説明

透明導電性複合フィルム

(i)ポリマーベース層およびポリマー結合層を含むポリマー基材であって、ベース層のポリマー材料が軟化温度TS-Bを有し、結合層のポリマー材料が軟化温度TS-HSを有するポリマー基材;および(ii)多数のナノワイヤを含む導電層を含む透明導電性フィルムの製造方法であって、ナノワイヤが結合層のポリマーマトリックス中に少なくとも部分的に分散するように、前記ナノワイヤが結合層のポリマーマトリックスによって結合されており、ポリマーベース層およびポリマー結合層を含むポリマー基材を準備するステップ;前記ナノワイヤを結合層の露出した表面上に配置するステップ;および複合フィルムを温度T1に加熱するステップであって、T1がTS-HS以上であり、T1がTS-Bより少なくとも約5℃低いステップを含む方法;ならびに、前記方法により得られる透明導電性フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明導電性複合フィルム、および改善されたその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透明導電性多層フィルムは、電気伝導性材料を含む薄い導電層に覆われた支持体を含み、この支持体は、高い光透過率および/または低いヘーズ(光が材料を通過するときに散乱される度合い)、さらには、高い絶縁性を示す。このようなフィルムは、高い光学的透明性を保ちながら、高い表面導電性を示さなければならず、光起電力セル、EMIシールドスクリーン、フラット液晶ディスプレイ、エレクトロルミネセンスデバイス、および電子機器のタッチスクリーン(例えば、PDA、携帯電話など)の製造において、透明電極として使用されている。薄膜(thin film)光起電力(PV)セルには、特に関心がもたれており、この用途では、支持体は高い光透過率を示さなければならない。非常に低いヘーズは、PVセルに適する支持体に対する必要条件ではなく、事実、かなりの量のヘーズは、PV層を通って光が進むときに、それが光路長を増大させるので、有益であり得る(US−5078803;Thin Solid Films 2007, 515, 8695)。
【0003】
支持体は、ガラス、セラミックまたはポリマー基材であってよく、フレキシブル電子デバイスにおける最近の開発は、ポリマー基材の使用に集中している。フレキシブル基材の場合、低コスト、高生産高の工程で、透明導電体が製造できる。透明導電性複合フィルムは、通常、真空堆積(vacuum deposition)またはスパッタリング技法によって製造されている。例えば、US−5504133、JP−A−8−199096、JP−A−9−109259、US−5908585、US−6416818、US−6777477に開示されているように、導電性粒子と、通常さらにバインダー樹脂とを含むコーティング組成物を基材に塗布し、次いで、これを高温で乾燥(または焼結)して、導電層を形成することによる、湿式コーティング法もまた、透明導電性フィルムを製造するために用いられており、この場合、前記の乾燥された層は、続いて、例えばUS−2007/0145358およびUS−2008/0026204に開示されているように、加圧されることもある。
【0004】
通常、導電層は、酸化インジウムスズ(ITO)のような導電性金属酸化物を含む。しかし、金属酸化物フィルムは、脆く、曲げまたは他の物理的ストレスの間に損傷される傾向がある。それらは、また、高い導電性レベルを実現するためには、高められた堆積温度および/または高いアニーリング温度を必要とし、これは、ポリマー基材に基づくフレキシブル電子デバイスの製造における、真空堆積技法の適用可能性を制限し得る。さらに、真空堆積は、費用の掛かる方法であり、専用の設備を必要とし、パターンおよび回路を形成することに繋がらず、これは、結果的に、通常、フォトリソグラフィーのような費用の掛かるパターン形成法の必要性を生じる。導電性ポリマーもまた、光学的に透明な電気導体として使用されているが、これらは、一般に、金属酸化物フィルムに比べて、低い導電率値、高い光吸収(特に可視波長での)を有し、化学的安定性および長期安定性を欠き得る。
【0005】
より最近の開発は、例えば、WO−A−2007/022226、WO−A−2008/046058、WO−A−2008/131304、WO−A−2008/147431、およびWO−A−2009/017852に開示されているように、ナノワイヤを含む導電層を利用している。通常、ナノワイヤが、予め成形された基材上に塗布され、表面導電性ネットワークを形成する。ナノワイヤは、基材への良好な接着性、および良好な耐摩耗性を示さなければならない。この場合、高い光透過率をそのままにして、機械的健全性(mechanical integrity)または他の何らかの特性を導電層に付与するために、ナノワイヤネットワークは、耐摩耗層またはバインダー層(例えば、UV硬化樹脂層)のような、1つまたは複数の保護層またはバリア層により、オーバーコーティングされる。あるナノワイヤはマトリックスによって完全に覆われているのに対して、他のナノワイヤは表面から突き出ていることがあり得るように、金属ナノワイヤのネットワークは、オーバーコートマトリックスに部分的に埋め込まれていると考えられる。表面導電性は、突き出している十分なナノワイヤが、オーバーコートマトリックス上で流通接続している(percolate)場合に確保される。
【0006】
このように、ナノヤイヤを含む透明導電性フィルムの従来の製造は、異なる3つの段階:(i)基材の準備;(ii)続いて行われるナノワイヤのオフラインコーティング;および(iii)続いて行われる保護オーバーコート層のオフラインコーティングを含む。通常、一方または両方のオフラインコーティングステップは、溶媒−コーティング技法を用いて実施される。より効率的な製造方法、例えば、オーバーコーティングステップなしで済まし、同時に、導電層の機械的健全性および耐摩耗性を維持する製造方法を提供することは望ましいであろう。さらに、透明導電性フィルムの製造において、有害である可能性があり、環境に優しくない有機溶媒の使用を避けることは望ましいであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、前記の問題を克服することである。本発明の特有の目的は、目標とする従来の透明導電性フィルムの電気的、光学的および機械的特性を有し、より効率的で経済的な方法で製造され得る透明導電性フィルムの、改善された製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
(i)ポリマーベース層およびポリマー結合層(binding layer)を含むポリマー基材であって、ベース層のポリマー材料が軟化温度TS-Bを有し、結合層のポリマー材料が軟化温度TS-HSを有するポリマー基材;および
(ii)多数のナノワイヤを含む導電層
を含む透明導電性フィルムの製造方法が提供され、
ナノワイヤが結合層のポリマーマトリックス中に少なくとも部分的に分散するように、前記ナノワイヤが結合層のポリマーマトリックスによって結合されており、
この方法は、ポリマーベース層およびポリマー結合層を含むポリマー基材を準備するステップ;前記ナノワイヤを結合層の露出した表面上に、好ましくは、前記ナノワイヤを液体媒体に分散させ、このナノヤイヤ含有液体を結合層の露出した表面上にコーティングすることによって、配置するステップ;および複合フィルムを温度T1に加熱するステップであって、T1がTS-HS以上であり、またT1がTS-Bより少なくとも約5℃、好ましくは少なくとも約10℃、好ましくは少なくとも約20℃、好ましくは少なくとも約30℃、好ましくは少なくとも約50℃低いステップを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、既存の製造方法に、非常に有益な改善をもたらす。本発明の方法は、この技術の発展を、特にコストにおいて、一変させる可能性を有する、大幅に向上した効率およびかなりの経済的利益を、透明導電性フィルムの製造に提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ポリエステル基材
ポリエステル基材は、自立フィルムまたはシートであり、これによって、支持ベースなしに独立して存在することができるフィルムまたはシートを意味する。この基材は、好ましくは、1軸または2軸配向、好ましくは2軸配向している。基材は多層基材である。基材は、1つまたは複数の結合層を含み得る。したがって、基材は、ポリマーベース層の一方または両方の表面にポリマー結合層を含み得る。
【0011】
結合層のポリマー材料は、それが結合している表面にそれが接着するのに適切である濡れ(wetting)を示すのに十分なだけ、その粘度が低くなるのに十分な程度に、熱の下で軟化すべきである。結合層のポリマー材料は、フィルムの他の(1つまたは複数の)(非ヒートシール性)層の溶融または軟化なしに、熱の下で軟化すべきである。本発明において、TS-HSは、TS-Bより、少なくとも約5℃低い、好ましくは少なくとも約10℃低い、好ましくは少なくとも約20℃低い、好ましくは少なくとも約50℃低く、TS-Bより、好ましくは少なくとも約70℃低く、一実施形態において、TS-Bより、好ましくは少なくとも約100℃低い。好ましくは、TS-HSは、約30から約250℃、より好ましくは約50から約200℃、より好ましくは約70から約150℃の範囲にある。通常、TS-HSは、Tg-HS以上であり、ここで、Tg-HSは、結合層のポリマー材料のガラス転移温度であり、通常、TS-HSは、Tg-HSより、少なくとも約10℃高い。
【0012】
多層ポリマー基材は、通常、ヒートシール性であり、ベース層およびヒートシール性層を含むことが理解されるであろう。したがって、結合層は、適切には、ヒートシール性層である。ベース層は、適切には、非ヒートシール性である。本発明による透明導電性フィルムの製造方法は、適切には、ポリマーベース層およびポリマーヒートシール性層を含むポリマー基材を準備するステップを含む。多層基材は、その一方または両方の表面で、ヒートシール性であり得る。
【0013】
