説明

通信システム、基地局装置、移動局装置、移動局装置処理能力の管理方法及び集積回路

【課題】移動局装置の処理能力を効率的に通知・管理できる通信システム、基地局装置、移動局装置、移動局装置処理能力の管理方法及び集積回路を提供する。
【解決手段】移動局装置は、自局が送受信することが可能な周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を基地局装置に通知し、前記基地局装置は、前記移動局装置から通知された前記処理能力を交換局に通知する際に、前記処理能力の一部を前記交換局に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、基地局装置、移動局装置、通信方法及び集積回路に関し、特に、移動局装置が自局の通信処理能力を基地局装置に通知する通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
標準化プロジェクトである3GPP(3rd Generation Partnership Project)において、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)通信方式やリソースブロックと呼ばれる所定の周波数・時間単位の柔軟なスケジューリングの採用によって、高速な通信を実現させたEvolved Universal Terrestrial Radio Access(以降EUTRAと称する)が検討され、更にその発展形であるAdvanced EUTRA(LTE-Advancedとも称される)の検討が進められている。
【0003】
Advanced EUTRAでは、EUTRAとの互換性を維持しつつ、より高速なデータ伝送が可能な技術として、キャリア・アグリゲーション(Carrier Aggregation)が提案されている。キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数帯域(キャリア周波数、コンポーネントキャリア(Component Carrier)とも称する)で送信された送信装置のデータを、異なる周波数帯域に対応する受信装置においてそれぞれ受信することで、データレートを向上させる技術である。また、キャリア・アグリゲーションは1つの周波数帯域を複数の周波数リソースに分割してコンポーネントキャリアとすることも可能である。
【0004】
なお、以後は下りリンク送信における受信装置のことを移動局装置、送信装置のことを基地局装置と記載し、上りリンク送信における受信装置のことを基地局装置、上りリンク送信における送信装置のことを移動局装置と記載するが、本発明の適用範囲はこれらの装置に限定する必要は無い。
【0005】
Advanced EUTRAのキャリア・アグリゲーションで用いられるコンポーネントキャリアは、プライマリコンポーネントキャリア(PCC: Primary Component Carrier)とセカンダリコンポーネントキャリア(SCC: Secondary Component Carrier)とに区別され、移動局装置が下りリンクのPCCで接続するセルをプライマリセル(PCell: Primary Cell)、下りリンクのSCCで接続するセルをセカンダリセル(SCell: Secondary Cell)と呼ぶ。プライマリセルには上りリンクコンポーネントキャリアが必ず含まれるが、セカンダリセルには含まれない場合がある。
【0006】
また、EUTRAおよびAdvanced EUTRAでは、MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術の利用が提案されている。MIMO技術とは、送信装置において送信データをあらかじめ複数の信号(ストリーム)に分割し、それらを複数のアンテナから同じ周波数帯域で同時送信し、受信装置において複数のアンテナを用いて前記分割された信号を同時受信して結合することで、データレートを向上させる技術である。
【0007】
この手法は、最小二乗誤差法(MMSE)などの信号処理を行うことで、複数の独立な空間チャネルを生成することに等しいことから、空間多重あるいはSM(Spatial Multiplexing)と呼ばれる。この空間チャネルは、無線伝搬路をいくつかの層に切り分けて、各々の層で無線信号を並列に伝送するというイメージから、空間レイヤとも呼ばれている。
【0008】
ここで、移動局装置の持つ受信器やアンテナ数と使用する周波数帯域によって、移動局装置がサポートできるキャリア・アグリゲーションのコンポーネントキャリア数やMIMOの空間レイヤ数が異なる場合がある。
【0009】
例えば、移動局装置がアンテナを2本ずつ持つ受信器1と受信器2を具備する仮定において、図11の(a)に示すように周波数帯域1のみで下りリンクの通信を行う場合には、受信器1と受信器2を周波数帯域1で用いて、コンポーネントキャリア数は4、MIMOの空間レイヤ数は4をサポートするが、図11の(b)に示すように周波数帯域1と周波数帯域2を同時に用いる場合には、受信器2を周波数帯域2に割り当てるため、周波数帯域1のコンポーネントキャリア数は4、MIMOの空間レイヤ数は2をサポートし、周波数2のコンポーネントキャリア数は4、MIMOの空間レイヤ数は2をサポートすることになる。
【0010】
そのため、使用する周波数帯域や周波数帯域の組み合わせ毎にサポートするコンポーネントキャリア数や空間レイヤ数などの情報(処理能力)を移動局装置が基地局装置に対して通知する仕組みが提案されている(非特許文献1)。
【0011】
なお、3GPPが規定する第3世代の基地局装置はノードB(NodeB)と称され、EUTRA及びAdvanced EUTRAにおける基地局装置はイーノードB(eNodeB)と称される。基地局装置は移動局装置が通信可能なエリアであるセルを管理し、セルは移動局装置と通信可能なエリアの大きさに応じてフェムトセルやピコセル、ナノセルとも称される。
【0012】
また、移動局装置がある基地局装置と通信可能であるとき、その基地局装置のセルは移動局装置の在圏セルであり、その他の基地局装置、または異なる周波数のセルは周辺セルと称される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】R2−110604,RAN WG2,3GPP TSG−RAN WG2 Meeting #72bis,Dublin,Ireland,17th−21th January 2011
【非特許文献2】TS 36.300,V10.2.0,3GPP TSG−RAN E−UTRA and E−UTRAN Overall description
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前述のように、非特許文献1では、移動局装置がサポートする周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を基地局装置へ通知することが提案されている。また、基地局装置に通知された前記処理能力は基地局装置から交換局(MME)へ通知され、MMEとの接続状態(ECM_Connected)の間は保持され、内容に変更があれば更新される。MMEで保持される前記処理能力の情報は移動局装置との通信時に該情報を保持していない基地局装置へ通知することにより、新たに移動局装置から基地局装置へ前記情報を通知するために無線リソースを使用することを抑制できる。
【0015】
しかしながら、移動局装置がサポートするすべての組み合わせの処理能力をMMEで保持するのは多くのメモリを消費し、また基地局装置がサポートする周波数帯域が基地局装置毎に異なる場合があり、MMEからすべての情報を取得するのは非効率的である。
【0016】
上記の課題を鑑みて、本発明は、移動局装置の処理能力を効率的に通知・管理できる通信システム、基地局装置、移動局装置、送信方法及び集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の通信システムは、移動局装置と基地局装置と前記移動局装置を管理する交換局とを具備する通信システムであって、前記移動局装置は、自局が送受信することが可能な周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を前記基地局装置に通知し、前記基地局装置は、前記移動局装置から通知された前記処理能力を交換局に通知する際に、前記処理能力の一部を前記交換局に通知することを特徴とする。
【0018】
