説明

通信システム、ルータ装置及びルータ切替方法

【課題】予備ルータに要求される収容量を抑えながらルータ切替時の迅速な通信再開を実現するルータ冗長化技術を提供すること。
【解決手段】本発明の一特徴は、複数のユーザ端末と、前記ユーザ端末と第1通信回線を介し通信する1以上の現用ルータと、前記1以上の現用ルータに共用される予備ルータと、前記1以上の現用ルータと前記予備ルータと第2通信回線を介し接続され、前記ユーザ端末の認証とアドレス割当てとを実行するサーバとを有する通信システムであって、前記予備ルータは、前記1以上の現用ルータの何れかにおいて切替イベントが発生したことを検出する切替イベント検出部と、前記切替イベントが発生したことが検出された現用ルータと通信していたユーザ端末にアドレスを再設定することを促すアドレス再設定誘起メッセージを送信する切替制御部とを有する通信システムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関し、より詳細にはユーザ認証や加入者情報を管理するエッジルータの故障時の予備切替に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザ単位でQoS(Quality of Service)確保やセキュリティ等の設定を行う高品質ネットワークにおいて、ユーザ認証や加入者情報を管理する通信機器として、エッジルータが利用されている。このエッジルータの重要性に鑑み、エッジルータの故障に備えて予備機を用意し、冗長化することによって、ネットワークの信頼性の確保が図られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Virtual Router Redundancy Protocol, "RFC 3768", http://www.ietf.org/rfc/rfc3768.txt
【非特許文献2】Multi-chassis synchronization, "Subscriber Redundancy for Routed-Central Office", P.5-6,http://www.alcatel-lucent.com/wps/DocumentStreamerServlet?LMSG_CABINET=Docs_and_Resource_Ctr&LMSG_CONTENT_FILE=Application_Notes/Subscriber_Redundancy_tig.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)を用いてエッジルータを冗長化する方法が知られている。図1に示されるように、従来のVRRPを用いたエッジルータの冗長化では、複数の現用ルータ(ルータA,ルータB,...)と、これらの現用ルータに共用される予備ルータ(ルータC)とが設けられる。図示されたルータ切替方法によると、各現用ルータは、正常動作していることを示す生存確認メッセージを予備ルータCに定期的に送信している。何れかの現用ルータ(ルータB)が故障すると、予備ルータCはルータBから生存確認メッセージを受信できなくなるため、ルータBが故障したことを検出する。この故障の検出に応答して、予備ルータCは、VRRPを用いてルータBとの間で現用・予備構成を切り替える。これにより、ルータBを用いて通信していたユーザ端末(ユーザ端末群B)は、ルータCを用いて通信することが可能となる。
【0005】
図2を参照して、上述したルータ切替方法をより詳細に説明すると、まず、現用ルータBに故障が発生したとする。このとき、ステップS11において、ルータBは、正常動作時には共用予備ルータCに定期的に送信していた生存確認メッセージの送信を停止する。
【0006】
ルータCは、所定の故障検知時間内にルータBから生存確認メッセージを受信することができなかったため、ルータBに故障が発生したと判断し、VRRPによるルータ切替動作を開始する。すなわち、ステップS12において、ルータCは、ルータBからアドレスを引き継ぎ、新たな現用エッジサーバ(ER)として機能する。
【0007】
ステップS13において、ルータCは、レイヤ2スイッチ(L2SW)にGratious−ARPを送信することによって、ルータBからルータCへの経路切替を実行する。
【0008】
ステップS14において、ルータBを利用していたユーザ端末群は、現在使用しているIPアドレスのリースタイムが半減するなど、IPアドレスのリースタイムの残りが所定の時間になるまで待機し、当該時間になって始めて、アドレスの再設定を要求するためのアドレス再設定要求メッセージとしてDHCP RENEWをルータCに送信する。
【0009】
