説明

通信システム、通信システムの同期確立方法

【課題】 データ送受信の定時性が要求される監視・制御システムに対して、データ量が比較的少ないパケットを高効率に通信する通信システムを提供すること。
【解決手段】 送信機は所定の周期毎に送信されるデータフレームの送信に先駆けて、前記周期に同期してプリアンブルデータを送信し、受信機はプリアンブルデータを受信することにより受信タイミングを送信機の送信周期に合わせ、該受信機は前記周期に同期して送信されたデータフレームを受信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データを通信する通信システム、および通信システムの同期確立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にデータを送受信するネットワークに、IEEE802.11にて標準化された無線LANやIEEE802.15にて標準化された無線PANなどが知られている。
このような無線ネットワークの仕様に基づいて無線通信を行う送信機は、図5の如く、所定の周波数を発振する基準発振器、この基準発振器の出力を入力し無線搬送波を生成する搬送波発振器、この搬送波発振器によって生成された無線搬送波を送信データにより変調して変調データを出力する変調器、この変調器が出力した変調データを増幅しアンテナを介して送信する増幅器によって構成されている。すなわち、搬送波発振器によって生成された無線搬送波は、送信データを用いて変調器によって変調され、この変調された変調データは、増幅器により増幅されアンテナに給電されて、無線回線に電波として放射される。
また、受信機には送信機が送信した信号がアンテナを介して入力される。受信機は、この入力した信号(受信信号)を増幅器により増幅し、ミキサはこの増幅された受信信号を搬送波発振器が出力する無線搬送波を使って周波数変換する。このミキサの出力を入力する利得制御部は復調器への信号振幅(すなわちミキサ出力)が所定のレベルに達するよう増幅器の利得を制御する。同様ミキサの出力を入力するタイミング検出部は、受信信号の復調タイミングを検出して復調器を起動する。この起動に基づき復調器は、受信信号を復調し受信データを出力する。
【0003】
このように構成された送信機と受信機間のデータ通信方法は、一般に、送信局がデータを送信する際プリアンブルと呼ばれる符号列(ビット同期信号)を送信データの最初に付加して送信し、受信機は、プリアンブルを検出することによって、受信タイミング(ビットサンプリングタイミング)を合わせ、プリアンブルに続くデータを受信するよう構成されている(例えば、特許文献1を参照)。
この特許文献1に記載された発明は、プリアンブルとデータを含む入力信号を受けて、プリアンブルの検出を2段階に分けて実行するよう構成されている。このようにすることで、プリアンブルの検出が高速化され、結果プリアンブル長が短くてもプリアンブルの検出が可能となっている。これは受信回路の工夫によりプリアンブルの短縮を図ったものである。
尚、上述のようにデータの最初にプリアンブルが付加されて送受信されるフレームの構成はアドレスや通信速度などが格納されるヘッダ部と送受信すべき情報(データ本体)が格納されるペイロード部で構成されている。そして、このフレームにプリアンブルを付加して送信することが一般的である(図6)。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−124618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、プラントや工場の監視・制御などを対象とした産業用途に無線通信を適用する検討が進められている。このような産業用途にて扱われるデータは、入出力機器を制御するための制御データやセンサを経由して入力された状態データが大半を占める。このため無線に限らずステーション間で送受信されるデータ量は比較的少なくて済む。例えば、ステーション間で送受信されるデータ量は、アドレスなどの情報を含めても数十バイト程度で済むことが多い。
また、上記のようなデータを扱う産業用システムは、そのデータ更新周期(制御周期)の定時性(所定の時間内でデータをリフレッシュする)すなわちリアルタイム性および高い信頼性が要求される。例えば、1台の端末から数台の端末に対して順次送受信しデータを更新するシステムを想定すると、この全端末の送受信を1msで完了するとき、1端末に割り当てられるデータ送受信時間は100μs未満であることが望ましい。