(2)また、本発明の通信システムは、移動局装置と基地局装置と前記移動局装置を管理する交換局とを具備する通信システムであって、前記基地局装置は、自局のセルで待ち受け状態である移動局装置への通信が発生した際に、前記交換局から前記移動局装置の処理能力を取得して保持し、さらに前記基地局装置は、前記取得した処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせで前記移動局装置と無線通信を行う可能性がある場合に、前記移動局装置に対して、追加の処理能力の照会を行い、前記移動局装置は前記基地局装置からの照会に対して、自局の処理能力から追加通知を行う対象を抽出し、前記基地局装置に通知することを特徴とする。
【0019】
(3)また、本発明の通信システムにおいて、前記交換局から通知される処理能力は、前記移動局装置が送受信することが可能な周波数帯域毎の処理能力であり、前記移動局装置へ追加で照会する処理能力は、前記移動局装置が送受信することが可能な周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力であることを特徴とする。
【0020】
(4)また、本発明の通信システムは、移動局装置と基地局装置と前記移動局装置を管理する交換局とを具備する通信システムであって、前記基地局装置は、自局のセルで待ち受け状態である移動局装置への通信が発生した際に、前記交換局から前記移動局装置の処理能力を取得して保持し、前記移動局装置は、前記基地局装置から周波数帯域の組み合わせによる無線通信が設定された際に、前記基地局装置から追加の処理能力の照会が行われた場合、または何れの処理能力が前記基地局装置から前記交換局へ通知されるかが前記移動局装置において既知であり、前記既知の処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせの無線通信が自局に設定された場合に、前記基地局装置に対して当該組み合わせに対する処理能力の通知を行うことを特徴とする。
【0021】
(5)また、本発明の基地局装置は、移動局装置と無線通信を行う基地局装置であって、前記基地局装置は、前記移動局装置が送受信することが可能な周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を前記移動局装置あるいは前記移動局装置を管理する交換局から取得して管理する移動局装置処理能力情報管理部を具備し、前記移動局装置処理能力情報管理部は、保持する処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせで前記移動局装置と無線通信を行う可能性がある場合に、前記移動局装置に対して追加の処理能力の照会を行うことを特徴とする。
【0022】
(6)また、本発明の基地局装置は、移動局装置と無線通信を行う基地局装置であって、前記基地局装置は、前記移動局装置が送受信することが可能な周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を前記移動局装置あるいは前記移動局装置を管理する交換局から取得して管理する移動局装置処理能力情報管理部を具備し、前記移動局装置処理能力情報管理部は、保持する処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせによる無線通信を前記移動局装置に対して設定する場合に、前記移動局装置に対して追加の処理能力の照会を行い、前記移動局装置から通知される処理能力を保持することを特徴とする。
【0023】
(7)また、本発明の移動局装置は、前記基地局装置と無線通信を行う移動局装置であって、前記移動局装置は、自局が送受信することが可能な周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を基本情報と追加情報とに分けて管理する処理能力情報保持部を具備し、前記基地局装置から処理能力を照会するメッセージに追加通知の要求が含まれる場合には前記追加情報を前記基地局装置に通知することを特徴とする。
【0024】
(8)また、本発明の移動局装置処理能力の管理方法は、移動局装置と基地局装置と前記移動局装置を管理する交換局とを具備する通信システムにおける移動局装置処理能力の管理方法であって、前記基地局装置において、自局のセルで待ち受け状態である移動局装置への通信が発生した際に、前記交換局から前記移動局装置の処理能力を取得して保持するステップと、前記取得した処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせで前記移動局装置と無線通信を行う可能性がある場合に、前記移動局装置に対して、追加の処理能力の照会を行うステップと、前記移動局装置は、前記基地局装置からの照会に対して、自局の処理能力から追加通知を行う対象を抽出して前記基地局装置に通知するステップとを含むことを特徴とする。
【0025】
(9)また、本発明の移動局装置処理能力の管理方法は、移動局装置と基地局装置と前記移動局装置を管理する交換局とを具備する通信システムにおける移動局装置処理能力の管理方法であって、前記基地局装置において、自局のセルで待ち受け状態である移動局装置への通信が発生した際に、前記交換局から前記移動局装置の処理能力を取得して保持するステップと、前記移動局装置において、前記基地局装置から周波数帯域の組み合わせによる無線通信が設定された際に、前記基地局装置から追加の処理能力の照会が行われた場合、または何れの処理能力が前記基地局装置から前記交換局へ通知されるかが前記移動局装置において既知であり、前記既知の処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせの通信が自局に設定された場合に、前記基地局装置に対して当該組み合わせに対する処理能力の通知を行うステップとを含むことを特徴とする。
【0026】
(10)また、本発明の集積回路は、移動局装置と無線通信を行う基地局装置の移動局装置処理能力の取得と管理を行う集積回路であって、前記移動局装置が送受信することが可能な周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を前記移動局装置あるいは前記移動局装置を管理する交換局から取得して保持し、保持する処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせによる無線通信を前記移動局装置に対して設定する場合に、前記移動局装置に対して追加の処理能力の照会を行う移動局装置処理能力情報管理部を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、移動局装置の処理能力を効率的に通知・管理できる通信システム、基地局装置、移動局装置、送信方法及び集積回路を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態に係る移動局装置の一例を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基地局装置の一例を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る移動局装置に対するコンポーネントキャリアの設定の一例を示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係るContention based Random Accessのランダムアクセス手順を示したシーケンスチャートである。
【図6】本発明の実施形態1に係る移動局装置処理能力照会の手順を示したシーケンスチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る移動局呼び出し手順を示したシーケンスチャートである。
【図8】本発明の実施形態2に係る移動局装置処理能力照会の手順を示したシーケンスチャートである。
【図9】従来の移動局装置処理能力照会の手順を示したシーケンスチャートである。
【図10】従来の移動局呼び出し手順を示したシーケンスチャートである。
【図11】従来の移動局装置におけるコンポーネントキャリアへの受信器の割り当ての一例について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に関する物理チャネルとキャリア・アグリゲーション、処理能力の通知方法について説明する。
【0030】
(1)物理チャネル
EUTRA及びAdvanced EUTRAで使用される物理チャネル(または物理シグナル)について説明を行なう。物理チャネルは、基地局装置から移動局装置へ送信される下りリンクにおける下りリンクチャネルと、移動局装置から基地局装置へ送信される上りリンクにおける上りリンクチャネルとが存在する。物理チャネルは、EUTRA、及びAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造が変更される可能性もあるが、変更された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
