説明

透明組成物及びラミネート

本発明は、中間層フィルム並びに(a)少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマー並びに少なくとも1種の(b)内部接着増強剤、(c)少なくとも1種の透明度増強剤又は(d)更に好ましくは(b)及び(c)の両方から得られるポリマー組成物を含んでなる組成物を含む。本発明は、また、(a)少なくとも1種の第一コンポーネントである、低結晶化度プロピレンポリマーを供給する工程、(b)少なくとも1種の内部接着増強剤、少なくとも1種の透明度増強剤又はこれらの組合せから選択された少なくとも1種の第二コンポーネントを供給する工程並びに(d)第一及び第二コンポーネント並びに任意の添加剤を混合する工程を含んでなるフィルムの製造プロセスを含む。更に、本発明は、(a)中間層フィルムの少なくとも一つの層を、基体の少なくとも一つの層に直接的に隣接して配置する工程、(b)ポリマーを基体と緊密な接触状態にプレスするのに十分な圧力を同時に適用すると共に、基体と直接的に隣接する中間層を軟化させるのに十分な熱又は他のエネルギーを適用する工程を含んでなる、ラミネートの製造プロセスを含む。本発明は、また、本発明の組成物若しくはフィルム又はこれらの組合せからなるラミネート及び物品を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本件は、2006年9月20日に出願された米国仮特許出願第60/845,947号明細書の利益を請求する。
【0002】
本発明は、熱可塑性ポリマーの組成物、そのフィルム、このフィルムのラミネート(積層体)及びこのラミネートの製造プロセス並びに一定の光学的品質を有する中間層フィルムを有するラミネートに関する。この組成物は、フィルム、好ましくは透明なフィルムとして有用である。このフィルムは、ラミネートに於いて、例えば、少なくとも一つのフィルム層及び鉱物又はプラスチックガラスの、少なくとも一つの層を有するラミネートに於いて有用である。
【0003】
ガラス又は他の硬質材料がポリマーフィルムにラミネートされている多くの用途に於いて、このフィルムは、貫通抵抗(penetration resistance)並びに透明度及びガラスに対する強い結合を提供しなくてはならない。ガラスに対する強い結合は、ガラスが砕けた場合にガラス片の飛散を回避し、同様に、ガラスラミネート中に泡が形成したとき生じる光学的に観察可能な歪みによって例示されるような、離層が生じた場合に失われる視覚的透明度を維持することが必要である。透明度は、通常、ラミネートを通過する視覚又は他の光透過が望ましい用途、例えば自動車窓を含む窓に於いて並びに最大光透過が、電気への光の最大変換のために望ましい光電池のような用途に於いて必要である。貫通抵抗は、また、雹及び他の天候条件並びに弾丸、事故及び他の攻撃からの人間の動きのような衝撃に対する潜在的露出のために、建築物窓及び自動車窓並びに光電池のような用途に於いて必要である。ポリマーフィルムは、一つ又はそれ以上の硬質シートに結合するために適しているが、本明細書に於いて、用語「中間層(interlayer)」が、一般にこのようなフィルムが、2枚のシートの間又は1枚のシートと別の材料、例えば別のフィルム若しくは太陽電池との間に使用されるので用いられ、これらのシート、フィルム又は他の材料は、以下、単に層として参照する。
【0004】
中間層は、通常、ガラス又は層に対して接着性を示すポリマーである。鉱物及びプラスチック透明層のためのポリマー中間層は、有利に、非常に高い透明度(低いヘイズ)、高い衝撃及び貫通抵抗、ガラスに対する良好な接着性、PVB又はEVAよりも低い水分吸収、高い耐水分性並びに風雨に曝されたときの変化に対する耐性のできるだけ多くのものを含む、特性の組合せを有する。典型的な商業的な中間層は、例えばポリビニルブチラール(PVB)、ポリウレタン(PU)又はエチレンコポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル(EVA)及びエチレン/アクリル酸アイオノマー、主としてPVBをベースにしている。
【0005】
しかしながら、PVBは、幾つかの欠点を有している。PVBは水分感受性である。中間層フィルム中の水分の増加は、ヘイズの増加になり、最終のラミネートされた平らなガラス製品中に泡形成を起こし得る。この問題点は、ラミネートの縁の周りで特に注目され、時間の経過と共に増加する。幾つかの相殺が特別の取扱い技術を使用することによって達成される。PVBの別の欠点は、衝撃、引裂及び貫通抵抗並びにガラスに対する接着性を改良するために、フィルム配合の際の可塑剤の必要性である。可塑剤は移行する傾向があり、最終的に離層になり得る。別の欠点は、PVBフィルムが、温度依存性であり、低温度で減少する耐衝撃性を有することである。
【0006】
他の材料、オレフィン系材料でも、安全ガラス中間層として使用するために、長く示唆されてきた。特許文献1に於いて、Beckmannは、40〜98、好ましくは50〜95のショアーA硬度を有する、エチレン又はプロピレンポリマーを使用することを示唆したが、大量の可塑剤が必要であったことを見出した。実際に、「内部可塑剤」として参照されたものの使用によってのみ、成功が見出された。これらは、エチレン又はプロピレンと共重合された酢酸ビニルのようなモノマーであった。Beckmanは、種々の有機官能性シランカップリング剤を使用して、ガラスに対する接着性を改良することを教示した。これらを、ガラス上のプライマーとして、使用することが推奨されたが、彼は、特許文献2及び特許文献3に教示されているように、このシランと中間層ポリマーとを混合することが有効であったことを教示した。しばしば過酸化物架橋剤と共に使用され続けたエレン酢酸ビニル(EVA)は、特許文献4及び特許文献5に於いて教示され、これらの文献中でこれらはヘイズを減少すると教示された。特許文献6に於いて教示されているように、カップリング剤及び過酸化物の組合せ並びにUV安定剤又は吸収剤及びIRブロッカーのような種々の添加剤の使用によっても、EVAは、尚も、暗色化になり、透明度及び光透過の損失になる、日光への長期間曝露での劣化のような問題点を示した。更に、EVA中間層は、水分吸収の傾向があり、幾つかの用途のために十分な耐衝撃性を与えない。更に、EVA中間層は、増加した弾性と共により高い密度の欠点を有する。PVBのものと同様の曲げ弾性率を達成するために、このポリマーは、約28重量%の酢酸ビニルを含有していなくてはならず、これは、0.92g/cm3の直鎖ポリエチレン密度に比較して、約0.951g/cm3の密度になる。メタロセン触媒作用ポリエチレン、特に、束縛幾何学触媒(constrained geometry catalyst)を使用して触媒作用された実質的線状エチレンポリマーが、Beckmannによって教示された低ショアーA硬度、可塑剤、特に内部可塑剤を不必要にした低曲げ弾性率又は剛性で利用可能になり、そして特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12及び特許文献13のような文献中で透明度を有するとして開示されたとき、これらは、特許文献14中で中間層中に使用するために提案された。しかしながら、これらの中間層は、限定された衝撃強度又は貫通抵抗を有しており、安全ガラスのような用途に於いて使用するために、成功裡に商業化できなかった。例えば、特許文献6中に、貫通抵抗のような改良された特性のために、二つのEVA層の間に使用するために、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、鹸化したエチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルブチラール、エチレン−アクリル酸エチルコポリマー、エチレン−アクリル酸メチルコポリマー、金属イオンによって架橋されたエチレン−メタクリル酸エステルコポリマー、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、セロファンなどのような中間層が提案されてきた。光電池カプセル材料、即ち、透明なスーパーストレート又はトップ層と太陽電池との間の層に於いて、EVAから実質的に線状のエチレンポリマーへの同様の進歩があった。特許文献15、特許文献16、特許文献17及び特許文献18参照。プロピレンポリマーは、一般的に、これらは、中間層で望ましいものよりも大きいヘイズを有し、また、しばしば、劣った低温度靱性及び高い曲げ弾性率又は剛性の欠点を示すので、可能性のある中間層として推進されなかった。
【0007】
沸騰水中に1時間浸漬した後に、縁で曇りに変わるその傾向によって示されるような、その水分に対する感受性を回避しながら、特許文献14に開示されているような実質的に線状のエチレンポリマーのものよりも大きい、好ましくは、同じ厚さで少なくともPVBのように高い貫通抵抗を有する、安全ガラス中間層として有用なフィルムを有することが望ましいであろう。有利には、透明層と共に使用するとき、中間層は、また、ガラスに対する良好な接着性及び任意にUV光透過を阻止する能力と共に、1又はそれ以上の高い透明度(低いヘイズ)を有するであろう。
【0008】
幾つかの用途もまた、騒音感受性である。例えば、車に使用される安全ガラスは、好ましくは、少なくとも、同じ厚さの単一窓ガラスのように多く音を吸収し、特に、人の耳によって検知可能な周波数、即ち、約400〜15,000ヘルツ(最も重要な範囲は、500〜10,000ヘルツの間に入る)の範囲内で、ガラス単独のものよりも大きい反響又は音響鮮鋭度にならない又はならないであろう。音響バリヤーガラスは、伝統的に、環境騒音の与えられた強度及び特性のための従来のモノリシックガラスバリヤーによってもたらされる音響的快適性のレベルに匹敵する、車両又は建築物内の音響的快適性のレベルをもたらすバリヤーであると理解されてきた。ガラス(例えばソーダ−石灰−ケイ酸塩鉱物ガラス)は、良好な音響バリヤーを提供し、少なくとも約10mmの全板ガラス厚さで最も有効である。しかしながら、自動車の全体重量に対する板ガラスの寄与を最小にするために、3〜5mmのガラス厚さが、自動車サイドライトに一層好ましいと現在考えられている。自動車サイドライトは、優れた音響バリヤー特性を達成するために、空気間隙によって分離されている二重ガラス窓で作られてきたが、このような構成は、機械的バリヤー(安全性及び安心性)並びに重量考慮のために、自動車板ガラスに於いて一般的に受け入れられない。自動車に於ける音響バリヤーのための規格及び測定は、例えば、特に明瞭度指数について特許文献19、特許文献20,特許文献21及び音量について特許文献22のような文献(これらは管轄法の下で最大限の範囲まで参照して本明細書に含める)中に開示されているように、当業者に公知である。自動車に使用するための安全ガラスラミネートについて、下記のもの、即ち、3.85mm厚のモノリシック窓ガラスのものに少なくとも等価である音響バリヤー断絶容量、50〜10,000Hzで64.2%よりも小さいアーティキュレーション・インデックス値(Articulation Index value)、50〜10,000Hzで150よりも小さい鮮鋭度値の少なくとも一つ乃至できるだけ多くを有することが望ましいであろう。この音響バリヤーは、好ましくは同じ厚さのガラスよりも良く、更に好ましくは同じガラスとの同じ厚さの標準的PVB中間層によって達成されるものよりも良い。
【0009】
また、ラミネート、特にPVBによって必要とされるラミネーション条件を必要としない、少なくとも一つのガラス層及び少なくとも一つのフィルム層のラミネートの製造方法を有することが望ましいであろう。このような方法は、好ましくはまた、ASTM D570によって測定したとき、5%よりも低い、更に好ましくは1%よりも低い、最も好ましくは0.5%よりも低いヘイズを有するラミネートになるであろう。PVBによって要求される典型的なオートクレーブ条件には、時間の少なくとも一部の間の、約700〜1000kPa以下の圧力で数時間以下の期間についての110〜185℃が含まれる。このような条件は、非常に高価で、例えば、架橋による、他の方法で制御されない場合には、追加のヘイズになり得る、中間層の再結晶化になるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第4303739号明細書
【特許文献2】ドイツ国特許第2410153号明細書
【特許文献3】米国特許第4144376号明細書
【特許文献4】米国特許第4614781号明細書
【特許文献5】米国特許第5352530号明細書
【特許文献6】米国特許第4600627号明細書
【特許文献7】米国特許第5332706号明細書
【特許文献8】米国特許第5281679号明細書
【特許文献9】米国特許第5206075号明細書
【特許文献10】欧州特許第206794号明細書
【特許文献11】米国特許第5427807号明細書
【特許文献12】米国特許第5380810号明細書
【特許文献13】米国特許第5272236号明細書
【特許文献14】米国特許第5792560号明細書
【特許文献15】米国特許第6599230号明細書
【特許文献16】米国特許第6586271号明細書
【特許文献17】米国特許第6320116号明細書
【特許文献18】国際出願公開第2004/0055908号明細書
【特許文献19】米国特許第6432522号明細書
【特許文献20】米国特許第5368917号明細書
【特許文献21】米国特許第5729658号明細書
【特許文献22】米国特許第5464659号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、中間層として有用なフィルム、このフィルムを製造するために有用な組成物並びにこのフィルム及び少なくとも一つの硬質の若しくは光学的に透明な基体を含んでなるラミネート又はこれらの組合せを含む。この組成物は、(a)少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマー並びに少なくとも1種の(b)内部接着増強剤、(c)少なくとも1種の透明度増強剤又は(d)更に好ましくは(b)及び(c)の両方から得ることができる。用語「から得ることができる」は、列挙したコンポーネント(即ち、(a)、(b)、(c)及び(d))又はこれらのコンポーネントの一つ又はそれ以上が反応した後に列挙したコンポーネントを含んでなる組成物の生成物を示すために使用される。例えばコンポーネント(a)及び(c)としての架橋剤は、反応して、架橋された低結晶化度プロピレンポリマーを生成することができる。このような組成物は、以下、中間層組成物として参照する。このフィルムは、このような組成物又は少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマー及び内部的又は外部的であってよい少なくとも1種の接着増強剤を含む。
【0012】
本発明は、また、(a)少なくとも1種の第一コンポーネントである、低結晶化度プロピレンポリマーを供給する工程、(b)少なくとも1種の、少なくとも1種の内部接着増強剤、少なくとも1種の透明度増強剤又はこれらの組合せから選択された第二コンポーネントを供給する工程並びに(d)第一コンポーネント及び第二コンポーネント並びに任意の添加剤を混合する工程を含んでなるフィルムの製造プロセスを含む。
【0013】
更に、本発明は、(a)中間層フィルムの少なくとも一つの層を、基体の少なくとも一つの層に直接的に隣接して配置する工程、(b)ポリマーを基体と緊密な接触状態にプレスするのに十分な圧力を同時に適用すると共に、基体と直接的に隣接する中間層を軟化させるのに十分な熱又は他のエネルギーを適用する工程を含んでなるラミネートの製造プロセスを含む。
【0014】
更に、本発明は、少なくとも一つの本発明のフィルム又は組成物を含むラミネート及び物品であって、特に、このラミネートが、好ましくは硬質であるか又は光学的に透明であるか、最も好ましくは両方である、少なくとも一つの第一基体を含み、最も好ましくは、好ましくは硬質である、光学的に透明であるか若しくは電子的であるか又はこれらの組合せである少なくとも一つの第二基体を含むラミネート及び物品、例えば安全ガラス又は光電池を含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面はない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
用語「中間層(interlayer)」は、本明細書に於いて、有利には、中間層のものとは異なり、そして任意にお互いに異なる組成物の、二つの他の層の間で有用な材料の層を指すために使用される。他の層又は層群は、好ましくは、しかし必ずではなく、硬質であり、しばしば、ガラスのようなある程度の透明度を有する。好ましい態様に於いて、この中間層はフィルムである。しかしながら、用語「中間層」の使用は、他の層の間に使用するための、このようなフィルムの有用性又は発明の範囲を限定しない。中間層フィルムは、また、一つのこのような他の層に有用にラミネートされている。用語「中間層フィルム」は、本明細書に於いて、中間層フィルムと外側層、例えばガラスとの間にタイ層のような追加の層が存在する場合も存在しない場合にも使用される。
【0017】
本明細書中に使用する用語「透明度(clarity)」は、材料のヘイズが、約10%よりも低い、好ましくは約5%よりも低いとき、可視光の透過を指す。透明度は、光透過が、約60%よりも高い、好ましくは70%よりも高い、更に好ましくは75%よりも高い、最も好ましくは80%よりも高いとき、高いと考えられる。
【0018】
光透過は、物体を通過して、本発明の実施に於いては、例えば、フィルム又はラミネートを通過して透過した光の尺度である。これは、ASTM D1003の手順に従って測定する。
【0019】
本明細書中に使用する用語「ヘイズ」は、それを通して見える物体のコントラストの減少に応答し得る、試験体による光の散乱を指す。その方向が、入射ビームの方向から特定された角度よりも多く偏向するように散乱される透過光のパーセント。ASTM D1003に於ける特定された角度は、0.044ラジアン又は2.5度である。厚さが0.8〜1mmのキャストフィルムで測定したとき、約5%よりも低いヘイズは、低いと考えられる。それぞれ約3mm厚の良品質鉱物ガラスの二つの層(合計6mm)は、約0.25%ヘイズを加え得る。従って、中間層フィルムのヘイズと、このフィルム及びこの厚さの良好品質鉱物ガラスから形成された得られた光学ラミネートのヘイズとは、表面効果、例えば、ヘイズを増加させるかもしれないが、ラミネート中に明白でない又は存在しない、フィルム表面上のパターンが実質的に存在しない限り、約0.25%ほど異なるであろう。高光学品質フィルム及びラミネートは、使用されるこの厚さで、約2%よりも低いヘイズを有する。このような中間層は、サウンドシールド、スクリーンなどの製造に使用することができる。特殊ガラススクリーン及び或る種の建築用ガラスのような用途は、約1%以下のヘイズと一致する、最終製品のより高い透明度を必要とする規格を有する。約1%以下のヘイズは、大きい公共ビルディング窓及び他の種類の特殊建築用ガラス並びに車の窓ガラス並びに列車及び船用の窓のために適している。約0.5%以下のヘイズは、自動車のフロントウインドシールドのために適している。従って、光学ラミネートのために使用されるフィルムのヘイズ値は、有利には最大約2%、好ましくは最大約1%、更に好ましくは最大約0.5%、最も好ましくは最大約0.25%である。これらの値の全ては、その用途に於いて使用される厚さについてであるが、好ましくはまた、0.125〜1.0mm(5〜40ミル)の厚さに於いてである。
【0020】
ヘイズは、フィルムと空気との間の界面のような界面効果によって増加される。これらの効果を抑え、そしてフィルム中に固有の実際のヘイズを見るために、このフィルムを、フィルムと同じ屈折率を有する、ガラスのような材料の2枚のシートの間にラミネートするか又はこのフィルムを、同じ屈折率を有する液体の中に浸漬することが必要である。この技術を利用するとき、その空気界面を有するシートについてのヘイズは、「全ヘイズ」として参照され、他方、ラミネート又は浸漬されたフィルムのヘイズは、「内部ヘイズ」として記載される。
【0021】
本明細書中に使用する用語「ガラスに対する接着性」は、180°でのT型剥離試験をいう。この試験は、ガラスに対するポリマーフィルムの接着の強度を測定する。無配向フィルム154mm×66mm×2mmが、手動ホットプレス、例えばPHI−Tulipから商品名モデル#PW−L425で市販されている手動プレス内で、130℃で平らな焼き入れされていないガラス(203mm×117mm×4mm)上で、直接的に圧縮成形される。試験されるポリマーのペレットの秤量された量を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シートの間に、130℃で35psi(241kPa)で10分間、続いて70psi(482kPa)で10分間置き、次いでヒータープレートから取り出し、環境温度にまで空冷し、これに約5分間を要する。このようにして製造されたフィルムを、それが試験される準備ができるまで、2枚の剥離シートの間に保持する。このフィルムを試験するために、剥離材料のシートの1枚を取り除いて、フィルムをガラスシートに接着できるようにする。フィルムのガラスに対する接着を試験するために引っ張ることができるタブを作るために、フィルムの一枚の縁で、ガラスへのフィルムの接着を防止することが必要である。これは、PTFE剥離シートの短片(45mm)を、ガラスの一つの縁を横切って置き、その後、残りのPTFE剥離シートと共にフィルムをガラスの上に置くことによって達成される。このアセンブリを、再び、プレス内に置いて、フィルムをガラスに結合させる。結合した後、頂部のPTFE剥離シートを取り除く。これによって、ガラスのベース層及びその長さの三分の二がガラスに接着しているが、その長さの残りの三分の一が薄い剥離シートによってガラスから分離されている試験シートを有する試験片が得られる。このフィルムを、PTFE剥離シートと共に、ガラスシートから180度で上方に引く。フィルムのタブを引くとき、その形状は、横棒としてのガラスと垂直物としてのフィルムとでT形状を有する。フィルムのこの結合していない部分(45mm)を、非常に注意深く180°に巻き、接着テープに取り付け、次いでこの接着テープを、ノースカロライナ州、Caryのシンテック社(Sintech Corp.)から、商品名MTS Sintech ReNewで市販されている剥離計測器の上部ジョーに握らせる。この計測器の下部ジョーは、底部でガラス表面を握る。2mm厚のフィルムを、ガラス表面から、25mm/分の速度で剥離する。この剥離は、界面でのフィルムの塑性延伸を最小にするために、非常に遅いクロスヘッド速度(25mm/分又は1インチ/分)で行われる。同じ理由で、このフィルムは2mm厚であり、厚さは、サンプルが延伸されるとき、塑性延伸を回避し、界面での剥離のみを可能にするために、高い十分な剛性を与えるために十分に大きい。サンプルの幅によって標準化された荷重が、剥離伸びの関数として報告される。ガラスに対する接着は、定常状態剥離荷重が、約0.3N/mmよりも大きいとき、良好であると考えられる。
【0022】
本明細書中に使用する用語「ピーク荷重(peak load)」は、ASTM D624によって引裂特性を測定するための手順の一部である。これは、サンプルの一定歪み速度試験の間に記録された、ニュートン又はポンドの単位で表される最大荷重又は力を指す。ピーク荷重は、試験片内の切り込みが生長し、応力を減少する前に測定された最大力である。この試験は、亀裂が生長するときの応力及び歪みを測定し、より高価な貫通抵抗試験のための材料をスクリーニングするための用途を有すると信じられる。
