説明

透明飲料のためのミネラル強化物質

本発明は、水およびジュースの中に可溶性であるミネラルを含む組成物に関する。本発明の組成物は、飲料の中に溶解して、曇りまたは沈降をまったく起こさない。前記組成物を製造する方法もまた提供される。前記組成物はさらに、錠剤化にも適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、米国特許出願番号第11/811,199号(2007年6月8日出願)の一部継続出願であり、参照することにより該出願のすべてを本明細書に取り入れたものとする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、水、透明飲料、およびフルーツジュースの中に容易に可溶性である、ミネラルを含む化合物を含む組成物に関する。水または透明飲料の用途において、本発明は、観察可能な曇りまたは沈降がまったく無い飲料を与える組成物を提供する。フルーツジュース、たとえばオレンジ、パイナップル、濾過しないアップルまたはアンズから製造されたジュースの用途において、沈降がまったくない飲料を製造するために本発明の組成物を使用することができる。前記組成物を調製するためのプロセスには、1種または複数のミネラル部分(mineral portion)含有化合物を1種または複数の食品グレードの酸と組み合わせて、自由流動性で、容易に可溶性の固体組成物を製造することが含まれる。飲料におけるミネラル補充物質として使用する場合、その組成物はその飲料のフレーバー、pH、または色を顕著に変化させない。
【0003】
ミネラルは、人体の健康にとって重要である。典型的には、医療提供者は、ミネラルを、必須ミネラルと微量ミネラルに分類している。必須ミネラルには、カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウム、リン、および亜鉛が含まれる。微量ミネラルには、クロム、銅、ヨウ素、マンガン、モリブデン、およびセレンが含まれる。たとえば、カルシウムは、人間の食事における必須元素である。カルシウムは、骨および歯の成分の一つとして構造的な機能を果たしている。それはさらに、たとえば、血液凝固、細胞膜の膜透過性、および心収縮も含めた筋肉収縮など、いくつかの生理的な系における必須元素でもある。カルシウムは常に排出されており、また人体ではカルシウムを合成できないので、ヒトは、食事から充分な食事性カルシウムを摂取して、人体における日々のカルシウム必要量を得なければならない。食事のカルシウムの吸収および使用に関するヒトの能力には、かなりの差があり、食事の他の成分に強い相関がある。たとえば、高タンパク質の食事を摂取した場合、典型的には、その食品中に存在しているカルシウムの約15%が人体に吸収される。その一方で、その食事にタンパク質が極めて少ないと、その食事中のカルシウムの約5%しか吸収されない。食事中のその他の因子も、同様の影響を与える可能性がある。ホスフェートの代謝は、カルシウムの代謝と密接な関係があり、一方の濃度が、他方の吸収に影響する。体内にカルシウムまたはホスフェートのいずれかが過剰に存在すると、人体はその過剰の元素を排出するので、他方の排出もまた増える。
【0004】
リンは体内のすべての細胞中に見出されるが、リンの大部分は、骨および歯の中のカルシウムに関係していることがわかっている。体内のリンの約10%が、ホスフェートの形態で、タンパク質、脂質、炭水化物との組合せ、およびDNA中の核酸との組合せとなって存在している。体内のリンの別な10%は、全身にわたって、極めて多種の化合物の中に広く分散している。人体の細胞内において、リンは多くの重要な化学反応に寄与している。たとえば、ATPのリン酸塩結合が解離されることで、代謝に必要なエネルギーが作り出される。
【0005】
健康な骨はカルシウムとホスフェートの両方を必要としている。骨のミネラル部分は、ヒドロキシアパタイトとして知られているリン酸カルシウムで構成されている。健康な骨は、ヒドロキシアパタイトの溶出と再結晶のプロセスによって、常に更新されている。適切に機能させるためには、このプロセスにカルシウムおよびホスフェートを常に供給する必要がある。
【0006】
鉄、マグネシウム、亜鉛、およびカリウムもまた、人体の健康において重要な役割を果たしている。鉄は、ヘモグロビン分子の中に取り込まれ、それによって、細胞への酸素輸送の機能を果たして、それらの細胞を、エネルギーの生成、コラーゲンの合成、および適切な免疫作用にとって重要なものとしている。マグネシウムは、体内における酸/アルカリのバランスの維持、神経および筋肉の機能、さらには骨の成長には必須のものである。亜鉛は、健康な免疫機能およびタンパク質合成を支援する。カリウムは、神経インパルスの伝達、筋肉収縮、および血圧維持にとって極めて重要である。
【0007】
ミネラルが強化された、安定で、魅力的で低コストの製品を食品メーカーが製造できれば、ヒトの栄養におけるミネラルの必要量を確実に満たすのに貢献することができるであろうということは明らかである。事実、食品メーカーは、彼らの製品をミネラルで強化することを望んでいる。しかしながら、ミネラルを添加すると、その食品の味覚、外観、およびその他の官能的な性質を変化させてしまう可能性がある。
【0008】
飲料のミネラル強化をしようとすると、低溶解性かまたは不溶性のミネラルを添加することによって起きる、曇り(濁度)、沈降、および味覚特性の変化などのために、特殊な問題が生じる。それらの問題を解決するために、当業者は長い間苦労してきた。
【0009】