【0031】
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(セルID:Physical Cell Identity; PCI)と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。移動局装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルのセルIDを特定する。
【0032】
物理報知情報チャネル(PBCH; Physical Broadcast Channel)は、セル内の移動局装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報(システム情報);System information)を通知する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、下りリンク制御チャネルで無線リソースが通知され、下りリンクデータチャネルを用いてレイヤ3メッセージで送信される。報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(CGI; Cell Global Identifier)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(TAI; Tracking Area Identifier)などが通知される。
【0033】
下りリンクリファレンスシグナルは、セル毎に所定の電力で送信されるパイロットシグナルである。また、下りリンクリファレンスシグナルは、所定の規則に基づき周波数・時間位置で周期的に繰り返される既知の信号である。移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルを受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、移動局装置は、下りリンクリファレンスシグナルと同時に送信される下りリンク制御チャネル、または下りリンクデータチャネルの復調のための参照用の信号としても下りリンクリファレンスシグナルを使用する。下りリンクリファレンスシグナルに使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。なお、下りリンクリファレンスシグナルはセル固有RS(Cell-specific reference signals)と記載される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
【0034】
下りリンク制御チャネル(PDCCH; Physical Downlink Control Channel)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボルで送信され、移動局装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割当て情報や、送信電力の増減の調整量を指示する目的で使用される。移動局装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバーコマンドなど)を送受信する前に自局宛の下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自局宛の下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクグラント、受信時には下りリンクグラントと呼ばれる無線リソース割当て情報を取得する必要がある。
【0035】
下りリンクデータチャネル(PDSCH; Physical Downlink Shared Channel)は、下りリンクデータの他、下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージとしてページングや報知情報を通知するためにも使用される。下りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
【0036】
上りリンクデータチャネル(PUSCH; Physical Uplink Shared Channel)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、下りリンクと同様に上りリンクデータチャネルの無線リソース割当て情報は、下りリンク制御チャネルで示される。
【0037】
ランダムアクセスチャネル(PRACH; Physical Random Access Channel)は、プリアンブル系列を通知するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを持つ。ランダムアクセスチャネルは、移動局装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。移動局装置は、上りリンク制御チャネル未設定時の送信データのスケジューリング要求や、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報の要求にランダムアクセスチャネルを用いる。送信タイミング調整情報を受信した移動局装置は、送信タイミング調整情報の有効時間を設定し、有効時間中は送信タイミング調整状態、有効期間外は、送信タイミング非調整状態となる。なお、それ以外の物理チャネルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。
【0038】
(2)キャリア・アグリゲーション
キャリア・アグリゲーションとは、複数の異なる周波数帯域(コンポーネントキャリア)を集約(アグリゲーション)して一つの周波数帯域のように扱う技術である。例えば、キャリア・アグリゲーションによって周波数帯域幅が20MHzのコンポーネントキャリアを5つ集約した場合、移動局装置は100MHzの周波数帯域幅とみなしてアクセスすることが可能となる。
【0039】
なお、集約するコンポーネントキャリアは連続した周波数帯域であっても、全てまたは一部が不連続となる周波数帯域であってもよい。例えば、使用可能な周波数帯域が800MHz帯域、2.4GHz帯域、3.4GHz帯域である場合、ある一つのコンポーネントキャリアが800MHz帯域、別のコンポーネントキャリアが2GHz帯域、さらに別のコンポーネントキャリアが3.4GHz帯域であってもよい。
【0040】
また、同一周波数帯域、例えば2.4GHz帯域内の連続または不連続のコンポーネントキャリアを集約することも可能である。各コンポーネントキャリアの周波数帯域幅は20MHzより狭い周波数帯域幅であっても良く、各々異なっていても良い。
【0041】
基地局装置は、移動局装置の処理能力、滞留しているデータバッファ量や移動局装置の受信品質、セル内の負荷やQoSなどの種々の要因に基づいて、移動局装置に割り当てる上りリンクまたは下りリンクのコンポーネントキャリアの数を増減することができる。
【0042】
[本発明の通信ネットワーク構成の例]
図3は、本発明の実施形態に係る通信ネットワーク構成の一例を示す図である。移動局装置1は、キャリア・アグリゲーションによって複数の周波数帯域(コンポーネントキャリア、Band1~Band3)を同時に用いて基地局装置2と無線接続することが可能な場合、通信ネットワーク構成としては、ある一つの基地局装置2が複数の周波数帯域毎に送信器21〜23(及び図示しない受信器24〜26)を備えており、各周波数帯域の制御を一つの基地局装置2で行なう構成が制御の簡略化の観点から好適である。ただし、基地局装置2が複数の送信器で一つの周波数帯域の送信を行う構成や、複数の周波数帯域が連続する周波数帯域であるなどの理由で一つの送信器で複数の周波数帯域の送信を行なう構成であっても構わない。
【0043】
基地局装置2の送信器によって制御される各周波数帯域の通信可能範囲はセルとしてみなされ、空間的に同一のエリアに存在する。このとき、各周波数帯域がカバーするエリア(セル)はそれぞれ異なる広さ、異なる形状であっても良い。また移動局装置1は受信器14〜16(及び図示しない送信器11〜13)を備えることで前記基地局装置2とのキャリア・アグリゲーションによる通信を行う。
【0044】
移動局装置1についても、複数の受信器で一つの周波数帯域の受信を行う構成や、一つの受信器で複数の周波数帯域の受信を行なう構成であっても構わない。
【0045】
後述する記載において、基地局装置2が形成するコンポーネントキャリアの周波数でカバーされるエリアのことをそれぞれセルと称して説明するが、これは実際に運用される通信システムにおけるセルの定義とは異なる可能性があることに注意する。