本明細書で用いられる場合、用語「軟化温度」は、本明細書に記載されているように測定して、前記基材における層の、それ自体に対するヒートシール強度が、100g/25mm以上である最低温度として定義される。
【0014】
本明細書で用いられる場合、用語「非ヒートシール性」は、140℃のシール温度で、特に180℃のシール温度で、特に200℃のシール温度で、特に225℃のシール温度で、特に250℃のシール温度で、本明細書に記載されているように測定して、100g/25mm未満の、それ自体に対するヒートシール強度を示す層を表す。
【0015】
結合層のポリマー材料は、通常、ベース層のそれとは異なる結晶化度(DOC)を有する。好ましくは、結合層のポリマー材料は、実質的にアモルファスであり、本明細書に定められているように測定して、好ましくは約0%から約15%、より好ましくは約0%から約10%、より好ましくは約0%から約5%のDOCを有する。好ましくは、ベース層のポリマー材料は、半結晶性であり、本明細書に定められているように測定して、好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%で、通常、約80%以下のDOCを有する。アモルファスポリマーは、通常、そのTG以上で軟化し始める。半結晶性ポリマーは、その結晶融点TMに近い温度、例えば約(TM−5)℃になって初めて軟化し始める。
【0016】
基材を構成する(1種または複数の)ポリエステルは、通常、(1種または複数の)合成線状ポリエステルである。適切なポリエステルは、1種または複数のジカルボン酸またはそれらの低級アルキル(6個までの炭素原子)ジエステルを1種または複数のジオールと縮合させることによって得られる。ジカルボン酸成分は、通常、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸を含み、これは、好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−、2,5−、2,6−または2,7−ナフタレンジカルボン酸であり、好ましくは、テレフタル酸または2,6−ナフタレンジカルボン酸である。ポリエステルは、また、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、1,10−デカンジカルボン酸、特に、一般式Cn2n(COOH)2(式中、nは2から8である)のものを含めて、脂肪族ジカルボン酸、例えば、コハク酸、グルタル酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸もしくはピメリン酸、好ましくはセバシン酸、アジピン酸およびアゼライン酸、より好ましくはアゼライン酸のような他のジカルボン酸由来の1種または複数の残基を含み得る。好ましくは、(1種または複数の)ジオールは、脂肪族および脂環式グリコール、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび1,4−シクロヘキサンジオールから、好ましくは脂肪族グリコールから選択される。ジオール部分は、C2からC6のアルキレン鎖を含むものから通常選択され、好ましくはポリエチレングリコール(PEG)である、小さい比率の1種または複数のポリ(アルキレンオキシド)グリコールをさらに含んでいてもよい。本発明において用いられる如何なるポリ(アルキレンオキシド)グリコールの平均分子量も、通常、約350から約10,000g/molの範囲にあり、それは、通常、コポリエステルのグリコール部分の約15mol%以下で、一実施形態では、グリコール部分の約10から約15mol%の範囲で、コポリエステル中に存在する。好ましくは、ポリエステルは、1種のみのグリコールを、好ましくはエチレングリコールを含む。ポリエステルの生成は、一般に約295℃までの温度で、縮合またはエステル交換によって、知られている方法で都合よく実施される。
【0017】
ベース層は、本明細書において上で挙げられたもの、特に、1種のジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸もしくはナフタレンジカルボン酸、より好ましくはテレフタル酸と、1種のグリコール、特に脂肪族または脂環式グリコール、好ましくはエチレングリコールとから誘導されるポリエステルから選択される合成線状ポリエステルを好ましくは含む。ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリエチレン2,6−ナフタレン(PEN)、特にPETが、ベース層の好ましいポリエステルである。代わりとなる実施形態において、ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸もしくはナフタレンジカルボン酸、より好ましくはテレフタル酸、脂肪族グリコール(好ましくはエチレングリコール)、ならびにポリ(アルキレンオキシド)グリコール(好ましくは(PEG))を含むコポリエステルである。フィルム形成ポリマー樹脂はベース層の主成分であり、ポリマー樹脂は、ベース層の全質量の少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも65質量%、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%を占める。
【0018】
結合層は、本明細書において参照された、少なくとも2種のジカルボン酸またはそれらの低級アルキルジエステルと、1種または複数のグリコールとから誘導されるコポリエステルを好ましくは含む。コポリエステル樹脂は結合層の主成分であり、コポリエステルは、結合層の全質量の少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも65質量%、好ましくは少なくとも80質量%、好ましくは少なくとも90質量%、好ましくは少なくとも95質量%を占める。
【0019】
一実施形態(以下で実施形態Aと呼ばれる)において、結合層は、1種または複数の脂肪族グリコールと、2種以上のジカルボン酸、好ましくは2種以上の芳香族ジカルボン酸とから誘導されるコポリエステルを含む。通常、このコポリエステルは、好ましい実施形態ではエチレングリコールである、唯一の脂肪族グリコールから誘導される。好ましくは、ジカルボン酸は、テレフタル酸、および他の1種のジカルボン酸、好ましくは他の1種の芳香族ジカルボン酸、好ましくはイソフタル酸である。好ましいコポリエステルは、エチレングリコール、テレフタル酸およびイソフタル酸から誘導される。テレフタル酸成分とイソフタル酸成分の好ましいモル比は、25:75から90:10、好ましくは50:50から85:15の範囲にあり、一実施形態では50:50から75:25の範囲にあり、さらなる実施形態において、モル比は、65:35から85:15の範囲にある。特定の実施形態において、このコポリエステルは、エチレングリコールと、約82mol%のテレフタレートおよび約18mol%のイソフタレートとのコポリエステルである。さらなる特定の実施形態において、このコポリエステルは、エチレングリコールと、約60mol%のテレフタレートおよび約40mol%のイソフタレートとのコポリエステルである。さらなる特定の実施形態において、このコポリエステルは、ジカルボン酸が前記の好ましいモル比のテレフタル酸およびイソフタル酸であり、グリコールが前記の好ましいモル比のエチレングリコールおよびポリ(アルキレンオキシド)グリコール(好ましくは(PEG))である、コポリエステルである。
【0020】
さらなる実施形態(以下で実施形態Bと呼ばれる)において、結合層は、少なくとも1種の(好ましくは1種だけの)芳香族ジカルボン酸、および少なくとも1種の(好ましくは1種だけの)脂肪族ジカルボン酸(またはそれらの低級アルキル(すなわち、14個の炭素原子まで)ジエステル)と、1種または複数のグリコールとから誘導されるコポリエステル樹脂を含む。好ましい芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸である。好ましい脂肪族ジカルボン酸は、セバシン酸、アジピン酸およびアゼライン酸から選択され、特にアゼライン酸である。コポリエステル中に存在する芳香族ジカルボン酸の濃度は、コポリエステルのジカルボン酸成分に対して、好ましくは約90mol%以下、好ましくは約80mol%以下であり、好ましくは45から80mol%、より好ましくは50から70mol%、特に55から65mol%である。コポリエステル中に存在する脂肪族ジカルボン酸の濃度は、コポリエステルのジカルボン酸成分に対して、好ましくは少なくとも約10mol%、好ましくは少なくとも約20mol%であり、好ましくは20から55、より好ましくは30から50、特に35から45mol%の範囲にある。好ましくは、実施形態Bにおけるコポリエステルのガラス転移温度(Tg-HS)は、約20℃以下、好ましくは約10℃以下、好ましくは約0℃以下、好ましくは約−10℃以下である。一実施形態において、結合層のコポリエステルの融点(Tm)は、好ましくは約160℃以下、好ましくは約150℃以下、より好ましくは約140℃以下である。このようなコポリエステルの特に好ましい例は、(i)アゼライン酸およびテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはエチレングルコールとのコポリエステル;(ii)アジピン酸およびテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはエチレングルコールとのコポリエステル;および(iii)セバシン酸およびテレフタル酸と脂肪族グリコール、好ましくはブチレングルコールとのコポリエステル;である。好ましいポリマーには、−40℃のガラス転移点(Tg)および117℃の融点(Tm)を有する、セバシン酸/テレフタル酸/ブチレングリコール(好ましくは45〜55/55〜45/100、より好ましくは50/50/100の相対モル比で成分を含む)のコポリエステル、ならびに、−15℃のTgおよび150℃のTmを有する、アゼライン酸/テレフタル酸/エチレングリコール(好ましくは40〜50/60〜50/100、より好ましくは45/55/100の相対モル比で成分を含む)のコポリエステルが含まれる。
【0021】
