説明

通信システム、テレビ電話システム及び端末

【課題】通信トラフィックを低減可能な通信システムを提供すること。
【解決手段】テレビ電話システム100は、携帯電話1と、携帯電話1と無線通信をして通信網3とを接続する基地局2と、電話網やインターネット網等の通信網3と、コンピュータ4とを備えている。携帯電話1の使用者5が携帯電話1の表示部を注視していない場合には、通話相手であるコンピュータ4の使用者6の画像の通信速度を下げる。また、使用者6がコンピュータ4の表示部を注視していない場合には使用者5の画像の通信速度を下げる。これにより、携帯電話1とコンピュータ4との間の不要な通信トラフィックを低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の端末間でデータを通信する通信システムに関するものであり、特に、通信トラフィックを低減できる通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話やコンピュータ等の電子機器を使用し、複数の電子機器間で互いにデータを通信する通信システムが知られている。特に近年において、複数の電子機器の間で使用者の音声データと画像データを通信するテレビ電話システムが普及しつつある。しかし、従来のテレビ電話システムは、通信する画像データのデータ量が多いので、通信時に通信トラフィックが増大するという課題があった。そこで、このような課題を解決するために、通信トラフィックを低減するテレビ電話システムが提案されてきた。
【0003】
例えば、特許文献1には、携帯電話を使用するテレビ電話システムであって、電波の状態を検出し、電波の状態が悪い場合には画像通信を行わずに音声通信だけを行うことにより、通信するデータ量を減らして通信トラフィックを低減するテレビ電話システムが開示されている。
【特許文献1】特開2000−36875号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、電波状態に基づいて通信データ量を制御しているが、他の状態、とりわけテレビ電話システムの使用者の状態については何ら考慮されていない。よって、以下のような問題が生じる可能性がある。
【0005】
例えば、特許文献1に開示されている技術では、電波状態が良い場合には音声及び画像を通信するが、このときテレビ電話システムの使用者が送信されてきた通話相手の画像を表示する表示部を見ていない場合には、無駄な画像を通信していることになり、その結果、不要な通信トラフィックが増大してしまうという問題が生じる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、不要な通信トラフィックを低減可能な通信システム、テレビ電話システム及びこれに使用される端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の通信システムは、第1及び第2の端末間でデータを通信し、前記第1の端末の使用者が前記第2の端末から送信される前記データを表示する表示部を注視しているかどうかに基づいて、前記第2の端末から送信される前記データの通信または前記データ自体を制御する。このような構成によれば、端末の使用者が表示部を注視しているかどうかに基づいて送信されるデータの通信やデータ自体を制御するので、使用者が表示部を注視していない場合に、例えばデータの通信速度を低下したり、データ量を削減したりする処理等が実施でき、端末間の通信トラフィックを低減できる。
【0008】
また、前記通信システムでは、前記使用者が前記表示部を注視していない場合に、前記第2の端末から送信される前記データの通信速度を低下させることを特徴としている。また、前記通信システムでは、前記使用者が前記表示部を注視していない場合に、前記第2の端末から送信される前記データの通信を中断させる。これらのような構成によれば、使用者が表示部を注視していない場合に、データ端末間の通信トラフィックを低減できる。
【0009】
また、前記通信システムでは、前記データは画像データであり、前記使用者が前記表示部を注視していない場合に、前記第2の端末から送信される前記画像データのフレームレートを低下させる。また、前記通信システムでは、前記データは画像データであり、前記使用者が前記表示部を注視していない場合に、前記第2の端末から送信される前記画像データの解像度を低下させる。また、前記通信システムでは、前記データは画像データであり、前記使用者が前記表示部を注視していない場合に、前記第2の端末から送信される前記画像データの色数を低下させる。これらのような構成によれば、使用者が表示部を注視していない場合に、画像データのデータ量を削減することにより、端末間の通信トラフィックを低減できる。
【0010】
また、前記通信システムでは、前記使用者が前記表示部を注視しているかどうか及び通信環境の状態に基づいて、前記第2の端末から送信される前記データの通信または前記データ自体を制御する。このような構成によれば、使用者の注視状態と通信環境とに基づいてデータの通信やデータ自体を制御するので、状況に応じて端末間の通信トラフィックを低減できる。
【0011】
また、前記通信システムでは、前記使用者が所定時間に亘って前記表示部を注視していないかどうかに基づいて、前記第2の端末から送信される前記データの通信または前記データ自体を制御する。また、前記通信システムでは、前記使用者が前記表示部を注視しているかどうかを判断する処理を行うか否かを選択する選択手段を備える。これらのような構成によれば、データの通信やデータ自体の制御が頻繁に切り替わることを防止できる。
【0012】
また、前記通信システムでは、カメラで撮影した前記使用者の画像に基づいて前記使用者が前記表示部を注視しているかどうかを判断する。このような構成によれば、容易に使用者が表示部を注視しているかどうか判断できる。
【0013】
また、前記通信システムでは、前記使用者が前記表示部を注視していない場合に、前記第2の端末から送信される前記データを記憶する。このような構成によれば、使用者が表示部を注視していない時のデータを、使用者が再度表示部を注視した時に見ることができる。
【0014】
また、本発明のテレビ電話システムは、第1及び第2の端末間で画像データ及び音声データを通信し、前記第1の端末は、前記第1の端末の使用者の画像を撮影するカメラと、前記第2の端末から送信される前記画像データを表示する表示部と、前記カメラが撮影した前記画像に基づいて前記第1の端末の使用者が前記表示部を注視しているかどうかを判定し、前記使用者の注視状態に応じて前記第2の端末から送信される前記画像データの通信または前記画像データ自体を制御する制御部とを備える。このような構成によれば、端末の使用者が表示部を注視しているかどうかに基づいてデータの通信やデータ自体を制御するので、使用者が表示部を注視していない場合に、例えばデータの通信速度を低下したり、データ量を削減したりする処理ができ、端末間の通信トラフィックを低減できる。
