説明

通信システムおよび従属装置

【課題】複数の異なる同期通信網11内にある同期系装置12どうしが、非同期通信網13を介して、互いに同期通信を行うことができる通信システム10を提供する。
【解決手段】本発明の通信システム10は、マスタ通信装置20において、クロック供給装置14から供給された基準クロックに基づいてマスタクロックを生成し、生成したマスタクロックに関する情報を含む同期情報フレーム40を、非同期通信網13を介して複数のマスタ通信装置20へ送信し、それぞれのマスタ通信装置20は、受信した同期情報フレーム40に基づいてマスタクロックを再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非同期通信網を介して同期通信を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電話等の音声サービスや、映像等を取り扱う多彩なサービスに効率よく適用できる多重化方式としてSDH(Synchronous Digital Hierarchy)が知られている。SDHを用いたネットワークは、同期系のネットワークであり、異なるネットワーク内の通信機器が互いに通信するためには、これらのネットワークおよび通信機器が同期している必要がある。
【0003】
ネットワーク間の同期方法としては、精度の高い基準クロックを生成するクロック生成装置から専用線を介して、それぞれのネットワークが基準クロックの分配を受ける方式や、基準クロックに基づいて上位のネットワークが生成したクロックを、当該上位のネットワークから供給される方式、上位のネットワークから基準クロックに同期して送信されたデータから、下位のネットワーク内の装置がクロックを再生する方式等がある。
【0004】
また、近年、イーサネット(登録商標)で使用されているレイヤ2スイッチを組み合わせて構築された大型ネットワークである広域イーサネットの提供が始まっている。レイヤ2スイッチには、ルータと比較して安価である、ルータに比べてメンテナンスの手間が少ない等の特徴があり、広域イーサネットを提供する通信事業者は、インフラの設置コストを低く抑えることができ、ユーザの使用料金を安く設定することができる。そのため、ユーザは、前述の電話等のサービスを提供するためのネットワークを、SDH方式の同期系ネットワークから広域イーサネットを用いた非同期系ネットワークへ移行することを検討する場合がある。
【0005】
しかし、同期系ネットワークから非同期系の広域イーサネットへ移行する場合、全てのネットワークを一度に移行させることは現実的ではなく、移行期には、同期系と非同期系のネットワークが混在する時期が発生する。この場合、同期系ネットワーク内のTDM信号を広域イーサネット上のフレームにマッピングすることにより、両ネットワーク内のデータを中継することは可能であるが、同期系ネットワークどうしの同期を保つ技術が別途必要になる。
【0006】
ここで、特許文献1には、非同期系のネットワークであるLANを介して、同期を保ちつつ通信を行う技術が開示されている。当該特許文献には、送信側でデータを送信する際に、同期用カウンタのタイムスタンプ値を送信パケットに付加して、LANを介して送信し、受信側では、受信したデータからタイムスタンプ値を抽出して、自身のカウンタのずれを検出して、送信側のカウンタと同期させることにより同期通信を実現する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−332802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1に記載の技術は、1対1の通信における同期のみを想定している。すなわち、受信側は、送信側からデータと共に送信されたタイムスタンプ値に基づいて、送信側のクロックに同期するように自身の内部クロックを調整する。しかし、1台の通信装置が複数台の通信装置と通信を行う場合、複数の通信装置と通信を行う1台の通信装置は、複数の通信端末のそれぞれからデータと共に送信されたタイムスタンプ値を受け取るものの、通信相手の複数の通信装置が互いに同期していなければ、自身の内部クロックをいずれかの通信装置に合わせるとすれば、その他の通信装置と通信を行うことができなくなる場合があった。
【0009】
さらに、送信側の通信装置の内部クロックに障害が発生し、正しいタイムスタンプ値を生成することができない状態であっても、受信側はその旨を知ることができないので、受信した不正なタイムスタンプ値に従って内部クロックを調整してしまい、正しくデータを送受信することができなくなってしまう場合があった。
【0010】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、複数の同期通信網内の通信装置が、非同期通信網を介して、互いに同期した通信を行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の通信システムでは、マスタ通信装置が、クロック供給装置から供給された基準クロックに基づいてマスタクロックを生成し、生成したマスタクロックに関する情報を含む同期情報フレームを、非同期通信網を介して複数の従属通信装置へ送信し、それぞれの従属通信装置が、受信した同期情報フレームに基づいてマスタクロックを再生する。
【0012】
