説明

透明又は半透明の液体柔軟剤組成物

【課題】透明又は半透明で、且つ優れた柔軟効果を示す液体柔軟剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)特定のモノマー由来の構成単位(1)を含有する高分子化合物、(b)特定の第4級アンモニウム塩及びアミン化合物から選ばれる一種以上、(c)logPが−0.5〜1.5の有機溶剤、(d)特定の非イオン界面活性剤及び/又は陽イオン界面活性剤を、それぞれ特定範囲で含有する透明又は半透明の液体柔軟剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明又は半透明の液体柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、審美的観点から組成物の外観を透明又は半透明にした柔軟剤組成物の開発が行われている。従来の乳化系柔軟剤組成物は水不溶性の柔軟化主基剤を粒子径数百nm〜数百μmの粒子を水に分散させており、組成物の長期保存によって分離するという欠点を有する一方、透明又は半透明の液体柔軟剤組成物は、主基剤を熱力学的に安定なマイクロエマルジョン化、又は可溶化することにより保存安定性を飛躍的に向上させるという利点を有する。特許文献1には、特定のLogPを有する溶剤を用いる技術が開示されており、これらは水不溶性の4級アンモニウム塩化合物を、特定溶剤によりマイクロエマルジョン化又は可溶化することで透明化を達成しているものと考えられる。また、特許文献2には、特定のLogPを有する溶剤と共に、特定構造の非イオン界面活性剤を用いる技術が開示されている。また、特許文献3には、シリコーンを主体とした液体柔軟剤組成物を透明にできることが開示されている。
【0003】
一方、カチオン性ポリマーを柔軟剤組成物に配合することにより、柔軟性能を向上する技術は公知である(特許文献3、4)。また、柔軟基剤の被覆や(特許文献5)、粘度調整のための解膠ポリマーとして(特許文献6)、柔軟剤にカチオン性ポリマーを配合することも知られている。
【特許文献1】特表2001−524616号公報
【特許文献2】特開2006−161215号公報
【特許文献3】国際公開第2004/025017号パンフレット
【特許文献4】特表2000−503735号公報
【特許文献5】特開平6−228883号公報
【特許文献6】特開平4−228680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1で透明柔軟剤組成物の主基剤として使用されている不飽和脂肪酸をベースとしたエステル基を有する第4級アンモニウム化合物は、乳化系の柔軟剤組成物に使用されている主基剤に比較して柔軟性能が充分ではない。そのため、柔軟性能を発現させるためには主基剤を多量に配合することが必要となるが、経済性が悪くなることや組成物の保存によって不飽和脂肪酸原料から由来するニオイや色など品質上の影響を及ぼすという問題を生じる。また、特許文献2では、染み形成抑制効果においては優れているものの、透明性の維持と柔軟効果の両立においては、更なる向上が望まれる。また、特許文献3で使用されているシリコーン化合物は、第4級アンモニウム化合物と比較して、風合いの点で充分に満足できるレベルではない。すなわち、透明又は半透明の柔軟剤組成物において、更に優れた柔軟効果と品質を示すものが望まれている。一方、特許文献4〜6には、液体系の柔軟剤において、透明な外観とすることは言及されていない。
【0005】
従って本発明の課題は、透明又は半透明で、且つ優れた柔軟効果を示す液体柔軟剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有し、(a)成分の含有量が0.01〜5.0質量%、(b)成分の含有量が5〜30質量%、(c)成分の含有量が5〜30質量%、(d)成分の含有量が5〜20質量%である、透明又は半透明の液体柔軟剤組成物に関する。
【0007】
<(a)成分>
下記一般式(1)で示される化合物、又はその酸塩もしくは4級塩のモノマーに由来する構成単位を含有する高分子化合物。
【0008】
【化5】

【0009】
〔一般式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基を示し、R3は−COOM(Mは水素原子、又はアルカリ金属原子)、又は水素原子を示す。Aは−COO−R6−、−CONR7−R8−、又は−CH2−を示す。R4はAが−CH2−の場合には一般式(2)
【0010】
【化6】

【0011】
で表される基を示し、Aがそれ以外の場合は炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す。R5は炭素数1〜3のアルキル基、(又は)炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は水素原子を示す。R6、R8は、それぞれ独立に炭素数2〜3のアルキル基、R7は水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。〕
【0012】
<(b)成分>
下記一般式(3)で表される化合物及び一般式(4)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物。
【0013】
【化7】

