逆起電力サージ発生装置
【課題】誘導性素子により発生する逆起電力サージを、再現性よく忠実に発生させる。
【解決手段】直流電源102から誘導性素子L1に電源を供給する第1経路に設けられた第1のスイッチング手段S1と、直流電源から電流制限抵抗R1を介して誘導性素子に電源を供給する第2経路に設けられた第2のスイッチング手段S2と、第2経路に設けられた第1の電流検出器i1と、第1および第2経路と誘導性素子との間に設けられ、直流電源から誘導性素子への電源の供給を遮断する第3のスイッチング手段S3と、第1のスイッチング手段をオフした後、ランプ波発生器からのランプ波電圧と第1の電流検出器からの検出電圧とにより、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、前記第3のスイッチング手段をオフする制御装置103とを備えた。
【解決手段】直流電源102から誘導性素子L1に電源を供給する第1経路に設けられた第1のスイッチング手段S1と、直流電源から電流制限抵抗R1を介して誘導性素子に電源を供給する第2経路に設けられた第2のスイッチング手段S2と、第2経路に設けられた第1の電流検出器i1と、第1および第2経路と誘導性素子との間に設けられ、直流電源から誘導性素子への電源の供給を遮断する第3のスイッチング手段S3と、第1のスイッチング手段をオフした後、ランプ波発生器からのランプ波電圧と第1の電流検出器からの検出電圧とにより、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、前記第3のスイッチング手段をオフする制御装置103とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆起電力サージ発生装置に関し、より詳細には、誘導性素子である負荷を、スイッチ回路によりオン・オフ制御する際に発生する逆起電力サージを、電子機器等に印加するための逆起電力サージ発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のワイパー駆動回路等は、接点電極構造のスイッチによりモータのオン・オフ制御を行っている。このような回路は、構造的に簡単で安価なため、広く一般的に使われている。図1に、従来のモータ駆動回路の模式図を示す。モータ駆動回路2は、モータ1とバッテリー3との間に挿入されており、スイッチ4により、モータのオン・オフ制御を行う。モータは、コイルである誘導性素子に電流を流すことにより生ずる起電力を利用して回転力を得ている。
【0003】
このようなモータ駆動回路において、モータが動作中に、何らかの原因により突如バッテリーが遮断されると、モータのコイルに逆起電力サージが発生する。例えば、自動車のワイパー駆動回路の場合、逆起電力サージは、モータ駆動回路を介して、自動車に搭載される電子機器等を故障させることがある。
【0004】
そこで、モータ駆動回路、電子機器等(以下、供試体という)の故障事故を未然に防止するために、予め電子機器等の逆起電力サージに対する耐量を試験・評価する必要がある。図2に、従来の逆起電力サージ試験装置の模式図を示す。逆起電力サージ試験装置5は、接点電極構造のスイッチで発生する逆起電力サージを模擬して、モータ駆動回路2等の電子機器に印加し、電子機器の逆起電力サージに対する耐量を測定する。
【0005】
次に、図3を参照して、逆起電力サージについて詳しく説明する。直流電源6に接続された誘導性素子7、例えばモータのコイルを接点電極構造のスイッチ8でオン・オフする。スイッチ8を閉じて(オン)通電状態とすると、誘導性素子7には、
【0006】
【数1】
【0007】
で表されるエネルギーが蓄積される。Lは誘導性素子7のインダクタンス、iは誘導性素子7を流れる電流である。スイッチ8を開く(オフ)と、誘導性素子7に蓄積されたエネルギーWは、コイルの巻き線間の放電、コイルの巻線抵抗によって熱消費される。
【0008】
図4に、スイッチの接点状態を示す。図4(a)は、スイッチの接点電極が接触し、導通している状態であり、以下、接点の状態Aという。図4(b)は、スイッチの接点電極が離れてはいるが、スイッチの接点電極間に続流が流れ続けている状態であり、以下、接点の状態Bという。図4(c)は、スイッチの接点電極が離れ、電流が遮断された状態であり、以下、接点の状態Cという。
【0009】
図5に、図3に示した回路における逆起電力サージの波形を示す。上から、サージ電圧、コイル電流および出力インピーダンスを示す。スイッチ8が接点の状態Aでは、一定の電圧、電流で誘導性素子7に電力が供給されている。このとき、誘導性素子7の抵抗値は、ほぼ0である。
【0010】
スイッチ8が接点の状態Bに移行すると、直流電源6から誘導性素子7への電力供給が停止するため、電圧波形は急激に降下する。このとき、コイルには磁束を保持するように電流を流そうとする働き(レンツの法則)があるため、電圧は0Vで留まらず、マイナスの電位まで降下する。接点の状態Bでは、スイッチの接点電極間に続流が流れ続け、図のようなサージ電圧、コイル電流が観測される。なお、電圧の降下量は、誘導性素子7のインダクタンス値および抵抗値、スイッチ8の構造によって定まる。
【0011】
スイッチ8が接点の状態Cに移行すると、続流が遮断され、誘導性素子7の残存エネルギーは、サージ波形となって消費される。
【0012】
誘導性素子7をエネルギー発生源とみなして、サージ電圧をコイル電流で除算して出力インピーダンスを算出する。スイッチ8が接点の状態Aでは、数百ミリΩ〜数Ωである。接点の状態Bでは、数Ω〜数百Ωに過渡的に変化し、接点の状態Cでは、数百Ωに達する。サージ電圧波形とコイル電流波形とは、直線的に変化しているにもかかわらず、出力インピーダンスは円弧状(非直線的)に変化する。
【0013】
また、誘導性素子7の蓄積エネルギーの大部分は、接点の状態Bの続流が持続する状態で消費され、逆起電力サージにより消費されるエネルギーは、全蓄積エネルギーの数%以下である。
【0014】
直流電源6の出力電圧を+12Vとしたとき、スイッチ8をオンからオフに移行した瞬間に発生するマイナス電圧は、およそ−1〜−10V程度である。接点の状態Bでは、マイナス電圧が徐々に大きくなっていき、続流の持続時間は約0.5〜2.5ms程度である。続流が遮断されると、−300〜−400V程度のサージ電圧が発生し、その後、スイッチ8は完全遮断状態となる。
【0015】
逆起電力eは、周知の通り
【0016】
【数2】
【0017】
と表すことができ、ここで、Nはコイルの巻数、φは磁束である。磁束φは、
【0018】
【数3】
【0019】
と表すことができ、ここで、Lは自己インダクタンス、Iはコイルに流れる電流である。逆起電力eは、結局
【0020】
【数4】
【0021】
となって、自己インダクタンスやコイルに流れる電流が大きいほど、大きな逆起電力サージが発生することになる。
【0022】
【非特許文献1】IEC61000-4-5, Edition 1.1 2001.4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
図6に、従来の逆起電力サージ試験装置の回路図を示す(例えば、非特許文献1参照)。この回路においては、高圧電源Uから充電抵抗Rcを介して、エネルギー蓄積キャパシタCcに電力を蓄積する。次に、スイッチSWを閉じて、エネルギー蓄積キャパシタCcを放電させて、サージ波形を発生させる。サージ波形は、パルス幅形成抵抗Rs、インピーダンス整合抵抗Rm、および立上り時間形成インダクタLrを適宜選択することにより、所望の逆起電力サージ波形を擬似することができる。
【0024】
図7に、逆起電力サージ試験装置における逆起電力サージの波形を示す。図6に示した回路の出力端に誘導性素子を接続した場合のサージ電圧波形である。しかしながら、従来の逆起電力サージ試験装置は、出力インピーダンスが原理的に一定の値を取ることとなり、出力インピーダンスの過渡的な変化は生じない。また、サージ電圧波形は、図5に示したサージ電圧波形とは著しく異なるため、誘導性素子である負荷を、スイッチ回路によりオン・オフ制御する際に発生する逆起電力サージを印加していることにならないという問題があった。
