説明

通信システム、通信方法、通信プログラム並びに記憶媒体

【課題】 ホスト装置とジョブ処理装置とを含む通信システムにおいて、小さな処理負荷で、ジョブ処理までの待ち時間や印刷枚数をユーザに把握させること。
【解決手段】 ジョブ処理装置4が、ホスト装置2から受信するジョブに対して、ジョブのボリュームに応じた数の通し番号JOB IDを順番に割り当て、処理中のジョブの通し番号を処理中番号CURRENT JOB IDとして検知する。そして、ジョブを発行するホスト装置2に対して、ジョブに割り当てた通し番号の先頭番号JOB2_IDと、処理中番号CURRENT JOB IDと、を送信する。ホスト装置2では、先頭番号JOB2_IDと、処理中番号CURRENT JOB IDとから待ち時間を算出して、ディスプレイに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスト装置と、ホスト装置から発行されるジョブを処理するジョブ処理装置より構成される通信システム及びそのシステムの周辺技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の通信システムとして、例えば、デジタルカメラなどのストレージ機器と、プリンタなどの印刷装置とから構成され、デジタルカメラからプリンタへダイレクトに印刷を行うシステムが知られている。特に、近年では無線技術が発展し、複数のホスト装置としてのデジタルカメラなどから、同時にジョブ処理装置としてのプリンタに印刷ジョブが送信される場合がある。
【0003】
このように、複数のホストが同じプリンタを使用するプリンタ共有システムにおいては、他のホストが先にプリンタを使用しているとき、ホストのディスプレイには「待機中」、「準備中」などのメッセージが表示される。使用者はこのメッセージの表示により、自分が送ったデータが印刷中であるか、待機中の状態にあるかを把握することができる。
【0004】
しかしながら、上述の表示では、単に自分の印刷データが印刷中であるか待機中であるかを表示するだけである。このため、自分が送ったデータが印刷中となった場合でも、その印刷データを印刷するのに要する時間を把握することはできない。
【0005】
そこで、上記の問題を解決するべく特許文献1に開示された技術が提案されている。これは、印刷データは内容の属性(キャラクタ、イメージ等)毎のデータ容量を示す情報を有しており、接続されたプリンタの能力と、当該印刷データの内容情報とから印刷所要時間を算出するという技術である。
【特許文献1】特開平8−44516号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術によると、印刷すべきデータを解析して、属性毎の容量を集計する必要があり、処理の負荷が甚大である。
【0007】
即ち、従来は、処理負荷が少なく、かつ、ジョブの処理時間を容易にユーザに把握させるシステムが存在していなかった。
【0008】
本発明は、上記従来技術の抱えていた問題を解決しようとするものであり、小さな処理負荷で、ジョブ処理までの待ち時間をユーザに把握させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために、ホスト装置と、ホスト装置から発行されるジョブを処理するジョブ処理装置より構成される通信システムであり、
前記ジョブ処理装置は、
前記ホスト装置から受信するジョブに対して、ジョブのボリュームに応じた数の通し番号を順番に割り当てる割当手段と、
処理中のジョブの通し番号を検知する検知手段と、
ジョブを発行するホスト装置に対して、該ジョブに割り当てた通し番号の先頭番号と、前記検知手段で検知した処理中番号と、を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
本構成により、処理中のジョブ番号とホスト装置が処理させようとするジョブの先頭番号との差から、自分のジョブが開始されるまでの待ち時間や印刷枚数がわかるようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の通信システムによれば、小さな処理負荷で、ジョブ処理までの待ち時間や印刷枚数をユーザに把握させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態として、Bluetooth技術を利用した無線通信システムについて説明する。
【0014】
<前提>
近年、電波無線を使ったパーソナルエリアの無線通信技術として、無線LAN方式やBluetooth通信方式などが注目されている。無線LAN機器は既にオフィス環境での普及が進んでおり、Bluetooth通信方式を採用する携帯機器も、今後、普及することが期待されている。