例えば、本発明の第1の態様は、非同期通信網を介して同期通信を行う通信システムであって、基準クロックを生成するクロック生成装置と、クロック生成装置と非同期通信網との間に設けられるマスタ通信装置と、複数の同期通信網のそれぞれに1つずつ設けられ、対応する同期通信網と非同期通信網との間に設けられる複数の従属通信装置とを備え、マスタ通信装置は、クロック生成装置によって生成された基準クロックを受信する基準クロック受信手段と、基準クロック受信手段が受信した基準クロックに同期したマスタクロックを生成するマスタクロック生成手段と、マスタクロックに関する情報を含む同期情報フレームを生成する同期情報フレーム生成手段と、同期情報フレームを、非同期通信網を介して、複数の従属通信装置のそれぞれへ送信する同期情報フレーム送信手段とを有し、従属通信装置は、マスタ通信装置から送信された同期情報フレームおよび他の従属通信装置から送信された非同期フレームを、非同期通信網を介して受信すると共に、非同期フレームを、非同期通信網を介して他の従属通信装置へ送信する非同期フレーム送受信手段と、同期通信網に接続され、同期通信網内の通信機器と同期フレームを送受信する同期フレーム送受信手段と、同期フレーム送受信手段が受信した同期フレームを非同期フレームのフォーマットに変換し、変換した非同期フレームを、非同期フレーム送受信手段に送信させると共に、非同期フレーム送受信手段が受信した非同期フレームを同期フレームのフォーマットに変換し、変換した同期フレームを、同期フレーム送受信手段に送信させるフレーム変換手段と、非同期フレーム送受信手段が受信したフレームの中から同期情報フレームを抽出する同期フレーム抽出手段と、同期フレーム抽出手段によって抽出された同期情報フレームに基づいてマスタクロックを再生し、再生したマスタクロックを、非同期フレーム送受信手段、同期フレーム送受信手段、フレーム変換手段、および同期フレーム抽出手段のそれぞれに供給するクロック再生手段とを有することを特徴とする通信システム。
【発明の効果】
【0013】
本発明の通信システムによれば、複数の同期通信網内のそれぞれの通信装置が、非同期通信網を介して、互いに同期した通信を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信システム10の構成を示す。
【図2】マスタ通信装置20の詳細な機能構成の一例を示す。
【図3】同期情報フレーム40のデータ構造の一例を示す。
【図4】従属装置30の詳細な機能構成の一例を示す。
【図5】マスタ通信装置20によるクロック状態監視処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】マスタ通信装置20による同期情報フレーム40の送信処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】従属装置30の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】通信システム10の構成の他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システム10の構成を示す。通信システム10は、クロック供給装置14、マスタ通信装置20、および複数の従属装置30を備える。クロック供給装置14は、例えば、位相変動量が1×10−11以下の高い周波数安定性を有する基準クロックを生成してマスタ通信装置20に供給する。
【0017】
マスタ通信装置20は、クロック供給装置14から受け取った基準クロックに基づいて、ATM(Asynchronous Transfer Mode)等の同期通信に用いられる周波数であり、当該基準クロックに同期したクロックであるマスタクロックを生成する。そして、マスタ通信装置20は、生成したマスタクロックに関する情報を含む同期情報フレームを生成し、生成した同期情報フレームを、非同期通信網13を介してそれぞれの従属装置30へ送信する。
【0018】
また、マスタ通信装置20は、例えば、2つのNIC(Network Interface Card)を有し、それぞれのNICを介して、非同期通信網13内の異なる2つの通信装置に接続されている。マスタ通信装置20は、一方のNICを介して送信する同期情報フレームをN系、他方のNICを介して送信する同期情報フレームをE系として、それぞれの同期情報フレームを、非同期通信網13を介して、それぞれの従属装置30へ送信する。
【0019】
それぞれの従属装置30は、非同期通信網13を介してN系およびE系の同期情報フレームを受信し、受信したN系およびE系の同期情報フレームのいずれかから、後述する方法によってマスタクロックを再生する。そして、それぞれの従属装置30は、それぞれの従属装置30が管理している同期通信網11内の同期系装置12から同期フレームを受信した場合に、再生したマスタクロックに基づいて動作するカウンタのタイムスタンプ値を参照して、当該同期フレームを受信した時刻におけるタイムスタンプ値を、受信した同期フレームと共に非同期フレーム内に格納して、非同期通信網13を介して他の従属装置30へ送信する。
【0020】
また、それぞれの従属装置30は、非同期通信網13を介して他の従属装置30から非同期フレームを受信した場合に、当該非同期フレーム内のタイムスタンプ値を参照して、受信した非同期フレーム内のタイムスタンプ値と自身のカウンタの値とが一致した時刻に、受信した非同期フレーム内の同期フレームを、自身が管理している同期通信網11内の同期系装置12へ送信する。これにより、複数の異なる同期通信網11内の同期系装置12は、非同期通信網13を介して互いに同期通信を行うことができる。
【0021】
ここで、送信側の従属装置30が、自身が有する発振器に基づいて動作するカウンタの値を、送信する同期フレームと共に非同期フレームに格納し、受信側の従属装置30が、受信した非同期フレーム内のタイムスタンプ値に基づいて、自身が有する発振器の周波数を、送信側の従属装置30の発振器の周波数に合わせるように調整するとすれば、送信側の従属装置30と受信側の従属装置30とは、非同期通信網13を介して、異なる同期通信網11内の同期系装置12どうしに同期通信を行わせることができる。
【0022】