【0015】
また、本発明の端末は、複数の端末間でデータを通信する通信システムに使用され、通信相手から送信される前記データを表示する表示部を備えており、使用者が前記表示部を注視しているかどうかの情報を前記通信相手に送信する。このような構成によれば、端末の使用者が表示部を注視しているかどうかの情報を通信相手に送信するので、通信相手は送信されてきた情報に基づいてデータの通信やデータ自体を制御できる。よって、使用者が表示部を注視していない場合に、例えばデータの通信速度を低下したり、データ量を削減したりする処理ができ、端末間の通信トラフィックを低減できる。
【0016】
また、本発明の端末は、複数の端末間でデータを通信する通信システムに使用され、通信相手から送信される前記データを表示する表示部と、使用者が前記表示部を注視しているかどうかに基づいて前記通信相手から送信される前記データの通信または前記データ自体を制御する制御部とを備える。このような構成によれば、端末の使用者が表示部を注視しているかどうかに基づいてデータの通信やデータ自体を制御するので、使用者が表示部を注視していない場合に、例えばデータの通信速度を低下したり、データ量を削減したりする処理ができ、端末間の通信トラフィックを低減できる。
【0017】
また、本発明の端末は、複数の端末間でデータを通信する通信システムに使用され、通信相手の使用者が受信したデータを表示する表示部を注視しているかどうかの情報を受信し、前記情報に基づいて前記通信相手に送信する前記データの通信または前記データ自体を制御する。このような構成によれば、通信相手の端末の使用者が表示部を注視しているかどうかに基づいて通信相手に送信するデータの通信やデータ自体を制御するので、使用者が表示部を注視していない場合に、例えばデータの通信速度を低下したり、データ量を削減したりする処理ができ、端末間の通信トラフィックを低減できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、端末の使用者が表示部を注視しているかどうかに基づいて、複数の端末間のデータの通信またはデータ自体を制御することにより、端末間の通信トラフィックを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の通信システムの一例であるテレビ電話システムの概略を示した図である。図2は、携帯電話1の構成を示す図である。図3は、コンピュータ4の構成を示す図である。
【0021】
図1に示すように、本実施例のテレビ電話システム100は、端末としての携帯電話1と、携帯電話1と無線通信をして通信網3とを接続する基地局2と、電話網やインターネット網等の通信網3と、端末としてのコンピュータ4とを備えている。
【0022】
図2に示すように、携帯電話1は、携帯電話1の使用者5等の画像を撮影するカメラ1aと、記憶部1cに記憶されたデータやコンピュータ4から送信された画像データを表示するLCD等の表示部1bと、携帯電話1で使用する種々のデータやカメラ1aで撮影した画像等を記憶する記憶部1cと、使用者5の音声を入力するマイク1dと、通話相手の音声を出力するスピーカー1eと、基地局2と無線通信する通信部1fと、これらの制御を行う制御部1gとを備えている。
【0023】
これらの構成により、携帯電話1は、使用者5の音声データ及び画像データを通話先のコンピュータ4に送信し、コンピュータ4から送信された使用者6の音声データ及び画像データを受信し、音声をスピーカー1eから出力し、そして画像を表示部1bに表示する等の動作を行う。すなわち、使用者5は、携帯電話1を使用することにより、使用者6の画像を見ながら、使用者6と通話できる。
【0024】
図3に示すように、コンピュータ4は、コンピュータ4の使用者6等の画像を撮影するカメラ4aと、記憶部4cに記憶されたデータや携帯電話1から送信された画像データを表示するLCD等の表示部4bと、コンピュータ4で使用する種々のデータやカメラ4aで撮影した画像等を記憶する記憶部4cと、使用者6等の音声を入力するマイク4dと、通話相手の音声を出力するスピーカー4eと、通信網3と無線又は有線通信する通信部4fと、これらを制御する制御部4gとを備えている。なお、カメラ4a、マイク4d及びスピーカー4eは、コンピュータ4の本体とは別に設けられており、それぞれが有線又は無線で制御部に接続されている。
【0025】
これらの構成により、コンピュータ4は、使用者6の音声データ及び画像データを通話先の携帯電話1に送信し、携帯電話1から送信された音声データ及び画像データを受信し、音声をスピーカー4eから出力し、画像を表示部4bに表示する等の動作を行う。すなわち、使用者6は、コンピュータ4を使用することにより、使用者5の画像を見ながら使用者5と通話できる。
【0026】
次に、図4を参照しながらテレビ電話システム100の動作を説明する。図4は、携帯電話1におけるテレビ電話の動作を示すフローチャートである。なお、コンピュータ4についても、携帯電話1と同様の動作を行う。
【0027】
まず、マイク1dが使用者5の音声を入力し、カメラ1aが使用者5の画像を撮影する(ステップS101)。続いて、制御部1gがステップS101で撮影した使用者5の画像に基づいて、使用者5の注視状態、すなわち使用者5が表示部1bを見ているかどうかを検出する(ステップS102)。なお、この注視状態検出の具体的な方法については、後で説明する。
【0028】
次に、制御部1gがステップS102で検出した注視状態に基づいて、使用者5が表示部1bを注視しているかどうかを判定する(ステップS103)。制御部1gが、使用者5が表示部1bを注視していないと判断した場合(ステップS103/No)には、画像データの通信速度を変更するステップS104に進む。ステップS104では、図5(b)に示すように、制御部1gが、コンピュータ4から送信される画像データの通信速度を図5(a)に示す所定の通信速度よりも低下させる制御を行う。すなわち、制御部1gが、使用者5が表示部1bを注視していないという情報を含む信号を通信部1fにコンピュータ4に対して送信させる。なお、コンピュータ4に対して画像データの通信速度を低下させるように指示する信号を送信させても良い。また、この信号は、ステップS106で送信しても良いし、それより以前に送信しても良い。
【0029】