さらなる実施形態(以下で実施形態Cと呼ばれる)において、結合層は、脂肪族ジオールおよび脂環式ジオールと、1種または複数の、好ましくは1種のジカルボン酸、好ましくは芳香族ジカルボン酸とから誘導されるコポリエステルを含む。例には、テレフタル酸と、脂肪族ジオールおよび脂環式ジオール、特にエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールとのコポリエステルが含まれる。脂環式ジオールと脂肪族ジオールの好ましいモル比は、10:90から60:40の範囲、好ましくは20:80から40:60、より好ましくは30:70から35:65の範囲にある。好ましい実施形態において、このコポリエステルは、テレフタル酸と、約33モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび約67モル%のエチレングリコールとのコポリエステルである。このようなポリマーに例は、約81℃のTgを有するPETG TM6737(商標)(Eastman)であり、これは、テレフタル酸、約33%の1,4−シクロヘキサンジメタノールおよび約67%のエチレングリコールのコポリエステルを含み、また常にアモルファスである。代わりとなる実施形態において、結合層のポリマーは、エチレングルコールの代わりにブタンジオールを含み得る。
【0022】
結合層の厚さは、一般に、基材の厚さの約1と30%、好ましくは10と20%の間である。結合層は、約25μmまで、より好ましくは約20μm、より好ましくは約15μmまでで、好ましくは少なくとも約1μm、より好ましくは少なくとも約2μm、より好ましくは少なくとも約5μmの厚さを有し得る。基材の全厚は、好ましくは約350μmまで、より好ましくは約200μmまで、より好ましくは少なくとも約20μmであり、より好ましくは約50と150μmの間である。
【0023】
好ましくは、基材の結合層は、少なくとも250g/25mm、より好ましくは少なくとも300g/25mm、より好ましくは少なくとも400g/25cm、より好ましくは少なくとも500g/25cm、より好ましくは少なくとも750g/25cm、より好ましくは少なくとも1000g/25cmで、典型的には約4000g/25mm以下、より典型的には約3500g/25mm以下の、それ自体に対するヒートシール強度を示す。一実施形態において、基材の結合層は、約400g/25mmから約1000g/25mmの、さらなる実施形態では、約500から約850g/25mmの、それ自体に対するヒートシール強度を示す。
【0024】
基材の成形は、下で記載されるように、当技術分野においてよく知られている通常の押出技法によって、特に共押出によって、実施され得る。全般的用語として、本発明の方法は、溶融ポリマーの層を押し出すステップ、押出物を冷却するステップ、および冷却された押出物を少なくとも1つの方向に配向させるステップを含む。基材は、1軸配向させられてもよいが、通常、2軸配向させられる。配向は、配向フィルムを製造するための技術分野において知られているいずれかの方法(例えば、インフレーション(tubular)またはフラットフィルム法)よって実施され得る。2軸配向は、機械的および物理的特性の満足のいく組合せを実現するために、フィルム面における互いに直行する2つの方向に延伸する(draw)ことによって実施される。インフレーション法では、同時2軸配向が、熱可塑性ポリエステルチューブを押し出し、次に、これを冷却し、再加熱し、次いで、横配向を誘発するように内部ガス圧によって膨らませ、また縦配向を誘発し得る速度で引くことによって、実施され得る。好ましいフラットフィルム法では、フィルム形成ポリエステルが、スロットダイを通して押し出され、ポリエステルが確実にアモルファス状態に冷却されるように、冷却されたキャスティング(casting)ドラム上で急冷される。次いで、冷却された押出物を、少なくとも1つの方向に、ポリエステルのガラス転移温度を超える温度で延伸する(stretch)ことによって、配向が実施される。逐次配向は、冷却されたフラット押出物を、最初に1つの方向に、通常は縦方向(すなわち、フィルム延伸機を貫く前方の方向)に、次いで、横方向に延伸することによって実施され得る。押出物の前方延伸は、1組の回転ロールに渡って、または2組のニップロールの間で、都合よく実施され、次いで、横延伸が、テンター(stenter)設備で実施される。延伸は、一般に、配向フィルムの寸法が、1つの延伸方向、または各延伸方向において、その元の寸法の2から5倍、より好ましくは2.5から4.5倍であるように実施される。通常、延伸は、ポリエステルのTgより高い温度で、好ましくはTgより約15℃高い温度で実施される。より大きな延伸比(例えば、約8倍まで)が、1方向だけに配向が求められる場合に、用いられ得る。機械および横方向に等しく延伸する必要はないが、これは、バランスのある特性が望まれる場合には好ましい。
【0025】
延伸フィルムは、ポリエステルの望みの結晶化を誘発するように、ポリエステルのガラス転移温度を超えるが、その融解温度未満の温度で、寸法を支持してヒートセットすることによって、寸法が安定化されてもよく、好ましくは安定化される。ヒートセットの間、少量の寸法の緩和(relaxation)が、「トーイン(toe−in)」として知られる処置によって、横方向(TD)に実施され得る。トーインは、2から4%程度の寸法収縮を含み得るが、進行方向または機械方向(MD)における同様の寸法の緩和は、小さいライン張力が必要とされ、またフィルム制御および巻取りが問題をはらむようになるので、実現することが難しい。実際のヒートセット温度と時間は、フィルムの構成およびそれに望まれる最終の熱収縮に応じて変わり得るが、引裂き抵抗のようなフィルムの靱性(toughness)特性を実質的に低下させるように選択されるべきではない。これらの制約条件内で、約180から245℃のヒートセット温度が一般に望ましい。ヒートセットの後、通常、フィルムは、ポリエステル、特に結合層に望まれる結晶化を誘発するように、急冷される。
【0026】
本発明の特定の実施形態において、フィルムは、オンライン緩和段階の使用を通じて、さらに安定化され得る。代わりに、緩和処置は、オフラインで実施されてもよい。この追加のステップにおいて、フィルムは、MDおよびTD方向の張力を大きく下げて、ヒートセット段階の温度より低い温度で加熱される。フィルムが受ける張力は、小さい張力であり、通常、5kg/m未満、好ましくは3.5kg/m未満であり、より好ましくは1から約2.5kg/mの範囲にあり、通常、1.5から2kg/m(フィルム幅)の範囲にある。フィルム速度を制御する緩和処置では、フィルム速度の低下(したがって、歪みの緩和)は、通常、0から2.5%、好ましくは0.5から2.0%の範囲にある。熱安定化ステップの間、フィルムの横寸法の増加はない。熱安定化ステップで用いられる温度は、最終フィルムに望まれる特性の組合せに応じて変わり得るが、より高い温度が、より良好な、すなわち、より少ない、残留収縮特性をもたらす。135から250℃の温度が、一般に望ましく、150から230℃が好ましく、170から200℃がより好ましい。加熱時間は、用いられる温度に依存し得るが、通常、10から40秒の範囲にあり、20から30秒の時間が好ましい。この熱安定化処置は、水平および直立の配置構成を含めて、様々な方法によって、また、別個の処置ステップとしての「オフライン」、またはフィルム製造工程の延長としての「インライン」のいずれかで、実施され得る。こうして処置されたフィルムは、このようなヒートセット後の緩和なしに製造されたものより小さい熱収縮を示し得るので、通常、その収縮は、190℃のオーブン中30分で1%未満、特に0.5%未満、特に0.2%未満である。
【0027】
結合層およびベース層を含む多層基材の成形は、マルチ−オリフィスダイの独立したオリフィスを通しての個々のフィルム形成層の同時共押出とその後のまだ溶融している層の合体によってか、または、好ましくは、単一チャネル共押出(個々のポリマーの溶融物流が、最初に、ダイのマニホールドに導くチャネル内で合体され、その後、層流(streamline flow)条件下で混ざることなくダイオリフィスから一緒に押し出されて、多層ポリマーフィルムを生成する)によってかのいずれかで、共押出によって好ましくは実施され、この多層ポリマーフィルムは、先に記載されたように、配向させられ、ヒートセットされ得る。多層基材を成形する別の方法には、予め成形されたベース層上への結合層のキャスティング、およびベース層上への結合ポリマーのコーティングが含まれ、このコーティング技法は、特に、実施形態Bでは好ましいものであり得る。コーティングは、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ディップコーティング、ビード(bead)コーティング、押出コーティング、溶融(melt)コーティング、または静電スプレーコーティングを含めて、適切なコーティング技法のいずれかを用いて実施され得る。結合層のコーティングは、「インライン」で実施される、すなわち、コーティングステップは、フィルム製造中に、用いられるいずれかの(1つまたは複数の)延伸操作の前に、延伸操作中に、または複数の延伸操作の間に行われる。結合層がコーティングされる場合、コーティングステップは、有機溶媒(これは、実施形態Bのもののようなヒートシール性コーティングを塗布するのに通常用いられている)の使用を避けることが好ましく、これは、例えばWO−02/059186−Aに記載されているインライン法を用いて実現され得る。ベース層上に結合層を塗布する前に、ベース層の露出した表面は、その表面と次に塗布される層との間の結合を向上させるために、望まれる場合、化学的または物理的表面改質処理を受けてもよい。例えば、ベース層の露出した表面は、コロナ放電に付随する高電圧電気ストレスを受けてもよい。代わりに、ベース層は、ベース層に溶解または膨潤作用を有することが当技術分野において知られている作用剤、例えば、一般的な有機溶媒に溶けたハロゲン化フェノール(例えば、p−クロロ−m−クレゾール、2,4−ジクロロフェノール、2,4,5−もしくは2,4,6−トリクロロフェノールまたは4−クロロレソルシノールのアセトンまたはメタノール溶液)により前処理されてもよい。
【0028】