特許文献1には、たとえばカルシウムのようなミネラルからなる粉体が開示されているが、それらは予め、溶液中で酸と混合されて高濃度で完全に可溶化され、乾燥、粉砕されたものである。それらの粉体は、水溶液の中で液状に戻すと溶解性が高い。たとえば、特許文献1の第4欄には、関連事項として(in relevant part)、以下のようにして粉体化されたミネラルの塩を調製することが開示されている:所望の量のカルシウム塩たとえば炭酸カルシウムまたは水酸化カルシウムを、まず水、好ましくは70〜74゜F前後の温水に添加する。他の温度を使用することも可能である。その水は、この時点で、その後に添加されるミネラル(1種または複数)および各種その他の成分を均質に分散させることを可能とする温度にあることが必要である。迅速に可溶化させるためには、そのミネラルが粉体の形状にあるのが好ましい。その溶液を混合して、すべてのミネラル粉体を濡らし、その水溶液の中に均質に分散させる。次いで、選択した酸を加える。これは、その溶液の混合を続けて、ミネラルおよび各種その他の成分がその水溶液の中に均質に分散するようにしながら、ゆっくりと実施するのが好ましい。発泡には注意する。発泡を防ぐために、混合速度、さらには酸の添加速度を低下させることができる。この段階で、その溶液が沸騰していない方が、より容易に生産できる。しかしながら、ミネラルを反応させて溶液とすることを可能とするために沸騰させることが必要ならば、酸(1種または複数)とミネラル(1種または複数)との最初の反応が起きた後に、その混合物全体を沸騰させることも可能である。特許文献1にはさらに、使用された酸が、ミネラルと結合して塩を形成することも開示されており、従って生物学的に利用可能なミネラルの塩が得られる酸が好ましい。使用可能な酸の例としては、乳酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、リン酸、アスコルビン酸、および/またはミネラルまたはミネラル混合物またはそれらの組合せを可溶化させるであろう、各種の食品グレードの酸などが挙げられる。ミネラルに添加する酸の量は、最終的な乾燥組成物を水の中で液状に戻させ、かつ、透明で、比較的に無臭で、比較的に無味とするような量である。液状に戻した粉体のフレーバーの酸性が強すぎるようならば、酸の量を減らす。液状に戻した粉体が透明でないのならば、酸の量を増やす。使用する酸の量は通常、ミネラル成分の重量の約2〜3倍である。この酸の使用量は、使用する酸(1種または複数)、ミネラル(1種または複数)、および使用されるミネラルの形態に応じて、変化させることになるであろう。
【0010】
特許文献1にはさらに、酸を添加するにつれて、発熱反応が起こり、その混合溶液の温度が上昇することも開示されている。外部加熱を加えて温度を上げることも可能である。好ましい温度は、少なくともおよそ130゜F(54℃)、たとえばおよそ140゜F(60℃)もしくは150゜F(66℃)、好ましくはおよそ160゜F(71℃)、さらに、好ましくはおよそ190゜F(88℃)、より好ましくはおよそ180゜F(82℃)、最も好ましくはおよそ170゜F(77℃)であるが、190゜F(88℃)より高い温度もまた有用である。温度を選択して、全部のミネラルおよび酸を可溶化させることによって、その溶液を半透明にさせられるようにする。逆に言えば、本発明は、エネルギー消費型の高温処理の使用を必要とするものではない。
【0011】
完全に可溶化させたら、その組成物はすぐに乾燥させることができる。異なった乾燥系では、特定の条件が必要である。乾燥系の例としては、凍結乾燥法、スプレー乾燥法、トレー乾燥、および真空乾燥法などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【0012】
特許文献2には、本発明のカルシウム−マグネシウムの乳酸塩−クエン酸塩錯体が、好ましくは、アルカリ性カルシウム源、たとえば、水酸化カルシウム、酸化カルシウムまたは炭酸カルシウムの懸濁液を、適切な量の、アルカリ性マグネシウム源、たとえば、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムまたは炭酸マグネシウムの懸濁液と混合し、次いで、所望の量のクエン酸および乳酸の溶液と混合することによって形成されるとの開示がある。前記アルカリ性カルシウム源は、懸濁状態にあらねばならない。懸濁液とは、沈降するのに充分な大きさを有していて、その溶液の透明性を低下させるであろう固体粒子を含む不均質な流体である。
【0013】
特許文献3(譲受人:コノプコ(Conopco))には、以下の記述がある:発明者らは、理論に捕らわれることを望むものではないが、準安定な透明溶液に対してバイオポリマーを添加すると、そのバイオポリマーの荷電基が荷電したミネラルの塩といくぶんかの錯形成を行って、第一および第二のミネラルの溶解した塩を安定化させると考えられる。その結果として、それらのミネラルの塩が前記バイオポリマーに対してそれらが会合するために、懸濁液の中に保持される。本発明において好適に使用しうるバイオポリマーの例としては、タンパク質およびアニオン性多糖類が挙げられる。一つの好ましい実施態様においては、そのタンパク質が、ミルクタンパク質またはダイズタンパク質であるが、ダイズタンパク質が特に好ましい。逆に、本発明では、溶液中にバイオポリマーが残って存在している必要もないし、懸濁液も必要としない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,569,477号明細書
【特許文献2】米国特許第6,261,610号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0268102号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、製造するのに安価でエネルギー効率がよく、透明で安定した飲料、そしてジュースの場合ならば沈降物のない飲料が得られ、飲料のフレーバー特性に影響することなく、かつ取扱が容易な、飲料にミネラルを補充するための組成物に対する必要性が依然として存在している。本発明は、当業界におけるそれらの問題を解決するが、その理由は、本発明のプロセスでは、特許文献1、特許文献2、および特許文献3におけるような、水を必要としないからである。さらに、特許文献1では、高温および乾燥が必要であり、特許文献3では、溶液の中に留まるバイオポリマーを必要としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、透明飲料をミネラル強化するのに使用することが可能な組成物を製造するためのプロセスに関し、それには以下の工程が含まれる:
【0017】
(a)ミネラル部分を含む化合物を選択する工程であって、前記化合物のミネラル部分を、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程;および
【0018】
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程;および
【0019】