コンピュータ4の制御部4gは、携帯電話1から送信された前記信号を受信すると、通信部4fに次回送信分から画像データの送信速度を低下させて送信させる。通信速度の低下方法としては、例えばデジタル変調方式を16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)からQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)に変更する方法等が考えられる。
【0030】
なお、通信速度の制御方法は、前記方法に限定されず、他の方法を用いても良い。例えば、変調方式としてVSF−OFCDM(Variable Spreading Factor - Orthogonal Frequency and Code Division Multiplexing)を採用して、符号化率を下げることにより、通信速度を低下させる方法も考えられる。
【0031】
ステップS103において、制御部1gが、使用者5が表示部1bを注視していると判断した場合(ステップS103/Yes)には、画像データの通信速度を所定の通信速度に設定するステップS105に進む。ステップS105では、制御部1gが、図5(a)に示すように、画像データの通信速度を所定の通信速度(本実施例では、設定可能な最大通信速度)に設定する。なお、所定通信速度が前記に限定されないのは言うまでもない。
【0032】
ステップS104及びS105の後、マイク1dが入力した音声データとカメラ1aが撮影した画像データとをコンピュータ4に対して送信するとともに、コンピュータ4から送信された音声データと画像データとを受信する(ステップS106)。そして、受信した音声データに基づいて使用者6の音声をスピーカー1eから出力するとともに、受信した画像データに基づいて使用者6の画像を表示部1bに表示する(ステップS107)。
【0033】
ステップS107が終わると、通話が終了しているか確認する(ステップS108)。通話が終了している場合(ステップS108/Yes)にはテレビ電話処理を終え、通話が続いている場合(ステップS108/No)にはステップS101に戻る。
【0034】
前述したように、使用者5が表示部1bを注視していない場合には、コンピュータ4から携帯電話1に不要な画像データを送信することになるので、不要な通信トラフィックを増大させる原因となる。そこで、本実施例のテレビ電話システム100では、使用者5が表示部1bを見ていないと判断した場合には、図5(b)に示すように、コンピュータ4から送信される画像データの通信速度を低下させることにより、不要な通信トラフィックを低減させる。
【0035】
次に、図4のステップS102において、制御部1gがステップS101で撮影した使用者5の画像に基づいて、使用者5の注視状態を検出する方法について、図6、7を参照しながら説明する。
【0036】
図6(a)は、図4のステップS101においてカメラ1aが撮影した表示部1bを注視しているときの使用者5の画像を示している。図6(b)は、図6(a)に示す使用者5の目の部分を拡大した図である。また、図7(a)は、図4のステップS101においてカメラ1aが撮影した表示部1bを注視していないときの使用者5の画像を示している。図7(b)は、図7(a)に示す使用者5の目の部分を拡大した図である。
【0037】
図4のステップS102では、制御部1gが、使用者5の画像から黒目(角膜)5a及び白目(強膜)5bの相対的な位置を検出し、検出した黒目5a及び白目5bの相対位置に応じて、使用者5の注視状態を判断する。すなわち、制御部1gは、図6の左右方向における黒目5aの中心と白目5bの中心とが一致(もしくはほぼ一致)した場合(図6(b))に、使用者5が表示部1bを注視していると判断する。また、制御部1gは、黒目5aの中心と白目5bの中心とが離れている場合(図7(b))に、使用者5が表示部1bを注視していない、すなわち表示部1b以外の方向を見ていると判断する。なお、黒目5a及び白目5bの相対位置の判断方法として、黒目5a及び白目5bの図6の上下方向における中心や、上下左右方向における中心の相対位置に基づいて、使用者5の注視状態を判断しても良い。
【0038】
また、使用者5の注視状態の検出方法は、前記方法に限らず、適宜変更可能である。例えば、使用者5の顔5cに対する白目5bの相対位置又は個数を検出することにより、使用者5の注視状態を判断しても良い。図8は、顔5cに対する白目5bの相対位置が所定位置から離れており、また顔5cの中に白目5bが1個しか検出しないので、使用者5が表示部1bを注視していない、すなわち表示部1b以外の方向を見ていると判断される場合(例えば、使用者5が横を向いている場合)を示している。また、図9は、顔5cの中に白目5bが1個しか検出されないが、黒目5aの中心と白目5bの中心とが一致しているので、使用者5が表示部1bを注視していると判断される場合(例えば、2人以上の使用者が表示部1bを注視している場合)を示している。また、図示していないが、使用者5の黒目5a及び白目5bを検出できない場合には、使用者5が目をつぶっている等の状態によって表示部1bを注視していないと判断することもできる。
【0039】
前述したように、本実施例のテレビ電話システム100では、使用者5が表示部1bを見ていないと判断した場合には、コンピュータ4から送信される画像データの通信速度を低下させる。同様に、本実施例では、コンピュータ4の使用者6が表示部4bを注視していないと判断した場合には、携帯電話1から送信される画像データの通信速度を低下させることにより、不要な通信トラフィックを低減させる。
【0040】
以下、使用者5、6の注視状態に応じた通信速度の制御について図10を参照しながら説明する。図10は、使用者5、6の注視状態の有無に応じたデータの通信速度の制御状況を示している。
【0041】
図10に示すように、使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ高く設定する。使用者5が表示部1bを注視しており、使用者6が表示部4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度を低く設定し、コンピュータ4から携帯電話1への通信速度を高く設定する。使用者5が表示部1bを注視しておらず、使用者6が表示部4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度を高く設定し、コンピュータ4から携帯電話1への通信速度を低く設定する。使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ低く設定する。なお、通信速度を高く設定する場合には例えば設定可能な最大の通信速度に設定し、低く設定する場合には例えば最大通信速度の10分の1の通信速度に設定する。このように、使用者5、6の注視状況に応じて通信速度を適宜設定することにより、携帯電話1とコンピュータ4との間の不要な通信トラフィックを低減している。