しかしながら、前述IEEE802.11での無線通信速度は、最大54Mbpsであるにも関わらず、プリアンブルの送信に最短10μsを費やす。従って、前述のような比較的データ量の少ないシステムにIEEE802.11の通信仕様を適用すると、プリアンブルの長さに対してフレーム(有効データ)の長さが相対的に小さくなるという問題、すなわち、通信効率が悪いという問題があった。
【0006】
また、IEEE802.11の通信仕様では、プリアンブルの最大送信時間は192μsである。このようなとき、プリアンブルの送信のみで100μsを超えることから、前述のようなリアルタイム性が要求されるシステムにIEEE802.11の通信仕様を適用することは困難である。
本発明は、上記のような問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、データ送受信の定時性が要求される監視・制御システムに対して、データ量が比較的少ないパケットを高効率に通信する無線通信システム、通信システムの同期確立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を達成するため本発明の請求項1に係る通信システムは、データを所定の周期毎に送信する送信機と、該送信機から送信されたデータを受信する受信機を有する通信システムにおいて、送信機は周期毎にデータを送信するに先駆けて周期に従ってプリアンブルデータを送信し、受信機はプリアンブルデータを受信することにより受信タイミングを周期に合わせた後、送信機によって周期毎に送信されたデータを受信することを特徴とする。
請求項2に係る通信システムは、請求項1に記載の通信システムであって、送信機は所定の周期毎に送信タイミングを生成する送信タイミング生成手段と、該送信タイミングに従ってデータを出力する記憶手段と、この記憶手段にプリアンブルデータを格納するプリアンブル格納手段と、このプリアンブル格納手段によって記憶手段に格納され該記憶手段から送信タイミングに従って出力されたプリアンブルデータを送信する送信手段を備えることを特徴とする。
請求項3に係る通信システムは、請求項1に記載の通信システムであって、受信機は周期に等しい周期の受信タイミングを生成する受信タイミング生成手段と、プリアンブルデータが受信されると該受信に従って受信タイミングを合わせる受信タイミング補正手段と、この受信タイミング補正手段により補正された受信タイミングに従ってデータを受信する受信手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項4に係る通信システムは、マスタ局とスレーブ局を有し、所定の周期毎にデータを授受する通信システムであって、マスタ局は所定の周期毎に送信タイミングを生成する送信タイミング生成手段と、該送信タイミングに従ってデータを出力する第1の記憶手段と、データを授受するに先駆けて記憶手段にプリアンブルデータを格納するプリアンブル格納手段と、このプリアンブル格納手段によって第1の記憶手段に格納され、該第1の記憶手段から送信タイミングに従って出力されたプリアンブルデータを送信するプリアンブル送信手段を備え、スレーブ局はマスタ局から送信されたプリアンブルデータに応答するための応答データを第2の記憶手段に格納する応答データ格納手段と、この応答データ格納手段によって第2の記憶手段に格納された応答データをマスタ局から送信されたプリアンブルデータの受信の際に送信する応答データ送信手段を備えることを特徴とする。
請求項5に係る同期確立方法は、マスタ局とスレーブ局を有し、所定の周期毎にデータを授受する通信システムのマスタ局とスレーブ局との同期確立方法であって、マスタ局はデータを授受するに先駆けて周期に従ってプリアンブルデータをスレーブ局に向けて送信し、スレーブ局はプリアンブルデータを受信すると該プリアンブルデータに応答する応答フレームをマスタ局に向けて送信し、マスタ局は応答フレームを受信することによりスレーブ局との同期を確立することを特徴とする。
【0009】