ステップS15において、ユーザ端末からDHCP RENEWを受信すると、ルータCは、認証サーバに要求元のユーザ端末を再認証するよう要求すると共に、アドレス払い出しサーバに要求元のユーザ端末に新たなアドレスを払い出すよう要求する。
【0010】
ステップS16において、認証サーバから認証成功メッセージを受信すると、ルータCは、要求元のユーザ端末についてユーザ認証登録を実行する。
【0011】
ステップS17において、アドレス払い出しサーバから新たなアドレスを受信すると、ルータCは、要求元のユーザ端末に対して受信した新たなアドレスによりアドレス再設定を実行する。
【0012】
ステップS18において、ルータCから新たなアドレスを受信すると、ユーザ端末は、受信したアドレスを以降に使用するアドレスとして設定する。
【0013】
ステップS19において、ユーザ端末は、受信した新たなアドレスを用いて通信を再開させることが可能となる。
【0014】
しかしながら、ユーザ端末がアドレス再設定要求(DHCP RENEW)をルータCに送信し、ルータCを介し認証サーバ及びアドレス払い出しサーバによるネットワーク接続認証及び新たなアドレスの払い出しを受けるまでは、ユーザ端末に対するユーザ認証が完了していないため、ルータCとの通信接続は確立されていない。このため、この期間においてユーザ端末により送信されたパケットは、破棄されてしまう。すなわち、ルータCに遷移したユーザ端末群Bは、DHCPのリースタイムが残り半分になってアドレスの再設定を要求し、新たなアドレスを受信するまでは通信を再開することができず、この期間にユーザ端末から送信されたパケットはすべて破棄されることになる。
【0015】
このような通信再開までの遅延によるパケット破棄の問題点を解決するため、図3に示されるようなルータ切替方法が知られている。この方法によると、各現用ルータ(ルータA,ルータB,...)が所持するネットワーク接続認証済みのユーザ端末のVLAN−IDやMACアドレスなどの識別番号などの回線認証情報、ユーザ端末に払い出したIPアドレスなどのユーザ情報が、予備ルータ(ルータC)と同期されることによって共有される。例えば、MSC(Multi−Chassis Synchronization)では、上述したVRRPのヘルスチェックを行うための生存確認メッセージを拡張し、当該メッセージにユーザの回線認証情報を含めることによって、回線認証情報の同期が図られる。これにより、何れかの現用ルータが故障しても、予備ルータは、迅速に故障したルータを用いていたユーザ端末群との通信を再開することが可能となる。
【0016】
しかしながら、予備ルータは、すべての現用ルータが有する回線認証情報やIPアドレスなどのユーザ情報を収容することになるため、予備ルータは、少なくとも全現用ルータのユーザ情報の収容数以上の収容数を備える必要があり、設備設置コストの増加を招く問題がある。
【0017】
従って、上記問題点に鑑み、本発明の課題は、予備ルータに要求される収容量を抑えながらルータ切替時の迅速な通信再開を実現するルータ冗長化技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明の一特徴は、複数のユーザ端末と、前記ユーザ端末と第1通信回線を介し通信する1以上の現用ルータと、前記1以上の現用ルータに共用される予備ルータと、前記1以上の現用ルータと前記予備ルータと第2通信回線を介し接続され、前記ユーザ端末の認証とアドレス割当てとを実行するサーバとを有する通信システムであって、前記予備ルータは、前記1以上の現用ルータの何れかにおいて切替イベントが発生したことを検出する切替イベント検出部と、前記切替イベントが発生したことが検出された現用ルータと通信していたユーザ端末にアドレスを再設定することを促すアドレス再設定誘起メッセージを送信する切替制御部とを有する通信システムに関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、予備ルータに要求される収容量を抑えながらルータ切替時の迅速な通信再開を実現するルータ冗長化技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、従来技術によるルータ切替動作の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、従来技術によるルータ切替動作の一例を示すシーケンス図である。
【図3】図3は、従来技術によるルータ切替動作の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の一実施例による通信システムの構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明の一実施例によるルータ切替動作を示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の一実施例による共用予備ルータの構成を示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明の一実施例によるルータ切替動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