(c)前記ミネラル部分含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて組成物を製造する工程であって、前記組成物中における前記ミネラル部分含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記組成物の1質量%溶液が10NTU未満の濁度および約2.8〜約3.2の間のpHを有するようにする工程。
【0020】
本発明はさらに、ジュースをミネラル強化するのに使用することが可能な組成物を製造するためのプロセスに関し、それには以下の工程が含まれる:
【0021】
(a)ミネラル部分を含む化合物を選択する工程であって、前記化合物のミネラル部分を、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程;および
【0022】
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程;および
【0023】
(c)前記ミネラル部分含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて組成物を製造する工程であって、前記組成物中における前記ミネラル部分含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記組成物の1質量%溶液が沈降しやすいものではなく、そして前記組成物が約2.8〜約3.2の間のpHを有するようにする工程。
【0024】
さらに、前記プロセスは、自由流動性の固体を製造する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、透明飲料をミネラル強化するのに使用することが可能な組成物を製造するためのプロセスに関し、それには以下の工程が含まれる:
【0026】
(a)ミネラル部分を含む化合物を選択する工程であって、前記化合物のミネラル部分を、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程;および
【0027】
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程;および
【0028】
(c)前記ミネラル部分含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて組成物を製造する工程であって、前記組成物中における前記ミネラル部分含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記組成物の1質量%溶液が10NTU未満の濁度および約2.8〜3.2の間のpHを有するようにする工程。
【0029】
本発明はさらに、ジュースをミネラル強化するのに使用することが可能な組成物を製造するためのプロセスに関し、それには以下の工程が含まれる:
【0030】
(a)ミネラル部分を含む化合物を選択する工程であって、前記化合物のミネラル部分を、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程;および
【0031】
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程;および
【0032】
(c)前記ミネラル部分含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて組成物を製造する工程であって、前記組成物中における前記ミネラル部分含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記組成物の1質量%溶液が沈降しやすいものではなく、そして前記組成物が約2.8〜約3.2の間のpHを有するようにする工程。
【0033】
さらに、前記プロセスは、自由流動性の固体を製造する。
【0034】
用語の定義および用法
本明細書で使用するとき、「沈降(sedimentation)」という用語は、懸濁液中の粒子または溶液の中の分子が、それらが含まれている流体から沈降分離して、表面に付着する傾向を意味している。
【0035】
本明細書で使用するとき、「濁度(turbidity)」という用語は、一般的には裸眼では個別に見ることができない、独立した粒子(または懸濁された固体)が原因の、流体の曇り(cloudiness)またはかすみ(haziness)を意味している。流体には、各種のサイズの粒子からなる懸濁固体物質を含むことができる。いくつかの懸濁物質は、液体サンプルを放置しておくと、その容器の底に急速に沈降するのに充分な大きさと重さを有しているであろうが(沈殿性固体)、それに対して、極めて小さな粒子は、そのサンプルを常に撹拌しておいたり、その粒子がコロイド状であるならば、極めてゆっくりとしか沈降しないか、または全く沈降しないであろう。これらの小さな固体粒子が、その液体を曇らすか、または濁らせて見せる。
【0036】
本明細書で使用するとき、「透明飲料(clear beverage)」という用語には、水、さらには透明な風味付け(flavored)飲料、たとえば、ティー(ハーブおよびカフェイン添加)、スポーツドリンク、風味付けおよび非風味付けソーダ水、およびクリアソーダたとえばスプライト(Sprite)(登録商標)およびセブン・アップ(7 UP)(登録商標)などが含まれると理解されたい(これらに限定される訳ではない)。
【0037】
本明細書で使用するとき、「自由流動性の固体(free flowing solid)」という用語は、流動性(flowing)または流出性(running)稠度を有するか、またはそれらを有するようになりうる固体粒子からなる各種の物質を意味している。
【0038】
本明細書で使用するとき、「サッシェ(sachet)」という用語は、1回で使い切る量の製品を入れるのに使用されることが多い、小さな使い捨ての袋を意味している。前記サッシェは、プラスチック、紙、または(密に織るかまたはメッシュ状の)繊維とすることができる。
【0039】
(a)本発明の実施において有用なミネラル含有化合物
本発明を実施するのに有用なミネラル含有化合物は、7よりも高いpH(すなわち、塩基性pH)を有するような化合物である。前記化合物のミネラル部分は、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウム、ならびにそれらの混合物を含む群から選択されるが、それらに限定される訳ではない。前記ミネラル含有化合物は乾燥したものである。
【0040】