【0014】
〔一般式(3)及び一般式(4)中、R21、R22及びR23は、それぞれ独立に、エステル基及び/又はアミド基で分断されている総炭素数14〜26の炭化水素基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜3のアルキル基であり、少なくともひとつがエステル基及び/又はアミド基で分断されている総炭素数14〜26の炭化水素基である。R24は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。X-は、陰イオン基である。〕
【0015】
<(c)成分>
logPが−0.5〜1.5の有機溶剤
【0016】
<(d)成分>
下記一般式(5)で表される化合物及び一般式(6)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物。
【0017】
【化8】

【0018】
〔一般式(5)及び一般式(6)中、R31は、炭素数6〜18のアルキル基もしくはアルケニル基、又はアリール基である。Fは、−(R32O)d−R33であり、R32は、炭素数2又は3のアルキレン基である。R33は、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。dは平均付加モル数であり、2〜100の数を示す。Eは、−O−、−COO−、−CON<、又は−N<であり、Eが−O−又は−COO−の場合eは1であり、Eが−CON<又は−N<の場合eは2である。R34は、炭素数1〜3のアルキル基であり、fは1〜3である。X-は、陰イオン基である。〕
【0019】
本発明では、不飽和脂肪酸をベースとしたエステル基を有する第4級アンモニウム化合物の配合量を低減する一方で、特定の構造を有するカチオン性ポリマーを配合することにより充分な柔軟性能を発現し、かつ特定構造の非イオン界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤を配合することによって、特定構造のカチオン性ポリマーの配合下では困難であった透明な外観を達成することができるものである。
【0020】
なお、本発明でいう透明又は半透明とは、測定セルの光路長10mmの石英セルを使用し、対照側セルにイオン交換水を入れた場合に660nmの波長の光透過率が30%以上であることをいう。
【発明の効果】
【0021】
本発明の液体柔軟剤組成物は、透明又は半透明の外観を維持しつつ、優れた柔軟効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<(a)成分>
(a)成分は、上記一般式(1)で示される化合物、又はその酸塩もしくは4級塩のモノマーに由来する構成単位を、下限は好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上、最も好ましくは95モル%以上で、また、上限は100モル%以下で、含有する高分子化合物である。一般式(1)で表される化合物のうち、一般式(1)中のAが−COO−R6−である化合物としては、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノブチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノブチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノメチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノブチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノメチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノブチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノプロピル等が挙げられる。
【0023】
また、一般式(1)で表される化合物のうち、一般式(1)中のAが−CONR7−R8−である化合物としては、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリル酸(またはメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノメチルアクリル酸(またはメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリル酸(またはメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノブチルアクリル酸(またはメタクリル酸)アミド等が挙げられる。
【0024】
また、一般式(1)中のAが−CH2−の場合、R4は前記一般式(2)で表される基である。かかる化合物としては、ジアリルアミン、ジアリルメチルアミン等が挙げられる。
【0025】
一般式(1)で示される化合物は、その酸塩又は4級塩を用いることができる。酸塩としては、例えば、1級、2級、3級アミンの塩酸塩、硫酸塩などの無機塩の中和塩や各種有機酸の中和塩が挙げられ、4級塩としては炭素数1〜3のハロゲン化アルキル塩、炭素数1〜3のアルキル硫酸塩等が挙げられる。4級塩としてはN,N,N−トリメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アンモニウムエチルサルフェート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。これらの化合物は、例えばMRCユニテック(株)からQDMやMOEDESという商品名で販売されている。透明性の維持と柔軟効果の観点から、一般式(1)で示される化合物(アミン化合物)が好ましい。
【0026】
(a)成分は、一般式(1)で示されるモノマー由来の構成単位以外のモノマー由来の構成単位として、共重合可能な不飽和結合含有モノマーに由来する構成単位を本発明の効果を損なわない範囲で有しても良い。かかるモノマーとしては、例えば、ビニルアルコール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等の炭素数1〜22のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(エチレングリコールの重合度が1〜100)、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(プロピレングリコールの重合度が1〜50)、ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート(ブチレングリコールの重合度が1〜50)等のポリアルキレン(アルキレン基の炭素数1〜8;直鎖もしくは分岐鎖)オキシド鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル;グリセリン(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;ジアセトン(メタ)アクリルアミド;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル環状アミド;N−(メタ)アクロイルモルホリン;塩化ビニル;アクリロニトリル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、スチレンカルボン酸等のカルボキシル基を有するビニル化合物;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基を有するビニル化合物等が例示される。