しかし、1の従属装置30が複数の従属装置30と同期通信を行うとすれば、1の従属装置30は、それぞれ同期せずに動作している発振器を有する複数の従属装置30から、それぞれの従属装置30のタイムスタンプ値を含む非同期フレームを受信することになる。この場合、1の従属装置30は、全ての従属装置30と同期を確立することができず、受信した非同期フレーム内の同期フレームを同期通信網11内の同期系装置12へ正しく転送できない場合がある。
【0023】
これに対して、本実施形態の通信システム10では、それぞれの従属装置30は、マスタ通信装置20から受信した同期情報フレームに基づいて、それぞれの従属装置30内のクロックの周波数および位相を、互いに同期させることができる。そのため、それぞれの従属装置30は、非同期通信網13を介した1対1の同期通信のみならず、非同期通信網13を介した1対nの同期通信も、適切に行うことができる。
【0024】
また、本実施形態の非同期通信網13は、例えばレイヤ2スイッチで構成される広域イーサネット網である。マスタ通信装置20および複数の従属装置30のそれぞれとの間の通信路は、非同期通信網13を使用する他のユーザと同一のネットワークを使用しているが、仮想的に異なる通信路を構成している。
【0025】
非同期通信網13は、例えば、IEEE802.1Qに規定されるVLAN技術を用いて、仮想的に異なる通信路を形成する。非同期通信網13内を転送されるフレームには、VLANヘッダが付加され、当該VLANヘッダ内の情報に基づいて、非同期通信網13内のレイヤ2スイッチは、転送するフレームを、それぞれの仮想通信路内の通信機器にのみ転送する。
【0026】
また、VLANヘッダ内には、フレームの優先度を示すフィールドが存在する。マスタ通信装置20と直接接続されているレイヤ2スイッチは、マスタ通信装置20から受信した同期情報フレームにVLANヘッダを付加する際に、VLANヘッダ内の優先度を示す値を、複数の従属装置30どうしが非同期通信網13を介して送受信する通信フレームのVLANヘッダ内の優先度を示す値よりも、優先度が高くなる値に設定して、非同期通信網13内の他のレイヤ2スイッチへ転送する。これにより、同期情報フレームは、非同期通信網13内において優先的に転送される。従って、それぞれの従属装置30は、より確実に同期情報フレームを受信することができ、再生したマスタクロックの精度をより高く保つことができる。
【0027】
図2は、マスタ通信装置20の詳細な機能構成の一例を示す。マスタ通信装置20は、制御部200、同期フレーム送信部201、非同期インターフェイス202、クロック同期分配部203、クロック受信選択部204、およびマスタクロック情報生成部210を備える。
【0028】
クロック受信選択部204は、クロック供給装置14から2本の専用線を介して基準クロックを受信し、いずれかの専用線を介して受信した基準クロックをクロック同期分配部203に供給する。クロック受信選択部204は、一方の専用線をN系、他方の専用線をE系とし、N系の専用線を介して基準クロックを正常に受け取ることができない場合に、E系の専用線を介して基準クロックを受け取る。
【0029】
クロック同期分配部203は、クロック受信選択部204から供給された基準クロックに同期したマスタクロックを生成し、生成したマスタクロックをマスタクロック情報生成部210およびマスタ通信装置20内の各ブロックに供給する。
【0030】
マスタクロック情報生成部210は、同期フレーム生成部211、同期情報生成部212、およびクロック情報生成部213を有する。クロック情報生成部213は、クロック同期分配部203を監視しており、クロック同期分配部203がマスタクロックを正常に生成しているか否かを示すクロック情報を同期フレーム生成部211から要求された場合に、現在のクロック同期分配部203のクロック情報を同期フレーム生成部211に通知する。
【0031】
クロック情報生成部213は、例えば、クロック同期分配部203が故障しており、基準クロックに同期することができない場合や、クロック受信選択部204がN系およびE系のいずれの専用線を介しても基準クロックをクロック供給装置14から受信することができず、クロック同期分配部203が自走状態となっている場合等に、クロック同期分配部203がマスタクロックを正常に生成していないと判定する。
【0032】
同期情報生成部212は、クロック同期分配部203が生成したマスタクロックに基づいてカウンタを動作させており、同期フレーム生成部211からタイムスタンプ値を要求された場合に、その時のカウンタの値をタイムスタンプ値として同期フレーム生成部211へ送る。
【0033】
同期フレーム生成部211は、予め定められた同期情報フレームの送信タイミングで、同期情報生成部212からタイムスタンプ値を、クロック情報生成部213からクロック情報を、それぞれ取得する。そして、同期フレーム生成部211は、取得したタイムスタンプ値およびクロック情報を含み、それぞれの同期情報フレームを識別するシーケンス番号を有する同期情報フレームを生成し、生成した同期情報フレームを同期フレーム送信部201へ送る。
【0034】
同期フレーム送信部201は、同期フレーム生成部211から取得した同期情報フレームを複製してそれぞれにN系/E系を示す情報を付加することにより、2種類の同期情報フレームを生成する。そして、同期フレーム送信部201は、生成した2種類の同期情報フレームを、送信先の従属装置30の数分複製し、複製したそれぞれの同期情報フレームに、送信先の従属装置30の識別情報を付加して非同期インターフェイス202へ送る。非同期インターフェイス202は、N系の同期情報フレームとE系の同期情報フレームとを、別々のNICを介して非同期通信網13へ送信する。
【0035】
オペレーション装置21は、マスタ通信装置20の障害状態を監視すると共に、同期情報フレームの送信先等のマスタ通信装置20に必要な情報を設定するための外部装置である。制御部200は、オペレーション装置21から受け取った設定情報に基づいてマスタ通信装置20内の各部の制御を行なったり、マスタ通信装置20内の障害の発生を検出してオペレーション装置21に通知したりする処理を行う。