以下に説明される各実施例では、現用ルータの故障等のイベントの検出に応答して、予備ルータが、当該現用ルータと現用・予備切替処理を実行すると共に、現用ルータを使用していたユーザ端末に新たなアドレスを再設定することを促すメッセージを通知する。これにより、ユーザ端末は、切替後のルータと通信するための新たなアドレスへのアドレス再設定を迅速に開始することができ、不要な待機等による遅延をすることなく切替後のルータとの通信を再開することが可能となる。
【0023】
図4を参照して、本発明の一実施例による通信システムを説明する。図4は、本発明の一実施例による通信システムの構成を示す図である。
【0024】
図4に示されるように、通信システム10は、ユーザ端末群A20−1及びユーザ端末群20−2(以降において、ユーザ端末群20と総称される)と、レイヤ2ネットワーク(L2NW)30と、ゲートウェイルータ40と、認証サーバ50と、アドレス払い出しサーバ60とを有する。また、ゲートウェイルータ40は、現用ルータとして動作するルータA40−1及びルータB40−2と、ルータA40−1及びルータB40−2に共用される共用予備ルータとして動作するルータC100とを有する。ルータC100は、現用ルータ40−1及び現用ルータ40−2のそれぞれと冗長グループを形成する。図示されたゲートウェイルータ40では、冗長グループ#1がルータA40−1とルータ100とから構成され、冗長グループ#2がルータB40−2とルータ100とから構成される。なお、図示された実施例では、2つのユーザ端末群20−1,20−2と、2つの現用ルータ40−1,40−2とが示されているが、本発明はこれに限定されることなく、3以上のユーザ端末群及び現用ルータが設けられてもよい。
【0025】
ユーザ端末群20は、同一の現用ルータ40によってユーザ認証や加入者情報が管理されている1以上のユーザ端末から構成される。各ユーザ端末は、典型的には、パーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯情報端末、スマートフォンなどであるが、本発明はこれに限定されることなく、通信機能を備える何れか適切な装置であってもよい。
【0026】
レイヤ2ネットワーク30は、何れか公知のレイヤ2ネットワークから構成され、ユーザ端末群20とゲートウェイルータ40とを接続する。
【0027】
ゲートウェイルータ40は、現用ルータ40−iと共用予備ルータ100との複数のルータから構成される。各ルータは、ユーザ端末のユーザ認証や加入者情報などの回線認証情報やユーザ端末に払い出したIPアドレスなどのユーザ情報を管理するエッジルータとして機能する。各ルータは、認証サーバ50にアクセスしてユーザ端末のネットワーク接続認証を管理し、またアドレス払い出しサーバ60にアクセスしてユーザ端末に割り当てられるIPアドレスを管理する。
【0028】
認証サーバ50は、ゲートウェイルータ40からの認証要求に応答して、ユーザ端末に対するレイヤ2ネットワーク30への接続を許可又は拒絶する。典型的には、認証サーバ50は、ユーザ端末の識別情報などに基づき認証を実行する。
【0029】
アドレス払い出しサーバ60は、ゲートウェイルータ40からのアドレス払い出し要求に応答して、ネットワーク接続が許可されたユーザ端末にIPアドレスを割り当てる。典型的には、アドレス払い出しサーバ60は、ユーザ端末の識別情報などと関連付けてアドレスを割り当てる。
【0030】
次に、図5を参照して、本発明の一実施例によるルータ切替動作を説明する。図5は、本発明の一実施例によるルータ切替動作を示す概略図である。
【0031】
通信システム10では、現用ルータ40−iは、自らが正常に動作していることを示す生存確認メッセージを共用予備ルータ100に一定の時間間隔で送信している。共用予備ルータ100は、当該時間間隔内に生存確認メッセージが受信されなかった現用ルータ40−iを検出すると、検出された現用ルータ40−iを故障機とみなし、後述されるルータ切替処理を実行する。
【0032】
具体的には、図5に示されるように、(1)例えば、現用ルータB40−2が故障し、所定の期間内に生存確認メッセージを送信できなくなったとする。
【0033】