本発明の一つの実施態様においては、ミネラルのカルシウムを含む有用な化合物としては、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定される訳ではない。前記カルシウムミネラル含有化合物は乾燥したものである。
【0041】
本発明の一つの実施態様においては、ミネラルの亜鉛を含む有用な化合物としては、Zn(OH)、ZnHPO、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定される訳ではない。前記亜鉛ミネラル含有化合物は乾燥したものである。
【0042】
本発明の一つの実施態様においては、ミネラルのマグネシウムを含む有用な化合物としては、MgCO、Mg(OH)、MgHPO、およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定される訳ではない。前記マグネシウムミネラル含有化合物は乾燥したものである。
【0043】
本発明の一つの実施態様においては、カルシウム金属を含む化合物たとえばリン酸二カルシウム、マグネシウム金属を含む化合物たとえばMg(OH)、および亜鉛金属を含む化合物たとえばZnHPOを、ミネラル補充の目的のために透明な液体またはジュースに容易に可溶性な流動性固体の中に配合することができる。透明な液体は透明なままに留まり、ジュースでは、容器の底に沈降物が出ない。
【0044】
(b)本発明の実施において有用な可食性の酸
本発明の実施において有用な可食性の酸としては、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定される訳ではない。本発明の一つの実施態様においては、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、およびグルコン酸が好ましい。また別な実施態様においては、リン酸およびフマル酸がより好ましい。さらなる実施態様においては、リン酸が好ましい。
【0045】
本発明の組成物の調製法
本発明は、乾燥したミネラル部分含有化合物を可食性の酸と組み合わせて、自由流動性の固体を形成させることによって調製される。前記自由流動性の固体の1.0質量%溶液は、透明飲料用途においては、10NTU未満の濁度および約2.8〜3.2の間のpHを有している。ジュース用途においては、容器の底に沈降物が出ず、2.8〜約3.2のpHが維持される。自由流動性の固体を製造するために必要な、乾燥したミネラル部分含有化合物の量、および可食性の酸の量は、分子量、原子価、溶解度およびpKaデータについての知見を有する当業者ならば、容易に決めることができる。本発明にとってキーとなる事柄は、特許文献1の場合のように水を最初に添加する必要もなく、あるいは、特許文献2および特許文献3の場合のように懸濁液を作成する必要もないという点にある。当業者には公知の混合方法および機器を使用して、所望の乾燥したミネラル部分含有化合物(1種または複数)と食品グレードの酸(1種または複数)とを単純に組み合わせて、処理の手間を省く。
【0046】
本発明の一つの好ましい実施態様においては、ミネラルのカルシウムを含む有用な化合物としては、リン酸二カルシウムまたはリン酸三カルシウムが挙げられるが、それらに限定される訳ではない。たとえば、前記リン酸二カルシウムまたはリン酸三カルシウムを可食性の酸と、それらの原料が反応するに充分な時間をかけて混合する。リン酸カルシウムは、水和の形態であっても、あるいは非水和の形態であってもよい。別な方法として、リン酸の一カルシウム、二カルシウムおよび/または三カルシウム塩を組み合わせたものを可食性の酸と、それらの原料が反応するに充分な時間をかけて混合してもよい。
【0047】
本発明の一つの実施態様においては、リン酸二カルシウムをリン酸と組み合わせて、組成物を製造する。一つの好ましい実施態様においては、無水のリン酸二カルシウムを準備し、その無水のリン酸二カルシウムにリン酸を、混合しながら時間をかけて添加する。
【0048】
さらなる実施態様においては、リン酸二カルシウムに85%リン酸を添加する。それらの原料は、慣用される混合機器を使用して混合すればよい。85%リン酸をリン酸二カルシウムに、完全に混合させるのに充分な時間、典型的には約30分間〜2時間かけて、ほぼ一定の速度で添加すればよい。それらの物質は、周囲温度で組み合わせればよいが、このプロセスは発熱するので、それら組み合わせた物質の温度を上げる可能性がある。
【0049】
本発明のまた別な実施態様においては、水和させたリン酸二カルシウムをリン酸と組み合わせて、組成物を製造する。一つの好ましい実施態様においては、リン酸二カルシウム二水和物(CaHPO・2HO)を準備し、そのリン酸二カルシウム二水和物にリン酸を、混合しながら時間をかけて添加する。たとえば、85%リン酸をリン酸二カルシウム二水和物に添加する。それらの原料は、慣用される混合機器を使用して混合すればよい。85%リン酸をリン酸二カルシウム二水和物に、完全に混合させるのに充分な時間、好ましくは約30分間〜2時間かけて、ほぼ一定の速度で添加すればよい。それらの物質は、周囲温度で組み合わせればよいが、このプロセスは発熱するので、それら組み合わせた物質の温度を上げる可能性がある。
【0050】
本発明のまた別な実施態様においては、リン酸三カルシウムをリン酸と組み合わせて、組成物を製造する。この実施態様においては、リン酸三カルシウムを準備し、そのリン酸三カルシウムにリン酸を、混合しながら時間をかけて添加する。一つの実施態様においては、85%リン酸をリン酸三カルシウムに添加する。それらの原料は、慣用される混合機器を使用して混合すればよい。85%リン酸をリン酸三カルシウムに、完全に混合させるのに充分な時間、好ましくは約30分間〜2時間かけて、ほぼ一定の速度で添加すればよい。それらの物質は、周囲温度で組み合わせればよいが、このプロセスは発熱するので、それら組み合わせた物質の温度を上げるであろう。
【0051】
リン酸二カルシウムまたはリン酸三カルシウムに添加するリン酸の濃度が85%未満である場合には、そのプロセスに乾燥工程を加えて、流動性の良好な固体物質とすることが必要となるかもしれない。この場合においては、その最終製品を乾燥させて、100℃における重量損失が1%未満となるようにするのが好ましい。
【0052】
