説明

透明な二相ポリエステル−ポリカーボネート組成物

(A)(1)テレフタル酸残基、イソフタル酸残基又はそれらの混合物からなる群から選ばれたフタル酸残基約70〜100モル%;及び改質用ジカルボン酸残基0〜約30モル%を含む二酸残基(ここで二酸残基の総モル%は100モル%に相当する);並びに(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約0〜45モル%及び他のアルキレングリコール残基100〜約55モル%を含むジオール残基(ここでジオール残基の総モル%は100モル%に相当する)を含む少なくとも1種のポリエステル(A)約1〜99重量%を含む第1成分と、(B)(1)ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と(2)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基70〜100モル%及びポリテトラメチレングリコールの残基0〜30モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)と(3)場合によっては、1種又はそれ以上の酸性燐含有化合物と窒素を含む1種又はそれ以上の塩基性有機化合物との反応によって製造された少なくとも1種の塩(D)の混和性ブレンド約99〜1重量%を含む第2成分を含んでなるポリマー組成物であって、ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;前記第1成分及び前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;且つ前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.008又はそれ以下である屈折率を有するものが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレフタル酸、イソフタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれた二酸残基、アルキレングリコール残基から選ばれたジオール残基からのある種のポリエステルと、ビスフェノールAのポリカーボネートと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからのポリエステルとの混和性ブレンドの組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
4,4’−イソプロピリデンジフェノールのポリカーボネート(ビスフェノールAポリカーボネート)はよく知られた成型(molding)用エンジニアプラスチックである。ビスフェノールAポリカーボネートは、寸法安定性、高い耐熱性及び良好な衝撃強度のような良好な物理的性質を有する、明澄な(clear)高性能プラスチックである。ビスフェノールAポリカーボネートは多くの良好な物理的性質を有するが、その比較的高い溶融粘度のために溶融加工性が不良であり、ポリカーボネートは不良な耐薬品性を示す。
【0003】
ビスフェノールAのポリカーボネートと種々のジヒドロキシジフェニルシクロアルカンとのブレンドは、プラスチックフィルム、成形品及び押出品の製造に使用されている。これらのポリカーボネートブレンドは、良好な耐熱性、射出成形及び押出に適した高い溶融粘度、靭性並びに良好な耐薬品性を有する傾向があるので、高性能(performance)プラスチック業界において特に有用である。
【0004】
特許文献1は、ジヒドロキシジフェニルシクロアルカンポリカーボネートと、非晶性熱可塑性樹脂、部分結晶性熱可塑性樹脂及び射出成形用ゴムの混合物とのブレンドを開示している。特許文献2は、ジヒドロキシジフェニルシクロアルカンポリカーボネートと、非晶性熱可塑性樹脂、部分結晶性熱可塑性樹脂及びフィルム製造用エラストマーとのブレンドを開示している。
【0005】
しかし、ジヒドロキシジフェニルシクロアルカンポリカーボネートと他の材料との混和性(miscible)ブレンドはこれまで開示されていない。非混和性ブレンド組成物は、不透明で且つ一般に衝撃強度及び引張強度の許容され得ない低下をもたらすので、多くの用途に不適切である。
【0006】
明澄なポリカーボネート/ポリエステルブレンドはこれまでわずかしか開発されていない。これらのポリエステルブレンドは、ブレンドされていないビスフェノールAポリカーボネートに比べて、改善された耐薬品性及び溶融加工性を有する。しかし、これらの混和性ブレンド中のビスフェノールAの存在はポリエステルの耐薬品性を低下させる。
【0007】
二相(two-phase)ポリマーブレンドの大部分は、目視によって不透明な、従って明澄度が有用な用途には使用できない物品を形成する。二相材料を固体状態で形成し且つ目視によって明澄でもある2種のポリマーのブレンドが発見されることはめったにない。
【0008】
ポリマーの屈折率は広範囲にわたって変化する。例えば、多くのポリマーは1.35〜1.65の範囲の屈折率を有する。2種の非混和性成分の目視によって明澄なブレンドが形成されるように屈折率の差が同様な1対のポリマーが発見されることは異例である。
【0009】
ポリマー対の屈折率が合致すると、2種のポリマーのブレンドの目視によって明澄な物品を得ることができることがわかっている。非特許文献1、2及び3は、この現象を定量化し且つある種のブレンドの光散乱を粒径、屈折率、波長及び粒子構造の関数として評価するモデル計算を開発した。
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,034,457号
【特許文献2】米国特許第5,104,723号
【非特許文献1】L.Bohn,Polymer Handbook,2nd ed.,111−211頁,Wiley Interscience,New York(1975)
【非特許文献2】J.MacKnight et al.,Polymer Blends,Vol.I,183頁,Academic Press,New York(1978)
【非特許文献3】Biangardi et al.,Die Angew.Makromole.Chemie,183,221(1990)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
硬質の耐高温性材料及び耐薬品性を必要とする用途において特に有用な、目視によって明澄な又は混和性の二相ブレンドが当業界で必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、テレフタル酸、イソフタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれた二酸残基、アルキレングリコール残基から選ばれたジオール残基からのある種のポリエステルと、ビスフェノールAのポリカーボネートと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからのポリエステルとの混和性ブレンドの組成物に関する。
【0013】
より詳しくは、第1の実施態様において、本発明は、
(A)(1)テレフタル酸残基、イソフタル酸残基又はそれらの混合物からなる群から選ばれたフタル酸残基約70〜100モル%;及び改質用ジカルボン酸残基0〜約30モル%を含む二酸残基(ここで二酸残基の総モル%は100モル%に相当する);並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約0〜45モル%及び他のアルキレングリコール残基100〜約55モル%を含むジオール残基(ここでジオール残基の総モル%は100モル%に相当する)
を含む少なくとも1種のポリエステル(A)約1〜99重量%を含む第1成分と、
(B)ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基70〜100モル%及びポリテトラメチレングリコールの残基0〜30モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)との混和性ブレンド約99〜1重量%を含む第2成分
を含んでなるポリマー組成物であって、
ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;
前記第1成分及び前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;且つ
前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.008又はそれ以下である屈折率を有するものに関する。
【0014】
本発明の第2の実施態様は、
(A)(1)テレフタル酸残基、イソフタル酸残基又はそれらの混合物からなる群から選ばれたフタル酸残基約70〜100モル%;及び改質用ジカルボン酸残基0〜約30モル%を含む二酸残基(ここで二酸残基の総モル%は100モル%に相当する);並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約0.5〜13モル%及び他のアルキレングリコール残基99.5〜約87モル%を含むジオール残基(ここでジオール残基の総モル%は100モル%に相当する)
を含む少なくとも1種のポリエステル(A)約1〜99重量%を含む第1成分と、
(B)ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基70〜100モル%及びポリテトラメチレングリコールの残基0〜30モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)との混和性ブレンド約99〜1重量%を含む第2成分
を含んでなるポリマー組成物であって、
ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;
前記第1成分及び前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;且つ
前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.008又はそれ以下である屈折率を有するものである。
【0015】
本発明の第3の実施態様は、
(A)(1)テレフタル酸残基、イソフタル酸残基又はそれらの混合物からなる群から選ばれたフタル酸残基約80〜100モル%;及び改質用ジカルボン酸残基0〜約20モル%を含む二酸残基(ここで二酸残基の総モル%は100モル%に相当する);並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約20〜40モル%及び他のアルキレングリコール残基80〜約60モル%を含むジオール残基(ここでジオール残基の総モル%は100モル%に相当する)
を含む少なくとも1種のポリエステル(A)約50〜85重量%を含む第1成分と、
(B)ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基70〜100モル%及びポリテトラメチレングリコールの残基0〜30モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)との混和性ブレンド約15〜50重量%を含む第2成分
を含んでなるポリマー組成物であって、
ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;
前記第1成分及び前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;且つ
前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.008又はそれ以下である屈折率を有するものである。
【0016】
本発明の第4の実施態様は、
(A)(1)テレフタル酸残基約90〜100モル%;及び炭素数約2〜20の改質用ジカルボン酸残基0〜約10モル%を含む二酸残基(ここで二酸残基の総モル%は100モル%に相当する);並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約20〜40モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基以外の他のアルキレングリコール残基60〜約80モル%を含むジオール残基(ここでジオール残基の総モル%は100モル%に相当する)
を含む少なくとも1種のポリエステル(A)約50〜85重量%を含む第1成分と、
(B)ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基から本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)との混和性ブレンド約15〜50重量%を含む第2成分
を含んでなるポリマー組成物であって、
前記第1成分及び前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;
ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;且つ
前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.006又はそれ以下である屈折率を有するものに関する。
【0017】
本発明の第5の実施態様は、
(A)(1)テレフタル酸残基約90〜100モル%;及び炭素数約2〜20の改質用ジカルボン酸残基0〜約10モル%を含む二酸残基(ここで二酸残基の総モル%は100モル%に相当する);並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約20〜40モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基以外の他のアルキレングリコール残基60〜約80モル%を含むジオール残基(ここでジオール残基の総モル%は100モル%に相当する)
を含む少なくとも1種のポリエステル(A)約50〜85重量%を含む第1成分と、
(B)ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基70〜100モル%及びポリテトラメチレングリコールの残基0.1〜30モル%、好ましくは5〜15モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)との混和性ブレンド約15〜50重量%を含む第2成分
を含んでなるポリマー組成物であって、
前記第1成分及び前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;
ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;且つ
前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.006又はそれ以下である屈折率を有するものに関する。
【0018】
本発明の全ての実施態様において、本発明のポリマー組成物の第2成分は、1種又はそれ以上の酸性燐含有化合物と窒素を含む1種又はそれ以上の塩基性有機化合物との反応によって製造される少なくとも1種の塩(D)を含むことができる。
【0019】
また、本発明の全ての実施態様において、本発明のポリエステル組成物の第1成分と第2成分は、絶対値の差が0.008又はそれ以下、好ましくは0.006又はそれ以下、より好ましくは0.004又はそれ以下である屈折率を有する。
【0020】
本発明の第6の実施態様は、
(a)ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)並びに場合によっては塩(D)をブレンドして、第2成分を形成し;
(b)前記第1成分と前記第2成分とをブレンドし;
(c)第1成分と第2成分とのブレンド前、ブレンド中又はブレンド後に第1成分及び第2成分を溶融させて、ブレンド及び溶融後に溶融ブレンドを形成し;そして
(d)前記溶融ブレンドを冷却して、明澄なブレンド組成物を形成する
工程を含んでなる本発明のポリマー組成物の製造方法に関する。
【0021】
本発明の第7の実施態様は、
(a)ポリエステル(A)、ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)並びに場合によっては塩(D)をブレンドし;
(b)(a)のブレンドを溶融させて、ブレンド及び溶融後に溶融ブレンドを形成し;そして
(d)前記溶融ブレンドを冷却して、明澄なブレンド組成物を形成する
工程を含んでなる本発明のポリマー組成物の製造方法に関する。
【0022】
本発明の第8の実施態様は、本発明のポリマー組成物の押出又はカレンダー加工工程を含んでなるフィルム又はシートの製造方法に関する。この方法によって製造されたフィルム又はシートは少なくとも1つの層を有するが、2層又はそれ以上を有することもできる。本発明のポリマー組成物の第1及び第2成分は別の層中に存在することができる。
【0023】
本発明は、また、当業界で知られた任意の常法によって形成することができる本発明のポリマー組成物を含む成形品若しくは二次成形品、フィルム、シート及び/又は繊維、並びにポリマーブレンドの射出成形、押出ブロー成形、フィルム/シート押出又はカレンダー加工の工程を含む、このような成形品若しくは二次成形品、フィルム、シート及び/又は繊維の製造方法を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、テレフタル酸、イソフタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれた二酸残基、アルキレングリコール残基から選ばれたジオール残基からのある種のポリエステルと、ビスフェノールAのポリカーボネートと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからのポリエステルとの混和性ブレンドからなる組成物を包含する。意外なことに、本発明は、明澄度(clarity)及び混和性のような少なくとも2つの性質の改良された組合せ並びに良好な寸法安定性、良好な耐高温性及び良好なアイゾッド衝撃強度を示すポリマーブレンドを提供する。
【0025】
特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲中で使用する成分の量、分子量のような性質、反応条件などを表す全ての数値は、全ての場合に用語「約」によって修飾されるものと解釈するものとする。従って、そうでないことが示されないならば、以下の明細書及び添付した「特許請求の範囲」中に記載した数値パラメーターは、本発明が得ようとする目的の性質に応じて異なり得る近似値である。最低限でも、各数値パラメーターは少なくとも、報告された有効数字の数を考慮し且つ通常の端数処理を適用することによって解釈すべきである。更に、本明細書の開示及び特許請求の範囲に記載した範囲は、端点だけでなく範囲全体を具体的に含むものとする。例えば0〜10と記載した範囲は、0と10の間の全ての整数、例えば1、2、3、4など、0と10の間の全ての分数、例えば1.5、2.3、4.57、6.1113など並びに端点0及び10を開示するものとする。また、化学置換基と関連する範囲、例えば「C1〜C5炭化水素」は、C1及びC5炭化水素並びにC2、C3及びC4炭化水素を具体的に含み且つ開示するものとする。
【0026】
本発明の広範な範囲を記載する数値範囲及びパラメーターが近似値であったとしても、具体例に記載した数値は可能な限り正確に報告してある。しかし、いずれの数値も、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差によって必然的に生じる若干の誤差を本質的に含む。
【0027】
本明細書中で使用する用語「ポリエステル」は「コポリエステル」を含むものとし、1種又はそれ以上の二官能価カルボン酸と1種又はそれ以上の二官能価ヒドロキシル化合物との重縮合によって製造された合成ポリマーを意味するものと解釈する。典型的には、二官能価カルボン酸はジカルボン酸であり、二官能価ヒドロキシル化合物は二価アルコール、例えばグリコール及びジオールである。本明細書中で使用する用語「残基(residue)」は、対応するモノマーを含む重縮合反応によってポリマー又は可塑剤中に組み入れられる任意の有機構造を意味する。本明細書中で使用する用語「反復単位」は、カルボニルオキシ基を介して結合されるジカルボン酸残基及びジオール残基を有する有機構造を意味する。従って、ジカルボン酸残基はジカルボン酸モノマー又はその関連酸ハライド、エステル、塩、無水物又はそれらの混合物に由来することができる。従って、本明細書中で使用する用語「ジカルボン酸」は、ジカルボン酸並びに高分子量ポリエステルを製造するためのジオールとの重縮合反応において有用なジカルボン酸の任意の誘導体、例えばその関連酸ハライド、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物又はそれらの混合物を含むものとする。
【0028】