これらのモノマーの共重合量は、モノマー全量に対して40モル%以下、好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以下、特に好ましくは10モル%以下、最も好ましくは5モル%以下である。本発明の(a)成分は、一般式(1)で示される化合物、又はその酸塩もしくは4級塩のモノマーに由来する構成単位からなる高分子化合物であることが、最も好ましい。
【0027】
また、(a)成分の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜1,000,000、更に3,000〜500,0000、特に5,000〜200,000が好ましい。MwとMnの比Mw/Mnは、1.0〜40、更に1.5〜35が好ましい。
【0028】
尚、本発明の(a)成分のMw、Mnは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定による値を使用する。溶離液としては、(1%酢酸/エタノール):水=3:7(質量比)の混合溶媒で調製したLiBrの50mmol/L溶液を溶媒として、極性溶媒用GPCカラム「α−M(東ソー(株)製)」を2本直列して用い、ポリエチレングリコール換算の分子量により算出する。
【0029】
<(b)成分>
(b)成分は、前記一般式(3)で表される化合物及び前記一般式(4)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物であり、複数の化合物を用いる場合、例えば、一般式(3)で表され、一般式(3)中のR24が炭素数1〜3のアルキル基である化合物〔以下、化合物(b1−1)という〕、一般式(3)で表され、一般式(3)中のR24が水素原子である化合物〔以下、化合物(b1−2)という〕、及び一般式(4)で表され、R21、R22、R23のうち二つ以上が、エステル基及び/又はアミド基で分断されている総炭素数14〜26の炭化水素基である化合物〔以下、化合物(b1−3)という〕の3種の化合物を含む混合物〔以下、混合物(b1)という〕を使用することができる。
【0030】
一般式(3)、および(4)において、R21、R22、R23、R24は上記の意味を示す。すなわち、一般式(3)及び一般式(4)中、R21、R22及びR23が示す基は、
(i)エステル基及び/又はアミド基で分断されている総炭素数14〜26の飽和炭化水素基〔以下、基(i)という〕
(ii)エステル基、及び/又はアミド基で分断されている総炭素数14〜26の不飽和炭化水素基〔以下、基(ii)という〕
(iii)炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基〔以下、基(iii)という〕
(iv)炭素数1〜3のアルキル基〔以下、基(iv)という〕
の何れかであるが、R21、R22及びR23の少なくとも1つは、基(i)及び基(ii)から選ばれる基である。透明性の維持と柔軟効果の観点から、R21、R22及びR23は、エステル基で分断されている炭化水素基であることが好ましい。
【0031】
本発明では、外観の透明化の観点から、R21、R22、R23のうち、エステル基で分断されている総炭素数14〜26の飽和炭化水素基〔基(i)〕とエステル基で分断されている総炭素数14〜26の不飽和炭化水素基〔基(ii)〕との合計モル数に対して、エステル基で分断されている総炭素数14〜26の飽和炭化水素基〔基(i)〕のモル数の割合は、基(i)/〔基(i)+基(ii)〕×100で、12モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、7モル%以下が更に好ましく、5モル%以下が特に好ましく、3モル%以下が最も好ましい。
【0032】
また、エステル基で分断されている二重結合を1個有する総炭素数14〜26の不飽和炭化水素基〔以下、基(ii−1)という〕の割合は、貯蔵安定性を保持する観点から、R21、R22、R23のうち基(i)と基(ii)との合計モル数に対して、基(ii−1)/〔基(i)+基(ii)〕×100で、70モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましく、80モル%以上が特に好ましい。
【0033】
更にエステル基で分断されている二重結合を2個以上有する総炭素数14〜26の不飽和炭化水素基〔以下、基(ii−2)という〕の割合は、貯蔵安定性を保持する観点から、R21、R22、R23のうち基(i)と基(ii)との合計モル数に対して、基(ii−2)/〔基(i)+基(ii)〕×100で、15モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、8モル%以下が更に好ましい。
【0034】
一般式(3)において、X-で示される陰イオン基としては、ハロゲンイオン、硫酸イオン、炭素数1〜12の脂肪酸又は炭素数1〜3のアルキル硫酸イオン等が挙げられ、ハロゲンイオン、炭素数1〜3のアルキル硫酸イオンが好ましい。
【0035】
本発明の(b)成分のうち、一般式(3)で表される化合物は、上記一般式(4)で表される化合物を、アルキル化剤を用いて4級化反応させることにより製造することができる。一般式(4)で表される化合物は、R21、R22、R23が上記のような好ましい組成を有するように、脂肪酸又は脂肪酸低級アルキル(アルキル基の炭素数1〜3)エステルの炭化水素基の組成を選択し、かかる組成を有するような特定モル数の原料脂肪酸又は脂肪酸低級アルキル(アルキル基の炭素数1〜3)エステルと対応するアルカノールアミンとを、脱水エステル化反応又はエステル交換反応させることにより製造することができる。
【0036】
上記アルカノールアミンとしては、ジアルキルモノアルカノールアミン(好ましくはジメチルモノエタノールアミンもしくはジメチルモノプロパノールアミン)、モノアルキルジアルカノールアミン(好ましくはメチルジエタノールアミンもしくはメチルジプロパノールアミン)、またはトリアルカノールアミン(好ましくはトリエタノールアミンもしくはトリプロパノールアミン)が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましいアルカノールアミンは、トリアルカノールアミンである。
【0037】
