電話機510は受電装置40を有する。また携帯電話機510は、LCDなどの表示部512、ボタン等で構成される操作部514、マイク516(音入力部)、スピーカー518(音出力部)、アンテナ520を有する。
【0046】
充電器500にはACアダプタ502を介して電力が供給され、この電力が、無接点電力伝送により送電装置10から受電装置40に送電される。これにより、携帯電話機510のバッテリーを充電したり、携帯電話機510内のデバイスを動作させることができる。
【0047】
なお本実施形態が適用される電子機器は携帯電話機510に限定されない。例えば腕時計、コードレス電話器、シェーバー、電動歯ブラシ、リストコンピューター、ハンディターミナル、携帯情報端末、電動自転車、或いはICカードなどの種々の電子機器に適用できる。
【0048】
図1(B)に模式的に示すように、送電装置10から受電装置40への電力伝送は、送電装置10側に設けられた1次コイルL1(送電コイル)と、受電装置40側に設けられた2次コイルL2(受電コイル)を電磁的に結合させて電力伝送トランスを形成することで実現される。これにより非接触での電力伝送が可能になる。
【0049】
なお、図1(B)では1次コイルL1、2次コイルL2は、平面上でスパイラル状にコイル線を巻くことで形成された例えば空芯の平面コイルになっている。しかしながら、本実施形態のコイルはこれに限定されず、1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて電力を伝送できるものであれば、その形状・構造等は問わない。
【0050】
例えば図1(C)では、磁性体コアに対してX軸回りでコイル線をスパイラル状に巻くことで1次コイルL1が形成されている。携帯電話機510に設けられた2次コイルL2も同様である。本実施形態では図1(C)のようなコイルにも適用可能である。なお図1(C)の場合に、1次コイルL1や2次コイルL2として、X軸回りにコイル線を巻いたコイルに加えて、Y軸周りにコイル線を巻いたコイルを組み合わせてもよい。
【0051】
2.構成
図2に本実施形態の送電装置10、送電制御装置20等の構成例を示す。図1(A)の充電器500などの送電側の電子機器は、図2の送電装置10を含む。また携帯電話機510などの受電側の電子機器は、受電装置40と負荷90(本負荷)を含むことができる。そして図2の構成により、例えば1次コイルL1と2次コイルL2を電磁的に結合させて送電装置10から受電装置40に対して電力を伝送し、負荷90に対して電力を供給する無接点電力伝送(非接触電力伝送)システムが実現される。
【0052】
送電装置10(送電モジュール、1次モジュール)は、1次コイルL1、送電部12、送電制御装置20を含むことができる。なお送電装置10や送電制御装置20は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素(例えば波形モニター回路)を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。例えば送電部12を送電制御装置20に内蔵させてもよい。また送電装置10は送電と受電の両方を行うものであってもよい。
【0053】
1次コイルL1(送電側コイル)は、2次コイルL2(受電側コイル)と電磁結合して電力伝送用トランスを形成する。例えば電力伝送が必要なときには、図1(A)、図1(B)に示すように、充電器500の上に携帯電話機510を置き、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通るような状態にする。一方、電力伝送が不要なときには、充電器500と携帯電話機510を物理的に離して、1次コイルL1の磁束が2次コイルL2を通らないような状態にする。
【0054】
送電部12は、電力伝送時には所定周波数の交流電圧を生成し、データ転送時にはデータに応じて周波数が異なる交流電圧を生成して、1次コイルL1に供給する。
【0055】
図2では、送電側から受電側へのデータ通信は周波数変調により実現し、受電側から送電側へのデータ通信は負荷変調により実現している。
【0056】
具体的には図3(A)に示すように、送電部12は、例えばデータ「1」を受電側に対して送信する場合には、周波数f1の交流電圧を生成し、データ「0」を送信する場合には、周波数f2の交流電圧を生成する。そして受電側の検出回路59が、この周波数の変化を検出することで、データ「1」、「0」を判別する。これにより、送電側から受電側への周波数変調によるデータ通信が実現される。
【0057】
一方、受電側の負荷変調部46は、送信するデータに応じて受電側の負荷を可変に変化させて、図3(B)に示すように1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。例えばデータ「1」を送電側に対して送信する場合には、受電側を高負荷状態にし、データ「0」を送信する場合には、受電側を低負荷状態にする。そして送電側の負荷状態検出回路30が、この受電側の負荷状態の変化を検出することで、データ「1」、「0」を判別する。これにより、受電側から送電側への負荷変調によるデータ通信が実現される。
【0058】
なお図3(A)、図3(B)では送電側から受電側へのデータ通信を周波数変調により実現し、受電側から送電側へのデータ通信を負荷変調により実現しているが、これ以外の変調方式や他の方式を採用してもよい。
【0059】
送電制御装置20は、送電装置10の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)やマイクロコンピューターとそのプログラムなどにより実現できる。この送電制御装置20は、制御部22、負荷状態検出回路30を含むことができる。なお、これらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素(例えばホストインターフェース)を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0060】
制御部22(送電側)は送電制御装置20や送電装置10の制御を行うものである。この制御部22は、例えばゲートアレイなどのASIC回路により実現したり、マイクロコンピューター及びマイクロコンピューター上で動作するプログラムなどにより実現できる。この制御部22は、送電部12を用いた送電の制御を行ったり、負荷状態検出回路30を制御する。具体的には、電力伝送、負荷状態検出(データ検出、異物検出、取り去り検出等)、周波数変調などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
【0061】