本発明のポリマー組成物の第1成分は、テレフタル酸、イソフタル酸又はそれらの混合物からなる群から選ばれた二酸残基、アルキレングリコール残基から選ばれたジオール残基を含む少なくとも1種のポリエステル(A)である。本発明に含まれるポリエステル(A)は、反復単位の総モルが100モル%となるように実質的に等しい比で反応する実質的に等モル比の酸残基(100モル%)及びジオール残基(100モル%)を含む。従って、本明細書の開示中に示したモル百分率は、酸残基の総モル、ジオール残基の総モル又は反復単位の総モルに基づく場合がある。例えば、総酸残基に基づき20モル%のイソフタル酸を含むポリエステルは、ポリエステルが合計100モル%の酸残基のうちイソフタル酸残基を20モル%含むことを意味する。従って、酸残基100モルについてイソフタル酸残基が20モル存在する。別の例において、総ジオール残基に基づき10モル%のエチレングリコールを含むポリエステルは、ポリエステルが合計100モル%のジオール残基のうちエチレングリコール残基を10モル%含むことを意味する。従って、ジオール残基100モルについてエチレングリコール残基が10モル存在する。
【0029】
本発明のポリマー組成物は、ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール残基70〜100モル%及びポリテトラメチレングリコール残基0〜30モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)とのブレンドを含む第2成分を含む。
【0030】
本発明のポリマー組成物については、第1成分及び第2成分の総重量%は100重量%に相当し;ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る第2成分の総重量%は100重量%に相当する。
【0031】
本発明の組成物の本発明の第1成分及び第2成分は、絶対値の差が0.008又はそれ以下、好ましくは0.006又はそれ以下である屈折率を有する。
【0032】
本発明においてポリエステル(A)及びポリエステル(C)として有用なコポリエステルは非晶性コポリエステルであることができる。半結晶性であるコポリエステルは、溶融状態からの急速冷却によって明澄な非晶性製品とすることができる。非晶性コポリエステルは、一般に、示差走査熱量測定法によって20℃/分の速度での走査時に実質的な融点を示さないコポリエステルと定義される。用語「非晶性コポリエステル」の別の定義方法では、一般に、溶融状態からの半結晶化時間(crystallization half time)が少なくとも5分であるコポリエステルと定義される。半結晶化時間は、例えば少なくとも7分、少なくとも10分、少なくとも12分、少なくとも20分及び少なくとも30分であることができる。本明細書中で使用するポリエステルの半結晶化時間は、当業者によく知られた方法を用いて測定できる。例えば、半結晶化時間は、Perkin−Elmer Model DSC−2示差走査熱量計を用いて測定できる。半結晶化時間は、溶融状態から以下の方法を用いて測定される:ポリエステルの15.0mgのサンプルをアルミニウムパン中にシールし、290℃まで約320℃/分の速度で2分間加熱する。次いで、サンプルを直ちに、ヘリウムの存在下で所定の等温結晶化温度まで約320℃/分の速度で冷却する。等温結晶化温度は、最高結晶化速度を生じる、ガラス転移温度と溶融温度の間の温度である。等温結晶化温度は、例えばElias,H.Macromolecules,Plenum Press:NY,1977,p.391に記載されている。半結晶化時間は、等温結晶化温度に達してからDSC曲線上の結晶化ピークの点までの時間幅として求められる。
【0033】
本発明のポリマー組成物は、ポリエステル又はポリエステルの混和性ブレンドの第1成分と、ポリエステルとポリカーボネートを含む混和性ブレンドである第2成分を含んでなり、第1成分と第2成分とのブレンドは明澄な非混和性ブレンドを形成する。本明細書中で使用する用語「混和性」は、よく知られた方法、例えば示差走査熱量測定法(DSC)によって測定される単一組成に依存するTg(ガラス転移温度)によって示される単一の均質な非晶性相をブレンドが有することを意味するものとする。一方、本明細書中で使用する「非混和性」は、少なくとも2つの相を示し且つ1つより多いTgを示すブレンドを意味する。混和性及び非混和性ポリマーブレンド並びにそれらの特性決定のための種々の分析方法についての更なる概要は、Polymer Blends,Volumes 1 and 2(Edited by D.R.Paul and C.B.Bucknall,2000,John Wiley & Sons,Inc.)に記載されている。メルトからの望ましい結晶化速度はまた、ポリマー添加剤、例えば可塑剤の添加によって、又はポリマーの分子量特性を変えることによって達成できる。本発明に使用するポリエステル(A)及び(C)は非晶性であり、約40〜140℃、好ましくは約60〜100℃のガラス転移温度を有する。ポリエステル(A)及び(C)は典型的には約0.3〜1.2dL/g、好ましくは約0.6〜1.1dL/gのインヘレント粘度(I.V.)を有する。ポリエステル(C)については、一実施態様は、少なくとも0.5dL/g、好ましくは少なくとも0.7dL/gのインヘレント粘度を有するポリエステルである。本明細書中で使用するI.V.は、25℃においてフェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%からなる溶媒100mL当たりポリマー0.50gを用いて測定したインヘレント粘度測定値を意味する。本明細書中におけるポリエステルのI.V.の基本的な測定方法は、ASTM法D2857−95に示されている。
【0034】
本発明の第1成分、即ち本発明のポリエステル(A)において有用な二酸は、フタル酸残基、例えばテレフタル酸残基、イソフタル酸残基及び/又はそれらの混合物を約70〜100モル%、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%を含むことができる。テレフタル酸が好ましい一実施態様である。例えば、ポリエステルは、テレフタル酸からの二酸残基約70〜約100モル%及びイソフタル酸からの二酸残基0〜約30モル%(一実施態様においてはイソフタル酸約0.1〜30モル%)を含むことができる。別の例においては、ポリエステルはテレフタル酸からの二酸残基約70〜約99.9モル%及びイソフタル酸からの二酸残基0.1〜約30モル%を含むことができる。
【0035】
本発明の組成物の第1成分のポリエステル(A)は、約0〜約30モル%、好ましくは0〜10モル%、より好ましくは0.1〜10モル%の1種又はそれ以上の改質用二酸の残基(フタル酸残基ではない)を更に含むことができる。使用できるポリエステル(A)のための改質用二酸の例としては、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸及びイソフタル酸以外)又はこれらの酸の2種若しくはそれ以上の混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。改質用ジカルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、スルホイソフタル酸のうち1種又はそれ以上が挙げられるが、これらに限定するものではない。改質用二酸の更なる例はフマル酸、マレイン酸、イタコン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、2,5−ノルボルナンジカルボン酸、フタル酸、ジフェン酸、4,4’−オキシジ安息香酸及び4,4’−スルホニルジ安息香酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0036】
改質用ジカルボン酸残基の他の例としては、ナフタレンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。ナフタレンジカルボン酸の種々の異性体又は異性体混合物はいずれも使用できるが、1,4−、1,5−、2,6−及び2,7−異性体が好ましい。脂環式ジカルボン酸、例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は純粋なシス若しくはトランス異性体として又はシス及びトランス異性体の混合物として存在できる。炭素数2〜20、好ましくは2〜18、より好ましくは2〜16のジカルボン酸が本発明の一実施態様に含まれる。一実施態様においては、テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の混合物が好ましい。
【0037】
本発明の一実施態様において、本発明のポリマー組成物の第1成分のポリエステル(A)は、また、1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約0〜約45モル%及び他のアルキレングリコール残基(1,4−シクロヘキサンジメタノール以外)(改質用ジオール)100〜約55モル%を含むことができるジオール残基を含む。別の実施態様において、ポリエステル(A)は1,4−シクロヘキサンジメタノール0.5〜13モル%及び他のアルキレングリコール残基(1,4−シクロヘキサンジメタノール以外)99.5〜87モル%を含む。本明細書中で使用する用語「ジオール」は、用語「グリコール」と同義であり、任意の二価アルコールを意味する。一実施態様において、ポリエステル(A)のための改質用ジオールは2〜20個、好ましくは2〜18個、より好ましくは2〜16個の炭素原子を有する。例えば、ポリエステル(A)において、ジオール残基は、(a)100モル%に相当するジオール残基の総モル百分率に基づき約20〜40モル%、好ましくは約25〜35モル%、より好ましくは約30〜35モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、及び(b)100モル%に相当するジオール残基の総モル百分率に基づき、80〜60モル%、好ましくは約75〜65モル%、より好ましくは約70〜65モル%の1種又はそれ以上のアルキレングリコール残基を含むことができる。一実施態様において、改質用アルキレングリコールの少なくとも1種はエチレングリコールである。
【0038】
本発明のポリエステル(A)において有用な他のアルキレングリコール残基(1,4−シクロヘキサンジメタノール以外)としては、エチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,8−オクタンジオール、1,2−及び1,3−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール又はこれらのアルキレングリコールのいずれかの1種又はそれ以上の組合せが挙げられるが、これらに限定するものではない。脂環式ジオール、例えば1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノールはそれらの純粋なシス若しくはトランス異性体として又はシス及びトランス異性体の混合物として存在できる。別の例において、ジオール残基は約0〜約45モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、約100〜55モル%のエチレングリコール残基及び約0〜10モル%の、エチレングリコール以外のアルキレングリコールの残基を含むことができる。更なる例において、ジオール残基は約20〜約40モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、約60〜約80モル%のエチレングリコール残基を含むことができる。別の例において、ジオール残基は約25〜35モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基、約65〜75モル%の他のアルキレングリコール(1,4−シクロヘキサンジメタノール以外)の残基を含むことができる。更に別の例において、ジオール残基は約0.5〜13モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基及び約99.5〜約87モル%のエチレングリコール残基を含むことができる。別の実施態様において、ポリエステル(A)は90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%のエチレングリコール残基を含むことができ、ジカルボン酸残基は90〜100モル%、好ましくは95〜100モル%のテレフタル酸残基を含むことができる。
【0039】
本明細書中に存在するジオール残基のモル百分率について記載された任意の範囲に関連して、二酸残基の記載された任意のモル百分率を使用できる。本明細書中に記載したジオール残基のモル百分率の好ましい範囲との組合せで、ポリエステル(A)の二酸残基が約80〜約100モル%のテレフタル酸残基を含むことは本発明の別の実施態様である。
【0040】
本発明のポリマー組成物に含まれるポリエステル(A)の実施態様のうちの1つの二酸及びジオール残基は、(1)少なくとも約80〜100モル%のテレフタル酸残基及び0〜約20モル%の、イソフタル酸残基を含む(これに限定するものではないが)他の改質用二酸残基を含む二酸残基;並びに(2)約20〜40モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基及び約80〜60モル%の、エチレングリコールを含む(これに限定するものではないが)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基以外のアルキレングリコール残基から本質的に成ることができる。
【0041】
本発明のポリマー組成物は、典型的には、約1〜99重量%、好ましくは50〜85重量%、より好ましくは約60〜80重量%の第1成分(ポリエステル(A))と約99〜1重量%、好ましくは15〜50重量%、より好ましくは約20〜40重量%の第2成分を含み、ポリマー組成物の全成分の総重量百分率は100重量%に相当する。
【0042】
ポリエステル(A)及び/又はポリエステル(C)は、3個又はそれ以上のカルボキシル置換基、ヒドロキシル置換基又はそれらの組合せを有する分岐モノマーの1種又はそれ以上の残基を、ポリエステルの総重量に基づき、約0〜約10重量%、好ましくは約0.05〜約5重量%、より好ましくは約0.01〜1重量%、更に好ましくは0.1〜0.7重量%含む。
【0043】
分岐モノマー(branching monomer)の例としては、多官能価酸又はグリコール、例えばトリメリット酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、クエン酸、酒石酸、3−ヒドロキシグルタル酸などが挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましくは、分岐モノマー残基は、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、グリセロール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン又はトリメシン酸のうち1種又はそれ以上の残基を約0.1〜約0.7モル%含む。分岐モノマーは、ポリエステル反応混合物に添加することもできるし、又は例えば米国特許第5,654,347号及び第5,696,176号に記載されたようにコンセントレートの形態でポリエステルとブレンドすることもできる。
【0044】
1,4−シクロヘキサンジメタノール残基は典型的には約60〜100モル%の範囲のトランス異性体含量を有する。しかし、好ましい異性体含量はトランス異性体が約60〜約80%の範囲である。
【0045】
ポリエステルは、当業界でよく知られた常法によって容易に製造される。例えば、溶融相重縮合法又は溶融相重縮合法と固相重縮合法との組合せを必要に応じて使用できる。ポリエステルの二酸残基は、ジカルボン酸又は二酸の誘導体、例えば低級アルキルエステル(例えば、テレフタル酸ジメチル)、酸ハライド(例えば二酸塩化物)又は場合によっては無水物に由来することができる。
【0046】
本発明中に存在するポリエステルは、適切なジカルボン酸、エステル、無水物若しくは塩、適切なジオール若しくはジオール混合物及び分岐モノマーから、典型的な重縮合反応条件を用いて容易に製造される。これらは連続、半連続又は回分操作様式によって製造でき、種々の反応器型を利用できる。適当な反応器型の例としては、撹拌槽型反応器、連続撹拌槽型反応器、スラリー反応器、管型反応器、ワイプドフィルム反応器、流下薄式反応器又は押出反応器が挙げられるが、これらに限定するものではない。本明細書中で使用する用語「連続」は、反応体の投入及び生成物の取り出しを同時に中断せずに行う方法を意味する。「連続」とは、「回分」法とは異なり、方法が操作において実質的に又は完全に連続的であることを意味する。「連続」は、例えば始動、反応器のメインテナンス又は定期的なシャットダウン期間による、方法の連続性の通常の中断を禁止することを意味しない。本明細書中で使用する用語「回分」法は、反応体全てを反応器に加えてから、所定の反応過程に従って加工し、その間に材料の反応器への供給も反応器からの除去も行わない方法を意味する。用語「半連続」は、反応体の一部を方法の初めに装入し且つ残りの反応体を反応の進行につれて連続的に供給する方法を意味する。別法として、半連続法はまた、1種又はそれ以上の生成物を反応の進行につれて連続的に除去する以外は、全反応体を方法の初めに添加する回分法と同様な方法を含むことができる。この方法は、経済的な理由から、また、高温の反応器中に過度に長時間滞留させるとポリエステルの外観が悪化するおそれがあるのでポリマーの優れた色合いを生じるために、連続法として行うのが有利である。
【0047】
本発明に含まれるポリエステルは、当業者に知られた方法によって製造する。ジオール、ジカルボン酸及び分岐モノマー成分の反応は、従来のポリエステル重合条件を用いて実施できる。例えば、エステル交換反応によって、即ち、エステル型のジカルボン酸成分からポリエステルを製造する場合には、反応方法は2つの工程を含むことができる。第1工程において、ジオール成分とジカルボン酸成分、例えばテレフタル酸ジメチルを高温において、典型的には約150〜約250℃において、約0.0kPaゲージ〜約414kPaゲージ(60ポンド/平方インチ,psig)の範囲の圧力で約0.5〜約8時間反応させる。好ましくは、エステル交換反応の温度は約1〜約4時間の間、約180〜約230℃の範囲であり、好ましい圧力は約103kPaゲージ(15psig)〜約276kPaゲージ(40psig)の範囲である。その後、反応生成物をより高い温度において減圧下で加熱して、ジオールを除去しながらポリエステルを形成する。ジオールはこれらの条件下では容易に揮発させられ、系から除去される。この第2工程、即ち重縮合工程は、より高い真空下で、一般には約230〜約350℃、好ましくは約250〜約310℃、最も好ましくは約260〜約290℃の範囲の温度において約0.1〜約6時間又は好ましくは約0.2〜約2時間、インヘレント粘度によって測定された場合に所望の重合度を有するポリマーが得られるまで続ける。重縮合工程は、約53kPa(400トル)〜約0.013kPa(0.1トル)の範囲の減圧下で実施できる。反応混合物の充分な熱伝達及び表面更新を保証するために、いずれの段階においても撹拌又は適当な条件を使用する。両段階の反応速度は、適当な触媒、例えばアルコキシチタン化合物、アルカリ金属水酸化物及びアルコラート、有機カルボン酸の塩、アルキル錫化合物、金属酸化物などによって増加させる。米国特許第5,290,631号に記載されたのと同様な三段階製造方法も、酸及びエステルの混合モノマー供給材料を使用する場合には特に使用できる。
【0048】
エステル交換反応によるジオール成分とジカルボン酸成分との反応を確実に完了させるためには、場合によっては、1モルのジカルボン酸成分に対して約1.05〜約2.5モルのジオール成分を用いるのが望ましい。しかし、当業者ならば、ジオール成分対ジカルボン酸成分の比は、一般に、反応プロセスを行う反応器の設計によって決定されることがわかるであろう。
【0049】
直接エステル化による、即ち酸型のジカルボン酸成分からのポリエステルの製造においては、ジカルボン酸又はジカルボン酸の混合物とジオール成分又はジオール成分の混合物及び分岐モノマー成分とを反応させることによってポリエステルを生成する。この反応は約7kPaゲージ(1psig)〜約1379kPaゲージ(200psig)、好ましくは689kPa(100psig)未満の圧力において実施して、約1.4〜約10の平均重合度を有する低分子量ポリエステル生成物を生成する。直接エステル化反応の間に用いる温度は、典型的には約180〜約280℃、より好ましくは約220〜約270℃の範囲である。次に、この低分子量ポリマーは重縮合反応によって重合させることができる。本発明において用いるポリエステルの合成に使用できる触媒材料の例としては、チタン、マンガン、亜鉛、コバルト、アンチモン、ガリウム、リチウム、カルシウム、珪素及びゲルマニウムが挙げられる。このような触媒系は米国特許第3,907,754号、第3,962,189号、第4,010,145号、第4,356,299号、第5,017,680号、第5,668,243号及び第5,681,918号に記載されており、これらを引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる。好ましい触媒金属としてはチタン及びマンガンが挙げられ、最も好ましいのはチタンである。触媒金属の使用量は約5〜100ppmの範囲であることができるが、良好な色、熱安定性及び電気的性質を有するポリエステルを提供するためには、チタン約5〜約35ppmの触媒濃度の使用が好ましい。燐化合物が触媒金属と併用されることが多く、ポリエステルの製造に通常使用される任意の燐化合物を使用できる。典型的には、約100ppm以下の燐を使用できる。
【0050】
本明細書中で使用する用語「ポリカーボネート」は、式:
【0051】
【化1】