【0025】
図8に、従来の逆起電力サージを印加するための第1の方法を示す。DC電源9を実際に使用するコイル11に接続し、スイッチ10を開閉させて、逆起電力サージを発生させる。この方法は、スイッチ10を手動または機械的な方法で切り替えることにより、コイル11に流れる電流を遮断する。従って、逆起電力サージ波形の再現性に乏しく、定量的な評価試験を行うことは難しいという問題があった。
【0026】
図9に、従来の逆起電力サージを印加するための第2の方法を示す。サージ発生装置12とバイポーラ出力型DC電源13とを並列に接続し、シーケンス動作させることにより、逆起電力サージ発生させる。図10に、第2の方法における電圧波形を示す。図10(a)はバイポーラ出力型DC電源13の出力波形であり、図10(b)はサージ発生装置12の出力波形である。この2つを結合することにより、図10(c)に示した逆起電力サージ波形を得ることができる。
【0027】
図10(c)に示したサージ電圧波形は、図5に示したサージ電圧波形と類似している。しかしながら、スイッチが接点の状態Bにあるとき、逆起電力サージ試験装置の出力インピーダンスは、バイポーラ出力型DC電源13の出力インピーダンスに等しい。バイポーラ出力型DC電源13の出力インピーダンスは、数十mΩ程度の一定値を取るのが一般的である。従って、上述したこの誘導性素子により逆起電力サージを発生させる場合の、誘導性素子の出力インピーダンスと比較して、極端に小さな値を取る。その結果、逆起電力サージ試験装置に接続される供試体に印加されるサージエネルギーが過大となり、供試体を破壊してしまう恐れがあるという問題もあった。
【0028】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、誘導性素子により発生する逆起電力サージを、再現性よく忠実に発生させるための逆起電力サージ発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、誘導性素子の逆起電力を利用してサージを発生させ、供試体に印加する逆起電力サージ発生装置において、直流電源から前記誘導性素子に電源を供給する第1経路に設けられた第1のスイッチング手段と、前記直流電源から電流制限抵抗を介して前記誘導性素子に電源を供給する第2経路に設けられた第2のスイッチング手段と、前記第2経路に設けられた第1の電流検出器と、前記第1経路および前記第2経路と前記誘導性素子との間に設けられ、前記直流電源から前記誘導性素子への電源の供給を遮断する第3のスイッチング手段と、前記第1のスイッチング手段をオフした後、ランプ波発生器からのランプ波電圧と前記第1の電流検出器からの検出電圧とにより、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、前記第3のスイッチング手段をオフする制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0030】
前記第1の電流検出器は、前記検出電圧を生成する抵抗とインダクタとが直列に接続されていることが好ましい。
【0031】
一実施態様によれば、前記制御装置は、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、所定時間経過した場合、前記第1の電流検出器からの検出電圧が所定の値以下になった場合のいずれかにおいて、前記第3のスイッチング手段をオフすることを特徴とする。
【0032】
他の実施態様によれば、前記誘導性素子と前記供試体との間に設けられた第2の電流検出器を備え、前記制御装置は、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、前記第2の電流検出器からの検出電圧が所定値以上となったとき、前記第3のスイッチング手段をオフし、前記第2の電流検出器からの検出電圧が所定値未満のとき、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、所定時間経過した場合、前記第1の電流検出器からの検出電圧が所定の値以下になった場合のいずれかにおいて、前記第3のスイッチング手段をオフすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、誘導性素子の逆起電力を利用してサージを発生させる場合に、ランプ波発生器からのランプ波電圧と第1の電流検出器からの検出電圧とにより、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、前記第3のスイッチング手段をオフすることにより、誘導性素子の出力インピーダンスを忠実に再現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。逆起電力サージは、誘導性素子の出力インピーダンスにより決まるため、逆起電力サージ試験装置は、誘導性素子の出力インピーダンスを忠実に再現して、逆起電力サージを供試体に印加する必要がある。また、過大なサージエネルギーが供試体に加わることによって、供試体が破損しないためにも、誘導性素子の出力インピーダンスを忠実に再現することは極めて重要である。
【0035】
(第1の実施形態)
図11に、本発明の第1の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置を示す。逆起電力サージ試験装置は、逆起電力サージ発生装置101と直流電源102と制御装置103とから構成されている。逆起電力サージ発生装置101は、逆起電力サージ発生用のインダクタL1を用いて、出力インピーダンスの変化を忠実に再現して、逆起電力サージを供給することができる。逆起電力サージ発生装置101は、直流電源102からインダクタL1に電源を供給する第1経路に設けられた第1のスイッチング手段(トランジスタS1)と、直流電源102から電流制限用の抵抗器R1を介してインダクタL1に電源を供給する第2経路に設けられた第2のスイッチング手段(トランジスタS2)と、第1経路および第2経路とインダクタL1との間に第3のスイッチング手段(トランジスタS3)と、第2経路に設けられた電流検出器i1とを備えている。
【0036】
図12は、本発明の第1の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置の試験方法を示すフローチャートである。また、図13に、制御装置103がトランジスタS1〜S3を制御する制御信号を示す。最初に、トランジスタS1〜S3を全てオンとし、インダクタL1に電源を供給する(ステップ201)。その後、図5に示した接点の状態Aの時間t1経過後にトランジスタS1のみをオフにして、トランジスタS2のアナログ制御を開始する(ステップ202)。制御装置103は、タイマー回路またはCPUとメモリを組み合わせてプログラムによりS1制御信号を生成する。その後、接点の状態Aおよび状態Bが経過した時間t2の後にトランジスタS3をオフにする(ステップ203)。なお、図21を参照して後述するように、電流検出器i1で検出された値が、所定の値以下となった時に、トランジスタS3をオフすることもできる。以下、順に説明する。
【0037】
ステップ202において、トランジスタS1がオフになると、トランジスタS2はオンのままなので、電流はトランジスタS2側のみに流れる。抵抗器R1の両端電圧をVrとし、抵抗器R1に流れる電流をIrとすれば、
Vr=Ir×R1 (4)
と表される。第1の実施形態では、抵抗器R1の一方が基準電位(GND)に接続されているため、抵抗器R1の両端電圧は、
Vr=−Ir×R1 (5)
となり、抵抗器R1には、GND電位を基準にマイナスの電位差が生じる。なお、抵抗器R1を可変抵抗器にすれば、各種のスイッチの構造に対応したマイナス電圧を得ることができる。