【0042】
以上のように、本実施例では、使用者5が表示部1bを注視していない場合には表示部1bに表示させる画像の通信速度を下げ、また使用者6が表示部4bを注視していない場合には表示部4bに表示させる画像の通信速度を下げるので、携帯電話1とコンピュータ4との間の不要な通信トラフィックを低減できる。
【0043】
なお、本実施例では、携帯電話1がコンピュータ4に対して画像データの通信速度を低下させるように指示する信号を送信し、コンピュータ4が画像データの送信速度を低下させるようにしたが(図4ステップS104)、通信速度を低下させる処理を行うのは各端末に限定されない。例えば、図1の基地局2や図示しないRNC(Radio Network Controller)やCN(Core Network)が通信速度を低下させる処理を行っても良い。
【0044】
また、図10において、通信速度は前記に限らず、使用者が注視していない場合の通信速度が注視している場合の通信速度よりも低ければ適宜変更可能である。
【0045】
また、本実施例において、カメラ1a、マイク4d及びスピーカー4eをコンピュータ4の本体とは別に設けたが、それぞれをコンピュータ4の本体と一体的に設けても良い。
【実施例2】
【0046】
次に、本発明の他の実施例について、図11を参照しながら説明する。実施例2は、前記実施例1に比べてデータの通信速度の制御のみが異なるので、構成等その他については説明を省略する。図11は、実施例1の図10に対応する図であり、使用者5、6の注視状態の有無に応じたデータの通信速度の制御状況を示している。
【0047】
図11に示すように、使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ高く設定する。使用者5が表示部1bを注視しており、使用者6が表示部4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ低く設定する。使用者5が表示部1bを注視しておらず、使用者6が表示部4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ低く設定する。使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ低く設定する。なお、通信速度を高く設定する場合には例えば設定可能な最大の通信速度に設定し、低く設定する場合には例えば最大通信速度の10分の1の通信速度に設定する。
【0048】
このように、本実施例では、使用者5が表示部1bを注視していない場合には表示部1bに表示させる画像の通信速度を下げ、また使用者6が表示部4bを注視していない場合には表示部4bに表示させる画像の通信速度を下げるので、携帯電話1とコンピュータ4との間の不要な通信トラフィックを低減できる。
【0049】
また、本実施例では、使用者5、6の少なくとも一方が表示部1b、4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ低く設定するので、通信媒体をより有効に利用することができる。
【0050】
なお、図11において、通信速度は前記に限らず適宜変更可能であり、使用者5、6が共に表示部1b、4bを注視している場合の通信速度がそれ以外の場合の通信速度よりも低ければ良い。
【実施例3】
【0051】
次に、本発明の他の実施例について、図12を参照しながら説明する。前記実施例1がデータの通信速度を制御するのに対して、実施例3は所定時間毎の画像データのフレーム数、すなわちフレームレートを制御する。なお、実施例3と実施例1は制御対象のみが異なるので、構成等その他については説明を省略する。図12は、実施例1の図10に対応する図であり、使用者5、6の注視状態の有無に応じた画像のフレームレートの制御状況を示している。
【0052】
図12に示すように、使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4への画像フレームレート及びコンピュータ4から携帯電話1への画像フレームレートをそれぞれ高く設定する。使用者5が表示部1bを注視しており、使用者6が表示部4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4への画像フレームレートを低く設定し、コンピュータ4から携帯電話1への画像フレームレートを高く設定する。使用者5が表示部1bを注視しておらず、使用者6が表示部4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4への画像フレームレートを高く設定し、コンピュータ4から携帯電話1への画像フレームレートを低く設定する。使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4への画像フレームレート及びコンピュータ4から携帯電話1への画像フレームレートをそれぞれ低く設定する。なお、フレームレートを高く設定する場合には例えば毎秒30フレームに設定し、低く設定する場合には例えば毎秒10フレームに設定する。
【0053】
以上のように、本実施例では、使用者5が表示部1bを注視していない場合には表示部1bに表示させる画像のフレームレートを低くし、また使用者6が表示部4bを注視していない場合には表示部4bに表示させる画像のフレームレートを低くするので、所定時間毎に送信する画像データの量を削減でき、携帯電話1とコンピュータ4との間の不要な通信トラフィックを低減できる。
【0054】
なお、図12において、フレームレートは前記に限らず、使用者が注視していない場合のフレームレートが、注視している場合のフレームレートよりも低ければ適宜変更可能である。
【実施例4】
【0055】
次に、本発明の他の実施例について、図13を参照しながら説明する。前記実施例1がデータの通信速度を制御するのに対して、実施例4は通信するデータ自体を制御する。なお、構成等については実施例4と実施例1とで同様であるので、説明を省略する。図13は、実施例1の図10に対応する図であり、使用者5、6の注視状態の有無に応じたデータの制御状況を示している。
【0056】