【0052】
[式中、Yは式HO−Y−OHのジヒドロキシ芳香族化合物又はジヒドロキシ脂肪族化合物に由来する二価芳香族又は脂肪族基であり、nは反復単位の数に相当する]
の反復単位又は残基を含むポリカーボネートを包含する。典型的なジヒドロキシ芳香族化合物は、ビスフェノールAとしても知られる2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン;4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;2,2−(3,5,3’,5’−テトラクロロ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−(3,5,3’,5’−テトラブロモ−4,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン;3,3’−ジクロロ−3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニル)メタン;2,2’−ジヒドロキシフェニルスルホン;及び2,2’−ジヒドロキシルフェニルスルフィドである。一実施態様において、HO−Y−OHは2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロピルであり、その場合にはポリカーボネートは「ビスフェノールAポリカーボネート」である。
【0053】
ジヒドロキシ脂肪族化合物の例としては、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、イソソルビド、4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチルシクロブタン−1,2−ジオール、Z,8−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.0]−デカン(Zは3、4又は5を表す);及び鎖中に1個又はそれ以上の酸素原子を含むジオール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどが挙げられる。一般に、これらのジオールは2〜18個、好ましくは2〜8個の炭素原子を含む。脂環式ジオールはそれらのシス型若しくはトランス型立体配置で又は両形態の混合物として使用できる。
【0054】
分岐ポリカーボネートも本発明において有用である。分岐はポリカーボネートの製造時に行われ;一般には、連鎖停止剤としての任意の一官能価化合物及び分岐剤又は架橋剤としての三官能価又はそれ以上の官能価の化合物を用いて、ビスフェノールAのような二価フェノールをホスゲンと反応させる。反応性ハロゲン化アシルも縮重合性であり、連鎖停止化合物(一官能価)、コモノマー(二官能価)又は分岐剤(三官能価又はそれ以上)としてポリカーボネート中に使用されている。
【0055】
例えば米国特許第4,001,884号に開示された分岐ポリカーボネートの1つの形成方法は、従来のポリカーボネート形成性反応混合物中への芳香族ポリカルボン酸又はそれらの官能性誘導体の組み込みを含む。この米国特許第4,001,884号中の実施例は、典型的には10より高いpHを含むアルカリ性条件下でホスゲンがビスフェノールとの反応を受ける反応においてこのような取り込みを実証している。好ましい芳香族ポリカルボン酸誘導体がトリメリット酸三塩化物であることはこれまでの例でも明らかである。また、前記特許には、分子量調整剤としての一価フェノールの使用が開示され;それは、形成ポリカーボネート鎖上のクロロフォルメート基との反応によって連鎖停止剤として作用する。
【0056】
米国特許第4,367,186号は、架橋性ポリカーボネートが連鎖停止剤としてメタクリル酸塩化物を含む架橋ポリカーボネートの製造方法を開示している。ビスフェノールA、水酸化ナトリウム水溶液及び塩化メチレンの混合物を製造する。これに、メタクリル酸塩化物の塩化メチレン中溶液を添加する。次いで、ホスゲンを添加し、追加量の水酸化ナトリウム水溶液を添加して、pHを13〜14に保つ。最後に、トリエチルアミンカップリング触媒を添加する。
【0057】
EP 273 144は、式−C(O)−CH=CH−R[式中、Rは水素又はC1-3アルキルである]の反応性構造で末端キャップされた分岐ポリ(エステル)カーボネートを開示している。このポリカーボネートは、反応性末端基を提供するために三塩化トリメリチル及び塩化アクリロイルのような分岐剤を用いて、常法で製造する。実施例によれば、この方法は、水、塩化メチレン、トリエチルアミン、ビスフェノールA及び場合によっては連鎖停止剤としてのパラ−t−ブチルフェノールを混合することによって実施する。pHは、水酸化ナトリウム水溶液の添加によって9〜10に保持する。二塩化テレフタロイル、二塩化イソフタロイル、塩化メチレン、及び場合によっては塩化アクリロイル、及び三塩化トリメリチルの混合物を滴加する。次いで、ホスゲンを反応混合物中にゆっくりと投入する。
【0058】
不規則に分岐したポリカーボネート及びそれらの製造方法は、米国特許第4,001,184号からわかる。化学量論量の少なくとも20重量%のカーボネート前駆体、例えばハロゲン化アシル又はハロホルメートを、水及びポリカーボネート用溶媒の媒体中で、二価フェノールと少なくとも0.05モル%の多官能価芳香族化合物との混合物を反応させる。媒体は少なくとも1.2モル%の重合触媒を含む。3〜6のpH範囲を保持するために充分なアルカリ金属水酸化物を反応媒体に加え、次いで、残りのカーボネート前駆体を反応させながら、pHを少なくとも9で且つ12未満まで上昇させるのに充分なアルカリ金属水酸化物を加える。
【0059】
米国特許第6,225,436号は、回分法及び連続法において適当な方法でポリカーボネートへのハロゲンアシル化合物の縮合反応による組み込みを可能にする、ポリカーボネートの製造方法を開示している。このようなハロゲン化アシル化合物は一官能価、二官能価、三官能価又はそれ以上であることができ、好ましくは、ポリマー分子の分岐若しくは連鎖停止又はポリマー分子の末端若しくは側鎖の位置における他の官能部分の生成のために用いる。
【0060】
米国特許第5,142,088号は、分岐ポリカーボネートの製造、より詳細には、その製造において有用な新規中間体及びこの中間体をクロロホルメートオリゴマーを介して分岐ポリカーボネートに転化するための方法を開示している。高い溶融強度を有する分岐ポリカーボネートの1つの製造方法は、炭酸ジフェニル及びビスフェノールAを分岐剤としての多官能価アルコール又はフェノールと共に重合させる溶融重縮合法の変形である。
【0061】
DE 19727709は、溶融重合法において脂肪族アルコールを用いて分岐ポリカーボネートを製造する方法を開示している。アルカリ金属化合物及びアルカリ土類化合物は、溶融法のモノマー段階に加える触媒として使用する場合には、目的とするポリカーボネート化合物を生成するだけでなく、フリース転位として知られる転位反応後に他の生成物を生成することが知られている。これは米国特許第6,323,304号に記載されている。ある範囲のフリース転位生成物の存在は、ポリカーボネート樹脂の溶融強度を増加させ、その結果ボトル及びシート用途に適するものにすることができる。高い溶融強度を有するポリカーボネート樹脂のこの製造方法は、「分岐剤」の添加による分岐ポリカーボネートの製造方法に比較して原料コストが低いという利点を有する。一般に、これらの触媒は、分岐剤と比較して、安価であり且つ必要な量がはるかに少ない。
【0062】
特開平9−059371号は、分岐剤を用いずに重縮合触媒の存在下で芳香族ポリカーボネートを製造する方法を開示しており、この方法では、特定の比率で分岐構造を有するポリカーボネートが得られる。詳細には、特開平9−059371号は、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物及び/又は窒素含有塩基性化合物の存在下における特定の型の芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとの融合重縮合(fusion-polycondensation)反応による、極限粘度数が少なくとも0.2のポリカーボネートの製造を開示している。次いで、ポリカーボネートを、2〜30の特定の範囲のL/D比(Lは水平回転軸の長さであり、Dは撹拌ファンユニットの回転直径である)を有する特殊な自浄式水平型二軸反応器中において更なる反応に供する。特開平9−059371号は、芳香族ジヒドロキシ化合物及び炭酸ジエステルモノマーへの触媒の直接添加を教示している。
【0063】
米国特許第6,504,002号は、溶融重縮合(melt polycondensation)法においてポリカーボネートオリゴマーに分岐誘発触媒を遅れて添加することによって、増大した溶融強度を有する分岐ポリカーボネート組成物を製造する方法、得られる分岐ポリカーボネート組成物及び分岐ポリカーボネート組成物の種々の用途を開示している。界面において製造される高溶融粘度のブロー形成可能なポリカーボネート30樹脂のための分岐剤として、分子当たり3個又はそれ以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール(例えば1,1,1−トリス−(4−ヒドロキシフェニル)エタン(THPE)、1,3,5−トリス−(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,4−ビス−[ジ−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメチル]ベンゼンなど)を使用することが、米国再特許第27,682号及び第3,799,953号に記載されている。
【0064】
不均一界面重合法によって分岐ポリカーボネートを製造することが知られている他の方法は、分岐剤としての塩化シアヌルの使用(米国特許第3,541,059号)、分岐剤としての分岐二価フェノールの使用(米国特許第4,469,861号)及び分岐剤としての3,3−ビス−(4−ヒドロキシアリール)−オキシインドールの使用(米国特許第4,185,009号)を含む。更に、分岐アルキルアシルハライド及び/又は酸で末端キャップされ且つ改善された性質を有すると考えられている芳香族ポリカーボネートが、米国特許第4,431,793号に記載されている。
【0065】
トリメリット三酸塩化物も、分岐ポリカーボネートの界面製造において分岐剤として使用されている。米国特許第5,191,038号は、改善された溶融強度を有する分岐ポリカーボネート組成物及び溶融平衡法での芳香族環状ポリカーネートオリゴマーからのそれらの製造する方法を開示している。
【0066】
本発明の前記実施態様の第2成分に含まれるポリカーボネート(B)は、周知の方法に従って、ジヒドロキシ芳香族化合物をホスゲン、ハロ蟻酸若しくは炭酸エステルのようなカーボネート前駆体、分子量調整剤(molecular weight regulator)、受酸剤(acid acceptor)及び触媒と反応させることによって製造することができる。ポリカーボネートの製造方法は当業界で知られており、例えば米国特許第4,452,933号(この特許を引用することによって本明細書中に組み入れる)に記載されている。
【0067】
適当なカーボネート前駆体の例としては、臭化カルボニル、塩化カルボニル及びそれらの混合物;炭酸ジェフェニル;ジ(ハロフェニル)カーボネート、例えばジ(トリクロロフェニル)カーボネート、ジ(トリブロモフェニル)カーボネートなど;ジ(アルキルフェニル)カーボネート、例えばジ(トリル)カーボネート;ジ(ナフチル)カーボネート;ジ(クロロナフチル)カーボネート又はそれらの混合物;並びに二価フェノールのビスハロ蟻酸エステルが挙げられる。
【0068】
適当な分子量調整剤の例としては、フェノール、シクロヘキサノール、メタノール、アルキル化フェノール、例えばオクチルフェノール、パラ−tert−ブチル−フェノールなどが挙げられる。好ましい分子量調整剤はフェノール又はアルキル化フェノールである。
【0069】
受酸剤は有機又は無機受酸剤であることができる。適当な有機受酸剤は3級アミンであり、その例としてはピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、トリブチルアミンなどのような物質が挙げられる。無機受酸剤はアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩又は燐酸塩のいずれかであることができる。
【0070】
使用できる触媒は、モノマーとホスゲンとの重合を典型的に助けるものである。適当な触媒としては、3級アミン、例えばトリエチルアミン、トリプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、4級アンモニウム化合物、例えばテトラエチルアンモニウムブロミド、セチルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラ−n−ヘプチルアンモニウムヨージド、テトラ−n−プロピルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラ−メチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヨージド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド並びに4級ホスホニウム化合物、例えばn−ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド及びメチルトリフェニルホスホニウムブロミドが挙げられる。
【0071】
本発明のポリエステル組成物の第2成分のポリカーボネート(B)は、米国特許第3,169,121号;第3,207,814号;第4,194,038号;第4,156,069号;第4,430,484号;第4,465,820号;及び第4,981,898号に記載されたようなコポリエステルカーボネートであることもできる。これらの特許全てを引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0072】
本発明において有用なコポリエステルカーボネートは市販されている。これらは、典型的には、少なくとも1種のジヒドロキシ芳香族化合物と、ホスゲンと少なくとも1種のジカルボン酸塩化物、特に塩化イソフタロイル、塩化テレフタロイル又は両者との混合物との反応によって得られる。
【0073】
本発明の第2成分中におけるポリカーボネート成分(C)に対するポリエステル成分(B)の比は、本発明の重要な特徴ではないが、第1成分との屈折率の合致の必要性によって影響され、本発明の個々の実行者によって決定されることができる。典型的には、ポリエステル(A):ポリカーボネート(B)の重量比は約99:1〜約1:99、好ましくは約75:25〜約25:75、最も好ましくは約75:25〜約50:50の範囲であろう。
【0074】
本発明の実施態様の全てにおいて、ポリマー組成物の第2成分は、また、1種又はそれ以上の酸性燐含有化合物と窒素を含む1種又はそれ以上の塩基性有機化合物との反応によって製造される少なくとも1種の塩(D)を含むことができる。本発明において有用な塩(D)は、1種又はそれ以上の酸性燐含有化合物と、好ましくは窒素を含む1種又はそれ以上の塩基性有機化合物との反応によって製造し、前記燐含有化合物は、式:
【0075】
【化2】