【0038】
次に、トランジスタS2のアナログ制御について、詳しく説明する。アナログ制御とは、トランジスタS2を電流源として動作させることをいう。トランジスタS1がオフしても、トランジスタS2はオンのままなので、直流電流がトランジスタS2と抵抗器R1を介してインダクタL1に流れ込んでいる。トランジスタS2を固定電圧で制御していると、トランジスタS2を流れる電流は、インダクタL1に吸い込まれ、図5に示したような右下がりの直線的なサージ電圧波形にはならない。図14に、トランジスタS2を固定電圧で制御した場合の逆起電力サージの波形を示す。
【0039】
そこで、第1の実施形態では、インダクタL1に流れ込む電流を、トランジスタS2の入力電圧で制御する。トランジスタS2の入力電圧を変化させることにより、インダクタL1に流れ込む電流を調整し、トランジスタS2が電流源として動作するように制御する。具体的には、制御装置103内にランプ波発生器を備え、トランジスタS2をランプ電圧で制御する。
【0040】
図15は、制御装置内のランプ波発生器を示す回路図である。ランプ波発生器は、トランジスタS1のS1制御信号をトリガー信号として入力し、トランジスタS2へS2制御信号を出力する。S1制御信号がLからHに変化すると、トランジスタTR1はオンとなり、トランジスタTR2はオフとなって、コンデンサCが充電状態になる。S1制御信号がHからLに変化すると、トランジスタTR1はオフとなり、トランジスタTR2はオンとなって、コンデンサCが放電状態になる。トランジスタTR3、抵抗R11、R12、R13は定電流源を構成している。放電電流は、トランジスタTR3、抵抗R13を介してマイナス電源に放電されるが、トランジスタTR3が定電流制御されているため、放電電流は定電流としてマイナス電源に放電される。オペアンプOP2は、コンデンサCの放電に従って、ランプ波電圧を出力する。このようにして生成されたランプ波電圧を、トランジスタS2のS2制御信号として出力する。なお、抵抗R13の値を変更すると、傾斜度の異なるランプ波電圧を得ることができる。
【0041】
しかしながら、接点の状態Bにおいては、図5に示したように、出力インピーダンスが円弧状(非直線的)に変化しているにもかかわらず、逆起電圧は直線的に変化しているため、トランジスタS2をランプ波電圧で制御するだけでは、依然として、接点の状態Bにおけるサージ電圧波形を忠実に再現することができない。図16に、トランジスタS2をランプ波電圧で制御した場合の逆起電力サージの波形を示す。逆起電力サージ発生装置101は、逆起電力サージ発生用のインダクタL1を用いて、出力インピーダンスの変化を再現しているが、接点の状態Bにおいては、インダクタL1のインピーダンスも図5に示すように非直線的(円弧状)に変化するため、この間のサージ電圧波形が、図16に示したように非直線的(円弧状)な波形になる。
【0042】
トランジスタS2の入力電圧、すなわちランプ波発生器からの出力波形をVsとし、トランジスタS2の出力インピーダンスをZo、トランジスタS2に流れる電流をIrとすれば、
Ir=Vs/Zo (6)
となるため、電流Irは、出力インピーダンスの変化と逆比例して、非直線的(円弧状)に変化する。
【0043】
そこで、第1の実施形態では、抵抗器R1に流れる電流を電流検出器i1で検出し、その検出信号をトランジスタS2に負帰還させる。ランプ波発生器からのランプ波電圧をトランジスタS2に入力し、電流検出器i1からの検出信号をトランジスタS2に負帰還させることにより、トランジスタS2を流れる電流がインダクタL1に吸い込まれてしまうことを抑制することができる。これにより、出力インピーダンスの変化を互いに打ち消しあい、接点の状態Bにおけるサージ電圧波形を、図5に示したように右下がりの直線波形を再現する。
【0044】
図17に、逆起電力サージ発生装置の電流検出器i1において電流検出を行う回路を示す。電流の検出は、図17(a)に示したシャント抵抗Rd、図17(b)に示したカレントトランスLdを用いて検出する。検出信号は、ランプ波発生器からのランプ波電圧に加算されて、トランジスタS2に負帰還させる。シャント抵抗RdとカレントトランスLdとは、基準信号と実際に計測される信号との時間ズレを極力抑えるために、高い周波数応答が必要である。
【0045】
しかしながら、インダクタL1に流れる電流は位相遅れがあるので、単に帰還回路で電流制御を行うと、帰還される電流の位相がずれてしまうため、サージ電圧波形は歪んだ波形となる。図18に、トランジスタS2を帰還制御した場合の逆起電力サージの波形を示す。インダクタL1を負荷とする理想回路では、検出電圧はπ/2の遅れ位相となる。そのため、シャント抵抗またはカレントトランスで電流を検出すると、制御信号に対し位相ズレを起こした検出信号が帰還回路に入力されてしまい、所望の電流制御ができない。
【0046】
図19に、第1の実施形態にかかる電流検出器の構成を示す。第1の実施形態では、検出電圧を生成するシャント抵抗R2とインダクタL2とを直列に接続する。電流/電圧変換をシャント抵抗に受け持たせ、位相補正をインダクタに受け持たせることで、続流が持続する状態での波形を忠実に再現する。なお、シャント抵抗R2とインダクタL2とは、コイル電流が検出される箇所に設置すればよく、必ずしもトランジスタS2とインダクタL1との間に接続する必要はない。
【0047】
以上述べたように、トランジスタS2の入力電圧を変化させることにより、インダクタL1に流れ込む電流を調整すること、ランプ波発生器からのランプ電圧で制御すること、電流検出器i1の検出信号を負帰還させること、および帰還回路の位相補正を行うことにより、トランジスタS2を電流源として動作させることができる。
【0048】
逆起電力サージ発生装置101は、第1経路および第2経路とインダクタL1との間に第3のスイッチング手段(トランジスタS3)を備えている。トランジスタS3は、直流電源102からインダクタL1への電源供給を遮断するための手段である。仮に、逆起電力サージ発生装置101にトランジスタS3を設けない場合には、図13のステップ203において、接点の状態Aおよび状態Bが経過した時間t2の後にトランジスタS2をオフする方法が考えられる。図20に、トランジスタS3を設けなかった場合の逆起電力サージの波形を示す。この場合は、立上り/立下り時間が、図5に示したサージ電圧波形よりも遅い波形が出力される。これは、トランジスタS2が、電流検出器i1の検出信号とランプ波発生器からのランプ波電圧とにより制御されており、ランプ波電圧をオフにしても、トランジスタS2が高速にスイッチング動作できないためである。
【0049】
そこで、第1の実施形態では、トランジスタS3を、逆起電力サージを発生させる専用のスイッチ手段として設けている。制御装置103は、タイマー回路またはCPUとメモリを組み合わせてプログラムによりS3制御信号を生成する。
【0050】
図21に、トランジスタS3を制御する他の例を示す。電流検出器i1で検出された検出信号を利用して、インダクタL1に流れる電流が所定の値以下となった時に、トランジスタS3をオフすることもできる。
【0051】
第1の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置は、インダクタL1のインダクタンスを選択し、接点の状態Aが経過した時間t1、および接点の状態Aおよび状態Bが経過した時間t2を経過後制御装置103により選択し、抵抗器R1の抵抗値を選択することにより、様々な逆起電力サージのサージ波形を出力することができる。すなわち、負荷となる誘導性素子の種類、スイッチの構造によって決まる続流の波形を、忠実に再現することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