図13に示すように、使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視している場合には、画像データ及び音声データを携帯電話1からコンピュータ4へ、コンピュータ4から携帯電話1へそれぞれ送信する。使用者5が表示部1bを注視しており、使用者6が表示部4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ音声データのみを送信し、コンピュータ4から携帯電話1へ画像データ及び音声データを送信する。使用者5が表示部1bを注視しておらず、使用者6が表示部4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ画像データ及び音声データを送信し、コンピュータ4から携帯電話1へ音声データのみを送信する。使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視していない場合には、音声データのみを携帯電話1からコンピュータ4へ、コンピュータ4から携帯電話1へそれぞれ送信する。
【0057】
以上のように、本実施例では、使用者5が表示部1bを注視していない場合には、コンピュータ4から携帯電話1へ画像データを送信せずに音声データのみを送信し、また使用者6が表示部4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ画像データを送信せずに音声データのみ送信する。したがって、データ量が多く通信トラフィックに大きく影響を及ぼす画像データの不要な送信を停止することにより、送信するデータ量を削減でき、携帯電話1とコンピュータ4との間の不要な通信トラフィックを低減できる。
【0058】
なお、本実施例において、携帯電話1で使用者5が表示部1bを注視していないと判断した場合に、コンピュータ4でその期間の使用者6の画像を記憶部4cに記憶しておき、その後使用者5が表示部1bを注視した場合に、記憶しておいた画像を携帯電話1に送信し、使用者5が受信した画像を見るようにすることもできる。このようにすることにより、携帯電話1とコンピュータ4との間の不要な通信トラフィックを低減でき、かつ使用者5が記憶しておいた使用者6の画像を見ることもできる。
【実施例5】
【0059】
次に、本発明の他の実施例について、図14を参照しながら説明する。前記実施例1がデータの通信速度を制御するのに対して、実施例5は画像データの解像度を制御する。なお、構成等その他については実施例5と実施例1とで同様であるので、説明を省略する。図14は、実施例1の図10に対応する図であり、使用者5、6の注視状態の有無に応じた画像データの解像度の制御状況を示している。
【0060】
図14に示すように、使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ送信される画像データの解像度及びコンピュータ4から携帯電話1へ送信される画像データの解像度をそれぞれ高く設定する。使用者5が表示部1bを注視しており、使用者6が表示部4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ送信される画像データの解像度を低く設定し、コンピュータ4から携帯電話1へ送信される画像データの解像度を高く設定する。使用者5が表示部1bを注視しておらず、使用者6が表示部4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ送信される画像データの解像度を高く設定し、コンピュータ4から携帯電話1へ送信される画像データの解像度を低く設定する。使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ送信される画像データの解像度及びコンピュータ4から携帯電話1へ送信される画像データの解像度をそれぞれ低く設定する。なお、解像度を高く設定する場合には例えば設定可能な最高の解像度に設定し、低く設定する場合には例えば設定可能な最低解像度に設定する。
【0061】
以上のように、本実施例では、使用者5が表示部1bを注視していない場合には、コンピュータ4から携帯電話1へ送信される画像データの解像度を低く設定し、また使用者6が表示部4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ送信される画像データの解像度を低く設定する。したがって、送信する画像データ量を削減できるので、携帯電話1とコンピュータ4との間の不要な通信トラフィックを低減できる。
【0062】
なお、図14において、解像度は前記に限らず、使用者が注視していない場合の解像度が、注視している場合の解像度よりも少なければ適宜変更可能である。
【実施例6】
【0063】
次に、本発明の他の実施例について、図15を参照しながら説明する。前記実施例1がデータの通信速度を制御するのに対して、実施例6は画像データの色数を制御する。なお、構成等について実施例6は実施例1と同様であるので、説明を省略する。図15は、実施例1の図10に対応する図であり、使用者5、6の注視状態の有無に応じた画像の色数の制御状況を示している。
【0064】
図15に示すように、使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ送信される画像データの色数及びコンピュータ4から携帯電話1へ送信される画像データの色数をそれぞれ多く設定する。使用者5が表示部1bを注視しており、使用者6が表示部4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ送信される画像データの色数を少なく設定し、コンピュータ4から携帯電話1へ送信される画像データの色数を多く設定する。使用者5が表示部1bを注視しておらず、使用者6が表示部4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ送信される画像データの色数を多く設定し、コンピュータ4から携帯電話1へ送信される画像データの色数を少なく設定する。使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ送信される画像データの色数及びコンピュータ4から携帯電話1へ送信される画像データの色数をそれぞれ少なく設定する。なお、色数を多く設定する場合には例えば256色に設定し、低く設定する場合には例えば16色に設定する。
【0065】
以上のように、本実施例では、使用者5が表示部1bを注視していない場合には、コンピュータ4から携帯電話1へ送信される画像データの色数を少なく設定し、また使用者6が表示部4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4へ送信される画像データの色数を少なく設定する。したがって、送信する不要な画像データ量を削減できるので、携帯電話1とコンピュータ4との間の不要な通信トラフィックを低減できる。さらに、使用者は通話相手の画像の色数を確認することにより、通話相手の注視状態を容易に把握することができる。
