説明

透明伝導膜エッチング溶液

本発明は、薄膜トランジスタ液晶表示装置などの平板ディスプレイ表示装置の薄膜トランジスタ製造工程において、微細パターンに形成された透明伝導膜のエッチング溶液組成物に関する。
本発明は、含ハロゲン化合物0.05〜15重量%、補助酸化剤0.1〜20重量%、エッチング調節剤0.05〜15重量%、残渣抑制剤0.1〜15重量%、腐食抑制剤0.3〜10重量%及び全体組成物の総重量が100重量%になるようにする水で構成され、銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜の侵害現象が発生しないようにする透明伝導膜エッチング組成物に関する。
本発明の透明伝導膜エッチング組成物は腐食抑制剤と経時変化抑制剤を含む水溶液であり、従来の透明伝導膜エッチング組成物で発生する側面エッチング現象、経時変化現象、エッチング時の残渣発生現象、銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜の侵害現象などの欠点を完全に解消することができる。特に本発明は、従来の透明伝導膜エッチング組成物の主要問題点であるエッチング時の残渣発生現象と銅膜、銅膜銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜の侵害現象を解消するため、透明伝導膜の選択的パターンエッチングが可能である。
また、本発明による透明伝導膜エッチング組成物は適切なエッチング速度及び適切な傾斜角を提供することができ、蒸発量を顕著に減少させてエッチング組成物の成分量の変動を減少させ、それによるヒューム(fume)発生量を減らすことにより、大気環境汚染を防止することができる長所を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平板表示装置(FPD、Flat Panel Display)の製造工程における透明電極用微細パターンである透明伝導膜のエッチング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
透明伝導膜は、薄膜トランジスタ液晶表示装置、プラズマディスプレイパネル表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置などに幅広く用いられている薄膜であり、前記平板ディスプレイ用表示装置に透明伝導膜を形成するためには、所望の微細パターンを形成させるエッチング工程が必要である。
【0003】
その時に用いられる透明電極膜としては、酸化インジウムスズ膜、酸化インジウム亜鉛膜、酸化亜鉛膜が用いられており、前記酸化インジウムスズ膜、酸化インジウム亜鉛膜、酸化亜鉛膜の使用は、保護膜上に酸化インジウムスズ膜、酸化インジウム亜鉛膜、酸化亜鉛膜を形成し、フォトレジストをマスクとして塗布した後、酸化インジウムスズ膜、酸化インジウム亜鉛膜、酸化亜鉛膜をエッチングさせる。
【0004】
従来の透明伝導膜エッチング溶液としては、塩酸/硝酸混合水溶液(王水)、塩酸/酢酸混合水溶液、塩化第二鉄水溶液、尿酸水溶液、リン酸水溶液、シュウ酸水溶液などが用いられているが、このような従来の透明伝導膜用エッチング溶液は、次のような問題点を有している。
【0005】
第一に、塩酸/硝酸混合水溶液(王水)、塩酸/酢酸混合水溶液は、エッチング速度が早くて安定的であるが、塩酸や硝酸が揮発するためエッチング溶液組成物の成分量の変動が激しく、それによるヒューム(fume)発生が多くて作業環境を汚染させ、薄膜トランジスタ液晶表示装置の薄膜トランジスタ製造工程において電極材料として主に用いられている銅または銅合金を侵害するという欠点がある。
【0006】
第二に、塩化第二鉄水溶液は、エッチング速度が早くて安定的であるが、相対的に側面エッチング量が大きく、鉄の汚染を誘発させるという欠点がある。
【0007】
第三に、尿酸水溶液は、側面エッチング量が少なくて良好なエッチング特性を有するが、液の経時変化が大きいという欠点がある。
【0008】
第四に、リン酸水溶液は、電極材料として主に用いられる銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜を侵害し、透明伝導膜中の酸化インジウムスズ膜のエッチングを妨害するという欠点がある。
【0009】