例えば、自動車のワイパー駆動回路の場合、逆起電力サージへの対策として、ダイオードなどのサージ吸収素子(以下、サージアブゾーバという)を、電子機器の電源部に接続している。図22を参照して、サージアブゾーバが接続された誘導性素子により発生する逆起電力サージを説明する。スイッチ8を閉じて(オン)通電状態とすると、誘導性素子7には、エネルギーが蓄積される。スイッチ8を開く(オフ)と、誘導性素子7に蓄積されたエネルギーは、図に示した経路を還流して熱消費される。
【0053】
図23に、図22に示した回路における電圧/電流波形を示す。図23(a)は、インダクタL1の両端の電圧波形であり、図23(b)は、ダイオード12に流れる電流波形である。第2の実施形態では、このようなサージアブゾーバが接続された場合の逆起電力サージも忠実に再現できるようにする。
【0054】
図24に、本発明の第2の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置を示す。逆起電力サージ試験装置は、逆起電力サージ発生装置201と直流電源202と制御装置203とから構成されている。第2の実施形態では、電流検出器i2により、逆起電力サージ試験装置に接続された供試体に流れる電流を検出する。供試体に一定値以上の電流が流れ込んだ場合には、トランジスタS3を強制的にオフさせている。これにより、図23に示した逆起電力サージの波形を再現する。
【0055】
図25は、本発明の第2の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置の試験方法を示すフローチャートである。また、図26に、制御装置203がトランジスタS1〜S3を制御する制御信号を示す。最初に、トランジスタS1〜S3を全てオンとし、インダクタL1に電源を供給する(ステップ301)。その後、図5に示した接点の状態Aの時間t1経過後にトランジスタS1のみをオフにして、トランジスタS2のアナログ制御を開始する(ステップ302)。ステップ301およびステップ302の処理は、第1の実施形態に同じである。制御装置203は、タイマー回路またはCPUとメモリを組み合わせてプログラムによりS1制御信号を生成する。
【0056】
その後、電流検出器i2に流れる電流を検出し、検出信号が基準値を超えた場合には、トランジスタS3を強制的にオフにする(ステップ303)。従って、図26に示したように、接点の状態Aおよび状態Bが経過した時間t2の前に、トランジスタS3をオフする場合がある。電流検出器i2の検出信号が基準値を超えない場合には、ステップ304に移行する。ステップ304の処理は、第1の実施形態のステップ203に同じであり、接点の状態Aおよび状態Bが経過した時間t2の後にトランジスタS3をオフにする。
【0057】
図27に、供試体に流れる電流を検出する回路を示す。電流の検出は、例えば、カレントトランスLdを用いて検出する。電流検出器i2で検出された検出信号を、コンパレータCOMPにおいて基準値と比較し、検出信号が基準値を超えた場合には、トランジスタS3を制御する(ステップ303)。検出信号が基準値を超えない場合には、制御装置103からのS3制御信号により、トランジスタS3を制御する(ステップ304)。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】従来のモータ駆動回路の模式図である。
【図2】従来の逆起電力サージ試験装置の模式図である。
【図3】誘導性素子により発生する逆起電力サージを説明するための図である。
【図4】スイッチの接点状態を示す図である。
【図5】図3に示した回路における逆起電力サージの波形を示す図である。
【図6】従来の逆起電力サージ試験装置の回路図である。
【図7】逆起電力サージ試験装置における逆起電力サージの波形を示す図である。
【図8】従来の逆起電力サージを印加するための第1の方法を示す図である。
【図9】従来の逆起電力サージを印加するための第2の方法を示す図である。
【図10】第2の方法における逆起電力サージの波形を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置を示すブロック図である。
【図12】本発明の第1の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置の試験方法を示すフローチャートである。
【図13】第1の実施形態の制御装置がトランジスタS1〜S3を制御する制御信号を示す図である。
【図14】トランジスタS2を固定電圧で制御した場合の逆起電力サージの波形を示す図である。
【図15】制御装置内のランプ波発生器を示す回路図である。
【図16】トランジスタS2をランプ波電圧で制御した場合の逆起電力サージの波形を示す図である。
【図17】逆起電力サージ発生装置において電流検出を行う回路の模式図である。
【図18】トランジスタS2を帰還制御した場合の逆起電力サージの波形を示す図である。
【図19】第1の実施形態にかかる電流検出器の構成を示す図である。
【図20】トランジスタS3を設けなかった場合の逆起電力サージの波形を示す図である。
【図21】トランジスタS3を制御する一例を示す回路の模式図である。
【図22】サージアブゾーバが接続された誘導性素子により発生する逆起電力サージを説明するための図である。
【図23】図22に示した回路における電圧/電流波形を示す図である。
【図24】本発明の第2の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置を示すブロック図である。
【図25】本発明の第1の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置の試験方法を示すフローチャートである。
【図26】第2の実施形態の制御装置がトランジスタS1〜S3を制御する制御信号を示す図である。
【図27】供試体に流れる電流を検出する回路の模式図である。
【符号の説明】
【0059】
1 モータ
2 モータ駆動回路
3 バッテリー
4 スイッチ
5 逆起電力サージ試験装置
101,201 逆起電力サージ発生装置
102,202 直流電源
103,203 制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆起電力サージ発生装置に関し、より詳細には、誘導性素子である負荷を、スイッチ回路によりオン・オフ制御する際に発生する逆起電力サージを、電子機器等に印加するための逆起電力サージ発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のワイパー駆動回路等は、接点電極構造のスイッチによりモータのオン・オフ制御を行っている。このような回路は、構造的に簡単で安価なため、広く一般的に使われている。図1に、従来のモータ駆動回路の模式図を示す。モータ駆動回路2は、モータ1とバッテリー3との間に挿入されており、スイッチ4により、モータのオン・オフ制御を行う。モータは、コイルである誘導性素子に電流を流すことにより生ずる起電力を利用して回転力を得ている。
【0003】
このようなモータ駆動回路において、モータが動作中に、何らかの原因により突如バッテリーが遮断されると、モータのコイルに逆起電力サージが発生する。例えば、自動車のワイパー駆動回路の場合、逆起電力サージは、モータ駆動回路を介して、自動車に搭載される電子機器等を故障させることがある。
【0004】
そこで、モータ駆動回路、電子機器等(以下、供試体という)の故障事故を未然に防止するために、予め電子機器等の逆起電力サージに対する耐量を試験・評価する必要がある。図2に、従来の逆起電力サージ試験装置の模式図を示す。逆起電力サージ試験装置5は、接点電極構造のスイッチで発生する逆起電力サージを模擬して、モータ駆動回路2等の電子機器に印加し、電子機器の逆起電力サージに対する耐量を測定する。
【0005】
次に、図3を参照して、逆起電力サージについて詳しく説明する。直流電源6に接続された誘導性素子7、例えばモータのコイルを接点電極構造のスイッチ8でオン・オフする。スイッチ8を閉じて(オン)通電状態とすると、誘導性素子7には、