【0023】
本明細書中に使用する用語「全エネルギー(total energy)」は、試験片を調製するためにダイBを使用してASTM D624によって測定したときの、応力−歪み曲線の下の面積を指す。一般的に、より高い剛性の材料は、より高いピーク荷重になるであろう。等価のピーク荷重を有する2種の材料を比較するとき、より高い全エネルギーを有するサンプルが好ましい。何故ならば、それが、ポリマーがより大きいエネルギーを吸収できるようにする歪み硬化のような或る種の機構の存在を示すからである。
【0024】
本明細書中に使用する用語「引裂強度(tear strength)」は、試験片を調製するためにダイBを使用してASTM D624によって測定したときの、引裂に対する抵抗を指す。この試験は、レザーで切り込みを入れたサンプルの、平面内引張歪みが適用されたときの引裂に対する傾向を測定する。達成される最大荷重を、試験片の厚さで割って、通常kN/mで報告される引裂強度を得る。この試験は、落球試験による貫通抵抗の予測であると信じられるが、正確な相互関係はなされていない。
【0025】
本明細書中に使用する用語「貫通抵抗(penetration resistance)」は、ANSI/SAE Z26.1−5.12規格によって測定したときの、それに突き当たり、それを貫通する、対象物に対するラミネートの抵抗を指す。ガラスラミネートの場合に、それぞれのラミネートを、スチール枠の上に、衝撃の時点でそれが実質的に水平であるように置く。38mmの直径を有する225gの固体スチール球状ボールを、予定の高さから一度、自由にそして静止から、中心の1インチ(2.54cm)内で試験片に当たるように落とす。衝撃によって、ガラス内に多数の亀裂が作られる。ANSI/SAE Z26.1−5.12.3に従って、破壊したラミネートは、下記の規準によって分析される。
【0026】
(1)それぞれの型及び高さについて試験した12個の試験片の2個以下が、分離した大きい片に砕ける。
(2)更に、残りの試験片の2個以下で、ボールが、ボールが通過した試験片内の全ての場所で、穴又は割れ目を作る。
(3)衝撃の点の直ぐ反対側の点で、ガラスの小さい破片が、試験片から離れるかもしれないが、このようにして影響を受けた小さい面積は、強化材料の1平方インチ(6.45cm2)よりも小さく露出し、その表面は、常に、緊密に接着しているガラスの微小の粒子によって覆われている。強化材料からのガラスの合計分離は、何れの側上でも3平方インチ(19.35cm2)を越えない。
(4)衝撃の点の直ぐ反対側で衝撃の領域に隣接する外側ガラス表面の砕片化は、破壊と考えるべきではない。貫通抵抗は、ラミネートが、少なくとも8メートル落下についてこれらの規準に合格したとき、高いと考えられる。
【0027】
用語「安全バリヤー(security barrier)」は、ANSI/SAE Z26.1−5.12規格試験で、少なくとも8メートルの高さまで貫通防護を与えるラミネートを指す。このようなバリヤーは、例えば、投げられた岩、雹などから防護する。例えば弾丸抵抗パネルに於いて、より大きい貫通防護が、また、望ましいであろう。安全バリヤーを提供するために、内側層は、典型的に、25,000psi(173MPa)の最小弾性率、好ましくは30,000psi(207MPa)の最小弾性率を有し、高い貫通抵抗を有する材料から作られる。
【0028】
用語「曲げ弾性率(flexural modulus)」は、ASTM D−790によって測定したとき、3点曲げで材料の曲げ剛性を測定する。
【0029】
本明細書中に使用する用語「UV光透過率」は、材料を貫通するUV光のパーセント割合を指す。UV光透過率は、UV光透過率が5%よりも小さいとき低いと考えられる。
【0030】
本明細書中に使用する用語「水分吸収(moisture absorption)」は、ASTM D−570によって測定したときの水の吸収を指す。
【0031】
本明細書中に使用する用語「耐水分性(moisture resistance)」は、1時間沸騰水中の浸漬に抵抗するためのラミネートの能力を指す。耐水分性は、1時間浸漬が、特に露出された縁で、ラミネートのヘイズの影響を有しないとき、高いと考えられる。
【0032】
本明細書中に使用する用語「弾性率(modulus)」は、ASTM D412によって測定したときの引張弾性率を指す。この試験は、シートの引張特性を測定する。引張弾性率は、一般的に、PVBについて1.0MPaと2.0MPaとの間の範囲であるが、幾つかの商業的アイオノマー配合物についてよりも50倍も高いであろう。ASTM D790による曲げ弾性率、ASTM D638による引張弾性率は、異なった特性を測定する。ASTM D790は、薄いフィルム又は非常に低い弾性率材料を試験するために有効ではない。
【0033】
示差走査熱量測定(DSC)は、半結晶性ポリマーの溶融及び結晶化を検査するために使用できる一般的な技術である。DSC測定及び半結晶性ポリマーを研究するためのDSCの応用の一般的な原理は、標準的な教科書(例えば、E.A.Turi編、ポリマー材料の熱的キャラクタリゼーション(Thermal Characterization of Polymeric Materials)、Academic Press、1981年)に記載されている。
【0034】
本明細書中に使用する用語「結晶化度(crystallinity)」は、結晶構造を形成する原子又は分子の配置の規則性を意味することを指す。ポリマー結晶化度は、DSCを使用して検査することができる。Tmeは、溶融端の温度を意味し、Tmaxは、ピーク溶融温度を意味し、共に、最終加熱段からのデータを使用してDSC分析から当業者により決定される。示差走査熱量測定(DSC)分析は、TA Instruments,Inc.からのモデルQ1000 DSCを使用して決定される。DSCの較正は、下記のように行われる。最初に、アルミニウムDSCパンの中に如何なるサンプルも入れないで、−90℃から290℃までDSCを走らせることによって、基線が得られる。次いで、新しいインジウムサンプル7mgを、このサンプルを180℃まで加熱し、このサンプルを10℃/分の冷却速度で140℃まで冷却し、続いてこのサンプルを140℃で1分間一定温度で保持し、続いてこのサンプルを10℃/分の加熱速度で140℃から180℃まで加熱することによって分析する。インジウムサンプルの融解熱及び溶融の開始を決定し、溶融の開始について156.6℃から0.5℃以内であり、融解熱について28.71J/gから0.5J/g以内であることを確認する。次いで、脱イオン水を、新鮮なサンプルの小さい一滴を、DSCパンの中で、10℃/分の冷却速度で25℃から−30℃まで冷却することによって分析する。このサンプルを、−30℃で2分間一定温度で保持し、10℃/分の加熱速度で30℃まで加熱する。溶融の開始を決定し、0℃から0.5℃以内であることを確認する。
【0035】
プロピレン系エラストマーサンプルを、190℃の温度で薄いフィルムにプレスする。サンプル約5〜8mgを秤量し、DSCパンの中に置く。蓋をパンに押し付けて、閉じた雰囲気を確保する。このサンプルパンを、DSCセル内に置き、溶融温度よりも約30℃高い温度まで、約100℃/分の高い速度で加熱する。このサンプルを、この温度で約3分間保持する。次いでこのサンプルを、10℃/分の速度で−40℃まで冷却し、この温度で3分間一定温度で保持する。続いて、このサンプルを、10℃/分の速度で、完全に溶融するまで加熱する。得られたエンタルピー曲線を、ピーク溶融温度、開始及びピーク結晶化温度、融解熱並びに結晶化熱、Tme、Tmax並びに米国特許出願番号第(WO03040201)号に記載されているような対応するサーモグラムからの関心のある全ての他の量について分析する。融解熱を公称重量%結晶化度に転換するために使用される係数は、165J/g=100重量%結晶化度である。この転換係数で、プロピレン系コポリマーの全結晶化度(単位:重量%結晶化度)を、165J/gによって割り、そして100%を掛けた融解熱として算出する。
【0036】
用語「tan δ(tan delta)」は、損失弾性率の貯蔵弾性率に対する温度及び周波数依存性比(即ち、G”/G’)である。換言すると、tan δは、粘弾性材料が周期的変形を受けたときの、散逸した機械的エネルギーの部分の、貯蔵された機械的エネルギーの部分に対する比(スプリンジネス(springiness))である。音響の最適減衰は、最大tan δで起こり、より多くの減衰は、粘弾性材料が伸長又は圧縮されるときよりも、これがサンドイッチ内に閉じ込められるとき起こる。音響バリヤー又は音響的に中性のラミネート内で使用するための好ましいタイ層及び中間層材料は、有利には少なくとも約0.1のtan δ値を有し、好ましくは最大約0.6が、一般的に、透過した音の感覚的品質(即ち、鮮鋭値、音量及び明瞭度指数)を制御することを助けることが見出される。
【0037】
用語「音響バリヤー(acoustic barrier)」は、3.85mm厚のガラスのモノリシック窓ガラスのものに少なくとも等価の、音響消滅又は周波数変更品質を有するラミネートを記載するために使用される。
【0038】
用語「屈折率(refractive index)」は、本明細書に於いて、光が、透明な基体と透明な媒体、例えば、真空又は空気との界面を通過するときの、光の方向に於ける変化(見かけの曲げ)を記載するために使用される。屈折率は、材料の与えられた対についての定数である。これは、材料1中の光の速度と材料2中の光の速度との比として定義することができる。これは、通常、12と書かれ、材料1に対する材料2の屈折率である。入射光は材料1内にあり、屈折した光は材料2内にある。入射光が真空中にある場合には、この値は、材料2の絶対屈折率と呼ばれる。実際には、真空の屈折率は1であり、一方、空気の屈折率は1.0008であるので、空気中の屈折率は、非常にわずかに異なっている。屈折率は、20℃でナトリウムのD線で測定された、入射の角度の正弦の、屈折の角度の正弦に対する比又は真空中の光の速度の、媒体中の速度に対する比である。ポリマー中に於いて、屈折率は、ASTM D542−00の手順に従って測定される。
【0039】
「密度」は、ASTM D−2839又はD−1505によって決定した物質の単位体積当たりの質量を指す。
【0040】
本明細書中に使用する用語「堅い(stiff)」は、変形可能な媒体への定常力の適用からもたらされる、変形に対する抵抗を指す。本明細書に於いて、「堅い」又は「硬い(rigid)」は、対象物、例えば、手の上に置いた場合に、対象物の上で垂れ下がらない全ての材料のために使用されるものとする。
【0041】
用語「光学的に透明な(optically transparent)」又は「透明な(transparent)」又は「光学的に透き通った(optically clear)」は、補助無しの視覚検査に基づいて、通してみることができる対象物を記載するために使用する。この観察は、好ましくは可視光の最小透過、即ち最大約10%、好ましくは最大約5%のヘイズ値で、少なくとも約70%、好ましくは少なくとも約75%、更に好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約90%の可視光透過に相当する。
【0042】
本明細書中に使用する用語「熱可塑性ポリマー」は、通常の溶融加工条件下で溶融加工できる、結晶性及び非結晶性の両方のポリマーを指し、極端な条件下で熱可塑性であり、溶融加工できるポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレンを含まない。
【0043】
「マー単位(mer unit)」は、単一の反応剤分子から誘導されるポリマーの部分を意味し、例えばエチレンからのマー単位は一般式−CH2CH2−を有する。
【0044】
用語「オレフィンポリマー」又は「ポリオレフィン」は、1種又はそれ以上のオレフィンから誘導される熱可塑性ポリマーを意味する。代表的なオレフィンには、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、ブタジエン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、スチレン、トルエン、α−メチルスチレンなどが含まれる。脂肪族モノ不飽和オレフィン、例えばエチレン、プロピレン及びブテンが好ましく、一般式Cn2nを有する。ポリオレフィンは、一つ又はそれ以上の置換基、例えばカルボニル、スルフィドなどのような官能基を有していてよいが、好ましくは炭化水素である。ポリオレフィンに於いて、幾つかのマー単位は、線状である、分枝状である、環式である、脂肪族である、芳香族である、置換された又は置換されていないオレフィン性モノマーから誘導される(例えばオレフィンホモポリマー、2種又はそれ以上のオレフィンのコポリマー、オレフィンと非オレフィン性コモノマー、例えばビニルモノマーとのコポリマーなど)。この用語は、好ましくは、エチレン若しくはプロピレン又はこれらの組合せのポリマー及びコポリマーを指し、これらには、官能的に置換されたコモノマーとのこれらのコポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニルコポリマー及びアアイオノマーが含まれ、最も好ましくは炭化水素ポリマー及びコポリマーである。ポリオレフィンは、線状、分枝状、環式、脂肪族、芳香族であってよく、置換されているか又は置換されていなくてよい。用語ポリオレフィンには、オレフィンのホモポリマー、オレフィンのコポリマー、オレフィン及びオレフィンと共重合可能な非オレフィン性コモノマー、例えばビニルモノマーとのコポリマー、上記のものの変性ポリマーなどが含まれる。変性ポリオレフィンには、オレフィンのホモポリマー又はそれらのコポリマーと、不飽和カルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸など若しくはこれらの誘導体、例えば無水物、エステル、金属塩などとを共重合させることによって製造された変性ポリマーが含まれる。これらには、また、オレフィンホモポリマー又はコポリマーの中に、不飽和カルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸など又はこれらの誘導体、例えば無水物、エステル、金属塩などを含有させることによって得られるポリオレフィンが含まれる。
【0045】
「ポリプロピレン」又は「プロピレンポリマー」は、プロピレンから誘導された、マー単位の少なくとも半分を有するポリマーを意味する。これらには、プロピレンのホモポリマー並びにプロピレンと、プロピレンと共重合可能な1種又はそれ以上のモノマー、例えばエチレン、ブチレン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン(任意に、このようなモノマーの誘導体及びこれらの組合せを含む)とのコポリマーが含まれる。
【0046】
ランダムコポリマーは、ブロックコポリマー及び耐衝撃性ポリマーのような配置とは対照的に、主ポリマー中のコモノマー、特にプロピレンポリマー中のコモノマーのランダム分布を有するポリマーを意味する。完全な統計的なランダム性は生じないであろうこと及びポリマー組成物又はポリマー製品中で、一つのポリマー分子から次のものへの変化が存在するであろうことが理解される。
【0047】
用語「低結晶化度プロピレンポリマー」は、本明細書に於いて、約47%未満、好ましくは最大約34%、更に好ましくは最大約24%、最も好ましくは最大約18%の結晶化度を有するプロピレンポリマーを指すために使用される。この結晶化度は、好ましくは、少なくとも約6、更に好ましくは少なくとも約11、最も好ましくは少なくとも約15重量%のエチレンを有する、チーグラー−ナッタ型触媒によって製造された、歴史的に市販されているプロピレン/エチレンポリマーのもののように少なくとも低い。この用語には、有利には、約80ジュール/gよりも低い、好ましくは約60ジュール/gよりも低い、更に好ましくは約40ジュール/gよりも低い、最も好ましくは約30ジュール/gよりも低い融解熱を有するポリマーが含まれる。このような結晶化度は、プロピレンと重合可能な1種又はそれ以上のコモノマー、特にα−オレフィン、好ましくはエチレン又は組合せ中にエチレンを含むものを使用して得ることができる。また、このような結晶化度は、チーグラー−ナッタ型触媒とは異なる触媒を使用して、エチレン又は他のα−オレフィンコモノマーの挿入を制御することによる、コモノマーのより低いモル濃度を使用して得ることができる。用語「低結晶化度プロピレンポリマー」は、本明細書に於いて、1種のプロピレンポリマー又はプロピレンポリマーのブレンドのために使用される。
【0048】
用語「ポリエチレン」は、エチレンから誘導されたそのマー単位の大部分を有する、エチレンのホモポリマー又はエチレン/α−オレフィンコポリマーを意味する。
【0049】
用語「エチレン/α−オレフィンコポリマー」は、エチレンと1種又はそれ以上の、C3〜C20α−オレフィン、例えば1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、メチルペンテンなどから選択されたコモノマーとのコポリマーを指定する。低圧重合方法によって得られる、比較的僅かな側鎖枝を有する長鎖からなるポリマー分子が含まれ、存在する側鎖枝分かれは、非線状ポリエチレン(例えばLDPE、低密度ポリエチレンホモポリマー)に比較して短い。エチレン/α−オレフィンコポリマーは、一般的に、約0.86g/cc〜約0.94g/ccの範囲内の密度を有する。用語「線状低密度ポリエチレン(LLDPE)」は、一般的に、約0.926〜約0.95の密度範囲内の線状ポリエチレンが線状中密度ポリエチレン(LMDPE)として参照されるとき、約0.915〜約0.94g/cc又は0.930の密度範囲内に入るエチレン/α−オレフィンコポリマーのグループを含むと理解される。より低い密度のエチレン/α−オレフィンコポリマーは、しばしば、約0.88〜約0.915g/ccの範囲内の密度を有するユニオン・カーバイド社(Union Carbide Corporation)から入手できるエチレン/ブテンコポリマーを指すために使用される、非常に低密度のポリエチレン(VLDPE)及び典型的にダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)によって供給される或る種のエチレン/オクテンコポリマーを指すために使用される超低密度ポリエチレン(ULDPE)として参照される。エチレン/α−オレフィンコポリマーは、本発明の実施に於いて好ましいポリオレフィンである。
【0050】
句「エチレン/α−オレフィンコポリマー」には、また、均一ポリマー、例えばテキサス州Baytownのエクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Company)から市販されている、メタロセン触媒作用EXACT(登録商標)線状均一エチレン/α−オレフィンコポリマー樹脂;三井石油化学(株)(Mitsui Petrochemical Corporation)から市販されているTAFMER(登録商標)線状均一エチレン/α−オレフィンコポリマー樹脂及び例えば、AFFINITY(登録商標)又はENGAGE(登録商標)樹脂として知られている、ダウ・ケミカル社から市販されている、長鎖分枝状メタロセン触媒作用均一エチレン/α−オレフィンコポリマーが含まれる。用語「均一ポリマー(homogeneous polymer)」は、比較的狭い分子量分布及び比較的狭い組成分布の重合反応生成物を指す。均一ポリマーは、均一ポリマーが、鎖内のコモノマーの比較的等しいシーケンシング、全ての鎖内のシーケンス分布のミラーリング(mirroring)及び全ての鎖の長さの類似性、即ち、より狭い分子量分布を有する点で、不均一ポリマー(例えばULDPE、VLDPE、LLDPE及びLMDPE)とは構造的に異なっている。更に、均一ポリマーは、最もしばしば、チーグラー−ナッタ型触媒ではなくて、メタロセン又は他の単一サイト型触媒を使用して製造される。このような単一サイト型触媒は、典型的には、1種類のみの触媒サイトを有し、重合から得られるポリマーの均一性の基礎であると信じられる。
【0051】
LLDPEは、線状低密度ポリエチレンのための略語であり、(1)コモノマーとして高級α−オレフィン、例えばブテン、オクテン、ヘキセンなど、(2)約0.915から約0.930g/cm3のように高いまでの密度、(3)枝又は架橋構造を僅かに有するか又は全く有しない長鎖からなる分子を有し及び(4)変化する原子価の遷移金属化合物をベースにする不均一触媒を使用する共重合により、低乃至中圧力で製造される、エチレンのコポリマーを指す。
【0052】
MDPEは、中密度ポリエチレンのための略語であり、約0.930〜0.950g/cm3の密度を有するポリエチレンを指定する。
【0053】
HDPEは、高密度ポリエチレンのための略語であり、約0.950〜0.965g/cm3の密度を有するポリエチレンを指定する。
【0054】
用語「実質的に線状(substantially linear)」は、均一なコモノマー含有に起因する短鎖枝に加えて、このエチレンポリマーが、更に、ポリマー主鎖が平均0.01〜3個の長鎖枝/1000個の炭素によって置換されている点で、長鎖枝を有するとして特徴付けられることを意味する。本発明に於いて使用するための好ましい実質的に線状のポリマーは、0.01個の長鎖枝/1000個の炭素〜1個の長鎖枝/1000個の炭素、更に好ましくは0.05個の長鎖枝/1000個の炭素〜1個の長鎖枝/1000個の炭素によって置換されている。
【0055】
実質的に線状のエチレン/α−オレフィンポリマーは、適切な束縛幾何学触媒、好ましくは、米国特許第5,132,380号明細書、米国特許第5,703,187号明細書及び米国特許第6,013,819号明細書(これらの全ての技術を、参照して本明細書に含める)中に開示されているような束縛幾何学触媒を使用する連続方法によって製造される。米国特許第5,026,798号明細書(この技術を、参照して本明細書に含める)中で教示されているモノシクロペンタジエニル遷移金属オレフィン重合触媒も、本発明のポリマーを製造する際に使用するために適している。
【0056】
長鎖枝分かれは、本明細書に於いて、コモノマー含有の結果である全ての短鎖枝のものよりも大きい鎖長を有する枝として定義される。この長鎖枝は、ポリマー主鎖の長さとほぼ同じ長さのように長くてよい。長鎖枝分かれは、当該技術分野の技術内の方法を使用して、例えば、例えばRandallの方法(Rev.Macromol.Chem.Phys.,C29(2&3)、第275-287頁)を使用する定量化で、13C核磁気共鳴(NMR)分光学的測定を使用することによって決定することができる。
【0057】
本発明の組成物中に使用される実質的に線状のエチレン/α−オレフィンポリマーについて、I10/I2比は、長鎖枝分かれの程度を示す。即ち、I10/I2比が高いほど、ポリマー中の長鎖枝分かれが多い。一般的に、実質的に線状のエチレン/α−オレフィンポリマーのI10/I2比は、少なくとも約5.63、好ましくは少なくとも約7、特に少なくとも約8以上、そして約25のように高い。実質的に線状のエチレンポリマーのメルトインデックスは、ASTM D−1238条件190℃/2.16Kg(以前は、条件Eとして知られている)に従って測定される。
【0058】