【0015】
Bluetooth通信方式は近距離通信を目的とした無線通信規格であり、10m以内あるいは100m以内の通信距離が考えられている。特に10m以内の通信では無線出力電力を小さく抑えられるので、機器の消費電力を低減し、小型化することが可能である。
【0016】
Bluetooth通信方式は2.4GHz帯のISM(Industrial Science Medical)バンドと呼ばれる周波数帯を使用し、スペクトラム拡散技術として周波数ホッピング方式を用い、最大で8台までの機器を時分割多重方式によって接続可能である。Bluetooth通信方式においては、1つの機器がマスター、他の機器がスレーブとなって、ピコネットと呼ばれるアドホックネットワークを形成することができる。1つのピコネットには最大7つまでのスレーブ機器を収容可能である。
【0017】
<構成>
図1は、このようなBluetooth通信方式を利用した無線通信システムの構成例を示す図である。
【0018】
この無線通信システムは、デジタルカメラ1〜3とプリンタ4とから構成される。デジタルカメラ1〜3は、画像の入出力装置として機能するものであり、撮影した画像データをCFカードなどの記憶手段に保存している。また、ローカル通信機能により、撮影した画像データを同様のローカル通信機能を有するプリンタ4へ転送する機能を有する。
【0019】
プリンタ4は、デジタルカメラ1〜3からの画像を印刷する時の出力装置であり、ローカル通信機能によりデジタルカメラ1〜3からの印刷データを受信し、また、状態をデジタルカメラ1〜3へ送信する機能を有する。
【0020】
ここで、ローカル通信機能は、上述のBluetooth(以下BTと表記)を用いることを前提としている。また、印刷手順は、CIPA(Camera & Imaging Products Association)規格であるピクトブリッジを用いることを前提としている。
【0021】
図2はプリンタ4の構成を示すブロック図である。本プリンタは、アンテナ401、RF部402、ベースバンド部403を有する無線送受信部404(送信手段、受信手段)と、制御部405と、給紙部410と、印刷ヘッド411とを備えている。
【0022】
アンテナ401は、電波を送受信する。RF部402は、PLL、ガウシアン・フィルタ、増幅器等から構成されており、GFSK変復調、及び2.4GHzへの/からのアップ/ダウン・コンバートを行う。ベースバンド部403は、同期保持、フレームの分解/組立、誤り検出処理、及びスクランブル処理を行う。これらは全体として、周波数ホッピングによるスペクトラム拡散通信を実現する無線送受信404を構成する。
【0023】
制御部405は、プリンタ各部の制御を行うものであり、プロセッサ409と、ジョブID算出部406と、印刷データ処理部407と、機構制御部408とから構成される。
【0024】
プロセッサ409は、プリンタ全体の制御を司るマイクロコンピュータであり、図示はしないが、動作プログラムや初期設定データを格納する不揮発性メモリであるROMを有する。また、図示はしないが、無線送受信部404から受信したデータをバッファし、無線送受信部404へ送信するデータを一時的に記憶し、その他の設定を記憶し、更に、プロセッサ409のワークエリア等に使用される、読み書き可能なメモリであるRAMを有する。
【0025】
プロセッサ409は、ROMに格納されたプログラムに従って動作し、無線送受信部404の動作制御、及び、RAM上の送信データをBTの所定のパケットフォーマットに組み立てて無線送受信部404へ転送し、また、無線送受信部404が受信した所定のパケットフォーマットデータを分割してユーザデータを抽出するなど、通信データパケットのハンドリングを行う。
【0026】
機構制御部408は、給紙部410の紙送りや印刷ヘッド411の駆動など可動部全般の制御を行う。
【0027】
印刷データ処理部407は、受信した印刷データを印刷形式に変換する。また、デジタルカメラ1〜3より受信したJPEGファイルの伸長処理を行う。
【0028】
ジョブID算出部406の詳細は後述する。
【0029】
図3はデジタルカメラ1の構成を示すブロック図である。デジタルカメラ2、3はデジタルカメラ1と同様の構成である。本デジタルカメラは、アンテナ101、RF部102、ベースバンド部103を有する無線送受信部104(送信手段、受信手段)と、制御部105と、光学部110と、表示部111と、画像メモリ112とを備えている。
【0030】
次にデジタルカメラ1が備える各構成について詳細に説明する。無線送受信部104は上述のプリンタ4の無線送受信部404と同一の構成である。制御部105は、デジタルカメラ各部の制御を行うものであり、プロセッサ109と、撮像データ処理部107と、機構制御部108とから構成される。