負荷状態検出回路(位相検出回路)30は受電側(受電装置又は異物)の負荷状態を検出する。そして制御部22は、負荷状態検出回路30での負荷状態の検出情報に基づいて、受電側(2次側)の負荷状態(負荷変動、負荷の高低)を判定する。
【0062】
受電装置40(受電モジュール、2次モジュール)は、2次コイルL2、受電部42、負荷変調部46、給電制御部48、受電制御装置50を含むことができる。なお受電装置40や受電制御装置50は図2の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加したり、接続関係を変更するなどの種々の変形実施が可能である。例えば受電部42、負荷変調部46、給電制御部48のいずれかを受電制御装置50に内蔵させてもよい。また受電装置40は受電と送電の両方を行うものであってもよい。
【0063】
受電部42は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この変換は受電部42が有する整流回路などにより実現できる。
【0064】
負荷変調部46は負荷変調処理を行う。具体的には受電側から送電側にデータを送信する場合に、送信するデータに応じて負荷変調部46(2次側)での負荷を可変に変化させて、図3(B)に示すように1次コイルL1の誘起電圧の信号波形を変化させる。
【0065】
給電制御部48は負荷90への電力の給電を制御する。即ち負荷90への電力の給電をオンにしたり、オフにする制御を行う。具体的には、受電部42(整流回路)からの直流電圧のレベルを調整して、電源電圧を生成して、負荷90に供給し、負荷90のバッテリー94を充電する。なお負荷90はバッテリー94を含まないものであってもよい。
【0066】
受電制御装置50は、受電装置40の各種制御を行う装置であり、集積回路装置(IC)やマイクロコンピューターとそのプログラムなどにより実現できる。この受電制御装置50は、2次コイルL2の誘起電圧から生成される電源電圧により動作することができる。この受電制御装置50は、制御部52、検出回路59を含むことができる。なお、これらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0067】
制御部52(受電側)は受電制御装置50や受電装置40の制御を行うものである。この制御部52は、例えばゲートアレイなどのASIC回路により実現したり、マイクロコンピューター及びマイクロコンピューター上で動作するプログラムなどにより実現できる。この制御部52は、負荷変調部46や給電制御部48の制御を行う。具体的には、位置検出、周波数検出、負荷変調、或いは満充電検出などに必要な各種のシーケンス制御や判定処理を行う。
【0068】
図2に示すように送電部12は、1次コイルL1の一端を駆動する第1の送電ドライバーDR1と、1次コイルL1の他端を駆動する第2の送電ドライバーDR2と、1次コイルL1と共に共振回路を構成する共振用コンデンサーC1、C2を含む。ここで第1、第2の送電ドライバーDR1、DR2の各々は、例えばパワーMOSトランジスターにより構成されるバッファ回路であり、送電制御装置20により制御される。また共振用コンデンサーC1、C2は、送電ドライバーDR1、DR2の出力ノードに一端が接続され、1次コイルL1のコイル端ノードに他端が接続されるコンデンサーである。なお図2では2つの共振用コンデンサーC1、C2を設けているが、1つであってもよい。
【0069】
そして本実施形態の負荷状態検出回路30は、1次コイルL1と共に共振回路を構成する共振用コンデンサーC1(或いはC2)の一端側からの第1の信号SS1と、共振用コンデンサーC1(或いはC2)の他端側からの第2の信号SS2との差分信号に基づいて、受電側の負荷状態を検出する。即ち共振用コンデンサーC2の両端から得られる差分信号に基づいて、受電側(受電装置40側)の負荷状態(負荷変動、負荷の高低)の検出(位相検出)を行う。そして制御部22は、負荷状態検出回路30からの検出情報に基づいて、受電側の負荷状態を判定する。例えばデータ(負荷)検出、異物(金属)検出、取り去り(着脱)検出などの判定を行う。
【0070】
例えば図4(A)に、1次コイルL1のコイル端信号(第1の信号SS1)の信号波形の例を示す。D1は、受電側の負荷が低負荷の場合の信号波形であり、D2は、受電側の負荷が高負荷の場合の信号波形である。また図4(B)に、第1、第2の信号SS1、SS2の差分信号の信号波形例を示す。D3は、受電側の負荷が低負荷の場合の信号波形であり、D4は、受電側の負荷が高負荷の場合の信号波形である。
【0071】
図4(A)に示すようにコイル端信号は、共振波形である正弦波の信号と、送電ドライバーの駆動波形である矩形波の信号が混在(合成)した信号になっている。ここで共振波形は、1次コイルL1とコンデンサーC1、C2とにより構成される共振回路による信号波形であり、正弦波の信号になる。これに対して送電ドライバーの駆動信号は、駆動クロック信号に基づいて生成されるものであり、矩形波の信号になる。そして受電側が低負荷(負荷抵抗大、負荷電流小)から高負荷(負荷抵抗小、負荷電流大)になるにつれて、共振周波数が高くなり、共振周波数がコイルの駆動周波数(駆動クロック信号の周波数)に近づく。そして共振周波数が駆動周波数に近づくと、図4(A)に示すようにコイル端信号には、共振波形である正弦波の部分が徐々に見えてくる。即ち図4(A)のD1に示す低負荷時の信号波形では、駆動波形である矩形波(方形波)の方が、共振波形である正弦波よりも支配的になっている。これに対して図4(A)のD2に示す高負荷時の信号波形では、共振波形である正弦波の方が、駆動波形である矩形波よりも支配的になる。
【0072】
一方、図4(B)の差分信号では、第1、第2の信号SS1、SS2の差分をとることで、駆動波形である矩形波が除去されて、共振波形である正弦波が残るようになる。従って、差分信号は正弦波の信号波形になる。
【0073】
そして受電側(2次側)の負荷状態を検出する比較例の手法として、図4(A)のコイル端信号だけを用いる手法が考えられる。例えば、コイル端信号の電圧がしきい値電圧VTを上回るタイミング(或いは下回るタイミング)と、図示しない基準クロック信号のエッジタイミングとの位相差を検出して、受電側の負荷状態(負荷変動)を検出する。
【0074】
例えば図4(A)のD1に示す低負荷時において、コイル端信号の電圧がしきい値電圧VTを上回るタイミングTM1と、図示しない基準クロック信号のエッジタイミングとの位相差を検出する。またD2に示す高負荷時において、コイル端信号の電圧がしきい値電圧VTを上回るタイミングTM2と、基準クロック信号のエッジタイミングとの位相差を検出する。すると、低負荷時と高負荷時では、検出される位相差が異なるため、この位相差を測定することで、受電側の負荷変動を検出できる。具体的には、後述する受電側の負荷変調部46の負荷変調用トランジスター(TB3)のオフからオンへの切り替わりや、オンからオフへの切り替わりを、送電側において検出できる。これにより、受電側から送信されたデータの検出等が可能になる。或いは1次コイルL1と2次コイルL2の間への異物挿入の検出等も可能になる。