本明細書中に使用する用語「ポリブテン」は、ブテン並びに任意的な他のモノマー単位、例えばエチレン、プロピレン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン及び1−デセン単位を含んでなり、ブテンモノマー単位がコポリマーの主成分を構成する、これらのポリマー実体を指す。このポリマーは、時には、ポリブチレンとして参照される。ポリブテンは、しばしば、ナフサなどのクラッキングから得られ、イソブチレン、1,2−ブテン、2,3−ブテンなどを含有するC4炭化水素留分を、三フッ化ホウ素又は塩化アルミニウムのような触媒の存在下で重合させることによって製造される。これは、また、チーグラー−ナッタ型触媒を使用して製造することができる。好ましいポリブテンポリマーは、約6重量%〜50重量%のイソブチレン並びに残りのブテン、(シス−及びトランス−)イソブチレン及び1重量%未満のブタジエンの混合物を含有するC4オレフィン製油装置流から製造された、ポリブテン及びポリイソブチレンの混合物である。特に、6〜45重量%のイソブチレン、25〜35重量%の飽和ブテン並びに15〜50重量%の1−及び2−ブテンを含むC4流から製造されたポリマーが好ましい。このようなポリマーは、しばしば、ルイス酸触媒により、例えば塩化アルミニウム系触媒又はフッ化ホウ素系触媒を使用して製造される。このようなポリブテンは、軽い移動性の液体から極めて粘稠なゲルまでの範囲である。基本的に、ポリマー鎖が長く成長するほど、粘度が高くなる。ポリブテンは、イソパラフィン系炭化水素及び非枝分かれパラフィン油の特性の多くを有するが、炭化水素液体ではなくて真のポリマーとして分類される。
【0059】
本明細書中に使用する用語「粘着付与剤」は、フィルムの初期の及び長期の粘着性を改良するために、合成樹脂又はエラストマー接着剤に添加される物質を指す。粘着付与剤は、多数の異なった種類並びに天然及び合成樹脂のクラスによって例示される。これらには、樹脂エステル、ロジン及びロジン誘導体、水素化ロジン、重合したテルペン、クマロン−インデン樹脂、石油炭化水素樹脂、水素化炭化水素樹脂が含まれる。粘着付与剤は、典型的には、室温で、低分子量無定形ガラス状固体である。水素化粘着付与剤が、ポリオレフィンと共に好ましく使用される。
【0060】
本明細書中に使用する用語「グラフトコポリマー」は、構造的に又は立体配置的に異なった特徴の2種又はそれ以上の組合せ(その一つは、主鎖として機能し、そしてその少なくとも一つは、主鎖に沿った幾つかの点(群)で結合し、側鎖を構成する)によって製造されたコポリマーを指す。従って、グラフトコポリマーは、ペンダントポリマー側鎖を有するポリマーとして及び「グラフト化」から又はポリマーの上若しくは中へのポリマー側鎖の含有によって形成されるとして記載することができる。グラフトが含有されているポリマーは、ホモポリマー又はコポリマーであってよい。グラフトポリマーは、種々のモノマー単位から誘導される。
【0061】
用語「グラフト化された」は、親ポリマーの主鎖に沿った幾つかの点(群)で結合された側鎖又は種を含むコポリマーが作られたことを意味する。
【0062】
本明細書中に使用する用語「グラフト化」は、親ポリマーの主鎖に沿った幾つかの点(群)での側鎖又は種の結合によるポリマーの生成を意味する。このような方法は、当該技術分野の技術内でよく知られており、例えば、Sperling,L.H.、Introduction to Physical Polymer Science、1986年、第44-47頁によって開示されている。
【0063】
用語「グラフト共重合」は、本明細書に於いて、他の方法で示されていない限り、その末端以外のポリマー分子の主鎖上の一つ又はそれ以上の点での活性サイト又はサイト群の形成及び少なくとも1種の他のモノマーへの露出によって得られるコポリマーを意味する。
【0064】
透明剤は、フィルム又は他のポリマー性物質の透明度を改良する核生成剤の1種である。
【0065】
核生成剤は、ポリマー中の結晶構造の寸法の減少で助けになるための、ポリマーに添加される化合物又は組成物である。核生成剤は、他の場合には、ポリマー中でより多くの又はより大きい結晶構造の形成になるかもしれない条件、例えば生成、ラミネーション及び屋外曝露を含む全ての段階の間の加熱又は再加熱に曝露した後、特に光学特性の安定性を与えることが観察される。また核剤とも呼ばれる核生成剤は、アジピン酸及び鉱物の非常に小さい粒子、例えば硫酸カルシウム又は炭酸カルシウムのサブミクロンにされた粉末から誘導される化合物、好ましくは、Milliken Corp.から、MILLAD3905核生成剤((1,3:2,4)ジベンジリデンソルビトール)、MILLAD3940核生成剤((1,3:2,4)ジパラメチルベンジリデンソルビトール)及びMILLAD3988透明剤(3,4−ジメチルベンジリデンソルビトール)を含む、商品名MILLADで市販されているこれらの核生成剤によって例示される。核生成剤は、結晶化が起こる核生成サイトの数を増加させ、クリスタリットサイズを有効に減少させ、そして減少したヘイズに至る[結晶化度を、核生成剤無しで得られるものよりも低いレベルに維持する]ことによって、ヘイズを改良すると信じられる。ポリマー中のヘイズを増加させるために十分な粒子サイズを有する幾つかの物質、例えばタルクは、有効な核生成剤であるかもしれないが、透明剤としては効果がない。
【0066】
本明細書中に使用する用語「透明度増強剤(clarity enhancer)」は、初期に又は加工若しくは熟成の後に、透明度を改良する任意の材料を指す。前に定義されたような透明剤は、この用語の使用に含まれるが、好ましい透明度増強剤は、透明度増強剤又は増強剤群を含有しない以外は同じ組成の中間層フィルムで得られるものよりも、中間層フィルム組成物中で少なくとも1種のポリマーと反応したとき、より大きい透明度、減少したヘイズ若しくは両方を有するフィルムになる架橋剤のような材料又は中間層フィルム組成物中でポリマーと混合したとき、より高い透明度、より少ないヘイズ若しくはこれらの組合せを有するフィルムになる他のポリマーである。前に定義された透明剤とは異なる透明度増強剤は、本明細書に於いて、「統合(integral)透明度増強剤」と参照する。それは、これらが、架橋の場合にポリマーの構造と又は追加のポリマーの場合に得られるポリマーブレンドの同一性と関連づけられるためである。幾つかの例に於いて、透明度増強剤の効果は、フィルムの形成時に直ちに明らかではない。むしろ、この効果は、透明度増強剤が、例えば結晶生成又はより大きい結晶への再結晶から、ヘイズの発達又は蓄積を減少することを助けるとき、時間及び取扱い、しばしば熱処理の後で明らかである。
【0067】
本明細書中に使用する用語「接着増強剤(adhesion enhancer)」は、接着増強剤を使用しないとき同じ組成のフィルムによって得ることができる接着を越えて、それがラミネート又は接着される基体への、本発明のフィルムの接着を改良する任意の材料を指す。接着増強剤は、任意的に、フィルムに対して実質的に外側で(本明細書に於いて、「外部接着増強剤」と参照する)、例えばタイ層若しくはプライマーとして又はフィルムに対して実質的に内側で(本明細書に於いて、「内部接着増強剤」と参照する)、例えばカップリング剤、接着を改良するポリマー若しくはポリマー組成物若しくはグラフト化されたモノマーとして使用される。幾つかのタイ層又はプライマーは、フィルムの中に浸透し得ること及び内部接着増強剤として有用な幾つかの材料は、変化する程度までポリマー組成物又はフィルムからブリードアウトすることが当業者によって認められ、従って、用語「実質的に(substantially)」が、内部又は外部のような、接着増強剤の主たる場所の記載に於いて理解されたい。
【0068】
本明細書中に使用する「カップリング剤」は、本発明の中間層組成物の他の成分と混合するとき、鉱物ガラス、ポリマーガラス又は接着が望まれる任意の他の材料(以下、基体(substrate))への、中間層の接着又は結合を改良する化合物又は組成物である。従って、カップリング剤は、接着増強剤の1種である。カップリング剤は、代替的に又は追加的に、基体に適用され、しばしば基体のためのプライマーと呼ばれる。これは、また、基体への接着性を増強する。好ましくは、十分なカップリング剤を使用するときには、基体のプライマー塗布は必要ない。カップリング剤は、シラン、シロキサン、チタン酸塩及びこれらの組合せ、好ましくは、ビニルアルコキシシラン及びアミンアルコキシシラン、更に好ましくはビニル−トリエトキシ−シラン、アミノ−プロピル−トリエトキシ−シラン及びこれらの組合せによって例示される。好ましいカップリング剤は、カップリング剤とポリマーとの間及びカップリング剤と基体との間に化学結合を形成させる、二重官能基を有する。ビニルアルコキシシラングループは、この規準に適合する。ビニル官能基は過酸化物グラフト化の手段によって、オレフィンポリマーにグラフトさせることができる。これによって、水分及び温度の存在下で架橋させることができるか又はガラスのヒドロキシル基に結合する、シロキサン官能性ポリマーが作られる。このような二重官能基カップリング剤は、当該技術分野の技術内である。アミン官能性アルコキシシランは、エポキシ配合物をガラス及びその他の極性基体に結合するために、広く使用されてきた。これらの適用に於いて、アルコキシシランは、ガラスに結合するための反応サイトを提供し、一方、アミン官能基は、エポキシ官能基と反応することができる。
【0069】
本明細書中に使用する「架橋剤(crosslinking agent)」は、本発明の中間層組成物の他の成分と混合するとき、通常及び好ましくは、十分な熱又は十分な放射線(radiation)、例えばUV光、電子ビーム若しくは他のエネルギー源のような他の条件が与えられるとき、ポリマー鎖の間の架橋になる化合物又は組成物である。
【0070】
UV光吸収剤は、そうでなければ中間層に浸透するUV光を遮断し、UV光からの負の影響から保護するために添加される化合物または組成物である。
【0071】
本明細書中に使用する用語「充填材(filler)」には、押し出されたフィルムと化学的に干渉しない又は押し出されたフィルムに悪影響を与えず、更にフィルム全体に均一に分散させることができる、フィルムポリマー押出材料に添加することができる材料の微粒子及び/又は他の形状が含まれる。一般的に、充填材は、約0.1〜約10ミクロン、望ましくは約0.1〜約4ミクロンの範囲内の平均粒子サイズを有する微粒子形状である。しかしながら、ナノ粒子充填材も、本発明の実施に於いて、例えば、可視光を散乱させるか又はUV光を遮断するために使用するために適している。
【0072】
用語「可塑剤」は、一般的に、ポリマー鎖の間の侵入によって機能すると信じられる、ポリマーを一層可撓性又は作業性にするために、ポリマーと混合される比較的非揮発性の液体を指定するために使用される。可塑剤は、(液体)フタル酸ジエステルによって例示される。特許文献1に於けるBeckmannの教示に従って、この用語は、また、望ましい可撓性を達成するためにポリマーの中に共重合される酢酸ビニルモノマーである「内部可塑剤」に適用することもできる。
【0073】
本明細書中に使用する用語「粒子サイズ」は、充填材粒子の最大直径又は長さを記載する。
【0074】
「フィルム」は、長さ及び幅寸法を有し、そしてそれらの間の厚さを有する二つの主表面を有する、シート、不織ウエブ若しくは織ウエブなど又はこれらの組合せを指す。フィルムは、単層フィルム(一つのみの層を有する)又は多層フィルム(二つ又はそれ以上の層を有する)であってよい。多層フィルムは、好ましくは少なくとも2種の異なった組成物から構成された二つ以上の層から構成され、有利には、フィルムの長さ及び幅寸法をかなり伸ばしている。多層フィルムの層は、通常、下記の方法、即ち、共押出、押出被覆、蒸着被覆、溶媒被覆、エマルジョン被覆又は懸濁液被覆の一つ又はそれ以上によって、一緒に結合されている。フィルムは、殆どの例に於いて、約20ミル(5×10-4m)以下の厚さを有するが、この用語の一般的な使用は、ときには、厚さが10ミル(2.5×10-4m)よりも小さいときフィルムとして、そして厚さがより大きいときシートとして、材料を指す。
【0075】
本明細書中に使用する用語「シート」は、その第三の寸法又は厚さよりも遙かに大きい寸法の、二つの実質的に平行で平らな表面を有するが、フィルムよりも幾らか厚い又は堅い材料、例えば、約10ミル(2.5×10-4m)よりも大きく、約100mm以下又はそれよりも大きい厚さを有する材料を意味する。
【0076】
「層(layer)」は、本明細書に於いて、構造物の厚さの全部又は一部を形成する部材又はコンポーネントを意味し、ここで、このコンポーネントは、好ましくは、構造体と共に実質的に同一の広がりを持ち、実質的に均一な組成を有する。
【0077】
本明細書中に使用する用語「単層(monolayer)フィルム」は、実質的に一つの層を有するフィルムを意味する。しかしながら、任意に、2プライ以上の単層フィルムが、隣接するプライの間の1種又はそれ以上の接着剤有り又は無しの、用途で使用される。従って、フィルムは、それが、単層プロセスであると当該技術分野で考えられるプロセスで形成される場合、例えば共押出プロセスではなくて二重バブルプロセスによって形成される場合、本発明の実施に従って組成物の二つの層が、お互いに対して隣接して使用される場合又は層の間に接着剤があっても、単層と考えられる。
【0078】
用語「多層(multilayer)フィルム」は、2個又はそれ以上の層を有するフィルムを意味する。多層フィルムは、好ましくは少なくとも2種の異なった組成物から構成された2個以上の層から構成され、有利には、フィルムの長さ及び幅寸法を実質的に伸ばしている。多層フィルムの層は、通常、下記の方法、即ち、共押出、押出被覆、蒸着被覆、溶媒被覆、エマルジョン被覆又は懸濁液被覆の一つ又はそれ以上によって、一緒に結合されている。殆どの例に於いて、フィルムは、約30〜35ミル(7.5〜8×10-4m)以下の厚さを有する。
【0079】
用語「タイ(tie)層」又は「接着層(adhesive layer)」又は「結合層(bonding layer)」は、直接的に隣接する又は接触する層への中間層接着(例えば、中間層とガラスとの間)を与える主目的を有する内部層を意味する。このタイ層は、また、それが一部である多コンポーネント構造物に他の特徴を与えることができる。
【0080】
本明細書中において、二つの層を参照するときに用いる「接触する」又は「直接的に隣接する」は、一方が他方に直接的に接着している二つの層を指すことを意図している。反対に、本明細書中に使用するときに、二つの他の特定された層の間に存在するとして表現されたフィルム層に適用されるとき、語「間」は、それが間にある二つの他の層に対する主題層の直接接着並びに主題層が間に存在する二つの他の層のいずれか又は両方に対する直接接着の欠落の両方を含み、即ち、主題層と、主題層が間にある一つ又はそれ以上の層との間に、一つ又はそれ以上の追加の層を挟むことができる。
【0081】
「ラミネート」は、一緒に結合された又は接着された二つ又はそれ以上の材料の層で作られた材料を指し、多層フィルム、例えば共押出フィルムを含む。硬質(rigid)ラミネートは、垂れ下がりを防ぎ、取扱いの際にその形状を支えるために十分な厚さ又は少なくとも一つの十分に硬質の層を有するラミネートである。
【0082】
本明細書中に使用する用語「ガラス」は、鉱物ガラスシート及び透明な光学的に透き通った硬質ポリマーシート、例えばポリカーボネート又はアクリルプラスチックのシート(本明細書に於いて、ポリマーガラスという)を指す。典型的には、ガラスは、外側表面又は透明で耐衝撃性で、好ましくは音響バリヤーの板ガラスの表面を形成するために有用である。鉱物ガラス、即ちソーダ−石灰−ケイ酸塩ガラス、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート及び環式ポリオレフィン(例えば、エチレンノルボルネン及びメタロセン触媒作用ポリスチレン)並びにこれらの組合せが、このような板ガラスの外面に有用である。
【0083】
本明細書中に使用する用語「硬質(rigid)」は、形状が自己支持性である物体を指す。これは幾らか可撓性であるが、これは垂れ下がらない。
【0084】
用語「安全ガラス(safety glass)」は、二つのガラスシートの間に置かれた少なくとも一つのポリマーフィルムの中間層を使用して、一緒に結合された二つのガラスシートのラミネートを指定するのに使用される。片方又は両方のガラスシートが、任意的に、光学的に透き通った硬質ポリマーシートである。
【0085】
「押出」及び「押し出す」は、溶融したプラスチック材料をダイに通して押し、続いて冷却する又は化学硬化させることによる、連続形状物の形成プロセスを指す。ダイを通す押出の直前に、比較的高い粘度のポリマー材料を、回転するスクリューの中に供給し、このスクリューがポリマー材料をダイに通して押す。
【0086】
「共押出」及び「共押出する」は、2種又はそれ以上の材料を、押出物が一緒に合体し、溶接して層状構造体になるように配置された二つ又はそれ以上のオリフィスを有する一つのダイに通して押し出し、その後冷却又は急冷、即ちクエンチするプロセスを指す。共押出は、しばしば、他のプロセス、例えばインフレーション、キャストフィルム及び押出被覆プロセスに於ける一面として使用される。
【0087】
「インフレートフィルム」又は「インフレーション」は、熱可塑性ポリマー又はコポリマーを押し出して、ポリマーを延伸するための加熱空気又は他のホットガスが充填されたバブルを形成する、フィルムの形成プロセスを指す。次いで、このバブルをつぶし、平らなフィルム形状で集める。
【0088】
「スキン層」は、外側層を含む外部層、従って、フィルム又は他の多コンポーネント構造物の外側表面上にある任意の層を指す。表面層は、有利には、摩耗抵抗、劣化をより受けやすい内部層の保護、それが接触のために適合されている材料又は物体に対する所望の程度の接着若しくは接着に対する抵抗又は一般的に内部層のものとは異なる類似の特徴を提供する。
【0089】
「分子量」は、重量平均分子量である。プロピレン系ポリマーの分子量及び分子量分布は、四つの線状混合床カラムが取り付けられたPolymer Laboratories PL−GPC−220高温クロマトグラフィー装置(Polymer Laboratories(20ミクロン粒子サイズ))上でのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して決定される。オーブン温度は160℃であり、オートサンプラーホットゾーンは160℃で、ウォームゾーンは145℃である。溶媒は、200ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを含有する1,2,4−トリクロロベンゼンである。流速は1.0mm/minであり、注入サイズは100μlである。サンプルの約0.2重量%溶液を、注入のために、サンプルを、200ppmの2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを含有する窒素パージした1,2,4−トリクロロベンゼン中に、160℃でゆっくり混合しながら2.5時間溶解させることによって調製する。
【0090】
数平均分子量(Mn)は、鎖当たりのモノマー繰り返し単位に基づく、平均鎖長の尺度であり、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された分子量分布曲線から計算される。
【0091】
重量平均分子量(Mw)は、重量平均に基づく平均鎖長の尺度であり、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定された分子量分布曲線から計算される。
【0092】
分子量分布(MWD)又は多分散度はMw/Mnであり、ポリマーのサンプル中の分子量の類似性の尺度である。メタロセン触媒を使用して製造されたポリマーは、一般的に、約5よりも小さい、有利には約4よりも小さい、更に有利には約3.5よりも小さい、好ましくは約3よりも小さい、更に好ましくは約2.5よりも小さい、最も好ましくは約2よりも小さいMWDを有する。
【0093】
用語「メルトフローレート」及び「メルトインデックス」は、本明細書に於いて、ASTM D1238に従った規定された条件下で、10分間に、特定された長さ及び直径のオリフィスを通して押される熱可塑性樹脂の、グラム数での量を意味するために使用される。プロピレンポリマーの場合に、I2についての条件は、230℃/2.16Kg(以前は条件Eとして知られていた)である。エチレンポリマーの場合に、条件は、190℃/2.16Kg(以前は条件Eとして知られていた)である。
【0094】
本明細書中に使用する用語「結晶化」は、記載された結晶化温度試験により測定されたとき、ポリマー分子の一部の、通常クリスタリット(crystallite)と呼ばれる一層組織化されたより高密度の構造体への再配列を意味する。ポリマー結晶化は、通常、押出又は他の溶融プロセスによって製造された単層フィルムの冷却の間に起こる。
【0095】
本明細書中に使用する用語「靱性(toughness)」は、ASTM D−882の手順によって測定したときの、標準引張試験の間にフィルムのサンプルを破断するために必要なエネルギーを指す。
【0096】
本明細書中に使用する用語「引裂抵抗」は、ASTM D−1922の手順に従って測定したときの、エルメンドルフ引裂としても知られている、ノッチ付きフィルムサンプルの引裂を成長させるために必要な力を指す。
【0097】
本明細書中に使用する用語「落槍衝撃強度」は、落下する槍による破断に対する抵抗を指し、ASTM D−1709の手順によって測定される。
【0098】
「ガラス転移温度」は、DSC(示差走査熱量計)内で、ガラス転移屈曲点が生じる温度である。これは、最初に185℃で溶融し、次いで、オーブンから取り出し、ベンチトップ又は金属表面上に置くことによって環境温度にまで急速に冷却したサンプルで測定する。次いで、このサンプルを、直ちにDSC内に置き、−30℃まで冷却し、−30℃で60秒間平衡化させ、−30℃から100℃まで10℃/分で走査する。次いで、ガラス転移温度を、ガラス転移の開始と終点との間の屈曲点の温度として測定する。
【0099】
用語「軟化温度」は、ポリマーが、十分に軟化し、ポリマー表面と接触状態で置いた秤量したプローブの侵入を可能にすると観察される温度である。これは、サーモメカニカル分析(thermomechanical analysis)(TMA)によって測定される。
【0100】
「レオロジー特性」は、材料の変形及び流動に影響を与える特性を指す。溶融粘度、溶融強度及び延伸比は、レオロジー特性の例である。
【0101】
用語「表面組織」は、ポリマーフィルムの表面上に形成するよう誘導されたパターンを指す。これらは、押出の間のポリマー表面での溶融破壊を含む幾つかの方法により又は加熱したフィルムを、それが、パターン形成された基体と共にダイから出るときエンボス加工することにより形成するように誘導できる。
【0102】
本発明の目的のために、ポリマー又はポリマー組成物は、このポリマー又はポリマー組成物が下記の記載に適合する場合には、「弾性」挙動を示すと考えられる(即ち「エラストマー」である)。ASTM D1708マイクロ引張サンプルを、圧縮成形したプラック(下記の説明参照)から切り出す。空気圧グリップ及び100N荷重セルを取り付けたインストロンモデル5564(Instron Corporation、マサチューセッツ州Norwood)を使用して、このサンプルを、23℃+2℃及び50+5%相対湿度で、22.25mmの初期ゲージ長さから、500%/分で100%歪みまで変形させる。グリップを元の位置まで戻し、次いで直ちに、正の引張応力(0.05MPa)の開始が測定されるまで伸長する。この点に対応する歪みは、永久歪みであると定義される。40%歪み以下の永久歪みを示すサンプルは、弾性として定義される。下記のものは、随意のプロピレン/エチレンポリマーについての例示的計算である。
初期長さ(L0):22.25mm
第一サイクル、伸長の間の100%歪みでの長さ:44.5mm
第二サイクルの間の0.05MPaでの引張応力での長さ(L’):24.92mm
【0103】