上記の好ましい炭化水素組成を有する脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルを得るためには、通常油脂便覧等で知られているような脂肪酸を用いるだけでは達成できず、不飽和結合の異性化反応(cf. 新版 脂肪酸化学 第二版,稲葉恵一,平野二郎, p.86, 幸書房, 1990)、あるいはそれらの脂肪酸の混合により得ることが出来る。
【0038】
また、原料脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステル中の、二重結合を2個以上有する不飽和炭化水素基の含有量を制御するため、例えば特開平4−306296号公報に記載されているような晶析、特開平6−41578号公報に記載されているようなメチルエステルを減圧蒸留する方法、特開平8−99036号公報に記載されているような選択水素化反応などを行うことができる。
【0039】
エステル化反応又はエステル交換反応において、脂肪酸又は脂肪酸低級アルキルエステルとアルカノールアミンのヒドロキシ基とのモル比は、0.3:1.0〜1.2:1.0が好ましく、0.5:1.0〜1.0:1.0がより好ましい。
【0040】
一般式(4)で表される化合物の4級化反応に用いられるアルキル化剤としては、ジアルキル硫酸(アルキル基の炭素数1〜3)、ハロゲン化アルキル(アルキル基の炭素数1〜3)等が挙げられる。
【0041】
また、アルキル化剤を用いた4級化反応は、溶媒存在下(例えば、エタノール)でも合成できるが、合成物の透明性を維持する観点及び/又は不純物の生成を抑える観点から、無溶媒下で合成するのがより好ましい。
【0042】
混合物(b1)において、化合物(b1−1)の含有量(I)と、化合物(b1−2)と化合物(b1−3)の合計含有量(II)との質量比は、(I)/(II)=99/1〜80/20、更に95/5〜80/20、特に95/5〜85/15が好ましい。
【0043】
なお、一般式(4)中のR21がエステル基及び/又はアミド基で分断されている総炭素数14〜26の炭化水素基であり、R22及びR23が、それぞれ独立に、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜3のアルキル基である化合物〔以下、化合物(b2)という〕を用いる場合、一般式(4)中、R21が示す基は、
(イ)エステル基もしくはアミド基で分断されている総炭素数14〜26の飽和炭化水素基
(ロ)エステル基もしくはアミド基で分断されている総炭素数14〜26の不飽和炭化水素基
の何れかである。
【0044】
化合物(b2)については、柔軟性能の観点から、R21はアミド基で分断されている総炭素数16〜22の飽和炭化水素基が好ましい。R21に総炭素数16〜22のアルケニル基が含まれていても構わないが、アルケニル基の含有量は全R21に対して、50モル%以下、更に25モル%以下、特に5モル%以下が好適である。R22、R23はメチル基、エチル基が好ましい。化合物(b2)は、対応するジアルキルアミノアルキルアミン(好ましくはジメチルアミノプロピルアミン)とR21−COOR25(R25は、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。)とのアミド化反応を行うことで得ることが出来る。
【0045】
混合物(b1)と化合物(b2)は、それぞれ単独で用いても良く、混合して用いても良い。
【0046】
<(c)成分>
本発明の(c)成分はlogPが−0.5〜1.5、好ましくは−0.3〜1.5の有機溶剤である。ここでlogPとは、有機化合物の水と1−オクタノールに対する親和性を示す係数である。1−オクタノール/水分配係数Pは、1−オクタノールと水の2液相の溶媒に微量の化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡で、それぞれの溶媒中における化合物の平衡濃度の比であり、底10に対するそれらの対数logPの形で示すのが一般的である。多くの化合物のlogP値が報告され、Daylight Chemical Information Systems, Inc. (Daylight CIS)等から入手しうるデータベースには多くの値が掲載されているので参照できる。実測のlogP値がない場合には、Daylight CISから入手できるプログラム"CLOGP"で計算すると最も便利である。このプログラムは、実測のlogP値がある場合にはそれと伴に、Hansch, Leoのフラグメントアプローチにより算出される"計算logP(ClogP)"の値を出力する。フラグメントアプローチは化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している(cf. A. Leo, Comprehensive Medicinal Chemistry, Vol.4, C. Hansch, P.G. Sammens, J.B. Taylor and C.A. Ramsden, Eds., p.295, Pergamon Press, 1990)。このClogP値は現在最も汎用的で信頼できる推定値であるので、化合物の選択に際して実測のlogP値の代わりに用いることができる。本発明では、logPの実測値があればそれを、無い場合はプログラムCLOGP v4.01により計算したClogP値を用いた。
【0047】
本発明の(c)成分であるlogPが−0.5〜1.5の有機溶剤としては、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、平均付加モル数1〜3のポリオキシエチレンモノブチルエーテル、平均付加モル数1〜3のポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、平均付加モル数1〜3のポリオキシプロピレンモノプロピルエーテル、及び平均付加モル数1〜4のポリオキシエチレンモノフェニルエーテルからなる群から選択される1種以上のアルコール系有機溶剤が挙げられる。
【0048】
一つの実施形態において、本発明の(c)成分は、透明性を維持する観点から、平均付加モル数1〜4のポリオキシエチレンモノフェニルエーテル又は2−メチル−2,4−ペンタンジオールが好ましく、より好ましい(c)成分は、平均付加モル数1〜4のポリオキシエチレンモノフェニルエーテルである。
【0049】
<(d)成分>
一般式(5)で表される化合物は、非イオン界面活性剤の一種でもあり、一般式(5)で表される具体的な化合物として、以下の式(5−1)〜(5−4)で表される化合物を挙げることができる。
31−O−(C24O)g−H (5−1)
〔式中、R31は前記の意味を示す。gは2〜100、好ましくは10〜40の数である。〕
31−O−(C24O)h−(C36O)i−H (5−2)
〔式中、R31は前記の意味を示す。h及びiはそれぞれ独立に0〜100、好ましくは5〜20の数であり、h+iは2〜100、好ましくは10〜40の数である。(C24O)と(C36O)はランダムあるいはブロック付加体であってもよい。〕
【0050】
【化9】