請求項6に係る同期確立方法は、請求項5に記載された通信システムのマスタ局とスレーブ局との同期確立方法であって、応答フレームには同期完了情報が付加され、マスタ局は同期完了情報が付加された応答フレームを受信するまでスレーブ局に向けたプリアンブルデータの送信を周期毎に繰り返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、送信機は所定の周期毎にデータを送信するに先駆けて所定の周期に同期してプリアンブルデータを送信するよう構成された。一方、受信機はプリアンブルデータを受信することにより受信タイミングを送信機の送信周期に合わせ、該受信機は送信機によって所定の周期毎に送信されるデータフレームを受信するよう構成された。
従って本発明は、送信機によるデータフレームの送信に先駆けて予め受信機の受信タイミングを送信機の送信タイミングに合わせるのでデータフレームの先頭に付随されるプリアンブルが不要になる。よって本発明は、データフレームの送信の際にプリアンブルを付加する必要がないため、高効率な無線通信が可能になり、特に比較的データ量が少ないパケットを高効率にかつ定時性を維持しながら通信することができる。

【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1に係る無線送信機、無線受信機のブロック図である。
【図2】本発明の実施例1に従って、無線送信機の送信タイミングチャートである。
【図3】本発明の実施例2に係る無線送受信機のブロック図である。
【図4】本発明の実施例2に従って、無線送受信機の送受信タイミングチャートである。
【図5】従来の無線送信機、無線受信機のブロック図である。
【図6】従来のプリアンブルの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について図1〜図4の図面を基に説明する。尚、これらの図面は本発明の一実施形態を説明するための図面であって、これらの図面によって本発明が限定されるものではない。また、同構成は同符号を付してある。

【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る構成図である。図1において、1は無線回線にデータを送信する送信機である。15は所定の周波数を発振する基準発振器であり、14は基準発振器15の出力を入力し無線搬送波を生成する搬送波発振器である。また、13はバッファ11を介して得た送信データにより無線搬送波を変調して変調データを出力する変調器である。16は変調器13が出力した変調データを増幅し、アンテナ10を介して無線回線に変調データを送信する増幅器である。
そして、12は基準発振器の出力を入力して所定の周期毎に送信タイミングを出力する送信タイミング生成部であり、カウンタなどで容易に実現することができる。この送信タイミングはバッファ11に与えられている。
バッファ11には、アンダーランが生じないよう送信データが逐次格納され、バッファ11は前述送信タイミングに従って、該バッファ11に格納された送信データを変調器13に順次出力する。すなわち、バッファ11はFIFO形式のバッファであり、該バッファに格納された送信データを送信タイミングに同期して順次変調器に出力する。
このように送信機1は、バッファ11に格納された送信データを送信タイミング毎に無線送信する。尚、この実施例で扱う送信データとは、後述のプリアンブルデータもしくはデータフレームである。
【0014】
送信データは、不図示の制御プロセッサなどによって逐次バッファ11に格納される。例えばプリアンブルデータを送信する際には、制御プロセッサが実行するプリアンブル格納手段によって所定のビットパターンのプリアンブルデータがバッファ11にセットされる。このようにしてセットされたプリアンブルデータは送信タイミングに同期して送信される。
同図1において、2は無線回線からデータを受信する受信機である。24は所定の周波数を発振する基準発振器である。この基準発振器24の発振周波数は送信機1が備える基準発振器15の発振周波数に等しい。23は基準発振器24の出力を入力し無線搬送波を生成する搬送波発振器である。この無線搬送波の周波数は、送信機1が備える搬送波発振器14が生成する周波数と等しい。
続いて、21は後述の利得制御部25による制御のもとアンテナ20を介して入力された受信信号を増幅して出力する増幅器である。22は増幅器21を介して得た受信信号を無線搬送波を使って周波数変換するミキサである。25はミキサ22の出力を受け、復調器27への信号の振幅が適正になるように増幅器21の利得を制御する利得制御部である。26はミキサ22の出力信号を入力し、受信信号の復調タイミングを検出して復調器27を起動するタイミング検出部である。27はタイミング検出部26からの起動に基づき、受信信号を復調し受信データを出力する復調器である。