【0006】
【数1】
【0007】
で表されるエネルギーが蓄積される。Lは誘導性素子7のインダクタンス、iは誘導性素子7を流れる電流である。スイッチ8を開く(オフ)と、誘導性素子7に蓄積されたエネルギーWは、コイルの巻き線間の放電、コイルの巻線抵抗によって熱消費される。
【0008】
図4に、スイッチの接点状態を示す。図4(a)は、スイッチの接点電極が接触し、導通している状態であり、以下、接点の状態Aという。図4(b)は、スイッチの接点電極が離れてはいるが、スイッチの接点電極間に続流が流れ続けている状態であり、以下、接点の状態Bという。図4(c)は、スイッチの接点電極が離れ、電流が遮断された状態であり、以下、接点の状態Cという。
【0009】
図5に、図3に示した回路における逆起電力サージの波形を示す。上から、サージ電圧、コイル電流および出力インピーダンスを示す。スイッチ8が接点の状態Aでは、一定の電圧、電流で誘導性素子7に電力が供給されている。このとき、誘導性素子7の抵抗値は、ほぼ0である。
【0010】
スイッチ8が接点の状態Bに移行すると、直流電源6から誘導性素子7への電力供給が停止するため、電圧波形は急激に降下する。このとき、コイルには磁束を保持するように電流を流そうとする働き(レンツの法則)があるため、電圧は0Vで留まらず、マイナスの電位まで降下する。接点の状態Bでは、スイッチの接点電極間に続流が流れ続け、図のようなサージ電圧、コイル電流が観測される。なお、電圧の降下量は、誘導性素子7のインダクタンス値および抵抗値、スイッチ8の構造によって定まる。
【0011】
スイッチ8が接点の状態Cに移行すると、続流が遮断され、誘導性素子7の残存エネルギーは、サージ波形となって消費される。
【0012】
誘導性素子7をエネルギー発生源とみなして、サージ電圧をコイル電流で除算して出力インピーダンスを算出する。スイッチ8が接点の状態Aでは、数百ミリΩ〜数Ωである。接点の状態Bでは、数Ω〜数百Ωに過渡的に変化し、接点の状態Cでは、数百Ωに達する。サージ電圧波形とコイル電流波形とは、直線的に変化しているにもかかわらず、出力インピーダンスは円弧状(非直線的)に変化する。
【0013】
また、誘導性素子7の蓄積エネルギーの大部分は、接点の状態Bの続流が持続する状態で消費され、逆起電力サージにより消費されるエネルギーは、全蓄積エネルギーの数%以下である。
【0014】
直流電源6の出力電圧を+12Vとしたとき、スイッチ8をオンからオフに移行した瞬間に発生するマイナス電圧は、およそ−1〜−10V程度である。接点の状態Bでは、マイナス電圧が徐々に大きくなっていき、続流の持続時間は約0.5〜2.5ms程度である。続流が遮断されると、−300〜−400V程度のサージ電圧が発生し、その後、スイッチ8は完全遮断状態となる。
【0015】
逆起電力eは、周知の通り
【0016】
【数2】
【0017】
と表すことができ、ここで、Nはコイルの巻数、φは磁束である。磁束φは、
【0018】
【数3】
【0019】
と表すことができ、ここで、Lは自己インダクタンス、Iはコイルに流れる電流である。逆起電力eは、結局
【0020】
【数4】
【0021】
となって、自己インダクタンスやコイルに流れる電流が大きいほど、大きな逆起電力サージが発生することになる。
【0022】
【非特許文献1】IEC61000-4-5, Edition 1.1 2001.4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
図6に、従来の逆起電力サージ試験装置の回路図を示す(例えば、非特許文献1参照)。この回路においては、高圧電源Uから充電抵抗Rcを介して、エネルギー蓄積キャパシタCcに電力を蓄積する。次に、スイッチSWを閉じて、エネルギー蓄積キャパシタCcを放電させて、サージ波形を発生させる。サージ波形は、パルス幅形成抵抗Rs、インピーダンス整合抵抗Rm、および立上り時間形成インダクタLrを適宜選択することにより、所望の逆起電力サージ波形を擬似することができる。
【0024】
図7に、逆起電力サージ試験装置における逆起電力サージの波形を示す。図6に示した回路の出力端に誘導性素子を接続した場合のサージ電圧波形である。しかしながら、従来の逆起電力サージ試験装置は、出力インピーダンスが原理的に一定の値を取ることとなり、出力インピーダンスの過渡的な変化は生じない。また、サージ電圧波形は、図5に示したサージ電圧波形とは著しく異なるため、誘導性素子である負荷を、スイッチ回路によりオン・オフ制御する際に発生する逆起電力サージを印加していることにならないという問題があった。
【0025】
図8に、従来の逆起電力サージを印加するための第1の方法を示す。DC電源9を実際に使用するコイル11に接続し、スイッチ10を開閉させて、逆起電力サージを発生させる。この方法は、スイッチ10を手動または機械的な方法で切り替えることにより、コイル11に流れる電流を遮断する。従って、逆起電力サージ波形の再現性に乏しく、定量的な評価試験を行うことは難しいという問題があった。
【0026】
図9に、従来の逆起電力サージを印加するための第2の方法を示す。サージ発生装置12とバイポーラ出力型DC電源13とを並列に接続し、シーケンス動作させることにより、逆起電力サージ発生させる。図10に、第2の方法における電圧波形を示す。図10(a)はバイポーラ出力型DC電源13の出力波形であり、図10(b)はサージ発生装置12の出力波形である。この2つを結合することにより、図10(c)に示した逆起電力サージ波形を得ることができる。
【0027】
図10(c)に示したサージ電圧波形は、図5に示したサージ電圧波形と類似している。しかしながら、スイッチが接点の状態Bにあるとき、逆起電力サージ試験装置の出力インピーダンスは、バイポーラ出力型DC電源13の出力インピーダンスに等しい。バイポーラ出力型DC電源13の出力インピーダンスは、数十mΩ程度の一定値を取るのが一般的である。従って、上述したこの誘導性素子により逆起電力サージを発生させる場合の、誘導性素子の出力インピーダンスと比較して、極端に小さな値を取る。その結果、逆起電力サージ試験装置に接続される供試体に印加されるサージエネルギーが過大となり、供試体を破壊してしまう恐れがあるという問題もあった。
【0028】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、誘導性素子により発生する逆起電力サージを、再現性よく忠実に発生させるための逆起電力サージ発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、誘導性素子の逆起電力を利用してサージを発生させ、供試体に印加する逆起電力サージ発生装置において、直流電源から前記誘導性素子に電源を供給する第1経路に設けられた第1のスイッチング手段と、前記直流電源から電流制限抵抗を介して前記誘導性素子に電源を供給する第2経路に設けられた第2のスイッチング手段と、前記第2経路に設けられた第1の電流検出器と、前記第1経路および前記第2経路と前記誘導性素子との間に設けられ、前記直流電源から前記誘導性素子への電源の供給を遮断する第3のスイッチング手段と、前記第1のスイッチング手段をオフした後、ランプ波発生器からのランプ波電圧と前記第1の電流検出器からの検出電圧とにより、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、前記第3のスイッチング手段をオフする制御装置とを備えたことを特徴とする。
【0030】
前記第1の電流検出器は、前記検出電圧を生成する抵抗とインダクタとが直列に接続されていることが好ましい。
【0031】
一実施態様によれば、前記制御装置は、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、所定時間経過した場合、前記第1の電流検出器からの検出電圧が所定の値以下になった場合のいずれかにおいて、前記第3のスイッチング手段をオフすることを特徴とする。