【0036】
図3は、同期情報フレーム40のデータ構造の一例を示す。同期情報フレーム40は、MACヘッダ41、ペイロード42、およびトレーラ43から構成される。
【0037】
MACヘッダ41は、送信先MACアドレス410、送信元MACアドレス411、TPID412、TCI413、および長さ/タイプ414から構成される。TPID412およびTCI413は、非同期通信網13内の通信装置によって付加される情報であり、VLANによる通信を実現するために用いられる。TCI413は、User Priority415、CFI416、およびVLAN_ID417から構成される。VLAN_ID417は、VLANと区別するために用いられる。
【0038】
User Priority415は、優先度を示す値である。同期情報フレーム40に付加されるUser Priority415には、複数の従属装置30どうしが非同期通信網13を介して送受信する通信フレームに付加される値よりも、優先度が高くなる値が設定される。これにより、同期情報フレーム40は、非同期通信網13内において優先的に転送され、それぞれの従属装置30は、より確実に同期情報フレームを受信することができ、再生したマスタクロックの精度をより高く保つことができる。
【0039】
ペイロード42は、同期フレーム識別子420、系指定421、クロック状態通知情報422、シーケンス番号423、およびタイムスタンプ424から構成される。同期フレーム識別子420は、このフレームが同期情報フレームであるか否かを示す例えば1ビットの情報であり、例えば1が格納されている場合に、このフレームは同期情報フレーム40であることを示す。
【0040】
系指定421は、同期フレーム生成部211によって設定される、N系/E系の別を示す情報である。系指定421は、例えば1ビットであり、1が格納されている場合に、当該フレームはN系であることを示す。シーケンス番号423は、同期情報生成部212によって設定されるシーケンス番号であり、同一の同期情報フレーム40を重複して受信することを防止する目的や、それぞれの同期情報フレーム40の連続性を確認する目的で使用される。タイムスタンプ424は、同期情報生成部212によって設定される情報であり、従属装置30においてマスタクロックを再生するために使用される。
【0041】
クロック状態通知情報422は、クロック同期分配部203によってマスタクロックが正常に生成されているか否かの別を示す情報であり、クロック情報生成部213によって設定される。それぞれの従属装置30は、同期情報フレーム40によって、クロック同期分配部203がマスタクロックを正常に生成しているか否かを示す情報を取得することができるので、不正なタイムスタンプ424に基づいて内部クロックの周波数を調整してしまうことを防止することができる。これにより、クロック同期分配部203がマスタクロックを正常に生成することができない場合であっても、一定の期間は、それぞれの従属装置30は、それぞれの内部クロックを用いて、互いに同期通信を行うことができる。
【0042】
図4は、従属装置30の詳細な機能構成の一例を示す。従属装置30は、非同期インターフェイス300、フレーム変換部301、同期インターフェイス302、同期フレーム抽出部303、およびマスタクロック再生部310を備える。
【0043】
非同期インターフェイス300は、非同期通信網13を介して、マスタ通信装置20から送信された同期情報フレーム40および他の従属装置30から送信された非同期フレームを受信すると共に、非同期フレームを、非同期通信網13を介して他の従属装置30へ送信する。ここで、非同期フレームとは、例えば、イーサネット(登録商標)等の非同期通信方式において用いられるフォーマットのフレームを指す。同期インターフェイス302は、同期通信網11内の同期系装置12と同期フレームを送受信する。ここで、同期フレームとは、例えば、SDH等の同期通信方式において用いられるフォーマットのフレームを指す。
【0044】
フレーム変換部301は、同期インターフェイス302が受信した同期フレームを非同期フレームのフォーマットに変換し、変換した非同期フレームを非同期インターフェイス300に送信させる。フレーム変換部301は、例えば、同期フレームを、非同期フレームのペイロードにマッピングすることにより、非同期フレームに変換する。また、フレーム変換部301は、非同期インターフェイス300が受信した非同期フレームを同期フレームのフォーマットに変換し、変換した同期フレームを、同期インターフェイス302に送信させる。フレーム変換部301は、例えば、非同期フレームのペイロードにマッピングされた同期フレームを取り出すことにより、非同期フレームを同期フレームに変換する。
【0045】
同期フレーム抽出部303は、非同期インターフェイス300が受信したフレームの中から同期情報フレーム40を抽出する。マスタクロック再生部310は、同期フレーム抽出部303によって抽出された同期情報フレーム40に基づいてマスタクロックを再生し、再生したマスタクロックを従属装置30内の各ブロックに供給する。
【0046】
ここで、マスタクロック再生部310についてさらに詳細に説明する。マスタクロック再生部310は、タイムスタンプ抽出・演算部311、クロック制御・分配部312、VCXO(Voltage Controlled Xtal Oscillator)313、位相比較部314、および発振器315を有する。
【0047】
タイムスタンプ抽出・演算部311は、同期情報フレーム40内のシーケンス番号の連続性を確認し、以前受信した同期情報フレーム40と重複するシーケンス番号を有する同期情報フレーム40を破棄する。そして、タイムスタンプ抽出・演算部311は、正しいシーケンス番号を有する同期情報フレーム40内のタイムスタンプ値に基づいて、過去の所定期間に受信したタイムスタンプ値と比較して演算を行なうことにより、周波数情報の再生を行い、再生した周波数情報をクロック制御・分配部312へ送る。