【0075】
しかしながら、図4(A)のコイル端信号だけを用いた負荷状態検出手法(位相差検出手法)では、例えば電圧変動、温度変動、或いは1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係の変動等の環境変動があった場合に、その環境変動に応じてしきい値電圧VTの設定値等を変更する必要が生じる。例えば電源電圧や駆動電圧の変動に応じて、しきい値電圧VTを大きくしたり、小さくするなどの設定変更が必要になる。このため、受電側の負荷状態を、安定して精度良く検出することが難しいという課題がある。
【0076】
この点、本実施形態の負荷状態検出回路(位相検出回路)30は、図4(B)に示すように、第1、第2の信号SS1、SS2の差分信号により、位相差を検出して受電側の負荷状態を検出する。具体的には、差分信号(差分信号に対応する信号)の電圧が基準電圧(しきい値電圧)VRを上回るタイミング(或いは下回るタイミング)と、基準クロック信号のエッジタイミングとの位相差を検出して、受電側の負荷状態を検出する。例えば図4(B)のD3に示す低負荷時には、差分信号の電圧が基準電圧VRを上回るタイミングTM3と、基準クロック信号のエッジタイミングとの位相差を検出する。またD4に示す高負荷時には、差分信号の電圧が基準電圧VRを上回るタイミングTM4と、基準クロック信号のエッジタイミングとの位相差を検出する。なお基準クロック信号は、例えば駆動クロック信号そのもの、或いは駆動クロック信号の位相をシフトした信号である。また基準クロック信号のエッジタイミングは、基準クロック信号の立ち上がりタイミング又は立ち下がりタイミングである。
【0077】
この場合に図4(B)の差分信号では、共振回路の正弦波の波形になっており、駆動波形の矩形波が除去されている。従って、電圧変動等の環境変動があった場合に、基準電圧VRの設定変更等を行わなくても、安定して精度良く位相差を検出できるようになる。従って、図4(A)のようにコイル端信号のみを用いる手法に比べて、位相差検出による負荷状態の検出を簡素に実現することが可能になる。
【0078】
図5に本実施形態の送電装置10、送電制御装置20等の詳細な構成例を示す。なお図5は本実施形態の構成の一例であり、本実施形態の構成はこれに限定されるものではない。
【0079】
図5では、送電装置10には、送電部12、送電制御装置20に加えて、波形モニター回路14が設けられている。また送電制御装置20には、制御部22、負荷状態検出回路30に加えて、発振回路24、駆動クロック生成回路25、ドライバー制御回路26が設けられている。また図5では、受電装置40の受電部42、負荷変調部46、給電制御部48、検出回路59の詳細な構成例が示されている。
【0080】
波形モニター回路14は、共振用コンデンサーC1の一端側の信号SS1と他端側の信号SS2をモニターするための回路である。この波形モニター回路14は、共振用コンデンサーC1の一端及び他端と、負荷状態検出回路30の第1の入力端子及び第2の入力端子との間に設けられる。例えば信号SS1、SS2は、送電制御装置20のICの最大定格電圧を超える場合がある。波形モニター回路14は、このような信号SS1、SS2を、負荷状態検出回路30によりモニターが可能な信号にして、負荷状態検出回路30に出力する。
【0081】
発振回路24は1次側のクロック信号を生成する。駆動クロック生成回路25は、発振回路24からのクロック信号に基づいて、駆動周波数を規定する駆動クロック信号DCKを生成する。ドライバー制御回路26は、駆動クロック生成回路25からの駆動クロック信号DCKや制御部22からの設定信号などに基づいて、送電制御信号を生成し、送電部12の第1、第2の送電ドライバーDR1、DR2に出力して、DR1、DR2を制御する。
【0082】
受電部42が含む整流回路43は、2次コイルL2の交流の誘起電圧を直流電圧に変換する。この整流回路43は、ダイオードDB1〜DB4により構成される。
【0083】
負荷変調部46は、ノードNB3、NB4の間に直列に設けられた抵抗RB3と、負荷変調用のトランジスターTB3(N型のCMOSトランジスター)を含む。この負荷変調用のトランジスターTB3は受電制御装置50の制御部52からの信号P3Qによりオン・オフ制御される。
【0084】
給電制御部48が含むレギュレーター49は、整流回路43での変換で得られた直流電圧VDCの電圧レベルを調整して、電源電圧VD5(例えば5V)を生成する。受電制御装置50は、例えばこの電源電圧VD5が供給されて動作する。
【0085】
給電用のトランジスターTB2(P型のCMOSトランジスター)は、受電制御装置50の制御部52からの信号P1Qにより制御される。具体的にはトランジスターTB2は、認証処理等を行う仮送電期間ではオフになり、通常送電開始後はオンになる。
【0086】
検出回路59が含む位置検出回路56は、信号ADINに基づいて、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正であるかを判断する。周波数検出回路60は、信号CCMPIの周波数(f1、f2)を検出する。満充電検出回路62は、負荷90のバッテリー94(2次電池)が、満充電状態(充電状態)になったか否かを検出する。
【0087】
負荷90は、バッテリー94の充電制御等を行う充電制御装置92を含む。この充電制御装置92(充電制御IC)は集積回路装置などにより実現できる。なお、スマートバッテリーのように、バッテリー94自体に充電制御装置92の機能を持たせてもよい。
【0088】
図5に示すように本実施形態では、負荷状態検出回路30は、差動アンプ32、位相差検出回路34、位相差測定回路38を含む。
【0089】
差動アンプ32は、第1の信号SS1と第2の信号SS2との差分信号に対応するアンプ出力信号AQを出力する。具体的には、第1の信号SS1と第2の信号SS2の差分信号を減衰させた信号を、アンプ出力信号AQとして出力する。例えば基準電圧VRを振幅中心とする信号AQを出力する。この差動アンプ32は、差動入力・シングルエンド出力のアンプであり、演算増幅器や抵抗により構成できる。
【0090】