しかし、好ましい実施形態において、基材は、結合層およびベース層を含む多層共押出基材である。
【0029】
基材におけるポリエステル層は、ポリエステルフィルムの製造において通常用いられる添加剤のいずれかを都合よく含み得る。こうして、架橋剤、染料、顔料、ボイド形成剤(voiding agent)、滑剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、UV吸収剤、熱安定剤、難燃剤および燃焼抑制剤、ブロッキング防止剤、表面活性剤、スリップ助剤、螢光発光剤、光沢向上剤、分解促進剤(prodegradent)、粘度調整剤、ならびに分散安定剤のような作用剤が、適宜、組み入れられ得る。フィルムは、製造中の取扱いおよび巻取り性を改善できる微粒子フィラーを含み得る。微粒子フィラーは、例えば、微粒子無機フィラー(例えば、金属もしくは半金属の酸化物、例えば、アルミナ、チタニア、タルクおよびシリカ(特に、沈降および珪藻土シリカ、ならびにシリカゲル)、焼成カオリン(calcined china clay)およびアルカリ金属塩、例えば、カルシウムおよびバリウムの炭酸塩および硫酸塩)であり得る。存在する如何なる無機フィラーも、細かく粉砕されているべきであり、その体積分布中央値粒子直径(体積%を粒子の直径に関連付ける累積分布曲線で読み取られる、全ての粒子の体積の50%に対応する等価球直径−しばしば、「D(v,0.5)」値と呼ばれる)は、好ましくは0.01から5μm、より好ましくは0.05から1.5μm、特に0.15から1.2μmの範囲にある。好ましくは少なくとも90体積%、より好ましくは少なくとも95体積%の無機フィラー粒子が、体積分布中央値粒子直径±0.8μm、特に、体積分布中央値粒子直径±0.5μmの範囲内にある。フィラー粒子の粒径(particle size)は、電子顕微鏡、コールターカウンター、沈降分析、ならびに静的および動的光散乱によって測定され得る。レーザー光回折に基づく技法が好ましい。中央値粒径は、選ばれた粒径までの粒子体積のパーセンテージを示す累積分布曲線をプロットし、第50百分位数を求めることによって決定され得る。一実施形態において、結合層は、約5質量%(層の全質量に対して)までで、好ましくは約2質量%以下、好ましくは約1.5質量%以下の無機フィラー粒子を含み得る。フィラー粒子は、上で挙げられたフィラー粒子から選択され、好ましくは、シリカおよびタルクから選択され、好ましくはシリカである。この実施形態において、フィルムの巻取り性(すなわち、フィルムがロールに巻き上げられたときに、ブロッキングしないまたはくっ付かないこと)が、ヘーズまたは他の光学的特性における許容されない悪化なしに、改善される。
【0030】
結合層は、1種または複数のワックスを含んでいてもよく、これは、実施形態Bの結合層がベース層と共に共押出によって製造される場合に、特に適切である。通常、たった1種類のみのワックスが用いられる。ワックスは、天然または合成ワックスであってよく、好ましくは、少なくとも50℃の融点を有する。天然ワックスは、好ましくは、植物ワックス(例えば、カルナウバワックス)またはミネラルワックス(例えば、モンタンワックスおよびオゾケライト)のいずれかである。パラフィンワックス(直鎖炭化水素を含む高度に精製された低分子量ワックス)もまた用いられ得る。合成ワックスの例には、フィッシャー−トロプシュワックス(石炭ガス化によって製造され、約300から約1400g/molの範囲の分子量を有する)、ならびに酸化された、および酸化されていない(好ましくは酸化された)低分子量ポリエチレンワックス(約500から約3000g/molの範囲の分子量を有する)、さらには、対応するポリプロピレンワックスが含まれる。しかし、好ましい種類のワックスは、アミドワックスである。アミドワックスは、一般に、結合層のベースコポリエステルとは混和しない。アミドワックスは、第1級、第2級、第3級、またはビス(脂肪)アミド、例えば、オレアミド(oleamide)およびエルカミド(erucamide)であり得る。様々な種類の例には、第1級脂肪アミド、例えば、エルカミド、ベヘナミド、オレアミド、またはステアラミド;第2級脂肪アミド、例えば、ステアリルエルカミド、エルシルエルカミド、オレイルパルミタミド、ステアリルステアラミド、またはエルシル(erucyi)ステアラミド;第3級脂肪アミド、例えば、ジメチルステアラミド、またはジエチルステアラミド;およびN,N’−ビス(脂肪)アミド、例えば、N,N’−エチレンビス(ステアラミド)、N,N’−メチレンビス(ステアラミド)、N,N’−プロピレンビス(ステアラミド)、N,N’−エチレンビス(オレアミド)、N,N’−メチレンビス(オレアミド)、またはN,N’−プロピレンビス(オレアミド)が含まれる。好ましくは、ワックスは、N,N’−ビス(脂肪)アミドから、より好ましくはN,N’−エチレンビス(オレアミド)およびN,N’−エチレンビス(ステアラミド)から選択される。好ましい実施形態において、ワックスは、結合層の全質量の約0.1から約3wt%、好ましくは約0.5から約3wt%で、好ましくは2wt%以下のレベルで、通常、約1から約2wt%のレベルで存在する。
【0031】
層の組成物の成分は、通常の方法で一緒に混合され得る。例えば、フィルム形成ポリエステルが誘導されるモノマー反応物と混合することによって、あるいは、成分は、タンブル(tumble)ブレンドまたはドライブレンドによって、または、押出機において混練し、その後、冷却し、通常、顆粒またはチップに細かく砕くことによって、ポリエステルと混合され得る。マスターバッチ技術もまた用いられ得る。
【0032】
基板がベース層および唯一の結合層を含む場合の実施形態において、結合層と接触するベース層の表面は、本明細書において主表面と呼ばれる。結合層と接触している表面と反対側のベース層の表面は、本明細書において、第2表面と呼ばれる。ベース層の第2表面は、その上に、1つまたは複数のさらなるポリマー層またはコーティング材料を有し得る。第2表面の何らかのコーティングは、好ましくは、「インライン」で実施される。一実施形態において、第2表面上のさらなるコーティングは、特にベース層がPETポリエステル基材であるときに、フィルムの取扱いおよび巻取り性を向上させるために、「スリップコーティング」を含み得る。適切なスリップコーティングは、EP−A−0408197(この開示は参照として本明細書に組み込まれる)に記載されているように、例えば、架橋剤をさらに含んでいてもよいアクリルおよび/またはメタクリルポリマー樹脂の不連続層であり得る。代わりとなるスリップコーティングは、例えば米国特許第5925428号および米国特許第5882798号(これらの開示は参照として本明細書に組み込まれる)に開示されている、ケイ酸カリウムコーティングを含み得る。
【0033】
基材は低収縮を示し、190℃、30分で、好ましくは3%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.2%未満である。
【0034】
基材は光学的に透明であるべきであり、規格ASTM D 1003に従って測定して、好ましくは15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは6%以下、より好ましくは3.5%以下、特に1.5%以下の散乱可視光(ヘーズ)%を有する。可視領域(400nmから700nm)の光に対する全光線透過率(TLT)は、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも約90%である。このため、一般に、如何なる微粒子フィラーも、通常、少量でのみ存在し、一般に、所定の層の0.5質量%を超えず、好ましくは0.2質量%未満である。
【0035】
導電性ナノワイヤ
導電層を形成するためのナノワイヤの使用は、例えばWO−A−2007/022226により、当技術分野において知られており、ナノワイヤの素性および製造に関するその開示は、参照として本明細書に組み込まれる。本明細書でも用いられる場合、用語「ナノワイヤ」は、10から100,000の範囲のアスペクト比(すなわち、幅Wで割った長さL)を通常有する導電性要素を表す。アスペクト比は、10を超え、好ましくは50を超え、より好ましくは100を超える。ナノワイヤの少なくとも1つの横断面寸法は、500nm未満、好ましくは200nm未満、より好ましくは100nm未満である。導電層の光学的および電気的特性は、アスペクト比によってだけでなく、それらの大きさ、形状、分布および密度によってもまた決定される。ナノワイヤの直径が大きくなるにつれて、抵抗率はかなり減少するが、それはより多くの光を吸収し得る。例えば、直径が10nmから100nmに増加すると、全体の抵抗率はかなり低下するが、電気特性におけるこの向上は、低下する透明性に対して、バランスを保っていなければならない。高アスペクト比が用いられる場合、導電性ネットワークを実現するために必要とされるナノワイヤの密度は、導電性ネットワークが実質的に透明であるのに十分なだけ、低くあり得る。所定の密度でのナノワイヤの数は、許容される電気伝導特性をもたらすように選択される。例えば、2つの端子間に延びる数百のナノワイヤは、低抵抗の電気伝導経路を提供でき、濃度、アスペクト比、大きさおよび形状は、実質的に透明な導体を提供するように選択される。2つの電気端子間の距離は、望みの光学的特性が単一のナノワイヤでは得られず、多くのナノヤイヤの過半数が、導電経路を提供するように様々な点で互いに連結される必要があり得るようなものであり得る。ナノワイヤの選択は、通常、目標とする光学的特性によって決められ、次いで、望みの導電経路とその経路全体での抵抗とをもたらすナノワイヤの数は、導電層に許容される電気的特性を実現するように選択される。透明導電層の電気伝導率は、主に、
a)単一のナノワイヤの導電率、
b)端子間のナノワイヤの数、および
c)ナノワイヤ間の接続度(connectivity)、
によって制御される。特定のナノワイヤ濃度(電気的パーコレーションしきい値とも呼ばれる)より下で、端子間の導電率はゼロである、すなわち、ナノワイヤ間の間隔が余りに遠く離れているために、提供される繋がった電流経路が存在しない。この濃度より上では、利用できる少なくとも1つの電流経路が存在する。より多くの電流経路が提供されるほど、層全体の抵抗は減少する。