第五に、シュウ酸水溶液は、エッチング特性が安定的であり、液の経時変化も起こらないため良好であるが、エッチング時に残渣が発生しやすく、エッチング装備でエッチング溶液を用いた後に装置内壁に残遺物(シュウ酸結晶)が発生するという欠点を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来の透明伝導膜エッチング組成物である塩酸/硝酸混合水溶液(王水)、塩酸/酢酸混合水溶液、塩化第二鉄水溶液、尿酸水溶液、リン酸水溶液、シュウ酸水溶液の使用時に発生する側面エッチング現象、経時変化現象、エッチング時の残渣発生現象、銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜の侵害現象などの欠点を解決することができる透明伝導膜用の選択的エッチング組成物を提供するためのものであり、本発明の透明伝導膜エッチング組成物は腐食抑制剤と経時変化抑制剤を含んでいる水溶液であり、従来の透明伝導膜エッチング組成物の欠点を完全に解消することができる。特に、本発明は、従来の透明伝導膜エッチング組成物の主な問題点であるエッチング時の残渣発生現象と銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜を侵害する現象を解消し、透明伝導膜の選択的パターンエッチングを可能にしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の問題点を解決するための本発明は、含ハロゲン化合物、補助酸化剤、エッチング調節剤、残渣調節剤、腐食抑制剤、経時変化抑制剤及び水を含む透明導電膜エッチング組成物であって、平板表示装置(FPD、Flat Panel Display)の製造工程における透明電極用微細パターンである透明伝導膜の選択的エッチング溶液組成物に関する。
【0012】
より具体的には、本発明は、薄膜トランジスタの電極材料として主に用いられる銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜のエッチングさせる現象を解消し、透明伝導膜の選択的パターンエッチングのためのエッチング組成物を提供する。
【0013】
そして、前記夫々の金属膜の厚さは互いに制限されず、必要に応じて適宜調節することができるが、より具体的には、前記銅膜は約1000〜5000Åの厚さを有するように蒸着することができる。前記モリブデン合金膜は、タングステン、チタン、ニオブ、クロム、タンタルなど、モリブデンと合金をなすことができる金属成分を含んだモルリブデン膜を意味し、その例として、モリブデン−タングステン(Mo−W)、モリブデン−チタン(Mo−Ti)、モリブデン−ニオブ(Mo−Nb)、モリブデン−クロム(Mo−Cr)、モリブデン−タンタル(Mo−Ta)などが挙げられる。前記モリブデン膜またはモリブデン合金膜は、100〜500Åの厚さを有するように蒸着することができる。
【0014】
本発明は、含ハロゲン化合物0.05〜15重量%、補助酸化剤0.1〜20重量%、エッチング調節剤0.05〜15重量%、残渣抑制剤0.1〜15重量%、腐食抑制剤0.3〜10重量%及び全体組成物の総重量が100重量%になるようにする水で構成され、より具体的には、銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜に対する侵害現象がないようにする透明伝導膜エッチング組成物に関する。
【0015】
本発明のエッチング組成物に含まれる含ハロゲン化合物は、透明伝導膜をエッチングする主要酸化剤としての機能をする。前記含ハロゲン化合物は、特に限定されず、溶液内でハロゲンイオンまたは多原子ハロゲンイオンに解離されることができる化合物であれば使用可能であり、具体的には、下記化学式1の構造を有することができる。
【0016】
[化1]
AX
(前記式で、Aは水素イオン(H)、アンモニウムイオン(NH4)、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)、アルミニウムイオン(Al3+)または酸化数が1〜3価であるアルキル金属イオン、Xはハロゲン元素、mはAの酸化数である。)
【0017】
具体的には、前記含ハロゲン化合物は、ハロゲン化水素、アンモニウムハライド、ハロゲン化鉄またはアルカリハライド等があり、より具体的な例示として、塩化水素(HCl)、塩化アルミニウム(AlCl)、フッ化アンモニウム(NHF)、ヨウ化カリウム(KI)、塩化カリウム(KCl)及び塩化アンモニウム(NHCl)からなる群から一つ以上選択されることができる。
【0018】
前記含ハロゲン化合物は、全体組成物の総重量に対して0.05〜15重量%で含むことができる。前記含ハロゲン化合物の含量が多すぎると銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜を侵害する現象が発生する可能性があり、含量が少ないと透明伝導膜のエッチング速度が遅くなる可能性がある。