位相差検出回路34は、差動アンプ32からのアンプ出力信号AQと基準クロック信号との位相差を検出し、位相差信号PQを出力する。例えば、アンプ出力信号AQが基準電圧を上回るタイミング(或いは下回るタイミング)と、基準クロック信号のエッジタイミング(立ち上がりタイミング又は立ち下がりタイミング)との位相差を検出する。或いは、アナログの正弦波信号であるアンプ出力信号AQと、基準クロック信号から生成されたアナログの正弦波信号との位相差を検出してもよい。なお基準クロック信号としては、例えば駆動クロック信号DCK自体又はDCKの位相をシフトした信号(位相を遅らせた信号)を採用できる。
【0091】
位相差測定回路38は、位相差検出回路34からの位相差信号PQに基づいて、アンプ出力信号AQと基準クロック信号との位相差を測定する。例えば位相差信号PQのパルス幅を、カウンタを用いたカウント処理等により測定する。或いは積分処理などのアナログ的な処理により位相差を測定してもよい。
【0092】
次に、送電側と受電側の動作の概要について、図6のフローチャートを用いて説明する。送電側は、電源投入されてパワーオンすると(ステップS1)、認証処理や位置検出処理等のための一時的な仮送電を開始する(ステップS2)。この電力伝送により、受電側の電源電圧が立ち上がり、受電制御装置50がパワーオンする(ステップS11)。すると受電側は、信号P1QをHレベルに設定する(ステップS12)。これによりトランジスターTB2がオフになり、負荷90との間の電気的な接続が遮断される。
【0093】
次に、受電側は、位置検出回路56を用いて、1次コイルL1と2次コイルL2の位置関係が適正か否かを判断する(ステップS13)。そして位置関係が適正である場合には、受電側はIDの認証処理を開始し、認証フレームを送電側に送信する(ステップS14)。具体的には図3(B)で説明した負荷変調により認証フレームのデータを送信する。
【0094】
送電側は、認証フレームを受信すると、IDが一致するか否かなどの判断処理を行う(ステップS3)。そしてID認証を許諾する場合には、許諾フレームを受電側に送信する(ステップS4)。具体的には図3(A)で説明した周波数変調によりデータを送信する。
【0095】
受電側は、許諾フレームを受信し、その内容がOKである場合には、無接点電力伝送を開始するためのスタートフレームを送電側に送信する(ステップS15、S16)。一方、送電側は、スタートフレームを受信し、その内容がOKである場合には、通常送電を開始する(ステップS5、S6)。そして受電側は信号P1QをLレベルに設定する(ステップS17)。これによりトランジスターTB2が共にオンになるため、負荷90に対する電力伝送が可能になり、負荷への電力供給(VOUTの出力)が開始する(ステップS18)。
【0096】
3.負荷状態検出回路
次に負荷状態検出回路30の種々の構成例について説明する。
【0097】
3.1 第1の構成例
図7に負荷状態検出回路30の第1の構成例を示す。図7において、波形モニター回路14は、送電制御装置20のICの外付け回路として設けられている。そして波形モニター回路14は、第1のACカップリング(DCカット)用コンデンサーCA1と第2のACカップリング用コンデンサーCA2を含む。コンデンサーCA1は、共振用コンデンサーC1の一端(ノードN1)と、負荷状態検出回路30の第1の入力端子との間に設けられる。コンデンサーCA2は、共振用コンデンサーC1の他端(ノードN2)と、負荷状態検出回路30の第2の入力端子との間に設けられる。
【0098】
また波形モニター回路14は、第1の入力側抵抗RA1と第2の入力側抵抗RA2を含む。抵抗RA1は、コンデンサーCA1と負荷状態検出回路30の第1の入力端子との間に設けられる。抵抗RA2は、コンデンサーCA2と負荷状態検出回路30の第2の入力端子との間に設けられる。
【0099】
差動アンプ32は、第1の信号SS1と第2の信号SS2の差分信号を例えば減衰(或いは増幅)させた信号を、アンプ出力信号AQとして出力する。この差動アンプ32は、演算増幅器OPと、第1の出力側抵抗RB1と、第2の出力側抵抗RB2を含む。演算増幅器OPは、第1の信号SS1に対応する第1の入力信号が第1の入力端子(非反転入力端子)に入力され、第2の信号SS2に対応する第2の入力信号が第2の入力端子(反転入力端子)に入力される。抵抗RB1は、演算増幅器OPの第1の入力端子と演算増幅器OPの出力端子との間に設けられる。抵抗RB2は、演算増幅器OPの第2の入力端子と基準電圧VRの供給ノードNRと間に設けられる。なお図7では、抵抗RA1、RA2を外付け部品として波形モニター回路14に設けているが、抵抗RA1、RA2を差動アンプ32に内蔵させてもよい。
【0100】
位相差検出回路34は、コンパレーターCPと、位相差出力回路EXRを含む。コンパレーターCPは、アンプ出力信号AQと比較用電圧VCとを比較する。位相差出力回路EXRは、コンパレーターCPからのコンパレーター出力信号CQと、基準クロック信号RCKとに基づいて、位相差信号PQを出力する。この位相差出力回路EXRは、例えば排他的論理和回路などにより構成できる。
【0101】
なお位相差検出回路34は図7の構成に限定されない。例えば正弦波のアンプ出力信号AQと、基準クロック信号RCKから生成された正弦波の信号との位相差をアナログ的に検出してもよい。具体的には、PLL等で用いられるチャージポンプ方式の位相差比較回路により位相差を検出する。
【0102】
位相差測定回路38は、位相差出力回路EXRからの位相差信号PQに基づいて位相差を測定する。例えば位相差信号PQのパルス幅の長さを測定する。
【0103】
図7において、波形モニター回路14のコンデンサーCA1、CA2は、信号SS1、SS2のDC成分をカットするACカップリング用コンデンサーとして機能する。このようにDC成分をカットすることで、差動アンプ32は、基準電圧VRを振幅中心とする正弦波のアンプ出力信号AQを出力することが可能になる。
【0104】
波形モニター回路14、差動アンプ32に設けられる抵抗RA1、RA2、RB1、RB2は、例えば信号の減衰用抵抗として機能する。例えば抵抗RA1、RA2の抵抗値をRAとし、抵抗RB1、RB2の抵抗値をRBとする。すると差動アンプ32は、減衰率AT=RB/RAで差分信号を減衰して、アンプ出力信号AQとして出力する。
【0105】
例えば1次コイルL1の誘起電圧信号である信号SS1、SS2は高電圧になる場合があり、この高電圧が送電制御装置20のICの入力端子に印加されると、ICの最大定格電圧を超えてしまう事態が生じる。
【0106】
この点、図7では、抵抗RA1、RA2、RB1、RB2により信号の振幅が減衰されるため、このような事態を防止できる。また抵抗RA1、RA2やコンデンサーCA1、CA2は、静電破壊等に対する保護素子としても機能することができる。
【0107】