【0036】
導電性ナノワイヤには、金属ナノワイヤ、および高アスペクト比(すなわち、10を超える)を有する他の導電性粒子が含まれる。非金属ナノワイヤの例には、これらに限らないが、カーボンナノチューブ(CNT)、導電性ポリマー繊維などが含まれる。利点のある一実施形態において、ナノワイヤは、金属ナノヤイヤである。本明細書で用いられる場合、用語「金属ナノワイヤ」は、単体金属、金属合金、または金属化合物(金属酸化物が含まれる)を含むナノワイヤを表す。ナノワイヤとして用いられ得る金属、金属合金、および金属酸化物には、限定ではなく、Cu、Au、Ag、Ni、Pd、Co、Pt、Ru、W、Cr、Mo、Ag、Co合金(例えば、CoPt)、Ni合金、Fe合金(例えば、FePt)、あるいは、TiO2、Co34、Cu2O、HfO2、ZnO、酸化バナジウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化インジウムスズ、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化バナジウム、または酸化ジルコニウムが含まれる。適切な金属ナノワイヤは、どのような金属に基づいていてもよく、特に有用であるのは、銀、金、銅、ニッケル、および金メッキされた銀である。金属ナノワイヤは、当技術分野において知られている方法によって製造できる。例えば、銀ナノワイヤは、Nano Lett. 2002, 2, 165に報告されているように、ポリオール(例えば、エチレングリコール)およびポリビニルピロリドンの存在下で、銀塩(例えば、硝酸銀)の液相還元によって合成できる。代わりに、WO−A−2007/022226において検討されているように、金属ナノワイヤは、例えば、タンパク質、ペプチド、ファージ、バクテリア、ウイルスなどを含めて、生物学的材料を鋳型(template)として製造できる。生物学な鋳型の使用により、無秩序なナノワイヤで可能であり得るよりも高度に接続したネットワークを有する導電層が選択的に形成され、さらには、特定の寸法、モルホロジー、および組成を有するナノワイヤが選択的に形成される。
【0037】
ナノワイヤの導電層は、ナノワイヤの(通常、疎な)ネットワークを含む。本明細書で用いられる場合、用語「導電層」は、透明導電性複合フィルムの導電性媒体を提供する、ナノワイヤのネットワークを表す。通常、導電性は、1つのナノワイヤから別のナノワイヤへの電荷のパーコレーションによって達成されるので、電気的パーコレーションしきい値に達し、導電性になるのに十分な量のナノワイヤが、導電層に存在することが必要である。望みのシート抵抗を実現するために必要とされるナノワイヤの量(「しきい値担持(loading)レベル」とも呼ばれる)は、ナノワイヤのアスペクト比、整列(alignment)度、凝集度および抵抗率のような要素に依存する。例えば、銀のナノワイヤの場合、高アスペクト比では、好ましくは約0.05μg/cm2から約10μg/cm2、より好ましくは約0.1μg/cm2から約5μg/cm2、より好ましくは約0.8μg/cm2から約3μg/cm2の範囲にあるしきい値表面担持レベルで、導電性ネットワークが形成される。より大きな担持レベルは、ポリマーマトリックスの機械的または光学的特性を悪くする傾向がある。正確な担持レベルは、ナノワイヤの寸法および空間的分散に強く依存する。有利には、調和可能な電気伝導率および光学的透明性の透明導電体は、金属ナノワイヤの担持レベルを調節することによって提供され得る。
【0038】
本発明において、ナノワイヤは、基材の結合層のポリマーマトリックス内に、部分的に、または完全に保持される。このため、ナノワイヤネットワークによって画定される「導電層」は、少なくとも部分的に結合層と同じ場所を占有する。ナノワイヤネットワークのある部分は、例えば、導電性ネットワークへの電気的接続を可能にするように、ポリマーマトリックスから突き出ていてもよい。結合層のポリマーマトリックスは、有利には、不都合な環境因子、例えば腐食および摩耗から、ナノワイヤネットワークを保護し、また、基材への接着、強さおよび可撓性(flexibility)を含めて、望ましい物理的および機械的特性を導電層にもたせる。
【0039】
一実施形態において、導電層は、結合層のポリマーマトリックスの厚さ全体にまたがる。有利には、ナノワイヤの一部は、ポリマーマトリックスの表面に露出していてもよく、これは、タッチスクリーン用途で特に有用である。特に、透明導電体は、その表面の少なくとも一方で表面導電性を示すことができる。いくつかのナノワイヤは、マトリックスに完全に沈められていてもよいが、他のナノワイヤは表面の上に突き出ている。十分なナノワイヤがマトリックスの上に突き出ている場合、透明導電体の表面は、導電性になる。
【0040】
代わりとなる実施形態において、ナノワイヤネットワークによって形成される導電層は、結合層のポリマーマトリックスの一部に完全に沈められている。
【0041】
ナノワイヤは、WO−A−2007/022226に教示されているように、腐食防止剤と共に用いられ得るが、腐食防止剤は、基材層の(1種または複数の)ポリエステルに、特に結合層の(1種または複数の)コポリエステルに、可溶である、または混和性である、さもなければ相溶性であるべきである。
【0042】
複合フィルムおよびその製造
基材への導電層の塗布は、通常、液体媒体にナノワイヤを分散させ、次いで、その組成物を基材の結合層の表面にコーティングすることによって実施される。有機溶媒(例えば、アルコール、ケトン、エーテルまたは揮発性炭化水素)を含めて、任意の適切な液体媒体が用いられ得るが、好ましくは、コーティング組成物は水性分散体である。液体媒体は、当技術分野において知られているように、粘度調整剤、界面活性剤、腐食防止剤などのような添加物を含んでいてもよい。例えば、ナノワイヤ分散体は、
(i)0.0025質量%から0.1質量%の界面活性剤(例えば、Zonyl(登録商標)FSO−100);
(ii)0.02質量%から4質量%の粘度調整剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);
(iii)0.05質量%から1.4質量%の金属ナノワイヤ(例えば、銀ナノワイヤ);および
(iv)94.5質量%から99.0質量%の溶媒(例えば、水またはイソプロパノール);
を含み得る。
【0043】
界面活性剤と粘度調整剤の質量比は、好ましくは、約80:1から約0.01:1の範囲にある。粘度調整剤とナノワイヤの質量比は、好ましくは、約5:1から約0.000625:1の範囲にある。金属ナノワイヤと界面活性剤の比は、好ましくは、約560:1から約5:1の範囲にある。ナノワイヤ分散体の粘度は、好ましくは、約1から約100cPの範囲にある。
【0044】
コーティングは、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、ディップコーティング、ビードコーティング、押出コーティング、溶融コーティング、または静電スプレーコーティングを含めて、適切な任意のコーティング技法を用いて実施され得る。
【0045】
導電層は、フィルム製造工程が完了した後で(本明細書では、「オフライン」塗布と呼ばれる)、すなわち、上で記載されたヒートセットステップおよび任意選択の熱安定化ステップが実施された後で、基材の結合層の表面に塗布され得る。ナノワイヤの付着(deposition)に続いて、フィルムは、上で定義された温度T1に加熱される。この実施形態では、付着したナノワイヤを耐摩耗層またはバインダー層でオーバーコーティングする追加のステップは必要でないので、製造工程の効率が向上する。
【0046】
しかし、好ましい実施形態では、導電層は、フィルム製造工程の間に(本明細書では、「インライン」塗布と呼ばれる)、特にヒートセットステップの前に、基材の結合層の表面に塗布される。この実施形態では、ナノワイヤは、延伸ステップが完了する前または後であるが、好ましくは、上で記載された2軸延伸操作の2つの段階(縦および横)の間に、基材の結合層の表面に塗布され得る。ナノワイヤの付着に続いて、フィルムは、上で定義された温度T1に加熱され、これは、好ましくは、上で記載されたフィルム製造工程において通常用いられるヒートセットステップによって実施される。この好ましい実施形態において、付着したナノワイヤを耐摩耗層またはバインダー層でオーバーコーティングする追加のステップが必要でないだけでなく、ナノワイヤを付着させる別個のオフラインステップの必要もない。透明導電性フィルムの製造は、たった1回の通過(pass)で達成され、ナノワイヤの付着および結合は、フィルム製造の間に実施されるので、製造工程の効率が大幅に向上する。
【0047】
すぐ上に記載された方法実施形態のいずれかにおいて、ベース層の上に結合層がコーティングされてもよいが、好ましくは、ベース層および結合層は共押出される。
【0048】
加熱温度T1は、典型的には少なくとも約50℃、より典型的には少なくとも約80℃で、典型的には約240℃未満、典型的には約220℃未満、典型的には約200℃未満である。加熱ステップの継続時間は、好ましくは、約10秒から約5分、好ましくは約20秒から約3分、通常は約30秒から約60秒の範囲にある。コーティングされた基材の加熱は、ナノワイヤを、結合層のポリマーマトリックスの中に、少なくとも部分的に、沈み込ませる。一実施形態において、ナノワイヤは、結合層の表面の下に沈み込むので、それらは、層内に完全に沈められる。
【0049】
ナノワイヤネットワークは、それを電気伝導性にするために、さらなる処理ステップ、例えば、プラズマ、コロナ放電、UV−オゾン、または圧力への暴露を必要とし得る。
【0050】
一実施形態において、基材および導電層を含む複合フィルムは、加熱ステップの間、またはその後のいずれかに、加圧されてもよく、これは、ナノワイヤネットワーク層の導電性を増す助けとなり得る。加圧の力は、好ましくは少なくとも44N/mm2、より好ましくは少なくとも135N/mm2、より好ましくは少なくとも180N/mm2であるが、通常、1000N/mm2以下である。加圧は、シートプレスまたはロールプレスを含めて、通常の方法を用いて、好ましくはロールプレスによって実施でき、ロールプレスでは、ロールが回転するにつれて、加圧されるフィルムがロールの間に挟まれ、加圧されるので、ロールツゥロール(roll−to−roll)生産が許される。