このとき、(2)共用予備ルータC100は、ルータB40−2から所定の期間内に生存確認メッセージを受信できなくなるため、現用ルータB40−2を故障機と判断する。ルータ切替処理を実行するため、ルータB40−2はスタンバイ状態に、ルータC100はアクティブ状態にそれぞれ変更され、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)によるアクティブ/スタンバイ変更によって、ルータC100は、ルータB40−2のMACアドレスとIPアドレスとを引き継ぐ。例えば、このアクティブ/スタンバイ変更は、スタンバイ状態に変更されるルータB40−2の仮想IPアドレスと仮想MACアドレスとを無効にし、アクティブ状態に変更されるルータC100の仮想IPアドレスと仮想MACアドレスとを有効にすることによって実現されてもよい。
【0034】
次に、(3)ルータC100は、ルータB40−2の管理下にあるユーザ端末群Bの各ユーザ端末にルータB40−2との通信をルータC100に切り替えさせるため、レイヤ2ネットワーク30における経路変更を実行するよう指示する。これにより、ルータB40−2を用いて通信を実行していた各ユーザ端末の通信は、ルータC100を用いるようになる。
【0035】
さらに、(4)ルータC100は、ユーザ端末群Bの各ユーザ端末に、現在使用しているIPアドレスの再設定を誘起するアドレス再設定誘起メッセージを送信する。例えば、これは、DHCP FORCERENEWメッセージをブロードキャストメッセージとして一斉送信することによって実行されてもよい。
【0036】
このアドレス再設定誘起メッセージの受信に応答して、(5)各ユーザ端末は、IPアドレスの更新を要求するアドレス再設定要求メッセージをルータC100に送信する。例えば、これは、各ユーザ端末がルータC100にDHCP RENEWメッセージを送信することによって実行されてもよい。
【0037】
アドレス再設定要求メッセージを受信すると、(6)ルータC100は、要求元のユーザ端末のネットワーク接続認証処理を実行する。すなわち、ルータC100は、認証サーバ50に要求元のユーザ端末のVLAN−ID及びMACアドレスを含むユーザ認証要求メッセージを送信する。このユーザ認証要求メッセージを受信すると、認証サーバ50は、送信されたVLAN−ID及びMACアドレスに基づきユーザを識別し、レイヤ2ネットワーク30への接続が許可されているユーザを記録した認証ユーザリストなどを参照して、当該ユーザがレイヤ2ネットワーク30に接続することが許可されているか判断する。当該ユーザがレイヤ2ネットワーク30に接続することが許可されている場合、認証サーバ50は、認証成功メッセージをルータC100に返す。他方、当該ユーザがレイヤ2ネットワーク30に接続することが許可されていない場合、認証サーバ50は、認証不成功メッセージをルータC100に返す。この場合、ルータC100は、接続不成功を示すメッセージを要求元のユーザ端末に送信する。
【0038】
ユーザのネットワーク接続が認証されると、(7)ルータC100は、接続認証されたユーザ端末のためのアドレス払い出し設定を実行する。すなわち、ルータC100は、アドレス払い出しサーバ60に要求元のユーザ端末のVLAN−ID及びMACアドレスを含むアドレス再設定要求メッセージを送信する。このアドレス再設定要求メッセージを受信すると、アドレス払い出しサーバ60は、送信されたVLAN−ID及びMACアドレスに基づきユーザを識別し、これと関連付けて新たなアドレスをルータC100に払い出す。ルータC100は、払い出されたアドレスを要求元のユーザ端末に送信する。これにより、ユーザ端末は、新たなアドレスへのアドレスの再設定を実行することができ、ルータC100との通信を確立することが可能となる。
【0039】
次に、図6を参照して、本発明の一実施例による共用予備ルータを説明する。図6は、本発明の一実施例による共用予備ルータの構成を示すブロック図である。
【0040】
図6に示されるように、共用予備ルータ100は、切替イベント検出部110と、切替制御部120と、ユーザ端末側インタフェース部130と、サーバ側インタフェース部140とを有する。
【0041】
切替イベント検出部110は、ルータ100と冗長グループを形成する各現用ルータ40−iから、現用ルータ40−iが正常に動作していることを示す生存確認メッセージを定期的に受信する。何れかの現用ルータ40−iからの生存確認メッセージを所定の期間内に受信できなかった場合、切替イベント検出部110は、当該現用ルータ40−iに何らかの不具合や故障(切替イベント)が生じたと判断し、当該現用ルータ40−iについて切替イベントを検出したことを切替制御部120に通知する。
【0042】