なお波形モニター回路14は図7の構成に限定されない。例えば演算増幅器OPの第1、第2の入力端子のノードに、電圧をクランプするためのダイオード(ツェナーダイオード等)を設けてもよい。このようなダイオードを設ければ、演算増幅器OPに電源が供給されない場合等に、演算増幅器OPの第1、第2の入力端子の電圧が所定電圧以上にならないようにクランプできる。
【0108】
また図7では、ノードNRが基準電圧VRに設定されることで、差動アンプ32は、基準電圧VRを振幅中心としたアンプ出力信号AQを出力できる。そしてコンパレーターCPは、比較用電圧VC=VRと、アンプ出力信号AQの電圧を比較して、コンパレーター出力信号CQを出力する。このように図7では、基準電圧VRと比較用電圧VCが同じ電圧に設定されている。そして位相差出力回路EXRは、コンパレーター出力信号CQと基準クロック信号RCKとの排他的論理和をとることで、位相差信号PQを出力する。
【0109】
3.2 第2の構成例
図8に負荷状態検出回路30の第2の構成例を示す。図8では、図7の構成に加えて、位相シフト回路36が更に設けられている。
【0110】
ここで位相シフト回路36は、1次コイルL1の駆動クロック信号DCKの位相をシフトした信号を、基準クロック信号RCKとして出力する。具体的にはアンプ出力信号AQの信号遅延を補償するために、駆動クロック信号DCKの位相を遅らせた信号を基準クロック信号RCKとして出力する。例えば図8では、駆動クロック信号DCKの位相を90度だけ遅らせた信号を基準クロック信号RCKとして出力している。この位相シフト回路36は、例えばキャパシタ、抵抗等を用いた遅延回路などにより実現できる。またアンプ出力信号AQの信号遅延時間(後述するTDL)に対応する位相をθとした場合に、位相シフト回路36による位相の遅れの範囲は例えばθ〜180度とすることができる。
【0111】
次に、図8の第2の構成例を例にとり、本実施形態の動作を図9(A)、図9(B)の信号波形例を用いて説明する。
【0112】
図9(A)は、図5で説明した負荷変調用トランジスターTB3がオフ(負荷変調オフ)の場合の信号波形である。図9(A)において、基準クロック信号RCKは、図示しない駆動クロック信号DCKの位相を90度だけ遅らせた信号になっている。またアンプ出力信号AQは、信号SS1、SS2の差分信号を減衰すると共に、基準電圧VRを振幅中心とした信号になっている。
【0113】
コンパレーターCPは、アンプ出力信号AQと、比較用電圧VC=VRとを比較することで、コンパレーター出力信号CQを出力する。例えば信号AQの電圧が比較用電圧VC=VRを上回るタイミングをTMA1とし、下回るタイミングをTMA2とする。するとコンパレーターCPは、タイミングTMA1でHレベルになり、タイミングTMA2でLレベルになる信号CQを出力する。
【0114】
位相差出力回路EXRは、コンパレーター出力信号CPと基準クロック信号RCKとの排他的論理和をとることで、位相差信号PQを出力する。例えば基準クロック信号RCKの立ち上がりタイミングをTMEとする。すると位相差出力回路EXRは、タイミングTMA1でHレベルになり、タイミングTMEでLレベルになる位相差信号PQを出力する。この位相差信号PQは、アンプ出力信号AQと基準クロックRCKとの位相差に相当するパルス幅期間TPを有するパルス信号になる。このパルス幅期間TPは、アンプ出力信号AQの電圧が比較用電圧VC=VRを上回るタイミングTMA1から、基準クロック信号のエッジタイミングTMEまでの期間である。そして位相差測定回路38はこのパルス幅期間TPを測定することで、位相差を測定する。例えばクロック信号に基づくカウント処理により、パルス幅期間TPの長さを測定する。
【0115】
図9(B)は、負荷変調用トランジスターTB3がオン(負荷変調オン)の場合の信号波形である。トランジスターTB3がオンになって、受電側の負荷(負荷電流)が増加すると、図9(B)のE1に示すように、アンプ出力信号AQの位相がシフトする(位相が早まる)。そしてコンパレーター出力信号CQは、信号AQがVC=VRを上回るタイミングTMA1と下回るタイミングTMA2とで規定される信号になっているため、信号AQの位相のシフトにより、信号CQの位相もE2に示すようにシフトする。従って、図9(A)のE3と図9(B)のE4を比較すれば明らかなように、信号CQと基準クロック信号RCKとの排他的論理和により生成される位相差信号PQのパルス幅期間TPは、図9(A)に比べて長くなる。
【0116】
このように図9(A)、図9(B)では、負荷変調用トランジスターTB3がオフの場合には位相差TPが短くなり、TB3がオンの場合には位相差TPが長くなる。従って、受電側のトランジスターTB3のオン・オフを、送電側において検出できるようになり、受電側から送電側に送信されたデータを検出することが可能になる。
【0117】
次に図8の位相シフト回路36を設けた理由について、図10(A)〜図10(C)の信号波形例を用いて説明する。
【0118】
図10(A)は、図7のように位相シフト回路36による位相シフトを行わない場合で、受電側の負荷電流IL=0(無負荷)の場合の信号波形である。
【0119】
図10(A)では、基準クロック信号RCKとして駆動クロック信号DCKが用いられている。そして図10(A)のF1に示すように、アンプ出力信号AQは回路遅延により遅延時間TDLだけ位相が遅れる。この遅延時間TDLは、図5の駆動クロック生成回路25から、ドライバー制御回路26、送電部12、波形モニター回路14を介して、差動アンプ32に至る経路での回路遅延時間に相当する。そして図10(A)のF2に示すように、この遅延時間TDLと、コンパレーターCPの回路遅延時間の分だけ、コンパレーター出力信号CPの位相も遅れる。従って位相差信号PQはF3に示すようなパルス幅期間TPを有する信号になる。
【0120】
図10(B)は、位相シフトを行わない場合で、受電側の負荷電流ILを増加させた場合の信号波形である。
【0121】
図10(B)のF4は負荷電流IL=0の場合のアンプ出力信号AQの信号波形であり、F5はIL>0の場合のAQの信号波形である。負荷電流ILが増加すると、F6に示すようにアンプ出力信号AQの位相が早まる。これに従い、F7に示すようにコンパレーター出力信号CQの位相も早まる。この結果、F8に示すように、パルス幅期間TPが0になってしまう問題が生じる。即ち、負荷電流IL=0の場合にはパルス幅期間TP>0であったのに対して、負荷電流ILが増加して所定値になると、パルス幅期間TPが0になり、信号PQのパルス波形が消失してしまう。
【0122】
図10(C)は、図8の位相シフト回路36により位相シフトを行った場合で、受電側の負荷電流ILを増加させた場合の信号波形である。
【0123】