【0076】
[式中、R1及びR2は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール及びアリールから独立して選ばれ;
nは2〜500であり;そして
Xは水素及びヒドロキシから選ばれる]
を有する化合物から選ばれ、前記塩基性有機化合物は、式:
【0077】
【化3】

【0078】
【化4】

【0079】
【化5】

【0080】
【化6】

【0081】
【化7】

【0082】
{式中、R1及びR2は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール及びアリールから独立して選ばれ;
3、R4及びR5は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル及び置換C3〜C8−シクロアルキルから独立して選ばれ、R3、R4及びR5の少なくとも1つは水素以外の置換基であり;R3とR4又はR4とR5は共同で、それらが結合している窒素原子と共に環(例えばモルホリノ、ピペリジノなど)を形成する二価の基を表すことができ;
6、R7、R8及びR9は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリールから独立して選ばれ;
10は水素、−OR6、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキルから選ばれ;
11は水素;C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、−Y1−R3又は式:
【0083】
【化8】

【0084】
を有するスクシンイミド基から選ばれ;
12は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリールから選ばれ、芳香環上の2位、3位又は4位に位置することができ;
−N(R3)(R4)基は窒素化合物(5)のピリジン環上の2位、3位又は4位に位置することができ;
−CO23及びR1基は窒素化合物(6)のピリジン環の2位、3位、4位、5位又は6位のいずれかに位置することができ;
1はC2〜C22−アルキレン;−(CH2CH2−Y11~3−CH2CH2−;C3〜C8−シクロアルキレン;アリーレン;又は−CO−L2−OC−から選ばれた二価結合基であり;
2、L2’及びL2”はC1〜C22−アルキレン、アリーレン、−(CH2CH2−Y11~3−CH2CH2−及びC3〜C8−シクロアルキレンから独立して選ばれ;
1は−OC(O)−、−NHC(O)−、−O−、−S−、−N(R1)−から選ばれ;
2は−O−又は−N(R1)−から選ばれ;
13及びR14は−O−R2及び−N(R22から独立して選ばれ;
Zは約20以下、好ましくは約6以下の正の整数であり;
m1、n1及びp1は1〜約12から独立して選ばれ;
15、R15’、R16及びR16’は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール及び基A[基Aは以下の構造:
【0085】
【化9】

【0086】
から選ばれ;基Aの構造において*は結合位置を示す]から独立して選ばれ、好ましくはR15及びR16の少なくとも一方がA基である}
を有する化合物から選ばれ、(塩基性有機化合物中の塩基性窒素原子の数)に対する(酸性燐含有化合物中の燐原子の数)の比は約0.05〜約2,好ましくは約0.25〜約1.1である。
【0087】
用語「C1〜C22−アルキル」は、1〜22個の炭素原子を含み且つ直鎖又は分岐鎖であることができる飽和炭化水素基を示す。このようなC1〜C22−アルキル基はメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、イソブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、2−エチルヘプチル、2−エチルヘキシルなどであることができる。用語「置換C1〜C22−アルキル」は、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アリール、ヘテロアリール、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、C1〜C6−アルコキシ、C2〜C6アルカノイルオキシなどから選ばれた1つ又はそれ以上の置換基で置換されることができる前記C1〜C22−アルキルを示す。
【0088】
用語「C3〜C8−シクロアルキル」は3〜8個の炭素原子を含む脂環式炭化水素基を示すのに用いる。用語「置換C3〜C8−シクロアルキル」は、C1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲンなどから選ばれた少なくとも1つの基を含む前記C3〜C8−シクロアルキルを記載するのに用いる。
【0089】
用語「アリール」は、共役芳香環構造中に6個、10個又は14個の炭素原子を含む芳香族基、並びにC1〜C6−アルキル;C1〜C6−アルコキシ;フェニル、及びC1〜C6−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、ハロゲンなどで置換されたフェニル;C3〜C8−シクロアルキル;ハロゲン;ヒドロキシ、シアノ、トリフルオロメチルなどから選ばれた1つ又はそれ以上の基で置換されたこれらの芳香族基を示すのに用いる。典型的なアリール基としては、フェニル、ナフチル、フェニルナフチル、アントリル(アントラセニル)などが挙げられる。用語「ヘテロアリール」は、硫黄、酸素、窒素又はこれらの組合せから選ばれた少なくとも1つのヘテロ原子を、2〜約10個の炭素原子と組合せて含む共役環状基、並びにアリール基上の可能な置換基として前述した基で置換されたこれらのヘテロアリール基を記載するのに用いる。典型的なヘテロアリール基としては、2−及び3−フリル、2−及び3−チエニル、2−及び3−ピロリル、2−、3−及び4−ピリジル、ベンゾチオフェン−2−イル;ベンゾチアゾル−2−イル、ベンゾオキサゾル−2−イル、ベンゾイミダゾル−2−イル、1,3,4−オキサジアゾル−2−イル、1,3,4−チアジアゾル−2−イル、1,2,4−チアジアゾル−5−イル、イソチアゾル−5−イル、イミダゾル−2−イル、キノリルなどが挙げられる。
【0090】
用語「C1〜C6−アルコキシ」及び「C2〜C6アルカノイルオキシ」は、それぞれ、基−O−C1〜C6アルキル及び−OCOC1〜C6アルキルを表すのに用い、「C1〜C6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を含み、直鎖又は分岐鎖であることができ且つハロゲン、メトキシ、エトキシ、フェニル、ヒドロキシ、アセチルオキシ及びプロピオニルオキシから選ばれた1つ又はそれ以上の基で更に置換されることができる飽和炭化水素を示す。用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を表すのに用いるが、塩素及び臭素が好ましい。
【0091】
用語「C2〜C22−アルキレン」は、2〜22個の炭素を含み、直鎖又は分岐鎖であることができ且つヒドロキシ、ハロゲン、C1〜C6−アルコキシ、C2〜C6アルカノイルオキシ及びアリールから選ばれた1つ又はそれ以上の置換基で置換されることができる二価炭化水素基を示すのに用いる。用語「C3〜C8−シクロアルキレン」は、3〜8個の炭素原子を含む二価脂環式基を示すのに用い、これらは場合によっては1個又はそれ以上のC1〜C6アルキル基で置換される。用語「アリーレン」は1,2−、1,3−及び1,4−フェニレン基、並びにC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ及びハロゲンで場合によっては置換されたこれらの基を示すのに用いる。
【0092】
本発明の第2成分において有用な塩(D)は、酸性燐含有化合物と塩基性窒素含有有機化合物とを適当な方法で一緒にすることによって製造できる。適当な方法は、酸性燐化合物と塩基性有機化合物とを接触させることを含む任意の方法である。例えば、酸性燐含有化合物及び塩基性窒素含有有機化合物を適当な溶媒中に溶解させ、これらの溶液を混合してから反応生成物を沈殿させることができ、溶媒なしで燐含有酸と塩基性有機化合物とを混合することなども可能である。
【0093】
(塩基性有機化合物中の塩基性窒素原子の数)に対する(酸性燐含有化合物中の燐原子の数)の比は約0.05〜約2、好ましくは約0.25〜約1.1の範囲であることができる。大過剰の未反応燐含有酸性化合物を含む組成物は、コンセントレートの製造の間に加工装置の腐蝕を招き且つポリマーの加水分解安定性に悪影響を与えるおそれがある。
【0094】
本発明の第2成分において有用な塩は、典型的には、ポリマー組成物の総重量、即ち第1成分(即ちポリエステル(A))と第2成分(即ちポリカーボネート(B)、ポリエステル(C)及び場合によっては塩(D))と安定剤並びに顔料及び着色剤のような存在する全ての追加成分の総重量に基づき、約0.01〜約0.25重量%の範囲の濃度でポリマー組成物中に存在する。この範囲内の塩(D)の濃度は、典型的には、ポリエステル及びポリエステル−ポリカーボネート組成物の色の改善に有効である。更に、UV吸収剤及び/又はフェノール系酸化防止剤を含むポリエステル組成物の色は改善される。塩(D)の濃度は好ましくは約0.05〜0.15重量%(前記と同じ重量ベース)である。
【0095】
塩(D)の酸性燐含有化合物は好ましくは亜燐酸、燐酸及びポリ燐酸であり、最も好ましくは亜燐酸である。
【0096】
塩(D)の製造において有用な適当な塩基性有機化合物の例としては、アルキルアミン、例えばトリエチルアミン及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ピリジン及び置換ピリジン、ピペリジン及び置換ピペリジン、モルホリン及び置換モルホリンなどが挙げられる。好ましい塩基性有機化合物は、以下:Cyasorb UV−3346(Cytec Industries,CAS#90751−07−8)、Cyasorb UV−3529(Cytec Industries,CAS#193098−40−7)、Cyasorb UV−3641(Cytec Industries,CAS#106917−30−0)、Cyasorb UV−3581(Cytec Industries,CAS#79720−19−7)、Cyasorb UV−3853(Cytec Industries,CAS#167078−06−0)、Cyasorb UV−3853S(Cytec Industries,CAS#24860−22−8)、Tinuvin 622(Ciba Specialty Chemicals,CAS#65447−77−0)、Tinuvin 770(Ciba Specialty Chemicals,CAS#52829−07−9)、Tinuvin 144(Ciba Specialty Chemicals,CAS#63843−89−0)、Tinuvin 123(Ciba Specialty Chemicals,CAS#129757−67−1)、Chimassorb 944(Ciba Specialty Chemicals,CAS#71878−19−8)、Chimassorb 119(Ciba Specialty Chemicals,CAS#106990−43−6)、Chimassorb 2020(Ciba Specialty Chemicals,CAS#192268−64−7)、Lowilite 76(Great Lakes Chemical Corp.,CAS#41556−26−7)、Lowilite 62(Great Lakes Chemical Corp.,CAS#65447−77−0)、Lowilite 94(Great Lakes Chemical Corp.,CAS#71878−19−8)、Uvasil 299LM(Great Lakes Chemical Corp.,CAS#182635−99−0)及びUvasil 299HM(Great Lakes Chemical Corp.,CAS#182635−99−0)、Dastib 1082(Vocht a.s.,CAS#131290−28−3、Uvinul 4049H(BASF Corp.,CAS#109423−00−9)、Uvinul 4050H(BASF Corp.,CAS#124172−53−8)、Uvinul 5050H(BASF Corp.,CAS#199237−39−3)、Mark LA 57(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS#64022−61−3)、Mark LA 52(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS#91788−83−9)、Mark LA 62(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS#107119−91−5)、Mark LA 67(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS#100631−43−4)、Mark LA 63(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS#115055−30−6)、Mark LA 68(Asahi Denka Co.,Ltd.,CAS#100631−44−5)、Hostavin N20(Clariant Corp.,CAS#95078−42−5)、Hostavin N24(Clariant Corp.,CAS#85099−51−1,CAS#85099−50−9)、Hostavin N30(Clariant Corp.,CAS#78276−66−1)、Diacetam−5(GTPZAB Gigiena Truda,USSR,CAS#76505−58−3)、Uvasorb−HA 88(3V Sigma,CAS#136504−96−6)、Goodrite UV−3034(BF Goodrich Chemical Co.,CAS#71029−16−8)、Goodrite UV−3150(BF Goodrich Chemical Co.,CAS#96204−36−3)、Goodrite UV−3159(BF Goodrich Chemical Co.,CAS#130277−45−1)、Sanduvor 3050(Clariant Corp.,CAS#85099−51−0)、Sanduvor PR−31(Clariant Corp.,CAS#147783−69−5)、UV Check AM806(Ferro Corp.,CAS#154636−12−1)、Sumisorb TM−061(Sumitomo Chemical Company,CAS#84214−94−8)、Sumisorb LS−060(Sumitomo Chemical Company,CAS#99473−08−2)、Uvasil 299LM(Great Lakes Chemical Corp.,CAS#164648−93−5)、Uvasil 299HM(Great Lakes Chemical Corp.,CAS#164648−93−5)、Nylostab S−EED(Clariant Corp.,CAS#42774−15−2)のようなヒンダードアミン光安定剤(HALS)である。その他の好ましいヒンダードアミン光安定剤は、Plastic Additives Handbook 5th Edition(Hanser Gardner Publications, Inc.,Cincinnati,OH,USA,2001)に記載されている。
【0097】
前記式(2)、(3)、(7)、(8)、(9)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、(19)、(20)及び(21)を有する塩(D)のヒンダートアミン光安定剤は、好ましい塩基性化合物である。Chimassorb 944(Ciba Specialty Chemicals,CAS#71878−19−8)、Cyasorb UV−3529(Cytec Industries,CAS#193098−40−7)、Chimassorb 119(Ciba Specialty Chemicals,CAS#106990−43−6)及びTinuvin 770(Ciba Specialty Chemicals,CAS#52829−07−9)並びにそれらの任意の同等物は好ましい塩基性化合物の具体例である。より好ましい群の塩基性窒素化合物は、基R10が水素又はC1〜C22アルキルである前記式(2)、(3)、(7)、(8)、(9)、(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)及び(19)並びにR15及びR16の少なくとも一方が基A(R10は水素又はC1〜C22アルキルである)を表す式(15)を有するヒンダートアミン光安定剤である。最も好ましいのは、Cyasorb UV−3529(Cytec Industries,CAS#193098−40−7)のような、分子量が約1000より大きい高分子量HALSである。最も好ましいHALSは、R6=R7=R8=R9=R10=メチルであり、(R3)(R4)N−が共同でモルホリノを表し、L1がC1〜C6アルキレンであり且つZが1〜6である前記式(12)に相当する。更に、基R10が水素又はC1〜C22アルキルである前記式(12)、(13)、(14)、(15)、(16)、(17)、(18)及び(19)並びにR15及びR16の少なくとも一方が基A(R10は水素又はC1〜C22アルキルである)を表す式(15)を有するヒンダートアミン光安定剤は、ポリエステル、ポリカーボネート及びポリエステル−ポリカーボネート組成物の加水分解安定性の改善に特に好ましい。
【0098】
塩(D)が少なくとも1種のトリアジンUV光吸収剤と組み合わさって本発明の任意の実施態様において有用であることは、本発明の別の実施態様である。
【0099】
本発明のポリマー組成物は、当業界で常用される任意の種々の添加剤を含むことができる。例えば、ポリマーブレンドは、潤沢剤、非ポリマー可塑剤、難燃剤(燐を含有するハロゲン化難燃剤を含むが、これらに限定するものではない)、熱安定剤、酸化防止剤(フェノール系酸化防止剤及びヒンダードフェノールを含むが、これらに限定するものではない)、酸化促進剤、酸捕捉剤、耐衝撃性改良剤、紫外線安定剤(例えばトリアジン)、光分解促進剤、帯電防止剤、顔料、染料、又は着色剤及び顔料(例えば有機着色剤、無機着色剤並びに/又はTiO2、ZnO及び酸化バリウムのような白色顔料)、相乗剤、加工助剤、ホスファイト安定剤、ホスホナイト安定剤並びに当業者に知られた他の安定剤から選ばれた少なくとも1種の追加の添加剤を、組成物の総重量に基づき、約0.01〜約50重量%含むことができる。典型的な非ポリマー可塑剤としては、アジピン酸ジオクチル、燐酸エステル及びフタル酸ジエチルが挙げられる。代表的な無機化合物としては、タルク、TiO2、CaCO3、NH4Cl及びシリカが挙げられる。着色剤はモノマー、オリゴマー及びポリマーであることができる。好ましいポリマー着色剤は、発色モノマー、即ち染料がポリマー中に共有結合によって組み入れられた脂肪族ポリエステル、脂肪族−芳香族コポリエステル又は芳香族ポリエステルである。このような代表的なポリマー着色剤は、Weaverらによって米国特許第4,892,922号、第4,892,923号、第4,882,412号、第4,845,188号、第4,826,903号及び第4,749,773号に記載されており、これらの特許の開示全体を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0100】
用語「フェノール系酸化防止剤」及び「ヒンダードフェノール」は、Plastic Additives Handbook 5th Edition(Hanser Gardner Publicatios,Inc.,Cincinnati,OH,USA,2001)の98〜108頁(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に記載された構造によって表されることができる、当業者に知られた一次酸化防止剤である。一般的なフェノール系酸化防止剤のいくつかを挙げると以下の通りである:Irganox 1010(Ciba Specialty Chemicals,CAS#6683−19−8)、Irganox 1330(Ciba Specialty Chemicals,CAS#1709−70−2)及びIrganox 3114(Ciba Specialty Chemicals,CAS#27676−62−6)。
【0101】
用語「ホスファイト安定剤」及び「ホスホナイト安定剤」は、Plastic Additives Handbook 5th Edition(Hanser Gardner Publicatios,Inc.,Cincinnati,OH,USA,2001)の109〜112頁(引用することによってその全体を本明細書中に組み入れる)に記載された構造によって表されることができる、当業者に知られた二次酸化防止剤を意味する。一般的なホスファイト安定剤のいくつかを挙げると以下の通りである:Ultranox 626(GE Specialty Chemicals,CAS#26741−53−7)、Irgafos 168(Ciba Specialty Chemicals,CAS#31570−04−4)、Weston 619(GE Specialty Chemicals,CAS#3806−34−6)及びDoverphos S−9228(Dover Chemicals,CAS#154862−43−8)。
【0102】
用語「ハロゲン化難燃剤」は、ポリマー組成物の燃焼性を減少させるように作用するフッ素、塩素、臭素及びヨウ素のうち1種又はそれ以上を含むことができる化合物と定義する。より好ましいのは、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリスチレンなどのような臭素含有化合物である。
【0103】
必須ではないが、本発明のポリマーブレンドは可塑剤を含むことができる。可塑剤の存在は、カレンダードフィルム又はシートの可撓性及び良好な機械的性質を向上させるのに有用である。可塑剤はポリエステルの加工温度の低下にも役立つ。可塑剤は、典型的には、1つ又はそれ以上の芳香環を含む。好ましい可塑剤は、160℃又はそれ以下の温度においてポリエステルの厚さ5mil(.127mm)のフィルムを溶解させて明澄な溶液を生成することによって示されるように、ポリエステル中に可溶である。より好ましくは、可塑剤は、150℃又はそれ以下の温度においてポリエステルの厚さ5mil(.127mm)のフィルムを溶解させて明澄な溶液を生成することによって示されるように、ポリエステル中に可溶である。ポリエステルへの可塑剤の溶解度は以下のようにして求められる。
【0104】
1.小バイアル中に、厚さが5mil(.127mm)で且つ幅がバイアル幅にほぼ等しい標準対照フィルムの1/2インチの断片を入れる。
2.フィルムが完全に覆われるまで、前記バイアルに可塑剤を加える。
3.フィルム及び可塑剤を含むバイアルを棚の上に置き、1時間後に及び4時間目に再び観察する。フィルム及び液体の外観を記録する。
4.周囲条件において観察後、バイアルを加熱ブロック中に入れ、温度を1時間、75℃の一定にとどめ、フィルム及び液体の外観を観察する。
5.100℃、140℃、150℃及び160℃の各温度について工程4を繰り返す。
【0105】
本発明において有用な可能性のある可塑剤の例は以下の通りである。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
【表3】