【0066】
なお、図15において、画像データの色数は前記に限らず、使用者が注視していない場合の色数が、注視している場合の色数よりも少なければ適宜変更可能である。
【実施例7】
【0067】
次に、本発明の他の実施例について、図16を参照しながら説明する。前記各実施例が使用者5、6の注視状態に基づいてデータ通信やデータを制御するのに対して、実施例7は使用者5、6の注視状態及び通信環境に基づいてデータ通信やデータを制御する。なお、構成等について実施例7は実施例1と同様であるので、説明を省略する。図16は、実施例1の図10に対応する図であり、図16(a)は通信環境が良い場合、また図16(b)は通信環境が悪い場合の使用者5、6の注視状態の有無に応じた通信速度の制御状況を示している。
【0068】
図16(a)に示すように、使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ“高”に設定する。使用者5が表示部1bを注視しており、使用者6が表示部4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度を“中”に設定し、コンピュータ4から携帯電話1への通信速度を“高”に設定する。使用者5が表示部1bを注視しておらず、使用者6が表示部4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度を“高”に設定し、コンピュータ4から携帯電話1への通信速度を“中”に設定する。使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ“低”に設定する。なお、通信速度を“高”に設定する場合には例えば設定可能な最大の通信速度に設定し、“中”に設定する場合には例えば最大通信速度の5分の1の通信速度に設定し、“低”に設定する場合には例えば最大通信速度の10分の1の通信速度に設定する。
【0069】
このように、電波状態等の通信環境が良い場合には、通信速度を3段階に設定している。すなわち、通信環境が良い場合には、通信トラフィックが多少増加しても通信環境への影響が少ないので、一方の使用者が表示部を注視していない場合に通信速度を“中”に設定することにより、携帯電話1とコンピュータ4との間の不要な通信トラフィックを低減し、且つ通信速度をある程度維持している。
【0070】
図16(b)に示すように、使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ“中”に設定する。使用者5が表示部1bを注視しており、使用者6が表示部4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ“低”に設定する。使用者5が表示部1bを注視しておらず、使用者6が表示部4bを注視している場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ“低”に設定する。使用者5、6がそれぞれ表示部1b、4bを注視していない場合には、携帯電話1からコンピュータ4への通信速度及びコンピュータ4から携帯電話1への通信速度をそれぞれ“低”に設定する。なお、“中”に設定する場合には例えば最大通信速度の5分の1の通信速度に設定し、“低”に設定する場合には例えば最大通信速度の10分の1の通信速度に設定する。
【0071】
このように、電波状態等の通信環境が悪い場合には、通信トラフィックが増加すると通信環境への影響が大きいので、少なくとも一方の使用者が表示部を注視していない場合に通信速度を“低”に設定することにより、携帯電話1とコンピュータ4との間の不要な通信トラフィックを低減している。
【0072】
以上のように、本実施例では、使用者の注視状態及び通信環境に基づいて通信速度を制御しているので、携帯電話1とコンピュータ4との間の不要な通信トラフィックをより適切に低減できる。
【0073】
なお、本実施例は、実施例1に限らず、実施例2〜6にも対応できることは言うまでもない。
【実施例8】
【0074】
次に、本発明の他の実施例について、図17を参照しながら説明する。前記実施例1では、図4のステップS103で一度でも使用者が注視していないと判定すれば通信制御を行っているのに対して、実施例7では、所定回数連続して使用者が注視していないと判定すれば通信制御を行う。なお、構成等について実施例8は実施例1と同様であるので、説明を省略する。
【0075】
図17は、実施例1の図4に対応する図であり、本発明のテレビ電話システムの動作を示すフローチャートである。よって、図4と同様の処理には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0076】
図17に示すように、ステップS102の後、制御部1gがステップS102で検出した注視状態に基づいて、使用者5が所定回数連続して表示部1bを注視していないかどうかを判定する(ステップS109)。ここで、使用者によっては、テレビ電話中に表示部から一瞬視線をそらしたり、顔を横に向けたりすることがある。この場合、表示部を注視していないと判定される毎に通信速度が切り替わるので、端末の消費電力が増大したり、画像を見づらくなったりする可能性がある。そこで、本実施例では、所定回数連続して表示部を注視していないと判断した場合に、通信速度を切り替えることにより、無駄な通信速度の切り替えを防止し、端末の消費電力の増大を防止できる。
【0077】
制御部1gが、所定回数連続して使用者が表示部を注視していないと判断した場合(ステップS109/Yes)には、画像データの通信速度を低下させる制御を行う(ステップS104)。また、制御部1gが、使用者が表示部を注視していると判断した場合(ステップS109/No)には、画像データの通信速度を所定の通信速度に設定する(ステップS105)。
【0078】
このように、本実施例では、使用者が所定回数連続して表示部を注視していない場合に、通信速度を切り替える。これにより、頻繁に通信速度が切り替わることを防止でき、ひいては端末の消費電力の増大や画像が見づらくなることを防止できる。
【0079】
なお、本実施例において、使用者が所定回数連続して表示部を注視していない場合に通信速度を切り替えるようにしたが、使用者が所定時間に亘って表示部を注視していない場合に通信速度を切り替えるようにしても良い。
【0080】
また、本実施例は、実施例1に限らず、実施例2〜7にも適用できることは言うまでもない。
【実施例9】
【0081】