【0031】
プロセッサ109は、デジタルカメラ全体の制御を司るマイクロコンピュータであり、上述のプリンタ4のプロセッサ409と同一の構成である。
【0032】
光学部110は、レンズ、CCDより構成され、光の強弱を電気信号に変換して映像信号を生成する。撮像データ処理部107は、映像信号に色空間変換などの画処理を施し、JPEG圧縮処理を行い画像ファイルを生成する。また、画像ファイルにJPEG伸長処理を行い、表示形式に変換する。
【0033】
機構制御部108は、レンズやシャッターの駆動など可動部全般の制御を行う。表示部111は撮像した画像を表示したり、UI(User Interface)やその他の各種情報を表示する。画像メモリ112は撮像した画像ファイルを保管する不揮発メモリである。
【0034】
<動作>
次に、上記の如く構成された無線通信システムの動作について詳細に説明する。図6A及び図6Bは無線通信システムの動作の流れを説明するシーケンス図である。デジタルカメラ(図中DSC)1のユーザが、図示しないユーザi/fにより所望の画像を印刷するべく所定の操作を行う。すると、プリンタ4とデジタルカメラ1との無線接続が確立され、プリンタ4がマスタとなり、ローカルなネットワークであるピコネットがプリンタ4とデジタルカメラ1との間に形成される(S601)。
【0035】
次に、印刷のための手順がBT無線レイヤよりも上位のレイヤで実行される。即ち、コマンドDPS_StartJobがプリンタ4に送信される(S602)。本コマンドにて、印刷品質quality、用紙paperType、部数copiesなどの情報がプリンタ4に通知される。
【0036】
プリンタ4では、コマンドDPS_StartJobを受信すると、印刷ヘッドのウエイクアップなどの準備処理の後に、印刷画像ファイルに関するファイル情報を要求するためのコマンドDPS_GetFileInfoがデジタルカメラ1に送信される(S603)。
【0037】
コマンドDPS_GetFileInfoを受信したデジタルカメラ1は、そのレスポンスとして、ファイル情報"File Info"をプリンタ4へ送信する(S604)。本レスポンスにて印刷画像ファイルのファイルサイズfileSizeの情報がプリンタ4に通知される。
【0038】
プリンタ4がファイル情報File Infoを受信すると、ジョブID算出部406により当該画像の印刷ジョブの処理時間を算出する(S605)。算出方法は、図5(a)のファイルサイズテーブルの値に、図5(b)(c)(d)に示すテーブルで定められる係数を乗算することにより求められる。
【0039】
例えば、fileSize=50、quality=高、copies=2、paperType=専用紙 であるとき、当該ジョブ処理時間は、
5×3×1.2×1.5×K=40 (K:調整係数)
と算出される。Kはプリンタ4の処理能力などを考慮した係数である。各係数はいずれも、通知される情報をもとにテーブル参照により求められるため、算出処理の負荷は軽い。
【0040】
次に、算出した処理時間に対して、対応したIDを付加する。ジョブID算出部406は、ジョブ処理時に動作するカウンタJOB1_CNTR、JOB2_CNTR、JOB3_CNTRを有する。
【0041】
先刻算出した算出結果JOB1=40に対して、図4(a)のように均等に連番となるようにジョブID:1〜4を割り当てる。このIDの値と範囲はJOB1_CNTRの分解能で決定される。
【0042】
次に、デジタルカメラ1に対し、先刻割り当てたジョブIDの先頭値:JOB1_ID0(=1)を通知する(S606)。次に、デジタルカメラ1に対し、コマンドDPS_GetFileを送信し、印刷画像ファイルを要求する(S607)。
【0043】
コマンドDPS_GetFileを受信したデジタルカメラ1は画像ファイル"Image File"を送信する(S608)。具体的には、画像メモリ112からJPEG圧縮された画像ファイルを読み出し、無線送受信部104を介してプリンタ4へ送信する。
【0044】
画像ファイルを受信したプリンタ4は当該画像ファイルを印刷する(S609)。以降、プリンタ4は当該画像の印刷中の状態となる(S610)。同時にカウンタJOB1_CNTRのカウントアップをスタートする。JOB1_CNTRはS605で割り当てたジョブIDの範囲をカウントする。
【0045】
プリンタ4は、コマンドDPS_NotifyDeviceStatus("Printing")をデジタルカメラ1へ送信する(S611)。本コマンドにて、現在印刷中である状況を通知する。
【0046】