【0051】
〔式中、R31は前記の意味を示す。p、q、r及びsはそれぞれ独立に0〜50の数であり、p+r、及びq+sはそれぞれ独立に2〜100、好ましくは5〜20の数であり、かつp+q+r+sは4〜100、好ましくは10〜40の数である。(C24O)と(C36O)はランダムあるいはブロック付加体であってもよい。R34及びR35は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。〕
【0052】
また、一般式(6)で表される化合物は、陽イオン界面活性剤の一種でもあり、一般式(6)で表される具体的な化合物として、以下の(6−1)〜(6−3)で表される化合物を挙げることができる。
【0053】
【化10】

【0054】
〔式中、R31、R34は前記の意味を示す。t、u、v、w、x及びyはそれぞれ独立に0〜50の数であり、t+u、v+w、及びx+yはそれぞれ独立に2〜100、好ましくは5〜20の数であり、かつt+u+v+wはそれぞれ4〜100、及びt+u+v+w+x+yはそれぞれ6〜100であり、ともに好ましくは10〜40の数である。(C24O)と(C36O)はランダムあるいはブロック付加体であってもよい。R37は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。〕
【0055】
一般式(5)、(6)で表される化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、混合して用いても良い。
【0056】
<液体柔軟剤組成物>
本発明の液体柔軟剤組成物は、(a)成分の含有量が0.01〜5.0質量%、好ましくは0.05〜4.0質量%、(b)成分の含有量が5〜30質量%、好ましくは8〜20質量%、(c)成分の含有量が5〜30質量%、好ましくは8〜20質量%、(d)成分の含有量が5〜20質量%、好ましくは5〜15質量%、更に好ましくは5〜10質量%である。
【0057】
本発明の液体柔軟剤組成物は、水を含有する。水中に微量に存在するカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分や鉄などの重金属を除去した水が好ましく、イオン交換水又は蒸留水を用いることができる。また、水を殺菌あるいは滅菌する目的から少量の塩素を含有しても差し支えない。
【0058】
本発明の液体柔軟剤組成物は、(b)成分として化合物(b2)を用いる場合には、柔軟性能の向上の点から(e)成分として陰イオン界面活性剤を含有することが好ましい。陰イオン界面活性剤としては、炭素数10〜36、好ましくは炭素数16〜28のアルキル基を有し、−SO3M基、及び/又は、−OSO3M基(M:対イオン)を有する陰イオン界面活性剤を使用できる。
【0059】
本発明の液体柔軟剤組成物は、金属封鎖剤(以下(f)成分という)をさらに含有することが、貯蔵安定性の向上の点から好ましい。具体的には、(f)成分としては、下記の化合物を挙げることができる。
(1)エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸などのホスホン酸又はこれらの塩(好ましくは、アルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩)。
(2)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジエンコル酸、アルキルグリシン−N,N−ジ酢酸、アスパラギン酸−N,N−ジ酢酸、セリン−N,N−ジ酢酸、グルタミン酸二酢酸、エチレンジアミンコハク酸などのアミノポリ酢酸又はこれらの塩(好ましくは、アルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩)。
これらの中で、特に好ましい(f)成分は、貯蔵安定性の向上の点から、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸及び/又はエチレンジアミン4酢酸である。
【0060】
本発明の液体柔軟剤組成物は、無機塩や水溶性の有機塩(以下(g)成分という)をさらに含有することができる。無機塩としては、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなど、有機塩としては、安息香酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ナトリウムなどが透明性を維持する観点から好ましい。但し、本発明の液体柔軟剤組成物は、上記無機塩に加えて、脂肪酸塩類などの界面活性剤に含まれるナトリウム塩、カリウム塩等をさらに含み得る。