【0051】
導電層は、ベース層と、その各表面に同じまたは異なる結合層とを含む基剤の両面に、形成され得る。
【0052】
ナノワイヤは、予め決められたパターンに付着させてもよい。そのために、ナノワイヤの付着の前に、基材の結合層の表面は、例えば、望みのパターンを有する開口マスク(aperture mask)を通して実施されるプラズマ表面処理を用いて、予め決められたパターンに従って前処理され得る。予め処理された表面部分に付着したナノワイヤは、未処理部分に比べて、より大きい接着性を示すので、適切な方法(例えば、適切な溶媒で洗うこと、ブラッシング(brushing)、またはそれらを粘着性または接着性ロールに移行させることによって)により未処理部分のナノワイヤを除去することによって、パターン化された付着が実現される。代わりに、予め決められたパターンの凹部を有するロール(例えば、グラビアロール)またはスタンプが、ナノワイヤ分散体をコーティングするために用いられてもよく、それによって、パターン化された付着およびパターン化された導電層の製造が可能になる。導電層は、また、開口マスクを通して基材上にナノワイヤをスプレーすることによってもパターン化され得る。
【0053】
本発明の複合フィルムおよび方法は、これまで実用性のあるナノヤイヤ含有透明導電フィルムの製造には必要であった、追加のオーバーコーティングステップ(このステップでは、ナノヤイヤがコーティングされた基材が、さらなる保護層(例えば、さらなるポリマー材料)でコーティングされる)の必要なしに、十分な機械的強度および耐摩耗性を有するナノワイヤネットワークを提供するという理由で、特に利点がある。このように、本発明の方法は、前記の付着したナノワイヤを、オーバーコートマトリックスで、例えばバリア層もしくは保護層(耐摩耗層またはバインダー層のような)で、オーバーコーティングするステップ(例えば、ナノワイヤネットワークが前記オーバーコーティングステップの結果として前記オーバーコートマトリックスに少なくとも部分的に埋め込まれた状態になる場合)の必要を回避し、またそのステップを除く。
【0054】
本明細書に記載の本発明に従って製造される透明導電性フィルムは、好ましくは約106Ω/□以下、好ましくは約100,000Ω/□以下、好ましくは約50,000Ω/□以下、好ましくは約10,000Ω/□以下、好ましくは約1,000Ω/□以下、好ましくは750Ω/□以下、好ましくは500Ω/□以下、好ましくは250Ω/□以下、最も好ましくは100Ω/□以下のシート抵抗を示し、通常、少なくとも1Ω/□である。
【0055】
一実施形態において、ポリマー基材および導電層を有する複合フィルムは、規格ASTM D 1003に従って測定して、好ましくは50%以下、好ましくは40%以下、好ましくは30%以下、好ましくは25%以下、好ましくは20%以下、好ましくは15%以下、好ましくは10%以下、好ましくは5%以下の散乱可視光(ヘーズ)%を示す。可視領域(400nmから700nm)の光に対する全光線透過率(TLT)は、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも約90%である。一実施形態において、例えば、導電層が金属ナノワイヤを含む場合、ヘーズは、好ましくは約15%以下であり、また/または、TLTは少なくとも約80%である。
【0056】
本発明のさらなる態様によれば、
(i)ポリマーベース層およびポリマー結合層を含むポリマー基材;および
(ii)多数のナノワイヤを含む導電層、
を含み、
前記ナノワイヤが結合層のポリマーマトリックス中に少なくとも部分的に分散されているように、ナノワイヤが結合層のポリマーマトリックスによって結合されている、
透明導電性フィルム、
特に、請求項1に定められる方法によって得られるこのようなフィルム、
が提供される。
【0057】
本明細書に記載の方法に従って製造される透明導電性フィルムは、次の特性:
(i)低いシート抵抗;
(ii)高い光透過率;
(iii)低いヘーズ;
(iv)基材へのナノワイヤの優れた接着;および
(v)ナノワイヤの良好な耐摩耗性
を示し、これらは、従来の方法に従って製造される透明導電性フィルムに、少なくとも匹敵する、または、これらは、市販の透明導電性フィルムに必要とされるその特性にとってのしきい値レベルを満たす。このように、本発明の主な目的は、商業的に許容される、また/または、先行技術のものに匹敵する特性を示す透明導電性フィルムの、これらの特性そのものを向上させようとするよりはむしろ、改善された製造方法であることが理解されるであろう。本発明に従って製造されるフィルムのあるものは、先行技術の最良のフィルムと比べたときに、特定の特性(例えば、耐摩耗性またはヘーズ)において劣るかもしれないが、全てが商業的有用性を有し、より重要なことは、全てが、有利にも効率および経済性におけるかなりの改善をもたらす方法により製造される。
【0058】
本発明のさらなる態様によれば、多数のナノヤイヤを含む導電層を含む透明導電性フィルムの製造における基材としての、ポリマーベース層およびポリマー結合層を含むポリマー基剤の使用が提供される。
【0059】
特性測定
以下の分析が、本明細書に記載のフィルムの特性を評価するために用いられた:
(i)光学的特性は、可視領域(400nmから700nm)の光に対する全光線透過率(TLT)、および規格試験法ASTM D1003に従って、M57D球面ヘーズメーター(Diffusion Systems)を用い、フィルムの全厚を通してのヘーズ(散乱透過する可視光の%)を測定することによって評価した。
【0060】
(ii)導電層のシート抵抗(オーム/□またはΩ/sq)は、ASTM F390−98(2003)に従って、直線状4探針(linear four point probe)(Jandel Model RM2)を用いて測定した。
【0061】
(iii)熱収縮は、フィルムの機械および横方向に対して指定された方向に切断し、目視による測定のために印を付けた200mm×10mmの寸法のフィルム試料で評価した。より長い試料寸法(すなわち、200mmの寸法)は、収縮が測定されているフィルム方向に対応する、すなわち、機械方向における収縮の評価では、試験試料の200mmの寸法が、フィルムの機械方向に沿う向きにある。予め決められた温度に試験片を加熱し(その温度の加熱オーブンに入れることによって)、30分間保った後、それを室温に冷却し、その寸法を手で再び測定した。熱収縮は、元の長さのパーセンテージとして計算し、表した。
【0062】
(iv)基材(ヒートシール性層または結合層を含めて)表面の、それ自体へのヒートシール強度は、ポリエステルフィルムの2枚の25mm幅の試料の表面を合わせて置き、0.1MPaの圧力下で、140℃で2秒間、そのラミネート構造体を加熱することによって、Instron Model 4301で測定した。シールしたフィルムは、室温に冷却し、直線状張力下で、4.23mm/秒の一定速度でフィルム層を引き剥がすのに必要とされる、シールの単位幅当たりの力を測定することによって、ヒートシール強度を求めた。ヒートシール強度は、基材表面のポリマー材料によってもたらされ、またその特性であり、このため、ナノワイヤが無い状態で測定されることが理解されるであろう。したがって、本明細書に記載のオフラインナノワイヤ塗布の場合には、ヒートシール強度は、ナノワイヤの塗布の前に基材で測定される。本明細書に記載のインラインナノワイヤ塗布の場合には、通常、ヒートシール強度は、フィルム製造運転中の仕上がったフィルム基材であるが、ナノワイヤの塗布の前または後(しかし、通常は前)の、例えばポリエステルフィルム製造運転の開始時の品質管理段階中の、仕上がった(すなわち、テンターの後)フィルム基材で測定される。
【0063】
(v)軟化温度は、通常80から200℃の温度範囲に渡って、基材における層の、それ自体へのヒートシール強度を評価することによって求める。軟化温度は、ヒートシール強度が100g/25mm以上である、最低温度である。ヒートシール強度は、上に記載したようにして測定されるが、シールする温度は変えられる。
【0064】
(vi)複合フィルムの耐摩耗性は、Atlas Electric Devices Co.によるクロックメーター(Crockmeter)を用いて評価した。50回の擦り(crock)(1回の「擦り」は、2×2cm2の乾燥した布による、前方への1回および後方への1回の擦りである)の後、フィルム表面を目視で調べ、1から5の段階(段階1は導電性表面に目に見える擦り傷が全くないことに対応し、段階2は約20%までの目に見える擦り傷に対応し、段階3は約50%までの目に見える擦り傷に対応し、段階4は約80%までの目に見える擦り傷に対応し、また、段階5は少なくとも約81%の擦り傷に対応し、全て、導電層に関する)に成績を付けた。耐摩耗性試験は、可能性のある最終用途では通常経験されない極端な状況で、フィルムの性能を評価するために考案された、特に過酷な試験である。したがって、高いパーセンテージの擦り傷のために、そのフィルムに商業的有用性がないとは必ずしも言えないことが理解されるであろう。
【0065】
(vi)基材へのナノワイヤの接着は、そのままでか、またはクロスカット(cross−hatch)用具を用いてかのいずれかで、Tesaによる4104等級テープ(2.5cm幅)を用いて評価した。Tesaテープは、室温でフィルム試料の表面に付け、確実にフィルムと良好に接触するように、スパチュラを用いて、テープを平らにならした。次いでテープを、手で素早く引っ張って剥がした。テープだけによる接着性の結果は、「合格」(すなわち、コーティングは全く取り去られない)、または「不合格」(すなわち、いくらかのまたは全てのコーティングが取り去られる)のいずれかとして記録した。クロスカット接着試験の結果は、表面に維持されたナノワイヤネットワークのパーセンテージとして記録した。本発明によるフィルムは、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、好ましくは99%の維持レベルを示し、好ましくは実質的に完全な維持を示す。
【0066】