プリンタ4は、コマンドDPS_NotifyJobStatus(page 1/n)をデジタルカメラ1へ送信する(S612)。本コマンドにて印刷済み枚数(頁数)を通知する。
【0047】
次に、デジタルカメラ2のユーザが、図示しないユーザi/fにより所望の画像を印刷するべく所定の操作を行うとする。すると、プリンタ4とデジタルカメラ2との無線接続が確立され、S601で生成されたピコネットにデジタルカメラ2が加わる(S613)。
【0048】
次に、印刷のための手順がBT無線レイヤよりも上位のレイヤで実行され、コマンドDPS_StartJobがプリンタ4に送信される(S614)。本コマンドにて印刷品質quality、用紙paperType、部数copies などの情報がプリンタ4に通知される。プリンタ4は、コマンドDPS_StartJobを受信し、前記の印刷品質などの情報を取得すると、コマンドDPS_GetFileInfoをデジタルカメラ2に送信する(S615)。コマンドDPS_GetFileInfoを受信したデジタルカメラ2は、そのレスポンスとして、ファイル情報"File Info"をプリンタ4へ送信する(S616)。本レスポンスにて印刷画像ファイルのファイルサイズの情報がプリンタ4に通知される。
【0049】
プリンタ4がファイル情報File Infoを受信すると、ジョブID算出部406により当該画像の印刷ジョブの処理時間を算出する(S617)。算出方法は、S605と同様である。同様に、時間に対応したIDを付加する。算出の結果JOB2=30とすると、JOB2に対して、図4(b)に示すように、ID:5〜7を割り当てる。このIDの値と範囲はJOB2_CNTRの分解能で決定される。
【0050】
次に、プリンタ4は、デジタルカメラ2に対し、先刻割り当てたジョブIDの先頭値:JOB2_ID0(=5)を通知する(S618)。更に、プリンタ4は、コマンドDPS_NotifyDeviceStatus("Paused")をデジタルカメラ2へ送信する(S619)。本コマンドにてデジタルカメラ1の画像を印刷中である状況を通知する。コマンドDPS_NotifyDeviceStatus("Paused")を受信したデジタルカメラ2は、そのまま待機し(S620)、以降、待機状態を継続する(S621)。
【0051】
次に、プリンタ4は、コマンドDPS_NotifyJobStatus("Current JOB_ID")をデジタルカメラ2へ送信する(S622)。本コマンドにて、現在処理中のジョブIDがデジタルカメラ2へ通知される。このときプリンタ4は、デジタルカメラ1のジョブであるJOB1を処理中であり、JOB1_CNTRがカウントアップしている。ここで、カウンタJOB1_CNTRの値を読み出す。読み出された値=3をCurrent JOB_IDとしてデジタルカメラ2へ通知する。デジタルカメラ2は、受信したCurrent JOB_ID(=3)と自己のジョブIDの先頭値JOB2_ID0(=5)の差から、自分のジョブが開始されるまでの待ち時間がわかる。
【0052】
つまり、プリンタ4内で、デジタルカメラ1、2から依頼を受けたジョブのボリュームに応じた数の通し番号として、JOBIDを順番に割当て(ここでは1〜4及び5〜7)、ジョブを依頼し、待機状態にあるデジタルカメラ2には、そのカメラ2のジョブ開始番号5と、現在プリンタ4で行なっているジョブの処理中番号(ここでは3)とを通知する。そして、カメラ2内では、自分のジョブの先頭番号5と、現在プリンタで行なっているジョブの処理中番号3とを比してその差(ここでは2)から待ち時間(例えば、2分)を算出し、ユーザに報知する。
【0053】
次に、印刷継続中であるデジタルカメラ1のジョブJOB1が終了するとプリンタ4は、コマンドDPS_NotifyJobStatus(page n/n)をデジタルカメラ1へ送信し、印刷完了を通知する(S623)。同時にカウンタJOB1_CNTRをリセットする。
【0054】
プリンタ4は、コマンドDPS_NotifyDeviceStatus("Idle")をデジタルカメラ2へ送信する(S624)。本コマンドにて印刷可能となった状況をデジタルカメラ2へ通知する。プリンタ4は、コマンドDPS_GetFileをデジタルカメラ2へ送信する(S625)。コマンドDPS_GetFileを受信したデジタルカメラ2は画像ファイル"Image File"を送信する(S626)。
【0055】
画像ファイルを受信したプリンタ4は当該画像ファイルを印刷する(S627)。以降、プリンタ4は当該画像の印刷中の状態となる(S628)。同時にカウンタJOB2_CNTRのカウントアップをスタートする。JOB2_CNTRはS617で割り当てたジョブIDの範囲をカウントする。
【0056】