【0061】
本発明の液体柔軟剤組成物は、上記(c)成分以外の有機溶剤(以下(h)成分という)をさらに含有してもよい。具体的には、(h)成分は、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどから選ばれる有機溶剤であり、特にエタノールが匂いの点から好ましい。本発明の液体柔軟剤組成物は、貯蔵安定性を改善する目的で炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸と多価アルコールとのエステル化合物をさらに配合しても差し支えないが、透明な外観を得るために種類や含有量などに留意する必要がある。配合できる化合物としては、トリグリセライド、ジグリセライド、モノグリセライド、ペンタエリスリトールのモノ−、ジ−、又はトリ−エステル、ソルビタンエステルなどを挙げることができる。本発明では、その他の成分として、嗜好性の点から香料や染料を適宜含有することができる。
【実施例】
【0062】
以下に、(a)成分及び比較のポリマーの合成例を示す。
(合成例1)
内容量1Lのガラス製セパラブルフラスコを一定時間窒素置換した。そこにエタノール46.8gを添加し、撹拌しながら内温が78〜80℃になるまで加熱し、保持した。ジメチルアミノエチルメタクリレート300.00g、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65B;和光純薬工業(株)製)7.11g、エタノール114.3gを予め均一に混合し、この溶液を上記フラスコ中に3時間かけて一定速度で滴下した。次に、V−65B 11.85gをエタノール47.4gに溶解した溶液を上記フラスコ中に4時間かけて一定速度で滴下した。滴下終了後、80℃付近で2時間保持することでポリマー(a−1)ポリジメチルアミノエチルメタクリレートのエタノール溶液を得た。ポリマー(a−1)のMw及びMw/Mnはそれぞれ11200、2.5であった。また1H−NMRにより分析したポリマー(a−1)の組成は仕込みモノマー組成どおりであった。
【0063】
(合成例2)
内容量1Lのガラス製セパラブルフラスコにイオン交換水252.0gを入れ、窒素雰囲気下で一定時間撹拌した。これを約70℃まで昇温し、そこにメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド78%水溶液(三菱ガス化学(株)製)215.00g、イオン交換水55.5gを均一に混合した水溶液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−50;和光純薬工業(株)製)0.88gをイオン交換水37.8gに溶解した水溶液を、それぞれ窒素置換した後2時間かけて同時に滴下し、重合した。その後70℃付近で10時間保持することで熟成した。その後濃縮することでポリマー(a−4)ポリメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライドの32.7%水溶液を得た。ポリマー(a−4)のMw及びMw/Mnはそれぞれ270000、20であった。また1H−NMRにより分析したポリマー(a−4)の組成は仕込みモノマー組成どおりであった。
【0064】
以下に、(b)成分の合成例を示す。
(合成例3)
【0065】
ヨウ素価90gI2/100g、酸価201mgKOH/gのナタネ油由来の原料脂肪酸とトリエタノールアミンとを反応モル比1.85/1(脂肪酸/トリエタノールアミン)で定法に従って脱水縮合反応を行い、縮合物を得た。次に、溶媒不在下で、この縮合物に対してジメチル硫酸を0.95当量用い、定法にて4級化を行った後、エタノールで90%に希釈することにより、目的の第4級アンモニウム塩混合物〔以下、(b1)混合物ともいう〕を得た。
【0066】
上記で用いた原料脂肪酸並びに脱水縮合物の酸価及びヨウ素価、並びに、上記で得られた第4級アンモニウム塩混合物の物性及び組成をまとめて表1に示す。ここで、表1中のアミン〔化合物(b1−3)〕、アミンモノメチル硫酸塩〔化合物(b1−2)〕、脂肪酸及び第4級アンモニウム塩〔化合物(b1−1)〕の含有量(何れも、質量%、単に%で示した)は、次に示す方法で求めた。
【0067】
<アミンの含有量(%)>
自動電位差滴定装置を用いてエタノール溶媒に溶かしたサンプルを0.2N−HClで滴定することにより全アミン価を求め、下記式を用いてアミン含有量を算出した。
【0068】
【数1】