【0046】
例えば、ある通信システムでは、キャリア・アグリゲーションによって用いられるコンポーネントキャリアの一部のことを、セルではなく単なる追加の無線リソースと定義するかもしれない。本発明でコンポーネントキャリアをセルと称することで、実際に運用される通信システムにおけるセルの定義と異なる場合が発生したとしても、本発明の主旨には影響しない。なお、移動局装置1は、リレー局装置(またはリピーター)を介して基地局装置2と無線接続されても良い。
【0047】
[コンポーネントキャリアの構成の設定例]
図4は、本発明の実施形態に係る移動局装置1がキャリア・アグリゲーションを行なう場合に、基地局装置2が移動局装置1に対して設定する下りリンクコンポーネントキャリアと、上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係の一例を示した図である。図4中の下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC1と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC1、下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC2と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2、及び下りリンクコンポーネントキャリアDL_CC3と上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC3はセル固有接続(Cell Specific Linkage)している。セル固有接続とは、例えば、移動局装置1がキャリア・アグリゲーションしていない場合に、基地局装置2にアクセス可能な上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係(連携関係)であり、典型的には報知情報でその対応関係が示される。
【0048】
上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係は、報知情報に周波数情報として明示的に指示されるか、または明示的に指示されない場合に運用周波数毎に一意に決められる上りリンクと下りリンクの規定の周波数差の情報を用いるなどして暗黙的に指示される。これらの方法に限らず、セル毎に上りリンクと下りリンクの周波数帯域の対応関係を示すことが可能であれば、これ以外の方法を用いて指示されても良い。
【0049】
これに対し、基地局装置2は、下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアの対応関係を、セル固有接続とは別に移動局装置毎に個別に設定(個別接続;UE Specific Linkage)することも可能である。個別接続は、基地局装置2から下りリンクコンポーネントキャリアと上りリンクコンポーネントキャリアが追加されるときに同時に設定される。
【0050】
図4の場合、ある移動局装置1が無線接続される上りリンクコンポーネントキャリアUL_CC2に対し、2つの下りリンクコンポーネントキャリア(DL_CC2、DL_CC3)が対応しており、DL_CC3とUL_CC2は個別接続されており、DL_CC1とDL_CC2はそれぞれUL_CC1とUL_CC2にセル固有接続されている。この場合、移動局装置1はDL_CC1〜DL_CC3で受信処理を行い、UL_CC1およびUL_CC2で送信処理を行う。
【0051】
すなわち、DL_CC1〜DL_CC3とUL_CC1〜UL_CC2は、移動局装置1が基地局装置2との通信に用いる接続コンポーネントキャリアであり、UL_CC3は、移動局装置1が基地局装置2との通信に用いない非接続コンポーネントキャリアである。典型的にはプライマリセルの上りリンクと下りリンクはセル固有接続され、セカンダリセルの上りリンクと下りリンクは個別接続される。
【0052】
さらに、上りリンクコンポーネントキャリアで移動局装置1が送信する際の送信電力調整には、下りリンクコンポーネントキャリアの受信品質(基地局装置2から送信された無線信号の電力が移動局装置1で受信されるまでに減衰した量を示すパスロス値など)が用いられる。
【0053】
プライマリセルの送信電力調整には、当該プライマリセルの下りリンクの受信品質が用いられる。一方、セカンダリセルの送信電力調整には、プライマリセルか当該セカンダリセルの下りリンクの受信品質のいずれか一方に基づく。セカンダリセルの送信電力調整のために、プライマリセルと当該セカンダリセルの何れの下りリンクの受信品質を利用するかは、報知情報あるいは移動局装置毎に個別のレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)によって、基地局装置2から移動局装置1へ通知される。
【0054】
(3)ランダムアクセス手順
ランダムアクセスには、Contention based Random AccessとNon−contention based Random Accessの2つのアクセス方法がある。Contention based Random Accessは、移動局装置間で衝突する可能性のあるランダムアクセスであり、接続処理時に通常行われるランダムアクセスである。
【0055】
また、Non−contention based Random Accessは、移動局装置間で衝突が発生しないランダムアクセスであり、迅速に移動局装置−基地局装置間の同期をとるために用いられるランダムアクセスであり、ハンドオーバー等の特別な場合に基地局装置主導で行われる。
【0056】
Contention based Random Accessでは、上り同期を取る(上り同期タイミングを調整する)ためにランダムアクセスプリアンブル(単にプリアンブルとも呼ばれる)をランダムアクセスチャネルで送信する。プリアンブルには、情報を表す信号パターンであるシグネチャが含まれ、数十種類のシグネチャを用意して数ビットの情報を表現することができる。
【0057】
EUTRAでは、6ビットの情報を送信することが想定され、64種類のシグネチャが用意されることが想定されている。6ビットの情報は、5ビットがランダムID、残りの1ビットが下りリンクのパスロスとランダムアクセス後に送信する上りデータ量に基づき決定される。
【0058】
ここで、Contention based Random Access及びNon−Contention based Random Accessの通信手順の概略について説明する。
【0059】
図5は、Contention based Random Accessの手順例について示したシーケンスチャートである。Contention based Random Accessは、初期アクセス時、再接続時、Inter−RATハンドオーバー時などに用いられる。
【0060】
移動局装置は、ステップS51で基地局装置から報知情報を受信し、送信するシグネチャを選択するためのシグネチャ情報(ランダムアクセスチャネルの無線リソース情報、シグネチャのグループ情報など)を取得する。そして、ランダムアクセス要求が発生した場合(ステップS52)、シグネチャ情報に基づいてシグネチャを選択し、ランダムアクセスチャネルを用いて選択したプリアンブルを基地局装置へ送信する(ステップS53)。
【0061】
基地局装置は、移動局装置からランダムアクセスチャネルを受信すると、送信されたプリアンブルから移動局装置と基地局装置間の上り同期タイミングずれ(Timing Advance)を算出し、ランダムアクセス応答(ランダムアクセスレスポンス)を送信するためにスケジューリングを行い、移動局装置に対して仮の識別子であるTemporary C−RNTI(Cell-Radio Network Temporary Identity)を割り当て、下り共用制御チャネル(PDCCH)にプリアンブルを送信した移動局装置宛の応答を示す識別子であるRA−RNTI(Random Access-Radio Network Temporary Identity)と下りデータチャネルのリソース割当て情報を配置し、下りデータチャネル(PDSCH)に上り同期タイミングずれ情報、上りスケジューリング情報、Tempolary C−RNTIおよび受信したプリアンブルのシグネチャID番号(またはランダムID)を配置し、ランダムアクセス応答として前記下り共用制御チャネルと前記下りデータチャネルを送信する(ステップS54)。
【0062】