【0019】
本発明のエッチング組成物に含まれる補助酸化剤は透明伝導膜のエッチングを補助する機能をする。前記補助酸化剤は、全体組成物の総重量に対して0.1〜20重量%で含むことができ、含量が多すぎると銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜をエッチングさせる現象が発生する可能性があり、含量が少ないと透明伝導膜のエッチング速度が遅くなる可能性がある。前記補助酸化剤は、硝酸アンモニウム(NHNO)、硝酸カリウム(KNO)、硝酸(HNO)、硝酸銅(CuNO)及び硝酸ナトリウム(NaNO)からなる群から一つ以上選択された化合物を用いることができ、溶液内で硝酸イオン(NO)に解離されることができる化合物は全て使用できる。
【0020】
本発明のエッチング組成物に含まれるエッチング調節剤としては、硫酸及び硫酸塩化合物を用いることができ、より具体的には、硫酸(HSO)、硫酸アンモニウム((NHSO)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カリウム(KSO)、重硫酸アンモニウム(NHSOH)、重硫酸ナトリウム(NaSOH)、重硫酸カリウム(KSOH)、過硫酸アンモニウム((NH)、過硫酸ナトリウム(Na)及び過硫酸カリウム(K)からなる群から一つ以上選択された化合物を用いることができ、溶液内で硫酸イオン(SO)に解離されることができる化合物は全て使用できる。
【0021】
前記エッチング調節剤は、全体組成物の総重量に対して0.05〜15重量%で添加され、その含量が多すぎるとエッチング速度が速くなり、また銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜を侵害する現象が発生する可能性があり、エッチング調節剤を含まないかまたはその含量が少ないと、透明伝導膜のエッチング速度が遅くなるという欠点がある。
【0022】
本発明のエッチング組成物に含まれる残渣抑制剤は、エッチング組成物のぬれ性を向上させて透明伝導膜のエッチングを円滑にし、残渣を抑制させる役割をする。残渣抑制剤は、全体組成物の総重量に対して0.1〜15重量%で添加され、前記範囲で残渣を抑制させ、エッチング組成物を使用した後にも残遺物が発生せず、経時変化が起らない効果がある。残渣抑制剤は水溶性の酢酸基を有する全ての化合物などが使用でき、具体的には下記化学式2の構造を有することができる。
【0023】
[化2]
B(CHCOO)
(前記式で、Bは水素イオン(H)、アンモニウムイオン(NH4)、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)、アルミニウムイオン(Al3+)または酸化数が1〜3価であるアルキル金属イオン、nはBの酸化数、より具体的には1〜3の整数である。)
【0024】
前記残渣抑制剤はより具体的に、酢酸(acetic acid)、酢酸カリウム(potassium acetate)、酢酸アンモニウム(ammonium acetate)、酢酸ナトリウム(sodium acetate)、酢酸マグネシウム(magnesium acetate)、酢酸マンガン(manganese acetate)及び酢酸亜鉛(zinc acetate)からなる群から一つ以上選択された化合物を用いることができる
【0025】
本発明のエッチング組成物に含まれる腐食抑制剤は、銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜を侵害する現象を抑制させる機能をする。前記腐食抑制剤は、全体組成物の総重量に対して0.3〜10重量%で含まれ、含量が多すぎると透明伝導膜のエッチング速度が遅くなる現象が発生し、含量が少ないと銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜を侵害する現象が発生する可能性がある。
【0026】
前記腐食抑制剤は特に制限されないが、ベンゾトリアゾール(Benzotriazole)、アミノテトラゾール(aminotetrazole)、5−アミノ−1−フェニルテトラゾール(5−amino−1−phenyltetrazole)、5−アミノ−1−(1−ナフチル)テトラゾール(5−amino−1−(1−naphthyl)tetrazole、1−メチル−5−アミノテトラゾール(1−methyl−5−aminotetrazole)、1,5−ジアミノテトラゾール(1,5−diaminotetrazole)、イミダゾール(imidazole)、インドール(indole)、プリン(purine)、ピラゾール(pyrazole)、ピリジン(pyridine)、ピリミジン(pyrimidine)、ピロール(pyrrole)、ピロリジン(pyrrolidine)、ピロリン(pyrroline)、2級アミン(secondary amine)系化合物及びアミノ酸(amino acid)系化合物からなる群から一つ以上選択されることができる。