プリンタ4は、コマンドDPS_NotifyDeviceStatus("Printing")をデジタルカメラ2へ送信する(S629)。本コマンドにて、現在印刷中である状況を通知する。
【0057】
プリンタ4は、コマンドDPS_NotifyJobStatus(page 1/n)をデジタルカメラ2へ送信する(S630)。本コマンドにて印刷済み枚数(頁数)を通知する。
【0058】
次に、デジタルカメラ3のユーザが、図示しないユーザi/fにより所望の画像を印刷するべく所定の操作を行う。すると、プリンタ4とデジタルカメラ3との無線接続が確立され、S613で生成されたピコネットにデジタルカメラ3が加わる(S631)。
【0059】
次に、印刷のための手順がBT無線レイヤよりも上位のレイヤで実行され、コマンドDPS_StartJobがプリンタ4に送信される(S632)。本コマンドにて印刷品質quality、用紙paperType、部数copiesなどの情報がプリンタ4に通知される。
【0060】
プリンタ4は、コマンドDPS_StartJobを受信し、前記の印刷品質などの情報を取得すると、コマンドDPS_GetFileInfoをデジタルカメラ3に送信する(S633)。コマンドDPS_GetFileInfoを受信したデジタルカメラ3は、そのレスポンスとして、ファイル情報"File Info"をプリンタ4へ送信する(S634)。本レスポンスにて印刷画像ファイルのファイルサイズの情報がプリンタ4に通知される。
【0061】
プリンタ4がファイル情報File Infoを受信すると、ジョブID算出部406により当該画像の印刷ジョブの処理時間を算出する(S635)。算出方法は、S605、S617と同様である。同様に、時間に対応したIDを付加する。算出の結果、JOB3=20とすると、図4(c)に示すように、JOB3に対して、ジョブID:8〜9を割り当てる。このIDの値と範囲はJOB3_CNTRの分解能で決定される。
【0062】
次に、デジタルカメラ3に対し、先刻割り当てたジョブIDの先頭値:JOB3_ID0(=8)を通知する(S636)。
【0063】
次に、プリンタ4は、コマンドDPS_NotifyDeviceStatus("Paused")をデジタルカメラ3へ送信する(S637)。本コマンドにてデジタルカメラ2の画像を印刷中である状況を通知し、デジタルカメラ3を待機せしめる。
【0064】
コマンドDPS_NotifyDeviceStatus("Paused")を受信したデジタルカメラ3は、そのまま待機し(S638)、以降、待機状態を継続する(S639)。
【0065】
次に、プリンタ4は、コマンドDPS_NotifyJobStatus("Current JOB_ID")をデジタルカメラ3へ送信する(S640)。本コマンドにて、現在処理中のジョブIDがデジタルカメラ3へ通知される。このときプリンタ4は、デジタルカメラ2のジョブであるJOB2を処理中であり、カウンタJOB2_CNTRがカウントアップしている。ここで、カウンタJOB2_CNTRの値を読み出す。読み出された値=6をCurrent JOB_IDとしてデジタルカメラ3へ通知する。デジタルカメラ3は、受信したCurrent JOB_ID(=6)と自己のジョブIDの先頭値JOB3_ID0(=8)の差から、自分のジョブが開始されるまでの待ち時間を算出し、ディスプレイに表示する。
【0066】
次に、印刷継続中であるデジタルカメラ2のジョブJOB2が終了するとプリンタ4は、コマンドDPS_NotifyJobStatus(page n/n)をデジタルカメラ2へ送信し、印刷完了を通知する(S641)。同時にカウンタJOB2_CNTRをリセットする。
【0067】
プリンタ4は、コマンドDPS_NotifyDeviceStatus("Idle")をデジタルカメラ3へ送信する(S642)。本コマンドにて印刷可能となった状況をデジタルカメラ3へ通知する。プリンタ4は、コマンドDPS_GetFileをデジタルカメラ3へ送信する(S643)。コマンドDPS_GetFileを受信したデジタルカメラ3は画像ファイル"Image File"を送信する(S644)。
【0068】
画像ファイルを受信したプリンタ4は当該画像ファイルを印刷する(S645)。以降、プリンタ4は当該画像の印刷中の状態となる(S646)。同時にカウンタJOB3_CNTRのカウントアップをスタートする。JOB3_CNTRはS635で割り当てたジョブIDの範囲をカウントする。
【0069】
プリンタ4は、コマンドDPS_NotifyDeviceStatus("Printing")をデジタルカメラ3へ送信する(S647)。本コマンドにて、現在印刷中である状況を通知する。
【0070】