【0048】
また、同期情報フレーム40内に、マスタ通信装置20が正常にマスタクロックを生成していない旨の情報が含まれている場合には、タイムスタンプ抽出・演算部311は、前回再生した周波数情報をクロック制御・分配部312へ送る。なお、正常動作時には、タイムスタンプ抽出・演算部311は、N系およびE系の同期情報フレーム40を受信する。E系の同期情報フレーム40は、障害監視時に、タイムスタンプ抽出・演算部311によって参照される。
【0049】
発振器315は、クロック同期分配部203の基準となる周波数を発生させるものであり、例えば水晶発振器である。また、発振器315は、初期状態またはマスタ通信装置20が正常にマスタクロックを生成できない場合の自走用クロックとして使用される。
【0050】
位相比較部314は、発振器315からのクロックとクロック制御・分配部312からの再生クロックとの位相を比較し、位相差に応じた電圧をVCXO313に供給することにより、VCXO313の発振周波数を調整する。クロック制御・分配部312は、VCXO313からのクロックをマスタクロックとして、従属装置30内の各ブロックに供給する。
【0051】
図5は、マスタ通信装置20によるクロック状態監視処理の一例を示すフローチャートである。例えば、電源投入等の所定のタイミングで、マスタ通信装置20は、本フローチャートに示すクロック状態監視処理を開始する。
【0052】
まず、クロック同期分配部203は、障害が発生したことを示す割り込みが発生したか否かを判定する(S100)。障害割り込みが発生していない場合(S100:No)、クロック同期分配部203は、障害割り込みが発生するまでステップ100を繰り返す。
【0053】
障害割り込みが発生した場合(S100:Yes)、クロック同期分配部203は、発生した障害が、クロック受信選択部204がN系およびE系のいずれの専用線を介してもクロック供給装置14から基準クロックを受信することができないことを示す入力クロック障害か否かを判定する(S101)。
【0054】
入力クロック障害ではない場合(S101:No)、クロック同期分配部203は、発生した障害が、クロック同期分配部203内のPLL障害か否かを判定する(S102)。PLL障害でない場合(S102:No)、クロック同期分配部203は、発生した障害が、クロック同期分配部203内のPLLの同期確立障害であるか否かを判定する(S103)。同期確立障害ではない場合(S103:No)、クロック同期分配部203は、障害が発生した旨を、制御部200を介してオペレーション装置21に通知し、再びステップ100に示した処理を行なう。
【0055】
発生した障害が、PLL障害である場合(S102:Yes)または同期確立障害である場合(S103:Yes)、クロック同期分配部203は、PLLを停止し、マスタ通信装置20内の発振器のクロックをマスタクロックとして使用し(S105)、ステップ104に示した処理を行う。
【0056】
発生した障害が、入力クロック障害である場合(S101:Yes)、クロック同期分配部203は、PLLが前回同期を確立していたか否かを判定する(S106)。1度も同期を確立していない場合(S106:No)、クロック同期分配部203は、ステップ105に示した処理を行なう。前回同期を確立していた場合(S106:Yes)、クロック同期分配部203は、PLLの周波数を、前回同期していた周波数に保持するHold Over処理を行い(S107)、ステップ104に示した処理を行なう。
【0057】
図6は、マスタ通信装置20による同期情報フレーム40の送信処理の一例を示すフローチャートである。例えば、電源投入等の所定のタイミングで、マスタ通信装置20は、本フローチャートに示す同期情報フレーム40の送信処理を開始する。
【0058】
まず、同期フレーム生成部211は、同期情報フレーム40を送信するタイミングか否かを判定する(S200)。同期情報フレーム40を送信すべきタイミングでない場合(S100:No)、同期フレーム生成部211は、送信すべきタイミングになるまでステップ200を繰り返す。本実施形態において、マスタ通信装置20は、例えば1秒毎の所定の時間間隔で、定期的に同期情報フレーム40を各従属装置30へ送信する。
【0059】
同期情報フレーム40を送信すべきタイミングである場合(S100:Yes)、同期フレーム生成部211は、同期情報生成部212からタイムスタンプ値を取得する(S201)。そして、同期フレーム生成部211は、クロック情報生成部213からクロック情報を取得し(S202)、シーケンス番号を生成する(S203)。そして、同期フレーム生成部211は、タイムスタンプ値、クロック情報、およびシーケンス番号を含む同期情報フレーム40を生成する(S204)。
【0060】
次に、同期フレーム送信部201は、同期フレーム生成部211から取得した同期情報フレーム40を複製してN系用の同期情報フレーム40およびE系用の同期情報フレーム40を生成する。そして、同期フレーム送信部201は、生成した2種類の同期情報フレーム40を、送信先の従属装置30の数分複製し、複製したそれぞれの同期情報フレーム40に、送信先の従属装置30の識別情報を付加して非同期インターフェイス202へ送る。非同期インターフェイス202は、N系の同期情報フレーム40とE系の同期情報フレーム40とを、別々のNICを介して非同期通信網13へ送信し(S205)、同期フレーム生成部211は、再びステップ200に示した処理を行なう。
【0061】
図7は、従属装置30の動作の一例を示すフローチャートである。例えば、電源投入等の所定のタイミングで、従属装置30は、本フローチャートに示す処理を開始する。