【0027】
本発明のエッチング組成物に含まれる経時変化抑制剤は、エッチング組成物の蒸発量を減少させてエッチング組成物の成分量の変動を減少させ、それによるヒューム(fume)発生量を減少させる。前記経時変化抑制剤は、全体組成物の総重量に対して0〜50重量%で添加されることができる。前記経時変化抑制剤の含量が多すぎると透明伝導膜のエッチング速度が遅くなる現象が発生し、エチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコールからなる群から一つ以上選択されて用いることができ、特にこれに制限されるものではない。
【0028】
本発明による透明伝導膜エッチング組成物は平板ディスプレイ用透明電極を形成するために用いることができる。この際、用いられる透明電極膜としては、インジウム酸化スズ膜、インジウム酸化亜鉛膜、酸化亜鉛膜などを用いることができ、前記インジウム酸化スズ膜、インジウム酸化亜鉛膜、酸化亜鉛膜の使用は、保護膜上にインジウム酸化スズ膜、インジウム酸化亜鉛膜、酸化亜鉛膜を形成し、フォトレジストをマスクとして塗布した後、インジウム酸化スズ膜、インジウム酸化亜鉛膜、酸化亜鉛膜をエッチングさせることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の透明伝導膜エッチング組成物は腐食抑制剤と経時変化抑制剤を含む水溶液であり、従来の透明伝導膜エッチング組成物で発生する側面エッチング現象、経時変化現象、エッチング時の残渣発生現象、銅または銅合金とモリブデンまたはモリブデン合金の金属膜の侵害現象などの欠点を完全に解消することができる。特に、本発明は従来の透明伝導膜エッチング組成物の主要問題点であるエッチング時の残渣発生現象と銅または銅合金の薄膜を侵害する現象を解消するため、透明伝導膜の選択的パターンエッチングが可能である。
【0030】
また、本発明による透明伝導膜エッチング組成物は適切なエッチング速度及び適切な傾斜角を提供することができ、蒸発量を顕著に減少させてエッチング組成物の成分量の変動を減少させ、それによるヒューム(fume)発生量を減らすことにより、大気環境汚染を防止することができる長所を有している。
【0031】
本発明による透明伝導膜エッチング組成物は、微細パターンに形成された透明伝導膜のパターンエッチングのために適用する場合、従来の透明伝導膜エッチング組成物と異なって、薄膜トランジスタの電極材料として主に用いられる銅膜、銅合金膜、モリブデン膜、モリブデン合金膜またはこれらが積層された多重膜に対する侵害現象が殆ど発生しないため、コスト低減及び工程収率を向上させることができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による透明伝導膜エッチング溶液で湿式エッチングした後のインジウム酸化スズ膜のプロフィールを電子顕微鏡で観察した写真である。
【図2】本発明による透明伝導膜エッチング溶液で湿式エッチングした後のインジウム酸化スズ膜の残渣を電子顕微鏡で観察した写真である。
【図3】本発明による透明伝導膜エッチング溶液で湿式エッチングした後、銅膜/モリブデンチタン合金膜のプロフィールを電子顕微鏡で観察した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明する。
【0034】
しかし、本発明の実施例は様々な形態に変形されることができ、本発明の範囲が以下で後述する実施例によって限定されて解釈されてはならない。
【0035】
<実施例1>
エッチング溶液の製造
5重量%のNHCl、13重量%のHNO、5重量%のKSO、3重量%の酢酸アンモニウム、2重量%のアミノテトラゾール、15重量%のエチレングリコール及び全体組成物の総重量が100重量%になるようにする水で構成されるエッチング組成物を製造した。
【0036】
本発明で用いられたエッチング膜の試料は、ガラス基板(100mmX100mm)にインジウム酸化スズ膜、銅膜/モリブデンチタン合金膜、インジウム酸化スズ膜/銅膜/モリブデンチタン合金膜を蒸着したものであり、蒸着された膜の厚さは以下表1の通りである。
【0037】
表1
【0038】
【表1】

【0039】
インジウム酸化スズ膜のエッチング