移動局装置は、下り共用制御チャネル(PDCCH)にRA−RNTIがあることを確認すると、下りデータチャネル(PDSCH)に配置されたランダムアクセス応答の中身を確認し、送信したプリアンブルのシグネチャID番号(またはランダムID)が含まれる応答を抽出する。そして、上り同期タイミングずれを補正し、スケジューリングされた無線リソースでTempolary C−RNTIを含む上りスケジューリングデータを送信する(ステップS55)。なお、移動局装置は、基地局装置からのランダムアクセス応答を一定期間待ち続け、送信したプリアンブルのシグネチャID番号を含んだランダムアクセス応答を受信しない場合は、再度、プリアンブルを送信する。
【0063】
基地局装置は、移動局装置からの上りスケジューリングデータを受信すると、受信した上りスケジューリングデータに含まれるTempolary C−RNTIを使用して移動局装置間で衝突が起こっているかどうかを移動局装置に判断させるための下りスケジューリングデータを移動局装置に送信する(ステップS56)。前記下りスケジューリングデータは、コンテンションレゾリューションとも呼ばれる。移動局装置は、下りスケジューリングデータを制限時間内に正しく受信することにより、ランダムアクセスが成功したと判断し、ランダムアクセス手順を終了する。そして、Tempolary C−RNTIを一時的なものでなく、当該セルにおいて移動局装置を識別するための識別子(C−RNTI)として使用する。
【0064】
一方、Non−contentioned based Random Accessでは、基地局装置がシグネチャID番号を選択して移動局装置に通知する。移動局装置は、通知されたシグネチャを使用し、ランダムアクセスチャネルでプリアンブルを送信する。
【0065】
基地局装置は、移動局装置からのプリアンブルを受信すると、プリアンブルから移動局装置−基地局装置間の同期タイミングずれを算出し、下り共用制御チャネル(PDCCH)に、ランダムアクセスチャネルを送信した移動局装置宛の応答を示すためにC−RNTIを配置し、同期タイミングずれ情報を含んだランダムアクセス応答を送信する。移動局装置は、受信したランダムアクセス応答から同期タイミングずれを補正し、ランダムアクセスが正しく完了したと判断する。
【0066】
(4)処理能力の通知方法
移動局装置は、自局の持つ受信器やアンテナ数によって、同時に送受信を行う周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎にサポートできるコンポーネントキャリア数やMIMOのレイヤ数が異なる場合がある。そのため、移動局装置は基地局装置からの要求に基づいて基地局装置に周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎にサポートできるコンポーネントキャリア数やMIMOのレイヤ数を含む処理能力を通知する。
【0067】
非特許文献2に記載されている移動局装置の処理能力通知・管理方法を図9に示す。図9において、まず基地局装置は移動局装置に対して処理能力の照会をするRRCメッセージである移動局装置能力照会メッセージ(RRC:UECapabilityEnquiry)を送信する(ステップS91)。移動局装置能力照会メッセージには、どの通信システム(RAT; Radio Access technology)に関する通知を要求するかの情報が含まれる。
【0068】
前記メッセージを受信した移動局装置は要求されたRAT(例えばEUTRAN,UTRAN,GERAN−PS,GERAN−CS,CDMA2000−1XRTTなど)に関する自局の処理能力を、移動局装置能力情報メッセージ(RRC:UECapabilityInformation)を用いて基地局装置へ通知する(ステップS92)。要求されたRATがEUTRANの場合、移動局装置は前述の周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎にサポートできるコンポーネントキャリア数やMIMOのレイヤ数を含む処理能力を通知する。
【0069】
基地局装置は移動局装置と接続されたRRC_CONNECTED状態の間、該移動局装置の処理能力を保持する。また、基地局装置は、交換局(MME)との通信で用いられるS1−APメッセージの移動局装置能力情報通知メッセージ(S1−AP:UE CAPABILITY INFO INDICATION)で該移動局装置を管理するMMEに対して該移動局装置の処理能力を通知する(ステップS93)。該移動局装置の処理能力は、MMEと接続された状態(ECM_Connected)の間、MMEのメモリ内に保持され、再度、基地局装置から移動局装置能力情報通知メッセージの通知があればメモリの内容が更新される。
【0070】
また、図10は、ECM_Connectedで待ち受け(RRC_IDLE)状態の移動局装置に対して通信を開始する際の移動局呼び出し手順を示したシーケンスチャートである。
【0071】
図10において、MMEは移動局装置が位置登録されている待ち受けエリア(トラッキングエリア)の基地局装置に対して、移動局装置呼び出しのPagingメッセージを送信する(ステップS1001)。MMEから前記Pagingメッセージを受信したすべての基地局装置は、自局のセルにおいて移動局装置宛てのページング信号を無線送信する(ステップS1002)。前記Paging信号を受信した移動局装置は自局が待ち受けを行っているセルの基地局装置に対してランダムアクセス手順を実施して接続する(ステップS1003)。
【0072】
接続した移動局装置はMMEとの通信で用いられるNAS(Non−Access−Stratum)メッセージであるサービス要求メッセージ(NAS:Service Request)を接続した基地局装置に対して送信し(ステップS1004)、受信した基地局装置はMMEに対して初期移動局装置メッセージ(S1−AP:INITIAL UE MESSAGE)に前記サービス要求メッセージを含めて通知する(ステップS1005)。初期移動局装置メッセージを受信したMMEは基地局装置に対して初期コンテキストセットアップ要求(S1−AP:INITIAL CONTEXT SETUP REQUEST)を送信する(ステップS1006)。このメッセージには全般的な移動局装置コンテキスト(General UE Context)や無線アクセスベアラコンテキスト(E−RAB Context)などが含まれており、該移動局装置の処理能力も含まれる。前記初期コンテキストセットアップ要求を受信した基地局装置は、対象となる移動局装置のコンテキストをセットアップし、無線ベアラのセットアップなどの必要な処理を行う(ステップS1007)。
【0073】
その後、基地局装置はMMEに対して、移動局装置との接続が成功した場合には初期コンテキストセットアップ完了メッセージ(S1−AP:INITIAL CONTEXT SETUP COMPLETE)を送信し(ステップS1008)、移動局装置との接続が失敗した場合には初期コンテキストセットアップ失敗メッセージ(S1−AP:INITIAL CONTEXT SETUP FAILURE)を送信する。
【0074】
また、基地局装置は必要に応じて他のRATの処理能力を取得するために、移動局装置に対して移動局装置能力照会メッセージを送信し(ステップS1009)、移動局装置能力情報メッセージを受信する(ステップS1010)。上記の手順によると、基地局装置は直接無線リソースを用いて移動局装置から処理能力を取得する必要がないため、無線リソース利用の効率化を図ることができる。
【0075】
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面に基づき、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の説明において、本発明に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の要旨を不明瞭にすると判定される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0076】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。
【0077】
図1は、本発明の実施形態に係る移動局装置の一例を示すブロック図である。移動局装置1は、受信部101、復調部102、復号部103、測定処理部104、制御部105、ランダムアクセス処理部106、符号部107、変調部108、送信部109、上位レイヤ110、処理能力情報保持部111から構成される。受信に先立ち、上位レイヤ110より制御部105へ移動局装置制御情報が入力され、受信に関する移動局装置制御情報が受信制御情報として、受信部101、復調部102、復号部103、測定処理部104へ適切に入力される。受信制御情報は、受信スケジュール情報として、復調情報、復号化情報、受信周波数帯域の情報、各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