位相シフト回路36により位相シフトを行うことで、図10(C)のF9に示すように、基準クロック信号RCKは、駆動クロック信号DCKよりも位相が遅れた信号になる。具体的にはF9では90度だけ位相が遅れている。すると、負荷電流IL=0の場合にはアンプ出力信号AQはF10に示す波形になり、IL>0の場合にはF11に示す信号波形になる。これによりコンパレーター出力信号CQはF12に示す波形になり、位相差信号PQのパルス幅期間TPはF13に示すように変化する。即ち負荷電流IL=0の場合にはパルス幅期間TPは短く、ILが増加するとTPは長くなる。
【0124】
図10(B)のF8と図10(C)のF13を比較すれば明らかなように、位相シフト回路36による位相シフトを行うことで、位相差信号PQのパルス波形が消失してしまう事態を防止できる。これにより、受電側の負荷電流を増減させた場合にも、適正な負荷状態検出を実現できる。
【0125】
例えば送電側と受電側との間で、認証情報のみならず、一般的なアプリケーションデータ等のデータについても通信できることが望ましい。即ち、図6のステップS3、S4、S14、S15の認証フレームや許諾フレームの通信と同様に、アプリケーションデータ等のデータについてもコイル間通信を利用して送電側と受電側で送受信を行う。
【0126】
具体的には、送電側ホストと通信するための送電側ホストインターフェースを送電制御装置20に設けると共に、受電側ホストと通信するための受電側ホストインターフェースを受電制御装置50に設ける。そして、送電側ホストから受電側ホストにデータを送信する場合には、送電側ホストが送電側ホストインターフェースを介して、送電制御装置20の図示しないレジスターにアクセスして、データを書き込む。そして送電側から受電側に対して例えば周波数変調によりデータを送信する。一方、受電側ホストから送電側ホストにデータを送信する場合には、受電側ホストが受電側ホストインターフェースを介して、受電制御装置50の図示しないレジスターにアクセスして、データを書き込む。そして受電側から送電側に対して例えば負荷変調によりデータを送信する。このようにすることで、送電側ホストと受電側ホストとの間で、コイル間通信によるデータの送受信が可能になる。
【0127】
そして、このような送電側ホストと受電側ホストとの間でのデータ通信は、図6のステップS6の通常送電開始後においても実行できることが望ましい。
【0128】
ところが、通常送電開始後は、受電側の負荷90に流れる負荷電流が変動する。例えばバッテリー94の充電量が少ない場合には負荷電流は大きいが、満充電状態に近づくと、負荷電流は小さくなる。また負荷90は、バッテリー94には限定されず、その消費電流が変動するデバイスであってもよく、その場合にはそのデバイスの消費電流に応じて負荷電流が変動する。
【0129】
そしてこのように受電側の負荷電流が変動すると、図5の負荷変調部46により負荷変調を実行した場合に、送電側がこの負荷変調による送信データを適正に受信することが難しくなる。このため比較例の手法では、図5の給電制御部48の給電制御用トランジスターTB2をオフにし、負荷90での負荷変動を無視できる状態にして、受電側から送電側へのデータ通信を実行する。
【0130】
しかしながら、この比較例の手法では、データ通信中は、給電制御用トランジスターTB2がオフになり、負荷90に対して電力が供給されなくなるため、負荷90への電力の送電効率が低下する。一方、送電効率を向上させるために、給電制御用トランジスターTB2のオフ期間を短くすると、今度はデータ転送効率が低下する。
【0131】
そこで、送電効率の向上とデータ転送効率の向上を両立するためには、給電制御用トランジスターTB2をオンにして、負荷90への電力伝送を実行しながら、同時にデータ通信も実行する常時通信方式を採用することが望ましい。そして、このような常時通信方式を実現するためには、受電側の負荷電流が変動した場合にも、受電側の負荷変調部46による負荷変調を、送電側が適正に検出できるようにすることが望ましい。
【0132】
この点、図8の第2の構成例のように位相シフト回路36により位相シフトを行う手法によれば、図10(C)に示すように、受電側の負荷電流が変動した場合にも、位相差信号PQのパルス波形が消失してしまうことが防止される。従って、受電側の負荷電流が例えば0〜数アンペアというような範囲で変動する場合にも、受電側の負荷変調部46による負荷変調を、送電側が適正に検出できるようになり、常時通信方式による適正なデータ通信を実現できる。
【0133】
なお、負荷領域(負荷電流が変化する範囲)が限定される場合等には、図7の第1の構成例のように位相シフトを行わなくてもよい。
【0134】
3.3 第3の構成例
図11に本実施形態の負荷状態検出回路30の第3の構成例を示す。図11では、差動アンプ32の基準電圧VRと、コンパレーターCPの比較用電圧VCとが、異なる電圧に設定されている。例えばコンパレーターCPにヒステリシス特性を持たせることで、比較用電圧VCを基準電圧VRと異なる電圧に設定する。
【0135】
具体的には図11において差動アンプ32は、基準電圧VRを振幅中心とした信号AQを出力する。そしてコンパレーターCPは、信号AQの立ち上がり時には、例えばVC=VR+VHのしきい値電圧で、信号AQの電圧とVCの比較処理を行って、信号CQを出力する。一方、信号AQの立ち下がり時には、例えばVC=VR−VHのしきい値電圧で、信号AQの電圧とVCの比較処理を行って、信号CQを出力する。このようなヒステリシス特性は、コンパレーターCPの出力信号CQをフィードバックし、信号CQの電圧レベルに応じてコンパレーターCPのしきい値電圧を制御することで実現できる。
【0136】
次に図12(A)〜図12(C)の信号波形を用いて、第3の構成例の動作について説明する。
【0137】
図12(A)は、ヒステリシス特性がない場合(ヒステリシス電圧VH=0)で、受電側の負荷電流が小さい場合の信号波形である。図5の負荷変調部46の負荷変調用トランジスターTB3がオフの場合(負荷変調オフの場合)には、アンプ出力信号AQの波形はG1に示すようになり、TB3がオンの場合(負荷変調オンの場合)には、信号AQの波形はG2に示すようになる。即ちトランジスターTB3のオン・オフに応じて、信号AQの位相が変化する。これにより、G3に示すようにコンパレーター出力信号CQの位相も変化し、G4に示すように位相差信号PQのパルス幅期間TPも変化する。従って、このパルス幅期間TPの長さを測定することで、受電側での負荷変調を送電側において検出できる。
【0138】
また図12(B)は、ヒステリシス特性がない場合で、受電側の負荷電流が大きい場合の信号波形である。負荷変調用トランジスターTB3がオフの場合には、アンプ出力信号AQの波形はG5に示すようになり、TB3がオンの場合には、信号AQの波形はG6に示すようになる。
【0139】