切替制御部120は、切替イベント検出部110から切替イベントが検出されたことを受信すると、検出された現用ルータ40−iに対してルータ切替処理を開始する。すなわち、切替制御部120はまず、検出された現用ルータ40−iと共用予備ルータ100との間でアクティブ/スタンバイ状態を切り替えるVRRP切替処理を実行する。具体的には、切替制御部120は、現用ルータ40−iの仮想IPアドレスと仮想MACアドレスを無効にし、自らの仮想IPアドレスと仮想MACアドレスとを有効にする。その後、切替制御部120は、現用ルータ40−iを利用しているユーザ端末群20の各ユーザ端末にユーザ端末側インタフェース部130を介して、現用ルータ40−iから共用予備ルータ100への経路変更を実行するよう通知する。これらVRRP切替処理と経路変更の実行後、共用予備ルータ100はさらに、経路変更を完了した各ユーザ端末がルータ100から新たなアドレスの払い出しを待機することなく、迅速にアドレスを再設定させて通信を再開させるため、アドレス再設定要求を促すためのアドレス再設定誘起メッセージを各ユーザ端末にユーザ端末側インタフェース部130を介し報知又はブロードキャストする。このアドレス再設定誘起メッセージを受信したユーザ端末が、アドレス再設定要求メッセージをルータ100に送信することにより応答すると、切替制御部120は、サーバ側インタフェース部140を介し認証サーバ50及びアドレス払い出しサーバ60との間でユーザのネットワーク接続の再認証及びアドレス払い出しを実行し、払い出された新たなアドレスをユーザ端末に通知する。
【0043】
ユーザ端末側インタフェース部130は、切替制御部120からの指示に従って、ルータ100を利用するユーザ端末にレイヤ2ネットワーク30を介し各種メッセージを送信する。
【0044】
サーバ側インタフェース部140は、切替制御部120からの指示に従って、認証サーバ50及びアドレス払い出しサーバ60との間で各種メッセージをやりとりする。
【0045】
次に、図7を参照して、本発明の一実施例による通信システムにおけるルータ切替動作を説明する。図7は、本発明の一実施例によるルータ切替動作を示すシーケンス図である。図7では、図5を用いて概略的に説明したルータ切替動作をシーケンス図を用いて説明する。
【0046】
図7に示されるように、現用ルータB40−2に故障が発生したとする。このとき、ステップS101において、ルータB40−2は、正常動作時には共用予備ルータC100に定期的に送信していた生存確認メッセージの送信を停止する。
【0047】
ルータC100は、所定の故障検知時間内にルータB40−2から生存確認メッセージを受信することができなかったため、ルータB40−2に故障が発生したと判断し、VRRPによるルータ切替動作を開始する。すなわち、ステップS102において、ルータC100は、ルータB40−2からアドレスを引き継ぎ、新たな現用エッジサーバ(ER)として機能する。
【0048】
ステップS103において、ルータC100は、レイヤ2スイッチ(L2SW)にGratious−ARPを送信することによって、ルータB40−2からルータC100への経路切替を実行する。
【0049】
ステップS104において、ルータC100は、ルータB40−2を利用していたユーザ端末群B20−2の各ユーザ端末に、アドレスを再設定することを促すためのアドレス再設定誘起メッセージとしてDHCP FORCERENEWをブロードキャストする。
【0050】
ステップS105において、ルータCから報知されたDHCP FORCERENEWを受信すると、ユーザ端末は、アドレスの再設定を要求するためのアドレス再設定要求メッセージとしてDHCP RENEWをルータC100に送信する。
【0051】
ステップS106において、ユーザ端末からDHCP RENEWを受信すると、ルータC100は、認証サーバ50に要求元のユーザ端末を再認証するよう要求すると共に、アドレス払い出しサーバ60に要求元のユーザ端末に新たなアドレスを払い出すよう要求する。
【0052】
ステップS107において、認証サーバ50から認証成功メッセージを受信すると、ルータC100は、要求元のユーザ端末についてユーザ認証登録を実行する。
【0053】
ステップS108において、アドレス払い出しサーバ60から新たなアドレスを受信すると、ルータC100は、要求元のユーザ端末に対して受信した新たなアドレスによりアドレス再設定を実行する。
【0054】
ステップS109において、ルータC100は、受信したアドレスをユーザ端末に通知する。
【0055】
ステップS110において、ユーザ端末は、受信した新たなアドレスを用いて通信を再開させることが可能となる。
【0056】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 通信システム
20 ユーザ端末群
30 レイヤ2ネットワーク
40 現用ルータ
50 認証サーバ
60 アドレス払い出しサーバ
100 共用予備ルータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザ端末と、
