説明

透光窓付き蓋体

【課題】透光窓付き蓋体に加わる衝撃力による窓体のクラックと称される割れや亀裂、剥離現象による気密性の低下を防止し、窓に対するガラス板接着時の横ずれ、傾きを防止し、位置精度を向上すると共に、この応力を分散させるデザインにより機械的強度と気密性に優れた透光窓付き蓋体を提供すること。
【解決手段】本発明の透光窓付き蓋体は、金属性の枠体の略中央部に開口部が形成され、開口部裏面に透光性の窓体が接着形成され、前記枠体の前記開口部裏内面の周囲であって、かつ枠体の内面周縁部との間に開口部と略同形状のガラス板を固定する円形状段差部を設けられたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光半導体用パッケージに用いられる透光窓付き蓋体に関し、特に外部衝撃あるいは外部環境による汚染などから半導体素子を保護するとともに、ガラス板の位置ずれ、傾きによる光学特性低下を防止し、維持するガラス材若しくはレンズが透光窓に設けた透光窓付き蓋体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の透光窓付き蓋体としては、光を透過させるための開口部が形成された金属枠体の開口部を透光窓とし、透光窓にガラス材が低融点ガラスなどの接着剤により直接接合されているものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図2は、前記特許文献1に記載された従来の透光窓付き蓋体を示した断面図である。図2において、従来の透光窓付き蓋体11は光を透過させるための開口部11bを有する円筒形金属枠体11aと前記部材の内側に位置し、前記窓口を塞ぐように、低融点ガラスにより窓体12が前記金属枠体に接着されている。
【特許文献1】特開2008−153523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の構成では、光透過孔が設けられた金属枠体に、前記光透過孔を閉塞して、光透過窓体が低融点ガラスを封着材として封着された半導体装置用キャップを形成しており、一定の気密性、耐湿性は確保されている。
【0005】
しかしながら、ガラス材が接着されたこの円筒形金属枠体は、光半導体素子(図示せず)が収納される光半導体用パッケージ(図示せず)に接合される際の位置規制や保持固定などの機械的衝撃は、透光窓のガラス材や低融点ガラスに直接的および間接的にストレスが加わることになり、ガラス材と低融点ガラスとの界面で剥がれたり、ガラス材や低融点ガラスが破壊される場合がある。また、ガラス板を低融点ガラスで接着する際には、低融点ガラスの溶融バラツキにより、この位置精度の低下は、ガラス材が単なる透明板であれば取着精度は大きな問題にならないが、ガラス材に光の集束や発散のレンズ機能を有する場合には接着強度を低下させるばかりでは無く、光特性にも影響を与え、出力を低下させるため高精度な取着が必要となる。
【0006】
本発明は従来の課題を解決するものであり、機械的強度と寸法精度及び気密性に優れた透光窓付き蓋体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、本発明の光窓付き蓋体は、金属製の円筒状部材の一方端に内側に折曲げた内向鍔部によって開口部が形成され、内向鍔部の内方であって開口部周縁に段差部が形成され、段差部に載置された透光性の窓体が接着剤を介して取着されたものである。さらに、透光性の窓体は、開口部と略同形状に形成された段差部内で位置規制されたものである。
【0008】
かかる構成によれば、開口部内面の周囲に形成された略同形状の段差部によりガラス板が定められた位置に固定でき、必要分量の接着剤(低融点ガラス他)にて安定した接着が出来る。このことによりレンズ位置精度を向上することにより封着距離を安定確保できる。特に高価な材料ガラス板等で外径を小さくすることを余儀なくされた場合、非常に有効である。
【0009】
また接着面積(距離)を可能な限り有効に広く安定した状態を確保できるため、強度向上することが出来、及び加わる外部衝撃がガラス板の特定箇所(例えば、突起や接着距離の小さいポイントなど)に集中することを緩和し、透光窓付き蓋体に加わる外部衝撃力を均等に分散し吸収緩和することができ、金属枠体と接着剤層又は接着剤層とガラス板の界面又はガラス板にクラックと称される割れや亀裂の発生を防止できる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、光窓付き蓋体の開口部裏面の周囲に形成された略同形状の段差部によりガラス板(レンズ)の径に関わらず、レンズ位置精度(光特性)を向上できると共に、加わる外部衝撃がガラス板の接着特定箇所(例えば、突起、端面など)に集中することを緩和し、透光窓付き蓋体に加わる外部衝撃力を均等に分散し吸収緩和することができ、金属枠体またはガラス板が接着している界面にクラックと称される割れや亀裂の発生を防止し封着部(接着部)機械的強度と光特性及び気密性に優れた光窓付き蓋体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は本発明の実施の形態による透光窓付き蓋体1の断面図である。