【0109】
前記と同様な試験は、The Technology of Plasticizers,J,Kern Sears及びJoseph R.Darby著,Society of Plastic Engineers/Wiley and Sons(New York)発行,1982年,136〜137頁に記載されている。この試験においては、1粒のポリマーを、加熱した顕微鏡ステージ上の1滴の可塑剤中に入れる。可塑剤が消失したら、可塑剤は可溶化されている。可塑剤は、また、それらの溶解度パラメーター(solubility parameter)に従って分類することができる。可塑剤の溶解度パラメーター、又は凝集エネルギー密度の平方根は、Coleman et al.,Polymer 31,1187(1990)に記載された方法によって計算できる。最も好ましい可塑剤は、約9.5〜約13.0cal0.5cm-1.5の範囲の溶解度パラメーター(δ)を有するであろう。一般に、可塑剤の溶解度パラメーターはポリエステルの溶解度パラメーターの1.5単位以内でなければならないことがわかっている。本発明との関連で好ましい可塑剤を、以下の表Bに記載する:
【0110】
【表4】

【0111】
本発明に従って使用できる可塑剤の例は、(i)フタル酸、アジピン酸、トリメリット酸、安息香酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、酪酸、グルタル酸、クエン酸又は燐酸の1種又はそれ以上の残基を含む酸残基;及び(ii)炭素数約20以下の脂肪族、脂環式又は芳香族アルコールの1種又はそれ以上の残基を含むアルコール残基を含むエステルである。更に、可塑剤のアルコール残基の非限定的例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、ヒドロキノン、カテコール、レソルシノール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコールが挙げられる。可塑剤は1種又はそれ以上の安息香酸エステル、フタル酸エステル、燐酸エステル又はイソフタル酸エステルを含むこともできる。別の例において、可塑剤はジエチレングリコールジベンゾエート(本明細書中では、「DEGDB」と略する)を含む。
【0112】
難燃剤を、ポリマーブレンドの総重量に基づき、約5〜約40重量%の濃度でポリマーブレンドに添加することができる。難燃剤レベルの他の例は約7〜約35重量%、約10〜約30重量%及び約10〜約25重量%である。好ましくは、難燃剤は燐酸の1種又はそれ以上のモノエステル、ジエステル又はトリエステルを含む。燐含有難燃剤はポリエステルに対して可塑剤としても作用することができる。別の例において、可塑剤はジエチレングリコールジベンゾエートを含み、難燃剤はレソルシノールビス(ジフェニルホスフェート)を含む。難燃性フィルム又はシートは、典型的には、UL94燃焼試験においてV2又はそれ以上の等級を示すであろう。更に、本発明の難燃性フィルム又はシートは、典型的には、Federal Motor Vehicle Safety Standard 302(典型的にはFMVSS 302と称される)において0の燃焼速度(burn rate)を示す。
【0113】
燐含有難燃剤は好ましくはポリエステル又は可塑化ポリエステルと混和性である。本明細書中で使用する用語「混和性」は、難燃剤と可塑化ポリエステルとが混ざり合って、加工条件又は使用条件下で複数の相に分離しない安定な混合物を形成することを意味するものと解釈される。従って、用語「混和性」は、難燃剤及び可塑化ポリエステルが真溶液を形成する「可溶性」混合物と、難燃剤と可塑化ポリエステルとの混合物が必ずしも真溶液を形成せず、安定なブレンドだけを形成することを意味する「相溶性」混合物の両者を含むものとする。好ましくは、燐含有化合物は非ハロゲン化有機化合物、例えば、有機置換基を含む燐の酸のエステルである。難燃剤は、例えばホスフィン、亜燐酸エステル、亜ホスフィン酸エステル、亜ホスホン酸エステル、ホスフィン酸エステル、ホスホン酸エステル、ホスフィンオキシド及び燐酸エステルのような、当業界でよく知られた広範な燐化合物を含むことができる。燐含有難燃剤の例としては、燐酸トリブチル、燐酸トリエチル、燐酸トリ−ブトキシエチル、燐酸ジフェニルt−ブチルフェニル、燐酸ジフェニル2−エチルヘキシル、燐酸ジメチルエチル、燐酸ジフェニルイソデシル、燐酸トリラウリル、燐酸トリフェニル、燐酸トリクレジル、燐酸トリキシレニル、t−ブチルフェニル=ジフェニルホスフェート、レソルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、燐酸トリベンジル、燐酸エチルフェニル、チオノ燐酸トリメチル、チオノ燐酸エチルフェニル、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、ペンチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジラウリル、メチルホスホン酸ジフェニル、メチルホスホン酸ジベンジル、クレジルホスホン酸ジフェニル、クレジルホスホン酸ジメチル、メチルチオノホスホン酸ジメチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸ベンジル、ジフェニルホスフィン酸メチル、トリメチルホスフィンオキシド、トリフェニルホスフィンオキシド、トリベンジルホスフィンオキシド、4−メチルジフェニルホスフィンオキシド、亜燐酸トリエチル、亜燐酸トリブチル、亜燐酸トリラウリル、亜燐酸トリフェニル、亜燐酸トリベンジル、亜燐酸ジエチルフェニル、亜燐酸ジメチルフェニル、亜燐酸ジメチルベンジル、メチル亜ホスホン酸ジメチル、ペンチル亜ホスホン酸ジエチル、メチル亜ホスホン酸ジフェニル、メチル亜ホスホン酸ジベンジル、クレジル亜ホスホン酸ジメチル、ジメチル亜ホスフィン酸メチル、ジエチル亜ホスフィン酸メチル、ジフェニル亜ホスフィン酸フェニル、ジフェニル亜ホスフィン酸メチル、ジフェニル亜ホスフィン酸ベンジル、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン及びメチルジフェニルホスフィンが挙げられる。
【0114】
本発明の燐含有難燃剤の記載において使用する用語「燐の酸(phosphorus acid)」は、鉱酸、例えば燐酸;炭素−燐直接結合を有する酸、例えばホスホン酸及びホスフィン酸;並びに少なくとも1つの残存非エステル化酸基を含む、部分エステル化された燐の酸、例えば、燐酸の1級又は2級エステルなどを含む。本発明において使用できる典型的な燐の酸としては、以下のもの:ジベンジル燐酸、ジブチル燐酸、ジ(2−エチルヘキシル)燐酸、ジフェニル燐酸、メチルフェニル燐酸、フェニルベンジル燐酸、ヘキシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、トリルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、2−フェニルエチルホスホン酸、メチルヘキシルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルナフチルホスフィン酸、ジベンジルホスフィン酸、メチルフェニルホスフィン酸、フェニル亜ホスホン酸、トリル亜ホスホン酸、ベンジル亜ホスホン酸、ブチル燐酸、2−エチルヘキシル燐酸、フェニル燐酸、クレジル燐酸、ベンジル燐酸、フェニル亜燐酸、クレジル亜燐酸、ベンジル亜燐酸、ジフェニル亜燐酸、フェニルベンジル亜燐酸、ジベンジル亜燐酸、メチルフェニル亜燐酸、フェニルフェニルホスホン酸、トリルメチルホスホン酸、エチルベンジルホスホン酸、メチルエチル亜ホスホン酸、メチルフェニル亜ホスホン酸及びフェニルフェニル亜ホスホン酸が挙げられるが、これらに限定するものではない。難燃剤は、典型的には、燐酸の1種又はそれ以上のモノエステル、ジエステル又はトリエステルを含む。別の例において、難燃剤はレソルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(本明細書中では、「RDP」と略する)を含む。
【0115】
酸化安定剤も、ロール上での溶融又は半溶融材料の加工中における酸化分解を防ぐために、本発明のポリエステルと共に使用できる。このような安定剤としては、エステル、例えばチオジプロピオン酸ジステアリル又はチオジプロピオン酸ジラウリル;フェノール系安定剤、例えば、Ciba-Geigy AGから入手可能なIRGANOX(登録商標)1010、Ethyl Corporationから入手可能なETHANOX(登録商標)330、及びブチル化ヒドロキシトルエン;並びに燐含有安定剤、例えば、Ciba-Geigy AGから入手可能なIrgafos(登録商標)及びGE Specialty Chemicalsから入手可能なWESTON(登録商標)安定剤が挙げられる。これらの安定剤は単独でも組合せても使用できる。
【0116】
新規ポリマー組成物は、好ましくは、燐触媒失活剤(catalyst quencher)成分を含む。燐触媒失活剤成分は典型的には1種又はそれ以上の燐化合物、例えば燐の酸、例えば燐酸及び/若しくは亜燐酸又は燐の酸のエステル、例えば燐酸エステル若しくは亜燐酸エステルである。燐触媒失活剤の更なる例は、米国特許第5,907,026号及び第6,448,334号に記載されている。存在する燐触媒失活剤の量は、本発明の第1成分及び第2成分の総重量に基づき、典型的には約0〜0.5重量%、好ましくは0.05〜0.3重量%の元素燐量を提供するものである。
【0117】
また、ポリエステルの溶融強度を目的レベルに増加させるために、スルホイソフタル酸のような薬剤を使用することも可能である。更に、ポリマーブレンドは、要求に応じて、染料、顔料、充填剤、艶消剤、粘着防止剤、帯電防止剤、発泡剤、チョップトファイバー、ガラス、耐衝撃性改良剤、カーボンブラック、タルク、TiO2などを含むことができる。ポリエステル及びカレンダー加工品に望ましいニュートラルな色相及び/又は明度を与えるために、 と称されることもある着色剤を添加することができる。
【0118】
ポリマーブレンドの種々の成分、例えば難燃剤、剥離剤、可塑剤及びトーナーは、回分法、半連続法又は連続法でブレンドすることができる。小規模バッチは、当業者によく知られた任意の強力混合装置、例えばバンバリーミキサー、バッチミキサー、リボンブレンダー、ロールミル、トルクレオメーター、一軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機中で容易に製造できる。これらの成分は、適当な溶剤中に溶解させてブレンドすることもできる。溶融ブレンド法は、ポリエステル、可塑剤、難燃剤、添加剤及び任意の追加の非重合成分を、ポリエステルを溶融させるのに充分な温度でブレンドすることを含む。ブレンドは、その後の使用のために冷却及びペレット化することもできるし、或いは溶融ブレンドを、この溶融されたブレンドからフィルム又はシートに直接カレンダー加工することもできる。ここで使用する用語「メルト(溶融)」は、ポリエステルの単なる軟化を含むが、これに限定するものではない。ポリマー業界で一般的に知られた溶融混合法に関しては、”Mixing and Compounding of Polymers”(I.Manas−Zloczower & Z.Tadmor editors,Carl Hanser Verlag Publisher,1994,New York,N.Y.)を参照。有色シート又はフィルムが望ましい場合には、顔料又は着色剤を、ジオールとジカルボン酸との反応中にポリエステル混合物中に含ませることもできるし、或いは予備成形されたポリエステルと溶融ブレンドすることもできる。着色剤を含ませる好ましい方法は、着色剤がポリエステル中に共重合され且つ組み込まれてポリエステルの色相を改善するような反応性基を有する、熱的に安定な有機着色化合物を含む着色剤を用いることである。例えば、反応性ヒドロキシル及び/又はカルボキシル基を有する染料のような着色剤、例えば、青色及び赤色置換アントラキノン類(これらに限定するものではないが)をポリマー鎖中に共重合させることができる。染料を着色剤として使用する場合には、それらは、エステル交換又は直接エステル化反応後にポリエステル反応プロセスに加えることができる。
【0119】
「目視によって明澄な」ブレンドは、本明細書中では、それから製造された物品が約40%又はそれ以上の拡散透過率値を有するものと定義する。「不透明な」又は「濁った」ブレンドは、それから製造された物品が約40%未満の拡散透過率値を有するものと定義する。本発明のポリマー組成物から製造された射出成形品は、性質の新規な組合せを特徴とする。目視透明度若しくは明澄度又はヘイズ値を有し且つASTM法D1003によって測定した場合に約40%若しくはそれ以上より大きい、好ましくは60%より大きい又は更に好ましくは80%より大きい拡散透過率値を有するポリマー組成物が好ましい。
【0120】
ポリマー組成物の性質を表I、II及びIIIに示す。455キロパスカル(kPa−約66ポンド/平方インチ−psi)における加熱撓み温度(HDT)は約73〜90℃と測定され;ASTM D256のノッチ付きアイゾッド衝撃強度は約70〜210J/m(1.23〜4.0ft−lbs/in)であり;ASTM D256のノッチなしアイゾッド衝撃強度は少なくとも1500J/m(30ft−lbs/in)であり;ASTM D790の曲げ弾性率は約2100〜2400MPa(3.0E5〜3.5E5 psi)であり;ASTM D790の曲げ強度は約77〜85Mpa(11000〜12500psi)である。
【0121】
一般に、目視によって明澄な本発明の非混和性組成物を得るためには、2種のポリマーの屈折率の絶対値の差が0.008以下、好ましくは0.006以下、より好ましくは0.004若しくはそれ以下でなければならない。しかし、許容され得る屈折率の最大差は、ブレンドの組成、粒径、屈折率、波長及び粒子構造によって異なる。これについては、Biangardi et al.,Die Angew Makromole.Chemie,183,221(1990)に記載されている。