前記インジウム酸化スズ膜の試料に写真現象工程を行ってエッチング試料を準備した後、本実施例により製造したエッチング組成物を用いてスプレー方式でエッチング工程を行った。エッチング工程時のエッチング溶液の温度は40℃に維持し、夫々の総エッチング時間はエッチング終了時間から70%超過された時間であり、エッチング後の結果を表2、図1、図2に示した。
【0040】
銅膜/モリブデンチタン合金膜のエッチング
銅または銅合金の侵害程度を評価するために、ガラス基板に蒸着された積層構造にパターニングされた前記表1の銅膜/モリブデンチタン合金膜を、前記と同一のエッチング組成物500mlに温度を40℃前後に維持しながら48時間浸漬(dipping)した後、溶液を採取してICP−MS(Inductively coupled plasma mass spectroscopy)で溶出した銅イオン濃度を測定した。銅または銅合金の侵害がもっとも少ないシュウ酸(5%)水溶液を基準にするために前記と同一の方法で実施し、その結果は下記表2に示した。
【0041】
図1、図2及び表2に示したように、本発明による透明伝導膜エッチング組成物はエッチング速度が早く、残渣もなく、傾斜角が40°前後の良好なプロフィール結果を示した。
【0042】
多層膜試料であるインジウム酸化スズ膜/銅膜/モリブデンチタン合金膜のエッチング
前記表1のように準備した試料であるインジウム酸化スズ膜/銅膜/モリブデンチタン合金膜に、金属膜である銅膜/モリブデンチタン合金膜をエッチングしてパターンを形成した後、実施例1のエッチング液でエッチングした。その結果を図3に示し、銅膜/モリブデンチタン合金膜はエッチングされないことを確認した。
【0043】
<実施例2〜12>
実施例1と同様に実施するが、下記表2のように含ハロゲン化合物、補助酸化剤、エッチング調節剤、残渣抑制剤、腐食抑制剤及び経時変化抑制剤の組成比を変化させるか、または、含ハロゲン化合物、補助酸化剤、エッチング調節剤、残渣抑制剤、腐食抑制剤、経時変化抑制剤の種類を変化させ、全体組成物の総重量が100重量%になるように水を添加した後、前記実施例1と同様にエッチング工程を行って、その結果を下記表2に示した。
【0044】
下記表2は、実施例1〜12における組成物に対する透明伝導膜(インジウム酸化スズ膜)のエッチング速度及び傾斜角の結果を示したものである。そして、銅または銅合金の侵害程度を評価するために、ガラス基板に蒸着された積層構造にパターニングされた前記表1の銅膜/モリブデンチタン合金膜を前記と同一のエッチング液でエッチングし、銅イオン濃度を測定して下記表2に示した。
【0045】
夫々の総エッチング時間はエッチング終了時間から70%超過された時間である。表2に示したように、各成分の含量がここに記載された組成範囲に該当する本発明による透明伝導膜エッチング組成物は、エッチング速度が早く、残渣もなく、傾斜角が40°以下の良好なプロフィール結果を示し、銅に対する侵害評価結果もシュウ酸適用結果に対比して良好な特性を示した。
【0046】
表2
【0047】
【表2】

【0048】
<比較例1〜5>
実施例1〜12と同様に進行するが、下記表3のように含ハロゲン化合物、補助酸化剤、エッチング調節剤、残渣抑制剤、腐食抑制剤及び経時変化抑制剤の組成比を本発明の範囲を外れて変化させ、全体組成物の総重量が100重量%になるように水を添加した後、実施例1〜12のようにエッチング工程を行った。
【0049】
下記表3は比較例1〜5による透明伝導膜(インジウム酸化スズ膜)のエッチング速度及び傾斜角の結果を示したものである。そして、銅または銅合金の侵害程度を評価するために、ガラス基板に蒸着された積層構造にパターニングされた前記表1の銅膜/モリブデンチタン合金膜を前記と同一のエッチング液でエッチングし、銅イオン濃度を測定して下記表2に示した。下記表3の結果から分かるように、比較例1〜3の場合、エッチング速度が速すぎて銅に対する選択性が低下し、比較例4の場合、エッチング速度が遅すぎて傾斜角が大きくなる問題点が発生した。
【0050】
表3
【0051】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
含ハロゲン化合物0.05〜15重量%、補助酸化剤0.1〜20重量%、エッチング調節剤0.05〜15重量%、残渣抑制剤0.1〜15重量%、腐食抑制剤0.3〜10重量%及び全体組成物の総重量が100重量%になるようにする水で構成される透明伝導膜エッチング組成物。
【請求項2】
含ハロゲン化合物は、下記化学式1の構造を有する請求項1に記載の透明伝導膜エッチング組成物。
[化1]
AX