【数1】

【0104】
12%の永久歪みは40%歪みよりも小さいので、この材料は、「弾性」として検定される(即ち、これは「エラストマー」である)。
【0105】
用語「ドメイン(群)(domain(s))」は、別個の、即ち分離した別になった、範囲又は領域を意味するように理解される。
【0106】
「分散混合(dispersive mixing)」により、混合される材料が、非常に小さい粒子、液滴又は「ドメイン」に崩れ、これらは容易に、それら自体の中に分散されるようになり、これらは、後で、他の成分の中に実質的に均一に分布され得る。この分散混合段階は、分散させることが最も困難である成分について、ほぐれ及び「崩れ」段階として考えることができる。分散混合は、しばしば、不均一構成成分、例えば液体中の粉末(この場合には、粉末のアグロメレートが崩壊して、それぞれの粒子が液体によって取り囲まれるようにならなくてはならない)及び熱可塑性樹脂のペレット(これは未だ溶融しておらず、溶融し、溶融相の中に混合されることが望まれている)を混合するために使用される。分散混合には、しばしば、最小機械的エネルギー、例えば、少なくとも約200秒-1の有効剪断速度が含まれる。分散混合を達成するために、媒体ミル、磨砕機、ハンマーミル、Microfluidizer(登録商標)(Microfluidics Corp.から市販されている)、ホモジナイザー、ジェットミル、流体ミル及び類似の高エネルギー分散装置を使用することができる。
【0107】
用語「分布混合(distributive mixing)」は、本明細書に於いて、組成物の不均一性を最小にするように、成分の最適空間的再配列を促進する混合操作を示すために使用される。類似の手段として、「分散混合」段階は、材料を、非常に小さい粒子、液滴又はドメインに「崩壊」させ、一方、「分布混合」段階は、しばしば連続プロセス内の更に下流で起こり、これらの非常に小さい粒子、液滴又はドメインを、残りの成分の間に等しく分布されるようにならせる。分布混合は、しばしば、分散混合のものよりも低い強度の混合、即ち、撹拌特徴の混合として参照される。
【0108】
本明細書中に使用する用語「分散剪断(dispersive shear)」は、二軸スクリュー押出機の回転混練要素とバレルとの間のポリマーを可塑化する二軸スクリュー押出機内の混練要素の使用による、溶融ポリマードメインに適用される剪断エネルギーを意味する。このような分散剪断の結果は、溶融ポリマードメインのサイズを減少させることである。前記分散剪断は、どちらかと言えば、所定の体積内で溶融ポリマードメインを均一に分布させるために小さい。
【0109】
用語「輸送要素(conveying element)」は、種々のピッチ角のねじ山を有する押出機要素を記載するために使用される。実際に輸送型の要素が存在してもしなくても、輸送は、回転軸に対して「正」又は「負」であってよいピッチ角に依存する。これに関連して、表現「正ピッチ角」及び「負ピッチ角」は、本明細書に於いて、それぞれ「正ピッチ」及び「負ピッチ」と同義語として使用されるであろう。一般的に、正ピッチは、出口の方(「下流方向」)への材料の流を起こし、一方、負ピッチは、入口の方(「上流方向」)への材料の流を起こすであろう。
【0110】
用語「分布混合要素(distributive mixing element)」は、分布混合を達成する押出機スクリューアセンブリ内の要素を記載するために使用される。しばしば、これらの要素は、材料を、二軸スクリューのかみ合い領域内で切断される分離したストランドに分割する機械の軸に対して垂直である、歯車形状の円板である。その代わりに、この円板は、より大きい混合を達成し、要素のねじ山によって拭われないバレルの死角(dead area)が存在しないことを確保するために、正ピッチ又は負ピッチを有することができる。このような要素は、Coperionから商品名ZME要素で市販されている。その代わりに、最も短い長さ負ピッチ混練ブロック、押出機の直径の半分にほぼ等価の全長を有するものは、分散剪断を作るために押出機のバレルに沿って伸びる不十分な表面積を有するが、分布混合機として機能しない。
【0111】
用語「混練要素(kneading element)」は、ポリマーを、それらのローブ(lobe)と押出機のバレルとの間を通して押す、押出機スクリューアセンブリ内の要素を指すために使用される。これらの要素は、しばしば、一般的にオーバル形状の金属円板である。オーバルの狭い部分は、ポリマーのための体積を可能にする。この要素の回転は、ポリマーを、円板と押出機のバレルとの間の空間の中に引き込むドラッグ(drag)を作る。この円板の一般的な厚さは、押出機の直径の五分の一である。混練要素は、通常、分散及び分布混合の量を制御する、ブロックの長さ又は数を有する、一つより多い個々の要素からなるブロックに組み立てられる。次いで、個々の要素を、互い違いに配置して、第二要素が第一要素に対してある角度で配置されるようにすることができる。互い違いの角度がスクリュー要素の角度と同様である場合には、これは、前進混練ブロックと呼ばれ、材料を、供給部から押出機の出口の方に運ぶであろう。互い違いの角度がスクリュー要素のものに対して反対である場合には、これは逆混練ブロックとして参照する。最後に、混練要素が、互いに対して直角、90°で配置されている場合には、このブロックは、中立混練ブロックとして参照する。混練ブロックが長くなるほど、円板の自由体積内の材料は、円板を越えて流れの方向内の次の円板の上に流れ落ちるのではなくて、より多く、円板とバレルとの間に押される。
【0112】
用語「混合する」、「混ぜる」及び「混合物」は、本明細書に於いて、「混ぜ合わせる」、「ブレンドする」及び「ブレンド」のような用語と同義語的に使用し、2種又はそれ以上の成分から形成される組成物の不均一性を減少する任意のプロセスを指すように意図される。これは、機械的、物理的及び化学的特性並びに製品外観が、一般的に製品の組成物の均一性に依存性であるので、ポリマー加工に於いて重要な工程である。従って、混合工程の結果としての「混合物」は、本明細書に於いて、2種又はそれ以上の成分の組成物によって形成された状態として定義され、これらは必要ではないが互いに対して固定された比率を有することができ、しかしながら混合され、必要ではないが分離した存在を維持すると考えることができる。一般的に、本発明に従った混合工程は、混合物の不均一性を減少することが意図される。
【0113】
本明細書に於ける、全てのパーセント割合、好ましい量又は測定値、範囲及びそれらの終点は、包括的である。即ち、「約10よりも小さい」は、約10を含む。従って、「少なくとも」は「以上」と等価であり、従って「最大」は「以下」と等価である。本明細書中の数字は、記載したもの以上の精度を有しない。従って、「105」は、少なくとも104.5から105.49までを含む。更に、全てのリストは、リストの二つ又はそれ以上の任意の員の組合せを含む。「少なくとも」、「よりも大きい」、「以上」又は同様に記載されたパラメーターから、「最大」、「以下」、「よりも小さい」、「以下である」又は同様に記載されたパラメーターまでの全ての範囲は、それぞれのパラメーターについて示された好ましさの相対程度に無関係に好ましい範囲である。例えば、最も好ましい上限と組合せられた有利な下限を有する範囲は、本発明の実施に好ましい。全ての量、比、割合及び他の測定値は、他の方法で記載されていない限り、重量基準である。全てのパーセント割合は、他の方法で記載されていない限り、本発明の実施に従った全組成物基準の重量%を指す。他の方法で記載されていないか又は他の方法で不可能であると当業者によって認められていない限り、本明細書中に記載されたプロセスの工程は、工程が本明細書中で検討されている順序とは異なる順序で、任意に実施される。更に、工程は、任意的に、分離して、同時に又はタイミング的に重なって起こる。例えば、加熱及び混合のような工程は、しばしば、技術分野で時間的に、分離しており、同時であり又は部分的に重なっている。他の方法で記載されていない限り、望ましくない影響を起こすことができる要素、材料又は工程が、それが、許容できない程度までは影響を起こさないような、量及び形で存在するとき、それは、本発明の実施に実質的に存在しないと考えられる。更に、用語「許容できない」及び「許容できなく」は、商業的に有用である、他の方法で与えられた状況で有用である又は外側予定限界(この限界は、特別の状況及び適用で変化し、性能仕様のように予定により設定することができる)であるものからの逸脱を指すために使用される。当業者は、許容できる限界が、装置、条件、適用及びその他の変数と共に変化するが、それらが適用できるそれぞれの状況に於いて過度の実験なしに決定できることを認識している。幾つかの例に於いて、一つのパラメーターに於ける変動又は逸脱は、別の望ましい目的を達成するために許容できる。
【0114】
用語「含んでなる(comprising)」は、「含有する」、「含む」又は「によって特徴付けられる」と同義であり、包括的であるか又は制限が無く、追加的、列挙されていない要素、材料又は工程を排除しない。用語「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特定された要素、材料又は工程に加えて、要素、列挙されていない材料又は工程が、主題の少なくとも一つの基本的で新規な特徴に、許容できなく、著しく影響を与えない量で存在できることを示す。用語「からなる(consisting of)」は、記載された要素、材料又は工程のみが存在することを示す。
【0115】
本発明は、中間層として有用なフィルム、このフィルムを製造するために有用な組成物並びにこのフィルム及び少なくとも一つの硬質の若しくは光学的に透明な基体からなるラミネート又はこれらの組合せからなる。この組成物は、(a)少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマー並びに少なくとも1種の(b)内部接着増強剤、(c)少なくとも1種の透明度増強剤又は(d)更に好ましくは(b)及び(c)の両方から得ることができる。透明度増強剤は、好ましくは、統合透明度増強剤である。このフィルムは、このような組成物又は少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマー及び内部又は外部であってよい少なくとも1種の接着増強剤からなる。それぞれの例に於いて、組成物として又はフィルム形での組成物は、記載したコンポーネント又は記載した別の手段、好ましくは、組成物の少なくとも約85、更に好ましくは少なくとも約90、最も好ましくは少なくとも約95重量%を占める列挙されたコンポーネントから本質的になり、残りは、好ましくは、当該技術分野の技術内の添加剤、例えば安定性、音響品質、加工特性を改良するための又は透明度若しくはヘイズを更に改良するための又は所望の接着を達成するための又は貫通されるUV光の量及びこのようなフィルムからなるラミネートの他の側上の損傷を減少するための添加剤である。
【0116】
第一コンポーネントは、ポリマーの全重量基準で、少なくとも50、有利には少なくとも約51、好ましくは少なくとも約60、更に好ましくは少なくとも約70、最も好ましくは少なくとも約80%のプロピレンから誘導されたマー単位を有するポリマーである、低結晶化度プロピレンポリマーである。マー単位の残りは、プロピレンと共重合可能な少なくとも1種のモノマー、好ましくは、少なくとも1種のα−オレフィン、好ましくはエチレン又はブテン、更に好ましくはエチレンから誘導される。エチレンをプロピレンと共重合させるとき、低結晶化度プロピレンポリマーは、低結晶化度プロピレンポリマーの重量基準で、有利には少なくとも約8、好ましくは少なくとも約9、更に好ましくは少なくとも約10、最も好ましくは少なくとも約11で、有利には最大約30、好ましくは最大約25、更に好ましくは最大約20、最も好ましくは最大約15%のエチレンのエチレン含有量を有する。少なすぎるコモノマーを有するポリプロピレンは、それが望ましくないヘイズ並びに限定された破壊及び引裂抵抗を有するように結晶性であり得る。現在入手可能なポリマーに於いて、30重量%のエチレンを有するポリプロピレンのものよりも低い結晶化度を達成することが望ましいが、エチレンのより高い量は、フィルムを製造し、取扱いそしてラミネーションのための加工を困難にする、粘着性を伴う。更に、約15%を超えるエチレンの量は、ヘイズを制限することが望ましいとき、本明細書に記載した他の手段を使用することによって処理しなくてはならないヘイズを増加させ得る。低結晶化度プロピレンポリマーは、有利には、好ましくは少なくとも約0.5、更に好ましくは少なくとも約1.0、最も好ましくは少なくとも約1.5で、好ましくは最大約20、更に好ましくは最大約10、最も好ましくは最大約5.0の、ASTM D1238の手順によって、2.16kg及び230℃の条件下で測定したメルトフロー比(MFR)を有する。
【0117】
この低結晶化度プロピレンポリマーは、好ましくは約4.0よりも小さい、更に好ましくは約3.5よりも小さい、最も好ましくは約3よりも小さい、狭い分子量分布を有する。一つの態様に於いて、これらの分子量分布の低結晶化度プロピレンポリマーは、好ましくはメタロセン触媒、例えば米国特許第6,500,653号明細書又は米国特許出願第2004005984号(WO2003/091262)明細書(当該技術分野の技術を示し、法律によって許容される最大範囲まで本明細書に参照して含める)に開示されているものを含む、単一サイトの使用によって得ることができる。好ましくは、この触媒は、米国特許出願第2004005984号明細書に開示された通りであり、好ましくはヘテロ原子が酸素である場合、好ましくはリガンドが、ビフェニルフェノール構造又はその誘導体を含み、更に好ましくは金属としてハフニウムを有し、最も好ましくはボラート活性剤と共に使用される場合である。
【0118】
一つの好ましい態様に於いて、この低結晶化度プロピレンポリマーは、好ましくは、狭い結晶化度分布を有する。結晶化度分布は、米国特許第6,500,563号明細書に記載されているようにして決定される(これは、実質的に均一な組成分布として参照されている)。この分布は、溶媒、好ましくはヘキサンのような炭化水素中での熱分別によって決定される。約30gのサンプルを、約0.3cm立方体に切断し、Ciba-Geigy Corp.から市販されているIrganox(登録商標)1076酸化防止剤50g、次いで425milのヘキサンと混合し、それぞれ23℃、31℃、40℃、48℃、55℃、62℃で、任意に異なった溶媒を使用してサンプルを溶解させるためにとるとき、約8℃の多くの続く間隔で、2回の24時間維持する。溶媒を、各24時間の後に取り替える。それぞれの温度についての溶液を一緒にし、蒸発させて残渣を残し、これを秤量し、そして赤外分光法によって分析して、エチレン重量%を決定する。好ましくはポリマーの少なくとも約75、更に好ましくは少なくとも約85重量%が、一つ又は二つの隣接する可溶性フラクション中に単離され、これらのフラクションのそれぞれは、好ましくは最大約20,更に好ましくは最大約10重量%内の、低結晶化度プロピレンポリマー中のエチレンの平均重量%の重量%エチレン含有量を有する。
【0119】
本発明の別の特に好ましい態様に於いて、本発明に於いて使用される低結晶化度プロピレンポリマーは、2002年5月5日出願された米国特許出願第10/139,786号明細書(PCT特許出願WO03/040201号として公開された)(当該技術分野の技術を示し、特に、このような触媒に関するその教示及びこのような触媒を使用して製造されたポリマーの性質について、法律の下で許容される最大範囲までその全部を本明細書に参照して含める)に記載されているような、非メタロセン、金属中心、ヘテロアリールリガンド触媒を使用して製造されたプロピレン−エチレンコポリマーを含んでなる。このような触媒について、用語「ヘテロアリール」は、置換されたヘテロアリールを含む。このような非メタロセン、金属中心、ヘテロアリールリガンド触媒によって製造されたプロピレン系エラストマーは、独特のレジオ−エラー(regio-error)を示す。レジオ−エラーは、成長するポリマー鎖の中へのプロピレン単位の立体選択的2,1−挿入エラーの結果であると信じられる、約14.6及び約15.7ppmでの対応する13C NMRピークによって同定される。この特に好ましい面に於いて、これらのピークはほぼ等しい強度のものであり、これらは、典型的には、コポリマー鎖の中へのプロピレン挿入の約0.02〜約7モル%を表す。これらの低結晶化度プロピレンポリマーは、以下、ヘテロアリール触媒化(heteroaryl-catalyzed)プロピレンポリマーと参照する。
【0120】
このヘテロアリール触媒作用プロピレンポリマーは、好ましくは、3.5よりも小さい、好ましくは3.0よりも小さい分子量分布(Mw/Mn)を有する。
【0121】
ヘテロアリール触媒作用プロピレンポリマーの重量平均分子量(Mw)は、有利には少なくとも約30,000、更に有利には少なくとも約54,000、最も有利には少なくとも約90,000、好ましくは少なくとも約110,000、更に好ましくは少なくとも約150,000、最も好ましくは少なくとも約165,000であり、有利には最大約1,000,000、好ましくは最大約750,000、更に好ましくは最大約500,000である。
【0122】
ヘテロアリール触媒化プロピレンポリマーは、好ましくは、少なくとも約1ジュール/g、好ましくは少なくとも約2、有利には最大約35、更に有利には最大約25、好ましくは最大約15、更に好ましくは最大約12、最も好ましくは最大約6ジュール/gの、示差走査熱量測定による融解熱(ΔH)を示す。
【0123】
本発明の特に好ましい面に於いて、ヘテロアリール触媒化プロピレンポリマーは、本質的に同じなままであるTme及びコポリマー中の不飽和モノマーの量が増加するとき低下するTmaxを有するDSC曲線によって特徴付けられるプロピレン系エラストマー(好ましくはプロピレン−エチレンエラストマー)である。
【0124】
本発明の特に好ましい面に於いて、ヘテロアリール触媒化プロピレンポリマーは、広い結晶化度分布を示すプロピレン系エラストマーである。約20ジュール/gよりも大きい融解熱を有するエラストマーについて、結晶化度分布は、好ましくは、下記のようなTREF/ATREF分析から決定される。
【0125】
結晶化性シーケンス長さ分布の決定は、昇温溶離分別(TREF)により標本規模で実施できる。個々のフラクションの相対質量を、更なる連続分布を推定するための基礎として使用することができる。L.Wildら、Journal of Polymer Science:Polymer,Physics Ed.、第20巻、第441頁(1982年)は、サンプルサイズを縮小し、質量検出器を加えて、溶離温度の関数として分布の連続標本を作った。この縮小版である分析的昇温溶離分別(ATREF)は、実際のフラクションの単離には関係しないが、フラクションの重量分布を更に正確に決定することに関係する。
【0126】
TREFは、元々、エチレンと高級α−オレフィンとのコポリマーに適用されたが、これは、また、プロピレンとエチレン(又はより高級のα−オレフィン)とのアイソタクチックコポリマーの分析のために使用することもできる。プロピレンのコポリマーの分析は、純粋なアイソタクチックポリプロピレンの溶解及び結晶化のために、より高い温度を必要とするが、問題の共重合生成物の大部分は、エチレンのコポリマーについて観察されるのと類似の温度で溶離する。下記の表は、プロピレンのコポリマーの分析のために使用される条件の要約である。言及したもの以外は、TREFについての条件は、Wildらの同書及びHazlitt、Journal of Applied Polymer Science:Appl.Polym.Symp.、第45巻、第25頁(1990年)のものと一致している。
【0127】
【表1】

【0128】
TREFから得られるデータは、溶離温度の関数としての重量フラクションの標準化したプロットとして表される。分離機構は、エチレンのコポリマーのものと類似であり、それにより、結晶化性コンポーネント(エチレン)のモル含有量は、溶離温度を決定する主因子である。プロピレンのコポリマーの場合に、これは、主として溶離温度を決定するアイソタクチックプロピレン単位のモル含有量である。
【0129】
プロピレン系エラストマーの結晶化度分布を記載するために使用することができる一つの統計的因子は歪度であり、これは、特別のポリマーについてのTREF曲線の対称性を反映する統計値である。式1は、この対称性の尺度としての歪度指数、Sixを、数学的に表す。
【0130】
【数2】

【0131】
値TMaxは、TREF曲線に於いて50℃と90℃との間で溶離する最大重量フラクションの温度として定義される。Ti及びwiは、それぞれ、TREF分布に於ける任意のi番目のフラクションの溶離温度及び重量分率である。分布は、30℃よりも高く90℃よりも低くて溶離する曲線の全面積に対して標準化されている(wiの合計は100%に等しい)。従って、この指数は、コモノマー(エチレン)を含有する結晶化されたポリマーの形状のみを反映し、どのような結晶化されていないポリマー(30℃以下で未だ溶液中にあるポリマー)も、式1に示される計算から削除される。本発明の特に好ましい面に於いて、プロピレン系エラストマーについて歪度指数によって示される広い結晶化度分布は、−1.2よりも大きく、好ましくは−1.0よりも大きく、更に好ましくは−0.8よりも大きく、なお更に好ましくは−0.7よりも大きく、幾つかの例に於いては−0.60よりも大きい。このような歪度指数は、広い結晶化度分布を有するプロピレン系エラストマーを表す。
【0132】
歪度指数に加えて、TREF曲線の幅の他の尺度(従って、コポリマーの結晶化度分布の幅の尺度)は、最終溶離四分位数の中間溶離温度(TM4)である。この中間溶離温度は、最後又は最高温度で溶離する、TREF分布の25%重量フラクション(30℃以下で未だ溶液中にあるポリマーは、歪度指数について前記したように計算から削除される)の中間溶離温度である。上部温度四分位数範囲(TM4−TMax)は、最終溶離四分位数の中間溶離温度とピーク温度TMaxとの間の差を定義する。本発明のこの特に好ましい面に於いて、プロピレン−α−オレフィンコポリマーは、4.0℃よりも高い、好ましくは少なくとも4.5℃、更に好ましくは少なくとも5℃、なお更に好ましくは少なくとも6℃、最も好ましくは少なくとも7℃、幾つかの例に於いては少なくとも8℃、更に少なくとも9℃の上部温度四分位数範囲によって部分的に示される広い結晶化度分布を有する。一般的に、上部温度四分位数範囲についてのより高い値は、コポリマーについてのより広い結晶化度分布に相当する。本発明に於いて使用されるプロピレン系エラストマーは、好ましくは上記の上部温度四分位範囲を実現する広い結晶化度分布を示す。
【0133】
更に、この特に好ましい面に於いて、プロピレン系エラストマーは、プロピレン−エチレンコポリマーを含んでなり、TREFによって検査したとき、異常で、予想外の結果を示す。この分布は、大きい溶離温度範囲をカバーし、他方、同時に顕著な狭いピークを与える。更に、エチレン含有の広い範囲に亘って、このピーク温度、TMaxは60℃〜65℃に近い。従来のプロピレン系コポリマーに於いて、エチレン含有の同様のレベルについて、このピークは、より低いエチレン含有と共に、より高い溶離温度の方に移動する。
【0134】
従来のメタロセン触媒について、プロピレンのモル分率、Xpの、ピーク最大についてのTREF溶離温度、TMaxに対する近似関係は、下記の式によって与えられる。
Loge(Xp)=−289/(273+Tmax)+0.74
【0135】
この特に好ましい面に於けるプロピレン系エラストマーについて、プロピレンのモル分率の自然対数、Lnpは、下記の式に示されるように、従来のメタロセンのものよりも大きい。