プリンタ4は、コマンドDPS_NotifyJobStatus(page 1/n)をデジタルカメラ3へ送信する(S648)。本コマンドにて印刷済み枚数(頁数)を通知する。
【0071】
印刷ジョブが進行し、デジタルカメラ3のジョブJOB3が終了するとプリンタ4は、コマンドDPS_NotifyJobStatus(page n/n)をデジタルカメラ3へ送信し、印刷完了を通知する(S649)。同時にカウンタJOB3_CNTRをリセットする。
【0072】
以上のようにして、プリンタ4が他のジョブを処理中のときは、Current JOB_IDと自己のジョブIDの先頭値との差から、自分のジョブが開始されるまでの待ち時間がわかる。なお、ここで、プリンタ4は、デジタルカメラ1〜3に対してジョブIDの最後値を送信しても良い。そうすればCurrent JOB_IDと自己のジョブIDの最後値との差から、自分のジョブが終了するまでの待ち時間がわかる。更に、デジタルカメラ側で、自装置が送信したジョブの開始までは、その開始までの待ち時間を表示し、そのジョブが開始されてからは、そのプリントが終了するまでの待ち時間を表示するように切り換えても良い。
【0073】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態としての無線通信システムについて説明する。
【0074】
デジタルカメラの画像ファイルの印刷では、一般にファイル数=印刷枚数である(印刷部数=1の場合)。そこで、本実施形態では、第1実施形態のS605のジョブID算出時において、ファイル数と部数copies の情報から印刷枚数を表すジョブIDを割り当てることとした。
【0075】
その他のシステム構成及び動作については、第1実施形態と同様であるため、同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0076】
この場合、S602において、コマンドDPS_StartJobがプリンタ4に送信される。本コマンドにて、印刷画像ファイルの数と部数copies の情報がプリンタ4に通知される。プリンタ4がファイル情報File Infoを受信すると(S604)、ジョブID算出部406により当該画像の印刷ジョブの枚数を算出する。算出方法は、図5(e)の計算式による。例えば、ファイル数n=3、α1=1、α2=2、α3=1 であれば、当該ジョブの総印刷枚数が =4と算出され、この算出結果JOB1α=4に対して、図4(e)のように均等に連番となるようにジョブID:1〜4を割り当てる。当ジョブIDは印刷中の頁を表す。
【0077】
同様に、デジタルカメラ2のジョブの総印刷枚数が =3と算出され、この算出結果JOB2α=3に対して、図4(e)のように均等かつJOB1αから連番となるようにジョブID:5〜7を割り当てられる。そしてデジタルカメラ2に対し、先刻割り当てたジョブIDの先頭値:JOB2α_ID0(=5)を通知する。
【0078】
前述のS622でプリンタ4は、コマンドDPS_NotifyJobStatus("Current JOB_ID")をデジタルカメラ2へ送信するが、本実施形態では、Current JOB_IDとして、現在印刷中のファイルの頁を示すJOB1α_IDの値が通知される。ジョブ1の3頁目を印刷中であれば、 =3を通知する。
【0079】
デジタルカメラ2は、受信したCurrent JOB_ID(=3)と自己のジョブIDの先頭値JOB2α_ID0(=5)の差から、自分のジョブが開始されるまでの印刷枚数を算出する。そして、その印刷枚数、または、その印刷枚数から導き出される待ち時間、或いはその両方を、ディスプレイに表示し、ユーザに報知する。
【0080】
(他の実施形態)
なお、上記第1、第2実施形態では、現在処理中のジョブIDの通知、即ちコマンドDPS_NotifyJobStatus("Current JOB_ID")の発行は1回のみであったが、複数回あるいは周期的に行っても同様の効果を有する。特に他のジョブ処理が膨大で待機時間が長時間に及ぶ場合に有効である。
【0081】
また、上記第1、第2実施形態では、待機するデジタルカメラは1台のみであったが、複数台待機するようにしても良い。この場合は、DPS_NotifyJobStatus("Current JOB_ID")は待機中の全デジタルカメラに発行される。
【0082】
また、上記第1、第2実施形態では、DPS_NotifyJobStatus("Current JOB_ID")は待機中のデジタルカメラに対して通知したが、自ジョブを印刷中のデジタルカメラに通知するようにしても良い。
【0083】
また、上記第1、第2実施形態では、プリンタ4に接続されるデジタルカメラは3台のみであったが、3台に限定されることはない。図4(d)に示すように4台以上のデジタルカメラに対してジョブIDを割り当てることも可能である。