(前記式で、Aは水素イオン(H)、アンモニウムイオン(NH4)、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)、アルミニウムイオン(Al3+)または酸化数が1〜3価であるアルカリ金属イオン、Xはハロゲン元素、mはAの酸化数である。)
【請求項3】
含ハロゲン化合物は、塩化水素(HCl)、塩化アルミニウム(AlCl)、フッ化アンモニウム(NHF)、ヨウ化カリウム(KI)、塩化カリウム(KCl)及び塩化アンモニウム(NHCl)からなる群から選択された一又は二つ以上の化合物である請求項2に記載の透明伝導膜エッチング組成物。
【請求項4】
補助酸化剤は、硝酸アンモニウム(NHNO)、硝酸カリウム(KNO)、硝酸(HNO)、硝酸銅(CuNO)及び硝酸ナトリウム(NaNO)からなる群から選択された一又は二つ以上の化合物である請求項1に記載の透明伝導膜エッチング組成物。
【請求項5】
エッチング調節剤は、硫酸(HSO)、硫酸アンモニウム((NHSO)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カリウム(KSO)、重硫酸アンモニウム(NHSOH)、重硫酸ナトリウム(NaSOH)、重硫酸カリウム(KSOH)、過硫酸アンモニウム((NH)、過硫酸ナトリウム(Na)及び過硫酸カリウム(K)からなる群から選択された一又は二つ以上の化合物である請求項1に記載の透明伝導膜エッチング組成物。
【請求項6】
残渣抑制剤は、下記化学式2の構造を有する請求項1に記載の透明伝導膜エッチング組成物。
[化2]
B(CHCOO)
(前記式で、Bは水素イオン(H)、アンモニウムイオン(NH4)、鉄イオン(Fe2+、Fe3+)、アルミニウムイオン(Al3+)または酸化数が1〜3価であるアルカリ金属イオン、nはBの酸化数である。)
【請求項7】
残渣抑制剤は、酢酸(acetic acid)、酢酸カリウム(potassium acetate)、酢酸アンモニウム(ammonium acetate)、酢酸ナトリウム(sodium acetate)、酢酸マグネシウム(magnesium acetate)、酢酸マンガン(manganese acetate)及び酢酸亜鉛(zinc acetate)からなる群から選択された一又は二つ以上の化合物である請求項6に記載の透明伝導膜エッチング組成物。
【請求項8】
腐食抑制剤は、ベンゾトリアゾール(Benzotriazole)、アミノテトラゾール(aminotetrazole)、5−アミノ−1−フェニルテトラゾール(5−amino−1−phenyltetrazole)、5−アミノ−1−(1−ナフチル)テトラゾール(5−amino−1−(1−naphthyl)tetrazole)、1−メチル−5−アミノテトラゾール(1−methyl−5−aminotetrazole)、1,5−ジアミノテトラゾール(1,5−diaminotetrazole)、イミダゾール(imidazole)、インドール(indole)、プリン(purine)、ピラゾール(pyrazole)、ピリジン(pyridine)、ピリミジン(pyrimidine)、ピロール(pyrrole)、ピロリジン(pyrrolidine)、ピロリン(pyrroline)、2級アミン(secondary amine)系化合物及びアミノ酸(amino acid)系化合物からなる群から一つ以上選択された請求項1に記載の透明伝導膜エッチング組成物。
【請求項9】
透明伝導膜エッチング組成物は、経時変化抑制剤を全体組成物の総重量に対して50重量%までさらに含む請求項1から8の何れか一つに記載の透明伝導膜エッチング組成物。
【請求項10】
経時変化抑制剤は、エチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコールからなる群から選択された一又は二つ以上の化合物である請求項9に記載の透明伝導膜エッチング組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−508965(P2012−508965A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535523(P2011−535523)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/KR2009/006657
【国際公開番号】WO2010/056051
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511102871)テクノ セミケム シーオー., エルティーディー. (2)
【氏名又は名称原語表記】TECHNO SEMICHEM CO., LTD.
【Fターム(参考)】