【0069】
<アミンモノメチル硫酸塩及び脂肪酸の含有量(%)>
自動電位差滴定装置を用いてエタノール溶媒に溶かしたサンプルを0.1N−KOHで滴定し、それぞれの酸価を求めた。それぞれの酸価から下記式を用いてアミンモノメチル硫酸塩及び脂肪酸の含有量を算出した。
【0070】
【数2】

【0071】
【数3】

【0072】
<第4級アンモニウム塩の含有量(%)>
第4級アンモニウム塩の含有量(%)は、上記の方法で算出したアミン、アミンモノメチル硫酸塩、及び脂肪酸の含有量と下記の固形分の含有量との差分を用いて算出した。
<エタノール含有量>
エタノール含有量は、揮発分測定装置を用いて測定した。
<固形分の含有量>
固形分の含有量は、第4級アンモニウム塩混合物とエタノールの含有量の差分として算出した。
【0073】
【表1】

【0074】
(合成例4)
ステアリン酸とN,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミンとの脱水アミド化反応により合成した。すなわち、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン161gとステアリン酸284.5gを攪拌機、温度計、脱水管のついた4つ口フラスコに入れ、180℃まで昇温した。次に、その温度で約5時間生成する水を留去しながら加熱撹拌した。その後、120℃に冷却し、減圧下、未反応のアミンを留去し、目的とするN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミンを得た。
【0075】
実施例で用いた配合成分を以下にまとめて示す。
・(a)成分
(a−1):合成例1で得たポリマー(ポリジメチルアミノエチルメタクリレート Mw:11200)
(a−2):日東紡績(株)製 PAA−HCl−03(ポリアリルアミン塩酸塩 Mw:3000)
(a−3):日東紡績(株)製 PAS−H−5L(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド Mw:40000)
(a−4):合成例2で得たポリマー(ポリメタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド Mw:270000)
【0076】
上記(a)成分の分子量(Mw)は、(1%酢酸/エタノール):水=3:7(質量比)の混合溶媒で調製したLiBrの50mmol/L溶液を溶媒として、GPC測定(ポリエチレングリコール換算分子量)により算出した。
【0077】
・(b)成分
(b−1):合成例3で得た第4級アンモニウム塩混合物〔(b1)混合物〕
(b−2):合成例4で得たN−アルカノイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミン
【0078】
・(c)成分
(c−1):フェノキシエタノール(ClogP:1.19)
(c−2):ポリオキシエチレン(平均付加モル数3)モノフェニルエーテル(ClogP:1.32)
【0079】
・(d)成分
(d−1):ポリオキシエチレン(平均付加モル数19)モノラウリルエーテル(式(5−1)の構造を有する化合物)
(d−2):ライオン(株)製 エソカードC/25(ポリオキシエチレン(平均付加モル数15)アルキル(炭素数8〜18)メチルアンモニウムクロライド)(式(6−2)の構造を有する化合物)
【0080】
・その他成分
(e−1):2−デシル−1−テトラデシル硫酸エステル
(f−1):エチレンジアミン4酢酸
(g−1):安息香酸ナトリウム
(h−1):エタノール
【0081】
下記方法により、液体柔軟剤組成物を調製し、下記方法で安定性を評価した。結果を表2に示す。
<液体柔軟剤組成物の調製方法>
300mLビーカーに、柔軟剤組成物の出来あがり質量が200gになるのに必要な量の95%相当量のイオン交換水を入れ、ウォーターバスで60℃に昇温した。一つの羽根の長さが2cmの攪拌羽根が3枚ついたタービン型の攪拌羽根で攪拌しながら(300rpm)、所要量の(e)成分、(f)成分と、下記に必要量以外の(c)成分を溶解させた。次に、所要量の(b)成分、(d)成分を予め溶解するのに必要な(c)成分で混合した混合品(40℃)を添加した。そのまま5分攪拌後、順次、(g)成分、(h)成分、(a)成分を添加し、5分攪拌後、62%パラトルエンスルホン酸水溶液と48%水酸化ナトリウム水溶液で目標のpHに調整し、出来あがり質量にするのに必要な量の60℃のイオン交換水を添加した。その後10分間攪拌し、5℃の水を入れたウォーターバスにビーカーを移し、攪拌しながら20℃に冷却した。なお、表2に示すpHは冷却後(20℃)のpHである。
【0082】
<外観の評価法>
製造直後の液体柔軟剤組成物の外観を目視で観察して、下記の基準で評価した。
評価基準(外観)
○…透明もしくは半透明になっている
△…やや白濁している
×…分離もしくは白濁している
【0083】
<柔軟性の評価法>
(柔軟処理方法)
バスタオル(木綿100%)5枚を市販の弱アルカリ性洗剤(花王(株)アタック)を用いて洗濯機で洗浄した(東芝製2槽式洗濯機VH−360S1、洗剤濃度0.0667質量%、水道水30L使用、水温20℃、10分間)。その後、洗浄液を排出し、3分間脱水後、30Lの水道水を注水して5分間すすぎを行い、排水後3分間脱水を行った。その後、再度30Lの水道水を注水後、表2の液体柔軟剤組成物を10ml添加し、5分間攪拌した。その後、脱水し、室内で自然乾燥させた。この操作を5回繰り返した衣料の柔軟性評価を下記の方法で評価した。
【0084】
(衣料の柔軟性評価)
上記処理した衣料の柔軟性を10人のパネラー(30代男性10人)により下記の基準で判定し、10人の平均点を算出した。尚、評価点2.0以上は柔軟性効果が良好であり、評価点0.4点の差は優位差として充分認識できる。
−1…比較例1の組成物で処理した衣料と比較して柔らかく仕上がらない。
0…比較例1の組成物で処理した衣料と比較して同等。
1…比較例1の組成物で処理した衣料と比較してやや柔らかく仕上がった。
2…比較例1の組成物で処理した衣料と比較して柔らかく仕上がった。
3…比較例1の組成物で処理した衣料と比較して非常に柔らかく仕上がった。
【0085】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、(b)成分、(c)成分及び(d)成分を含有し、(a)成分の含有量が0.01〜5.0質量%、(b)成分の含有量が5〜30質量%、(c)成分の含有量が5〜30質量%、(d)成分の含有量が5〜20質量%である、透明又は半透明の液体柔軟剤組成物。
<(a)成分>
下記一般式(1)で示される化合物、又はその酸塩もしくは4級塩のモノマーに由来する構成単位を含有する高分子化合物。
【化1】