【0032】
他の実施態様によれば、前記誘導性素子と前記供試体との間に設けられた第2の電流検出器を備え、前記制御装置は、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、前記第2の電流検出器からの検出電圧が所定値以上となったとき、前記第3のスイッチング手段をオフし、前記第2の電流検出器からの検出電圧が所定値未満のとき、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、所定時間経過した場合、前記第1の電流検出器からの検出電圧が所定の値以下になった場合のいずれかにおいて、前記第3のスイッチング手段をオフすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように、本発明によれば、誘導性素子の逆起電力を利用してサージを発生させる場合に、ランプ波発生器からのランプ波電圧と第1の電流検出器からの検出電圧とにより、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、前記第3のスイッチング手段をオフすることにより、誘導性素子の出力インピーダンスを忠実に再現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。逆起電力サージは、誘導性素子の出力インピーダンスにより決まるため、逆起電力サージ試験装置は、誘導性素子の出力インピーダンスを忠実に再現して、逆起電力サージを供試体に印加する必要がある。また、過大なサージエネルギーが供試体に加わることによって、供試体が破損しないためにも、誘導性素子の出力インピーダンスを忠実に再現することは極めて重要である。
【0035】
(第1の実施形態)
図11に、本発明の第1の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置を示す。逆起電力サージ試験装置は、逆起電力サージ発生装置101と直流電源102と制御装置103とから構成されている。逆起電力サージ発生装置101は、逆起電力サージ発生用のインダクタL1を用いて、出力インピーダンスの変化を忠実に再現して、逆起電力サージを供給することができる。逆起電力サージ発生装置101は、直流電源102からインダクタL1に電源を供給する第1経路に設けられた第1のスイッチング手段(トランジスタS1)と、直流電源102から電流制限用の抵抗器R1を介してインダクタL1に電源を供給する第2経路に設けられた第2のスイッチング手段(トランジスタS2)と、第1経路および第2経路とインダクタL1との間に第3のスイッチング手段(トランジスタS3)と、第2経路に設けられた電流検出器i1とを備えている。
【0036】
図12は、本発明の第1の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置の試験方法を示すフローチャートである。また、図13に、制御装置103がトランジスタS1〜S3を制御する制御信号を示す。最初に、トランジスタS1〜S3を全てオンとし、インダクタL1に電源を供給する(ステップ201)。その後、図5に示した接点の状態Aの時間t1経過後にトランジスタS1のみをオフにして、トランジスタS2のアナログ制御を開始する(ステップ202)。制御装置103は、タイマー回路またはCPUとメモリを組み合わせてプログラムによりS1制御信号を生成する。その後、接点の状態Aおよび状態Bが経過した時間t2の後にトランジスタS3をオフにする(ステップ203)。なお、図21を参照して後述するように、電流検出器i1で検出された値が、所定の値以下となった時に、トランジスタS3をオフすることもできる。以下、順に説明する。
【0037】
ステップ202において、トランジスタS1がオフになると、トランジスタS2はオンのままなので、電流はトランジスタS2側のみに流れる。抵抗器R1の両端電圧をVrとし、抵抗器R1に流れる電流をIrとすれば、
Vr=Ir×R1 (4)
と表される。第1の実施形態では、抵抗器R1の一方が基準電位(GND)に接続されているため、抵抗器R1の両端電圧は、
Vr=−Ir×R1 (5)
となり、抵抗器R1には、GND電位を基準にマイナスの電位差が生じる。なお、抵抗器R1を可変抵抗器にすれば、各種のスイッチの構造に対応したマイナス電圧を得ることができる。
【0038】
次に、トランジスタS2のアナログ制御について、詳しく説明する。アナログ制御とは、トランジスタS2を電流源として動作させることをいう。トランジスタS1がオフしても、トランジスタS2はオンのままなので、直流電流がトランジスタS2と抵抗器R1を介してインダクタL1に流れ込んでいる。トランジスタS2を固定電圧で制御していると、トランジスタS2を流れる電流は、インダクタL1に吸い込まれ、図5に示したような右下がりの直線的なサージ電圧波形にはならない。図14に、トランジスタS2を固定電圧で制御した場合の逆起電力サージの波形を示す。
【0039】
そこで、第1の実施形態では、インダクタL1に流れ込む電流を、トランジスタS2の入力電圧で制御する。トランジスタS2の入力電圧を変化させることにより、インダクタL1に流れ込む電流を調整し、トランジスタS2が電流源として動作するように制御する。具体的には、制御装置103内にランプ波発生器を備え、トランジスタS2をランプ電圧で制御する。
【0040】
図15は、制御装置内のランプ波発生器を示す回路図である。ランプ波発生器は、トランジスタS1のS1制御信号をトリガー信号として入力し、トランジスタS2へS2制御信号を出力する。S1制御信号がLからHに変化すると、トランジスタTR1はオンとなり、トランジスタTR2はオフとなって、コンデンサCが充電状態になる。S1制御信号がHからLに変化すると、トランジスタTR1はオフとなり、トランジスタTR2はオンとなって、コンデンサCが放電状態になる。トランジスタTR3、抵抗R11、R12、R13は定電流源を構成している。放電電流は、トランジスタTR3、抵抗R13を介してマイナス電源に放電されるが、トランジスタTR3が定電流制御されているため、放電電流は定電流としてマイナス電源に放電される。オペアンプOP2は、コンデンサCの放電に従って、ランプ波電圧を出力する。このようにして生成されたランプ波電圧を、トランジスタS2のS2制御信号として出力する。なお、抵抗R13の値を変更すると、傾斜度の異なるランプ波電圧を得ることができる。
【0041】
しかしながら、接点の状態Bにおいては、図5に示したように、出力インピーダンスが円弧状(非直線的)に変化しているにもかかわらず、逆起電圧は直線的に変化しているため、トランジスタS2をランプ波電圧で制御するだけでは、依然として、接点の状態Bにおけるサージ電圧波形を忠実に再現することができない。図16に、トランジスタS2をランプ波電圧で制御した場合の逆起電力サージの波形を示す。逆起電力サージ発生装置101は、逆起電力サージ発生用のインダクタL1を用いて、出力インピーダンスの変化を再現しているが、接点の状態Bにおいては、インダクタL1のインピーダンスも図5に示すように非直線的(円弧状)に変化するため、この間のサージ電圧波形が、図16に示したように非直線的(円弧状)な波形になる。
【0042】
トランジスタS2の入力電圧、すなわちランプ波発生器からの出力波形をVsとし、トランジスタS2の出力インピーダンスをZo、トランジスタS2に流れる電流をIrとすれば、
Ir=Vs/Zo (6)
となるため、電流Irは、出力インピーダンスの変化と逆比例して、非直線的(円弧状)に変化する。
【0043】