次に、本発明の他の実施例について、図18を参照しながら説明する。実施例9では、前記実施例1に加えて、現状の通信速度を維持するためのスイッチを備えている。なお、スイッチは、端末に専用のボタン等の入力手段を設けても良いし、端末の既存の入力手段(例えばキーボード)を併用するものでも良い。その他の構成等について実施例9は実施例1とほぼ同様であるので、説明を省略する。
【0082】
図18は、実施例1の図4に対応する図であり、本発明のテレビ電話システムの動作を示すフローチャートである。よって、図4と同様の処理には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0083】
図18に示すように、ステップS102の後、制御部1gがスイッチがONであるかどうかを確認する(ステップS110)。スイッチがONである場合(ステップS110/Yes)には、画像データの通信速度を現状の通信速度に維持する処理を行う(ステップS111)。また、スイッチがOFFの場合(ステップS110/No)には、実施例1で説明したステップS103に進み、その後S104またはS105の処理を行う。ステップS104、S105及びS111の後、ステップS106に進む。
【0084】
ここで、使用者によっては、テレビ電話中に表示部から一瞬視線をそらしたり、顔を横に向けたりすることがある。この場合、表示部を注視していないと判定される毎に通信速度が切り替わるので、端末の消費電力が増大したり、画像を見づらくなったりする可能性がある。これに対して、本実施例では、スイッチがONである場合に現状の通信速度を維持するので、頻繁に通信速度が切り替わることを防止でき、ひいては端末の消費電力の増大や画像が見づらくなることを防止できる。
【0085】
なお、本実施例において、ステップS111でスイッチがONである場合に現状の通信速度を維持する例を説明したが、スイッチがONである場合に所望の通信速度に設定する処理を行っても良い。このようにすれば、容易に使用者の所望の通信速度でテレビ電話することができる。
【0086】
また、本実施例は、実施例1に限らず、実施例2〜8にも適用できることは言うまでもない。
【実施例10】
【0087】
次に、本発明の他の実施例について、図19を参照しながら説明する。実施例10は、本発明のテレビ電話システムを自動車電話に採用した例である。
【0088】
図19は、実施例1の図5に対応する図であり、それぞれ5は使用者、7aはカメラ、7bはカーナビゲーションシステム等で使用するモニター(表示部)を示している。なお、その他の構成等について実施例10は実施例1とほぼ同様であるので、説明を省略する。
【0089】
図19(a)に示すように、使用者5が表示部7bを注視している場合には、通話相手側の端末から送信される画像データの通信速度を所定の通信速度(例えば、設定可能な最大の通信速度)に設定する。これに対し、図19(b)に示すように、使用者5が表示部7bを注視していない場合には、通話相手側の端末から送信される画像データの通信速度を所定の通信速度よりも低い通信速度に変更する。したがって、使用者5が表示部7bを注視していない場合に画像データを低い通信速度で通信させるので、不要な画像データ通信を削減し、不要な通信トラフィックを低減できる。
【0090】
一般に、自動車の運転手は、走行中の安全確保のために表示部を見ない時間が多い。つまり、自動車等で使用されるテレビ電話システムでは、不要な通信トラフィックが増大する問題が特に顕著となる。これに対し、本実施例では、使用者の注視状態に応じて画像データの通信速度を制御するので、自動車等に使用されるテレビ電話システムにおける不要な通信トラフィックを低減できる。
【0091】
なお、本実施例では、自動車で使用されるテレビ電話システムについて説明したが、本発明は自動車に限らず他の走行体で採用されるテレビ電話システムにも適用できる。また、本実施例は、実施例1に限らず、実施例2〜9にも適用できることは言うまでもない。
【実施例11】
【0092】
次に、本発明の他の実施例について、図20を参照しながら説明する。実施例11は、本発明のテレビ電話システムの表示部の表示方法の一例を示している。
【0093】
図20は、本発明のテレビ電話システムの表示部を示す図であり、それぞれ5a〜5cは不図示のテレビ電話の使用者(表示部9の所有者)の通話相手、9は表示部、9aは通話相手5aを撮影した画像、9bは通話相手5bを撮影した画像、9cは通話相手5cを撮影した画像、9dは不図示の使用者が利用しているカーナビゲーションシステムの画像を示している。なお、構成等について実施例11は実施例1とほぼ同様であるので、説明を省略する。
【0094】
図20に示すように、表示部9には通話相手5a〜5cの画像9a〜9cがそれぞれ表示されている。ここで、各自の表示部を注視していない通話相手5a、5cの画像9a、9cは薄暗く表示されている。また、自分の表示部を注視している通話相手5bの画像9bは表示枠を太く表示されている。このように、各自の表示部を注視している通話相手の画像と注視していない通話相手の画像とを区別して表示しているので、使用者は誰が注視しているのかを容易に把握でき、通話相手と円滑に会話することができる。
【0095】
なお、本実施例において、通話相手の画像の表示方法は上記に限るものではない。例えば、自分の表示部を注視している通話相手の画像をカラーで表示し、注視していない通話相手の画像を白黒で表示しても良い。
【0096】
また、本実施例では、テレビ電話の参加者を4名として説明したが、例えば2名でも良い。また、本実施例のテレビ電話システムを自動車で使用されるテレビ電話システムとして説明したが、例えば携帯電話やコンピュータを端末として使用するテレビ電話でも良い。
【0097】
以上、本発明において、端末間で通信するデータを使用者の画像データとして説明したが、例えばカメラで撮影した使用者以外の画像でも良い。また、通信するデータはカメラで撮影した画像に限らず、使用者が表示部を見て確認できる電子データ、例えば文字データ等であれば良い。
【0098】
また、本発明の通信システムの一例として、テレビ電話システムを説明したが、通信システムはこれに限定されず、適宜変更可能である。例えば、サーバーに記憶されている映画等の画像を携帯電話等に配信する画像配信システムや、携帯電話等でテレビ番組を受信するテレビ放送システム等でもよい。これらの場合、サーバーや放送局を端末とみなせる。
【0099】
また、本発明の端末として携帯電話、コンピュータ、自動車電話やカーナビゲーションシステムを用いたが、端末はこれに限るものではない。例えば、固定電話やテレビを使用した端末でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の通信システムは、不要な通信トラフィックを低減できる効果を有し、テレビ電話システム等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態に係るテレビ電話システムの構成を示すブロック図