(viii)ポリマー試料の結晶化度(DOC)は、ポリマー試料における結晶化の分量であり、試料が結晶相とアモルファス相の部分に分けることができ(2相モデル)、各相は、界面の影響なしに、それらの理想状態のものと同一の特性を有するという仮定に頼っている。ポリエステル樹脂の結晶化度は、密度を測定し、次の関係式:
c=(P−Pa)・(Pc−Pa-1
を適用することにより求めることができ、式中、Vc=体積分率結晶度;P=試料の密度;Pa=アモルファス材料の密度;およびPc=結晶材料の密度である。密度Pは、密度カラムにおいて、例えば、n−ヘプタン/四塩化炭素の混合物を用いて、測定できる。
【0067】
本発明は、以下の実施例によって、さらに例示される。実施例は、上に記載された本発明を限定しようとするものではない。詳細の改変は、本発明の範囲から逸脱することなく、なされ得る。
【実施例】
【0068】
(実施例1)
透明PETのベース層、およびテレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール(82/18/100のモル比)のコポリエステルを含むヒートシール性(結合)層を含む複合フィルムを、共押出によって準備した。ポリマー層は、別個の押出機から、単一チャネル共押出アセンブリに供給される別個の流れを用いて、共押出した。ポリマー層を、アモルファスキャスト複合押出物を生じるように、様々なラインスピードで、水冷回転冷却ドラム上に、フィルム形成ダイを通して押し出した。このキャスト押出物を、約50から80℃の範囲の温度に加熱し、次いで、約3:1の前方延伸比で縦延伸した。このポリマーフィルムを、約100℃の温度のテンターオーブンに送り、そこで、シートを、その元の寸法の約3倍に横方向に延伸し、次いで、約230℃の温度でヒートセットした。次に、ヒートセットしたフィルムを、約25℃の温度の空気中で、急冷した。最終フィルムの全厚は100μmであった。アモルファスヒートシール性(結合)層は、およそ15μmの厚さであり、5%未満の結晶化度を示した。半結晶性ベース層は、約45%の結晶化度を示した。ヒートシール性(結合)層のポリマー材料は、約119℃の軟化温度を示した。ベース層のポリマー材料は、約250℃の融点を示した。フィルムは、1.4%のヘーズおよび90.7%のTLTを有し、透明であった。フィルムの結合層のそれ自体へのヒートシール強度は、約3150g/25mmであった。
【0069】
次いで、フィルムのヒートシール性表面上に(すなわち、結合層上に)、75μmのメッシュを通して濾過した銀ナノワイヤ水性分散体(およそ0.2wt%の銀)をコーティングした。コーティングは、約36μmの未乾燥コーティング厚さを有する層を塗布するように、No.4のメイヤー(Meyer)バーを用いて実施した。次に、コーティングしたフィルム試料を、様々な温度(140、160、180および200℃)で、30または60秒のいずれかの間、乾燥した。フィルムの特性を本明細書に記載したようにして求め、結果を下の表1aに示した。
【0070】
(比較例1)
ポリエチレンテレフタレートを含むポリマー組成物を、押し出し、冷却回転ドラム上にキャストし、その元の寸法のおよそ3倍に、押出方向に延伸した。フィルムを、100℃のテンターオーブンに送り、そこで、フィルムを、その元の寸法のおよそ3倍に横方向に延伸した。この2軸延伸フィルムを、通常の手段によって、約230℃でヒートセットした。最終フィルムの全厚は、125μmであった。フィルムは、0.5%のヘーズおよび90.0%のTLTを有し、透明であった。半結晶性PET層は、約45%の結晶化度、および約250℃の融点を示した。このフィルムは非ヒートシール性であった。フィルムの試料を、実施例1と同じ方法で、銀ナノワイヤでコーティングし、乾燥した。特性データは表1aにある。
【0071】
【表1】

【0072】
実験は、非ヒートシール性PETフィルムが、接着性試験において劣った性能を示したのに対して、ヒートセール性フィルムは、優れた結果を示したことを示す。データは、また、ヘーズが、シート抵抗に対して悪影響を及ぼすことなく、加熱ステップの温度および時間の増加と共に一般に増加することも示す。表1aにおける全ての試料の耐摩耗性は、本明細書に記載の試験において、5と採点された。
【0073】
(比較例2)
ポリエチレンテレフタレートを含むポリマー組成物を、押し出し、冷却回転ドラム上にキャストし、その元の寸法のおよそ3倍に、押出方向に延伸した。フィルムを、100℃のテンターオーブンに送り、そこで、フィルムを、その元の寸法のおよそ3倍に横方向に延伸した。この2軸延伸フィルムを、通常の手段によって、約230℃でヒートセットした。最終フィルムの全厚は、125μmであった。フィルムは、0.5%のヘーズおよび90.0%のTLTを有し、透明であった。半結晶性PET層は、約45%の結晶化度、および約250℃の融点を示した。約50μmの未乾燥コーティング厚さを有する層を塗布するように、No.5のメイヤーバーを用いて、フィルムを、実施例1と同じ方法で、銀ナノワイヤ分散体でコーティングし、乾燥した。次に、銀ナノワイヤでコーティングしたフィルムに、UV硬化性オーバーコート(MEK中3%の固形分)を、No.2のメイヤーバー(約12μmの未乾燥コーティング厚さ)を用いて塗布した。コーティングした試料を、70℃に設定したオーブン中で1分間、乾燥し、UV硬化装置を通して硬化させた。オーバーコートした導電性フィルムは、15Ω/□のシート抵抗;87.5%のTLT;および5.3%のヘーズを示した。それは接着性テープ試験に合格し、クロスカット接着性試験で100%の評価を得た。耐摩耗性は、本明細書に記載の試験で、5と採点された。
【0074】
このように、本発明の利点のある方法に従って製造された実施例1のヒートシール性フィルムの接着性および耐摩耗性は、従来の方法に従って製造された比較例2のオーバーコートされた導電性フィルムのそれに匹敵することが理解されるであろう。
【0075】
(実施例2および比較例3)
ポリエステルフィルムを、銀ナノワイヤでコーティングする代わりに、カーボンナノチューブの水性分散体(全固形分<5wt%、およそ1wt%のカーボンナノチューブ)でコーティングしたこと以外は、実施例1および比較例1を繰り返した。コーティングは、約24μmの未乾燥コーティング厚さを有する層を塗布するように、No.3のメイヤーバーを用いて実施した。次に、コーティングしたフィルムを、様々な温度(140、160、180、200、220および240℃)で、30または60秒のいずれかの間、乾燥した。フィルムの特性は、本明細書に記載したようにして求め、結果は、下で表1bに示した。
【0076】
【表2】

【0077】
実験は、非シートシール性PETフィルムが、接着性試験において劣った性能を示したのに対して、ヒートシール性フィルムは優れた接着結果を示したことを示す。
【0078】
(実施例3)
共押出フィルムのヒートシール性表面を、10μmのメッシュを通して濾過した銀ナノワイヤの水性分散体(上で記載した通り)でコーティングしたこと以外は、実施例1を繰り返した。コーティングは、約50μmの厚さの未乾燥コーティング厚さを有する層を塗布するように、No.5のメイヤーバーを用いて実施し、次いで、コーティングしたフィルム試料を様々な温度(180、200、220および240℃)で、30または60秒のいずれかの間、乾燥した。特性データは、下の表2に示す。
【0079】
(実施例4)
PETベース層が1500ppmのカオリンを含み、最終フィルムの厚さが50μmであり、ヒートシール性(結合)層がおよそ10μmの厚さであったこと以外は、実施例3を繰り返した。ヒートシール性層のポリマー材料は、100℃の軟化温度を示した。フィルムは、9.3%のヘーズ、および87.4%のTLTを有し、透明であった。フィルムの結合層のそれ自体へのヒートシール強度は、約1800g/25mmであった。
【0080】
(実施例5)
テレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール(82/18/100mol%)コポリエステルの2層を、PETベース層のどちら側にも共押出し、フィルム製造の間に片側を接着性プライマーでコーティングした(ナノワイヤは、続いて、プライマーの無い側に塗布した)こと以外は、実施例3を繰り返した。最終フォルムの厚さは105μmであり、各ヒートシール性(結合)層はおよそ18μmの厚さであった。ヒートシール性(結合)層のポリマー材料は、118℃の軟化温度を示した。フィルムは、1.3%のヘーズ、および90.8%のTLTを有し、透明であった。フィルムの結合層のそれ自体へのヒートシール強度は、約3200g/25mmであった。
【0081】
【表3】

【0082】
結果は、耐摩耗性が、オーバーコーティングされたフィルムと同等であるか、またはより良好であることを例示する。結果はまた、耐摩耗性が、乾燥時間および温度に関連し得ることも例示する。
【0083】
(実施例6)
複合フィルムを共押出によって製造し、第1(ベース)層は、無充填ポリエチレンテレフタレート(PET)であり、第2(結合)層は、アゼライン酸/テレフタル酸/エチレングリコール(45/55/100のモル比)のヒートシール性コポリエステル(−15℃のTg、および150℃のTmを有する)であった。ヒートシール性層は、さらに、1.5質量%(層の全組成物に対して)のN,N’−エチレンビス(オレアミド)ワックス(EBO;CrodaからCrodamide EBOとして入手)、および3質量%(層の全組成物に対して)のシリカフィラー粒子(1μmの平均粒径を有する)を含んでいた。
【0084】
横延伸の温度が約110℃であり、横延伸比が約4であり、ヒートセット温度が約210と225℃の間であったことを除いて、実施例1に概ね従って、共押出を実施した。フィルムの最終厚さは25μmであり、ヒートシール性層は、厚さ0.7μmであった。フィルムは、6%のヘーズを有し、透明であった。フィルムの結合層のそれ自体へのヒートシール強度は、約500g/25mmであった。
【0085】
ナノヤイヤ層は、前記と同様にフィルムに塗布し、180、200、220および240℃で、30または60秒のいずれかの間、加熱した。全てのフィルムは、本明細書に記載の接着性試験に合格し、クロスカット試験において100%の接着を示した。
【0086】