【0122】
ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)の完全な混和性は、ポリカーボネート(B)/ポリエステル(C)比の調節によって、少なくとも1種又はそれ以上のコポリエステル(A)の屈折率(RI)とポリカーボネート(B)/ポリエステル(C)ブレンドのRIとの合致を可能にする。
【0123】
拡散透過率を最大にするのに必要なポリカーボネート(B)中のポリエステル(C)の重量%とポリエステル(A)中の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)の量(モル%)との関係は、0.15より大きく且つ0.45未満のCHDM/EG比を有する、テレフタル酸、エチレングリコール及びCHDMのコポリエステルに関する以下の関係に従うことができる:
ポリカーボネート(B)中のポリエステル(C)の重量%
=1.738*Ln(CHDMのモル%)+9.2236
[式中、Lnは自然対数である]。
【0124】
CHDM/EG比が0.15未満のコポリエステルに関しては、拡散透過率を最大にするのに必要なポリカーボネート(B)/ポリエステル(C)ブレンド中のポリエステ(C)の重量%とポリエステル(A)中のCHDMの量(モル%)との関係は、以下の関係に従うことができる:
ポリカーボネート(B)中のポリエステル(C)の重量%
=0.5*(CHDMのモル%)+9.25。
【0125】
これらの組成物は当業界で知られた任意の方法によって製造できる。これらの組成物はメルトで、例えば一軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機を用いることによって配合できる。これらは、溶解してブレンドすることによって製造することもできる。これらのブレンドは熱可塑性成形用組成物として又は他の最終用途に有用である。
【0126】
ポリエステルブレンドは、また、押出及びカレンダー加工を含む(これらに限定するものではない)当業者に知られた多くの方法を用いて、フィルム又はシートの形態にすることができる。押出方法においては、典型的にはペレットの形態のポリエステルをタンブラー中で混ぜ合わせ、次いで溶融配合のために押出機中のホッパー中に入れる。別法として、ペレットを、ペレットを所望の重量比で計量しながら供給する種々のフィーダーによって、押出機のホッパーに加えることもできる。押出機から出ると、その時均質だったコポリエステルブレンドはフィルムの形状になる。フィルムの形状は限定されない。例えば、それはフラットシート又はチューブであることができる。得られるフィルムは、例えば、特定の方向に原寸の2〜6倍延伸することができる。
【0127】
フィルムの延伸方法は、ロール延伸法、長ギャップ延伸法、テンター延伸法及びチューブラー延伸法のような、当業界で知られた任意の方法によることができる。これらの方法のいずれかを用いることによって、連続した二軸延伸、同時二軸延伸、一軸延伸又はこれらの組合せを実施することが可能である。前記二軸延伸については、縦方向及び横断方向の延伸を同時に実施できる。また、延伸を最初に一方向で行い、その後にもう一方の方向で行って、効果的な二軸延伸を得ることもできる。
【0128】
一般的な実施態様において、本発明のポリマーブレンドは、カレンダーロール上におけるカレンダードフィルム及び/又はシートの製造に有用である。ポリマーブレンドは、カレンダードポリエステルフィルムの可撓性及び柔軟性を増加させるために、ポリエステルの加工を改善するために及びポリエステルのカレンダーロールへの粘着を防ぐのに役立つように、1種又はそれ以上の可塑剤を含むこともできる。本発明は、新規ポリマーブレンドのカレンダー加工によるフィルム又はシートの製造方法及びこのようなカレンダー加工方法によって製造されたフィルム又はシートを提供する。カレンダードフィルム又はシートは典型的には約2mil(0.05mm)〜約80mil(2mm)の範囲の厚さを有する。
【0129】
本発明のポリエステル(A)及び(C)のインヘレント粘度(I.V.)は一般に約0.3〜約1.2dL/gであるが、他のI.V.も本発明の範囲内において考えられる。インヘレント粘度(本明細書中では「I.V.」と略する)は、60重量%のフェノール及び40重量%のテトラクロロエタンから成る溶媒50mL当たりポリマー0.25gを用いて25℃において測定したインヘレント粘度測定値を意味する。本明細書中のポリエステルのI.V.の基本的な測定方法は、ASTM法D2857−95に記載されている。優れたカレンダー加工ライン速度を得るために、本発明のポリエステル(B)は約0.55〜約0.75dL/gのインヘレント粘度を有することができる。ポリマーブレンドが示すことができるI.V.値の他の例は約0.55〜約0.70dL/g、約0.55〜約0.65dL/g及び約0.60〜約0.65dL/gである。
【0130】
前記ポリマーブレンドは、ポリエステルを用いてカレンダードフィルムを製造する場合にカレンダーロールへのポリエステルの粘着を防ぐのに有効な添加剤を更に含むことができる。本明細書中で使用する用語「有効な(効果的な)」は、ポリエステルが、ロールの周囲に巻き付くこともロール表面にポリエステルの過剰な層を生じることもなく、カレンダーロール間を自由に通過することを意味する。ポリエステル樹脂組成物中に使用する添加剤の量は典型的には、ポリマーブレンドの総重量%に基づき、約0.1〜約10重量%である。添加剤の最適使用量は、当業界でよく知られた要因によって決定され、装置、材料、プロセス条件及びフィルム厚の変動に左右される。添加剤レベルの更なる例は約0.1〜約5重量%及び約0.1〜2重量%である。本発明の添加剤の例としては以下のもの:脂肪酸アミド、例えばエルシルアミド及びステアロアミド;有機酸の金属塩、例えばステアリン酸カルシウム及びステアリン酸亜鉛;脂肪酸、例えばステアリン酸、オレイン酸及びパルミチン酸;脂肪酸塩;脂肪酸エステル;炭化水素ワックス、例えばパラフィンワックス、燐酸エステル、ポリエチレンワックス及びポリプロピレンワックス;化学改質ポリオレフィンワックス;エステルワックス、例えばカルナバワックス;グリセリンエステル、例えばグリセロールモノ−及びジ−ステアレート;タルク;微晶質シリカ;並びにアクリルコポリマー(例えば、Rohm & Haasから入手可能なPARALOID(登録商標)K175)が挙げられる。典型的には、添加剤は以下:エルシルアミド、ステアロアミド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、モンタン酸、モンタン酸エステル、モンタン酸塩、オレイン酸、パルミチン酸、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナバワックス、グリセロールモノステアレート又はグルセロールジステアレートの1種又はそれ以上を含んでなる。
【0131】
使用できる別の添加剤は、炭素数が18より多い脂肪酸又は脂肪酸塩並びに(ii)炭素数が18より多い脂肪酸残基及び炭素数が2〜約28のアルコール残基を含むエステルワックスを含む。脂肪酸又は脂肪酸塩対エステルワックスの比は1:1又はそれ以上であることができる。この実施態様において、脂肪酸又は脂肪酸塩及びエステルワックスの前記比での組合せは、5%未満のヘイズ値を有するフィルム又はシートを提供するという更なる利点をもたらす。炭素数18又はそれ以下の脂肪酸成分を有する添加剤。
カレンダー加工法においては、カレンダー加工プロセス中の発煙及び可塑剤の損失を防ぐために、比較的高分子量の可塑剤が好ましい。可塑剤含量の好ましい範囲は、ベースポリエステル及び可塑剤の性質によって異なるであろう。詳細には、よく知られたFox式(T.G.Fox,Bull.Am.Phys.Soc.,1,123(1956))によって予測されるポリエステルのTgが低下するにつれて、満足できるカレンダー加工が可能なポリマーブレンドを得るのに必要な可塑剤の量も減少する。典型的には、可塑剤は、ポリマーブレンドの総重量に基づき、ポリマーブレンドの約5〜約50重量%を構成する。可塑剤レベルの他の例はポリマーブレンドの約10〜約40重量%、約15〜約40重量%及び約15〜約30重量%である。
【0132】
本発明はまた、本発明の任意のポリマーブレンドを含むフィルム又はシートの製造方法を含む。いくつかの実施態様においては、本発明のポリマーブレンドを射出成形し、押出ブロー成形し、フィルム/シート押出し又はカレンダー加工する工程を含む、このような物品、フィルム、シート及び/又は繊維の製造方法が開示される。
【実施例】
【0133】
本発明を、以下の具体的な実施例によってより詳細に説明する。これらの実施例は、説明的な実施態様であり、本発明を限定するものではなく、むしろ、添付した「特許請求の範囲」の範囲及び内容の中で広範に解釈すべきであることを理解されたい。
【0134】
本発明が提供するポリマーブレンド及び代表的なポリエステルの製造を含むそれらの製造方法を以下の例によって更に説明する。ブレンドのガラス転移温度(Tg)は、TA Instruments 2950示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の走査速度で測定した。これらのブレンドのポリエステル部分のグリコール含量は、プロトン核磁気共鳴スペクトル分析法(NMR)によって測定した。明澄度は目視によって測定した。拡散透過率はHunterLab UltraScan Sphere 8000によってHunter’s Universal Softwareを用いて測定した。ブレンドの混和性は、示差走査熱量測定法によって並びにプレスしたフィルム及び成形品の明澄度の観察によって求めた。
【0135】
ブレンドの性質は表II及びIIIに示す。455キロパスカル(約66psi)における加熱撓み温度(HDT)をASTM D648によって測定した。ノッチ付き及びノッチなしアイゾッド衝撃強度をASTM D256に従って23℃において測定した。曲げ弾性率(Flexural Modulus,Flex Modulus)及び曲げ強度をASTM D790に従って測定した。引張特性をASTM D638に従って測定した。目視明澄度は射出成形試験片の目視外観を意味する。曲げ弾性率、D790降伏応力、破壊応力及びD638降伏応力値はMpaで示し;D790降伏応力、破壊応力及びD638降伏応力値は百分率であり;HDTは℃で示し;ノッチ付き及びノッチなしアイゾッド値はフィートポンド/インチ(53ジュール/m=1フィートポンド/インチ)で示し;破壊時のエネルギー/体積値はMpaで示し、応力歪曲線下の総面積を意味し、靭性の尺度である。拡散透過率は、積分球の、サンプルポートとは異なる側に光トラップを配置し、従って直進光路を取り除くことによって得る。2.5度より大きく散乱された光のみを測定する。全透過率は、サンプル中を直進する光及びまた、サンプルによってセンサーに散乱される軸外の光の測定を含む。真球内部からの軸外光が散乱に利用できるように、サンプルを積分球の出口ポートに配置する。屈折率は、ポリエステルフィルム上で屈折計を用いて測定した。インヘレント粘度(IV)及びガラス転移温度(Tg)は本明細書中に記載したようにして測定した。
【0136】
表Iに記載した、これらの例中に用いたコポリエステルはテレフタル酸、エチレングリコール(EG)並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸からなる。次に、表1に記載したコポリエステルをビスフェノールAポリカーボネート、PCCD及び燐添加剤と表2に示した比でブレンドした。PCCDは、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸及びCHDMから形成されたポリエステルである。コポリエステルを80℃において乾燥させ、ビスフェノールAポリカーボネートを100℃において一晩乾燥させた。燐コンセントレートを、Weston 619を融解させ且つ水中に浸漬することによって最初に加水分解し、過剰の水を蒸発させることによって、製造した。次いで、その時すでに加水分解されている融解Weston 619に粉末のMakrolon 2608を添加し、均質になるまで混合する。次に、この材料を二軸スクリュー押出機で280℃において押出し、ペレット化する。ペレット中の最終燐含量は5重量%である。
【0137】
コポリエステルを80℃において乾燥させ、ビスフェノールAポリカーボネートを100℃において一晩乾燥させた。燐添加剤を、Weston 619(GEから市販されているジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトである)を融解させ且つ水中に浸漬することによって最初に加水分解させ、過剰の水を蒸発させることよって調製した。次いで、その時すでに加水分解されている融解Weston 619にビスフェノールAポリカーボネート(Makrolon 2608)を室温で添加し、均質溶液が形成されるまで混合した。次に、この材料を二軸スクリュー押出機で280℃において押出し、ペレット化する。ペレットの最終燐含量は、総ペレット重量に基づき、元素燐5重量%である。
【0138】
コポリエステル75重量%、ポリカーボネート中に含まれる燐添加剤5重量%から成るポリマーブレンドを、追加のビスフェノールAポリカーボネート及びPCCDとブレンドし(ポリマーブレンドの総重量に基づく)、中程度混合スクリューを装着したWerner Pfleider 30mm二軸スクリュー押出機中で270℃において調製し、ペレット化した。次いで、ブレンドを80℃において一晩再び乾燥させ、次に屈曲及び引張試験片に射出成形した。寸法は、270℃におけるToyo 90射出成形機上でのASTM試験法に準拠している。各ブレンドに関する示差光透過率(differential light transmission)を表IIに示す。
【0139】
【表5】