本発明のさらに他の実施態様においては、リン酸二カルシウムとリン酸三カルシウムとの混合物をリン酸と組み合わせて、組成物を製造する。一つの好ましい実施態様においては、無水のリン酸二カルシウムおよびリン酸三カルシウムのブレンド物を準備し、リン酸二カルシウム/リン酸三カルシウムのブレンド物にリン酸を、混合しながら時間をかけて添加する。そのリン酸二カルシウムおよびリン酸三カルシウムは、そのブレンド物中の2種のリン酸塩を各種の比率で準備してもよい。一つの好ましい実施態様においては、リン酸二カルシウム/リン酸三カルシウムのブレンド物に85%リン酸を添加する。リン酸と、リン酸二カルシウム/リン酸三カルシウムのブレンド物とは、慣用される混合機器を使用して混合すればよい。85%リン酸をリン酸二カルシウム/リン酸三カルシウムのブレンド物に、完全に混合させるのに充分な時間、好ましくは約30分間〜2時間かけて、ほぼ一定の速度で添加すればよい。それらの物質は、周囲温度で組み合わせればよいが、このプロセスは発熱するので、それら組み合わせた物質の温度を上げるであろう。
【0053】
本発明のさらに別な実施態様においては、ZnHPOとMgHPOとのブレンド物を乳酸と組み合わせて、本発明の自由流動性の固体組成物を製造する。たとえば、ZnHPOとMgHPOとのブレンド物を準備し、そのZnHPOとMgHPOとのブレンド物に乳酸を、混合しながら時間をかけて添加する。当業者に公知の慣用される混合機器を使用する。乳酸は、完全に混合させるのに充分な時間、好ましくは約30分間〜2時間かけて、ほぼ一定の速度で添加する。混合は周囲温度で実施してよいが、このプロセスは発熱するので、それら組み合わせた物質の温度を上げるであろう。
【0054】
本発明の一つの実施態様においては、ZnHPOおよびMg(OH)を、フマル酸/リン酸のブレンド物と組み合わせる。当業者には公知の慣用される混合機器を使用して、ZnHPO、Mg(OH)、および酸のブレンド物を組み合わせて、流動可能な粉体を得る。
【0055】
本発明のさらなる実施態様においては、ZnHPO、リン酸二カルシウム、およびMg(OH)を、フマル酸/リン酸/クエン酸のブレンド物と組み合わせる。当業者には公知の慣用される混合機器を使用して、ZnHPO、リン酸二カルシウム、およびMg(OH)を、酸のブレンド物と組み合わせて、流動可能な粉体を得る。
【0056】
可食性の酸をミネラル含有化合物に添加するプロセスに本発明が限定されるものではないことに注意されたい。本明細書に記載された本発明の実施態様のすべてにおいて、そのプロセスは、可食性の酸を先ず準備し、次いで前記可食性の酸に各種のミネラル含有化合物またはそれらの混合物を添加し、そして混合することによって実施することが可能である。
【0057】
上述のプロセスによって製造された製品は自由流動性の固体ではあるが、その物質の流動性は、所望により、そのプロセスにおける最終工程として、最終組成物をリン酸三カルシウムと混合することによって、改良することが可能である。たとえば、上述のようにしてリン酸二カルシウムとリン酸を組み合わせて、本発明の組成物を製造することができる。その組成物を製造した後に、流動助剤としてリン酸三カルシウムをその組成物と混合することができる。リン酸三カルシウムは、必要に応じて各種の量で添加して、最終製品に所望の流動特性を与えることができる。一つの好ましい実施態様においては、本発明のプロセスによって製造された組成物を、リン酸三カルシウムと95/5(重量/重量)の比率で混合する。
【0058】
上述のように、本発明の方法によって製造した物質を水または透明飲料の中に溶解させて、ほとんど透明な溶液を得ることができる。前記物質をジュースの中に溶解させた場合には、沈降は起きない。飲料の透明さの評価は主観的である。飲料の外観は、目に入るまでに光がその中を通過する容積、その前でサンプルを観察する背景、および水中のその物質の濃度に依存する。さらに、人の眼では、隣り合ったサンプルの一つがその隣のものよりも、より曇っているかあるいはより濁りがあるかどうかを述べることができるとはいうものの、サンプルの比較は、多くの困難をはらんでいる。定量的な測定をすれば、評価における主観的な特性を抑制することができる。濁度を測定する定量的な方法は、見掛けの濁度は、懸濁されている粒子によって散乱される光の量に起因するという事実に依存している。濁度計を用いて行う測定は、サンプルの中を通過する入射光に対してある角度(90度)のところに置いた検出器における光の量を測定することによって、散乱光を測定している。その試験装置は、市販の標準を用いて較正することによって、正確で精密な測定が可能となる。較正標準によって、比濁度単位(Nephelometric Turbidity Units)(NTU)で濁度を報告することが可能となる。本発明のプロセスによって製造される物質を水の中に溶解させて、10NTU未満の濁度を有する1質量%溶液を得ることができる。その1質量%溶液のpHが、約2.8〜約3.2の間であるのが好ましい。
【0059】
以下の非限定的な実施態様を用いて、本発明の実施を説明する。
【0060】
実施例1
ホバート(Hobart)ミキサー中に、200gのリン酸二カルシウム無水物を、20℃の出発温度で準備する。混合しながら、20℃の200gの85%リン酸を、1時間かけて添加した。全部のリン酸を添加した後で、その物質をさらに30分間混合した。得られた生成物は、自由流動性の固体で留まっていた。反応の際に幾分かの熱が発生し、それによって最終反応生成物の温度が約40℃にまで上昇した。その粉体についてのX線回折では、その物質が、MCP−1(リン酸一カルシウム一水和物)を唯一の結晶性化合物として含んでいることを示した。その物質を水に加えると、それは完全に溶解して、曇りがまったくなく、5NTU未満の濁度であった。
【0061】
実施例2
ホバート(Hobart)ミキサー中に、160gのリン酸三カルシウム(TCP)を、20℃の出発温度で準備する。混合しながら、20℃の240gの85%リン酸を、1時間かけて添加した。全部のリン酸を添加した後で、その物質をさらに30分間混合した。得られた生成物は、自由流動性の固体で留まっていた。反応の際に幾分かの熱が発生し、それによって温度が約50℃にまで上昇した。その粉体についてのX線回折では、その物質が、MCP−1を唯一の結晶性化合物として含んでいることを示した。その物質を水に加えると、それは完全に溶解して、曇りがまったくなく、5NTU未満の濁度であった。
【0062】