【0015】
このように受信機2は、アンテナ20を介して受信された受信信号をミキサ22によって周波数変換し、この周波数変換された信号をもとに受信タイミング検出部26が受信信号の復調タイミングを検出して復調器27を起動し、復調器27は復調タイミングに従って受信信号を復調する。
このような構成の基、送信機1から出力されるデータは図2の如くフレーム送信される。図2において、時間軸は左から右に流れ、P1,P2・・・Pnはプリアンブルデータである。また、D1,D2,D3はアドレス情報などのヘッダと本来送受信すべきデータ本体(ペイロード)が格納されたデータフレームである。Tは、前述送信タイミング生成部12が生成した送信タイミング毎に送信されたフレームの送信間隔時間であり、一定の周期1msが保たれている。この例では、フレーム送信間隔を制御周期(端末どうしのデータ更新周期)に一致させている。また、プリアンブルデータとデータフレームはその長さが同一である。
この例の場合、それぞれのデータ長は50byteである。例えば、変調速度を10Mbpsとするとそれぞれのフレームが送出される時間は40μsである。
同様図2を参照しながら、送信機1と受信機2の動きを説明する。図2において、送信機1は、データフレームの送信に先駆けてプリアンブルデータを周期T毎に複数回送信している。この回数は、受信機2のタイミング検出部26の受信タイミング検出、および利得制御部25の利得制御を完了させる数を送信すれば良い。続いて、送信機1は、データフレームを周期Tに同期して送信している。
【0016】
一方、受信機2は、送信機1が送信したフレーム(図2)を受信している。受信機2に備えられた受信タイミング検出部26は、基準発振器24の出力を入力し周期Tの受信タイミング信号を生成している。これはカウンタなどによって達成され、このカウンタはプリセット状態で受信タイミング信号を出力するよう構成されている。このように構成された受信タイミング検出部26は、受信されたデータがプリアンブルデータであるか否か常に監視している。
受信タイミング検出部26はプリアンブルデータを検出するとこの検出に合わせてカウンタをプリセットする。そして、カウンタがプリセットされると同時に受信タイミング信号が出力される。このようにして、この受信タイミング信号はプリアンブルデータの検出に同期して補正され、新たなプリアンブルデータを検出するまで周期Tを維持する。すなわち、受信タイミング検出部26は、プリアンブルデータを検出して受信タイミング信号を補正することにより、受信タイミングを送信機1の送信タイミングに合わせる。以降、この受信タイミングは送信機1の送信タイミングに同期が維持される。よって、受信機は補正された受信タイミングに従ってデータフレームを取り込めばそのデータフレームを正常に受信することができる。
【0017】
また、利得制御部25は、受信タイミング検出部26が出力する受信タイミング毎に復調器27への信号振幅が適正になるよう増幅器21の利得を制御する。この制御はプリアンブルデータが受信される毎に徐々に実行されるため、所定数のプリアンブルデータを受信して適正な利得を得るまで継続される。適正な利得を得て利得制御を完了すると、利得制御部25は復調器27に向けて復調機能を有効とするイネーブル信号を出力する。以降、復調器27はデータフレームを適切に復調可能になる。
このように送受信機間の同期が確立された後、その同期が維持されるため、周期T毎に送信されたデータフレームは、そのデータフレームの先頭にプリアンブルが付加されることなく受信機2に受信される。従って、データフレームの送受信の際にプリアンブルが不要となり、高効率な無線通信が可能となる。
なお、送信機1の搬送波と送信データは共通のクロック源(基準発振15)を用いて生成されるので、搬送波と送信データの同期は常に担保されている。
また、この時、無線回線の特性変動の速度であるドップラーシフトから求められるコヒーレンス時間は、データ送受信周期に対して十分に長いこととする。無線機が固定のとき、無線機が移動することによって発生するフェージングの速度(ドップラーシフト)は周囲に存在する電波の反射物の移動速度により規定される。またコヒーレンス時間はドップラーシフトの逆数で算出される。