【0140】
【表6】

【0141】
選択したコポリエステル及びPCCD/PCと屈折率が合致したそのブレンドの機械的性質を表IIIに示す。
【0142】
【表7】

【0143】
本発明を、特にその好ましい実施態様に関して詳述したが、本発明の精神及び範囲内で変動及び変更が可能なことは言うまでもない。更に、前述の全ての特許、特許出願(公開及び未公開、外国又は国内)、参考文献又は他の出版物を、本発明の実施に関連する全ての開示に関して引用することによって本明細書中に組み入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(1)テレフタル酸残基、イソフタル酸残基又はそれらの混合物からなる群から選ばれたフタル酸残基約70〜100モル%;及び改質用ジカルボン酸残基0〜約30モル%を含む二酸残基(ここで二酸残基の総モル%は100モル%に相当する);並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約0〜45モル%及び他のアルキレングリコール残基100〜約55モル%を含むジオール残基(ここでジオール残基の総モル%は100モル%に相当する)
を含む少なくとも1種のポリエステル(A)約1〜99重量%を含む第1成分と、
(B)(1)ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と
(2)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基70〜100モル%及びポリテトラメチレングリコールの残基0〜30モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)と
(3)場合によっては、1種又はそれ以上の酸性燐含有化合物と窒素を含む1種又はそれ以上の塩基性有機化合物との反応によって製造された少なくとも1種の塩(D)
の混和性ブレンド約99〜1重量%を含む第2成分
を含んでなり、
前記第1成分及び前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;
ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;且つ
前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.008又はそれ以下である屈折率を有するポリマー組成物。
【請求項2】
ポリエステル(A)の前記二酸残基及びジオール残基が、
(1)テレフタル酸残基約80〜100モル%及びイソフタル酸残基0〜約20モル%を含む二酸残基;並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約20〜40モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基以外のアルキレングリコール残基約80〜60モル%を含むジオール残基
から本質的に成る請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記ポリエステル(A)が約80〜100モル%のテレフタル酸残基を含む請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記ポリエステル(A)が約90〜100モル%のテレフタル酸残基を含む請求項3に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記ポリエステル(A)が約27〜35モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記ポリエステル(A)が約0.5〜13モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
ポリエステル(A)のアルキレンジオール残基がエチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,8−オクタンジオール、1,2−及び1,3−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、トリエチレングリコール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール若しくは2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール又はこれらのアルキレングリコールのいずれか1種又はそれ以上の組合せからなる群から選ばれる請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記アルキレンジオール残基がエチレングリコール残基を含む請求項5〜7に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記アルキレンジオール残基が90〜100モル%のエチレングリコール残基を含み且つ前記ジカルボン酸残基が90〜100モル%のテレフタル酸残基を含む請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記アルキレンジオール残基が95〜100モル%のエチレングリコール残基を含み且つ前記ジカルボン酸残基が95〜l00モル%のテレフタル酸残基を含む請求項9に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
前記アルキレンジオール残基が100モル%のエチレングリコール残基を含み且つ前記ジカルボン酸残基が100モル%のテレフタル酸残基を含む請求項10に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
(A)(1)テレフタル酸残基、イソフタル酸残基又はそれらの混合物からなる群から選ばれたフタル酸残基約80〜100モル%;及び改質用ジカルボン酸残基0〜約20モル%を含む二酸残基(ここで二酸残基の総モル%は100モル%に相当する);並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約20〜40モル%及び他のアルキレングリコール残基80〜約60モル%を含むジオール残基(ここでジオール残基の総モル%は100モル%に相当する)
を含む少なくとも1種のポリエステル(A)約50〜85重量%を含む第1成分と、
(B)(1)ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と
(2)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基70〜100モル%及びポリテトラメチレングリコールの残基0〜30モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)と
(3)場合によっては、1種又はそれ以上の酸性燐含有化合物と窒素を含む1種又はそれ以上の塩基性有機化合物との反応によって製造された少なくとも1種の塩(D)
の混和性ブレンド約15〜50重量%を含む第2成分
を含んでなり、
前記第1成分及び前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;
ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;且つ
前記第1成分及び前記第2成分が絶対値の差が0.008又はそれ以下である屈折率を有する請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
(A)(1)テレフタル酸残基、イソフタル酸残基又はそれらの混合物からなる群から選ばれたフタル酸残基約80〜100モル%;及び改質用ジカルボン酸残基0〜約20モル%を含む二酸残基(ここで二酸残基の総モル%は100モル%に相当する);並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約0.5〜15モル%及び他のアルキレングリコール残基85〜約95.5モル%を含むジオール残基(ここでジオール残基の総モル%は100モル%に相当する)
を含む少なくとも1種のポリエステル(A)約50〜85重量%を含む第1成分と、
(B)(1)ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と
(2)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基70〜100モル%及びポリテトラメチレングリコールの残基0〜30モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)と
(3)場合によっては、1種又はそれ以上の酸性燐含有化合物と窒素を含む1種又はそれ以上の塩基性有機化合物との反応によって製造された少なくとも1種の塩(D)
の混和性ブレンド約15〜50重量%を含む第2成分
を含んでなり、
前記第1成分及び前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;
ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;且つ
前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.008又はそれ以下である屈折率を有する請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記ポリエステル(A)がフェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%から成る溶媒100mL当たり0.50gのポリマーを用いて25℃において測定した場合に、約0.3〜1.2dL/gのインヘレント粘度(I.V.)を有する請求項1又は9に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記ポリエステル(C)がフェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%から成る溶媒100mL当たり0.50gのポリマーを用いて25℃において測定した場合に、少なくとも0.5dL/gのインヘレント粘度(I.V.)を有する請求項1又は9に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
前記ポリエステル(C)がフェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%から成る溶媒100mL当たり0.50gのポリマーを用いて25℃において測定した場合に、少なくとも0.7dL/gのインヘレント粘度(I.V.)を有する請求項15に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
前記ポリカーボネート(B)がフェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%から成る溶媒100mL当たり0.50gのポリマーを用いて25℃において測定した場合に、少なくとも0.3dL/gのインヘレント粘度(I.V.)を有する請求項1又は9に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
前記ポリカーボネート(B)がフェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%から成る溶媒100mL当たり0.50gのポリマーを用いて25℃において測定した場合に、少なくとも0.5dL/gのインヘレント粘度(I.V.)を有する請求項17に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
前記第1成分の総重量%が約80〜60重量%であり且つ前記第2成分の重量%が約20〜40重量%である請求項1又は9に記載のポリマー組成物。
【請求項20】
前記第1成分の総重量%が約70〜65重量%であり且つ前記第2成分の重量%が約30〜35重量%である請求項19に記載のポリマー組成物。
【請求項21】
前記第1成分と前記第2成分が絶対値の差が0.006又はそれ以下である屈折率を有する請求項1又は9に記載のポリマー組成物。
【請求項22】
前記第1成分と前記第2成分が絶対値の差が0.004又はそれ以下である屈折率を有する請求項1又は9に記載のポリマー組成物。
【請求項23】
(A)(1)テレフタル酸残基約90〜100モル%;及び炭素数約2〜20の改質用ジカルボン酸残基0〜約10モル%を含む二酸残基(ここで二酸残基の総モル%は100モル%に相当する);並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約20〜40モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基以外の他のアルキレングリコール残基60〜約80モル%を含むジオール残基(ここでジオール残基の総モル%は100モル%に相当する)
を含む少なくとも1種のポリエステル(A)約50〜85重量%を含む第1成分と、
(B)(1)ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と
(2)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基70〜100モル%及びポリテトラメチレングリコールの残基0〜30モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)と
(3)場合によっては、1種又はそれ以上の酸性燐含有化合物と窒素を含む1種又はそれ以上の塩基性有機化合物との反応によって製造された少なくとも1種の塩
の混和性ブレンド約15〜50重量%を含む第2成分
を含んでなり、
前記第1成分及び前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;
ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;且つ
前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.006又はそれ以下である屈折率を有するポリマー組成物。
【請求項24】
(A)(1)テレフタル酸残基約90〜100モル%;及び炭素数約2〜20の改質用ジカルボン酸残基0〜約10モル%を含む二酸残基(ここで二酸残基の総モル%は100モル%に相当する);並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約20〜40モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基以外の他のアルキレングリコール残基60〜約80モル%を含むジオール残基(ここでジオール残基の総モル%は100モル%に相当する)
を含む少なくとも1種のポリエステル(A)約50〜85重量%を含む第1成分と、
(B)ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基70〜100モル%及びポリテトラメチレングリコールの残基0.1〜30モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)との混和性ブレンド約15〜50重量%を含む第2成分
を含んでなり、
前記第1成分及び前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;
ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;且つ
前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.006又はそれ以下である屈折率を有するポリマー組成物。
【請求項25】
(A)(1)テレフタル酸残基約90〜100モル%;及び炭素数約2〜20の改質用ジカルボン酸残基0〜約10モル%を含む二酸残基(ここで二酸残基の総モル%は100モル%に相当する);並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約20〜40モル%及び1,4−シクロヘキサンジメタノール残基以外の他のアルキレングリコール残基60〜約80モル%を含むジオール残基(ここでジオール残基の総モル%は100モル%に相当する)
を含む少なくとも1種のポリエステル(A)約50〜85重量%を含む第1成分と、
(B)(1)ビスフェノールAの少なくとも1種のポリカーボネート(B)と
(2)1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基70〜100モル%及びポリテトラメチレングリコールの残基0〜30モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る少なくとも1種のポリエステル(C)と
(3)1種又はそれ以上の酸性燐含有化合物と窒素を含む1種又はそれ以上の塩基性有機化合物との反応によって製造された少なくとも1種の塩(D)
の混和性ブレンド約15〜50重量%を含む第2成分
を含んでなり、
前記第1成分及び前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;
ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)から成る前記第2成分の総重量%が100重量%に相当し;且つ
前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.006又はそれ以下である屈折率を有するポリマー組成物。
【請求項26】
塩(D)の前記酸性燐含有化合物が式:
【化1】