前記ユーザ端末と第1通信回線を介し通信する1以上の現用ルータと、
前記1以上の現用ルータに共用される予備ルータと、
前記1以上の現用ルータと前記予備ルータと第2通信回線を介し接続され、前記ユーザ端末の認証とアドレス割当てとを実行するサーバと、
を有する通信システムであって、
前記予備ルータは、
前記1以上の現用ルータの何れかにおいて切替イベントが発生したことを検出する切替イベント検出部と、
前記切替イベントが発生したことが検出された現用ルータと通信していたユーザ端末にアドレスを再設定することを促すアドレス再設定誘起メッセージを送信する切替制御部と、
を有する通信システム。
【請求項2】
前記アドレス再設定誘起メッセージを受信すると、前記ユーザ端末は、前記予備ルータとの通信に用いる新たなアドレスの再設定を要求するアドレス再設定要求メッセージを前記予備ルータに送信し、
前記アドレス再設定要求メッセージを受信すると、前記予備ルータは、前記サーバに前記ユーザ端末を再認証し、新たなアドレスを払い出すよう要求し、前記再認証されたユーザ端末に前記払い出された新たなアドレスを通知する、請求項1記載の通信システム。
【請求項3】
前記1以上の現用ルータは、正常に動作していることを示す生存確認メッセージを前記予備ルータに所定の時間間隔により送信し、
前記切替イベント検出部は、前記所定の時間間隔内に前記1以上の現用ルータの何れかの現用ルータから前記生存確認メッセージを受信しなかった場合、前記生存確認メッセージを受信しなかった現用ルータにおいて前記切替イベントが発生したと判断する、請求項1又は2記載の通信システム。
【請求項4】
前記切替制御部は、前記切替イベントが発生したことが検出された現用ルータと通信していたユーザ端末に、前記アドレス再設定誘起メッセージをブロードキャストメッセージとして報知する、請求項1乃至3何れか一項記載の通信システム。
【請求項5】
1以上の現用ルータに共用される予備ルータとして動作するルータ装置であって、
前記1以上の現用ルータの何れかにおいて切替イベントが発生したことを検出する切替イベント検出部と、
前記切替イベントが発生したことが検出された現用ルータと通信していたユーザ端末にアドレスを再設定することを促すアドレス再設定誘起メッセージを送信する切替制御部と、
を有するルータ装置。
【請求項6】
前記1以上の現用ルータは、正常に動作していることを示す生存確認メッセージを当該ルータ装置に所定の時間間隔により送信し、
前記切替イベント検出部は、前記所定の時間間隔内に前記1以上の現用ルータの何れかの現用ルータから前記生存確認メッセージを受信しなかった場合、前記生存確認メッセージを受信しなかった現用ルータにおいて前記切替イベントが発生したと判断する、請求項5記載のルータ装置。
【請求項7】
前記切替制御部は、前記切替イベントが発生したことが検出された現用ルータと通信していたユーザ端末に、前記アドレス再設定誘起メッセージをブロードキャストメッセージとして報知する、請求項5又は6記載のルータ装置。
【請求項8】
1以上の現用ルータから前記1以上の現用ルータに共用される予備ルータへのルータ切替方法であって、
前記1以上の現用ルータが、正常に動作していることを示す生存確認メッセージを所定の時間間隔により前記予備ルータに送信するステップと、
前記予備ルータが、前記1以上の現用ルータの何れかの現用ルータから前記生存確認メッセージを受信しなかった場合、前記生存確認メッセージを受信しなかった現用ルータにおいて切替イベントが発生したと判断するステップと、
前記生存確認メッセージを受信しなかった現用ルータにおいて切替イベントが発生したと判断すると、前記予備ルータが、前記切替イベントが発生したと判断された現用ルータと通信していたユーザ端末にアドレスを再設定することを促すアドレス再設定誘起メッセージを送信するステップと、
前記アドレス再設定誘起メッセージを受信すると、前記ユーザ端末が、前記予備ルータとの通信に用いる新たなアドレスの再設定を要求するアドレス再設定要求メッセージを前記予備ルータに送信するステップと、
前記アドレス再設定要求メッセージを受信すると、前記予備ルータは、サーバに前記ユーザ端末を再認証し、新たなアドレスを払い出すよう要求し、前記再認証されたユーザ端末に前記払い出された新たなアドレスを通知するステップと、
を有する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−46176(P2013−46176A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181956(P2011−181956)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】