【0018】
このため、例えば、無線搬送波周波数を2.4GHz、反射物の移動速度を時速4km(人の移動速度程度)とすると、ドップラーシフトは約200Hz、コヒーレンス時間は5msである。フレーム送信間隔時間を1msに対してコヒーレンス時間が5msであれば、無線回線の特性が大幅に変動しない許容時間であるため、送受信機間の同期が維持されたまま通信することができる。
コヒーレンス時間と無線通信周期(フレーム送信間隔時間)との関係を考えた場合、時刻tにおける無線回線特性を周波数応答h(f,t)で標記することができる。一般に、任意の2つの時刻t1とt2の間隔が、コヒーレンス時間内にあるとすると、h(f,t1)=h(f,t2)とみなす事ができる。このため、フレーム送信間隔がコヒーレンス時間に対して短い場合であれば無線回線特性は変動しない。すなわち、フレーム送信間隔時間より短いフレームを送信すれば、無線回線特性は変動しない。

【実施例2】
【0019】
図3は、本発明の第2の実施形態に係る構成図である。図3と図1の同符号が付されたものはそれぞれ同機能を有する。図3において、3は無線回線を介してデータを双方向に通信する送受信機である。基準発振器15の出力は搬送波発振器14、送信タイミング生成部32、受信タイミング検出部26のそれぞれに入力される。SW31はセレクタなどの切替え手段である。そして、送受信機3は送受切替信号によってSW31が切替えられることにより送信帯域と受信帯域を切替えて他の送受信機と通信を行う。30はアンテナである。
送信タイミング生成部32は基準発振器15のクロックをカウンタで分周して周期T毎に送信タイミングを出力することに加えて、受信タイミング検出部26からの信号を基に送信タイミングが出力されるようになっている。すなわち、送信タイミング生成部32が出力する送信タイミングはカウンタ出力と受信タイミング検出部26からの信号とがORされた信号である。
送受信機3は送信タイミング生成部12が生成した送信タイミングに従ってバッファ11に格納された送信データを変調器13および増幅器16を通じて送信する。このときSW31は送信データをアンテナ30に給電するようデータ経路が選択される。また、受信時にSW31は、アンテナから受信される信号を増幅器21に出力するようデータ経路が選択される。このように送受信機3は、SW31により送信又は受信のいずれか一方のデータ経路が選択されて無線通信する。
【0020】
図4はマスタ1台と複数台(n台)のスレーブが無線回線を介して通信するよう構成されたシステムのマスタとスレーブ間の送受信を示す図である。このマスタとスレーブにはそれぞれ送受信機3が適用されている。
マスタは上述のように、バッファ11に格納されたプリアンブルデータP1を送信タイミングに同期して送信している。このプリアンブルデータP1を受信したスレーブは、受信タイミング検出部26によって受信タイミングが出力され、この受信タイミングを受けた送信タイミング生成部32が送信タイミングをバッファ11に与える。そして、このバッファ11に与えられた送信タイミングに同期して、同スレーブは、P1´をマスタに応答している。すなわち、P1´は応答データであり、P1´は不図示の制御プロセッサが実行する応答データ格納手段によってバッファ11に格納される。このようにして格納された応答データはマスタ局からプリアンブルデータを受信した際に送信される。
このとき、SW31は送信データを送信するようそのデータ経路を受信タイミングに従って切替える。また、このときマスタは設定などによってスレーブの応答に対してデータを送信しないように構成されている。以降、マスタは周期T毎にスレーブに向けてプリアンブルデータを順次送信し、スレーブはプリアンブルデータに応答する。マスタは全てのスレーブに向けてプリアンブルデータを送信しスレーブからの応答を受信すると同期が確立されたと判定し、以降、データフレームをスレーブに向けて送信し、スレーブはデータフレームに対する応答を送信する。
【0021】
また、プリアンブルデータに対するマスタへの応答に同期制御および利得制御の完了を示す同期完了情報を格納して送信するようスレーブを構成し、マスタはスレーブからの同期完了情報が含まれた応答を受信するまで該スレーブに向けてプリアンブルデータを送信し続けるように構成すれば、より信頼性の高い無線通信(無線リンク)を確立できる。