【0078】
受信信号は、受信部101において受信される。受信部101は、受信制御情報で通知された周波数帯域で信号を受信する。受信信号は復調部102へと入力される。復調部102は、受信信号を復調して復号部103へと受信信号を入力する。復号部103は、受信制御情報に基づき受信信号を正しく復号する。復号部103は、受信信号を下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ110へ入力する。
【0079】
また、復号部103は測定に関する復号した受信信号を測定処理部104へ入力する。測定処理部104は、セル毎の下りリンクリファレンスシグナルの受信品質の測定処理や、下りリンク制御チャネルまたは下りリンクデータチャネルの受信誤り率の測定処理を行ない、測定した受信品質をサンプル毎に平均化(フィルタリング)した下りリンク測定情報を生成し、下りリンク測定情報を上位レイヤ110へ出力する。また、測定処理部104は、得られた受信品質と下りリンク同期誤りの検出に用いる閾値(Qoutとも呼ばれる)とを比較し、必要に応じて下りリンク同期誤りおよび下りリンク同期回復を上位レイヤ110へ出力する。
【0080】
また、上位レイヤ110より制御部105へ移動局装置制御情報が入力され、送信に関する移動局装置制御情報が送信制御情報として、ランダムアクセス処理部106、符号部107、変調部108、送信部109へ適切に入力される。送信制御情報は、送信信号の上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。ランダムアクセス処理部106には、上位レイヤ110からランダムアクセスの無線リソース情報や最大送信回数などのランダムアクセスチャネルの送信に必要なランダムアクセス情報が入力される。
【0081】
また、ランダムアクセス処理部106は、ランダムアクセスチャネルの送信回数をカウントすることで、ランダムアクセス問題を検出した場合、ランダムアクセス問題が発生したことを示すランダムアクセス問題情報を上位レイヤ110へ通知する。符号部107には、上位レイヤ110より上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データ、ランダムアクセス処理部106からランダムアクセスデータとが入力される。符号部107は送信制御情報に従い、各データを適切に符号化し、変調部108に出力する。変調部108は、符号部107からの入力を変調する。
【0082】
送信部109は、変調部108の出力を周波数領域にマッピングすると共に、周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に送信する。また、図1において、送信部109および受信部101は図示していないアンテナと組み合わせて、それぞれ送信器、受信器と呼称し、同一あるいは異なる周波数帯域の通信を行うために移動局装置1は複数の送信器や受信器を具備してもよい。また、その他の移動局装置1の構成要素は本実施形態に関係ないため省略する。
【0083】
図2は、本発明の実施形態による基地局装置の一例を示すブロック図である。基地局装置2は、受信部201、復調部202、復号部203、制御部204、符号部205、変調部206、送信部207、ネットワーク信号処理部208、上位レイヤ210、上位レイヤの機能に含まれる移動局装置処理能力情報管理部209から構成される。
【0084】
上位レイヤ210は、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データを符号部205へ入力する。符号部205は、入力された各データを符号化し、変調部206へ入力する。変調部206は、符号化した信号の変調を行なう。また、変調部206において、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルが多重され、周波数領域にマッピングされる。送信部207は、変調部206から出力された周波数領域の信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に送信する。下りリンク制御データが配置される下りリンクデータチャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRCメッセージ)を構成する。
【0085】
また、受信部201は、移動局装置1からの受信信号をベースバンドのディジタル信号に変換する。ディジタル信号は、復調部202へ入力されて復調される。復調部202で復調された信号は続いて復号部203へ入力されて復号される。復号部203は、受信信号を上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ210へ入力する。
【0086】
これら各ブロックの制御に必要な基地局装置制御情報は、上位レイヤ210より制御部204へ入力され、制御部204より送信に関連する基地局装置制御情報は送信制御情報として、符号部205、変調部206、送信部207の各ブロックに、受信に関連する基地局装置制御情報は受信制御情報として、受信部201、復調部202、復号部203の各ブロックに適切に入力される。
【0087】
一方、ネットワーク信号処理部208は、基地局装置2間あるいは制御局装置(またはゲートウェイ装置)やMMEと基地局装置2との間の制御メッセージの送信または受信を行なう。制御メッセージはネットワーク回線を経由して送受信される。
【0088】
移動局装置処理能力情報管理部209は、MMEあるいは移動局装置1から前記処理能力の取得を行い、前記取得した処理能力を保持する。また移動局装置処理能力情報管理部209は、ネットワーク信号送受信部208を通じて当該移動局装置1を管理するMMEに対して前記処理能力のすべてあるいは一部の通知を行う。また移動局装置処理能力情報管理部209は、移動局装置1との接続が終了した場合(移動局装置1がRRC_IDLE状態となった場合)、当該移動局装置1の情報を削除する。
【0089】
ネットワーク信号処理部208は上位レイヤが管理する。基地局装置2のRRCは、上位レイヤ210の一部として存在する。図2において、その他の基地局装置2の構成要素は本実施形態に関係ないため省略する。
【0090】
図示していないMMEは、ECM_Connected状態にある移動局装置1に関する情報をメモリ(あるいはその他の記憶媒体)上に保持しており、必要に応じて基地局装置2から情報を取得して前記情報の更新を行う。また、ECM_Connected状態かつRRC_IDLE状態にある前記移動局装置1に対する通信要求が発生した際には、前述の移動局呼び出し手順を実施する。
【0091】
続いて、本実施形態における移動局装置の処理能力の通知・管理方法について図6および図7を参照して説明を行う。
【0092】
まず、図6は本実施形態における移動局装置の処理能力の通知・管理方法を示すシーケンスチャートである。ステップS61,S62では、図9のステップS91,S92と同様に、基地局装置2が、移動局装置1の周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎にサポートするコンポーネントキャリア数やMIMOのレイヤ数を含む処理能力を取得する。次に基地局装置2は前記取得した処理能力のうち、周波数帯域毎の処理能力のみを選択して(ステップS63)、移動局装置能力情報通知メッセージでMMEへ通知する(ステップS64)。MMEでは通知された処理能力を保持する(ステップS65)。
【0093】
次に、図7は本実施形態におけるECM_Connectedで待ち受け(RRC_IDLE)状態の移動局装置1に対して通信を開始する際の移動局呼び出し手順の一部を示したシーケンスチャートである。図7における初期移動局装置メッセージ送信までの処理(ステップS701〜ステップS705)は図10のステップS1001〜ステップS1005と同じ処理であるため説明を省略する。
【0094】
MMEは移動局装置1が接続した基地局装置2に対して、初期コンテキストセットアップ要求メッセージで、移動局装置1の周波数帯域毎の処理能力を通知する(ステップS706)。基地局装置2は前記処理能力を保持する。次に基地局装置2は、対象となる移動局装置1のコンテキストをセットアップし、無線ベアラのセットアップなどの必要な処理を行う(ステップS708)。
【0095】
その後、基地局装置2はMMEに対して、移動局装置1との接続が成功した場合には初期コンテキストセットアップ完了メッセージ(S1−AP:INITIAL CONTEXT SETUP COMPLETE)を送信し、移動局装置1との接続が失敗した場合には初期コンテキストセットアップ失敗メッセージ(S1−AP:INITIAL CONTEXT SETUP FAILURE)を送信する(ステップS709)。