本発明のプロセスによって製造された組成物を使用して、飲料特に透明飲料およびジュースをミネラル強化することができる。その組成物が容易に可溶性であるので、飲料中で所望のミネラル濃度にできるようなレベルでその組成物を添加することによって、各種所望のレベルで飲料をミネラル強化することができる。
【0063】
本発明のさらに別な実施態様においては、ミネラル部分含有化合物と可食性の酸とをブレンドすることによって調製された、乾燥した自由流動性の組成物を圧縮成形して錠剤とすることができる。たとえば、所望のミネラル部分含有化合物と所望の酸とをブレンドして、乾燥した自由流動性の組成物を形成させる。前記乾燥した自由流動性の組成物を圧縮成形して錠剤とすることができる。本発明の乾燥した自由流動性の組成物に活性成分をブレンドしてから、圧縮成形して錠剤としてもよい。活性成分としては以下のものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない:アセブトロール、アセチルシステイン、アセチルサリチル酸、アシクロビル、アルプラゾラム、アルファカルシドール、アラントイン、アロプリノール、アンブロキソール、アミカシン、アミロライド、アミノ酢酸、アミオダロン、アミトリプチリン、アムロジピン、アモキシシリン、アンピシリン、アスコルビン酸、アスパルテーム、アステミゾール、アテノロール、ベクロメタゾン、ベンセラジド、塩酸ベンザルコニウム、ベンゾカイン、安息香酸、ベタメタゾン、ベザフィブレート、ビオチン、ビペリデン、ビソプロロール、ブロマゼパム、ブロムヘキシン、ブロモクリプチン、ブデソニド、ブフェキサマック、ブフロメジル、ブスピロン、カフェイン、ショウノウ、カプトプリル、カルバマゼピン、カルビドパ、カルボプラチン、セファクロル、セファレキシン、セファドロキシル、セファゾリン、セフィキシム、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフロキシム、セレギレン、クロラムフェニコール、クロルヘキシジン、クロルフェニラミン、クロルタリドン、コリン、シクロスポリン、シラスタチン、シメチジン、シプロフロキサシン、シサプリド、シスプラチン、クラリスロマイシン、クラブラン酸、クロミプラミン、クロナゼパム、クロニジン、クロトリマゾール、コデイン、コレスチラミン、クロモグリク酸、シアノコバラミン、シプロテロン、デソゲストレル、デキサメタゾン、デクスパンテノール、デキストロメトルファン、デキストロプロポキシフェン、ジアゼパム、ジクロフェナク、ジゴキシン、ジヒドロコデイン、ジヒドロエルゴタミン、ジヒドロエルゴトキシン、ジルチアゼム、ジフェンヒドラミン、ジピリダモール、ジピロン、ジソピラミド、ドンペリドン、ドーパミン、ドキシサイクリン、エナラプリル、エフェドリン、エピネフリン、エルゴカルシフェロール、エルゴタミン、エリスロマイシン、エストラジオール、エチニルエストラジオール、エトポシド、ユーカリプツス・グロブルス(Eucalyptus globulus)、ファモチジン、フェロジピン、フェノフィブレート、フェノテロール、フェンタニル、フラビンモノヌクレオチド、フルコナゾール、フルナリジン、フルオロウラシル、フルオキセチン、フルルビプロフェン、フロセミド、ガロパミル、ゲムフィブロジル、ゲンタマイシン、ギンコウ・ビローバ(Gingko biloba)、グリベンクラミド、グリピジド、クロザピン、グリシライザ・グラブラ(Glycyrrhiza glabra)、グリセオフルビン、グアイフェネシン、ハロペリドール、ヘパリン、ヒアルロン酸、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロモルフォン、イプラトロピウムヒドロキシド、イブプロフェン、イミペネム、インドメタシン、イオヘキソール、イオパミドール、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、イソトレチノイン、ケトチフェン、ケトコナゾール、ケトプロフェン、ケトロラック、ラベタロール、ラクツロース、レシチン、レボカルニチン、レボドパ、レボグルタミド、レボノルゲストレル、レボチロキシン、リドカイン、リパーゼ、イミプラミン、リシノプリル、ロペラミド、ロラゼパム、ロバスタチン、メドロキシプロゲステロン、メントール、メトトレキセート、メチルドパ、メチルプレドニゾロン、メトクロプラミド、メトプロロール、ミコナゾール、ミダゾラム、ミノサイクリン、ミノキシジル、ミソプロストール、モルヒネ、マルチビタミン混合物または組合せおよびミネラル塩、N−メチルエフェドリン、ナフチドロフリル、ナプロキセン、ネオマイシン、ニカルジピン、ニセルゴリン、ニコチン酸アミド、ニコチン、ニコチン酸、ニフェジピン、ニモジピン、ニトラゼパム、ニトレンジピン、ニザチジン、ノルエチステロン、ノルフロキサシン、ノルゲストレル、ノルトリプチリン、ナイスタチン、オフロキサシン、オメプラゾール、オンダンセトロン、パンクレアチン、パンテノール、パントテン酸、パラセタモール、ペニシリンG、ペニシリンV、フェノバルビタール、ペントキシフィリン、フェノキシメチルペニシリン、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、フェニトイン、ピロキシカム、ポリミキシンB、ポビドン−ヨウ素、プラバスタチン、プラゼパム、プラゾシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ブロモクリプチン、プロパフェノン、プロプラノロール、プロキシフィリン、プソイドエフェドリン、ピリドキシン、キニジン、ラミプリル、ラニチジン、レセルピン、レチノール、リボフラビン、リファンピシン、ルトシド、サッカリン、サルブタモール、カルシトニン、サリチル酸、シンバスタチン、ソマトロピン、ソタロール、スピロノラクトン、スクラルファート、スルバクタム、スルファメトキサゾール、スルファサラジン、スルピリド、タモキシフェン、テガフール、テプレノン、テラゾシン、テルブタリン、テルフェナジン、テトラサイクリン、テオフィリン、チアミン、チクロピジン、チモロール、トラネキサム酸、トレチノイン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムテレン、トリメトプリム、トロキセルチン、ウラシル、バルプロ酸、バンコマイシン、ベラパミル、ビタミンE、葉酸、およびジドブジン。
【0064】