LnP>−289/(273+Tmax)+0.75
【0136】
20ジュール/g融解熱よりも低い融解熱を示すプロピレン系エラストマーについて、広い結晶化度分布は、好ましくは、DSCを使用する高結晶性フラクション(HCF)の決定により又はGPC−FTIRを使用する相対組成ドリフト(RCD)の決定により示される。これらの分析は、下記のようにして実施される。
【0137】
高結晶性フラクション、HCFは、128℃よりも高いDSC溶融曲線内の部分面積として定義される。部分面積は、最初に融解熱を得、次いで128℃で垂線を降ろし、(融解熱のために使用したものと同じ基線に対して)128℃よりも高い部分面積を得ることによって得られる。本発明の最も好ましい面のプロピレン−エチレンコポリマーは、20ジュール/gより低い融解熱を有し、約0.1J/gよりも大きいHCFフラクション及び約10重量%よりも大きいエチレン含有量を有し、更に好ましくは、HCFは0.2J/gよりも大きく、最も好ましくはHCFは約0.5J/gよりも大きく、エチレン含有量は約10重量%よりも大きいであろう。
【0138】
上記のDSC方法の代替方法又はこれへの付属物として、より低い結晶化度のコポリマーについての結晶化度分布の相対幅が、GPC−FTIR方法論を使用して確立できる[R.P.Markovich、L.G.Hazlitt、L.Smith、ACS Symposium Series:Chromatography of Polymers、v.521,pp.270-276,199;R.P.Markovich、L.G.Hazlitt、L.Smith、Polymeric Materials Science and Engineering、65,98-100,1991;P.J.DesLauriers、D.C.Rohlfing、E.T.Hsieh、「サイズ排除クロマトグラフィー及びフーリエ変換赤外分光法(SEC−FTIR)を使用するエチレン1−オレフィンコポリマーに於ける短鎖枝分かれの定量(Quantifying Short Chain Branching in Ethylene 1-olefin Copolymers using Size Exclusion Chromatography and Fourier Transform Infrared Spectroscopy(SEC-FTIR))」、Polymer、43(2002),159−170]。これらの方法は、元々、エチレン系コポリマーのために意図されており、ポリマー分子量の関数としてコポリマー組成を提供するためにプロピレン系システムに容易に適合させることができる。(エチレン含有に関して)広い組成分布を示すプロピレン−エチレンコポリマーは、GPC−FTIR方法に記載されたように測定されるとき、また、上記のDSC方法に於いて高いHCF値によって示されるように、広い結晶化度分布を示すことが見出された。この理由のために、本発明の目的のために、組成分布及び結晶化度分布は、低い全結晶化度コポリマーについてのHCF値の大きさ(即ち、20ジュール/gよりも小さい融解熱)によって示されるような結晶化度分布の相対幅は、GPC−FTIRによって測定されたRCD(以下に記載する)の大きさによって示されるような、より広い組成分布に相当する。
【0139】
一つの態様に於いて、低結晶化度プロピレンポリマーは、少なくとも1種の接着増強剤と共に使用される。
【0140】
殆どの例に於いて、基体に対する低結晶化度プロピレンポリマーの接着を増強することが有用である。これは、以下に記載する発明的手段を含む、内部又は外部接着増強剤を使用することによって達成される。外部接着増強剤の代表は、低結晶化度プロピレンポリマーの層と基体との間に使用することができるタイ層及び低結晶化度プロピレンポリマーの上に又は好ましくはそれが接着される基体の上に使用することができるプライマーである。これらの層は、しばしば、α−オレフィン、特にエチレンと、ビニルエステル又はアクリレート若しくはメタクリレートエステル、例えばアクリル酸メチル(EMA)、メタクリル酸メチルなどとのグラフトコポリマーを含むコポリマーのようなポリマーを含む。タイ層は、任意的に及びしばしば、エチレン酢酸ビニル(EVA)、アイオノマー、例えばエチレンアクリル酸の塩、エチルアクリルアセテート、メタクリル酸エチル(EMAC)、メタロセン触媒作用ポリエチレン(m−PE)、エチレンポリマーのグラフトコポリマー、例えばエチレンポリマーの無水マレイン酸グラフト、可塑化されたPVB及び音響的に変性されたPVB(例えば特開平5−138840号公報中に開示されている)を含むPVB、ISD樹脂(米国特許第5,624,763号明細書及び特許文献22)、ポリウレタン、可塑化されたPVC及び音響的に変性されたPVC(例えば、米国特許第4,382,996号明細書のもの、日本国大阪市の積水化学(株)から入手可能、更に米国特許第5,773,102号明細書の中間層フィルム中に記載されている)を含むポリ塩化ビニル(PVC)並びにこれらの組合せからなり、エチレン及び少なくとも1種の極性コモノマーからなるコポリマーを含有するタイ層が好ましく、酢酸ビニルとのエチレンコポリマーが更に好ましい。プライマーの適用なしに鉱物ガラスに接着する材料、例えばEVAは、それらが得られるラミネートのコスト及び複雑性を減少するので、本発明に於いて好ましいタイ層である。これらの樹脂の、透明で、非黄色化で、温度及び光安定性グレードが好ましい。接着ポリマーとして使用するEVAのエチレン含有量は、EVA中のモノマーの全重量基準で、好ましくは少なくとも約15、更に好ましくは少なくとも約18、最も好ましくは少なくとも約25で、好ましくは最大約32、更に好ましくは最大約28である。
【0141】
タイ層がEVAであるとき、中間層フィルムは、好ましくは、A/B(EVA/中間層)又はA/B/A(EVA/中間層/EVA)配置で共押出されて、ラミネートされたフィルムを形成する。その代わりに、EVAフィルムを、中間層フィルムのために本明細書中に記載されたこれらの押出プロセスを含む、種々のフィルム加工技術を使用して、別個に押し出すか又はフィルムに流延することができる。光学的ラミネート中間層フィルムのための適切なEVA樹脂は、例えばブリジストン(株)(日本、東京)、Exxon Corporation、テキサス州Baytownから及びSpecialized Technologies Resources,Inc.、コネチカット州Enfieldから得ることができ、例えば、DuPontから、商品名Elvax3134、3150、3170、3174、3175及び3190で市販されているEVAポリマー。同様に、DuPontから商品名Surlyn1705及び1802で又はArkemaから商品名Lotryl28MA07で市販されているエチレン/メタクリル酸の塩のような他のタイ層が市販されている。
【0142】
中間層、タイ層又は層群の相対的厚さ比及びこれらの上にラミネートされる材料又は材料群の選択は、当該技術分野の技術内であり、接着、重量、貫通耐性、音響バリヤー、安全性バリヤーなどの組合せを最適にするように選択されるべきである。これらの制約内で、タイ層の厚さは、しばしば有利には、窓ガラスラミネートについて、少なくとも約0.01mm、更に好ましくは少なくとも約0.03mm、最も好ましくは少なくとも約0.05mmである。便利には、タイ層は、殆どの用途のために、最大約1mm、好ましくは最大約0.5mm、最も好ましくは最大約0.3mmである。タイ層は、隣接する中間層フィルムの厚さの、好ましくは少なくとも約3、更に好ましくは少なくとも約4で好ましくは最大約10、更に好ましくは最大約8、最も好ましくは最大約7%である。
【0143】
外部接着増強剤の他の種類は、基体又は中間層の一つ又はそれ以上の表面に、それらの間の接着を改良するために適用することができる、プライマー、化合物又は組成物である。特に、ガラス基体の場合に、ガラスに結合するための極性及びそれに結合されるべきポリマーとのイオン性又は好ましくは化学的結合を形成する化学的官能基を与えるために、プライマーが一般的に使用される。代表的なプライマーには、シラン、シロキサン、チタン酸塩及びこれらの組合せ、好ましくは、ビニル−トリエトキシ−シラン、アミノ−プロピル−トリエトキシ−シラン及びこれらの組合せが含まれ、同じ化合物の多くは、また、中間層フィルム組成物と混合するとき、カップリング剤として有用である。
【0144】
外部接着増強剤の更に別の態様は、例えば特願2004−276947号明細書でSonoda及びOsadaによって教示されているような、コロナ放電(これは、当該技術分野の技術内である)による中間層フィルムの表面処理であり、この特許出願に於いて、彼らは、ポリエステル及びコポリエステルのフィルムをコロナ放電により処理し、次いで接着を実施するためにポリエステル/メラミン架橋剤/SiO2液体の皮膜を使用している。コロナ処理は、フィルムの表面上の官能基になると信じられる。この官能基は、基体、特に極性、好ましくは極性有機材料、例えばポリカーボネート、アクリレート及びメタクリレートに接着する際に有用であろう。
【0145】
前記定義したようなカップリング剤は接着増強剤の好ましいクラスである。多くの例に於いて、これらは、また、結晶形成になるために十分な温度で、加工、例えばラミネートした後より低いヘイズになる架橋に、化学的に含まれ、従って、これらはまた透明度増強剤である。これらの化合物は、プライマーのように、少なくとも一つのガラスに接着する分子単位、例えばシラン又はチタン酸塩基及び少なくとも一つの、中間層フィルム組成物中の少なくとも1種のポリマーと相溶性であり、そしてこのポリマーに結合し得る又はこのポリマーへの接着を増強する他の有機単位を有する。好ましいカップリング剤は、基体及び中間層組成物中の少なくとも1種のポリマーの両方と化学的に反応することができる。この種の反応性カップリング剤の例には、ビニルアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン及びこれらの組合せが含まれる。これらのカップリング剤のビニル官能基は、フリーラジカルを開始するための少量の過酸化物を使用して、オレフィンポリマーにグラフトさせることができる。アルコキシシラン官能基は、過酸化物に曝露された後に保有され、基体、例えば鉱物ガラス上のヒドロキシル官能基への水分開始結合、架橋又はこれらの組合せを可能にする。この架橋は、ポリマー中の結晶成長を阻止することを助け、従って時間と共に増加するヘイズを抑制する。本発明の組成物中のカップリング剤の濃度は、有利には、それに直ぐ隣接する基体への中間層の接着を改良するために少なくとも十分であり、有利には、中間層組成物中のポリマーの重量基準で、少なくとも約0.5、更に有利には少なくとも約1.0、好ましくは少なくとも約1.2、更に好ましくは少なくとも約1.4、最も好ましくは少なくとも約1.6重量%である。殆どの態様に於いて、この量は、組成物中のポリマーの重量基準で、好ましくは最大約3、更に好ましくは最大約2.5、最も好ましくは最大約2重量%である。それは、これが本発明の目的のために十分であるからである。追加のカップリング剤は、システムのコストを増加させ、加工の間にポリマーの中に侵入し得る少量の水のために起こる架橋の量を増加させる。
【0146】
カップリング剤、特にシランカップリング剤の使用は、好ましくは、架橋剤の使用又はフリーラジカルの他の導入を伴う。本発明は、これらの信頼性の正確さに制限されるべきではないけれども、架橋剤又は他のラジカル源泉が、カップリング剤と存在するポリマー又はポリマー群との反応になり、カップリング剤とポリマーとが一緒に結合するようになる(本明細書に於いて、グラフトされるともいう)と信じられる。このような結合は、カップリング剤の有効性を増強すると信じられる。
【0147】
任意的に、ビニル官能基及び別の非ビニル官能基を有するカップリング剤の非ビニル官能基のための促進剤の触媒量が使用される。この促進剤は、アルコキシシランと水との反応を促進するために、ビニルアルコキシシランと共に、任意的にそして有利に、使用される触媒である。ビニル官能性シロキサン、例えばビニルトリメトキシシラン又はビニルトリエトキシシランの場合に、この触媒的促進剤は、スズ化合物、例えばジブチルスズジラウレートである。触媒量は、ラミネートのレイアップの間にシートの中に吸収される水分の反応速度を増加するこれらの量であり、この水分は、ガラスラミネーションプロセスの間に、シートの架橋及び基体への結合になり、中間層組成物の全重量基準で、好ましくは少なくとも約10、更に好ましくは少なくとも約20、最も好ましくは少なくとも約30で、好ましくは最大約300、更に好ましくは最大約200、最も好ましくは最大約100ppm(重量基準で100万当たりの部)である。
【0148】
カップリング剤の存在下又は不存在下で行われるとき、透明度、ヘイズ、接着、他の所望の特性又はこれらの組合せを改良するような、所望の程度の架橋を達成するために、材料が任意的に、そして好ましく添加され若しくはプロセスが使用され又はこれらの組合せが行われる。これらの材料、化合物又は組成物は、以下、架橋剤という。架橋は、中間層組成物の、結晶化してヘイズになるような傾向を減少させることによって、ヘイズ形成を回避又は減少させることができる。従って、架橋剤及び架橋放射線は、透明度増強剤である。この結晶化は、フィルムの初期形成の際に又は熱、圧力若しくはこれらの組合せのような条件に曝露した後に、例えばラミネートの形成の際に起こり得る。PVB中間層を使用する安全ガラスの形成の際にしばしば使用される温度及び圧力は、例えば、大気圧を超える圧力で110〜185℃の範囲内で、おそらく数時間であろう。このような条件は、架橋されないポリオレフィンの再結晶化になるために十分である。
【0149】
加工の間に或る量の反応を受ける反応性カップリング剤、例えばビニルアルコキシシランの使用は、粘着性又はブロッキネス(blockiness)になり難い配合物になる。これは、材料を加工しやすくし、使用の間にシート又はフィルムを解くための剥離シートの必要性を除くことができる。
【0150】
架橋は、任意的に、当該技術分野の技術内である任意の方法によって達成される。Rubber Chemistry and Technology、第47巻、第452−490頁、(1974年)中のPeter Dluzneski、“Peroxide Vulcacization of Elastomers”に開示されているような、アジド化合物、例えば米国特許第6,143,829号明細書(法律によって許容される範囲まで参照して含める)のような文献中に開示されているようなスルホニルアジド若しくはこれらの組合せ、有機過酸化物、例えば過酸化ジクミル、過酸化ジ−t−ブチル若しくはこれらの組合せ、アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アジド、例えばスルホニルアジドによるカップリングのような又は放射エネルギー、例えば紫外(UV)、e−ビーム若しくはガンマ線などとの相互作用による方法が適している。過酸化物、過酸化物シラノール、UV開始、アジド、ジアゾ架橋及びこれらの組合せのような方法が好ましく、過酸化物が好ましい架橋剤である。この過酸化物は好ましくは有機過酸化物である。適切な有機過酸化物は120℃で少なくとも1時間の半減期を有する。例示的過酸化物には、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼンを含有し、Hercules,Inc.から商品名VULCUP(登録商標)で入手可能である加硫及び重合剤のシリーズ、過酸化ジクミルを含有し、Hercules,Inc.から商品名Di−cup(登録商標)で入手可能であるこのような試薬のシリーズ並びにElf Atochem,North Americaによって製造されたLupersol(登録商標)過酸化物又はAkzo Nobelによって製造されたTrigonox(登録商標)有機過酸化物が含まれる。Lupersol(登録商標)過酸化物には、Lupersol(登録商標)101(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン)、Lupersol(登録商標)130(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3)及びLupersol(登録商標)575(t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート)が含まれる。他の適切な過酸化物には、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ(t−アミル)ペルオキシド、2,5−ジ(t−アミルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジフェニルヘキサン、ビス(アルファーメチルベンジル)ペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過安息香酸t−ブチル、3,6,9−トリエチル−3,6,9−トリメチル−1,4,7−トリペルオキソナン及びビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼンが含まれる。
【0151】
架橋は、フィルム形成の前又は後に起こり得る。例えば過酸化物架橋は、典型的には、過酸化物をポリマーの中に含有させ、そしてこの混合物を、ポリマーが溶融するように処理することによって起こる。典型的には、この処理は、また、過酸化物の熱活性化を誘導し、ポリマー中のラジカル生成に至るような温度である。この処理は、溶融物をダイに通して押し出すことによって、溶融したポリマーをフィルムに成形するプロセスの一部として実施することができる。放射線架橋は、しばしば、成形されたフィルムを、放射線、例えばUV放射線に曝露することによって達成される。その代わりに、放射線を、放射線の存在下で活性である架橋剤と共に使用する。このような架橋剤には、例えば、当該技術分野の技術内で公知であり、市販されている光開始剤、例えばCiba Specialty Chemicalsから商品名Irgacure819光開始剤で市販されているビスアシルホスフィンオキシドが含まれる。
【0152】
有機過酸化物を本発明のポリマーの中に含有させることが比較的容易であること並びにポリマーの架橋及びカップリング剤のグラフト化の両方を誘導するための過酸化物の能力のために、過酸化物架橋が好ましい。過酸化物架橋に於いて、過酸化物、好ましくは有機過酸化物、例えば、Arkemaから商品名Dicupで市販されている過酸化ジクミル、Arkemaから商品名Vulcupで市販されているジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、Akzo Nobelから商品名Triganox29で市販されている1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、Arkemaから商品名Luperox101で市販されている2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンが、本発明の組成物の中に含有される。過酸化物の量は注意深く制御され、混合はヘイズ、ゲル含有量又はこれらの組合せの増加を回避するために均一である。本発明の組成物中の架橋剤の濃度は、有利にはそれに直ぐ隣接する基体への中間層の接着を改良するために若しくはヘイズを改良するために又はこれらの組合せのために少なくとも十分であり、本発明の組成物の全重量基準で、有利には少なくとも約0.1%、更に有利には少なくとも約0.5%、好ましくは少なくとも約1%であり、好ましくは最大約3、更に好ましくは最大約2重量%である。過剰の過酸化物は、脆性になり得る。
【0153】
過酸化物を組成物の中に含有させた後、これを活性ラジカル種への過酸化物のほぼ実質的に完全な転換を起こさせるために十分な温度で処理する。その時間及び温度は、一般的に、過酸化物の半減期に基づいて決定される。過酸化物半減期は、過酸化物の半分が熱処理の間に反応するために必要な時間として定義され、温度依存性である。異なった有機過酸化物構造は、同じ温度で異なった半減期を有しており、ポリマーを加工するために使用される過酸化物及び温度の選択は、同時発生的に選択されるようなものである。所定の過酸化物について、過酸化物の実質的に完全な転換を得るために、6半減期にほぼ等しい温度での処理時間が望ましい。
【0154】
過酸化物−シラノール架橋に於いて、過酸化物とビニルアルコキシシラン、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン又はこれらの組合せとの組合せを、本発明の組成物と混合する。例えば押出機内、フィルム形成又はこれらの組合せでの混合は、ビニルアルコキシシランのビニル官能基をポリマー鎖にグラフトさせるための、過酸化物のための十分な熱を提供する。ポリオレフィンポリマー鎖へのビニルアルコキシシランのビニル官能基のこのグラフト化は、混合及び押出の間にその場で(in situ)起こり、そして極性基体、好ましくは無機極性基体、更に好ましくは鉱物ガラス、金属又はこれらの組合せ、最も好ましくは鉱物ガラスに対し架橋又は結合するためのシロキサン官能基の大部分を残す。架橋を達成するために、フィルムの水処理が使用される。水は、任意的に、スチーム処理、熱い、任意に沸騰している水との接触などによって供給され、架橋を加速するが、これらは希に必要である。本発明の中間層フィルムは、殆どの場合に十分に水浸透性であり、基体への架橋及び結合のための適切な水分を提供し、ガラスへの結合を開始するために、大気水分(好ましくは、少なくとも約50%の相対湿度)に曝露することのみを必要とする。大気水分からの早すぎる架橋を回避するために、水分非浸透性包装、例えば、箔若しくは箔裏打ち袋内に入れること及びそこで取り扱うこと又は除湿した領域内での貯蔵による保護は、ときには、基体への架橋、カップリング又は両方が望まれるまで適切である。過酸化物及びシラノールの組合せは、コンセントレート、例えばOSI Corp.から商品名SILCATで市販されているコンセントレートで入手可能である。組成的に、これらのコンセントレートは、主として、フリーラジカルグラフト化反応を開始するためにちょうど十分な過酸化物を伴うビニルアルコキシシランである。このようなコンセントレートは、典型的には、少量の、アルコキシシラン官能基と水との反応を加速するスズ触媒、例えばジイソブチルスズジラウレートを含有している。従って、このコンセントレートは、好ましくは、本明細書に於いて、前に開示したカップリング剤の有利で好ましい量に対応する量で使用される。
【0155】
ビニルシラン化合物は、ガラス及び他の無機基体に結合又は接着させる際に特に有用であるが、ポリカーボネート、アクリレート又はメタクリレートポリマーのような有機基体への結合又は接着は、好ましくはタイ層又は当該技術分野の公知技術内である他の手段を使用して達成される。例えば低結晶化度プロピレンポリマー及び透明化ポリマーとの任意のブレンドは、無水マレイン酸によってグラフト化して、水素結合、従って一層極性のポリマーへの接着を増加させることができる。
【0156】