【0062】
まず、タイムスタンプ抽出・演算部311は、同期情報フレーム40を受信したか否かを判定する(S300)。同期情報フレーム40を受信した場合(S300:Yes)、タイムスタンプ抽出・演算部311は、同期情報フレーム40内のシーケンス番号を参照して、前回受信した同期情報フレーム40のシーケンス番号と重複していないかどうかを判定する(S301)。シーケンス番号が重複している場合(S301:No)、同期フレーム抽出部303から受け取った同期情報フレーム40を破棄し(S302)、再びステップ300に示した処理を行なう。
【0063】
シーケンス番号が重複していない場合(S301:Yes)、タイムスタンプ抽出・演算部311は、同期情報フレーム40内のクロック状態通知情報422を参照して、マスタ通信装置20のクロック同期分配部203が正常にマスタクロックを生成しているか否かを判定する(S303)。同期情報フレーム40のクロック状態通知情報422にマスタクロックが正常に生成されていない旨が格納されている場合(S303:No)、タイムスタンプ抽出・演算部311は、ステップ308に示す処理を行なう。
【0064】
同期情報フレーム40のクロック状態通知情報422に、マスタクロックが正常に生成されている旨が格納されている場合(S303:Yes)、タイムスタンプ抽出・演算部311は、同期情報フレーム40からタイムスタンプ424を抽出する(S304)。そして、タイムスタンプ抽出・演算部311は、抽出したタイムスタンプ424を統計処理してマスタクロックの周波数情報および位相情報を再生してクロック制御・分配部312へ送る(S305)。
【0065】
次に、位相比較部314は、発振器315からのクロックとクロック制御・分配部312からの再生クロックとの位相を比較し、位相差に応じた電圧をVCXO313に供給することにより、VCXO313の発振周波数を調整し(S306)、タイムスタンプ抽出・演算部311は、再びステップ300に示した処理を行なう。
【0066】
ステップ300において、同期情報フレーム40を受信していない場合(S300:No)、タイムスタンプ抽出・演算部311は、前回、同期情報フレーム40を受信してから所定期間経過したか否かを判定する(S307)。ステップ307における所定期間とは、例えば10秒である。所定期間経過していない場合(S307:No)、再びステップ300に示した処理を行なう。
【0067】
前回、同期情報フレーム40を受信してから所定期間経過した場合(S307:Yes)、タイムスタンプ抽出・演算部311は、従属装置30が起動してから少なくとも1回は同期を確立したか否かを判定する(S308)。従属装置30が起動してから1度も同期を確立していない場合(S308:No)、タイムスタンプ抽出・演算部311は、ステップ310に示す処理を行なう。
【0068】
従属装置30が起動してから少なくとも1度は同期を確立している場合(S308:Yes)、タイムスタンプ抽出・演算部311は、前回再生したマスタクロックの周波数情報および位相情報をクロック制御・分配部312に供給することにより、VCXO313の発振周波数を、前回調整した値に保持するHold Over処理を行う(S309)。そして、タイムスタンプ抽出・演算部311は、発生した障害が、障害保護範囲であるか否かを判定する(S310)。
【0069】
ここで、障害保護範囲とは、例えば、ステップ310の判定を行なった回数が、ステップ304から306の処理を間に挟まずに、連続で3回未満であることである。例えば、ステップ303において、同期情報フレーム40のクロック状態通知情報422にマスタクロックが正常に生成されていない旨が格納されている、または、ステップ307において、前回、同期情報フレーム40を受信してから所定期間経過したと判定された回数が、連続で2回あった場合であっても、その後に受信した同期情報フレーム40によって、ステップ310の判定を行なうことなくステップ304から306の処理が行われた場合には、次回、ステップ310の判定を行なう場合には、タイムスタンプ抽出・演算部311は、障害保護範囲内と判定する。
【0070】
ステップ310において、障害保護範囲内の場合(S310:Yes)、タイムスタンプ抽出・演算部311は、再びステップ300に示した処理を行なう。障害保護範囲外の場合(S310:No)、タイムスタンプ抽出・演算部311は、受信する同期情報フレーム40をN系からE系に切り替え(S311)、タイムスタンプ抽出・演算部311は、再びステップ300に示した処理を行なう。ただし、前述のステップ311の処理において、受信する同期情報フレーム40をN系からE系に切り替えているので、これ以降受信する同期情報フレーム40は、E系となる。N系の同期情報フレーム40は、次の切り替えまでフレーム障害状態の監視に用いられる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0072】
上記説明から明らかなように、本発明の通信システム10によれば、複数の同期通信網11内の同期系装置12が、非同期通信網13を介して、互いに同期した通信を行うことができる。また、それぞれの従属装置30は、同期情報フレーム40によって、クロック同期分配部203がマスタクロックを正常に生成しているか否かを示す情報を取得することができるので、不正なタイムスタンプ424に基づいて内部クロックの周波数を調整してしまうことを防止することができる。これにより、クロック同期分配部203がマスタクロックを正常に生成することができない場合であっても、一定の期間は、それぞれの従属装置30は、それぞれの内部クロックを用いて、互いに同期通信を行うことができる。
【0073】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0074】