図1において、透光窓付き蓋体1は例えば、CCD(Charge Coupled Device)や、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などのイメージセンサーや、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や、レーザーダイオード(LD:Laser Diode)などを被覆するのに用いられる。
【0012】
図1において、透光窓付き蓋体1は、鉄または鉄合金として鉄−ニッケル−コバルト合金からなる金属板(図示せず)を打抜き加工や絞り加工を繰り返し円筒状金属枠体1を形成し、円筒状金属枠体2はその一方端を内側に折曲げた内向鍔部2cが形成され、さらに、内向鍔部2cの内側には開口部2aが形成されている。開口部2a裏内面にはレンズ機能を備えた透光性の窓体(ガラス板)3が接着形成されている。もう一方端には外側に折曲げた外向鍔部2dが形成されている。外向鍔部2dには必要に応じプロジェクション(図示せず)と称される突起部が形成されることもある。開口部2a裏内面にはレンズ機能を備えた透光性の窓体3には耐熱性、耐薬品性に優れる硼珪酸ガラスからなる薄板ガラスを接着したレンズ機能を備えた透光性の窓体3が内向鍔部2c裏面から円筒状金属枠体2の内部に接着剤4(低温ガラスほか)を介して形成されている。開口部2aは窓体3で閉塞されることになる。
【0013】
このとき、図1の断面図に示したように内向鍔部2cの裏面に円形状段差部2bが形成されており、その段差部2bに透光性の窓体3が収まるよう載置されることで高精度に位置規制される。さらに、段差部2bの深さは金属板(図示せず)厚の40%〜60%程度にすることで接着剤4との接着領域が増し円筒状金属枠体2と透光性の窓体3との接着を強固にするものである。これは、60%以上では内向鍔部2cの強度不足が発生し、40%以下では位置精度は向上するが接着強度の向上は見込めないためである。
【0014】
また、透光性の窓体3は熱膨張係数が3×10-7/℃〜80×10-7/℃の硼珪酸ガラスや同じく熱膨張係数が3×10-7/℃〜80×10-7/℃の無アルカリガラスからなり、特に前記部材の熱膨張係数と近似(3×10-7/℃〜80×10-7/℃)の接着剤4を介しての接着により構成されている。この構成によれば、水分透過性・気密性・蓋体金属との密着性に大きく優れた品質を維持できる。
【0015】
かかる構成によれば、高価なガラス板及び小さなガラス板であっても、この段差部により接着及び接着距離が安定し、接着量も安定する為、ガラス板が傾くことなく接着出来、位置精度を向上できると共に、透光窓付き蓋体1とステム(図示せず)とを接合する際に加わる抵抗溶接などの衝撃力を分散させ吸収緩和し、内向鍔部2cと透光性の窓体3とが溶着している各界面にクラックと称される割れや亀裂や剥離現象が発生することを防止出来る。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明は透光窓付き蓋体等に関するものであり、光特性向上を目的とし、特に外部衝撃あるいは外部環境による汚染などから半導体素子を保護するガラス材若しくはレンズが透光窓に設けた透光窓付き蓋体として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)本発明の実施の形態における透光窓付き蓋体の斜視図、(b)斜視図(a)の断面図
【図2】従来の透光窓付き蓋体の断面図
【符号の説明】
【0018】
1 透光窓付き蓋体
2 円筒状金属枠体
2a 開口部
2b 円状段差部
2c 内向鍔部
2d 外向鍔部
3 窓体
4 接着剤(低融点ガラス他)
11 キャップ本体
11a 金属枠体
11b 光透過孔
12 光透過窓
13 低融点ガラス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の円筒状部材の一方端に内側に折曲げた内向鍔部によって開口部が形成され、前記内向鍔部の内方であって前記開口部周縁に段差部が形成され、前記段差部に載置された透光性の窓体が接着剤を介して取着されたことを特徴とする透光窓付き蓋体。
【請求項2】
前記透光性の窓体は、前記開口部と略同形状に形成された前記段差部内で位置規制されたことを特徴とする請求項1記載の透光窓付き蓋体。

【図1】
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【図2】
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