一つの態様に於いて、少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマーを、好ましくは透明度増強剤、接着増強剤又はこれらの組合せとして作用する少なくとも1種の追加のポリマーと混合する(また、ブレンドするとして参照される)。透明度が望まれるとき、得られるブレンド中のそれぞれのポリマーの屈折率は、ヘイズを増加することを回避するために十分に近いことが好ましい。得られるポリマーブレンドが低結晶化度プロピレンポリマーのものよりも低いヘイズを有するとき、追加のポリマー又はポリマー群は、本明細書に於いて、透明化ポリマーとして参照されるが、このようなポリマーの使用は、しばしば、ヘイズ及び接着の両方を改良することが観察され、従って、これは透明度増強剤及び接着増強剤の両方である。好ましい透明化ポリマーには、前にVLDPE、ULDPEとして記載したエチレン/α−オレフィンポリマー、均一エチレンポリマー及び実質的に線状のエチレンポリマー又はこれらの組合せが含まれ、更に好ましくは均一エチレンポリマー、最も好ましくは実質的に線状のエチレンポリマーが含まれる。他の有用な透明化ポリマーには、ポリブテン、アタクチックポリプロピレン及び他の高級オレフィンのポリマー、例えば、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)が含まれる。この後者の材料は、一般的にPMPと略記され、ポリスチレン及びアクリル樹脂と類似の異例な光学的透明度及び他の低級ポリオレフィンとの相溶性を有することが知られている。
【0157】
光学的透明度が所望されるとき、透明化ポリマーは、有利には、低結晶化度プロピレンポリマーのものに近い屈折率を有する。透明化ポリマーと低結晶化度プロピレンポリマーとの屈折率は、互いの、有利には約0.2以内、更に有利には約0.1以内、好ましくは約0.05以内、更に好ましくは約0.03以内、最も好ましくは約0.01以内である。ポリマーが類似の屈折率を有しないとき、得られるヘイズは、いずれかのポリマー単独のものよりも高いであろう。2種のポリマーの屈折率が適切に適合しているとき、得られるブレンドのヘイズは、コンポーネント、即ち低結晶化度プロピレンポリマー又はポリマー群及び透明化ポリマー又はポリマー群の平均ヘイズ以下である。低結晶化度プロピレンポリマー又はポリマー群及び透明化ポリマー又はポリマー群の得られるブレンドは、また、有利には、ラミネート中に使用されるガラスのものと類似している屈折率を有する。隣接するポリマー組成物(例えばタイ層と中間層フィルムとの間)、ポリマー組成物とガラスとの間又はこれらの組合せの屈折率は、互いの、有利には約0.2以内、更に有利には約0.1以内、好ましくは約0.05以内、更に好ましくは約0.03以内、最も好ましくは約0.02以内である。中間層組成物とガラス又は他の透明基体との一つのみ又は二つの界面が存在し、タイ層又は二つ又はそれ以上の中間層フィルムが存在するときは、おそらくもっと多くの界面が存在するので、中間層と基体との間の屈折率適合は、殆ど、2種のポリマーの間ほど重要ではない。それは、中間層内で、中間層を作る異なったポリマーのドメインの間に数桁多くの界面が存在するであろうからである。透明化ポリマーと低結晶化度プロピレンポリマーとの混合は、しばしば、例えばそれが大きい結晶の成長を減少させるとき、一方又は両方のポリマーの結晶化挙動を変化させる。それらと共に使用すべき添加剤及び増強剤を含有する一連のポリマーシステムの比較は、個々に測定されたとき、類似の屈折率を有するポリマーの組合せの中から選択するために、任意的に使用される。一連のポリマーブレンドを比較することが望まれ、透明化ポリマーがエチレンポリマーであるとき、低結晶化度プロピレンポリマーのものにできるだけ近い密度を有するエチレンポリマーを選択することが有用であろう。この理由のために、透明化ポリマーの密度は、低結晶化度プロピレンポリマーの密度の、好ましくは最大約0.05g/cm3、更に好ましくは最大約0.03g/cm3、最も好ましくは最大約0.02g/cm3以内。
【0158】
本発明の組成物又はフィルム中の透明化ポリマーの量は、得られる組成物又はフィルムの全重量基準で、有利には少なくとも約10、更に有利には少なくとも15、最も有利には少なくとも約20、好ましくは少なくとも約30、更に好ましくは少なくとも約35、最も好ましくは少なくとも約40で、最大約80、更に有利には最大約75、好ましくは最大約70、更に好ましくは最大約65、最も好ましくは最大約60重量%である。
【0159】
透明化ポリマーと低結晶化度プロピレンポリマーとの組合せは、任意的に、一つ又はそれ以上のタイ層と共に使用されるか又は好ましくはタイ層無しで使用される。この組合せは、また、任意にそして好ましくは、1種又はそれ以上のカップリング剤と共に使用され、独立に任意的に、そして好ましくは、前記のような架橋剤と共に使用される。
【0160】
中間層組成物を形成するために、種々の添加剤が、有利に、少なくとも1種の透明化ポリマーが使用されても又は使用されなくても、低結晶化度プロピレンポリマー又はこれらの組合せと共に使用される。添加剤の種類及び本質(identity)は、製造される中間層の種類及び最終用途に依存する。中間層組成物は、有利には、少なくとも1種のUV光安定剤若しくは吸収剤又はこれらの組合せを含有している。UV光安定剤は、好ましくは、ヒンダードアミン、ベンゾフェノン及びベンゾトリアゾールであり、更に好ましくはUV光を吸収するために後者である。UV光安定剤及び吸収剤は、市販されており、American Cyanamidから商品名Cyasorb UV9で市販されている2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、Ciba Specialty Chemicals,Inc.から商品名CHIMASORB944で市販されているポリ[2−N,N’−ジ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ヘキサンジアミン−4−(1−アミノ−1,1,3,3−テトラメチルブタン)シントリアジン]及びNoramco Corporation(米国)から商品名NORBLOCK(登録商標)吸収剤で市販されている重合性ベンゾトリアゾール又はこれらの組合せを含む。本発明の組成物中のUV光安定剤の濃度は、有利には、少なくとも、UV光の影響を減少させるために十分であり、本発明の組成物の全重量基準で、有利には少なくとも約100ppm、更に有利には少なくとも約200,好ましくは少なくとも約300、更に好ましくは少なくとも約500で、好ましくは最大約2000、好ましくは最大約1000、最も好ましくは最大約750ppm(100万当たりの部)である。過剰のUV光安定剤は、ポリマーから相分離して、増加したヘイズに至り得るか又はフィルム表面に移動して、接着を弱くし得る。或る種のUV光安定剤は、UV光を吸収し、そうして、中間層内で、一方の側でUV光の源泉、例えば太陽光に曝露したとき、中間層の反対側上でUV光から物体を保護する。これは、車及び建物の中にあるもの又は内装、太陽電池又は光電池の電子部品などを、UV線から保護するために有用である。
【0161】
追加的に、他の添加剤、例えばIR光の通過を減少するためのIR光ブロッカー、顔料、染料若しくは着色剤(建築、装飾又は他の着色用途のため)、ラミネートの反射を増加させるための添加剤、フィルムの粘着を減少するための添加剤、微粒子、当該技術分野の技術内の他の添加剤又はこれらの組合せが、任意的に使用される。例えば建築、装飾及び他の用途のために、特殊なカラー効果が必要なとき、顔料、染料及び/又はカラーコンセントレートを添加することができる。これらは、着色技術によって決定されるような濃度で使用される。
【0162】
核生成剤が、任意的にではあるが、好ましくではなく、光学的特性及び透明度を改良するために、フィルムのヘイズを減少するために若しくは材料の形態的構造を安定化させるために又はこれらの組合せのために添加される。核生成剤の含有は、結晶単位の寸法を減少させ、ラミネーションの間のフィルムの再加熱の後又は太陽又は他の熱源への曝露の後に安定化を与えることを助けると考えられている。
【0163】
ポリマーからブリードアウトして中間層フィルムと隣接する基体との間の泡、透明度に於ける減少、ヘイズに於ける増加、中間層フィルムと基体との間の接着に於ける望ましくない減少又はこれらの組合せのような望ましくない影響になることが知られている、可塑剤のような添加剤は好ましくは回避される(実質的に存在しない)。
【0164】
一つの態様に於いて、少なくとも1種の内部接着増強剤又は少なくとも1種の透明度増強剤は、少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマー及び使用される添加剤又は添加剤パッケージと、任意の順序で、当該技術分野の技術内の任意の手段で、例えば溶融配合押出機、例えば二軸スクリュー押出機、バッチミキサー、例えばバンバリー、ハーケ(HAAKE)又はブラベンダーミキサー、連続式ミキサーなど内で混合することによって混合される。少なくとも1種の接着増強剤若しくは透明度増強剤又は両方は、任意的にポリマー性であり、例えば透明化ポリマーである。ポリマーと添加剤との実質的に均一な混合が非常に好ましい。添加剤の1種又はそれ以上は、任意的に、エチレン若しくはプロピレンポリマー又は本発明の組成物中に使用されるポリマーと相溶性である他のポリマー中のコンセントレートとして使用される。一般的に、本発明の組成物は、(a)少なくとも1種の第一コンポーネントである低結晶化度プロピレンポリマーを供給する工程、(b)少なくとも1種の内部接着増強剤、少なくとも1種の透明度増強剤又はこれらの組合せから選択された、少なくとも1種の第二コンポーネントを供給する工程並びに(d)第一及び第二コンポーネント並びに任意的な添加剤を混合する工程からなるプロセスで形成される。便利のために、この組成物は、任意的に、そして好ましくは、当該技術分野の技術内である任意の手段によってペレット化される。一つの態様に於いて、本発明の組成物は、それからストランドが押し出されるダイを有する押出機内で便利に混合される。このストランドは、任意的に冷却され、ペレットに切断される。その代わりに、コンポーネントは一つ又はそれ以上の押出機内で混合され、そこから得られる混合物が、フィルム又はそれからフィルムが形成される形状、例えばチューブ若しくはシートに押し出される。
【0165】
中間層組成物が、少なくとも1種の透明化ポリマー及び少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマーのブレンドを含む一つの態様に於いて、1種の相が他の連続相内に分散されている2相形態が任意的に作られる。幾つかの例に於いて、この2相は、共連続(co-continuous)である。2相の存在は複雑性を加え、高い透明度及び低いヘイズが特に重要であるとき近い屈折率の適切性を増加させるが、これはまた、一方の相で透明度を、他方の相で貫通抵抗を達成することを可能にする。これらの2種の相は、有利には、分布混合と分散混合又は剪断との組合せによって作られる。これらの種類の混合を達成する手段は、有利には、前に略述したようにして達成される。好ましい態様に於いて、二軸スクリュー共回転ミキサー、逆転ミキサー又はニーダーが使用される。このようなミキサーは市販されている。分布混合と分散剪断との組合せの制御は、スクリューを重ねるために使用される要素の選択によって達成される。更に好ましくは、この混合には、輸送要素、混練要素又はブロック及び逆転要素の少なくとも二つ、好ましくは三つの配列の使用が含まれる。これは、有利に、分布及び分散混合、溶融並びに空気除去の組合せになる。液体が押出機の中に注入される場合、歯車要素の使用が有利である。リバーサーの目的は、溶融物シールを形成して、押出機内に真空を維持できるようにすることである。最後に、輸送要素を使用して、前進流機構を使用して圧力を高め、コンバインド・ダイ・レシービング層(combined die receiving layer)がダイを通して押し出されることができるようにすることである。不十分な分布混合が存在する場合、分散層は、連続相内に一貫しないで分布されるであろう。不十分な分散剪断が存在する場合、分散層の粒子サイズは、ガラスに対する接着又は透明化ポリマーの透明化効果がラミネートの領域に亘って一貫しないように大きく、変動性であろう。
【0166】
接着増強剤、幾つかの透明度増強剤及び幾つかの他の添加剤が、その中でポリマーが便利に混合され、溶融され又はこれらの組合せであり、他のものが液体である押出機内で、ポリマー組成物と便利に混合される。例えば接着増強剤、好ましいカップリング剤及び開始剤は液体であり、これらは細分された形態でポリマーと便利に混合される。例えば液体は、好ましくは組成物の他のポリマーと予備配合されているポリマーペレットと共に便利にかき混ぜられる。
【0167】
別の態様に於いて、任意的に、添加剤、透明度増強剤、内部接着増強剤又はこれらの組合せと一緒に、低結晶化度プロピレンポリマーを、外部接着増強剤と共に共押出して、フィルムを成形する。その代わりに、外部接着増強剤を、中間層フィルムの上に被覆し、それにラミネートし又は当該技術分野の技術内の任意の手段による他の方法で中間層フィルムに直接隣接して供給する。
【0168】
中間層組成物は、有利には、インフレーションフィルム方法及びキャストフィルム方法を含む、当該技術分野の技術内の任意のフィルム成形プロセスによって、フィルムに成形される。従って、本発明の中間層フィルムを製造するためのプロセスは、(a)中間層組成物のコンポーネントを混合する工程及び(b)これらをフィルムにキャスト又はインフレートされるように押し出す工程を含む。一つの態様に於いて、フィルムをキャストすることが好ましい。フィルムは、(a)本発明の組成物を押出機に供給して、混合物を形成する工程、(b)この混合物を平らなフィルムに押し出す工程を含んでなるプロセスでキャストされる。このプロセスは、任意的に、そして好ましくは追加的に、(c)フィルムを冷却する工程、(d)このフィルムを、少なくとも一つのローラー又はこれらの組合せの上で回転させる工程の少なくとも一つを含む。一つの態様に於いて、このフィルムを、水分を使用して硬化又はガラスに接着させるとき、水分への露出が望まれるまで、このフィルムを水分から保護する任意の工程が存在する。
【0169】
このフィルムは、その意図される用途のために適している如何なる厚さのものであってもよい。自動車、列車又は建築用ガラス又はプラスチックラミネートを製造するための現在のプロセスは、しばしば、有利には少なくとも約0.1mm、更に有利には少なくとも約0.15mm、好ましくは少なくとも約0.2、更に好ましくは少なくとも約0.3、最も好ましくは少なくとも約0.4で、好ましくは最大約1、更に好ましくは最大約0.75mmの厚さを利用する。しかしながら、この好ましい範囲を拡張するための種々の理由が存在する。幾つかの最終用途に於いて、例えば、コストを低下させるために、ヘイズを減少させるために、重量を減少させるために又はこれらの組合せのために、中間層の厚さを減少させることが望ましい。これは、中間層が、意図される用途のための十分な貫通耐性及びラミネートプロセスに於ける取扱いのための十分な保持性を有する場合に達成される。他の状況に於いて、ガラスの厚さを減少すること、より大きい可撓性を達成すること、クッション性、断熱、音吸収、安全性、貫通抵抗若しくはこれらの組合せ又は中間層に起因し得る他の特性のために、現在一般的に使用されているものよりも厚い中間層を使用することが望ましい。これを達成するために、中間層について、最終用途のために適切である場合、特に低いヘイズを有することが重要である。これらの目的のために、厚さは、有利には少なくとも約0.1mm、好ましくは少なくとも約0.25mm、更に好ましくは少なくとも約0.4mmで、好ましくは最大約5mm、更に好ましくは最大約2mm、最も好ましくは最大約1mmである。
【0170】
本発明に従った中間層フィルム製品は、任意的に平滑表面処理をされており、又はその代わりに、任意的に、粗くされた表面、例えば米国特許出願公開第20060141212号明細書に於いてSmith及びAndersonによって教示されているような、当該技術分野の技術内である、ラミネーションの間に中間層フィルムと基体との間の空気の排出を助けると信じられる、その表面上のエンボス加工されたパターンを有する。このフィルムは、任意的に、片側又は両側上に、エンボスロールで作られたエンボス加工されたパターンを有する。パターンは、追加的に又は代替的に、特定の設計プロフィールを有する押出ダイを使用している。更に、場合によっては、中間層フィルムの上に印刷を有することが望ましい。この中間層フィルムは、任意的に、当該技術分野の技術内である処理、例えばコロナ処理によって、印刷性又は他の表面特性を改良するように処理される。
【0171】
本発明の組成物及びフィルムは、安全ガラス、サイドウインドウ板ガラス、ウインドシールド、ウインドスクリーン、保護シールド、防弾ガラス、窓、温室などのような物品を形成するために、2枚又はそれ以上の、鉱物又はポリマーガラスのシート又はパネルの間の中間層として特に有用であるが、これらはこの用途に限定されない。例えば、これらは、また、それを通して光が受け取られる一つの表面又は基体が透明である光電池のようなラミネートを形成するために有用であり、他のものは太陽電池である。温室用のパネル若しくはシート又はテレビジョン若しくは見るスクリーンのようなエレクトロニクス用のスクリーンのような品目は、本発明の中間層を有する基体の二つの層又は本発明の層を有する一つの層若しくは基体(後者は、おそらく、取扱い及びサービスのために必要な特性を与えるために、より厚いか又はより堅いであろう)を有し得る。ポリマー又は鉱物ガラス層の間の中間層としての本発明のフィルムのこれらの用途の中で、本発明のフィルムは、ハリケーンガラスに於いて特に有用である。このハリケーンガラスは、ラミネートされた建築用平ガラスのためのASTM C1172又はEN ISO 12543、ASTM F1642−95、一定のハリケーンの力に耐えるためのハリケーンを受ける領域に於いて使用するための空気噴射荷重試験の必要条件に適合するガラスである。この中間層は、それから製造されたハリケーンガラスが、規格2×4ボード(約4cm×9cm)が銃からガラスの中に撃ち込まれる試験に合格できるようにする、優れた貫通抵抗を有する。本発明の低結晶化度プロピレンポリマー中間層フィルムは、水への露出が予想され、ラミネートの縁でPVBとの水接触を防止するための適切なシールを達成し、維持することが困難である、ハリケーンガラス及びシャワー室のような用途に於いて、PVBよりも優れている。水分接触は、ヘイズの発生になる。十分なシールを維持することは、殆どの建築用途に於いて困難である。
【0172】
このフィルムは、鉱物又はポリマーガラス以外の材料、例えばポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)(しばしばPMPとして略記される)又はこれらの組合せの一つ又はそれ以上の層に結合されて、光学的に透明なラミネートを形成する。このフィルムは、任意的に、TV又はコンピュータスクリーンのような物品のための保護カバーシートを製造するために、ガラス又は透明なポリマーシートに対し片側(表面又は面)上にのみラミネートされる。このようなラミネートは、他の基体への更なるラミネーション又は接着及びこれらの組合せのために適している。また、空気中の水分のために環境条件で架橋を受ける透明なフィルムは、大きいテントの窓又は天窓のような広範囲の種々の用途を有する。
【0173】
従って、本発明のラミネートは、少なくとも一つの、低結晶化度プロピレンポリマーからなる本発明の中間層フィルム及び少なくとも一つの層又は基体を含み、有利には透明又は硬質で、即ち十分に剛く又は硬く、手の上で垂れ下がらない。基体の少なくとも一つの層は、好ましくは透明である。本発明の中間層が、第一基体と第二基体との間で使用される好ましい態様に於いて、少なくとも一つ、即ち第一基体は好ましくは透明である。一つの好ましい態様に於いて、第二基体は、また、透明であり、更に好ましくは、第一基体と同じ材料である。別の好ましい態様に於いて、第二基体は、光を吸収し(光吸収性)、例えば光電池のために有用である。第三の態様に於いて、少なくとも一つの基体は、光の反射性であり、例えば鏡のために有用である。第三の態様に於いて、中間層は、一つの基体のみに接着された保護層である。先行技術の中間層は、しばしば、過度に水分感受性で、粘着性で又はその他の点で外部層であるには不適当であるが、本発明の中間層フィルムは、外部層のために適切に使用することができる。例えば、硬化した後、水分硬化中間層フィルムのような中間層フィルムは、その接着性を失う。その代わりに、タイ層を、接着増強剤として一つの基体に使用し、中間層フィルムの反対側で省略することができる。別の態様に於いて、第一基体は堅い又は硬質で、第二基体は、続く除去又は更なるラミネーションのために、除去可能なバッキングである。
【0174】
本発明のラミネートは、任意的に、多数の層を有する。例えば安全性又は高性能ラミネート、例えばジェットウインドシールドは、任意的に、アクリルポリマー、ガラス繊維、シリコーン層、ポリカーボネートシート、ポリウレタン層及び安定化バーのような層を有する。4〜8個以上の層が一般的である。本発明の中間層フィルムは、いずれか一つ又はそれ以上の層に、好ましくは少なくとも二つの層の間に、適切に隣接している。単一の多層ラミネートに於いて、本発明の中間層フィルムは、外側層から、適切に任意の位置を取り、特に、ラミネートが他の材料に更に接着されている場合には、多層ラミネート内の層のそれぞれの組合せの間に散在されている。記号で表すと、本発明の中間層フィルムをFによって表し、ガラスをGによって表し、タイ層をTによって表し、他のポリマーをPによって表し、そしてエレクトロニクス、例えば太陽電池、液晶ディスプレイ、メモリーセルなどをEによって表す場合、代表的な組合せには、G/F、G/T/F、P/F、P/T/F、E/F、E/T/F、G/F/G、G/T/F/G、P/F/G、P/T/F/G、E/F/G、E/T/F/G、G/F/T/G、G/T/F/T/G、P/F/T/G、P/T/F/T/G、E/F/T/G、E/T/F/T/G、G/F/P、G/T/F/P、P/F/P、P/T/F/P、E/F/P、E/T/F/P、G/F/T/P、G/T/F/T/P、P/F/T/P、P/T/F/T/P、E/F/T/P、E/T/F/T/P、G/F/G/F/G、G/F/P/F/G、G/T/F/T/G/T/F/T/G、G/T/F/T/P/T/F/T/GP/F/、P/T/F/E、P/T/F/T/E、E/F/P/F/G、E/T/F/T/G、G/F/P/P/G、G/F/P/P/F/P、G/T/F/P/P/P/P、G/T/F/P/T/P/F/P/P及びこれらの変形が含まれ、特に、同じカテゴリー内の二つ又はそれ以上の直接的に隣接する層、例えば本発明の中間層フィルムの二つ又はそれ以上の直接的に隣接する層が存在する場合、G/F/F/G、G/T/F/F/T/Gなどが含まれ、同じ文字によって表される層は、任意的に、表されるカテゴリー内の同じ又は異なった組成物から独立に選択される。当該技術分野の技術内のラミネートの例は、例えばR.Terrel Nichols及びRobert Sowers、“Laminated Materials,Glass”、Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、John Wiley & Sons,Inc.、著作権1995年、(DOI:10.1002/0471238961.1201130914090308.a01として、2000年12月4日オンラインに張られた(posted online))のような文献に記載されている。
【0175】
本発明の中間層フィルムは、有利には少なくとも約0.3、更に有利には少なくとも約0.4、好ましくは少なくとも約0.5、更に好ましくは少なくとも約0.6、最も好ましくは少なくとも約0.65ニュートンメートル(N m)の引裂モードでの合計エネルギーを有する。
【0176】
本発明の中間層フィルムは、有利には、早すぎる離層を回避するために十分であるが、エネルギー吸収の利益を失うほど大きくはない、T型剥離強度によって測定されたときの、即ち、好ましくは少なくとも約0.1、更に好ましくは少なくとも約0.3、最も好ましくは少なくとも約0.5で、有利には最大約5、好ましくは最大約4、更に好ましくは最大約2、最も好ましくは最大約1ニュートン/mmの接着を有する。