【0096】
その後、基地局装置2は自局あるいは移動局装置1のキャリア・アグリゲーション処理の可否に基づき移動局装置1からの追加通知要否の判断を行う(ステップS710)。追加通知が必要である場合(複数周波数帯域の組み合わせによるキャリア・アグリゲーションを行う可能性がある場合)、基地局装置2は移動局装置1に対して、特定のRATに対する周波数帯域毎の処理能力以外の情報(周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力の情報)を照会する移動局装置能力照会メッセージ(Additional Info Enquiry)を送信し(ステップS711)、前記移動局能力照会メッセージを受信した移動局装置1は、指定されたRATで自局がサポートする周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を抽出し(ステップS712)、抽出した処理能力(Additional Info)を基地局装置2に通知する(ステップS713)。
【0097】
以上のように、本実施形態におけるMMEは、移動局装置1のサポートする周波数帯域毎の処理能力のみを基本情報として保持し、基地局装置2は複数周波数帯域を用いたキャリア・アグリゲーションを行う場合にのみ基本情報以外の処理能力を移動局装置1から取得することで、MMEにおける記憶容量の軽減と基地局装置2との通信負荷の軽減、基地局装置2と移動局装置1間における不必要な処理能力の通知による無線リソースの浪費や移動局装置1の電力消費を軽減することが可能となる。
【0098】
なお、上記説明では、図6のステップS63において基本情報として周波数帯域毎の処理能力のみを選択しているが、これに限らず、一部の周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を含めるようにしてもよい。この場合、図7のステップS707では前記一部の周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力も基本情報に含まれることになり、基地局装置2はステップS710で、自局が保持する基本情報以外の周波数帯域の組み合わせによるキャリア・アグリゲーションを行う際に追加通知が必要であると判断する。
【0099】
また、図7のステップS711およびS712において基地局装置2は移動局装置能力照会メッセージを用いて追加の(周波数帯域の組み合わせ毎の)処理能力を取得しているが、これに限らず、実際に移動局装置1に対するコンポーネントキャリアが追加・削除される際に、移動局装置1が、その時点で移動局装置1に割り当てられたコンポーネントキャリアの周波数帯域の組み合わせにおける処理能力を基地局装置2に動的に通知するようにしてもよい。
【0100】
この場合、基地局装置2から当該組み合わせにおける処理能力の通知が必要であるか否かの情報を、コンポーネントキャリア追加のメッセージに含めることもできるし、基本情報として基地局装置2が保持する内容が移動局装置1において既知である場合には、基本情報に含まれない周波数帯域の組み合わせである場合に通知することもできる。
【0101】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態について以下に説明する。本実施形態は、移動局装置の処理能力の通知に関する別の例である。
【0102】
本実施形態に用いる移動局装置と基地局装置の構成は、それぞれ第1の実施形態の移動局装置1(図1)と基地局装置2(図2)と同じ構成で良いため説明を省略する。
【0103】
本実施形態における移動局装置の処理能力の通知・管理方法について図8および図7を参照して説明を行う。
【0104】
図8は本実施形態における移動局装置の処理能力の通知・管理方法を示すシーケンスチャートである。まず、基地局装置2は、移動局装置1に対して周波数帯域毎の処理能力を照会する移動局装置能力照会メッセージを送信する(ステップS81)。照会メッセージには、どの通信システム(RAT; Radio Access technology)に関する通知を要求するか、および基本情報か追加情報のどちらを要求するかの情報が含まれる。前記メッセージを受信した移動局装置1は要求されたRATに関する自局の処理能力のうち、基本情報(Basic Info)の要求であれば周波数帯域毎の処理能力を、追加情報(Additional Info)の要求であれば周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を抽出し(ステップS82)、移動局装置能力情報メッセージで基地局装置2へ通知する(ステップS83)。基地局装置2は移動局装置1と接続されたRRC_CONNECTED状態の間、該移動局装置1の処理能力を保持する。また、基地局装置2は、移動局装置能力情報通知メッセージで該移動局装置1を管理するMMEに対して該移動局装置1の処理能力のうち基本情報を通知する(ステップS84)。該移動局装置1の処理能力は、MMEと接続された状態(ECM_Connected)の間、MMEに保持される(ステップS85)。
【0105】
次に、本実施形態におけるECM_Connectedで待ち受け(RRC_IDLE)状態の移動局装置1に対して通信を開始する際の移動局呼び出し手順について説明を行う。本実施形態における移動局呼び出し手順は第1の実施形態と同様であるが、図7のステップS711〜S713は、図8のステップS81〜S83での追加情報の要求時の動作となる。
【0106】
以上のように、本実施形態におけるMMEは、移動局装置1のサポートする周波数帯域毎の処理能力のみを基本情報として保持し、基地局装置2は複数周波数帯域を用いたキャリア・アグリゲーションを行う場合にのみ基本情報以外の処理能力を移動局装置1から取得することで、MMEにおける記憶容量の軽減と基地局装置2との通信負荷の軽減、さらに移動局装置能力照会で基本情報と追加情報を分離することで、不必要な処理能力の通知による無線リソースの浪費や移動局装置1の電力消費を軽減することが可能となる。
【0107】
なお、上記説明では、図8のステップS82において基本情報として周波数帯域毎の処理能力のみを選択しているが、これに限らず、一部の周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を含めるようにしてもよい。この場合、図7のステップS707では前記一部の周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力も基本情報に含まれることになり、基地局装置2はステップS710で、自局が保持する基本情報以外の周波数帯域の組み合わせによるキャリア・アグリゲーションを行う際に追加通知が必要であると判断する。
【0108】
また、図7のステップS711およびS712において基地局装置2は移動局装置能力照会メッセージを用いて追加の(周波数帯域の組み合わせ毎の)処理能力を取得しているが、これに限らず、実際に移動局装置1に対するコンポーネントキャリアが追加・削除される際に、移動局装置1が、その時点で移動局装置1に割り当てられたコンポーネントキャリアの周波数帯域の組み合わせにおける処理能力を基地局装置2に動的に通知するようにしてもよい。この場合、基地局装置2から当該組み合わせにおける処理能力の通知が必要であるか否かの情報を、コンポーネントキャリア追加のメッセージに含めることもできるし、基本情報として基地局装置2が保持する内容が移動局装置1において既知であるため、基本情報に含まれない周波数帯域の組み合わせである場合に通知することもできる。
【0109】
また、本実施形態における移動局装置能力照会メッセージは基本情報の要求、追加情報のみを要求、すべての情報を要求の3つを識別できるように設計してもよい。この場合、基地局装置2が移動局装置1に関する処理能力を保持していなければ、すべての情報を要求するメッセージを移動局装置1に送信して、取得した処理能力のうち基本情報をMMEに通知してもよいし、基本情報を要求するメッセージを移動局装置1に送信して、取得した処理能力をMMEに通知し、キャリア・アグリゲーションに追加情報が必要である場合のみに追加情報を要求するメッセージを移動局装置1に送信することも可能である。
【0110】
なお、以上説明した実施形態は単なる例示に過ぎず、様々な変形例、置換例を用いて実現することができる。
【0111】