さらに、たとえば崩壊剤、結合剤、増量剤、および滑沢剤のような賦形剤(これらに限定される訳ではない)を、本発明の乾燥した自由流動性の組成物に添加し、その後で圧縮成形して錠剤としてもよい。崩壊剤の例としては、以下のものが挙げられる:寒天、アルギン、炭酸カルシウム、カルボキシメチルセルロース、セルロース、クレー、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、アルギン酸ナトリウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、および架橋ポリビニルピロリドンヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、およびデンプン。結合剤の例としては、以下のものが挙げられる:ミクロクリスタリンセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびポリビニルピロリドン。増量剤の例としては、以下のものが挙げられる:炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性硫酸カルシウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、セルロース、デキストリン誘導体、デキストリン、ブドウ糖、フルクトース、ラクチトール、ラクトース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルチトール、マルトデキストリン、マルトース、ソルビトール、デンプン、スクロース、糖、およびキシリトール。滑沢剤の例としては、以下のものが挙げられる:寒天、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリル、硬化植物油、酸化マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、マンニトール、ポロキサマー、グリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルナトリウム、ソルビトール、ステアリン酸、タルク、およびステアリン酸亜鉛。
【0065】
本発明のさらに別の実施態様においては、本発明の組成物を、1回で使い切る用途のためのサッシェに割り当てることもできる。別の言い方をすれば、本発明の組成物を使い切りの形の供給で使用して、サッシェに充填し、消費者は、前記組成物を、ボトル詰めした水、透明飲料たとえば緑茶またはジュースに加え、それによって消費しているそれらの液体のミネラル強化をすることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明飲料をミネラル強化するのに使用することが可能な組成物を製造するためのプロセスであって、
(a)ミネラル部分を含む化合物を選択する工程であって、前記化合物のミネラル部分を、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(c)前記ミネラル部分含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて組成物を製造する工程であって、前記組成物中における前記ミネラル部分含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記組成物の1質量%溶液が10NTU未満の濁度および約2.8〜約3.2の間のpHを有するようにする工程と、
を含むプロセス。
【請求項2】
ジュースをミネラル強化するのに使用することが可能な組成物を製造するためのプロセスであって、
(a)ミネラル部分を含む化合物を選択する工程であって、前記化合物のミネラル部分を、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(c)前記ミネラル部分含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて組成物を製造する工程であって、前記組成物中における前記ミネラル部分含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記組成物の1質量%溶液が沈降しやすいものではなく、そして前記組成物が約2.8〜約3.2の間のpHを有するようにする工程と、
を含むプロセス。
【請求項3】
透明飲料をミネラル強化するのに使用することが可能な組成物を製造するためのプロセスであって、
(a)ミネラルを含む化合物を選択する工程であって、ミネラルを含む前記化合物を、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム、Zn(OH)、ZnHPO、MgCO、Mg(OH)、MgHPO、およびそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(c)前記ミネラル含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて組成物を製造する工程であって、前記組成物中における前記ミネラル含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記組成物の1質量%溶液が10NTU未満の濁度および約2.8〜約3.2の間のpHを有するようにする工程と、
を含むプロセス。
【請求項4】
ジュースをミネラル強化するのに使用することが可能な組成物を製造するためのプロセスであって、
(a)ミネラルを含む化合物を選択する工程であって、ミネラルを含む前記化合物を、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム、Zn(OH)、ZnHPO、MgCO、Mg(OH)、MgHPO、およびそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(c)前記ミネラル含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて組成物を製造する工程であって、前記組成物中における前記ミネラル含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記組成物の1質量%溶液が沈降しやすいものではなく、そして前記組成物が約2.8〜約3.2の間のpHを有するようにする工程と、