【0177】
本発明の中間層フィルムは、理想的には、内部ヘイズを有しないが、実際には、ラミネートを通す可視性が重要である窓又は他の用途で使用されるときできるだけ小さい、即ち、有利には最大約10%、更に有利には最大約5%、好ましくは最大約2%、更に好ましくは最大約1%、最も好ましくは最大約0.5%の内部ヘイズを有するであろう。
【0178】
本発明の中間層フィルムは、有利には、問題のガラスに対してラミネートを形成するために十分であるが、貫通を減少する際の含有から中間層を受け入れられないように制限するために十分に大きくはないガラスに対する接着を有する。
【0179】
安全バリヤーのために使用する場合には、本発明の中間層フィルムは、有利には、それらが設計される状況に於いて破損を回避するために十分な弾性率、即ち好ましくは少なくとも約25,000psi(173MPa)、更に好ましくは少なくとも約30,000psi(207MPa)の弾性率を有し、同様に、高い貫通耐性を有する。
【0180】
本発明の中間層フィルムは、有利には、音波を消すために十分なtan δ、即ち有利には少なくとも約0.1、好ましくは最大約0.6のtan δ値を有する、但し、好ましくはサービス温度で、透過した音の美的品質(即ち、鮮鋭度値、音量及び明瞭度指数)を制御することを助けることが見出された材料。
【0181】
本発明の中間層フィルムは、当該技術分野の技術内の任意の手段、例えばPVB中間層を使用して安全ガラスを形成するために一般的に使用されているプロセスによって、ガラス又は他の基体とラミネートすることができる。このような方法は、しばしば、水分を排除するために全て真空袋内で、そして約150psi(1034kPa)の加圧下でオートクレーブ内で、100℃〜185℃の温度に、例えば30分間〜2時間の間、ゆっくり加熱すること、30分間〜2時間の最高温度の維持及び再び30分間〜2時間かけて環境温度までゆっくり冷却して戻すことを含む。しかしながら、このようなプロセスは、大量のエネルギー及び時間を消費する。
【0182】
本発明の中間層は、これらの先行技術の方法で使用するのに適しているが、これらは、ガラスラミネート、特に安全ガラスを製造する新しい方法を可能にする。本発明の中間層フィルムは、PVB中間層のために必要である高い温度及び圧力での長時間を含む、真空袋及びオートクレーブ条件を必要としない。例えば水分硬化接着増強剤、例えばシロキサンを使用するときには、本発明の中間層フィルムは、長時間に亘って室温で基体にラミネートすることができる。しかしながら、改良された接着のために、基体の接触された表面内の凹凸を充填するために十分なポリマー溶融を達成するために、基体に隣接する中間層組成物(接着増強剤として使用されるときタイ層を含む)を軟化させるために十分な熱を供給することが、通常好ましい。この熱は、また、基体との架橋及びカップリングを速める。少なくとも短い時間の間、例えばローラが、中間層と基体との組合せの上を回転しているとき、圧力を適用することも有用である。真空又は空気圧に於ける他の低下は、基体と直接隣接する層との間の空気の捕獲を回避するために有用であろう。熱、圧力及び時間の量は独立であるが、当業者は、過度の実験なしに望ましい組合せを達成することが十分可能であろう。従って、本発明の中間層は、好ましくは、(a)中間層フィルムの少なくとも一つの層を、基体の少なくとも一つの層に直接的に隣接して配置する工程、(b)ポリマーを基体と緊密な接触状態にプレスするために十分な圧力の同時適用と共に、基体と直接的に隣接する中間層の軟化になるために十分な熱又は他のエネルギーを適用する工程を含むプロセスによってラミネートされる。幾つかの態様に於いて、圧力は、有利には約30分間未満、更に有利には約20分間未満、好ましくは約15分間未満、更に好ましくは約10分間未満、最も好ましくは約5分間未満の間適用される。同様に、エネルギー使用は、溶融し、接着になるために十分な時間であるが、有利には約60分間未満、更に有利には約45分間未満、好ましくは約30分間未満、更に好ましくは約20分間未満、最も好ましくは約15分間未満の間、熱を適用することによって任意に減少される。これらのプロセスは、任意的に、(c)得られるラミネートを環境温度まで冷却する工程(この工程は、任意的に、環境温度に曝すことによって達成される)を含む。
【0183】
ガラスの二つの層の間の本発明の中間層フィルムのラミネートは、有利には、ラミネートが、通常の使用で遭遇すると妥当に予想される全ての物体の貫通を回避するために十分な貫通耐性を有する。このような耐性は、あまり実際的ではないか又は中間層単独で与えられ、従って、自動車ウインドシールドのような用途に於いて、貫通耐性は、落球試験によって決定されるとき、好ましくは少なくとも約6m、更に好ましくは少なくとも約8m、最も好ましくは少なくとも約9mである。
【0184】
光学的に透明な材料、例えばガラスとの、本発明の中間層フィルムのこのようなラミネートは、理想的には全ヘイズを有さず又はラミネート中に使用されるガラスのものと同等のヘイズの最小値を有するが、実際には、ラミネートを通した可視性が重要である窓又は他の用途に使用されるとき、できるだけ小さい、即ち、有利には最大約11%、更に有利には最大約6%、最も有利には最大約3%、好ましくは最大約2%、更に好ましくは最大約1%、最も好ましくは最大約0.6%のヘイズを有する。
【0185】
本発明のラミネート、即ち、本発明の中間層フィルムと少なくとも1種の鉱物又はプラスチックガラス層とのラミネートは、有利には、ガラス及び中間層の一緒にした厚さのガラスに少なくとも等価の音響バリヤー特性を有する。
【実施例】
【0186】
本発明の目的及び利点は、下記の実施例によって更に示される。これらの実施例中に挙げられた、特定の材料及びその量並びに他の条件及び詳細は、本発明を限定するために使用されるべきではない。他の方法で記載しない限り、全てのパーセント割合、部及び比は重量基準である。本発明の実施例は番号を付けたが、本発明の実施例ではない比較サンプルは、アルファベット順に指定する。
【0187】
実施例1〜2及び比較サンプルA
下記の材料を使用する。
PP−1は、12重量%のエチレンマー単位及び88重量%のプロピレン単位を有し、ASTM D542の手順に従って決定したとき1.48の屈折率、前記のようにDSCを使用して決定した18%の結晶化度、0.8665g/cm3の密度、230℃で2.16kgの重りで決定した2g/10分のメルトフローレート、ASTM 2240の手順に従って測定した88のショアーA硬度、ASTM D790の手順に従って測定した4640psi(32MPa)の曲げ弾性率を有し、Dow Chemical Companyから商品名DE2300で市販されている、低結晶化度ヘテロ−アリール触媒作用ポリプロピレンである。
SLEPー1は、The Dow Chemical Companyから商品名Engage8150で市販されている、0.868g/cc(g/cm3)の密度、1.48の屈折率及び0.4g/10分のメルトインデックスI2を有する、64重量%のエチレン及び36%のオクテンのポリマーである。
SLEP−2は、The Dow Chemical Companyから商品名EG7256で市販されている、0.885g/cm3の密度、1.48の屈折率及び1.6g/10分のメルトインデックスI2を有する、78重量%のエチレン及び22%のブテンのポリマーである。
Si−1は、Dow Corning,Corp.から商品名Z6030で市販されている、ビニルトリメトキシシランである。
POX−1は、Arkemaから商品名Luperox101で市販されている、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサンである。
ACC−1は、促進剤、ジブチルスズジラウレートである。
【0188】
本発明の実施例に於いて使用されたブレンド及び組成物並びに比較サンプルの製造方法
エチレンα−オレフィンコポリマー及び低結晶化度プロピレンポリマーのブレンドからなるブレンドを製造する際に、それぞれのポリマーのペレットを、それらのそれぞれのペレットの供給に於ける変動に対して調節する秤量フィーダーのロス(loss)に入れる。これらのフィーダーは、表I中の組成物になるためのそれぞれのポリマーのそれぞれの供給速度で、1時間当たり50ポンド(22.7kg)の一緒にした速度でペレットを供給する。ペレットは、6個の分布要素及び7個の混練要素を有する、Coperion Werner & Pfleidererから商品名ZSK 25 Mega Compounderで市販されている完全かみ合い二軸スクリュー押出機に供給される。25mmスクリューは、160℃〜170℃で維持されている設定温度を有する第一又は供給ゾーン以外は、190〜200℃の温度で維持されている押出機のバレルで、500rpmで回転している。この押出機は、その25mm直径の45倍のバレル長さを有する。ポリマーは、4穴ダイを通って押し出されて、ペレットを作る。
【0189】
ビニル官能性カップリング剤とポリマーとの反応は、シートを押し出すために使用される単軸スクリュー押出機内で達成される。完全かみ合い二軸スクリュー押出機を使用して製造されたブレンドは、カップリング剤、過酸化ジアルキル及び表I中に示されているとき、示された量の、ビニル官能性カップリング剤の非ビニル官能基のための示された促進剤の液体ブレンドを吸収する。シラン、過酸化物及びジブチルスズジラウレートの添加を容易にするために、重量で、2000部のSi−1、100部のPOX−1及び5部のジブチルスズジラウレートからなるマスターカクテルをブレンドする。この反応は、ポリマーへのカップリング剤のグラフト化を実施するためのフリーラジカルを発生するために使用される過酸化ジアルキルに対して、大過剰のビニル官能性シロキサンカップリング剤を使用して実施される。量を表Iに示す。ビニル官能性シロキサンがポリマー又はポリマー群と反応すると、促進剤中のスズが、水分の存在下で架橋反応に触媒作用する。
【0190】
それぞれの実施例及び比較サンプルに於いて、表I中に示される配合物は、下記の手順によってフィルムに作られる。
【0191】
押し出されたペレットを、ニュージャージー州KillionのDavis Standardによって製造された30mm単軸スクリュー押出機からなるキャストフィルムラインを使用して、フィルムに加工する。この押出機は、30mmの直径及び24直径の相対スクリュー長さを有するスクリューを有する。この押出機には、オリフィス28cm(11インチ)幅を有するフラット押出ダイが取り付けられている。2種の厚さ(12及び16ミル(305及び406μm))のフィルムが、それぞれの配合物から製造される。この単軸スクリューフィルム押出機のバレルは、ポリマー材料の温度を、アダプター、フィルター及びフラットダイまで次第に上昇させる、4個の加熱ゾーンに分割されている。バレル温度は、ゾーン1〜6のそれぞれ内で、それぞれ、150〜160℃、190〜200℃、180〜220℃、230〜245℃、240〜260℃及び240〜260℃の範囲内に維持される。アダプターの温度は、230〜260℃で維持される。ダイの温度は、中間セクションで245〜255℃、ダイの両縁で255〜265℃、ダイのリップで260〜270℃で維持される。
【0192】
これらの温度は、使用する樹脂のメルトフローレートに従って、比較的狭い範囲内で、それぞれのゾーン内で変えられる。スクリューの速度は、0.18mm厚のフィルムについて14〜17rpmで、そして0.36mm厚のフィルムについて19〜22rpmで維持される。
【0193】
それぞれのフィルムは、押し出され、3本ロールキャスティングロールストック(stock)を使用して冷却され、7.6cmコアの上に巻き取られる。製造されたそれぞれのフィルムから、試験のために、15個のサンプルが切断される。10直線フィート(3m)離れている5個のサンプリング場所のそれぞれで、サンプルが、フィルムウエブを横断する3個の点(縁のそれぞれから及び中央から)で得られる。
【0194】
ガラスラミネート製造
安全ガラスラミネートのサンプルを、これらの実施例で使用するために、下記のようにして製造する。全てのサンプルは、アセトンを使用して清浄にして、ガラス表面からダスト、グリース及び他の汚染物質を除去した、3mm厚及び30.5×30.5cmの寸法の透明なソーダ−石灰−ケイ酸塩ガラスシートを使用して製造する。
【0195】
ラミネートするために、フィルムの片を切断して、30.5×30.5cmのサンプルを得る。このサンプルを、底ガラスシートの表面の上に置き、ゴムロールを使用してガラスシートの上にプレスする。別のガラスシートをフィルムの上に置き、サンドイッチ構造を得、これを次いでクランプする。このサンドイッチを、研究所プレスである、マイクロプロセッサによってモニターされる温度−圧力−時間制御システムを取り付けた、Carver,Inc.、インディアナ州Wabashによって製造されたモデル3891内に入れる。下記のサイクルを使用して、ガラスをラミネートする。室温から135℃まで1時間以内に加熱し、135℃及び圧力13.5バールで30分間保持し、常圧にまでゆっくり解放し、2時間以内で室温にまで冷却する。ラミネーションプロセスの間に、加熱はフィルム表面を溶融する。
【0196】
フィルム試験手順
ラミネーションしないで、フィルムを、ASTM−D624の手順に従ってピーク荷重、全エネルギー及び引裂強度について並びにASTM−D1003の手順に従って内部ヘイズについて試験する。これらの結果を、表IIに報告する。
【0197】
ヘイズは、また、0.3〜0.4mmフィルムを、透明なソーダ−石灰−ケイ酸塩ガラスの3mm厚のシートの二つの層の間にラミネートした後に測定する。透過は、ドイツ規格DIN R43−A.3/4ANSI規格Z26.1T2を使用して測定する。ヘイズは、ドイツ規格DIN R43−A.3/4を使用して測定する。これらの結果を、表IIIに報告する。
【0198】
【表2】

【0199】
CS.Aに於いて、SLEP−1ではなくてSLEP−2が、PP−1とSLEP−1とのブレンドとの比較として選択される。それは、これが、利用できる最高密度SLEPを表し、なお、ヘイズ必要条件に適合する機会を有するからである。
【0200】
【表3】

【0201】
【表4】

【0202】
実施例3〜8
実施例1についてと同じ製造技術を使用して、6種の新しい配合物を製造した。この目標は、これらの2部分組成物で得ることができる実際的性能範囲を定義することである。SLEP−1に富んだ材料を製造し、一方、バランスしている又はPP−1に富んだ他のものを製造する。PP−1及びSLEP−1を、最初に、500RPM及び50ポンド(22.7kg)/時間の供給速度で作動するZSK25完全かみ合い二軸スクリュー押出機内で溶融混合する。バレルの供給ゾーンを160℃に設定し、一方、全ての続く押出機ゾーンを200℃に設定する。押出機の直径の5倍の結合長さを有する少なくとも5個の混練ブロック及び少なくとも5個の分布混合要素を有する、前に使用したのと同じスクリュースタック(screw stack)を使用する。ポリマーは、4穴ダイを通って押し出されて、ペレットを作る。
【0203】
ビニルトリメトキシシランを、少なくとも2レベル、即ち1.75重量%及び1.0重量%で使用する。ビニルトリメトキシシラン、過酸化物及びジブチルスズジラウレートの添加をより容易にするために、重量で、2000部のSi−1、100部のPOX−1及び5部のジブチルスズジラウレートからなるマスターカクテルをブレンドする。
【0204】
溶融配合したペレットの40ポンド(18.16kg)のサンプルを、ファイバードラムの内側のポリエチレンライナーの中に入れる。表IV中に示す配合物を調製するために必要な量のこのカクテルを、ペレットの上に注ぐ。このペレットをポリエチレンシートで覆い、ファイバードラムの上に蓋を置く。次いでファイバードラムをタンブラーの上に置き、30分間回転させる。30分間の終わりに、ファイバードラムを取り出し、シート押出ラインに引き継ぐ。
【0205】
シート押出ラインは、ニュージャージー州KillionのDavis Standardによって製造された2インチ直径単軸スクリュー押出機である。この押出機は、3個の温度ゾーンを有する。供給を160℃で設定し、2個の続くゾーンを200℃で設定する。ダイも200℃で設定する。ダイは、EDI,Extrusion Dies Industries,L.L.C.からの2フィート(0.6m)幅の流線形ダイ(これは、3本ロールスタックの、押し出されたシートの厚さによって分離されているニップ、即ち、ロールが一緒に最も接近している点の中に押し出す)である。3本ロールスタックはシートを冷却し、シートを目標厚さ、この場合には0.76mmに調整する。ラミネーションの間の空気除去を容易にするために、ライトレザー(light leather)パターンを有する梨地ロールを使用する。3本ロールスタックの延伸比を、ちょうど30ミル(762μm)よりも小さい厚さのシートを集めるように調節する。剥離フィルムのシートを、シートのロールの中に挿入して、それが巻き上げられたとき、粘着が生じないことを確保する。シートのロールを箔ライニングした袋の中に入れ、ヒートシールする。
【0206】
【表5】

【0207】
圧縮成形プレス内で下記の条件で、0.7〜0.8mmの中間層フィルムを、それぞれ3mm厚の無地ガラスの2枚のシートの間に手でサンドイッチすることによって、12インチ×12インチ(0.3m×0.3m)のラミネートを製造する。
−130℃まで5分間の予備加熱。
−2500ポンド力(11120N)2分間、5,000ポンド力(22240N)5分間、7500ポンド力(33360N)2分間及び10,000ポンド力(44480N)5分間の順序での圧力の適用。
−圧縮成形機からの取り出し、続くラボベンチ上で30分間の空気冷却。
【0208】
落球衝撃試験を、5個のみの試験片を試験する以外は、ANSI/SAE Z26.1−5.12規格に従って実施する。試験する前に、試験すべき試験片を、21℃で4時間貯蔵する。それぞれのラミネートを、スチール枠の上に置き、それが、衝撃の時点で実質的に水平になるようにする。38mmの直径を有する225gの固体スチール球状ボールを、予定の高さから一度、自由にそして静止から落として、中心の1インチ(2.54cm)以内で試験片に当てる。
【0209】
衝撃によって、ガラスの中に非常に多数の亀裂が作られる。ANSI/SAE Z26.1−5.12.3に従って、破壊されたラミネートを、下記の規準により分析する。
(1)それぞれの種類及び高さについて、試験した12個の試験片の2個以下が、分離した大きい片に砕ける。
(2)更に、残りの試験片の2個以下で、ボールは、ボールが通過する試験片内のいずれかの場所で、穴又は割れ目を作る。
(3)衝撃の点の直ぐ反対側の点で、ガラスの小さい破片が試験片から離れるが、このように影響を受けた小さい領域は、強化又は補強材料の1平方インチ(2.45cm2)よりも小さく露出し、その表面は、常に、しっかり接着するガラスの非常に小さい粒子で覆われている。強化又は補強材料からのガラスの全分離はいずれかの側で3平方インチ(19.35cm2)を超えない。
(4)衝撃の点の反対側の及び衝撃の領域に隣接する外側ガラス表面の破砕は、破壊とは考えない。
【0210】
表IVに示した組成を有する実施例3〜8のフィルムから製造されたガラスラミネートの実施例を、3個の異なった高さ、即ち、5m、8m及び9.14mで前記の手順に従って試験する。更に、中間層フィルムとしてPVBをベースにする対照サンプルも、比較サンプルBとして試験する。この試験結果を表Vに記載する。全てのサンプルは、環境条件下で225gボールで5mで落球試験に合格する。より高いレベルのグラフト化を有する実施例3、4及び5は、全て8mで合格し、より低いグラフト化レベルを有する最高PP−1含有量ブレンドも、8mで合格する。9.14mで、実施例3は、80%の成功率でこの試験に合格する。残りのブレンドは合格しない。PVB系ラミネートは、8m及び9.14mの両方でこの落球衝撃試験に合格する。
【0211】
【表6】

【0212】
実施例9〜14及び比較サンプルC
実施例9〜13及び比較サンプルCのために使用した材料
PP−1は、前記の通り。
TIE−1は、DuPontから商品名Elvax3174で市販されている、18重量%の酢酸ビニル、0.94g/cm3の密度及び8のメルトインデックスI2を有するエチレン酢酸ビニルコポリマーである。
TIE−2は、DuPontから商品名Elvax3134で市販されている、12重量%の酢酸ビニル、0.93g/cm3の密度及び8のメルトインデックスI2を有するエチレン酢酸ビニルコポリマーである。
TIE−3は、DuPontから商品名Surlyn1705で市販されている、0.95g/cm3の密度及び5.5のメルトインデックスI2を有するポリ(エチレン−共−メタクリル酸)アイオノマーの亜鉛塩である。
TIE−4は、DuPontから商品名Surlyn1802で市販されている、4.3のメルトインデックスI2を有するポリ(エチレン−共−メタクリル酸)アイオノマーのナトリウム塩である。
【0213】
比較サンプルC中のPP−1の単層フィルムは、Davis Standard Killion Business Groupによって製造された3台の25mm単軸スクリュー押出機からなるキャストフィルムラインに、それぞれのペレットを供給することによって製造する。2台の外側押出機をゼロrpmに設定し、24直径の相対スクリュー長さを有する中心の押出機を作動させて、単層フィルムを製造する。キャストフィルムラインには、オリフィス28cm(11インチ)幅を有するフラット押出ダイが取り付けられている。この単軸スクリューフィルム押出機のバレルは、ポリマー材料の温度を、アダプター、フィルター及びフラットダイまで次第に上昇させる、3個の加熱ゾーンに分割されている。バレル温度は、104〜210℃の温度の継続状態に維持されている。ダイの温度は190℃で維持されている。
【0214】
この温度は、それぞれのゾーン内で、使用する樹脂のメルトフローインデックスに従って、比較的狭い範囲内で変化する。スクリューの速度は、0.4mm厚のフィルムを製造するために、1分間当たり121.6回転で維持されている。チルロールの引取速度は、10ミル(0.25mm)厚であるフィルムを集めるように調節される。このフィルムは、押し出され、フィルムをクエンチするための13℃のチルロールを使用して冷却され、フィルムの粘着性を減少する。得られるフィルムは、認識できる粘着性を有するが、チルロール上への押出物の停滞になるには不十分である。剥離フィルムのシートを、シートのロールの中に挿入して、それがコア上に巻かれたとき、粘着が生じないことを確保する。
【0215】
表VI中に示されるTIE及びPPフィルムの組合せを、11インチ(27.9cm)コートハンガー型ダイ及びスロット型供給ブロックを有する、Davis Standard Killion Business Groupから商品名KTS100で市販されている3台の押出機(それぞれ、直径は1インチ(2.54cm))を使用する多層共押出によって製造する。中心の押出機は、それぞれゾーン1、2及び3について、238°F(114℃)、360°F(182℃)及び390°F(200℃)に設定されている、3個の加熱ゾーンを有する。更に、輸送ライン、供給ブロック及びダイは、410°F(210℃)に設定されている。2個のタイ層押出機は、それぞれゾーン1、2及び3について、320°F(160℃)、350°F(177℃)及び360°F(182℃)に設定されている、3個の加熱ゾーンを有する。更に、輸送ライン、供給ブロック及びダイは、360°F(181℃)に設定されている。ポリマーは、55°F(13℃)でチルロール温度上に押し出され、急速クエンチングを促進し、フィルム光学を増強し、チルロールへの接着を減少する。少なくとも50直線フィート(15m)の共押出されたフィルムを集め、特性キャラクタリゼーションのために貯蔵する。表VI中に示されるように、全厚さの約80%(又は約0.4mm)がPP−1である、表VI中に示された所望の厚さは、中心押出機を119.8rpmで作動させ、タイ押出機を25.7rpm及び21.2rpmで作動させることによって達成される。