【符号の説明】
【0022】
1 送信機
2 受信機
3 送受信機
4 送信機(従来)
5 受信機(従来)
10、20、30、40、50 アンテナ
11 バッファ
12 送信タイミング生成部
13 変調器
14 搬送波発振器
15 基準発振器
16 増幅器
21 増幅器
22 ミキサ
23 搬送波発振器
24 基準発振器
25 利得制御部
26 受信タイミング検出部
27 復調器
31 セレクタ
32 送信タイミング生成部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを所定の周期毎に送信する送信機と、該送信機から送信されたデータを受信する受信機を有する通信システムにおいて、
前記送信機は、
前記周期毎にデータを送信するに先駆けて前記周期に従ってプリアンブルデータを送信し、
前記受信機は、
前記プリアンブルデータを受信することにより受信タイミングを前記周期に合わせた後、前記送信機によって前記周期毎に送信された前記データを受信することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムであって、
前記送信機は、
所定の周期毎に送信タイミングを生成する送信タイミング生成手段と、
該送信タイミングに従ってデータを出力する記憶手段と、
この記憶手段に前記プリアンブルデータを格納するプリアンブル格納手段と、
このプリアンブル格納手段によって前記記憶手段に格納され、該記憶手段から前記送信タイミングに従って出力された前記プリアンブルデータを送信する送信手段を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1に記載の通信システムであって、
前記受信機は、
前記周期に等しい周期の受信タイミングを生成する受信タイミング生成手段と、
前記プリアンブルデータが受信されると該受信に従って前記受信タイミングを合わせる受信タイミング補正手段と、
この受信タイミング補正手段により補正された前記受信タイミングに従って前記データを受信する受信手段を備えることを特徴とする通信システム。



【請求項4】
マスタ局とスレーブ局を有し、所定の周期毎にデータを授受する通信システムであって、
前記マスタ局は、
所定の周期毎に送信タイミングを生成する送信タイミング生成手段と、
該送信タイミングに従ってデータを出力する第1の記憶手段と、
前記データを授受するに先駆けて前記記憶手段に前記プリアンブルデータを格納するプリアンブル格納手段と、
このプリアンブル格納手段によって前記第1の記憶手段に格納され、該第1の記憶手段から前記送信タイミングに従って出力された前記プリアンブルデータを送信するプリアンブル送信手段を備え、
前記スレーブ局は、
前記マスタ局から送信されたプリアンブルデータに応答するための応答データを第2の記憶手段に格納する応答データ格納手段と、
この応答データ格納手段によって前記第2の記憶手段に格納された応答データを、前記マスタ局から送信された前記プリアンブルデータの受信の際に送信する応答データ送信手段を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項5】
マスタ局とスレーブ局を有し、所定の周期毎にデータを授受する通信システムのマスタ局とスレーブ局との同期確立方法であって、
前記マスタ局は、
前記データを授受するに先駆けて前記周期に従ってプリアンブルデータをスレーブ局に向けて送信し、
前記スレーブ局は前記プリアンブルデータを受信すると該プリアンブルデータに応答する応答フレームを前記マスタ局に向けて送信し、
前記マスタ局は前記応答フレームを受信することにより前記スレーブ局との同期を確立することを特徴とするマスタ局とスレーブ局との同期確立方法。
【請求項6】
請求項5に記載された通信システムのマスタ局とスレーブ局との同期確立方法であって、
前記応答フレームには同期完了情報が付加され、
前記マスタ局は前記同期完了情報が付加された応答フレームを受信するまで前記スレーブ局に向けた前記プリアンブルデータの送信を前記周期毎に繰り返すことを特徴とするマスタ局とスレーブ局の同期確立方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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