(実施例7a)
テレフタル酸/エチレングリコール/PEG(100/88/12のモル比;PEGの分子量は3450g/molであった;カオリンのフィラーが2100質量ppmで存在した)のコポリエステルのベース層を含む複合フィルム、およびテレフタル酸/イソフタル酸/エチレングリコール/PEG(82/18/88/12のモル比;PEGの分子量は400g/molであった;カオリンのフィラーが2100質量ppmで存在した)のコポリエステルを含むヒートシール性(結合)層を、共押出によって準備した。ポリマー層は、別個の押出機から単一チャネル共押出アセンブリに供給される別個の流れを用いて、共押出した。ポリマー層を、アモルファスキャスト複合押出物を生じるように、様々なラインスピードで、水冷回転冷却ドラム上に、フィルム形成ダイを通して押し出した。このキャスト押出物を、約50から80℃の範囲の温度に加熱し、次いで、約3:1の前方延伸比で縦延伸した。このポリマーフィルムを、約100℃の温度のテンターオーブンに送り、そこで、シートを、その元の寸法のおよそ3倍に横方向に延伸し、次いで、190と210℃の間の温度で約1分間、ヒートセットした。次いで、ヒートセットしたフィルムを、約25℃の温度の空気中で、急冷した。最終フィルムの全厚は、23μmであった。アモルファスヒートシール性層は、およそ2μmの厚さであり、約5%未満の結晶化度を示した。半結晶性ベース層は、約35%の結晶化度を示した。ヒートシール性層のポリマー材料は、約81℃の軟化温度を示した。ベース層のポリマー材料は、約250℃の融点を示した。フィルムは、5.1%のヘーズおよび88.4%のTLTを有し、透明であった。フィルムの結合層のそれ自体へのヒートシール強度は、約680g/25mmであった。
【0087】
(実施例7b)
フィルムのヒートシール性表面に、75μmのメッシュを通して濾過した銀ナノワイヤ水性分散体(およそ0.2wt%の銀)で、インラインコーティングしたこと以外は、実施例7aの手順を繰り返した。コーティングステップは、フィルムが縦延伸された後で、それがテンターオーブンに送られる前に、実施した。コーティングは、36と100μmの間の未乾燥コーティング質量で塗布した。フィルムの特性を、本明細書に記載したようにして求め、結果は、下の表3に示す。
【0088】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ポリマーベース層およびポリマー結合層を含むポリマー基材であって、ベース層のポリマー材料が軟化温度TS-Bを有し、結合層のポリマー材料が軟化温度TS-HSを有するポリマー基材;および
(ii)多数のナノワイヤを含む導電層
を含む透明導電性フィルムの製造方法であって、
ナノワイヤが結合層のポリマーマトリックス中に少なくとも部分的に分散するように、前記ナノワイヤが結合層のポリマーマトリックスによって結合されており、ポリマーベース層およびポリマー結合層を含むポリマー基材を準備するステップ;前記ナノワイヤを結合層の露出した表面上に配置するステップ;および複合フィルムを温度T1に加熱するステップであって、T1がTS-HS以上であり、T1がTS-Bより少なくとも約5℃低いステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記ナノワイヤを液体媒体に分散させ、ナノワイヤ含有液体を結合層の露出した表面上にコーティングすることによって、前記ナノワイヤが結合層の露出した表面上に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
導電性フィルムが、少なくとも65%の、可視領域に渡る全光線透過率(TLT)を示す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
導電性フィルムが50%以下のヘーズを示す、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ポリマー基材がポリエステル基材である、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ベース層のポリエステルが、ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリ(エチレン2,6−ナフタレート)から選択される、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
結合層がコポリエステルである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
コポリエステルが、
(i)エチレングルコール、テレフタル酸およびイソフタル酸から誘導されるコポリエステル;
(ii)テレフタル酸、脂肪族ジカルボン酸およびグリコールから誘導されるコポリエステル;および
(iii)テレフタル酸、エチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールから誘導されるコポリエステル
から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コポリエステルが、エチレングルコール、テレフタル酸およびイソフタル酸から誘導され、25:75から85:15の範囲の、テレフタル酸成分とイソフタル酸成分のモル比を示すコポリエステルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記コポリエステルが、テレフタル酸、脂肪族ジカルボン酸およびエチレングルコールから誘導され、約50:50から約70:30の、テレフタル酸成分と脂肪族ジカルボン酸成分のモル比を示すコポリエステルである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
コポリエステルが、テレフタル酸、アゼライン酸およびエチレングリコールから誘導される、請求項8または10に記載の方法。
【請求項12】
結合層およびベース層が共押出される、請求項1から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
基材の全厚が350μm以下である、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
透明導電性フィルムのシート抵抗が、100,000Ω/□未満である、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ナノワイヤが金属ナノワイヤである、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ナノワイヤが銀ナノワイヤである、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ナノワイヤがカーボンナノチューブである、請求項1から14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
導電層が、フィルム製造工程が完了した後で、基材の結合層の表面に塗布され、ナノワイヤの付着の後、フィルムが温度T1に加熱される、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
導電層が、フィルム製造工程の間に、基材の結合層の表面に塗布され、ナノワイヤの付着の後、フィルムが温度T1に加熱される、請求項1から17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
導電層が、ヒートセットステップの前に、基材の結合層の表面に塗布される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
導電層が、2軸延伸操作の2つの段階(縦および横)の間に、基材の結合層の表面に塗布される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
加熱温度T1が、約50℃から約240℃の範囲にある、請求項1から21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
(i)ポリマーベース層およびポリマー結合層を含むポリマー基材であって、ベース層のポリマー材料が軟化温度TS-Bを有し、結合層のポリマー材料が軟化温度TS-HSを有するポリマー基材;および
(ii)多数のナノワイヤを含む導電層
を含む透明導電性フィルムであって、
ナノワイヤが結合層のポリマーマトリックス中に少なくとも部分的に分散するように、前記ナノワイヤが結合層のポリマーマトリックスによって結合されているフィルム。
【請求項24】
請求項1から22までのいずれか1項に記載の方法によって得られる、請求項23に記載の透明導電性フィルム。
【請求項25】
ポリマー基材および導電層が、請求項1から22までのいずれか1項に記載の通りである、請求項23または24に記載の透明導電性フィルム。
【請求項26】
多数のナノワイヤを含む導電層を含む透明導電性フィルムの製造における基材としての、ポリマーベース層およびポリマー結合層を含むポリマー基材の使用であって、ベース層のポリマー材料が軟化温度TS-Bを有し、結合層のポリマー材料が、軟化温度TS-HSを有し、ポリマー基材および導電層が、請求項1から22までのいずれか1項に記載の通りである使用。
【請求項27】
前記結合層がヒートシール性層である、請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法、フィルムまたは使用。

【公表番号】特表2012−527071(P2012−527071A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510360(P2012−510360)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/GB2010/000937
【国際公開番号】WO2010/130986
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(300038826)デュポン テイジン フィルムズ ユー.エス.リミテッド パートナーシップ (36)
【Fターム(参考)】