ところが、このように受電側の負荷電流が大きい場合には、コンパレーターCPにヒステリシス特性を持たせずに、比較用電圧VC=VRに設定すると、G7に示すようにコンパレーター出力信号CPの位相は変化しなくなる。この結果、G8に示すように位相差信号PQのパルス幅期間TPも変化しなくなるため、受電側の負荷変調を送電側において検出できなくなる。
【0140】
一方、図12(C)は、図11の第3の構成例のようにヒステリシス特性を設けた場合で、受電側の負荷電流が大きい場合の信号波形である。負荷変調用トランジスターTB3がオフの場合には、アンプ出力信号AQの波形はG9に示すようになり、TB3がオンの場合には、信号AQの波形はG10に示すようになる。そしてG11に示すヒステリシス特性では、信号AQの立ち上がり時には、コンパレーターCPの比較用電圧はVC=VR+VHに設定され、信号AQの立ち下がり時には、VC=VR−VHに設定される。
【0141】
従って、G9(TB3オフ)の場合には、信号AQの電圧がVC=VR+VHを上回るタイミングTMB1で、コンパレーターCPの出力信号CQがHレベルになり、信号AQの電圧がVC=VR−VHを下回るタイミングTMB2で、信号CQがLレベルになる。またG10(TB3オン)の場合には、信号AQの電圧がVC=VR+VHを上回るタイミングTMC1で、信号CQがHレベルになり、信号AQの電圧がVC=VR−VHを下回るタイミングTMC2で、信号CQがLレベルになる。
【0142】
これによりG12に示すように信号CQの位相が変化する。この結果、G13に示すように位相差信号PQのパルス幅期間TPも変化し、このパルス幅期間TPの長さを測定することで、受電側での負荷変調を送電側において検出できるようになる。
【0143】
即ち、ヒステリシス特性を設けない場合には、負荷電流が大きい場合に図12(B)のG8に示すようにパルス幅期間TPは変化しなくなってしまうが、ヒステリシス特性を設ければ、負荷電流が大きい場合に図12(C)のG13に示すようにパルス幅期間TPが変化するようになる。この結果、負荷電流の大小に依存せずに、パルス幅期間TPを計測して、受電側の負荷変調を検出することが可能になる。
【0144】
例えば前述のように、常時通信の場合には、受電側の負荷電流(本負荷90に流れる電流)が変動した場合にも、負荷変調用トランジスターTB3のオン・オフを送電側において適切に検出できる必要がある。この点、本実施形態の手法によれば、図12(C)に示すように、受電側の負荷電流の大小に依存せずに、負荷変調用トランジスターTB3のオン・オフを検出できるため、常時通信の実現も容易化できる。
【0145】
3.4 第4の構成例
図13に本実施形態の負荷状態検出回路30の第3の構成例を示す。図13では、差動アンプ32と位相検出回路34の間にローパスフィルター37を設けている。このローパスフィルター37は、演算増幅器OPの出力ノードとコンパレーターCPの入力ノードとの間に設けられた抵抗RCと、当該入力ノードと基準電圧VRの供給ノードNRとの間に設けられたキャパシタCCを含む。
【0146】
即ち、信号SS1、SS2には、送電ドライバーDR1、DR2による駆動に伴い、高周波のノイズが重畳する。このため、差動アンプ32の出力信号AQにも高周波のノイズが重畳されてしまう。そして信号AQにノイズが重畳されると、チャタリングにより、信号AQが入力されるコンパレーターCPの比較動作に誤動作が生じてしまう。
【0147】
この点、図13の第4の構成例では、差動アンプ32の出力側にローパスフィルター37が設けられているため、信号AQに重畳される高周波のノイズを除去でき、チャタリングを防止できる。これにより、このノイズに起因するコンパレーターCPの誤動作を防止できる。
【0148】
以上では負荷状態検出回路30の第1〜第4の構成例を説明したが、本実施形態の負荷状態検出回路30はこれらの構成に限定されるものではない。例えば図13において位相シフト回路36を設けなかったり、ヒステリシス特性を持たせない変形実施も可能である。同様に図11において、コンパレーターCPにヒステリシス特性を設ける一方で、位相シフト回路36を設けない変形実施も可能である。
【0149】
また図14に示すように、第1、第2の入力側抵抗RA1、RA2を、波形モニター回路14に設けずに、送電制御装置20の差動アンプ32に設けるようにしてもよい。即ち第1、第2の入力側抵抗RA1、RA2を外付け部品として設けるのではなく、送電制御装置20のICに内蔵させてもよい。このようにすることで外付け部品点数を減らすことが可能になる。図8、図11、図13の第2、第3、第4の構成例においても第1、第2の入力側抵抗RA1、RA2を差動アンプ32に設けるようにしてもよい。
【0150】
また本実施形態では、抵抗RA1、RA2、RB1、RB2を減衰用抵抗として用いる場合について主に説明したが、抵抗RA1、RA2、RB1、RB2を増幅用抵抗として用いてもよい。例えばRA1、RA2の抵抗値をRAとし、RB1、RB2の抵抗値をRBとしたとすると、RB<RAに設定すれば減衰用抵抗になり、RB>RAに設定すれば増幅用抵抗になる。そしてRB>RAに設定することで、差動アンプ32は、第1の信号SS1と第2の信号SS2の差分信号を増幅させた信号を、アンプ出力信号AQとして出力することになる。例えば第1、第2の信号SS1、SS2の振幅が小さい場合(微少である場合)には、RB>RAに設定することで、位相差検出等の容易化を図れる。
【0151】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また本実施形態及び変形例の全ての組み合わせも、本発明の範囲に含まれる。また送電制御装置、送電装置、負荷状態検出回路、電子機器の構成・動作や、負荷状態の検出手法、位相差の検出手法等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0152】
L1 1次コイル、L2 2次コイル、10 送電装置、12 送電部、
14 波形モニター回路、20 送電制御装置、22 制御部(送電側)、
24 発振回路、25 駆動クロック生成回路、26 ドライバー制御回路、
30 負荷状態検出回路、32 差動アンプ、34 位相差検出回路、
36 位相シフト回路、37 ローパスフィルター、38 位相差測定回路、
40 受電装置、42 受電部、43 整流回路、46 負荷変調部、
48 給電制御部、50 受電制御装置、52 制御部(受電側)、
56 位置検出回路、59 検出回路、60 周波数検出回路、62 満充電検出回路、
90 負荷、92 充電制御装置、94 バッテリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記送電装置に設けられる送電制御装置であって、