〔一般式(1)中、R1、R2は、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基を示し、R3は−COOM(Mは水素原子、又はアルカリ金属原子)、又は水素原子を示す。Aは−COO−R6−、−CONR7−R8−、又は−CH2−を示す。R4はAが−CH2−の場合には一般式(2)
【化2】


で表される基を示し、Aがそれ以外の場合は炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す。R5は炭素数1〜3のアルキル基、、(又は)炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は水素原子を示す。R6、R8は、それぞれ独立に炭素数2〜3のアルキル基、R7は水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。〕
<(b)成分>
下記一般式(3)で表される化合物及び一般式(4)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物。
【化3】


〔一般式(3)及び一般式(4)中、R21、R22及びR23は、それぞれ独立に、エステル基及び/又はアミド基で分断されている総炭素数14〜26の炭化水素基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は炭素数1〜3のアルキル基であり、少なくともひとつがエステル基及び/又はアミド基で分断されている総炭素数14〜26の炭化水素基である。R24は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。X-は、陰イオン基である。〕
<(c)成分>
logPが−0.5〜1.5の有機溶剤
<(d)成分>
下記一般式(5)で表される化合物及び一般式(6)で表される化合物から選ばれる1種以上の化合物。
【化4】


〔一般式(5)及び一般式(6)中、R31は、炭素数6〜18のアルキル基もしくはアルケニル基、又はアリール基である。Fは、−(R32O)d−R33であり、R32は、炭素数2又は3のアルキレン基である。R33は、炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子である。dは平均付加モル数であり、2〜100の数を示す。Eは、−O−、−COO−、−CON<、又は−N<であり、Eが−O−又は−COO−の場合eは1であり、Eが−CON<又は−N<の場合eは2である。R34は、炭素数1〜3のアルキル基であり、fは1〜3である。X-は、陰イオン基である。〕

【公開番号】特開2008−208473(P2008−208473A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−43922(P2007−43922)
【出願日】平成19年2月23日(2007.2.23)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】