図8は、通信システム10の構成の他の例を示す。なお、以下に説明する点を除き、図8において、図1と同じ符号を付した構成は、図1における構成と同一または同様の機能を有するため説明を省略する。
【0075】
通信システム10は、複数のマスタ通信装置20を備える。それぞれのマスタ通信装置20は、1のクロック供給装置14から基準クロックをそれぞれ受け取り、受け取った基準クロックに同期したマスタクロックを生成する。そして、それぞれのマスタ通信装置20は、一方がN系の同期情報フレームを生成し、他方がE系の同期情報フレームを生成する。
【0076】
これにより、マスタクロックを生成するクロック同期分配部203を異なる装置で実現することができるので、クロック同期分配部203を2重化することができ、一方のクロック同期分配部203にPLL障害が発生した場合であっても他方のクロック同期分配部203が生成するマスタクロックに同期することによって、それぞれの従属装置30は、互いに同期した通信を確実に行うことができる。
【0077】
なお、それぞれのマスタ通信装置20は、それぞれ異なるNICを介して、それぞれがN系/E系の同期情報フレーム40を、それぞれの従属装置30へ送信してもよい。これによりさらなる冗長化が図られ、システムの安定性を増大させることができる。
【0078】
また、上記した実施形態では、それぞれの従属装置30は、同期情報フレーム40内のタイムスタンプ424を統計処理することによって、マスタクロックの周波数情報および位相情報を再生したが、本発明はこれに限られない。例えば、マスタ通信装置20は、予め定められた時間間隔で定期的に同期情報フレーム40を、非同期通信網13を介してそれぞれの従属装置30へ送信し、それぞれの従属装置30は、マスタ通信装置20から送信される同期情報フレーム40の受信間隔を統計処理することにより、マスタクロックを再生するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
10・・・通信システム、11・・・同期通信網、12・・・同期系装置、13・・・非同期通信網、14・・・クロック供給装置、20・・・マスタ通信装置、200・・・制御部、201・・・同期フレーム送信部、202・・・非同期インターフェイス、203・・・クロック同期分配部、204・・・クロック受信選択部、210・・・マスタクロック情報生成部、211・・・同期フレーム生成部、212・・・同期情報生成部、213・・・クロック情報生成部、21・・・オペレーション装置、30・・・従属装置、300・・・非同期インターフェイス、301・・・フレーム変換部、302・・・同期インターフェイス、303・・・同期フレーム抽出部、310・・・マスタクロック再生部、311・・・タイムスタンプ抽出・演算部、312・・・クロック制御・分配部、313・・・VCXO、314・・・位相比較部、315・・・発振器、40・・・同期情報フレーム、41・・・MACヘッダ、42・・・ペイロード、43・・・トレーラ、410・・・送信先MACアドレス、411・・・送信元MACアドレス、412・・・TPID、413・・・TCI、414・・・長さ/タイプ、415・・・User・・・Priority、416・・・CFI、417・・・VLAN_ID、420・・・同期フレーム識別子、421・・・系指定、422・・・クロック状態通知情報、423・・・シーケンス番号、424・・・タイムスタンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非同期通信網を介して同期通信を行う通信システムであって、
基準クロックを生成するクロック生成装置と、
前記クロック生成装置と前記非同期通信網との間に設けられるマスタ通信装置と、
複数の同期通信網のそれぞれに1つずつ設けられ、対応する同期通信網と前記非同期通信網との間に設けられる複数の従属通信装置と
を備え、
前記マスタ通信装置は、
前記クロック生成装置によって生成された基準クロックを受信する基準クロック受信手段と、
前記基準クロック受信手段が受信した基準クロックに同期したマスタクロックを生成するマスタクロック生成手段と、
前記マスタクロックに関する情報を含む同期情報を生成する同期情報生成手段と、
前記同期情報を格納した同期情報フレームを生成し、生成した同期情報フレームを、前記非同期通信網を介して、複数の前記従属通信装置のそれぞれへ送信する同期情報フレーム送信手段と
を有し、
前記従属通信装置は、
前記マスタ通信装置から送信された同期情報フレームおよび他の従属通信装置から送信された非同期フレームを、前記非同期通信網を介して受信すると共に、非同期フレームを、前記非同期通信網を介して他の従属通信装置へ送信する非同期フレーム送受信手段と、
前記同期通信網内の通信機器と同期フレームを送受信する同期フレーム送受信手段と、
前記同期フレーム送受信手段が受信した同期フレームを非同期フレームのフォーマットに変換し、変換した非同期フレームを、前記非同期フレーム送受信手段に送信させると共に、前記非同期フレーム送受信手段が受信した非同期フレームを同期フレームのフォーマットに変換し、変換した同期フレームを、前記同期フレーム送受信手段に送信させるフレーム変換手段と、
前記非同期フレーム送受信手段が受信したフレームの中から前記同期情報フレームを抽出する同期フレーム抽出手段と、
前記同期フレーム抽出手段によって抽出された同期情報フレームに基づいてマスタクロックを再生し、再生したマスタクロックを、前記非同期フレーム送受信手段、前記同期フレーム送受信手段、前記フレーム変換手段、および前記同期フレーム抽出手段のそれぞれに供給するクロック再生手段と
を有することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムであって、
前記同期情報フレーム送信手段は、