また、説明の便宜上、実施形態の移動局装置1及び基地局装置2を機能的なブロック図を用いて説明したが、移動局装置1及び基地局装置2の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより移動局装置や基地局装置の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0112】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0113】
また、上記各実施形態に用いた移動局装置1および基地局装置2の各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0114】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
1…移動局装置
2…基地局装置
14〜16…受信器
21〜23…送信器
101、201…受信部
102、202…復調部
103、203…復号部
104…測定処理部
105、204…制御部
106…ランダムアクセス処理部
107、205…符号部
108、206…変調部
109、207…送信部
110、210…上位レイヤ
111…処理能力情報保持部
208…ネットワーク信号送受信部
209…移動局装置処理能力情報管理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局装置と基地局装置と前記移動局装置を管理する交換局とを具備する通信システムであって、
前記移動局装置は、自局が送受信することが可能な周波数帯域毎および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を前記基地局装置に通知し、
前記基地局装置は、前記移動局装置から通知された前記処理能力を交換局に通知する際に、前記処理能力の一部を前記交換局に通知することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
移動局装置と基地局装置と前記移動局装置を管理する交換局とを具備する通信システムであって、
前記基地局装置は、自局のセルで待ち受け状態である移動局装置への通信が発生した際に、前記交換局から前記移動局装置の処理能力を取得して保持し、
さらに前記基地局装置は、前記取得した処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせで前記移動局装置と無線通信を行う可能性がある場合に、前記移動局装置に対して、追加の処理能力の照会を行い、
前記移動局装置は、前記基地局装置からの照会に対して、自局の処理能力から追加通知を行う対象を抽出し、前記基地局装置に通知することを特徴とする通信システム。
【請求項3】
前記交換局から通知される処理能力は、前記移動局装置が送受信することが可能な周波数帯域毎の処理能力であり、前記移動局装置へ追加で照会する処理能力は、前記移動局装置が送受信することが可能な周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力であることを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
移動局装置と基地局装置と前記移動局装置を管理する交換局とを具備する通信システムであって、
前記基地局装置は、自局のセルで待ち受け状態である前記移動局装置への通信が発生した際に、前記交換局から前記移動局装置の処理能力を取得して保持し、
前記移動局装置は、前記基地局装置から周波数帯域の組み合わせによる無線通信が設定された際に、
前記基地局装置から追加の処理能力の照会が行われた場合、または何れの処理能力が前記基地局装置から前記交換局へ通知されるかが前記移動局装置において既知であり、前記既知の処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせの通信が自局に設定された場合に、前記基地局装置に対して当該組み合わせに対する処理能力の通知を行うことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
移動局装置と無線通信を行う基地局装置であって、
前記基地局装置は、前記移動局装置が送受信することが可能な周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を前記移動局装置あるいは前記移動局装置を管理する交換局から取得して管理する移動局装置処理能力情報管理部を具備し、
前記移動局装置処理能力情報管理部は、保持する処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせで前記移動局装置と無線通信を行う可能性がある場合に、前記移動局装置に対して追加の処理能力の照会を行うことを特徴とする基地局装置。
【請求項6】
移動局装置と無線通信を行う基地局装置であって、
前記基地局装置は、
前記移動局装置が送受信することが可能な周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を前記移動局装置あるいは前記移動局装置を管理する交換局から取得して管理する移動局装置処理能力情報管理部を具備し、
前記移動局装置処理能力情報管理部は、保持する処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせによる無線通信を前記移動局装置に対して設定する場合に、前記移動局装置に対して追加の処理能力の照会を行い、前記移動局装置から通知される処理能力を保持することを特徴とする基地局装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6記載の基地局装置と無線通信を行う移動局装置であって、
前記移動局装置は、
自局が送受信することが可能な周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を基本情報と追加情報とに分けて管理する処理能力情報保持部を具備し、
前記基地局装置から処理能力を照会するメッセージに追加通知の要求が含まれる場合には前記追加情報を前記基地局装置に通知することを特徴とする移動局装置。
【請求項8】
移動局装置と基地局装置と前記移動局装置を管理する交換局とを具備する通信システムにおける移動局装置処理能力の管理方法であって、
前記基地局装置において、自局のセルで待ち受け状態である移動局装置への通信が発生した際に、前記交換局から前記移動局装置の処理能力を取得して保持するステップと、
前記取得した処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせで前記移動局装置と無線通信を行う可能性がある場合に、前記移動局装置に対して、追加の処理能力の照会を行うステップと、
前記移動局装置は、
前記基地局装置からの照会に対して、自局の処理能力から追加通知を行う対象を抽出して前記基地局装置に通知するステップとを含むことを特徴とする移動局装置処理能力の管理方法。
【請求項9】
移動局装置と基地局装置と前記移動局装置を管理する交換局とを具備する通信システムにおける移動局装置処理能力の管理方法であって、
前記基地局装置において、自局のセルで待ち受け状態である移動局装置への通信が発生した際に、
前記交換局から前記移動局装置の処理能力を取得して保持するステップと、
前記移動局装置において、
前記基地局装置から周波数帯域の組み合わせによる無線通信が設定された際に、
前記基地局装置から追加の処理能力の照会が行われた場合、または何れの処理能力が前記基地局装置から前記交換局へ通知されるかが前記移動局装置において既知であり、前記既知の処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせの通信が自局に設定された場合に、
前記基地局装置に対して当該組み合わせに対する処理能力の通知を行うステップとを含むことを特徴とする移動局装置処理能力の管理方法。
【請求項10】
移動局装置と無線通信を行う基地局装置の移動局装置処理能力の取得と管理を行う集積回路であって、
前記移動局装置が送受信することが可能な周波数帯域および周波数帯域の組み合わせ毎の処理能力を前記移動局装置あるいは前記移動局装置を管理する交換局から取得して保持し、
保持する処理能力に含まれない周波数帯域の組み合わせによる無線通信を前記移動局装置に対して設定する場合に、前記移動局装置に対して追加の処理能力の照会を行う移動局装置処理能力情報管理部を具備することを特徴とする集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−204910(P2012−204910A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65444(P2011−65444)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】