【化2】

[式中、R1及びR2は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール及びアリールから成る群から独立して選ばれ;
nは2〜500であり;
Xは水素及びヒドロキシから成る群から選ばれる]
を有する化合物から成る群から選ばれ;前記塩基性有機化合物が式:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

{式中、R1及びR2は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール及びアリールから独立して選ばれ;
3、R4及びR5は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル及び置換C3〜C8−シクロアルキルから独立して選ばれ、R3、R4及びR5の少なくとも1つは水素以外の置換基であり;R3とR4又はR4とR5は共同で、それらが結合している窒素原子と共に環(例えばモルホリノ、ピペリジノなど)を形成する二価の基を表すことができ;
6、R7、R8及びR9は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリールから独立して選ばれ;
10は水素、−OR6、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキルから選ばれ;
11は水素;C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、−Y1−R3又は式:
【化8】

を有するスクシンイミド基から選ばれ;
12は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリールから選ばれ、芳香環上の2位、3位又は4位に位置することができ;
−N(R3)(R4)基は窒素化合物(5)のピリジン環上の2位、3位又は4位に位置することができ;
−CO23及びR1基は窒素化合物(6)のピリジン環の2位、3位、4位、5位又は6位のいずれかに位置することができ;
1はC2〜C22−アルキレン;−(CH2CH2−Y11~3−CH2CH2−;C3〜C8−シクロアルキレン;アリーレン;又は−CO−L2−OC−から選ばれた二価結合基であり;
2、L2’及びL2”はC1〜C22−アルキレン、アリーレン、−(CH2CH2−Y11~3−CH2CH2−及びC3〜C8−シクロアルキレンから独立して選ばれ;
1は−OC(O)−、−NHC(O)−、−O−、−S−、−N(R1)−から選ばれ;
2は−O−又は−N(R1)−から選ばれ;
13及びR14は−O−R2及び−N(R22から独立して選ばれ;
Zは約20以下、好ましくは約6以下の正の整数であり;
m1、n1及びp1は1〜約12から独立して選ばれ;
15、R15’、R16及びR16’は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール及び基A[基Aは以下の構造:
【化9】

から選ばれ;基Aの構造において*は結合位置を示す]から独立して選ばれる}
を有する化合物から成る群から選ばれ;且つ(塩基性有機化合物中の塩基性窒素原子の数)に対する(酸性燐含有化合物中の燐原子の数)の比が約0.05〜約2である請求項25に記載のポリマー組成物。
【請求項27】
亜燐酸と式:
【化10】

【化11】

【化12】

{式中、R1及びR2は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール及びアリールから独立して選ばれ;
3、R4及びR5は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル及び置換C3〜C8−シクロアルキルから独立して選ばれ、R3、R4及びR5の少なくとも1つは水素以外の置換基であり;R3とR4又はR4とR5は共同で、それらが結合している窒素原子と共に環(例えばモルホリノ、ピペリジノなど)を形成する二価の基を表すことができ;
6、R7、R8及びR9は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリールから独立して選ばれ;
10は水素、−OR6、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキルから選ばれ;
11は水素;C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、−Y1−R3又は式:
【化13】

を有するスクシンイミド基から選ばれ;
12は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリールから選ばれ、芳香環上の2位、3位又は4位に位置することができ;
−N(R3)(R4)基は窒素化合物(5)のピリジン環上の2位、3位又は4位に位置することができ;
−CO23及びR1基は窒素化合物(6)のピリジン環の2位、3位、4位、5位又は6位のいずれかに位置することができ;
1はC2〜C22−アルキレン;−(CH2CH2−Y11~3−CH2CH2−;C3〜C8−シクロアルキレン;アリーレン;又は−CO−L2−OC−から選ばれた二価結合基であり;
2、L2’及びL2”はC1〜C22−アルキレン、アリーレン、−(CH2CH2−Y11~3−CH2CH2−及びC3〜C8−シクロアルキレンから独立して選ばれ;
1は−OC(O)−、−NHC(O)−、−O−、−S−、−N(R1)−から選ばれ;
2は−O−又は−N(R1)−から選ばれ;
13及びR14は−O−R2及び−N(R22から独立して選ばれ;
Zは約20以下、好ましくは約6以下の正の整数であり;
m1、n1及びp1は1〜約12から独立して選ばれ;
15、R15’、R16及びR16’は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール、アリール及び基A[基Aは以下の構造:
【化14】

から選ばれ;基Aの構造において*は結合位置を示す]から独立して選ばれる}
の少なくとも1つを有する、窒素を含む1種又はそれ以上の塩基性有機化合物との反応によって製造された少なくとも1種の塩である塩(D)が前記ポリマー組成物中に、前記組成物の総重量に基づき、約0.01〜約0.25重量%の量で存在し、且つ(塩基性有機化合物中の塩基性窒素原子の数)に対する(酸性燐含有化合物中の燐原子の数)の比が約0.25〜約1.1である請求項26に記載のポリマー組成物。
【請求項28】
亜燐酸と式:
【化15】

[式中、R3及びR4は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル及び置換C3〜C8−シクロアルキルから成る群から独立して選ばれ、R3及びR4の少なくとも1つは水素以外の置換基であり;R3とR4は共同で、それらが結合している窒素原子と共に環を形成する二価の基を表すことができ;
6、R7、R8及びR9は水素、C1〜C22−アルキル、置換C1〜C22−アルキル、C3〜C8−シクロアルキル、置換C3〜C8−シクロアルキル、ヘテロアリール及びアリールから成る群から独立して選ばれ;
10は水素及びC1〜C22−アルキルから成る群から選ばれ;
1はC2〜C22−アルキレン、−(CH2CH2−Y11~3−CH2CH2−、C3〜C8−シクロアルキレン、アリーレン及び−CO−L2−OC−から成る群から選ばれた二価結合基であり;
2はC1〜C22−アルキレン、アリーレン、−(CH2CH2−Y11~3−CH2CH2−及びC3〜C8−シクロアルキレンから選ばれ;
1は−OC(O)−、−NHC(O)−、−O−、−S−及び−N(R1)−から成る群から選ばれ;
Zは約6以下の正の整数である]
を有する塩基性有機化合物との反応によって製造された少なくとも1種の塩である塩(D)が前記ポリマー組成物中に、前記組成物の総重量に基づき、約0.01〜約0.25重量%の量で存在する請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項29】
塩(D)が、前記組成物の総重量に基づき、約0.05〜約0.15重量%を構成し且つ(塩基性有機化合物中の塩基性窒素原子の数)に対する(酸性燐含有化合物中の燐原子の数)の比が約0.25〜約1.1である請求項28に記載のポリマー組成物。
【請求項30】
前記ポリエステル(C)が1,4−シクロヘキサンジカルボン酸残基並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基85〜95モル%及びポリテトラメチレングリコールの残基5〜15モル%から選ばれた少なくとも1種のグリコールから本質的に成る請求項23、24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項31】
ポリエステル(A)の二酸残基及びジオール残基が
(1)テレフタル酸残基約70〜99.9モル%及びイソフタル酸残基0.1〜約30モル%を含む二酸残基;並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約20〜40モル%及びエチレングリコール残基約80〜約60モル%を含むジオール残基
から本質的に成る請求項1、24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項32】
ポリエステル(A)の二酸残基及びジオール残基が
(1)テレフタル酸残基約100モル%を含む二酸残基;並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約20〜40モル%及びエチレングリコール残基約80〜約60モル%を含むジオール残基
から本質的に成る請求項1、24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項33】
ポリエステル(A)の二酸残基及びジオール残基が
(1)テレフタル酸残基約100モル%を含む二酸残基;並びに
(2)1,4−シクロヘキサンジメタノール残基約0.5〜13モル%及びエチレングリコール残基約87〜約99.5モル%を含むジオール残基
から本質的に成る請求項1、24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項34】
ポリエステル(A)が約80〜100モル%のテレフタル酸残基を含む請求項24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項35】
ポリエステル(A)が約90〜99.9モル%のテレフタル酸残基を含む請求項27に記載のポリマー組成物。
【請求項36】
ポリエステル(A)が約20〜40モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む請求項24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項37】
ポリエステル(A)が約25〜35モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールを含む請求項34に記載のポリマー組成物。
【請求項38】
ポリエステル(A)が、フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%から成る溶媒100mL当たり0.50gのポリマーを用いて25℃において測定した場合に、約0.3〜1.2dL/gのインヘレント粘度(I.V.)を有する請求項24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項39】
ポリエステル(C)が、フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%から成る溶媒100mL当たり0.50gのポリマーを用いて25℃において測定した場合に、少なくとも0.5dL/gのインヘレント粘度(I.V.)を有する請求項24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項40】
ポリエステル(C)が、フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%から成る溶媒100mL当たり0.50gのポリマーを用いて25℃において測定した場合に、少なくとも0.7dL/gのインヘレント粘度(I.V.)を有する請求項39に記載のポリマー組成物。
【請求項41】
ポリカーボネート(B)が、フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%から成る溶媒100mL当たり0.50gのポリマーを用いて25℃において測定した場合に、少なくとも0.3dL/gのインヘレント粘度(I.V.)を有する請求項24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項42】
ポリカーボネート(B)が、フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%から成る溶媒100mL当たり0.50gのポリマーを用いて25℃において測定した場合に、少なくとも0.5dL/gのインヘレント粘度(I.V.)を有する請求項41に記載のポリマー組成物。
【請求項43】
前記第1成分の総重量%が約80〜60重量%であり且つ前記第2成分の重量%が約20〜40重量%である請求項24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項44】
前記第1成分の総重量%が約70〜65重量%であり且つ前記第2成分の重量%が約30〜35重量%である請求項43に記載のポリマー組成物。
【請求項45】
前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.006又はそれ以下である屈折率を有する請求項24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項46】
前記第1成分及び前記第2成分が、絶対値の差が0.004又はそれ以下である屈折率を有する請求項45に記載のポリマー組成物。
【請求項47】
ポリエステル(A)、ポリカーボネート(B)又はポリエステル(C)が、前記ポリマーの総重量に基づき、約0.01〜約10.0重量%を構成する1種又はそれ以上の分岐剤を含む請求項1、24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項48】
前記ポリマーの総重量に基づき、約0.05〜約5重量%を構成する1種又はそれ以上の分岐剤を含む請求項47に記載のポリマー組成物。
【請求項49】
前記分岐剤が、3個又はそれ以上のカルボキシル置換基、ヒドロキシル置換基又はそれらの組合せを有する1種又はそれ以上の残基を、前記ポリマーの総重量に基づき、約0.01〜約1重量%含む請求項48に記載のポリマー組成物。
【請求項50】
前記分岐剤がトリメリット酸無水物、ピロメリット酸二無水物、グリセロール、ソルビトール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン又はトリメシン酸の1種又はそれ以上の残基を約0.1〜約0.7モル%含む請求項49に記載のポリマー組成物。
【請求項51】
1種又はそれ以上の可塑剤を更に含む請求項1、24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項52】
前記ポリマー組成物の総重量に基づき、約5〜約40重量%の難燃剤を更に含む請求項1、24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項53】
燐系化合物から成る群から選ばれた1種又はそれ以上の難燃剤を含む請求項52に記載のポリマー組成物。
【請求項54】
燐酸の1種又はそれ以上のモノエステル、ジエステル又はトリエステルを含む請求項53に記載のポリマー組成物。
【請求項55】
1種又はそれ以上の触媒失活剤を含む請求項1、24、25又は26に記載のポリマー組成物。
【請求項56】
(a)前記ポリカーボネート(B)及び前記ポリエステル(C)をブレンドして、第2成分を形成し;
(b)前記第1成分と前記第2成分とをブレンドし;
(c)第1成分と第2成分とのブレンド前、ブレンド中又はブレンド後に第1成分及び第2成分を溶融させて、ブレンド及び溶融後に溶融ブレンドを形成し;そして
(d)前記溶融ブレンドを冷却して、明澄なブレンド組成物を形成する
工程を含んでなる請求項1、24、25又は26に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項57】
(a)ポリエステル(A)、ポリカーボネート(B)及びポリエステル(C)並びに場合によっては塩(D)をブレンドし;
(b)(a)のブレンドを溶融させて、ブレンド及び溶融後に溶融ブレンドを形成し;そして
(d)前記溶融ブレンドを冷却して、明澄なブレンド組成物を形成する
工程を含んでなる請求項1、24、25又は26に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項58】
請求項1、24、25又は26に記載のポリマー組成物を押出又はカレンダー加工する工程を含んでなるフィルム又はシートの製造方法。
【請求項59】
請求項1、24、25又は26に記載のポリマー組成物を含んでなるフィルム又はシート。
【請求項60】
前記フィルム又はシートが押出又はカレンダー加工によって製造された請求項59に記載のフィルム又はシート。
【請求項61】
少なくとも2つの層を有する、請求項59に記載のフィルム又はシート。
【請求項62】
前記第1成分及び第2成分が別の層中に存在する請求項61に記載のフィルム又はシート。
【請求項63】
請求項1、24、25又は26に記載のポリマー組成物を含んでなる造形品。
【請求項64】
前記造形品が射出成形又は押出ブロー成形によって製造された請求項63に記載の造形品。
【請求項65】
ASTM法D1003によって測定した場合に、約40%より大きいか又は約40%もしくはそれ以上の拡散透過率値を有する請求項64に記載の造形品。
【請求項66】
ASTM法D1003によって測定した場合に、約60%より大きいか又は約60%もしくはそれ以上の拡散透過率値を有する請求項65に記載の造形品。
【請求項67】
ASTM法D1003によって測定した場合に、約80%より大きいか又は約80%もしくはそれ以上の拡散透過率値を有する請求項65に記載の造形品。
【請求項68】
繊維、シート、フィルム、チューブ、ボトル又は型材である請求項63に記載の造形品。

【公表番号】特表2009−501264(P2009−501264A)
【公表日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521403(P2008−521403)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/024356
【国際公開番号】WO2007/008365
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】