【図2】図1に示す携帯電話1の構成を示すブロック図
【図3】図1に示すコンピュータ4の構成を示すブロック図
【図4】図1に示すテレビ電話システムの動作を示すフローチャート
【図5】図1に示す使用者5の注視状態に対応する通信速度を示す図
【図6】図1に示す使用者5が表示部を注視している状態を示す図
【図7】図1に示す使用者5が表示部を注視していない状態を示す図
【図8】図1に示す使用者5が表示部を注視していない状態を示す図
【図9】図1に示す使用者5が表示部を注視している状態を示す図
【図10】図1に示す使用者5、6の注視状態に応じた通信速度の制御状況を示す図
【図11】本発明の他の実施例に係る使用者5、6の注視状態に応じた通信速度の制御状況を示す図
【図12】本発明の他の実施例に係る使用者5、6の注視状態に応じた画像フレームレートの制御状況を示す図
【図13】本発明の他の実施例に係る使用者5、6の注視状態に応じた通信データの制御状況を示す図
【図14】本発明の他の実施例に係る使用者5、6の注視状態に応じた画像データの解像度の制御状況を示す図
【図15】本発明の他の実施例に係る使用者5、6の注視状態に応じた画像データの色数の制御状況を示す図
【図16】本発明の他の実施例に係る使用者5、6の注視状態及び通信環境に応じた通信速度の制御状況を示す図
【図17】本発明の他の実施例に係るテレビ電話システムの動作を示すフローチャート
【図18】本発明の他の実施例に係るテレビ電話システムの動作を示すフローチャート
【図19】本発明の他の実施例に係る使用者5の注視状態に対応する通信速度を示す図
【図20】本発明の他の実施例に係る表示部の表示方法を示す図
【符号の説明】
【0102】
100 テレビ電話システム
1 携帯電話(端末)
4 コンピュータ(端末)
1a、4a、7a カメラ
1b、4b、7b、9 表示部
1g、4g 制御部
5、5a、5b、5c、6 使用者


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の端末間でデータを通信する通信システムであって、
前記第1の端末の使用者が前記第2の端末から送信される前記データを表示する表示部を注視しているかどうかに基づいて、前記第2の端末から送信される前記データの通信または前記データ自体を制御する通信システム。
【請求項2】
前記使用者が前記表示部を注視していない場合に、前記第2の端末から送信される前記データの通信速度を低下させる請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記使用者が前記表示部を注視していない場合に、前記第2の端末から送信される前記データの通信を中断させる請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記データは画像データであり、前記使用者が前記表示部を注視していない場合に、前記第2の端末から送信される前記画像データのフレームレートを低下させる請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記データは画像データであり、前記使用者が前記表示部を注視していない場合に、前記第2の端末から送信される前記画像データの解像度を低下させる請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
前記データは画像データであり、前記使用者が前記表示部を注視していない場合に、前記第2の端末から送信される前記画像データの色数を低下させる請求項1に記載の通信システム。
【請求項7】
前記使用者が前記表示部を注視しているかどうか及び通信環境の状態に基づいて、前記第2の端末から送信される前記データの通信または前記データ自体を制御する請求項1に記載の通信システム。
【請求項8】
前記使用者が所定時間に亘って前記表示部を注視していないかどうかに基づいて、前記第2の端末から送信される前記データの通信または前記データ自体を制御する請求項1に記載の通信システム。
【請求項9】
前記使用者が前記表示部を注視しているかどうかを判断する処理を行うか否かを選択する選択手段を備える請求項1に記載の通信システム。
【請求項10】
カメラで撮影した前記使用者の画像に基づいて前記使用者が前記表示部を注視しているかどうかを判断する請求項1乃至9のいずれかに記載の通信システム。
【請求項11】
前記使用者が前記表示部を注視していない場合に、前記第2の端末から送信される前記データを記憶する請求項1乃至7のいずれかに記載の通信システム。
【請求項12】
第1及び第2の端末間で画像データ及び音声データを通信するテレビ電話システムであって、
前記第1の端末は、前記第1の端末の使用者の画像を撮影するカメラと、前記第2の端末から送信される前記画像データを表示する表示部と、前記カメラが撮影した前記画像に基づいて前記第1の端末の使用者が前記表示部を注視しているかどうかを判定し、前記使用者の注視状態に応じて前記第2の端末から送信される前記画像データの通信または前記画像データ自体を制御する制御部とを備えるテレビ電話システム。
【請求項13】
複数の端末間でデータを通信する通信システムに使用される端末であって、
通信相手から送信される前記データを表示する表示部を備えており、
使用者が前記表示部を注視しているかどうかの情報を前記通信相手に送信する端末。
【請求項14】
複数の端末間でデータを通信する通信システムに使用される端末であって、
通信相手から送信される前記データを表示する表示部と、使用者が前記表示部を注視しているかどうかに基づいて前記通信相手から送信される前記データの通信または前記データ自体を制御する制御部とを備える端末。
【請求項15】
複数の端末間でデータを通信する通信システムに使用される端末であって、
通信相手の使用者が受信したデータを表示する表示部を注視しているかどうかの情報を受信し、前記情報に基づいて前記通信相手に送信する前記データの通信または前記データ自体を制御する端末。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2007−110312(P2007−110312A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−297507(P2005−297507)
【出願日】平成17年10月12日(2005.10.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】