【0084】
また、上記第1、第2実施形態では、印刷手順としてピクトブリッジを用いたが、これに限定されることはない。
【0085】
また、上記第1、第2実施形態では、無線媒体としてBTを用いたが、これに限定されることはなく、他の無線媒体、例えば、IEEE802.11準拠の無線LANを用いても同様の効果を有する。
【0086】
更に、無線媒体ではなく、有線媒体、例えばEither Net(米国ゼロックス、DEC、インテル三社が共同開発したバス構造のLAN)などのLANを用いても上記実施形態と同様の効果がある。
【0087】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
【0088】
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを、システム或いは装置に直接或いは遠隔から供給し、そのシステム或いは装置が、供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0089】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0090】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などがある。
【0091】
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続し、ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明のクレームに含まれるものである。
【0092】
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせ、その鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
【0093】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0094】
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行ない、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る無線通信システムのプリンタの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る無線通信システムのデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係るジョブIDについて説明するための図である。
【図5】本発明の実施形態に係る無線通信システムにおいてジョブの属性を算出する算出方法を説明するための図である。
【図6A】本発明の実施形態に係る無線通信システムの動作を示す図である。
【図6B】本発明の実施形態に係る無線通信システムの動作を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1〜3 デジタルカメラ
4 プリンタ
101 アンテナ
102 RF部
103 ベースバンド部
104 無線送受信部
105 制御部
107 撮像データ処理部
108 機構制御部
109 プロセッサ
110 光学部
111 表示部
112 画像メモリ
401 アンテナ
402 RF部
403 ベースバンド部
404 無線送受信部
405 制御部
406 ジョブID算出部
407 印刷データ処理部
408 機構制御部
409 プロセッサ
410 給紙部
411 ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置と、ホスト装置から発行されるジョブを処理するジョブ処理装置より構成される通信システムであり、
前記ジョブ処理装置は、
前記ホスト装置から受信するジョブに対して、ジョブのボリュームに応じた数の通し番号を順番に割り当てる割当手段と、
処理中のジョブの前記通し番号を処理中番号として検知する検知手段と、
ジョブを発行するホスト装置に対して、該ジョブに割り当てた通し番号の先頭番号と、前記処理中番号と、を送信する送信手段と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記ホスト装置は、
前記送信手段から送信された前記先頭番号と前記処理中番号とを比較してその差から待ち時間を算出し、ユーザに報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記ジョブ処理装置はプリンタであって、