を含むプロセス。
【請求項5】
透明飲料をミネラル強化するのに使用することが可能な自由流動性の固体組成物を製造するためのプロセスであって、
(a)ミネラル部分を含む化合物を選択する工程であって、前記化合物のミネラル部分を、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(c)前記ミネラル部分含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて組成物を製造する工程であって、前記組成物中における前記ミネラル部分含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記組成物の1質量%溶液が10NTU未満の濁度および約2.8〜約3.2の間のpHを有するようにする工程と、
を含むプロセス。
【請求項6】
ジュースをミネラル強化するのに使用することが可能な自由流動性の固体組成物を製造するためのプロセスであって、
(a)ミネラル部分を含む化合物を選択する工程であって、前記化合物のミネラル部分を、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(c)前記ミネラル部分含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて組成物を製造する工程であって、前記組成物中における前記ミネラル部分含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記組成物の1質量%溶液が沈降しやすいものではなく、そして前記組成物が約2.8〜約3.2の間のpHを有するようにする工程と、
を含むプロセス。
【請求項7】
透明飲料をミネラル強化するのに使用することが可能な自由流動性の固体組成物を製造するためのプロセスであって、
(a)ミネラルを含む化合物を選択する工程であって、ミネラルを含む前記化合物を、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム、Zn(OH)、ZnHPO、MgCO、Mg(OH)、MgHPO、およびそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(c)前記ミネラル含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて組成物を製造する工程であって、前記組成物中における前記ミネラル含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記組成物の1質量%溶液が10NTU未満の濁度および約2.8〜約3.2の間のpHを有するようにする工程と、
を含むプロセス。
【請求項8】
ジュースをミネラル強化するのに使用することが可能な自由流動性の固体組成物を製造するためのプロセスであって、
(a)ミネラルを含む化合物を選択する工程であって、ミネラルを含む前記化合物を、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一カルシウム、Zn(OH)、ZnHPO、MgCO、Mg(OH)、MgHPO、およびそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(c)前記ミネラル含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて組成物を製造する工程であって、前記組成物中における前記ミネラル含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記組成物の1質量%溶液が沈降しやすいものではなく、そして前記組成物が約2.8〜約3.2の間のpHを有するようにする工程と、
を含むプロセス。
【請求項9】
錠剤を製造するためのプロセスであって、
(a)ミネラル部分を含む化合物を選択する工程であって、前記化合物のミネラル部分を、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(c)前記ミネラル部分含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて乾燥した自由流動性の組成物を製造する工程であって、前記乾燥した自由流動性の組成物の中における前記ミネラル部分含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記乾燥した自由流動性の組成物を圧縮成形して錠剤とすることが可能であるようにする工程と、
を含むプロセス。
【請求項10】
水、透明飲料、またはジュースをミネラル強化するための組成物を使い切りの形で製造するためのプロセスであって、
(a)ミネラル部分を含む化合物を選択する工程であって、前記化合物のミネラル部分を、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(b)可食性の酸を、リン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、タンニン酸、フマル酸、およびグルコン酸、ならびにそれらの混合物からなる群より選択する工程と、
(c)前記ミネラル部分含有化合物(a)と前記可食性の酸(b)とを組み合わせて乾燥した自由流動性の組成物を製造する工程であって、前記乾燥した自由流動性の組成物の中における前記ミネラル部分含有化合物(a)の前記可食性の酸(b)に対する比率を、前記乾燥した自由流動性の組成物が使い切りで供給するサッシェの中に注入されることが可能であるようにする工程と、
を含むプロセス。

【公表番号】特表2013−510593(P2013−510593A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549983(P2012−549983)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/053983
【国際公開番号】WO2012/087267
【国際公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(505084756)イノフォス インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】