受電側の負荷状態を検出する負荷状態検出回路を含み、
前記負荷状態検出回路は、
前記1次コイルと共に共振回路を構成する共振用コンデンサーの一端側からの第1の信号と、前記共振用コンデンサーの他端側からの第2の信号との差分信号に基づいて、受電側の負荷状態を検出することを特徴とする送電制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記負荷状態検出回路は、
前記第1の信号と前記第2の信号との前記差分信号に対応するアンプ出力信号を出力する差動アンプと、
前記差動アンプからの前記アンプ出力信号と基準クロック信号との位相差を検出し、位相差信号を出力する位相差検出回路を含むことを特徴とする送電制御装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記負荷状態検出回路は、
前記位相差検出回路からの前記位相差信号に基づいて前記位相差を測定する位相差測定回路を含むことを特徴とする送電制御装置。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記差動アンプは、
基準電圧を振幅中心とする前記アンプ出力信号を出力することを特徴する送電制御装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかにおいて、
前記差動アンプは、
前記第1の信号と前記第2の信号の前記差分信号を減衰させた信号を、前記アンプ出力信号として出力することを特徴する送電制御装置。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
前記差動アンプは、
前記第1の信号に対応する第1の入力信号が第1の入力端子に入力され、前記第2の信号に対応する第2の入力信号が第2の入力端子に入力される演算増幅器と、
前記第1の入力端子と前記演算増幅器の出力端子との間に設けられた第1の出力側抵抗と、
前記第2の入力端子と基準電圧の供給ノードと間に設けられた第2の出力側抵抗とを含むことを特徴とする送電制御装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかにおいて、
前記位相差検出回路は、
前記アンプ出力信号と比較用電圧とを比較するコンパレーターと、
前記コンパレーターからのコンパレーター出力信号と、前記基準クロック信号とに基づいて、前記位相差信号を出力する位相差出力回路を含むことを特徴とする送電制御装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記基準電圧と前記比較用電圧が同じ電圧に設定されていることを特徴とする送電制御装置。
【請求項9】
請求項7において、
前記基準電圧と前記比較用電圧が異なる電圧に設定されていることを特徴とする送電制御装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記コンパレーターにヒステリシス特性を持たせることで、前記基準電圧と前記比較用電圧が異なる電圧に設定されることを特徴とする送電制御装置。
【請求項11】
請求項2乃至10のいずれかにおいて、
前記負荷状態検出回路は、
前記アンプ出力信号の信号遅延を補償するために、前記1次コイルの駆動クロック信号の位相を遅らせた信号を前記基準クロック信号として出力する位相シフト回路を含むことを特徴とする送電制御装置。
【請求項12】
請求項2乃至11のいずれかにおいて、
前記負荷状態検出回路は、
前記差動アンプと前記位相差検出回路との間に設けられたローパスフィルターを含むことを特徴とする送電制御装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれかにおいて、
前記負荷状態検出回路からの検出情報に基づいて、受電側の負荷状態を判定する制御部を含むことを特徴とする送電制御装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかにおいて、
前記共振用コンデンサーは、前記1次コイルを駆動する送電ドライバーの出力ノードに一端が接続され、前記1次コイルの前記コイル端ノードに他端が接続されるコンデンサーであることを特徴とする送電制御装置。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれかに記載の送電制御装置と、
交流電圧を生成して前記1次コイルに供給する送電部とを含むことを特徴とする送電装置。
【請求項16】
請求項15において、
前記共振用コンデンサーの一端及び他端と、前記負荷状態検出回路の第1の入力端子及び第2の入力端子との間に設けられた波形モニター回路を含むことを特徴とする送電装置。
【請求項17】
請求項16において、
前記波形モニター回路は、
前記共振用コンデンサーの前記一端と、前記負荷状態検出回路の前記第1の入力端子との間に設けられた第1のACカップリング用コンデンサーと、
前記共振用コンデンサーの前記他端と、前記負荷状態検出回路の前記第2の入力端子との間に設けられた第2のACカップリング用コンデンサーを含むことを特徴とする送電装置。
【請求項18】
請求項17において、
前記波形モニター回路は、
前記第1のACカップリング用コンデンサーと前記負荷状態検出回路の前記第1の入力端子との間に設けられた第1の入力側抵抗と、
前記第2のACカップリング用コンデンサーと前記負荷状態検出回路の前記第2の入力端子との間に設けられた第2の入力側抵抗と含むことを特徴とする送電装置。
【請求項19】
請求項15乃至18のいずれかに記載の送電装置を含むことを特徴とする電子機器。
【請求項20】
1次コイルと2次コイルを電磁的に結合させて送電装置から受電装置に対して電力を伝送し、前記受電装置の負荷に対して電力を供給する無接点電力伝送システムの前記送電装置に設けられ、受電側の負荷状態を検出する負荷状態検出回路であって、
前記1次コイルと共に共振回路を構成する共振用コンデンサーの一端側からの第1の信号と、前記共振用コンデンサーの他端側からの第2の信号との差分信号に対応するアンプ出力信号を出力する差動アンプと、
前記差動アンプからの前記アンプ出力信号と基準クロック信号との位相差を検出し、位相差信号を出力する位相差検出回路を含むことを特徴とする負荷状態検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−166659(P2010−166659A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5556(P2009−5556)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】