そこで、第1の実施形態では、抵抗器R1に流れる電流を電流検出器i1で検出し、その検出信号をトランジスタS2に負帰還させる。ランプ波発生器からのランプ波電圧をトランジスタS2に入力し、電流検出器i1からの検出信号をトランジスタS2に負帰還させることにより、トランジスタS2を流れる電流がインダクタL1に吸い込まれてしまうことを抑制することができる。これにより、出力インピーダンスの変化を互いに打ち消しあい、接点の状態Bにおけるサージ電圧波形を、図5に示したように右下がりの直線波形を再現する。
【0044】
図17に、逆起電力サージ発生装置の電流検出器i1において電流検出を行う回路を示す。電流の検出は、図17(a)に示したシャント抵抗Rd、図17(b)に示したカレントトランスLdを用いて検出する。検出信号は、ランプ波発生器からのランプ波電圧に加算されて、トランジスタS2に負帰還させる。シャント抵抗RdとカレントトランスLdとは、基準信号と実際に計測される信号との時間ズレを極力抑えるために、高い周波数応答が必要である。
【0045】
しかしながら、インダクタL1に流れる電流は位相遅れがあるので、単に帰還回路で電流制御を行うと、帰還される電流の位相がずれてしまうため、サージ電圧波形は歪んだ波形となる。図18に、トランジスタS2を帰還制御した場合の逆起電力サージの波形を示す。インダクタL1を負荷とする理想回路では、検出電圧はπ/2の遅れ位相となる。そのため、シャント抵抗またはカレントトランスで電流を検出すると、制御信号に対し位相ズレを起こした検出信号が帰還回路に入力されてしまい、所望の電流制御ができない。
【0046】
図19に、第1の実施形態にかかる電流検出器の構成を示す。第1の実施形態では、検出電圧を生成するシャント抵抗R2とインダクタL2とを直列に接続する。電流/電圧変換をシャント抵抗に受け持たせ、位相補正をインダクタに受け持たせることで、続流が持続する状態での波形を忠実に再現する。なお、シャント抵抗R2とインダクタL2とは、コイル電流が検出される箇所に設置すればよく、必ずしもトランジスタS2とインダクタL1との間に接続する必要はない。
【0047】
以上述べたように、トランジスタS2の入力電圧を変化させることにより、インダクタL1に流れ込む電流を調整すること、ランプ波発生器からのランプ電圧で制御すること、電流検出器i1の検出信号を負帰還させること、および帰還回路の位相補正を行うことにより、トランジスタS2を電流源として動作させることができる。
【0048】
逆起電力サージ発生装置101は、第1経路および第2経路とインダクタL1との間に第3のスイッチング手段(トランジスタS3)を備えている。トランジスタS3は、直流電源102からインダクタL1への電源供給を遮断するための手段である。仮に、逆起電力サージ発生装置101にトランジスタS3を設けない場合には、図13のステップ203において、接点の状態Aおよび状態Bが経過した時間t2の後にトランジスタS2をオフする方法が考えられる。図20に、トランジスタS3を設けなかった場合の逆起電力サージの波形を示す。この場合は、立上り/立下り時間が、図5に示したサージ電圧波形よりも遅い波形が出力される。これは、トランジスタS2が、電流検出器i1の検出信号とランプ波発生器からのランプ波電圧とにより制御されており、ランプ波電圧をオフにしても、トランジスタS2が高速にスイッチング動作できないためである。
【0049】
そこで、第1の実施形態では、トランジスタS3を、逆起電力サージを発生させる専用のスイッチ手段として設けている。制御装置103は、タイマー回路またはCPUとメモリを組み合わせてプログラムによりS3制御信号を生成する。
【0050】
図21に、トランジスタS3を制御する他の例を示す。電流検出器i1で検出された検出信号を利用して、インダクタL1に流れる電流が所定の値以下となった時に、トランジスタS3をオフすることもできる。
【0051】
第1の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置は、インダクタL1のインダクタンスを選択し、接点の状態Aが経過した時間t1、および接点の状態Aおよび状態Bが経過した時間t2を経過後制御装置103により選択し、抵抗器R1の抵抗値を選択することにより、様々な逆起電力サージのサージ波形を出力することができる。すなわち、負荷となる誘導性素子の種類、スイッチの構造によって決まる続流の波形を、忠実に再現することができる。
【0052】
(第2の実施形態)
例えば、自動車のワイパー駆動回路の場合、逆起電力サージへの対策として、ダイオードなどのサージ吸収素子(以下、サージアブゾーバという)を、電子機器の電源部に接続している。図22を参照して、サージアブゾーバが接続された誘導性素子により発生する逆起電力サージを説明する。スイッチ8を閉じて(オン)通電状態とすると、誘導性素子7には、エネルギーが蓄積される。スイッチ8を開く(オフ)と、誘導性素子7に蓄積されたエネルギーは、図に示した経路を還流して熱消費される。
【0053】
図23に、図22に示した回路における電圧/電流波形を示す。図23(a)は、インダクタL1の両端の電圧波形であり、図23(b)は、ダイオード12に流れる電流波形である。第2の実施形態では、このようなサージアブゾーバが接続された場合の逆起電力サージも忠実に再現できるようにする。
【0054】
図24に、本発明の第2の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置を示す。逆起電力サージ試験装置は、逆起電力サージ発生装置201と直流電源202と制御装置203とから構成されている。第2の実施形態では、電流検出器i2により、逆起電力サージ試験装置に接続された供試体に流れる電流を検出する。供試体に一定値以上の電流が流れ込んだ場合には、トランジスタS3を強制的にオフさせている。これにより、図23に示した逆起電力サージの波形を再現する。
【0055】
図25は、本発明の第2の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置の試験方法を示すフローチャートである。また、図26に、制御装置203がトランジスタS1〜S3を制御する制御信号を示す。最初に、トランジスタS1〜S3を全てオンとし、インダクタL1に電源を供給する(ステップ301)。その後、図5に示した接点の状態Aの時間t1経過後にトランジスタS1のみをオフにして、トランジスタS2のアナログ制御を開始する(ステップ302)。ステップ301およびステップ302の処理は、第1の実施形態に同じである。制御装置203は、タイマー回路またはCPUとメモリを組み合わせてプログラムによりS1制御信号を生成する。
【0056】
その後、電流検出器i2に流れる電流を検出し、検出信号が基準値を超えた場合には、トランジスタS3を強制的にオフにする(ステップ303)。従って、図26に示したように、接点の状態Aおよび状態Bが経過した時間t2の前に、トランジスタS3をオフする場合がある。電流検出器i2の検出信号が基準値を超えない場合には、ステップ304に移行する。ステップ304の処理は、第1の実施形態のステップ203に同じであり、接点の状態Aおよび状態Bが経過した時間t2の後にトランジスタS3をオフにする。
【0057】
図27に、供試体に流れる電流を検出する回路を示す。電流の検出は、例えば、カレントトランスLdを用いて検出する。電流検出器i2で検出された検出信号を、コンパレータCOMPにおいて基準値と比較し、検出信号が基準値を超えた場合には、トランジスタS3を制御する(ステップ303)。検出信号が基準値を超えない場合には、制御装置103からのS3制御信号により、トランジスタS3を制御する(ステップ304)。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】従来のモータ駆動回路の模式図である。
【図2】従来の逆起電力サージ試験装置の模式図である。
【図3】誘導性素子により発生する逆起電力サージを説明するための図である。
【図4】スイッチの接点状態を示す図である。
【図5】図3に示した回路における逆起電力サージの波形を示す図である。
【図6】従来の逆起電力サージ試験装置の回路図である。