前記割当手段は、ジョブの印刷枚数を算出し、該印刷枚数に応じた数の通し番号を該ジョブに割り当て、
前記ホスト装置は、
前記送信手段から送信された前記先頭番号と前記処理中番号とを比較してその差から待つべき印刷枚数を算出し、ユーザに報知する報知手段を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記送信手段は、前記処理中番号を周期的にホスト装置に送信することを特徴とする請求項1、2または3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記送信手段は、前記ジョブ処理装置と接続状態にある待機中の全てのホスト装置へ、前記処理中番号を送信することを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記送信手段は、処理中のジョブを発行したホスト装置へ前記処理中番号を送信することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の通信システム。
【請求項7】
前記ホスト装置とジョブ処理装置は、Bluetoothを介して接続されることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の通信システム。
【請求項8】
ホスト装置とジョブ処理装置は、IEEE規格に準拠した、有線または無線媒体を介して接続されることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の通信システム。
【請求項9】
前記ジョブ処理装置は、
前記ホスト装置から、ジョブに含まれるファイルの属性情報を受信し、該属性情報からジョブのボリュームを算出する算出手段を備えることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の通信システム。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の通信システムに含まれることを特徴とするホスト装置。
【請求項11】
請求項1乃至9の何れかに記載の通信システムに含まれることを特徴とするジョブ処理装置。
【請求項12】
ホスト装置と、ホスト装置から発行されるジョブを処理するジョブ処理装置との間で行なわれる通信方法であり、
前記ジョブ処理装置が、前記ホスト装置から受信するジョブに対して、ジョブのボリュームに応じた数の通し番号を割り当てる割当工程と、
前記ジョブ処理装置が、処理中のジョブの通し番号を検知する検知工程と、
前記ジョブ処理装置が、ジョブを発行するホスト装置に対して、該ジョブに割り当てた通し番号の先頭番号と、前記検知工程で検知した処理中番号と、を送信する送信工程と、
前記ホスト装置が、前記送信工程で送信された前記先頭番号と前記処理中番号とを比較してその差から待ち時間を算出し、ユーザに報知する報知工程と、
を有することを特徴とする通信方法。
【請求項13】
ホスト装置から発行されるジョブを処理するジョブ処理装置で実行される通信プログラムであり、
前記ホスト装置から受信するジョブに対して、ジョブのボリュームに応じた数の通し番号を割り当てる割当工程と、
処理中のジョブの通し番号を検知する検知工程と、
ジョブを発行するホスト装置に対して、該ジョブに割り当てた通し番号の先頭番号と、前記検知工程で検知した処理中番号と、を送信する送信工程と、
を前記ジョブ処理装置に実行させることを特徴とする通信プログラム。
【請求項14】
ホスト装置で実行される通信プログラムであり、
前記ホスト装置から受信するジョブに対して、ジョブのボリュームに応じた数の通し番号を割り当てる割当手段と、
処理中のジョブの通し番号を検知する検知手段と、
ジョブを発行するホスト装置に対して、該ジョブに割り当てた通し番号の先頭番号と、前記検知工程で検知した処理中番号と、を送信する送信手段と、
を備え、前記ホスト装置から発行されるジョブを処理するジョブ処理装置との通信において、
前記ホスト装置が、前記送信工程で送信された前記先頭番号と前記処理中番号とを比較してその差から待ち時間を算出し、ユーザに報知する報知工程、
を前記ホスト装置に実行させることを特徴とする通信プログラム。
【請求項15】
請求項13または14に記載の通信プログラムを格納したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2006−209234(P2006−209234A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17190(P2005−17190)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】