前記マスタクロック生成手段によって生成されたマスタクロックに基づいて、予め定められたクロック数毎に、前記同期情報フレームを、前記非同期通信網を介して、複数の前記従属通信装置のそれぞれへ送信し、
前記クロック再生手段は、
前記同期情報フレームの受信間隔を統計処理することにより、前記マスタクロックを再生すること
を特徴とする通信システム。
【請求項3】
請求項1に記載の通信システムであって、
前記同期情報生成手段は、
所定のタイミング毎に、前記マスタクロック生成手段によって生成されたマスタクロックに同期して動作するカウンタのタイムスタンプ値を含む同期情報を生成し、
前記クロック再生手段は、
複数の前記同期情報フレーム内の同期情報に含まれるタイムスタンプ値に基づいて前記マスタクロックを再生すること
を特徴とする通信システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の通信システムであって、
前記同期情報生成手段は、
前記基準クロック受信手段によって前記基準クロックが正常に受信されたか否かを示す情報であるクロック情報をさらに生成し、
同期情報フレーム送信手段は、
前記クロック情報を、前記同期情報フレームにさらに格納し、
前記クロック再生手段は、
前記同期情報フレーム内の同期情報に、前記基準クロック受信手段が前記基準クロックを正常に受信されなかった旨が格納されている場合に、直前に再生したマスタクロックを、引き続き前記非同期フレーム送受信手段、同期フレーム送受信手段、およびフレーム変換手段のそれぞれに供給すること
を特徴とする通信システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の通信システムであって、
前記従属通信装置は、
前記マスタ通信装置から複数ルートにて送信されてくる同期情報フレームを受信する手段と、
障害を監視する手段と、
障害検出時に選択する同期情報フレームを切り替える手段と
をさらに有することを特徴とする通信システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の通信システムであって、
前記マスタ通信装置および前記複数の従属通信装置のそれぞれは、
前記非同期通信網を介して、互いに仮想的な通信路を形成すること
を特徴とする通信システム。
【請求項7】
請求項6に記載の通信システムであって、
前記仮想的な通信路は、
IEEE802.1Qに規定されるVLAN技術を用いて形成されること
を特徴とする通信システム。
【請求項8】
請求項7に記載の通信システムであって、
前記同期情報フレームに付加されるVLANヘッダ内のUser Priorityフィールドの値は、前記複数の従属通信装置間で送受信される非同期フレームに付加されるVLANヘッダ内のUser Priorityフィールドの値よりも、優先度が高くなる値に設定されていること
を特徴とする通信システム。
【請求項9】
非同期通信網を介して同期通信を行う通信システムに用いられ、基準クロックを生成するクロック生成装置と前記非同期通信網との間に設けられるマスタ通信装置であって、
前記クロック生成装置によって生成された基準クロックを受信する基準クロック受信手段と、
前記基準クロック受信手段が受信した基準クロックに同期したマスタクロックを生成するマスタクロック生成手段と、
前記マスタクロックに関する情報を含む同期情報を生成する同期情報生成手段と、
前記同期情報を格納した同期情報フレームを生成し、生成した同期情報フレームを、前記非同期通信網を介して、複数の同期通信網のそれぞれに接続されている従属通信装置へ、それぞれ送信する同期情報フレーム送信手段と
を備えることを特徴とするマスタ通信装置。
【請求項10】
非同期通信網を介して同期通信を行う通信システムに用いられ、同期通信網と前記非同期通信網との間に設けられる従属通信装置であって、
マスタ通信装置から送信された、基準クロックに関する情報を含む同期情報を格納した同期情報フレーム、および他の従属通信装置から送信された非同期フレームを、前記非同期通信網を介して受信すると共に、非同期フレームを、前記非同期通信網を介して他の従属通信装置へ送信する非同期フレーム送受信手段と、
前記同期通信網に接続され、前記同期通信網内の通信機器と同期フレームを送受信する同期フレーム送受信手段と、
前記同期フレーム送受信手段が受信した同期フレームを非同期フレームのフォーマットに変換し、変換した非同期フレームを、前記非同期フレーム送受信手段に送信させると共に、前記非同期フレーム送受信手段が受信した非同期フレームを同期フレームのフォーマットに変換し、変換した同期フレームを、前記同期フレーム送受信手段に送信させるフレーム変換手段と、
前記非同期フレーム送受信手段が受信したフレームの中から前記同期情報フレームを抽出する同期フレーム抽出手段と、
前記同期フレーム抽出手段によって抽出された同期情報フレームに基づいてマスタクロックを再生し、再生したマスタクロックを、前記非同期フレーム送受信手段、前記同期フレーム送受信手段、前記フレーム変換手段、および前記同期フレーム抽出手段のそれぞれに供給するクロック再生手段と
を備えることを特徴とする従属通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−61843(P2011−61843A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248030(P2010−248030)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【分割の表示】特願2007−154883(P2007−154883)の分割
【原出願日】平成17年9月28日(2005.9.28)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】