【図7】逆起電力サージ試験装置における逆起電力サージの波形を示す図である。
【図8】従来の逆起電力サージを印加するための第1の方法を示す図である。
【図9】従来の逆起電力サージを印加するための第2の方法を示す図である。
【図10】第2の方法における逆起電力サージの波形を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置を示すブロック図である。
【図12】本発明の第1の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置の試験方法を示すフローチャートである。
【図13】第1の実施形態の制御装置がトランジスタS1〜S3を制御する制御信号を示す図である。
【図14】トランジスタS2を固定電圧で制御した場合の逆起電力サージの波形を示す図である。
【図15】制御装置内のランプ波発生器を示す回路図である。
【図16】トランジスタS2をランプ波電圧で制御した場合の逆起電力サージの波形を示す図である。
【図17】逆起電力サージ発生装置において電流検出を行う回路の模式図である。
【図18】トランジスタS2を帰還制御した場合の逆起電力サージの波形を示す図である。
【図19】第1の実施形態にかかる電流検出器の構成を示す図である。
【図20】トランジスタS3を設けなかった場合の逆起電力サージの波形を示す図である。
【図21】トランジスタS3を制御する一例を示す回路の模式図である。
【図22】サージアブゾーバが接続された誘導性素子により発生する逆起電力サージを説明するための図である。
【図23】図22に示した回路における電圧/電流波形を示す図である。
【図24】本発明の第2の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置を示すブロック図である。
【図25】本発明の第1の実施形態にかかる逆起電力サージ試験装置の試験方法を示すフローチャートである。
【図26】第2の実施形態の制御装置がトランジスタS1〜S3を制御する制御信号を示す図である。
【図27】供試体に流れる電流を検出する回路の模式図である。
【符号の説明】
【0059】
1 モータ
2 モータ駆動回路
3 バッテリー
4 スイッチ
5 逆起電力サージ試験装置
101,201 逆起電力サージ発生装置
102,202 直流電源
103,203 制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導性素子の逆起電力を利用してサージを発生させ、供試体に印加する逆起電力サージ発生装置において、
直流電源から前記誘導性素子に電源を供給する第1経路に設けられた第1のスイッチング手段と、
前記直流電源から電流制限抵抗を介して前記誘導性素子に電源を供給する第2経路に設けられた第2のスイッチング手段と、
前記第2経路に設けられた第1の電流検出器と、
前記第1経路および前記第2経路と前記誘導性素子との間に設けられ、前記直流電源から前記誘導性素子への電源の供給を遮断する第3のスイッチング手段と、
前記第1のスイッチング手段をオフした後、ランプ波発生器からのランプ波電圧と前記第1の電流検出器からの検出電圧とにより、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、前記第3のスイッチング手段をオフする制御装置と
を備えたことを特徴とする逆起電力サージ発生装置。
【請求項2】
前記第1の電流検出器は、前記検出電圧を生成する抵抗とインダクタとが直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の逆起電力サージ発生装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、所定時間経過した場合、前記第1の電流検出器からの検出電圧が所定の値以下になった場合のいずれかにおいて、前記第3のスイッチング手段をオフすることを特徴とする請求項1または2に記載の逆起電力サージ発生装置。
【請求項4】
前記誘導性素子と前記供試体との間に設けられた第2の電流検出器を備え、
前記制御装置は、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、
前記第2の電流検出器からの検出電圧が所定値以上となったとき、前記第3のスイッチング手段をオフし、
前記第2の電流検出器からの検出電圧が所定値未満のとき、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、所定時間経過した場合、前記第1の電流検出器からの検出電圧が所定の値以下になった場合のいずれかにおいて、前記第3のスイッチング手段をオフすることを特徴とする請求項1、2または3に記載の逆起電力サージ発生装置。
【請求項1】
誘導性素子の逆起電力を利用してサージを発生させ、供試体に印加する逆起電力サージ発生装置において、
直流電源から前記誘導性素子に電源を供給する第1経路に設けられた第1のスイッチング手段と、
前記直流電源から電流制限抵抗を介して前記誘導性素子に電源を供給する第2経路に設けられた第2のスイッチング手段と、
前記第2経路に設けられた第1の電流検出器と、
前記第1経路および前記第2経路と前記誘導性素子との間に設けられ、前記直流電源から前記誘導性素子への電源の供給を遮断する第3のスイッチング手段と、
前記第1のスイッチング手段をオフした後、ランプ波発生器からのランプ波電圧と前記第1の電流検出器からの検出電圧とにより、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、前記第3のスイッチング手段をオフする制御装置と
を備えたことを特徴とする逆起電力サージ発生装置。
【請求項2】
前記第1の電流検出器は、前記検出電圧を生成する抵抗とインダクタとが直列に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の逆起電力サージ発生装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、所定時間経過した場合、前記第1の電流検出器からの検出電圧が所定の値以下になった場合のいずれかにおいて、前記第3のスイッチング手段をオフすることを特徴とする請求項1または2に記載の逆起電力サージ発生装置。
【請求項4】
前記誘導性素子と前記供試体との間に設けられた第2の電流検出器を備え、
前記制御装置は、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、
前記第2の電流検出器からの検出電圧が所定値以上となったとき、前記第3のスイッチング手段をオフし、
前記第2の電流検出器からの検出電圧が所定値未満のとき、前記第2のスイッチング手段を電流源として動作させた後、所定時間経過した場合、前記第1の電流検出器からの検出電圧が所定の値以下になった場合のいずれかにおいて、前記第3のスイッチング手段をオフすることを特徴とする請求項1、2または3に記載の逆起電力サージ発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2009−142109(P2009−142109A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317611(P2007−317611)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000159043)菊水電子工業株式会社 (5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000159043)菊水電子工業株式会社 (5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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