【0216】
モノ層及び多層の共押出されたフィルムの全ヘイズ及び内部ヘイズを、BYK Gardnerから商品名BYK Gardner Haze-gardで市販されているヘイズ測定計器上で、ASTM D1003手順Aに基づいて測定する。内部ヘイズの測定のために、鉱油をフィルム表面に適用して、フィルム表面の粗さから生じる寄与を最小にする。
【0217】
【表7】

【0218】
表VI中のデータは、種々のタイ層を使用してガラスに接着させた低結晶化度プロピレンポリマーを例示し、タイ層が、低結晶化度プロピレンポリマー単独のものを超えて、ヘイズを増加又は減少できることを示す。ヘイズに於ける増加は、少なくとも部分的に、低結晶化度プロピレンポリマーとタイ層との若しくはタイ層及びガラスとの有効屈折率に於ける不適合又は中間層中の増加した結晶サイズに帰因させ得ると信じられる。本発明の実施に於いて、タイ層及び中間層は、中間層のコンポーネントのものと同じ許容範囲内の屈折率を有することがしばしば好ましい。
【0219】
本発明の態様には、下記のものが含まれる。
1.(a)少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマー並びに少なくとも1種の(b)内部接着増強剤、(c)少なくとも1種の透明度増強剤又は(d)更に好ましくは(b)及び(c)の両方から得られるポリマー組成物を含んでなる中間層として有用なフィルム、即ち中間層フィルム。
2.(a)少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマー並びに少なくとも1種の(b)内部接着増強剤、(c)少なくとも1種の透明度増強剤又は(d)更に好ましくは(b)及び(c)の両方から得られる、フィルムを製造するために有用なポリマー組成物であって、好ましくは、少なくとも1種の透明化増強剤が、少なくとも1種の透明化ポリマーであるポリマー組成物。
3.態様1のフィルム及び少なくとも一つの第一の硬質又は光学的に透明な基体又はこれらの組合せを含むラミネート。
4.少なくとも1種の、屈折率を有する光学的に透明な基体、好ましくはガラス、更に好ましくは鉱物ガラス及び少なくとも1種の、少なくとも1種のオレフィンポリマーからなる光学的に透明なフィルムからなるラミネートであって、好ましくは、このラミネートの光学的に透明なフィルム又はフィルム群中のポリマーの少なくとも約、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95又は99%のいずれかは、好ましくはプロピレンポリマー、エチレンポリマー、ブテンポリマー又はこれらの組合せから選択されたオレフィンポリマーであり、更に好ましくは少なくとも1種のプロピレンポリマーを含んでなり、基体の屈折率と、(a)このフィルム若しくはフィルム群中のポリマーのそれぞれの屈折率、(b)ラミネート中のそれぞれのフィルムの屈折率又は(c)これらの組合せとの差が最大約、0.01、0.03、0.05、0.1又は0.2のいずれかであるラミネート。
5.ラミネートが、少なくとも一つのタイ層及び少なくとも一つの中間層フィルムを含み、そして基体の屈折率と、(a)このタイ層及び中間層フィルム中のポリマーのそれぞれの屈折率、(b)タイ層及び中間層の屈折率又は(c)これらの組合せとの差が、最大約、0.01、0.03、0.05、0.1又は0.2のいずれかである態様4のラミネート。
6.第一基体のものと反対側のフィルムの側上のフィルムに隣接して第二基体が存在する態様3、4又は5のラミネート。
7.第一基体が透明であり、第二基体が透明、光吸収性若しくは光反射性又はこれらの組合せである態様6のラミネート。
8.少なくとも一つの基体、好ましくは両方の基体が、独立に、鉱物又はポリマーガラス、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、アクリルポリマー、ガラス繊維、シリコーン層、ポリカーボネートシート、ポリウレタン層及びこれらの組合せからなる群の少なくとも1員からなる態様3〜7のいずれかのラミネート。
9.態様2の少なくとも1種の組成物、態様1のフィルム、態様3〜8のいずれかのラミネート又はこれらの組合せを含む物品。
10.ポリマー組成物が、組成物、フィルム又はラミネート若しくは物品の中間層フィルムの少なくとも約85、90又は95重量%のいずれかであり、残りが添加剤を含む、前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
11.少なくとも1種の、好ましくはそれぞれの、低結晶化度プロピレンポリマーが、独立に、少なくとも約、50、51、60、70、80又は90重量%のいずれかのプロピレン(マー単位)を有し、残りがプロピレンとは異なる少なくとも1種のα−オレフィン、好ましくはエチレン(マー単位)であるポリマーであり、少なくとも1種のα−オレフィンが、更に好ましくは、少なくとも約8、9、10又は11重量%から、任意的に最大約、15、20、25又は30重量%のいずれかまでの量で存在する前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
12.少なくとも1種の、好ましくはそれぞれの、低結晶化度プロピレンポリマーが、独立に、
(a)少なくとも約、0.5g/10分、1.0g/10分若しくは1.5g/10分のいずれかから、最大約5g/10分、10g/10分若しくは20g/10分のいずれかまでのメルトフローレート、
(b)DSCによって決定したときの、約47%よりも小さい、最大約34%、最大約24%若しくは最大約18%のいずれかの結晶化度、
(c)最大約4、好ましくは最大約3.5、更に好ましくは最大約3の分子量分布、
(d)狭い結晶化度分布、好ましくは、ポリマーの少なくとも約75重量%、更に好ましくは少なくとも約85重量%が、フラクションに於いて7〜8℃分離を有する熱分別により一つ若しくは二つの隣接する可溶性フラクションに単離され、そして、これらのフラクションのそれぞれは、最大約20、更に好ましくは最大約10重量%の低結晶化度プロピレンポリマー中のエチレンの平均重量%以内の、重量%エチレン含有量を有する又は
(e)最大約、80J/g、60J/g、40J/g、30J/g、35J/g、25J/g、15J/g、10J/g若しくは6J/gのいずれか、好ましくは少なくとも約1J/g若しくは2J/gの融解熱
の、有利には少なくとも1個、更に有利には少なくとも2個、好ましくは少なくとも3個、更に好ましくは少なくとも4個、一つの態様に於いて、最も好ましくは少なくとも5個を有する、前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
13.少なくとも1種の、好ましくはそれぞれの、低結晶化度プロピレンポリマーが、単一サイト若しくはヘテロアリール触媒化プロピレンポリマー、一つの態様に於いて好ましくは単一サイト触媒化、別の態様に於いて好ましくはヘテロアリール触媒化又はこれらの組合せである前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
14.少なくとも1種の、好ましくはそれぞれの透明度増強剤が、独立に、統合透明度増強剤、透明化ポリマー、カップリング剤、架橋剤又はこれらの組合せから選択される前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
15.それぞれの接着増強剤が、外部接着増強剤、内部接着増強剤及びこれらの組合せ、好ましくは少なくとも1種のタイ層、少なくとも1種のプライマー、少なくとも1種の表面処理、少なくとも1種のカップリング剤、少なくとも1種の架橋剤又はこれらの組合せから選択される前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
16.少なくとも1種の接着増強剤が、少なくとも1種のEVA、少なくとも1種のEMA、少なくとも1種のEMAC、少なくとも1種のm−PE、少なくとも1種のPVB、少なくとも1種のPVC、無水マレイン酸によってグラフト化された少なくとも1種のポリオレフィン又はこれらの組合せから選択された少なくとも1種のポリマー、好ましくは少なくとも1種のEVA、少なくとも1種のEMA、少なくとも1種のEMAC、少なくとも1種のm−PE、少なくとも1種のPVC、無水マレイン酸によってグラフト化された少なくとも1種のポリオレフィン又はこれらの組合せから選択された少なくとも1種のポリマー、更に好ましくは少なくとも1種のEVA、少なくとも1種のEMA、少なくとも1種のEMAC、少なくとも1種のm−PE、無水マレイン酸によってグラフト化された少なくとも1種のポリオレフィン又はこれらの組合せから選択された少なくとも1種のポリマーを含む組成物から選択された少なくとも1種のタイ層である前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
17.好ましくはシラン、シロキサン、チタン酸塩及びこれらの組合せからなる群から、更に好ましくは、ビニル−トリエトキシ−シラン、アミノ−プロピル−トリエトキシ−シラン及びこれらの組合せからなる群から選択された少なくとも1種のカップリング剤を含む前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
18.ポリマー組成物の重量基準で、少なくとも約、0.5、1、1.2、1.4又は1.6重量%のいずれかから、最大約2、2.5又は3重量%のいずれかまでの量で存在する少なくとも1種のカップリング剤を含む前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
19.少なくとも1種の、好ましくは2種の、少なくとも1種の架橋剤、少なくとも1種のフリーラジカル開始剤又は少なくとも1種のカップリング剤のための促進剤を含む前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
20.実質的に核生成剤を含有していない前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
21.少なくとも1種の透明化ポリマーを含み、このポリマーが、好ましくは少なくとも1種のエチレンポリマー、少なくとも1種のポリブテン、少なくとも1種のアタクチックポリプロピレン若しくは少なくとも1種のポリ(4−メチル−1−ペンテン)又はこれらの組合せから選択されたオレフィンポリマーであり、更に好ましくは少なくとも1種の約0.915g/cm3よりも小さい密度を有するエチレンポリマーであり、最も好ましくはVLDPE、ULDPE、実質的に線状のエチレンポリマー及びメタロセン触媒化エチレンポリマーから選択された少なくとも1種のエチレンポリマーである前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
22.透明化ポリマーが、ポリマー組成物の、少なくとも約、10、15、20、30、35又は40重量%のいずれかから、最大約45、50、60、65、75又は80重量%までを構成する、前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
23.少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマーの屈折率と、存在する少なくとも1種の他のポリマーの屈折率との、好ましくは低結晶化度プロピレンポリマーの屈折率と存在するそれぞれの他のポリマーの屈折率との差が最大約、0.01、0.03、0.05、0.1又は0.2のいずれかである前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
24.少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマーの密度と、存在する少なくとも1種の他のポリマーの密度との、好ましくは低結晶化度プロピレンポリマーの密度と存在するそれぞれの他のポリマーの密度との差が、最大約、0.5g/cm3、0.3g/cm3又は0.2g/cm3のいずれかである前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
25.前記フィルム、前記組成物を含むフィルム、前記ラミネート又は物品からの少なくとも一つの中間層フィルムが下記の特性、
(a)ASTM D1003によって測定したときの、最大約、0.25、0.5、1、2、5若しくは10%のいずれかの内部ヘイズ、
(b)少なくとも約、0.1N/mm、0.3N/mm、0.5N/mmのいずれかから、最大約、1N/mm、2N/mm若しくは4N/mmのいずれかまでのT型剥離、
(c)少なくとも約、0.3Nm、0.4Nm、0.5Nm、0.6Nm若しくは0.65Nmのいずれかの、D624の手順によって決定したときの全エネルギー、
(d)約173MPaから約207MPaまでの弾性率又は
(e)約0.1から0.6までのtan δ
の、少なくとも1個、有利には2個、好ましくは3個、更に好ましくは4個、最も好ましくは5個を有する、前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
26.前記ラミネート若しくは物品又は前記フィルム若しくは前記組成物を含むフィルムのラミネートが下記の特性、
(a)最大約、0.6、1、2、3、6若しくは11%のいずれかのヘイズ、
(b)少なくとも約、70、75、80、85、90若しくは95%のいずれかの可視光の透過、
(c)最大約、0.01、0.03、0.05、0.1若しくは0.2のいずれか
の、少なくとも1個の、好ましくは2個の光学的に透明の基体若しくはタイ層と少なくとも一つの中間層との間、少なくとも一つのタイ層と少なくとも一つの基体との間又はこれらの組合せの屈折率に於ける差、
(d)少なくとも5m、8m若しくは9mのいずれかの、貫通試験ANSI/SAE Z26.1−5.12に合格又は
(e)音響バリヤーである
の少なくとも1個、有利には2個、好ましくは3個、更に好ましくは少なくとも4個、最も好ましくは少なくとも5個を有する、前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
27.前記フィルム、前記組成物を含むフィルム、前記ラミネート又は物品からの少なくとも一つの中間層フィルムが、ラミネーションの前に、平滑な、パターン形成された、エンボスされた、粗くされた、印刷された若しくは処理された表面又はこれらの組合せを有する又は有した、前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
28.前記フィルム、前記組成物を含むフィルム、前記ラミネート又は物品からの少なくとも一つの中間層フィルムが、ラミネーションの前に、少なくとも約、0.1mm、0.15mm、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.4mmのいずれかから、任意的に最大約、0.75mm、1mm、2mm又は5mmのいずれかまでの厚さを有する又は有した前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
29.本発明の中間層フィルムをFで表し、ガラスをGで表し、タイ層をTで表し、他のポリマーをPで表し、そしてエレクトロニクス、例えば、太陽電池、液晶ディスプレイ、メモリーセルなどをEで表す場合、代表的な組合せが、G/F、G/T/F、P/F、P/T/F、E/F、E/T/F、G/F/G、G/T/F/G、P/F/G、P/T/F/G、E/F/G、E/T/F/G、G/F/T/G、G/T/F/T/G、P/F/T/G、P/T/F/T/G、E/F/T/G、E/T/F/T/G、G/F/P、G/T/F/P、P/F/P、P/T/F/P、E/F/P、E/T/F/P、G/F/T/P、G/T/F/T/P、P/F/T/P、P/T/F/T/P、E/F/T/P、E/T/F/T/P、G/F/G/F/G、G/F/P/F/G、G/T/F/T/G/T/F/T/G、G/T/F/T/P/T/F/T/GP/F/、P/T/F/E、P/T/F/T/E、E/F/P/F/G、E/T/F/T/G、G/F/P/P/G、G/F/P/P/F/P、G/T/F/P/P/P/P、G/T/F/P/T/P/F/P/P及びこれらの変形を含み、特に、同じカテゴリー内の2個又はそれ以上の直接的に隣接する層、例えば本発明の中間層フィルムの2個又はそれ以上の直接的に隣接する層が存在する場合、G/F/F/G、G/T/F/F/T/G又はこれらの組合せを含む、
から選択された配置を有する前記態様のいずれかのラミネート。
30.安全ガラス、サイドウインドウ板ガラス、ウインドシールド、ウインドスクリーン、保護シールド、防弾ガラス、窓、温室、光電池、温室用のパネル若しくはシート又はテレビジョン若しくは見るスクリーンのようなエレクトロニクス用のスクリーン、ハリケーンガラス、TV若しくはコンピュータスクリーンのような物品のための保護カバーシート、大きいテントの窓若しくは天窓、ジェットウインドシールド及びこれらの組合せの少なくとも一つである前記態様のいずれかの物品。
31.(a)少なくとも1種の第一コンポーネントである低結晶化度プロピレンポリマーを供給する工程、(b)少なくとも1種の内部接着増強剤、少なくとも1種の透明度増強剤又はこれらの組合せから選択された、少なくとも1種の第二コンポーネントを供給する工程並びに(d)第一及び第二コンポーネント並びに任意的な添加剤を混合する工程を含んでなるフィルムの製造プロセス。
32.少なくとも1種のカップリング剤を含む前記態様のいずれかのラミネート、物品、フィルム又は組成物。
33.(d)混合の工程が輸送要素、逆転要素及び混練要素から選択された少なくとも2個の異なった混合要素を含む態様30のプロセス。
34.(a)中間層フィルムの少なくとも一つの層を、基体の少なくとも一つの層に直接的に隣接して配置する工程、(b)ポリマーを基体と緊密な接触状態にプレスするために十分な圧力の同時適用と共に、基体と直接的に隣接する中間層の軟化になるために十分な熱又は他のエネルギーを適用する工程を含むラミネートの製造プロセス。
35.圧力を、約30分間、20分間、15分間、10分間若しくは5分間のいずれかよりも短い間適用する、熱を、約60分間、45分間、30分間、20分間若しくは15分間のいずれかよりも短い間供給する又はこれらの組合せを含む態様33のプロセス。
36.得られるラミネートを環境温度まで冷却する追加の工程(c)が存在する態様33又は34のプロセス。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の低結晶化度プロピレンポリマー並びに少なくとも1種の(b)内部接着増強剤、(c)少なくとも1種の透明度増強剤又は(d)更に好ましくは(b)及び(c)の両方から得られるポリマー組成物を含んでなる、中間層として有用なフィルム。
【請求項2】
前記低結晶化度プロピレンポリマーが、DSCによって決定したとき約47%よりも小さい結晶化度を有する請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記低結晶化度プロピレンポリマーが、少なくとも約70重量%のプロピレンマー単位及び少なくとも約6重量%のエチレンマー単位を含む請求項1〜2のいずれかに記載のフィルム。
【請求項4】
前記低結晶化度プロピレンポリマーがヘテロアリール触媒化プロピレンポリマー又は単一サイト触媒化プロピレンポリマーである請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
【請求項5】
前記低結晶化度プロピレンポリマーが、下記の特性の少なくとも一つ
(a)最大約4の分子量分布、
(b)ポリマーの少なくとも約75重量%がフラクションに於いて7〜8℃分離を有する熱分別により1個若しくは2個の隣接する可溶性フラクションに単離され、そして、これらのフラクションのそれぞれが、最大約20重量%の低結晶化度プロピレンポリマー中のエチレンの平均重量%以内の、重量%エチレン含有量を有する、狭い結晶化度分布、又は
(c)少なくとも約1J/gから最大約80J/gまでの融解熱
を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
【請求項6】
接着増強剤が少なくともいずれかのタイ層を含む請求項4又は5に記載のフィルム。
【請求項7】
少なくとも1種の接着増強剤又は透明度増強剤が少なくとも1種のカップリング剤を含む請求項4又は5に記載のフィルム。
【請求項8】
少なくとも1種の低結晶化度及び少なくとも1種の、α−オレフィンポリマーから選択されたポリマー(以下、透明化ポリマーという)を含む請求項1〜7のいずれかに記載のフィルム。
【請求項9】
前記透明化ポリマーが少なくとも1種のエチレンポリマー、少なくとも1種のポリブテン、少なくとも1種のアタクチックポリプロピレン若しくは少なくとも1種のポリ(4−メチル−1−ペンテン)又はこれらの組合せから選択された少なくとも1種のポリマーを含む請求項8に記載のフィルム。
【請求項10】
少なくとも1種のカップリング剤を含む請求項8又は9に記載のフィルム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のフィルム及び少なくとも1種の基体を含むラミネート。
【請求項12】
少なくとも1種の基体が光学的に透明であるか若しくは堅いか又はこれらの組合せである請求項11に記載のラミネート。
【請求項13】
(a)少なくとも1種の第一コンポーネントである低結晶化度プロピレンポリマーを供給する工程、(b)少なくとも1種の内部接着増強剤、少なくとも1種の透明度増強剤又はこれらの組合せから選択された、少なくとも1種の第二コンポーネントを供給する工程並びに(d)第一及び第二コンポーネント並びに任意の添加剤を混合する工程を含んでなるフィルムの製造プロセス。
【請求項14】
工程(d)の混合が分布混合及び分散剪断の両方を含む請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
(a)中間層フィルムの少なくとも一つの層を、基体の少なくとも一つの層に直接的に隣接して配置する工程、(b)ポリマーを基体と緊密な接触状態にプレスするのに十分な圧力を同時に適用すると共に、基体と直接的に隣接する中間層を軟化させるのに十分な熱又は他のエネルギーを適用する工程を含んでなるラミネートの製造プロセス。
【請求項16】
屈折率を有する、少なくとも1種の光学的に透明な基体及び少なくとも1種のオレフィンポリマーを含む、少なくとも1種の光学的に透明なフィルムを含んでなるラミネートであって、基体の屈折率と、(a)1若しくは複数のフィルム中のポリマーのそれぞれの屈折率、(b)ラミネート中のそれぞれのフィルムの屈折率又は(c)これらの組合せとの差が最大約0.05であるラミネート。

【公表番号】特表2010−504392(P2010−504392A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529202(P2009−529202)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/020102
【国際公開番号】WO2008/036222
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】